平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成24年2月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成24年3月5日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第58号まで、議案第60号から
    議案第69号まで及び議案第71号から議案第85号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第58号まで、議案第60号から
    議案第69号まで及び議案第71号から議案第85号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(2人)
 12番 川口文章
 16番 尾崎要二
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       野田寛芳
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      宇恵元昭
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     鈴木敏彦
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     森 勝彦
 会計管理者      米山重明
 教育委員会委員長   山下郁夫
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事班長       中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 議事課副主査     坂口敦子
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       谷村守彦
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  午前10時1分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第58号まで、議案第60号から議案第69号まで及び議案第71号から議案第85号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 24番中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕(拍手)
○中 拓哉君 おはようございます。「なかなか頑張る中拓哉」です。15回目の登壇となります。
 一問一答式といたしましては、私、初めての一般質問でございます。当局におかれましては、こちらのほうも端的にお聞きしますので、的確にお答え願いたい、さように思います。
 それでは、仁坂知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。
 去る2月17日の夕刻、アバローム紀の国で開催されました「仁坂吉伸を囲む会」にお招きをいただきましたので、お邪魔しましたところ、立錐の余地もないほどの御盛会の上、女性陣の御参加も多く、幅広く御支援をお受けの御様子がうかがえ、何よりでございます。
 また、知事のスピーチもよどむことなく言葉をつなぎ、失礼ですけども随分上達なさったなと、かように思い、慶賀にたえないところでございます。
 また、「ガバナンス」の雑誌でございますけども、これの2月号も知事が表紙を飾るなど、そういった活躍を目にするにつけ、議会対知事と二元代表制の役割はあるものの、知事が頑張っていらっしゃることはうれしい限りでございます。
 それで、これから質問に移らせてもらいます。
 和歌山県勢の浮揚を図る上で、私の選挙区である和歌山市からしますと、第2阪和国道を早く開通してもらいたい。また、この議場で先輩諸氏の質問をお聞きしましても、府県間道路の問題がたびたび取り上げられ、その整備が急がれるところでございます。
 大阪府知事が任期を残しながら、橋下徹さん、市長選に出まして、松井さんに知事がかわり、橋下氏は大阪市長に就任いたしました。いずれも大阪維新の会に籍を置く政治家でございます。
 この大阪維新の会なるローカルパーティーは、「府市合わせ(不幸せ)」とやゆされる大阪市と大阪府の長年の対立を解消し、政令指定都市の大阪市、堺市を特別区の基礎自治体に再編し、広域自治体で大阪都をつくるとの公約を掲げ、選挙戦を勝利しました。府市統合本部を立ち上げ、矢継ぎ早にさまざまな改革に着手しております。
 一方、橋下さん、大阪維新の会は、こういった大都市制度あるいは教育委員会の制度、生活保護行政など、法律改正が必要な事柄も多いということから、国政にも進出すべく衆議院選に向けて準備を進めております。そのリーダーたる橋下徹氏は、マスコミにも頻繁に登場し、持論を展開しております。
 大阪府議会・維新の会は、議員定数を109から88に削減する条例案を強行採決するなど、数の論理で非常に乱暴な一面もお持ちでございます。また、大阪市は関西電力の筆頭株主として原発問題にも取り組むと、そういう姿勢を見せ、先般は「船中八策」と称する政権公約も発表しました。今をときめく橋下市長でございます。
 私も、こういった堺屋太一さんとの、これは橋下さん側からの本でございますし、一方、その橋下さんの危なさを訴える「『仮面の騎士』橋下徹」であるとか、あるいは「新潮45」の雑誌とか、そういった報道に触れるにつけ、批判もあり人気もありと、こういった最近には珍しいと申しましょうか、目の離せない政治家の登場であると、かように思うところでございます。
 そこで、仁坂知事は、橋下さんが府知事の当時から、広域連合等の会合を初め、あるいは和歌山で橋下さんが行いました三洋の元社長なんかを呼んでの、メガソーラーでしたか、そんな講演の折にも知事は御参加でございましたんで、そういったおつき合いの中から、橋下市長率いるこういった維新の会への評価を、まず冒頭、お尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(新島 雄君) ただいまの中拓哉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は和歌山県の知事でございますので、橋下大阪市長及び橋下市長を代表とする大阪維新の会の全体を評価する立場にはございません。
 和歌山にとって関係の深い点について申し上げますと、大阪都構想には賛成であるとずっと申しておりました。これは政治的にどうのこうのというんじゃなくて、管轄権を小さく分割するのではなくて、大阪市が担っている産業政策など広域的な行政は大阪府に統合して、住民に身近な行政サービスは住民に身近なところに移していくということが私はふさわしいというふうに考えてるからでございます。二重行政の弊害というのを直すためには、このスタイルがよろしいと思います。
 もう1つは、大阪府を分割することであろうかと思いますが、これは広域化の時代にふさわしくないというふうに思います。
 橋下市長については、府知事就任直後に、大阪府という狭い地域だけではなくて、関西全体の発展について考える知事であってほしいというふうに私から申し上げました。そういう点では、府県間道路に消極的なのは、和歌山にとってはもちろん、大阪にとっても、さらに関西にとっても全然利益になりませんよというようなことを申し上げて、そういった観点で少し軌道修正をしてくれてるというのは評価したいと思います。
 ただ、そういうところをはるかに超えて現在活動中で、その点については評価する立場にはございません。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 御答弁ありがとうございます。
 ちょっと残念というか、物足りない感じでございます。この場ではなかなかお話ししづらいんかわかりませんけど、私の気持ちとしては、実際、橋下さんとノミニケーションといいましょうか、お食事もしたり、雑談もしたり、いろんな形のおつき合いのことを経験といいますか、関係があろうかと思いまして、そういったところで知り得た橋下さんの、今のマスコミでの私らが知る橋下さんぶり、それがそのままなのか、あるいは実際は人間的にどうだこうだ、そういったお話をしてもらえればなと思ってお尋ねしたんです。
 といいますのは、橋下さんは、当然批判もされて、私なんかも船中八策を見ますと、憲法も変えなあかんし、随分乱暴だな、こう思うところも多々あるわけでございますけども、一方、知事の当時に、例の国の直轄工事の負担金の問題、長年、全国の知事やら地方自治体の首長が毎年のように中央政府にこういう制度はやめてくれということを言うておりましたけども、なかなか進みませんでした。 しかし、橋下知事が登場して、あの北の新地のぼったくりバーでも明細は見せるぞ、こういう発言があり、一遍に片づいたと申しましょうか、前へ向いて進んだ。
 あるいは一方、知事会の返還金につきましても、橋下知事が知事になって、知事会へ行っていろんな関係の会議へ出て不思議に思ったんでしょうね。そういった中で、積立金についても返したらどうだと、こういうお話があったときに、和歌山県も当然返してもらって、5500万でしょうか、戻ってきたということがあります。
 そういう意味からすると、なかなか自分らが入ってる会の積立金を返せというのは、日本人的には角が立つし、その当時の知事会の会長さん等のことも考えて、私らでもそうですけど、自分がいろんな団体に所属するときにそういったことは言いづらい中ですけども、橋下さんはそういうことを言う政治家という意味からも私は感心しましたもんで、そういった人間的な評価のところを述べてもらえればなと、こんなん思いますけど、同じ御答弁でしょうか。もう一遍、知事さんにお願いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、いろいろざっくばらんに話し合うという点では割合右派のほうではないかというふうに思いますので、橋下さんが言っておられることのうち、究極的な理想をかなり乱暴な言葉で言うという点について、結構いい線をいってるというか、そういう点については割合評価しています。
 ただ、政治あるいは行政というのは、その答えのほうも用意しとかないといけない。今、議員のお話でありました後半のほうは実は実現したんですが、前半のほうはほんのちょっとしかまだ実現してないんです。ぼったくりバーと言われて、最近言わなくなっちゃったというのはかえって困るんで、そういう点では、やっぱりちょっと私とは違うなというふうに思います。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 はい、ありがとうございます。
 そしたら引き続いて、今議会でも提案されております追加議案の85号にも関連するわけですけども、大阪市や堺市が関西広域連合に参加する旨、表明されて、今手続が進んでおりますけども、一方で滋賀県のほうではちょっともたついてると申しましょうか、報道がございます。そういったことも含めて、大阪、堺市が入ること、あるいはこの先、神戸や京都なんかにも入ってもらわんなんと、そんなことやろうと思いますけども、そこら辺のところをお示しいただきたいのと、ちょっとこれは嫌みな質問ですけども、追加議案も招集日には出てないんですね。だから追加議案なんですけども、こういった議案も出そう思うたら出せるんですから、議会の招集日にお出しになってほしいな、こんなことを思いますので、その点について御答弁いただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県が関西広域連合に参加いたしましたのは、県の区域を超えて取り組む必要のある課題に関西が一丸となって取り組む体制をつくるということで、本県の発展に不可欠な関西圏づくりに資すると思ったからであります。
 そういう観点からいたしますと、大阪市というのは、地理的にも産業的にも関西の中心地でありますし、それは今、橋下さんたちがチャレンジをしてるわけですが、現状では政令指定都市として、大阪府の、普通の県が持っている権限を随分たくさん移している、そういう存在でありますので、その大阪市が関西広域連合に参加することは歓迎すべきだと思います。堺市も、神戸市も、京都市も同じでございます。
 橋下市長には、大阪府知事と同様に、大阪市の利益という狭い視点ではなくて、関西全体の発展という観点で活動されることを期待しております。
 なお、今議会に提案している大阪市及び堺市の参加に伴う関西広域連合規約の一部の変更につきましては、実は御承知のように滋賀県の県議会との関係がございましたんで、全体の足並みをそろえるためにちょっと待ってみようかというふうに関西広域連合で考えておりました。
 2月17日に、この問題について責任を持ってくれている連合長から、原案で2月議会への上程に向けた諸準備を進めてくださいというような要請がありました。本県としては、開会日冒頭の議案については2月15日に議会運営委員会で御審議いただいていたということでございますので、これは再開日の3月の2日に追加提案にすることにさしていただいた次第でございます。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 はい、ありがとうございます。
 それで3月2日ということなんですけども、議運をまた開いて、同じように冒頭に出そう思うたら出せたん違うかな、こういうふうに思ったもんですから、お尋ねしたわけでございます。
 どうなんでしょうかね。また後で議論でも聞きますけども、やっぱり出せるもんは出し、途中で方針変わって、おろしたりするものはおろすと、こういう当局の提案であってほしいな、こう思う次第でございます。
 次に、市民活動の支援についてお伺いしたいと思います。
 知事は、2月7日、和歌山大学での4回目の知事講座という中で、「中心市街地活性化」と題して講演し、学生らの質問にも答えております。
 また、その講義の中で、住民は自分のことを考える、すべての情報が与えられているわけではないといったこともお述べになり、そのためにまちづくりの専門家たる公務員の役割があるんだということを強調し、また、議員や首長といった政治家は、選挙目当てでいいかげんなことを言ってきたがためにまちづくりに失敗し続けた旨お話しし、論理的に考えてわかってくれるように勇気を持って住民に説明し、そういったことが嫌で住民に嫌われることを避けてきたようなやつは選挙で落ちろと、勇ましい発言等もなさっています。
 なかなかの御見識と敬服するわけでございますけども、今月の「県民の友」3月号の記事では、住民参加の景観づくりの推進として、海南市黒江地区の「歴史を活かしたまちづくり」を紹介してくださり、わかやま景観づくり協定第1号に知事の認定があったと、こういったことも紹介されるとともに、そのサポーター募集ということを「県民の友」で募っております。
 過日の「毎日新聞」の記事でも、3回に分けて詳しく報道がありました。私のふるさと海南のことでもあり、新聞にも載ってました代表者の阪井俊夫さんとも旧知の間柄から関心を持っておりましたし、私は海南の日方地区の育ちなんですけども、お隣の黒江、船尾は私の生まれた本籍地でもありますし、今、弟や母親も住んでおります。
 毎年、下駄市や漆器まつりなんかは恒例行事として参加し、楽しんでおるわけでございますけども、そうした折、1月22日、黒江の防災コミュニティセンターで西村幸夫東大副学長、この方は県の景観審議会の会長でもございますが、この方を招いてシンポジウムが開催されました。残念ながら私は他の行事で参加できませんでしたが、「県民の友」の表紙からも成功ぶりがうかがえます。
 また、黒江の漆器店の特徴とされる紀州連子格子などは、私の実家でも同じような連子の格子がありましたので、余りに日常でしたので、私自身はそんな価値のあるもんだとは気づきませんでした。この先、県景観条例に基づき、県の景観資源の登録といった形に進んでいくんだろうと思いますけども、こういう住民の方々が頑張っていらっしゃるまちづくり、そういったことに対して県としてどのような支援を講じるもんなのか、県土整備部長のほうからお示しいただきたいと思います。お願いします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 和歌山県では、良好な景観の形成を促進するため、景観条例に基づき景観施策を進めておりまして、中でも住民の参画による景観づくりの推進は特に重要と考えて、積極的に取り組んでいるところでございます。
 黒江地区の景観保全につきましては、今回締結された協定を契機に、魅力的なまちづくりがより進んでいくよう、黒江地区の取り組みの段階に応じて海南市と協力しつつ、先進地の取り組み事例や国の支援制度など、参考となる情報の提供や必要な助言を行い、引き続き応援してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 はい、ありがとうございます。
 海南市と協調しながらということでございますが、海南市のほうでも市役所としても取り組んでいただけると思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 また、同じく市民活動の支援である今回の議案の第42号和歌山県特定非営利活動促進法施行条例の一部改正にも関連してまいりますけども、このほど県民生活課NPO・県民活動推進室から説明会の開催の通知が、よみかきパソコン理事長である私の家にも届きました。
 また、最近、「公明新聞」では、堀田力さんが代表理事を務めるNPO日本ファンドレイジング協会の講習会の記事があり、こういった資格を持つようにこれから進んでいくという話がございましたし、雑誌「公明」のほうでは、NPOが受けるべき税政優遇のことやら、あるいは寄附する市民が受けるべき寄附金控除の税政優遇のことなども記載されております。
 いろいろ勉強するんですけども、なかなかややこしくてわからないところがありますので、今回のNPO法改正の詳細と市民への周知啓発、そのことについてお示しいただけたらと思います。環境生活部長ですか、お願いします。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 今回のNPO法改正による大きな改正点には、次の3つがあります。
 1つ目は、NPOに法人格を付与する認証制度において、観光の振興を図る活動など新しい分野が追加されるとともに、一定の事項については、届け出だけで定款の変更を行うことができるようになるなど、手続の簡素化、柔軟化が図られたところです。
 2つ目は、租税特別措置法で規定されていてわかりにくかった税制優遇のための認定制度がNPO法の中に創設されるとともに、認定のための条件を一部緩和した仮認定制度が導入されました。
 3つ目は、これまでの内閣府が所管していました複数の都道府県にまたがる活動を行っているNPO法人や、国税庁が所管していた認定事務が、政令市を含む都道府県に一本化されたことです。
 次に、周知啓発ですが、NPOの健全な発展と活動の促進のためには、議員御指摘のとおり、これらの改正の趣旨と内容について、活動主体であるNPO法人の県民の皆様に周知し、税の優遇等、その制度を十分に活用していただくことが肝要であるというふうに考えております。
 県としましても、既に専用ホームページの開設、フリーペーパーの配布、フォーラムの開催等に加えまして、3月末には制度の説明会を予定するなど、広報に努めているところであります。今後とも、さまざまな機会、さまざまな媒体を通じまして、より一層の浸透を図っていきたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ありがとうございます。私も自分でNPOをこさえてやってる中で活動をしているんですけど、どうしてももう自分たち役員さんといいましょうか、志のある者だけの活動になってしまいます。
 今回の一連の報道を見てたら、寄附が受けやすくなるとか、あるいはこの前、ホテルグランヴィアで開いてくれた京都のああいう方のお話によると、寄附も進むのかなと期待しますんで、県民への周知やら、あるいはNPOを運営してるそういった側の方に対しても丁寧な周知をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 次に、安全・安心の政策についてお伺いします。
 去る1月24日の夜、きのくに志学館の2階のメディア・アート・ホールで行われました県政報告会に参加いたしました。知事からは、3.11東日本大震災の大津波を受けて、県がそれまでつくっておりました逃げ切るプラン、こういったプランに基づく避難所の場所を見直した旨、あるいは昨年9月の台風12号禍に伴う復旧の取り組みなどについて、丁寧な御報告がありました。
 また、昨秋11月5日には、津波防災の日を記念して「稲むらの火シンポジウム」が関西大学社会安全学部長河田惠昭氏の講演をメーンに開催されました。自治会館のプロジェクターが機能せずに、危機管理の大切さを身をもって知るような貴重な場面もありましたけれども、概して全体的には河田先生のお話が聞けて大変勉強になりました。
 間もなくあの大津波から1周年を迎えようとしておりますけども、本県におけるこの新年度、24年度予算においての新たな防災対策をお示しいただけたらと思います。よろしくお願いします。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 安全・安心の政策、平成24年度からの新たな防災対策でございますが、県では東日本大震災や紀伊半島大水害を踏まえ、さまざまな対策を実施してきておりますが、平成24年度からの新たな取り組みとして、特に東海・東南海・南海地震の被害想定の見直し、地域の防災体制づくり、避難対策、災害応急体制の整備の4つの項目の主なものについてお答えを申し上げます。
 まず、被害想定の見直しにつきましては、国の中央防災会議の新たな被害想定が4月ごろには公表されることから、これを受けて、県として詳細な被害想定、浸水予測に着手することとしております。基礎データを市町村に提供することで、市町村のハザードマップの作成を促進してまいりたいと考えてございます。
 次に、地域の防災体制づくりにつきましては、地域の防災力を高めるため、市町村が行う避難、救助、減災対策事業への支援を一層強化してまいります。
 「まけるな!!和歌山パワーアップ補助金」に、台風12号緊急対策分を合わせ、23年度当初予算の4倍の2億円を計上してございます。この中で、例えば台風12号災害時に効果を発揮した無線機等を孤立集落や福祉関係施設へ配備することなども重点的に行ってまいります。
 さらに、孤立集落対策として、新たに市町村によるヘリポートの整備を支援することとしてございます。
 次に、避難対策についてでございますが、地域における要援護者の避難対策を進めるため、新たに支援者マニュアルの策定や支援活動に必要な資機材整備の補助等を実施することとしてございます。
 最後に、緊急応急体制の整備についてでございますが、東日本大震災では市町村庁舎が被災をし、県等との連絡がとれなくなる事態が生じており、そうした場合に備え、各振興局と市町村を結ぶ防災相互通信用無線機を整備し、災害時の新たな通信手段の確保を行いたいと考えております。
 また、大規模災害時における情報収集分析機能の強化、迅速化を図るため、新たに災害時緊急支援体制(移動県庁)の整備、緊急時情報収集分析システムの開発に取り組んでまいります。これは、広域防災拠点や被災地に派遣される県職員による支援活動、情報収集活動のため、新たに行政事務用パソコンやタブレット端末を整備し、救援物資や備蓄物資の情報、それから避難所における詳細な支援ニーズを収集・分析するシステムを構築するものでございます。
 こうした対策に加えて、地震・津波に対する備えを啓発していくために、津波防災教育センターの3D映像コンテンツを東日本大震災の被災状況に触れられるよう新しく制作するとともに、先人の教訓を風化させないよう津波防災の日に合わせたイベントを開催することとしてございます。
 以上のような新たな取り組みを実施していくことにより、防災対策の一層の充実強化に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 はい、ありがとうございます。
 そういった感じで取り組んで、本当に備えあれば憂いなしで、よろしくお願いしたいと思います。
 ただ、宇恵さんのお話を聞いてても、かたいんですね、説明が。私ら、もうちょっとやわらかに、目に見えてどんな感じの整備ができるもんやろうかと。どうしてもお役所の言葉ですから、そんな言葉にならざるを得んのでしょうけども、住民からしたら、そういう何とかシステムの構築とか分析とか、そういうお話を受けて、何を用意してくれんねで、こんなことは自分でせんなんねやで、こういうお話になればなと思います。
 また、知事が避難場所を3つに分けて3つ星──非常にわかりやすいお話で、私も聞いてて、そやな、私の砂山であればお城やな、こういうことを思いました。
 また一方、知事もちょっと勘違いしたように、県立の図書館、志学館、あそこは市の避難所運営からしたら外れております。しかし、立派な建物やし、皆さん集まってくると思います。そういう点からすると、県下の市町村、それぞれ同じかわかりませんけども、市町村の避難所を運営する側からすれば、市がちゃんと責任持ってできるとこ、かぎも持ってる学校やとか市の建物、しかし一方、住民から見れば、県や国の建物でなお安全やと思われるところがあります。そういったところが、そごのないようにと申しましょうか、機能的に運営していただければなと。難しいこともあるかもわかりませんけども、住民の命を守るという意味においては、それが国の施設やとか県の施設やとか、そういうことを言うてる場合じゃないと思いますんで、なお一層緊密に連絡とっていただけたらな、かように思います。
 それで次に、この同じく安全・安心の施策に関係しますけども、公明党、江上先輩が長年ドクターヘリ、ドクターヘリと言うて質問もされ、今運用してくれております。大いに役立ってることと思います。
 また、救急車にお医者さんに乗ってもらうドクターカーの配備につきましても、角田先輩が熱心に取り上げられ、ここでも質問していただいております。公明党の国会議員も、中央ではこのドクターカーの配備について精力的に取り組んでる、訴えてるところでございますけども、本県の新年度予算では、このドクターカーの配備についてどのように反映されておりますでしょうか、お示しください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) ドクターカーにつきましては、現在、南和歌山医療センター、それからすさみ病院が消防機関と連携して運用しております。
 県では、今年度に策定した和歌山県地域医療再生計画にドクターカーの整備を位置づけ、取り組みを進めているところです。この地域医療再生計画に基づき、平成24年度予算として、本議会に和歌山市へのドクターカーの整備補助として1500万円をお願いしております。
 この取り組みの状況を踏まえ、今後、医師の確保などの課題にも取り組み、関係機関とも十分協議し、将来的には他の圏域でも実施できるよう努めてまいります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 はい、ありがとうございました。
 私、医大が進めてる市民への公開講座というのも勉強に行きました。そのとき救急の先生が、実は救急車が行って65%ぐらいは軽傷なんやと、こんなお話もありました。それはそれで、だからといって呼ぶなということにはならんと思うんですけども、本来のお医者さんが行ったほうが助かった事例も、これからドクターカーを配備することによって命が助かる、こんなお話でもございましたんで、ぜひ進めていただきたいな、かように思います。
 続きまして、せんだっての報道で知ったんですけども、白浜のはまゆう病院の耐震化について、2月14日の報道によりますと、新しい本館の建てかえ工事で、にわかには信じられないようなミスがあったようでございます。鉄筋の柱のほとんど、61本ですか、これがずれておって建物が建たない、こういう記事でございました。
 和歌山県の医療施設耐震化臨時特例基金を使っての対象事業かと思いますが、今回の施工ミスを受けて、この先、どのような運びとなりますか、お答えください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 白浜はまゆう病院につきましては、災害時に災害拠点病院を支援し、補完する機能を担う災害支援病院に県が指定しております。
 県では、病院の耐震化を促進するため、医療施設耐震化臨時特例基金を活用し、災害拠点病院や災害支援病院等の耐震化を支援しており、白浜はまゆう病院についても、この基金で支援する予定になっております。
 当病院から、建設工事について、施工を見直すため完成がおくれると報告を受けておりますが、県といたしましては、今後も基金の活用により支援してまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君君 白浜町から、そういうおくれるという報告とのことでございますが、もう報道等によりますと、この工事をとめて一たんまた一からやり直すと、こういう形のことも書いてました。
 そうなりますと、せんだって金曜日に可決した最終の補正にのってるお金が使われないということが当然わかりますよね。あるいは、そういったことでおくれてくるわけですから、今審議している24年度予算のお金もそのまんま渡せないということも起こってきますんで、こういう審議してる最中に明らかになってきたことであれば、そういった手続を踏んでいただければな、こんなことを思う次第でございます。
 いずれにしても、病院は必要でございますし、進めていただかんなんので、県のほうとしてもアドバイスできるんであれば、しっかりアドバイスしたっていただきたいと思います。
 次に、公立大学法人和歌山県立医科大学の科学研究費不適正支出、その後についてお伺いいたします。
 ことし年初、「毎日新聞」の5日、6日でしたでしょうか、報道に接しまして、医局という組織のやみを改めて知らされる思いでございました。
 その後の調査委員会の報告を見せてもらっても、金銭出納帳が消失してたとか、記載内容が確認できず等々とありまして、その調査委員会のやる気を疑うわけでございますけども、白い巨塔は永遠なり、そういう感慨がひとしおでございます。随分ようなったとはいえ、まだまだそういうやみの部分があるのかな。
 2年前、この2月議会で、知事に地方独立行政法人法第89条の違法行為の是正措置命令を発動したらどうですか、こんなこともお聞きしました。また、昨年2月の議会では、この一連の研究費の委託費や補助金の返還に関して、大学が立てかえて払うことになると思いますけども、その後の処理についてお聞きしました。
 恐らくもう皆さん、立てかえた大学に対して速やかに返済されてると思うんですけども、その後の進捗状況をお教えください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 和歌山県立医科大学における科学研究費の不適正支出問題につきましては、大学が立てかえ、国等への返還を終えておりますが、大学では、研究者個人からの返済をより確実にするため、分納での弁済契約の締結を進め、本年度末にはおおむね完了すると聞いております。この取り組みにより、2月末で51名中38名が返済を完了し、全体の73%に当たる約1億2500万円が返済済みになっています。
 今後は弁済契約に基づく計画的な返済がなされるよう、大学において適切な債権管理を行うとともに、返済を拒否する者に対しては、厳正な手段の行使も視野に入れ、取り組むとのことでございます。
 また、同様なことが今後二度と起こらないよう、教職員に対する研修等、再発防止に努め、県民の皆様から信頼される医科大学の実現に向け取り組んでいるところです。
 県といたしましては、大学のこれまでの取り組みにより、返済に向けた手続はおおむね終了すると考えておりますが、なおその進捗状況を把握し、必要に応じ助言してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 はい、ありがとうございます。
 51名で38名ですか、あとまだ13名の方が残ってるということやし、たしか1億7000万ぐらいだったですから、まだもう一息あるんやと思います。どうなんでしょう、何か歯がゆい感じがするんですけどね。先生方それぞれ言い分があるんかわかりませんけども、会計検査院の調査を受けて、もう結論出てるわけですから、速やかに進めていただけたらな、かように思います。
 次に、県証紙の紛失、横領事件についてお聞きします。
 仁坂知事就任以来、この5年間で免職3名、停職6名、減給10名、戒告6名の計25名が懲戒処分を受けております。正確には、同じ人物が複数回処分されておりますので、延べ人数でございます。
 この内容を見ますと、職務関連の非行もありますけども、全くの私事、プライベートなことによる事件もございます。しかし、今回の事件では公金の横領ということで、知事みずからも、また副知事も減給1割、1カ月分の措置をとられたとの報告がございました。
 県の発表してくださる資料を見ましても、事件の手口たるや、余りに稚拙、単純な方法での着服ですので、普通にチェックしてたら直ちにばれて、こんなに大きな額にはならなかったんじゃないか、そのように思うわけでございます。日常の事務をわざとおざなりにすることによって、あたかも犯罪に誘い込んでしまうような、そういった今回のいいかげんさではなかったかな、かように思います。
 上司が保管している証紙と帳簿を突合すれば済むことなのに、どうしてこんなことが起こってしまったんでしょうか。また、再発防止の改善策についてもお示しください。
○議長(新島 雄君) 会計管理者米山重明君。
  〔米山重明君、登壇〕
○会計管理者(米山重明君) このたび、西牟婁振興局地域振興部において発生した県証紙売りさばき代金等の横領事件につきまして、出納員に権限を委任し、指揮監督を行う立場にある会計管理者といたしまして、管理監督不行き届きであったことを深く反省し、皆様に心よりおわび申し上げます。
 本件の問題点は、所属長と出納員が定められた役割を果たしていなかったこと、及び複数人での点検を行っていなかったことにあります。
 今後、このような事件の再発を防止するため、本年2月21日付で全所属に対し、副知事、会計管理者連名で「現金・県証紙等の適正な管理及び綱紀の厳正保持等について」という依命通達を発出しております。
 この依命通達の会計関係の内容は3点ございます。1点目は、現金、県証紙等の確認は複数の職員による実施を徹底すること、2点目は、県証紙売りさばきについては、窓口での売りさばき状況の記録を確実に残すこと、3点目は、所属長及び出納員は、県証紙を金庫で保管するなど適正な管理を徹底し、保管している県証紙と証拠書類との突合を徹底することでございます。
 この趣旨を徹底するため、県証紙売りさばきの実務を詳細に定めた通知文を送付するとともに、会計職員を対象に研修会を実施いたします。
 また、今後は予告なしの検査も行い、さらに再発防止に努めてまいります。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 一方、議会ごとに本会議場で私ども議員に監査委員から監査報告がなされます。議長からお手元に配付のとおりということで報告書が配られているんですけども、今議会の監査報告第17号を見ておりましたら、12月12日に西牟婁振興局地域振興部に関して、「支出負担行為が地域振興部の会計主幹に合議されていなかったので、適正に処理されたい」と注意事項が載っておりました。
 今回の事件は、1月17日の会計課による実地検査で発覚という報告がございましたけども、この監査委員の12月12日の監査は一体どういったものだったのでしょうか、お答えください。
○議長(新島 雄君) 代表監査委員楠本 隆君。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○代表監査委員(楠本 隆君) 振興局の監査につきましては、例年、本庁各課室の監査が終了した後、9月から12月にかけて実施をしてまいったところでございます。
 昨年は、台風12号の発生によりまして、特に紀南地方の振興局につきましては、その対応に日夜忙殺をされていた状況でございます。このため、日高以南の振興局の監査につきましては、極めて異例ではございますが、今回に限り実地による監査は行わず、書面による監査といたしたところでございます。
 したがいまして、今回の西牟婁振興局の証紙につきましては、提出をいただきました調書に基づきまして、売りさばき額と収入済み額のチェックは行うことができましたが、金庫内に保管をされております県証紙の残り枚数につきましては、確認をすることができなかった次第でございます。
 事情はともあれ、今回の書面審査の是非についての御批判に対しましては、真摯に受けとめなければならないと考えております。
 しかしながら、今回の事件は、振興局内部における日ごろからのチェック機能が少しでも働いていれば絶対に起こり得なかった事案であると考えております。このチェック機能が全く働いていなかったことにつきましては、極めて遺憾でございます。
 今後、県におかれましても、組織内部におけるチェック機能の強化に早急に取り組んでいただくとともに、私ども監査委員といたしましても、今回の事件を教訓に、より一層厳格な監査に努めてまいらなければならない、このように考えている次第でございます。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 はい、ありがとうございました。
 こういう監査報告をいただいて、それを読んでたら、西牟婁振興局に12月12日、監査結果しましたと。その中で、合い議されてなかったので適正に処理されたいと指摘してるわけですね。だから、今、楠本さんおっしゃっていましたけど、行ってないというふうなことはこれではわからないので、この書面というか、私がいただいた報告では現地に行ったべしと思うてしまいます。ですから、そういった行ってないようなときがあるんであれば、行ってないというふうなことも改めて書いといてもらえたらな、明示すべきやと思います。
 あの決算特別委員会の議事録読んでましても、ルール違反は絶対見逃すな、火は小さいうちから消しておく、各部局からそんな小さいところまでよいのではないかという批判もないわけではないが、私としては重箱の隅をつつくように厳しくチェックする方針でやってきたといった答弁もございましたもんですから、私ら議会に対しましてもわかりやすいようにお願いしたいと思いますが、そこらどうですか。
○議長(新島 雄君) 代表監査委員。
  〔楠本 隆君、登壇〕
○代表監査委員(楠本 隆君) 今回の書面監査につきましては、極めて異例の措置でございます。今後、頻繁に行うということは想定はしておりません。しかしながら、もしやむを得ず同様の措置をとらざるを得ない、そのような場合には、今後、議会に対する監査報告の中にその旨を明記いたしたいと考えております。
 また、先ほども御答弁申し上げましたが、今回の事件は内部のチェック機能の低下が招いた事件と言わざるを得ません。私ども監査委員といたしましても、この事件を教訓に、今後これまで以上に厳格な監査に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 それでは最後に、交通安全についてお聞きします。
 12月議会で森礼子議員の質問への答弁で、自転車の通行方法については何ら変わることはございませんと県警本部長はお述べになって、その後で、自転車に対する指導取り締まりの強化の対策を推進するというお答えでございました。議事録ができ上がってきましたので改めて確認しましたところ、やはりよくわかりません。
 道路交通法63条の4、そこには、普通自転車は次に掲げるときは歩道を通行することができるとあり、1つ、道路標識等での通行可、2つ、児童、幼児その他車道通行が危険と認められる者、3つ、車道または交通の状況で、通行の安全を確保するため歩道を通行することがやむを得ないと認められるときと規定し、次の2項で、歩道を走る場合は歩道の中央から車道寄りの部分を徐行で、歩行者の通行を妨げるときは一時停止と、こういった規定がされております。
 つまり、歩道の車道寄りを徐行するのであれば自転車で通行してもよいというのが道路交通法63条の4です。法律が歩道通行を認めている中で、12月の答弁のように、自転車に対する指導取り締まりの強化は困難と考えますが、いかがでしょうか。
 また、車道への通行を促されると、かえって重大な事故が頻発するおそれがありますし、かといって歩道の歩行者が自転車にけがさせられるのも防がなければなりません。
 京都市では、公明党市議団の提案で京都市自転車安心安全条例が制定されております。この中身は、小中学校での自転車安全教育を義務づけたり、自転車損害保険の加入などが特徴でございますけども、改めて本県の取り組みをお示しください。
○議長(新島 雄君) 警察本部長山岸直人君。
  〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) 道路交通法上、自転車が歩道を通行できるのは議員御指摘のとおりでありますが、歩道を通行する場合には、自転車は車道寄りの部分を徐行しなければならず、また、歩行者の通行の妨げとなるときは一時停止しなければならないと定められております。
 県警察では、昨年来、自転車の基本的な通行方法に関するルールの県民の理解度の調査を実施しておりますが、今申し上げましたような歩道通行のルールの理解度は約54%であり、他のルールに比べて理解度が低いという結果が出ております。
 県警察では、自転車は車両、歩道上においては歩行者が最優先が大原則であり、とりわけ歩道を通行する場合には車道寄りを徐行、歩行者の妨げとなるときは一時停止ということを、自転車利用者を初め、すべての道路利用者に改めて御理解いただくために、関係機関、団体と連携をしながら、広報啓発、安全教育、指導取り締まりに努めているところであります。
 また、現在、国土交通省のモデル事業として、和歌山市男野芝丁から小人町の間の歩道について、自転車の通行位置を明示し、歩行者と自転車の安全通行空間の確保を図っており、今年度中に和歌山市小松原1丁目から5丁目の間の歩道についても整備予定であります。
 今後も自転車の通行ルールの周知と並行して、自転車の通行環境の整備についても、道路管理者と連携しながら自転車の安全通行に努めてまいりたいと考えております。
 なお、自転車に対する指導警告状況ですが、昨年中2434件実施しており、特に2人乗り、無灯火の指導警告数が多い状況にあります。また、昨年5月には、酒に酔って自転車を運転していた男性を酒酔い運転で検挙しております。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 はい、ありがとうございます。
 お述べいただいたその小人町のところとか、あるいは小松原1丁目から5丁目のそういったところをどんどん整備していってもらいたいと思います。また、これは警察さんだけの力ではございませんので、しっかり道路管理者とも協議して進めてもらいたい。
 また、取り締まった状況の報告ありましたけども、そら2人乗りとか無灯火とかいうのはもうわかりますから、あるいは酒酔いも当然わかりますからいいんですけども、私が問題にしたのは、道路交通法63条の4で言うてる歩道を走るときの、それを取り締まり強化すると言われても現場の警察の方は困ると思います。一方で歩道を走ってええということの中で取り締まると言われても、非常に難しいんじゃないでしょうかね、警察官の方自身も。そういったこともありまして、どうかなと思ってお尋ねした次第でございます。
 次に、駐車違反取り締まり業務の放置駐車確認事務委託に関してお伺いします。
 警察法第38条に「都道府県知事の所轄の下に、都道府県公安委員会を置く。」とあり、3項では「都道府県公安委員会は、都道府県警察を管理する。」と規定し、地方自治法180条の9にも「公安委員会は、別に法律の定めるところにより、都道府県警察を管理する。」と規定されております。運転免許証の発行も公安委員会のお仕事であります。
 違法駐車対策の一環として放置違反金制度が導入され、違法駐車取り締まりの事務を民間に委託することができるようになり、和歌山市内では、交通安全協会と株式会社貴志さんの2者が放置車両確認事務を行っております。両者とも平成22年10月から24年の9月までの契約を結んでおり、放置車両の確認及び標章の取りつけの事務を行うには、こういった2者は公安委員会に登録する必要があります。
 道路交通法51条8の6項には、「登録は、3年を下らない政令で定める期間ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。」と規定し、確認事務が公正かつ適正に行われなければ国民の権利を侵害し、取り締まり活動に対する信頼を揺るがすおそれがあるため、法令の定めに従い、公正かつ的確に確認事務を遂行することのできない者は委任対象になり得ないことを法律上明らかにするため、委託対象としての要件を定めて登録を行い、この登録を受けた法人に限って委託を受けることができるとされているものです。
 その登録は、法人の申請によって行われます。欠格要件に該当すれば登録を受けられません。委託を受けている法人は、委託契約中、有効な登録を受けている必要があります。更新を受けていない場合は、その登録は失効します。
 今、私がるる申し上げた表現は、すべて東京法令出版の「新しい駐車取締り」という駐車取締実務研究会の著作で示されてる表現です。ですから、交通安全協会が平成23年10月31日で登録の3年という期限が切れ、株式会社貴志も11月20日で期限が終了し、更新されていなかった事実からすれば、この後の放置車両確認事務はすべて無効であり、1月11日の再登録で業務の再開というのもおかしな話です。法律上は、更新するか、さもなくば2年の経過を待って再登録しか仕組みがございません。登録が失効した業者の事務は無効なのが当然なのではないでしょうか、県警本部長、お答えください。
○議長(新島 雄君) 時間が迫っております。簡素にお願いいたします。
 警察本部長。
  〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) 放置駐車確認事務委託を行っている交通安全協会にあっては、昨年11月1日から12月14日までの1カ月半、株式会社貴志にあっては、昨年11月21日から27日までの7日間、公安委員会の登録を失効したまま617件の放置車両の確認行為が行われたため、昨年12月15日から業務を一時中止して事実調査をいたしました。
 その結果、委託契約期間中に公安委員会の登録の更新手続を怠り失効しても、直ちに委託契約が無効となるものではなく、いずれの受託法人についても登録の要件は満たされており、更新申請がなされていれば当然に登録が更新されていた事案であったことが確認されたものであります。
 これらの確認結果を踏まえて、登録が失効した期間中の放置車両確認行為について、警察庁、検察庁と協議した結果、登録が失効していたものの違反は重大でないと判断し、確認行為は有効なものとして取り扱うことといたしました。
 今回、公安委員会の登録が失効中に確認事務を行っていたことについて、大変県民の方に御迷惑をおかけしました。今後、このようなことが二度と起こらないように、業者、警察ともに反省すべき点は反省し、改善すべき点は改善した上で、適正、的確に本制度を運用してまいる所存でございます。
○議長(新島 雄君) 中 拓哉君。
  〔中 拓哉君、登壇〕
○中 拓哉君 ですから、失効してるということは認めてますね。だから、効力ないというのが普通なんですけども、これは歳入の面で、県の歳入にも入りますんで、知事さん、今のやりとりをお聞きになって、この事務について知事さんの見解、県の契約でもこういったことがあった場合、無効になるんじゃないかなと思いますんで、そこらをお示しいただけたらと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
 簡素に願います。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指示に従いまして簡素に申し上げます。
 公安委員会の有権法解釈に私が介入するのはどうかと思いますけども、一般的な法解釈について申し上げますと、公安委員会の考え方でいいんじゃないかと私は思います。
○議長(新島 雄君) 以上で、中拓哉君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 33番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 皆さん、おはようございます。議長のお許しを得ましたので、通告に従い、質問さしていただきます。
 その前に、今回私は、改新クラブの一員であると同時に、民主党和歌山県連所属の議員として質問いたしますことをまず御認識いただきたいと存じます。
 本来なら、私よりも民主党の考え方について詳しい方が何人かいらっしゃると思うのですが、気がつけば、いつの間にか私が民主党所属の県会議員で1人になってしまいまして、本当に寂しい気持ちでいっぱいあります。
 現在、政権与党である民主党に対して大変厳しい評価があることは重々承知をしておりますが、昨年4月の県議選では、3月11日に起こった東日本大震災の後ということもあり、今以上に民主党に対して大変な逆風が吹いておりました。そのような中で民主党の看板を掲げて選挙すること自体、自殺的行為であるとまで周りから言われました。
 何がつらかったかといって、ずっと応援してくれてた人までが、「私の1票は入れるけれども、ほかの人に頼むのだけは堪忍してくれ」と言われたことであります。まさに針のむしろに座らされているような状況で、夜もまともに寝れない日々が続きました。
 そんなときに、私の壊れてしまいそうな心を支えてくれたのは、我が師、玉置和郎先生の遺言の中にある次のような言葉であります。「政治家が自分の命にかえてでもという腹は、一朝一夕にできるものではない。人様にたたかれ、笑われ、突き放された中から、この国の一大事に対処する腹ができるのだ」という一節でありました。
 もちろん、玉置和郎先生と私では現在の立場もスケールの大きさも違いますが、この言葉を心の支えとして、死中に活を求めるような思いで、大逆風に向かって「逃げも隠れもしない。かかってくるならかかってこい」と1人で叫び続けて、何とか厳しい選挙を勝たしていただき、皆様と同じ空気をこの議場で吸えることの喜びをひしひしと感じております。
 しかし、この選挙を通して私が肌で感じたのは、やはり声なき声の中に民主党の支持者の方も結構いらっしゃるということなんですね。
 御存じのとおり、私は民主党の大きな支援団体から推薦をいただいておりませんので、相手にしてくださるのは政党色のない、いわゆる無党派層と言われる方が多いのではないかと当初思っておりました。しかし、選挙期間中に「頑張ろう日本」の大きな旗を自転車の荷台に立て、東日本大震災の募金箱を持って朝から晩までつじつじに立って頭を下げておりましたら、その募金箱にお金を入れてくれながら、「民主党、頑張ってよ」、「民主党を絶対にあんた、やめんといてよ」、「あんたみたいに一本筋通してくれる人間が民主党にも必要やで」と声をかけてくださる方も意外と多かったんですね。
 マスコミや私の周りの評判では、まず90%あかんなとか、おまえもよりによって貧乏くじを引いたもんやなと──他人ごとですからね──厳しいものばかりでした。実際に、夜、後援会を中心に集会を開いてもらっても、予定の半分も人が集まらないということが続きました。正直言って生きてる心地がしませんでした。しかし、町なかの反応は違ったということであります。
 そんな大逆風の中、民主党として当選させていただいたことに大きな責任感と使命感を持って質問さしていただきたく存じます。
 その前に、なぜ今、民主党に対して厳しい評価があるのか考えてみたいと思います。
 沖縄の普天間飛行場の問題、東日本大震災の後の対応、それにTPPや、最近では消費税増税などのこと、はっきり言い出せば切りがありませんが、しかし、これらすべてをここで語ることができませんので、一般的によく言われるマニフェスト、つまり平成21年8月の総選挙において訴えたマニフェストについて述べさしていただきたいと思います。
 マスコミ、特にテレビ等を通じて、民主党は政権交代のときに約束したマニフェストを何1つ守っていないというような論調のコメントがよく聞かれます。果たしてそうでしょうか。
 私は、平成15年初当選の県会議員1期目のときに、このマニフェストの地方版と言えるローカル・マニフェスト推進地方議員連盟の共同代表を、マニフェストの提唱者であり、大学の日本拳法部の先輩である北川正恭早稲田大学大学院教授から言われ、2年ほど務めさしていただき、それまでの口約束程度の公約とは違う、数値目標、期限、財源等を明示して選挙を戦うマニフェストについて、私なりに勉強させていただきました。
 そこで感じたのは、国もそうなんですが、どの地方自治体も財政厳しい中、今までのようにあれもこれもできる時代ではない。そんな中で、幾つか的を絞って具体化するためのビジョンを有権者の皆さんにお訴えし、約束して、当選したら誠実にそれらを進めていくことは、本当にこれからの政治を変えるものだなと感じました。
 その認識をもとに民主党のマニフェスト選挙に注目し、その後、私自身、平成22年10月に民主党に入り、いろいろと資料を集めて調べてまいりました。
 ここに、昨年8月26日に、つまりあの歴史的な政権交代から丸2年がたった時点での民主党マニフェスト検証委員会──これ、政調にあるんですが──検証委員会のマニフェストの中間検証というのがございます。それによりますと、リーマンショック後の景気の大幅な落ち込みは、マニフェスト作成時の前提となった2009年度政府税収見通しを大幅に減額修正──9.2兆円ですが──させることになったことや、現在も続く急激な円高の進行や世界経済の不安定化、また、2010年の参議院選の敗北によって民主党政権は過半数を失い、衆参ねじれ国会になったことなど、さらに、マニフェスト作成時に予想すらされていなかった昨年3月11日に発生した東日本大震災の大きな影響もあって、すべてを約束どおりというわけにはいきませんが、高校授業料無償化、農業の戸別所得補償制度の創設、行政刷新会議による事業仕分け、10年ぶりの診療報酬プラス改定、生活保護母子加算の復活と父子家庭への児童扶養手当の支給、雇用保険の適用拡大、求職者支援制度の創設、小学1年生35人学級の実現、経済連携協定(EPA)交渉の具体的推進など、また、これは後ほど詳しく述べますが、NPO寄附優遇税制の大幅拡充など、国民と約束した政策の多くが既に実現しております。
 今回、私は、それら1つ1つを取り上げて、和歌山県においてどのような影響があったのか、どう変わったかを検証してまいる予定でしたが、国から直接市町村や県民の皆さんに提供されたものもあり、県の行政がすべてかかわってるわけでもありませんので、また別の機会にさしていただきたいと思います。
 もちろん、まだできていない政策、ガソリン税の暫定税率廃止、郵政改革法の成立、労働者派遣法改正、在日米軍基地の見直し、議員定数削減などの重要政策もありますが、県の行政に直接的に関係しないものも多く、ここでは省かせていただきたいと存じます。
 そこで、ここでは民主党政権のこの2年6カ月にわたってを振り返って、地元和歌山県発展のために頑張る県選出3代議士の働きぶりを中心に、これから知事初め県の皆様への質問に移っていきたいと存じます。
 御存じのとおり、前回の総選挙で、和歌山県では1区、岸本周平、2区、阪口直人、3区、ここでは小選挙区で破れ、近畿ブロックの比例区で復活当選いたしました玉置公良と、全県3区に3人の民主党代議士が誕生したことは、政権交代とともに、和歌山県の県政史上画期的な出来事でありました。
 私はこのときまだ無所属で、しかも浪人中でありましたので、余り応援はできませんでしたが、今まで自民党一色と言ってもいい地域性から考えますと、大きな期待感を持って彼らの活躍に注目しておりました。また、県民の多くの皆さんもそうであったと思います。
 そして、私自身、一昨年の補欠選挙と昨年の統一地方選挙で民主党公認として出馬し、当選させていただき、さらに昨年10月1日に民主党和歌山県連幹事長に就任してから、彼ら3代議士と事あるごとに議論を重ね、行動をともにしておりますと、決してその期待を裏切らない、誠実で真剣にそれぞれの選挙区、また和歌山県全体のことについて取り組んでいることがよくわかり、大変うれしく思っております。
 そこで、以下4項目6点についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず初めに、公共インフラ整備についてでありますが、平成21年9月の政権交代で民主党政権になって大変驚いたのは、有田─御坊間の高速道路4車線化凍結ということでありました。私は、これを聞いたときに、えっ、それはないよと驚くと同時に、しばらくして、ああこれが政権交代かと我に返ったのを今でも覚えております。
 ただ、「コンクリートから人へ」というスローガンはいいのですが、やはり和歌山県のようなまだまだ道路が未整備な県は、もっと国も力を入れるべきではないかという思いと、国の財政も大変厳しい中、少子高齢、人口減少が急激に進む我が和歌山県は、経済効果等を考えるとこのような結果になるのかという少々複雑な思いが交錯をいたしました。
 しかし、その後、和歌山県選出民主党の岸本、阪口、玉置の3代議士の政府民主党に対する強力な働きかけもあり、第2阪和国道和歌山岬道路深日ランプから大谷ランプまで7.2キロメートル、平成24年度からの残事業費約330億円、また、京奈和自動車道、紀北東道路と紀北西道路を合わせて高野口インターチェンジから和歌山ジャンクションまで29.1キロメートル、約760億円、さらに、高速道路のミッシングリンクの解消ということで、近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間延伸38キロメートル、約1420億円分を平成27年度中に供用開始ということを国土交通省の事業計画に初めて3代議士の力で記載させ、できるだけ平成27年9月の第70回わかやま国体までに供用させる努力をしていると伺っておりますが、県土整備部長、用地買収等を含めて、県として、これからこの3年余りの短期間にそれだけ予算がついて対応は大丈夫なのでしょうか。今後の取り組みについてお伺いいたします。
 1問目、終わります。
○議長(新島 雄君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 昨年国から示された平成23年度国予算に係る直轄事業の事業計画において、第2阪和国道、京奈和自動車道全線、近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間については平成27年度に供用予定とされたことは、大きな進展であったと受けとめております。
 これらの路線については、現在、鋭意用地取得や工事の進捗が図られているところでございますが、今後は未買収用地の取得や長大トンネル、橋梁などの大規模工事の実施など、これまでにも増して重要な局面を迎えることとなります。
 このため、これらの計画的な事業展開に必要な予算の確保はもとより、難航している用地の取得や工事に係る地元調整など、円滑な事業の実施に県としても最大限協力し、平成27年国体開催までに供用していただくよう、国や関係機関に対して強く働きかけてまいります。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 2番目に移らせていただきたいと存じます。
 昨年3月11日に起こった東日本大震災は、日本国内だけではなく、世界じゅうに大きな衝撃が走りました。本年3月1日現在、死亡者数が1万5854人、行方不明者数が3276人、避難者数が34万3935人ということで、地震だけではなく、津波、放射能汚染と、今でも復興のめどが立っていないということは、皆さんもよく御存じのとおりであります。
 私も昨年7月に、改新クラブのメンバーとともに岩手県の宮古市から山田町、大槌町、釜石市、大船渡市、陸前高田市、そして宮城県気仙沼市まで三陸海岸を南下し、その沿線の被害の状況をつぶさに見て回りましたが、特に津波の恐ろしさをまざまざと肌で感じた次第であります。
 その前日には、岩手県庁で防災責任者である越野特命参事から地震に伴う津波の被害について説明を受けましたが、そこで私は聞いたのですが、もし地震だけで津波が襲ってこなかったらどれだけの方が助かっておりましたかとお尋ねしますと、越野参事いわく、「恐らく9割方の方は助かっていたと思います」という言葉を聞き、その後、現場の惨状を見たとき、やっぱりなと確信すると同時に、和歌山県のことをすぐ思い浮かべ、決して他人事ではないなと強く感じた次第であります。
 もちろん県議会でも、昨年の6月議会以降、このことについてはいろいろと議論されてきましたが、同じことを質問はいたしませんが、今後30年以内に60%から70%の確率で発生するという東南海・南海地震対策、特に和歌山下津港の整備ということで、可動式津波防波堤についてお聞きしたいと存じます。
 これは、現在の民主党和歌山県連代表で海南市を地盤とする阪口直人が大変力を入れている事業で、海南港の入り口に全長約2キロメートル、可動部230メートル、高さは海面から海底まで13.5メートル、海面上7.5メートルまで浮上するという世界初の直立浮上式津波防波堤であり、総工費250億円であります。
 これは国の直轄事業であり、特に津波の対象地域となる海南市は、住宅・商業施設が密集してる上に、行政、教育、医療、防災関係機関や主要交通施設も集積していることと、世界的なシェアを誇る産業も集積し、海南の企業売上高が2370億円で和歌山県全体の26%を占めているということでありますので、大変重要な事業であります。
 阪口代議士は国際的なNGOの経験が長く、今から7年前のスマトラ沖津波で最大の被災地であったインドネシア、スマトラ島アチェにボランティアとして入り、生活再興支援に従事し、また、東日本大震災発生後は民主党災害対策本部に志願して何度も現地に入り、救急救命活動をサポートしてまいりました。
 それだけに、津波の恐ろしさと悲惨さは我々以上に肌で感じているようで、平成21年初当選以降、この防波堤の一日でも早い完成を目指し、建設予定地を海から視察し、また、地元の商工業関係の方々とこの防波堤建設について意見交換をして、さらに数百軒の地元住民のお宅を訪問して要望を取りまとめ、国土交通省にも強く働きかけてまいりました。
 平成22年10月には、当時民主党の幹事長であった岡田克也現副総理を現地まで招き、この事業は平成31年度完成ですが、一日も早い完成に御協力をぜひお願いいたしますと強く要望し、特に東日本大震災の後、さらに国交省に何度も働きかけているということであります。
 また、ことしの4月14日には、国交省の担当職員を海南市に呼んで、防波堤についての住民との懇談会を予定しているということであります。
 そこで、県としてはこの可動式防波堤の完成により、どの程度の被害の軽減が期待できるのか、そしてまた、県としてこの防波堤完成のためにどのように国に対して積極的に働きかけていくのか、県土整備部長、お答えお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 海南地区には、住宅・商業施設、行政・防災関係機関や主要な産業・交通施設等が集積しておりますが、可動式防波堤の完成により、平成15年に国において示された東海・東南海・南海地震により発生が想定される津波からの浸水被害を防ぐことができるものと期待しております。
 平成21年度の事業着手以来、琴の浦地区、船尾地区の既設護岸の補強、かさ上げが約8割完成するなど、工事は順調に進んでおります。
 現在、国において、東日本大震災を踏まえた想定地震の見直しの検討が行われているところでございますが、これへの必要に応じた対応を含め、一日も早くこの可動式防波堤が完成するよう、県としましては、引き続き国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 県土整備部長、ありがとうございました。
 私たち民主党和歌山県連も政府民主党に対して強く働きかけてまいりますので、先ほどの道路同様、早期完成を目指してともに頑張りましょう。
 以上でございます。
 次に移らせていただきます。
 台風12号関連のことについてお伺いいたします。
 昨年9月2日から4日にかけて紀伊半島を襲った台風12号は、3日間で1000ミリ余りという観測史上初めての大雨を記録し、現時点でも死者54人、行方不明者5人と大変な被害がもたらされたことは記憶に新しいことであります。このとき民主党和歌山県連では、すぐに岸本周平本部長、阪口直人本部長代行、玉置公良事務局長、そして私も副本部長として台風12号災害対策本部を立ち上げ、対応に速やかに当たりました。
 4日、5日には阿久津防災担当政務官、6日、7日には森本農林水産大臣政務官、平野復興大臣、そして9日には那智勝浦町に野田総理を迎え、現場を視察していただき、仁坂知事、寺本那智勝浦町長、田岡新宮市長を交え、早急な対策を講じてくれるよう直接直訴いたしました。
 国会では、9日に開かれた衆議院災害対策特別委員会で、岸本代議士が平野大臣に、国の迅速な対応に対して、和歌山県の仁坂知事から県民を代表して深く感謝していますというメッセージを伝え、今後、大変な復旧の事業費がかかることが予想されるので、まずは激甚災害への指定をお願いしたいと強く迫ると、平野大臣からは「国としてもあらゆる措置を投入する必要がある」と力強い答弁をいただきました。
 また、玉置、阪口両代議士は、その後、仁坂知事とともに首相官邸や各省庁を訪れ、藤村官房長官、川端総務大臣、平野復興大臣、そして樽床民主党幹事長代行らに迅速な予算措置を含む国の支援をお願いに回りました。
 その結果、本来なら1カ月以上かかるという激甚災害の指定をわずか16日で受けることができ、まずは復旧への大きな希望がわいてきたと地元関係者の皆様に喜んでいただきました。さらに、11月21日に決まった第3次補正予算には台風12号対策等3202億円が計上され、関係者の皆様に一層喜んでいただけたことは、政権政党である民主党のスピード感と力強さを本当に感じた次第であります。
 今回、陣頭指揮に立たれて復旧に当たられた仁坂知事のリーダーシップに対しては、私は、すい星のようにあらわれたとは申しませんが、心から敬意を表する次第であります。
 しかしまた、被災地が地元である玉置代議士の活躍にも目をみはるものがございました。10月25日の衆議院災害対策特別委員会で森本農林水産政務官に対して、急傾斜20度超え、また40万円未満の小さな農地災害支援についても強く主張し、「小災害も対象になる。地方自治体は対応が大変だが、言ってもらえれば小さな被害も救っていきたい」という前向きな答えを引き出し、急傾斜20度超えについては「政令を変えない限り難しいが、皆様の御意見を伺いながら最大限努力をいたします」との答弁を引き出しました。
 しかし、今回を逃したら、この急傾斜20度超えの政令改正は難しい、されないと判断した玉置代議士は、次に、11月19日に田辺市役所別館に農林水産省から担当の災害総合対策室長を含め4名、県から担当課長を含め7名、13の関係市町村から田岡新宮市長、寺本那智勝浦町長ら24名、さらにJA紀南や4つのJAから12名、そして私たち民主党和歌山県連災害対策本部から私や阪口本部長代行ら3名と、合計50名を集め、農業関係意見交換会を開催。特に急傾斜20度超えについて話し合われましたが、この場でも農林水産省側は、他の方法の救済で全力を挙げるが、政令改正までは難しいということでありましたが、その後も玉置代議士は粘り強く関係省庁に働きかけ、12月20日には総理官邸まで乗り込んでいき、総理に直接訴え、改正の決断をしていただき、結局、12月22日に60年ぶりに政令改正の閣議決定がなされ、20度を超える農地被害についても災害復旧事業の適用を受けられることとなりました。また、40万円未満の小災害についても、自治体の対応と苦労を省くために、交付金で国が支援をするという取り組みも実現いたしました。
 そこで、急傾斜20度超え並びに40万円未満の小規模農地災害支援がこの台風12号をきっかけに行われるようになり、今後の災害支援対策にどのような影響が考えられるか、農林水産部長、お答えください。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 耕作面の傾斜が20度を超える農地の災害復旧は、経済効果の小さいものとして農地・農業用施設災害復旧事業の対象から除外されておりました。
 昨年9月、台風12号により急傾斜農地の災害が多数発生したことを受けて、県議会を初めとする関係者の方々の粘り強い要望活動の結果、12月28日に農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律施行令の改正がなされ、傾斜20度以下の農地と遜色のない営農を行っている急傾斜農地の災害復旧事業が国庫補助の対象となりました。このことは、急傾斜農地の多い本県の農業にとりまして大きな朗報でございます。
 一方、国庫補助の対象外である40万円未満の小規模な災害復旧については、激甚災害を受けた場合、市町村が行う復旧事業は農地等小災害復旧事業債の対象となり、起債額のすべてが交付税措置されるという制度がございます。今回の台風12号災害におきまして各市町村が創設した小規模災害対応の補助事業についても、国や関係機関との意見交換会の中で同事業債の対象となることが確認されたことで、市町村にとっては復旧に弾みがついたものと考えております。
 あわせて、県でも農業生産基盤復旧緊急支援事業を創設し、市町村が行う小規模な農地・農業用施設災害の復旧や、農地に流入した土砂撤去への支援を行っているところでございます。
 このように、国、県、市町村及び多くの関係者の連携によりさまざまな支援を行うことで、農地等に甚大な被害をもたらした台風12号災害からの復興が迅速、着実に進むものと考えております。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 被災された農家にとって朗報であり、また市町村にとっても復旧の弾みがつくという農林水産部長の御答弁、まことにありがとうございました。
 それでは、次に移らせていただきます。
 生活の安全・安心についての3番目でございます。
 この項目の最後になりますが、社会保険紀南病院──以下、「紀南病院」──の維持存続についてであります。
 この病院は、田辺市を中心に紀南地方の急性期医療を担う中核病院で、内科、産婦人科、心臓血管外科など22の診療科目があり、常勤医師数71名、病床数356床の大変大きな病院であります。
 しかし、平成16年に、いわゆる小泉改革の一環として、5年をめどに年金福祉施設等の整理合理化を進めることを自民党、公明党の与党で合意し、平成17年10月に独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)を設立、存続期限である平成22年9月末までに適切な譲渡先を検討するということになっておりました。
 しかし、平成21年9月に政権交代が起こり、そのときの民主党マニフェストには、厚生年金病院及び社会保険病院は公的に存続させることを原則に、新たに地域医療推進機構──仮称ですが──を設置し、両病院の管理運営に当たるという記述があり、そして同年10月、民主党政権において病院売却を進めるという方針を転換し存続させるために、RFOから承継し、病院を運営する新機構の設立を目指して独立行政法人地域医療機能推進機構法案を国会に提出。公明党や共産党、国民新党などの賛成も得て衆議院は通過しましたが、平成22年6月、通常国会終了に伴い、法案は審議未了、廃案となりました。
 同年8月に臨時国会において、苦肉の策としてRFOの存続期限を平成24年9月末までに2年間延長としましたが、その後、玉置代議士と真砂田辺市長らが岡本厚生労働大臣政務官に、RFOの存続期限である平成24年9月以降も経営委託方式による運営を維持することを強く要望いたしました。
 そして、もう一度存続法案を実現するための与野党協議を重ね、平成23年6月に独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構(RFO)法の一部を改正する法律を成立させることができました。念願の存続が実現したわけであります。ここでも、政権政党の地元代表である玉置代議士と政府民主党との呼吸がぴったり合って、まさに大切な地域医療を守ったと言えるのではないでしょうか。
 そこで、県としましては、これらの経過を踏まえ、存続が決定したことにより、紀南地方の地域医療にとってどのような意義があったのか、福祉保健部長、お答えください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構が保有する社会保険紀南病院につきましては、紀南地域の中核的な医療機関であることから、県におきましても、これまで厚生労働省に対して、国の責任において維持存続するよう求めてきました。また、地元の首長や関係議員にも、それぞれの立場から働きかけをいただいたところです。
 昨年6月に、国において独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構法が改正され、同病院が担うがん診療連携拠点病院や僻地医療拠点病院、災害拠点病院、それから地域周産期母子医療センターとしての役割を初め、地域の中核病院としての機能が維持されることに一定のめどがついたものと考えております。
 今後も地域医療体制を堅持し、県民の健康を守る安心医療の充実に努めてまいります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 ありがとうございました。我々民主党県連も、和歌山県、また今の紀南地方の医療体制を守っていくために協力は惜しみませんので、ともに頑張りましょう。
 以上でございます。
 次に移らせていただきます。
 さて、第3項目め、新しい公共についてであります。
 この「新しい公共」という言葉自体、決して新しい言葉ではなく、実は私が10年余り前にわかやまNPOセンターを同じ志を持った仲間と立ち上げたときに、今までの公は官の占有物であったが、これからは民も公を担うことが大切である、そのためのNPO、ノンプロフィット・オーガニゼーションであるということをよくその当時から議論をしておりました。
 民主党は、平成21年8月総選挙のマニフェストにおいて、市民が公益を担う社会を実現すると訴え、特定非営利活動法人初め非営利セクター、NPOセクターの活動を支援するとし、具対策として認定NPO法人制度を見直し、寄附税制を大幅に拡充するとともに、認定手続の簡素化、審査期間の短縮などを訴えてきましたが、昨年6月に特定非営利活動促進法の一部を改正する法律を成立させました。これは、初めに申し上げましたとおり、100%マニフェストを守ったわけであります。
 この見直しにより、認定NPO法人や学校法人、社会福祉法人などへの寄附金の2分の1を税金から差し引くことが可能になりました。仮認定の制度など、条件を緩めることもできるようになりました。これで和歌山県のNPOや介護などの現場にもお金が回り、地域の活性化に役に立つことが期待されております。
 今まで1万円寄附しても、減税額は普通のサラリーマンで500円でしたが、今回の改正では約半分の4000円が税金から免除されます。つまり、国に税金を納めて役所が使い道を決めるのではなく、自分の応援したいNPOや卒業した学校、親が世話になっている介護施設などに自分の税金を使えるということであり、税金の使い道を自分で決めるという全く新しい社会が実現しようとしているのであります。まさに、これこそ「コンクリートから人へ」の民主党マニフェストの真骨頂と言っていいようなものであると思いますが、この法律をつくるため、議員連盟の事務局次長として法案の趣旨説明役などを一手に取り仕切ったのが、和歌山1区選出の岸本周平代議士であります。
 彼は、御存じのとおり元大蔵省主計官で、平成17年9月の衆議院初挑戦で落選後、地道な活動を重ね、4年後、圧倒的な勝利で自民党現職を倒し、代議士になりました。現在、1年生議員ながら党の主要なポストにつき、和歌山県の予算獲得に大きな力を発揮しているだけではなく、ほかにも、例えばJA和歌山からの陳情を受けて、平成22年度、食料自給率向上・産地再生緊急対策として、育苗施設グリーンステーション建設のため3億7600万円、うち国から1億7410万円の予算をつけ、平成23年度、6次産業化推進整備事業(地産地消タイプ)として、農産物加工施設のための1億1100万円、うち国から5287万円の予算をつけるなど、さまざまな予算獲得に他の追随を許さないほど活躍していることは、県の方もよく御存じであります。
 さて、この認定NPO法制度により、和歌山県の事業計画としては、平成23年度から平成24年度の2年間で、1、NPO等活動基盤整備事業、2、新しい公共の場づくりのためのモデル事業、3、つなぎ融資における利子補給などの合計1億3500万の事業が行われる予定となっておりますが、私の実感からいたしましても、NPOとしてはけた違いに大きな予算がつけられたなと大変驚いております。
 その岸本代議士が、全国的に見て少子高齢、人口減少の進む和歌山県のために見直しを行ったと言っていいこの認定NPO法制度を和歌山県としてはどのように生かし、新しい公共を確立して市民社会を切り開いていくのか、環境生活部長、お答えください。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 本県は、他の都道府県より早く少子高齢化や人口減少などの課題に直面しております課題先進県であり、全国に先駆けてさまざまな問題を解決していくためには、県と県民の皆様が力を合わせて困難に立ち向かうことが必要となります。
 今回の改正NPO法は、寄附金控除制度の見直し等により、地域課題の解決に向けたさまざまな県民活動の機運を高める大きなきっかけとなるものであり、県ではこの機会を最大限に活用すべく、平成23年度より国の交付金をもとに造成した基金を財源とする新しい公共支援事業において、認定NPO法人制度の利用促進を含めたNPO等の活動基盤の整備を進めているところです。
 今後も県が行政としての役割を果たしつつ、県民の皆様と切磋琢磨しながら地域課題の解決に当たる仕組みづくりを目指して、NPO等の自主自立した活動の活性化や協働の推進に取り組んでまいります。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 環境生活部長、力強い御答弁、まことにありがとうございました。
 先ほども申し上げましたとおり、私は10年余り前からこのNPOにかかわっておりまして、これは余談なんですが、8年前にNPOセンターの若者たちと──彼ら2人と私と、まず最初、始まったのは3人なんですけども、紀州よさこい祭りを立ち上げました。そのときに我々考えたことの中で、大変な予算がかかったんですが、最初800万という予算でやろうとしたんですが、とてもそんなお金は我々集めることができないと、みんな後ずさりしたんですけども、やっぱし和歌山のために頑張ろうじゃないか、市民がやっぱり立ち上がらないかんということで私も大分ケツをたたきまして、いわゆる協賛だとか宣伝広報だとか、いろいろ皆さんにお願いして、800万の予算が1490万集めて、第1回目の紀州よさこい祭りが立ち上がりました。そのとき、市にも県にも1円のお金もいただいておりません。
 和歌山県も和歌山市もそうですが、私は市民が本当に意識を持って立ち上がってくだされば、それは十分まだまだ余力があると思ってますんで、今後とも、そのための下支えとサポートを県の皆さんにもお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 さて、最後に仁坂知事にお伺いしたいと存じます。
 仁坂知事は、民主党政権に対して、過去の議事録を拾い読みいたしますと、かなり厳しいことをおっしゃっております。本日、私が申し上げたとおり、和歌山県選出の3代議士は、それぞれの立場で地道にそれぞれの地域並びに和歌山県発展のために頑張っておると私は思います。今まで鳩山、菅政権と2代にわたり、民主党政権には知事は余りいい印象はお持ちでなかったと存じますが、この3代議士の仕事ぶりも含めて、民主党、今の野田政権に対して知事の御所見をお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は和歌山県知事でございますので、できるだけ、例えば自分の職責と関係ないところで特定の政党の悪口を言うとか褒めるとか、そういうことはしないようにして答弁をさしていただきます。ただ、真実は申し上げないといけませんので、そういうことを申し上げます。
 まず、台風12号被害からの復旧に当たりましては、自衛隊や国交省など、政府には迅速な対応をいただいたと評価しております。自分の印象も含めて申し上げますと、当時の平野防災大臣とその指揮下にあった内閣府の方々の働きは、私は尊敬に値すると考えております。ただ、それは政府なら、ある意味では職責上当たり前の話でありまして、何党だからどうのとか、政治主導で何かマニフェストに書いてあったからどうだというような問題とは関係ないと思います。
 浦口議員が農地の20度問題についてお話しになりました。これは、過去ほったらかしていた、法律の運用上からすると非常に論理的な話であって、それを正すというのは、我々、必要性もありますけれども、当然の権利でございます。
 ただ、農水省は根本的に直さないで、先ほど国会答弁なんかにメンションしておられましたけれども、ちょっと直すからいいじゃないかというようなことをさんざん言ってこられました。それをやられますと、実は我々の負担が大きくなるわけでございます。それが当然論理的ならばしようがないけれども、非論理的なんですから、それを要求するのは当たり前でございます。
 ところが、すぐに政府が言われたことを納得してしまう向きがあるわけでございます。先ほどの議会答弁でも、農水省が少しやるからいいじゃないかと言われて、そんなことじゃ承知しないとだれが言ってくれたでありましょうか。
 それから、先ほどメンションされた田辺市の説明会において、少しやるからいいじゃないかという説明を、そこにいらっしゃった方々全員が、ああそうですかといって納得して帰してしまった。これを聞いて、とんでもないと、それは私が主張してることの足を引っ張るのと同じだということで、その直後に知事会があったもんですから、森本政務官に詰め寄って──そのとき大臣がいらっしゃらなかったんで、森本政務官がいらっしゃったんですが──とんでもないと、何だあれはと言って抗議をしました。そしたら、あれでいいんじゃないですかと言われたので、全然自己負担が違うんだから、そんなことでは満足しないと言いました。
 それから、「20日の決断」というのがありました。しかし、3週間前から既にもう政府は意思決定をして、実は政令を変える手続を進めていました。ただ、言わないでねと言われたので、我々は、政府がお決めになることですから、それを勝手に申し上げることはできません。したがって、20日に決断があったというのは明らかに事実の誤認であります。
 そういうようなことをきっちりやっていただける政府であってほしいと思いますが、本来ならば官僚の不作為を政治主導で正すべき人が3カ月もかかったということは、そんなに評価をすることはできません。ただ、ちゃんとやっていただきましたから、今は文句はありません。
 そもそも民主党政権が発足した際に、少子高齢化、過疎化が進行し、経済が停滞するなど、多くの解決すべき課題を抱えた本県のような地方を大切にする政策を選択してほしいと、実はいろんな記者会見等々の場でもずっと言ってまいりました。
 しかしながら、現政権は、例えば近畿自動車道紀勢線の御坊─田辺間の4車線化の凍結とか、あるいは農業分野の投資的経費、特に果樹生産をするような和歌山にとっては大変重要であったところの投資的経費の半減とか、あるいは地方における研究開発助成、これをもうかなりなくしてしまうとか、そういうような本県の発展に必要不可欠な将来への投資となるような政策を少し軽視された嫌いがあると思います。それは、これから追いつこうとする本県のような地方を余計に不利にする、幾つかの面でそういう効果があったんじゃないかというふうに思います。
 もっとも、政府に対して粘り強く将来への投資の必要性を訴えた結果、平成27年までの近畿自動車道のすさみ延伸、京奈和自動車道、第2阪和国道の開通、こういうものが、約2年間の停滞と遅延を挟んだものの、ようやく昨年初めに実現しました。しかし、これは政治主導によって意思決定が凍結された結果、実は遅延された。なぜならば、こういう問題については国債の割り当てというのがあるんですけども、その国債の割り当てが大臣の命によって凍結されたので、本来ならやってくれるべきところをやってくれなかったということではないかと思います。
 台風12号の被災後は、大規模災害に備えた幹線ネットワークの整備の必要性を否定するような、そういう発言は政府の中にはなくなったので、大変喜ばしいことだというふうに思っておりますが、ただし、それでは地震・津波に備えて紀伊半島一周の高速道路の未整備部分、すなわちミッシングリンクをつくることを決めてやろうというようなところまではまだいっておりませんし、4車化を復活さしてやろうというようなところまではいっておりません。そういう点ではこれから大いに期待したいし、今のところは残念だというふうに言わざるを得ないと思っております。
○議長(新島 雄君) 浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕
○浦口高典君 知事、民主党に対しまして温かな叱咤激励をいただきまして、まことにありがとうございます。
 民主党は「国民の生活が第一」、「コンクリートから人へ」というスローガンで前回の衆議院選を戦いましたが、公共インフラの整備などでもわかるように、必要なものはつくっていくという姿勢も十分にあります。
 和歌山県の発展、繁栄を望む気持ちはどの政党に所属しておりましても変わらないと思いますので、私も今後とも和歌山県発展のために、議会、行政の皆さんとともに民主党の一員として頑張らせていただきますことをお誓い申し上げまして、私の一般質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。
○議長(新島 雄君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前12時0分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 6番山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕(拍手)
○山下直也君 自由民主党県議団の山下直也でございます。
 ただいまから、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきたいと思います。
 なお、今回は一問一答方式で4項目にわたり質問をさせていただきます。私自身、今回まで22回目の質問になると思うんですけれども、この一問一答式の質問というのは初めてでございまして、多少もたつく点もあろうかと思いますが、何とぞ誠意ある御答弁をお願いいたします。
 それでは、早速1項目めの質問に入らせていただきます。
 昨日の新聞一面に、大きく次のような見出しがありました。「3月11日 命を思う日」、このような見出しがありました。
 平成23年3月11日、東日本大震災発生から間もなく1年がたとうといたしております。死者は約1万5000人強、行方不明者は3000人を超え、放射線や家屋等の倒壊により、今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされております。また本県では、昨年9月に台風12号による記録的な豪雨により、紀南地方を中心に県内で59人の死者、行方不明を出し、甚大な被害が発生をいたしました。あれから約半年であります。「再び春はめぐってくる」という内容の記事でありました。
 そして今、私たちはこうした自然災害の脅威を思い知らされる一方で、将来起こり得る東海・東南海・南海地震等の大規模地震への備えを早急に推進していくことが何よりも必要であると考えます。
 平成24年度当初予算案では、東海・東南海・南海地震等の大規模地震への備えとして、被害予測の見直しや災害に強いまちづくりの推進、地域の防災体制づくり、避難対策、災害応急体制の整備に取り組むため、約104億円が計上されており、防災対策を積極的に推進する予算となっていることは、まことに意を同じくするものであります。
 こうした中で、長い海岸線を有する本県において、津波対策に取り組むことが最重要課題であると考えます。
 本年2月に、門会長、中村会長のもと、私たち県議26名が高速自動車国道紀南延長促進議員連盟と第2阪和国道・京奈和自動車道・太平洋新国土軸建設促進議員連盟による合同県外調査に参加をいたし、災害時においていかに高速道路が避難場所として重要な役割を果たしたかを調査してまいりました。
 私は都合により2月2日からの参加となりましたが、東日本大震災で津波防止に効果を発揮した宮城県の盛り土式高速道路・仙台東部道路に行き、東日本高速道路株式会社東北支社仙台管理事務所の阿部副所長さんから、震災当時の状況や津波発生時の避難状況、また管理道路としてのり面上に階段を設置した現状をお聞きするとともに、高速道路上における一時避難所の設置についての考え方や現状について説明を受け、高速道路における避難路や避難場所の設置が必要であることを改めて強く感じました。
 続いて2月3日、福島県相馬市の国道6号相馬バイパスに行き、国土交通省東北地方整備局磐城国道事務所の職員の方から、盛り土構造が津波による浸水を食いとめ、被害の拡大を防いだこと、塩害被害を受けず田植えを開始できたこと等の説明を受けました。
 今回の調査により、大震災直後、津波が海岸から約4キロまで到達したが、盛り土構造により市街地への津波、瓦れきの流入を抑制したこと、また、仙台若林ジャンクションと名取インターチェンジの間において約230人が避難したことから、高速道路の果たした役割は大変なものがあったことを痛感いたしました。
 この調査を終えて、産業発展の基盤であるとともに津波発生時の避難場所となり、加えて物資や救援部隊が来る、まさに命の道となる高速道路の早期整備を図ることがいかに重要であるか、改めて感じたところであります。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 今申し上げましたとおり、津波発生時に多くの県民の命を守るため、高速道路に避難路や避難場所を整備することが必要、またそのことが急務であるというふうに考えますが、改めて県としての取り組みはいかがなものでありましょうか、お伺いをいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの山下直也君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) さきの東日本大震災では、高速道路が救助救援活動や、あるいは緊急物資の輸送などにおいて大きく貢献するとともに、一時避難場所や堤防の役割を果たしたということなどから、高速道路の有用性が再認識されたところでありまして、議員御指摘のとおりであります。
 また、今回の紀伊半島大水害においても高速道路は健全性を保ちました。救助・救援活動に大いに貢献をしたところであります。このため、近畿自動車道紀勢線田辺─すさみ間や那智勝浦道路の平成27年までの確実な供用と、まだ残されておりますすさみ─太地間、それと新宮県境をまたいで三重県の熊野に至るところの早期事業化を国や関係機関に引き続き働きかけていかなきゃいかんというふうに思っております。
 また、路線だけじゃなくて、高速道路ののり面やインターチェンジなどを活用した避難路あるいは避難場所、さらに緊急出入り口の設置などついても、既に国やNEXCOと協議を進めているところでありますが、今後とも、そうした高速道路の防災機能の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 知事、ありがとうございます。ぜひよろしくお願い申し上げたいと思います。
 ここでもう1点、津波対策、とりわけ道路についてでございますけれども、要望を申し上げたいと思います。
 実は、県土整備部長は御存じかと思うんですが、四国地方におきまして、徳島、それから高知、愛媛等に、国道なんですけども、国道上におきまして、こういう大きな数字が書かれてあります。(資料を示す)こういう取り組みをやっておるわけでございますけども、これは実は1キロごとに国道に大きな白い数字が書かれてるんですけども、縦2メートル、横が1.5メートルの大きさでございまして、これは実は四国地方整備局の方々と、そして県の方々で実施されたというふうに聞いておるんですけれども、いわゆる災害が起こったときに、その場所を的確に、それから早くつかんでいくために、県庁から何キロという標示がされておるわけでございます。
 防災訓練を行った際に、目立った建物が少ない沿岸部や山間部で、ヘリ上空から細かい現在地を非常に把握しにくかった、そういう結果があったんですね。それではいかんということでございまして、国道55号線でありますとか、それから国道32号線、いろんなところでこの試みが実施されております。整備局の担当の方々は、ヘリが上空から数字を確認することで、現在地を知る以外に、災害で道路が遮断された場所などをすぐに把握できる、また迅速な復旧作業につながると話されております。
 東海・東南海・南海地震、これ、四国も和歌山も多分同じような被害が想定されるわけでありますので、ぜひ和歌山県におきましても、このような取り組みを一度考えていただきたいと御要望させていただきたいと思います。
 次の質問に移ります。
 津波対策について2点目でございます。県内市町村の住民データの保管についてお尋ねをいたします。
 東日本大震災において沿岸部の自治体の庁舎が壊滅、損壊したことにより、自治体が保有していた住民データ等の貴重な情報が消失するなどの被害が発生したことが新聞等で大きく取り上げられておりました。そして、被災したが、バックアップしていたデータから復元することにより、厳しい状況下でありながら何とか業務を継続することができ、復興作業等を進められたと聞いております。
 住民基本台帳を初め住民の健康福祉に関する情報など、自治体が保有するさまざまなデータは、住民生活を支えるため、各種施策を実施するための基礎として活用され、特に災害時にあっては罹災証明の発行や災害見舞金の交付など、被災者支援、復旧作業等に欠くことのできないものであり、住民データの重要性は言うまでもなく、それが消失したときに備えるバックアップデータの保管の重要性について認識を新たにしたところであります。
 そこで、企画部長にお尋ねをいたします。
 本県においても、近い将来、東海・東南海・南海地震が発生することが想定され、同様の事態が起こり得ると思われますが、県として県内市町村におけるバックアップデータの保管についてどのようにお考えになっておられるか、お伺いいたしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 住民データの保全を図ることは、災害時における迅速な被害者支援等のために極めて重要であると認識してございます。
 県内の市町村においては、これまでにもさまざまな方法でバックアップデータの保管に取り組んでいますが、県といたしましても、その重要性にかんがみ、市町村の意向を踏まえ、バックアップデータの保存先の1つとして耐災害性にすぐれた県庁南館に保管場所を確保し、昨年12月から磁気テープ媒体等の受け入れを行っています。
 今後も、市町村における住民データ等の保全性を高め、災害時における行政機能の早期回復が図れるように、市町村の意向、要望を十分踏まえ、丁寧かつきめ細かい技術支援に取り組んでまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 次の質問に移ります。
 2項目めの農林水産業の技術開発についてお尋ねをいたします。
 本県では、平成22年4月に和歌山県農産物・加工食品の販売促進戦略を策定し、首都圏等大消費地での販売戦略の展開や御当地スイーツ「わかやまポンチ」の展開、FOODEX JAPAN和歌山県ブース出展などにより、和歌山県の農産物や加工食品の販売促進に取り組まれているところでありますが、販売を促進するためには、まず農林水産業の技術開発を推進し、品質の向上を図ることにより、和歌山県の農林水産業の競争力をアップさせる必要があると考えます。
 私たちは、スーパーに行くと、糖度12度のおいしいミカンを安心して買うことができます。これは今では当たり前のこととなっておりますが、そのためには、ミカン生産農家の皆様がおいしいミカンをつくるために大変な苦労をしてこられたことはもちろんであります。それに加えて、出荷のときに光センサーを使って糖度を正確に測定することが重要であります。
 この測定技術を開発するため、膨大な量のミカンを調査分析し、非破壊での糖度測定理論を構築したのは、実は和歌山県果樹試験場であると聞いております。現在では、この装置は全国のミカン選果場に標準装備をされるまでになっております。これは研究成果の一例でありますが、他の試験場におきましても、うめどりやうめたまごの機能性の研究、また紀州材の性能試験、長期漁場予測の研究など、さまざまな研究が行われております。
 一方、農林水産業の現場に目を向けますと、大変厳しい現状があります。生産者の高齢化や耕作放棄地の増加、肥料や燃料など資材費の高騰や販売価格の低迷、さらに温暖化による異常気象の影響や鳥獣害被害の増加など、取り組まなければならない課題が山積しております。
 私は、先日も紀の川市のあるイチゴ農家の方をお伺いいたしました。そこで、春から一生懸命育ててきたイチゴの苗が、夏の暑い時期に炭疽病という病気で枯れてしまい、苗を確保するのに大変困ったとの苦労話を聞かせていただきました。また、和歌山市内におきましても、布引地域特産の大根におきまして、白い大根の中に黒く変色する大根黒しん症が発生しており、その発生メカニズムの解明と防除対策技術の確立が急がれています。
 このような厳しい状況を打破し、生産者が安心して農林水産業に取り組めるようにするためには、補助制度や融資制度の充実も必要ではありますが、それに加えて技術開発が果たす役割も大変重要なのではないでしょうか。
 本県には農林水産関係の9つの試験場があり、そこで約110名の研究員が日々研究に取り組んでおられるとのことであります。研究員の方が知恵を絞り、地域の課題解決に取り組めば、本県農林水産業を元気にするための大きな力になるものと考えます。また、試験場には、農林水産業に関する数多くの文献や国内外の最新情報が集まるとともに、さまざまな分析機器も充実をしております。また、最先端の技術実証を行うことも可能であります。
 このように、人材、情報、設備の集積した試験場は、地域の農林水産業の振興拠点としての役割も果たせるのではないでしょうか。試験場の役割は、今後ますます高くなってくるものと考えます。
 そこで、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 試験研究機関の機能を強化するため、組織改正に取り組むとともに、平成24年度当初予算案に新たな研究事業として約4000万円の予算が計上されておりますが、これらを有効に活用し、本県農林水産業の活性化につなげるため、今後どのように試験研究を推進していくのか、お伺いをいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 厳しい状況にある本県の農林水産業において、技術開発の重要性は一層高くなっていると認識しております。そのため、試験研究機関の体制強化として農林水産総合技術センターを廃止し、農林水産総務課内に研究推進室を新たに設けて試験研究全体を統括させ、現場ニーズや消費動向等を踏まえた行政課題の試験研究への迅速な反映、他部局を含めた関係課室との連携強化を企画しているところでございます。
 また、研究成果の速やかな現場への普及のため、各試験場に経験豊かな研究員による技術普及チームを設け、本庁及び振興局に設置する普及部門を集約した組織と一体となって研究成果の普及に取り組むこととしております。
 次に、新たな研究予算について、激化する産地間競争に勝ち抜いていくため、成果が急がれる課題や戦略的な研究について集中的な投資を行ったり、緊急な課題への迅速な対応を図るため、新たに4050万円の分野横断的な予算をお願いしているところでございます。これにより、例えば先ほど議員御質問の中にございましたイチゴ「まりひめ」の耐病性を強化した新品種の開発に通常5年を要するところを3年に短縮したり、あるいは病害虫発生等により迅速に対応できるものと考えております。
 今後とも、地域の皆様方の声をしっかりと受けとめ、その期待にこたえる研究開発に総力を挙げて取り組む所存でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 農林水産部長、ぜひ今御答弁いただいたとおり、前向きで、そして攻めの和歌山県の農林水産業というものを頑張っていっていただきたい、このように申し上げたいと思います。ありがとうございました。
 次の質問に移ります。
 3項目めであります。がん対策についてお尋ねをいたします。
 平成17年の国立がんセンターの推計値によりますと、日本人のおおよそ2人に1人が一生のうちがんと診断されると推計をされております。
 こうした中で、本県では平成20年3月に和歌山県がん対策推進計画を策定し、がん対策に取り組んでいただいているところであり、また、県議会におきましても、超党派によるがん対策推進に係る条例案検討会を昨年12月議会中に発足し、県議会発議の条例制定に向け、現在、検討といいますか議論を進めているところであります。
 本県における死亡原因を見ますと、本県の平成22年全死亡者数1万2049人のうち、がんによる死亡者数は3440人で、全体の28.6%を占め、第1位となっております。また、がんは昭和54年以降第1位となり、ますます上昇傾向にあります。さらに、がんによる75歳未満年齢調整死亡率で見ますと、平成18年が全国でワースト2位、19年が3位、20年、21年が9位、22年が4位と、非常に高い水準にあります。
 このように、死亡に関するデータはありますが、がんを患っておられるといいますか、その方々のデータは、調査が始まったばかりであるため非常にデータが少なく、今後はデータを集め、がん罹患率や生存率を分析することにより、今後の県のがん対策が進んでいくことを期待するところであります。
 そこで、今回、予防、検診、治療、ケアの4点について福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 まず、予防についてお伺いいたします。
 今回の地域医療再生計画に基づき、地域医療再生臨時特例基金を活用して、がん診療体制の強化も図られるものと期待をしているところであります。がん対策としては、県民1人1人がまずがんにならないようにする必要があると思うわけでありますが、予防についてはどのように考え、また取り組んでおられますか、お伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 本県のがんによる75歳未満年齢調整死亡率は全国的に見て高い水準で推移しており、その低減を図るため和歌山県がん対策推進計画を策定し、総合的かつ計画的にがん対策を推進しています。
 県では、がん予防について、2次保健医療圏ごとにある地域・職域連携推進協議会を通じて、県民に生活習慣の改善等を啓発しているところです。とりわけ喫煙はがんの危険因子であることが指摘されていることから、児童生徒向けには防煙教室を、また禁煙教室を開催して、たばこをやめたいと考えている人に対する支援等を行っているところです。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 2点目、検診についてお伺いをいたします。
 がんを早期発見するためには、定期的ながん検診の受診が必要であると思いますが、そのことは国が平成21年に実施いたしました世論調査においても、約95%の方ががん検診は重要と思っているという結果が出ております。一方で、検診の受診率は、国全体で見ると目標として掲げる50%には届いていません。その調査では、未受診理由を「たまたま受けていない」を挙げた人の割合が30%近くもいらっしゃいました。
 このことから、がん検診の重要性は理解していても、なかなか行動に結びついていない状況だということがわかります。こうしたことはどこの県においても余り差はないと思うわけでありますが、本県では、がん検診の受診率を上げるため、どのように取り組んでおられますか、福祉保健部長にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) がん検診につきましては、健康増進法に基づき、市町村事業として実施されています。本県の市町村が実施した平成21年度のがん検診受診率は、厚生労働省がまとめる健康増進事業報告によりますと、全国平均よりわずかに高いものの、最も高い子宮がん検診で32.7%、最も低い胃がん検診は12.5%となっており、県も目標とする50%には届いておりません。
 そのため、未受診者対策として、市町村が休日等に行うがん検診を支援するとともに、企業との連携により、顧客窓口や啓発イベントを通じてがん検診の重要性を広報しているところです。また、市町村の健康づくり推進員等のヘルスボランティアに対する啓発活動への支援も実施するなどして受診率の向上に努めているところです。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 3点目、治療についてお伺いをいたします。
 国による計画では、原則全国すべての2次医療圏において、おおむね1カ所程度がん診療連携拠点病院を整備することになっており、本県では、県立医科大学附属病院を初め7医療圏のうち4医療圏に6病院が指定されておりますが、それだけでは県内すべてのがん患者に対応するには十分とは言えないと思います。がん治療については、手術、化学療法、放射線療法のそれぞれの専門医に看護師、薬剤師、臨床心理士や放射線技師などによるチーム医療が中心になっていると聞いております。
 また、平成23年の6月議会で県のがん対策について質問した際には、医大を初めとするがん拠点病院等で実施している放射線治療の高度化を図っていくとの答弁がありましたが、今回の基金を活用してどのように取り組んでいかれるのでしょうか、お伺いをいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 県では医療体制の整備ということで、がん診療連携拠点病院に加え、独自に和歌山県がん診療連携推進病院制度をつくり、国保日高総合病院と労災病院を指定して地域のがん診療水準の向上を図っています。これらの病院では、手術、化学療法、放射線療法を効果的に組み合わせた集学的治療が行え、かつ議員御指摘のチーム医療等が実施されているところです。
 放射線治療の高度化につきましては、今回、地域医療再生臨時特例基金を活用して、医大などの病院で強度変調放射線治療が対応可能な機器を整備し、高度化を図るとともに、放射線専門医を初めとする人材の育成、確保に注力していただくこととしております。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 4点目、最後であります。ケアについてお伺いいたします。
 患者は、がんによる痛みによって身体と心をむしばまれていきます。さらに、患者の家族の精神的な苦痛ははかり知れないものがあり、そうした患者と家族の苦痛の軽減を図るため、緩和ケアが拠点病院を中心に実施されていると聞いておりますが、緩和ケアの充実を図るため、どのような取り組みを行っておられますでしょうか、お伺いをいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 拠点病院等では、がんと診断された時点から患者の身体的、精神的苦痛の緩和を図るため、さらには家族の苦痛も緩和するために、専門的知識及び技能を有する医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカー等から成る緩和ケアチームによる緩和ケアが提供されています。
 また、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修を実施することにより緩和ケアに対する医療従事者の意識を高めており、和歌山県では、関係各位の協力により、国の基準による研修を修了した医師は昨年3月末で449人となり、医師1人当たりの患者数が全国最少で1位となっております。
 なお、拠点病院では相談支援センターが設置され、患者及び家族からのさまざまな相談にも応じております。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 ただいま4点について、福祉保健部長から御答弁をいただきました。
 本県が現在、計画に基づきがん対策を進めていただいているとともに、IMRT・強度変調放射線治療を実施するための機器の整備に取り組んでおられますことはよくわかりましたが、最先端のがん治療は、昨年の6月議会において和歌山県立医科大学に設置を提案、副作用の少ない重粒子線がん治療装置を初め、エックス線集中照射「サイバーナイフ」や手術の後遺症をなくすMM3などの機器の開発により、日進月歩、推進をいたしております。
 私たち議会も検討会を設置し、がんの予防、早期発見、緩和ケアを含めた質の高い医療の提供等、和歌山県のがん対策をより一層推進し、1人でもがんで亡くなる方を減らすため、またがんとともに働ける社会にするため、多くの方々の意見を聞き、条例制定に向け超党派で頑張ってまいりますので、今後とも県当局も一緒になってがん対策に取り組んでいただきたいと思います。
 また、先月25日に開催されました紀の川市がん検診啓発講演会において、東京大学医学部附属病院放射線科、中川恵一准教授の講演によると、食生活の欧米化により肉の消費が増加し、その結果、性ホルモンが上昇することにより乳がんを発症しやすくなることなど、がんの原因は、若いころから悪い食習慣やたばこの喫煙、常習的な過度の飲食などであり、生活習慣をよくすればがんの予防につながると言われておりました。
 このため、大人中心の啓発を見直し、教育委員会と連携をし、例えば中学生を対象に、がんの正しい知識を習得するための啓発を実施していっていただいてはいかがでしょうか。がんの予防や早期発見、早期治療につながるものと考えますので、教育長への質問は今回はいたしませんけれども、御検討いただきますよう、この際、要望させていただきたいと思います。
 また、がん診療体制の充実強化に向けて、がんの薬物療法の進歩に対応するため、県がん診療連携拠点病院である県立医科大学附属病院に腫瘍内科を開設するなどの検討も進めていただくよう、あわせて要望させていただきたいと思います。
 では、次の質問に移ります。
 4項目め、介護職員の人材確保と処遇改善についてお尋ねをいたします。
 高齢化社会が進む現在、介護保険導入時期と比較して、介護サービスを提供する人材の確保が困難になりつつあるとの事業者の声が多く、福祉人材の確保が非常に難しい状況にあります。一方、高齢化の進行を背景に、介護サービスに対するニーズが増加するとともに、質的にも多様化、高度化してきております。
 また、認知症の方やひとり暮らしのお年寄りの増加など、社会生活における介護の重要性はますます高まっており、熱意と専門性を持って介護と向き合う介護職員なしには、これからの高齢社会は到底支えられないところまで来ていると私は思います。
 こうした中で、私は平成22年度と23年度の2年間、厚生労働省の調査研究の委託を受け、老人保健健康増進等事業として実施した介護職安定化・人材確保のための情報提供・普及啓発及びモデルインターンシッププログラム構築事業委員会の委員として、介護職員の人材確保等について取り組んでまいりました。
 まず、平成22年度におきましては立命館大学が調査研究の実施主体となり、福祉人材安定化に関する調査・研究および人材安定化対策事業を行う中で、立命館大学と県老人保健施設協会、和歌山県等、多くの方が協力連携して県内の事業所の職員や高等学校の生徒を対象にアンケート調査を実施したところ、回収率は8000件を超え、その回収率86.5%と大変高く、多くのデータを得るとともに率直な意見を聴取することができ、有意義な報告書にまとめることができました。
 まず、このことに対し、教育委員会、各学校長、そして生徒の皆様、総務学事課、長寿社会課にお礼を申し上げたいと思います。大変ありがとうございました。
 この報告書によると、高校生を対象とした調査におきましては、介護保険制度の認知は低く、介護分野に就職したいと思う者は全体の1.6%しかなく、その原因は、自分のやりたい仕事ではない、体力的にきつい、休みが少ない、給料が安いというものでありました。
 また、介護や看護等に就業されている方を対象とした調査におきましては、離職を経験した介護職員が多いこと、その離職理由は結婚・出産のため、給料が安いためというものであります。その一方で、介護職の志望理由は、やりたい仕事だから、働きがいのある仕事だからというのが多くなっております。
 その結果、未就業者においては、介護に対するイメージの確立、介護業界と教育機関との連携、介護サービス関係者の役割に取り組む必要があり、また就業者調査においては、職場環境の整備、多様なキャリアへの方策に取り組む必要があると考察をされております。
 この報告書に基づきまして、平成23年度は未就業者に対して介護に対するイメージを確立するため、調査研究委員会において検討を重ね、その成果として、高校生等を対象とした「介護のお仕事~みらいのなかまたちへ~」という啓発用冊子と──これなんです(現物を示す)──この中にDVDを作成して入れておりますけども、このDVDを作成いたしました。本当に中身はいいものができ上がった、私はそのように思っております。
 この冊子は、介護に関する「知ってる度」をチェックするものや、どうして今介護なのか、どんな職種があるのか、介護職の働き方、日々のスケジュールなどを掲載したコンパクトなわかりやすいものとなっておりまして、介護の仕事と必要資格等を正しく理解できる冊子となっております。
 また、DVDは、一般の若者や介護職員へのインタビューを行い、若者の介護に関するイメージは、きつい、給料が安い、コミュニケーションが大変、勤務時間が長い、不規則等であると回答しております。また、介護職員へのインタビューでは、仕事につくきっかけや、実際に飛び込んでみて、やりがい、大変さ、自分の高校時代、大切にしていることなど、介護の世界へ進んだ先輩たちの働きぶりや彼らからのメッセージが入っております。
 私は、老人保健健康増進等事業において実施したアンケート調査や冊子、DVDの作成を通じて、また委員会での意見交換の中で、高校生等への啓発や介護職員の人材確保と処遇改善の重要性を痛感したところであります。
 そこで、福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 ぜひ高校生に配布していただきたいこのDVDなんですけども、多分ごらんいただいているとは思うわけでありますが、福祉保健部長の御感想といいますか、聞かせていただければ大変ありがたいというふうに思います。率直な感想を聞かせていただきたいと思います。
 また、県が取り組まれている処遇改善交付金が平成24年度から介護報酬加算になるとのことでありますが、介護職員の人材確保や処遇の向上に向けた現状をどのように考えておられますか。また、今後どのように取り組みを進めていかれますか。この点についてお伺いをいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 御紹介のありましたDVDの教材は、高校生が介護の仕事の内容、やりがいや働きがいを認識し、理解しやすいように創意工夫されており、貴重な教材として、今後は高校生だけでなく、就職相談会などさまざまな機会を通じて活用させていただきたいというふうに考えております。
 次に、介護職員の人材確保や処遇改善についてでございますが、介護の人材確保に当たっては、県民への介護サービスの評価を一層高めることが重要と考え、そのためには、介護職員の技術や専門性を高めることで、良質なサービスを提供できる介護職員を養成していくことが必要です。また、事業所においては、女性が安心して就労できる職場環境づくりや、職場内研修の機会をふやすことなどにより、介護人材を育成していく取り組みが大切であると考えております。
 そのため、県では、介護分野を目指す方への就業支援事業や就職相談会、介護体験事業などを実施するとともに、事業者や介護職員の各種研修会を充実させることにより、介護職員が仕事にプロ意識ややりがいを感じることで、事業所全体のサービスの向上を図れるよう支援しているところです。
 また、介護職員の処遇改善については、国の緊急経済対策として創設された介護職員処遇改善交付金が廃止され、新年度からは介護職員処遇改善加算が創設をされます。これまでの交付金による県内介護職員1人当たりの賃金改善額は、昨年度実績で1万5723円であり、国の制度設計時の改善額である1万5000円を上回る水準となっております。このたびの新たな加算については、この交付金と同様の仕組みであり、これまでと同等の効果が期待できることから、できるだけ多くの事業所において活用されるよう積極的に呼びかけてまいります。
 県といたしましては、介護事業所や関係団体、教育委員会と連携を図り、介護に対する県民の理解を一層深めるための啓発を行うことにより介護職場への人材の参入を推進していくとともに、介護職員のキャリアアップや環境改善の支援に全力を挙げて取り組んでまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 山下直也君。
  〔山下直也君、登壇〕
○山下直也君 御答弁ありがとうございました。
 最後に、介護職員の人材確保や処遇の向上により一層積極的に取り組んでいただくようお願いをするとともに、先ほど申し上げましたが、この作成された冊子とDVDを県内の高校生や教員、また就職希望者など多くの方々にごらんをいただき、有効活用していただくため、総務学事課を初め長寿社会課、教育委員会等の御協力を再度いただけるようお願いを申し上げたいと思います。
 随分時間が残ってしまいましたが、私の質問はこれで終わりますけども、最後に、一般質問の初日、中村議員が次のような発言をされたと思います。私たち議会も頑張る、そして知事初め県当局の皆さん方、どうか一緒になって頑張ろうじゃないですかという趣旨だったと思います。私がきょう質問させていただきました4項目、これはすべて新年度予算のときに知事がおっしゃった安全で安心で挑戦、そういうことにつながっていくものばかりだというふうに思って質問をさせていただきました。
 もう一度申し上げます。私ども県議会も懸命になって頑張るわけでございますので、どうか県当局、知事を先頭に幹部の皆さん方、我々議会と一緒になって、復興元年の年でもありますし、いろんな意味におきまして、和歌山県勢発展のため、ともに頑張ろうではありませんか。そう申し上げまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、山下直也君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、3項目にわたって分割方式で質問させていただきます。
 項目の1つ目は、防災・安全のまちづくりについてです。
 昨年の3月11日の東日本大震災と原発事故から間もなく1年を迎えようとしています。3月2日の警察庁まとめでは、亡くなられた方1万5854人、いまだ行方不明の方が3276人もいらっしゃいます。避難生活を強いられている方は34万3935人、これは2月23日の復興庁の発表です。
 紀伊半島を襲った豪雨災害からは半年になります。突然生きることを絶たれた命、いまだ見つからない、見つけることのできない命、その命と向き合いながら、言葉に出せない思いを抱え、何とか毎日を過ごされている方も多くいらっしゃいます。すべての被災された方々が早く平穏な暮らしに戻れるよう、私も一層力を尽くしていきたいと思います。
 そして、同時に、予想される東海・東南海・南海地震等の大規模地震への備えのために、防災・安全のまちづくりをどう進めるのかということが差し迫った課題になっています。
 防災・安全のまちづくりについての基本的な考え方は、災害の発生を最小限に抑え、被害の拡大を防止することです。防災対策の基本は、予防、応急、復旧、復興という4つの局面で考えることが必要です。
 1995年の阪神・淡路大震災では、密集市街地の老朽木造住宅の倒壊による圧死で多くの高齢者が犠牲になりましたが、危険な住宅を放置してきた結果が悲劇を生み出したと考えます。
 そこで、まず、住宅の耐震改修の現状についてお尋ねいたします。
 和歌山県耐震化促進計画によると、平成17年の住宅耐震化率は67%、目標は平成27年には85%の耐震化率を目指すとしています。現在の住宅耐震改修の現状はいかがでしょうか。
 2点目は、目標に向けて木造住宅耐震化の促進をどのように考えておられますか。低所得の方への対応も含めて、県土整備部長にお尋ねいたします。また、生活保護世帯への対応については福祉保健部長にお尋ねいたします。
 次に、3点目は、保育所の耐震化について福祉保健部長にお尋ねいたします。
 2010年4月の厚労省調査で、全国の保育所や特別養護老人ホームなどの社会福祉施設の耐震化率は81.3%であることがわかりました。厚労省によると、すべての社会福祉施設を対象にした調査は初めてということです。全国約14万6000施設のうち約11万8000施設で耐震基準を満たしていたが、保育所の耐震化率は67.5%です。社会福祉施設全体の平均を大きく下回っています。耐震化率の低さが目立ちます。これでは、子供を大切にする国とは言えないのではないでしょうか。
 和歌山県における保育所の耐震化の現状と促進をどのように考え、また、子供の安全確保の取り組みをどのように考えておられますか、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 次に、4点目について、水門、樋門、陸閘の問題です。
 東日本大震災で陸前高田市の奇跡の一本松、7万本の松の中で1本だけ残った松の木の横に、あいたままの大きな水門があります。消防団員が閉めに行ったが、地盤が沈下してうまく閉まらず、手間取っている間に津波が来て消防団員が犠牲になりました。
 このようなことがあって改めて、私自身、水門、樋門、陸閘の管理に当たってくださっている方々のことを思いました。県内でも、県や市町村から水門の管理を頼まれている方は、絶えず気象情報が気になり、テレビやラジオから目や耳が離せない、台風情報などあると、しょっちゅう川へ行き、水位の状態を見に行くことになるなど、たくさんの御苦労をお聞きしました。
 そこで、県下の水門、樋門、陸閘の現状と管理の実態、管理者の安全確保はどのようになっていますか、県土整備部長、お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 初めに、耐震改修の現状についてでございます。
 本県では、平成16年度に耐震診断、耐震改修の補助制度を創設し、市町村とともに耐震改修の促進に取り組んでおります。平成22年度までに、8783戸の耐震診断、465戸の耐震改修の補助を行ってきました。今年度の耐震診断及び耐震改修の補助戸数は、年度途中ではありますが、昨年度を既に上回っております。東日本大震災で耐震改修への関心が高まっていると考えておりますので、一層の耐震化の促進に努めてまいります。
 なお、本県の住宅総戸数のうち耐震性を満たす住宅の割合は、推計値ではありますが、平成20年で70%となっております。
 次に、木造住宅耐震化の促進についてお答えします。
 昭和56年5月以前に建築された木造住宅を対象とし、耐震診断、耐震設計、耐震改修に対する補助を行っております。これに加えて、耐震診断により倒壊の可能性があると判断された場合には、高齢者などの方を対象に専門家を無料で派遣する耐震改修サポート事業を実施しております。所得の低い方につきましては、人命優先の考えから、避難を重視した基準を満足する改修工事も補助対象としています。
 また、来年度は市町村からの要望を踏まえ、補助戸数を増加させることを予定しております。今後も各地域での説明会での助成制度の周知を図ることにより、耐震化の促進に努めてまいります。
 最後に、水門、樋門、陸閘の管理についてでございます。
 現在、沿岸部には県管理の河川、港湾、漁港、海岸に水門・樋門約90基と陸閘約500基が設置されております。その管理や操作については、県の出先機関で実施しているものや地元の方々にお願いしているものがあり、関係の方々には御苦労をおかけしているところでございます。
 東日本大震災を踏まえ実施した防災・減災対策の総点検の結果、水門・樋門については、操作者が閉鎖作業完了後、津波到達時間に対して避難する時間が不足する箇所については、短期的な対応として、操作せずに逃げるとする旨の通知を発出したところであり、さらに中期的な対応として、順次、自動化あるいは遠隔操作化等を進めることとしております。
 また、陸閘については、階段やスロープにより代替が可能な施設等については、できる限り廃止を進めることとし、利用状況等から廃止できない施設については、操作者の安全を確保するための管理指針の策定等を進めることとしております。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 木造住宅耐震化を進めるに当たっての生活保護世帯への対応についてですが、生活保護制度では、現に居住する家屋の補修その他維持のために経費を要する場合には、補修費等住宅維持費を認定することとされています。この補修費等住宅維持費の基準額は年額で11万8000円以内、やむを得ない事情があると認められるときは、基準額に1.5を乗じて得た額の範囲内において必要な額を認定して差し支えないものと定められています。
 他方、社会福祉協議会が実施している生活福祉資金貸付制度において、住宅の増改築、補修等に必要な経費を福祉費として貸し付ける制度があり、県の耐震改修補助制度をあわせて活用すれば、耐震診断の評価評点を0.7以上とする避難重視型補強の改修工事は行えるものと考えてございます。
 次に、保育所の耐震化についてですが、平成22年4月時点での本県の保育所の耐震化率は68.2%でした。平成22年度以降も、安心こども基金を活用した施設整備等により着実に耐震化が進んでおります。議員御指摘のとおり、保育所の耐震化は緊急性の高い問題でありますので、市町村や民間法人等と十分協議しながら耐震整備の促進に取り組んでいるところであります。
 また、保育所の防災の取り組みにつきましては、保育所は避難に介助を要する乳幼児が多く通所していることから、災害発生時の室内の安全対策に加え、避難訓練を少なくとも月1回実施することの徹底を指導しているところであります。
 県といたしましては、保育所の施設整備や防災対策をより一層促進し、子供たちが安心して過ごすことのできる保育環境を整えてまいりたいと考えてございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今、答弁をしていただきました。
 耐震改修の現状についてということでは、周知徹底など、今努力されているということはよくわかります。(資料を示す)こういうパンフレットも新しく24年2月ということで更新もされている中で、細かく小さな集会にも出かけられて、ぜひ広げていきたいという、その意気込みも聞かせていただいてるんですが、耐震診断を平成22年度まで8783戸のうち465戸の耐震改修の補助ということで実績があるわけですが、目標に向かっては、なかなか、これからさらに強めていかなければいけないというふうに思います。
 そういった中で、私自身も建設関係の方にお聞きすると、やはり改修するには費用の問題が非常に大きいというお声も聞いているので、そういった点で今回質問をさせていただいたんですけど、この耐震改修の必要な人が県の助成制度を利用する場合に、これは一たんは全額を立てかえなければならないという制度です。これが収入の少ない人には大きな負担になってくるんではないかというふうに思いますので、せっかく県の助成制度があるわけですから、適用されるケースでは自己負担分だけを支払い、助成分を立てかえなくてもよいように、ぜひそういった使いやすい制度に考えていただきたいなと、これは強く要望したいなと思います。
 次に、生活保護世帯の場合の問題なんですが、先ほど社会福祉協議会の生活福祉資金の融資を活用するということでおっしゃってくださいました。その生活福祉資金というのは、補修、改修工事にということで充てられるので、これが適用はなかなか難しいんじゃないかと思ってたんですが、県としてもそういったことも含めて活用できるようにしていきたいということでおっしゃってくれたので、そういったことも県土整備部と福祉保健部と一緒になって、いろんなケースにぜひ対応して促進をしていっていただきたいなというふうに思っています。
 もう1点は、県土整備部長に再度、生活保護の場合のいろんなことは先ほど御説明していただいてわかったんですが、所得の低い人への対応について、もう少し具体的に細かく教えていただきたいなと思いますので、答弁もう一度よろしくお願いします。
 保育所の耐震化問題については、やっぱり全体的に低いという中では、本当に早急に進めていくことと同時に、1つ1つの保育所の子供の命、安全を守っていくということで、やはり耐震補強とか改修の見通しがないところがないのか、そういったところへのやっぱり支援を、具体的に1つ1つの保育所に対しての支援を市町村と一緒になって進めていってほしいなと思いますので、よろしくお願いします。
 水門の改修についての問題ですけども、具体的にはこれから東海・東南海・南海地震に対しての見直しという中で進めていかれるかと思いますが、例えば磯ノ浦の海水浴場近くにある水門は、海に面した堤防から10数メートル川を上ったところにあります。川の堤防が低いために、地元の人たちは、津波が川を上ってきたら水門を閉めても海水が住宅地に流れ込むのではと心配されています。津波想定の見直しに伴い、このような水門については、自動化とともに堤防も含めた見直しをぜひしてほしいというふうに、これは要望しておきます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 低所得者に対する木造住宅耐震化の支援策についてお答えいたします。
 所得の低い方を対象として、倒壊しないとされる基準に至らないまでも、人命優先の考えから、避難を重視した基準を満足する改修工事を補助対象としております。この場合には、倒壊しないとされる基準まで改修する工事よりも、工事費を低く抑えることが可能となります。これに加え、新しい金物などを利用した安価な工法を取り入れることにより工事費が90万円となり、国、県、市町村の補助金を除きますと、個人負担は20万円程度でおさまった事例もございます。
 また、耐震診断は無料で実施しており、設計費の補助を行うなど工事の前段階での助成も行い、全体の負担を抑えるように取り組んでおります。
 なお、高齢者などの方が対象となりますが、耐震改修サポート事業により専門家を無料で派遣し、工事費用を低く抑えるための相談や改修計画の提案を行っておりますので、御活用いただけたらと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 この項目で最後に、すべての住民の皆さんの命を守るということで、耐震化の助成を現物給付にすることなどをぜひお考えいただきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、2項目めに行かせていただきます。
 県民の暮らしと社会保障についてお尋ねいたします。
 野田政権は、社会保障・税の一体改革を平成24年2月17日に閣議決定しました。知事に、この社会保障・税の一体改革についてお尋ねいたします。
 社会保障改革と言いますが、高齢世代には年金支給額の引き下げ、介護保険の利用料の引き上げ、受診時の窓口定額負担の導入、70歳から74歳の窓口負担の2倍化などを押しつけようとしています。子育て世代には、子ども・子育て新システムによって市町村の保育実施義務をなくし、保育所探しまで自己責任化するものです。これでは、安心して子育てできません。
 消費税は2014年4月から8%に、2015年10月から10%に引き上げ、国民には13.5兆円もの増税になります。さきの社会保障改悪と合わせて20兆円ものすさまじい負担増になります。私はこんなことが強行されれば暮らしも経済も押しつぶされ、かえって税収が減ってしまい、財政もますます悪くなるばかりだと考えますが、知事の見解をお聞かせください。
 2点目は、安心できる介護保険制度について福祉保健部長にお尋ねします。
 介護保険料の負担軽減についての問題です。和歌山県第5期保険料の平均額の予測額は幾らでしょうか。
 昨年12月議会でもお聞きしましたが、今回の改定で全国的に保険料月額平均1000円の値上げが予想される、そのもとで、できるだけ低減を図るために県の財政安定化基金を取り崩し、県の返納分を保険料低減に充てるように求めました。今の時点で、この基金取り崩し額とその活用はどうなっていますか。
 介護保険料は、所得税、住民税、国保料(税)に比べて所得の少ない人ほど負担割合が高くなるという逆進性が強く、低所得者には非常に重い負担となっています。生活保護受給者は介護保険料分を生活保護費から支給されていることから見ても、年間収入80万円以下という生活保護基準以下で暮らす高齢者は、本来なら保険料を免除すべきと考えますが、いかがでしょうか。また、このような方々への県独自の介護保険料減免制度の創設を考えられてはいかがですか。
 2点目は、介護職員の医療行為拡大の法制化についてです。
 厚生労働省は、2010年介護サービス施設・事業所調査結果を発表しました。全国の特養に入所する高齢者の要介護度を調べたところ、要介護4と5の方で67.5%に達し、2000年の調査開始以来、最高です。
 このような背景もある中で、たんの吸引という医療行為が介護職もできるようにするものです。私は、たん吸引などの医療行為は、本来、看護職が行う体制を確保することが望ましいと考えます。そのためには、介護報酬の充実も必要です。介護職の方が医療行為をするとなれば、きちんとした研修や万一のときの安全確保の体制が重要だと考えますが、福祉保健部長の見解を求めます。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、少子高齢化の進展や雇用形態が変化する中で、近い将来、我が国の社会保障制度がこのままでは維持していけなくなるのではないかという強い危機感を感じております。そういう意味で、この間の議会でも申し上げましたように、社会保障制度の機能を維持し、制度の持続可能性を確保するための改革が必要であり、そのために最後の財源である消費税を充てることは理解できると申し上げました。
 と同時に、この間も、これまた申し上げましたように、最後の財源である消費税を上げることで日本がずっと安泰になるということが国民に理解されないといけない。そのための改革は数多くあると思うので、その内容を明確に示さなければなかなか理解が得られないのではないかと思います。
 現在の閣議決定された社会保障・税一体改革大綱では、新しい年金制度の創設を初め、社会保障改革やその財源についての内容が、長い目で見たときの国家の安泰や社会保障制度の持続という点から本当に明確になっているのか、私はまだ確証に至っておりません。
 したがって、将来の見通しをしっかり立て、社会保障と税の一体改革の必要性をこの際、国民的に徹底的に議論し、その上で国民の理解を得つつ、これを進めていくことが大切であると考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 安心できる介護保険制度についての御質問にお答えいたします。
 第5期保険料基準額の平均は約5500円と見込まれていますが、この額は、現在各市町村が提案している介護保険条例の改正案に基づくものであるため、今後変動する可能性もございます。
 また、財政安定化基金における平成23年度末残高は29億1835万円で、このうち16億1928万円を平成24年度に取り崩し、取り崩し額の3分の1ずつを国、県、市町村に返還することとしております。
 なお、県分につきましては地域福祉等基金へ積み立てて、介護保険サービスの質の向上を図る事業などに役立てたいというふうに考えております。
 次に、第1号被保険者の保険料率は、負担能力に応じた負担を求めるという観点から、所得段階別の定額保険料率が法令で定められておりますが、特別の必要がある場合は市町村が独自に定めることも可能ですが、議員御提案の第2段階の保険料を一律に免除することは困難であると考えております。
 また、県独自の介護保険料減免制度の創設につきましては、介護保険法で国、県、市町村などの負担割合が定められていることから、それ以上の県の負担は現状では困難であると考えております。
 なお、社会保障・税の一体改革では、国費を投入することにより、第1号保険料の低所得者軽減の強化が検討されているところであります。
 次に、介護職員の医療行為の法制化についてですが、社会福祉士及び介護福祉士法の改正により、平成24年度から一定の研修を受けた介護職員が、安全が確保された施設等において、たん吸引など定められた医療行為ができるようになります。利用者の方が必要なケアを安全に受けられるために、介護職員にたん吸引等を実施させる施設に対しては、医師、看護師等の関係者による連携体制整備など、施設内において一定の安全体制を確保するよう指導しているところです。
 また、これらの体制を整備している施設の介護職員を対象に、今年度からたん吸引等の研修を開始しているところであり、また、人員配置のあり方等につきましても、さまざまな介護現場の御意見等をお聞きしながら、利用者と介護職員の双方に安全なケアが実施できるように取り組みたいと考えております。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 知事と福祉保健部長から答弁をいただきました。
 2項目めについて、今、消費税増税については、暮らしの面からも中小企業の営業の面からも、10%にもなったのではとても立ち行かないという声が大きくなっています。消費税を増税すれば景気はより一層冷え込み、物は売れなくなり、経営を圧迫します。商店では消費税は売り値に転嫁できず、身銭を切って支払っている、10%になればとてもやっていけないという声が上がっています。しかも、先ほど言ったように税収はふえず、社会保障の財源も生まれてこないのではないでしょうか。
 知事は、今回の改革の内容や財源が明確でないという認識を示されましたが、その中で消費税増税だけが法提案されようとしています。県民をさらに苦しめる消費税増税を十分な議論なしに決めるなという声を上げていただきたいと思います。これについては知事はいかがでしょうか、ぜひ答弁をよろしくお願いしたいと思います。
 また、福祉保健部長には、地域福祉等基金に財源を積み増すということでおっしゃいましたが、この地域福祉等基金は保険料低減に使えないというものではないかどうか、もう一度確認をしておきたいと思います。介護保険サービスの質の向上を図る事業などに役立てるとおっしゃいましたので、そのこともあわせて再度確認だけさせてください。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私の考えは先ほど述べたとおりでございます。そういう観点からは、消費税を上げるなというのも一方的過ぎるし、逆に社会保障の改革をしなくてもいいというのも、これまたぐあい悪いということでございますので、先ほど申し上げましたような考え方になる次第でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 地域福祉等基金を活用しての減免制度についての再質問にお答えをいたします。
 介護保険法で法定の負担割合が、保険料では、65歳以上の第1号被保険者が20%、それから40歳から64歳までの第2号被保険者が30%、それから公費として国が25%で県12.5%、市町村12.5%と、議員も御承知のように、そういうふうに定められております。
 このため、65歳以上高齢者の第1号保険料の減免を実施する場合は、第1号保険料を財源とした、先ほど申しましたその20%の範囲内で、保険者であるそれぞれの市町村が対象範囲や減免の程度を検討して、条例等に規定して実施するべきものでございます。したがって、県の補助による全県的な一律の減免制度については、この減免の財源が基金であっても、一般財源であっても、県の法定負担割合を超えることとなるなど、制度の趣旨にそぐわないものであるため、実施は困難であるというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 知事に申し上げたのは、十分な議論なしに決めるなという声を上げていただきたいということをお願いしたので、そのことで本当にそういった議論をできるように積極的に訴えていただきたいなというふうに思っています。
 福祉保健部長に、地域福祉等基金へ積み足して、その活用は保険料低減なんかも含めてそのことをできないというわけではないというふうに、地域福祉基金の内容について尋ねて確認をしたいんですが、保険料軽減とかにも充てることはできないというものではないということですね。もうそれも含めてということで理解させていただくんですが。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 再度お答えいたします。
 地域福祉等基金の取り崩しにつきましては、高齢者のため、高齢者枠というのは中にあるんですが、それを使うに当たっては、高齢者のためであれば使えるということにはなってございますが、議員御質問の減免の制度につきましては、先ほど申しましたように、国とか県とか市町村の負担割合というのは決まってますので、それを一律減免するに当たって基金を使うなり一般財源を使うということは、それは負担割合がふえてしまいますので、そういう面で一律に減免するのは困難だというふうにお答えをいたしました。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 今度の保険料引き上げの問題についても、ぜひ県として最大限いろんな方法で市町村への支援も含めて考えていっていただきたいなと思います。
 項目の3つ目に行かせていただきます。
 産廃行政について環境生活部長にお聞きいたします。
 産廃に関しては、県は法令にのっとって適正かどうかのチェックをするという責任と役割があります。昨年の6月議会でも産廃問題について質問いたしましたが、今回も3点についてお聞きいたします。
 1点目は、最終処分場の埋め立て終了と処分場の廃止についてお尋ねいたします。
 これまで県が許可してきた安定型最終処分場は、延べ12事業者です。そのうち、取り消しが1、埋め立て中が3、埋め立て終了が4、処分場の廃止が4事業と聞いています。
 そこで、お尋ねいたします。
 処分場としての埋め立てが終わってから12年たって廃止されたところや、2004年に埋め立てが終了しながらいまだに廃止されていないところがあります。埋め立て終了から廃止にはどういう条件が必要ですか。また、埋め立てが終了してから廃止までの間で、水質基準を上回った事例はありますか。あればどのように対応されたのか。以上、お答えください。
 2点目は、和歌山市の山口地域の処分場計画についてお聞きいたします。
 住民の皆さんから9万筆の反対署名が和歌山市に届けられていると聞きました。県にも要望書が提出されたとお聞きしていますが、たくさんの住民から反対の声が上がっていることをどのように認識し、対応を考えていますか。
 最後に3点目は、紀ノ川産業についてお尋ねいたします。
 昨年6月議会でも取り上げましたが、今回の行政処分を出した理由と内容はどんなものか、お聞きいたします。
 いずれも環境生活部長、よろしくお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 最終処分場の設置者は、埋め立て終了後の水質及び悪臭等について、環境省令で定める技術上の基準に基づきまして適正に維持管理することが義務づけられています。最終処分場の廃止に当たっては、県に対し申請を行うことにより、環境省令で定める技術上の基準に適合していることについての確認を受ける必要があります。県は、水質の監視データ、そして現地における悪臭等の状況を十分に確認するなど、廃止の適否について慎重に審査しているところです。
 次に、未廃止の処分場について水質が基準を上回った事例はありますが、当事例につきましては、水質の継続監視を行った結果、基準を超えたのは一時的なものであり、その後、水質は基準内で安定しております。
 次に、和歌山市に計画されている最終処分場の設置計画については、和歌山市が許可権限者となっており、その審査に当たっては、計画が環境省令に定める技術上の基準に適合しているか、生活環境保全上問題がないかなど十分に検討を行い、許可する場合はその検討結果を住民に十分説明し、納得してもらう必要があると認識しております。
 今後は、和歌山市から設置許可の審査に当たり必要な助言を求められた場合は、適切な技術的助言を行い、適切な審査が行われるよう協力してまいります。
 次は、紀ノ川産業に関してですが、紀ノ川産業に対しては、最終処分場について必要な改善を命じるとともに、京奈和自動車道道路敷地への不法投棄を行ったことにより、許可を取り消したところであります。今回の行政処分は、生活環境保全上の支障が認められる不法投棄した廃棄物の撤去や、最終処分場における廃棄物の飛散流出防止及び水質改善などの措置を命じたものです。
 今後とも、当最終処分場に係る生活環境保全上の支障について改善が図られるよう取り組んでまいります。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 安定型最終処分場の廃止についてお聞きしました。埋め立て終了から廃止に至るまで、水質、悪臭等について廃止基準を満たすまでには相当長期間かかっている、なかなか廃止できないというのは、何らかの環境汚染が続いていると推測いたします。
 長期間かかることが問題で、早く廃止しろと言っているわけではありません。水質や悪臭などが基準に適合するところまで十分見きわめてから廃止されるべきですが、安定型最終処分場というのは素掘りですから、埋め立て終了後も環境に影響がなくなることを確認するまで相当な時間がかかる、そういうものだということで、だからこそ許可に際しては慎重な対応が必要だということを指摘しておきたいと思います。
 また、廃止までの間、水質や悪臭など、県民がデータの公表を求めた場合は、きちんと公開するよう求めます。紀ノ川産業への措置命令について、期限は本年4月20日となっていますが、最終処分場に放置された産業廃棄物の飛散及び悪臭や汚水について、住民の環境を守る立場から強力な姿勢で臨んでいただきたいと考えます。この点で決意のほどをお示しください。環境生活部長にもう一度答弁をお願いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 先ほども申し上げましたけれども、当最終処分場に係る生活環境保全上の支障につきましては、今後ともしっかりと改善をしてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に、要望をしておきたいんですが、法令では廃止後の水質検査など義務づけは特にないということで、県としては特に廃止後は水質検査などはしていないと言われていますが、産廃行政に対して住民の不安が続く中で、信頼が持てるようにぜひよろしくお願いしたいと思います。
 このことを要望して、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時34分散会

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