平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第5号(全文)


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平成23年12月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成23年12月9日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第122号及び議案第130号から議案第158号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第122号及び議案第130号から議案第158号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(1人)
 12番 川口文章
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説明のため出席した者
 知事 仁坂吉伸
 副知事 下 宏
 知事室長 野田寛芳
 国体推進監 中村正次
 危機管理監 宇恵元昭
 総務部長 米澤朋通
 企画部長 柏原康文
 環境生活部長 保田栄一
 福祉保健部長 鈴木敏彦
 商工観光労働部長 大門達生
 農林水産部長 増谷行紀
 県土整備部長 森 勝彦
 会計管理者 米山重明
 教育委員会委員長 山下郁夫
 教育長 西下博通
 公安委員会委員 溝端莊悟
 警察本部長 山岸直人
 人事委員会委員長 守屋駿二
 代表監査委員 楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 森田実美
 次長 佐本 明
 議事課長 堀 達也
 議事課副課長 吉田政弘
 議事班長 中井 寛
 議事課主任 中尾祐一
 議事課主査 保田良春
 議事課主査 中村安隆
 総務課長 上坊 晃
 調査課長 谷村守彦
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 午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第122号及び議案第130号から議案第158号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 39番山下大輔君。
 〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 (「時間あるのか」と呼ぶ者あり)おはようございます。御心配もいただいておりますので、早速、張り切って頑張りたいと思います。
 今回は、質問は分割形式で行いますので、よろしくお願いいたします。
 さて、今、日本社会は長期にわたるデフレ、経済実態の悪化、人口減少と少子高齢化、産業力の低下、雇用者数の減少、世界経済の混乱から為替リスクの増大など、さまざまな局面で危機的状況が見てとれます。地方でも地域の衰退は著しく、支店経済の崩壊、企業倒産、商店街の衰退から地域経済の縮小、若者の流出、消費低迷など、悪循環が続く中、希望の見出しづらい社会が現実となってしまっています。
 このような先行きが不透明な厳しい時代こそ、これまでの概念にとらわれず、新たな視点で柔軟な発想を持って局面を打開していかなくてはなりません。
 「ピンチこそチャンス」、松下幸之助さんの言葉ですが、まさにそういう時代が到来しているのだと思います。そこでは、地方、地域においても、これまでの成長時代の3種の神器、空港、高速、新幹線、そこから派生する金太郎あめの都市計画、工場誘致など、どことも変わらない旧式の発展モデルを追い求めるだけでなく、これまでの古い概念は一たん横に置き、パラダイムをシフトさせ、まずは、そもそものよって立つ足元を見詰め直し、新たな価値創造を図っていく知恵、ソフトパワーが求められます。
 あわせて、それぞれの都道府県レベルでのミクロの発想からも抜け出し、もう少し広い視野で広域の成長戦略を模索しつつ、地域独自の役割の確立とみずからのアイデンティティーを取り戻す中で、新たな時代にふさわしい地域ビジョン、成長戦略を描けてこそ、次の時代を担う子供たちに胸を張ってこの和歌山を受け渡せるのだと考えます。
 ことし3月11日に起こった戦後最大級の大災害、東日本大震災、和歌山でも台風12号の大水害に見舞われましたが、この2011年という年は、日本社会にとって、また、私たちのこの和歌山にとっても何らかの転機となるべき重要な1年だと感じています。
 社会の転換点で政治の重要性が増す今、しかし既存の政治への不満は高まるばかりですが、何としてもその壁を打ち破っていかなくてはならない。あくまで和歌山には大きな可能性があると心から信じる中で、ことし1年を締めくくるこの12月定例議会においても、改めて、何としてもこの難しい状況を打破するといった意気込みで心を込めて幾つかの提言とともに質問をさせていただきます。
 多くの歴史が物語るように、物事が壊れるときというのは新たな芽生えも同時に生み出します。希望の息吹、新たな芽生えを感じるものは何か、それは後世の歴史家が評価するものではありますが、少なくとも私たちの近くでも政治の新たな胎動が感じられます。
 最初に、大阪ダブル選挙から和歌山の発展につなげる取り組みについて。
 今回の大阪府知事・市長のダブル選挙については、歴史に刻まれる重要な選挙であったと思います。既成勢力がこぞって敵陣営に加わる中で、維新の会の皆さんはまさに変革を貫き、新たな地方自治の礎を築く戦いを展開されました。志の戦いと維新の会の人たちは言っていましたが、これには大阪の府民、市民の有権者もしっかりとこたえ、その投票率からも注目の高さがうかがえました。
 今回の選挙の解説としては、マスコミを通じてさまざまな意見が述べられていますが、私なりに考えると、根本にあるのは既成の政治・政党に対する不信と不満であり、既得権益に対する反感があったのだと思います。これはもしかすると、アメリカなど世界の大きな流れにも通底するものがあり、社会の構造、体制が大きく変わる予兆なのかもしれません。また、今回の大阪の選挙では、地域や市民生活の将来像を具体的に提示できたかどうかも重要なポイントになったのだと思います。
 ここに選挙時のチラシ並びに大阪維新の会が掲げたマニフェストがありますが、そこには現在の大阪が置かれた客観情勢と今ある危機、そしてそれを解決していくための具体的な政策がまとめられています。
 さらに、有権者が判断した材料としては、口先だけでなく、過去3年にわたる橋下知事の実績も大きかったと思います。聖域なく行政機構の大改革に踏み込み、職員の給与カットから不要事業の廃止・縮減、大胆なリストラから、過去の赤字隠しの手法をやめ、府の借金残高を3100億円削減、また一般施策の経費見直しと建設事業費カットなどでも1100億円のコストカットを実現し、財政収支の黒字化を達成させました。
 大阪の将来ビジョンとしては、現在の衰退する大阪の再生に向けて、具体的に大阪のマネジメントを一元化する大阪都構想を提示し、そこから成長戦略を描き出しています。大阪府民、市民の皆さんは、今の衰退する状況に対して明らかにノーを突きつけたのであって、これまでのなれ合い、ぬるま湯の体制から決別する勇気ある決断だったと思います。
 今、大阪のみならず全国、日本社会全体に蔓延している閉塞感、その源泉となってしまっている政治への不信、不満、政治刷新に対する期待にこたえ、維新の会は新たなビジョンを掲げ、その実現性を担保する実績により今回の選挙結果を導き出しました。会心の勝利だったと思います。
 今回の選挙結果は、地方自治の新たなステージを切り開き、この国の形をも変えていく可能性のある出来事であり、私自身、個人的にも希望ある未来につながってもらえればと心から期待し、また、つなげていかなくてはならないと強く感じているところです。
 さて、そういった中で、今後は私どもの和歌山県としても、この機会をとらえて新たな和歌山県地域発展の戦略を描く必要に迫られています。
 今回の維新の会のマニフェストでは、大阪の再生と同時に、関西、日本も牽引していく覚悟で新たなビジョンが描かれていますが、そこでは和歌山県としても、単に大阪の成長にぶら下がるのではなく、まさしく大阪発展のエネルギーを取り込む、関西の成長パワーを取り込んでいくための和歌山なりの仕掛けが必要です。その基本は、単なる地域間競争──競争の概念から、新たに補い合い協力していくといった競争から補完といったものの考え方、補完の概念が重要です。この関西において補い合う、大阪との間でどういった関係性を築いていくのか、大阪との間で何を補完するのか、何を助け、何を助けられるのか、どういったことに協力し、何について協力してもらうべきか、その整理を急がなくてはなりません。そして、大阪、和歌山が真のパートナーとなり、ウイン・ウインの関係の中で大きな発展を遂げていく。そういった未来を思い描く中で、幾つかの視点により提言並びに質問をさせていただきます。
 まず、選挙後の対応として、和歌山に隣接し、関西広域連合など広域行政といった視点での関係性からも、和歌山にとって大きな影響を与える大阪ですが、今回の選挙結果を受けて、今後、和歌山県として大阪に対してどういった対応が必要と考えておられるか。
 また、本県に大きな影響を与える大阪のこと、和歌山県としても当然今回の選挙に注目し、マニフェストの分析なども行ってきていると思いますが、今新しい大阪府知事が誕生したことを受けて、それは和歌山県の今後の取り組みにどのような影響を与えると考えておられるか。
 また、新たに生まれる松井府知事の大阪に対して、和歌山県として地域のメリットを最大化するために対処すべきこととはどういったものでしょうか、それぞれ知事から御答弁をいただきたいと思います。
 私は、今回の選挙で維新の会の松井候補の対抗馬として立候補されていた倉田候補が選ばれると、本県にとって大変な不利益があるものと心配していました。特に伊丹、関空の空港問題では、伊丹存続、さらにはその機能拡充まで訴えていた倉田候補ですので、和歌山県にとって大きな問題であり、今は胸をなでおろしているところです。
 さてそこで、今後は大阪府としても、松井新知事のもと新たな空港戦略も練り上げるわけですが、現状において伊丹、関空の問題については、一体経営とするといった方向性だけは示されていますが、細部は詰められておらず、その行く先もはっきりとしていません。
 そういった中で、本県として、これまでは大阪の橋下知事とともに難しいかじ取りをしてきた関空・伊丹問題、その今後について現状の問題点と、これから新しい大阪府知事を迎えて、どういった戦略、働きかけを行っていこうと考えているか、見通しを知事に伺います。
 また、一体経営という方向性の中ではありますが、しかし私としては、できるだけ早期に伊丹は廃港とするのが筋であり、経営資源は関空に集中させ、その発展戦略、アジアにおけるハブ空港構想をしっかりと練り上げなくてはいけないのだと思います。
 そもそも関空の開港には和歌山県としても深くかかわり、ある面では迷惑も大いにかけられてきています。先ごろ和歌山市でも、関空の開港に際して一番の貢献をしつつも、実際に迷惑もかけられてきた加太地区の若者たちが、民間の任意の団体として伊丹空港廃止運動を始めています。
 大阪に新しい府知事を迎えた今、伊丹廃港に決着をつけるタイミングだと思いますが、その伊丹空港廃止へのプロセスについて、和歌山県としてどういった青写真を描かれているか、企画部長にお尋ねします。
 続いて、カジノ構想について。
 国の超党派の議員連盟、国際観光産業振興議員連盟が準備しているカジノ区域整備推進法案は、今国会は見送られましたが、来年の通常国会には提出される状況にあるようです。物事には何でも時があり、和歌山が本気で取り組もうとするのであれば、ここが正念場といったタイミングですので、当局にその姿勢を伺います。
 大阪の橋下前知事は、これまで大阪府域内へのカジノ誘致を公言してきていますが、それを和歌山県としても簡単に見過ごすわけにはまいりません。和歌山県としても、以前からカジノ誘致に関しては積極的に取り組んできているわけで、今後は時間もなくなってくる中で、大阪との協議も実質的に始めなければなりません。
 これまで橋下前知事と維新の会は、関西での広域行政の展開、それは道州制も視野に入れた発言を繰り返してきていますが、そこでは地域の役割分担が重要で、すべてを大阪に取り込むといったことでは成り立たない話です。関西広域における和歌山の役割分担、そもそも和歌山は古くから観光立県を宣言し、リゾート博を成功させるなど、この関西圏でもリゾート県としての立場を明らかにしてきています。この関西においてエンターテインメント、リゾート、遊びの部分は和歌山に任せてもらう、そういった位置づけは今後しっかりと確保していかなくてはならないわけで、そこでは関西の中核をなす大阪に新しい知事が誕生したこのタイミングで、松井新知事がさまざまな政策方針を打ち出す前に、カジノは和歌山といった認識、協力を得られる努力を進めなくてはなりません。
 アジアのビジネス拠点となる大都市・大阪都構想、その実現に向けては全面的に協力し、一緒に努力もする、そのかわりにアジアを代表するリゾート和歌山の実現、カジノ和歌山誘致にも協力してもらいたいといった、まさに補完関係を構築する具体的な下交渉を進めるべきと考えますが、企画部長の所見をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、大阪府との関係でございますが、松井知事になっても、これまで橋下前知事と連携して一緒に取り組んできた府県間道路とか、関西国際空港とか、関西広域連合などについての考え方については、大きく変更されることはないと考えております。関西広域連合委員会などの場を利用して、緊密に連携して諸課題への取り組みを強化していきたいと思っております。
 松井知事には先日お目にかかりまして、これは橋下前知事にもずっと言い続けて、影響を行使しようとしていたところですけれども、大阪府内という小さな枠組みの中だけに縮こまるんではなくて、関西全体という大きな視点で物事を考えて活躍してほしい、すなわち小大阪でなく大関西でいきましょうというふうに申し上げました。本県のような、大阪から見れば周辺地域を活性化するということは、その大阪を含めた関西全体のボトムアップにつながると思うんで、縮こまってはいけませんと。その端的な項目が府県間道路ですよというようなことを言ってきました。
 本県が大阪や関西のパワーを取り込むためには、本県が有する豊かな自然環境、世界遺産を初めとする文化・歴史面での数多くの資産、恵まれた農林水産物、豊富な温泉資源、あるいは技術力にすぐれた中小企業や人材といった存在をもとにしたすぐれた資源を生かして、和歌山県の地域力を高めていくことが必要だと思います。
 また、関西広域連合や各府県と緊密に連携していくと、さらに相乗効果が発揮されますので、関西における和歌山県の存在感が増大していくというふうに思います。
 和歌山の地域力を高めるため、インフラがきちんと整備されているということを前提として、そのためには努力をせないけませんが、観光振興アクションプログラムや新農林水産業戦略プロジェクト、わがまち元気プロジェクトなどにより積極的に和歌山の魅力を売り込むことや、農林水産業や観光業の活性化、地域資源を活用した新しい産業の創出を図ってまいりたいと考えております。
 次に、関西空港の件でございますが、関西国際空港と伊丹空港の一体経営については、統合法が本年5月に成立し、新関西国際空港株式会社が来年4月1日に設立され、その後、コンセッションを通じて関西国際空港の債務の早期返済を図るということにされております。また、一体経営により、関西国際空港の我が国の国際拠点空港としての機能の再生強化を図るとともに、両空港の適切かつ有効な活用を通じた関西における航空輸送需要の拡大を図るということとされております。
 私は、関西全体の活性化のためには関西国際空港の機能強化を図り、国際ハブ空港として発展させるということが一番大事な視点であるということをいつも言うております。
 今回、大阪で選挙がありましたが、橋下前大阪府知事は以前から関空強化の重要性を積極的に発言されているし、松井大阪府知事は大阪府知事選のマニフェストに関西国際空港の機能強化を掲げている。また、先日開催された新関西国際空港株式会社設立委員会で、関空を国際拠点空港として育てていくことが重要というような発言をなさったということで、思いは同じだというふうに思います。
 関西国際空港は、国内便のスポークス機能──国内便が少ないということでありますが、それからアクセスなど課題も残されておりますけれども、今後とも大阪府、大阪市を初めとする関係団体と連携して関空、伊丹の経営統合が関西国際空港の機能強化につながるようにやってまいりたいと思っております。
○議長(新島 雄君) 企画部長柏原康文君。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 伊丹空港の廃港プロセスについてでございますが、関西国際空港は、環境問題から伊丹空港の廃止を前提に建設されたという過去の経緯は大変重いものがございます。
 さらに加えまして、今回の経営統合により、関西国際空港の財務構造が抜本的に改善され、関西国際空港の機能強化が図られることになり、その上、リニアによる状況変化も加味することで、関西の航空需要が関西国際空港で賄えるようになれば、伊丹空港は必要ないものと考えます。
 また、昨年5月の国土交通省の成長戦略には、伊丹空港について、当面は関西国際空港の補完的空港として活用しつつ、将来的なリニア等の周辺状況の変化や跡地の土地利用計画の策定状況等を見通し、廃港、関空への一元化を検討すると明記されてございます。
 これらの観点から、速やかに関空への一元化を実行するよう、あらゆる機会をとらまえて国に強く求めてまいりたいと考えてございます。
 次に、大阪府のカジノ構想につきましては、会議ですとか、研修ですとか、またイベントなどのようなMICE機能を核としたラスベガスのような統合型リゾート施設の立地を促進し、国際エンターテインメントコンベンション都市を創出することで多くの集客、高い経済効果を期待しているものであります。
 世界のカジノを見てみますと、ラスベガス型の大規模施設だけでなく、ヨーロッパの観光地や保養地などで多く見られる社交場の雰囲気を持つ小規模カジノも多く見られます。本県は、美しい海、世界遺産、温泉と観光資源に恵まれていることから、小規模カジノが本県の観光魅力にプラスになるとの視点からカジノ構想の検討を進めているところでございます。
 今後、関西エリアを視野に入れながら、大阪府にさまざまな機会を通じ、和歌山へのカジノ誘致実現のため働きかけてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 山下大輔君。
 〔山下大輔君、登壇〕
○山下大輔君 御答弁いただきました。
 これからの関西は、とにかくお互いに足を引っ張り合うんではなくて、力を合わせて発展していかなくてはならないのであって、ぜひ和歌山のプレゼンスを高めつつ、知事の答弁でもありましたけれども、相乗効果を発揮できるよう取り組んでいってもらいたいと思います。
 あわせて関空、伊丹の問題については、そもそも伊丹を移転、廃止してもらいたいという地元の声から始まった話で、それを今さら残してくれとか、機能を拡充するとかというのはもう本当におかしな話で、そういう部分については、リニアどうこうといった話ではなくて、あくまで伊丹廃止は当然のこととして一貫した姿勢で臨んでほしいと思います。
 最後に、カジノ構想は今がラストチャンスだと思いますので、この関西では選ばれても1つの地域だけといった中では、大阪への働きかけをしっかりと行って、協力して何とか和歌山へ持ってこれるような調整をお願いしたいと思います。
 以上は要望にしておきます。
 続きまして、広域の視点からさらに重要性が増す和歌山のブランド化についてお尋ねいたします。
 大阪は新たに自治機能を強化し、地域主権、地方分権への流れを加速させる状況にある中で、そこでは本県においても地域の新たな発展の姿を明確にし、それをブランド化していくといったことが急務となります。そういった中で、この関西において和歌山県が果たすべき役割、和歌山の存在の意味、存在意義といったものが改めて問われる状況にある中で、今後の取り組みについてお聞きいたします。
 地域としての特質、個性、その個性を磨き、対外的な認知を高めていくブランド化といった作業において、それには相当な努力が必要であり、中長期の視点を持った戦略が欠かせません。そんな中で、この12月という時期は、来年度に向けて新たな予算編成、政策方針づくりにおいて重要なタイミングでもあり、ここで改めて、現状における和歌山県の方針、その考え方として、和歌山県の特徴、地域の個性を際立たせ、それを対外的に認知させていくブランド化といった視点でどういった取り組みがなされようとしているのか、具体的にお示しいただきたいと思います。
 まず、企画部長に、これからの時代における地域のブランド化の重要性について、認識をお伺いいたします。
 また、地域全体をとらえてのブランド戦略について、現状において来年度に実施していこうとされている具体的な政策、その方針について御説明をいただきたいと思います。
 続けて、地域のブランド化に向けた私なりの具体的な提案として、ブランド化といったことを考えると、地域固有の資源、自然環境や立地といったものは非常に重要な要素となりますが、そこでは和歌山の海などは特に地域の重要な戦略的資源となります。その海を活用した地域のブランド化に向けた取り組みとして、これまで知事のバックアップも得てセーリングのナショナルトレセンを誘致するなど、他の地域にない、まさに日本一の事業として着実に実現してきているところですが、さらにその路線で大きなチャンスをつかめる可能性が出てきています。
 そこで、地域のブランド化といった視点で、海のスポーツ、ヨットを生かした新たな提言について、今回は2つに絞って行わせていただきます。
 まず、高校総体、インターハイの定点開催について。インターハイの定点開催です。
 インターハイを和歌山に限って行っていくというようなことの提言なんですけれども、ヨット競技の高校総体、いわゆるインターハイについて、この私たちの和歌山、和歌浦で定点開催させる。国体のように開催場所を全国で巡回させていくのではなくて、ヨット競技は和歌山で固定開催させるといった取り組みを、現在、私が会長を務めさせていただいている和歌山県セーリング連盟が教育委員会とも協力しながら進めさせていただいているところです。
 このことは、ナショナルトレセン誘致の話を進めてきた中でも夢として語られてきたことですが、それが今現実のものになろうとしています。インターハイのヨット競技を和歌山で定点開催、これは地域のブランド化といった視点でも大きなインパクトをもたらすことになります。
 例えば、高校野球の聖地・甲子園、野球少年はみんな甲子園を目指します。海洋スポーツ、セーリング、そのヨットの選手はみんな和歌山、和歌浦を目指す。そもそもヨット自体が大海原をイメージさせ、自然、環境、リゾートといったものを連想させる地域のイメージ戦略上も重要なスポーツですが、そのヨットのメッカ、セーラーのあこがれの聖地・和歌山といったことが定着すると、和歌山自体の全国に発信されるイメージも、恵まれた環境、すばらしい自然、海、それらを備えたリゾート和歌山といった認識が深まり、地域のブランド化に大いに貢献するものとなります。
 そこで、現在は教育委員会にも一緒に協力していただいているインターハイ定点開催の和歌山誘致運動ですが、それは決して教育委員会だけに任せておいてよい話ではありません。知事部局においても、その条件整備などにおいて真剣な協力をお願いしたいところです。
 そこで、お尋ねしますが、まず、インターハイの定点開催の意義についてどのように考えられるか、教育長並びに企画部長にお尋ねいたします。
 次に、現状における和歌山でのインターハイの定点開催の見通しについて、どういったプロセスで進められ、どういった懸案事項があるのか、教育長から御答弁いただきたいと思います。
 最後に、インターハイの定点開催、和歌山への誘致について決意、御覚悟を、これも教育長並びに企画部長からお聞かせ願いたいと思います。
 続いて、海を活用した和歌山のブランド化の2点目として、和歌山におけるヨットの義務教育化について、提言並びに質問をさしていただきます。
 和歌山で育つ子供はみんながヨット乗り、ヨット教育の推進が、ひいては地域としてのアイデンティティーをはぐくみ、郷土愛を育て、それが地域のブランド化にもつながっていくといった相乗効果が期待される取り組みです。
 今回、具体的な政策提言として、ヨット競技の義務教育、学校教育への導入を提案させていただきます。
 ナショナルトレセンの誘致から日本代表選手の選考レース、全国大会から世界大会の誘致まで、またさらにはインターハイの定点開催も現実のものとして視野に入ってくる中で、今、全国の海洋スポーツ関係者から和歌山に対する注目度も非常に高まっている状況があります。
 そんな中、それらをさらに加速する取り組み、私たち和歌山県における地元対応としてヨット競技の学校教育への導入についてぜひ実現させていただきたいと思います。
 地域のアイデンティティーをはぐくむ源となる教育において、和歌山のすばらしい海を取り入れた授業などを推進することができれば、その体験は地域に育つ子供たちにとって、他の地域では得ることのできない貴重な経験となり、大人になっても自慢できる大きな財産となります。
 トレセンの町・和歌山では体育の授業でヨットをやっているといったことが実現すれば、それは和歌山にしかできない誇りを持って自慢できるものとなり、さらには和歌山を宣伝する格好の材料として、地域のブランド化にも絶大な効果を生むものと期待されます。せっかくナショナルトレーニングセンターがある和歌浦の海ですので、それをフル活用して地域の教育に組み込むといったことをぜひ検討していただきたいと思います。
 そこで、まず教育長に、教育の現場に地域固有の資源をもっと活用していくべきであり、中でも海の活用についてどう考えておられるか、お伺いいたします。
 また、地域のブランド化への貢献、イメージ発信といった視点でヨットの学校教育の導入についてどのように考えるか、企画部長にお尋ねいたします。
 また具体的に、当面は近隣の和歌山市、海南市などを対象として、義務教育、学校教育の授業の一環としてナショナルトレセンを活用し、ヨット競技を組み入れるといったことを進めてもらいたいと思いますが、教育長から御答弁をお願いします。
○議長(新島 雄君) 企画部長。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 地域のブランド化についてでございますが、地域間競争に勝ち抜くためには、和歌山の商品を買いたい、和歌山に行きたいと多くの方に思ってもらうことにより、和歌山が選ばれることが重要であります。
 そのためには本県の持つ魅力をさらに磨き上げ、国内外に発信していくことにより、和歌山ブランドを形成していくことが非常に大切であり、行政のみならず業界や県民と一体となって和歌山のイメージを高めていくことが必要であります。
 次に、ブランド戦略についてでございますが、本県では、国内外から観光客の入り込み増、魅力ある県産品の国内外への販路拡大、大都市圏における情報発信の強化などに取り組んでおります。
 具体的には、本県の持つ豊かな自然、文化、歴史等の地域資源を活用し、世界遺産、ほんまもん体験、食など、8つの魅力で和歌山を売り出すことにより観光振興を図るとともに、地域資源を活用したわがまち元気プロジェクトや良好な景観形成等による個性豊かな地域づくりを進めております。
 さらに、トップセールスによる県外への情報発信や国内外への見本市への出展、首都圏でのプレミア和歌山カフェの開催などにより、トータルとして和歌山の魅力を全国にアピールする取り組みなども行っているところでございます。
 来年度の政策につきましては、大手食品企業と連携した県産食材の販売促進などを検討しております。
 続いて、インターハイの定点開催の意義、その実現に向けた決意、ヨットの学校教育への活用の3点の質問について、一括してお答えさしていただきます。
 インターハイの定点開催が実現できれば、マリンスポーツのメッカとなることが期待でき、本県のイメージアップにつながるものと思われますので、その実現に向け、積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。
 学校教育への活用につきましては、競技人口の拡大や、それに伴う周辺ビジネスの拡大などが期待できるため、地域の振興に寄与するものと考えます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) インターハイの定点開催等に係る5点の質問についてお答えいたします。
 ヨット競技のインターハイ定点開催につきましては、平成18年度と21年度に和歌浦湾で開催された全国インターハイにおいても、セーリングに必要な海域、風、波などの自然環境条件が整った大変よいレース環境であると関係者からも高い評価を得てございます。定点開催は、本県におけるヨット競技の普及啓発だけでなく、ナショナルトレーニングセンターの設置と一体となってヨット競技における甲子園のようなところとして本県の魅力をアピールできる点でも、大きな意義があると考えてございます。
 次に、和歌山でのインターハイの定点開催に係る見通し、あるいは懸案事項についてでございますが、平成27年度、近畿ブロックにおいて開催予定のインターハイを機に、定点開催の実現に向け、現在関係者と協議しながら調整中でございますが、ヨット競技に力を入れている他県の理解を得るなど、全国高体連の承認が今懸案事項となってございます。
 3点目のインターハイ定点開催における実現に向けた決意でございますが、さまざまな懸案事項や課題に対して全力で取り組み、ヨットと言えば和歌山と広く全国に発信することを目標に、定点開催の実現のため、これからも鋭意努力してまいりたいと思っております。
 次に、教育の現場において地域資源である海の活用についてでございますが、本県の豊かな自然の1つである海と親しむ機会としてヨット競技に触れることは、議員御指摘のように、郷土愛をはぐくむという観点からも大変大きな意義があると考えてございます。それにかかわって、いわゆる海南市、和歌山市を対象とした学校教育への取り組みということでございますが、和歌山市、海南市等を対象としてヨット競技を組み入れることにつきましては、和歌山の海に誇りを持てる子供たちを育てるため、教育活動の中でできるだけ多くヨット競技に触れる機会を持てるよう、当該する市とも連携をしながら研究してまいりたいというふうに思ってございます。
○議長(新島 雄君) 山下大輔君。
 〔山下大輔君、登壇〕
○山下大輔君 御答弁ありがとうございました。
 和歌山のブランド形成は非常に重要な取り組みです。企画部長もお答えいただきましたように、これからの和歌山というのは、対外的にどういう地域として認知されていくかというふうなことで和歌山の未来というのは変わってくると思いますので、しっかりとした良好なイメージを持った、そういうブランド化ということをしっかりと進めていけるようにぜひお願いしたいと思います。
 あとインターハイの定点開催については、教育長、企画部長ともにその価値をお認めいただいていますので、これは千載一遇のチャンスですから、このチャンスを生かせるよう県を挙げて取り組んでいただけますよう、仁坂知事にも心からお願いいたします。
 ヨット競技の学校導入につきましては、すぐにすべてが実現するわけではありませんが、地道に、しかし着実に進めていってもらいたいと思います。
 以上、要望といたします。
 最後の項目となりますが、台風12号への対応、その教訓を生かした今後の取り組みについて、提言並びに質問をさせていただきます。
 まず、今回の災害に当たっては、知事並びに県職員の皆さんには、昼夜を問わず献身的に災害対応に当たっていただけたことに心から敬意を表し、感謝を申し上げます。
 さて、さきの東日本大震災から防災への意識は高まっていたとはいえ、今回、私たちの和歌山に大きな被害をもたらしてしまった台風12号、被災地の現場へは私自身も何度も足を運ばせていただきました。
 そういった中で、現地で実際に体験し、気づいたこと、地元の皆さんから直接にお話を伺い、勉強させてもらったことについて、幾つかの提言と質問をさせていただきます。
 前回、私が登壇した6月議会では、東日本大震災の現場からさまざまに学んだことをベースとして、11項目の政策提言をさせていただきました。それらは防災・災害対応といった視点でどれも重要なものであり、引き続き積極的に取り組んでもらいたいと思いますが、今回は和歌山の被災地の現場に出向き、改めて議会で取り上げる必要があると感じた、特に重要な3点に絞って提言と質問をさせていただきます。
 まず1点目として、ボランティアの問題とあわせて災害時の行政組織の整備。
 和歌山県各市町村と他府県、和歌山県外の遠隔地域の自治体との相互応援協定の推進についてお尋ねいたします。
 今回の災害で、被災地の先頭に立つボランティアの問題には注目もされる中、県を初め地元市町村、社協など関係される皆さんは全力で取り組み、本当に御苦労もされたと思います。しかし、ここまで大きな災害でボランティアが組織立って動くのは初めての経験であり、よい意味でさまざまな課題も明らかになったと思います。
 ボランティアの問題については、私自身、これまで積極的に提言もさせていただいてきましたので、今回の災害では、私も口先だけでなく、実際に一般のボランティアの皆さんとともにボランティアバスにも同乗し、何度か被災地の復興現場へお手伝いにも行ってまいりました。お手元にあるのがそのときの状況ですが、やはり大変な作業で、当日一緒に御参加いただいたボランティアの皆さんは、皆手弁当で一生懸命お手伝いをいただき、本当に頭の下がる思いでした。
 今回、被災地の復旧に向けた取り組みの中で、以前から心配もしていましたが、やはりボランティアの受け入れではさまざまな混乱もあり、特に県外からのボランティアについては希望者がたくさんありながらも、実際にうまく回転し出すには時間もかかり、混乱も少なからずあったようです。
 そこでまず、ボランティアを統括される環境生活部長にお尋ねします。
 今回の災害時の問題点の整理をどのようにされているか、また、その改善策をどのように考えておられるか、お聞かせ願いたいと思います。
 続いて、社会福祉協議会との連携の問題について。
 ボランティアに関する現場の対応は、社会福祉協議会が主体となりますが、社協との関係がうまくいかないとボランティアに活躍してもらうにも大きな障害となります。県から人員の派遣も行っていましたが、まだまだマンパワーも足りない状況も見受けられました。
 そこで、社会福祉協議会との関係で、今回の問題点の整理、特に人の問題についてどのように分析されているのか、そして今後の対応についてお聞かせください。
 また、今回は被災された自治体間、それぞれの地域のボランティアの受け入れ状況にも大きな差が生まれていました。ここでは個別の市町村の問題は取り上げませんが、そもそも被災した当該の市町村の対応だけでは限界があり、県が主体となってコーディネートする体制をさらに充実させていく必要があると考えますが、その認識と今後改善に向けた取り組みについてどのように考えておられるか、これもあわせて環境生活部長に御答弁いただきたいと思います。
 続いて、災害時の相互応援協定の問題について。
 今回、それぞれの被災自治体に足を運ぶ中で、改めて災害の当事者となる自治体での対応には限界があると実感しました。その解決策として、遠隔地にある行政同士が助け合う相互応援協定の重要性がクローズアップされます。大きな災害に見舞われ、行政機能が著しく毀損される中では、当該の地元市町村はもちろんのこと、それを統括する都道府県の対応自体も大変厳しい状況が予測されます。
 そこでは、できるだけ遠くにある自治体と相互応援協定を積極的に結び、いざ大きな被害があったときにはスムーズにバックアップ体制を確立することが重要になります。
 さらに、いざというときに備えて、平時、日常的に職員交流を促進し、相互の自治体間で親和性を高め、大きな被害のあったときにはBCPなどから大量の職員に一気に入ってもらえるプランづくりも進めておくことを提言したいと思います。
 そこで危機管理監に、今回の台風12号災害の経験も含め、相互応援協定の意義と、あわせて相互応援を約束した自治体間で平時の職員交流や災害時の行動計画、プランづくりについて御答弁をお願いします。
 現状では、県内の30市町村の中で災害時の応援協定を結べているのは16の市と町であり、しかも人員の応援を約束できている協定は12、30のうち12の市と町でしかない状況です。さらに遠方の自治体と協定を結べているところはごく少数といったのが実態です。
 これは本当に問題だと思いますので、今後、県が音頭をとって、巨大地震など大きな災害時に同じく被災する心配のない、できるだけ遠隔地の自治体と相互に応援し合う体制づくりを加速させていただきたいと思いますが、そこで、改めて相互応援協定のこれまでの推進状況と、それらを進めるに当たっての考えを危機管理監からお聞かせ願いたいと思います。
 次に、2点目として災害時のコミュニケーション、情報伝達について。
 今回、現地に入って被災された皆さんからいろいろとお話を聞かせてもらう中で、災害時の情報が何にも増して大切なものだと改めて認識を強くしたところです。
 まさに情報こそが命綱、生死の分かれ目になる。今回の台風12号でも、雨が強くなるにつれ不安が高まる中、しかし情報が思うように入ってこず、熊野川流域の皆さんなども、まさかここまで水が来るかということで、逃げる態勢もおくれぎみであったということです。ふだんはどうしても情報の大切さに気づかないが、今回は身にしみて情報の大切さを実感したとおっしゃっていました。
 そこでまず、今回の12号台風が襲来した状況において災害時コミュニケーション、情報伝達といった視点で、行政的にどういった課題が残ったと考えておられるか、現状で整理されているところを御説明願いたいと思います。
 また、改めて防災行政無線、その情報の受信体制として戸別受信機の整備について迅速な整備をお願いしたいと思います。
 前回、私の6月議会の提言については、災害情報の伝達手段として衛星電話、ドコモのエリアメールなどを県として取り組むと答弁されていましたが、今回、台風12号による災害で、それらの有効性はあくまで限定的であり、衛星電話などは雨が降り雲に覆われている地域ではほとんど使えないものであり、また、ドコモのエリアメールも中継拠点などが被害を受ける中では受信地域も非常に限られたものとなる実態があります。
 そこで、改めて災害時に強い防災行政無線、その受信機として戸別受信機の整備推進を提案しますが、その実現に向けた県の対応について、危機管理監から御答弁をお願いしたいと思います。
 最後に、今後の被災対応、地域復興についてお尋ねいたします。
 現在の復興作業への取り組みとしては、山を直す、橋を直す、川を直す、道路を直すといった原状復帰への取り組みが主体となりますが、先日来、被災した住民の皆さんと直接お話をし、また当該地域の首長さんとも話してくる中で、単なる復旧だけでなく、新たな地域再生の絵を描く、集落、町自体のあり方を見直すことも含めて、今後新たな和歌山再生、地域振興策の取り組みとして検討していく必要があると強く感じました。
 それは、さきの東日本大震災でも、復興策において新たなまちづくりの議論が活発にされている状況と同じです。
 そもそも本県において、これまで限界集落などの問題もあったわけで、それであればなおさら、単に原状復帰を急ぐだけでなく、幾つかの集落を集約させた新たなまちづくりも検討すべきだと考えます。
 もちろん被災した現地の皆さんの意向を大切にした上で、集落移転も含め新たなまちづくりを考える、しかも、それはこれまで住んでいた人だけを対象とするのではなく、新たに移り住んでくる人も出てくるような魅力的なものを創造していけないかと期待するものです。
 きのう、NHKの特集でたまたまやってたんですけれども、今、徳島の山奥のほうへIT企業がこぞって会社の分室を移していってるというふうな状況が報告されてました。実は、そういう自然豊かな中で情報インフラとかというものをきちっと整備していく中では、東京と物理距離を超えた新たなビジネスモデルというのが生まれてくるというような状況は、今徳島でも現実に動き出しているところです。
 そういった、そもそも和歌山においても自然に恵まれた地域において、今の時代の先端を行く環境整備を徹底し、高速の情報インフラの整備から次世代エネルギーの導入など、最大限に付加価値を高めたモデル地域を創造し、都市部からも人を引きつけるような魅力ある町を新たに生み出していくといったことをぜひ検討していただきたいと思います。
 そのような大規模な再生プロジェクトは住民だけでできるものではなく、行政が青写真を描かなければ始まらない話であり、それには市町村だけでなく、県からの応援も不可欠です。
 そこで、今後、復興作業の議論に当たっては、新たな町をつくるといった視点も加え、あわせて県庁内においてそのためのプロジェクトチームを組織するといったことを提言しますが、企画部長からお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
 〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) まず、ボランティアについて一括してお答えをいたします。
 台風12号による災害ボランティアについては、県内外から延べ2万5653人もの方々が活動し、被災地の復旧に大変大きな役割を果たしていただき、本当に感謝をしているところでございます。
 県としましても、東日本大震災を教訓に、住宅の泥かき等にはボランティアの早期大量導入が必要と考え、発災後3日目には自前のボランティアバスの運行体制を整え、参加者の募集を始めました。同時に、関西広域連合に派遣要請をしたほか、紀北地域の数多くの企業、団体、学校などに県職員が直接出向き、ボランティアの派遣を要請したり、また、現地災害ボランティアセンターに職員を派遣し、運営の支援にも当たらせました。さらに、市町によってボランティアの受け入れ状況に過不足が生じましたので、県が主体的に調整を行い、各市町において必要なボランティアの確保に努めたところです。
 こうした取り組みの結果、混乱する現場におきまして幾つかのトラブルもありましたが、被災した市町からもボランティアの派遣について大変感謝をいただいたところでございます。
 今後は、今回の経験を踏まえまして、災害ボランティアセンターの人員体制やボランティアバスの運行等について、より効果的、効率的な手法を検討していくとともに、研修等を通じまして人材養成、災害ボランティア経験者のネットワーク構築等にも取り組んでまいります。近い将来、予想されます東南海・南海地震に備えるため、県がリーダーシップを発揮しつつ、県社会福祉協議会と一体となって体制整備を進めてまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
 〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 台風12号への対応について4点お答えを申し上げます。
 まず初めに、遠方の自治体との相互応援協定の意義についてでございますが、東海・東南海・南海地震のような広域被害が想定される場合に備え、遠隔地の自治体との相互応援協定を締結していくことは、応援能力のある被災していない応援元を確保する観点から重要であると考えます。
 自治体間の相互応援協定は、災害対応のバックアップ体制を確保することにつながり、応急対策、復旧・復興対策が迅速かつ適切に遂行されるものと期待をしております。また、平時からの交流などを通じて職員派遣等について円滑に行えるようにしておくことは、災害時の活動をよりスムーズにするためにも重要なことであると認識をしてございます。
 次に、相互応援協定のこれまでの進捗状況と今後推進していく決意についてでございますが、県レベルとしては関西広域連合内での相互応援体制があるほか、10月31日には関西広域連合と九州地方知事会との間で災害時の相互応援に関する協定を締結しているところでございます。市町村につきましては、16市町が物資、資機材、車両等の提供や職員の派遣等について県外市町村と相互応援協定を締結しております。
 県としましても、こうした協定の締結がさらに進むよう、さまざまな情報提供や助言などに努めてまいりたいと考えてございます。
 次に、災害時コミュニケーション、情報伝達での行政課題についてでございますが、今回の台風12号災害時には、新宮・東牟婁地域のNTT電話施設が被災したため、多くの地域で電話が使用不可能になりましたが、県の総合防災情報システムのバックアップである衛星通信回線や衛星携帯電話等により情報収集に当たったところでございます。
 また、市町村の防災行政無線についても、新宮市熊野川行政局が水没のため、防災行政無線が使用不能となった例はございますが、孤立集落対策として配備した移動系無線が機能するなど、情報伝達に一定の役割を果たしたところでございます。
 エリアメールや県の防災わかやまメールサービスの情報も、被災により携帯電話基地局の機能が失われるまでは避難情報等を配信することができ、避難等に役立ったと聞いております。
 今回、課題として挙げられるのは、刻々と変化する未曾有の大雨に関する地域の被害情報が、主たる通信手段である電話回線不通のため、迅速かつ詳細な情報収集が不十分であったところでございます。災害時の通信手段には、すべてに一長一短があり、平時同様の通信体制が1つの通信手段でカバーできるわけではありませんが、こうしたことから、災害時の情報伝達手段の機能維持を向上していくことが重要であると認識しております。
 最後に、防災行政無線の戸別受信機の整備促進についてでございますが、市町村が設置している戸別受信機や防災ラジオについては、災害情報等を特定の家屋や施設に効果的に伝えることができることから、重要であるというふうに認識をしてございます。既に屋外スピーカーの音声が到達しない地域の世帯や、社会福祉施設、防災拠点、避難施設に約4万4000台が設置をされております。
 戸別受信機、防災ラジオについては、市町村防災行政無線のシステムの一部をなすものであり市町村がその整備を行っていくものでありますが、県としましても効率的な整備促進に向け、市町村と連携しながら取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 企画部長。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 今後の復興作業の中で新たなまちづくりについてどう考えるかという御質問でございますが、台風12号に伴う水害による甚大な被害から早期復旧・復興を図るため、各部長等で構成する復旧・復興本部や庁内12課室の課長から成る復旧・復興連絡調整会議が設置され、被害者支援や産業振興等、被災地が抱えるさまざまな課題や対策について全庁を挙げて検討を行い、和歌山県復旧・復興アクションプログラムとして取りまとめられております。
 議員御指摘のまちづくりにつきましても、被災をきっかけに地域住民が住みなれた地域を離れ、その結果、地域が衰退することのないように配慮する必要があることから、復旧・復興アクションプログラムを活用し、県としてできる最大限の支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 山下大輔君。
 〔山下大輔君、登壇〕
○山下大輔君 御答弁いただきました。ありがとうございます。
 12号台風への対応では、本当に皆さんには御苦労をいただいたと思います。危機管理監も、もう当時は本当に徹夜、徹夜が続いて顔色もなくなってましたけれども、今ちょっとお元気になってられるんで安心してますけれども、本当に県の努力と、やっぱり今回、南に被害が集中してて、和歌山市、北部地域については余り直接的な被害というのは大きくなかったと。そういう分では、県のヘッドクオーターとしての機能というのはきちっと確保されて、よかった──よかったというか、本当に不幸中の幸いで、そこからの指示命令系統というのはうまくいったんだと思います。
 今回のことは、本当に1つ1つ課題の整理とかというのは、今回どうやったからどうやというような話じゃなくて、これから未来に向けて、東南海・南海地震も含めて、もう大災害というのが将来あることに対しての重要な今回は教訓になると思いますんで、今回取り組んだ内容については総点検して、次の災害に備えていただきたいと思います。
 あと、情報の受発信については、一長一短それぞれ取り組んでいくものであるという御答弁でしたけれども、やっぱり災害の無線というのは非常に強いということは、いろんな災害の中でもこれは指摘もされてるわけですから、災害防災無線の活用については徹底的にやってもらいたいと。さっき4万世帯ぐらいのところは受信機も整備できてきてるということですけれども、県内全体をとらえたら8割以上にまだ設置は進んでいないという状況がありますんで、そういう分では市町村が当然対応するんですけれども、県もバックアップしてその推進に努めていただきたいと思います。
 最後に、ボランティアの件ですけれども、これはまた課題を整理して、これから、今回もたくさんいろいろと思っていたこととは、なかなか思いどおりいかんかったこともあると思いますので、そういう部分はこれからにつなげていただけるように、部長を初め皆さんには取り組んでいただきたいと思います。
 要望はそこまでなんですけれども、これ先輩・同僚議員にもちょっとまたもう一回見といてもらいたいんですけれども、これ相互応援協定の内容です。(資料を示す)さっきも言ったように、人員の応援ができるところは12しかまだ結べてないんですね。それぞれ地元として名前の入ってないところもあると思いますので、ぜひこの相互応援協定というのは、平時に結んで日常的な職員交流とかやってることにおいて災害時に本当にこれはそれぞれの自治体の助けになると思いますので、そういう推進は県が進めるとともに、我々議員としても進めていかなくてはならないものだと思いますので、ぜひ努力もしていきたいと思います。
 以上、要望として私の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) 傍聴席に申し上げます。拍手は御遠慮をいただきますようお願いいたします。
 以上で、山下大輔君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。
 議長にお許しをいただいて、2月議会以来の登壇をお許しいただきました。
 野田首相がTPP交渉への参加表明をされましたが、確かに日本にとってプラス面もマイナス面もあると思います。どちらにしても農商工あるいは医療の部分での攻めの対外戦略は急がれます。韓国、中国、インドのみならず、ASEAN諸国の経済成長は今や目覚ましいものがあります。産業が空洞化しつつある日本が世界から包囲を受けないよう、孤立しないよう、機先を制して2国間あるいは多国間での毅然とした対外交渉、条件闘争を強く政府に求めたいと思います。
 それでは、以下、通告に従って一般質問をさせていただきます。
 1つ目に、和歌山県の食品加工戦略についてであります。
 和歌山県も世界へ打って出れる日本有数の高品質を誇る果樹資源をたくさん有しております。本県の農業を含めた食品産業にも攻めの戦略が必要ではないかと思います。
 先月示された平成24年度和歌山県の新政策の中に、意欲的で成長性のある産業の育成として食品産業の競争力強化支援がうたわれました。
 これまで和歌山県において、和歌山県地域結集型共同研究事業「アグリバイオインフォマティクスの高度活用技術の開発」での学問的領域における情報収集、そして都市エリア産学官連携促進事業(一般型)「和歌山の特産果実と独自技術を活用した新機能性食品・素材の開発」において、素材開発による応用で幾つかの飲料会社等が梅酢ポリフェノール等を取り上げて商品化を目指しているといった地域連携の取り組みが行われてきました。梅や柿の機能性研究が進み、機能性加工食品の製品化もいよいよ視野に入ってきました。大学等、高等教育機関との連携においても、近畿大学生物理工学部のみならず、和歌山県立医科大学、そして和歌山工業高等専門学校とも本格的な連携がとれるようになってきています。
 また、6次産業化法の施行により、農業者が主体的にもうけを意識して食品加工、流通、販売にもかかわることで、生果のさらなる質の向上と高機能性を持った商品開発に自身が積極的に関与しようとする意識を持てるようになったことは、今後、食品加工戦略に大いにプラスになるところではないかと思います。
 このたび文部科学省が、平成23年度より、地域イノベーションの創出に向けた地域の主体的かつすぐれた構想に対して、経済産業省及び農林水産省など関係府省の施策を総動員して支援するため、和歌山県は地域イノベーション戦略推進地域のうち研究機能・産業集積高度化地域に選定されました。将来的に海外市場を獲得できるポテンシャルを持っているが、現時点で比較的小規模で地域の特性を生かしたイノベーションが期待できる地域ということであります。
 この地域イノベーション戦略支援プログラムは、都市エリア事業に続くものとして、今までの研究成果を継続させて、具体的に本県の日本有数の特産果実から新機能性加工食品の商品を生み出すための千載一遇のチャンスであります。来年度、文部科学省等、国の支援をいただくべく、知事の意気込みをお聞かせください。
○議長(新島 雄君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 都市エリア産学官連携推進事業では、平成21年から和歌山県の特産果実と独自技術を活用した新機能性食品・素材の開発に取り組んでおりまして、議員御指摘のように、梅酢から梅酢ポリフェノールを抽出する技術の開発とか、あるいは抽出された梅酢ポリフェノールに抗疲労効果が確認されるなど、成果が出てきております。この事業が本年度で終了するというところから、こうした成果をさらに発展させるべく準備を進めてまいりました。
 ところが、平成23年度から始まった地域イノベーション戦略支援プログラムでは、実は研究費が削られてしまったわけでございます。これは、その前の事業仕分けで地域への研究開発助成が目のかたきにされまして、それで研究費が削られたんですが、人件費などソフト支援中心の施策に変更されてしまいました。変更は、これは我々の研究にとっては非常に規模も小さくなるし──助成のですね──大変残念なんでありますけれども、残ったところを必死になって利用して、うまく活用できるように、推進地域として本年8月に文部科学省に働きかけた結果、地域指定を受けまして、現在、平成24年度の事業採択に向けた取り組みを進めているところでございます。
 私としては、今後とも、本当は国も地域の研究開発に、将来の国の投資ですから、もっと力を入れてもらいたいと思いますし、その成果を最大限生かして──ないものは仕方ないわけですから──最大限生かして、研究開発支援策を有効に活用しながら、加工から販売に係る食品産業の競争力強化に努め、また県独自の助成もしながら、食品産業全体の振興を図ってまいる所存でございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 この地域イノベーション戦略支援プログラムは、複数の省から支援をいただける横断型のプログラムでありますんで、昨年の事業仕分けによるJST事業、この屈辱をぜひとも晴らしていただきますよう、文部科学省当局に挑んでいただきたいと要望させていただきます。
 2点目、港湾の防災対策についてであります。
 東日本大震災は、地震動による被災もさることながら、津波によって生じた被災状況にはすさまじいものがありました。改新クラブ5名も、7月初めに被災地視察に出向きましたが、海岸線、特に港湾の被災の様相にはあっけにとられました。
 宮古港の大防波堤倒壊、釜石港での防波堤水没、大型貨物船の岸壁突き刺さり、そして臨港道路のアスファルトのめくれや上屋の全半壊、大船渡港の建物全壊、岸壁の沈下とコンクリート隆起、それに気仙沼港の大火災による焼損など、港湾施設の破壊は目を覆いたくなるものでした。さらに、国土交通省の報告によると、石巻港では、港内に丸太や自動車が浮遊し、船舶の安全な航行ができない状況、仙台塩釜港ではコンテナターミナルにコンテナ散乱、流出、小名浜港でもガントリークレーンも損壊いたしました。
 和歌山県においても同レベルの地震が起これば、大津波が港湾を襲うことは容易に推測されます。和歌山下津港和歌山本港区においてはガントリークレーンや各種荷役機械、そしてコンテナターミナルには海上コンテナ、リーファーコンテナ用の電源装置があり、輸出入貨物である木材、塩、パイプ等、一般貨物も多く積み置かれていて、津波が襲えば大災害の危険にさらされるわけであります。
 そこで質問ですが、以下、県土整備部長に御答弁をお願いいたします。
 1つ目、和歌山下津港における現状の地震・津波対策はどのようなものですか。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 和歌山下津港における地震・津波対策につきましては、東日本大震災を踏まえ、緊急物資輸送の確保、消防団員等地域の防災関係者の安全確保及び津波浸水対策の強化等が重要な課題と考えております。
 具体的には、現在主なものとして、本港区における耐震強化岸壁の液状化対策及び海南地区における抜本的な津波浸水対策を国直轄事業で実施しています。
 また、県として埋立地と背後地域を結ぶ橋梁の老朽化等に関する調査を実施しています。さらに、全県的な取り組みとして、水門、樋門の自動化や陸閘の廃止等に取り組んでいるところでございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 そのほかに岸壁の排水溝の逆流防止なんかも必要であります。随時弱いところを鋭意改修・補強いただきたいと思います。
 2点目、和歌山本港区には、高いところに避難できるビル、施設は何もありません。急峻な雑賀崎方面の斜面を上るしかありません。港湾一帯で仕事に従事している労働者の避難に対してどのような対策を講じられるおつもりですか。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 和歌山本港区における港湾労働者の避難対策につきましては、現在の3連動地震の想定を前提とした場合、第1波の到達時間が約50分とされており、東日本大震災を踏まえ実施した和歌山県防災・減災対策の総点検において、和歌山市の方針としては、例えば雑賀崎地区の港湾労働者については、現道等を利用し、雑賀崎の山の上の避難所等へ避難し、西浜地区については秋葉山等に避難することとされています。
 先ほどお答えいたしました橋梁の老朽化等に関する調査につきましては、これらの避難も念頭に置きつつ検討してまいります。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 水軒と雑賀崎工業団地をつなぐ赤い無名橋というのがあるんですが、これが崩落したら、それこそ避難路も絶たれてしまいます。ですから、老朽化した橋梁改修、これにつきましては本当に早急な対応を要望させていただきたいと思います。
 3点目、仙台塩釜港では、3月11日の被災後、9月5日にようやくガントリークレーンによる本船荷役が再開されました。本県では、東海・東南海・南海の3連動地震を想定した港湾の防災対策が講じられておりますが、マグニチュード9クラスの地震が襲来すれば、津波高も倍増すると言われております。クレーン等、大小各種荷役機械、照明灯あるいはリーファーコンテナ用の電源など、電気系統がストップしてしまうと、港の機能自体がとまって大きなダメージを受けます。
 また、和歌山下津港は取り扱うコンテナ量は残念ながらさほど多くはありませんが、コンテナがひとたび津波に流されて散乱すれば、大変な凶器になります。ガントリークレーンにもぶつかってくるでしょうし、いろんな副次的災害を及ぼすことが予想されます。
 今回の東日本大震災を踏まえて想定の見直しが予想される中、今後の和歌山下津港のハード・ソフト両面の防災対策をお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) クレーン等の港湾施設の電源対策及びコンテナの散乱防止策につきましては、現在の3連動地震の想定を前提とした津波浸水予測において、コンテナターミナルの浸水は一部の範囲に限られるとともに、その深さもおおむね50センチメートル未満となっており、現時点では特段の対策を要しない状況にあります。
 今後、国における想定地震の見直し等を踏まえ、御指摘いただいた点も含めまして、和歌山下津港における防災対策について所要の検討を進めてまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 まさに港湾は命の水際であります。今後も地震、津波に強い港湾づくりを要望いたします。
 3点目の質問に移らせていただきます。本県における看護師の勤務状況についてであります。
 2006年診療報酬改定により、患者と看護師比率7対1施設基準が導入されました。主に大きな病院が7対1の基準を導入したことによって、看護師がともすると大きな病院に集中して、比較的小さい病院の看護師不足が全国各地で深刻になり、老健施設や介護施設にも影響を及ぼしております。全国各地で看護師不足が叫ばれておるわけであります。
 7対1看護によって、患者側からすれば手厚い看護、病院側からすれば診療報酬が上がる、看護師からすれば人数がふえて超過勤務が減って労働環境がよくなるはずなのに、有給休暇もろくにとれていない実態があります。日本看護協会の2009年看護職員実態調査によりますと、年間の有給休暇はゼロ日が7.4%、とれていても5日以下という回答が最も多く33.3%もあります。3交代勤務者の57.9%が、調査前1カ月の間に、日勤後に深夜勤のシフトで出勤間隔6時間以下となる勤務を経験しております。帰宅して、家族の面倒を見て、食事をとって、ほとんど仮眠もとれないまま再度出勤ということもあるそうであります。3交代勤務者の半数以上が月9回の夜勤をしており、月10回以上の夜勤をしている方も4分の1いると判明しています。
 2008年10月、大阪高裁が判決で、25歳でクモ膜下出血を発症した看護師の死亡を過労死と認定し、大きな衝撃が広がりました。病院勤務の看護職員は2008年末に87.0万人、年間4.7万人の新卒者が就職、再就業者も8.0万人いながら総数が2009年末には89.2万人と2.2万人しかふえていないのは、年間10万人以上が離職しているからであります。
 この悪循環を断ち切るため、職場に安定して定着いただく対策を講じなければなりません。厚生労働省は、本年6月17日付で各都道府県知事あてに「看護師等の『雇用の質』の向上のための取組について」という文書を出しています。その中で、複数を主として月8回以内の夜勤体制を基本としつつ、十分な勤務間隔の確保を含め、より負担の少ない交代制に向けた取り組みを着実に進めることが望まれるとしています。
 そこで質問ですが、以下、福祉保健部長にお答え願います。
 1つ目、和歌山県における看護師の勤務実態はいかがですか。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 本県における看護師の勤務実態につきましては、第7次看護職員需給見通し作成に当たって、平成21年に調査を行っています。この調査結果では、病院勤務の看護職員の年次有給休暇平均取得日数は11.0日、また離職率は9.5%となっています。
 一方、平成21年、22年に行われた日本看護協会による全国の調査結果では、年次有給休暇平均取得日数8.5日、離職率11.2%となっており、単純な比較はできませんが、いずれも全国平均と比較すると数値的に本県のほうがよい結果となっております。
 しかしながら、看護職員の勤務実態としては、超過勤務が多い、休暇がとれない、休暇がとりづらいといった厳しい状況にあると認識しています。今後も、看護協会等関係機関と連携しながら労働環境改善に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 2点目に、和歌山県の看護師養成の地域格差解消に向けた取り組みをお示しください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 看護師等学校養成所が設置されておらず、看護師不足の状況にある紀中地域において、現在、3年課程の看護師養成所の開校に向け準備が進められております。具体的には、御坊市外五ケ町病院経営事務組合が国保日高総合病院敷地内に平成26年4月開校を目指し取り組んでいます。
 また、看護師養成所開校に当たっての準備につきましては、地元保健所を中心にきめ細やかな支援を行っているところでございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 厚生労働省の「看護師等の『雇用の質』の向上のための取組について」に基づいた看護師の雇用の質向上のための本県の取り組みについてお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 厚生労働省からの通知に基づき、本年11月に和歌山労働局が実施主体となって、看護職員等の労働環境改善等に取り組むためのネットワーク委員会が設置されています。県としましても医療行政の立場で参画しており、現在、病院における労務管理担当者等を対象とした労務改善研修の開催に向け、取り組んでいるところです。
 また、看護職員の雇用の質の向上を図るための一環として、県と和歌山県看護協会によるワークライフバランス推進の研修会の開催を行っています。
 このように、多様な勤務形態の導入、効率的な働き方による労働環境づくりについて看護関係者への普及拡大を行っているところでございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 現在、休職中の潜在看護師ですが、全国に55万人から65万人もいると言われています。
 職場を、子育てや家事に専念するために、あるいは過重労働のために辞職した看護師は、概して一たん職場を離れると、医療の進歩、体力的なものから現場復帰に抵抗を感じております。看護師不足解消のための潜在看護師の復職支援施策についてお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 本県では、従来から看護師等の復職を支援するため、ナースバンク事業を行ってまいりましたが、看護師確保対策のさらなる強化のため、平成22年度からは潜在看護職員復職支援事業に取り組んでいます。この事業は、潜在看護職員の方々に携帯電話やパソコンから登録をしていただき、登録者には看護に関する最新情報をメール等で提供し、再就業を支援するものでございます。また、一定期間職場を離れることでの最新の技術・知識面に関する不安解消のため、病院での臨地実習研修や看護協会研修でのシミュレーターを使用しての体験研修を実施しています。
 今後も、本事業のますますの普及拡大に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 5点目に、新人看護職員の離職防止は将来に向けて大事なことであります。今後の研修、育成策についてお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 新人看護職員の離職防止のためには、基本的な実践能力を習得するための研修が重要と考えられます。そのため、平成21年には、看護師等の人材確保の促進に関する法律の一部改正により、新人看護職員の臨床研修等が努力義務となっています。県におきましても、各病院に対して新人看護職員研修の実施を働きかけ、積極的に取り組んでいただいているところです。また、新人教育の担当者に対する研修事業も行い、新人教育に取り組む病院等への支援を行っているところでございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 病院勤務の看護師さんは想像以上に厳しい労働環境にあります。働きたいという前向きな気持ちで、健康で生きがいのある自己実現できる職業であるように、県当局におかれましても、これからも勤務実態の把握と労働環境改善に御尽力いただきますようお願いいたします。
 また、看護師は命のかかった究極の接客職だとも言えます。人と楽しく、時には厳しく向き合える感性も磨けるような研修をお願いいたします。
 次に4点目、教育とスポーツに移らしていただきます。
 1つ目、ことしの山口国体で和歌山県の成績が男女総合で43位、昨年より6つ順位を下げました。入賞種目はふえたものの、高得点がとれる集団競技が振るわなかったようであります。一昨年、昨年と連続4位に入賞していたテニスの成年男子も得点を伸ばせませんでした。レベルのボトムアップが急がれます。
 そんな国体においても、また世界の舞台においても活躍を期待したい将来を担う子供の体力ですが、懸念すべきことがあります。平成22年度の和歌山県体力・運動能力調査で、体力合計点は小中高生の全学年で全国平均を下回っています。種目別でも全国を上回る種目はありませんでした。本県では、子供の体力向上のために幾つか事業を行っていただいております。
 屋外運動場芝生化促進事業では、外に出て遊ぶ子供たちがふえたとか、体育が好きになった子供の話もお聞きします。きのくにチャレンジランキングは、県内の小中学生、幼稚園児、保育園児が仲間とともに縄跳び等、いろんな運動をして数字、順位を競うものでありますが、スポーツに親しむきっかけづくりとして注目していましたが、取り組みに熱心な学校では効果が上がっていると聞きます。
 県教育委員会の子供の体力向上の取り組みについての成果の検証はいかがなものですか。教育長、お答えください。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県の児童生徒の体力につきましては、低下に歯どめがかかる傾向がありますが、全国平均と比べますと、議員御指摘のように、依然低い状況にございます。改善に向けて、運動の機会を多くする環境づくりや事業改善などに取り組んでいるところでございます。
 議員御指摘の屋外運動場芝生化促進事業では、本年度までに24校で実施し、それらの学校では児童の外遊びがふえ、すり傷などを気にせず活発に体を動かす姿が多く見られることから、体力向上につながっているものと考えてございます。
 また、縄跳びの回数や一輪車でのタイムなどを競うきのくにチャンレジランキング事業では、県内の半数以上の小学校が取り組み、年々実施率も向上してきておりまして、体力向上策として有効と考えられることから、今年度から中学生でも新たに導入いたしました。
 さらに、各学校における児童生徒の体力状況を分析し、その課題に応じた取り組みを行う紀州っ子体力アッププランの策定など、今後とも、本県の児童生徒の体力向上に向けたさまざまな施策を展開してまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 健康でスポーツが大好きな子供たちをさらにふやしていく、ひいては子供の体力向上につながるお取り組み、引き続きお願いいたします。
 2点目ですが、平成18年度に和歌山県ゴールデンキッズ発掘プロジェクトが発足し、今年度で5年経過しました。県内の小学3年生を対象に体力・運動能力が特にすぐれた子供たちを発掘・認定し、その子供たちに育成プログラムを実施することにより、将来、国体やオリンピックを初めとする国際舞台で活躍できる競技者を和歌山県から輩出することを目的とされたものであります。
 各競技団体も大いに注目している事業でありまして、毎年募集され、スポーツの金の卵を育てていっていただいておりますが、これまでの5年間の成果や1年ごとの成長・成果などの検証はどのようになされていますか、教育長、お願いいたします。
○議長(新島 雄君) 教育長。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) ゴールデンキッズ発掘プロジェクトは、平成18年度に発足し、これまでに合計188名を認定しております。その成果としましては、1期生でボート競技で全国優勝、3期生ではテニス競技で全国優勝、5期生では空手道競技で全国2位になるなど、さまざまな競技で活躍を果たしてございます。
 本プロジェクトでは、毎年、育成プログラム等の中で体力測定を実施しており、そのデータを3年間の育成プログラム終了時に評価シートで保護者と子供たちにフィードバックし、中学校時における競技種目の選択に役立ってございます。また、本プロジェクトが5年を経過したことを受け、現在、これまでに収集したデータの分析を進めており、育成プログラムのさらなる内容の充実につなげているところでございます。
 今後も、紀の国わかやま国体はもとより、オリンピックを初めとする国際舞台で活躍できる優秀なジュニア競技者を育成するため、本プロジェクトを積極的に推進してまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 まさにトップアスリートに育ってもらうために、さらにきめの細かい検証、分析、これをお続けいただきたいと要望さしていただきます。
 3点目であります。21世紀の地域スポーツ振興を担う拠点として国が積極的に設立を推し進めているのが、総合型地域スポーツクラブであります。1995年から文部省──現文部科学省──が育成モデル事業を実施しています。この総合型クラブは、地域のスポーツ施設を活用しながら複数種目の活動を用意することで、子供から高齢者までだれでも気軽にスポーツに親しみ、地域社会の活性化にも寄与する場となることを理想としています。
 2000年に策定されたスポーツ振興基本計画では、できる限り早期に成人の週1回以上のスポーツ実施率が50%になることを目指し、その達成に不可欠な地域の拠点として、2010年までに全国の各市区町村において少なくとも1つは総合型クラブを育成することを挙げました。文部科学省では、昨年策定したスポーツ立国戦略でさらに高い目標を上げております。
 本県では、1、生涯スポーツ社会の実現、2、世界を目指した競技力向上、3、学校、家庭、地域の連携による子供の体力向上とスポーツ振興、4、体育・スポーツ施設の充実、5、平成27年第70回紀の国わかやま国体の開催といった県スポーツ振興基本計画のもとで総合型クラブの推進を図っておられます。
 本県における総合型地域スポーツクラブの育成状況と効果について、教育長、教えてください。
○議長(新島 雄君) 教育長。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 総合型地域スポーツクラブにつきましては、国が地域スポーツの拠点としてその育成を推進しているところであり、県でも国の計画を踏まえ、積極的に総合型地域スポーツクラブの育成、活動支援に取り組んでございます。
 現在、県内の26市町に31クラブが創設され、創設準備中の22クラブと合わせて計53クラブが活動しております。これらのクラブでは地域住民が主体となり、スポーツ少年団や学校運動部活動との連携による青少年のスポーツ活動の場の充実、成人及び高齢者の健康体力づくり、トップアスリートの育成などを目指す取り組みが進められ、本県の地域スポーツの活性化に大きく貢献してございます。
 今後とも、総合型地域スポーツクラブの育成をより一層推進してまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 この総合型地域スポーツクラブの育成は、指導者を発掘できる、そして地域住民のパワーを引き起こせる、今後もさらに楽しみな事業だと思います。全市町村に広がるように、さらに御推進をお願いいたします。
 4点目に、東日本大震災の痛ましい体験から、改めて子供たちへの防災教育の必要性が問われております。
 和歌山県教育委員会では、東日本大震災で防災教室に力を入れていた岩手県釜石市で子供たちの多くが助かったことから、8月25日に県内の幼稚園から高校までの教員約600人を対象に防災の研修会を開いたと聞きます。子供たちが日ごろから災害に対する備えや、みずから生命と身体を守る意識を持つことは大切であります。子供たちが学校において日ごろからできるだけ高いところへ避難する訓練を率先して行うことによって、地域の人々の避難への意識を逆に喚起する効果も大ではないかと思います。
 阪神大震災で学んだこと、そして今回のような大津波地震で新たに学ぶことは少なくありません。被災した人々を思いやる心、そしてボランティア活動の意義など、さまざまなテーマもあるでしょう。
 本県もこれまで濱口梧陵翁の「稲むらの火」など、先人の実体験からくる知恵に学ぶなど防災教育に力を入れてこられたことと思いますが、ことしの東日本大震災、そして台風12号による本県の記録的な大水害を踏まえて、今後の本県の防災教育について、教育長のお考えをお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 教育長。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 本県の防災教育についてでございますが、学校における防災教育につきましては、これまでも議員御指摘のように積極的に取り組んできたところでございます。東日本大震災の教訓を踏まえ、各学校に対して、改めて学校の置かれた実態を十分考慮した具体的なマニュアルの策定と訓練の実施、地域と連携した避難訓練の実施等、万全を期すよう求めました。
 同時に、さきの大震災において、長年の指導の成果により釜石市の児童生徒の命を救った群馬大学大学院片田敏孝教授から教員を対象とした御講演をいただき、その講演内容をDVDにおさめて、すべての学校に配布し、教職員全員が研修を今行っているところでございます。
 また、平成16年から実施している高校生防災スクールでは、新たに校外の高台へ逃げる津波避難訓練を行うとともに、各学校においても地域と連携してさまざまな取り組みを行ってございます。
 今後、東日本大震災や台風12号の教訓を踏まえ、子供たちに単なる知識の防災教育ではなくて、想定にとらわれるな、最善を尽くせ、率先避難者たれという避難3原則を浸透させ、防災に対して主体的な姿勢を醸成する姿勢の防災教育を進め、子供たちから家庭や地域へも発信できるよう防災教育の充実に取り組んでまいります。
○議長(新島 雄君) 長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕
○長坂隆司君 子供たちの体を使った日ごろの防災活動というのは必ず親を動かし、地域住民を動かす原動力になると思います。ぜひ目に見える防災教育、これを今後ともよろしくお願い申し上げまして、私の一般質問を閉じさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
 午前11時43分休憩
────────────────────
 午後1時0分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 9番濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕(拍手)
○濱口太史君 質問に先立ちまして、このたびの台風12号の被害を受けました被災地域、とりわけ新宮・東牟婁地域に対しまして、知事を初め、県職員、警察、消防、自衛隊の皆様、そして先輩・同僚議員の皆様には、早々に被災地へ駆けつけていただき、多大なる御声援や激励を賜り、また復旧対策を迅速に行っていただきましたことに対しまして、地域を代表して心より感謝と御礼を申し上げます。それに、ボランティアなどに従事されました県民の皆様、本当にありがとうございました。
 御承知のとおり、12月3日、長く不通となっておりましたJR新宮─勝浦間が、鉄橋の仮復旧により、そのときを待ちに待っていたレールの上を3カ月ぶりに電車が走れるようになりました。地元利用客や観光客の貴重な交通手段の復活に、駅や周辺にたくさんの人たちが集まり、久しぶりの笑顔と活気にあふれていました。短期間でのスピード復旧に並々ならぬ御尽力をされましたJR西日本の関係者の皆様や、不眠不休で工事に当たられました皆様方に心から感謝と敬意を表します。
 再び走り出したオーシャンアローに力いっぱい手を振り、地域の皆さんは大変喜んでおられました。中には、感激に涙する方もいらっしゃいました。
 私にとりましては、議員として第一歩を踏み出したと同時にこのような大災害が起こり、県会議員として今何をするべきか戸惑いながらも、諸先輩議員からのアドバイスもいただき、被災現場の状況確認、被災された方々の声を集めては行政に届け、各方面への支援要請を行い、また国や県の関係機関の方たちの視察調査に同行させていただくなど、短期間にたくさんの出来事を経験させていただきました。感謝や激励の言葉をいただけることもあれば、まだまだ活動が未熟で不十分だとのおしかりの声もたくさんいただきながら、あっと言う間に3カ月が経過いたしました。
 今回のJRの一連の復活劇が、利便さを取り戻しただけではなく、被災に沈む地域のやるせないムードから、また新たに頑張ろうという気持ちを奮い起こさせたように、私も議員として地域や地域の人たちにそう感じていただけるように行動していく所存ですので、どうか御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず初めに、熊野川流域の復興についてであります。
 去る9月2日から3日にかけての台風12号の豪雨は、私の地元、新宮市や東牟婁地域にも容赦なく襲いかかりました。東京都の1年間分に匹敵する降雨量がわずか数日間で降り続き、河川はあちらこちらではんらんをし、山では多数の土砂災害が発生いたしました。その結果、多くの死者や行方不明者、家屋や事業所や施設、そして道路が破壊されました。一部の地域では解析雨量で2000ミリを超える記録的な大雨となり、そのため壮大な川幅を有する熊野川でさえもあふれ返り、ふだんの水面からおよそ30メートル近くも水位が上がり、熊野川町では少し高台にある行政局庁舎の3階近くまで浸水するなど、一帯が水没する事態となりました。
 これまでにも幾多の水害に見舞われた熊野川流域は、これまで以上に自然の脅威と水の怖さをまざまざと見せつけられ、被害は甚大なものとなっています。
 それでは、熊野川流域の復興や水害対策に関連した質問をさせていただきます。
 1つ目、豪雨に備えたダム操作についてであります。
 今回の熊野川のはんらんはダムの放流が大きく影響しているとの見方があり、3カ月経過した今もなお、被害を受けた住民の不満と不安はおさまっておりません。ダム管理者である電源開発に対し、治水の義務がない利水ダムとはいえ、今回、豪雨で下流地域に甚大な被害が及ぶと推測された中で、操作規程を変更してでももっと治水に協力をしてもらえなかったのかと、流域市町村とともに私も訴えを続けております。
 去る11月7日に新宮市議会の災害復興対策特別委員会に電源開発側より提出された説明書によりますと、事前にダムの水位を下げて空き容量を確保していたとしても洪水低減効果は限られていたとの報告がありました。仮にダムへの正確な流入量を事前に把握し、最も適切なダム操作を行ったとすれば、最下流に位置する小森ダムと二津野ダムの合算最大放流量は、今回行った放流量よりも10%程度減らすことはできると推定しており、新宮市中心部に近い相賀地区では約5%、水位で約50センチを抑えられたと推測しています。
 しかし、言いかえれば、効果としてはその程度で、ダム自体、今回の被害には大きな影響は及ぼしていないと聞き取ることもできます。
 そして、根本的な疑問もあります。このような豪雨の際にはダムを空にして治水機能を高めてほしいと訴えても、現段階のダムの構造や法律上ではどれくらいの水位まで下げることが可能なのか、また、仮に空に近い状態に水位を下げられることになったとしても、完全に水を抜き終わるまでには一体何日かかるのか。一説には、池原ダムで10日ほどかかると伺いましたが、天気予測の技術が発達したとはいえ、現実的にそれほど前からの放流作業は可能なのでしょうか。となると、台風シーズンを迎える前から水位を下げた設定にしておかないと、当然間に合わないわけです。
 川で利益を上げている企業として、その事業により川の流量や水質への影響、流域住民や自然環境に与える影響に対して社会的責任を果たすため、関連するすべての人たちが情報を共有し、お互いの立場を尊重して、とにかく今後、同じような悲劇が起きないことだけを実現するための本気の取り組みが必要だと思います。
 そうした要請の中で、電源開発側の動きとして、台風12号におけるダム操作や情報伝達に関する現状確認と改善を検討するダム操作に関する技術検討会が設置され、去る11月29日に第1回検討会が実施されたとのことであります。4人の学識者と、河川管理者である国土交通省と、奈良、三重、和歌山の3県、そして電源開発で構成されており、この検討会が形式だけでなく、今後の対策を見出すための実のある検討会となるよう強く要望をいたします。
 当然、ダムがこれまでに地域の防災や渇水時期における水量調整への協力など、地域の発展に寄与してきたことも認識しております。地域との共存共栄を念頭に置いているのであれば、ぜひ今回も、被災を受けられ、力を失っている地域住民の方たちのためにも多大な支援を願っております。
 そこで、知事にお尋ねします。
 今後、昨今のゲリラ豪雨や長時間にわたる異常気象に備えて、治水機能を高めるための対策をあらゆる角度から検討し、法や運用規定の見直しが急務と考えますが、県として、これまでの動き、今後、国や会社に対し、どのような対応を要望されるのかをお聞かせください。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの濱口太史君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 熊野川は、今回は大変な水量が起こりましたので、したがって、当初想定していて、これで何とかなると思っていた基本計画が、やっぱり基本的には間に合わなかったということだと思います。そういう意味で、今これは国交省が中心になってつくっていくわけですけれども、国交省に対して、新しい想定で基本計画をつくり直してもらわないと困るということを要求してるところです。その上で、県なんかも含めて、堤防の強化や、あるいはダムの管理とか、そういうことをやっていかないといけないわけですが、その中に御指摘のような問題も入ってると思います。
 熊野川で基本方針を超える洪水により甚大な被害が発生したことを踏まえると、利水ダムであっても、発電をしばらく犠牲にして治水に活用し、治水安全度を向上させるということは大事だと思います。
 10月31日に開催されました台風12号による紀伊半島南部の災害復旧・復興に関する国・三県合同会議におきまして、国土交通副大臣がお見えになったもんですから、副大臣に、利水ダムの洪水時における活用、ダム間の連携や予備放流などを奈良県、三重県、和歌山県から合同提案をいたしました。
 ただ、このときの国の対応も、あるいは報道で見るところのJ─POWERの対応も、あるいは地元の方、あるいは論調も、ちょっと何か変だなと思うところがあるんです。というのは、治水というのはやっぱり河川管理者がしっかりと管理せないかん。J─POWERに頼みに行くというのは、権限あるいは責任のない人に頼むということになって、その放流の結果、何が起こるかわからんということもちゃんと考えとかないといけないということでございます。
 したがって、ちゃんと河川管理者が頼みに行くと、それで、その頼み方をきちんとしておくということが大事であるというふうに私は思いまして、その旨申し上げ、実は県でも県管理のダムで同じ問題が起こってるので、そういう問題についてきちんとしたやり方を今確立しようとしてるから、そういうことも参考にして国でもやってくれというようなことを申し上げました。
 また、その旨は、11月1日に発表した和歌山県復旧・復興アクションプログラムの中期対策、熊野川の総合的な治水対策に利水ダムの洪水時における活用を位置づけ、引き続き国に働きかけることとしております。
 また、電源開発にも知り合いがいるもんですから、幹部にも、ちょっとあの責任回避的な対応というのは地元にとって非常に不愉快であるというようなことを御注意申し上げたところでございます。
 電源開発、国、3県で御指摘のようなダム操作に関する技術検討会を開きますが、当県としては、改善策がちゃんと盛り込まれていくように今後尽力をしていきたいと思います。
 今後とも、こういう方針に沿って、国や、あるいは電源開発に対してダム操作が改善されるようにしっかりと働きかけ、あるいは監視をしていきたい、そんなふうに思っております。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 今後とも、引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、河床対策についてお尋ねを申し上げます。
 ダムの操作規程の見直しに加えて、たび重なる洪水により、また、特に今回の台風12号での洪水による土砂の堆積で熊野川の流下能力は低下しております。聞くところによりますと、昭和40年代に戻ってしまい浸水頻度が多くなっていると、住民の方々が不安を募らせております。この現状を改善するには、河床の整備が必要であります。さらに、支川も同様に河床掘削が行われれば、なお一層効果的と考えます。
 さて、平成21年から国の熊野川直轄河川改修事業や県の熊野川圏域河川整備計画により整備が進められておりましたが、今回の災害で熊野川がかなりのダメージを受けたことは一目瞭然です。早急に川の状況を調査していただき、計画の見直しや掘削計画の検討をお願いしたいと思います。
 また、その実施方法として、県が主体となって行う施工方法、あるいは熊野川流域に関係する市町村などの枠組みで実施するなどとして、支川も含めてきめ細かく年次的に取り組みを進める中、特に支川との合流付近を中心に早急に掘削作業を行うなどして、雨量の多い7月から9月の台風シーズンに備えてスピーディーな作業が望まれます。また、新宮市熊野川町宮井付近から河口にかけては、対岸側が三重県となるため、三重県と共同歩調をとる必要があります。
 河床を下げることは、川のはんらんを抑え、流域の住民の生命、財産を守るための安全性を高めるだけではなく、熊野川の深い青さを取り戻すこともできると期待します。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。
 河川整備計画の見直しを行い、河床掘削範囲の決定と事業システムを確立した上での河床整備事業が急務ではないかと思いますが、どのようにお考えでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 今回の台風12号による浸水被害にかんがみ、河川整備計画の検証が必要と考えており、その中で河床掘削の位置づけについて検討してまいります。
 なお、台風12号等により堆積し、治水上支障となっている土砂については、応急対策として早急に撤去を進めてまいります。その際、砂利等の有効活用を図れる方法により実施したいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 よろしくお願いいたします。
 次に、熊野川町日足地区、能城山本地区の水害対策についてお尋ねをいたします。
 日足道路は、国道168号がたびたび浸水し通行どめになるため、その対策として高架橋バイパス道路を建設中ですが、橋脚工事が完了し、道路部分をつくる段階で、今回、その道路部分の高さ以上に水位が上昇して、つかってしまうという事態になりました。しかしながら、この日足道路の工事は、このまま続行するという計画だとお伺いいたしました。
 さて、そうなると、この工事が完了し、供用が開始になった後、日足地区、能城山本地区では、輪中堤や住宅地のかさ上げの計画に着手するとのことでしたが、この台風12号の被害状況を見て、計画の見直しはあるのでしょうか。この計画や方針を聞いてからでないと、住宅や店舗の取り扱いや移転について結論を出しかねるという住民の方もおられますので、県土整備部長に今後の計画についてお尋ねをします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 台風12号による被災水位は、熊野川町日足地区、能城山本地区の輪中堤計画の数メートル上まで達しており、現在の河川整備計画に基づく整備では足りなかったと考えられます。
 今後、輪中堤の計画高さを見直すのか、ソフト対策も含めた輪中堤以外の対策が望ましいのか、早急に地元の意見を聞きながら検討を進めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 住民の方は一日でも早く方針をお聞きしたいとのことですので、一日でも早くそのような話し合いを持たれていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。
 続きまして、国道168号の復旧のめどと防災機能の強化についてお尋ねをいたします。
 土砂崩れや激流で護岸が大きく削り取られ、国道168号は多数の箇所でずたずたにされました。この路線には電話回線やZTVケーブル、電気関係などの情報伝達に必要な機能が集約されており、これが至るところで破壊されたことになります。このことは、熊野川地域を結ぶ唯一の幹線が破壊されたことで、情報、救援、物資輸送の初動態勢ができない状況となり、発災後5日間、熊野川町や高田・桧杖地区は孤立し、その後も当該地域の住民生活はもとより、紀南地域の主要産業である観光業や運輸業を中心に大きなダメージを受けました。
 そして、復旧作業、救急患者の搬送車両が通行できないなど、多岐にわたり大きな影響があり、建設業界の皆さんの献身的な作業により急ピッチで仮復旧はしていただいたものの、一般車両は1カ月以上の通行どめを余儀なくされました。県においても、国道168号について、これまでも防災機能を備えた計画的な改良工事を行ってきましたが、地域住民の安心と観光を初めとする地域経済の復興に向け、一日も早い本格復旧が望まれます。
 また、今回の災害でトンネル部分は比較的被害が少なかったことに気づきました。トンネルを多く取り入れた道路整備は今後の復旧の1つの事例ではないかと、この際、提案しておきます。
 今後の国道168号の本格復旧のめどと防災機能強化について、県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 台風12号により、国道168号の国道42号交差点から奈良県境までにおいて25カ所被災しましたが、応急仮工事を行い、10月14日から全線で通行どめを解除しております。12月中に国の災害査定を受け、速やかに復旧工事に着手して、被災規模の大きさにもよりますが、平成24年度から平成25年度までの間において1000カ所復旧を目標に鋭意努力してまいります。
 また、国道168号は第1次緊急輸送道路に位置づけられており、災害時の通行確保を図るため、平成16年度からのり面強化に取り組んでおりましたが、今回の被災を踏まえ、のり面の状況を確認しながら、現場状況に応じた落石対策やのり面保護対策を引き続き計画的に実施し、防災機能の強化に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 ただいま御答弁をいただきました。のり面保護対策や落石対策を強化するとのことですが、早急な対策ということになれば、そのような計画が妥当だろうと思いますが、今回の被害状況を見ますと、山間部のすそ野を走り、また熊野川に沿った道路であるがゆえに、非常に危険性を伴っていることが実証されたと考えます。今後も豪雨のたびに通行規制をしなければならない路線としては、観光面でも、物流面でも、また熊野川町住民にとりましても、安全な道路と胸を張って言える路線ではありません。
 そこで提案ですが、熊野川の中心部より最低1キロメートル内陸部に入ったところに新たな路線を計画し、大半をトンネルと橋梁とする道路構造として、今回のような災害時でも安心・安全に走行できる道路が望まれるところであります。紀伊半島アンカー道路である地域高規格道路としての機能整備も含めて、今後の課題として御検討をお願いしておきます。
 以上は要望にしておきます。
 次に、観光の復興についてお尋ねをいたします。
 熊野川流域を代表する観光事業として、熊野川が熊野古道における世界で唯一の川の参詣道として世界遺産に登録されたことを期に、往時の熊野もうでを復活させようと、県の協力のもと、平成17年から新宮市が運営している川舟下りと、奈良、三重との3県にまたがる大渓谷の景観を楽しむため、大正13年、当時珍しいプロペラ船が就航し、昭和40年からはウォータージェット船にかわって現在まで続いております熊野交通株式会社が運営する瀞峡観光が挙げられますが、ともに台風12号で施設等に大きな被害を受け、現在は運休中です。
 平成22年には川舟下りで5300人、瀞峡観光で9万2600人余りの乗客があり、地域に多くのお客様を呼び込める観光資源であることから、運営主体であります新宮市、熊野交通株式会社においては、現在、早期再開に向け鋭意努力がなされております。
 これらの観光事業者等への支援としては、今議会に提案されている中小事業者向け支援施策は時期を得た施策であり、大いに期待しております。
 さて、観光産業は、観光客が来てくれて初めて地域経済につながるものであります。被害の大きかった熊野地域の観光の元気な姿を全国にお知らせすることが重要なことと考えますが、今後の誘客対策について、商工観光労働部長にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長大門達夫君。
 〔大門達夫君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 観光の復興に向けた誘客対策についてですが、県では、災害復興のための観光振興アクションプログラムを策定し、被災地域や周辺地域の観光地に対する「行けない」「危ない」などの風評を払拭するとともに、地域にお客様を呼び戻すため、京阪神、東海、西日本の主要都市において、メディア、旅行会社、消費者に正確な情報を伝える緊急プロモーションを地域観光関係団体等と協働で実施してきたところです。
 また、熊野那智大社での復興祈念コンサートの開催、熊野古道中辺路での環境保全ウオークの規模拡大や企業CSR活動の誘致など、特に被害の大きかった熊野地域の情報発信に注力してきたところです。
 今後については、さきの復興祈念コンサートを絡めた熊野三山PR番組を制作して、BSや都市圏のテレビ局で放映を予定しており、加えてプレスツアーの実施や番組出演、記事掲載等によりメディアへの露出攻勢を続けるとともに、紀勢本線全線運転再開を期にJR西日本とタイアップした誘客キャンペーンを実施するなど、同地域の観光の復興を図っていくこととしています。
 特に、地元やお客様から再開に係る期待の大きい川舟下りと瀞峡観光は、県としても同地域の観光振興にとって重要な素材と認識しており、再開のスケジュールを勘案しながら、トピックスとしてテレビや新聞等、メディアにおける露出、JR駅や高速道路サービスエリア等でのポスター展開など、運営主体と協働で積極的に情報発信と誘客に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 御答弁をいただきました。大いにPR活動に力を入れていただいているとの御答弁をいただきまして、心強く感じました。
 また、このピンチをチャンスに変える発想から、現在、瀞峡観光船の乗り場がある志古に、流出してしまった川舟下りの乗り場、さらに道の駅の機能を加えて、流域観光事業の一大拠点となる川の駅を設置する構想を提案いたします。誘客を図る上で効果的ではないかと思いますので、県でも検討をお願いいたします。
 以上は要望としておきます。
 続きまして、大きな項目、災害復興対策についてに移らせていただきます。
 災害対策本部解散後、早々に知事を本部長にした復旧・復興本部を設置していただき、素早い対応に感謝しております。
 今議会一般質問初日に、自民党県議団浅井議員の質問に対し、知事の意気込みや教訓をお聞かせいただきました。それに、何度も被災地を訪れ、状況を熟知する知事を先頭にした体制であり、復旧・復興に全力で取り組んでいただけると期待しております。
 しかしながら、特に被害の激しかった地域は、私の地元新宮市を初め、お隣の那智勝浦町、古座川町などの東牟婁地域や田辺市、日高川町と、紀中や紀南地域ですので、本部と被災地との距離感は否めません。どうかその不安を払拭していただきますよう、厳格な進行管理やスピード感のある執行、きめ細かな柔軟な対応を切に願うところであります。
 本庁職員の皆さん、また、現地対応を担う各振興局職員の皆さん、日々の通常業務に加え、大きなウエートが予想されます復興業務に追われながら、地域住民との対話や市町村との調整など、煩雑な対応は大変な激務と思われます。専門的な知識と経験をお持ちの県OBの方を嘱託で雇用するなどして、人員的な手だてを講じることも必要なのかもしれません。
 とにもかくにも、綿密に計画をされました和歌山県復旧・復興アクションプログラムを達成するためには、厳しい状況の中、知事を初め職員の皆さんの熱意ある頑張りに大いに期待をしております。また、私も早期に効果を上げるように全力を挙げてまいりますので、被災地並びに被災者の方々に元気を取り戻していただくまで、何とぞ御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
 以上、知事を初め、当局の皆さんに対する要望であります。
 さて、ここからは質問に移ります。
 そこで、復旧・復興アクションプログラムを執行するに当たり、2点お尋ねいたします。
 まず1点目は、進行管理についてであります。
 通常の公務も多忙な知事でありますから、アクションプログラムの実効性を担保するためには、補佐をするための責任の所在の明確化と計画性あるチェック体制が必要だと思われます。和歌山県復旧・復興アクションプログラムの進行管理につきまして、その体制と県庁内における担当部署、さらには今後の進行管理のスケジュールについてお伺いします。
 2点目ですが、このアクションプログラムは、台風12号被害からの早期復旧・復興が目的とされておりますが、さらに今後発生する可能性の高い東南海・南海地震についても、プログラムとの整合性が必要かとは思います。
 今回の大水害は、海と山の違いはあるものの、災害対策においては多くの大きな教訓を得たものと思われますが、和歌山県復旧・復興アクションプログラムと地震対策の整合性について、合わせて2点、危機管理監にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君、通告されてる方式による質疑では分割で一気にいくんじゃないですか。分割方式なんで。
○濱口太史君 失礼しました。それでは、続けて御質問させていただきます。
 長期対策としての高速道路及び河口大橋の整備についてお尋ねをいたします。
 アクションプログラムの長期対策に挙げられております道路整備についてお尋ねします。
 今回の大水害や土砂災害により、国道168号や田辺市の国道311号の長期不通、またJR紀勢線の橋梁流失など、交通が寸断されました。その影響で地域住民は孤立し、物資が入らず、県民生活や事業活動が大きく制限されました。幸い、那智勝浦新宮道路や海岸沿いの国道42号が早期に復旧したおかげで、何とか他地域と被災地との行き来ができました。しかし、大地震、大津波が発生した場合、国道42号はあちこちで通行どめになると言われています。
 今後、紀南地域は東南海・南海地震の発生が予測される中、地域住民の足となり、早期復旧に欠くことのできない紀南一周の高速道路計画について、そして三重県との交通網強化を図るための熊野川河口大橋について、現状と今後の取り組みについて県土整備部長にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 危機管理監宇恵元昭君。
 〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 和歌山県復旧・復興アクションプログラムの進行管理と東南海・南海地震対策との整合についてお答え申し上げます。
 和歌山県復旧・復興アクションプログラムは、各対策を短期、中期、長期に分類、整理し、県としての考え方や行動目標を示したものであり、各対策におけるスケジュールについても具体的に設定しております。進め方としましては、総合防災課長を議長とし、各部主管課長を委員とする復旧・復興連絡調整会議で、プログラムに位置づけた事業について細やかな調整を行い、知事を本部長とし、全部長が本部員である復旧・復興本部で進行管理を行うとともに、必要があればプログラムの見直しや項目の追加に取り組むこととしております。
 次に、防災・減災対策の総点検との整合でございますが、今回の紀伊半島大水害の対策である和歌山県復旧・復興アクションプログラムと、東日本大震災を受けて実施している和歌山県防災・減災対策の総点検につきましては、前者は風水害被害の対策であり、後者は必ず起こるとされている東海・東南海・南海地震等の大規模災害等に備えたものでございます。避難場所の見直しや孤立集落対策として、防災行政無線やヘリポート等を整備する市町村への支援など、防災・減災対策の総点検と共通している課題、施策もございます。
 今後も整合性をとりながら、これまでの防災・減災対策に加え、新たな風水害対策にも取り組むことで、より災害に強い新しい和歌山をつくるために全庁挙げて取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 長期対策としての高速道路及び河口大橋の整備についてお答えいたします。
 今般の台風12号では、県内の幹線道路が各所で通行どめとなる中、高速道路は健全性を保ち、迅速な救助・救援活動に大きな役割を果たしました。また、さきの東日本大震災でも、高速道路は、津波被害を受けた沿岸部の早期復旧はもとより、避難場所や防潮堤としても大きな効果を発揮し、その重要性を再認識させたところです。
 こうしたことから、和歌山県復旧・復興アクションプログラムの長期対策に、災害に備えた幹線道路ネットワークの整備として、近畿自動車道紀勢線のミッシングリンクを含め、京奈和自動車道及び五條新宮道路から成る紀伊半島アンカールートの早期整備促進などを盛り込みました。
 被災直後、現地視察をしていただいた野田総理大臣や前田国土交通大臣に対し、また、10月に開催された国・三県合同対策会議においても、紀伊半島アンカールートの早期整備を訴えたところです。
 今後とも、今回のような水害や東海・東南海・南海地震などの大規模災害に備え、近畿自動車道紀勢線の事業中区間の早期整備はもとより、未事業化区間であるすさみ─太地間や熊野川河口大橋を含む新宮─県境間の早期事業化を国に対して強く働きかけてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 濱口太史君。
 〔濱口太史君、登壇〕
○濱口太史君 今議会におきましては、復旧・復興関連でいろいろと御答弁をいただきました。
 まだまだいろいろな分野で大きな課題があります。道路やJRの開通で、見た目ではもう復旧が果たされたと感じる方も多いと思われますが、地元はまだまだ疲弊しています。身内を亡くされた方々、被災地に再び住むかどうか思い悩む方、大雨が降るたびに、また山が崩れ出したり、川がはんらんしたり、災害に巻き込まれるのではないかと思い詰めるなど、心の病に取りつかれた方々にとっては、復旧ですらほど遠いものがあります。
 また、景気も、国内外からの観光客の減少、自粛ムードによる飲食関連への影響などは、まさに第2次、第3次災害といった感があります。
 こういった状況を打破するため、ハード面の復興はもちろん、日を追って変化をもたらす地域が必要とするソフト面においての対策にも柔軟なフォローができる復興支援部といったものを、期間限定でも構いませんので、被害の大きかった地域の振興局に備えていただきたいという要望を申し上げ、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、濱口太史君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 それでは、お疲れのところではございますが、御指名をいただきましたので、私の一般質問をさせていただきます。
 まず、東日本大地震とともに発生した大津波で東日本一帯が壊滅的被害を受け、政府は「国難」という表現を使い、取り組んでまいりました。その後、我が和歌山県でも台風12号により大被害を受け、一説には昭和28年の台風以来だとか、100年に1回の災害であるとか言われていますが、いずれにいたしましても信じられないような災害の発生が続きました。
 ただ、9月2日襲来した台風12号で受けた大被害の対応策や対策の取り組み方針の見通しがほぼ立ってきました。その御苦労に県民の1人として御礼を申し上げるところでございます。
 さて、本題に入らせていただきたいと思います。
 今回、大きく分けて3つの点について一般質問させていただく予定でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 さて、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への参加問題が国じゅうの大騒動に発展しています。思い起こせば、オレンジの輸入自由化のときもそうでしたが、こうした問題の難しいことは、二者択一といいましょうか、右か左、とにかく入るか入らないかの選択を求められているところにあります。
 戦後の歴史を振り返ってみますと、これら国難はいつもアメリカからの発信です。しかし、その判断を誤ると手痛いダメージを受けることになります。最近で記憶に新しいところでは、対米貿易黒字対策として昭和60年代にアメリカより内需拡大策を求められ、国は受け入れることとなり、たしか当時、下水道整備など600兆円になんなんとする公共投資を行う内需拡大策の発表を行い、実行に移しました。その結果、土地は高騰し、株価も4万円近くまで値を伸ばすなど、日本経済はバブル状態となり、今度はそれを抑制するために政府は総需要抑制策を発表いたしました。するとバブルははじけ、銀行や証券会社さえ倒産し、会社は行き詰まるなど、日本国じゅうで自己破産を申請する人々や自殺者まで出る事態となりました。国家の運営の失敗が国民に大きな犠牲を払ってきたことは事実であります。
 アメリカは、いつもアメリカ人の考え方が正しく、それを早く受け入れるべきであるという思想に凝り固まっているかのように思えてなりません。自由民主主義で、自由競争の中で勝った者が正しい、すべてが自由の名のもとに生存競争をさせられます。しかし、そのアメリカで、ことし、数%のアメリカ人がその他の国民を支配し続けているという現実にアメリカ人自身が立ち上がり、集団となり、数カ月にわたりデモ行進や集会を続けていることが報道されています。
 さて、このTPPについて、識者の方々は賛成と反対の双方の立場で真っ二つの議論を発信しており、国民にとっては何が正しいのか全くわからない状況にあります。県民の生活を守り抜く立場から、知事の御所見をお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) TPPに実際に参加したならばどの分野にどの程度影響があるのか、特に農林水産業を初め大きな影響を受ける産業への対応について、どういうふうにして持っていくのか、そういうことについて国民に対する情報提供が十分に行われていない中で、交渉に参加するとしか言わない政府の対応には問題があると思います。
 私は、TPPの本質はブロック経済化への対応であり、入った場合は関税に保護されてきた農林水産業やそのほかの産業が影響を受けるし、入らなかった場合はブロック経済の外へはじき飛ばされて輸出産業が影響を受けるという議論だと思っております。
 TPPに入らないときの競争力の欠如からなる経済のマイナスと、それから入ったときのプラス・マイナスの利害得失を考慮しないとまずいけません。その上で、マイナスとなる産業に対してはセーフティーネットの対策を講じていくのが本当の政策だと私は思っております。
 浅井県議にもお答えいたしましたが、本県独自に、TPPに参加した場合、参加しなかった場合の影響も試算をいたしました。いずれにしても、本県経済には大きな影響が出そうだという結果が出ております。
 そのため、政府に対しては、TPP交渉にはこういった意味での国益を損なわないという強い姿勢で臨むとともに、TPP参加による影響、対応策を早急に明らかにして、国民的議論も十分に行い、とりわけ農林水産業など大きな打撃を受けそうな、受ける懸念がある産業への対応策については、最も早く検討して、明らかにして、その上で交渉に臨む。臨む限りは、国民に約束したことはちゃんと交渉の場でも実現するように努力すると、そういうことをやってもらいたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 知事からそういう御答弁をいただきましたが、1~2点、私のほうからも、何だか心配だなと、その視点で発言をさせていただきます。
 まず、今回のTPPの報道、あるそういう文献を見ましたら、「ブロック経済」という表現があります。ブロック経済、聞き覚えのある表現だなと思いました。それは戦争前、我々の第2次世界大戦と言われる戦争の前に、あの当時、たしかブロック経済という表現があって、それがお互いの国同士のいざこざの大きな抜き差しならん事態を起こし、大きな戦争に突入していったと、こういうふうなことを記憶します。やはりこのブロック経済、どことどこの国を入れない、こうした事柄の中でこうした作業が進んで本当にいいんかなと、そんなことなんかも、県民の1人として純粋に心配をする事柄の1つでございます。
 それから、もう1つだけ、少し時間の配分も考えながら発言させていただきますが、オレンジの自由化のことなんですが、あの当時、私も、うちは昭和30年からミカン農家を始めまして、そのことが関心事の1つでしたので、まだ私は子供でしたが、記憶に残っています。
 その後どうなっていったか。当時、政府も、我々ミカン農家の将来を守るためのいろんな施策を講じていただいたということも、細かいことは覚えていませんが、確かに記憶しているところです。
 しかし、私のおやじは、自分の人生をかけてミカンづくりをしましたが、その後、20年から30年、30年もかからなかったかわかりません、ミカンの木を根っこから全部切ってしまいました。それは、我々の住んでる地理的条件にも影響あったと思います。これがすべてけしからんという話ではないんですが、やっぱりこうした大きな判断をされた以降は、全員が助からない。枝葉末節に隅のほうに生活してるミカン農家は、1人減り、2人減り、そうした形で経済に大きなダメージを与えている、我々の生活に大きなそういうダメージを与えてきたということも事実でございます。
 今、政府がいろいろと言うていただいてる、農家に所得を補償しよう、そんな話も、そら100年、200年、500年、1000年と農家の生活を補償してやろうという話ならいざ知らず、言葉は悪いかわかりませんが、しょせんその辺の適当な時期の間だけそういうようなことをしてもらうと、そんなことになってしまわないかと、そんな心配をしている者の1人でございます。
 先ほどのミカンのことですが、もう少し加えさせていただきましたら、当時は日本国内で生産高のピークは、ミカンの生産のピークは、たしか300数十万トンまで上がった時代があります。それが日本で生産されるミカンの最高の生産額のときでした。オレンジ自由化等も含めて、今現在の国内の生産高は、何と100万トンを割って3分の1以下の90数万トン前後と、そんなふうに聞いているところです。そんな結果につながっていってるというのも、こうした時代の1つの流れではありましたけれども、現実でもございました。
 先ほど知事のほうから御答弁いただきました。ぜひ和歌山県民の生活を守るという視点からも、力強いメッセージを知事のほうからも国に向かって発信をお願いしたいと。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。
 台風12号で学んだこと、見えてきたこと、これに関連して5つの質問を提示させていただいてます。
 さて、台風12号は、県土の至るところの道路や田や畑、住宅など、たくさんの場所に大きなつめ跡を残しました。
 こうした災害の発生で改めて強く感じたことは、県民1人1人の生活力を取り戻すためには、まず寸断された道路の一日も早い回復です。しかし、復旧には時間を必要とします。生活基盤は早急に確保しなければならないため、迂回道路として複数の道路を確保していく必要性を強く感じたところでございます。このことについて、まず御見解をお伺いしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 今回の台風12号では、国道42号を初め、内陸部の国道311号や国道168号など、幹線道路が各所で通行どめとなり、一時期、紀南地域の交通は完全に麻痺した状態となりました。
 被災直後の救助・救援活動や孤立集落の解消、さらには住民が一日も早く日常生活を取り戻すためにも、できるだけ早く交通機能を回復させることが重要となります。
 そのため、今後、高速道路はもとより、X軸ネットワーク道路や川筋ネットワーク道路など、幹線道路の整備をより一層推進するとともに、こうした幹線道路と連絡する県道、市町村道、農林道等を含めた迂回ルートの確保に努め、災害に強い多重な道路ネットワークを形成するよう取り組んでまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ただいま迂回道路の必要性ということを確認いただきました。
 それでは、幾つもある道路整備のうちの今回は3点に絞って、西牟婁郡内の道路ではございますが、これに絞って御見解をお伺いしたいと思います。
 まず、県道白浜久木線の道路なんですが、実はこの道路、たしか昭和42年ごろから当時の白浜町と日置川町の双方で、この道路の開設によって山間部の生活環境が格段にようなると、そういう思いと願いの中で協議会をつくり、このことの取り組みがスタートいたしました。
 その後の取り組みの状況につきまして、県当局の御見解をお願いしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 県道白浜久木線の白浜町庄川地区から久木地区に至る区間につきましては、昭和58年ごろから逐次整備を進めてきたところであり、平成20年9月に、地元自治会を中心に新しく設立された白浜久木線改修促進協議会から知事に要望をいただいたところです。
 県としましては、地籍調査が完了し、準備が整えば、通行不能区間の解消に取り組みたいと考えています。このため、白浜町において平成21年度から久木側の地籍調査を進めていただいており、今後、未実施の庄川側についても、引き続き取り組んでいただくようお願いしているところです。
 そのような中、平成22年3月に庄川地区の一部地元住民から過去の用地等の問題で県に対して訴えが提起され、現在裁判を行っているところで、来年2月には判決が予定されています。今後の事業の進め方については、この判決の内容を見て、また、現在進められている地籍調査の進展を踏まえて、白浜町とも相談しながら検討してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ただいま県道白浜久木線の進捗状況について御回答いただきました。長い年月がかかっておりまして、その間、今御説明がありましたように、地元の皆さん方から提訴いただく、その中で今そういうことが進んでると、そういう御答弁でございました。
 本当に難しい問題になってしまっているんですが、地域の皆さん方の願いは1つで、一日も早くこうした諸問題が解決して新しい道路の完成を願いたい、もう一日も早く、そうしたことの思いをこの場でもぜひ伝えてほしい、そんな願いでもありましたので、ぜひ前向きにお取り組みをいただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは続きまして、道路関係のうちの2つ目です。
 次に、白浜空港フラワーライン線の進捗状況についてお願いをしたいと思います。
 この道路は、たしか、私も町議会議員をお務めしたことがございまして、平成の12年ごろに県当局から町議会の中で図面を見せていただいて、そして法線の図面を見ながら、新しいこうした提案の審議に加わらせていただいた経過がございます。
 あれからもう11年。今回、ようやくピアを建設いただいたりとか、そうした作業が進んでいるわけですが、どうやら昨年から、その法線の一部の変更のお願いを県当局のほうから、町あるいは地権者の皆さん方にそうしたお願いをされてるとお聞きをしているところですが、このことにつきまして、地元の皆さん方からいろいろ意見も出ているところです。まず、そこら辺のところの経過を県当局のほうからこの場でお返事を、少し経過の状況を教えていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 県道白浜空港フラワーライン線の未着手区間につきましては、平成22年9月、計画ルートの見直しについて地元説明を行いましたが、地元から強い反対意見が出されたことから、さらに見直しを行い、白浜町及び町議会の同意を得て、本年7月に再度地元に説明し、おおむねの了解が得られたところでございます。
 その後、現地測量及び詳細設計が完了しましたので、近くその内容で地元に説明させていただく予定です。
 県としましては、計画に対する地元の了解が得られれば、直ちに必要な都市計画の手続を行い、平成27年に予定されている近畿自動車道紀勢線白浜インターチェンジの供用に合わせて、スムーズに南紀白浜空港にアクセスできるよう整備を推進してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 そういうことで御答弁をいただきました。
 今、地元の方々の考え方ってどうなってるかというあたりのところを少し披瀝させていただきたいと思います。
 これは、昨年に地元の町長あてに地元の皆さん方が出した要望書でございます。私が今回、こうした道路網の整備について発言をするという情報がちょっと流れたようで、だったらこれをぜひということで、数日前に私のほうにいただいたものですが、このルート変更については、本当に当時、先ほどお話しさせていただきましたように、日にちをかけまして皆さん方の合意をとるべく町当局も一生懸命頑張って、その法線の確認をいただいてきた。その確認をいただいた法線の一部を昨年から変更したいと、こういう申し出です。
 したがいまして、当時も安全で安心して生活できる環境づくり、そういうことが大きなキーワードでの議論でありました。それがことしに入りまして、3月の11日にああした大きな地震が発生した、津波が発生したことを踏まえて、より一層安全で安心して生活ができる環境づくりという側面でのこの道路に対する期待が、すごくまた前と違ったレベルで大きな期待を持つような状況になっております。
 したがいまして、ちょっとこういう考え方をされておられるということも含めて、説明責任を丁寧にしていただきたいなと。やはり同じ県民でもありますので、理解をしていただけると、また理解をしていただいた上で道路ができるということが、やはり喜んでいただけるという意味からも大変重要でないかと考えるからでございます。
 今先ほどもお話ししてきましたが、この書類の最後に、変更ルート案は──今回の法線の変更ですね──私たちの命と財産を守ることに大きく反することです、こういうふうな考え方を持っておられるということを踏まえて、今回の法線の変更が、そうではなくて地域の住民の皆さん方にとっても有益な法線変更をさしてもろた、そうしたことをきちんと伝えていただいて、1人1人に納得していただける努力をしていただきたいと。そういうお願いをさしていただきまして、次に移らしていただきたいと思います。
 それから次に、道路の関係でもう1点です。
 林道将軍川線についてでございます。
 実は正直なところ、白浜町は日置川町と5年前に合併をいたしました。そのときまで、私自身、近くに住んでる者ではありましたけれども、この道路の存在を知りませんで、合併して初めて全町くまなく職員に連れていってもろて現場を見たんですが、そのときの私の一番、私のこの道路を見せてもろうたときの驚きなんですが、何とこれどこへ来たんやろか、こんなところに高速道路があると思ってしまったんです。それほどすばらしい道路が、スーパー林道ということでもありますが、完成をされていまして、本当にびっくりしました。
 道幅もそら半端な幅ではありませんし、ちょうど日置川町の一番奥の場所で上露という場所なんですが、ピアの高さも50メートルもあるかのように、下を見たら目がくらむようなところに道路をつくっていただいて、長年の山間部に生活する皆さん方に対して本当に希望の道をつくっていただいた。このことに対して、すごく勇気、この取り組みをしていただいたことにすごくありがたい、県当局の皆さん方に対する勇気に心の中で拍手を出さしてもうたような思いがありました。
 それからしばらくして、実はこの道路、もうこれで事業を終えたいんであると、こういうことで、それで全くそのこと自体は残念な思いをしました。ここまで来てて、これだけの道路をこしらえて、突然両方やめていくわけですから、全く、言葉は失礼かわかりませんが、宝の持ち腐れ状態になることは目に見えてる。
 そして、せんだってこの質問をさせていただく中で相談をさせていただくと、どうやら200数十億円ぐらいの予算の中のもう150億円ほど使ってる。そうした状態であるんだけれども、今財政状況もこういう状況でもあり、この道路についてそういう苦渋の決断をさしてもらったんや、そうした内容のお話でもありました。
 中止をいただいたときは、今回の我々の地域も、台風12号という、そういう大きな未曾有の本当に災害を受けることなんか当然想定外であったと思います。しかし、今回こうした災害を受けてこの日を迎えてみたときに、やはりこの山間部の迂回道路の重要性というのは、私だけでなく、恐らく当局の皆さん方も、地元の皆さんはもちろんのことなんですが、強く意識をされたと思います。
 一たん中止をする、中断をする、やめるという判断を下した道路ではあるわけですけれども、災害時の迂回道路としての役割、そういう機能を十分持った道路であると私は強く思います。そうした意味で、いま一度御見解をお伺いさしていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 林道将軍川線は、効率的な森林施業の促進や地域間を結ぶ道路として、全体計画16.1キロメートルのうち、日置川工区、古座川工区合わせて6.9キロメートルを平成6年度より着手しましたが、事業の効率化、重点化の観点から計画を見直し、既設林道の利用により早期効果が発現できる区間5.1キロメートルを平成19年度までに整備を行い、事業を完了しております。
 この地域の道路網整備につきましては、林道将軍川線につながる幹線道路として、すさみ町や古座川町内の国道371号や県道すさみ古座線は未整備な区間が多く残っており、大規模災害時にも機能するよう川筋ネットワーク道路として重点整備を図っているところです。
 そうした中、林道将軍川線については未整備な区間も多く残り、整備には多くの事業費を要することから、現在進めている周辺道路の整備の進捗を踏まえ、国道、県道、市町村道等も含めた道路網の中で、この林道の整備のあり方について今後検討してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 御答弁いただきました。ありがとうございます。
 今、最後のお言葉に、林道の整備のあり方について今後検討してまいりたいと、そういう趣旨の答弁をいただきました。本当に希望がちょっとつながり始まった、そんな思いでございます。地域の皆さん方の熱い思いをまた御検討いただきまして、ぜひそれの実行に前向きに取り組んでいただきたいなと、そういうふうに考えます。
 最後に、このふるさと林道のことなんですが、このふるさと林道の目的、こういうふうに書かれています。
 ふるさと林道緊急整備事業として、紀南地域では道路網の整備が急がれる中で、広域林業圏の森林開発と42号、371号など国道の迂回路を確保する──まさにこの迂回路です──和歌山県長期総合計画「わかやま21世紀計画」では、県内2時間行動圏の確立として計画された道路であると、当時、そういうことでスタートをいただいた道路でございます。ぜひ本当に今先ほど御答弁いただきましたように、余り無理なことも言えないということもよくわかりながらではございますが、ぜひ少しずつでもこれが道路の、やはりあそこまでつくっていただいたのが突然とまってるということ、これの利用は、すごく我々の次の世代に対しても責任ある仕事として進めていただけないかと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、道路関係の最後の質問です。
 私も白浜でおりまして、いろいろそういう立場におった中で、この地籍事業の推進ということなんですが、何かをするときに、本当にまず計画して、それええ話やのう、ぜひそれを前向きに考えていきましょう、そういうレベルのところまで来るわけですけれども、その後、次の言葉が、地籍ができてない、いわゆる公図が混乱状態にあると、こういうことで、どうしても、もう来年あたりそしたらやってもらえるかという話が、そうはどっこい、いかずに、地籍ができていないということで、それから3年、5年、10年と、そんだけの日にちを、10年というのは極端だったとしても、膨大な年月がかかるんがこの地籍なんです。
 私、少しオーバーな言い方かわかりませんが、和歌山県がこれだけ他の47都道府県の中でどうしても置いてきぼりを食ろてる、いろんなことがおくれてしまってる大きな理由の1つに、この地籍の事業がどうしても弱かった、このことになってくるんではないかと思います。
 地籍が今、日本国内で和歌山県がどのぐらいのレベルの位置にあるか、そんなことなんかもせんだってちょっと資料をいただいて確認したんですが、東京や大阪、名古屋であったりとか、神奈川県の横浜であったりとかは、当然、建物が密集してる状態のところでは、地籍というのはなかなかいろんな意味で難しい。そういう場所をのけたら──のけなくても、今、和歌山県は26%しか進捗していないんですが──そういう場所をのけると、全国、これで49%ということですけど、もっとこの比率というのは違ってくるんと違うかなと思います。
 これは一日も早く、和歌山県下はもう地籍はすべて終わったと。例えば、もう飛行場もつくる必要はないですけれども、飛行場1つつくろうと、そうしたときに、いつでもどこでもどうぞ、県内のどこでも見てください、地籍はすべて終わっています、どこからでも入ることができます。例えば高速道路のこと1つとっても、もうすべての地籍が終わっていますので、どこからでもスタートさしていただくことができます。2車線を4車線にするんでも、どこでもどうぞ、こういう条件を用意するということは、やはりこれからの県土の発展にとってどうしても欠かせない。このことがやっぱり始まりのスタートだと考えていますが、こうしたことに対して県当局の御見解をお伺いしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 企画部長柏原康文君。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 地籍調査は、土地の境界の明確化によりまして所有権の確実な保護を行うことを目的に行われるものでございますが、公共事業を円滑に進めることや迅速な災害復旧が行われることなど、多くの効果がございます。そのため県は、事業主体である市町村と協議をしながら、積極的に推進しているところでございます。
 現在、事業費予算については、平成23年度で約24億円を確保しておりまして、これは全国一となってございます。特に本県では、このたびの東日本大震災の発生を受けまして、ことしから特に津波被害の想定区域における調査を重点的に推進しているところでございます。
 今後も事業進捗に合わせ、確実な予算の確保に取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 事業予算につきまして、平成23年度で24億円を確保し、これの予算の規模からいうと全国一となっているということでございます。このことに対しては評価をさしていただきたいと思います。
 しかし、先ほどお話ししましたが、県内の進捗率は26%、まだまだ74%が残っています。このままの推移でいくと50年、100年とまだ完成までかかる、そのぐらい膨大な日時と費用と時間がかかると、こういう作業でもございます。
 最後にもう1点だけ、このことについて御紹介さしていただきましたら、私、白浜町内で道の駅的な温泉をつくろうと計画をいたしまして、職員にその計画の立案をさせ、そしてスタートさせようとしましたところ、すべてが終わったんですが、実は地籍ができていなくて、それ以降、7年もかかってしまいました。150坪前後の建物を建てていくのに地籍ができていなくて、そんなふうに時間がかかりました。
 今、もう時間との闘いの時代でもありますので、どんだけスピード感を持って物事をしていくかということが、大きな、ある意味、力でもあり、必要な資産という表現も使えるほど重要なもんであると思います。ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
 道路問題のことについて、最後に、これも経験をたびたびしてきたことでございますが、土地収用のことなんです。
 何か公共事業を進めよう、公共事業だけではありませんが、民間の皆さん方も、仕事を進めていこうとすると地権者との問題が大きく立ちはだかる。大方の地権者の皆さんは、国や県、町のそういう行政のする作業に対して協力的に取り組んでいただけるわけですけど、中にはそうでない方もおられまして、それで私らの地域では、もう50年ほどとまってると。それでも地権者の権利というのはやっぱりある程度尊重もしなければならない、そういうことで、なかなか、お互いまた町民という立場の中でも、大きな大なたを振るってというようなことはできていないんですが、このことによって大きくまた我々の公共福祉、全体のための公共福祉の推進のために我々は存在しなければならないと思うわけですが、それがなかなか推進できていないということも現実としてございます。
 この土地収用法の適用につきまして、県当局の御見解をお伺いしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 道路整備における用地取得については、通常、土地所有者と話し合い、解決しておりますが、了解が得られない場合などには、当該事業の完成目標を見込んだ適切な時期に土地収用法を適用することとしております。
○副議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 時間もなくなってきたので、ちょっとスピード上げます。
 次に、国立砂防防災研究所の設置についてという項目に入らしていただきます。
 この間から、きょうも濱口議員のほうからも地元の姿の披瀝がありましたが、本当に今回の大きな台風が発生したわけですが、今後、またいつ発生するかもわかりません。
 そうした土砂災害から住民の生命、身体、財産を守るためには、災害予防対策の一層の充実が必要であり、予防体制の充実強化を図るため、大規模な土砂災害が多数発生した本県に、仮称ですけれども、国立砂防防災研究所的な、そうした研究機関の設置はどうかという発言が続いています。これは、新聞報道の中でも続いておりまして、このことについて、県当局の御見解をお伺いしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 台風12号により本県で発生した大規模な土砂災害の特徴は、深層崩壊や山腹崩壊に伴う土石流の発生等、対策に高度な技術を要する土砂移動現象が発生した点にあります。これらの現象の解明を進め、災害予防対策を講じることが重要であると認識しております。
 議員御提案の趣旨も踏まえて、今後、国に対し、深層崩壊や土石流などの調査や研究を行い、災害予防対策の充実を進めることを強く働きかけていきたいと考えます。
○副議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
 引き続きまして、ダム放流のあり方についてということで質問をさしていただきたいと思います。
 今回、先ほどの濱口議員のほうからもありましたが、本当にダムと我々の生活のあり方というか、物すごい重要な局面を迎えたというふうに思います。ただ、私はダム不要論を言う立場にはありません。やはりこのダムの存在が我々の生活、生命と財産を守る、そういう側面で大きく力を発揮してきた、そういうこともやっぱり否めないところだと思います。
 ただ、今回の大雨、ただごとでなくて、先ほど2000ミリとかいう表現もちょっと使われてたようにも思いますが、とんでもない、本当に想定外の雨量があったわけです。こうしたときに、こうした想定外のことで、操作的なことなんかもやっぱり難しいことがあったんではないかと思いますけれども、1つ、例えば椿山ダムなんですが、せんだって、私の所属してる委員会でもこのことを地元の議員さんが発言をされておりまして、なるほどなと、なるほど、そら無理ないな、この人のこの発言、そう思うてしまうことというのは十分理解できる。それから引き続き、委員会で現場の視察もありました。視察でもやっぱりいろいろ考えるところがあって、なるほどと思うところもたくさんありました。
 そうしたことから、椿山ダムの放流のタイミングということに対して、本当に正しいタイミングだったかどうか。それから、椿山ダムでは事前に水位を本当に下げることはできなかったんかどうか。それから、椿山ダムの放流により被害が大きくなったという意見を言われる方もおられますし、実際、被害を受けた方はそのことをやっぱり主張されておられると、そのようにもお伺いしております。
 それと最後に、椿山ダムがそしたらなかった場合にはどうであったんか。一遍ちょっとこれは私も含め、やっぱり県民の皆さん方にこうしたことをきちんと情報を開示さしていただくことによって、このダムの有益性、あるいはそうしたことにより理解を深めていただくという必要性からも、やっぱり科学的な検証の話というのは欲しいな、そういう思いから、あえて御質問をさしていただきます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) ただいまの議員の御質問でございますが、椿山ダムは、台風12号時に下流の被害を最小限に食いとめるよう最善の操作を尽くしました。これについて、最初に当時の状況を順を追って説明させていただきます。
 椿山ダムには、治水部分として3550万立方メートルと、利水部分として400万立方メートルの容量があります。洪水の多い夏の間は、洪水が予測されるたびに放流により水位を下げる必要がないよう、6月1日からあらかじめ治水部分を空にして待ち受けております。
 今回の台風12号のときも、大雨注意報発令に伴いダムで警戒体制をとりました9月1日16時55分には治水部分を空にし、さらに利水の部分まで1メートル以上下がっておりました。
 2日3時ごろから雨が徐々に強くなりましてダムへの流入量がふえ、水位が上昇し始めましたが、水量が下流に被害のない範囲であったため、今後の貯水を考え、2日8時からそのまま放流しました。
 台風の接近に伴い、さらにダムへの流入量がふえ、そのまま放流すると被害が発生することから、2日の21時15分から一定の割合でため、残りを放流しました。3日の午後になり、流入量が急激にふえ続けたため、ためる量もふやしましたが、放流量もふえていきました。
 ダム管理事務所では、満水まであと8メートルを切った3日19時に、流入量の増加の勢い等からダムが満水になる可能性を想定し、下流の日高川町に、今後、ダムに貯留ができなくなり、流入した量をそのまま放流するいわゆるただし書き操作に移行する可能性があることについて事前に説明し、注意を促したところでございます。さらに、それ以降、毎正時に流入量、放流量を通知しております。
 さらに、21時5分には、改めて23時ごろからただし書き操作に移行する予定であることを正式に通知いたしました。
 3日23時には水位がダムの満水まであと2メートルに達しまして、このままため続けるとダムを越え一気にあふれ、下流が危険になる可能性があるため、ダムにためる割合を減らし始め、最終的には4日0時30分ごろ、流入量と放流量をほぼ同じとせざるを得ませんでした。
 これ以降もダムへの流入量はふえ続け、4日3時には流入量がピークに達し、貯水は満水まであと50センチに迫りました。しかし、この状態においてもダムへの流入量3962立方メートル毎秒に対しまして放流量3958立方メートル毎秒と、放流量が下回るよう調節したところでございます。
 今回の水害はダムが放流したためと思われている方がいらっしゃるかもしれませんが、この過程で流入量以上放流したことはございません。
 今回、計画規模を超える流入量により、椿山ダムでは初めてのただし書き操作となり、洪水を完全に防ぐことができませんでしたが、椿山ダムでは京セラドーム大阪29個分の水量をため、下流の被害を約4時間おくらせる効果を発揮しました。
 なお、試算ではありますが、今回の台風12号の流入量を椿山ダムで調節しようとすると6600万立方メートル以上の容量が必要となり、椿山ダムは治水部分と利水部分を加えても約4000万立方メートルしかないことから、2600万立方メートルが不足していたということになります。端的に申し上げますと、利水分も含めて空にしていても、今回の台風12号の流入量により椿山ダムはいっぱいになってしまっていたということでございます。
 しかしながら、今後のさまざまな降雨を想定しまして、椿山ダムの治水機能強化の可能性を少しでも追求することとしまして、事前に大規模洪水が予測される場合には、利水部分の水位を下げることについて関西電力に協力を申し入れ、同社の社長と知事との間では、原則合意しているところでございます。現在、実際にどのような場合に、どのような手続、タイミング、役割分担で協力を求め、事前の水位低下を実施するのか、協議を進めているところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 時間の関係もちょっとありますので、最後にこんなことを情報提供させていただいて、今後のことに活用いただけたらと思います。
 我々の住んでるところの日置川の上流に殿山ダムがあるんですが、殿山ダムから河口、海まで約30キロから40キロの範囲というふうに聞いています。その上流でダム放流すると、最近また再確認をさせていただきましたが、約1時間足らず前後で海に行く、ダムの水が1時間ほどで海に行く、そういうデータをもらっています。
 これはいろいろ、もう少し──だから私は、椿山ダムもダムの時点で放流したときに何分で海に行くか。海ということはダムの水が海に流れ落ちたことになるわけですから、あれ、4日間も雨が降り続きました。そのタイミングとか、いろいろそのことで参考にならないかとちょっと思いましたので、ぜひまた一度そういう側面からも研究をいただいて、本当にダムのよりよい活用の仕方、より住民の皆さん方にダムの存在を安心して見ていただける、そういう立場からも、科学的に住民の皆さん方にきちんと丁寧に説明をしてあげていただきたいなと、そのようにお願いをさしていただきまして、次に移らしていただきます。
 次に、2つ目の5つ目です。白浜町の田野井という地域がありますが、ここの排水問題についてお伺いをしたいと思います。
 ここの田野井の地域は、私の知ってる範囲でも、私の短い人生の中でも、もう何度も何度も床上浸水を受けている地域でございます。おかげさまで、でもそうしたことを踏まえて、県当局の皆さん方から──川の水面より低なってしまう場所なんです──川の水がそしたら田野井の地域の中に入らないようにということで、そういう装置を数年かけてつくっていただきました。
 このことによって、今回も日置川に降った大雨が川へ流入すること自体は避けることができたんですが、実はこの中に約50ヘクタールほどの田や畑、生活している住宅もあるわけですが、その背後に降った雨でそこが冠水をして、2メートル前後の水でまたつかってしまった、こういうことがありました。
 このことについて、私は、恒久的な排水対策のポンプを設置していただけないか、そういうお話をさしていただきました。このことに対して、県の当局の皆さん方も十分この地域の状況を把握いただいてるというふうに考えていますので、御見解を、ひとつ対策を、お考えがあればお聞かせいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 日置川の支川における内水被害でございますけども、この対策といたしまして、町が管理する支川に恒久的なポンプを設置するような場合には、交付金事業等の活用など、町からの相談にこたえてまいります。
 また、県といたしましては、想定される出動先までの道路の幅員等の制約条件を考慮しまして規格を決定した排水ポンプ車を今年度中に西牟婁振興局管内に配備しまして、広域的かつ機動的に運用してまいります。
 なお、浸水の程度が大きい場合には、さらに排水ポンプ車の出動を国のほうにも要請してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。ぜひどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、時間が少し押し迫ってまいりましたので、少し早口でしゃべらせていただきたいと思います。
 次に、観光産業の振興ということでお願いいたします。
 和歌山県は観光立県と位置づけ、観光産業の育成と振興に官民挙げて取り組んでいます。接遇講習の開催やパンフレット、チラシの制作、多国語看板の設置、外国人研修生の受け入れや外国でのプロモーション活動など、観光産業の育成と振興は、体力と神経の消耗戦のような取り組みでもあります。まず、平素の御苦労に感謝を申し上げたいと思います。
 さて、私は、選挙でも産業の育成でも、科学的データのもと展開すべきであると考えているほうでありまして、地元でもそんな話をよくしてまいりました。例えば、町が栄えているかどうかの指標として、1人当たりの町民所得がございます。白浜町など観光の町の1人当たりの町民所得がどういうふうな状況にあるかということは御存じでしょうか。御答弁をいただきたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 企画部長。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 県の統計情報では、市町村の経済力を総合的かつ計量的に把握するものとして、市町村民経済計算推計があり、その中で、企業所得等を含んだ市町村民所得があります。これをそれぞれの市町村人口で割った1人当たりの平成20年度市町村民所得を算出しますと、白浜町は約256万円、県内市町村で6位となります。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 実は今回質問さしていただくについて、このことについて、統計が大分、統計のもとになることが違って、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━、実は私はいつも、皆さん御存じでしょうか、「毎日新聞」が年に1度、この1人当たり自治体の町民所得というのを毎年発表しています。
 これを見て白浜でよく話をしたんですが、これだと白浜町が最下位なんです、258万円。白浜が最下位と、最初これ数年前に見たときにすごく衝撃を受けまして、じゃ、白浜って観光の町やからな、那智勝浦町ってどんなんやろうかと。実は、那智勝浦町に関連のある方、おられればお許しをいただきたいんですが、データの話ですから、29番目です。いずれも観光の町の数字なんです。一番トップは橋本市の362万と、こういうふうな数字なんです。
 これからの観光産業をリードしていくときに、やはりデータというのは、情報というのはきちんと持った上で、何でこんなことになるんか、こうした視点でやっぱり観光産業の育成もあわせて取り組んでいく必要性を強く考えています。
 そうした意味からも、これからも、データっていろいろ見方、考え方があるということもあるかわかりませんが、私はこのデータをもとにまちづくりの中の取り組みを進めてきたところです。
 これからもまた、そうしたことも含めて、これからの観光のまちづくり、観光地づくりというのはだれのためにするかと。そこに住んでいる皆さん方のための観光地である、そういう視点が非常に重要だというふうに考えておりますので、そういった意味でも、一度また詳しく御検証をいただけないかと思います。
 申しわけございません。時間のことがございますので、最後にもう1点だけ。1つ、すみませんが残りそうですので、お許しをいただきたいと思います。
 最後に、和歌山県の観光グランドデザインについてということで発言をさせていただきます。
 観光産業とは、人々の心に訴え、人々の心をとらえている産業であると思います。そして、その人々の心は時代とともに動いていくと感じています。
 また、観光立県を標榜し、観光産業で生きていく地域の我々は、例えば団体旅行中心の観光から個人観光が中心の時代に突入したように、いつの時代もそれを受け入れていく、受け入れていかざるを得ない受け身の姿でしかあり得ません。数ある産業の中で、入り口は比較的簡単そうに見えて一番難しい産業であると考えています。観光和歌山のグランドデザインをお聞かせください。
○副議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長大門達夫君。
 〔大門達夫君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 観光のグランドデザインについてですが、本県の観光振興につきましては、和歌山県長期総合計画において、郷土和歌山が有する豊富な自然、文化、歴史等の観光資源を売り出す、国内外から観光客を招く、本県を訪れた観光客を温かくもてなすという3つの柱のもと、平成29年度までに観光客数3300万人を目指すという長期的な目標を掲げて取り組んでいるところであります。
 さらに、観光振興施策を総合的、計画的に実施するため、和歌山県観光立県推進条例に規定された和歌山県観光振興実施行動計画を毎年度策定し、地元市町村、観光事業者及び観光関係団体と連携するとともに、その時々のトレンドやマーケットニーズに即応し、さまざまな観光施策に積極的に取り組んでいるところであります。
 今後とも長期的、広域的な視野に立ちながら、観光立県和歌山の実現を目指してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 所定の時間が迫っております。発言は簡潔にお願いをします。
 立谷誠一君。
 〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 今、御答弁いただきました場所に、さらに、今もうIT化が進んでいます。白浜においでになるお客さんの、一説には、すべてがということではありませんが、例えば民宿業を営んでる団体で、グループを組んでる団体があります。そこなんかはもう90%がコンピューターで、ネットで予約の注文が入ると、そういう時代です。
 これからもITをどんどんそうした中に取り入れた、そうした施策の中で、観光和歌山が他府県におくれることのないように、他府県より頑張った施策で地域の皆さん方の姿にこたえていただけますようにお力添えいただきますことをお願い申し上げまして、一般質問を終わらしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は12月12日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
 午後2時45分散会

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