平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(坂本 登議員の質疑及び一般質問)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(坂本 登議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第122号及び議案第130号から議案第158号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 14番坂本 登君。
 〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、質問を行います。
 今回の質問は2点に絞って行います。
 第1点は関西電力和歌山発電所立地問題について、第2点目は農産物のブランド化についてであります。
 まず、第1点の関西電力による和歌山発電所立地問題についてでありますが、この問題は、既にこれまでも多くの先輩・同僚議員が取り上げ、議論されてまいりました。
 今回、私は、現下のエネルギー事情にあって、本プロジェクトは県内外に極めて重要な意味を持つものであるとの認識から、知事並びに当局の取り組みの方針や現状についての見解を伺うものであります。
 3月11日に発生した東日本大震災の惨状は、遠く和歌山からも胸の痛む思いでございました。この大災害によって御家族や親しい方々を亡くしたり、傷ついたりした方々の胸中をお察しいたしますと、察するに余りあるものがあります。その悲しみの中から復旧・復興に向かう姿には、ただただ頭が下がる思いとともに、震災発生から9カ月、寒い冬を迎えます。一日も早い復旧・復興を願わずにはおられません。
 さて、この地震、津波災害に輪をかけて深刻な問題を投げかけたのが、福島第1原子力発電所の爆発事故及びそれに伴う放射性物質の大量放出事故であります。今回の事故で大気中に放出された放射性物質の量は、一説によりますと、広島に落とされた原子爆弾20個分に匹敵する量だと言われております。一日も早い事故の収束を心から願うものであります。
 事故発生以来、原子力発電に対する国民の目線は大変厳しいものに変わってまいりました。本当に原子力発電は安全なのか、子や孫に及ぼす放射線汚染の影響は、多くの国民の疑問や不安は膨らむ一方であり、さらに汚染地域の拡大やホットスポットの存在、農漁業への影響は、私たちの原子力発電に対する不安感を一層大きなものとしております。
 脱原発か、卒原発か、議論は大いに結構でありますけれども、原子力発電をめぐる状況は、新規の立地はもとより、現に稼働している原子力発電の定期点検以降の再稼働さえなかなか見通しが立たないという状況が続いております。このままでは、3割近くを原子力発電に依存する我が国は電力不足になることは必至であります。
 ことしの夏の東京電力の節電対策は記憶に新しいところでありますが、最近の報道によりますと、ことしの冬は何と関西電力の電力不足が一番心配されるとか。10%を上回る節電対策が必要との報道もあります。事故を起こしたのは東京電力なのに、何で関西電力の電力需要が一番厳しいかといえば、それは関西電力の原子力発電に依存する割合が最も大きいからであります。
 関西電力は、福井県を中心に約50%を原子力発電に依存しております。この発電所が稼働できないということになれば、関西電力の管内の電力不足は火を見るよりも明らかであります。しかしながら、関西には関西電力以外に電気を供給する事業者はありません。関西電力に頑張っていただく以外に選択肢はないのであります。
 こう考えてまいりますと、関西電力のとるべき方向はかなりはっきりしてきます。それは、過度な原発依存から原発以外のエネルギーによる発電体制へのシフトであります。すなわち、火力発電や自然エネルギーを活用した多様な電源への移行であります。
 しかしながら、このシナリオには大きな問題点があります。石油火力発電は、既に新規立地はしないということが決まっておりますし、風力発電やソーラー発電といった自然エネルギー活用型の発電も、将来的には大きな期待があるものの、直ちに間に合うというものでもありません。
 そうなりますと、平成9年に電源開発基本計画に組み入れられました和歌山発電所計画が俄然大きくクローズアップされてくるのであります。
 おさらいを兼ねて、和歌山発電所の計画概要を振り返ってみます。
 平成3年、当時、鉄鋼不況に悩む住友金属は、沖合に埋め立てていた西防波堤沖埋立地の利用計画について、その見直しを希望表明し、これを受ける形で地元和歌山市が関西電力によるLNG火力発電所の誘致を公表いたしました。もとより住金の沖合埋め立ては、住金自身の公害対策が本来の埋め立て目的でありましたから、その用途変更については国を巻き込んだ手続が必要であり、このため県は、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会という有識者による委員会を設置、その妥当性について審議が始まりました。
 平成9年4月には、同委員会からLNG火力発電所を含む土地利用計画が答申され、11月には中央港湾審議会において、和歌山下津港港湾計画の改定が承認されました。同年7月には、第135回電源開発調整審議会において電源開発基本計画を組み入れることが承認され、その後、土地の権利移転を経て、関西電力によるLNG火力発電所の立地計画が本格化したのであります。既に平成16年には地盤改良工事が完了しております。
 発電所計画の概要を見ますと、燃料は、さきにも触れましたように液化天然ガスであり、液化天然ガスは、石油火力発電に比べ、環境に与える負荷は格段に低いと言われております。出力は、1号機、2号機合わせて370万キロワットの規模であります。当初は平成16年ごろ運転開始を計画しておりましたが、電力を取り巻く全体の需要低迷から関西電力全体の設備もだぶついた状態となり、計画も先延ばしという状態で今日に至っております。
 ただ、この和歌山発電所の計画は、現在も関西電力の計画ではそのまま継続されているはずであります。まず初めに、この点を商工観光労働部長に確認をしておきます。
 発電所の新規立地などについては、毎年関西電力から経済産業大臣に計画が提出されていると思いますが、この和歌山発電所建設計画はどういう位置づけになっておりますか。お答えいただきたいと思います。
 福井の原子力発電の先行きが不透明な現状にあって、もし和歌山に370万キロワットの発電所の建設が進むのであれば、それは関西電力にとっても大変大きな意味を持つものと思います。
 一方、人口が100万人を割り込もうという本県の最大の課題は、若者の働く場、すなわち雇用の場が少ないということに尽きると思います。平素から企業誘致に力を注いでおられる知事にとって、95万平方メートルという広大な用地の有効活用を図り、雇用を生み出し、地域の経済活性化に貢献するこの和歌山発電所計画は、大変大きな、重要な役割を持つプロジェクトであると言えます。すなわち、和歌山県と関西電力はともにウイン・ウインの関係になり、ひいては関西経済、さらには日本全体の安定的なエネルギー源として大きな意味を持つプロジェクトであると確信をしております。
 そこで、質問です。知事に2問。
 第1点は、この際、知事は関西電力に対し、和歌山発電所計画の早期の具体化を強力に働きかけてはどうか。第2点、本プロジェクトに対する関西電力の現在の取り組みはどうなっているのか。
 続いて、商工観光労働部長に2点。
 第1点は、和歌山発電所計画が具体化した場合の地元雇用に与える影響、第2点は、計画が具体化した場合の経済波及効果はどの程度のものが見込まれるのか、お答えいただきたい。
 以上、日高郡選出の私が和歌山市内のプロジェクトについて質問することに違和感をお持ちの同僚の方もおられると思いますが、御存じのように御坊市に火力発電所があり、その運転による排煙が梅の生育に影響するのではないかとの問題が地元の積年の課題になっていまして、関西電力の発電計画が少なからず私たち日高郡の梅の将来に影響してまいりますので、あえて質問に及んだ次第でございます。この点をお含みおきの上、御理解を賜りたいと思います。
 以上をもちまして、第1点目の和歌山発電所立地問題の第1回目の質問とさせていただきます。
○議長(新島 雄君) ただいまの坂本登君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故によりまして、原子力発電所に対する国民の目線は大変厳しくなっておりまして、新規の立地はもとより、現に稼働している原子力発電所の定期点検以降の再稼働も見通しが立たないという状況が続いていることは、坂本議員の御指摘のとおりであります。
 そういった中、石油や石炭など他の化石燃料に比べて環境負荷の少ないLNGを燃料とする和歌山発電所は、これからの電力の安定供給には欠かせない施設になると大いに期待しているところでありまして、機会があるごとに関西電力に対し、計画の具体化を私からも要請しているところでございます。
 今後も引き続き関西電力に対して、和歌山発電所を速やかに着工するように強く働きかけてまいりたいと考えております。
 関西電力によりますと、和歌山発電所予定地においては地盤改良工事を実施しておったんですが、それの後、現在のところ現地における工事を中断している状況、これがもう何年もその状況になっております。しかしながら、昨今のエネルギー供給を取り巻く環境を踏まえると、関西電力は従来どおりの電力供給が可能なのか、今後の電力調達をどうすべきか等、さまざまな方策を検討しているのではないか、そういうふうに思います。
 県としては、国の動向、それから今申し上げました関西電力の状況、そういうものを踏まえながら、いずれにしても和歌山発電所の建設については、前向きに早く取り組むように積極的に働きかけてまいる所存でございます。
○議長(新島 雄君) 商工観光労働部長大門達夫君。
 〔大門達夫君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 初めに、和歌山発電所建設計画の位置づけについてですが、電気事業法に基づき、関西電力が毎年度、経済産業大臣に届け出なければならない供給計画によりますと、現在のところ、和歌山発電所は着工準備中となっており、運転開始時期は平成33年度以降になると計画されております。
 次に、和歌山発電所計画が具体化した場合の地元雇用についてですが、発電所計画が具体化された場合、建設工事及び運転開始以降の運用において要員が必要となることから、地元雇用についても増加につながると考えられるところです。
 なお、あくまで参考といたしまして、平成9年当時には、地元、県外という区別なしではございますが、建設時に1100名程度、運転開始後には400名程度の雇用が見込めると試算されております。
 次に、経済波及効果についてですが、当時と経済状況なども異なり、一概には言えませんが、財団法人和歌山社会経済研究所による平成9年の試算によりますと、和歌山発電所の建設投資額を1兆円として、産業連関モデルにより県内波及効果を予測しましたところ、約4000億円の県内経済波及効果が見込まれているところです。
 主な産業別で申し上げますと、建設業が2170億円、サービス業が557億円、製造業が487億円、商業が255億円などとなっております。もし和歌山発電所計画が具体化した場合には、これに類する経済波及効果が期待されるところでございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 坂本 登君。
 〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 和歌山火力発電所の問題につきましては、和歌山LNG発電所問題について、既に立地予定地関連道路も完成し、その工事費は住友金属の企業負担であり、現在は県に管理が移管されていることは御承知のとおりであります。
 住金の埋め立て工事費は約900億円余りと聞き、土地は海でありますから、国民、県民の財産でもあります。このような、現在の関西電力が未着工のまま放置するならば、道路管理や負担のみを県民に押しつけることにもなりはしないかと。そのような立場からも、知事は強く関電に対応すべきであると思いますが、ただいま知事から力強い答弁をいただき、今後の取り組みに対し明るい展望を持つことができました。引き続き頑張っていただくことに期待し、要望といたします。
 次に第2点、農産物のブランド化という視点から質問し、答弁を求めます。
 本県の農業には、既に有田のミカン、桃山の桃、九度山の柿、みなべの梅、北山のジャバラなど、全国に誇る農産物がたくさんあります。これもひとえに先人が汗と知恵で築き上げてくださったおかげであり、今日、このおかげを受けている我々の世代は、この財産を次の世代へと大事に受け継いでいかなければなりませんが、現状を見ますと、他産地との競争はますます激化し、農業王国和歌山といえども、この先、安閑とはしておられません。激しい産地間競争を勝ち抜いていくための最も重要なキーワードは、私は高級ブランド化ととらえております。
 本県には、誇るべきブランドがたくさんあります。農業部門について見れば、かつての有田みかんがそうでしょう。今日では、さしずめ、みなべの梅がこれに匹敵します。北山のジャバラも、またしかりであります。漁業では、日高のクエが既に関西では広く認知されているところであり、この先、全国ブランドを目指すというところまで来ております。
 一度ブランドとしての地位を確立すれば、その分野における競争力は飛躍的に高まります。米におけるコシヒカリを考えれば、なるほどと思いますし、肉における松阪牛といえばだれもが納得いたします。
 しかしながら、私たちはこのブランドという極めて魅力的な付加価値をつくり上げていく過程における関係者の途方もない努力と知恵と、生産者のたゆまぬ汗と涙を忘れてはなりません。
 例えば、南高梅を例にとってみますと、たくさんの梅の木の中から南高梅を選抜した竹中先生の炯眼、これを育てた南部高校の地道な努力、実際圃場でこれを栽培し、定着させた農家の方々の汗の数々、消費者に広く受け入れられやすいようにと研究開発に努めた研究機関、一段の付加価値をつけるべく製造工程に工夫に工夫を重ねた加工工場、商品化の過程で知恵を絞り込んだ問屋と、全国に販路を求めて足を棒にして頑張った流通業者、みなべの梅は、こうした歴史と関係者の努力によって全国屈指のブランドに育ってまいりました。
 そして、最も大切なことは、先人のこの努力が、今日に至るまで、生産者から加工業者、流通関係者まですべての関係者に引き継がれ、さらに、よりおいしい、より安全なみなべの梅を目指した取り組みが瞬時とも途切れることなく続けられているという事実であります。
 ブランドは一夜にしてならず。しかし、せっかく築き上げたブランドを失うのもまた一夜であるということも事実であります。情報化の時代にあって、他産地や意欲のある農家はウの目タカの目で先進地のノウハウを盗もうと必死であります。このブランドを守り育てることは容易ではありません。私たちは、改めてこのブランドを守り抜き、育てていくという決意を新たにし、戦略的にこれに対処をすべきであります。
 私は、それにはまず産地側の協力は必須条件だと考えています。我が国果樹農業のパイオニアとして全国の先頭を走った有田のミカン、その後の後進地の追い上げは既によく知るところでもあります。逆に、先進地に追いつけ追い越せとばかりに努力を重ね、今や全国のブランドに近づいているあら川の桃や九度山の柿などは、その努力のたまものであるとも言えます。
 製造業でありますが、海南の和雑貨は全国的にも圧倒的なシェアを誇ります。しかし、この業界は、製品を輸送中に、その製品と同じか、それにちょっと改良を加えられた製品がつくられているとよく言われます。この話は本当かどうかは定かでありませんが、まさに生き馬の目を抜く激しい競争の中でお互いが切磋琢磨し、新商品開発への不断の努力がなされている業界であることをよく言いあらわしております。また、島精機製作所のブランド力は、本県経済の救世主として県民にひとしく尊敬され、感謝されているところであります。
 農産物にあっても同様でありますが、築き上げたブランド、このブランドの力を維持し、高めていくためには、産地側の必死の努力が必要であり、とりわけ農産物の場合は品質の大半が自然条件に左右されることから、生産者の御苦労はまことに涙ぐましいものがあります。それだけに、一たんブランドとしての地位を確立しますと、他産地との価格競争や市場における知名度などに関して絶対的な強みを発揮することになります。今や梅干しといえば南高梅、梅酒といえば紀州と相場は決まり、他の追随を許しません。
 花粉症に効くとして有名になりました北山のジャバラは、ネット販売で即日完売と聞きます。このレベルまで来ますと、マスコミも積極的に取り上げてくれ、テレビでの宣伝もふえ、結果としてPRも他産地を圧倒するという、まさにいい方向へ、いい方向へと勝ち組のサイクルが始まります。
 このように、ブランドの強みは大変大きなものがあります。私は、この際、県内農産物、水産物について、一層のブランド化への取り組みを強く求めるものであります。
 もとより、ブランド化に必要な人材とノウハウは、一朝一夕にできるものではありません。優秀な人材、例えば大手スーパーや百貨店のバイヤーといったような人材の積極的な導入と地道な専門職員の育成が必要でしょう。流通、販売面での協力を取りつけることも重要な課題であります。必要な宣伝、広告も打っていかなければなりません。
 こうした認識のもと、次の3点について当局の見解を伺います。
 第1点は、国内向けの対策であります。
 県産の農産物及び水産物を対象に一定品目を選定し、3カ年計画でブランドとしての定着をねらう。現に宮崎県は、知事のキャラクターも手伝いましたが、多くの農産物が短期間に一挙にブランド化になったことは記憶に新しいところであります。県挙げてブランド強化作戦といったようなプロジェクトを立ち上げてはどうですか。農林水産部長の答弁を求めます。
 質問の2点目は、国際ブランドを目指してはどうかということであります。
 そのためには、生産者の協力が必要なことは言うまでもありませんが、1人1人の生産者を超えた行政のバックアップも必要にして不可欠であります。幸い、知事は外国の大使も歴任され、国際人であり、国際感覚と語学力に卓越されていることは広く県民の知るところでもあります。
 本県は、中国やアメリカなど5カ国と友好協定を締結しており、友好協定の目的の1つに経済交流が明記されております。相手国の事情や嗜好の好みもあるでしょうが、調査の上、その国における和歌山ブランドを目指してはどうでしょうか。既に、他県のリンゴやイチゴなどにそうした意欲的な例も紹介されているところもあります。知事の決意をお尋ねしたいと思います。
 TPPの議論がどこに落ちつくかは予断は許さない状況でしょうが、いずれにしろ、打って出る農漁業を目指すこともまた大変重要なことであります。
 3点目は、産地に対する指導であります。
 ブランド化の最大の問題は、生産者の理解と意欲と努力でしょう。生産者が意欲を持てるような仕掛けが必要であります。生産者の登録を制度化し、少数精鋭主義による高品質化を図り、生産者には濃密な技術指導や情報の提供などを行い、市場競争力を高めるような対策を打ってはどうでしょうか。農林水産部長の答弁を求めます。
 以上で、私の最初の質問といたします。(拍手)
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国際競争力のあるたくましい産業をはぐくむ和歌山を創造するために、県では、特に農産物あるいはその加工品、これに注目いたしまして、農林水産部に平成19年度に食品流通課を立ち上げまして、全国で初めてジェトロから職員を迎え、アジアを中心に高級百貨店での和歌山フェアの開催や、あるいは国際見本市への出展など、本格的な海外市場の開拓を開始いたしました。高品質で安全・安心な本県産品の独自性や、あるいは優位性をアピールして、海外での和歌山ブランドの確立に現在努力しているところでございます。
 本年8月は中国山東省と遼寧省、11月は新島議長初め12名の議員の方々と米国カリフォルニア州及びフロリダ州を訪問し、梅酒、しょうゆなど県産品商談会及び和歌山県観光・物産トッププロモーションを開催いたしました。
 県では、恵まれた自然や歴史、伝統、文化といった地域特性を生かした県産品のブランド化を目指し、引き続き生産者や事業者と連携しながら、関係者の所得向上につながる販売促進活動を展開してまいりたいと考えております。
 海外でのトップセールス等、私自身がこれまでの経験をフルに生かして販路開拓を推進いたします。また、アドバイザーとして迎え入れております商社OBの貿易実務の経験も大いに活用しながら、職員にもどんどん海外に出撃さして、輸出ノウハウを蓄積さして、県内事業者の海外市場開拓を継続的にサポートしていく所存でございます。
 また、こういう点については業界の努力も必要でございまして、こういう点で、特にこの近い過去におきまして、東京でJAグループが総出でプロモーションを直接行って、私も参加をさしてもらいましたが、こういうような動きは大変歓迎すべきところだと思っております。
 また、団結も必要でございまして、特にブランド化のためには、いろんなブランドがたくさん分散してると、なかなかそれを確立しにくいわけでございますので、それぞれの業界、産地においていろんなブランドをつけるというのはいいんですが、ぜひ和歌山というのも付加してもらえるようにこれからお願いをしていくように、それで全体として和歌山のイメージを高めていきたいと、そんなふうに思っております。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長増谷行紀君。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 国内向けの対策について、景気の低迷や、果実を初めとする消費の減退を背景として市場価格が伸び悩む中で、生産者の所得を確保するためには、他産地との市場競争に負けないブランドづくりが不可欠でございます。
 県では、これまでブランド化に向けたさまざまな取り組みを展開してまいりました。梅、桃、柿、ミカンなどの大都市圏でのトップセールス、首都圏の人気百貨店等での和歌山フェアの開催、観光と連携した首都圏イベントの実施、アンテナショップ「わかやま喜集館」の活用などにより、県産品のブランド化を推進してきたところです。
 また、農産物、水産物はもちろんのこと、工芸品や技能、伝統芸能といった和歌山の誇るべき財産を推奨するプレミア和歌山という制度も実施してまいりました。
 販路開拓については、バイヤー等とのマッチング等を目的に、FOODEXやスーパーマーケットトレードショーなどの展示商談会への出展を積極的にサポートしてまいりました。
 これまでの5年間の取り組みを第1ステージと位置づけ、次のステップにおいては、まさしく議員御提言の県を挙げてのブランド強化作戦プロジェクトを、JAグループなどの生産者とのブランド強化戦略を共有しつつ、大手企業等とのコラボレーションといった手法も取り入れながら邁進してまいる所存でございます。
 次に、産地に対する指導でございますが、生産者の登録につきましては、「味一みかん」や「赤糖房」などで優良園地や農家の登録制度を導入してブランド農産物をつくる取り組みをJA等生産者みずからが実施しており、県としては、こうした取り組みを支援してまいったところでございます。
 県といたしましては、こうした地域での取り組みにより生産された農産物について、安全・安心、健康などの本県産品の強みをアピールしながら積極的に販売を促進するとともに、今後とも市場ニーズやバイヤー等のアドバイスを生産部門へフィードバックするなどし、生産から流通、販売までの一貫した指導により、ブランド化の取り組みを広げていく所存でございます。
○議長(新島 雄君) 坂本 登君。
 〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 農産物のブランド化問題に対して、若干思い出話を交えながらお願いをしておきたいと思います。
 昨年になりますが、青森で、おかみの会、全国大会の会合がありました。二階代議士より梅の宣伝に行かないかとお誘いがあり、私もその会に出席することになりました。
 県からは、ジェトロから出向いておられた食品流通課長が一緒でした。彼は1袋に入れた梅を、チラシを配る際に、「この梅は和歌山の梅です」と言って、その際、それぞれの方に、この梅はピロリ菌予防、メダボによい、がん予防によい、動脈硬化によい等々、1人1人にお話をしながら配られておりました。そのとき、おかみたちは口々に「ここで売ってくれないの」と言われておりました。参加者が切れたときに、課長は私の顔を見て、「売る梅、持ってきたらよかったな。たくさん売れたのにね」。私は、そばで見ていて、なかなか商売上手な人だなと感心をいたしました。
 2つ目の例は、知事がみなべの企業を訪れたときであります。内容は触れませんが、地元や企業からある要望に対して、知事はなかなか首を縦に振らない難しい要望でありました。関係者がやきもきする中、経済産業省から出向し、同行していた企業政策局長が「知事にも天敵がありますからね」、ぽつりと一言漏らしました。知事はむっとして、「だれだ、その天敵というのは」と難しい顔をしていましたが、数呼吸置いて局長は「それは知事自身の胸のうち、心でしょう」と返されました。その言葉の意味を理解したのか、知事の顔がほころんだとき、私は知事の顔を見ていると、内心、決まったなと思いました。
 私が言いたかったのは、知事の立場を正しく理解し、時には耳の痛いことも進言し、知事に正しく判断させる、県民の心に響くという人材が県政にとってとっても大切なことだなとの印象を強く受けましたので、この際、思い出話をつけ加え、私の質問を終わります。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。

このページの先頭へ