平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長にお許しをいただいて、2月議会以来の登壇をお許しいただきました。
 野田首相がTPP交渉への参加表明をされましたが、確かに日本にとってプラス面もマイナス面もあると思います。どちらにしても農商工あるいは医療の部分での攻めの対外戦略は急がれます。韓国、中国、インドのみならず、ASEAN諸国の経済成長は今や目覚ましいものがあります。産業が空洞化しつつある日本が世界から包囲を受けないよう、孤立しないよう、機先を制して2国間あるいは多国間での毅然とした対外交渉、条件闘争を強く政府に求めたいと思います。
 それでは、以下、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 1つ目に、和歌山県の食品加工戦略についてであります。
 和歌山県も世界へ打って出れる日本有数の高品質を誇る果樹資源をたくさん有しております。本県の農業を含めた食品産業にも攻めの戦略が必要ではないかと思います。
 先月示された平成24年度和歌山県の新政策の中に、意欲的で成長性のある産業の育成として食品産業の競争力強化支援がうたわれました。
 これまで和歌山県において、和歌山県地域結集型共同研究事業「アグリバイオインフォマティクスの高度活用技術の開発」での学問的領域における情報収集、そして都市エリア産学官連携促進事業(一般型)「和歌山の特産果実と独自技術を活用した新機能性食品・素材の開発」において、素材開発による応用で幾つかの飲料会社等が梅酢ポリフェノール等を取り上げて商品化を目指しているといった地域連携の取り組みが行われてきました。梅や柿の機能性研究が進み、機能性加工食品の製品化もいよいよ視野に入ってきました。大学等、高等教育機関との連携においても、近畿大学生物理工学部のみならず、和歌山県立医科大学、そして和歌山工業高等専門学校とも本格的な連携がとれるようになってきています。
 また、6次産業化法の施行により、農業者が主体的にもうけを意識して食品加工、流通、販売にもかかわることで、生果のさらなる質の向上と高機能性を持った商品開発に自身が積極的に関与しようとする意識を持てるようになったことは、今後、食品加工戦略に大いにプラスになるところではないかと思います。
 このたび文部科学省が、平成23年度より、地域イノベーションの創出に向けた地域の主体的かつすぐれた構想に対して、経済産業省及び農林水産省など関係府省の施策を総動員して支援するため、和歌山県は地域イノベーション戦略推進地域のうち研究機能・産業集積高度化地域に選定されました。将来的に海外市場を獲得できるポテンシャルを持っているが、現時点で比較的小規模で地域の特性を生かしたイノベーションが期待できる地域ということであります。
 この地域イノベーション戦略支援プログラムは、都市エリア事業に続くものとして、今までの研究成果を継続させて、具体的に本県の日本有数の特産果実から新機能性加工食品の商品を生み出すための千載一遇のチャンスであります。来年度、文部科学省等、国の支援をいただくべく、知事の意気込みをお聞かせください。
○議長(新島 雄君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 都市エリア産学官連携推進事業では、平成21年から和歌山県の特産果実と独自技術を活用した新機能性食品・素材の開発に取り組んでおりまして、議員御指摘のように、梅酢から梅酢ポリフェノールを抽出する技術の開発とか、あるいは抽出された梅酢ポリフェノールに抗疲労効果が確認されるなど、成果が出てきております。この事業が本年度で終了するというところから、こうした成果をさらに発展させるべく準備を進めてまいりました。
 ところが、平成23年度から始まった地域イノベーション戦略支援プログラムでは、実は研究費が削られてしまったわけでございます。これは、その前の事業仕分けで地域への研究開発助成が目のかたきにされまして、それで研究費が削られたんですが、人件費などソフト支援中心の施策に変更されてしまいました。変更は、これは我々の研究にとっては非常に規模も小さくなるし──助成のですね──大変残念なんでありますけれども、残ったところを必死になって利用して、うまく活用できるように、推進地域として本年8月に文部科学省に働きかけた結果、地域指定を受けまして、現在、平成24年度の事業採択に向けた取り組みを進めているところでございます。
 私としては、今後とも、本当は国も地域の研究開発に、将来の国の投資ですから、もっと力を入れてもらいたいと思いますし、その成果を最大限生かして──ないものは仕方ないわけですから──最大限生かして、研究開発支援策を有効に活用しながら、加工から販売に係る食品産業の競争力強化に努め、また県独自の助成もしながら、食品産業全体の振興を図ってまいる所存でございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 この地域イノベーション戦略支援プログラムは、複数の省から支援をいただける横断型のプログラムでありますんで、昨年の事業仕分けによるJST事業、この屈辱をぜひとも晴らしていただきますよう、文部科学省当局に挑んでいただきたいと要望させていただきます。
 2点目、港湾の防災対策についてであります。
 東日本大震災は、地震動による被災もさることながら、津波によって生じた被災状況にはすさまじいものがありました。改新クラブ5名も、7月初めに被災地視察に出向きましたが、海岸線、特に港湾の被災の様相にはあっけにとられました。
 宮古港の大防波堤倒壊、釜石港での防波堤水没、大型貨物船の岸壁突き刺さり、そして臨港道路のアスファルトのめくれや上屋の全半壊、大船渡港の建物全壊、岸壁の沈下とコンクリート隆起、それに気仙沼港の大火災による焼損など、港湾施設の破壊は目を覆いたくなるものでした。さらに、国土交通省の報告によると、石巻港では、港内に丸太や自動車が浮遊し、船舶の安全な航行ができない状況、仙台塩釜港ではコンテナターミナルにコンテナ散乱、流出、小名浜港でもガントリークレーンも損壊いたしました。
 和歌山県においても同レベルの地震が起これば、大津波が港湾を襲うことは容易に推測されます。和歌山下津港和歌山本港区においてはガントリークレーンや各種荷役機械、そしてコンテナターミナルには海上コンテナ、リーファーコンテナ用の電源装置があり、輸出入貨物である木材、塩、パイプ等、一般貨物も多く積み置かれていて、津波が襲えば大災害の危険にさらされるわけであります。
 そこで質問ですが、以下、県土整備部長に御答弁をお願いいたします。
 1つ目、和歌山下津港における現状の地震・津波対策はどのようなものですか。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 和歌山下津港における地震・津波対策につきましては、東日本大震災を踏まえ、緊急物資輸送の確保、消防団員等地域の防災関係者の安全確保及び津波浸水対策の強化等が重要な課題と考えております。
 具体的には、現在主なものとして、本港区における耐震強化岸壁の液状化対策及び海南地区における抜本的な津波浸水対策を国直轄事業で実施しています。
 また、県として埋立地と背後地域を結ぶ橋梁の老朽化等に関する調査を実施しています。さらに、全県的な取り組みとして、水門、樋門の自動化や陸閘の廃止等に取り組んでいるところでございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 そのほかに岸壁の排水溝の逆流防止なんかも必要であります。随時弱いところを鋭意改修・補強いただきたいと思います。
 2点目、和歌山本港区には、高いところに避難できるビル、施設は何もありません。急峻な雑賀崎方面の斜面を上るしかありません。港湾一帯で仕事に従事している労働者の避難に対してどのような対策を講じられるおつもりですか。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 和歌山本港区における港湾労働者の避難対策につきましては、現在の3連動地震の想定を前提とした場合、第1波の到達時間が約50分とされており、東日本大震災を踏まえ実施した和歌山県防災・減災対策の総点検において、和歌山市の方針としては、例えば雑賀崎地区の港湾労働者については、現道等を利用し、雑賀崎の山の上の避難所等へ避難し、西浜地区については秋葉山等に避難することとされています。
 先ほどお答えいたしました橋梁の老朽化等に関する調査につきましては、これらの避難も念頭に置きつつ検討してまいります。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 水軒と雑賀崎工業団地をつなぐ赤い無名橋というのがあるんですが、これが崩落したら、それこそ避難路も絶たれてしまいます。ですから、老朽化した橋梁改修、これにつきましては本当に早急な対応を要望させていただきたいと思います。
 3点目、仙台塩釜港では、3月11日の被災後、9月5日にようやくガントリークレーンによる本船荷役が再開されました。本県では、東海・東南海・南海の3連動地震を想定した港湾の防災対策が講じられておりますが、マグニチュード9クラスの地震が襲来すれば、津波高も倍増すると言われております。クレーン等、大小各種荷役機械、照明灯あるいはリーファーコンテナ用の電源など、電気系統がストップしてしまうと、港の機能自体がとまって大きなダメージを受けます。
 また、和歌山下津港は取り扱うコンテナ量は残念ながらさほど多くはありませんが、コンテナがひとたび津波に流されて散乱すれば、大変な凶器になります。ガントリークレーンにもぶつかってくるでしょうし、いろんな副次的災害を及ぼすことが予想されます。
 今回の東日本大震災を踏まえて想定の見直しが予想される中、今後の和歌山下津港のハード・ソフト両面の防災対策をお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) クレーン等の港湾施設の電源対策及びコンテナの散乱防止策につきましては、現在の3連動地震の想定を前提とした津波浸水予測において、コンテナターミナルの浸水は一部の範囲に限られるとともに、その深さもおおむね50センチメートル未満となっており、現時点では特段の対策を要しない状況にあります。
 今後、国における想定地震の見直し等を踏まえ、御指摘いただいた点も含めまして、和歌山下津港における防災対策について所要の検討を進めてまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 まさに港湾は命の水際であります。今後も地震、津波に強い港湾づくりを要望いたします。
 3点目の質問に移らせていただきます。本県における看護師の勤務状況についてであります。
 2006年診療報酬改定により、患者と看護師比率7対1施設基準が導入されました。主に大きな病院が7対1の基準を導入したことによって、看護師がともすると大きな病院に集中して、比較的小さい病院の看護師不足が全国各地で深刻になり、老健施設や介護施設にも影響を及ぼしております。全国各地で看護師不足が叫ばれておるわけであります。
 7対1看護によって、患者側からすれば手厚い看護、病院側からすれば診療報酬が上がる、看護師からすれば人数がふえて超過勤務が減って労働環境がよくなるはずなのに、有給休暇もろくにとれていない実態があります。日本看護協会の2009年看護職員実態調査によりますと、年間の有給休暇はゼロ日が7.4%、とれていても5日以下という回答が最も多く33.3%もあります。3交代勤務者の57.9%が、調査前1カ月の間に、日勤後に深夜勤のシフトで出勤間隔6時間以下となる勤務を経験しております。帰宅して、家族の面倒を見て、食事をとって、ほとんど仮眠もとれないまま再度出勤ということもあるそうであります。3交代勤務者の半数以上が月9回の夜勤をしており、月10回以上の夜勤をしている方も4分の1いると判明しています。
 2008年10月、大阪高裁が判決で、25歳でクモ膜下出血を発症した看護師の死亡を過労死と認定し、大きな衝撃が広がりました。病院勤務の看護職員は2008年末に87.0万人、年間4.7万人の新卒者が就職、再就業者も8.0万人いながら総数が2009年末には89.2万人と2.2万人しかふえていないのは、年間10万人以上が離職しているからであります。
 この悪循環を断ち切るため、職場に安定して定着いただく対策を講じなければなりません。厚生労働省は、本年6月17日付で各都道府県知事あてに「看護師等の『雇用の質』の向上のための取組について」という文書を出しています。その中で、複数を主として月8回以内の夜勤体制を基本としつつ、十分な勤務間隔の確保を含め、より負担の少ない交代制に向けた取り組みを着実に進めることが望まれるとしています。
 そこで質問ですが、以下、福祉保健部長にお答え願います。
 1つ目、和歌山県における看護師の勤務実態はいかがですか。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 本県における看護師の勤務実態につきましては、第7次看護職員需給見通し作成に当たって、平成21年に調査を行っています。この調査結果では、病院勤務の看護職員の年次有給休暇平均取得日数は11.0日、また離職率は9.5%となっています。
 一方、平成21年、22年に行われた日本看護協会による全国の調査結果では、年次有給休暇平均取得日数8.5日、離職率11.2%となっており、単純な比較はできませんが、いずれも全国平均と比較すると数値的に本県のほうがよい結果となっております。
 しかしながら、看護職員の勤務実態としては、超過勤務が多い、休暇がとれない、休暇がとりづらいといった厳しい状況にあると認識しています。今後も、看護協会等関係機関と連携しながら労働環境改善に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、和歌山県の看護師養成の地域格差解消に向けた取り組みをお示しください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 看護師等学校養成所が設置されておらず、看護師不足の状況にある紀中地域において、現在、3年課程の看護師養成所の開校に向け準備が進められております。具体的には、御坊市外五ケ町病院経営事務組合が国保日高総合病院敷地内に平成26年4月開校を目指し取り組んでいます。
 また、看護師養成所開校に当たっての準備につきましては、地元保健所を中心にきめ細やかな支援を行っているところでございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 厚生労働省の「看護師等の『雇用の質』の向上のための取組について」に基づいた看護師の雇用の質向上のための本県の取り組みについてお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 厚生労働省からの通知に基づき、本年11月に和歌山労働局が実施主体となって、看護職員等の労働環境改善等に取り組むためのネットワーク委員会が設置されています。県としましても医療行政の立場で参画しており、現在、病院における労務管理担当者等を対象とした労務改善研修の開催に向け、取り組んでいるところです。
 また、看護職員の雇用の質の向上を図るための一環として、県と和歌山県看護協会によるワークライフバランス推進の研修会の開催を行っています。
 このように、多様な勤務形態の導入、効率的な働き方による労働環境づくりについて看護関係者への普及拡大を行っているところでございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 現在、休職中の潜在看護師ですが、全国に55万人から65万人もいると言われています。
 職場を、子育てや家事に専念するために、あるいは過重労働のために辞職した看護師は、概して一たん職場を離れると、医療の進歩、体力的なものから現場復帰に抵抗を感じております。看護師不足解消のための潜在看護師の復職支援施策についてお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 本県では、従来から看護師等の復職を支援するため、ナースバンク事業を行ってまいりましたが、看護師確保対策のさらなる強化のため、平成22年度からは潜在看護職員復職支援事業に取り組んでいます。この事業は、潜在看護職員の方々に携帯電話やパソコンから登録をしていただき、登録者には看護に関する最新情報をメール等で提供し、再就業を支援するものでございます。また、一定期間職場を離れることでの最新の技術・知識面に関する不安解消のため、病院での臨地実習研修や看護協会研修でのシミュレーターを使用しての体験研修を実施しています。
 今後も、本事業のますますの普及拡大に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 5点目に、新人看護職員の離職防止は将来に向けて大事なことであります。今後の研修、育成策についてお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 新人看護職員の離職防止のためには、基本的な実践能力を習得するための研修が重要と考えられます。そのため、平成21年には、看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部改正により、新人看護職員の臨床研修等が努力義務となっています。県におきましても、各病院に対して新人看護職員研修の実施を働きかけ、積極的に取り組んでいただいているところです。また、新人教育の担当者に対する研修事業も行い、新人教育に取り組む病院等への支援を行っているところでございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 病院勤務の看護師さんは想像以上に厳しい労働環境にあります。働きたいという前向きな気持ちで、健康で生きがいのある自己実現できる職業であるように、県当局におかれましても、これからも勤務実態の把握と労働環境改善に御尽力いただきますようお願いいたします。
 また、看護師は命のかかった究極の接客職だとも言えます。人と楽しく、時には厳しく向き合える感性も磨けるような研修をお願いいたします。
 次に4点目、教育とスポーツに移らしていただきます。
 1つ目、ことしの山口国体で和歌山県の成績が男女総合で43位、昨年より6つ順位を下げました。入賞種目はふえたものの、高得点がとれる集団競技が振るわなかったようであります。一昨年、昨年と連続4位に入賞していたテニスの成年男子も得点を伸ばせませんでした。レベルのボトムアップが急がれます。
 そんな国体においても、また世界の舞台においても活躍を期待したい将来を担う子供の体力ですが、懸念すべきことがあります。平成22年度の和歌山県体力・運動能力調査で、体力合計点は小中高生の全学年で全国平均を下回っています。種目別でも全国を上回る種目はありませんでした。本県では、子供の体力向上のために幾つか事業を行っていただいております。
 屋外運動場芝生化促進事業では、外に出て遊ぶ子供たちがふえたとか、体育が好きになった子供の話もお聞きします。きのくにチャレンジランキングは、県内の小中学生、幼稚園児、保育園児が仲間とともに縄跳び等、いろんな運動をして数字、順位を競うものでありますが、スポーツに親しむきっかけづくりとして注目していましたが、取り組みに熱心な学校では効果が上がっていると聞きます。
 県教育委員会の子供の体力向上の取り組みについての成果の検証はいかがなものですか。教育長、お答えください。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県の児童生徒の体力につきましては、低下に歯どめがかかる傾向がありますが、全国平均と比べますと、議員御指摘のように、依然低い状況にございます。改善に向けて、運動の機会を多くする環境づくりや事業改善などに取り組んでいるところでございます。
 議員御指摘の屋外運動場芝生化促進事業では、本年度までに24校で実施し、それらの学校では児童の外遊びがふえ、すり傷などを気にせず活発に体を動かす姿が多く見られることから、体力向上につながっているものと考えてございます。
 また、縄跳びの回数や一輪車でのタイムなどを競うきのくにチャンレジランキング事業では、県内の半数以上の小学校が取り組み、年々実施率も向上してきておりまして、体力向上策として有効と考えられることから、今年度から中学生でも新たに導入いたしました。
 さらに、各学校における児童生徒の体力状況を分析し、その課題に応じた取り組みを行う紀州っ子体力アッププランの策定など、今後とも、本県の児童生徒の体力向上に向けたさまざまな施策を展開してまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 健康でスポーツが大好きな子供たちをさらにふやしていく、ひいては子供の体力向上につながるお取り組み、引き続きお願いいたします。
 2点目ですが、平成18年度に和歌山県ゴールデンキッズ発掘プロジェクトが発足し、今年度で5年経過しました。県内の小学3年生を対象に体力・運動能力が特にすぐれた子供たちを発掘・認定し、その子供たちに育成プログラムを実施することにより、将来、国体やオリンピックを初めとする国際舞台で活躍できる競技者を和歌山県から輩出することを目的とされたものであります。
 各競技団体も大いに注目している事業でありまして、毎年募集され、スポーツの金の卵を育てていっていただいておりますが、これまでの5年間の成果や1年ごとの成長・成果などの検証はどのようになされていますか、教育長、お願いいたします。
○議長(新島 雄君) 教育長。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) ゴールデンキッズ発掘プロジェクトは、平成18年度に発足し、これまでに合計188名を認定しております。その成果としましては、1期生でボート競技で全国優勝、3期生ではテニス競技で全国優勝、5期生では空手道競技で全国2位になるなど、さまざまな競技で活躍を果たしてございます。
 本プロジェクトでは、毎年、育成プログラム等の中で体力測定を実施しており、そのデータを3年間の育成プログラム終了時に評価シートで保護者と子供たちにフィードバックし、中学校時における競技種目の選択に役立ってございます。また、本プロジェクトが5年を経過したことを受け、現在、これまでに収集したデータの分析を進めており、育成プログラムのさらなる内容の充実につなげているところでございます。
 今後も、紀の国わかやま国体はもとより、オリンピックを初めとする国際舞台で活躍できる優秀なジュニア競技者を育成するため、本プロジェクトを積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 まさにトップアスリートに育ってもらうために、さらにきめの細かい検証、分析、これをお続けいただきたいと要望さしていただきます。
 3点目であります。21世紀の地域スポーツ振興を担う拠点として国が積極的に設立を推し進めているのが、総合型地域スポーツクラブであります。1995年から文部省──現文部科学省──が育成モデル事業を実施しています。この総合型クラブは、地域のスポーツ施設を活用しながら複数種目の活動を用意することで、子供から高齢者までだれでも気軽にスポーツに親しみ、地域社会の活性化にも寄与する場となることを理想としています。
 2000年に策定されたスポーツ振興基本計画では、できる限り早期に成人の週1回以上のスポーツ実施率が50%になることを目指し、その達成に不可欠な地域の拠点として、2010年までに全国の各市区町村において少なくとも1つは総合型クラブを育成することを挙げました。文部科学省では、昨年策定したスポーツ立国戦略でさらに高い目標を上げております。
 本県では、1、生涯スポーツ社会の実現、2、世界を目指した競技力向上、3、学校、家庭、地域の連携による子供の体力向上とスポーツ振興、4、体育・スポーツ施設の充実、5、平成27年第70回紀の国わかやま国体の開催といった県スポーツ振興基本計画のもとで総合型クラブの推進を図っておられます。
 本県における総合型地域スポーツクラブの育成状況と効果について、教育長、教えてください。
○議長(新島 雄君) 教育長。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 総合型地域スポーツクラブにつきましては、国が地域スポーツの拠点としてその育成を推進しているところであり、県でも国の計画を踏まえ、積極的に総合型地域スポーツクラブの育成、活動支援に取り組んでございます。
 現在、県内の26市町に31クラブが創設され、創設準備中の22クラブと合わせて計53クラブが活動しております。これらのクラブでは地域住民が主体となり、スポーツ少年団や学校運動部活動との連携による青少年のスポーツ活動の場の充実、成人及び高齢者の健康体力づくり、トップアスリートの育成などを目指す取り組みが進められ、本県の地域スポーツの活性化に大きく貢献してございます。
 今後とも、総合型地域スポーツクラブの育成をより一層推進してまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 この総合型地域スポーツクラブの育成は、指導者を発掘できる、そして地域住民のパワーを引き起こせる、今後もさらに楽しみな事業だと思います。全市町村に広がるように、さらに御推進をお願いいたします。
 4点目に、東日本大震災の痛ましい体験から、改めて子供たちへの防災教育の必要性が問われております。
 和歌山県教育委員会では、東日本大震災で防災教室に力を入れていた岩手県釜石市で子供たちの多くが助かったことから、8月25日に県内の幼稚園から高校までの教員約600人を対象に防災の研修会を開いたと聞きます。子供たちが日ごろから災害に対する備えや、みずから生命と身体を守る意識を持つことは大切であります。子供たちが学校において日ごろからできるだけ高いところへ避難する訓練を率先して行うことによって、地域の人々の避難への意識を逆に喚起する効果も大ではないかと思います。
 阪神大震災で学んだこと、そして今回のような大津波地震で新たに学ぶことは少なくありません。被災した人々を思いやる心、そしてボランティア活動の意義など、さまざまなテーマもあるでしょう。
 本県もこれまで濱口梧陵翁の「稲むらの火」など、先人の実体験からくる知恵に学ぶなど防災教育に力を入れてこられたことと思いますが、ことしの東日本大震災、そして台風12号による本県の記録的な大水害を踏まえて、今後の本県の防災教育について、教育長のお考えをお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 教育長。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県の防災教育についてでございますが、学校における防災教育につきましては、これまでも議員御指摘のように積極的に取り組んできたところでございます。東日本大震災の教訓を踏まえ、各学校に対して、改めて学校の置かれた実態を十分考慮した具体的なマニュアルの策定と訓練の実施、地域と連携した避難訓練の実施等、万全を期すよう求めました。
 同時に、さきの大震災において、長年の指導の成果により釜石市の児童生徒の命を救った群馬大学大学院片田敏孝教授から教員を対象とした御講演をいただき、その講演内容をDVDにおさめて、すべての学校に配布し、教職員全員が研修を今行っているところでございます。
 また、平成16年から実施している高校生防災スクールでは、新たに校外の高台へ逃げる津波避難訓練を行うとともに、各学校においても地域と連携してさまざまな取り組みを行ってございます。
 今後、東日本大震災や台風12号の教訓を踏まえ、子供たちに単なる知識の防災教育ではなくて、想定にとらわれるな、最善を尽くせ、率先避難者たれという避難3原則を浸透させ、防災に対して主体的な姿勢を醸成する姿勢の防災教育を進め、子供たちから家庭や地域へも発信できるよう防災教育の充実に取り組んでまいります。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 子供たちの体を使った日ごろの防災活動というのは必ず親を動かし、地域住民を動かす原動力になると思います。ぜひ目に見える防災教育、これを今後ともよろしくお願い申し上げまして、私の一般質問を閉じさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
 午前11時43分休憩
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