平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 議長のお許しをいただき、一般質問に移らせていただきます。
 昨年12月に初めて一般質問をさせていただいてから、今回で3度目の一般質問となりました。これまで、子育て支援、子供の教育ということを、同じ思いを持たれる女性の代弁者と心に思いを置き、質問させていただきました。
 昨年12月には、県において子育て環境ナンバーワンという目標のもと、これまで紀州3人っこ施策や乳幼児医療費助成、こうのとりサポートなど種々の施策を勉強して、現在の子育て支援では県内全域にカバーできていない制度もあることなど、問題提起をさせていただきました。
 知事に、ナンバーワンとなるためには今後どのように施策の充実が必要か、考えをお伺いしました。和歌山に住んでよかったと思ってもらえるような施策を積極的に展開し、子供を産み育てる環境全般を充実させていくことが必要で、さらなる充実に努め、自他ともに認める子育て環境ナンバーワンを目指すとの力強い知事答弁をいただきました。
 あれから1年、具体的に子育て支援に対する県の取り組みはどのように充実されてきたのでしょうか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 さらに、来年度についてはどのようにお考えでしょうか。知事は「県民の友」12月号で平成24年度の新政策について述べられ、その第1の柱は安全を守ることで、目下、政策に磨きをかけていると表明されております。また、今議会冒頭の知事の御説明でも、「暮らしを守る『安心』の政策」を3本柱の1つとして実施し、子育て支援の充実を初めとした取り組みを進めていくと述べられましたが、平成24年度新政策において、いかなるビジョンのもと、具体的にどこにスポットを当て、どのように取り組まれるのでしょうか。
 また、昨年は児童虐待についてもお聞きしました。
 児童虐待、いじめはどうして減らないのでしょうか。家庭や学校というところは、本来、子供が安心して身をゆだねるべきところで、どうしてここまで破壊してしまっているのでしょう。私も子供を持つ親として大変心を痛めており、悲惨な虐待事件を1つでも減らせないものかと日々願っています。
 ところが、全国の児童虐待相談件数は、平成22年度は5万5152件、前年度に比べ25%も増加しました。一方、県内では、平成21年度の虐待相談件数は460件であったものが、平成22年度は640件と40%も増加しています。中でも、児童虐待の1つである子育て放棄、いわゆるネグレクトに関する相談件数が多かったので、ネグレクトの未然防止策について質問し、虫歯の治療が全くされずにほうっておかれた児童の発見がネグレクトの予防、発見につながるという指摘をさせていただきました。
 それゆえ、今般、本定例会において「和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例」を先輩議員とともに提案させていただきましたが、本条例が、育児放棄、虐待の兆候は歯を診ればわかるという専門家の御指摘に基づき、県の基本的施策の1つとして、虐待を受けた子供に対する歯と口腔の保健医療サービスの確保を全国で初めて明記したことに感慨深いものを私は感じております。
 ただ、児童虐待が大きく報道され、社会的に注目される中で、県内の児童虐待件数は、平成22年度ではネグレクトが189件に対して身体的虐待が280件と大幅に上回り、内容についても大きく変化してきているようです。
 そこで、子育て支援とあわせて児童虐待の未然防止策について、平成24年度の新政策において具体的にどこにスポットを当てて、どのように取り組むのか、知事にお伺いします。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 平成24年度の新政策の大きな柱の1つであります「暮らしを守る『安心』の政策」ということで、特に子育て支援の充実を掲げ、安心して子供を産み育てることができる子育て家庭の支援、次代を担う子供たち1人1人が健やかに育つための環境づくり、そういうものに取り組んでまいりたいと考えております。
 このため、第1に、子育て家庭の支援については、紀州3人っこ政策を初めとする子育て家庭の経済的な負担の軽減や、多様な保育ニーズに対応した保育環境の整備を推進するつもりでございます。
 第2に、子供が健やかに育つための環境づくりにつきましては、すべての新生児を対象に実施している先天性代謝異常等の検査について、より多くの疾患に対応する新しい検査方法の導入を図りたいと考えております。
 御指摘のように、さらに児童虐待への対応が本県についての大事な内容になると思います。まず、増加する児童虐待への対応といたしまして、県、市町村、警察、学校、保育所、医療機関等の関係機関が、それぞれの業務に関する機能や地域的な利便性を生かしながら緊密に連携し、虐待の未然防止を初め早期発見、早期対応から、家族の再統合と自立に至るまでのきめ細かな支援を行っていかなければいけないと思います。
 そのため、児童相談所においては、虐待の未然防止のために、養育支援を特に必要とする家庭を早期に把握し、子供を家庭で育てられないと考えるときの養護相談や、あるいは子供の性格や行動などの育成相談など、子育てに関するあらゆる相談に対応してまいりたいと考えております。
 また、個々の事例に適切に対応するため、虐待通告に際しての迅速な安全確認や支援に不可欠な職員の専門性の向上を図ることによりまして、児童相談所の機能の充実に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 現在までの子育て支援に関する取り組みにつきましては、子育て家庭の経済的な負担の軽減や子育てと仕事の両立支援、地域全体ではぐくむ環境づくり等を施策の柱として、その実現に向けて取り組んでまいりました。
 昨年、議員から県内全域をカバーした事業の実施をという御指摘をいただきましたが、その中で、保育サービスにつきましては、延長保育や放課後児童クラブ等において実施箇所数が着実に増加をしてきております。また、病児・病後児保育やファミリーサポートセンターにつきましては、広域実施等の検討を行っている市や町もございます。県としましても、実施に向けた支援を行っているところです。
 次に、児童虐待の未然防止につきましては、本年3月に市町村、医師会、歯科医師会など関係機関の協力をいただきながら、妊娠、出産、育児期に養育支援を必要とする家庭に係る保健医療の連携体制に関する指針を策定し、医療機関から保健機関や市町村への情報提供制度を構築いたしました。さらに、子育て中の親を対象として、親子のコミュニケーションや子供の問題行動への対処法など、子育て技術を習得していただくための学習の機会を市町村と協働して提供してまいりました。
 今後とも、市町村を初め関係機関と連携を図りながら、子育て支援施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、フリーゲージトレインの早期実現に向けた現状と課題について質問いたします。
 フリーゲージトレインの導入では、中村議員、花田議員初め、多くの先輩方がこれまでも質問されていますが、紀勢線についてはいまだに実現に向けた姿が一向に見えてきません。
 フリーゲージトレインは、皆様御承知のとおり、軌道間の狭い在来線と広い新幹線とを相互に乗り入れることのできる電車であります。現在、新幹線で東京方面から紀南地方に行く場合、新大阪でオーシャンアロー等に乗りかえなければなりませんが、フリーゲージトレインでは乗りかえの必要がないことや時間短縮が図られるなど、利便性が大幅に向上します。しかも、東京駅のホームから南紀に向かって直通列車の運行は大きなアナウンス効果もあり、観光立県和歌山を進めている私たち県民にとっての夢の実現であります。
 本年3月に九州新幹線が博多から鹿児島まで全面開通したことにより、新大阪─鹿児島間が3時間半で結ばれました。大阪の隣にある本県新宮市までも、やはり3時間半です。
 観光振興や地域活性化はもとより、紀伊半島に新幹線を直通運転させることの重要性は、今さら言うまでもありません。
 本年度も、6月の国の施策及び予算に関する和歌山県の提案においても、フリーゲージトレインの導入により時間短縮や乗り継ぎ解消の心理的負担が軽減され、地域住民の利便性の向上はもとより、観光客の増加や企業誘致等、地域の活性化が期待されるとしてフリーゲージトレインの早期実現化を要望しておりますが、その後の状況はどうなっているのでしょうか。
 平成22年9月に開催された軌間可変技術評価委員会では、在来線の曲線区間で現行特急の曲線通過制限速度を下回り、今後、新型車両による走行実験など、曲線通過性能の向上を図る技術開発の問題が指摘され、阪和、紀勢本線で導入する場合、1900億円もの巨額の費用が要ると言われています。この動向、その他課題はどれほどなのか、県はこのことについていかほどの熱意と重要性の認識を持って取り組んでこられたのか、企画部長にお伺いします。
 また、建設費の負担については、国、JR、地元がそれぞれ応分の負担をすることになりますが、地元は大変だなと言われています。逆に、JR、地元和歌山県に及ぼす利益についてはどうでしょうか。観光立県、地域産業の発展のため、どのような効果があるのか、企画部長にお伺いします。
 次に、台風12号による紀伊半島大水害の後、新宮─那智勝浦間の復旧については、この3日に全線が復旧いたしました。これもJR西日本初め関係者の方々の大変な御尽力によるものと、一県民の立場からも感謝を申し上げます。しかし、昼間の紀州路快速の普通電車化とも言えるダイヤ編成や関西国際空港との接続の改善など、本県のJRの利便性にはさまざまな課題があります。
 高速道路ネットワークの重要性は、今回の災害でも検証されたとおり重要なことは私も全く同感でありますが、21世紀の総合交通体系を考えたとき、県内の鉄道のさらなる充実が大切なことは間違いありません。
 こうしたことから、私はJR西日本と和歌山県との連携に強い関心を持っております。高速道路とあわせて、鉄道などの交通基盤の充実は本県の発展の礎です。今後、和歌山県の交通体系構築に向けて、JR西日本とどのように連携強化を図っていくのか、知事にお伺いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 半島に位置いたしまして南北に長い本県にとりまして、交通基盤の整備は県民の日常生活や地域の振興を支える上で非常に重要であります。高速道路と並びまして、特にJRは同時に大量輸送が可能でありまして、速達性、時間の確実性などから本県の重要な基幹交通であり、私も常日ごろからJR西日本に対し利便性の向上をお願いしているところであります。
 今回の台風12号で被災した紀勢本線は、JR西日本の懸命な取り組みによりまして、当初の予定より早く12月3日に全面復旧いたしました。私も、JR西日本には非常に感謝をしておりますが、地元の方々は復旧を心待ちにされ、開通時には地域を挙げて大歓迎されたことから、改めて鉄道が地域に果たす役割の大きさ、重要性を痛感したところであります。
 このことを重く心にとどめ、今後、列車の便数、速達性の確保や駅のバリアフリー化等による利便性の向上、鉄道を利用した観光振興などでJRとタイアップした取り組みを、沿線市町村や他の交通業者、あるいは観光業者と一体となって積極的に取り組んでいく所存でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 企画部長柏原康文君。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) フリーゲージトレインに係る国の動向と課題についてでございますが、議員の御質問にもございましたように、昨年の9月に開催されました国土交通省の軌間可変技術評価委員会で曲線通過性能の向上が必要との指摘がありましたが、その後、技術上の改良が施された後、本年10月の同委員会において、フリーゲージトレインの実用化に向けた基本的な走行性能に関する技術は確立したとの判断が示されました。
 今後、現行の試験車両による耐久走行試験を行った後、より軽量化、長編成化した実車両に近い形態での総合的な走行試験が必要とされています。
 これらに加えまして、実用化に向けた大きな課題としましては、新幹線から在来線へのアプローチ整備や在来線の改良などの取り組みが必要でございまして、それに伴う膨大なコストの低減が重要な課題となってきてございます。
 本県では、これまでフリーゲージトレインの早期実現に向け、政府提案等を粘り強く行ってきたところでございまして、今後とも積極的な情報収集等、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 それから次に、導入による効果についてでございますが、乗り継ぎがなくなることや在来線の改良による時間短縮が図られることにより、輸送人員の増加が見込まれます。また、新幹線ネットワークに組み込まれることによりまして、東京を初め全国で和歌山県の認知度が向上し、観光を初めとする産業の振興など、地域の活性化が期待されます。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、再生可能エネルギーの導入促進とメタンハイドレートについて質問します。
 東日本大震災により当初は東日本が深刻な電力不足になると言われていましたが、現在は全国に波及し、特にこの関西では原子力発電による発電比率が高いことから電力不足の長期化が危惧され、夏場に引き続き、この冬も節電を要請されるなど、県民生活に与える影響は甚大なものとなっています。
 一方、本県は日照時間が全国と比較して長いという地域特性や、コスモパーク加太の跡地など遊休地が存在するなど、太陽光発電など再生可能エネルギーの導入に適したポテンシャルを有していると考えられます。また、太陽光発電の導入についても、本県は国の補助制度が復活する前に国にその意義を提言し、全国に先駆けて補助制度を設けました。
 関西電力御坊火力発電所の隣接地に日高港新エネルギーパークが経済産業省の協力で国内最初に設置され、新エネルギーのテーマパークとして一般の方向けに再生可能エネルギー等の仕組みやメリットなどを展示するだけでなく、メタンハイドレートなど新エネルギー導入の普及宣伝に積極的に取り組んでいます。
 私は、今こそ本県は、エネルギーの地産地消と言われるべき再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組み、新エネルギー、再生可能エネルギーの導入をさらに加速化するため、事業者の初期投資負担を軽減するなどの各種施策を積極的に推進するべきものだと考えます。
 国においては、本年8月に電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が成立し、これまでの余剰買い取りから全量買い取りに大きくかじを切るとともに、メガソーラーの導入についても全量買い取りが基本となるなど、事業者が本格的に再生可能エネルギーに参入できる道筋が見えてきました。
 このことを受け、和歌山県では事業者の参入がどう進むか、また、県としてどのように再生可能エネルギーの導入をさらに進めるのか、知事にお伺いします。
 次に、メタンハイドレートについてお聞きします。
 御承知のとおり、メタンハイドレートは日本近海、特に和歌山県に近い南海トラフに最大の埋蔵量を持ち、日本の総資源量は日本で消費される天然ガスのおよそ100年分以上と推計されており、日本は世界有数のエネルギー資源大国となる可能性があります。
 東日本大震災を経験した我が国は、今後、原子力発電に軸を置いたエネルギー戦略は不可能になっていますが、現実に目を向ければ、原子力、石油・天然ガスなどの火力発電、それから太陽光発電といった再生可能エネルギーによる発電を最適なバランスで組み合わせていくことを求めていかなければならないと考えます。そのため、メタンハイドレート実用化について大いに期待したいところですが、実用化には、技術的、商業的にまだまだ課題もあると聞いています。
 このような状況を踏まえた上で、南海トラフ、熊野灘といった本県にとっては魅力的な地勢的環境から、メタンハイドレートを和歌山県としてエネルギー政策や地域振興の観点からどのように取り組むのか、お伺いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、再生可能エネルギーのほうでございますが、本県は日照時間が長い、それから未利用地もかなりあるということで、再生可能エネルギーの導入には適している地域であると思います。
 また、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が成立しまして、御承知のように、買い取り制度が進みます。この金額というか料金によって、事業者として採算が仮に見込まれるものがふえてくるとすれば、かなり積極的に具体的に事業が進んでいくものと考えて期待しているところです。
 これまでも県としては、このような制度がないときから、企業等からの相談に対するワンストップ対応や、全庁的に対応するための体制の拡充、加えて県内企業におけるエネルギー関連などの新技術開発を支援する制度を設けてきたところでありますが、今後とも県内市町村と十分連携して、再生可能エネルギーの導入支援を積極的に推進する所存でございます。
 次に、メタンハイドレートでございます。
 現在、国において進められているメタンハイドレート資源開発の計画におきましては、来年度から海洋産出試験、これを海底地形のなだらかな渥美半島沖で行う予定でございます。この試験を通じて、技術課題の抽出や経済的な生産手法の提示、我が国周辺海域の賦存状況の把握、環境影響評価手法の構築、こういうことを行っていくということになっております。
 熊野灘は、ちょっと海底地形は急峻なんですけれども、賦存状況においては負けるところはございませんので、本県の沖合に賦存するメタンハイドレート資源で商業化が見込まれることになりますれば、関連企業や研究機関の誘致などを通じて地域振興につながるものと期待されますので、県としては今後ともメタンハイドレート計画の進捗状況についてよく目を光らせ、アンテナを高く掲げ、実用化等に向けた動きに対し乗りおくれることがないように迅速に対応してまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 さきの9月議会でも質問がありましたが、私も今議会において、8月30日から9月4日にかけての豪雨で県内に甚大な被害をもたらした台風12号に関する質問をさせていただきたいと思います。
 私の実家は和歌山市内で料理店を営んでおりますが、日本料理の中で魚料理は主役です。魚といえば最初に海を連想する方が多いと思われますが、和歌山県には紀の川や熊野川、日高川、有田川、古座川など、多くの川が山々を縫うように流れています。
 川でとれる魚の代表はアユではないでしょうか。その繊細でよい香りのするアユは、塩焼きやアユずしなど、熱烈なファンが多い魚です。アユは、料理として味わうだけでなく、レジャーとしての釣りファンの多いことでもよく知られており、本県河川には県内外から多くのアユ釣り客が訪れ、近畿では1位の遊漁者数となっています。さらに、本年から和歌山県内水面漁業調整規則の改正により、有田川、日高川では日本で一番早い5月1日からのアユ漁解禁を行い、5月のゴールデンウイーク中の遊漁者を誘致し、山間地の宿泊客の増加につながったと聞いています。
 このような内水面漁業の取り組みは、本県の重要な観光資源としてのフィッシングの分野での魅力を高めるものであり、観光客誘致に果たす役割は大きいものと考えます。
 また、有田川では古式にのっとったウ飼いが行われ、ウを使ったアユ漁は多くの観光客を楽しませています。
 こうした和歌山の清らかな川や釣りの好適地という資源を活用した観光客誘致の取り組みをなお一層進めていただきたいと思います。
 そんな人気のあるアユですが、このたびの台風12号で、県内の内水面漁業の方や養殖業者の方々にとって、私たちの想像を絶するような壊滅的な被害が出ています。特に被害の大きかったのは日高川漁協で、アユやアマゴの養殖設備が大きな被害を受け、現時点では、これまで県内の川に供給してきたアユの稚魚を供給するめどが立っていないと聞きました。そればかりか、台風がもたらした記録的な豪雨は、川の水の流れの状況まで大きく変えてしまったところもあると聞きます。
 川には多くの生き物が生息していますが、食用となるアユやウナギなどを捕らえ、あるいはそれを調理することによって、また遊漁券、いわゆるアユの鑑札の販売や釣り客の宿泊で生計を立てていらっしゃる方もいます。そうした営みが、今回の水害によって今後の生計の基本が変わってしまうことはないのでしょうか。
 先日の新聞記事では、9月以降、遊漁券の極端な販売不振やアユの仕入れが滞るなどして、漁協では危機感を募らせていると報道がありました。また、河川環境も大きく変化した川があり、災害以前の状況に戻るまで相当の時間がかかるのではないかと心配する声が上がっているところです。
 9月の県議会農林水産委員会において、これらのことが議論され、特に被害の大きかった日高川漁協への支援について取り組む旨が農林水産部から説明がなされていますが、その後の激甚災害の取り扱いの経過等を踏まえ、改めて農林水産部長にお伺いします。
 現在、県が把握している水産業の被害の中で、内水面漁業に関する被害はどのようなものなのか。また、被害を受けた関係者への支援は進んでいるのでしょうか。
 次に、最も痛ましい、まさに壊滅的な被害を出した日高川漁協の復興、それはどのようなスケジュールで行われているのでしょうか。
 最後に、県として内水面漁業の復活に向け、どのように取り組んでいくのか。その際、紀の川市にある水産試験場内水面試験地の活用をどう図っていくのかについて、農林水産部長に答弁をお願いします。
 日高川漁協におかれましては、来年早々にも事業が再開される意気込みと聞いておりますが、懸命に支援をされている先輩議員にも敬意を表しますが、必死で頑張ってこられた地元の関係者の方々に称賛の拍手をお送りし、今後ますますの御繁栄をお祈り申し上げます。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長増谷行紀君。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) まず最初に、たびたびの失態をおわび申し上げます。済みません。
 台風12号による内水面漁業の被害は、水産施設が約4億円、アユ、アマゴ等の生産物が約2億9000万円、合わせて約6億9000万円となってございます。
 県では、漁業等共同利用施設の復旧に向けて、融資制度の利子補給率の引き上げなど、金融面その他での支援を実施しているところでございます。特に、被害の大きかった日高川漁協につきましては、11月25日に国の災害査定が行われ、年度内に支援金額が確定する運びとなっております。
 日高川漁協は、県内の河川に放流するアユ、アマゴ等の種苗生産の拠点として非常に重要な役割を担っております。被災当初は年内の復旧が困難であると思われましたが、先ほど議員から話がございましたように、関係者等の懸命の努力によりまして、現在、事務所機能や飼育施設の一部が復旧しているところでございます。アマゴは、11月初旬に滋賀県等から稚魚等を入手して中間育成を進めており、来春には放流ができる見通しでございます。アユは、12月以降に徳島県等から稚魚を入手、2月から採捕する県内産の海産稚アユを中間育成いたしまして、あわせて放流を実施する予定と聞いております。
 県としても、来年の秋にはアユ等稚魚の生産が平年ベースに回復できるように、引き続き日高川漁協の復旧を支援してまいる所存でございます。
 この台風の洪水によりまして、河川環境が大きく変わり、アユ、アマゴ等内水面資源への影響が非常に懸念されております。水産試験場内水面試験地では、日高川等でのアユの資源調査を継続し、今回の台風がアユ資源にどのような影響を及ぼしているのか、あるいは河川での産卵状況や海面での仔魚の分布調査を行うこととしております。
 こうした調査に基づきまして、引き続き、アユ資源を回復するために日高川漁協が行う稚魚の放流、親魚の保護や産卵場の整備などの支援を行っていくこととしております。
○副議長(前芝雅嗣君) 森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 最後に、自転車総合対策について質問させていただきます。
 最近、テレビのニュースやワイドショーで、自転車と歩行者、車とのトラブル・事故についての報道をよく目にいたします。環境に優しく経済的かつ健康の増進にもつながるということで、自転車通勤に変えたという人や、自転車を趣味の1つに加えたという人が周りにいらっしゃるのではないでしょうか。
 そのような中、10月25日、警察庁は自転車が車両であることを改めて周知徹底させ、自転車の歩道走行の取り締まりを強化する方針を打ち出しました。この公表により、自転車に乗る者、歩行者、車を運転する者のどの立場からも、その危険性と恐怖感を訴える声が出ていて、大きな波紋を呼んでいます。実際、私も自動車を運転しているとき、車道を走行する自転車に危険を感じたことが多々あります。
 確かに、幼児を乗せて車道を走行する自転車や通勤・通学で道路が込む朝の時間帯に、少しでも早く目的地に着こうとする自転車が、歩道と車道の両方の道を縫うように走り抜けていくのをよく目にいたします。また、車道を堂々と逆走する自転車もあり、自転車に乗る人や歩行者の安全の確保の観点から見ても、マナーの一層の向上が必須と思われます。
 今回、問題とされるスピードを出して楽しむ自転車や、ブレーキのついていない、いわゆるピストバイクによる事故が東京など大都市で多発したことが要因となり、自転車は車道へという方向につながったとも言われています。
 しかし、逆に一般の自転車を利用する方々にとっては、交通安全を図るための自転車総合対策がかえって自動車との走行との接近による危険と隣り合わせとなり、困惑の渦に巻き込まれているのではないでしょうか。ある新聞の記事によれば、10月25日の公表後、1週間で各地の警察署だけでなく、警察庁にも100件を超す問い合わせや苦情が殺到したということです。
 こうした中で、警察庁は、スピードを出す人以外は従来どおりの歩道走行で構わないと強調したと報じられていますが、このスピードを出す人のスピードとは一体どの程度のものであるのか全くあいまいで、利用者の困惑は募るばかりです。
 今や社会問題となっている自転車と歩行者、自転車と自動車、それぞれの間の安全性の確保を図っていくことが望まれています。今回、警察庁から公表された自転車総合対策を受けて、本県では自転車交通の安全確保についてどのように対応し取り組むのか、県警本部長にお伺いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 警察本部長山岸直人君。
 〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) まず初めに、自転車の交通事故の発生状況につきましてですが、全事故に占める自転車の事故の割合は、昨年中の全国平均では20.9%、本県では13.8%となっており、東京や大阪では30%を超えている状況にあります。また、自転車と歩行者の事故は、昨年中、全国では2760件、本県では8件発生しており、過去10年の平均では10件前後で推移をしております。
 今回の総合対策に関し、特に自転車の歩道通行について、「法律が改正されたが、自転車は歩道を通れなくなるのか」などの問い合わせが寄せられており、自転車利用者などが困惑している状況も見受けられますので、ここで少し御説明をさせていただきます。
 道路交通法上、自転車は車両であり、車道通行が原則ですが、一定の場合には歩道を通行することができると規定しております。
 1つは自転車歩道通行可の交通規制がなされている場合、2つは13歳未満の子供や70歳以上の高齢者、身体に障害のある方が自転車を運転する場合、3つは交通量が多く車道が狭いなど、自転車の安全のため歩道通行がやむを得ない場合であります。
 ただし、自転車が歩道を通行するときは、歩行者を優先して徐行しなければならず、また、歩行者の通行を妨げるようなときには一時停止しなければならないと規定をしております。
 したがいまして、議員御指摘のスピードを出す人のスピードの程度については、徐行すなわち直ちに停止することができるような速度と考えられ、それ以上のスピードで走行したい方は車道を通行していただくこととなります。
 今回の総合対策は道路交通法の改正を伴うものではありませんので、以上のような法律上の自転車の通行方法については何ら変わるところはございません。今後、道路を利用するすべての方に対し、自転車は車両であり、歩道上においては歩行者が最優先という原則を改めて御理解いただく必要があると考えております。
 県警察といたしましては、総合対策を進めるに当たり、歩行者、自転車、自動車の3者の安全を確保するため、関係機関、団体と連携しながら、自転車の通行環境の確立、自転車利用者に対するルールの周知と安全教育の推進、自転車に対する指導取り締まりの強化の3つの主要な対策を推進し、良好な自転車交通秩序の実現に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 御答弁をどうもありがとうございました。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
 午後2時42分散会

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