平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(濱口太史議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 午後1時0分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 質問に先立ちまして、このたびの台風12号の被害を受けました被災地域、とりわけ新宮・東牟婁地域に対しまして、知事を初め、県職員、警察、消防、自衛隊の皆様、そして先輩・同僚議員の皆様には、早々に被災地へ駆けつけていただき、多大なる御声援や激励を賜り、また復旧対策を迅速に行っていただきましたことに対しまして、地域を代表して心より感謝と御礼を申し上げます。それに、ボランティアなどに従事されました県民の皆様、本当にありがとうございました。
 御承知のとおり、12月3日、長く不通となっておりましたJR新宮─勝浦間が、鉄橋の仮復旧により、そのときを待ちに待っていたレールの上を3カ月ぶりに電車が走れるようになりました。地元利用客や観光客の貴重な交通手段の復活に、駅や周辺にたくさんの人たちが集まり、久しぶりの笑顔と活気にあふれていました。短期間でのスピード復旧に並々ならぬ御尽力をされましたJR西日本の関係者の皆様や、不眠不休で工事に当たられました皆様方に心から感謝と敬意を表します。
 再び走り出したオーシャンアローに力いっぱい手を振り、地域の皆さんは大変喜んでおられました。中には、感激に涙する方もいらっしゃいました。
 私にとりましては、議員として第一歩を踏み出したと同時にこのような大災害が起こり、県会議員として今何をするべきか戸惑いながらも、諸先輩議員からのアドバイスもいただき、被災現場の状況確認、被災された方々の声を集めては行政に届け、各方面への支援要請を行い、また国や県の関係機関の方たちの視察調査に同行させていただくなど、短期間にたくさんの出来事を経験させていただきました。感謝や激励の言葉をいただけることもあれば、まだまだ活動が未熟で不十分だとのおしかりの声もたくさんいただきながら、あっと言う間に3カ月が経過いたしました。
 今回のJRの一連の復活劇が、利便さを取り戻しただけではなく、被災に沈む地域のやるせないムードから、また新たに頑張ろうという気持ちを奮い起こさせたように、私も議員として地域や地域の人たちにそう感じていただけるように行動していく所存ですので、どうか御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、熊野川流域の復興についてであります。
 去る9月2日から3日にかけての台風12号の豪雨は、私の地元、新宮市や東牟婁地域にも容赦なく襲いかかりました。東京都の1年間分に匹敵する降雨量がわずか数日間で降り続き、河川はあちらこちらではんらんをし、山では多数の土砂災害が発生いたしました。その結果、多くの死者や行方不明者、家屋や事業所や施設、そして道路が破壊されました。一部の地域では解析雨量で2000ミリを超える記録的な大雨となり、そのため壮大な川幅を有する熊野川でさえもあふれ返り、ふだんの水面からおよそ30メートル近くも水位が上がり、熊野川町では少し高台にある行政局庁舎の3階近くまで浸水するなど、一帯が水没する事態となりました。
 これまでにも幾多の水害に見舞われた熊野川流域は、これまで以上に自然の脅威と水の怖さをまざまざと見せつけられ、被害は甚大なものとなっています。
 それでは、熊野川流域の復興や水害対策に関連した質問をさせていただきます。
 1つ目、豪雨に備えたダム操作についてであります。
 今回の熊野川のはんらんはダムの放流が大きく影響しているとの見方があり、3カ月経過した今もなお、被害を受けた住民の不満と不安はおさまっておりません。ダム管理者である電源開発に対し、治水の義務がない利水ダムとはいえ、今回、豪雨で下流地域に甚大な被害が及ぶと推測された中で、操作規程を変更してでももっと治水に協力をしてもらえなかったのかと、流域市町村とともに私も訴えを続けております。
 去る11月7日に新宮市議会の災害復興対策特別委員会に電源開発側より提出された説明書によりますと、事前にダムの水位を下げて空き容量を確保していたとしても洪水低減効果は限られていたとの報告がありました。仮にダムへの正確な流入量を事前に把握し、最も適切なダム操作を行ったとすれば、最下流に位置する小森ダムと二津野ダムの合算最大放流量は、今回行った放流量よりも10%程度減らすことはできると推定しており、新宮市中心部に近い相賀地区では約5%、水位で約50センチを抑えられたと推測しています。
 しかし、言いかえれば、効果としてはその程度で、ダム自体、今回の被害には大きな影響は及ぼしていないと聞き取ることもできます。
 そして、根本的な疑問もあります。このような豪雨の際にはダムを空にして治水機能を高めてほしいと訴えても、現段階のダムの構造や法律上ではどれくらいの水位まで下げることが可能なのか、また、仮に空に近い状態に水位を下げられることになったとしても、完全に水を抜き終わるまでには一体何日かかるのか。一説には、池原ダムで10日ほどかかると伺いましたが、天気予測の技術が発達したとはいえ、現実的にそれほど前からの放流作業は可能なのでしょうか。となると、台風シーズンを迎える前から水位を下げた設定にしておかないと、当然間に合わないわけです。
 川で利益を上げている企業として、その事業により川の流量や水質への影響、流域住民や自然環境に与える影響に対して社会的責任を果たすため、関連するすべての人たちが情報を共有し、お互いの立場を尊重して、とにかく今後、同じような悲劇が起きないことだけを実現するための本気の取り組みが必要だと思います。
 そうした要請の中で、電源開発側の動きとして、台風12号におけるダム操作や情報伝達に関する現状確認と改善を検討するダム操作に関する技術検討会が設置され、去る11月29日に第1回検討会が実施されたとのことであります。4人の学識者と、河川管理者である国土交通省と、奈良、三重、和歌山の3県、そして電源開発で構成されており、この検討会が形式だけでなく、今後の対策を見出すための実のある検討会となるよう強く要望をいたします。
 当然、ダムがこれまでに地域の防災や渇水時期における水量調整への協力など、地域の発展に寄与してきたことも認識しております。地域との共存共栄を念頭に置いているのであれば、ぜひ今回も、被災を受けられ、力を失っている地域住民の方たちのためにも多大な支援を願っております。
 そこで、知事にお尋ねします。
 今後、昨今のゲリラ豪雨や長時間にわたる異常気象に備えて、治水機能を高めるための対策をあらゆる角度から検討し、法や運用規定の見直しが急務と考えますが、県として、これまでの動き、今後、国や会社に対し、どのような対応を要望されるのかをお聞かせください。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 熊野川は、今回は大変な水量が起こりましたので、したがって、当初想定していて、これで何とかなると思っていた基本計画が、やっぱり基本的には間に合わなかったということだと思います。そういう意味で、今これは国交省が中心になってつくっていくわけですけれども、国交省に対して、新しい想定で基本計画をつくり直してもらわないと困るということを要求してるところです。その上で、県なんかも含めて、堤防の強化や、あるいはダムの管理とか、そういうことをやっていかないといけないわけですが、その中に御指摘のような問題も入ってると思います。
 熊野川で基本方針を超える洪水により甚大な被害が発生したことを踏まえると、利水ダムであっても、発電をしばらく犠牲にして治水に活用し、治水安全度を向上させるということは大事だと思います。
 10月31日に開催されました台風12号による紀伊半島南部の災害復旧・復興に関する国・三県合同会議におきまして、国土交通副大臣がお見えになったもんですから、副大臣に、利水ダムの洪水時における活用、ダム間の連携や予備放流などを奈良県、三重県、和歌山県から合同提案をいたしました。
 ただ、このときの国の対応も、あるいは報道で見るところのJ─POWERの対応も、あるいは地元の方、あるいは論調も、ちょっと何か変だなと思うところがあるんです。というのは、治水というのはやっぱり河川管理者がしっかりと管理せないかん。J─POWERに頼みに行くというのは、権限あるいは責任のない人に頼むということになって、その放流の結果、何が起こるかわからんということもちゃんと考えとかないといけないということでございます。
 したがって、ちゃんと河川管理者が頼みに行くと、それで、その頼み方をきちんとしておくということが大事であるというふうに私は思いまして、その旨申し上げ、実は県でも県管理のダムで同じ問題が起こってるので、そういう問題についてきちんとしたやり方を今確立しようとしてるから、そういうことも参考にして国でもやってくれというようなことを申し上げました。
 また、その旨は、11月1日に発表した和歌山県復旧・復興アクションプログラムの中期対策、熊野川の総合的な治水対策に利水ダムの洪水時における活用を位置づけ、引き続き国に働きかけることとしております。
 また、電源開発にも知り合いがいるもんですから、幹部にも、ちょっとあの責任回避的な対応というのは地元にとって非常に不愉快であるというようなことを御注意申し上げたところでございます。
 電源開発、国、3県で御指摘のようなダム操作に関する技術検討会を開きますが、当県としては、改善策がちゃんと盛り込まれていくように今後尽力をしていきたいと思います。
 今後とも、こういう方針に沿って、国や、あるいは電源開発に対してダム操作が改善されるようにしっかりと働きかけ、あるいは監視をしていきたい、そんなふうに思っております。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 今後とも、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、河床対策についてお尋ねを申し上げます。
 ダムの操作規程の見直しに加えて、たび重なる洪水により、また、特に今回の台風12号での洪水による土砂の堆積で熊野川の流下能力は低下しております。聞くところによりますと、昭和40年代に戻ってしまい浸水頻度が多くなっていると、住民の方々が不安を募らせております。この現状を改善するには、河床の整備が必要であります。さらに、支川も同様に河床掘削が行われれば、なお一層効果的と考えます。
 さて、平成21年から国の熊野川直轄河川改修事業や県の熊野川圏域河川整備計画により整備が進められておりましたが、今回の災害で熊野川がかなりのダメージを受けたことは一目瞭然です。早急に川の状況を調査していただき、計画の見直しや掘削計画の検討をお願いしたいと思います。
 また、その実施方法として、県が主体となって行う施工方法、あるいは熊野川流域に関係する市町村などの枠組みで実施するなどとして、支川も含めてきめ細かく年次的に取り組みを進める中、特に支川との合流付近を中心に早急に掘削作業を行うなどして、雨量の多い7月から9月の台風シーズンに備えてスピーディーな作業が望まれます。また、新宮市熊野川町宮井付近から河口にかけては、対岸側が三重県となるため、三重県と共同歩調をとる必要があります。
 河床を下げることは、川のはんらんを抑え、流域の住民の生命、財産を守るための安全性を高めるだけではなく、熊野川の深い青さを取り戻すこともできると期待します。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。
 河川整備計画の見直しを行い、河床掘削範囲の決定と事業システムを確立した上での河床整備事業が急務ではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 今回の台風12号による浸水被害にかんがみ、河川整備計画の検証が必要と考えており、その中で河床掘削の位置づけについて検討してまいります。
 なお、台風12号等により堆積し、治水上支障となっている土砂については、応急対策として早急に撤去を進めてまいります。その際、砂利等の有効活用を図れる方法により実施したいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 よろしくお願いいたします。
 次に、熊野川町日足地区、能城山本地区の水害対策についてお尋ねをいたします。
 日足道路は、国道168号がたびたび浸水し通行どめになるため、その対策として高架橋バイパス道路を建設中ですが、橋脚工事が完了し、道路部分をつくる段階で、今回、その道路部分の高さ以上に水位が上昇して、つかってしまうという事態になりました。しかしながら、この日足道路の工事は、このまま続行するという計画だとお伺いいたしました。
 さて、そうなると、この工事が完了し、供用が開始になった後、日足地区、能城山本地区では、輪中堤や住宅地のかさ上げの計画に着手するとのことでしたが、この台風12号の被害状況を見て、計画の見直しはあるのでしょうか。この計画や方針を聞いてからでないと、住宅や店舗の取り扱いや移転について結論を出しかねるという住民の方もおられますので、県土整備部長に今後の計画についてお尋ねをします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 台風12号による被災水位は、熊野川町日足地区、能城山本地区の輪中堤計画の数メートル上まで達しており、現在の河川整備計画に基づく整備では足りなかったと考えられます。
 今後、輪中堤の計画高さを見直すのか、ソフト対策も含めた輪中堤以外の対策が望ましいのか、早急に地元の意見を聞きながら検討を進めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 住民の方は一日でも早く方針をお聞きしたいとのことですので、一日でも早くそのような話し合いを持たれていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、国道168号の復旧のめどと防災機能の強化についてお尋ねをいたします。
 土砂崩れや激流で護岸が大きく削り取られ、国道168号は多数の箇所でずたずたにされました。この路線には電話回線やZTVケーブル、電気関係などの情報伝達に必要な機能が集約されており、これが至るところで破壊されたことになります。このことは、熊野川地域を結ぶ唯一の幹線が破壊されたことで、情報、救援、物資輸送の初動態勢ができない状況となり、発災後5日間、熊野川町や高田・桧杖地区は孤立し、その後も当該地域の住民生活はもとより、紀南地域の主要産業である観光業や運輸業を中心に大きなダメージを受けました。
 そして、復旧作業、救急患者の搬送車両が通行できないなど、多岐にわたり大きな影響があり、建設業界の皆さんの献身的な作業により急ピッチで仮復旧はしていただいたものの、一般車両は1カ月以上の通行どめを余儀なくされました。県においても、国道168号について、これまでも防災機能を備えた計画的な改良工事を行ってきましたが、地域住民の安心と観光を初めとする地域経済の復興に向け、一日も早い本格復旧が望まれます。
 また、今回の災害でトンネル部分は比較的被害が少なかったことに気づきました。トンネルを多く取り入れた道路整備は今後の復旧の1つの事例ではないかと、この際、提案しておきます。
 今後の国道168号の本格復旧のめどと防災機能強化について、県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 台風12号により、国道168号の国道42号交差点から奈良県境までにおいて25カ所被災しましたが、応急仮工事を行い、10月14日から全線で通行どめを解除しております。12月中に国の災害査定を受け、速やかに復旧工事に着手して、被災規模の大きさにもよりますが、平成24年度から平成25年度までの間において1000カ所復旧を目標に鋭意努力してまいります。
 また、国道168号は第1次緊急輸送道路に位置づけられており、災害時の通行確保を図るため、平成16年度からのり面強化に取り組んでおりましたが、今回の被災を踏まえ、のり面の状況を確認しながら、現場状況に応じた落石対策やのり面保護対策を引き続き計画的に実施し、防災機能の強化に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま御答弁をいただきました。のり面保護対策や落石対策を強化するとのことですが、早急な対策ということになれば、そのような計画が妥当だろうと思いますが、今回の被害状況を見ますと、山間部のすそ野を走り、また熊野川に沿った道路であるがゆえに、非常に危険性を伴っていることが実証されたと考えます。今後も豪雨のたびに通行規制をしなければならない路線としては、観光面でも、物流面でも、また熊野川町住民にとりましても、安全な道路と胸を張って言える路線ではありません。
 そこで提案ですが、熊野川の中心部より最低1キロメートル内陸部に入ったところに新たな路線を計画し、大半をトンネルと橋梁とする道路構造として、今回のような災害時でも安心・安全に走行できる道路が望まれるところであります。紀伊半島アンカー道路である地域高規格道路としての機能整備も含めて、今後の課題として御検討をお願いしておきます。
 以上は要望にしておきます。
 次に、観光の復興についてお尋ねをいたします。
 熊野川流域を代表する観光事業として、熊野川が熊野古道における世界で唯一の川の参詣道として世界遺産に登録されたことを期に、往時の熊野もうでを復活させようと、県の協力のもと、平成17年から新宮市が運営している川舟下りと、奈良、三重との3県にまたがる大渓谷の景観を楽しむため、大正13年、当時珍しいプロペラ船が就航し、昭和40年からはウォータージェット船にかわって現在まで続いております熊野交通株式会社が運営する瀞峡観光が挙げられますが、ともに台風12号で施設等に大きな被害を受け、現在は運休中です。
 平成22年には川舟下りで5300人、瀞峡観光で9万2600人余りの乗客があり、地域に多くのお客様を呼び込める観光資源であることから、運営主体であります新宮市、熊野交通株式会社においては、現在、早期再開に向け鋭意努力がなされております。
 これらの観光事業者等への支援としては、今議会に提案されている中小事業者向け支援施策は時期を得た施策であり、大いに期待しております。
 さて、観光産業は、観光客が来てくれて初めて地域経済につながるものであります。被害の大きかった熊野地域の観光の元気な姿を全国にお知らせすることが重要なことと考えますが、今後の誘客対策について、商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長大門達夫君。
 〔大門達夫君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 観光の復興に向けた誘客対策についてですが、県では、災害復興のための観光振興アクションプログラムを策定し、被災地域や周辺地域の観光地に対する「行けない」「危ない」などの風評を払拭するとともに、地域にお客様を呼び戻すため、京阪神、東海、西日本の主要都市において、メディア、旅行会社、消費者に正確な情報を伝える緊急プロモーションを地域観光関係団体等と協働で実施してきたところです。
 また、熊野那智大社での復興祈念コンサートの開催、熊野古道中辺路での環境保全ウオークの規模拡大や企業CSR活動の誘致など、特に被害の大きかった熊野地域の情報発信に注力してきたところです。
 今後については、さきの復興祈念コンサートを絡めた熊野三山PR番組を制作して、BSや都市圏のテレビ局で放映を予定しており、加えてプレスツアーの実施や番組出演、記事掲載等によりメディアへの露出攻勢を続けるとともに、紀勢本線全線運転再開を期にJR西日本とタイアップした誘客キャンペーンを実施するなど、同地域の観光の復興を図っていくこととしています。
 特に、地元やお客様から再開に係る期待の大きい川舟下りと瀞峡観光は、県としても同地域の観光振興にとって重要な素材と認識しており、再開のスケジュールを勘案しながら、トピックスとしてテレビや新聞等、メディアにおける露出、JR駅や高速道路サービスエリア等でのポスター展開など、運営主体と協働で積極的に情報発信と誘客に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。大いにPR活動に力を入れていただいているとの御答弁をいただきまして、心強く感じました。
 また、このピンチをチャンスに変える発想から、現在、瀞峡観光船の乗り場がある志古に、流出してしまった川舟下りの乗り場、さらに道の駅の機能を加えて、流域観光事業の一大拠点となる川の駅を設置する構想を提案いたします。誘客を図る上で効果的ではないかと思いますので、県でも検討をお願いいたします。
 以上は要望としておきます。
 続きまして、大きな項目、災害復興対策についてに移らせていただきます。
 災害対策本部解散後、早々に知事を本部長にした復旧・復興本部を設置していただき、素早い対応に感謝しております。
 今議会一般質問初日に、自民党県議団浅井議員の質問に対し、知事の意気込みや教訓をお聞かせいただきました。それに、何度も被災地を訪れ、状況を熟知する知事を先頭にした体制であり、復旧・復興に全力で取り組んでいただけると期待しております。
 しかしながら、特に被害の激しかった地域は、私の地元新宮市を初め、お隣の那智勝浦町、古座川町などの東牟婁地域や田辺市、日高川町と、紀中や紀南地域ですので、本部と被災地との距離感は否めません。どうかその不安を払拭していただきますよう、厳格な進行管理やスピード感のある執行、きめ細かな柔軟な対応を切に願うところであります。
 本庁職員の皆さん、また、現地対応を担う各振興局職員の皆さん、日々の通常業務に加え、大きなウエートが予想されます復興業務に追われながら、地域住民との対話や市町村との調整など、煩雑な対応は大変な激務と思われます。専門的な知識と経験をお持ちの県OBの方を嘱託で雇用するなどして、人員的な手だてを講じることも必要なのかもしれません。
 とにもかくにも、綿密に計画をされました和歌山県復旧・復興アクションプログラムを達成するためには、厳しい状況の中、知事を初め職員の皆さんの熱意ある頑張りに大いに期待をしております。また、私も早期に効果を上げるように全力を挙げてまいりますので、被災地並びに被災者の方々に元気を取り戻していただくまで、何とぞ御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 以上、知事を初め、当局の皆さんに対する要望であります。
 さて、ここからは質問に移ります。
 そこで、復旧・復興アクションプログラムを執行するに当たり、2点お尋ねいたします。
 まず1点目は、進行管理についてであります。
 通常の公務も多忙な知事でありますから、アクションプログラムの実効性を担保するためには、補佐をするための責任の所在の明確化と計画性あるチェック体制が必要だと思われます。和歌山県復旧・復興アクションプログラムの進行管理につきまして、その体制と県庁内における担当部署、さらには今後の進行管理のスケジュールについてお伺いします。
 2点目ですが、このアクションプログラムは、台風12号被害からの早期復旧・復興が目的とされておりますが、さらに今後発生する可能性の高い東南海・南海地震についても、プログラムとの整合性が必要かとは思います。
 今回の大水害は、海と山の違いはあるものの、災害対策においては多くの大きな教訓を得たものと思われますが、和歌山県復旧・復興アクションプログラムと地震対策の整合性について、合わせて2点、危機管理監にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君、通告されてる方式による質疑では分割で一気にいくんじゃないですか。分割方式なんで。
○濱口太史君 失礼しました。それでは、続けて御質問させていただきます。
 長期対策としての高速道路及び河口大橋の整備についてお尋ねをいたします。
 アクションプログラムの長期対策に挙げられております道路整備についてお尋ねします。
 今回の大水害や土砂災害により、国道168号や田辺市の国道311号の長期不通、またJR紀勢線の橋梁流失など、交通が寸断されました。その影響で地域住民は孤立し、物資が入らず、県民生活や事業活動が大きく制限されました。幸い、那智勝浦新宮道路や海岸沿いの国道42号が早期に復旧したおかげで、何とか他地域と被災地との行き来ができました。しかし、大地震、大津波が発生した場合、国道42号はあちこちで通行どめになると言われています。
 今後、紀南地域は東南海・南海地震の発生が予測される中、地域住民の足となり、早期復旧に欠くことのできない紀南一周の高速道路計画について、そして三重県との交通網強化を図るための熊野川河口大橋について、現状と今後の取り組みについて県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 危機管理監宇恵元昭君。
 〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 和歌山県復旧・復興アクションプログラムの進行管理と東南海・南海地震対策との整合についてお答え申し上げます。
 和歌山県復旧・復興アクションプログラムは、各対策を短期、中期、長期に分類、整理し、県としての考え方や行動目標を示したものであり、各対策におけるスケジュールについても具体的に設定しております。進め方としましては、総合防災課長を議長とし、各部主管課長を委員とする復旧・復興連絡調整会議で、プログラムに位置づけた事業について細やかな調整を行い、知事を本部長とし、全部長が本部員である復旧・復興本部で進行管理を行うとともに、必要があればプログラムの見直しや項目の追加に取り組むこととしております。
 次に、防災・減災対策の総点検との整合でございますが、今回の紀伊半島大水害の対策である和歌山県復旧・復興アクションプログラムと、東日本大震災を受けて実施している和歌山県防災・減災対策の総点検につきましては、前者は風水害被害の対策であり、後者は必ず起こるとされている東海・東南海・南海地震等の大規模災害等に備えたものでございます。避難場所の見直しや孤立集落対策として、防災行政無線やヘリポート等を整備する市町村への支援など、防災・減災対策の総点検と共通している課題、施策もございます。
 今後も整合性をとりながら、これまでの防災・減災対策に加え、新たな風水害対策にも取り組むことで、より災害に強い新しい和歌山をつくるために全庁挙げて取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 長期対策としての高速道路及び河口大橋の整備についてお答えいたします。
 今般の台風12号では、県内の幹線道路が各所で通行どめとなる中、高速道路は健全性を保ち、迅速な救助・救援活動に大きな役割を果たしました。また、さきの東日本大震災でも、高速道路は、津波被害を受けた沿岸部の早期復旧はもとより、避難場所や防潮堤としても大きな効果を発揮し、その重要性を再認識させたところです。
 こうしたことから、和歌山県復旧・復興アクションプログラムの長期対策に、災害に備えた幹線道路ネットワークの整備として、近畿自動車道紀勢線のミッシングリンクを含め、京奈和自動車道及び五條新宮道路から成る紀伊半島アンカールートの早期整備促進などを盛り込みました。
 被災直後、現地視察をしていただいた野田総理大臣や前田国土交通大臣に対し、また、10月に開催された国・三県合同対策会議においても、紀伊半島アンカールートの早期整備を訴えたところです。
 今後とも、今回のような水害や東海・東南海・南海地震などの大規模災害に備え、近畿自動車道紀勢線の事業中区間の早期整備はもとより、未事業化区間であるすさみ─太地間や熊野川河口大橋を含む新宮─県境間の早期事業化を国に対して強く働きかけてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 今議会におきましては、復旧・復興関連でいろいろと御答弁をいただきました。
 まだまだいろいろな分野で大きな課題があります。道路やJRの開通で、見た目ではもう復旧が果たされたと感じる方も多いと思われますが、地元はまだまだ疲弊しています。身内を亡くされた方々、被災地に再び住むかどうか思い悩む方、大雨が降るたびに、また山が崩れ出したり、川がはんらんしたり、災害に巻き込まれるのではないかと思い詰めるなど、心の病に取りつかれた方々にとっては、復旧ですらほど遠いものがあります。
 また、景気も、国内外からの観光客の減少、自粛ムードによる飲食関連への影響などは、まさに第2次、第3次災害といった感があります。
 こういった状況を打破するため、ハード面の復興はもちろん、日を追って変化をもたらす地域が必要とするソフト面においての対策にも柔軟なフォローができる復興支援部といったものを、期間限定でも構いませんので、被害の大きかった地域の振興局に備えていただきたいという要望を申し上げ、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。

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