平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


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 午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第122号及び議案第130号から議案第158号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 39番山下大輔君。
 〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 (「時間あるのか」と呼ぶ者あり)おはようございます。御心配もいただいておりますので、早速、張り切って頑張りたいと思います。
 今回は、質問は分割形式で行いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、今、日本社会は長期にわたるデフレ、経済実態の悪化、人口減少と少子高齢化、産業力の低下、雇用者数の減少、世界経済の混乱から為替リスクの増大など、さまざまな局面で危機的状況が見てとれます。地方でも地域の衰退は著しく、支店経済の崩壊、企業倒産、商店街の衰退から地域経済の縮小、若者の流出、消費低迷など、悪循環が続く中、希望の見出しづらい社会が現実となってしまっています。
 このような先行きが不透明な厳しい時代こそ、これまでの概念にとらわれず、新たな視点で柔軟な発想を持って局面を打開していかなくてはなりません。
 「ピンチこそチャンス」、松下幸之助さんの言葉ですが、まさにそういう時代が到来しているのだと思います。そこでは、地方、地域においても、これまでの成長時代の3種の神器、空港、高速、新幹線、そこから派生する金太郎あめの都市計画、工場誘致など、どことも変わらない旧式の発展モデルを追い求めるだけでなく、これまでの古い概念は一たん横に置き、パラダイムをシフトさせ、まずは、そもそものよって立つ足元を見詰め直し、新たな価値創造を図っていく知恵、ソフトパワーが求められます。
 あわせて、それぞれの都道府県レベルでのミクロの発想からも抜け出し、もう少し広い視野で広域の成長戦略を模索しつつ、地域独自の役割の確立とみずからのアイデンティティーを取り戻す中で、新たな時代にふさわしい地域ビジョン、成長戦略を描けてこそ、次の時代を担う子供たちに胸を張ってこの和歌山を受け渡せるのだと考えます。
 ことし3月11日に起こった戦後最大級の大災害、東日本大震災、和歌山でも台風12号の大水害に見舞われましたが、この2011年という年は、日本社会にとって、また、私たちのこの和歌山にとっても何らかの転機となるべき重要な1年だと感じています。
 社会の転換点で政治の重要性が増す今、しかし既存の政治への不満は高まるばかりですが、何としてもその壁を打ち破っていかなくてはならない。あくまで和歌山には大きな可能性があると心から信じる中で、ことし1年を締めくくるこの12月定例議会においても、改めて、何としてもこの難しい状況を打破するといった意気込みで心を込めて幾つかの提言とともに質問をさせていただきます。
 多くの歴史が物語るように、物事が壊れるときというのは新たな芽生えも同時に生み出します。希望の息吹、新たな芽生えを感じるものは何か、それは後世の歴史家が評価するものではありますが、少なくとも私たちの近くでも政治の新たな胎動が感じられます。
 最初に、大阪ダブル選挙から和歌山の発展につなげる取り組みについて。
 今回の大阪府知事・市長のダブル選挙については、歴史に刻まれる重要な選挙であったと思います。既成勢力がこぞって敵陣営に加わる中で、維新の会の皆さんはまさに変革を貫き、新たな地方自治の礎を築く戦いを展開されました。志の戦いと維新の会の人たちは言っていましたが、これには大阪の府民、市民の有権者もしっかりとこたえ、その投票率からも注目の高さがうかがえました。
 今回の選挙の解説としては、マスコミを通じてさまざまな意見が述べられていますが、私なりに考えると、根本にあるのは既成の政治・政党に対する不信と不満であり、既得権益に対する反感があったのだと思います。これはもしかすると、アメリカなど世界の大きな流れにも通底するものがあり、社会の構造、体制が大きく変わる予兆なのかもしれません。また、今回の大阪の選挙では、地域や市民生活の将来像を具体的に提示できたかどうかも重要なポイントになったのだと思います。
 ここに選挙時のチラシ並びに大阪維新の会が掲げたマニフェストがありますが、そこには現在の大阪が置かれた客観情勢と今ある危機、そしてそれを解決していくための具体的な政策がまとめられています。
 さらに、有権者が判断した材料としては、口先だけでなく、過去3年にわたる橋下知事の実績も大きかったと思います。聖域なく行政機構の大改革に踏み込み、職員の給与カットから不要事業の廃止・縮減、大胆なリストラから、過去の赤字隠しの手法をやめ、府の借金残高を3100億円削減、また一般施策の経費見直しと建設事業費カットなどでも1100億円のコストカットを実現し、財政収支の黒字化を達成させました。
 大阪の将来ビジョンとしては、現在の衰退する大阪の再生に向けて、具体的に大阪のマネジメントを一元化する大阪都構想を提示し、そこから成長戦略を描き出しています。大阪府民、市民の皆さんは、今の衰退する状況に対して明らかにノーを突きつけたのであって、これまでのなれ合い、ぬるま湯の体制から決別する勇気ある決断だったと思います。
 今、大阪のみならず全国、日本社会全体に蔓延している閉塞感、その源泉となってしまっている政治への不信、不満、政治刷新に対する期待にこたえ、維新の会は新たなビジョンを掲げ、その実現性を担保する実績により今回の選挙結果を導き出しました。会心の勝利だったと思います。
 今回の選挙結果は、地方自治の新たなステージを切り開き、この国の形をも変えていく可能性のある出来事であり、私自身、個人的にも希望ある未来につながってもらえればと心から期待し、また、つなげていかなくてはならないと強く感じているところです。
 さて、そういった中で、今後は私どもの和歌山県としても、この機会をとらえて新たな和歌山県地域発展の戦略を描く必要に迫られています。
 今回の維新の会のマニフェストでは、大阪の再生と同時に、関西、日本も牽引していく覚悟で新たなビジョンが描かれていますが、そこでは和歌山県としても、単に大阪の成長にぶら下がるのではなく、まさしく大阪発展のエネルギーを取り込む、関西の成長パワーを取り込んでいくための和歌山なりの仕掛けが必要です。その基本は、単なる地域間競争──競争の概念から、新たに補い合い協力していくといった競争から補完といったものの考え方、補完の概念が重要です。この関西において補い合う、大阪との間でどういった関係性を築いていくのか、大阪との間で何を補完するのか、何を助け、何を助けられるのか、どういったことに協力し、何について協力してもらうべきか、その整理を急がなくてはなりません。そして、大阪、和歌山が真のパートナーとなり、ウイン・ウインの関係の中で大きな発展を遂げていく。そういった未来を思い描く中で、幾つかの視点により提言並びに質問をさせていただきます。
 まず、選挙後の対応として、和歌山に隣接し、関西広域連合など広域行政といった視点での関係性からも、和歌山にとって大きな影響を与える大阪ですが、今回の選挙結果を受けて、今後、和歌山県として大阪に対してどういった対応が必要と考えておられるか。
 また、本県に大きな影響を与える大阪のこと、和歌山県としても当然今回の選挙に注目し、マニフェストの分析なども行ってきていると思いますが、今新しい大阪府知事が誕生したことを受けて、それは和歌山県の今後の取り組みにどのような影響を与えると考えておられるか。
 また、新たに生まれる松井府知事の大阪に対して、和歌山県として地域のメリットを最大化するために対処すべきこととはどういったものでしょうか、それぞれ知事から御答弁をいただきたいと思います。
 私は、今回の選挙で維新の会の松井候補の対抗馬として立候補されていた倉田候補が選ばれると、本県にとって大変な不利益があるものと心配していました。特に伊丹、関空の空港問題では、伊丹存続、さらにはその機能拡充まで訴えていた倉田候補ですので、和歌山県にとって大きな問題であり、今は胸をなでおろしているところです。
 さてそこで、今後は大阪府としても、松井新知事のもと新たな空港戦略も練り上げるわけですが、現状において伊丹、関空の問題については、一体経営とするといった方向性だけは示されていますが、細部は詰められておらず、その行く先もはっきりとしていません。
 そういった中で、本県として、これまでは大阪の橋下知事とともに難しいかじ取りをしてきた関空・伊丹問題、その今後について現状の問題点と、これから新しい大阪府知事を迎えて、どういった戦略、働きかけを行っていこうと考えているか、見通しを知事に伺います。
 また、一体経営という方向性の中ではありますが、しかし私としては、できるだけ早期に伊丹は廃港とするのが筋であり、経営資源は関空に集中させ、その発展戦略、アジアにおけるハブ空港構想をしっかりと練り上げなくてはいけないのだと思います。
 そもそも関空の開港には和歌山県としても深くかかわり、ある面では迷惑も大いにかけられてきています。先ごろ和歌山市でも、関空の開港に際して一番の貢献をしつつも、実際に迷惑もかけられてきた加太地区の若者たちが、民間の任意の団体として伊丹空港廃止運動を始めています。
 大阪に新しい府知事を迎えた今、伊丹廃港に決着をつけるタイミングだと思いますが、その伊丹空港廃止へのプロセスについて、和歌山県としてどういった青写真を描かれているか、企画部長にお尋ねします。
 続いて、カジノ構想について。
 国の超党派の議員連盟、国際観光産業振興議員連盟が準備しているカジノ区域整備推進法案は、今国会は見送られましたが、来年の通常国会には提出される状況にあるようです。物事には何でも時があり、和歌山が本気で取り組もうとするのであれば、ここが正念場といったタイミングですので、当局にその姿勢を伺います。
 大阪の橋下前知事は、これまで大阪府域内へのカジノ誘致を公言してきていますが、それを和歌山県としても簡単に見過ごすわけにはまいりません。和歌山県としても、以前からカジノ誘致に関しては積極的に取り組んできているわけで、今後は時間もなくなってくる中で、大阪との協議も実質的に始めなければなりません。
 これまで橋下前知事と維新の会は、関西での広域行政の展開、それは道州制も視野に入れた発言を繰り返してきていますが、そこでは地域の役割分担が重要で、すべてを大阪に取り込むといったことでは成り立たない話です。関西広域における和歌山の役割分担、そもそも和歌山は古くから観光立県を宣言し、リゾート博を成功させるなど、この関西圏でもリゾート県としての立場を明らかにしてきています。この関西においてエンターテインメント、リゾート、遊びの部分は和歌山に任せてもらう、そういった位置づけは今後しっかりと確保していかなくてはならないわけで、そこでは関西の中核をなす大阪に新しい知事が誕生したこのタイミングで、松井新知事がさまざまな政策方針を打ち出す前に、カジノは和歌山といった認識、協力を得られる努力を進めなくてはなりません。
 アジアのビジネス拠点となる大都市・大阪都構想、その実現に向けては全面的に協力し、一緒に努力もする、そのかわりにアジアを代表するリゾート和歌山の実現、カジノ和歌山誘致にも協力してもらいたいといった、まさに補完関係を構築する具体的な下交渉を進めるべきと考えますが、企画部長の所見をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、大阪府との関係でございますが、松井知事になっても、これまで橋下前知事と連携して一緒に取り組んできた府県間道路とか、関西国際空港とか、関西広域連合などについての考え方については、大きく変更されることはないと考えております。関西広域連合委員会などの場を利用して、緊密に連携して諸課題への取り組みを強化していきたいと思っております。
 松井知事には先日お目にかかりまして、これは橋下前知事にもずっと言い続けて、影響を行使しようとしていたところですけれども、大阪府内という小さな枠組みの中だけに縮こまるんではなくて、関西全体という大きな視点で物事を考えて活躍してほしい、すなわち小大阪でなく大関西でいきましょうというふうに申し上げました。本県のような、大阪から見れば周辺地域を活性化するということは、その大阪を含めた関西全体のボトムアップにつながると思うんで、縮こまってはいけませんと。その端的な項目が府県間道路ですよというようなことを言ってきました。
 本県が大阪や関西のパワーを取り込むためには、本県が有する豊かな自然環境、世界遺産を初めとする文化・歴史面での数多くの資産、恵まれた農林水産物、豊富な温泉資源、あるいは技術力にすぐれた中小企業や人材といった存在をもとにしたすぐれた資源を生かして、和歌山県の地域力を高めていくことが必要だと思います。
 また、関西広域連合や各府県と緊密に連携していくと、さらに相乗効果が発揮されますので、関西における和歌山県の存在感が増大していくというふうに思います。
 和歌山の地域力を高めるため、インフラがきちんと整備されているということを前提として、そのためには努力をせないけませんが、観光振興アクションプログラムや新農林水産業戦略プロジェクト、わがまち元気プロジェクトなどにより積極的に和歌山の魅力を売り込むことや、農林水産業や観光業の活性化、地域資源を活用した新しい産業の創出を図ってまいりたいと考えております。
 次に、関西空港の件でございますが、関西国際空港と伊丹空港の一体経営については、統合法が本年5月に成立し、新関西国際空港株式会社が来年4月1日に設立され、その後、コンセッションを通じて関西国際空港の債務の早期返済を図るということにされております。また、一体経営により、関西国際空港の我が国の国際拠点空港としての機能の再生強化を図るとともに、両空港の適切かつ有効な活用を通じた関西における航空輸送需要の拡大を図るということとされております。
 私は、関西全体の活性化のためには関西国際空港の機能強化を図り、国際ハブ空港として発展させるということが一番大事な視点であるということをいつも言うております。
 今回、大阪で選挙がありましたが、橋下前大阪府知事は以前から関空強化の重要性を積極的に発言されているし、松井大阪府知事は大阪府知事選のマニフェストに関西国際空港の機能強化を掲げている。また、先日開催された新関西国際空港株式会社設立委員会で、関空を国際拠点空港として育てていくことが重要というような発言をなさったということで、思いは同じだというふうに思います。
 関西国際空港は、国内便のスポークス機能──国内便が少ないということでありますが、それからアクセスなど課題も残されておりますけれども、今後とも大阪府、大阪市を初めとする関係団体と連携して関空、伊丹の経営統合が関西国際空港の機能強化につながるようにやってまいりたいと思っております。
○議長(新島 雄君) 企画部長柏原康文君。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 伊丹空港の廃港プロセスについてでございますが、関西国際空港は、環境問題から伊丹空港の廃止を前提に建設されたという過去の経緯は大変重いものがございます。
 さらに加えまして、今回の経営統合により、関西国際空港の財務構造が抜本的に改善され、関西国際空港の機能強化が図られることになり、その上、リニアによる状況変化も加味することで、関西の航空需要が関西国際空港で賄えるようになれば、伊丹空港は必要ないものと考えます。
 また、昨年5月の国土交通省の成長戦略には、伊丹空港について、当面は関西国際空港の補完的空港として活用しつつ、将来的なリニア等の周辺状況の変化や跡地の土地利用計画の策定状況等を見通し、廃港、関空への一元化を検討すると明記されてございます。
 これらの観点から、速やかに関空への一元化を実行するよう、あらゆる機会をとらまえて国に強く求めてまいりたいと考えてございます。
 次に、大阪府のカジノ構想につきましては、会議ですとか、研修ですとか、またイベントなどのようなMICE機能を核としたラスベガスのような統合型リゾート施設の立地を促進し、国際エンターテインメントコンベンション都市を創出することで多くの集客、高い経済効果を期待しているものであります。
 世界のカジノを見てみますと、ラスベガス型の大規模施設だけでなく、ヨーロッパの観光地や保養地などで多く見られる社交場の雰囲気を持つ小規模カジノも多く見られます。本県は、美しい海、世界遺産、温泉と観光資源に恵まれていることから、小規模カジノが本県の観光魅力にプラスになるとの視点からカジノ構想の検討を進めているところでございます。
 今後、関西エリアを視野に入れながら、大阪府にさまざまな機会を通じ、和歌山へのカジノ誘致実現のため働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 山下大輔君。
 〔山下大輔君、登壇〕
○山下大輔君 御答弁いただきました。
 これからの関西は、とにかくお互いに足を引っ張り合うんではなくて、力を合わせて発展していかなくてはならないのであって、ぜひ和歌山のプレゼンスを高めつつ、知事の答弁でもありましたけれども、相乗効果を発揮できるよう取り組んでいってもらいたいと思います。
 あわせて関空、伊丹の問題については、そもそも伊丹を移転、廃止してもらいたいという地元の声から始まった話で、それを今さら残してくれとか、機能を拡充するとかというのはもう本当におかしな話で、そういう部分については、リニアどうこうといった話ではなくて、あくまで伊丹廃止は当然のこととして一貫した姿勢で臨んでほしいと思います。
 最後に、カジノ構想は今がラストチャンスだと思いますので、この関西では選ばれても1つの地域だけといった中では、大阪への働きかけをしっかりと行って、協力して何とか和歌山へ持ってこれるような調整をお願いしたいと思います。
 以上は要望にしておきます。
 続きまして、広域の視点からさらに重要性が増す和歌山のブランド化についてお尋ねいたします。
 大阪は新たに自治機能を強化し、地域主権、地方分権への流れを加速させる状況にある中で、そこでは本県においても地域の新たな発展の姿を明確にし、それをブランド化していくといったことが急務となります。そういった中で、この関西において和歌山県が果たすべき役割、和歌山の存在の意味、存在意義といったものが改めて問われる状況にある中で、今後の取り組みについてお聞きいたします。
 地域としての特質、個性、その個性を磨き、対外的な認知を高めていくブランド化といった作業において、それには相当な努力が必要であり、中長期の視点を持った戦略が欠かせません。そんな中で、この12月という時期は、来年度に向けて新たな予算編成、政策方針づくりにおいて重要なタイミングでもあり、ここで改めて、現状における和歌山県の方針、その考え方として、和歌山県の特徴、地域の個性を際立たせ、それを対外的に認知させていくブランド化といった視点でどういった取り組みがなされようとしているのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
 まず、企画部長に、これからの時代における地域のブランド化の重要性について、認識をお伺いいたします。
 また、地域全体をとらえてのブランド戦略について、現状において来年度に実施していこうとされている具体的な政策、その方針について御説明をいただきたいと思います。
 続けて、地域のブランド化に向けた私なりの具体的な提案として、ブランド化といったことを考えると、地域固有の資源、自然環境や立地といったものは非常に重要な要素となりますが、そこでは和歌山の海などは特に地域の重要な戦略的資源となります。その海を活用した地域のブランド化に向けた取り組みとして、これまで知事のバックアップも得てセーリングのナショナルトレセンを誘致するなど、他の地域にない、まさに日本一の事業として着実に実現してきているところですが、さらにその路線で大きなチャンスをつかめる可能性が出てきています。
 そこで、地域のブランド化といった視点で、海のスポーツ、ヨットを生かした新たな提言について、今回は2つに絞って行わせていただきます。
 まず、高校総体、インターハイの定点開催について。インターハイの定点開催です。
 インターハイを和歌山に限って行っていくというようなことの提言なんですけれども、ヨット競技の高校総体、いわゆるインターハイについて、この私たちの和歌山、和歌浦で定点開催させる。国体のように開催場所を全国で巡回させていくのではなくて、ヨット競技は和歌山で固定開催させるといった取り組みを、現在、私が会長を務めさせていただいている和歌山県セーリング連盟が教育委員会とも協力しながら進めさせていただいているところです。
 このことは、ナショナルトレセン誘致の話を進めてきた中でも夢として語られてきたことですが、それが今現実のものになろうとしています。インターハイのヨット競技を和歌山で定点開催、これは地域のブランド化といった視点でも大きなインパクトをもたらすことになります。
 例えば、高校野球の聖地・甲子園、野球少年はみんな甲子園を目指します。海洋スポーツ、セーリング、そのヨットの選手はみんな和歌山、和歌浦を目指す。そもそもヨット自体が大海原をイメージさせ、自然、環境、リゾートといったものを連想させる地域のイメージ戦略上も重要なスポーツですが、そのヨットのメッカ、セーラーのあこがれの聖地・和歌山といったことが定着すると、和歌山自体の全国に発信されるイメージも、恵まれた環境、すばらしい自然、海、それらを備えたリゾート和歌山といった認識が深まり、地域のブランド化に大いに貢献するものとなります。
 そこで、現在は教育委員会にも一緒に協力していただいているインターハイ定点開催の和歌山誘致運動ですが、それは決して教育委員会だけに任せておいてよい話ではありません。知事部局においても、その条件整備などにおいて真剣な協力をお願いしたいところです。
 そこで、お尋ねしますが、まず、インターハイの定点開催の意義についてどのように考えられるか、教育長並びに企画部長にお尋ねいたします。
 次に、現状における和歌山でのインターハイの定点開催の見通しについて、どういったプロセスで進められ、どういった懸案事項があるのか、教育長から御答弁いただきたいと思います。
 最後に、インターハイの定点開催、和歌山への誘致について決意、御覚悟を、これも教育長並びに企画部長からお聞かせ願いたいと思います。
 続いて、海を活用した和歌山のブランド化の2点目として、和歌山におけるヨットの義務教育化について、提言並びに質問をさしていただきます。
 和歌山で育つ子供はみんながヨット乗り、ヨット教育の推進が、ひいては地域としてのアイデンティティーをはぐくみ、郷土愛を育て、それが地域のブランド化にもつながっていくといった相乗効果が期待される取り組みです。
 今回、具体的な政策提言として、ヨット競技の義務教育、学校教育への導入を提案させていただきます。
 ナショナルトレセンの誘致から日本代表選手の選考レース、全国大会から世界大会の誘致まで、またさらにはインターハイの定点開催も現実のものとして視野に入ってくる中で、今、全国の海洋スポーツ関係者から和歌山に対する注目度も非常に高まっている状況があります。
 そんな中、それらをさらに加速する取り組み、私たち和歌山県における地元対応としてヨット競技の学校教育への導入についてぜひ実現させていただきたいと思います。
 地域のアイデンティティーをはぐくむ源となる教育において、和歌山のすばらしい海を取り入れた授業などを推進することができれば、その体験は地域に育つ子供たちにとって、他の地域では得ることのできない貴重な経験となり、大人になっても自慢できる大きな財産となります。
 トレセンの町・和歌山では体育の授業でヨットをやっているといったことが実現すれば、それは和歌山にしかできない誇りを持って自慢できるものとなり、さらには和歌山を宣伝する格好の材料として、地域のブランド化にも絶大な効果を生むものと期待されます。せっかくナショナルトレーニングセンターがある和歌浦の海ですので、それをフル活用して地域の教育に組み込むといったことをぜひ検討していただきたいと思います。
 そこで、まず教育長に、教育の現場に地域固有の資源をもっと活用していくべきであり、中でも海の活用についてどう考えておられるか、お伺いいたします。
 また、地域のブランド化への貢献、イメージ発信といった視点でヨットの学校教育の導入についてどのように考えるか、企画部長にお尋ねいたします。
 また具体的に、当面は近隣の和歌山市、海南市などを対象として、義務教育、学校教育の授業の一環としてナショナルトレセンを活用し、ヨット競技を組み入れるといったことを進めてもらいたいと思いますが、教育長から御答弁をお願いします。
○議長(新島 雄君) 企画部長。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 地域のブランド化についてでございますが、地域間競争に勝ち抜くためには、和歌山の商品を買いたい、和歌山に行きたいと多くの方に思ってもらうことにより、和歌山が選ばれることが重要であります。
 そのためには本県の持つ魅力をさらに磨き上げ、国内外に発信していくことにより、和歌山ブランドを形成していくことが非常に大切であり、行政のみならず業界や県民と一体となって和歌山のイメージを高めていくことが必要であります。
 次に、ブランド戦略についてでございますが、本県では、国内外から観光客の入り込み増、魅力ある県産品の国内外への販路拡大、大都市圏における情報発信の強化などに取り組んでおります。
 具体的には、本県の持つ豊かな自然、文化、歴史等の地域資源を活用し、世界遺産、ほんまもん体験、食など、8つの魅力で和歌山を売り出すことにより観光振興を図るとともに、地域資源を活用したわがまち元気プロジェクトや良好な景観形成等による個性豊かな地域づくりを進めております。
 さらに、トップセールスによる県外への情報発信や国内外への見本市への出展、首都圏でのプレミア和歌山カフェの開催などにより、トータルとして和歌山の魅力を全国にアピールする取り組みなども行っているところでございます。
 来年度の政策につきましては、大手食品企業と連携した県産食材の販売促進などを検討しております。
 続いて、インターハイの定点開催の意義、その実現に向けた決意、ヨットの学校教育への活用の3点の質問について、一括してお答えさしていただきます。
 インターハイの定点開催が実現できれば、マリンスポーツのメッカとなることが期待でき、本県のイメージアップにつながるものと思われますので、その実現に向け、積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。
 学校教育への活用につきましては、競技人口の拡大や、それに伴う周辺ビジネスの拡大などが期待できるため、地域の振興に寄与するものと考えます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) インターハイの定点開催等に係る5点の質問についてお答えいたします。
 ヨット競技のインターハイ定点開催につきましては、平成18年度と21年度に和歌浦湾で開催された全国インターハイにおいても、セーリングに必要な海域、風、波などの自然環境条件が整った大変よいレース環境であると関係者からも高い評価を得てございます。定点開催は、本県におけるヨット競技の普及啓発だけでなく、ナショナルトレーニングセンターの設置と一体となってヨット競技における甲子園のようなところとして本県の魅力をアピールできる点でも、大きな意義があると考えてございます。
 次に、和歌山でのインターハイの定点開催に係る見通し、あるいは懸案事項についてでございますが、平成27年度、近畿ブロックにおいて開催予定のインターハイを機に、定点開催の実現に向け、現在関係者と協議しながら調整中でございますが、ヨット競技に力を入れている他県の理解を得るなど、全国高体連の承認が今懸案事項となってございます。
 3点目のインターハイ定点開催における実現に向けた決意でございますが、さまざまな懸案事項や課題に対して全力で取り組み、ヨットと言えば和歌山と広く全国に発信することを目標に、定点開催の実現のため、これからも鋭意努力してまいりたいと思っております。
 次に、教育の現場において地域資源である海の活用についてでございますが、本県の豊かな自然の1つである海と親しむ機会としてヨット競技に触れることは、議員御指摘のように、郷土愛をはぐくむという観点からも大変大きな意義があると考えてございます。それにかかわって、いわゆる海南市、和歌山市を対象とした学校教育への取り組みということでございますが、和歌山市、海南市等を対象としてヨット競技を組み入れることにつきましては、和歌山の海に誇りを持てる子供たちを育てるため、教育活動の中でできるだけ多くヨット競技に触れる機会を持てるよう、当該する市とも連携をしながら研究してまいりたいというふうに思ってございます。
○議長(新島 雄君) 山下大輔君。
 〔山下大輔君、登壇〕
○山下大輔君 御答弁ありがとうございました。
 和歌山のブランド形成は非常に重要な取り組みです。企画部長もお答えいただきましたように、これからの和歌山というのは、対外的にどういう地域として認知されていくかというふうなことで和歌山の未来というのは変わってくると思いますので、しっかりとした良好なイメージを持った、そういうブランド化ということをしっかりと進めていけるようにぜひお願いしたいと思います。
 あとインターハイの定点開催については、教育長、企画部長ともにその価値をお認めいただいていますので、これは千載一遇のチャンスですから、このチャンスを生かせるよう県を挙げて取り組んでいただけますよう、仁坂知事にも心からお願いいたします。
 ヨット競技の学校導入につきましては、すぐにすべてが実現するわけではありませんが、地道に、しかし着実に進めていってもらいたいと思います。
 以上、要望といたします。
 最後の項目となりますが、台風12号への対応、その教訓を生かした今後の取り組みについて、提言並びに質問をさせていただきます。
 まず、今回の災害に当たっては、知事並びに県職員の皆さんには、昼夜を問わず献身的に災害対応に当たっていただけたことに心から敬意を表し、感謝を申し上げます。
 さて、さきの東日本大震災から防災への意識は高まっていたとはいえ、今回、私たちの和歌山に大きな被害をもたらしてしまった台風12号、被災地の現場へは私自身も何度も足を運ばせていただきました。
 そういった中で、現地で実際に体験し、気づいたこと、地元の皆さんから直接にお話を伺い、勉強させてもらったことについて、幾つかの提言と質問をさせていただきます。
 前回、私が登壇した6月議会では、東日本大震災の現場からさまざまに学んだことをベースとして、11項目の政策提言をさせていただきました。それらは防災・災害対応といった視点でどれも重要なものであり、引き続き積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、今回は和歌山の被災地の現場に出向き、改めて議会で取り上げる必要があると感じた、特に重要な3点に絞って提言と質問をさせていただきます。
 まず1点目として、ボランティアの問題とあわせて災害時の行政組織の整備。
 和歌山県各市町村と他府県、和歌山県外の遠隔地域の自治体との相互応援協定の推進についてお尋ねいたします。
 今回の災害で、被災地の先頭に立つボランティアの問題には注目もされる中、県を初め地元市町村、社協など関係される皆さんは全力で取り組み、本当に御苦労もされたと思います。しかし、ここまで大きな災害でボランティアが組織立って動くのは初めての経験であり、よい意味でさまざまな課題も明らかになったと思います。
 ボランティアの問題については、私自身、これまで積極的に提言もさせていただいてきましたので、今回の災害では、私も口先だけでなく、実際に一般のボランティアの皆さんとともにボランティアバスにも同乗し、何度か被災地の復興現場へお手伝いにも行ってまいりました。お手元にあるのがそのときの状況ですが、やはり大変な作業で、当日一緒に御参加いただいたボランティアの皆さんは、皆手弁当で一生懸命お手伝いをいただき、本当に頭の下がる思いでした。
 今回、被災地の復旧に向けた取り組みの中で、以前から心配もしていましたが、やはりボランティアの受け入れではさまざまな混乱もあり、特に県外からのボランティアについては希望者がたくさんありながらも、実際にうまく回転し出すには時間もかかり、混乱も少なからずあったようです。
 そこでまず、ボランティアを統括される環境生活部長にお尋ねします。
 今回の災害時の問題点の整理をどのようにされているか、また、その改善策をどのように考えておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
 続いて、社会福祉協議会との連携の問題について。
 ボランティアに関する現場の対応は、社会福祉協議会が主体となりますが、社協との関係がうまくいかないとボランティアに活躍してもらうにも大きな障害となります。県から人員の派遣も行っていましたが、まだまだマンパワーも足りない状況も見受けられました。
 そこで、社会福祉協議会との関係で、今回の問題点の整理、特に人の問題についてどのように分析されているのか、そして今後の対応についてお聞かせください。
 また、今回は被災された自治体間、それぞれの地域のボランティアの受け入れ状況にも大きな差が生まれていました。ここでは個別の市町村の問題は取り上げませんが、そもそも被災した当該の市町村の対応だけでは限界があり、県が主体となってコーディネートする体制をさらに充実させていく必要があると考えますが、その認識と今後改善に向けた取り組みについてどのように考えておられるか、これもあわせて環境生活部長に御答弁いただきたいと思います。
 続いて、災害時の相互応援協定の問題について。
 今回、それぞれの被災自治体に足を運ぶ中で、改めて災害の当事者となる自治体での対応には限界があると実感しました。その解決策として、遠隔地にある行政同士が助け合う相互応援協定の重要性がクローズアップされます。大きな災害に見舞われ、行政機能が著しく毀損される中では、当該の地元市町村はもちろんのこと、それを統括する都道府県の対応自体も大変厳しい状況が予測されます。
 そこでは、できるだけ遠くにある自治体と相互応援協定を積極的に結び、いざ大きな被害があったときにはスムーズにバックアップ体制を確立することが重要になります。
 さらに、いざというときに備えて、平時、日常的に職員交流を促進し、相互の自治体間で親和性を高め、大きな被害のあったときにはBCPなどから大量の職員に一気に入ってもらえるプランづくりも進めておくことを提言したいと思います。
 そこで危機管理監に、今回の台風12号災害の経験も含め、相互応援協定の意義と、あわせて相互応援を約束した自治体間で平時の職員交流や災害時の行動計画、プランづくりについて御答弁をお願いします。
 現状では、県内の30市町村の中で災害時の応援協定を結べているのは16の市と町であり、しかも人員の応援を約束できている協定は12、30のうち12の市と町でしかない状況です。さらに遠方の自治体と協定を結べているところはごく少数といったのが実態です。
 これは本当に問題だと思いますので、今後、県が音頭をとって、巨大地震など大きな災害時に同じく被災する心配のない、できるだけ遠隔地の自治体と相互に応援し合う体制づくりを加速させていただきたいと思いますが、そこで、改めて相互応援協定のこれまでの推進状況と、それらを進めるに当たっての考えを危機管理監からお聞かせ願いたいと思います。
 次に、2点目として災害時のコミュニケーション、情報伝達について。
 今回、現地に入って被災された皆さんからいろいろとお話を聞かせてもらう中で、災害時の情報が何にも増して大切なものだと改めて認識を強くしたところです。
 まさに情報こそが命綱、生死の分かれ目になる。今回の台風12号でも、雨が強くなるにつれ不安が高まる中、しかし情報が思うように入ってこず、熊野川流域の皆さんなども、まさかここまで水が来るかということで、逃げる態勢もおくれぎみであったということです。ふだんはどうしても情報の大切さに気づかないが、今回は身にしみて情報の大切さを実感したとおっしゃっていました。
 そこでまず、今回の12号台風が襲来した状況において災害時コミュニケーション、情報伝達といった視点で、行政的にどういった課題が残ったと考えておられるか、現状で整理されているところを御説明願いたいと思います。
 また、改めて防災行政無線、その情報の受信体制として戸別受信機の整備について迅速な整備をお願いしたいと思います。
 前回、私の6月議会の提言については、災害情報の伝達手段として衛星電話、ドコモのエリアメールなどを県として取り組むと答弁されていましたが、今回、台風12号による災害で、それらの有効性はあくまで限定的であり、衛星電話などは雨が降り雲に覆われている地域ではほとんど使えないものであり、また、ドコモのエリアメールも中継拠点などが被害を受ける中では受信地域も非常に限られたものとなる実態があります。
 そこで、改めて災害時に強い防災行政無線、その受信機として戸別受信機の整備推進を提案しますが、その実現に向けた県の対応について、危機管理監から御答弁をお願いしたいと思います。
 最後に、今後の被災対応、地域復興についてお尋ねいたします。
 現在の復興作業への取り組みとしては、山を直す、橋を直す、川を直す、道路を直すといった原状復帰への取り組みが主体となりますが、先日来、被災した住民の皆さんと直接お話をし、また当該地域の首長さんとも話してくる中で、単なる復旧だけでなく、新たな地域再生の絵を描く、集落、町自体のあり方を見直すことも含めて、今後新たな和歌山再生、地域振興策の取り組みとして検討していく必要があると強く感じました。
 それは、さきの東日本大震災でも、復興策において新たなまちづくりの議論が活発にされている状況と同じです。
 そもそも本県において、これまで限界集落などの問題もあったわけで、それであればなおさら、単に原状復帰を急ぐだけでなく、幾つかの集落を集約させた新たなまちづくりも検討すべきだと考えます。
 もちろん被災した現地の皆さんの意向を大切にした上で、集落移転も含め新たなまちづくりを考える、しかも、それはこれまで住んでいた人だけを対象とするのではなく、新たに移り住んでくる人も出てくるような魅力的なものを創造していけないかと期待するものです。
 きのう、NHKの特集でたまたまやってたんですけれども、今、徳島の山奥のほうへIT企業がこぞって会社の分室を移していってるというふうな状況が報告されてました。実は、そういう自然豊かな中で情報インフラとかというものをきちっと整備していく中では、東京と物理距離を超えた新たなビジネスモデルというのが生まれてくるというような状況は、今徳島でも現実に動き出しているところです。
 そういった、そもそも和歌山においても自然に恵まれた地域において、今の時代の先端を行く環境整備を徹底し、高速の情報インフラの整備から次世代エネルギーの導入など、最大限に付加価値を高めたモデル地域を創造し、都市部からも人を引きつけるような魅力ある町を新たに生み出していくといったことをぜひ検討していただきたいと思います。
 そのような大規模な再生プロジェクトは住民だけでできるものではなく、行政が青写真を描かなければ始まらない話であり、それには市町村だけでなく、県からの応援も不可欠です。
 そこで、今後、復興作業の議論に当たっては、新たな町をつくるといった視点も加え、あわせて県庁内においてそのためのプロジェクトチームを組織するといったことを提言しますが、企画部長からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
 〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) まず、ボランティアについて一括してお答えをいたします。
 台風12号による災害ボランティアについては、県内外から延べ2万5653人もの方々が活動し、被災地の復旧に大変大きな役割を果たしていただき、本当に感謝をしているところでございます。
 県としましても、東日本大震災を教訓に、住宅の泥かき等にはボランティアの早期大量導入が必要と考え、発災後3日目には自前のボランティアバスの運行体制を整え、参加者の募集を始めました。同時に、関西広域連合に派遣要請をしたほか、紀北地域の数多くの企業、団体、学校などに県職員が直接出向き、ボランティアの派遣を要請したり、また、現地災害ボランティアセンターに職員を派遣し、運営の支援にも当たらせました。さらに、市町によってボランティアの受け入れ状況に過不足が生じましたので、県が主体的に調整を行い、各市町において必要なボランティアの確保に努めたところです。
 こうした取り組みの結果、混乱する現場におきまして幾つかのトラブルもありましたが、被災した市町からもボランティアの派遣について大変感謝をいただいたところでございます。
 今後は、今回の経験を踏まえまして、災害ボランティアセンターの人員体制やボランティアバスの運行等について、より効果的、効率的な手法を検討していくとともに、研修等を通じまして人材養成、災害ボランティア経験者のネットワーク構築等にも取り組んでまいります。近い将来、予想されます東南海・南海地震に備えるため、県がリーダーシップを発揮しつつ、県社会福祉協議会と一体となって体制整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
 〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 台風12号への対応について4点お答えを申し上げます。
 まず初めに、遠方の自治体との相互応援協定の意義についてでございますが、東海・東南海・南海地震のような広域被害が想定される場合に備え、遠隔地の自治体との相互応援協定を締結していくことは、応援能力のある被災していない応援元を確保する観点から重要であると考えます。
 自治体間の相互応援協定は、災害対応のバックアップ体制を確保することにつながり、応急対策、復旧・復興対策が迅速かつ適切に遂行されるものと期待をしております。また、平時からの交流などを通じて職員派遣等について円滑に行えるようにしておくことは、災害時の活動をよりスムーズにするためにも重要なことであると認識をしてございます。
 次に、相互応援協定のこれまでの進捗状況と今後推進していく決意についてでございますが、県レベルとしては関西広域連合内での相互応援体制があるほか、10月31日には関西広域連合と九州地方知事会との間で災害時の相互応援に関する協定を締結しているところでございます。市町村につきましては、16市町が物資、資機材、車両等の提供や職員の派遣等について県外市町村と相互応援協定を締結しております。
 県としましても、こうした協定の締結がさらに進むよう、さまざまな情報提供や助言などに努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、災害時コミュニケーション、情報伝達での行政課題についてでございますが、今回の台風12号災害時には、新宮・東牟婁地域のNTT電話施設が被災したため、多くの地域で電話が使用不可能になりましたが、県の総合防災情報システムのバックアップである衛星通信回線や衛星携帯電話等により情報収集に当たったところでございます。
 また、市町村の防災行政無線についても、新宮市熊野川行政局が水没のため、防災行政無線が使用不能となった例はございますが、孤立集落対策として配備した移動系無線が機能するなど、情報伝達に一定の役割を果たしたところでございます。
 エリアメールや県の防災わかやまメールサービスの情報も、被災により携帯電話基地局の機能が失われるまでは避難情報等を配信することができ、避難等に役立ったと聞いております。
 今回、課題として挙げられるのは、刻々と変化する未曾有の大雨に関する地域の被害情報が、主たる通信手段である電話回線不通のため、迅速かつ詳細な情報収集が不十分であったところでございます。災害時の通信手段には、すべてに一長一短があり、平時同様の通信体制が1つの通信手段でカバーできるわけではありませんが、こうしたことから、災害時の情報伝達手段の機能維持を向上していくことが重要であると認識しております。
 最後に、防災行政無線の戸別受信機の整備促進についてでございますが、市町村が設置している戸別受信機や防災ラジオについては、災害情報等を特定の家屋や施設に効果的に伝えることができることから、重要であるというふうに認識をしてございます。既に屋外スピーカーの音声が到達しない地域の世帯や、社会福祉施設、防災拠点、避難施設に約4万4000台が設置をされております。
 戸別受信機、防災ラジオについては、市町村防災行政無線のシステムの一部をなすものであり市町村がその整備を行っていくものでありますが、県としましても効率的な整備促進に向け、市町村と連携しながら取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 企画部長。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 今後の復興作業の中で新たなまちづくりについてどう考えるかという御質問でございますが、台風12号に伴う水害による甚大な被害から早期復旧・復興を図るため、各部長等で構成する復旧・復興本部や庁内12課室の課長から成る復旧・復興連絡調整会議が設置され、被害者支援や産業振興等、被災地が抱えるさまざまな課題や対策について全庁を挙げて検討を行い、和歌山県復旧・復興アクションプログラムとして取りまとめられております。
 議員御指摘のまちづくりにつきましても、被災をきっかけに地域住民が住みなれた地域を離れ、その結果、地域が衰退することのないように配慮する必要があることから、復旧・復興アクションプログラムを活用し、県としてできる最大限の支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 山下大輔君。
 〔山下大輔君、登壇〕
○山下大輔君 御答弁いただきました。ありがとうございます。
 12号台風への対応では、本当に皆さんには御苦労をいただいたと思います。危機管理監も、もう当時は本当に徹夜、徹夜が続いて顔色もなくなってましたけれども、今ちょっとお元気になってられるんで安心してますけれども、本当に県の努力と、やっぱり今回、南に被害が集中してて、和歌山市、北部地域については余り直接的な被害というのは大きくなかったと。そういう分では、県のヘッドクオーターとしての機能というのはきちっと確保されて、よかった──よかったというか、本当に不幸中の幸いで、そこからの指示命令系統というのはうまくいったんだと思います。
 今回のことは、本当に1つ1つ課題の整理とかというのは、今回どうやったからどうやというような話じゃなくて、これから未来に向けて、東南海・南海地震も含めて、もう大災害というのが将来あることに対しての重要な今回は教訓になると思いますんで、今回取り組んだ内容については総点検して、次の災害に備えていただきたいと思います。
 あと、情報の受発信については、一長一短それぞれ取り組んでいくものであるという御答弁でしたけれども、やっぱり災害の無線というのは非常に強いということは、いろんな災害の中でもこれは指摘もされてるわけですから、災害防災無線の活用については徹底的にやってもらいたいと。さっき4万世帯ぐらいのところは受信機も整備できてきてるということですけれども、県内全体をとらえたら8割以上にまだ設置は進んでいないという状況がありますんで、そういう分では市町村が当然対応するんですけれども、県もバックアップしてその推進に努めていただきたいと思います。
 最後に、ボランティアの件ですけれども、これはまた課題を整理して、これから、今回もたくさんいろいろと思っていたこととは、なかなか思いどおりいかんかったこともあると思いますので、そういう部分はこれからにつなげていただけるように、部長を初め皆さんには取り組んでいただきたいと思います。
 要望はそこまでなんですけれども、これ先輩・同僚議員にもちょっとまたもう一回見といてもらいたいんですけれども、これ相互応援協定の内容です。(資料を示す)さっきも言ったように、人員の応援ができるところは12しかまだ結べてないんですね。それぞれ地元として名前の入ってないところもあると思いますので、ぜひこの相互応援協定というのは、平時に結んで日常的な職員交流とかやってることにおいて災害時に本当にこれはそれぞれの自治体の助けになると思いますので、そういう推進は県が進めるとともに、我々議員としても進めていかなくてはならないものだと思いますので、ぜひ努力もしていきたいと思います。
 以上、要望として私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) 傍聴席に申し上げます。拍手は御遠慮をいただきますようお願いいたします。
 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。

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