平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 午後1時0分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 本日12月8日は、太平洋戦争の開戦記念日です。戦争の犠牲者の方に思いをはせながら、また、ただいまの平和を本当に大切にする思いで一般質問をしてまいりたいと思います。
 1つ目、最初に、安全・安心の学校給食のため、放射能の長期モニタリング調査の実施について伺います。
 昨日も、粉ミルクからキログラム当たり最大30ベクレルもの放射性物質が検出されたとの報道がありました。福島原発事故による放射能汚染から子供と国民の健康を守る対策は、ますます重要性を増しております。私たち日本共産党でも、その対策を求めた政策を8月に発表いたしましたが、国の責任で都道府県が行っている食品検査体制を抜本的に強化することを求めております。
 そうした中、文部科学省がこのたびの第3次補正予算で学校給食検査設備の補助事業をつくり、今のところ東日本の17県に限定をされておりますが、給食用食材の放射性検査器を購入することに補助をすることになりました。
 食品に対する放射能汚染、中でも子供たちの食べるものへの心配の声が大きくなっているのは当然であります。現在、食品への暫定規制値の見直し作業が政府においても行われているようですが、その中で年齢別に規制値を設定することのねらいも、より影響を受けやすい子供たちへの心配からであります。
 ただし、日本の食品の暫定規制値についてですが、この前の議会でも藤本議員が指摘されておりましたが、国際基準とは乖離があります。私は、放射能の人体への影響については、今後の知見が蓄積されていく中で、さらなる見直しや改善がなされていくだろうと考えています。そうであるからこそ、基礎的な調査データの蓄積が大切になってくると考えます。今の基準では大丈夫でも、将来はわからない、基準以下だからすべてオーケーというんじゃなしに、現時点の知見では影響は考えられないというのが正確なところではないでしょうか。
 先日、県が主催した食の安全シンポジウムに行った方からも、県や学者が安全、安全と言ってくれたけれども、それを言われるほど不安になるとの感想が何人かから寄せられました。安心や安全というのは、行政が上から押しつけるものではないはずです。原発も、あれだけ行政、会社も一体となって安全だと言ってきたことです。安心は、住民の心からの理解の上に成り立つものであります。そのためには、実際に検査を行うこと、そして、長期にそのデータを蓄積して放射能の変化を見ていくことが必要になると思います。
 そこで、今回は学校給食に絞って質問いたしますが、神奈川県の横須賀市や綾瀬市の取り組みでは、給食というのは検食のために必ず保存がされているわけです。その検食のために保存している調理済みの給食そのものを、1週間ごとにまとめて精密な測定にかけていく。そうすることによって、手間も、そして余り費用もかからないようです。
 幸いといいますか、先日の補正予算で購入をしていただいた環境衛生研究センターの高性能の測定機は、まだ検査に余裕があるようですので、教育委員会としても、給食の放射能の長期モニタリング調査に向けて今検討を始められてはいかがでしょうか。まず、教育長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 給食の放射能の長期モニタリングの実施というお尋ねでございますが、学校給食につきましては、本県では以前から地場産業の活用を推進しているところであり、食材は県内産を初め市場に流通している食品を購入しており、安全なものであると認識いたしております。
 議員御指摘の横須賀市、綾瀬市の取り組みだけでなく、近隣県の状況などの情報を収集するとともに、現在、県が実施しているモニタリング検査の結果等を踏まえながら、安全性に懸念があると判明した場合には学校給食の食材としてその品目を除外するなど、市町村教育委員会と連携を図りながら、今後とも安全・安心な学校給食の実施に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
 私は、原発事故で放出された放射性物質との闘いは、本当に長期戦ということになってくると思います。セシウム137、半減期が30年と聞いてますから、今後少なくとも100年以上は監視検査が必要になってくると思います。私は、いずれ全国でこの監視体制というのが必要になるという日程が上ってくるというふうに考えております。ですから、やはりこのデータとしては長期にきちんと把握しておくということが大事ですから、それが、和歌山県がその先頭を切ってやるというぐらいの決意で今後検討されることを要望したいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 続いて2番目、紀の国森づくり税について伺います。
 今議会に、森づくり税を5年間延長する条例案が提案されておりますけれども、庶民増税が重なるこの時期に、住民税の均等割というほとんどの県民が納税せざるを得ないこの税について、超過課税を継続していくことは果たして妥当なのでしょうか。
 御承知のように、開会中の国会で東日本大震災の復興財源を調達するための増税が決められております。これに伴って、所得税や住民税など庶民増税を中心に11.2兆円の増税を行おうとしています。
 ところが、野田政権は、その一方で、法人税減税はこの大震災のもとでも財界に言われるまま予定どおり実施する、総額12兆円もの減税も予定しております。11兆円は庶民増税、12兆円は法人税減税、つまり差し引きで庶民増税はすべて法人税減税で消えてしまいます。復興のための財源という言いわけは通用しないというふうに思います。また、国民への増税期間は25年にも及ぶものになると聞いております。しかも、住民税の均等割に一律1000円を上乗せするというのが平成35年まで続くわけでございます。
 本気で復興財源を求めるのなら、法人税減税の見直しや証券優遇税制の減税をもとに戻すだけで、15年間で25兆円を超える財源が生まれるとされています。庶民増税なしに復興財源を確保することは可能だと考えます。このたびの森づくり税の延長提案は、まさにこうした庶民増税と重なって提案されているのであります。
 お配りした資料をごらんになっていただきたいと思います。資料2のほうです。個人県民税均等割の今後の推移というほうです。
 この表によりますと、赤い部分が森づくり税と復興加算による増税の部分でございますが、平成18年までは住民税均等割の負担は4000円だったものが、平成26年から28年までは、これは森づくり税、そして復興加算、両方乗せられまして5500円、それ以降、平成29年からは森づくり税をやめたとしても5000円という金額になってくるわけで、いずれにしても、平成35年までの上乗せが続くということになります。
 ここで、紀の国森づくり税に対して、県が行った県民アンケートについて見てみますと、平成22年、これは実施から3年目のアンケートですが、県民3000人のうち約65%の方が、このアンケートを見て森づくり税について初めて知ったという回答をされている結果となっております。こうした状況を考えるなら、私は、紀の国森づくり税が県民に根づいたとは言えず、また低所得者ほどますます負担増となることから、この5年間の延長には反対の立場をとらざるを得ません。
 ただ、この森づくり税を財源にした基金事業でございますが、その中には、子供たちへの森への触れ合いや、貴重な自然を保護するために自治体が森を買い取る公有林化など、すべての県民にとって有意義な事業もあったと思います。私は、そうであるからこそ、県民全体が利益を得られるようなこの事業については、森づくり税のような特定目的のための税ではなくて、広く一般の税財源から事業を行っていくべきだと考えております。
 こうした見解を述べた上で、知事にお尋ねをいたします。
 幾らすべて県民のために有意義な事業だからといっても、何か課題があるたびに特定目的のための税をつくって広くあまねく負担してもらうということになれば、まさに今回の復興増税のように、その増税が受け入れられなければ、その分野の県民福祉は我慢してもらうしかない、そんな事態になりかねないのではないでしょうか。
 私は、そうした事業については、やはり一般の財源で負担することこそ公平な行政のあり方であると考えるのですが、この点について知事の御見解をお示しいただきたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県は県土の約8割が森林でありまして、その森林は我々県民に多くの恵みを与えてくれ、特に水源の涵養、県土の保全、地球温暖化防止等に欠かせないものであります。
 これら公益的機能を有する森林からすべての県民が恩恵を受けているという認識に立って、県民の貴重な財産として守り育て、次世代に引き継いでいくことは大切なことであり、県民総参加で行った全国植樹祭によっても、すべての県民がふるさとの森を大切にする機運、これを大いに持ってもらったと思います。
 紀の国森づくり税については、施行以来、県民の皆様方にみずから税の負担をいただきまして、使うほうも4年間で228事業、5万人もの多くの県民にみずから事業へ参画していただいたところであります。
 こうした県民の納税と事業参画により、この税の基本理念が浸透し、森林を守り育てる貴重な財源であると県民に理解されたものと認識しております。県民の総意により、大切な森林を守り、間伐等も含めた森林の育成、保全等をより一層推進していくという超過課税である紀の国森づくり税の趣旨を御理解いただき、引き続き税条例の延長をお願いする次第でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 森林を守り、そして環境を大切にするという点では、本当に認識が一致してると思うんですが、どこにこの財源を求めるかという点で見解が違うわけですけれども、そうした皆さんが本当に恩恵を受けることだからこそ、私はもっとやはり一般の県行政の財政から支出をしていく方向で、ぜひ考えていただきたいというふうに考えております。
 次に、農林水産部長に伺います。
 お配りした森づくり税に関する、今度は資料のほうをごらんください。資料1のほうでございます。
 紀の国森づくり基金活用事業費の推移ですが、この森づくり基金による事業は、公募事業も──これは募集をした事業ですけれども──減少してきて、県が取り組む施策としても、昨年は植樹祭関連の事業があったため、かなり高いレベルを維持しておりますけれども、率直に言って使いあぐねているという状態が続いております。
 それで、右下の赤い欄が残額というか基金の残りなんですが、これは22年度末で3億9000万円近い残高となっております。大体、森づくり税1年半分ぐらいですね。
 知事は、さきの9月議会で中村議員の質問に対して、間伐事業を強く進めていくということを示されましたが、私は間伐事業自体は大切だと思いますし、これを使うこと自体は反対ではありませんけれども、税の性格上、これまでやってきた公共事業での間伐や林業施策の上での間伐とは一線を画す必要があるのではないかと考えております。
 これまでの成果や反省点とともに、今後実施されていくであろう森づくり基金を使ったこの間伐事業、農林水産部長、どのようにお考えなのか、答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長増谷行紀君。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) まず、紀の国森づくり基金事業の実績を申し上げます。
 一般県民の方々に御提案をいただく公募事業などにより、県内に約400ヘクタールの多様な森林の造成等が実施できました。また、森林の公的管理を進める事業では、保全すべき貴重な森林約400ヘクタールの公有林化を進めることができました。さらに、小中学生を対象として森林体験などを行う緑育事業におきましては、平成19年度当初の参加児童数300人が、昨年、平成22年度には約3000人にまで拡大するなど、子供たちにも森林への理解が深まりました。
 一方、間伐などの森林整備が期待したほど進まなかったということについては、私どもも認識しております。これは、間伐作業には専門的な技術が必要であることから、公募事業等では取り組みが難しかったのであろうと考えております。このため、間伐事業については、新たに県が主体的に実施する方向で検討を進めております。
 この中で、公共事業の間伐との線引きについてでございますが、以下の3点を条件とすることを検討しているところであります。
 1点目は、採算性が低いなどの理由により、森林所有者の努力では間伐が進みにくい、進まない森林であること、2点目は、将来広葉樹との混交林化を視野に入れた森林整備を行うこと、3点目は、事業実施後、少なくとも20年間は皆伐を行わないことを義務づけること、以上の3点でございます。
 また、森林の公有林化については、県としても貴重な森林資源や生態系を保存することは、県民の財産を守るという視点で重要であると認識しており、引き続き積極的に取り組む所存でございます。
 今後とも、紀の国森づくり基金事業の活用については、県民が広く参加し、森林への理解を深めるとともに、森林の働きを高めることにより、県民の共通の財産である森林の健全な育成に資するように取り組んでいく所存でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁いただきました。増谷部長には、次の質問への答弁もあわせていただいたみたいで、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━質問だけ読ませていただくんで、答弁は今のということで結構です。
 私は、この森づくり基金を使ったこれまでの事業の中でも、最もやはり今意義深いと思っているのは、今答弁もありました貴重な自然を残していくための森の買い取り、つまり公有林化だと考えています。残念ながら、これまで古座川町の約400ヘクタールの森の買収、事業費でいえば3000万円程度になるわけですが、こういうことについて、やはり残っている残額も含めて、しっかりこういう対策を、買い上げなんかをしていっていただくということを求めますといって答弁をいただくはずだったんですが、そういうことで答弁を先にいただきましたので、議長、次へ行ってもよろしいでしょうか。
 ──次に3番目、地方税の徴収について伺います。
 最初に、地方税の徴収猶予制度の周知について伺います。
 台風12号による被災者のうち自宅が被害を受けた人は、その被害の程度に応じて被災者生活再建支援法の適用となります。また、各種税金の減免制度が利用できることは、御案内のとおりであります。しかし、被災地では直接自宅が被災をしていなくても事業や商売の売り上げが激減している例もございます。また、災害がなくとも、御家族の病気や盗難などで収入が急に得られなくなる事態というのは当然起こることです。
 そんなときに、期限が来た税金の納税を一時猶予してもらえるという制度が、地方税法15条の定める納税の猶予の制度であります。少し読みますと、その対象になるのは、1つ、納税者がその財産につき震災、風水害、火災その他の災害を受け、または盗難にかかったとき、2つ、納税者が病気にかかり、または負傷したとき、3つ、納税者がその事業を廃止し、休止したとき、4つ、納税者がその事業につき著しい損失を受けたときなど、法律には書き込まれております。
 例えば那智勝浦町では、先日、農林水産委員会でも那智大社裏山の治山事業について視察に行きましたけれども、滝の周辺のお土産屋さんは、直接は被害はなかったものの、道路が通れませんでしたからお客が全くなく、売り上げゼロの日が続いたと言います。また、ある森林組合では、事務所自体が流されたものですから、山仕事を受けることができず、日雇いの山林労働者は収入が途絶えました。
 直接は被災していないものの、収入の面で大きな損失がある、こうしたときにこそ、先ほど申し上げた地方税法15条の適用がなされるべきです。
 しかし、実際、被災地の現場では、役場も大変な御苦労の中、その制度について皆が周知されているという状況にはないようです。私に相談のあった事例では、土地を借りて栽培していたシイタケが流されて、現金収入がなくなった方がおられました。役場は、固定資産税については減免の申請をしましょうと、国保税も一応減免の申請は受け付けるけれども、生活保護基準以下の収入でないとなかなか適用されんという御説明があったそうですが、やはりこのときも現金収入が途絶えたなら、税そのものの徴収が猶予できる地方税法15条の説明をすべきではなかったのかなというふうに考えております。
 こうした状況がある中で、幾つかお伺いします。
 最初に、地方税法15条の適用についてです。
 もう1枚、議場にも資料をお配りしております。縦長のほうの資料でございますが、これが今、県事務所などに置かれている税金のパンフレットなんですけども、一番下の部分に、私、赤線を引いたんですが、徴収猶予という欄がございまして、「台風12号により財産が被災したために、納税者がその徴収金を一時に納税することができないと認められるときは、納税を猶予することができます」というふうに書いております。
 でも、これを見ますと「台風12号により財産が被災したために」ということが書かれているために、本人は直接被害を受けていない方の場合は対象にならんのじゃないかと言う人がいても当然でありますし、そういう解釈の方がおられました。
 そこで、確認の意味でお伺いします。
 総務部長、直接台風被害に遭おうがなかろうが、地方税法15条の徴収猶予の適用は可能だというふうに思いますが、御答弁をお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長米澤朋通君。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 地方税法第15条の徴収猶予制度は、納税者が災害を受けたこと等により県税を一時に納付できない場合において、納税者に納税資金調達の時間的余裕を与えるための制度であります。
 納税者が直接災害を受けた場合のほか、例えば、取引先が災害などを受けたことにより債権回収が困難と認められる場合において県税を一時に納付できないときなど、法定の要件に該当する場合に適用されるものでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今、お答えいただいたとおり、適用ができるというふうに思います。
 それで、次に、税務の窓口でのこの法律条文の周知や掲示について伺いたいと思います。
 県税事務所に行きますと、この地方税法15条があることを周知するポスターや掲示というのが、私、見回して大分見たんですけれども、見当たりません。また、その申請をするための様式ですね、県では定められておりますけども、窓口には置いてません。県事務所や県下の市町村の窓口に、こうした掲示が本当にきちんとされているんかどうかということを総務部長に答弁いただきたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 徴収猶予制度につきましては、県税事務所等に相談窓口を設置し、納税者の方々の相談に応じるとともに、県ホームページへの掲載や納税通知書等にリーフレットを同封するなどにより、申告等の期限延長、減免などの被災者に対する軽減措置とあわせ、その周知に努めたところでございます。
 次に、市町村関係でございますが、市町村税に係る徴収猶予及びこれについての周知につきましては、県から市町村に対して、徴収猶予等の納税緩和措置を講じるなど適切に対応するよう助言したところでございます。
 これを受け、市町村においては、納税相談の際等に個々の納税者の状況に応じて適切に対応しているものと認識しております。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 置いてないんだけれども、この周知の際にはいろいろリーフレットをつけたりしているというお話ですけれども、私は、やっぱり災害を受けて、こうして住民生活が大変な時期こそ、こういう周知を徹底することは大事だと思います。
 せんだっても、ある県税事務所へ伺いました。そして、この徴収猶予の制度が知らされてないかと見たんですが、一番目立つのは、玄関に車のタイヤを置いて、税金を滞納しますと自動車へのタイヤロックとか差し押さえをしますよというような、こういうのが玄関の入り口にどんとあって、それで肝心の今こういう時期だからこそほんまに見てほしいこういう徴収猶予制度については、どこ探してもない。
 私は、これはやっぱりおかしいと思うんです。少なくとも、これぐらいタイヤを展示して目立つぐらい15条の適用もできます、困った人は相談してくださいということが、県の心ある税行政じゃないですか。私は、その改善を強く要望したいというふうに思います。
 次の質問に行きます。
 経済的にも不況にあえぐ中での今回の災害です。今申し上げたように、この地方税法15条の周知をきちんと県民に行って、窓口には申請書を置くという、この具体的な対応を求めたいと思います。これについて、総務部長、答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 徴収猶予制度の適用につきましては、災害等により一時に納付することができない事情について、個々具体的に適用要件を確認する必要があるため、相談窓口において、納税者の被災状況等を確認の上、申請手続の案内も含め適切に対応してまいりたいと考えております。
 市町村に対しましても、個々の滞納者の状況等を把握した上で適切に対応するよう、引き続き助言してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 適切に対応していくという御答弁でしたけれども、私は15条の申請をみんながみんなしたからといって、適用になるとは、なかなか難しい面もあると思います。しかし、そういう制度があるんだな、これ、うちの事例やったら使えんかなと気づいてくれることこそ大事なことやと思うんです。そういう意味では、まずポスターでお知らせして、そして申請書も窓口に置いて、これ何やろうなと気づいてもらうことから始めていただくことを、ぜひ強く要望をしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 和歌山地方税回収機構について伺います。
 この機構は、御承知のように、市町村から徴収困難な滞納事案を引き受けて専門的に滞納整理を進めるもので、平成18年に県内全市町村が参加してできた一部事務組合であります。一部事務組合ですから、定期的に組合議会もきちんと開かれております。
 この回収機構では、これまで滞納者の8割以上について差し押さえ等の滞納処分を実施して、その数は昨年度で1690件に上りました。また、そうした具体的な仕事とともに強力に推進しているのが、市町村に対して差し押さえや公売の手法、やり方を伝えるコンサルティング業務、そして、市町村から3カ月の短期研修として職員を受け入れて、実際に差し押さえとか捜索とか、こういうふだん経験しないような業務を体験させるということを行っておられます。その結果、市町村における差し押さえなどの滞納処分は、この間、急激にふえております。
 ただ、どの市町村も一律にふえているというんじゃなくて、特定の市や町が非常にふえているという状況がございます。例えば、年間200件以上を差し押さえている市町村は、昨年度の数字で和歌山市3594件、海南市269件、橋本市517件、田辺市567件、紀の川市694件、岩出市505件、かつらぎ町200件、そして私の住む白浜町の233件でございます。
 このように、全国的に徴税が強化されているという中で、住民から悲鳴が上がっております。
 これは他県の事例ですけれども、昨年1月、千葉県では、地方税の滞納を理由に役場から年金を差し押さえられた77歳の男性が孤独死しているのが発見されました。亡くなった男性は、一昨年10月、銀行口座に振り込まれた年金を役場に差し押さえられ、生活に困っているということを役場に訴えたんです。訴えても取り合ってもらえませんでした。その後、12月の年金も差し押さえられ、鴨川警察署によりますと死因は餓死で、所持金は110円だったということであります。この事件は、その後、共産党の佐々木衆議院議員が国会で取り上げ、当時の渡辺総務副大臣は、非人道的な徴収はあってはならないと答弁をされたところです。
 和歌山県内でもそうした事件はいつ起こってもおかしくない状態だと私は思います。例えば、橋本市では以前、住民だった86歳の男性の年金を差し押さえました。手紙を6回ほど送ったが返事がなかったということで押さえたらしいんですけれども、その方は、実は認知症も進んできて、なかなか手紙の内容を理解できていなかったようであります。でも、その方、通帳に現金がなくなって、もう死にたいということを言われていたそうです。
 ほかの市や町でも、こうした相談が私どものところへ寄せられています。このような状況は、特に地方税回収機構ができてから顕著に進んできたところであります。そうした状況にあることを前提にして、以下、総務部長に幾つかお尋ねをいたします。
 まず、この地方税回収機構の設立時の目標である全国平均の税の徴収率を目指すんだというこの点で、この機構の効果はどうだったんでしょうか。御答弁をお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 平成22年度の徴収率は91.5%で、平成17年度と比較いたしますと4.5ポイント改善しております。平成17年度には5.7ポイント差がありました全国平均とは、平成21年度では2.5ポイント差に縮小しております。
 このように、地方税回収機構は徴収率の向上という点で大きな効果を発揮しておるところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 徴収率を全国の平均に接近させていく、これは私はある意味わかるんですけれども、やはり各県の県民生活の状況というのはそれぞれ違いがあると思います。その平均という数字を追うこと自体が、果たしてほんまに妥当なんかどうか。税は、先ほど住民税均等割の話も申し上げましたが、今、国保税が高いとか、本当にこの均等割では低所得の人ほど重くなってきている、そういうことになってきているんです。
 そのことを考えれば、やはり全国一律、一律といいますか、平均の数字を追い求めているということ自体が自己目的化すれば、本末転倒になってしまうと私は思うんですね。そういうことでは、ぜひ改善をしていただきたいというふうに思います。
 次の質問に移ります。
 平成27年度まで回収機構を存続させるということになっておりますけれども、現状では毎年2500万円、県の補助金が支出され、そして4名の県職員の派遣というのがずっと続けられております。こういうことは、これからも続けていかれるのでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 補助金の交付及び県職員の派遣につきましては、機構の円滑な運営、個人県民税を含めた地方税の税収確保を図るため、引き続き必要と認識しております。
 それとあわせまして、機構もしくは県のほうからも支援策としまして、市町村における滞納処分については、滞納処分の厳正な実施だけではなくて、個々の滞納者の状況に応じて適切に納税緩和措置を講じるよう支援しているところでございまして、厳正な滞納処分とあわせて、個々の滞納者の事情に応じた滞納処分を実施しているところでございます。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 この機構への派遣なんですけれども、幾つか機構が各地にございますけれども、かなり県の高い負担になっているというふうに思います。いただいた資料では、隣の三重県が平成21年はなしというようなこともあります。やはり私、この機会にこのあり方も見直していくということを要望したいというふうに思います。
 次に、市町村から機構に移管しやすいような案件のみ移管されているのではないかという心配がございます。
 機構議会の議事録をいただきました。この議事録の中で言われていることがございます。ある町の町長さんですが、特定の滞納者についてまだ機構に引き継がれていないというのがあって、町の議会で言われることがあるんだけれども、ほかの団体にも滞納があって、それをどうするかということがありますかというような御質問をされております。
 私は、この質問も見て、いろいろまたあちこちからうわさも聞くにつけ、本当に困難な事例がきちんとこの機構に移管されてやられているのか、定められた移管基準のとおり運用されているんかどうかと心配をしたわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。答弁をお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 市町村から和歌山県地方税回収機構への移管事案につきましては、移管基準に基づき、市町村において滞納額や滞納者の状況等を踏まえて選定されており、適切に移管されているものと認識しております。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今、御答弁がありました。先ほど、この法的な処理だけやなくて、きちんと滞納者への対応もやっていくということで、部長の答弁の中にあったというふうに思います。私は、やはり行き過ぎた徴税にならないということを願っておりますし、ぜひそのことを県からも回収機構や市町村のほうに御指導をいただけますよう求めたいというふうに思います。
 議長、次の質問に移ります。
 最後に、滞納処分のあり方ということで伺いたいと思います。
 次に、県税の滞納で差し押さえを受けられたという白浜町のSさんの事例を参考に質問いたします。
 Sさんは、長年商売をされてきた方です。相談を受けました。平成18年分の個人事業税の延滞金2万2700円が滞納になっておりました。それで、ことしの春先まで紀南県税事務所から督促の電話や訪問がありました。2月には納付書も発行してもらって、支払いの約束をされたそうです。しかし、その後も払わずにいたところ、突然6月29日付の差し押さえ書が公売予告通知書とともに送られてきたということであります。見ると、Sさん名義の不動産がすべて差し押さえられています。営業用の店舗まで押さえています。
 その後、平成18年の個人事業税滞納分、大変だということで2万2700円をすぐ納めたので、この公売というところにまでは至らずに済んだわけですが、お話を聞きますと、「不動産を全部差し押さえるなら、どうして事前にちょっと声かけてくれんかったんか。こういう事態になるとは思ってなかった」ということであります。土地だけで1000平方メートルもの差し押さえ。びっくりした金融機関から、どうしたのかとの問い合わせがあったと言います。営業用の店舗まで押さえられていますから、もし公売されていたら、本当に商売を廃業しなければならないところでありました。
 こうした事例があったので、以下、一般的な対策、流れについて質問します。
 一般的に県税を滞納した場合に、不動産が差し押さえとなるまでの滞納整理の流れというのを教えていただきたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 県税につきましては、税負担の公平の確保の観点から、地方税法及び国税徴収法の規定に基づき、適正かつ公平な徴収が必要であると考えております。このため、納税者が県税を滞納した場合、督促状を送付後、一般的には文書及び電話催告等を行い、早期の納税の履行を促すとともに、一方で、納付の資力があるにもかかわらず催告に応じない等の滞納者につきましては、納期内納税者との公平の確保を図るため、不動産の差し押さえ等の厳正な処分を行うこととしております。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 お答えをいただきましたが、私は、差し押さえという、そういう重大な行いというものの前に、やはり再度文書なり電話をしたり、ずっと商売でおられるわけですから、必要はないのか。この方の場合、差し押さえまでの3カ月ぐらいの間は直接の対応というのはなかったと言われておりますけれども、この差し押さえの前の、今、部長、手続の答弁をいただきましたけども、その差し押さえの前に文書を出したり電話をしたり訪問したりという、この必要性はないんでしょうかどうか、このことをもう一度答弁お願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 御質問の事例について、ちょっと個々の事案についてお答えするのは差し控えさせていただきますが、先生が御質問の中で触れられている状況について整理いたしますと、2月に納付の約束もされておった、その後、電話や訪問面談による督促も行ってございます。そうした中で、納付の約束が守られなかったということでございまして、6月末に差し押さえを行ったものでありまして、その経緯については、議員が質問で、流れで触れられているとおりでございまして、こういう前提に立ちますと、今回の滞納処分も適切であったものと考えておりますし、今後とも滞納者の納付資力の状況、そういったものの把握に努めまして、適切な滞納処分に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたけれども、個々の事例ということじゃなしに、最初文書を送ったと。それから大分たって差し押さえられるという点なんですから、やはりその間に本当に一言声をかけていただけたら解決したというふうに思います。ぜひ、そういう対応をお願いしたいというふうに思います。
 次に、不動産ではなしに、銀行預金など換価をしやすいものから差し押さえていくというのは通常のやり方なんじゃないかというふうに思うんですけれども、こうした点については何か手続上の流れがあるんでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 銀行預金等の債権につきましては、不動産と異なり公示制度がないことから発見できない場合も多く、また、差し押さえの対象としてどのような財産を選択するかは法令の定めはなく、徴収職員の合理的判断にゆだねられております。
 これらの点を踏まえ、滞納処分に当たっては、滞納税の消滅時効の中断や税債権の保全等の差し押さえ効果のほか、滞納者に対して自主納税を促す心理的効果等についても十分に勘案し、適切に処分を行っているところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきましたが、どのような財産を選択するかは定めがないんで徴収職員の合理的判断にゆだねられているということと、滞納者に対しても自主納税を促す心理効果がある、そういうことについてやっていくんだと言われましたけれども、私、せんだって勉強するときにいただいた資料の中で、平成23年度徴収対策についてという税の資料がございましたけれども、その中では早期に差し押さえしなさいということを書いている中で、やはり預金や給与、生命保険、賃料等、早期収入確保ができる財産の差し押さえを優先するんだという運用が書かれております。
 私は、先ほど部長が答弁されたようなところでいえば、職員の合理的判断にゆだねられているというんですが、恣意的な運用になってしまわないかということを心配しています。
 一方で、部内の資料では、そういう早期に収入確保できる財産の差し押さえを優先しなさいというふうに書いているし、今の御答弁の中では心理的効果なんかも考えてやるんだというふうに言われた。どちらが正しいといいますか、具体的な事例としてふだんやられていることなんでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 一般論で申し上げますと、今回、延滞金2万2700円ということでございますので、仮に銀行預金等の債権を発見できておれば、そちらのほうで対応しておったかと思います。
 さらに、不動産の差し押さえについてですが、不動産については、差し押さえを受けましても公売されない限りは生活や営業に差し支えないということでございまして、動産のように占有が移るものと異なりまして、動産、不動産という点では、不動産のほうを通常は優先的に差し押さえさせていただくというものです。預金債権が発見できておれば、預金債権のほうで対応したかと思います。
 大半の県民の皆さんは納期内納付していただいておりますし、あと、またかなり生活が厳しくても、分納等によって納税努力を続けていただいておる納税者の方も多くいらっしゃいますので、滞納処分については厳正な処分を行ってまいるという基本方針でございますので、その点、御理解いただきたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきましたが、私は今の御答弁も聞きながら、確かに、今お話もありましたけれども、その時点で2万2700円ですから、ほっとかんとちゃんと払わなあかんというふうには思うんです。そやけれども、それだけしか見ていない。木を見て森を見ていないということにはなりはしないか。
 県としては、自分の守備範囲のこの県税の部分、滞納2万2700円は確かにきちんと見ておられます。でも、この方は事業をやってますから、国税も消費税も何十万と納められている、商売をしている。もし仮に気がつかないまま公売されていたら、本当に大変な事態になってきたというふうに思います。
 それで、私、この問題の最後に、かつて国税庁から──かつてといいますか、今も生きてるんです──税務運営方針というのがございますから、読んで終わらせていただきます。
 税務運営方針の中で、納税者と一体となって税務を運営していくには、税務官庁を納税者にとって近づきやすいところにしなければならない。そのためには、納税者に対して親切な態度で接し、不便をかけないよう努めるとともに、納税者の苦情あるいは不満は積極的に解決するよう努めなければならない。また、納税者の主張に十分耳を傾け、いやしくも一方的であるというような批判を受けることがないよう細心の注意を払わなければならないという、一部ですが、述べられております。これは、地方税にも当てはまることです。
 ぜひ、この税務運営方針の理念に基づいた税行政を執行されていくことを望みまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。

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