平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(吉井和視議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 27番吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕(拍手)
○吉井和視君 12月定例会最後の質問をさせていただきたいと思います。皆さんお疲れですが、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず最初に報告をさせていただきたいと思います。
 南加和歌山県人会創立100周年の記念集会に出席させていただいた報告をさせていただきます。
 去る11月11日から18日まで、新島議長、谷県議会南北アメリカ諸国友好議員連盟会長を初め私ども12名の議員が、知事とともに南加和歌山県人会創立100周年記念式典に出席をするとともに、あわせて式典終了後に行政視察をいたしましたので、その報告をさせていただき、その関連で知事に質問をさせていただきたいと思います。
 まず、出発した翌12日には、知事とロサンゼルス近郊、ガーデナ市の会員制スーパーマーケット、マルカイ・ガーデナでの和歌山物産展のテープカットに出席をさせていただき、スーパーの会議室でマルカイの松社長などと、アメリカにおける消費動向や和歌山の物産の展開方法などについて社長に御意見をしていただき、意見を交換させていただきました。この店では、梅干しなどをみなべの業者が販売をしておりました。
 次に、明治時代の最初に渡米された1世、それから現在に至るまでの日系社会の歴史を紹介している全米日系人博物館を訪問し、渡米してからの生活の状況や差別と偏見の歴史、そして日米開戦により12万余りの日系アメリカ人がアメリカ政府によって強制収容所に送られた悲しい歴史などについて、日系人ボランティアの方に説明をしていただきました。
 また、博物館の裏にある記念碑にも案内をしていただきましたが、これは忠誠のあかしとして軍隊に志願をして、アメリカのために戦う道を選んだ日系人による442連隊の勇気をたたえた記念碑ということで、本当に万感胸に迫るものを抑えることができませんでした。
 この442連隊については、米連邦議会でこのほど11月2日に、米国で最も権威のある勲章である米議会名誉黄金勲章を授与する式典が開かれ、その受章理由で「日系兵士たちは、米国内で人種差別と闘い、国外ではファシズムと闘って、勇敢さと国家への献身を示した」ということでたたえられたということであります。私は、こういう日系人のとうとい犠牲が今日の日系人、日本社会への評価の礎になっているということについて、深い感銘を覚えました。
 次に、私たちは、南加県人会の初代会長である湯浅銀之助さんをたたえた頌徳碑への献花を行いました。
 そして翌日は、いよいよ記念すべき南加和歌山県人会の創立100周年記念式典がモンテベロ市のクワイエットキャノンという会場で開かれました。日本、アメリカ国内、ブラジルからの来賓を含め、450人の参加者で会場は熱気に包まれておりました。
 式典は、まず両国の国歌斉唱に始まり、戦没者への黙祷、岡本県人会会長のごあいさつ、仁坂知事、新島議長を初め国内外来賓の祝辞と続きました。新島議長からは、台風12号被害の復興状況を報告するとともに、和歌山のすばらしさをアピール、県人会の皆様に祖国訪問を呼びかけたところであります。
 なお、県人会から県に台風12号被害への見舞金の贈呈もあり、遠く離れた地でも故郷を心配してくれていることがとてもありがたく感じました。
 その次の日からは、知事一行がフロリダ州に公式訪問ということでしたので、私たちはせっかくのこの機会に勉強しようということで、まずロサンゼルス港の一部であるターミナルアイランドを訪れました。
 この地域は、現在では隣接するロングビーチとともに、アメリカ合衆国と環太平洋地域を結ぶ重要な港湾となっておりますが、このターミナルアイランドの一角に戦前、日本人漁師たちがコミュニティーをつくっており、その多くが和歌山県出身の1世だったということで、私たちは、ここに住み、漁業に携わっていた現在91歳の巽幸雄氏と現地で落ち合い、当時の様子をお聞きしました。
 当時、漁業会社の長屋で生活をしていた巽さんたち男性は漁船に乗り、スペイン沖までマグロをとりに行き、女性たちは缶詰工場などで働いていたそうであります。みんな収入もよく、公立の小学校もあったり、日本人だけで生活を送っていたということで、巽さんも野球のチームに入り、活躍をしていたそうであります。
 その幸せな生活が、真珠湾攻撃から3カ月後に一転することになります。米国海軍基地にも近かったために、そこに住むすべての日系人に48時間以内に退去命令が出たわけであります。現在では、2002年に建てられた「大漁」という文字が刻まれた鳥居と、網を引く日本人漁師2人の像、そしてガラスに刻まれた「沖は黒潮 魚もおどる 父母の辛苦を偲びつヽ 永遠に称えん いにしえの里」という文字にその痕跡を読むことができるのみでした。
 翌日、ネバダ州の砂漠にある太陽発電所のネバダ・ソーラー・ワンを訪ね、マーク・キャンベルさんという技術者の方から、まずコントロールルームでその仕組みや制御方法などについて、また広大な施設をバスで回りながら集光ミラーの前でバスをおりて、その設備について説明を受けました。
 それによると、ここでは400エーカーの土地に19万2000枚、鏡の前に設置されたパイプに流れる特殊なオイルに太陽光を集中させて摂氏400度まで熱し、その蒸気でタービンを回して発電する方式で、熱効率は15%から20%程度、発電の能力は75メガワットということでありました。
 化石燃料を使用した発電所に比べれば発電規模はそう大きくないが、年間250日以上の晴れの日があり、平たんな土地があれば可能、エネルギー源は無限で、CO2を排出しないという点から、太陽光発電とともに世界的にはさらに普及が進むと実感いたしました。経営的にも、政府からの補助金がないものの、売電価格の保証や、税政上、利益の30%が控除されるなどの優遇措置があるとのことでした。
 翌日はロサンゼルスに戻り、ロサンゼルス市警を訪問し、児童虐待を取り扱う部署の主任警官から、通報が警察に入ったときの対応、福祉部門との連携、救出方法について説明を聞き、通報を受ける専門の部屋、また、子供たちから状況を聴取する部屋などを見せてもらいました。また、その情報を得たときには、適切な判断ができるよう、福祉部門なども児童虐待に関するデータベースを共有しているとのことでありました。
 児童虐待を防ぐ対策は、法的整備は日本とそう大きく変わっておらないように思うのでありますが、情報を積極的に受ける体制ができていることや、児童を守るために緊急性があると判断したときには、警察が第一義的に現場に出て対応したり、親からの事情聴取ではなく、被害児童本人に会い、保護するという意気込みが日本とは全く違うという印象を持ちました。
 さらに、ロサンゼルス市や他の市町村を包括する行政機関であるロサンゼルス郡にある関係機関が、ICANと呼ばれる児童虐待とネグレクト防止のための協議会を設置しており、その構成メンバーが独自にまた連携しており、毎年、それらのデータを集めた分厚い報告書も合同で公表してることも御紹介いただきました。
 最後の日に、カリフォルニア州は農業の先進市でもあるので、サンタバーバラにあるメルビルワイナリーというワイン農家を訪ね、経営者からお話を伺いました。
 サンタバーバラは約200年のワインの歴史があり、メキシコからもらってきたブドウを植えたのが始まりと言われております。このワイナリーのこだわりについて説明の後、ワインの製造工程や貯蔵のたるを見せていただきましたが、特色あるワインづくりに努力していることがよくわかりました。
 また、こちらでは、ワイナリーの多くは家族的な雰囲気の中、ワイナリーツアーを実施したり、ワインの試飲や食事の提供など、生産だけではなく、ワイナリー全体をビジネスとして活用していました。
 今回は、駆け足ながら、多くのテーマについてじっくり話を聞いたり質問することができました。また、懇親会などで県人会の皆さんと親しくお話をさせていただきましたが、皆さん御高齢で、収容所生活の体験など、大変な御苦労をされた方もおられましたが、その苦労をみじんも感じさせることなく、穏やかに故郷和歌山への懐かしさを語ってくれました。
 今回、100周年という大きな節目を迎えられ、会員も世代が変わっていく中で、ともすれば故郷和歌山という関係も薄くなっていくように思いますが、後世にいつまでも和歌山という故郷のことを語り継いでもらいたいという念を持ちました。また、そのために若い世代間同士の交流も大切というふうに感じました。
 そこで、知事に、南加県人会創立100周年記念へ出席した感想と、そして今後、そのことを県政にどのように生かしていくのか、お尋ねしたいと思います。
 少し長かったですが、報告とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(新島 雄君) ただいまの吉井和視君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 去る11月13日にロサンゼルス市で開催されました南加和歌山県人会創立100周年記念式典に、御指摘のように、県議会議員の皆様と参加し、県民を代表してお祝いを申し上げました。
 移民をされた方々が激動の国際情勢のもと、文化や言葉、生活習慣が異なる環境で、幾多の苦境を乗り越えて世代を重ねながら、ロサンゼルスで、あるいはそのほかのアメリカで今日の日系社会の繁栄を築いている姿を拝見いたしまして、改めて感銘を受けたところでございます。また、県人会の方々が、日本の精神や、あるいは和歌山の文化を継承していく姿勢、ふるさと和歌山を思う心に触れまして、心温まる思いをいたしました。
 今回の訪米に当たり、南加和歌山県人会の多くの方々と直接会う機会、直接お話をする機会を得たことは、私にとってかけがえのない体験でありました。
 私は、知事就任以来、ブラジルやペルーの県人会を訪問さしていただきまして交流を深めましたが、多くの移民者を輩出した本県といたしましては、引き続きこういった周年事業などの機会をとらえまして、在外県人会を訪問してまいりたいと考えております。
 また、県人会の方々やその子弟が本県を訪れる際には、県民との交流など、和歌山の現状を知っていただく機会を設けるとともに心よりの歓迎をする、私なんかもよく出ていって心よりの歓迎をするということで、本県国際化の礎として在外県人会とのきずなを未来につなげていきたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 それでは、関西広域連合について御質問させていただきます。
 この関西広域連合、私と尾崎要二議員が参加をさしていただいてるわけなんですけども、まず初めに、関西広域連合の1年について、私のほうから代表して報告をさしていただきたいと、そのように思います。
 9月定例会の冒頭、私と尾崎議員の連名で報告しましたが、関西広域連合に総務委員会を設置し、毎月第2土曜日に府県持ち回りで会合を持っております。また、議員全員がその構成員となっております。
 9月10日には、兵庫県議会で広域防災について当局と議論をしました。本県の大水害の発災直後であったことから、本県の被害状況や広域連合の支援について説明を受け、広域防災計画の内容、県の地域防災計画との違い、役割について議論を行いました。
 常任委員会に先立って開催されました全員協議会において、私のほうから本県への支援に対する感謝と、今後も引き続いての御協力のお願いをさせていただきました。
 また、10月8日には、和歌山の本県議会会議場において、仁坂知事出席のもと、広域職員研修、資格試験・免許等、国出先機関対策などについて議論をいたしました。
 冒頭、仁坂知事から、本県大水害からの復旧状況の説明、支援の御礼等があり、8月に高野山で行われました職員研修の状況、国出先機関の移管に対する国の動向等の説明を受けました。特に、国の出先機関の移管については、尾崎議員も意見を述べられ、当局と連合議会が一体となって取り組んでいくことを確認させていただきました。
 11月12日は、私はちょっとこれはアメリカ出張のため欠席させていただきましたが、滋賀県議会で広域環境保全、広域産業振興について議論を行ったそうで、特に冬の節電対策については、夏の節電対策が広域連合、関西電力、国、ばらばらであったことを踏まえ、3者が一緒になって対策を講じることとの意見が出されました。
 尾崎議員からは、特に家庭での節電が重要なことから、住民への十分な周知を行うことという意見が出されました。その意見を受け、当局からは、関西電力と十分に議論を行い、国の動向も把握した上で対策を講じ、住民へもしっかりと要請をしたいということでありました。
 一昨日、12月10日には、京都府議会で広域観光、文化振興、広域医療についての議論を行いました。関西の広域観光振興として、関西ブランドの確立が重要であるとの意見交換を行いました。
 また、総務委員会と同日に開催される理事会では、本会議の回数、日程などを初め、広域連合議会の活動のあり方を検討しております。
 なお、各府県知事を構成員とする広域連合委員会が毎月開催されておりますが、そのときの議題や意見、その内容について、仁坂知事から我々広域議員が報告を受け、意見交換を行っております。これは他の府県ではないということを聞いており、我が県議会は特に積極的にやっておるなという感じがいたします。今後、広域連合の意思疎通を図る上で大変有意義なことと考えております。
 以上が、関西広域連合の1年の報告ということであります。
 それに関連して、ただいまから私のほうから関西広域連合について質問をさせてもらいます。
 昨年の12月1日から関西広域連合が発足したわけであります。地方分権の突破口として行財政改革に取り組むということや、そしてまた関西の広域連合、広域行政に参加するという、そういう思いや、そしてまた国と各府県の二重行政を解消するという、そういう目的のもとでこの関西広域連合が発足をしたわけであります。各府県、我が県もそうでありますが、仁坂知事もそうであると思うんですけれども、いろんな思いがあって参加されたことだろうと思うわけであります。
 そういう中で1年が経過して、私は大きな成果を上げつつあるんではないかと、そういうふうに思います。まず1つには、国の出先機関に対して、政府を動かして、政府が、まだまだはっきりしておりませんけども、重たい腰を上げてきたと、そういうことは大きな成果ではなかったかと思うわけであります。
 そういう中で、参加してよかったと、私は個人的にそう思うわけでありますが、知事におかれては、この1年間、関西広域連合に参加してきて、その思いを、所感をまず述べていただきたいと、そのように思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西広域連合は、昨年、御指摘のように12月1日の設立でありましたが、ほぼ1年たちました。本当に私は設立当初から参加してよかったと思います。
 この1年間を振り返りますと、例えば、節電対策とか、国の出先機関の移管対策とか、広域防災対策などについて非常に密接な意見交換ができたし、また行動もできたと思います。そういう意味で、関西全体あるいは和歌山県にとっても、両方実利もあったと思う次第でございます。
 特に、紀伊半島大水害のときには、土木職員の派遣とか災害ボランティアの派遣など、本県から要請をいたしました。要請も割合スムーズにできるし、それで対応も早くやっていただいて大変助かったと思います。
 もちろん、今までも近畿ブロック知事会などでお互いに知る機会はあり、議論をする機会は年に2回ぐらいあるんですけれども、集まる機会も少ない上、実行する仕組みがありませんので、その点、広域連合では確立された仕組みがあったので、適時適切に対応できたと考えております。
 また、広域連合の運営につきましては、私がかなり強く提案をしてできた広域連合委員会の意思決定方法があります。広域連合は、現在の法制度で言いますと、いわば大統領制といいますか、広域連合長が一たん決まってしまうと結構いろんなことがどんどんできていきます。それを議会がチェックするということになるんですが、やはり各県の意見がもうちょっと反映されたほうがよろしいということで、重要事項は全会一致として、事業等でどうしても反対の場合は、全体をとめる必要はないけれども自分は参加しなくてもいいと、分担金もそのときは要らないというような仕組みを制度化いたしましたが、これがよく機能して、各府県は自分の府県のことを考えながら関西全体のことも考えて行動するというバランスのとれたものになってると思います。
 このバランスは、私は関西広域連合の運営にとって最適と考えておりまして、実はこの考え方に沿って法改正もしたほうがいいんじゃないかという議論が政府の中であるように聞いております。そういう点でも少し先鞭をつけたかなという感じがいたします。
○議長(新島 雄君) 吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 きょうも朝、私が県庁に向かうときに尾崎議員から電話があったんですけども、これは後で調べれば誤報であったわけなんですけども、全会一致のその法則が崩れ、多数決に変わったという、そういう話があったわけなんですけども、これからそんな話も出てこようかと思うわけなんですけども、知事が皆さんに先駆けてそういうように決められた全会一致の法則、これはやっぱり守ってもらうように一生懸命頑張ってもらいたいなと、そんなように思います。
 それから、2点目の質問ですけども、国の出先機関の移管についてでありますけれども、これ、関西広域連合の中に国の出先機関の対策委員会というものがあって、橋下前知事が委員長をやっておったわけであります。その委員長が今度選挙でやめられて大阪市長になったんですけども、大阪市もまた関西広域連合に入ってこようかと思うんですけども、国の出先機関、近畿整備局、それから経済産業局、環境事務所、この3つを丸ごと移管するということで、国も、これからまだわかりませんけども、今のところ法案を次の国会に出して譲ろうということになっておるわけなんですけども、その担当として橋下知事がやってこられたと。
 橋下知事がなくなったので、私はやっぱりこれからの交渉に臨んで、官僚の組織あるいはまた国のいろんな様子を知っておる仁坂知事が委員長として取り組んだらいいなと思っておったんですけども、井戸連合長も仁坂知事にひとつやってくれということで言われたそうでありますけれども、知事は断られたと。
 なぜ断ったんかというのもついでに言ってほしいわけなんですけども、これから官僚が──官僚、官僚と言って申しわけないですけども──この出先機関を骨抜きにしようとかかってくるんではないかという危惧は私はするんです。そういうときにこれからどういうふうに対応していくのか、知事がどういう役割を果たしていくのかというのも同時にお尋ねしたいなと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国出先機関の移管対策につきましては、国の機関として廃止し、地方のブロック機関に移管するといたしました昨年末のアクションプランが、これは閣議決定されたものでございますので、決めたからには実行せえというのが政府の務めであると私は考えております。
 国の動向といたしましては、ところが東日本大震災をやや理由にして滞りぎみでございましたが、関西広域連合としてどうだという話を熱心にしたところ、10月20日の地域主権戦略会議におきまして、野田総理の「政務3役を中心におしりをたたいて進め、関連法案を来年の通常国会に出したい」との発言があり、準備作業が進められていると聞いております。また、内閣主導で知事会があるんですけれども、そのときも総理からはかなり前向きの発言をしておられました。
 今後、具体的に進めるに当たっては、課題はまだしかしたくさんございます。関西広域連合という小さな組織に地方整備局や経済産業局といった巨大な組織を実は傘下におさめるということでございますので、経営をどうやっていくのかという問題がございます。
 具体的には、1つは人員管理や予算など組織管理のマネジメントの仕組みをどうするのかという問題、もう1つは、これは本質論だと思いますが、本省との関係で意思決定をどうするのかという問題があります。
 特に後者において、例えば道路をどこにつくるのか、これは直轄道路ということになりますが、どこにつくるのかというのは、実は近畿整備局で決めてるわけではありませんで、国全体で、すなわち本省が決定しとるわけであります。地方整備局はそれを言われたとおりつくるというのが仕事になります。
 そうすると、その本省の意思決定に関西広域連合がどのように関与していくのかという仕組みづくりが、もともと、これ、実は必要なわけでございます。この問題は実はえらい本質論でありまして、国ではこんなことはあんまり考えないで、どうも閣議決定をしたらしいという感じがあります。
 実はこれは絶対に問題になるし、こういうことがどうなるかというのが一番大事だから、関西広域連合でもちゃんと考えてから対応しようよと言って私は問題提起をしたことがあります。しかし、多数の方は、まず国にやっぱり手形を落としてもらおうと。あんまり難しいことを言うと手形を落としてくれにくくなるので、したがって閣議決定どおりちゃんと守ってもらおうと。そういう今御指摘のあった点はごもっともなれど、後で考えよう、こんな感じだったと思います。
 したがいまして、現在、早く手形を落とせと、すなわちさっさと実行しなさい、細かいことはこれから考えようと、こういうことになってるわけです。
 実は断った理由でもあるんですが、私はいろいろ問題提起をしたほうでありますので、今はしゃにむに突っ込まなきゃいけないということでありますので、どうもそういう何か細かいことまでいろいろ配慮するやつがいるとちょっとやりにくいかなという感じもありますので、リーダーとしてはしゃにむに突っ込む方で嘉田さんにお願いしたらどうだと私は言いました。
 しかし、今の問題は必ず出てくる話でございますので、関西全体、それから和歌山県、それから国全体もうまくいくように、これからも知恵を絞って国との協議あるいは実行を進めてまいりたいと、そんなふうに私も思っております。
○議長(新島 雄君) 吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 国の出先機関の委員長にはプロとして参加しないほうがいいだろうと、そういう感じですね。
 それで、今後、本当にその権限をもらわずに出先の職員だけもらって、箱だけもらってどうするんかという議論があるわけなんですけども、私はやっぱり、軒先を貸して母屋をとられるという話があるわけなんですが、その逆に、少しずつ実をとっていくようにこれからやれば、まず名をとるということでやっていけばいいなと、そんなに思います。
 この問題は、これで終わらせていただきます。
 続いて、人権政策について質問させていただきたいと思います。
 この人権政策、12月が人権月間ということで、この間ももう人権週間が終わったということをニュースで聞いたわけなんですけども、私は特にこの問題を質問させていただこうと思ったのは、例の橋下府知事が市長選に出るということで、週刊誌で盛んに、私に言わせれば人権侵害をされた。あの週刊誌を読めば、知事も読んだことあると思うんですけども、あれ、やっぱり意図的に橋下知事に対する差別発言、そしてまた特定の地域に対する偏見、予断、そういったものがあると私は思うんです。そういうことをマスコミ、メディア、報道機関が勝手にやっても抗議を受けるだけで、何も法律に抵触するとか責任を求められるということがないように思うわけであります。
 そういうことの中で、今、人権侵害というところが至るところで起こっております。例えばインターネット上でも起こっております。そしてまた県に対しても、ここの地区は同和地区であるかどうかというような問い合わせが後を絶たないということも聞いております。
 そういう中で、最近、人権救済法案、これを政府の中でも次の国会に出そうという動きが急に出てきております。
 そういう中で、果たして人権侵害の救済機関が必要であるかどうかということについて、漠然とした質問にまずなるだろうと思うんですけども、そのことを知事にお尋ねしたいと、そういうことであります。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、橋下知事に対する攻撃に対する議員の見解については、全く同感でございます。生まれとか血筋とか地域とか、そんなものを言い立てて、あるいは前職とか、その差別をすると、批判をするというのは本当にいかんことだというふうに思います。
 その上で、そういう人権に対する番人、そういうものが国の中で強力な行政機関としてあったほうがいいかどうかという点については、私はあったほうがいいと思います。
 ただ、政府がそれをむしろやるべきだと私はどちらかというと思っておりまして、例えば政府ができないから、中立的でないから第三者機関に、すなわち行政委員会に──公取のようなもんですね──ああいうものにというのは、どうも政策に対する重みがちゃんとわかってないんじゃないかなと思うので、私は実は3条委員会は余り賛成ではありません。
 しかし、それについての行政のしっかりとした監視と、それから権限の行使というのが必要だということは、全く同感でございます。
○議長(新島 雄君) 吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 知事は、人権救済機関が必要であるという、そういうお考えということで把握をさせていただきます。
 それで次に、その人権救済法案に関して、この8月に基本方針が法務3役の名前で出されたわけであります。知事が言われたように、人権委員会は3条委員会に置く──3条委員会というのは、国家行政組織法3条に認められた団体であるわけなんですけども、極めて独立性の高い団体であります。
 そういうことで、去年の8月にも中間報告が出たわけなんですけども、ことしの8月に基本方針が出されたと。その基本方針の中で、3条委員会もありますし、今まで内閣府の中に設置するということが書かれておったのが去年の段階ですね。ことしの段階になって、いわゆる法務省の中に設置するということになったわけであります。
 そういうことで、この人権侵害救済法案を次の国会に出すということになるという、そういう基本方針が出されたわけでありますけれども、この基本方針の中の問題点について知事も十分承知しておると思うんですけども、問題点がどこにあるのかどうかというのをまずお尋ねしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 人権侵害に対応する政策、あるいは人権侵害がどんなところで起こってるかというのは、最近は大変多岐にわたってると思います。例えば、児童虐待とか、あるいは女性への暴力とか、あるいはもちろん部落差別とか、そういうさまざまな問題がいっぱい絡み合って、それで非常に全体として問題だというふうに思ってるわけでございます。
 それから、特に最近はインターネットを使って特定の人をいじめるというようなことが大変多うございまして、こういうのなんかもうとんでもない話なんで、早く対応しなきゃいかんというふうに私は思います。
 その政務3役から示された基本方針は、どちらかというと、先ほど言いましたような人権救済機関の性格づけと、それから救済手続などが示されてるわけですが、問題はどのような行為が人権侵害であるか、具体的にはそれにどういうふうにして対応していきたいと国が思っとるのかということが余り明らかになってないなというふうに思います。人権侵害の定義など、きちんとしたことを示していってから国民的議論を呼んでいくというべきではないかと、私は個人的にそう思っております。
○議長(新島 雄君) 吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 知事が言われたように、まさにこの人権救済法案、何が人権侵害かという定義が明らかにされておらないわけなんです。その明らかにされておらないところで、例えば人権委員会、人権擁護委員会というのが地方にできるんだろうと思うんですけども、そこで人権侵害について、本当に人権侵害でない人権侵害が起こってくる可能性があるわけであります。
 そういうことで、県民の生活を守り、県民の安全・安心を与えなきゃいけない知事がやっぱりそのことを心配されるのは、私は当然だと思うんです。何が人権侵害であるかという定義がはっきりしないと、そういう問題です。一方的に人権侵害であるということを言われた県民がどんなに不安、あるいはまた危険にさらされるかということを思えば、非常に今から心配されるところであります。
 そういうことで、私はこの法案が、まだ出ておりませんけども、拙速に出されるということについて少し危惧するところであるので、この質問をさせていただいた次第であります。
 中には、例えばこの基本方針を読んで、今まで自民党が出した──小泉内閣のときに、これはたしか10年ほど前になるんですけども、人権擁護法案というのを出したんです。そのときには、やっぱり非常にマスコミ・メディア対策も、報道機関に対して規制しなければいけないということもあったわけなんです。私はそのほうがいいと思うんですけども、それがあったと。そして、このときには法務省に置くということになっておったんですけども、民主党の法案では内閣府に置くということになってきたわけなんです。
 そういうふうに今回の基本方針の中では、心配されるメディア法案とか、いわゆる3条委員会をどこに置くとか、そういうことがだんだんだんだん弱まってきたんですね。きばが抜けてきたと私は思うんですけども、そういうことをもってして、県庁職員とか行政機関の職員が、もうこれぐらいきばの抜けた法案であるんで、いいんじゃないかという機運が少し出てきたと思うんです。そうです。県の職員も言いますよ、これぐらいの法案だったらいいんじゃないかと。これぐらいの人権侵害救済機関であればいいんではないかと言われる方もあるわけなんです。私は、そこに問題があるんではないかと。
 まだまだ国会で審議が終わっておらない段階で、県の職員が、行政職員が、あってもいいんじゃないかということを簡単に言うのは少し拙速ではないかと、そういうふうに思うので、知事にも冒頭、そういう質問をさせていただいた。知事には、ただ、法律というよりも、そういう救済機関ということに限定して聞かしていただいたんで、その点、誤解があったら申しわけないなと思うわけであります。
 そこで、私は、やっぱりこの人権侵害救済法案、これについて国民的なもっと議論が必要であるという意味で、今後、県の中にもそういう意見交換する場をつくってもらいたいと、そういうふうに考えているところです。
 以上で、人権救済法案についてお尋ねさせていただいたわけなんですけども、教育長、きょうは教育長に質問しませんけども、文教委員会の中で聞くんですけども、私はやっぱり教育の中で人権教育をどういうふうにしていくのかと、そういうことをお尋ねしたいなと思っております。
 最後になりますけども、特に同和行政について。県の同和行政、それについて企画部長に、今どういうふうな現状であるかということについてお尋ねさせていただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 吉井議員にお尋ねいたします。企画部長でよかったですね。〔「企画部長に」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 企画部長柏原康文君。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 現在、県では、同和問題の解決を目指し、さまざまな取り組みを進めてきているところでございます。その結果、同和問題は解決に向かっているものの、教育や産業、就業等において課題が残されております。また、難しい、許しがたい差別事件が発生している状況にもございます。
 このことから、本県では、和歌山県人権尊重の社会づくり条例及び和歌山県人権施策基本方針に基づきまして、すべての人の人権が尊重される平和で明るい社会の創造を目指し、関係機関と連携しながら同和問題の早期解決に向け、取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 吉井和視君。
 〔吉井和視君、登壇〕
○吉井和視君 今後、県の同和行政の中で、我々議員も積極的にこの問題の解決に向けて取り組んでまいりたいと思いますんで、よろしくお願いいたします。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、吉井和視君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 この際、申し上げます。
 高田由一君から12月8日の会議における同君の発言について、立谷誠一君から12月9日の会議における同君の発言について、一部を取り消したい旨の申し出がありました。
 お諮りいたします。この申し出をいずれも許可することに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、両君の申し出をいずれも許可することに決定いたしました。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 お諮りいたします。議案第159号を本日の日程に追加し、これより直ちに議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 議案第159号を議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました議案について御説明申し上げます。
 議案第159号は、東日本大震災の被災者等の負担の軽減を図るための地方税法の一部改正に伴い、個人県民税に係る被災居住用財産の敷地の譲渡期限の延長等の特例を講ずるとともに、規定の整備を行うため、県税条例の一部を改正するものでございます。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(新島 雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 これより質疑に入ります。
 本案について質疑はありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 質疑なしと認めます。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。議案第137号は、お手元に配付しております議案付託表のとおり、行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、議案第122号、議案第130号から議案第136号まで及び議案第138号から議案第159号までは、お手元に配付しております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。12月13日及び14日は委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、12月13日及び14日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、12月15日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
 午後2時52分散会

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