平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第4号(全文)


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平成23年12月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成23年12月8日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第122号及び議案第130号から議案第158号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第122号及び議案第130号から議案第158号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(1人)
 12番 川口文章
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説明のため出席した者
 知事 仁坂吉伸
 副知事 下 宏
 知事室長 野田寛芳
 国体推進監 中村正次
 危機管理監 宇恵元昭
 総務部長 米澤朋通
 企画部長 柏原康文
 環境生活部長 保田栄一
 福祉保健部長 鈴木敏彦
 商工観光労働部長 大門達生
 農林水産部長 増谷行紀
 県土整備部長 森 勝彦
 会計管理者 米山重明
 教育委員会委員 柏井洋臣
 教育長 西下博通
 公安委員会委員長 大桑いく嗣
 警察本部長 山岸直人
 人事委員会委員長 守屋駿二
 代表監査委員 楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 森田実美
 次長 佐本 明
 議事課長 堀 達也
 議事課副課長 吉田政弘
 議事班長 中井 寛
 議事課主任 中尾祐一
 議事課主査 保田良春
 議事課主査 中村安隆
 総務課長 上坊 晃
 調査課長 谷村守彦
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 午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第122号及び議案第130号から議案第158号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 14番坂本 登君。
 〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、質問を行います。
 今回の質問は2点に絞って行います。
 第1点は関西電力和歌山発電所立地問題について、第2点目は農産物のブランド化についてであります。
 まず、第1点の関西電力による和歌山発電所立地問題についてでありますが、この問題は、既にこれまでも多くの先輩・同僚議員が取り上げ、議論されてまいりました。
 今回、私は、現下のエネルギー事情にあって、本プロジェクトは県内外に極めて重要な意味を持つものであるとの認識から、知事並びに当局の取り組みの方針や現状についての見解を伺うものであります。
 3月11日に発生した東日本大震災の惨状は、遠く和歌山からも胸の痛む思いでございました。この大災害によって御家族や親しい方々を亡くしたり、傷ついたりした方々の胸中をお察しいたしますと、察するに余りあるものがあります。その悲しみの中から復旧・復興に向かう姿には、ただただ頭が下がる思いとともに、震災発生から9カ月、寒い冬を迎えます。一日も早い復旧・復興を願わずにはおられません。
 さて、この地震、津波災害に輪をかけて深刻な問題を投げかけたのが、福島第1原子力発電所の爆発事故及びそれに伴う放射性物質の大量放出事故であります。今回の事故で大気中に放出された放射性物質の量は、一説によりますと、広島に落とされた原子爆弾20個分に匹敵する量だと言われております。一日も早い事故の収束を心から願うものであります。
 事故発生以来、原子力発電に対する国民の目線は大変厳しいものに変わってまいりました。本当に原子力発電は安全なのか、子や孫に及ぼす放射線汚染の影響は、多くの国民の疑問や不安は膨らむ一方であり、さらに汚染地域の拡大やホットスポットの存在、農漁業への影響は、私たちの原子力発電に対する不安感を一層大きなものとしております。
 脱原発か、卒原発か、議論は大いに結構でありますけれども、原子力発電をめぐる状況は、新規の立地はもとより、現に稼働している原子力発電の定期点検以降の再稼働さえなかなか見通しが立たないという状況が続いております。このままでは、3割近くを原子力発電に依存する我が国は電力不足になることは必至であります。
 ことしの夏の東京電力の節電対策は記憶に新しいところでありますが、最近の報道によりますと、ことしの冬は何と関西電力の電力不足が一番心配されるとか。10%を上回る節電対策が必要との報道もあります。事故を起こしたのは東京電力なのに、何で関西電力の電力需要が一番厳しいかといえば、それは関西電力の原子力発電に依存する割合が最も大きいからであります。
 関西電力は、福井県を中心に約50%を原子力発電に依存しております。この発電所が稼働できないということになれば、関西電力の管内の電力不足は火を見るよりも明らかであります。しかしながら、関西には関西電力以外に電気を供給する事業者はありません。関西電力に頑張っていただく以外に選択肢はないのであります。
 こう考えてまいりますと、関西電力のとるべき方向はかなりはっきりしてきます。それは、過度な原発依存から原発以外のエネルギーによる発電体制へのシフトであります。すなわち、火力発電や自然エネルギーを活用した多様な電源への移行であります。
 しかしながら、このシナリオには大きな問題点があります。石油火力発電は、既に新規立地はしないということが決まっておりますし、風力発電やソーラー発電といった自然エネルギー活用型の発電も、将来的には大きな期待があるものの、直ちに間に合うというものでもありません。
 そうなりますと、平成9年に電源開発基本計画に組み入れられました和歌山発電所計画が俄然大きくクローズアップされてくるのであります。
 おさらいを兼ねて、和歌山発電所の計画概要を振り返ってみます。
 平成3年、当時、鉄鋼不況に悩む住友金属は、沖合に埋め立てていた西防波堤沖埋立地の利用計画について、その見直しを希望表明し、これを受ける形で地元和歌山市が関西電力によるLNG火力発電所の誘致を公表いたしました。もとより住金の沖合埋め立ては、住金自身の公害対策が本来の埋め立て目的でありましたから、その用途変更については国を巻き込んだ手続が必要であり、このため県は、西防波堤沖埋立地利用計画検討委員会という有識者による委員会を設置、その妥当性について審議が始まりました。
 平成9年4月には、同委員会からLNG火力発電所を含む土地利用計画が答申され、11月には中央港湾審議会において、和歌山下津港港湾計画の改定が承認されました。同年7月には、第135回電源開発調整審議会において電源開発基本計画を組み入れることが承認され、その後、土地の権利移転を経て、関西電力によるLNG火力発電所の立地計画が本格化したのであります。既に平成16年には地盤改良工事が完了しております。
 発電所計画の概要を見ますと、燃料は、さきにも触れましたように液化天然ガスであり、液化天然ガスは、石油火力発電に比べ、環境に与える負荷は格段に低いと言われております。出力は、1号機、2号機合わせて370万キロワットの規模であります。当初は平成16年ごろ運転開始を計画しておりましたが、電力を取り巻く全体の需要低迷から関西電力全体の設備もだぶついた状態となり、計画も先延ばしという状態で今日に至っております。
 ただ、この和歌山発電所の計画は、現在も関西電力の計画ではそのまま継続されているはずであります。まず初めに、この点を商工観光労働部長に確認をしておきます。
 発電所の新規立地などについては、毎年関西電力から経済産業大臣に計画が提出されていると思いますが、この和歌山発電所建設計画はどういう位置づけになっておりますか。お答えいただきたいと思います。
 福井の原子力発電の先行きが不透明な現状にあって、もし和歌山に370万キロワットの発電所の建設が進むのであれば、それは関西電力にとっても大変大きな意味を持つものと思います。
 一方、人口が100万人を割り込もうという本県の最大の課題は、若者の働く場、すなわち雇用の場が少ないということに尽きると思います。平素から企業誘致に力を注いでおられる知事にとって、95万平方メートルという広大な用地の有効活用を図り、雇用を生み出し、地域の経済活性化に貢献するこの和歌山発電所計画は、大変大きな、重要な役割を持つプロジェクトであると言えます。すなわち、和歌山県と関西電力はともにウイン・ウインの関係になり、ひいては関西経済、さらには日本全体の安定的なエネルギー源として大きな意味を持つプロジェクトであると確信をしております。
 そこで、質問です。知事に2問。
 第1点は、この際、知事は関西電力に対し、和歌山発電所計画の早期の具体化を強力に働きかけてはどうか。第2点、本プロジェクトに対する関西電力の現在の取り組みはどうなっているのか。
 続いて、商工観光労働部長に2点。
 第1点は、和歌山発電所計画が具体化した場合の地元雇用に与える影響、第2点は、計画が具体化した場合の経済波及効果はどの程度のものが見込まれるのか、お答えいただきたい。
 以上、日高郡選出の私が和歌山市内のプロジェクトについて質問することに違和感をお持ちの同僚の方もおられると思いますが、御存じのように御坊市に火力発電所があり、その運転による排煙が梅の生育に影響するのではないかとの問題が地元の積年の課題になっていまして、関西電力の発電計画が少なからず私たち日高郡の梅の将来に影響してまいりますので、あえて質問に及んだ次第でございます。この点をお含みおきの上、御理解を賜りたいと思います。
 以上をもちまして、第1点目の和歌山発電所立地問題の第1回目の質問とさせていただきます。
○議長(新島 雄君) ただいまの坂本登君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東日本大震災による東京電力福島第1原子力発電所の事故によりまして、原子力発電所に対する国民の目線は大変厳しくなっておりまして、新規の立地はもとより、現に稼働している原子力発電所の定期点検以降の再稼働も見通しが立たないという状況が続いていることは、坂本議員の御指摘のとおりであります。
 そういった中、石油や石炭など他の化石燃料に比べて環境負荷の少ないLNGを燃料とする和歌山発電所は、これからの電力の安定供給には欠かせない施設になると大いに期待しているところでありまして、機会があるごとに関西電力に対し、計画の具体化を私からも要請しているところでございます。
 今後も引き続き関西電力に対して、和歌山発電所を速やかに着工するように強く働きかけてまいりたいと考えております。
 関西電力によりますと、和歌山発電所予定地においては地盤改良工事を実施しておったんですが、それの後、現在のところ現地における工事を中断している状況、これがもう何年もその状況になっております。しかしながら、昨今のエネルギー供給を取り巻く環境を踏まえると、関西電力は従来どおりの電力供給が可能なのか、今後の電力調達をどうすべきか等、さまざまな方策を検討しているのではないか、そういうふうに思います。
 県としては、国の動向、それから今申し上げました関西電力の状況、そういうものを踏まえながら、いずれにしても和歌山発電所の建設については、前向きに早く取り組むように積極的に働きかけてまいる所存でございます。
○議長(新島 雄君) 商工観光労働部長大門達夫君。
 〔大門達夫君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 初めに、和歌山発電所建設計画の位置づけについてですが、電気事業法に基づき、関西電力が毎年度、経済産業大臣に届け出なければならない供給計画によりますと、現在のところ、和歌山発電所は着工準備中となっており、運転開始時期は平成33年度以降になると計画されております。
 次に、和歌山発電所計画が具体化した場合の地元雇用についてですが、発電所計画が具体化された場合、建設工事及び運転開始以降の運用において要員が必要となることから、地元雇用についても増加につながると考えられるところです。
 なお、あくまで参考といたしまして、平成9年当時には、地元、県外という区別なしではございますが、建設時に1100名程度、運転開始後には400名程度の雇用が見込めると試算されております。
 次に、経済波及効果についてですが、当時と経済状況なども異なり、一概には言えませんが、財団法人和歌山社会経済研究所による平成9年の試算によりますと、和歌山発電所の建設投資額を1兆円として、産業連関モデルにより県内波及効果を予測しましたところ、約4000億円の県内経済波及効果が見込まれているところです。
 主な産業別で申し上げますと、建設業が2170億円、サービス業が557億円、製造業が487億円、商業が255億円などとなっております。もし和歌山発電所計画が具体化した場合には、これに類する経済波及効果が期待されるところでございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 坂本 登君。
 〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 和歌山火力発電所の問題につきましては、和歌山LNG発電所問題について、既に立地予定地関連道路も完成し、その工事費は住友金属の企業負担であり、現在は県に管理が移管されていることは御承知のとおりであります。
 住金の埋め立て工事費は約900億円余りと聞き、土地は海でありますから、国民、県民の財産でもあります。このような、現在の関西電力が未着工のまま放置するならば、道路管理や負担のみを県民に押しつけることにもなりはしないかと。そのような立場からも、知事は強く関電に対応すべきであると思いますが、ただいま知事から力強い答弁をいただき、今後の取り組みに対し明るい展望を持つことができました。引き続き頑張っていただくことに期待し、要望といたします。
 次に第2点、農産物のブランド化という視点から質問し、答弁を求めます。
 本県の農業には、既に有田のミカン、桃山の桃、九度山の柿、みなべの梅、北山のジャバラなど、全国に誇る農産物がたくさんあります。これもひとえに先人が汗と知恵で築き上げてくださったおかげであり、今日、このおかげを受けている我々の世代は、この財産を次の世代へと大事に受け継いでいかなければなりませんが、現状を見ますと、他産地との競争はますます激化し、農業王国和歌山といえども、この先、安閑とはしておられません。激しい産地間競争を勝ち抜いていくための最も重要なキーワードは、私は高級ブランド化ととらえております。
 本県には、誇るべきブランドがたくさんあります。農業部門について見れば、かつての有田みかんがそうでしょう。今日では、さしずめ、みなべの梅がこれに匹敵します。北山のジャバラも、またしかりであります。漁業では、日高のクエが既に関西では広く認知されているところであり、この先、全国ブランドを目指すというところまで来ております。
 一度ブランドとしての地位を確立すれば、その分野における競争力は飛躍的に高まります。米におけるコシヒカリを考えれば、なるほどと思いますし、肉における松阪牛といえばだれもが納得いたします。
 しかしながら、私たちはこのブランドという極めて魅力的な付加価値をつくり上げていく過程における関係者の途方もない努力と知恵と、生産者のたゆまぬ汗と涙を忘れてはなりません。
 例えば、南高梅を例にとってみますと、たくさんの梅の木の中から南高梅を選抜した竹中先生の炯眼、これを育てた南部高校の地道な努力、実際圃場でこれを栽培し、定着させた農家の方々の汗の数々、消費者に広く受け入れられやすいようにと研究開発に努めた研究機関、一段の付加価値をつけるべく製造工程に工夫に工夫を重ねた加工工場、商品化の過程で知恵を絞り込んだ問屋と、全国に販路を求めて足を棒にして頑張った流通業者、みなべの梅は、こうした歴史と関係者の努力によって全国屈指のブランドに育ってまいりました。
 そして、最も大切なことは、先人のこの努力が、今日に至るまで、生産者から加工業者、流通関係者まですべての関係者に引き継がれ、さらに、よりおいしい、より安全なみなべの梅を目指した取り組みが瞬時とも途切れることなく続けられているという事実であります。
 ブランドは一夜にしてならず。しかし、せっかく築き上げたブランドを失うのもまた一夜であるということも事実であります。情報化の時代にあって、他産地や意欲のある農家はウの目タカの目で先進地のノウハウを盗もうと必死であります。このブランドを守り育てることは容易ではありません。私たちは、改めてこのブランドを守り抜き、育てていくという決意を新たにし、戦略的にこれに対処をすべきであります。
 私は、それにはまず産地側の協力は必須条件だと考えています。我が国果樹農業のパイオニアとして全国の先頭を走った有田のミカン、その後の後進地の追い上げは既によく知るところでもあります。逆に、先進地に追いつけ追い越せとばかりに努力を重ね、今や全国のブランドに近づいているあら川の桃や九度山の柿などは、その努力のたまものであるとも言えます。
 製造業でありますが、海南の和雑貨は全国的にも圧倒的なシェアを誇ります。しかし、この業界は、製品を輸送中に、その製品と同じか、それにちょっと改良を加えられた製品がつくられているとよく言われます。この話は本当かどうかは定かでありませんが、まさに生き馬の目を抜く激しい競争の中でお互いが切磋琢磨し、新商品開発への不断の努力がなされている業界であることをよく言いあらわしております。また、島精機製作所のブランド力は、本県経済の救世主として県民にひとしく尊敬され、感謝されているところであります。
 農産物にあっても同様でありますが、築き上げたブランド、このブランドの力を維持し、高めていくためには、産地側の必死の努力が必要であり、とりわけ農産物の場合は品質の大半が自然条件に左右されることから、生産者の御苦労はまことに涙ぐましいものがあります。それだけに、一たんブランドとしての地位を確立しますと、他産地との価格競争や市場における知名度などに関して絶対的な強みを発揮することになります。今や梅干しといえば南高梅、梅酒といえば紀州と相場は決まり、他の追随を許しません。
 花粉症に効くとして有名になりました北山のジャバラは、ネット販売で即日完売と聞きます。このレベルまで来ますと、マスコミも積極的に取り上げてくれ、テレビでの宣伝もふえ、結果としてPRも他産地を圧倒するという、まさにいい方向へ、いい方向へと勝ち組のサイクルが始まります。
 このように、ブランドの強みは大変大きなものがあります。私は、この際、県内農産物、水産物について、一層のブランド化への取り組みを強く求めるものであります。
 もとより、ブランド化に必要な人材とノウハウは、一朝一夕にできるものではありません。優秀な人材、例えば大手スーパーや百貨店のバイヤーといったような人材の積極的な導入と地道な専門職員の育成が必要でしょう。流通、販売面での協力を取りつけることも重要な課題であります。必要な宣伝、広告も打っていかなければなりません。
 こうした認識のもと、次の3点について当局の見解を伺います。
 第1点は、国内向けの対策であります。
 県産の農産物及び水産物を対象に一定品目を選定し、3カ年計画でブランドとしての定着をねらう。現に宮崎県は、知事のキャラクターも手伝いましたが、多くの農産物が短期間に一挙にブランド化になったことは記憶に新しいところであります。県挙げてブランド強化作戦といったようなプロジェクトを立ち上げてはどうですか。農林水産部長の答弁を求めます。
 質問の2点目は、国際ブランドを目指してはどうかということであります。
 そのためには、生産者の協力が必要なことは言うまでもありませんが、1人1人の生産者を超えた行政のバックアップも必要にして不可欠であります。幸い、知事は外国の大使も歴任され、国際人であり、国際感覚と語学力に卓越されていることは広く県民の知るところでもあります。
 本県は、中国やアメリカなど5カ国と友好協定を締結しており、友好協定の目的の1つに経済交流が明記されております。相手国の事情や嗜好の好みもあるでしょうが、調査の上、その国における和歌山ブランドを目指してはどうでしょうか。既に、他県のリンゴやイチゴなどにそうした意欲的な例も紹介されているところもあります。知事の決意をお尋ねしたいと思います。
 TPPの議論がどこに落ちつくかは予断は許さない状況でしょうが、いずれにしろ、打って出る農漁業を目指すこともまた大変重要なことであります。
 3点目は、産地に対する指導であります。
 ブランド化の最大の問題は、生産者の理解と意欲と努力でしょう。生産者が意欲を持てるような仕掛けが必要であります。生産者の登録を制度化し、少数精鋭主義による高品質化を図り、生産者には濃密な技術指導や情報の提供などを行い、市場競争力を高めるような対策を打ってはどうでしょうか。農林水産部長の答弁を求めます。
 以上で、私の最初の質問といたします。(拍手)
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国際競争力のあるたくましい産業をはぐくむ和歌山を創造するために、県では、特に農産物あるいはその加工品、これに注目いたしまして、農林水産部に平成19年度に食品流通課を立ち上げまして、全国で初めてジェトロから職員を迎え、アジアを中心に高級百貨店での和歌山フェアの開催や、あるいは国際見本市への出展など、本格的な海外市場の開拓を開始いたしました。高品質で安全・安心な本県産品の独自性や、あるいは優位性をアピールして、海外での和歌山ブランドの確立に現在努力しているところでございます。
 本年8月は中国山東省と遼寧省、11月は新島議長初め12名の議員の方々と米国カリフォルニア州及びフロリダ州を訪問し、梅酒、しょうゆなど県産品商談会及び和歌山県観光・物産トッププロモーションを開催いたしました。
 県では、恵まれた自然や歴史、伝統、文化といった地域特性を生かした県産品のブランド化を目指し、引き続き生産者や事業者と連携しながら、関係者の所得向上につながる販売促進活動を展開してまいりたいと考えております。
 海外でのトップセールス等、私自身がこれまでの経験をフルに生かして販路開拓を推進いたします。また、アドバイザーとして迎え入れております商社OBの貿易実務の経験も大いに活用しながら、職員にもどんどん海外に出撃さして、輸出ノウハウを蓄積さして、県内事業者の海外市場開拓を継続的にサポートしていく所存でございます。
 また、こういう点については業界の努力も必要でございまして、こういう点で、特にこの近い過去におきまして、東京でJAグループが総出でプロモーションを直接行って、私も参加をさしてもらいましたが、こういうような動きは大変歓迎すべきところだと思っております。
 また、団結も必要でございまして、特にブランド化のためには、いろんなブランドがたくさん分散してると、なかなかそれを確立しにくいわけでございますので、それぞれの業界、産地においていろんなブランドをつけるというのはいいんですが、ぜひ和歌山というのも付加してもらえるようにこれからお願いをしていくように、それで全体として和歌山のイメージを高めていきたいと、そんなふうに思っております。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長増谷行紀君。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 国内向けの対策について、景気の低迷や、果実を初めとする消費の減退を背景として市場価格が伸び悩む中で、生産者の所得を確保するためには、他産地との市場競争に負けないブランドづくりが不可欠でございます。
 県では、これまでブランド化に向けたさまざまな取り組みを展開してまいりました。梅、桃、柿、ミカンなどの大都市圏でのトップセールス、首都圏の人気百貨店等での和歌山フェアの開催、観光と連携した首都圏イベントの実施、アンテナショップ「わかやま喜集館」の活用などにより、県産品のブランド化を推進してきたところです。
 また、農産物、水産物はもちろんのこと、工芸品や技能、伝統芸能といった和歌山の誇るべき財産を推奨するプレミア和歌山という制度も実施してまいりました。
 販路開拓については、バイヤー等とのマッチング等を目的に、FOODEXやスーパーマーケットトレードショーなどの展示商談会への出展を積極的にサポートしてまいりました。
 これまでの5年間の取り組みを第1ステージと位置づけ、次のステップにおいては、まさしく議員御提言の県を挙げてのブランド強化作戦プロジェクトを、JAグループなどの生産者とのブランド強化戦略を共有しつつ、大手企業等とのコラボレーションといった手法も取り入れながら邁進してまいる所存でございます。
 次に、産地に対する指導でございますが、生産者の登録につきましては、「味一みかん」や「赤糖房」などで優良園地や農家の登録制度を導入してブランド農産物をつくる取り組みをJA等生産者みずからが実施しており、県としては、こうした取り組みを支援してまいったところでございます。
 県といたしましては、こうした地域での取り組みにより生産された農産物について、安全・安心、健康などの本県産品の強みをアピールしながら積極的に販売を促進するとともに、今後とも市場ニーズやバイヤー等のアドバイスを生産部門へフィードバックするなどし、生産から流通、販売までの一貫した指導により、ブランド化の取り組みを広げていく所存でございます。
○議長(新島 雄君) 坂本 登君。
 〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 農産物のブランド化問題に対して、若干思い出話を交えながらお願いをしておきたいと思います。
 昨年になりますが、青森で、おかみの会、全国大会の会合がありました。二階代議士より梅の宣伝に行かないかとお誘いがあり、私もその会に出席することになりました。
 県からは、ジェトロから出向いておられた食品流通課長が一緒でした。彼は1袋に入れた梅を、チラシを配る際に、「この梅は和歌山の梅です」と言って、その際、それぞれの方に、この梅はピロリ菌予防、メダボによい、がん予防によい、動脈硬化によい等々、1人1人にお話をしながら配られておりました。そのとき、おかみたちは口々に「ここで売ってくれないの」と言われておりました。参加者が切れたときに、課長は私の顔を見て、「売る梅、持ってきたらよかったな。たくさん売れたのにね」。私は、そばで見ていて、なかなか商売上手な人だなと感心をいたしました。
 2つ目の例は、知事がみなべの企業を訪れたときであります。内容は触れませんが、地元や企業からある要望に対して、知事はなかなか首を縦に振らない難しい要望でありました。関係者がやきもきする中、経済産業省から出向し、同行していた企業政策局長が「知事にも天敵がありますからね」、ぽつりと一言漏らしました。知事はむっとして、「だれだ、その天敵というのは」と難しい顔をしていましたが、数呼吸置いて局長は「それは知事自身の胸のうち、心でしょう」と返されました。その言葉の意味を理解したのか、知事の顔がほころんだとき、私は知事の顔を見ていると、内心、決まったなと思いました。
 私が言いたかったのは、知事の立場を正しく理解し、時には耳の痛いことも進言し、知事に正しく判断させる、県民の心に響くという人材が県政にとってとっても大切なことだなとの印象を強く受けましたので、この際、思い出話をつけ加え、私の質問を終わります。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
 〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。どうかよろしくお願い申し上げます。
 まず1点目は、メディア・ユニバーサルデザインについてお伺いをさしていただきたいと思います。
 まず、聞きなれない言葉かもわかりませんので、このメディア・ユニバーサルデザイン、御説明をさしていただきますと、よりよい社会環境づくりを目的として、高齢者、それから色覚特性の方、子供、あるいは外国人、こういったすべての人々に対しまして正しい情報を伝えるために、媒体を中心にして、読みやすい、見やすい、使いやすい、こういったものを目指してつくられるメディアのことであります。
 伝えた情報を1人でも多くの人に理解をしてもらえる方法で発信することがこのメディア・ユニバーサルデザインの本質であり、一般的に不特定多数の人が情報を得る機会が多いものに対して、この考え方、この配慮が必要となります。そのため、官公庁から発信する情報媒体には、このメディア・ユニバーサルデザインの考え方を取り入れたものにしてほしいところであります。
 過日、この専門家に見てもらったところでありますが、県庁が発行している「県民の友」、それから議会の「県議会だより」、この媒体はメディア・ユニバーサルデザインの考え方に沿って編集されているもので、比較的だれにでも見やすく訴えられる内容になっている、このような評価をいただきまして、うれしく思っているところであります。
 ただ、高齢者や色覚特性の方だけが対象だと思っている部門もあるようで、単に障害福祉を担当する部門だけがこの考え方を持っていればよいものではなく、媒体制作に関しては、全庁挙げてメディア・ユニバーサルデザインの考え方を取り入れてほしい、このように思っているところであります。
 ただし、すべての人を対象に見やすい媒体を制作するということは困難でありますから、対象となる人を明確にしながら情報を届けたい人が理解できる、こういった内容をデザインする、編集する、こういう考え方になろうかなというふうに思います。そのため、紀の国わかやま国体、あるいはハザードマップにおきましても、メディア・ユニバーサルデザインの考え方を取り入れるべきだというふうに思います。
 国体に関して、本年開催の山口国体におきましては、「自然環境との調和やユニバーサルデザイン化を促進し、人と地球にやさしい国体の開催をめざす」と明記されておりますし、以降開催予定の国体開催県も同じ考え方を持っております。
 もちろん、我が和歌山県の国体でも、その基本構想の中には競技会場のユニバーサルデザイン化を促進すると示されていることから、これは競技場だけではなく、案内板、道路標識、印刷物、すべてのものに対してこの考え方を取り入れてくれるものと期待をしているところであります。
 また、ハザードマップに関しては、もっと見やすさ、これが必要かと思います。発信した情報を受け手が正確に受け取れるように編集することが必要だと思います。
 ハザードマップについて、見やすい事例を幾つか紹介させていただきたいと思います。
 これは千葉県市原市、椎津川、養老川、こういったもののハザードマップであります。(資料を示す)ちょっと遠いんですが、こういった色彩とかデザイン性からして、住民の方がどこの避難所へ逃げればいい、川がどこにあると、非常にわかりやすいマップになっております。これなんかも、遠くで見にくいんですが、メディア・ユニバーサルデザインの考え方を取り入れたハザードマップです。(資料を示す)
 県内にもすぐれたものがありまして、九度山町のものを預かってきたんですけども、(資料を示す)この防災マップが比較的メディア・ユニバーサルデザインに沿った考え方で編集されておりまして、町民の方がいざというとき避難できる、そういうふうなデザイン構成になってございます。
 これを先般、議長にもちょっと体験していただいたんですが、健常者の方でも見やすい、そして色覚特性の方でも見やすくなってるということで、これが色覚特性を体験するような眼鏡でありまして、(現物を示す)先日、これをかけながらこのマップを議長に見ていただきまして、よくわかっていただいた。かけたらこんな感じになるんですけども。
 これでこのハザードマップを見ていただくと、色覚特性の方でもすごくくっきり見えるということがありますし、逆に、これ、どこの町かというのはちょっと言いづらいんですが、すごく見にくいハザードマップもあります。(資料を示す)これを見るとほとんど見えないというふうなことがありまして、この後、質問を続けるんですが、よければ知事にも、いい事例と悪い事例、ちょっと体験をしていただけたらと思います。(現物を知事に渡す)
 済みません、その間に続けさせていただきたいと思います。
 このように、高齢者の方、色覚特性の方々が理解しやすい内容になってるということは、すなわちすべての人も見やすい内容になっているハザードマップだというふうに思います。大規模な台風や大地震に備えて、情報を受け取って逃げられる、そういったハザードマップ、使えるハザードマップをつくっていただきたいというふうに思っているところであります。
 知事が被災現場で感じ、そして言っているように、こうしたツールの改良に関しても、県民の皆さんは、本当にやってくれるのかどうか、これを見ているものだと思います。
 そこで、2点、知事に質問をさせていただきます。
 メディア・ユニバーサルデザインのガイドライン作成についてです。
 高齢者や色覚特性の方など特定の人のためのメディア・ユニバーサルデザインではなく、1人でも多くの人に情報を行き届かせることがメディア・ユニバーサルデザインであることを、すべての県庁を初めとする自治体の方が認識できるようにガイドラインを作成してほしいと思います。この場合、印刷物に限らず、県庁内の案内板、道路の案内板、避難表示など、すべてのものを対象にしたものにしてほしいと思いますので、お伺いしたいと思います。
 2点目、ハザードマップに関して。
 例えば、避難時の注意点や持ち出し用のチェックリストなどの事前準備に関するものは、メディア・ユニバーサルデザインの考え方を取り入れ、県下統一にしながら避難場所などの情報は市町村で作成すれば、自治体による差はなくなると思います。
 国体に関しましては、全国障害者スポーツ大会の準備推進体制と一本化する構想であることから、国体関連の媒体制作、これに関しても早急に対応してほしいと思いますが、この2点につきまして、知事の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県では、ユニバーサルデザインというのは従来から意識しておりまして、その普及に努力しておりましたが、メディアについても同じような考え方でやらないかんのだということについては、まさにそのとおりだと思います。これについては、できるだけ多くの方に正確に情報を伝えるという視点から、特に県のような行政が発する情報については大変重要であると。議員の認識について、全くそのとおりであると思います。
 今後は、このようなメディア・ユニバーサルデザインがさらに浸透するように、県においては広報出版物やホームページについて、書体、フォントの工夫とか、あるいは色覚バリアフリーについての配慮等の取り組みをさらに努めていかなきゃいけないと思います。このようなことを大いに勉強いたしまして、それで考え方も整理をして、その資料をもとにして、県はもとより市町村、県民、あるいは民間団体、事業者に対して普及啓発をしていきたいと思います。
 なお、ハザードマップについては、避難場所や被害予測区域等がわかりやすいものであるということは特に重要であります。国が策定いたしましたハザードマップマニュアル等に基づきまして、色彩に配慮するなどして作成するよう、私どもからも市町村に対して助言をしていきたいと思います。
 また、国体もそうでございまして、これから大いに広報紙の発行等をやっていかないといけません。そのときにも音声コードの付与や、どのような色覚の方にもなるべく見分けやすい配色の選択など、より多くの方がわかりやすい情報の提供に努めていきたいと思います。
 また、国体の基本構想では、国体と全国障害者スポーツ大会の準備推進体制を一体化する方向となっておりまして、今後、さらにユニバーサルデザインへの配慮が行き届いた情報提供を行ってまいりたいと思います。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
 〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ありがとうございました。
 ガイドラインにつきましては、ぜひとも平成24年の早いうちに制定しながら、自治体が発行する、今言いましたような媒体を中心とするものに関しまして、自然の中に思想が組み込まれていく、そのようなものにしてほしいと思いますので、この点については市町村に対してぜひ啓発をしていただきたいと思います。
 続きまして、郷土の偉人教育について質問をさしていただきます。
 和歌山県では、日高地域を除くすべての地域で採択されているのが日本文教出版の「小学社会3・4年下」、この教科書であります。この中身をめくってみますと、和歌山県の郷土の偉人というものが多く取り上げられております。項目は、地域の発展に尽くした人々というテーマで、実に20ページに及んでこういった郷土の偉人というのが取り上げられてる。これは、教科書としてはまことに異例なことでありまして、この教科書を十分に活用しながら、郷土の偉人のすばらしさを理解するような教育に生かしてほしいというふうに思っています。
 しかし、和歌山県としてこの郷土の偉人教育で成果を上げないと、また和歌山県以外の府県においても有効性があることを訴えなければ、今現在聞いてるところでは、次回の改訂時期にこのページが削除される、なくなる、あるいは縮小される、そういうおそれがあるというふうに聞いてございます。継続して取り上げてもらうためには、この項目の教育の成果の検証と、和歌山県の偉人の功績は全国レベルのものである、こういったことを訴えるべきだというふうに思います。
 教育委員会としては、この教科書活用についてどう評価していますでしょうか。また、次回に向けてのアプローチに関してどう対応しようとしているのか、この点、教育長にお伺いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘の日本文教出版の小学校社会科の3・4年生下の教科書の評価と次回のアプローチについてでございますが、本県は全国に誇る数多くの偉人を輩出してございまして、小学校社会科の教科書にそうした偉人の功績が掲載され、それを全国の子供たちが学習するということは、ふるさと教育の推進を重点施策としている本県にとっては大変喜ばしいことであり、誇りに感じてございます。
 議員御指摘の教科書に掲載されている濱口梧陵や南方熊楠、華岡青洲などの功績は、小学校学習指導要領で学ぶべきこととされている先人の働きや苦心を考えさせる上でも、大変有効な教材であると考えてございます。今後、こうした和歌山の先人を学ぶことの意義や本県での教育実践の成果を、さまざまな機会を通して県内外に広く積極的に発信していく必要があると考えてございます。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
 〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 同じく偉人教育について、第2問になります。
 教育委員会として、今のように教科書出版のほうに特段働きかける難しさというのはわかるんですが、ぜひ何らかの方法でアプローチをかけていただきたいと思います。
 続いて、和歌山市内の雄湊小学校がこのたび創立120周年を迎えてございます。この学校、もう御存じのように、南方熊楠、それから松下幸之助が学んだ学校として地域の皆さんは誇りに思っておりますし、かけがえのない学校だというふうに認識しております。
 歴史があり、郷土の偉人を輩出した学校が地域にあるということは、これは郷土の誇りでありまして、地域そのものの価値を高めている、このように思います。伝統と歴史のある学校が地域にあることで学校を育ててくれていますし、学校が地域にあることで地域は郷土に愛着と誇りを感じるものであります。
 そこで、教育長に質問であります。
 目指すべき偉人の足跡、こういったものが身近なところにある学校というのはかけがえのない財産だというふうに思います。これらの偉人を輩出した学校と地域との関係を将来につなぎ、発展させるための取り組みをどのように考えておりますか。教育長にお願いします。
○議長(新島 雄君) 教育長。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 歴史と伝統のある学校と地域のかかわりについてのお尋ねでございますが、学校が輩出してきた偉人や長く培ってきた伝統、学校と地域とのかかわりについて学習することは、自分の学校に対する誇りと愛着を育てる上で大変大きな役割を果たすものと考えてございます。
 学校が積み重ねてきた歴史や文化を未来につなげていけるよう、本県が現在推進しております共育コミュニティの輪を広げながら、学校、家庭、地域が一体となった取り組みを一層大切にしながら進めてまいりたいと思ってございます。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
 〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ありがとうございます。
 今の教育長と、それから先ほどの知事の答弁で思い出したんですけども、和歌山市内には本町小学校がありまして、ここは野村吉三郎が卒業した学校ということで、ここも伝統のある学校ということはまた知っといていただけたらと思います。
 続きまして、平成24年度に陸奥宗光シンポジウム、これが予定されております。平成24年は、陸奥宗光が外務大臣に就任120周年を迎える記念すべき年であり、その年に我がふるさとがその偉大さを再認識することや、外交の重要性を発信するシンポジウムを開催することに高い価値を見出した知事の炯眼に敬意を表したいと思います。
 そして、そのシンポジウムの内容に関しまして、陸奥宗光の大きな功績でありながらも余り認識されていないように思える不平等条約改正についてを取り上げ、特に子供たちに郷土の偉人のすばらしさを伝えていただきたいと思います。それは、明治27年、イギリスとの間で日英通商航海条約が結ばれ、領事裁判権の撤廃、関税自主権の部分的回復に成功し、不平等条約を取り除く大きな糸口になったことが功績だということであります。
 当時、この不平等条約改正は、我が国の国家主権を取り戻すという国家的課題であったわけです。これができたのは、陸奥宗光が、これからの外交で大事なのは、まず自国に誇りを持つこと、相手を恐れず勇気を持つこと、そして強い国の仲間入りをすることだ、こういった考え方に基づいて行動したからであり、このことは明治27年から117年後にある平成の時代においても同じことが言えると思います。
 前回の一般質問で陸奥宗光を取り上げたときにも知事が約束していただきました陸奥宗光の本というのは出版されまして、私も読まさせていただきました。今回のシンポジウムに関しても大いに期待しているところであります。
 このシンポジウムを開催しようと考えた知事の思いのたけをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 陸奥宗光シンポジウムにつきましては、毎年1人は郷土の偉人について、できれば全国発信をしながら、その偉業をたたえようというようなシリーズの1つとして考えておりますが、来年が陸奥宗光さんが外務大臣就任120周年でございますし、今お話のありました関税自主権を取り戻したのが1911年ですから、ちょうどことしがその100年でございます。
 そういう節目の年に当たるというところから、19世紀の欧米列強がひしめく国際社会において、不平等条約の撤廃にらつ腕を振るい、日本外交の礎を築いた業績と、それから和歌山を明治の初期において最も開明的な地に導き、明治維新そのものにも大きな影響を与えたこと、さらには議会制民主主義を目指して、そのための後進の育成も大いに行った、そういうようなことを再認識する機会として計画をいたしました。
 とりわけ、陸奥の事績と意義、そして陸奥を輩出したこの和歌山、明治維新における和歌山の重要性に光を当てて発信することで、県民の郷土への愛着と誇りをはぐくみ、本県の声価を高めていきたい、そんなふうに思っております。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
 〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 郷土の偉人、最後の1問でございます。
 平成20年9月定例会におきまして、和歌山県内の学校の修学旅行、ここで外務省を見学したらどうかということを提案さしていただきました。それは、外務省を修学旅行コースに設定して、陸奥宗光の元外務大臣の銅像を見学する、そこから学ぶという、そういうふうな提言でありました。
 繰り返しますが、郷土の偉人が、外務省の敷地内に飾られてる唯一の外務大臣が陸奥宗光でありますから、郷土の先輩に続いて、将来この国を担う人物になろうと志を持つ学生を輩出さしてほしい、そういう願いから提案したものであります。
 それに対して当時の教育長は、「外務省の庭にある陸奥宗光元外務大臣の銅像など、県内外には郷土の偉人たちにゆかりのある施設や場所が多くございます。これらを直接訪れ、その業績や生きざま、思いなどに触れることは、子供たちの心に深く響く学習になると考えます。各学校がこうした学習を積極的に展開するよう働きかけてまいります」と答弁してくれております。
 県内の学校がこの目的を持って外務省へ修学旅行した実績がありますでしょうか。また、その結果の検証はできていますか。教育長にお尋ねします。
○議長(新島 雄君) 教育長。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 外務省の見学など修学旅行の成果についてのお尋ねでございますが、陸奥宗光につきましては、先ほど知事からもございましたけども、小学校や中学校の社会科において必ず学習する偉人の1人でございます。
 今年度の公立中学校の修学旅行等では、陸奥宗光の学習のため直接外務省を訪れるまでには至りませんでしたけれども、校外学習等で郷土の偉人の足跡を訪ねたり、その業績を調べたりする学習は多くの学校で取り組んでいるところでございます。
 今後とも修学旅行等において、外務省の訪問を含め、郷土の偉人の功績に触れる機会を積極的に取り入れるよう、市町村初め県内の各学校に強く働きかけてまいりたいと思います。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
 〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 答弁ありがとうございます。
 平成21年から23年までの3年間で恐らく一度も実施されていないと、このように思います。修学旅行は国会へ行くという場合があります。その場合は、すぐそこに外務省もありますから、行こうと思えばこれはもう行けるんじゃないかなというふうに思います。外務省へは、なかなか個々人とか、そういったレベルで行けるものではなく、学生時代に訪れて学習するということは、またとない機会だというふうに思います。修学旅行全体で学校として行けなければ、例えばグループ学習とか、そういった小集団学習ということがあろうと思いますんで、そういった単位でもよいので、これについては一度考えていただきたいというふうに思います。
 続きまして、大阪都構想等について質問をさしていただきたいと思います。
 大阪府は、大阪都構想に向けて動き出そうとしています。仁坂知事はこの大阪都構想に関して賛成している、こういうコメントがあったように思います。和歌山県の皆さんは、とても興味深くこのコメントを聞いているようでございます。
 兵庫県知事も、関西広域連合の立場から、広域連合としても国との関係で大阪都構想の推進を図る立場になると発言をしている。
 このように、大阪都構想をめぐる動きというのはさまざまな議論を呼ぶものになっていようかと思います。
 大阪都となれば今までよりも広い経済圏となりそうですから、和歌山県にもメリットが発生すると思いますし、むしろこちらから関与していかなければならないのかなというふうにさえ思うところであります。
 一例として、橋下大阪市長は、大阪都構想を踏まえ、大阪市の火力発電所計画を関西ワイドで見ると、土地が和歌山にあるのに何で大阪市役所が自分でやろうとしているのだというふうに批判をしています。既に大阪都構想の中で和歌山県の存在も役割も意識をしてくれているわけですから、和歌山県として大関西圏の中の役割を強く訴えていく、こういったことも必要だというふうに思います。
 また、二重行政についてですが、大阪府と大阪市で議論されているように、和歌山県においては、中核市との間に同じような問題は果たして存在するのでしょうか。政令市のように大都市特有の問題なのか、はたまた地方都市にも言えることなのか、また存在しているとすれば解消すべきものなのか、この際、考えることも必要だというふうに思います。
 さて、大阪が第2首都の機能を持つとなれば、関西全体の活力につながると思いますし、小関西圏ではなくて大関西圏を確立さしていただくことには賛成だと、そういう話もあろうかと思います。それは、この11月、関西広域連合として首都機能バックアップ構造の構築について国に要望している中身から引用さしていただきますが、これは危機管理の観点での提案ですから、今あるものでバックアップ機能を担おうとする、こういう動きの中での働きかけであります。
 ただ、この中身を見ますと、少し寂しい感じがいたしました。首都圏被災時に関西が果たし得る役割の中に、和歌山県の果たせる役割、これが非常に少ないように思えたからです。これは、国の主な出先機関、金融や企業、こういったところにしても、大支店が和歌山県内にないという現状からして当然かもわかりませんが、これだと大関西圏に向かう中での役割も埋没してしまうような感じがいたしました。
 そこで、知事に質問であります。
 知事が大阪都構想に賛成する理由、それから和歌山県への影響、関係について考えることがあればお答えをください。
 2つ目、和歌山県において中核市との間に二重行政の問題はあるのでしょうか。あるとすれば解決に向かわせるべきかどうか、いかがでしょうか。
 関西広域連合において、また、大阪都構想、首都圏バックアップ機能、大関西圏など、大きな流れの中での和歌山県の果たし得る役割について、お考えがあればお示しいただきたいと思います。
 以上3点について、知事のお答えをお願いします。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大阪都構想については、私は賛成であるということを申しました。ただ、選挙の応援の絡みで言われたもんですから、これについては、私は制度としての大阪都というのに賛成であると申し上げたんで、選挙に介入したつもりはございません。
 その上で、政令指定都市──政令市は、民生行政とか、土木行政とか、文教行政とか、府県並みの権限を有しながらも、その小さい区域でそれを実行するということになっております。そうしますと、実はその周りにある大阪府は、その部分が権限としてないという状態になっておりまして、区分されているわけでございます。
 関西広域連合の動きなどを見ていましても広域でいろいろやっていこうというときに、どうも小さく区切っていろいろやるというのは時代に合わないんじゃないか。どうしても二重行政的なものが発生しますから、それを解消しようといったら、大きい組織の中で解消していったほうがいいんじゃないかという意味で、私はこれは賛成だというふうに申し上げたわけでございます。
 府と市を今度は一体として組織改革をするというような動きがございますから、さまざまな要素を総合的に勘案して、大阪府知事や大阪市長が住民と一緒に今後考えていけばいいというふうに思います。
 和歌山県と和歌山市の関係でございますが、和歌山市は中核市でございます。政令指定都市に比べると、うんと移譲されてる権限は少ないんでございます。保健所の設置とか、あるいは民生行政、あるいは環境行政などについて、和歌山県から外して中核市に移しておるということでございます。一方、本来の住民サービスに係る行政、これもきめ細かくしっかりやってもらわないといかんと思っております。
 総じて言うと、和歌山市はよく頑張っておられるようでありますので、これについて権限をきちんと行使しておられるというふうに思いますが、ごく一部、扱いかねている面もあるようであります。
 実は私が知事になりましてから、産業廃棄物の保管及び土砂等の埋立て等の不適正処理防止に関する条例というのを県でつくりました。そのときに、この権限からいうと、和歌山市に同等の権限をして条例をつくってもらわないと、どうも和歌山市が産業廃棄物にとって、何とかヘイブンというのがありますが、別天地みたいになってしまうということで、我々から働きかけをしたんですが、人手が足りないし知識もないので嫌だという話があって、何か随分困ったことがありました。
 結果的には、市から県に権限を委託してもらいまして、本来ならば権限は和歌山市にありますから、そのための財源ももらってるんですが、ただで受託をいたしまして、それで実際に県でやっとるということになりました。
 したがいまして、ちょっと不都合もあるんですが、しかし、市とよく連絡をとって、和歌山市の仕事といっても、県のほうとしても注意をしながら、いろいろ説得をして何とかやっていったらいいんじゃないかと。そういう問題は局所的でありますので、大阪のように再編を特に働きかけて運動をするということについて、私は別に意欲を持っておりません。
 それから次に、本県が有する豊かな自然環境、世界遺産を初めとする文化・歴史面での数多くの資産、恵まれた農林水産物、豊富な温泉資源といったすぐれた資源を生かして和歌山県の地域力を高めていくことによりまして、関西における和歌山県の役割とか、あるいは存在意義、こういうものを明確にしていくべきだと考えます。
 また、本県のような関西の、大阪を中心として考えますと、周辺地域を活性化するということは、これは全体、あるいはその中心部も活性化することになるんだということを強く訴えて、それで和歌山県が関西の中で発展していけるように頑張っていきたいと思っております。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
 〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 それでは、項目4点目の質問、台風12号被害への対応についての項目に移らしていただきたいと思います。
 被災地の復旧についてはこれからだというふうに思ってます。公共土木施設災害復旧事業による予算措置、これは3年間継続されるというふうに聞いておりますが、先日、その後の現場の状況を確認するために専門家の方と現地をずっと回ってきたところであります。そこでいろんな意見やアドバイスを聞いてきたわけなんですが、予算規模、それから工事の工程、計画の立て方にもよりますが、最低5年はかかるだろうなという指摘がありました。現場を見る限り、とても3年で復旧できそうにもない、そういう地域も見受けられました。
 復旧計画を策定するに当たっては、長期的な取り組みも必要かと思いますので、3年目以降も復旧財源を確保するための継続した要請をしてほしい。これは1点思ったところであります。
 さて、災害復旧事業の考え方は、原形復旧あるいは機能回復に限る、こういった性質のものだと伺っております。しかし、今回被害を受けて、公共物をそのまま原形復旧させても、同規模の災害が発生した場合、同じような事象を招くことにもなります。それは絶対避けるべきものですから、原形復旧に付加価値というんでしょうか、そういったものを加えたものにすべきではないのかなというふうに思います。しかし、付加価値部分、その追加した部分を県単独予算でやりましょうと、こういうふうにはならないかというふうに思います。
 できるなら、今回のような災害であれば、対処できると見込まれる機能を持った形で災害復旧事業を行ってほしいと思います。原形回復では不安、付加価値をつけた復旧で安心感を提供できると思います。
 また、公共土木施設災害復旧事業に関して、3年で95%の災害復旧が見込まれるとしても、これではまちづくりまでは至りません。民有地の取り扱いが問題になるからです。仮にもとの場所に住宅を建設するとしても、土砂崩れなどによって隣地との境界がわからなくなっている場合が見受けられます。その場合、堆積した土砂の除去、地籍調査、測量、こういったものが必要となり、その費用は一体だれが負担するのか、こういう問題が発生します。
 今回の住宅再建を支援する施策は歓迎すべきものですが、土石流で自宅用地が埋まってしまっている、そして隣地との境界がわからなくなってしまっている場合は、住宅再建どころではありません。もとの場所または市町村内に、民間、住む人が戻ってきて初めて町が復興に向かっていると実感できると思います。
 民有地の支援について不安と不満が、この10月中旬から現地へ入ったところ、高まっていると、このように聞いております。もちろん、民有地をもとに戻すための支援、施策というものは市町村がやるべきものだというふうには思いますが、県としても最大限の協力、配慮してもらえるよう、これは要望としておきます。
 ただ、この項目の質問を2点さしていただけたらと思います。2点とも県土整備部長にお伺いしたいと思います。
 3年間の復旧に向かう予算のめど、そして復旧に至るまでの期間、これはどの程度だと見込んでいますか。
 2つ目、災害復旧事業に関して、原形回復では不安感が払拭できないと思います。原形復旧に際しては、ある程度機能を上乗せするような付加価値をつけた復旧にする、そのことで住民の皆さんに安心感を提供できると思いますが、これは検討すべき課題だと思いますので、お答えいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 公共土木施設の災害復旧においては、災害発生後に、県など施設管理者の申請に基づき、国土交通省と財務省による災害査定が実施され、復旧範囲や工法、工事費が決定されます。決定された工事費は、通常、発災年を含め3カ年で必要額の予算措置がなされます。
 台風12号による災害復旧箇所については、和歌山県復旧・復興アクションプログラムにおいて平成24年度中に95%の箇所を完成させることを目標とし、取り組んでいるところでございます。残る箇所には復旧に3年を超える期間を要する大規模な被災箇所もございますが、必要な予算の確保に努めまして、できるだけ早い完成を目指してまいります。
 また、公共土木施設災害復旧事業は、その施設の従前の効用を速やかに回復して公共の福祉を確保することを目的としているため、原形復旧を基本としておりますが、今回特に被害の大きかった箇所については、別途、国庫補助費を加えた改良復旧事業によりまして機能向上を図ることとしております。現在、国と協議を行っているところでございます。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
 〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ありがとうございます。
 昨日、知事の一般質問への答弁の中にもありましたが、経済と暮らし、この再建が大事ですと話しておりました。暮らしを再建できるようになるまで、取り組みというのをいろんな形でぜひ継続をしていただきたいというふうに思います。
 それから、最後の質問になります。同じく台風12号被害に関してですが、今回は記録集をつくるということに関してであります。
 今回の台風12号被害の記録については、後世の人が再び災害に遭遇するような事態になった場合、今回の私たちの経験を役に立ててもらう、そういう趣旨で記録集を作成すべきかなというふうに思います。
 ここに昭和28年水害の記録集というのがありまして、先日、いろんなところにヒアリングに行ったら、「こんなんあるよ」ということで、県は県発行ですからお持ちだと思いますが、ちょうだいしてきたものであります。当時の小野知事が中心に編さんしたものでありまして、中身を見ると、今回の災害にまさるとも劣らない規模の被害状況というのが写真、データ、そういったものでわかるものになっております。
 一昨日、この記録集にかかわった当時の県庁の広報担当者の方を捜し当て、意見を伺ってまいりました。その意見は、今回の台風12号被害も大変だと思いますが、当時も大変な被害でした。この被害へ対応するため、現地入りして意見を聞いたり写真撮影をしたりして、現状の記録と、次の世代がこの教訓を生かせるように作業をしましたと、こういった意見をいただきました。当時入ったばっかり、22歳だった方ですが、今回の台風への対応も非常に気にかけてくれていますし、自分たちのこの記録集を超えるものをつくってほしいと意見をいただきました。
 先日、知事の津波の日シンポジウムのあいさつにありましたように、「安政の大地震の際、濱口梧陵さんが広村で稲むらに火をつけて避難先を示し、大勢の村民を救った時点においては、濱口梧陵さんは津波に勝ったとは思っていなかったのではないかと思います。その証拠に、あの直後から、私財をなげうって、将来に備え、人々を元気づけるために有名な広村堤防を築くのです。濱口さんが本当に津波に勝ったのは、昭和21年の南海地震の津波をこの堤防ではね返したときだと思います」と話されていましたように、まさに我々が今直面してるこの危機を乗り越えて次につなげるということで、この我々の復興というのが解決に向かうのじゃないのかなというふうに思います。その精神が今回の台風12号への対応と今後の道筋についてのすべてのノウハウを詰め込み、記録集として後世に伝える役割を果たしてほしいというふうに思っております。
 この中には、本年度の新政策として掲げられているような風水害対策事業に関しても、県のすばらしい英断をした取り組みとして掲載されることだと思いますが、この政策は今後の県の大災害発生時の指針となるものですから、住宅再建や事業者の再建支援、万が一のときは県が我々を守ってくれるんだと皆さんに安心感を与えるような成果物にしてほしいというふうに思います。
 災害に強い和歌山県の実現を目指す指針となるような台風12号被害への対応に関する記録集の考え方について、これは危機管理監にお答えをお願いします。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
 〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 災害記録集の考え方についてでございますが、今回の紀伊半島大水害を後世に伝えていくため、その気象状況や被害状況の記録とあわせ、県・市町村の対応、自衛隊ほか関係機関の活動状況、応急対策や復旧・復興対策などについても記録することとしてございます。
 また、編集を行う中で今回の災害対応の課題についても改めて検証し、今後の災害対策に活用できるものとして作成したいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 片桐章浩君。
 〔片桐章浩君、登壇〕
○片桐章浩君 ありがとうございました。
 記録集、これは単に置いておいて価値のあるものではないというふうに思います。使えるもの、後の指針となるものにしてほしいと思います。
 先ほどの話に戻りますが、22歳のとき新入職員だったこの広報の担当の方は、現在80歳になっておられます。今もそのかかわった仕事というものに誇りを持っておりますし、この記録集も手元に大切に保管をされておりました。今の県庁職員さんも、今回の台風12号に立ち向かい、復興さしたことを誇りに思えるような仕事の記録、そして復興の記録集を作成、これ、淡々とお答えいただいたんですが、熱意を持って取り組んでいただきたいというふうに思います。
 以上で、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。
○議長(新島 雄君) 以上で、片桐章浩君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
 午前11時29分休憩
────────────────────
 午後1時0分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 本日12月8日は、太平洋戦争の開戦記念日です。戦争の犠牲者の方に思いをはせながら、また、ただいまの平和を本当に大切にする思いで一般質問をしてまいりたいと思います。
 1つ目、最初に、安全・安心の学校給食のため、放射能の長期モニタリング調査の実施について伺います。
 昨日も、粉ミルクからキログラム当たり最大30ベクレルもの放射性物質が検出されたとの報道がありました。福島原発事故による放射能汚染から子供と国民の健康を守る対策は、ますます重要性を増しております。私たち日本共産党でも、その対策を求めた政策を8月に発表いたしましたが、国の責任で都道府県が行っている食品検査体制を抜本的に強化することを求めております。
 そうした中、文部科学省がこのたびの第3次補正予算で学校給食検査設備の補助事業をつくり、今のところ東日本の17県に限定をされておりますが、給食用食材の放射性検査器を購入することに補助をすることになりました。
 食品に対する放射能汚染、中でも子供たちの食べるものへの心配の声が大きくなっているのは当然であります。現在、食品への暫定規制値の見直し作業が政府においても行われているようですが、その中で年齢別に規制値を設定することのねらいも、より影響を受けやすい子供たちへの心配からであります。
 ただし、日本の食品の暫定規制値についてですが、この前の議会でも藤本議員が指摘されておりましたが、国際基準とは乖離があります。私は、放射能の人体への影響については、今後の知見が蓄積されていく中で、さらなる見直しや改善がなされていくだろうと考えています。そうであるからこそ、基礎的な調査データの蓄積が大切になってくると考えます。今の基準では大丈夫でも、将来はわからない、基準以下だからすべてオーケーというんじゃなしに、現時点の知見では影響は考えられないというのが正確なところではないでしょうか。
 先日、県が主催した食の安全シンポジウムに行った方からも、県や学者が安全、安全と言ってくれたけれども、それを言われるほど不安になるとの感想が何人かから寄せられました。安心や安全というのは、行政が上から押しつけるものではないはずです。原発も、あれだけ行政、会社も一体となって安全だと言ってきたことです。安心は、住民の心からの理解の上に成り立つものであります。そのためには、実際に検査を行うこと、そして、長期にそのデータを蓄積して放射能の変化を見ていくことが必要になると思います。
 そこで、今回は学校給食に絞って質問いたしますが、神奈川県の横須賀市や綾瀬市の取り組みでは、給食というのは検食のために必ず保存がされているわけです。その検食のために保存している調理済みの給食そのものを、1週間ごとにまとめて精密な測定にかけていく。そうすることによって、手間も、そして余り費用もかからないようです。
 幸いといいますか、先日の補正予算で購入をしていただいた環境衛生研究センターの高性能の測定機は、まだ検査に余裕があるようですので、教育委員会としても、給食の放射能の長期モニタリング調査に向けて今検討を始められてはいかがでしょうか。まず、教育長の答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 教育長西下博通君。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 給食の放射能の長期モニタリングの実施というお尋ねでございますが、学校給食につきましては、本県では以前から地場産業の活用を推進しているところであり、食材は県内産を初め市場に流通している食品を購入しており、安全なものであると認識いたしております。
 議員御指摘の横須賀市、綾瀬市の取り組みだけでなく、近隣県の状況などの情報を収集するとともに、現在、県が実施しているモニタリング検査の結果等を踏まえながら、安全性に懸念があると判明した場合には学校給食の食材としてその品目を除外するなど、市町村教育委員会と連携を図りながら、今後とも安全・安心な学校給食の実施に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきました。
 私は、原発事故で放出された放射性物質との闘いは、本当に長期戦ということになってくると思います。セシウム137、半減期が30年と聞いてますから、今後少なくとも100年以上は監視検査が必要になってくると思います。私は、いずれ全国でこの監視体制というのが必要になるという日程が上ってくるというふうに考えております。ですから、やはりこのデータとしては長期にきちんと把握しておくということが大事ですから、それが、和歌山県がその先頭を切ってやるというぐらいの決意で今後検討されることを要望したいというふうに思います。よろしくお願いいたします。
 続いて2番目、紀の国森づくり税について伺います。
 今議会に、森づくり税を5年間延長する条例案が提案されておりますけれども、庶民増税が重なるこの時期に、住民税の均等割というほとんどの県民が納税せざるを得ないこの税について、超過課税を継続していくことは果たして妥当なのでしょうか。
 御承知のように、開会中の国会で東日本大震災の復興財源を調達するための増税が決められております。これに伴って、所得税や住民税など庶民増税を中心に11.2兆円の増税を行おうとしています。
 ところが、野田政権は、その一方で、法人税減税はこの大震災のもとでも財界に言われるまま予定どおり実施する、総額12兆円もの減税も予定しております。11兆円は庶民増税、12兆円は法人税減税、つまり差し引きで庶民増税はすべて法人税減税で消えてしまいます。復興のための財源という言いわけは通用しないというふうに思います。また、国民への増税期間は25年にも及ぶものになると聞いております。しかも、住民税の均等割に一律1000円を上乗せするというのが平成35年まで続くわけでございます。
 本気で復興財源を求めるのなら、法人税減税の見直しや証券優遇税制の減税をもとに戻すだけで、15年間で25兆円を超える財源が生まれるとされています。庶民増税なしに復興財源を確保することは可能だと考えます。このたびの森づくり税の延長提案は、まさにこうした庶民増税と重なって提案されているのであります。
 お配りした資料をごらんになっていただきたいと思います。資料2のほうです。個人県民税均等割の今後の推移というほうです。
 この表によりますと、赤い部分が森づくり税と復興加算による増税の部分でございますが、平成18年までは住民税均等割の負担は4000円だったものが、平成26年から28年までは、これは森づくり税、そして復興加算、両方乗せられまして5500円、それ以降、平成29年からは森づくり税をやめたとしても5000円という金額になってくるわけで、いずれにしても、平成35年までの上乗せが続くということになります。
 ここで、紀の国森づくり税に対して、県が行った県民アンケートについて見てみますと、平成22年、これは実施から3年目のアンケートですが、県民3000人のうち約65%の方が、このアンケートを見て森づくり税について初めて知ったという回答をされている結果となっております。こうした状況を考えるなら、私は、紀の国森づくり税が県民に根づいたとは言えず、また低所得者ほどますます負担増となることから、この5年間の延長には反対の立場をとらざるを得ません。
 ただ、この森づくり税を財源にした基金事業でございますが、その中には、子供たちへの森への触れ合いや、貴重な自然を保護するために自治体が森を買い取る公有林化など、すべての県民にとって有意義な事業もあったと思います。私は、そうであるからこそ、県民全体が利益を得られるようなこの事業については、森づくり税のような特定目的のための税ではなくて、広く一般の税財源から事業を行っていくべきだと考えております。
 こうした見解を述べた上で、知事にお尋ねをいたします。
 幾らすべて県民のために有意義な事業だからといっても、何か課題があるたびに特定目的のための税をつくって広くあまねく負担してもらうということになれば、まさに今回の復興増税のように、その増税が受け入れられなければ、その分野の県民福祉は我慢してもらうしかない、そんな事態になりかねないのではないでしょうか。
 私は、そうした事業については、やはり一般の財源で負担することこそ公平な行政のあり方であると考えるのですが、この点について知事の御見解をお示しいただきたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山県は県土の約8割が森林でありまして、その森林は我々県民に多くの恵みを与えてくれ、特に水源の涵養、県土の保全、地球温暖化防止等に欠かせないものであります。
 これら公益的機能を有する森林からすべての県民が恩恵を受けているという認識に立って、県民の貴重な財産として守り育て、次世代に引き継いでいくことは大切なことであり、県民総参加で行った全国植樹祭によっても、すべての県民がふるさとの森を大切にする機運、これを大いに持ってもらったと思います。
 紀の国森づくり税については、施行以来、県民の皆様方にみずから税の負担をいただきまして、使うほうも4年間で228事業、5万人もの多くの県民にみずから事業へ参画していただいたところであります。
 こうした県民の納税と事業参画により、この税の基本理念が浸透し、森林を守り育てる貴重な財源であると県民に理解されたものと認識しております。県民の総意により、大切な森林を守り、間伐等も含めた森林の育成、保全等をより一層推進していくという超過課税である紀の国森づくり税の趣旨を御理解いただき、引き続き税条例の延長をお願いする次第でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきました。
 森林を守り、そして環境を大切にするという点では、本当に認識が一致してると思うんですが、どこにこの財源を求めるかという点で見解が違うわけですけれども、そうした皆さんが本当に恩恵を受けることだからこそ、私はもっとやはり一般の県行政の財政から支出をしていく方向で、ぜひ考えていただきたいというふうに考えております。
 次に、農林水産部長に伺います。
 お配りした森づくり税に関する、今度は資料のほうをごらんください。資料1のほうでございます。
 紀の国森づくり基金活用事業費の推移ですが、この森づくり基金による事業は、公募事業も──これは募集をした事業ですけれども──減少してきて、県が取り組む施策としても、昨年は植樹祭関連の事業があったため、かなり高いレベルを維持しておりますけれども、率直に言って使いあぐねているという状態が続いております。
 それで、右下の赤い欄が残額というか基金の残りなんですが、これは22年度末で3億9000万円近い残高となっております。大体、森づくり税1年半分ぐらいですね。
 知事は、さきの9月議会で中村議員の質問に対して、間伐事業を強く進めていくということを示されましたが、私は間伐事業自体は大切だと思いますし、これを使うこと自体は反対ではありませんけれども、税の性格上、これまでやってきた公共事業での間伐や林業施策の上での間伐とは一線を画す必要があるのではないかと考えております。
 これまでの成果や反省点とともに、今後実施されていくであろう森づくり基金を使ったこの間伐事業、農林水産部長、どのようにお考えなのか、答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長増谷行紀君。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) まず、紀の国森づくり基金事業の実績を申し上げます。
 一般県民の方々に御提案をいただく公募事業などにより、県内に約400ヘクタールの多様な森林の造成等が実施できました。また、森林の公的管理を進める事業では、保全すべき貴重な森林約400ヘクタールの公有林化を進めることができました。さらに、小中学生を対象として森林体験などを行う緑育事業におきましては、平成19年度当初の参加児童数300人が、昨年、平成22年度には約3000人にまで拡大するなど、子供たちにも森林への理解が深まりました。
 一方、間伐などの森林整備が期待したほど進まなかったということについては、私どもも認識しております。これは、間伐作業には専門的な技術が必要であることから、公募事業等では取り組みが難しかったのであろうと考えております。このため、間伐事業については、新たに県が主体的に実施する方向で検討を進めております。
 この中で、公共事業の間伐との線引きについてでございますが、以下の3点を条件とすることを検討しているところであります。
 1点目は、採算性が低いなどの理由により、森林所有者の努力では間伐が進みにくい、進まない森林であること、2点目は、将来広葉樹との混交林化を視野に入れた森林整備を行うこと、3点目は、事業実施後、少なくとも20年間は皆伐を行わないことを義務づけること、以上の3点でございます。
 また、森林の公有林化については、県としても貴重な森林資源や生態系を保存することは、県民の財産を守るという視点で重要であると認識しており、引き続き積極的に取り組む所存でございます。
 今後とも、紀の国森づくり基金事業の活用については、県民が広く参加し、森林への理解を深めるとともに、森林の働きを高めることにより、県民の共通の財産である森林の健全な育成に資するように取り組んでいく所存でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁いただきました。増谷部長には、次の質問への答弁もあわせていただいたみたいで、━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━質問だけ読ませていただくんで、答弁は今のということで結構です。
 私は、この森づくり基金を使ったこれまでの事業の中でも、最もやはり今意義深いと思っているのは、今答弁もありました貴重な自然を残していくための森の買い取り、つまり公有林化だと考えています。残念ながら、これまで古座川町の約400ヘクタールの森の買収、事業費でいえば3000万円程度になるわけですが、こういうことについて、やはり残っている残額も含めて、しっかりこういう対策を、買い上げなんかをしていっていただくということを求めますといって答弁をいただくはずだったんですが、そういうことで答弁を先にいただきましたので、議長、次へ行ってもよろしいでしょうか。
 ──次に3番目、地方税の徴収について伺います。
 最初に、地方税の徴収猶予制度の周知について伺います。
 台風12号による被災者のうち自宅が被害を受けた人は、その被害の程度に応じて被災者生活再建支援法の適用となります。また、各種税金の減免制度が利用できることは、御案内のとおりであります。しかし、被災地では直接自宅が被災をしていなくても事業や商売の売り上げが激減している例もございます。また、災害がなくとも、御家族の病気や盗難などで収入が急に得られなくなる事態というのは当然起こることです。
 そんなときに、期限が来た税金の納税を一時猶予してもらえるという制度が、地方税法15条の定める納税の猶予の制度であります。少し読みますと、その対象になるのは、1つ、納税者がその財産につき震災、風水害、火災その他の災害を受け、または盗難にかかったとき、2つ、納税者が病気にかかり、または負傷したとき、3つ、納税者がその事業を廃止し、休止したとき、4つ、納税者がその事業につき著しい損失を受けたときなど、法律には書き込まれております。
 例えば那智勝浦町では、先日、農林水産委員会でも那智大社裏山の治山事業について視察に行きましたけれども、滝の周辺のお土産屋さんは、直接は被害はなかったものの、道路が通れませんでしたからお客が全くなく、売り上げゼロの日が続いたと言います。また、ある森林組合では、事務所自体が流されたものですから、山仕事を受けることができず、日雇いの山林労働者は収入が途絶えました。
 直接は被災していないものの、収入の面で大きな損失がある、こうしたときにこそ、先ほど申し上げた地方税法15条の適用がなされるべきです。
 しかし、実際、被災地の現場では、役場も大変な御苦労の中、その制度について皆が周知されているという状況にはないようです。私に相談のあった事例では、土地を借りて栽培していたシイタケが流されて、現金収入がなくなった方がおられました。役場は、固定資産税については減免の申請をしましょうと、国保税も一応減免の申請は受け付けるけれども、生活保護基準以下の収入でないとなかなか適用されんという御説明があったそうですが、やはりこのときも現金収入が途絶えたなら、税そのものの徴収が猶予できる地方税法15条の説明をすべきではなかったのかなというふうに考えております。
 こうした状況がある中で、幾つかお伺いします。
 最初に、地方税法15条の適用についてです。
 もう1枚、議場にも資料をお配りしております。縦長のほうの資料でございますが、これが今、県事務所などに置かれている税金のパンフレットなんですけども、一番下の部分に、私、赤線を引いたんですが、徴収猶予という欄がございまして、「台風12号により財産が被災したために、納税者がその徴収金を一時に納税することができないと認められるときは、納税を猶予することができます」というふうに書いております。
 でも、これを見ますと「台風12号により財産が被災したために」ということが書かれているために、本人は直接被害を受けていない方の場合は対象にならんのじゃないかと言う人がいても当然でありますし、そういう解釈の方がおられました。
 そこで、確認の意味でお伺いします。
 総務部長、直接台風被害に遭おうがなかろうが、地方税法15条の徴収猶予の適用は可能だというふうに思いますが、御答弁をお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長米澤朋通君。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 地方税法第15条の徴収猶予制度は、納税者が災害を受けたこと等により県税を一時に納付できない場合において、納税者に納税資金調達の時間的余裕を与えるための制度であります。
 納税者が直接災害を受けた場合のほか、例えば、取引先が災害などを受けたことにより債権回収が困難と認められる場合において県税を一時に納付できないときなど、法定の要件に該当する場合に適用されるものでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今、お答えいただいたとおり、適用ができるというふうに思います。
 それで、次に、税務の窓口でのこの法律条文の周知や掲示について伺いたいと思います。
 県税事務所に行きますと、この地方税法15条があることを周知するポスターや掲示というのが、私、見回して大分見たんですけれども、見当たりません。また、その申請をするための様式ですね、県では定められておりますけども、窓口には置いてません。県事務所や県下の市町村の窓口に、こうした掲示が本当にきちんとされているんかどうかということを総務部長に答弁いただきたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 徴収猶予制度につきましては、県税事務所等に相談窓口を設置し、納税者の方々の相談に応じるとともに、県ホームページへの掲載や納税通知書等にリーフレットを同封するなどにより、申告等の期限延長、減免などの被災者に対する軽減措置とあわせ、その周知に努めたところでございます。
 次に、市町村関係でございますが、市町村税に係る徴収猶予及びこれについての周知につきましては、県から市町村に対して、徴収猶予等の納税緩和措置を講じるなど適切に対応するよう助言したところでございます。
 これを受け、市町村においては、納税相談の際等に個々の納税者の状況に応じて適切に対応しているものと認識しております。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 置いてないんだけれども、この周知の際にはいろいろリーフレットをつけたりしているというお話ですけれども、私は、やっぱり災害を受けて、こうして住民生活が大変な時期こそ、こういう周知を徹底することは大事だと思います。
 せんだっても、ある県税事務所へ伺いました。そして、この徴収猶予の制度が知らされてないかと見たんですが、一番目立つのは、玄関に車のタイヤを置いて、税金を滞納しますと自動車へのタイヤロックとか差し押さえをしますよというような、こういうのが玄関の入り口にどんとあって、それで肝心の今こういう時期だからこそほんまに見てほしいこういう徴収猶予制度については、どこ探してもない。
 私は、これはやっぱりおかしいと思うんです。少なくとも、これぐらいタイヤを展示して目立つぐらい15条の適用もできます、困った人は相談してくださいということが、県の心ある税行政じゃないですか。私は、その改善を強く要望したいというふうに思います。
 次の質問に行きます。
 経済的にも不況にあえぐ中での今回の災害です。今申し上げたように、この地方税法15条の周知をきちんと県民に行って、窓口には申請書を置くという、この具体的な対応を求めたいと思います。これについて、総務部長、答弁をお願いしたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 徴収猶予制度の適用につきましては、災害等により一時に納付することができない事情について、個々具体的に適用要件を確認する必要があるため、相談窓口において、納税者の被災状況等を確認の上、申請手続の案内も含め適切に対応してまいりたいと考えております。
 市町村に対しましても、個々の滞納者の状況等を把握した上で適切に対応するよう、引き続き助言してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 適切に対応していくという御答弁でしたけれども、私は15条の申請をみんながみんなしたからといって、適用になるとは、なかなか難しい面もあると思います。しかし、そういう制度があるんだな、これ、うちの事例やったら使えんかなと気づいてくれることこそ大事なことやと思うんです。そういう意味では、まずポスターでお知らせして、そして申請書も窓口に置いて、これ何やろうなと気づいてもらうことから始めていただくことを、ぜひ強く要望をしたいと思います。
 次の質問に移ります。
 和歌山地方税回収機構について伺います。
 この機構は、御承知のように、市町村から徴収困難な滞納事案を引き受けて専門的に滞納整理を進めるもので、平成18年に県内全市町村が参加してできた一部事務組合であります。一部事務組合ですから、定期的に組合議会もきちんと開かれております。
 この回収機構では、これまで滞納者の8割以上について差し押さえ等の滞納処分を実施して、その数は昨年度で1690件に上りました。また、そうした具体的な仕事とともに強力に推進しているのが、市町村に対して差し押さえや公売の手法、やり方を伝えるコンサルティング業務、そして、市町村から3カ月の短期研修として職員を受け入れて、実際に差し押さえとか捜索とか、こういうふだん経験しないような業務を体験させるということを行っておられます。その結果、市町村における差し押さえなどの滞納処分は、この間、急激にふえております。
 ただ、どの市町村も一律にふえているというんじゃなくて、特定の市や町が非常にふえているという状況がございます。例えば、年間200件以上を差し押さえている市町村は、昨年度の数字で和歌山市3594件、海南市269件、橋本市517件、田辺市567件、紀の川市694件、岩出市505件、かつらぎ町200件、そして私の住む白浜町の233件でございます。
 このように、全国的に徴税が強化されているという中で、住民から悲鳴が上がっております。
 これは他県の事例ですけれども、昨年1月、千葉県では、地方税の滞納を理由に役場から年金を差し押さえられた77歳の男性が孤独死しているのが発見されました。亡くなった男性は、一昨年10月、銀行口座に振り込まれた年金を役場に差し押さえられ、生活に困っているということを役場に訴えたんです。訴えても取り合ってもらえませんでした。その後、12月の年金も差し押さえられ、鴨川警察署によりますと死因は餓死で、所持金は110円だったということであります。この事件は、その後、共産党の佐々木衆議院議員が国会で取り上げ、当時の渡辺総務副大臣は、非人道的な徴収はあってはならないと答弁をされたところです。
 和歌山県内でもそうした事件はいつ起こってもおかしくない状態だと私は思います。例えば、橋本市では以前、住民だった86歳の男性の年金を差し押さえました。手紙を6回ほど送ったが返事がなかったということで押さえたらしいんですけれども、その方は、実は認知症も進んできて、なかなか手紙の内容を理解できていなかったようであります。でも、その方、通帳に現金がなくなって、もう死にたいということを言われていたそうです。
 ほかの市や町でも、こうした相談が私どものところへ寄せられています。このような状況は、特に地方税回収機構ができてから顕著に進んできたところであります。そうした状況にあることを前提にして、以下、総務部長に幾つかお尋ねをいたします。
 まず、この地方税回収機構の設立時の目標である全国平均の税の徴収率を目指すんだというこの点で、この機構の効果はどうだったんでしょうか。御答弁をお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 平成22年度の徴収率は91.5%で、平成17年度と比較いたしますと4.5ポイント改善しております。平成17年度には5.7ポイント差がありました全国平均とは、平成21年度では2.5ポイント差に縮小しております。
 このように、地方税回収機構は徴収率の向上という点で大きな効果を発揮しておるところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 徴収率を全国の平均に接近させていく、これは私はある意味わかるんですけれども、やはり各県の県民生活の状況というのはそれぞれ違いがあると思います。その平均という数字を追うこと自体が、果たしてほんまに妥当なんかどうか。税は、先ほど住民税均等割の話も申し上げましたが、今、国保税が高いとか、本当にこの均等割では低所得の人ほど重くなってきている、そういうことになってきているんです。
 そのことを考えれば、やはり全国一律、一律といいますか、平均の数字を追い求めているということ自体が自己目的化すれば、本末転倒になってしまうと私は思うんですね。そういうことでは、ぜひ改善をしていただきたいというふうに思います。
 次の質問に移ります。
 平成27年度まで回収機構を存続させるということになっておりますけれども、現状では毎年2500万円、県の補助金が支出され、そして4名の県職員の派遣というのがずっと続けられております。こういうことは、これからも続けていかれるのでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 補助金の交付及び県職員の派遣につきましては、機構の円滑な運営、個人県民税を含めた地方税の税収確保を図るため、引き続き必要と認識しております。
 それとあわせまして、機構もしくは県のほうからも支援策としまして、市町村における滞納処分については、滞納処分の厳正な実施だけではなくて、個々の滞納者の状況に応じて適切に納税緩和措置を講じるよう支援しているところでございまして、厳正な滞納処分とあわせて、個々の滞納者の事情に応じた滞納処分を実施しているところでございます。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 この機構への派遣なんですけれども、幾つか機構が各地にございますけれども、かなり県の高い負担になっているというふうに思います。いただいた資料では、隣の三重県が平成21年はなしというようなこともあります。やはり私、この機会にこのあり方も見直していくということを要望したいというふうに思います。
 次に、市町村から機構に移管しやすいような案件のみ移管されているのではないかという心配がございます。
 機構議会の議事録をいただきました。この議事録の中で言われていることがございます。ある町の町長さんですが、特定の滞納者についてまだ機構に引き継がれていないというのがあって、町の議会で言われることがあるんだけれども、ほかの団体にも滞納があって、それをどうするかということがありますかというような御質問をされております。
 私は、この質問も見て、いろいろまたあちこちからうわさも聞くにつけ、本当に困難な事例がきちんとこの機構に移管されてやられているのか、定められた移管基準のとおり運用されているんかどうかと心配をしたわけですけれども、この点についてはいかがでしょうか。答弁をお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 市町村から和歌山県地方税回収機構への移管事案につきましては、移管基準に基づき、市町村において滞納額や滞納者の状況等を踏まえて選定されており、適切に移管されているものと認識しております。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今、御答弁がありました。先ほど、この法的な処理だけやなくて、きちんと滞納者への対応もやっていくということで、部長の答弁の中にあったというふうに思います。私は、やはり行き過ぎた徴税にならないということを願っておりますし、ぜひそのことを県からも回収機構や市町村のほうに御指導をいただけますよう求めたいというふうに思います。
 議長、次の質問に移ります。
 最後に、滞納処分のあり方ということで伺いたいと思います。
 次に、県税の滞納で差し押さえを受けられたという白浜町のSさんの事例を参考に質問いたします。
 Sさんは、長年商売をされてきた方です。相談を受けました。平成18年分の個人事業税の延滞金2万2700円が滞納になっておりました。それで、ことしの春先まで紀南県税事務所から督促の電話や訪問がありました。2月には納付書も発行してもらって、支払いの約束をされたそうです。しかし、その後も払わずにいたところ、突然6月29日付の差し押さえ書が公売予告通知書とともに送られてきたということであります。見ると、Sさん名義の不動産がすべて差し押さえられています。営業用の店舗まで押さえています。
 その後、平成18年の個人事業税滞納分、大変だということで2万2700円をすぐ納めたので、この公売というところにまでは至らずに済んだわけですが、お話を聞きますと、「不動産を全部差し押さえるなら、どうして事前にちょっと声かけてくれんかったんか。こういう事態になるとは思ってなかった」ということであります。土地だけで1000平方メートルもの差し押さえ。びっくりした金融機関から、どうしたのかとの問い合わせがあったと言います。営業用の店舗まで押さえられていますから、もし公売されていたら、本当に商売を廃業しなければならないところでありました。
 こうした事例があったので、以下、一般的な対策、流れについて質問します。
 一般的に県税を滞納した場合に、不動産が差し押さえとなるまでの滞納整理の流れというのを教えていただきたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 県税につきましては、税負担の公平の確保の観点から、地方税法及び国税徴収法の規定に基づき、適正かつ公平な徴収が必要であると考えております。このため、納税者が県税を滞納した場合、督促状を送付後、一般的には文書及び電話催告等を行い、早期の納税の履行を促すとともに、一方で、納付の資力があるにもかかわらず催告に応じない等の滞納者につきましては、納期内納税者との公平の確保を図るため、不動産の差し押さえ等の厳正な処分を行うこととしております。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 お答えをいただきましたが、私は、差し押さえという、そういう重大な行いというものの前に、やはり再度文書なり電話をしたり、ずっと商売でおられるわけですから、必要はないのか。この方の場合、差し押さえまでの3カ月ぐらいの間は直接の対応というのはなかったと言われておりますけれども、この差し押さえの前の、今、部長、手続の答弁をいただきましたけども、その差し押さえの前に文書を出したり電話をしたり訪問したりという、この必要性はないんでしょうかどうか、このことをもう一度答弁お願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 御質問の事例について、ちょっと個々の事案についてお答えするのは差し控えさせていただきますが、先生が御質問の中で触れられている状況について整理いたしますと、2月に納付の約束もされておった、その後、電話や訪問面談による督促も行ってございます。そうした中で、納付の約束が守られなかったということでございまして、6月末に差し押さえを行ったものでありまして、その経緯については、議員が質問で、流れで触れられているとおりでございまして、こういう前提に立ちますと、今回の滞納処分も適切であったものと考えておりますし、今後とも滞納者の納付資力の状況、そういったものの把握に努めまして、適切な滞納処分に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 答弁をいただきましたけれども、個々の事例ということじゃなしに、最初文書を送ったと。それから大分たって差し押さえられるという点なんですから、やはりその間に本当に一言声をかけていただけたら解決したというふうに思います。ぜひ、そういう対応をお願いしたいというふうに思います。
 次に、不動産ではなしに、銀行預金など換価をしやすいものから差し押さえていくというのは通常のやり方なんじゃないかというふうに思うんですけれども、こうした点については何か手続上の流れがあるんでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 銀行預金等の債権につきましては、不動産と異なり公示制度がないことから発見できない場合も多く、また、差し押さえの対象としてどのような財産を選択するかは法令の定めはなく、徴収職員の合理的判断にゆだねられております。
 これらの点を踏まえ、滞納処分に当たっては、滞納税の消滅時効の中断や税債権の保全等の差し押さえ効果のほか、滞納者に対して自主納税を促す心理的効果等についても十分に勘案し、適切に処分を行っているところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきましたが、どのような財産を選択するかは定めがないんで徴収職員の合理的判断にゆだねられているということと、滞納者に対しても自主納税を促す心理効果がある、そういうことについてやっていくんだと言われましたけれども、私、せんだって勉強するときにいただいた資料の中で、平成23年度徴収対策についてという税の資料がございましたけれども、その中では早期に差し押さえしなさいということを書いている中で、やはり預金や給与、生命保険、賃料等、早期収入確保ができる財産の差し押さえを優先するんだという運用が書かれております。
 私は、先ほど部長が答弁されたようなところでいえば、職員の合理的判断にゆだねられているというんですが、恣意的な運用になってしまわないかということを心配しています。
 一方で、部内の資料では、そういう早期に収入確保できる財産の差し押さえを優先しなさいというふうに書いているし、今の御答弁の中では心理的効果なんかも考えてやるんだというふうに言われた。どちらが正しいといいますか、具体的な事例としてふだんやられていることなんでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 総務部長。
 〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 一般論で申し上げますと、今回、延滞金2万2700円ということでございますので、仮に銀行預金等の債権を発見できておれば、そちらのほうで対応しておったかと思います。
 さらに、不動産の差し押さえについてですが、不動産については、差し押さえを受けましても公売されない限りは生活や営業に差し支えないということでございまして、動産のように占有が移るものと異なりまして、動産、不動産という点では、不動産のほうを通常は優先的に差し押さえさせていただくというものです。預金債権が発見できておれば、預金債権のほうで対応したかと思います。
 大半の県民の皆さんは納期内納付していただいておりますし、あと、またかなり生活が厳しくても、分納等によって納税努力を続けていただいておる納税者の方も多くいらっしゃいますので、滞納処分については厳正な処分を行ってまいるという基本方針でございますので、その点、御理解いただきたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 高田由一君。
 〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 御答弁をいただきましたが、私は今の御答弁も聞きながら、確かに、今お話もありましたけれども、その時点で2万2700円ですから、ほっとかんとちゃんと払わなあかんというふうには思うんです。そやけれども、それだけしか見ていない。木を見て森を見ていないということにはなりはしないか。
 県としては、自分の守備範囲のこの県税の部分、滞納2万2700円は確かにきちんと見ておられます。でも、この方は事業をやってますから、国税も消費税も何十万と納められている、商売をしている。もし仮に気がつかないまま公売されていたら、本当に大変な事態になってきたというふうに思います。
 それで、私、この問題の最後に、かつて国税庁から──かつてといいますか、今も生きてるんです──税務運営方針というのがございますから、読んで終わらせていただきます。
 税務運営方針の中で、納税者と一体となって税務を運営していくには、税務官庁を納税者にとって近づきやすいところにしなければならない。そのためには、納税者に対して親切な態度で接し、不便をかけないよう努めるとともに、納税者の苦情あるいは不満は積極的に解決するよう努めなければならない。また、納税者の主張に十分耳を傾け、いやしくも一方的であるというような批判を受けることがないよう細心の注意を払わなければならないという、一部ですが、述べられております。これは、地方税にも当てはまることです。
 ぜひ、この税務運営方針の理念に基づいた税行政を執行されていくことを望みまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 議長のお許しをいただき、一般質問に移らせていただきます。
 昨年12月に初めて一般質問をさせていただいてから、今回で3度目の一般質問となりました。これまで、子育て支援、子供の教育ということを、同じ思いを持たれる女性の代弁者と心に思いを置き、質問させていただきました。
 昨年12月には、県において子育て環境ナンバーワンという目標のもと、これまで紀州3人っこ施策や乳幼児医療費助成、こうのとりサポートなど種々の施策を勉強して、現在の子育て支援では県内全域にカバーできていない制度もあることなど、問題提起をさせていただきました。
 知事に、ナンバーワンとなるためには今後どのように施策の充実が必要か、考えをお伺いしました。和歌山に住んでよかったと思ってもらえるような施策を積極的に展開し、子供を産み育てる環境全般を充実させていくことが必要で、さらなる充実に努め、自他ともに認める子育て環境ナンバーワンを目指すとの力強い知事答弁をいただきました。
 あれから1年、具体的に子育て支援に対する県の取り組みはどのように充実されてきたのでしょうか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 さらに、来年度についてはどのようにお考えでしょうか。知事は「県民の友」12月号で平成24年度の新政策について述べられ、その第1の柱は安全を守ることで、目下、政策に磨きをかけていると表明されております。また、今議会冒頭の知事の御説明でも、「暮らしを守る『安心』の政策」を3本柱の1つとして実施し、子育て支援の充実を初めとした取り組みを進めていくと述べられましたが、平成24年度新政策において、いかなるビジョンのもと、具体的にどこにスポットを当て、どのように取り組まれるのでしょうか。
 また、昨年は児童虐待についてもお聞きしました。
 児童虐待、いじめはどうして減らないのでしょうか。家庭や学校というところは、本来、子供が安心して身をゆだねるべきところで、どうしてここまで破壊してしまっているのでしょう。私も子供を持つ親として大変心を痛めており、悲惨な虐待事件を1つでも減らせないものかと日々願っています。
 ところが、全国の児童虐待相談件数は、平成22年度は5万5152件、前年度に比べ25%も増加しました。一方、県内では、平成21年度の虐待相談件数は460件であったものが、平成22年度は640件と40%も増加しています。中でも、児童虐待の1つである子育て放棄、いわゆるネグレクトに関する相談件数が多かったので、ネグレクトの未然防止策について質問し、虫歯の治療が全くされずにほうっておかれた児童の発見がネグレクトの予防、発見につながるという指摘をさせていただきました。
 それゆえ、今般、本定例会において「和歌山県民の歯と口腔の健康づくり条例」を先輩議員とともに提案させていただきましたが、本条例が、育児放棄、虐待の兆候は歯を診ればわかるという専門家の御指摘に基づき、県の基本的施策の1つとして、虐待を受けた子供に対する歯と口腔の保健医療サービスの確保を全国で初めて明記したことに感慨深いものを私は感じております。
 ただ、児童虐待が大きく報道され、社会的に注目される中で、県内の児童虐待件数は、平成22年度ではネグレクトが189件に対して身体的虐待が280件と大幅に上回り、内容についても大きく変化してきているようです。
 そこで、子育て支援とあわせて児童虐待の未然防止策について、平成24年度の新政策において具体的にどこにスポットを当てて、どのように取り組むのか、知事にお伺いします。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 平成24年度の新政策の大きな柱の1つであります「暮らしを守る『安心』の政策」ということで、特に子育て支援の充実を掲げ、安心して子供を産み育てることができる子育て家庭の支援、次代を担う子供たち1人1人が健やかに育つための環境づくり、そういうものに取り組んでまいりたいと考えております。
 このため、第1に、子育て家庭の支援については、紀州3人っこ政策を初めとする子育て家庭の経済的な負担の軽減や、多様な保育ニーズに対応した保育環境の整備を推進するつもりでございます。
 第2に、子供が健やかに育つための環境づくりにつきましては、すべての新生児を対象に実施している先天性代謝異常等の検査について、より多くの疾患に対応する新しい検査方法の導入を図りたいと考えております。
 御指摘のように、さらに児童虐待への対応が本県についての大事な内容になると思います。まず、増加する児童虐待への対応といたしまして、県、市町村、警察、学校、保育所、医療機関等の関係機関が、それぞれの業務に関する機能や地域的な利便性を生かしながら緊密に連携し、虐待の未然防止を初め早期発見、早期対応から、家族の再統合と自立に至るまでのきめ細かな支援を行っていかなければいけないと思います。
 そのため、児童相談所においては、虐待の未然防止のために、養育支援を特に必要とする家庭を早期に把握し、子供を家庭で育てられないと考えるときの養護相談や、あるいは子供の性格や行動などの育成相談など、子育てに関するあらゆる相談に対応してまいりたいと考えております。
 また、個々の事例に適切に対応するため、虐待通告に際しての迅速な安全確認や支援に不可欠な職員の専門性の向上を図ることによりまして、児童相談所の機能の充実に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 現在までの子育て支援に関する取り組みにつきましては、子育て家庭の経済的な負担の軽減や子育てと仕事の両立支援、地域全体ではぐくむ環境づくり等を施策の柱として、その実現に向けて取り組んでまいりました。
 昨年、議員から県内全域をカバーした事業の実施をという御指摘をいただきましたが、その中で、保育サービスにつきましては、延長保育や放課後児童クラブ等において実施箇所数が着実に増加をしてきております。また、病児・病後児保育やファミリーサポートセンターにつきましては、広域実施等の検討を行っている市や町もございます。県としましても、実施に向けた支援を行っているところです。
 次に、児童虐待の未然防止につきましては、本年3月に市町村、医師会、歯科医師会など関係機関の協力をいただきながら、妊娠、出産、育児期に養育支援を必要とする家庭に係る保健医療の連携体制に関する指針を策定し、医療機関から保健機関や市町村への情報提供制度を構築いたしました。さらに、子育て中の親を対象として、親子のコミュニケーションや子供の問題行動への対処法など、子育て技術を習得していただくための学習の機会を市町村と協働して提供してまいりました。
 今後とも、市町村を初め関係機関と連携を図りながら、子育て支援施策の充実に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、フリーゲージトレインの早期実現に向けた現状と課題について質問いたします。
 フリーゲージトレインの導入では、中村議員、花田議員初め、多くの先輩方がこれまでも質問されていますが、紀勢線についてはいまだに実現に向けた姿が一向に見えてきません。
 フリーゲージトレインは、皆様御承知のとおり、軌道間の狭い在来線と広い新幹線とを相互に乗り入れることのできる電車であります。現在、新幹線で東京方面から紀南地方に行く場合、新大阪でオーシャンアロー等に乗りかえなければなりませんが、フリーゲージトレインでは乗りかえの必要がないことや時間短縮が図られるなど、利便性が大幅に向上します。しかも、東京駅のホームから南紀に向かって直通列車の運行は大きなアナウンス効果もあり、観光立県和歌山を進めている私たち県民にとっての夢の実現であります。
 本年3月に九州新幹線が博多から鹿児島まで全面開通したことにより、新大阪─鹿児島間が3時間半で結ばれました。大阪の隣にある本県新宮市までも、やはり3時間半です。
 観光振興や地域活性化はもとより、紀伊半島に新幹線を直通運転させることの重要性は、今さら言うまでもありません。
 本年度も、6月の国の施策及び予算に関する和歌山県の提案においても、フリーゲージトレインの導入により時間短縮や乗り継ぎ解消の心理的負担が軽減され、地域住民の利便性の向上はもとより、観光客の増加や企業誘致等、地域の活性化が期待されるとしてフリーゲージトレインの早期実現化を要望しておりますが、その後の状況はどうなっているのでしょうか。
 平成22年9月に開催された軌間可変技術評価委員会では、在来線の曲線区間で現行特急の曲線通過制限速度を下回り、今後、新型車両による走行実験など、曲線通過性能の向上を図る技術開発の問題が指摘され、阪和、紀勢本線で導入する場合、1900億円もの巨額の費用が要ると言われています。この動向、その他課題はどれほどなのか、県はこのことについていかほどの熱意と重要性の認識を持って取り組んでこられたのか、企画部長にお伺いします。
 また、建設費の負担については、国、JR、地元がそれぞれ応分の負担をすることになりますが、地元は大変だなと言われています。逆に、JR、地元和歌山県に及ぼす利益についてはどうでしょうか。観光立県、地域産業の発展のため、どのような効果があるのか、企画部長にお伺いします。
 次に、台風12号による紀伊半島大水害の後、新宮─那智勝浦間の復旧については、この3日に全線が復旧いたしました。これもJR西日本初め関係者の方々の大変な御尽力によるものと、一県民の立場からも感謝を申し上げます。しかし、昼間の紀州路快速の普通電車化とも言えるダイヤ編成や関西国際空港との接続の改善など、本県のJRの利便性にはさまざまな課題があります。
 高速道路ネットワークの重要性は、今回の災害でも検証されたとおり重要なことは私も全く同感でありますが、21世紀の総合交通体系を考えたとき、県内の鉄道のさらなる充実が大切なことは間違いありません。
 こうしたことから、私はJR西日本と和歌山県との連携に強い関心を持っております。高速道路とあわせて、鉄道などの交通基盤の充実は本県の発展の礎です。今後、和歌山県の交通体系構築に向けて、JR西日本とどのように連携強化を図っていくのか、知事にお伺いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 半島に位置いたしまして南北に長い本県にとりまして、交通基盤の整備は県民の日常生活や地域の振興を支える上で非常に重要であります。高速道路と並びまして、特にJRは同時に大量輸送が可能でありまして、速達性、時間の確実性などから本県の重要な基幹交通であり、私も常日ごろからJR西日本に対し利便性の向上をお願いしているところであります。
 今回の台風12号で被災した紀勢本線は、JR西日本の懸命な取り組みによりまして、当初の予定より早く12月3日に全面復旧いたしました。私も、JR西日本には非常に感謝をしておりますが、地元の方々は復旧を心待ちにされ、開通時には地域を挙げて大歓迎されたことから、改めて鉄道が地域に果たす役割の大きさ、重要性を痛感したところであります。
 このことを重く心にとどめ、今後、列車の便数、速達性の確保や駅のバリアフリー化等による利便性の向上、鉄道を利用した観光振興などでJRとタイアップした取り組みを、沿線市町村や他の交通業者、あるいは観光業者と一体となって積極的に取り組んでいく所存でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 企画部長柏原康文君。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) フリーゲージトレインに係る国の動向と課題についてでございますが、議員の御質問にもございましたように、昨年の9月に開催されました国土交通省の軌間可変技術評価委員会で曲線通過性能の向上が必要との指摘がありましたが、その後、技術上の改良が施された後、本年10月の同委員会において、フリーゲージトレインの実用化に向けた基本的な走行性能に関する技術は確立したとの判断が示されました。
 今後、現行の試験車両による耐久走行試験を行った後、より軽量化、長編成化した実車両に近い形態での総合的な走行試験が必要とされています。
 これらに加えまして、実用化に向けた大きな課題としましては、新幹線から在来線へのアプローチ整備や在来線の改良などの取り組みが必要でございまして、それに伴う膨大なコストの低減が重要な課題となってきてございます。
 本県では、これまでフリーゲージトレインの早期実現に向け、政府提案等を粘り強く行ってきたところでございまして、今後とも積極的な情報収集等、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 それから次に、導入による効果についてでございますが、乗り継ぎがなくなることや在来線の改良による時間短縮が図られることにより、輸送人員の増加が見込まれます。また、新幹線ネットワークに組み込まれることによりまして、東京を初め全国で和歌山県の認知度が向上し、観光を初めとする産業の振興など、地域の活性化が期待されます。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 次に、再生可能エネルギーの導入促進とメタンハイドレートについて質問します。
 東日本大震災により当初は東日本が深刻な電力不足になると言われていましたが、現在は全国に波及し、特にこの関西では原子力発電による発電比率が高いことから電力不足の長期化が危惧され、夏場に引き続き、この冬も節電を要請されるなど、県民生活に与える影響は甚大なものとなっています。
 一方、本県は日照時間が全国と比較して長いという地域特性や、コスモパーク加太の跡地など遊休地が存在するなど、太陽光発電など再生可能エネルギーの導入に適したポテンシャルを有していると考えられます。また、太陽光発電の導入についても、本県は国の補助制度が復活する前に国にその意義を提言し、全国に先駆けて補助制度を設けました。
 関西電力御坊火力発電所の隣接地に日高港新エネルギーパークが経済産業省の協力で国内最初に設置され、新エネルギーのテーマパークとして一般の方向けに再生可能エネルギー等の仕組みやメリットなどを展示するだけでなく、メタンハイドレートなど新エネルギー導入の普及宣伝に積極的に取り組んでいます。
 私は、今こそ本県は、エネルギーの地産地消と言われるべき再生可能エネルギーの導入に積極的に取り組み、新エネルギー、再生可能エネルギーの導入をさらに加速化するため、事業者の初期投資負担を軽減するなどの各種施策を積極的に推進するべきものだと考えます。
 国においては、本年8月に電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が成立し、これまでの余剰買い取りから全量買い取りに大きくかじを切るとともに、メガソーラーの導入についても全量買い取りが基本となるなど、事業者が本格的に再生可能エネルギーに参入できる道筋が見えてきました。
 このことを受け、和歌山県では事業者の参入がどう進むか、また、県としてどのように再生可能エネルギーの導入をさらに進めるのか、知事にお伺いします。
 次に、メタンハイドレートについてお聞きします。
 御承知のとおり、メタンハイドレートは日本近海、特に和歌山県に近い南海トラフに最大の埋蔵量を持ち、日本の総資源量は日本で消費される天然ガスのおよそ100年分以上と推計されており、日本は世界有数のエネルギー資源大国となる可能性があります。
 東日本大震災を経験した我が国は、今後、原子力発電に軸を置いたエネルギー戦略は不可能になっていますが、現実に目を向ければ、原子力、石油・天然ガスなどの火力発電、それから太陽光発電といった再生可能エネルギーによる発電を最適なバランスで組み合わせていくことを求めていかなければならないと考えます。そのため、メタンハイドレート実用化について大いに期待したいところですが、実用化には、技術的、商業的にまだまだ課題もあると聞いています。
 このような状況を踏まえた上で、南海トラフ、熊野灘といった本県にとっては魅力的な地勢的環境から、メタンハイドレートを和歌山県としてエネルギー政策や地域振興の観点からどのように取り組むのか、お伺いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、再生可能エネルギーのほうでございますが、本県は日照時間が長い、それから未利用地もかなりあるということで、再生可能エネルギーの導入には適している地域であると思います。
 また、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が成立しまして、御承知のように、買い取り制度が進みます。この金額というか料金によって、事業者として採算が仮に見込まれるものがふえてくるとすれば、かなり積極的に具体的に事業が進んでいくものと考えて期待しているところです。
 これまでも県としては、このような制度がないときから、企業等からの相談に対するワンストップ対応や、全庁的に対応するための体制の拡充、加えて県内企業におけるエネルギー関連などの新技術開発を支援する制度を設けてきたところでありますが、今後とも県内市町村と十分連携して、再生可能エネルギーの導入支援を積極的に推進する所存でございます。
 次に、メタンハイドレートでございます。
 現在、国において進められているメタンハイドレート資源開発の計画におきましては、来年度から海洋産出試験、これを海底地形のなだらかな渥美半島沖で行う予定でございます。この試験を通じて、技術課題の抽出や経済的な生産手法の提示、我が国周辺海域の賦存状況の把握、環境影響評価手法の構築、こういうことを行っていくということになっております。
 熊野灘は、ちょっと海底地形は急峻なんですけれども、賦存状況においては負けるところはございませんので、本県の沖合に賦存するメタンハイドレート資源で商業化が見込まれることになりますれば、関連企業や研究機関の誘致などを通じて地域振興につながるものと期待されますので、県としては今後ともメタンハイドレート計画の進捗状況についてよく目を光らせ、アンテナを高く掲げ、実用化等に向けた動きに対し乗りおくれることがないように迅速に対応してまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 さきの9月議会でも質問がありましたが、私も今議会において、8月30日から9月4日にかけての豪雨で県内に甚大な被害をもたらした台風12号に関する質問をさせていただきたいと思います。
 私の実家は和歌山市内で料理店を営んでおりますが、日本料理の中で魚料理は主役です。魚といえば最初に海を連想する方が多いと思われますが、和歌山県には紀の川や熊野川、日高川、有田川、古座川など、多くの川が山々を縫うように流れています。
 川でとれる魚の代表はアユではないでしょうか。その繊細でよい香りのするアユは、塩焼きやアユずしなど、熱烈なファンが多い魚です。アユは、料理として味わうだけでなく、レジャーとしての釣りファンの多いことでもよく知られており、本県河川には県内外から多くのアユ釣り客が訪れ、近畿では1位の遊漁者数となっています。さらに、本年から和歌山県内水面漁業調整規則の改正により、有田川、日高川では日本で一番早い5月1日からのアユ漁解禁を行い、5月のゴールデンウイーク中の遊漁者を誘致し、山間地の宿泊客の増加につながったと聞いています。
 このような内水面漁業の取り組みは、本県の重要な観光資源としてのフィッシングの分野での魅力を高めるものであり、観光客誘致に果たす役割は大きいものと考えます。
 また、有田川では古式にのっとったウ飼いが行われ、ウを使ったアユ漁は多くの観光客を楽しませています。
 こうした和歌山の清らかな川や釣りの好適地という資源を活用した観光客誘致の取り組みをなお一層進めていただきたいと思います。
 そんな人気のあるアユですが、このたびの台風12号で、県内の内水面漁業の方や養殖業者の方々にとって、私たちの想像を絶するような壊滅的な被害が出ています。特に被害の大きかったのは日高川漁協で、アユやアマゴの養殖設備が大きな被害を受け、現時点では、これまで県内の川に供給してきたアユの稚魚を供給するめどが立っていないと聞きました。そればかりか、台風がもたらした記録的な豪雨は、川の水の流れの状況まで大きく変えてしまったところもあると聞きます。
 川には多くの生き物が生息していますが、食用となるアユやウナギなどを捕らえ、あるいはそれを調理することによって、また遊漁券、いわゆるアユの鑑札の販売や釣り客の宿泊で生計を立てていらっしゃる方もいます。そうした営みが、今回の水害によって今後の生計の基本が変わってしまうことはないのでしょうか。
 先日の新聞記事では、9月以降、遊漁券の極端な販売不振やアユの仕入れが滞るなどして、漁協では危機感を募らせていると報道がありました。また、河川環境も大きく変化した川があり、災害以前の状況に戻るまで相当の時間がかかるのではないかと心配する声が上がっているところです。
 9月の県議会農林水産委員会において、これらのことが議論され、特に被害の大きかった日高川漁協への支援について取り組む旨が農林水産部から説明がなされていますが、その後の激甚災害の取り扱いの経過等を踏まえ、改めて農林水産部長にお伺いします。
 現在、県が把握している水産業の被害の中で、内水面漁業に関する被害はどのようなものなのか。また、被害を受けた関係者への支援は進んでいるのでしょうか。
 次に、最も痛ましい、まさに壊滅的な被害を出した日高川漁協の復興、それはどのようなスケジュールで行われているのでしょうか。
 最後に、県として内水面漁業の復活に向け、どのように取り組んでいくのか。その際、紀の川市にある水産試験場内水面試験地の活用をどう図っていくのかについて、農林水産部長に答弁をお願いします。
 日高川漁協におかれましては、来年早々にも事業が再開される意気込みと聞いておりますが、懸命に支援をされている先輩議員にも敬意を表しますが、必死で頑張ってこられた地元の関係者の方々に称賛の拍手をお送りし、今後ますますの御繁栄をお祈り申し上げます。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長増谷行紀君。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) まず最初に、たびたびの失態をおわび申し上げます。済みません。
 台風12号による内水面漁業の被害は、水産施設が約4億円、アユ、アマゴ等の生産物が約2億9000万円、合わせて約6億9000万円となってございます。
 県では、漁業等共同利用施設の復旧に向けて、融資制度の利子補給率の引き上げなど、金融面その他での支援を実施しているところでございます。特に、被害の大きかった日高川漁協につきましては、11月25日に国の災害査定が行われ、年度内に支援金額が確定する運びとなっております。
 日高川漁協は、県内の河川に放流するアユ、アマゴ等の種苗生産の拠点として非常に重要な役割を担っております。被災当初は年内の復旧が困難であると思われましたが、先ほど議員から話がございましたように、関係者等の懸命の努力によりまして、現在、事務所機能や飼育施設の一部が復旧しているところでございます。アマゴは、11月初旬に滋賀県等から稚魚等を入手して中間育成を進めており、来春には放流ができる見通しでございます。アユは、12月以降に徳島県等から稚魚を入手、2月から採捕する県内産の海産稚アユを中間育成いたしまして、あわせて放流を実施する予定と聞いております。
 県としても、来年の秋にはアユ等稚魚の生産が平年ベースに回復できるように、引き続き日高川漁協の復旧を支援してまいる所存でございます。
 この台風の洪水によりまして、河川環境が大きく変わり、アユ、アマゴ等内水面資源への影響が非常に懸念されております。水産試験場内水面試験地では、日高川等でのアユの資源調査を継続し、今回の台風がアユ資源にどのような影響を及ぼしているのか、あるいは河川での産卵状況や海面での仔魚の分布調査を行うこととしております。
 こうした調査に基づきまして、引き続き、アユ資源を回復するために日高川漁協が行う稚魚の放流、親魚の保護や産卵場の整備などの支援を行っていくこととしております。
○副議長(前芝雅嗣君) 森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 最後に、自転車総合対策について質問させていただきます。
 最近、テレビのニュースやワイドショーで、自転車と歩行者、車とのトラブル・事故についての報道をよく目にいたします。環境に優しく経済的かつ健康の増進にもつながるということで、自転車通勤に変えたという人や、自転車を趣味の1つに加えたという人が周りにいらっしゃるのではないでしょうか。
 そのような中、10月25日、警察庁は自転車が車両であることを改めて周知徹底させ、自転車の歩道走行の取り締まりを強化する方針を打ち出しました。この公表により、自転車に乗る者、歩行者、車を運転する者のどの立場からも、その危険性と恐怖感を訴える声が出ていて、大きな波紋を呼んでいます。実際、私も自動車を運転しているとき、車道を走行する自転車に危険を感じたことが多々あります。
 確かに、幼児を乗せて車道を走行する自転車や通勤・通学で道路が込む朝の時間帯に、少しでも早く目的地に着こうとする自転車が、歩道と車道の両方の道を縫うように走り抜けていくのをよく目にいたします。また、車道を堂々と逆走する自転車もあり、自転車に乗る人や歩行者の安全の確保の観点から見ても、マナーの一層の向上が必須と思われます。
 今回、問題とされるスピードを出して楽しむ自転車や、ブレーキのついていない、いわゆるピストバイクによる事故が東京など大都市で多発したことが要因となり、自転車は車道へという方向につながったとも言われています。
 しかし、逆に一般の自転車を利用する方々にとっては、交通安全を図るための自転車総合対策がかえって自動車との走行との接近による危険と隣り合わせとなり、困惑の渦に巻き込まれているのではないでしょうか。ある新聞の記事によれば、10月25日の公表後、1週間で各地の警察署だけでなく、警察庁にも100件を超す問い合わせや苦情が殺到したということです。
 こうした中で、警察庁は、スピードを出す人以外は従来どおりの歩道走行で構わないと強調したと報じられていますが、このスピードを出す人のスピードとは一体どの程度のものであるのか全くあいまいで、利用者の困惑は募るばかりです。
 今や社会問題となっている自転車と歩行者、自転車と自動車、それぞれの間の安全性の確保を図っていくことが望まれています。今回、警察庁から公表された自転車総合対策を受けて、本県では自転車交通の安全確保についてどのように対応し取り組むのか、県警本部長にお伺いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 警察本部長山岸直人君。
 〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) まず初めに、自転車の交通事故の発生状況につきましてですが、全事故に占める自転車の事故の割合は、昨年中の全国平均では20.9%、本県では13.8%となっており、東京や大阪では30%を超えている状況にあります。また、自転車と歩行者の事故は、昨年中、全国では2760件、本県では8件発生しており、過去10年の平均では10件前後で推移をしております。
 今回の総合対策に関し、特に自転車の歩道通行について、「法律が改正されたが、自転車は歩道を通れなくなるのか」などの問い合わせが寄せられており、自転車利用者などが困惑している状況も見受けられますので、ここで少し御説明をさせていただきます。
 道路交通法上、自転車は車両であり、車道通行が原則ですが、一定の場合には歩道を通行することができると規定しております。
 1つは自転車歩道通行可の交通規制がなされている場合、2つは13歳未満の子供や70歳以上の高齢者、身体に障害のある方が自転車を運転する場合、3つは交通量が多く車道が狭いなど、自転車の安全のため歩道通行がやむを得ない場合であります。
 ただし、自転車が歩道を通行するときは、歩行者を優先して徐行しなければならず、また、歩行者の通行を妨げるようなときには一時停止しなければならないと規定をしております。
 したがいまして、議員御指摘のスピードを出す人のスピードの程度については、徐行すなわち直ちに停止することができるような速度と考えられ、それ以上のスピードで走行したい方は車道を通行していただくこととなります。
 今回の総合対策は道路交通法の改正を伴うものではありませんので、以上のような法律上の自転車の通行方法については何ら変わるところはございません。今後、道路を利用するすべての方に対し、自転車は車両であり、歩道上においては歩行者が最優先という原則を改めて御理解いただく必要があると考えております。
 県警察といたしましては、総合対策を進めるに当たり、歩行者、自転車、自動車の3者の安全を確保するため、関係機関、団体と連携しながら、自転車の通行環境の確立、自転車利用者に対するルールの周知と安全教育の推進、自転車に対する指導取り締まりの強化の3つの主要な対策を推進し、良好な自転車交通秩序の実現に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 森 礼子君。
 〔森 礼子君、登壇〕
○森 礼子君 御答弁をどうもありがとうございました。
 これで、私の一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
 午後2時42分散会

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