平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(岸本 健議員の質疑及び一般質問)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(岸本 健議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、紀の川支川の浸水対策についてお尋ねいたします。
 台風12号の影響で紀の川が増水し、河川敷のグラウンドなど、大変大きな被害を受けました。特に、粉河にあります若もの広場では、この資料の1枚目の紀の川⑤、⑥と書いたところなんですが、全長約320メートル、そして一番広いとこで幅60メートル、高さで4メートルから5メートルと、それだけの部分が崩壊しまして、サッカーで使われるような多目的グラウンドが1面、それから野球グラウンド5面、ゲートボール用のグラウンド1面、これがすべて使用不可能となっております。国体では、ソフトボール会場にしようということで考えられてた場所であります。
 これは紀の川なんですが、ここだけでなくて、県管理の中小河川でも護岸が崩れ、土砂が堆積しております。
 紀の川市内には、県管理の中小河川や用水路等、紀の川の合流点に当たる樋門が43カ所あります。そのうち20カ所が水位が逆転して大変危険だということで、台風12号のときにはこの樋門を閉めなければならないようになりました。必然的にそこに注ぎ込む地域の中小河川、水路等はあふれ出します。地元の消防団の皆さんが昼夜を問わない排水作業を行ってくれましたが、必死の作業でもすべて排水できたわけでなく、あふれ返った水が住宅地に流れ、床上・床下浸水が起こりました。また、田畑は水没して道路は浸水、それから陥没等により通行どめという状態が起こりました。
 近年の台風の傾向は大型で、そして局地的な集中豪雨をもたらす傾向にあります。こういった状態をそのままにしておいてはいけない。台風や集中豪雨のたびに、これらの地域の住民の方々は不安な日々を送らなければなりません。私は、こうした地元住民の不安を一日でも早く解消し、安心で安全で暮らせるように、樋門での逆流など、これらの浸水対策をとるべきであると考えますが、どのような方法をお考えですか。県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 県におきましては、機動的に内水排除を行うため排水ポンプ車3台を順次導入する計画としておりまして、紀の川周辺には今年度1台、来年度以降1台配備する予定であり、広域的に運用を行ってまいります。
 また、国においても紀の川周辺に3台配備していることから、緊急的に排水が必要な状況が発生すれば協力を要請してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 この1枚目の写真の丸田川、貴志川合流地点付近という写真を見ていただいたら、ちょっと──もともとの写真があれば一番よかったんですが、比べられたのかなと思います。大体想像はつくと思うんですけども、今言われた排水ポンプの数でこんなもんすくえるわけがないんですよね。根本的な解決には全くなってないというふうに私は感じます。まだまだいろいろと考える余地があると思いますので、県の取り組めることをもっとしっかりと考えていただいて取り組んでいただきたいと思います。
 そして次に、紀の川の河川整備計画における治水対策についてお尋ねをいたします。
 明治29年の旧河川法制定以来、治水、利水を主な目的として進められてきた河川の整備は、我が国や地域の発展に大きな役割を果たしてきました。川や水に対する地域の人々のニーズも時代とともに変化しており、これらも的確に対応していくことが望まれるようになりました。
 このような背景を受けて、平成9年5月に河川法が改正され、法の目的にこれまでの治水、利水、それから河川環境の整備と保全が位置づけられました。また、河川整備の計画の改正と計画策定の手続が整備され、地域の意見を反映した河川整備の計画制度が導入されることになりました。
 現在、国において、紀の川水系河川整備計画の策定が進められていると聞いておりますが、今回の台風12号の被害を踏まえると、紀の川の治水対策は喫緊の課題であると考えますが、この河川整備計画において、今後の治水対策をどう考え、どう進めようとしているのか、県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 紀の川水系河川整備計画については、現在、国土交通省が原案を作成し、関係住民の皆さんから意見を伺っている段階であり、今後、住民の意見等を反映し、関係行政機関との協議を経て、河川整備計画が決定、公表される予定でございます。
 この河川整備計画の原案では、治水の課題として、岩出井堰などの狭窄部や堤防の未整備箇所で流下能力が不足していることが挙げられております。国においては、狭窄部の対策については、井堰の全面改築あるいは部分改築を下流から順次実施するとしています。また、堤防の未整備箇所については、上下流のバランスを考慮しながら整備を実施するため、測量調査及び用地取得に取り組んでいるところと聞いております。
 県としましては、これら治水課題の早期解消、治水効果の早期発現を引き続き国に求めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 和歌山河川国道事務所でもそういうことを言われてますけども、紀の川の現状として、岩出、藤崎、小田、これらの狭窄、それから6カ所の堤防未整備箇所、河道の土石堆積、これらが洪水の大きな原因になってるんではないかというふうに言われております。実際、紀の川市内にも無堤防地域というのがあります。資料の1枚目の紀の川⑦、20年ぐらい前からずっと言うてるらしいのになかなか進んでなくて、大雨のたびにこのミカン畑がえらい浸水して、県道までかかってくるという状態であります。
 これは畑ですけども、もちろんこの近くにも家屋が並んでおります。大変な被害をそのたびに受けてます。ですから、これらを早急に進めるように、一刻も早く整備をしていただけるように、県も国に対して要望していただきたいと思います。
 次に、河川の事業の予算確保についてお尋ねをいたします。
 紀の川、そしてまたその支川ですけども、見ておりますと、紀の川なんかは樹木や草が青々と生い茂りまして、余りにも緑豊かなため、ここは河川敷なのか、雑木林なのか、それとも川なのかと、わからないような状態であります。上流から流れてきた瓦れきや樹木や草が大量にはまって流れないような状況になっております。
 土砂の堆積が進みますと、河積縮小で、そのために台風や豪雨のたびに危険な場所がふえてきております。河川の土砂のしゅんせつ、樹木の伐採を今まで以上に進めていく必要があると考えます。
 ここ数年、地域の要望を聞くたびに、河川についての要望が非常に多く感じられております。しかしながら、その要望は、危険な状態でもなかなかこたえられないのであります。河川事業の予算が以前のピーク時に比べて大幅に減少していると、予算が十分に確保できてないので河川改修が進まないんではないのかと、そんな思いになります。しゅんせつ、伐木、堤防除草等の維持管理の予算も不足しております。地域の要望にこのままではこたえられていないのではないかなと思います。県土整備部長、お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 議員御指摘のとおり、河川事業の予算は平成10年度をピークに年々減少傾向にありましたが、近年の浸水被害を受け、ここ2年は連続して中小河川の整備のスピードアップを図り、平成22年度県当初予算は対前年比1.23倍、平成23年度県当初予算は同1.24倍を認めていただきました。平成22年度は、国の経済対策を受けて積極的に予算を追加し、最終的には当初比約1.4倍として推進しました。
 今後とも、近年浸水被害が多発している地域に重点配分し、選択と集中により事業進捗を図るとともに、中小河川の浸水対策の推進が図れるよう引き続き積極的に取り組んでまいります。
 しゅんせつ、除草等の維持管理の予算につきましては、平成21年、22年度と従前の2~3倍の予算を確保して対応し、地域からの要望にも一定程度おこたえできたのではないかと考えております。
 近年、たび重なる洪水被害も相まって、しゅんせつや樹木の伐採等の要望が引き続き多い状況でございますが、地元とよく相談しながら現地の状況を確認した上で、緊急性の高い箇所から実施してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 河川は地域住民に潤いや安らぎを与える場所でもあります。また、河川事業の担う最も重要な役割は、水害から県民の生命、財産を守ることであります。災害が起こってからではもう遅いんです。災害が起こりにくいように常日ごろから着実に河川整備を進める必要があると考えます。今後、十分な予算を確保していただきますようにお願いをいたします。
 次に、ため池対策についてお尋ねをいたします。
 私の自宅からすぐ近くに愛宕池という池があります。愛宕池は、昔からかんがい用の池として地域の果樹園等で利用されてきております。
 これも台風12号の影響で、資料の2枚目ですけども、大体見ていただいたらわかるかなと思うんですが、堤体の幅約50メートル、それから高さが20メートル、この堤体が決壊をしました。水を通す水路が整備されておったのですが、いろんなところから付近の水路と合流をしながら、大体標高133メートルの場所から紀の川沿いの県道和歌山橋本線を越えて紀の川へ流れ込んできました。約1キロ、土砂や瓦れきを巻き込みながら流れていきました。幸いけが人はいませんでしたが、民家2軒の5人の方が避難をされました。この決壊した堤体の上には市道がありまして、この一帯の柿畑につながる唯一の道であります。これはもう一日も早い復旧を望んでおります。
 これだけではなくて、ほかにもいろんな小さなため池が点在しておるんですが、あるため池では水位が上がって、池から注ぎ込んでる谷川の川幅が異常に膨らみまして、周りの土砂とか置いてあったバラスとかをのみ込みながら、近くの集会所、これ床上浸水になりまして、そしてその隣にある道、畑まで土砂がたまってしまいまして、大体深いところで2メートルぐらいの高さまで上がりまして、大変なため池の被害を受けております。
 このため池は、やっぱり決壊しますと、いわゆる山津波、土石流が起こり、一瞬のうちに家であったり、また田んぼ、畑、それから道路、これは大変な大きな影響、被害を受けていきます。
 近年でも平成20年の5月、以前にも質問させていただきましたが、紀北地方で記録的な豪雨に見舞われたことがありました。紀の川市の桃山町調月地区で2カ所の農業用ため池の堤防が崩れ、決壊するおそれがあるということで、65世帯に避難勧告が出されたことがありました。幸い、そのときのため池は決壊はしませんでしたが、堤防が崩壊すれば大変な被害が出ていたということはもう想像できました。
 ため池は、本来、農業用水、集落用水、また防火用水などを目的としたもので、危険な急傾斜地や集落、それから住宅地の上にも多く点在し、現在では、その役割を果たしているものもありますが、実際は大なり小なり活用してるものが大半で、地域にとってはなくてはならない施設であります。多くは江戸時代に、またそれ以前につくられたものもあります。老朽化している状態であります。それに、ため池の管理者が高齢化をしていること、それから減っていること、ため池の管理もままならぬ状態であるということをよく聞きます。
 これらを考えたときに、今後30年以内、東南海地震が60%から70%の確率で、また南海地震が50%の確率で発生すると言われています。また、東南海・南海地震の場合の予測では震度5強以上、また紀北に隣接する中央構造線による地震予測では、紀の川沿いの低地で液状化の危険度が高い上、震度6強から震度7というふうに予測されております。このような地震が起きたらどうなのかと。阪神・淡路大震災の淡路島や新潟中越地震、能登半島地震でも、ため池の決壊で大きな被害が出ております。
 これを考えると、和歌山県内のため池が5545カ所、紀の川市内でも786カ所あります。今回のような集中豪雨や地震などによってため池が決壊するのではないかという不安も感じております。
 現在、和歌山県は非常に危険度の高いため池から調査を行っていると。危険度の判定ができても、現在の予算と地元負担金、受益者負担金の問題があり、なかなか事業が進んでいないのが現状であると思います。地域住民の生命、財産を守るためにも早急な対策が必要だと思います。現状の取り組みと今後の対策について、農林水産部長にお尋ねいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長増谷行紀君。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 平成16年度から農業用ため池耐震診断を実施し、地域防災計画に位置づけられているため池など420カ所を目視で診断いたしました。その結果、220カ所を危険度が大きいと判定しております。また、平成17年度に農業用ため池緊急点検を実施いたしました。2ヘクタール以上の受益面積を持つため池1143カ所について点検を行い、72カ所で早急な整備が必要と判定いたしました。改修の必要の高いものを対象として、市町村から要望のあったため池について、要件の整ったものから計画的に改修を進めているところでございます。
 なお、平成16年度以降、20カ所で県営ため池整備を実施しております。県営ため池等整備事業では、国が50%、県が40%を負担し、残り10%を市町村を含む地元に負担をお願いしております。県費の率につきましては、地域の安全度を高めるため池整備を推進するため、農業農村整備事業の中では最も高い率となっております。
 また、ため池の安全性確保には日常の管理が極めて大事であるため、管理者にため池点検マニュアルを配付いたしました。また、さらに、ため池点検強化月間による地域住民への啓発活動を実施しているところでございます。
 このように、ソフト・ハード対策を総合的に行い、ため池に係る地域防災安全度の向上に取り組んでいるところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 今、部長が言われた平成16年度、農業用ため池の診断、420カ所をして危険度の高いため池が220カ所、それから平成17年度の点検では1143カ所を点検して、そのうち72カ所が早急な整備が必要と判断されるということです。それぞれ危険度の大きいため池220カ所、72カ所、早急な整備が必要と判断されておりますけども、それぞれの整備は完了していますか。お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ため池耐震診断で危険度が大きいと判定いたしました220カ所につきましては、17カ所で事業を実施いたしております。また、ため池緊急点検で早急な整備が必要と判定いたしました72カ所につきましては、うち3カ所で事業を実施しているところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 順調に進んでいるとは言いがたい、全く進んでいないというほうが表現しやすいかなと。予算の問題もいろいろとあるというのはわかっておるんですが、やはり危険なものをそのままにしておくというのは忍びない、何とか一日でも早く整備をしていただきたいと、そのように思います。とにかく、県民の皆さんが安心して生活できるように考えていただきたいと。
 そして、その診断、点検について見せていただいたんですけども、たくさんの項目をチェックしながら目視でその池を点検されるということなんです。今回の愛宕池の決壊については、堤体の外に豪雨なり、また道から流れ込む水なりで、それが原因で堤が決壊したということを聞いておりますけども、そのようなことは想定されて点検をされていたのか、農林水産部長、お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ため池緊急点検では、構造的危険度、周辺環境の危険度、あるいはため池が決壊した場合の影響度、立地条件等の各項目について判定しまして、総合的に危険度を決定しております。
 外部からの流入につきましては、周辺環境危険度の中の接続道路の項目におきまして、堤体に導水する勾配で接続として想定しております。
 ため池緊急点検におきまして、愛宕池は、堤体に導水する勾配で接続でございますので、周辺環境危険度におきましては最も危険ということになりますが、判定結果はほかの項目も加味いたしますので、その結果、整備の緊急性は低いということになっております。
 外側からの流入につきましては、危険度を示す指標の1つであることを改めて認識いたしまして、ため池点検マニュアルによる日常点検による確認の上、愛宕池の教訓は今後のため池整備の参考としてまいりたい、かように考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 今、部長が言われたように、私もその点検の書類を見せていただいたんです。そしたら、いろんな項目があって、ああ、これはもうチェックしていくのも大変だなと思うたんですが、この平成20年の桃山であったため池の決壊──決壊までいかなんだんですけども、それも今回の愛宕池も、堤体の外からの圧、水の流れだったり、雨だったり、これでこの2つのため池というのは危険な状態であったんだけども、点検のシートとか、そういうのを見ると、これはあんまり重きを置いてないんですよね、ほんまに。だから、今部長言われたとおり、この経験を──経験って、あんまりええ経験じゃないんですけども──加味していただいて、診断については慎重に行って判断をしていただきたい。
 愛宕池なんかまだ新しいですから、まさか決壊なんかという人が多かったと思うんですよ。だから、本当にそのチェックシートというのも大事なんだろうとは思いますけども、それ以上に今までの経験を十分に生かして診断、検査をしていただきたいと要望いたします。
 次に、ため池の地元負担金、受益者負担の軽減についてお尋ねをいたします。前の議会で平木議員からも質問があったと思うんですが、同様の質問になるかと思います。
 ため池の整備には、ため池等整備事業、それから地域ため池総合整備事業、農村災害対策整備事業がありますが、どの事業も地元負担金の割合が大きく、ため池改修には多額の事業費がかかります。そのため、地元負担金が高額になり、現実として住民に不安があってもため池改修ができないのが現状であると思います。ぜひ地元負担金、受益者負担金の軽減を検討していただきたいと思いますが、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ため池の整備は、いわゆるフル改修が基本でございますが、フル改修が困難な場合には、農業者や地域住民の方々等、地域の合意を踏まえまして、緊急放流施設や部分的な改修などの減災対策を行うため池等整備農地災害危機管理対策事業を活用するなど、いろいろな手法がございます。こうしたいろんな手法を使いまして地元負担の軽減を図るとともに、地域安全度の向上を目指してまいりたいと考えております。
 また、複数のため池が存在する地域では、ため池の統廃合、関連の用排水路の整備によりまして地域全体の安全度の向上を図る地域ため池総合整備事業という事業もございます。またこうした事業も活用して地域の負担軽減を図りながら、安全度の向上を目指してまいりたいと考えております。
 それから、9月議会で質問がございましたけれども、農地が減少しているというんですか、もう余り使われていないため池につきましては、必要に応じて水位を下げ、あるいは地域の安全度の向上を図るということで、水を抜くというんですか、そういうことの取り組みの検討も行っているところでございます。
 あと、減災対策を補完するため、現在検討中なんですけれども、平成24年度の新政策といたしまして、ため池の決壊被害から住民の生命と財産を守るために、浸水区域想定図を県で策定し、市町村によるため池ハザードマップの作成を支援するハザードマップ作成支援事業を新年度の事業として検討しているところでございます。
 このように、ため池対策といたしまして、フル改修だけではなく、減災対策、ソフト・ハードを組み合わせることで地元負担の軽減を図り、地域安全度の向上を目指してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 いろいろと対策をしていただいてる、これはもうよくわかりました。しかし、やはりまだまだ負担というのは大変大きいものがあります。余水ばけをちょっと広げて水を抜くとか、そういう対策をして、なるべくお金のかからないようにというのはもう十分わかっておるんですけども、やはりどうしても危険なものはしなければならないというたときに、やはりこの負担金というのがネックになって進まないという状況もあります。いろいろとこれからも対策を考えていただきたいと思います。
 次に、新規就農者支援策についてお尋ねをいたします。
 和歌山県は、黒潮のもたらす温暖な自然環境に恵まれまして、ミカン、桃、柿、ハッサク、キウイ、ブドウといった農業産出額で全国1位の果樹、それから野菜、花、稲作、畜産など、多様な農業が展開されております。このようなすばらしい本県農業が引き続き発展していくためには、農業を中心となって担う人材の確保と育成が極めて重要であると思います。
 しかしながら、農村における高齢化は加速度的に進んでおりまして、我が国の基幹的農業従事者の平均年齢が平成22年度で66.1歳と高齢化が進んでおります。とりわけ今まで本県の農業の近代化に第一線で取り組んで、維持発展さしてこられた昭和1けた生まれの方々は、既に70歳を超えております。地域農業を支え切れなくなっている状況ではないかなと思うときがあります。
 今後、地域農業がさらに弱体することは許されません。持続可能な力強い農業を実現するには、これからの地域農業のリーダーとなる人材の若い年齢層を厚くして、就農希望者や経営発展を目指す農業者等に対して、高度な経営力、それから地域リーダーとしての養成が必要不可欠だと認識しております。
 こうした現状で国は、食と農林漁業の再生実現会議における、我が国の食と農林漁業の再生のための中間提言というものがあります。新規就農者をふやし、将来の日本農業を支える人材を確保すると。毎年2万人の青年新規就農者が定着することを目標としていると。
 会社員など非農家の方が新規参入者として、野菜や果樹などに意欲的に取り組んでいる方が県内でふえていると聞いております。これは、みずからの努力や判断が収益に直結する、自然との触れ合いの中で労働する農業に魅力を感じるとのことですけども、私は、こうした意欲のある方々を少しでも農業に結びつけて、今後とも担い手の育成、農地の有効活用、農業生産の拡大、そして農商工連携などに積極的に取り組んで、まさに農業が農業として生きていけるような仕組みづくり、これが地域農業の活性化を図る上で重要であると考えます。
 県として、青年の就農意欲喚起と就農後の定着を図るためにどのような施策を行っていくのか。各地域の農業振興を考える上で大切なのは、生産者だけでなくて、消費者など多様な方々の意見を十分に反映した上で、地域の特性を最大限に生かし、重点的に取り組む事柄をしっかりと見定めることであると。地域の特性に合った県独自の支援の拡大について、農林水産部長にお尋ねいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県では、農業大学校での学生教育や離転職者職業訓練を行う社会人課程、並びに御坊市の就農支援センターにおきまして、就農を希望される方々へ農業技術研修を実施しております。
 また、新規就農者の就農初期の経営と生活の安定を支援するため、県単独の新農業人あんしん自立支援事業におきまして、毎年3名の方に就農奨励金を支給、あるいは無利子の生活安定資金貸付貸与制度を設けております。また、農業公社によりまして、農地無償一時貸付等により、いろんな資金面での援助等、新規就農者への支援を行っているところでございます。和歌山で農業しませんかプロジェクトによりまして、ふるさと雇用活用事業と農の雇用事業を実施し、県内における新規就農者の確保にも努めてまいりました。
 こうしたことによりまして、平成20年度は、長期総合計画の目標である200名に近い約180名の新規就農者を確保というんですか、新規就農していただくことができました。
 これからも新規就農施策をより一層充実させて、地域の実情に合った仕組みづくりを新政策として計画しているところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 今、部長の答弁の中の最後にあった、地域の実情に合った新しい新政策を計画中ということがありましたけども、どのような政策ですか。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 議員お尋ねの新規就農支援の新政策につきましては、現在実施しております就農希望者の方々への研修をさらに充実させるということで、JA等の関係機関と協力いたしまして、実際にトレーニングファームとして農地を借り上げて、そこで1年間の研修を行っていただくという方向で、現在検討を進めてるところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 検討中ということなので、具体的な話を聞けないのが残念でありますけども、1年間に新規就農者が180名おられるということで、やっぱりこの新規就農者を育てていこうということなんだけども、さっき答弁をいただいた中で、県単事業ですね、新農業人あんしん自立支援事業ということで、定着するまでというか、就農支援金をいただけるということなんやけども、悲しいかな、180人就農するのに毎年3名しかもらえないというのも、もうちょっと枠を広げてもええんじゃないかなと。だから、今度の新政策については、もうちょっと多くを対象にして取り組んでいただきたいと、そんなふうに思います。
 次に、特定高性能農業機械導入の基準の見直しについてお尋ねをいたします。
 本県の地形上、小さな農地しか存在していないような地域がたくさんあります。このような地域では、物理的に小規模な農家で営農を行わざるを得ない。和歌山県では、平成17年9月に策定している特定高性能農業機械導入計画の基準に合わせて、国の補助事業では機械が導入できる規模の農家が限定されているという現状をかんがみて、今後、この基準を見直して、新規就農者のみならず、既に農業に従事されている方へも、地域の実情に応じて、きめ細かい担い手の確保、育成を支援していくべきであると。どうしていくのか、農林水産部長、お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 昭和28年に施行されました農業機械化促進法は、農業生産力の増進と農業経営の改善を図るために高性能農業機械の導入を促進することを定めた法律でございます。国が基本方針を定め、基本方針に基づき県が導入計画を策定することとなっております。
 特定高性能農業機械導入和歌山県計画につきましては、国が定めたトラクターやコンバイン等、農業機械の補助事業導入の際の下限面積を、議員御指摘のような状況から、和歌山県の地域の実情を加味して下限面積を下げるというふうな形で策定しております。園芸県である本県は、1戸当たりの農地面積が少ないことから、いろんな工夫をいたしまして、できるだけ低い面積を設定しているというのが実態でございます。
 しかし、この計画は樹立いたしましてから相当に年数が経過いたしましたし、また、新規就農のさらなる促進を図るという観点から、早急に下限面積の見直しに向けて国と協議を進めたいと、かように考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 早急に国と協議をされるとのことです。部長も言われましたとおり、この制度はかなり時間がもうたっておりますので、時代の流れに合っていないと思います。国の基準が和歌山県の農業の実情と全く合っていないと、そんなふうにも思います。協議は遅いぐらいに感じます。大至急取り組まれるように要望をいたします。
 次に、地域農業リーダー育成についてお尋ねをいたします。
 今後の地域農業のリーダーとなる人材の層を厚くするため、就農希望者や経営発展を目指す農業者等に対して、高度な経営力、地域リーダーとしての人間力等を養成し、自主性、主体性を持って経営管理能力の熟成が必要だと考えます。これらを実現するために、農業大学校の教育にとどまらず、他分野との連携による農業の可能性を発展させることが重要だと考えます。
 例えば、農業と福祉、農業と教育、農業と観光など、あらゆる分野と連携して、地域を支える新たな活動を促進していくべきであると思います。県としての見解を、農林水産部長、お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農産物の流通が、量販店やインターネットによる通信販売に加え、加工品や輸入品の増加など、複雑多様化している中で、国際競争力のあるたくましい産業として農業を発展させていくためには、生産技術の向上だけではなく、農家個々が販売、加工をも視野に入れて経営能力を向上させ、もうかる農業を展開することが重要であると考えております。
 加えまして、農業を中心とした個性豊かで活力ある地域づくりを推進するために、農林業と食品産業など、地域の得意分野を生かした産業育成の推進や、都市と農村との交流による農家民泊、体験教育旅行などの観光との連携、また、学校での食育や給食での地産地消などの推進が一層必要であると考えております。
 そのため、さまざまな販売戦略に伴う商工業者との協力体制の構築や、新農林水産業戦略プロジェクト、あるいは農商工連携ファンドを活用した6次産業化の推進による経営基盤の強化等、他産業との連携拡大を推進、実施しているところでございます。それとともに、若手を中心とした4Hクラブや、県下で約1000名いらっしゃる農業士などの中核的農家に対しまして、経営や異業種交流などの各種研修を積極的に行い、地域リーダーの育成に努めているところでございます。
 今後とも、農業と他産業との連携、交流を通じて、農家個々の経営基盤の強化と地域農業のリーダー育成に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 ありがとうございます。
 農家個々の技術をその地域の技術として確立させること、そして、その地域のブランド力を構成して農業所得を向上と、新規就農者に対して支援をしていただいて、リーダーを育成していただきたいと思います。リーダーが育つことということは、持続的な農業の発展に必ずつながる、それは地域の発展につながる、そして和歌山県の発展に必ずつながる、そのように考えております。
 今後も、国の基準とか、そういうのにとらわれず、県独自でも新規就農の支援策についてしっかりと取り組んでいただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、岸本健君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
 午後2時41分散会

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