平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成24年2月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


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平成24年2月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成24年3月2日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第17号から議案第32号まで、議案第59号及び議案第70号、並びに継続審査中の
    議案第116号及び議案第117号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第58号まで、議案第60号から
    議案第69号まで及び議案第71号から議案第84号まで(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第17号から議案第32号まで、議案第59号及び議案第70号、並びに継続審査中の
    議案第116号及び議案第117号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第85号(当局説明)
 第3 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第58号まで、議案第60号から
    議案第69号まで及び議案第71号から議案第84号まで、並びに追加提出議案第85号(質疑)
 第4 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(2人)
 12番 川口文章
 16番 尾崎要二
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       野田寛芳
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      宇恵元昭
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     鈴木敏彦
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     森 勝彦
 会計管理者      米山重明
 教育委員会委員長   山下郁夫
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    片山博臣
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事班長       中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 過日提出のあった議案第33号から議案第37号まで、議案第56号、議案第57号及び議案第62号は、いずれも職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前10時0分休憩
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  午前11時0分再開
○議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第1、補正予算等議案、議案第17号から議案第32号まで、議案第59号及び議案第70号、並びに前会から継続審査中の議案第116号平成22年度和歌山県歳入歳出決算の認定について及び議案第117号平成22年度和歌山県公営企業決算の認定についてを一括して議題とし、順次、常任委員会委員長及び決算特別委員会委員長の報告を求めます。
 農林水産委員会委員長平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕(拍手)
○農林水産委員会委員長(平木哲朗君) おはようございます。
 農林水産委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託された案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。
 委員会は、2月24日、第4委員会室において開催し、農林水産部から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第70号は賛成多数をもって原案のとおり可決すべきものと決し、議案第17号及び議案第18号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る各委員の主な質疑項目を申し上げますと、農作物鳥獣害防止総合対策事業に係る減額補正の内容について、就農支援資金に係る減額補正の内容について、平成23年度土地改良事業施行に伴う市町村負担金についてただされました。
 以上をもちまして、農林水産委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(新島 雄君) 建設委員会委員長服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕(拍手)
○建設委員会委員長(服部 一君) 建設委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案5件であります。
 委員会は、2月24日、第5委員会室において開催し、県土整備部から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第24号、議案第25号、議案第28号及び議案第70号については全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件等に係る各委員の質疑項目を申し上げますと、道路関係予算の補正について、工事関係予算の積算方法について、土木施設災害復旧費の減額について、繰越明許費について、災害復旧事業における入札不調事案について、入札における新規参入特例の適用についてただされました。
 以上をもちまして、建設委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願いします。(拍手)
○議長(新島 雄君) 文教委員会副委員長坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○文教委員会副委員長(坂本 登君) 文教委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表記載のとおり、議案3件であります。
 委員会は、2月24日、第6委員会室において開催し、当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第21号及び議案第59号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 なお、同日、委員会終了後、所管事務調査として、県立星林高等学校において国際理解教育の推進について、また太田城址において文化財の保存・活用について現地調査を行いました。
 以上をもちまして、文教委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(新島 雄君) 総務委員会委員長岸本 健君。
  〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(岸本 健君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案6件であります。
 委員会は、2月24日、第1委員会室において開催し、会計局、人事委員会事務局、監査委員事務局、選挙管理委員会、県議会事務局、知事室、企画部、総務部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第22号、議案第26号から議案第29号までは全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る各委員の質疑項目を申し上げますと、会計局関係では、県証紙の取り扱いに関する今後の課題について、企画部関係では、文化・スポーツ振興助成事業の減額理由と今後の展開について、地域交通システム推進事業におけるバス購入の実績と要因、今後の取り組みについて、文化・スポーツ振興助成事業の映画制作のガイドラインについて、総務部関係では、職員住宅特別会計の繰越金について、台風12号応急復旧対策の内容についてただされました。
 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(新島 雄君) 福祉環境委員会委員長藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○福祉環境委員会委員長(藤本眞利子君) 福祉環境委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案3件であります。
 委員会は、2月24日、第2委員会室において開催し、環境生活部、福祉保健部の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第20号及び議案第30号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 また、公立大学法人和歌山県立医科大学より、寄附金問題に係る調査結果の報告を受けました。
 次に、付託案件等に係る各委員の主な質問項目を申し上げますと、福祉保健部関係では、国庫補助金の減額について、高齢者居宅改修補助事業について、生活保護の状況について、薬務費の減額について、財団法人和歌山県医学振興会について、県立医大の法令遵守について、寄附金について、調査委員会についてただされました。
 なお、同日、委員会終了後、所管事務調査として、県立医科大学附属病院紀北分院において、新分院の地域医療における役割と取り組みについて現地調査を行いました。
 以上をもちまして、福祉環境委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(新島 雄君) 経済警察委員会委員長山本茂博君。
  〔山本茂博君、登壇〕(拍手)
○経済警察委員会委員長(山本茂博君) 経済警察委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案付託表に記載のとおり、議案6件であります。
 委員会は、2月24日、第3委員会室において開催し、公安委員会、商工観光労働部・労働委員会の順に当局から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第17号、議案第19号、議案第23号、議案第28号、議案第31号、議案第32号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、付託案件に係る各委員の主な質疑項目を申し上げますと、商工観光労働部・労働委員会の関係では、土地造成事業会計の特別損失について、国際チャーター便就航促進事業についてただされました。
 以上をもちまして、経済警察委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願いいたします。(拍手)
○議長(新島 雄君) 決算特別委員会委員長向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○決算特別委員会委員長(向井嘉久藏君) 決算特別委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会は、9月定例会最終日の9月28日に設置され、同定例会に提出された議案第116号平成22年度和歌山県歳入歳出決算の認定について及び議案第117号平成22年度和歌山県公営企業決算の認定についてを閉会中の継続審査として付託されたものであります。
 委員会は、同定例会の閉会直後、議長より招集され、正副委員長の互選が行われ、委員長に私が、副委員長に山田正彦議員がそれぞれ選出されました。
 12月定例会において、さらに閉会中の継続審査とすることが決定され、審査は、本年1月10日から1月13日までの4日間にわたって予算・決算特別委員会室において開催し、当局から説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第116号及び議案第117号は、いずれも賛成多数をもって認定すべきものと決しました。
 次に、委員会での各委員の主な質疑項目を申し上げますと、こころの医療センター関係では、社会復帰、職場復帰の実績把握による効果測定について、医業未収金について、経営指標目標値の設定について、また公営企業課関係では、土地造成事業の現状と今後の見通しについて、企業との用地買収・賃貸契約について、歳入歳出決算の総括質疑関係では、入札の透明性について、教育委員会関係では、若手教員の養成について、高校卒業生の進路について、公立小中学校の適正規模化に係る市町村支援について、商工観光労働部・労働委員会関係では、緊急雇用創出事業臨時特例基金、ふるさと雇用再生特別基金活用事業の進行状況について、起業家支援施策について、わかやま館の指定管理について、企画部関係では、コスモパーク加太用地の利活用について、移住推進空き家活用事業の現状について、国際交流センターの指定管理について、農林水産部関係では、農業後継者の養成について、農林水産振興資金特別会計からの一般会計への繰り出しについて、公安委員会関係では、非行少年等の立ち直り支援事業について、孤立死に係る取り組みについて、検挙率向上のための施策について、選挙管理委員会関係では、ポスター掲示板の再利用について、選挙公報の配布方法について、環境生活部関係では、青少年の家が果たす役割について、ノーレジ袋推進の取り組みについて、太陽光発電導入促進事業によるCO2削減の効果について、福祉保健部関係では、認知症高齢者の現状と今後の対応について、和歌山県立医大の収入の把握について、紀州3人っこ施策の成果について、県土整備部関係では、木造住宅耐震化促進の進捗状況について、議会事務局関係では、本県における他府県等議会の視察の受け入れ状況について、監査委員関係では、平成22年度の監査における指摘、注意等の実績及び今後の監査方針について、監査委員による監査と外部監査の違いについて、会計局関係では、物品調達に係る支払いについて、知事室関係では、東京事務所職員住宅の管理について、県行政報告会の広報について、「県民の友」配布及びテレビ広報「きのくに21」について、総務部関係では、行政改革の状況について、職員住宅の整備計画について、不用額が生じた理由及びその分析について、南別館管理運営業務委託についてただされました。
 この際、今年度の決算特別委員会を代表して、当局の方々に申し上げておきます。
 日ごろの適切な事務執行、事務内容の把握は言うまでもありませんが、円滑な委員会運営を図るため、委員会審査に当たっては、さらに事前の準備と、提出していただく資料の数値等の正確性の確認、これらを十分にしておいていただきたいと思います。また、審査時にも申し上げましたが、議員の貴重な意見、提案等を今後の県政に反映させていただきたい、このことを申し上げます。
 以上をもちまして、決算特別委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。
 以上です。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、常任委員会委員長及び決算特別委員会委員長の報告が終わりました。
 これより委員長報告に対する質疑に入ります。
 質疑はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 質疑なしと認めます。
 次に、討論に入ります。
 奥村規子君から反対討論の通告がありますので、許可いたします。
 38番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 反対討論をさせていただきます。
 平成22年度決算の認定についての議案第116号、117号及び平成23年度補正予算にかかわる議案第23号、32号、70号について、いずれも反対の立場から討論を行います。
 平成22年度決算は、地方交付税156億円の増、前年の国庫支出金による経済対策が大きく繰り越される中、実質収支は44億1392万円の黒字となりました。同時に、地方交付税の財源不足を補う臨時財政対策債は532億円発行して積み増しされ、元利償還額は118億円、償還額合計の16.9%を占めるに至っています。
 税収など自主財源は減少しました。世界的金融危機からの景気悪化が続く中、法人事業税が大幅減となった前年度よりさらに3割減となるなど、県税が59億円も減収しました。しかも、廃止が予定されていた株式譲渡所得、配当所得に係る税率引き下げの特別措置が延長され、この影響額は4億5000万円に及びました。
 徴収対策の強化が強調されています。県税収入の中で、延滞金、加算金、過料等が前年度の5倍の収入に上っています。今、滞納への強制処分が生活を脅かす問題ともなる中、自主財源をふやすには、正規雇用の拡大など個人所得を引き上げる対策、景気を回復させ法人事業税をふやす対策こそ必要です。また、金持ち減税である株式譲渡や配当の所得への課税は、直ちに本則に戻すべきです。
 歳出面での問題です。
 深刻な雇用状況への対策として行われた緊急雇用創出事業、ふるさと雇用事業では、いずれも執行残を出しました。緊急雇用創出では当初予算額の約3分の2、ふるさと雇用では4分の3の執行状況に終わっており、より力を尽くすことが求められました。
 地域活性化・経済危機対策臨時交付金事業の地元発注状況では、消防・防災の部分では地元発注が56.9%にとどまっています。地域の仕事づくりのための交付金事業でありながら、そういう水準にとどまったことは残念です。
 景気や雇用状況が深刻な中、経済的な理由で進学をあきらめるケースが生まれてきました。高校授業料の無償化が始まった年であり、私立高校の授業料への支援も拡充されたことは評価できます。その中で、監査委員からの意見でPTA会費が学校の運営経費に充てられている事例があったと指摘されていることは問題であり、学校運営や環境整備の費用は公費で保障すべきであり、必要な拡充を図るべきです。それでも、教育費は前年比2.1%減となっています。
 教職員定数が前年より127人減らされましたが、教職員では県としての少人数学級分を国の定数内でやりくりしており、また定数内で非常勤講師を配置するなどの問題があります。非常勤講師を減らし、定数を維持すべきではなかったでしょうか。
 景気悪化、年金の引き下げや社会保障負担増で高齢者の生活も圧迫される中、生活保護の相談件数が年々増加してきました。しかし、申請を受理した件数が、その比率に比べ、伸びが低くなっています。平成18年度では相談件数の65%が申請に至っていますが、22年度では53%となっています。申請権を保障した生活保護行政になっているのか、問われるところです。
 こうした県民生活への支援の不十分さとは対照的に、誘致企業優遇の姿勢は続けられています。コスモパーク加太のカゴメ加太菜園の土地賃貸代金は、計画が縮小されたにもかかわらず、これまでどおり1平米100円の優遇が続けられています。平成26年度からは、中止した3期用地分18ヘクタールの分の賃料は支払われなくなり、年1800万円の減収となります。この際、賃料の優遇を見直すべきではないでしょうか。
 毎年指摘している問題ですが、和歌山北港に国のエネルギー港湾事業として建設されている南防波堤工事の県負担金は総額50億円で、22年度も負担しています。不要不急の工事であり、中止すべきです。
 次に、土地造成事業会計についてです。
 21年度から、一般会計から1億5700万円の補てんが始まりました。22年度では、約10億円売り上げで、前年度より6億円減少しました。
 最後に、中小企業高度化資金の滞納問題です。
 同和行政のゆがみにより、不透明でずさんな融資が行われてきたことで、平成20年度に26億4000万円、21年度に3億円が回収不能として不納欠損処理されました。今回、新たに償還率10%、13%のところなど3法人が破綻法人となっています。20年度の債権放棄時に、貸し付けの審査から回収までの過程をすべて明らかにするよう県議会の附帯決議が上げられていますが、それを重く受けとめ、償還を進めるとともに、融資そのものの過程の問題点を明らかにするよう求めるものです。
 補正予算関連議案についてです。
 議案第23号は、公営ギャンブルに反対の立場から賛成できません。
 議案第32号は、土地造成事業会計補正予算です。今補正予算で時価評価が採用されたことは評価するものですが、82億円の特別損失を計上することになりました。見通しの甘さを示すものであり、認めるわけにはいきません。
 議案第70号は、建設事業施行に伴う市町村負担金を求める議案です。一層の負担軽減を求める立場から反対です。
 以上申し上げて、反対討論を終わります。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、討論を終結いたします。
 これより採決に入ります。
 まず、議案第23号、議案第32号及び議案第70号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長報告は、いずれも原案可決であります。
 本案をいずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(新島 雄君) 起立多数であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 次に、議案第17号から議案第22号まで、議案第24号から議案第31号まで及び議案第59号を一括して採決いたします。
 本案に対する委員長報告は、いずれも原案可決であります。
 本案をいずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(新島 雄君) 起立全員であります。よって、本案はいずれも原案のとおり可決されました。
 次に、議案第116号平成22年度和歌山県歳入歳出決算の認定について及び議案第117号平成22年度和歌山県公営企業決算の認定についてを一括して採決いたします。
 本決算に対する委員長報告は、いずれも認定であります。
 本決算をいずれも委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(新島 雄君) 起立多数であります。よって、本決算はいずれも認定することに決定いたしました。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 お諮りいたします。議案第85号を本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 議案第85号を議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました議案について、御説明申し上げます。
 議案第85号は、政令2市の新規加入に伴う関西広域連合規約の一部の変更について議決をお願いするものでございます。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(新島 雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時30分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第2、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第58号まで、議案第60号から議案第69号まで及び議案第71号から議案第84号まで、並びに追加提出議案、議案第85号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 2月定例県議会冒頭の一般質問に立たしていただきます。
 この議会は、平成24年度予算初め県民のためにお役に立つ予算、そしてまた重要な条例が上程をされております。
 我々県民の代表であります議員も、大いに議論を闘わせたいと思っておりますし、また、がん対策条例案検討会初め、いろいろ政策も提案していきたいというふうに思っておりますので、議員諸氏、お互い頑張ろうではございませんか。
 それでは、通告に従いまして一般質問を行ってまいりたいと思います。
 まず1番目に、平成24年度当初予算と県政運営について5点伺います。
 1番目に、当初予算の基本的な考え方について、知事に伺います。
 昨年、私たちは、東日本大震災と台風12号水害を経験し、このとうとい犠牲を教訓に、改めて防災対策を練り直す決意をしたところであります。
 さらに、公共事業の重要性を再認識するとともに、「コンクリートから人へ」という、民主党政権では国民の安全は守れないことがわかり、もはやこれ以上任せておけないと痛感をいたしました。
 本県では、いつ発生するかわからない東南海・南海地震など大規模災害に対し、防災対策の見直しと充実は待ったなしの状況にあります。
 また、県経済は、海外経済の減速や円高の影響などにより、依然として厳しい状況にあり、経済が元気になる施策を積極的に講じる必要があります。
 こうした和歌山県が直面する大問題に加えて、福祉・医療・教育の充実、国体の開催準備など、対応すべき課題が山積する中で、財政の健全性も確保しながら予算編成をすることは、まことに大変だったと推察しますが、どのようなことに重点を置いたのか。知事の思いをお伺いいたしたいと思います。
○議長(新島 雄君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、世界経済の減速や深刻な円高による景気の一層の低迷に加え、特に当県では、台風12号災害からの早期復興や急がれる東海・東南海・南海地震への対策など、本県は大変いろんな問題を抱えております。
 こうした社会経済情勢を踏まえ、平成24年度当初予算では、次の3つの柱に重点を置いて予算編成を行いました。
 まず、災害に備えた安全の政策でございます。これは、3つぐらい問題意識がございますが、1つは地震・津波、2つ目は水害、特に台風関係、それから従来からある安全でございます。
 第1の点については、県民が住みなれた地域で平穏に暮らせるように、被害想定の見直しや沿岸部の学校、福祉施設へのライフジャケットの配備、防災教育の充実など、たくさんにわたります地震対策、津波対策の強化を盛り込んでおります。
 次に、台風12号関係では、12号災害そのものからの早期復興が引き続き多大の課題を持っておりますが、それによりわかりました洪水情報の充実等々を加え、また従来からある問題意識では、中小河川の浸水対策あるいはため池の対策、こういうものを急いで災害に強い県土づくりを着実に進めたいと思います。
 第2番目の柱は、福祉や医療を充実させる安全・安心の政策でございます。これについても、従来からさまざまな政策を充実させてまいりましたが、特に24年度では、親の虐待から子供を守るための対策、相談体制を強化するとともに、親に対する教育を充実するといった対策、それから県内どこでも質の高いがん治療を受けられるような体制づくり、そういうものに新たに取り組んでまいりたいと思います。
 さらに、新たな成長に向けた挑戦の政策でございますが、これについてもさまざまな産業政策を充実してまいりましたが、来年度は特に、県内産業の競争力強化に加えて、和歌山で育った若者が県内企業に就職できるように、そして和歌山を支えるように、そういう仕組みづくりに取り組んでまいりたいと思いますし、外国人観光客の受け入れ態勢の充実とか、あるいは農林水産業では競争力強化に向けた研究開発の推進、あるいは全体の若者の国際化、あるいは国際人の育成、そういう本県の飛躍につながる将来を見据えた政策に取り組んでもらいたいと思っております。
 これらの取り組みを踏まえまして、一般会計当初予算額は、4年連続で前年度を上回る5748億円と積極的な予算措置を行いましたが、一方でいろいろな工夫をいたしまして、歳出と歳入の最終的な差である収支不足額は約17億円にとどめました。
 元気な和歌山の実現に向けた新政策の重点的な推進を図りながら、これによって財政健全性の確保という課題にも対処した予算に仕上げたつもりでございます。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 和歌山県で県民に何を望むかといえば「高速道路」というようなことがよくアンケートで答えられるわけでありますけども、本当に願ってることというのは、やはりふるさとで生まれ育った子供たちが学校を出て就職するときに、和歌山へ残りたい人はみんな残れるようにしてあげるということが、私は究極の県政の目標でありますし、県民が望んでいることだと思います。
 知事は、経産省出身で、私たちはとにかく経済に元気をつけるために大いに頑張っていただきたいと思いますし、そういうことで頑張っていただいてると思います。24年度の執行に当たっては、そういう気持ちで大いに頑張っていただきたいということを期待申し上げておきたいと思います。
 続いて、2番目の今後の行財政改革の取り組みについて伺います。
 予算編成に関連して、行財政改革について伺います。
 今回、平成24年度を初めとする新行財政改革推進プラン(改定版)が示されました。政権交代や法律、財政、経済などが刻々と変化する中で、プランの見直しは当然のことでありますが、これまでの行革プランの評価と改定版の要点、さらに知事の思いをお伺いいたしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) このたび、御指摘のように、平成24年度から28年度までの5年間を取り組み期間といたします新行財政改革推進プラン──改定版でございますが──の素案を策定いたしました。
 これまで、この改定する前の新行財政改革推進プランに基づきまして、財政の危機的状況を回避することを喫緊の課題としていろいろ取り組んでまいりました。特に、職員数の削減等による人件費の抑制あるいは事務事業の見直しなどにいろいろ取り組んだ結果、単年度収支不足額は段階的に圧縮が進んでまいりまして、財政調整・県債管理基金残高も、プランは最終年度で22億円ぐらいかなあということだったんですが、200億円ぐらい確保いたしまして、持続可能な財政構造への転換に向けて着実な成果を上げたと思います。
 ただし、今後は、水害復興あるいは防災対策、それから紀の国わかやま国体などの行政需要が見込まれておりまして、毎年一生懸命政策の充実に励んでおりますものですから、これ以上一本調子で人間の数を削減していくのはちょっと難しいかなあというふうに思っております。
 一方、それをやめて、その結果、またもとのもくあみというわけにはまいりませんので、これまで頑張ってきた、改善されてきた財政状況を悪化させないようにするというバランスも必要だと思います。
 そこで、両方考えまして、行政需要に応じた適切かつ最小必要限の体制の構築と、それから将来発生が見込まれる多額の財政需要にも適切に対応しながらやっていくということで、財政調整・県債管理基金は大体最終年度でも100億円を堅持するようにしておいて、それで具体的には、事務事業の一層の見直しとか、あるいは知事部局等におけるさらに40人の職員削減、あるいは歳入確保の推進などによりまして170億円の行財政改革を進めて、同時に新たな行政需要にも適切に対策した上で、今のような行革を達成して財政の健全性を確保するということが今回の改定版の目標でございます。
 どうぞ、よろしく御理解賜りますようにお願い申し上げます。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目に、地方公務員の給与削減について伺います。
 東日本大震災の復興財源を捻出するため、国家公務員給与を削減する法案が去る2月29日に可決されました。
 この法案は、国家公務員の給与を平均で0.23%引き下げるよう求めた人事院勧告を昨年4月にさかのぼり実施することに加えて、平成24年度から2年間は人事院勧告分も含めて平均で7.8%削減することが盛り込まれており、約6000億円の財源が東日本大震災の復興に充てられるそうです。
 このこと自体は大変結構なことでありますが、この法案が衆議院総務委員会で審議が行われたとき、地方公務員の給与削減についても、「地方自治体が法案の趣旨などを踏まえて自主的かつ適切に対応する」という文言が附則に追加されたと伺います。
 しかし、本県を含め地方自治体では、これまでも、給与の削減はもとより、定員も削減し、行財政改革に取り組んできており、今まで何もやってこなかった国が急にやることになったからといって、地方に口出ししてくることはいかがなものかと思います。
 既に地方6団体からも国に対して反対の意思を伝えていますが、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 2月29日、国において国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律が可決されまして、地方公務員の給与についても、地方公務員法及びこの法律の趣旨を踏まえ、地方公共団体において自主的かつ適切に対応するよう規定されております。
 都道府県では、実態を調べますと、先ほど5年間の行革の話を申し上げましたが、もうちょっと長くとりますと、平成11年以降、国に先行いたしまして、すべての都道府県で累計2兆円を超える独自の給与カットを実施しております。また、国の非現業の職員数が、これはちょっとしか減ってないんですけども、それをはるかに上回る2割弱もの職員数の削減を実施しとるというのが現状です。
 本県においても、行財政改革に積極的に取り組み、平成13年度からの11年間で考えますと、給与カットによりまして約97億円の人件費を削減し、それから17.5%、約3300人もの職員数を削減するなど、これまで財政状況等を勘案して総人件費を削減してきた我々としての努力の結果があります。
 その努力全体で見ないといけないので、今回の7.8のところだけを見られるというのはおかしいなあというふうに思っておる次第でございまして、今後、地方財政対策など、国の動向及び他の都道府県の状況を注視しながら、今の考え方をもとに、適切に頑張って対処してまいりたいと思います。
○議長(新島 雄君) できれば挙手をいただけたらありがたいです。
 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 4番目に、社会保障と税の一体改革について伺います。
 世界に類を見ない少子高齢化が進行し、社会経済状況が激変する中、国民生活の安心を確保するためには、社会保障制度を根本的に改革する必要があることは論をまちません。
 そこで、政府は、社会保障改革の全体像とともに、必要な財源を確保するため、消費税を含む税制抜本改革の基本方針を示すべく議論を進め、昨年6月に社会保障・税一体改革成案を決定し、その基本的な考え方や具体的な改革内容に従って、さらにその内容を具体化した社会保障・税一体改革大綱を本年2月に閣議決定しました。
 現在、閣僚が全国11会場に出向いて、きょうの不安をあしたの安心のためにと称して対話集会を実施しています。
 しかし、新聞報道などによると、安心どころか、集会では国民理解が進むというより、消費税増税に反対する意見が多数寄せられているということであります。
 与党民主党内でも、有力者である小沢一郎氏が反対しており、総理がみずから説得に当たるべきとの声が上がっております。また、社会保障の内容が十分詰め切れていないことから、増税が先行するとの報道もあります。
 そもそも、政権交代をした2年半前の総選挙では、民主党は消費税の増税は少なくとも4年間はやらないと言っていました。子ども手当など集票効果のあったマニフェストの財源16.8兆円の出所を聞かれたら、無駄を省き、埋蔵金を掘り起こせば十分捻出できると主張していました。事年金に至っては、毎月7万円の基礎年金を支給すると言っていたのではないでしょうか。
 政治は最高の道徳と言われることがありますが、「うそつきは泥棒の始まり」ということわざもあります。果たして知事は、福祉と経済を両方担当する県政の責任者として、社会保障・税一体改革についてどのような評価をされていますか、御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、少子高齢化の進展や、あるいは雇用形態が変化する中で、近い将来、我が国の社会保障制度がこのままでは維持していけなくなるんではないかという強い危機感を感じております。
 そういう意味で、社会保障の保障制度の機能を維持し、制度の持続可能性を確保するための改革が必要でありまして、そのために最後の財源である消費税を充てるということは理解できるとずっと言っております。
 しかし、ということは、最後の財源でございますので、これを上げることで日本がずうっと安泰になるということがみんなに理解できないと、なかなかつらいのうということでございます。
 そのための改革、やることはたくさんあると思いますので、それをきっちりやるということを示さないと、なかなか理解が得られないんじゃないかというふうに考えます。
 現在の閣議決定された社会保障・税一体改革大綱では、新しい年金制度の創設を初め社会保障改革やその財源についての内容が、どうも今申し上げましたような長い目で見たときの国家の安泰とか社会保障制度の持続とかいう点から、本当にそうなのかということについて、私は確証に至っておりません。
 したがって、将来の見通しをしっかり立てて、社会保障と税の一体改革の必要性をこの際国民的に徹底的に議論して、それでその上で国民の理解を得つつ、これを進めていくということが大切だと考えております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 5番目に、職員の秋採用について伺います。
 去る1月20日、東京大学が、およそ5年後をめどに秋入学制度を導入する素案を発表しました。早速、4月から旧帝国大学や早慶など11大学と協議を開始するほか、経済界にも協議を呼びかけるとしています。
 これは、我が国のように4月入学を実施する国は少数で、世界の大学と交流を深め、優秀な学生を受け入れるためには世界標準がよいとして、濱田純一総長の強い思い入れで進められています。
 制度的には、法改正により、平成20年から各学長の判断で実施できることになっています。
 最近のアンケートでは、国立大学を中心に3割から4割前後の大学が評価し、導入を検討すると回答しています。
 また、経団連や経済同友会など経済団体は、おおむね理解を示しており、政府でも、このほどグローバル人材育成推進会議を開き、秋入学について各省で議論をすることが報道されています。
 秋入学については、春に高校を卒業してからの半年間をどう過ごすかというイヤーギャップの問題や、ほかの学校制度、社会制度に影響する大きな問題ですが、既に早稲田や慶応、上智大学では実施されており、今後進展する可能性があります。
 そこで、知事の秋入学に対する評価と、本県職員採用試験への導入の可能性についてお伺いをいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のように、現在、東京大学などが検討している秋入学につきましては、どの程度広がっていくか予想は余りつきませんけれども、しかし一部の大学において少なくとも導入されて、そこから秋に卒業生が出てくるということになりました場合は、本県においても、優秀な人材を確保するために、春に加え、秋の採用も実施すべきだと私は思います。
 なお、本年度は、ちょっと理由が違いますが、本年、台風12号による災害からの復旧・復興等で繁忙をきわめましたので、本年春の採用予定者の中から臨時的に数名を昨年の秋に採用するなど、柔軟に対応させていただいたところでございます。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大きな2番目といたしまして、防災対策として被害想定の見直しについて伺います。
 未曾有の大災害となった東日本大震災を受けて、中央防災会議では、平成23年8月28日、南海トラフの巨大地震モデル検討会を設置し、近い将来起きる東海・東南海・南海地震の想定を見直すことにいたしました。
 ことしの3月から4月ごろには、最終取りまとめとして最大クラスの震度分布、津波高等の推計結果が公表をされます。
 本県では、東日本大震災以来、東南海・南海地震対策について総合的に見直しをしてきております。特に、今春、今申し上げた最大クラスの震度分布、津波高等の推計結果が公表されることに合わせて、新年度予算において、地震・津波被害予測調査、河川津波遡上シミュレーション調査の予算を計上しておりますが、いよいよ迎えた本番とも言うべき想定地震の見直しに、知事はどのような御見解をお持ちでしょうか、お伺いをいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のように、現在、国の中央防災会議におきまして東海・東南海・南海地震の被害想定の見直しについて議論されておりまして、どうも今月末とか、あるいは4月とか、はっきりしませんが、近く震度分布、津波高等の推計結果が公表されると聞いております。その結果によっては、当然我が県におけるハザードマップ等々の見直しが必要であると考えております。
 これを予測しておりましたので、県といたしましては、これまた御指摘のように、予算案にそのための予算を盛り込ませていただいておりますが、4月といたしますと、公表を受けて、精緻な被害想定、浸水予想図の作成などに着手する所存でございます。そのための予算は結構かかりますので、約1億円計上させていただいております。
 完成後は、これを市町村に基礎データとして提供することで、市町村に対して地震・津波ハザードマップの修正を促していくということになるかと思います。
 しかしながら、幾ら精度を高めたとはいえ、想定は想定であります。自然災害ではどんなことも起こり得るということを念頭に、やはり命を守るためにはまず逃げるということが非常に大事でございますので、我々よくやっている避難三原則などの防災教育あるいは啓発、それから防災訓練等々も含めて力を入れ、さまざまな対策を講じていきたいと思っております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大きな3番目といたしまして、沖積平野の津波対策について伺います。
 まず、ハード整備の必要性について伺いたいと思います。
 さて、東南海・南海地震対策については、今も知事も言われましたけども、現在、通常起きる規模の地震と1000年程度で起きるかもしれない地震の2つを想定しており、通常よく起きる地震に対してはハード整備を行いますが、1000年に一度起きる大地震に対しては、もうハード整備は行わないでひたすら逃げろというような雰囲気があります。
 これは明らかに間違いで、東日本大震災でも、津波から村を守った普代水門や太田名部防潮堤、道路以外の機能を果たした仙台東部道路などがあります。また、今日では失敗と言われた釜石湾口の大深度防波堤も、津波の衝撃力を減衰したと言われております。12号台風では、砂防堰堤があるところとないところでは運命を分けました。
 実際に、御坊市のような沖積平野にある市街地では、約1万人という単位で平野周辺の高台へ避難することは大変困難で、果たして避難塔のような施設に収容できるのかというと、これも難しいものではないかというふうに心配いたしております。
 南海地震のような巨大地震は数分間も揺れ続け、地震がおさまっても腰が抜けて逃げられないと想像しておりますが、実際に東日本大震災ではそういう事例が報告されています。また、家具の転倒や住宅の倒壊で負傷して逃げられない、避難路の障害物で逃げおくれるということもあるでしょう。昭和の東南海地震では新宮市街が半焼したように、火災で逃げられないことが十分予想されます。
 そこで、伺います。逃げる場所が限定される沖積平野の市街地など避難が困難な地域において、やはり防潮堤や水門などのハード整備を十分行うことが必要と考えますが、知事はどのようにお考えでしょうか、御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東日本大震災を教訓とした中央防災会議の報告におきましては、比較的頻度の高い津波に対する海岸保全施設等の整備と最大クラスの津波に対する住民避難を軸とした総合的な対策という2つのレベルの想定と、それぞれの対策が示されております。
 しかしながらというか、したがってというか、ハード、ソフトとも両方大事であるということはもう明らかでございます。
 特に、議員御指摘のような逃げる場所が限定されるだらだらと広がった平野、低地、こういうところについては、現在の国において行われてる想定地震の見直しの検討結果を踏まえ、特に最大クラスの津波からの避難対策について、ハードウエアの対策も、ソフトもそうですが、両方考えていかないといけないということだと考えております。
 とりわけ、御指摘のように、防潮堤あるいは護岸、それから今回早急に手を打とうと思っております陸閘とか水門とか──後者は自動化、陸閘はふたをしてしまうとか──そういうような対策も含めて、たくさんのハードウエアをやっぱり変えていかないといけないというふうに思います。
 さらに申し上げますと、津波被害が予想されるようなまちの市街地あるいはその隣接地に避難場所としての高台を計画的に、長期的につくっていくということとか、あるいはもっと長期的になるかと思いますけれども、住むところを少しずつ高いところに移していくというようなことも必要ではないかと、特にかなりの南部については必要じゃないかというふうに思いますので、そういうことも関係部局に指示を出して、これから考えていきたいと考えてるところでございます。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 2番目に、堤防強化について伺います。
 津波が遡上し、堤防から越流する心配をして、堤防の強化やかさ上げの必要性を以前から主張してまいりましたが、新年度予算案に河川津波遡上シミュレーション予算2500万円が計上されました。大いに評価すると同時に、今後の取り組みに期待をいたします。
 さて、霞堤防もある日高川初め県内河川の津波対策をいかに進めるのか、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東日本大震災では、河川を遡上した津波が河川堤防を越えて沿岸地域に甚大な被害をもたらしたということなので、河川を遡上する津波への対策が重要であると、議員御指摘のとおりでございます。
 このため、県では、国において行われている想定地震の見直しの検討結果を踏まえまして、また昨年9月に出されました河川津波対策についての国からの通知に基づきまして、日高川を初め県内の主要な河川で津波遡上シミュレーション、こういうものをやっていこうと、あるいは河川堤防の耐震耐津波点検を実施しようというふうに考えております。
 これらの点検結果によりまして対策が必要と判断される箇所については、優先順位を決めまして、堤防のかさ上げとか、あるいは強化とか、そういうものをやっていかないといかんというふうに考えております。もちろん、ソフト対策が大事だというのは言うまでもございません。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目に、海岸事業費の増額について伺います。
 知事は、東日本大震災、12号台風以前から河川整備の必要性を説かれていましたが、津波対策としては河川同様に海岸整備も必要と考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在、地震につきましては、特に東海・東南海・南海地震につきましては、想定地震の見直しの検討が行われているところでございますが、この結果を踏まえて、各地域において防災・減災対策において検討される必要があると考えておることは、先ほど申し上げたとおりでございます。その中には、当然、海岸事業費、海岸事業というのもありますので、所要の予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
 なお──というか今年度の話でございますが、特に東日本大震災を踏まえ、防災・減災対策の総点検を実施しました。その結果、さまざまな案件が明るみに出てまいりまして、水門の自動化とか陸閘の廃止とか、そういうのがたくさんメニュー化されてきております。そのための予算を重点的に24年度予算についても盛り込んでおりますので、海岸事業費についてはかなりの増額になってるということでございます。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大きな4番目といたしまして、県立医科大学の不適正経理について伺います。
 1月5日、「毎日新聞」に県立医科大学の不適正経理が報道されました。記事によると、県立医科大学の元教授が在籍当時に、医師を派遣した病院から現金を受け取りながら医局の裏金として使用したのではないかというものでした。
 私は、記事を読んで特に腹立たしいと思ったことは、県内では医師不足と言いながら県外の病院に派遣していることで、しかも、そこから研究費といえども金をもらうということは許せないことだと思いました。
 同時に、疑問もいっぱいでした。派遣したからもらったのか、もらったから派遣したのか。一体、派遣決定の経緯はどうだったのか。寄附金と派遣先の関係はどうなっているのか。医局会計の実態はどうだったのか。寄附金の性格は、税法やその他の法律ではどういう性格のものか。他の医局ではどうなっているのか。正式寄附金会計とは。透析患者の紹介料の実態は。また、文科省の研究費を不適正に支出したとして返還をしましたが、返還の財源は医局会計から支出したという話も聞くが、実態はどうだったのか。
 報道を受けて、医科大学では、弁護士や会計士もメンバーとする委員会を学内に立ち上げて調査し、去る2月8日、学長が会見を開き、調査結果を公表しました。
 その調査報告書を読んだ感想は、私のような門外漢でも、とても誠実に調査したとは思えない内容でした。
 さらに疑問が深まりました。例えば、調査の日時、方法が不明であること。調査資料や記録は公文書管理法の対象になると思うが、実在するのか。調査の協力が得られなかった人がいたと聞くが、それはだれか。なぜ協力してもらえないのか。特に、出納帳がないということは信じられません。もしそうだとしても、現金で保有してないなら、銀行口座を調べればわかることではないか。Aさんが平成22年10月に雇用が解消されたという意味は何なのか。Bさんが23年12月に退学した理由は。全医局会計に不明朗な入出金がなかったと言うが、何をもってないと言えるのか。その証拠は。記事のもととなった大阪の病院からの資金提供の事実はなかったのか。恣意的な配置は認められなかったと言うが、証拠は何か。そもそも、この報告書で説明したと考えているのか。また、正式寄附金会計というものがありますが、今回の質問に当たり、資料としてその内容を伺いました。1件当たりの金額の大きさと数の大きさに驚きました。適正な奨学寄附金ということですが、そんなにたくさんの寄附をしてくれるような立派な研究が多く行われているのでしょうか。寄附者には、一般の企業や団体からの寄附は余り見当たらず、やはり民間病院と製薬会社などの納入業者ばかりが目につきました。そして、議会への説明は、福祉環境委員会で説明したことで終わったと考えているのか等々であります。
 そこで、知事に伺います。
 今回の報告をどのように評価されましたか。私は、よくわからないことばかりですが、知事自身、満足されているのでしょうか、御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県立医科大学腎臓内科・血液浄化センターに係る新聞報道に対する調査結果につきましては、御指摘のような報告をまとめ、発表する前ですが、県立医科大学の板倉学長と調査委員会の宮下委員長から報告を受けました。
 今回の一連の事件は、かつて大学に一般化していて、それでいろいろな批判を受けて、ほとんど整理されていった、そういう古い体質がまだ残っておったということだというふうに思っておりまして、こういうのは残っていっちゃいけないので、徹底的に正していかないといけないと思っております。
 ただ、横領とか、あるいは贈収賄とか、そういうものはないと報告されておりまして、私もそれはそうだろうなというふうに思っています。
 今後は、以前の慣例はとにかく直すと言われていて、もう一切きちんとしていきますというふうに言うとるので、そうしてもらいたいというふうに申し上げましたし、思っております。
 そうした意味で、全体の本質と、それから今後そういうことを許しちゃいかんという点では、調査結果については別に文句はございません。
 唯一不満な点は、そのときも申し上げましたが、事情聴取に応じなかった某大阪堺市の病院があるんです。こういうものはけしからんと思いますので、私は民間病院名を公表すべきだと言ったんですが、それはされてませんけれども、それだけが不満な点でございます。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 続いて、今回のことも含めて医大の不祥事は、平成20年から4年間で新聞に報道されただけで12件もあります。不祥事が続く原因は、統治、いわゆるガバナンスができてないということではないでしょうか。
 かつて、法人化するときの説明では、独立大学法人になれば、県の負担は毎年1%ずつ軽減され、自主的に大学が経営され、しかも優秀な人材が集まり、地域医療も進展するということでありました。しかし、実際は、平成24年度も予算案に40数億円の運営交付金が計上されています。多額の税金を投入しているにもかかわらず、言うことは聞いてくれなくなったという印象であります。
 そもそも、独立大学法人を定めた法律自体、有効だったのかと私は思っています。私は、管理責任を問いやすい直営がいいのではと考えております。少なくとも、今回のことで経営と運営が分離すべきであるというふうに考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大学の運営に当たりましては、大学人ならではの専門的な知識というものも期待しますし、あるいは大学の自治とか自主権が与えられることによって大学関係者が張り切っていろいろやろうという自発的な向上心とかやる気、こういうものが高まっていくということも期待されるところです。
 現在、和歌山県立医大は、板倉学長のもと、全学を挙げて地域医療の充実とか、あるいはさまざまな改革に取り組んでいると考えています。
 それからまた、医大のさまざまな指標があります。全国の中での順位とか、そういうのも結構上位にありまして、そんなにだめ大学ではないと思います。
 今のところ、そういう点では、その医大の活動について、不祥事はきちんと正していかないといけませんが、大問題だとは私は思っておりません。
 それからまた、大事な医大の方針、これは県で中期目標を定めまして議会にお諮りし、それに沿って中期計画を医大でつくっていただいて議会へ報告するということになっておりまして、こういう形を使いながら、地方独立行政法人としてしっかりやってもらうというふうに考えたらまあいいんじゃないかと現在のところは思っております。
 県としては、任せっ切りというわけにいきませんので、ちゃんと中期目標が達成されているか、中期計画をきちんとやっとるか、そういうことと、それから日々いろんな問題意識が生じますから、そういう問題について、どう解決していくかということについて常に話し合おうということにしております。
 ここで、月一遍ぐらい、これは議会でも申し上げましたが、連絡協議会というのをつくって意見交換をしております。その中で、今申し上げましたような観点から、適切な指導を行ってまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 医科大学のことにつきましては、県議会も主体的に、大いに私も取り組んでいきたいというふうに思っております。
 大きな5番目につきまして、質問を移りたいと思います。
 放置竹林について伺います。
 今やとどまるところを知らない獣害でありますが、果樹試験場から、放置された竹林がイノシシの重要なえさ場になっているという、そういう報告がありました。そして、報告によると、かんきつ類が少ない4月から6月にイノシシがタケノコをいっぱい食べて、それで子供を育ててる。その竹に除草剤を入れて枯れされて竹林を根絶したら、えさがなくなって幼獣が育たなくなって獣害が減るという、こんなレポートを出してくれております。
 今、竹林がある里山というのは、もう本当に危機的な状況になっております。人が入らなくなって里山が守られなくなったということであります。この里山をきちんと管理することが獣害対策になると思っております。
 かつて、有用だった竹や建築材、それから日用材として、もっと使えるように我々もしていかなくてはならないわけでありますけども、この放置竹林を何とか管理をするということが大切だというふうに思っております。
 今後とも、ぜひ県でも取り組んでいただきたいと思いますが、農林水産部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県では、これまで農作物の鳥獣害対策として、捕獲に重点を置きながら、防護さくの設置、えさ場の解消などの環境整備を総合的に実施してまいりました。
 県の果樹試験場の研究成果にもあるように、放置竹林がイノシシのえさ場となっており、竹林を枯らすことにはイノシシを圃場に寄せつけない一定の効果があるものと認識しております。
 こうしたことから、今後、えさ場となる竹林については、鳥獣害防止対策交付金の活用による刈り払いを行うほか、里山整備の観点から、紀の国森づくり基金の活用をお願いし、平成24年度より市町村や地域住民等と協働して新たな放置竹林対策を進めてまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 最後に、熊野古道王子跡を活用した誘客について伺いたいと思います。
 平成15年に、県議会の有志でスペイン・ガルシア州を訪問いたしました。大変すばらしいところだという、そういう印象でありますが、特に印象に残ったのは、熊野古道と姉妹道であるサンティアゴの道であります。この道の終わり近くにあるまちを見おろす丘は歓喜の丘と呼ばれ、長くつらい旅路の果てにようやくたどり着いたときに、サンティアゴ・デ・コンポステーラを目の当たりにして、みんな歓喜に打ち震えるのだそうであります。
 ちょうど熊野にも伏拝というところがあり、都からの旅の終わりに大斎原の鳥居を見て伏し拝んだという故事を思い出します。洋の東西を問わず、宗教に関係なく、人の感じること、考えることは同じだなあというふうに思いました。
 さて、熊野もうでは、熊野三山に参拝するだけではなく、旅すること自体が修行であり、大いに意味のあることだと言われております。また、古道に点在する王子は、休憩所ではなく、奉幣や経供養などの儀式が行われ、参拝者の庇護を祈願する重要な施設でありました。俗に熊野九十九王子と言われますが、99カ所あるわけではなく、たくさんという意味だそうで、時代によって増減したようであります。
 紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産になり、和歌山の自然や文化は世界に誇れるすばらしいものとの自信を持ちました。しかし、熊野古道では、世界遺産に登録されたのは中辺路と大辺路などで、紀伊路だけは取り残されました。確かに古い姿を残すことも大切ですが、熊野もうでの神髄は長い旅路を歩いて熊野に到達することにあり、世界遺産にはならなくても、歩いて旅することの意義を改めてアピールできないかと思います。
 幸い、昨今は健康志向が強く、ウオーキングもブームです。JR紀勢線は、古道沿いにあり、一度に歩けなくても区分けして歩くのに大変便利です。幸い、王子は歩くのに適当な距離に配置されています。
 そこで、王子を現代に復活させ、古道歩きを楽しむ旅人の支援拠点として整備してはどうかと考えますが、知事の御所見を伺うものであります。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のように、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」につきましては、平成26年に登録10周年を迎えるわけですけれども、県では、熊野参詣道、紀伊路など一部区間において世界遺産エリアの拡大を実は目指しているところでございまして、これ、ステップが要るんですけれども、頑張っていきたいと思っております。
 誘客促進策の1つといたしましては、県内外から訪れる旅行者に参詣道を安心・安全に歩いてもらうために、熊野参詣道、紀伊路を初めとした参詣道ウオークマップを整備しております。
 今年度は、さらに高野山の参詣道とか高野七口ウオークマップを制作するとともに、参詣道の魅力について、メディア露出やホームページなどで積極的に情報発信を行い、誘客に取り組んでおります。
 御指摘の熊野参詣道、特に紀伊路や中辺路の沿道に点在する王子社は、いにしえ人が参拝やみそぎを行うとともに、休憩や宿泊をとった、そういう記念すべき場所であります。
 現在の王子社跡は、熊野古道特有の重要な観光資源と認識しておりまして、滞在時間の長期化、あるいは特にリピーターをねらって、ある種の人は、コレクションマニアの人が多いもんですからスタンプラリーをやろうということで、まず手始めに中辺路を開発し、それから次に大辺路と高野山の、何だったっけ、ちょっと忘れましたが──高野山の(「町石道」と呼ぶ者あり)済みません、町石道を追加いたしました。
 これは、スタンプラリーを置くべきところというのは、主として実は王子社に置いておりまして、王子社を回っていただくという、そういう仕掛けをつくってるわけでございます。
 今後は、さらにそれを紀伊路にも広げて、それで和歌山県、あとは小辺路とか奥駈とかの他県に行くところがありますけれども、ただ、そういうところはちょっと置いといて、紀伊路などの王子社の跡の活用も必要であると思いますので、文化財の指定状況や旅行者の利便性等を考慮しながら、この設置拡大に取り組むということをやっていきたいな、そんなふうに思っております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔「終わりました」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。(拍手)
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 昨日は奈良のお水取りも始まりまして、一日一日と春めいてくるきょうこのごろですが、先ほど中村議員もおっしゃったように、しっかりと議論を尽くしていきたいなというふうに思います。
 本日は、分割方式で、4項目について議論をしてまいりたいというふうに思いますので、しばらくの間、御清聴、よろしくお願いいたします。
 まず、教育問題についてお聞きをしたいというふうに思います。
 昨今は、大阪の橋下徹市長の話題が新聞に載らない日はないぐらい、橋下市長率いる維新の会の動向が注目をされています。私的には、マスコミもちょっと取り上げ過ぎと違うかという思いもあります。維新八策など、人気の高い龍馬にあやかってのネーミングはマスコミ受けするなあなどと思う反面、私自身、1人の政治家として、地方の自治等については共感する部分はありますが、特に教育にかかわっては大きな疑念を持っています。
 橋下市長はいろいろ発信されていますが、本日は、政治と教育、学力とは何かといった教育の本質的な部分の見解についてお聞きをしたいと思います。
 まず第1点として、今、教育の本質が大きく変えられようとしている大阪府教育基本条例案、その中でも教育行政基本条例について、知事並びに教育長、教育委員長の見解をお聞きしたいと思います。
 大阪府教育基本条例は、昨年9月、府議会と市議会に議員提案をされました。一たん取り下げられまして、その後、ダブル選挙の当選結果を受け、首長提案として教育基本条例案が再度提示されています。
 知事も教育長も、維新の会が昨年の9月に議員提案した教育基本条例をお読みになったかと思います。第9章から成る条例案は、前文と目的、基本理念を1ページに示し、児童生徒の教育を受ける権利については3行、その後の17ページほどは、すべて教職員の人事や処分に関する条項で埋められています。教育基本条例とは名前をつけるにもおこがましい、職員処分条例というふうな、そんな感じです。
 また、最初の大阪府教育基本条例第1章第1条の目的に、「この条例は、教育基本法、学校教育法、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、その他国の法令が定める教育目標を府において十分に達成するべく、これらの法令を補完することを目的とする」と定めています。法令を補完することが目的であるにもかかわらず、教育基本法、教育地方行政法、教育公務員特例法等々に抵触すると、自由法曹団が9項目に及ぶ問題点を指摘しています。法治国家において法に抵触する、そういった条例は許されないと考えます。
 その後、教育行政基本条例案が最終的な形で提案されていますが、その内容は、教育への知事の関与を大きく認めているものとなっています。教育目標も、知事は府教育委員会と協議をして教育基本計画の案を作成する、教育委員の罷免の部分でも知事が罷免理由を判断するといった内容になっています。
 今さら言うまでもありませんが、戦後の反省から、教育はその時々の政治権力によってゆがめられてはならないとされてきました。それゆえに、教育委員会は知事や市町村からの独立性を保障されてきました。
 大阪府の教育改革は、教育委員会という制度の不備に対応していると言われていますが、私は明らかに方向性が間違っていると考えます。教育とは百年の計と言われています。早急な結果のみを追うのではなく、地道な取り組みこそ評価されるべきものだと考えます。
 文部科学省は、大阪府教育委員会からの問い合わせに応じ、昨年の12月に、知事による教育目標の設定は地方教育行政組織法に抵触すると回答していると聞いています。
 修正された大阪府教育行政基本条例には、教育目標を知事と府教委が協議して教育基本計画を作成するとしています。また、この教育目標実現に責務を果たさない教育委員は罷免できるとの内容も盛り込まれています。
 そこで、まず知事、教育長、教育委員長に、教育の政治的中立性についてどのように考えられているのか、見解をお伺いします。
 あわせて、今回提案された教育行政基本条例案に示されている、知事が教育委員会と協議し目標を定めることや、教育委員の点検及び自己評価の結果に基づいて知事が罷免理由に該当するか判断できる等が盛り込まれています。これでは、知事の定めた教育目標に達成できない教育委員は知事が罷免できる内容となっています。私は、これは地方教育行政法の教育委員の罷免理由に該当しないと同時に、教育の政治的中立性を保障しているものと言えないと考えますが、知事の御見解をお伺いします。
 次に、学力テストについてお伺いです。
 大阪教育基本条例の問題点として、この条例案は、競争強化の理念で貫かれており、競争することで何もかも解決するといった印象を受けるということです。
 学力テストの結果で教員を評価し査定する、学力が低く生徒が集まらないとされる高校は廃止するなど、思いつきの言いたい放題といった印象です。
 学力を保障することは、教育の中では最も重要なことだと思います。しかし、私は、子供たちを点数のみで評価し、競争に追い立てることが学力に結びつくとは到底思えません。
 国が学力テストを始めたのは1956年からですが、当時は抽出で実施、1961年から中学校2~3年生を対象に悉皆調査となりました。しかし、その結果、県別の成績比較やテスト準備が公然と行われるようになり、いわゆる弊害が出始めたため、1966年に打ち切られています。その後、1982年に一部学校で、2007年に全小中学校で全国学力テストが復活して現在に至っています。
 橋下市長、当時知事は、この全国学力テストの結果を受け、大阪府の成績が芳しくないことから、学力テストの成績を上げることこそが教育の最優先課題だと位置づけされました。当時、学力テストの結果が悪いことの責任は教育委員会や教育現場にあるとし、市町村の教育委員会に点数の公表を強要し、さらなる競争を仕向けようとしました。文科省は、過度の競争を招くとして、都道府県教委に対し、市町村、学校別の結果は公表しないよう指示しています。
 それに対して橋下知事は、市町村の教育委員会は甘えている、結果が表に出ないからと述べています。市町村によっては公表に応じないところもあり、なかなか自分の言うことが通らないことに立腹し、教育への政治の関与を強めたのだと私は推測します。私は、橋下市長の言動こそ、まさしく県別成績を競い合う極めて危険な弊害だと考えます。
 きょうの新聞にも、学校別に公表するというふうに記事が載っておりました。
 私は、学力テストを否定するものではありません。学力を数字であらわすことによって教科への理解度が客観的にわかります。また、問題点がより鮮明になるというメリットもあります。
 しかし、学力を高めるためにしなければならないことは、学力テストでわかったことを教育現場で生かせるように条件を整えることだと思います。より少人数で指導できるようにする、教員の研修を充実させる、わからない子にわかるまで指導できる環境づくりだと考えます。そのために首長は手腕を発揮するべきだと考えます。
 また、学力を高める努力は、1年や2年間で結果が出るとは思えません。また、現在よく言われていることは、家庭環境の格差が大きく影響しているというふうにも言われています。
 そこで、教育長にお伺いします。
 教育委員会でも、小学校4年生から中学校3年生を対象に、平成15年度から18年度までは県単独で、19年度から20年度までは全国学力テストをあわせて実施し、21年度からは全国学力テストをまた実施しています。
 まず、何のために全小中学校で学力テストを行うのか、その意味をお伺いします。
 また、学力テストは、あくまで数字であらわれた教科への理解度だと私は認識していますが、学力テストを実施した結果を受け、今後どのように生かしていくのかお伺いします。
 教育長は、子供たちにどういう力をつけさせたいのかについてもお伺いしたいと思います。
 教育問題については、以上です。
○議長(新島 雄君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 行政機関が政治的中立性を保つというのは当然のことでありまして、御指摘の問題は、政治的中立性という問題ではどうも私はないんじゃないかなあというふうに思うんです。
 政治家から、つまり選挙で選ばれた人から教育を切り離して、教育委員という人に任せないと中立が守れないというのは何だろうなあというふうに思います。
 他の例で言いますと、文部行政は事務次官以下の官僚だけでやれというのはおかしいと同じように、やっぱり行政機関を率いる者は政治的中立性も考えながらさまざまなことをせないかん。
 一方、教育委員会というものについて、私は大変いい制度だと思っています。というのは、見識のある方々がさまざまな意見を闘わせながら教育方針を決定していくというのはいいと思います。
 一方、知事やあるいは議会が教育問題について何ら発言しないというのも、これまた変ということだと思います。私自身は、教育委員会に対して自分の考えを常に述べてまいりましたし、これからも教育委員会とよく協議をしていくつもりでございます。それは、現行の仕組みの中でも、私は十分私の意見あるいは議会の意見、そういうものは反映できると思っているので、そうしているところでございます。
 本県では、教育委員会も交えて議論をいたしました。それで、その結果、でき上がりました和歌山県長期総合計画、この中には教育の部分が大きく入っております。これを議会で議決していただきまして我々の10年計画とし、さらに教育委員会がこれを受けて教育振興基本計画を策定して、県民の負託にこたえられる教育を推進しているというところでございます。
 こういった方法で、私も大事な教育を、教育委員会の方も立派ですけれども、任せるだけにしないで、その充実を一層図っていきたいと思います。
 御質問がありましたが、大阪府教育行政基本条例案につきましては、これはまあちょっと私も勉強しまして、まあ確かに法律上のクリアを得ているのかなあというところが、よくわからないところが正直言ってありますけれども、その手の法令審査は、これは大阪府の議会の仕事だと思いますので、私は意見を差し控えたいと思いますが、ただ当県としては、私の気持ちとしては、全く同じものを議会に提案しようという気持ちはございません。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) まず、教育の中立性についてどう考えるかという点についてお答えしたいと思います。
 私自身、教育長に就任以来、クリーンで公正・公平な教育行政に努めてまいりました。また、教育の中立性を確保するとともに、教育に対する県民のニーズをしっかり受けとめて、より充実した教育を実現することが極めて重要であるというふうに考えてございます。
 先ほど、知事の答弁にございましたけども、教育委員会としては、常に知事と本当に心を割った真摯な意見を交換する中で、知事の考えも十分に伺いながら、私たちの考えもしっかりとお伝えし、説明し、理解を得ながら取り組みを進めております。
 今後も、意思疎通を図りながら、和歌山県のあすを担う子供たちの育成に向けて全力で取り組んでまいります。(「議会を忘れてるよ、議会も」と呼ぶ者あり)もちろん、議会もございます。
 次に、教育問題にかかわって、学力テストの結果についてでございますけども、3点の御質問についてお答えしたいと思います。
 まず、第1点目の学力・学習状況調査の目的について、児童生徒の学力や学習状況を把握・分析することにより教育施策の成果と課題を検証しながらその改善を図るとともに、学校における児童生徒への指導の充実だとか、あるいは学習状況の改善等、子供の学力向上に役立てることにございます。
 県教育委員会では、これまでの調査結果から、主として活用に関する問題の正答率が低いということを踏まえながら、授業の中で、しっかりと自分の考えを持って相手にきちんと伝えていく、そしてみずからの考えをより深めていく、そういう活動を充実させることによって思考力、判断力、表現力の育成に取り組んでおるところでございます。
 同時に、確かな学力をつけさせるために、丁寧で粘り強く、きめ細かな指導を大切にしておりまして、特に学習の定着しにくい児童生徒を対象とした補充学習の充実を図っているところです。
 次代を担う本県の子供たちには、さまざまな社会の変化に対応できるよう、1人1人がみずから個性を発揮し、困難な場面に立ち向かい、未来を切り開いていく力を身につけさせたいと考えてございます。とりわけ、学力面につきましては、わからない子を取り残さない、伸びる子はさらに伸ばすという方針のもと、わかる喜び、伸びる喜び、結果の出る喜びを実感できる教育をこれからも推進してまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 教育委員会委員長山下郁夫君。
  〔山下郁夫君、登壇〕
○教育委員会委員長(山下郁夫君) 私たち教育委員は、教育委員として知事から任命されております。また、議会の皆様方から御承認いただいていることに対して、責任と誇りを持って、公平・公正に任務の遂行に当たっておるところでございます。また、今後も、法律、条例等によって与えられた権限に基づき、さらなる教育の振興に向けて取り組む所存でございます。
 各地域において開催している井戸端トークや定期的な学校訪問を通して、県民の皆様方の声をしっかりとお聞きし、信頼にこたえられるよう教育行政を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
○議長(新島 雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございました。
 今さら言うまでもないわけですが、この教育の独立性というのは、兵隊さんも民間人も含めて310万人も犠牲になった第二次世界大戦、その上のもとで、その時々の権力者によって都合のいいように変えられてはならないという理念のもとに、今の教育基本法もつくられているというふうに思うわけです。
 教育委員会の独立性とか中立性というのが重要なのは、教育の特殊性にあって、子供をどう育てるかというのは、もう単なる技術ではなくて、価値を含む、そういう部分があるからだというふうに私も思っています。
 現状でも、知事の権限というのは、今、教育委員長がお話しになったように、教育委員さんも教育長さんも知事の任命でその職に当たるわけでありまして、予算の執行権というのも、予算もやっぱり知事の権限の中にあるわけです。知事さんが一言、「よし、和歌山県の教育は1学級20人にするぞ」と、こういうふうに大変少ない(「言うてええんか、それ。言うてええんかいな」と呼ぶ者あり)いやいや──と公約すればです。それは言うていいんです。それを言いますと、予算を伴って確実に実現できる政策になるわけです。そういう意味でも、現行の仕組みの中で知事の意見というのは十分反映できるというわけです。知事のおっしゃるとおりだと思います。
 予算も人事も握る知事の大きな権限がある中で、今回、教育目標とか教育委員の罷免にまで関与を強めるとなると、その影響は私ははかり知れないなというふうな思いを持って、それでこの大阪府の教育行政基本条例を例に出して御質問させていただいたわけです。私は、大変大きな危惧を抱いております。
 御答弁では、知事も教育長、教育委員長とともに、和歌山県の教育のためにさらに御尽力いただけるということですので、もう強く心から要望しておきたいというふうに思います。
 それから、もう1点の学力テストについてでありますが、子供たちに学力をつけさせることは、教育に携わる者にとっては最も大切で、苦労する問題です。授業研究もその一環でありますし、それから御答弁──放課後の補充事業なんかでも、そういうことも何とか学力をつけさせたいという、そういった一環だというふうに思います。少人数の指導でもそうでありますので、もっともっと進めていただきたいというふうに思っているわけです。
 そのためには、子供のやる気を引き出す、そういう意欲あるそういった教師というのが大変重要なことで、子供の気持ちと真剣に対峙して、それから子供の気持ちに寄り添う、そういうことのできる教師を育てていかなければならないというふうに私は思うんです。
 大阪の教育行政基本条例では、校長の権限を大変大きくしておりまして、教師の評価に重きを置いております。しかし、今日のように家庭環境が大変複雑になり、生徒がすごく多様性が進む中で、それを無視したような一面的な教師の評価は大変難しいというふうに思っています。
 校長先生に気に入られるように、それから校長先生や上の顔色ばっかり見るような先生、自分への評価が下がるのを恐れて問題を抱えた子を忌避する先生、そんな先生をつくってほしくないです。そんな教育現場を想像すると、もう何か殺伐とした気持ちになってきます。
 金八先生がロングセラーの人気を維持する理由は、金八先生がいつも生徒とともに悩んだり考えたり行動する、その姿勢に共感が集まるからだと思います。
 教師がやる気を出し、子供たちに奮闘できるよう、教育委員会もしっかり支援していただくよう要望して、教育についての質問を終わります。
 引き続きまして、児童虐待問題についてお伺いします。
 平成24年度の新政策にして、安心の政策として児童虐待防止対策の強化ということで9900万円の予算が計上されておりまして、県の姿勢としても虐待防止に尽力されていることと受けとめています。
 最近のテレビや新聞等のマスコミによっても重篤な事案が報道され、罪もない小さな命をどうして守れなかったのかと、私自身も大人の責任を感じずにはいられません。
 全国的に見ても、20年余りの間に、養護相談は3.5倍、一時保護は1.7倍、虐待相談件数は、何と40倍にもなっています。平成21年度は4万4211件であったものが、22年度は途中集計でもあるにもかかわらず5万5154件にも上っています。
 和歌山県においても、児童虐待相談件数は、平成22年度で640件、平成23年度は途中集計で514件となっており、同様の増加傾向が示されています。
 先日、田辺で行われたフォーラム2012「児童虐待と社会的養護について」の講演会に行ってまいりました。県の関係者の方も大変大勢参加されており、関心の高まりを見ることができました。
 その中で、大阪市児童相談所に長年勤められ、現在は花園大学で教鞭をとられている津崎哲郎氏の講演をお聞きしました。
 児童虐待の背景が、ひとり親の増加、経済的困窮、家庭や親族の養育力の弱体化、発達障害、未熟児等の育てにくい子の養育など、ハンディを抱えた家庭の増加であるといった内容でありました。
 近年の傾向として、ステップファミリー、要するに子育て中の親の再婚、子供を連れての再婚がふえ、ちなみに4組に1組がステップファミリーだということです。警察調べの事件になる虐待のトップが、このステップファミリーによる継父によるものであるということでありました。新聞紙上でも、死亡につながる虐待は継父によるものが圧倒的に多く、緊急介入が必要であるとのことでした。
 虐待から子供たちの命を守るために、子育て支援の体制をつくり上げなければならないと思います。
 そこで、何点か福祉保健部長にお伺いします。
 県は、児童虐待防止に具体的にどのような対策を考えていますか。また、県と保健所、市町村、警察との連携はどのように行われていますか。
 国では、児童養護の道筋として、里親3分の1、グループホーム3分の1、施設3分の1という措置を進めたいということですが、里親の拡充、児童養護施設でのケアの小規模化、小規模住居型児童養育事業のより家庭に近い養育環境の整備についてはなかなか進んでいないのが現状であります。今後、県として社会的養育をどのように進めていくのか、お伺いをしたいというふうに思います。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 児童虐待問題についての4点の御質問にお答えをいたします。
 まず、児童虐待問題への対策として、県、市町村、警察等の関係機関が、それぞれの業務に関する機能や地域的な利便性を生かしつつ緊密に連携し、虐待の未然防止と、早期発見、早期対応から家族の再統合、自立に至るまで、切れ目のない支援を行っております。
 具体的には、平成24年度の新政策として、特に虐待の未然防止と再発防止のための親支援に重点的に取り組むこととしており、親の状況に応じて、子育て技術、養育環境、ストレス管理などを学習するためのプログラムを提供してまいります。
 また、児童相談所の機能強化のため、虐待対応課を新設するとともに、7名の児童虐待緊急対応員を配置し、児童の安全確認時の対応のみならず、親に対する養育支援や児童のケアを充実させてまいります。
 次に、県と市町村のネットワークについてですが、児童相談所と市町村は虐待通報の受理機関であり、家庭の養育環境に関する情報を共有しておくことが重要であると考えております。
 常時、意思疎通を図ることはもちろんですが、全市町村に設置した要保護児童対策地域協議会を活用して親子の支援方策を協議するとともに、種々の機会を通して、保育や乳幼児健康診査の実施に伴う児童の状況、妊娠・出産・育児期に養育支援を特に必要とする家庭の状況などの把握に努めることにより、市町村を初めとした関係機関の強固なネットワークづくりに取り組んでまいります。
 次に、警察との児童虐待対応に関する連携につきましては、児童虐待防止法の規定に基づき、児童の安全確認や一時保護に際し、保護者等から児童や児童相談所調査担当者への加害行為等に対する警察の援助を求めることとされており、必要に応じて警察官の同行をいただいております。
 今後とも、双方が知り得た不適切な養育環境等の情報を交換し、緊急的な事態にも適切に対応できるよう備えてまいります。
 次に、より家庭に近い養育についてですが、まず里親の拡充に当たりましては、民間団体への里親支援機関業務の委託や和歌山県里親会との協働により、深刻な児童虐待の現状と里親の方々による養育経験を題材とした講習会や里親になることを希望される方々への相談会を開催するなど、里親制度の積極的な普及啓発に取り組んでまいります。
 また、児童養護施設でのケアの小規模化につきましては、平成20年度以降、県内8カ所の施設のうち4カ所が小規模化を図っており、小規模住居型児童養育事業につきましても、本年度から運営を開始いたします。
 議員の御指摘のとおり、虐待を受けた児童は家庭的な環境による愛着関係の形成を必要としており、家庭的な養護を推進するため、児童養護施設改築時における指導と、それから小規模住居型児童養育事業に取り組まれる方々への助言を行ってまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 虐待問題についても御答弁いただきまして、虐待の未然防止、早期発見、早期対応から家庭の再統合、自立に至るまでの切れ目のない支援を行っていただいているとのことです。現場の皆さんの御苦労を思うと、頭の下がる思いであります。
 どんなに立派な計画であっても、それを行うのは人でありまして、人の力なくして何事もなし得ないと思います。
 県としても、数年、マンパワーをふやしておられますが、それでも追いつかない状況ではないでしょうか。
 今後は、児童相談所の職員の方だけではなく、虐待問題に精通した専門員の養成が必要だと考えます。県が主体となって専門員の養成を行うといった施策を進めていく、その上で専門員の登録を行っていただいて、マンパワーを補っていってはいかがでしょう。対応する相談員の1人の負担をなるべく小さくし、それぞれの相談者に丁寧な対応ができるような体制をつくっていただけるよう、強く要望します。
 また、親支援のプログラムを充実させるとのことですので、母子手帳を交付した時点からの実施を強く求めたいと思います。
 また、ステップファミリーへの対応も、あわせてよろしくお願いしたいと思います。
 今後親になる方々への啓発も含め、だれもが親支援プログラムを受講できるような取り組みを要望し、虐待問題についての質問を終了いたします。
 次に、3問目といたしまして、東北大震災によって発生した瓦れき処理について質問を行いたいと思います。
 昨年の東北大震災と津波によって生み出された災害廃棄物は2400万トンにも上り、日本全国で1年間に排出される廃棄物の約半分という膨大な量に上っています。
 そして、今一番大きな問題は、福島第一原子力発電所から100京ベクレル──100京ってわからなくて、よく調べますと、兆の1万倍だそうでありまして──100京ベクレルといった天文学的な放射性物質が環境中に放出されたことにより、露天に放置されていた瓦れきが放射能汚染され、その処理が進まないといった問題です。
 9月議会でも取り上げさせていただきましたが、放置されていた稲わらが放射能汚染され、それをえさにしていた牛肉からセシウムが検出されました。和歌山県内にも、それこそ大量の汚染牛が流通し、牛乳として消費されてしまったものは調べるにも調べることができないということでありました。どんな影響が出てくるのか、だれにもわからないといった状況です。
 放射能汚染された原料を使ったために、福島二本松で基礎に使われたコンクリートに規制値の100ベクレルをはるかに超えるセシウムが検出され、建屋に入居することもできなくなったことなどを考え合わせると、放射能汚染に限って言えば、安易な行為は後に大きな影響を及ぼすというふうに考えます。
 今回の瓦れきの放射能汚染は、福島県だけではなく、東北地方全般に広範囲に及んでいるというふうに見なければならないのではないでしょうか。
 2月の1日から3日にかけて、2つの高速議員連盟の視察で、釜石の奇跡の舞台となった釜石山田道路、仙台東部道路、相馬バイパスと視察し、地震・津波時の高速自動車道の果たした役割を検証してまいりました。バスの窓越しから見る被災した地域も、地震直後の状況から比べると、仮設住宅が建ち並び、少しずつ日常が取り戻される努力が行われているなあというふうな様子がうかがえました。
 しかし、来週の11日で1年が経過しようとしていますが、瓦れきがそこここに積み上げられ、復旧の足かせになっているという現状も見てまいりました。
 一日も早い復旧を願う気持ちは、だれもが同じだと思います。しかし、復旧が進まないからといって、放射能汚染された瓦れきを日本全国の自治体に受け入れろということとは問題が違うと考えます。
 今までは、国は放射性廃棄物を処理するときのクリアランスレベルを定め、それ以下なら一般廃棄物として処理をしてもよいが、それ以上ならば放射性廃棄物として処理しなければならないとされてきました。クリアランスレベルの数値は、1キログラム当たり100ベクレルであります。
 しかし、今回示された数値は、そのクリアランスレベルを適用せず、焼却するときは1キログラム当たり8000ベクレルならオーケーとしたのです。不燃ごみはそのまま埋め立ててもよい、焼却炉もバグフィルターがついていればオーケーという驚くべき方針が示されました。
 それでなくても、放射能汚染されたものを焼却するなど、世界でも類を見ない驚愕の方針であります。放射性物質を焼却したからといってなくなるわけではなく、むしろ微細なちりとして大気中に飛散され、清掃工場周辺を汚染し、焼却灰は濃縮され、保管1つとっても後処理を困難にするやっかいなものであります。このままいけば、日本じゅうが放射能で汚染されるという結果につながります。
 しかも、廃棄物処理法や災害対策法には放射能汚染の焼却についての法律が定められておらず、放射能瓦れきを燃やした後、市町村や住民にどのような影響が出ても、国や東電の責任を追及することができません。それこそ、ふるさとそのものを奪った東電の責任や原発政策を進めてきた国の責任をあいまいにしたまま、処理を地方に押しつける結果となっています。
 県民は、国が安全だ、安全だと言えば言うほど信用できなくなっているのです。安全だと言うのであれば、焼却する前の放射能をきちんと測定する、国の定めたクリアランスレベルを遵守するなど、まず放射性物質の処理に当たっての環境基本法や環境諸法、廃棄物処理法の法令の改正を行うべきだと考えます。その上で、国が主体的に長期的な計画をもって処理を進めるべきだと考えます。
 放射能汚染されたものは、拡散させず、集約し、囲うということだと思います。各自治体で焼却するなど、将来にどんな影響があるのかわからない中で、事を急いで将来に禍根を残してはなりません。
 そこで、知事にお伺いします。
 まず、県として、瓦れき受け入れについての考え方と今後の方針についてお伺いします。
 次に、大阪府の松井知事は、大阪市此花区にある舞洲にある北港処分場を東日本大震災で発生した瓦れきの最終搬入先として検討していることを明らかにしています。
 また、震災瓦れきをめぐっては、関西広域連合が大阪湾沖の廃棄物処分場を搬入先に検討しているとのことです。
 大阪湾は和歌山県にも隣接しており、安全性が確保されない限り、その影響は大変大きく、見過ごすことができないと考えますが、知事はそのことについてどのような意見をお持ちで、どのように対処されようとお考えなのか、お伺いします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御質問につきましては、放射能に汚染されていない瓦れきということでお答えしたいと思います。
 東日本大震災で発生しました瓦れきの広域処理については、大変深刻な問題であるということはわかるんですけれども、例えば可燃物は、被災地に焼却能力が少ないから、早く処理するためには焼却能力を貸してくれというような話をするならば私は一理あると思うんですけれども、例えば石とか土とか、そういう土砂など不燃物は、被災地にも埋立処分をするところが多くあるはずでございまして、地形的にも東北地方というのは割合そういうところがありそうな気が、私は幼少のみぎりから旅行をいっぱいしておりますので思うんです。そういうことですから、国が求めてる広域処理というのは一体何なんだろうかと私は常に疑問に思っており、そう申し上げております。
 国は、瓦れきがたまっているから他県も引き受けろというふうにどうも言ってるだけのような気がしまして、それを引き受けない、理解しないのは、何か情けがない、冷たい、そういうところだと。それが、マスコミがそれをまた大いにあおってるような感じがありまして、何となく変だなあというふうに思います。
 本県においては、現実に、じゃあ、どうかというと、焼却能力が大変余力が少ないのです。少しあると思われます和歌山市においても、実は焼却灰はフェニックスに埋めにいってるわけでございますね。これのいい悪いはあると思いますけれども、市町村が所有する最終処分場の受容量も逼迫しておりまして、現に和歌山市に確認しても余り積極的ではありません。そういう観点から、和歌山県では受けられる状況に現実的にないということだと思っております。
 御質問では、関西広域連合の機能について御質問がありましたが、これは、大阪湾沖の廃棄物処分場を搬入先に検討しているということでございますがどうかという御質問でございましたけれども、関西広域連合でやっていることは、震災廃棄物を各府県で仮に受け入れるとしたら、その際の安全性が確保される統一基準というのを国とは独自に決めておこうと、要するに我々として科学的な考え方をまとめておこうというふうに動いておりまして、それは当県も参加して知恵を出していきたいと思っているんです。
 一方、現実の災害廃棄物の受け入れの可否の決定は、最終的には当該自治体で判断してくれということになっておりまして、これは関西広域連合で統一的に決めるというわけではございません。
 大阪湾における北港処分地への最終処分については、大阪府のこうやって決めたより厳しい受け入れ基準をもって大阪府が安全性を確認し、それで大阪府がそこへ入れるということであれば、和歌山県としては、大阪府、大阪市の判断にゆだねたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁をいただきました。
 瓦れき処理というか、放射能で汚染されていないということが前提だというふうなことなんですが、和歌山県としては、受け入れるキャパがないというか条件がないのでということでしたし、それから広域処理が本当に必要かというのは、私もまあその搬入の問題であったりとか、どんなに持ってくるのよみたいな、そんなこともありまして、私も同感であります。
 ただ、御答弁いただいたみたいに、最終処分について、大阪府とか大阪市の判断にゆだねなければ仕方がないというふうなことなんですが、水とか空気とかは、ここからここまで大阪のもんやで、ここからここまでは和歌山やでというわけにいかないわけでして、仮に放射能のそういうふうな汚染がされていた場合に広範囲に拡散されるということについては、和歌山県も同じようにそうなるわけでありまして、特に私のところに子供さんなんかを持っている親御さんからたくさんの意見、不安の声が寄せられておりますので、今回、こういうふうに質問させていただいたわけですが、県としても、特にそういうふうな具体的な動きがあったときは、当該の関西広域連合とか近隣諸県にその情報公開を、説明を求めていただきたいというふうに思うわけです。
 それからまた、受け入れ基準の統一を決めるというふうなことですので、県民が何も知らないままに決定するんではなくて、県民のみんなも参加できるというか、その説明を受けられるような、そういったことをしていただきたいなあというふうに思いまして、その点について要望しておきたいというふうに思います。よろしくお願いします。
 最後に、戸籍謄本、住民票の写し等の不正取得問題についてお伺いしたいと思います。
 自分の知らない間に弁護士や行政書士などから不正に戸籍謄本や住民票の写しが入手されて興信所などに横流しをされる、結婚等の身元調査に使われるといった事件が後を絶たないわけです。
 1976年に戸籍法改正がなされまして、戸籍への差別利用を排除するため公開制限が一部認められる一方、弁護士や司法書士、行政書士などの8業種に限っては、職務上請求が認められるとされてきました。
 この8業種による職務上請求を悪用した戸籍謄本、住民票の写し等などの不正請求が、大きな事件では、昨年の11月に発覚した事件で、1万件にも及ぶ不正取得を行った司法書士と依頼していた探偵会社の代表が逮捕されるという事件が起こっています。
 この職務上請求による不正請求事件が発覚し、大きな社会問題に数年前になったわけですが、2007年には、そのために戸籍法改正案が可決・成立され、戸籍謄本や住民票の写し等の不正取得やそれを利用した悪質な部落差別調査に一定の歯どめをかけられるようになりました。
 それまで、職務上請求することのできる8業種は、請求理由もなく戸籍謄本、住民票の写し等が交付されていたのですが、この改正法では、請求理由の明示と、不正な手段で戸籍謄本や住民票の写しを取得した場合の罰則が5万円以下の過料から30万円以下の罰金に引き上げられることになりました。また、これまで罰することのできなかった不正取得を依頼した興信所、探偵社なども、共犯として罰せられることになりました。
 このように、法の改正によって戸籍謄本、住民票の写し等の不正取得に一定の歯どめはかけられたというふうに認識しています。
 しかも、この8業種の職務上請求書は、各所属業種の団体がナンバリングしたものを使っておりまして、控えも枚数もチェックし、不正請求ができないような形になっているにもかかわらず、今回の事件では職務上請求書が偽造され、不正請求をされたというふうなことです。
 このように、戸籍謄本や住民票の写し等を主な材料にして、結婚や就職の際の差別身元調査で顧客から報酬を得ることが成り立つ背景には、まだまだ社会全体に差別構造があり、それをなくさない限りこういった事件はなくならないのではないかと考えます。
 そこで、総務部長にお伺いをします。
 昨年の11月に、東京都の司法書士兼行政書士から職務上請求書を使って1万件にも及ぶ請求が行われたとのことですので、和歌山県内でも戸籍謄本や住民票の写し等の請求があったのかどうか、実態についてお聞きします。
 また、このような許されない行為を防止するために、どのような施策が行われており、今後の取り組みについてお伺いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 総務部長米澤朋通君。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 戸籍謄本、住民表の写し等の不正取得は、個人情報の取り扱いに関する国民の信頼を著しく損なうものであり、極めて遺憾であります。
 議員の御質問にもございましたが、昨年11月、東京都の司法書士兼行政書士である者が、戸籍謄本や住民票の写し等を不正に取得したとして逮捕、起訴されたところでございます。
 県は、この事件の被告人が県内市町村に対して行った戸籍謄本、住民票の写し等の請求に関する調査を実施いたしまして、県内で20件の請求があったと承知しております。
 県では、これまでも、戸籍謄本、住民票の写し等の不正取得防止のため、和歌山県行政書士会等に対して、職務上請求書を適正に使用するよう依頼してきたところでございます。
 また、市町村に対しても、職務上請求書に対する審査の徹底を助言し、さらに不正取得の抑止策としまして、本人以外の者に住民票の写し等を交付した事実を知らせる事前登録による本人通知制度を提案いたしまして、現在3町が導入しているところでございます。
 また、不正取得が明らかになった場合の対応についても助言を行ってまいりました。
 県といたしましては、今回の事件に係る今後の裁判の動向に注視するとともに、引き続き戸籍謄本、住民票の写し等の不正取得防止のため、和歌山県行政書士会等に対して職務上請求書の適正な使用を依頼し、また市町村に対して事前登録による本人通知制度の導入などに積極的に取り組むよう働きかけてまいる所存でございます。
○議長(新島 雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 御答弁ありがとうございました。
 県としては、戸籍謄本、住民票等の不正取得を防止するために、事前登録による本人通知制度というのを進めることによって一定の歯どめをかけたいというふうな意向だということです。
 現在、3町が導入しているということですので、ぜひとも県下の全市町村に積極的に導入されるよう働きかけていただきたいというふうに思います。それとあわせて、県民への事前登録による本人通知制、知らない方がたくさんおられますので、こういったことの啓発も進めていただきたいと要望し、本日の質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
○議長(新島 雄君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は、3月5日、定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時48分散会

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