平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第6号(奥村規子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 午後1時0分再開
○議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 38番奥村規子君。
 〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、今回、3項目にわたって、すべて分割質問方式でいたします。
 その前に、台風12号の豪雨災害が起こって初めての登壇であります。東日本大震災からは、ちょうど昨日で9カ月たちました。そして、その後、紀伊半島には大変な被害がもたらされました。この場をおかりいたしまして、県民の皆さんや被災された御家族の皆さんに深い哀悼とお見舞いを申し上げたいと思います。
 それでは、一般質問に入らせていただきます。
 最初の項目1の獣害対策についてです。
 安心して農業を続けるためにも、また安心して生活できる地域づくりのためにも、農業に未来と希望を子供たちにも持ってもらえるためにも、獣害対策を強めなければという思いで質問させていただきます。
 これは「わかやまの農林水産業」編集委員会編で、毎年資料提供で送られてくる小学校5年生の副読本です。(資料を示す)1人でも多く、将来、第1次産業を担っていく人間に成長してくれればいいなと思いながら、いつも読ませていただいています。
 この中の「調べてみよう わかやまの農業」というページに、子供たちの素直な農業への思いが自筆で書かれています。こういったページに書かれていますが、この中の1つですが、「わたしたちの学校では、みんなでたくさんの野菜を育てています。みんなでしゅうかくして調理して食べたり、調理員さんにお願いして給食を作っていただいたりしています。自分たちで野菜を育てることで、農家の人たちのご苦労や願いが、ほんの少しですがわかってきたような気がします。また食べ物やそれを育んだ自然に対する感謝の気持ちがわいてきます」、こういったことが生き生きと書かれています。子供たちの目の輝きが本当に伝わってきます。
 将来、社会を担っていく子供たちにこたえていくためにも、農家の皆さんは頑張っていらっしゃると思います。
 近年、獣被害が市街化区域にも広がってきています。私の住む和歌山市においても、幾つか里山があります。特に、桜の名所として訪れる人も多い和歌浦湾を臨む絶景の寺院、紀三井寺のある名草山(標高228.6メートル)周辺地域でもイノシシ被害に悲鳴が上がっています。地元の方はイノシシよりもイノブタだと言っていますが、ここでは一応、私は括弧つきのイノシシということでお聞きしていただきたいと思います。
 果樹栽培や米づくりなどの農業を営む人や、振興住宅もあります。農作物を初め、日常生活が脅かされています。
 名草山の東側の広原地区から少し登ってみると、鉄のさくが張りめぐらされ、道には鉄さくの扉が取りつけられていました。ところどころぼこぼこに土が掘り返され、墓石までひっくり返されています。地元の人は、以前はこのような獣被害はなかったと言われています。10月には地区公民館で県政おはなし講座「イノシシ被害の学習会」が行われたと聞いています。和歌山市のイノシシの地区編隊別有害捕獲頭数を見ると、7年、8年前の平成15年度、16年度は名草などの地区は捕獲頭数ゼロでしたが、急激にふえ、捕獲頭数は地区別で一番多く、平成22年度では163頭捕獲されています。
 そこで、県下の農作物被害の状況と対策の現状について、農林水産部長にお伺いします。
 県下の野生鳥獣による農作物の被害額はどれくらいでしょうか。また、対策はどのようにされていますか。お答えください。
 次に、環境生活部長にお伺いします。
 住民の生活被害への対応についてお答えください。
 第1項目め、以上です。
○議長(新島 雄君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県下の野生鳥獣による農作物被害額は、平成22年度で3億5000万円、特にイノシシ被害額が最大で、約半分の1億8000万円余り、次いで猿、シカ、アライグマの順となっております。種々の対策にもかかわらず、被害金額はここ数年3億円前後で推移しております。また、それ以外にも、シカによる林業被害や報告に上がってこない被害もあると考えております。議員お話しのとおり、10月の県政おはなし講座でも、住民の方々から深刻な被害の状況をお聞きしております。
 こうした状況に対応し、抜本的な解決を図るために、今年度から捕獲に対する取り組みを強化し、捕獲、防護、環境整備の3本柱で鳥獣害対策を総合的に推進しているところでございます。
 県下全市町村が有害鳥獣捕獲に取り組んでおり、今年度から県はイノシシ、シカ、猿の捕獲に対しての報償金を拡充するとともに、アライグマも新たに報償金の対象にいたしました。また、今年度初めてニホンジカの管理捕獲を4月から5月中旬にかけて実施し、県下全域で1462頭を捕獲いたしました。農家がわな免許を取得する際の事前講習会費用の補助金も、ことしから拡充しております。
 防護につきましては、さくの設置について、現在5の市と町が国の補助事業を実施しており、県単独の事業につきましては、今年度から農家が利用しやすいように採択要件を緩和いたしました。その結果、21の市と町で事業を実施していただいております。
 野生鳥獣を寄せつけない環境づくりについては、今年度から集落全体での取り組みに対し補助制度を新設し、7つの市と町で事業を実施しております。また、本年2月に和歌山県鳥獣被害対策本部を設置するとともに、各振興局にも地域本部を設置したところであり、今後とも市町村その他の関係機関と連携して一層鳥獣被害対策に取り組んでいく所存でございます。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
 〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 生活被害への対応についてですが、イノシシ等が市街地に出没し、人に危害を加えたり工作物を壊すことにより、住民はその都度、防護対策等に苦労するとともに、不安を感じていることは十分承知いたしております。
 出没の原因は、耕作放棄地の増加やえづけなどが考えられ、農地に放置した果実や生ごみ等は無意識のえづけにつながるおそれがあるため、県のホームページにおいて「餌づけ防止について」を啓発しているところです。また、住民の方からの電話相談等の対応も行っています。
 野生鳥獣による生活被害対策の直接窓口は市町村が担当し、住民の方々の避難、あるいは原則追い払いの措置をとっており、状況によっては県も現場に出動し、人命等に危害が及ぶおそれがある場合は警察と連携して対応することもあります。
 県としましては、今後とも生活被害の減少に向け、関係の市町村及び関係機関との連携を強化してまいります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 奥村規子君。
 〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 鳥獣被害が大変広がっていると、そういうことも含めて、今年度からいろんな対策が強化されたということも答弁でいただいたんですが、その中で再度質問させていただきます。
 県としても被害の状況を把握していただき、直接出前講座という中で県民の方からも御意見を聞いていただいたということですが、そういった点でも、本当に住民の方からどういった深刻な状況を聞かれているか。もう一度、農林水産部長にお答えいただきたいと思います。
 また、生活被害の減少に向けて関係市町村と連携を強化ということでは、具体的にどのようなことなのか。その点についても、ぜひ環境生活部長にお答えいただきたいと思います。
 また、防護さくの県単独の補助制度、農家が利用しやすいように採択要件を緩和したということなんですが、その点で和歌山市の活用件数というのはどうなんでしょうか。それについて農林水産部長にお聞きします。
 以上、よろしくお願いします。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) イノシシの被害で耕作意欲をなくすとか、あるいは家庭菜園や庭を荒らされるといった声を聞いておりますけれども、私自身のことを申し上げますと、ことしの3月まで有田振興局におりました。ちょうど1年前の12月の今ごろ、本ミカンの収穫の真っ最中なんですが、ある会合に出た際に、会合の終了後、農家の方から、とにかくどんなにひどい状況であるか現場を見に来てくれと、案内するという申し出をいただきました。12月は本ミカンの最中で、農家の方には大変に失礼というんですか、恐縮ですから、私、振興局の職員と一緒に現場に参りましたけれども、私どもサラリーマンと違いまして、農家、特に果樹の収穫は年に1回です。ですから、本当に切実かつ深刻な問題と、私はかように受けとめております。
 それから、和歌山市の防護さくの設置なんですけれども、制度の概要を説明させていただきますと、県単独の事業は、昨年度までは2戸以上の農家の農地のまとまりということになってましたが、ことしからは1戸でもできるようにと要件を緩和いたしました。
 和歌山市は、県単独の事業につきましては、防護さく設置支援事業の県単独事業の活用はございません。ただ、平成23年度に国庫事業、国のほうでもさくを設置する補助事業がございまして、そちらのほうで事業を行われております。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長。
 〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 関係する市町村との連携を強化するため、警察も含めながら対策会議を開催しているところです。
 野生鳥獣の出没する状況にもよりますが、より迅速な情報連絡と現場への出動、そしてまた現場での対応がより効果的となるよう、関係機関と今後とも協力してまいりたいというふうに考えております。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 奥村規子君。
 〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 本当に何とかしなければということで、今後もぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 最後に、これについては要望をさせていただきたいと思いますが、狩猟関係の仕事をしている方も、本当に捕獲した際には命がけの仕事ということで、イノシシも必死に抵抗するという中で大変な仕事を担ってくれていると思います。
 昨年12月の一般質問で、松坂県議からも鳥獣対策の抜本的強化を求めるという一般質問もありましたが、捕獲委託金がわなの場合は6000円ということであるんですけど、実際のわなの代金に4000円なり、そういった費用がかかりますし、ガソリン代とか、その他の経費とか、そういったことを含めると、ほとんどそういったことに消えてしまうわけです。それでも、労力が大変だったりする中で、農家のことを思うとやめるわけにもいかないというふうに狩猟関係の方は言われています。
 農家の方も、夜が明ける前から箱わなを見回りに行ったり、被害を減らそうと必死になっています。補助があるとはいえ、捕獲のためのさまざまな費用、労力が要ります。
 私は、農家の人がわな免許を取らないといけないとかいうこと自体が本当に大変だと思っているんです。取りたくて取っているのではないと思います。やむを得ず、仕方なく取らざるを得ない、こういった事態をもう本当に一日も早く改善していくように期待しています。そういった中で、委託金の引き上げなど農家に負担のない対策をぜひさらに推し進めていっていただきたいと思います。
 答弁の中で、農作物の被害は、届けられている中で平成22年度3億5000万円ということでしたが、10年間で計算してみると被害総額が31億5000万円以上になってきます。イノシシ捕獲頭数も、推移を見てみますと、平成14年272頭から22年6851頭に大きく捕獲は伸びているにもかかわらず、被害額がなかなか変わらないと。こういった点では、ぜひ私としてはもっと根本的な、捕獲ということとあわせて、生態系の実態調査とか、そういったことにも全力を傾けていただきたいと思います。
 和歌山市が先ほど県の防護さくの補助事業ゼロって言われたんですけども、それについては県のが使いにくいのか、市の申請がなかなかないという、そこらあたりのことをぜひ問題も含めて連携をとりながら、この補助活用ができるように、また支援や連携をとってもらいたいと思います。
 最後に、やっぱり地元の人はイノブタだと言っているんですけども、その点では、DNA調査も県のほうからのを見せていただいたんですが、名草山周辺は入ってないので、そういったところで、突然変異なのかどうかぜひ調査をしていただきたい。そのことを要望して、この第1項目を終わらせていただきます。
 次に、2項目めの質問に移らせていただきます。
 和歌山北高等学校の西校舎と新設和歌山さくら支援学校の併置について、お伺いいたします。
 来年度、和歌山北高等学校と和歌山西高等学校が統合し和歌山北高等学校になり、現在の和歌山西校舎には、スポーツ健康科学科2学級、普通科2学級と和歌山さくら支援学校が併置されます。現和歌山北高には普通科7学級を設置されるということで、統合整備が進められています。これは、和歌山西高の生徒数の減少に対応することや和歌山北高の体育科としての条件整備をすることと、特別支援学校の過大規模化解消を考慮して進められているものです。
 和歌山北高校は1963年に開校されています。教育目標は、みずから考え、行動し、学ぶ意欲的な生徒を育成するとあります。
 一方、和歌山西高校は1984年に開校され、教育目標として、「命の尊厳に対する基本的理解の確立」、「実践力の涵養」、「新しい時代を創造する人間としての資質の向上」を目指しています。そして、1人1人の進路や興味、関心などに応じて科目選択ができる2学期制単位制が導入されました。
 それぞれ歴史と伝統があります。しかし、このたびの統合整備について、さまざまな疑問が出されています。統合後の校名が和歌山北高等学校となることから、和歌山西高校の校名がなくなり、学校がなくなってしまうように思う、西高はどうなっていくのか、単位制がなくなるが、これまでの単位制をどう評価しているのか、新北高の西校舎についてはどんな普通科になるのか、全員クラブ制と聞いたが、どんなクラブがあるのか、クラブ活動はどこの校舎でするのか、クラブの選び方によって北校舎と西校舎を行ったり来たりしなければいけないのではないか、そのときの交通手段はどうなるのかなど、わからないままです。
 和歌山西高の開設されたころの卒業生も、今は大学や高校受験生のお母さんになっています。できれば近くの西校舎に通わせたいが、わからないことが多く、子供の進路を一緒に考える上でもしっかりした相談に乗れない、あいまいなことしか言えないと悩んでいます。子供にはとにかく勉強するようにしか言えず、困っているという話です。十分な議論をする中で子供や保護者に説明をし、不安にこたえることが必要です。
 そこで、以下、教育長にお尋ねいたします。
 1、和歌山北高校と和歌山西高校の教育理念が統合の中でどのように生かされているか、特に大きな改変になっている和歌山西高のこれまでの伝統や理念をどう生かすのか、教育長にお尋ねいたします。
 次に、お手元の資料をごらんください。大変見にくい資料になって申しわけないんですが、これは現和歌山西高校の略図です。来年度開校する和歌山さくら支援学校の校舎が和歌山西高校のどの位置に整備が計画されているかの配置図です。
 支援学校の知的障害のある生徒に対応した高等部の校舎については、和歌山西高校の教室を転用されます。現在、和歌山西高校の右側、丸で囲んだところが改修されています。平成26年度には小・中等部が、左の丸で囲んだテニスコートのあたりに校舎2棟と体育館が新築され、フルオープンになるとお聞きしています。
 そこで、統合後の高校と和歌山さくら支援学校との教育のあり方をどのように考えているのかをお示しください。
 次に、和歌山さくら支援学校は、特別支援学校の過大規模化と児童生徒の現状に即して設置されるというもので、知的障害、肢体不自由の児童生徒を対象とした小・中・高等部をあわせ持つ学校と聞いています。子供や保護者、教職員の皆さんの強い要望にこたえて実現するものであり、関係者の御努力に敬意を表したいと思います。一層充実した教育活動を期待する立場からお聞きします。
 和歌山さくら支援学校の開校により、紀伊コスモス支援学校、紀伊コスモス支援学校園部分校の過大規模化は解消されるか。これまでにない統合の上、支援学校を併置する中で複雑な問題や課題への対応が予想されます。いろんな配慮も求められると思いますが、両校の教員配置をどう考えているのか。
 以上、教育長、お答えください。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 和歌山北高等学校と和歌山西高等学校の教育理念が統合の中でどのように生かされるかという第1点の御質問ですが、来春統合する和歌山北高等学校に関しましては、和歌山西高校と現和歌山北高校の思いを十分に受けとめながら、双方のよき伝統を引き継いだ学校づくりに向けて、昨年度から両校の教職員が協議を重ねてきているところであります。
 現在、和歌山北高校は、スポーツを核として心・技・体を磨き、みずからを律し、向上させようとする生徒を育ててきました。また、和歌山西高校は、単位制をとることで、興味、関心に応じて多様な科目を学び、みずからの進路を切り開いていこうとする生徒を育成してまいりました。
 このたびの統合校におきましては、これまで両校が教訓としてきた「知・徳・体」に加え、和歌山西高校が大切にしてきた高い志をあわせ持った社会に貢献できる人間形成の育成を教育の基本理念といたしております。
 また、両校舎において、健康や福祉の視点を取り入れながらスポーツに力を入れた教育を推進するとともに、生徒の進路希望を実現するためのきめ細かな支援を行い、心豊かにたくましく社会を切り開くことのできる人材を育てる教育に努めてまいります。
 2点目の統合校の高校と和歌山さくら支援学校との教育のあり方についてでございますが、統合校の高等学校と和歌山さくら支援学校は、文化祭、体育祭を初めとした学校行事や生徒会活動等において互いに理解を深め、ともに助け合い、支え合っていくことの大切さを学ばせるため、生徒同士の交流や共同学習を積極的に推進していきたいと考えてございます。
 また、和歌山さくら支援学校では、作業学習において福祉施設や事業所等での実習を取り入れ、働くために必要な意欲、技能、態度を培い、地域において主体的に生きる力を育成するなど、職業教育の充実に努めてまいります。
 3点目の和歌山さくら支援学校の開校により、紀伊コスモス支援学校、紀伊コスモス支援学校園部分校の過大規模はどうなるかということでございますけども、和歌山さくら支援学校は、紀伊コスモス支援学校の校区を分ける形で開校しますので、紀伊コスモス支援学校は児童生徒数が減少することになり、学習環境は改善されます。
 また、紀伊コスモス支援学校園部分校については、平成25年末をもってすべての児童生徒が和歌山さくら支援学校に移籍することになりますので、子供たちはゆとりある学習環境で学べることになります。
 教員配置についてですが、標準法に基づき、生徒の実態やカリキュラムの内容等も考慮しながら適切に対応してまいりたいと思ってございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 奥村規子君。
 〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 再質問で、支援学校の学習環境がよくなると言われましたが、具体的にどういった点で学習環境がよくなるのか。また、過大規模化が解消されるという点ではどうなのか。ぜひそれをもう一度お答えいただきたいと思います。
 そして、何よりも教員配置の問題なんですが、今回の統合校と、そこに併置されるということで、私は、最初は隣接というイメージがあったんです。それで今回、この地図というんですか、略図をお示しさせていただいたんですが、これから交流とか、そういったところを重視されているんだろうと思うんですが、やはり障害があろうとなかろうと共生していく社会、そういった理念とか、いろんなことがあるんだろうと思うんですが、こういった中でというのは、やはり県民の皆さん、住民の皆さん、地域の皆さん、そしてまた保護者の皆さんや、何よりも生徒や先生たちの現場でそうつくり上げていくもんだと思うんです。
 そういう意味では、非常にこれから大きな、今まで県下としては取り組んだことのないことをやっていくわけですが、そういった点で十分な──何が起こっていくか、問題や課題が出てくるか、そういったことも含めて、ぜひ教員配置の加配がやっぱり大事じゃないかというふうに思うんですが、その点でもう一度質問をさせていただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 教育長。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 具体的にどういった点で学習環境がよくなるのか、過大規模が解消されるのかという御質問でございますが、具体的には、現在の普通教室の不足がございます。その普通教室の不足や、過密な使用となっている音楽教室だとか、あるいは美術教室などの特別教室というのがございますが、そういう美術教室などの特別教室の状況等が改善されて、過大規模化の解消が進んでいくものというふうに受けとめております。
 それから、議員御指摘の教員の配置につきましては、標準法に基づいた加配を含めて適切に対応してまいりたいというふうに考えてございます。
○議長(新島 雄君) 奥村規子君。
 〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 最後に要望をしておきたいんですが。
 しつこいようですが、北・西高統合そのものがそういったさまざまな課題を生むということもあるかと思うんです。施設整備のおくれなど、統合への経過の中でもさまざまな問題もある中で、いろいろな議論が必要にこれからもずっとなってくると思います。そのときに保護者や子供たち、皆さんから理解してもらえるように、説明会やいろんな機会をとらえて、疑問に答える機会をしっかりとふやして、また工夫をしていただきたいと思います。
 そういった意味で、よりよい教育環境をぜひつくっていけるように私たちも頑張っていきたいなと思いますので、よろしくお願いいたします。
 最後に、3項目め、介護保険制度と後期高齢者医療制度についてお尋ねいたします。
 11年前の2000年4月に、「介護の社会化」を合い言葉に介護保険制度が始まりました。しかし、今日の現状はどうでしょうか。特別養護老人ホームの入所を希望しても入れない。家族の介護を理由に仕事をやめざるを得ない。介護退職は全国で毎年10万人以上あると聞いています。また、介護現場の人材不足は深刻で、介護の危機というべき状態にあります。
 一方で、高齢者の介護保険料は上がり続けてきました。来年度からは全国平均の基準月額が5000円を超えると言われ、高齢者の負担は限界となっています。現在の第4期の保険料でも、どれだけ高負担になっているでしょうか。
 和歌山市の保険料を見ますと、市民税非課税世帯で本人も非課税、第3段階で、年4万4520円です。課税世帯で本人の年金収入が80万円以下で、年5万3430円です。年金支給額がおおむねの平均である50万円だと、その1割を超える保険料となってしまいます。今も県内で要介護や要支援と認定された方は65歳以上人口の20.8%となっていますので、8割の方は掛け捨てとなっています。その中で介護保険が見直されようとしているのです。
 ことし6月に可決・成立された介護保険法改正は、高過ぎる保険料問題について、必要な公費負担金割合の改定を行いませんでした。介護保険制度は公費負担5割となっていますが、前回の見直し時、特例交付金を投入し、また介護職員の処遇改善も別枠の交付金で行い、実質的には57から58%ぐらいの負担になっています。しかし、今回はこの問題に手をつけず、さらに別枠の処遇改善の交付金を延長して国から交付するのか、介護報酬化して保険料や利用料に転嫁するのか、その結論も出ていません。
 ただ、改定介護保険法は、このままでは第5期保険料が大幅に上昇することから、県に積み立てられている財政安定化基金の取り崩しだけを条文化しました。県の財政安定化基金を取り崩して3分の1を市町村に返還し、保険料の低減に充てること、また、県・国に返還するそれぞれの3分の1についても介護保険に関する事業に要する経費に充てるよう努めるとしています。
 県の第4期保険料の平均基準額は月額4625円で、国の平均4160円をはるかに上回っています。国平均並みの値上げとなれば、月額5600円もの保険料になってしまいます。県の基金だけでは、到底、保険料引き上げをとめることはできない状況です。
 しかし、県としてもこの介護保険料の上昇をどう考えるのか。基金取り崩しでできる限りの低減を行うべきと考えます。財政安定化基金取り崩しは、国が過去の最大貸付率で基金を残すなどの考え方を示していますが、どの程度の額を取り崩すのかは県を中心に地域で検討するものとしており、県の考え方が大きく左右すると考えます。
 そこで、知事と福祉保健部長にお伺いします。
 これまでの県の安定化基金の積立総額と支出額の推移、今年度の見通しはどうなっていますか。今回、見直しに当たっては、全額を取り崩して保険料低減に充てるべきと考えますが、いかがですか。福祉保健部長、お答えしていただきたいと思います。
 また、県返還分も市町村に交付し、第5期の保険料軽減に充てるべきと考えますが、ぜひ知事のお考えを聞かせていただきたいと思います。
 2は、別枠で交付される介護労働者処遇改善交付金は継続されるのかどうかということについてです。これが介護報酬化された場合、平均保険料はどの程度上昇するのでしょうか。また、県平均の介護保険料は第1期から第4期までどのように上昇してきたか、お答えください。
 3つ目は、改正介護保険法では、市町村の判断で介護予防・日常生活支援総合事業──以後、「総合事業」と言います──この総合事業を導入し、要支援1、2と認定された人は、地域包括支援センターが予防給付か総合事業で対応するのかを判断するとしました。これは、要支援の人を介護保険の給付から外そうとするもので、極めて不十分なサービスになるのではと危惧されています。
 現在、市町村で第5期事業計画の策定が議論されています。県内で要支援認定の高齢者は何人いますか。この総合事業導入についての市町村の状況はどうでしょうか。
 4つ目は、特別養護老人ホームの待機者はどうでしょうか。どう見ていますか。第5期事業で施設・在宅サービスの拡充で解決の方向に本当に進むのかどうか、お答えください。
 最後に、後期高齢者医療制度の保険料改定について質問いたします。
 後期高齢者医療制度は、民主党が廃止すると公約したにもかかわらず先延ばしされ、来年度、保険料改定が行われます。新制度として議論されている制度は、国保の中で75歳以上を別勘定にして、高齢者医療費と保険料負担が直結するという現制度の問題点をそのまま引き継ぐ内容で、到底認めるわけにはいきません。
 しかし、今回問題にしたいのは、廃止が決まっている医療制度なのに保険料が値上げされるという問題です。この点について県の対応をお聞きします。
 来年度の保険料改定の見通しはどうなっているのでしょうか。また、前回改定では、広域連合の剰余金と県の後期高齢者医療財政安定化基金を投入し、保険料率が引き下げられましたが、今回も県の基金を投入して、せめて保険料が引き上がらないようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
 答弁、よろしくお願いします。
○議長(新島 雄君) 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 介護保険制度は国の制度でありまして、私も持続可能性という点でいろいろ問題があるというふうには認識しております。
 ただ、御指摘のように、国で決まっているこの制度がおかしいというんであれば、やっぱりそもそも国のレベルで制度のあり方を議論すべきであって、それで市町村が苦しいからといって県が全部埋めなきゃいかんというのも、これはそういうことをやってると国の制度のしりぬぐいを全部県が引き受けるということになって、ちょっとおかしいなというふうにも思います。
 この財政安定化基金は、国、県、市町村からそれぞれ出されたわけでございますが、国や県については一般会計で出されておりまして、将来の財政の不足的な事態に備えるために基金を持っていたのが多過ぎるということで取り崩すんであれば、もとのところへ戻すというのが多分趣旨だろうと思います。
 ただ、同時に、この法律では、国や県は取り崩し分を介護保険に関する事業の経費に充てるように努めるべきだというふうに書いておりますので、私どももそのような考えに立って、これから介護保険についてはいろいろな制度の改変がなされていくと思いますので、それに役立たせて、いいサービスができるようにしていきたいと、そんなふうに考えております。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) まず最初に、これまでの財政安定化基金の積立総額と支出額の推移、今年度の見通し等についてお答えをいたします。
 介護保険制度が始まった平成12年度からこれまでの財政安定化基金の積立総額は、約32億4500万円になります。なお、全国的に財政安定化基金の積立額が交付・貸付需要を大きく上回る状況であり、本県でも第4期介護保険事業計画期間の平成21年度以降、積み立ては行っておりません。
 また、支出額ですが、平成12年度から14年度の第1期では、貸し付けが約5億2700万円、交付が約2200万円、平成15年度から17年度の第2期では、貸し付けが約8億7000万円、交付が約2億5500万円、それから平成18年度から20年度の第3期では、貸し付けが約9400万円、交付が約1300万円、第4期における平成21年度、平成22年度で貸し付けが約6600万円となってございます。平成23年度におきましては、現在、市町村に対して照会中でございます。
 財政安定化基金を全額取り崩すべきとの御意見につきましては、仮にすべてを取り崩すと、平成24年度以降において市町村の介護保険財政に赤字が生じた場合、貸し付けや交付を行うことが困難となることや、介護保険法上、一部を取り崩すことができると規定されていることから、適切ではないと考えてございます。
 次に、介護労働者処遇改善と介護保険料についてですが、まず介護職員処遇改善交付金につきましては、平成23年度末で終了することになっておりますが、この後の介護職員処遇改善については、国において社会保障審議会介護保険部会等で審議されてきたところです。
 現在実施されている交付金を廃止し、介護報酬に反映した場合、同額の財源を確保するには2%の介護報酬アップに相当する旨が介護保険部会等で説明されておりますが、実際どのような形で行われるか未定であるため、県の第1号保険料基準額平均にどの程度影響があるかということを現時点で申し上げることは困難でございます。
 次に、第1号保険料基準額月額の推移は、第1期は2911円、第2期は3527円、第3期は4513円、第4期は4625円となっております。
 次に、要支援認定の高齢者数と介護予防・日常生活支援総合事業の市町村の状況についてですが、要支援の認定を受けている高齢者数は、平成23年10月末現在で1万8073人となっております。
 また、本年6月の介護保険法改正により、地域支援事業の中に介護予防・日常生活支援総合事業が新たに創設されております。この事業は、要支援者の方や、介護認定までには至っていないが予防の必要性が高い2次予防事業対象者の方に対して、介護予防事業や配食、見守り等の生活支援サービスを総合的に提供することができる事業です。
 この事業の実施につきましては、市町村が利用者の意向を尊重し、必要なサービスを検討し、導入するものですが、国から事業実施に当たって参考となる手引が市町村に示されていないこともあり、現段階では、市町村も導入の適否について検討しているという状況であります。
 次に、特別養護老人ホームの待機状況と第5期事業での基盤整備についてですが、平成23年3月31日時点の特別養護老人ホームにおける在宅の待機者数は2824人で、そのうち要介護4以上の方が1013人となっており、高齢化率の上昇により待機者数は年々増加する傾向にあります。
 平成21年度から23年度末までに、特別養護老人ホーム等の介護保険施設や認知症高齢者グループホーム等が合わせて約1400床整備される予定になっております。また、平成24年度から26年度までの第5期におきましても、1人でも待機者が少なくなるよう、特別養護老人ホームを中心に積極的に計画的に整備を進めるべく、現在、市町村と協議を行っているところでございます。
 最後に、後期高齢者医療制度の保険料改定の見通しと財政安定化基金の取り崩しについてですが、後期高齢者医療制度の保険料改定の見通しは、和歌山県後期高齢者医療広域連合が試算中であり、まだ公表できる段階ではありませんが、平成22年度の前回改定では、保険料をやや引き下げたことなどにより広域連合の保険財政は厳しさを増しており、剰余金を活用してもある程度の保険料の引き上げが必要であると見込まれます。
 県としましては、保険料の増加抑制を図るため、給付費の増大や保険料の減収リスクに備えて県が造成している後期高齢者医療財政安定化基金約13億円の一部を必要に応じて特例として取り崩し、広域連合に交付して、高齢者の負担が軽減されるように努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 奥村規子君。
 〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 時間も余りないので、知事に再度、介護保険料の問題でお伺いしたいと思うんですけど。
 介護保険料引き下げにこの基金などを取り崩しということで私は思ってるんですが、暮らしが大変だとか、高齢者の状況というのは、もう知事も本当に痛いほどわかっていただいてると思うんです。
 そういった中で、もうこれ以上、やっぱり先ほども部長の答弁でありましたように、年々、この第1期から4期までも非常に保険料が上がってきてますし、そういった中で何とか県として、もともと国のこういう負担という問題が、もっとふやしていかないといけないと私も思うんですけど、そういったところがあるんですが、その点で県としてやっぱり今回の中で何とか引き上げを食いとめる、また引き下げるという考えがないかという点で再度お聞きしたいんです。
 先ほどおっしゃってた中で、第5期の保険料改定についてということが全国の会議の中で文書が出てるわけなんです。そこでは、第5期保険料設定についてという資料の中で、「財政安定化基金を取り崩したときは、国及び都道府県がその取り崩した額の3分の1に相当する額を介護保険に関する事業に要する経費に充てるよう」、確かに「努めることとされているところである。国においてはその活用方法を検討しているところであるが、各都道府県においても、当該取り崩した額が介護保険に関する事業に要する経費に充てられるようご配慮方よろしくお願いする」という、こういった資料が出てるわけなんです。これは、「第5期保険料設定について」というところの文章であるわけですから、それをぜひ考えていただいて、何とか引き下げるということで考えていただきたいなと思いますが、再度答弁をお願いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 奥村議員の御質問の中には、2つ大変大事な点が、多分無意識だと思いますが、強調されていない。
 1つは、この財政安定化基金は国と県と市町村とで3分の1積み立てておるわけでありますけれども、国と県が一般財源で出しておるのに対して、市町村のほうは実は介護保険料の一部を持ってきて積み立ててるわけですね。ですから、これが余ったというときには、市町村のほうは、必ずそれは介護保険料に返すのが当たり前であり、それで国や県については一般会計に返すのが当たり前。だけども、先ほど御指摘のような、そういう考え方があるので、我々は──2つ目の問題ですが──介護保険に何か充てようというふうに思っておるわけです。だけど、その介護保険に充てようというのが、この積み立てから介護保険料に戻しなさいというふうに直結するというところまで、そこは県に任されてると思うんです。
 ですから、我々は、少し戻すよりは、介護保険が、あるいは介護がうまくいくように、そういうことを考えて、これから、国もそうですけど、検討していきたい、そんなふうに思っております。
○議長(新島 雄君) 奥村規子君。
 〔奥村規子君、登壇〕
○奥村規子君 どう使うかという点でも、保険料に充ててはいけないということではないと思うんです。その点でぜひ考えていただきたいと思います。
 最後に要望させていただきますが、後期高齢者医療制度の保険料改定については、広域連合との協議で財政安定化基金の拠出、さらに県からの独自の補助金交付についても協力するようにという厚生労働省からの通知もあるようなので、ぜひこの点でも検討して、保険料引き上げとならないように強く要望したいと思います。
 これで、質問を終わります。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、奥村規子君の質問が終了いたしました。

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