平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(松坂英樹議員の質疑及び一般質問)


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 午後1時1分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、一般質問に入らせていただきます。
 まず最初に、TPP問題で質問をさせていただきます。
 野田政権は、先月、TPP(環太平洋連携協定)の交渉参加表明を強行いたしました。和歌山県議会としても、昨年12月議会でTPP交渉参加に反対する意見書を全会派賛成で可決しているところです。政府の交渉参加表明強行は、国民、県民の拙速な交渉参加反対の声、これが大きく広がってきている中で、世論を踏みにじったものとして許せないものであります。
 昨年の議会では、物品の関税撤廃による影響をどう見るかが議論をされました。TPP参加が農業と食料自給率に壊滅的影響を与える結果となるということは、まさに大問題であります。
 これに加えて、この間、国民的議論が進む中で明らかになってきたのは、食の安全や、また医療、雇用などの法律や制度というようなルールが輸入を不当に制限する非関税障壁だとして攻撃される、このことにより、国民・県民生活のさまざまな分野にかかわる大問題となってくるということです。
 野田政権によるTPP交渉参加表明という重大事態を受け、この間、指摘されてきたさまざまな問題点が県民生活にどう影響をしようとしているのか、またTPP問題への政治姿勢をお伺いしたいと思います。
 まず、第1点目の農業分野ですが、県内農業を初め、加工、流通などを含め、大きな影響がある分野です。昨年から立ち上げたTPP問題での庁内プロジェクトチームでの論議を踏まえて、農業分野での影響についてどう検討されたか、まず農林水産部長から答弁をお願いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) TPPに加入した場合の農林水産業への影響を、TPP参加国に加え、ASEAN加盟国、韓国、カナダ、メキシコの計18カ国について、関税が撤廃された場合を想定して検討しております。
 検討品目は、県内での産出額が1億円以上で、かつ当該各国の生産状況、輸出状況、関税率等から見まして競合すると考えられる10品目でございます。試算に際しましては、農林水産省が行った試算を参考に本県の状況等を加味いたしまして、影響額を平成20年度の生産額に当てはめて算出いたしました。
 例えば米では、有機栽培等の特別に栽培された米と自家消費米の半分が残り、それ以外の米、すなわち県内で産出される米の全量の85%が減少するとして試算しております。また、温州ミカンでは、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意の際の影響を参考にして、10%の生産減少になるとして試算しております。
 この結果、午前中に知事のほうから申し上げましたように、本県農林水産物への影響額は約136億円、このうち農産物が121億円、畜産が14億円と推計いたしております。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 続けて、医療分野についてお伺いいたします。
 暮らしとかかわる問題でこの間大きくクローズアップされてきたのが、医療の分野へのTPPの影響です。
 かねてからアメリカは日本に医療の市場原理導入を求めており、混合診療の全面解禁、薬価ルールへの干渉など、圧力を強めてくると考えられます。人やサービスの移動緩和による地域医療への影響、さらに、公的医療保険制度、国民皆保険制度が市場参入の障壁としてねらわれると指摘をされておりますが、県民の医療と健康にどのような影響が及ぶと考えているのか、福祉保健部長に答弁をお願いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) TPP問題の医療分野への影響につきましては、現時点では国からの十分な情報提供もなく、詳細については不明ですが、県といたしましては、世界に誇る国民皆保険制度を堅持していくことが何よりも大切であるというふうに考えてございます。今後のTPP交渉では、我が国の安心・安全な医療が損なわれないよう、しっかりと対応するように政府に強く訴えてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 3つ目に、公共事業の分野で今度はお伺いいたします。これは、地域経済への影響が懸念されている大きな問題だと思います。
 TPP参加により国際入札の基準が下げられるのはもとより、県や市町村ができるだけ地元業者に発注しようとしているこのルールや工夫が非関税障壁だとして攻撃されかねません。これをなくしてしまえば、外国からだけではなく県外業者もフリーパスとなりかねません。公共事業の分野での影響はどう考えているのか、県土整備部長から答弁をお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 現在、外国企業が参入可能な地方公共団体におけるWTO基準額は、建設工事では23億円、建設工事に係る委託業務では2億3000万円でございますが、我が国がTPPに参加することによりこの金額が引き下げられるかどうかもわかっておりません。いずれにしましても、議員御心配の公共事業への影響につきましては、今後、情報収集に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 3つの分野でそれぞれの関係部長から答弁をいただきました。これらの問題以外にも、食品安全のルールも非関税障壁とされかねないなどの問題、影響は多岐にわたっております。
 そこで、今度は知事にお伺いをいたします。
 知事は、昨年12月議会において、農業への手だてなどを抜きにTPPへの参加は常軌を逸していると答弁をされています。この間の国民的論議でも明らかになったように、県民生活全般への影響が危惧される中、和歌山県というこの地域的条件も踏まえて、情報提供や姿勢も示さないまま交渉参加表明をした国に対し、知事として抗議もし、撤回を求めるべきではないでしょうか。知事の政治姿勢をお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) TPPに参加することによりまして我が国の産業にどの程度影響がどういうふうにあるのか、あるいはそれに対する対応はこんなふうにしてやるんだというようなことについて、国民に対する情報提供が十分に行われていない中で、交渉に参加するとだけしかおっしゃらない政府の対応は問題があると思っております。
 そのため、政府に対しては、TPP交渉には国益を損なわないという強い姿勢で臨むとともに、TPP参加による影響、対応策を早急に明らかにして、そして国民的な議論もきちんとやって、とりわけ農林水産業など大きな打撃を受ける懸念がある産業への対応策は最も早く検討して、それを公にしてもらいたい、そんなふうに思っております。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長答弁の中では、国民皆保険制度をしっかり守ることが大切だという答弁もありました。言うべきことは言い、求めるべきことはきっぱりと求めていくよう要望するものです。
 また、知事からは、政府の姿勢は問題があるという御答弁をいただきました。午前中の答弁の中でもいろいろありました。バスに乗りおくれるな、長いものには巻かれろ式の国のやり方は、私は許しがたいと思ってます。日本農業の再生とTPPの参加は両立しません。農業の持続的再生産を支えれば、日本には温暖多雨な気候条件を生かすすぐれた農業技術と、また安全・安心を求める消費者ニーズなど、農業発展の条件はあるし、そこに和歌山の未来があると思います。医療や公共事業でも一極集中ではなく、多様な地域が魅力ある地方を形成することが求められます。
 知事は、午前中の答弁の中で、参加するも地獄、しないも地獄という知事の考え方をおっしゃいましたけども、その考え方が当たっていたとしても、参加して和歌山の農林水産業が壊滅するよりも、参加せずに、苦しいけれども豊かな山河と地域社会が残る和歌山を目指してほしいということを申し上げておきたいというふうに思います。
 続けて、それでは、2番目の柱の質問に移らせていただきます。
 災害復興と河川、ダムの防災対策についてお伺いをいたします。
 第1点目に、今議会に提案をされている災害復興補正予算と関連をして質問をさせていただきます。
 9月議会では、災害復旧のための事業と補正予算に迅速に着手をいただきました。私ども共産党県議団としても、災害直後から救援ボランティアで災害現場に伺い、同時に県民の皆さんからの要望をお聞きしてまいりました。救援、復旧から復興へと課題が移ってきた中で、県民、被災市町村からは、国の災害復旧事業に係らない分野で県や市町村の温かい支援を求める声が数多く出されました。
 小規模な農地災害の相談は、各地で数多く出されています。また、大きな借金を抱えたまま、破壊された農業用ハウスやボイラーを前に涙ぐむ若い農業後継者の声、濁流により根こそぎ倒されたりした果樹を前に、天災だから補償とは言わないが、このミカンやブルーベリーの木を植えかえてもう一度頑張ることにぜひ支援が欲しいという農家の声、動かなくなった軽トラックや農機具などを新たに買いそろえることも、年は年だし、とても困難だという元気に地域を支えている農家の声、また、地域に1つしかないお店が再開できないとなると地域が元気をなくしてしまう、何とか再開してもらって地域の活力を取り戻したいという自治体首長さんの声、これらの切実な声にこたえるべく、今回の県単独補助事業や補正予算が組まれたことを歓迎したいと思います。
 そこで、農業再開支援策として進めようとしている支援内容について当局から答弁を求めるとともに、また、補正予算額は要望に十分こたえられる予算規模になっているのか、林業の分野では森林作業道の復旧対策を求める声が多く出されていますが、どのように対応していくのか、以上の点について、農林水産部長よりお答え願います。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農業の復旧支援について、よりきめ細かく、被災者視点での復旧・復興につなげていくため、3本柱から成る再開支援策を12月補正予算でお願いしているところでございます。
 被災ミカン園等での改植や農業用ハウス等の復旧、農協が行う農業用機械の貸し出しを通じて営農再開を支援する営農再開緊急支援事業、被災地の担い手組織が行う農地の再利用活動に関連する農業機械・施設の整備を支援する地域農業支援対策、国の災害復旧の対象とならない事業費40万円未満の小規模災害復旧や、田畑の転石除去などの工事を支援する農業生産基盤復旧支援事業での必要額をお願いしているところでございます。
 なお、必要な事業につきましては、平成24年度予算におきましても引き続き実施していく考えでございます。
 また、林業の作業道につきましては、森林施業を実施する上で重要な施策であることから、現在、国の森林整備地域活動支援交付金を活用して復旧に取り組んでいるところでございます。
 今後とも被災者の声を聞きながら、引き続ききめ細かく、かつ十分な対応が行えるよう、地域の農林水産業の方や市町村と一体となって一日も早い復旧・復興を図っていきたいと考えております。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 続けて、商工関係もお聞きしたいと思います。
 補正予算では、県内中小業者への支援として、融資制度に加えて補助制度も設けられました。あわせて独自補助をする市町村も出てきています。災害から時間がたっていて、既に補修をしたり施設を買いかえたりという対応を済ませている事業者もあるでしょうから、補助を受ける際の手続がスムーズにできるよう工夫していただきたいし、また、独自補助をする市町村と県とで二度手間になったり複雑にならないよう配慮すべきだと考えますが、いかがでしょうか。商工観光労働部長にお答え願います。
○副議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長大門達生君。
 〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) このたびの台風12号において被災された事業者の方々の事業再開を支援するため、県独自の支援制度を創設することとしたところでありますが、この制度の運用におきましては、市町村、商工会等とよく連携しながら、手続上、申請者にできるだけ負担のかかることのないよう配慮してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 両部長から御答弁いただきました。
 これまでに前例のない画期的な支援に踏み込んでいただいたわけですから、くじけそうになりながらも必死に立ち上がろうとしている県民と、復旧・復興の業務にてんてこ舞いしている市町村の声に丁寧にこたえていただき、多くの県民に喜んでいただけるよう取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。
 引き続いて、県営ダムの治水能力向上のためにということでお伺いをしていきたいと思います。
 知事は、9月議会の質問に対し、県内利水ダムに治水への協力を働きかけると答弁をされ、また部長からは、県営ダムの運用改善、本体の改良を求めた質問に対し、ソフト対策、河川改修も含めて効果的な対策を検討するとの答弁がありました。いずれも大変積極的な答弁であったし、アクションプログラムにも中期対策として位置づけて早期対応を目指すという姿勢も評価をしたいと思います。
 私はこの間、他県でのダムの改善事業を視察してまいりました。鹿児島県にある鶴田ダムでは、多目的ダムの水位を下げて治水容量を大きくしようと、ダム本体の下のほうに放流ゲートや、また発電用の取水口を新たに設けて、そういうような改良工事が行われていました。また、熊本県の氷川ダムでは、ダム本体をかさ上げする改良工事によって治水容量をふやしていました。ダム問題には、それぞれの地域の条件や経過のもとに、さまざまな努力や、また試み、模索というものが全国各地で行われていることを実感しました。
 私たち和歌山県では、県営の多目的ダムに設置された水力発電所を民間に売却する計画が出された7年前、二川ダムを持つ私たち有田川流域では大問題になりました。地元自治体や、また地元議会からも一斉に反対や慎重な対応を求める意見が上がりました。
 ダム直下の二川地区の集会所では、区長さんを初め多くの区民の方々から御意見を伺いましたが、次々に怒りを表明されました。二川地区はダム建設には反対だった。当時、ダム反対町長まで誕生した。しかし、洪水対策のためにと言われて泣く泣く同意をしたんですと。発電所を売り渡すのであったらダム建設時の約束違反だ、一からやり直しをせんなんことになる。発電がもうからんのやったらもう発電やめて、どうか防災ダム一本にしてほしい。これが圧倒的な声だったんですね。
 これに対して県は、発電所は売ってもダムは県営であり、治水は県が責任を持つと、こういうふうに答え、関西電力への売却に当たり、ダム運用について協議もし、二川ダムでも運用水位を下げ、予備放流や洪水調節でも治水能力向上の改善を果たしてきた、そういう経過があります。
 県営ダムの治水能力向上のためには、関西電力を初めとする水利権者等との調整が必要ですが、決してゼロからのスタートではないはずです。これまでの経過やこのたびの大災害を踏まえて、県民の安全という立場からしっかりと取り組んでいただきたいと考えています。
 知事は、9月議会後、早速関西電力へも行っていただいたと聞いておりますが、県営ダムの治水能力向上のための取り組み状況について、まず知事より答弁をお願いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、和歌山県の県営のダムについては、利水部分と、それから治水部分がありまして、治水部分をうまく使って、下流の堤防等々ももちろん使って、それでその治水がちゃんとできるという想定をつくっておったわけでございます。ところが、現実にその想定を上回るような水が来てしまったもんですから、最終的には、わかりやすく言うと、入ってくる水と出ていく水が同じになってしもたという時期が出てしまいまして、被害も発生したわけでございます。
 今回はそれを受けまして、大規模出水によってダムがあふれることが将来予想されるときには、利水をしばらく犠牲にしてもダムの貯水位をあらかじめ下げて、それで治水の機能の向上を図って下流の安全を確保するということはどうだろうかということで、関西電力に、そのような要請を県がやったときには協力してくださいというような申し入れをいたしました。
 私自身も、関西電力が停電の復旧に随分御尽力してくれましたんで、それのお礼を申し上げると同時に、社長にお目にかかったときにこのようなことを申し入れて、その場で、それはごもっともでありますと、県から要請があったら、我々は下流の方々の安全を守るのが物すごく大事な要請ですから協力さしてもらいますというお話をいただいて、原則はオーケーになっております。
 あとは、実際にどのような場合にどのような手続で、あるいは方法で、タイミングで、それからまた放水するときにどういう事故処理を役割分担でやっていくかというようなことをきっちり決めておきませんと、気持ちだけではいけませんので、そういうことを今詰めているところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事からは、原則オーケーという返事もいただきながら具体的なところを詰めているというお話をいただきました。この答弁を踏まえた上で、もう少し具体的な課題で質問を続けさせていただきたいと思います。
 ダム操作規程の改善をということで質問をいたします。
 県は、2002年から七川ダムで、加えて2005年の発電所売却時に当たり七川ダム、二川ダムで運用規程というものを定めて、ダムの操作改善を進めてまいりました。しかし、これは本体であるダム操作規則というのには手をつけずに、いわば接ぎ木をしたような形で操作を決めてるわけなんですね。このことにより、せっかくの運用改善が本則から外れた限定的な操作というような扱いともなっていて、本来は操作規則をしかるべく改定すべきだと考えるものです。また、現実的には、洪水直前に慌ててダムの水位を下げようとしても、なかなか操作規程上も施設の能力的にも思うように予備放流できないという現状もあります。
 今回の災害の教訓を踏まえ、例えば制限水位ですとか予備放流の水位、予備放流方法、こんなものをしっかりと検証、検討、調整をして、それが書かれている操作規則そのものの改定にも踏み込むべきではないでしょうか。県土整備部長の答弁を求めます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) ダムの操作規則でございますが、これはダムの当初の計画に基づきまして、ダムの操作の基本となるべき事項及びダムの操作の原則について定めているものでございます。他方、運用規程は、その他、ダム管理上必要な事項を定めたものとして、操作規則の適用を受ける範囲を超えた緊急的な操作等について定めたものでございます。
 現在、関西電力と今回のような大規模洪水時の緊急的な操作について協議中でございますので、その結果を踏まえまして、運用規程を含め操作のルールというものをきちんと整理しまして、必要な見直し等を行ってまいりたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からは必要な見直しを行っていくということでしたけれども、具体的な話ができなかったんで、もう少しお話をしたいというふうに思います。
 規程の上位、下位の位置づけからすれば、規則と運用規程というのはそういう関係にあるんですけれども、今回、私が質問で取り上げたのは、二川ダムの運用規程の整備というのは、そういう部分的な動機ではなかったということなんですね。発電所売却という歴史的な節目に当たって、ダム建設の歴史や近年の集中豪雨など気象条件に対応すべく、今後ダムはどうあるべきかという議論の上で、地元から出された要望にどうこたえるかと、当時、知恵を出してつくったダム運用なんですね。
 売却前の2004年12月議会、操作規程の見直しを求めた私の質問に対し、当時の知事答弁はこんなふうになってます。「御指摘の二川ダムにつきましては、従来よりもさらに洪水対策を重視したダム運用が行われるよう、現在、ダムの操作規程の見直しを行っているところであり、御質問にありましたが、来年3月までに必要な検討及び関係部局との調整を行い、来年の出水期から適用できるよう、現在鋭意作業を進めているところでございます」、こんなふうになってたんですね。このように、ダム操作全体をしっかりと見直した作業をしていたわけです。
 しかし、発電所売却の期限が、12月だけど、もう3月に迫っていて、また次の5月の出水期からすぐにそのダム運用を開始しなければいけないと、こういう時間的な制約もあり、国の認可を得る時間的余裕がなかったことや、アロケーションと呼ばれる費用分担で今後どうするかといったすぐに決着できない課題もあったんで、ダム操作規程の下に位置する運用規程ということで改善をルール化したという、そういう当時の制約があったと思うんですね。
 今の実際のダム運用は、この新しいダム運用が生かされ、ダム水位についても、関西電力との話し合いのもと、ダム操作規則の制限値よりもうんと低い水位で安全運転をしてくれてます。地元自治体、住民もとても喜んでおります。
 ですから、ダム操作規則で定める重要な事項であるダムの水位をどれぐらいにするかというようなことや、また洪水前にはどこまで予備放流するかということも、実態としてはもう改善がどんどん前に進んできてるんですね。そして、先ほど申し上げましたように、アロケーションと呼ばれるダムの費用負担割合も、新しい洪水対策重視の今のダム運用での発電実績、当然その発電の実績は少なくなるはずですから、そういうことに基づいて、この間、発電側の費用負担を下げて改定しているではありませんか。
 だから、本来、県が約束していたダム操作規則という本体部分までしっかりと見直す条件はあるし、やろうじゃありませんか。つまり、もともとやろうとしていたことを、今回の災害を踏まえて、一層洪水対策を強化するように全体としてきちんと整理しましょうというふうな提案なんですが、いかがでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 先ほど申し上げましたように、現在、具体的な手続等について関西電力側と協議をしているところでございまして、まだその中身が決まってないところでございます。決まりましたら、それがきちんと機能するようにするためにはどのようなルールを規定していくべきなのかというのをしっかり考えまして、必要な見直しをやっていきたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長のほうからは今調整中だというお話でありましたから、これから県営ダムそれぞれの治水能力向上のために、ダム操作を初めとするソフト対策や、またハード対策、そして何よりも大事な河川改修と大きな枠組みで取り組んでいただくわけですから、発電所売却時の経過も含めてしっかりと検討していただくよう強く要望して、次の質問に移りたいというふうに思います。
 次に、ダム堆砂の現状と対策についてお伺いをしたいと思います。
 ダムの堆積土砂は、ダムの治水能力を減少させる深刻な問題です。堆積土砂は、ダム本体の近くでたまってくれずにダム上流部からどんどんたまってくるので、治水容量を減少させます。少ない流入量と思っていても計画よりダム水位が上昇してしまい、ダム操作を狂わせかねません。特に椿山ダムの堆砂は、この数年間でかなり進んでいるというふうに考えますが、県営多目的ダムの堆砂状況と今後の対策について、県土整備部長より答弁を願います。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 一般にダムの堆砂は、完成当初は進行が速く、年数の経過に伴いまして貯水池の周辺が安定し、進行が遅くなってまいります。
 椿山ダムでも、昭和63年の完成後、10年間で約220万立方メートルの堆砂がありましたが、近年10年間では約110万立方メートルと堆砂の進行が半減している状況でございます。
 ダムでは、あらかじめ100年分の計画堆砂容量を確保しておりますが、椿山ダムの現状の堆砂率は約44%、二川ダム、七川ダムについては、それぞれ約66%、約49%となっております。このまま現在のペースで堆砂をすると仮定しても、椿山ダムではあと約50年間分、二川ダム、七川ダムでも、それぞれあと約40年間分、約120年間分の堆砂容量が残っていることになります。
 今後、堆砂の進行が遅くなってくることを考えますと、さらに長期間分の容量が残っていることになりますが、毎年の調査結果を踏まえまして、対策が必要となれば、その時点で対応してまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からは、椿山ダムについては44%だという数字も示されました。大したことないんだというふうなトーンで、最近は減ってきてるんだというふうな答弁であったかと思いますが、私は、この23~24年で既に44%もたまっているということは、かなりの数字だというふうに思っております。
 それで、あと残り何年間分という話もありましたが、古座川の堆砂容量が随分あるというふうに言ってましたけども、これにはわけがあるんです。古座川の七川ダムは、ダムの最上流部の堆積土砂を毎年少しずつですが取ってるんですね。だからこの間、ずっとふえてないんです。ところが、椿山ダムも二川ダムも、そういう堆積土砂を取るという仕事は一切まだしてないんです。ですから、どんどんどんどんふえていってる。そこに差が出ているというふうに思うんですね。
 ですから、これはそろそろ考えなけりゃいけない時期に来てるというふうに思いますし、毎年の調査結果を踏まえてというふうにおっしゃいましたが、ことしの今回の台風災害で山々の谷から大変な量の土砂が河川に流出しています。それがダムにどっと押し寄せてると考えます。ですから、この秋から冬にかけて各ダムで堆砂容量の調査が行われるはずですから、その最新の数字をしっかり踏まえて今後の対応をしていただくよう要望をしておきたいと思います。
 次に、二川ダムの常時放流施設の渇水放流への活用、これは治水から今度は利水への配慮について少しお伺いをしたいというふうに思っております。
 洪水前に予備放流で思い切って水位を下げようというふうにしたときに、もし雨量が予想を大幅に下回ってしまえば、その下げた水位がもとどおりに回復できずに、発電や水道、農業用水に迷惑を与えてしまうので、この判断がなかなか難しいんだという話がよく出てまいります。
 ダムというのは、歴史的には利水用に水をためる施設としてスタートをしたものですから、古い設計の多目的ダムなどは発電など利水への比重が大きくて、多くの水をため込めるように洪水調節の放流ゲートがもともとダムの上のほうにしかついてないという構造のものが多いんですね。ですから、新たにダムの下のほうに放流口を増設しようと、そういう改造をしているところもあるというのは先ほども紹介いたしました。
 二川ダムも、ゲートより下に活用できない水がたくさんためられたままになるという、そういう構造になっております。実は二川ダムには、発電用取水口や放流ゲートより下の水を使える条件があると私は考えています。それが常時放流用の取水口なんですね。
 二川ダムでは、発電所がダムよりも遠く離れた下流にあって、そのダム直下から発電所の放流口までは川に水が流れないという状態が続いておりました。ですから、悪臭を放つ干からびた川に水の流れを取り戻そうと、こういう地元の強い声にこたえて、県は河川環境改善対策として、少しずつですけども、常時放流をする施設がようやく実現したと、こういう経過を持っています。
 この常時放流のための取水管は、実は洪水放流ゲートより2.4メートルも低いところに穴をあけて設置してるんですね。これは、通常は活用できない水位の水を放流できる条件になると考えます。今、時代の求めに応じて治水能力を上げようとダムの運用水位や予備放流水位を下げていく、そんな工夫を進めていることとあわせて、この施設が小さな改造によって水位低下時の渇水放流施設の役割が少しでも果たせるようになれば、環境改善とともに、水道水や農業用水などの渇水対策として、利水に対するいざというときの効果が期待できると考え、提案するものですが、いかがでしょうか。県土整備部長の見解を求めます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 維持放流設備は、二川ダム直下から岩倉発電所の放流口までの約6.5キロメートルについて、洪水調節等でゲートから放流する場合を除いてダムからの放流がないことから、よどみによる水質の悪化等の改善を図るため、ダム水環境改善事業により平成9年度に整備されたものでございます。
 議員御提案のようにこの維持放流設備を渇水放流に活用するためには、取水位置の変更や取水口の拡大が必要となってきますので、コスト面等の課題があると考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 ちょっと能力的に難しいんだという趣旨の答弁であったかと思いますが、その能力を少し上げる工夫ができないか、ぜひ検討していただきたいと思っているんです。何しろ私たちの有田川では、渇水時にはポンプでダムの水を放流しようかということまで検討されたぐらいですから、きょう提案したことも含めて幅広い対策方法を検討していただくようにお願いをしておきたいと思います。
 次に、今度は切目川のダムと河川整備計画についてお伺いいたします。今度は、既設ダムではなくて計画中の県営ダムの話です。
 今回の豪雨を経験して、現在計画中の切目川ダムと河川整備計画はそのままで大丈夫なんですかと、こういう疑問の声があります。県として十分説明し、答えていくとともに、ダム建設予算が優先して河川整備が後回しにならないように、これはしっかりと留意すべきだと考えますが、県土整備部長、いかがでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 台風12号による降雨量は、長期的な視点に立った河川整備の基本的な方針を定めた切目川水系河川整備基本方針の計画雨量を数ミリ上回る程度で、ほぼ同等でございました。
 現在、切目川水系河川整備計画に従いまして、切目川ダムは基本方針の水準で建設を進めております。また、長期間を要する河道の整備は、一定の効果が早期に発現できるよう、段階的な水準を設定しまして順次進めておるところでございます。今後、ダム建設とあわせて河道整備を進めることによりまして、洪水への安全性は向上していくことになりますが、整備の途中段階や計画規模を上回る洪水にはハード整備だけでは対応できませんので、洪水はんらんレベルに応じた浸水想定区域図の策定などもあわせまして、ハード・ソフト一体となった治水対策に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 それでは、次の、ダムの安全神話を克服し、河川整備の抜本的強化をという質問に移らせていただきます。ダムだけでは洪水を防ぐことはできないし、安全対策できないわけですね。
 ただし書き操作による危険性の周知をという点で、まず質問をさせていただきます。
 28水害を二度と起こさないために、こんなふうなスローガンのもとにダム事業が計画された私たちの流域、また県内各地の流域では、ダムの安全神話というべき、もうこんな立派なダムができたからあんな水害は起こらない、こういう意識が、行政にも、また住民にもあったのではないかと思います。計画を超過する洪水は必ず起こるし、洪水から命を守るための準備が日ごろから行われていたかが問われているんではないでしょうか。
 ダムが通常の洪水調節操作から、ただし書き操作と呼ばれている非常時の操作に切りかわるときには、先ほど知事からもありましたが、上流から入ってきた水をそのままダムで調整せずに流してしまうという非常モードになるんですが、これにスイッチが切りかわるときが、実は急激なゲート操作による雪崩とも津波とも思えるような衝撃波がダム下流を襲うことになります。日高川の椿山ダムは、洪水が右肩上がりに増加しているタイミングでこのただし書き操作に入らなければいけなかったという、洪水増加に追いつこうとゲートの放流量を一気にふやさざるを得なくなり、その激烈な例だったというふうに言えると思います。
 ところが、このダムが非常時操作に移行するときは重大事態なんだということが、平素から、そしてまた災害の起こるその瞬間ですら、地元自治体にも住民にも十分に伝わっていただろうかということを思うんですね。スピーカーからは「毎秒何トンまでの放流をします。水位の上昇に御注意ください」というような通常操作の延長線上と感じてしまうような放送しか流れませんでしたし、深夜、とうとう日高川町長みずからマイクを持って「町長の玉置です。避難してください」と叫んだ緊迫感ある対応が、町長が言ってるんやからほんまやなということで、ようやく住民の避難を本格化させ、命を救いました。
 ところが、これらがもっと夜の早い段階で、ただし書き放流にならざるを得ないとダムや県が判断した夜の7時や8時の段階で動けていたらと、こんなふうに思うんですね。
 最近では、全国的にもダムがただし書き操作に突入した年間の件数というのが以前の10年間分にも上っていると、そんなぐらいの頻度だと言われております。椿山ダムや二川ダムでは、建設以来、初めてこのただし書き操作に入ったというわけなんですけども、このことが、じゃあもうしばらく起こらないのかといえば、そうじゃなくて、いつ起きても不思議ではない近年の気象条件になっているわけなんです。日ごろできていないことはいざというときにはできないというのが本当に鉄則だと思います。
 県として、ただし書き操作の危険性の周知など、ダムの安全神話克服のために今後の対応はどう考えているか、県土整備部長より答弁を願います。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 県管理の多目的ダムでは、毎年、ダム管理事務所と市町との情報伝達も含めた洪水対応演習を実施しておりまして、椿山ダムでは、ことしも5月にただし書き操作も含めた演習を実施しております。
 また、台風12号の際、ダムへの流入量の増大に伴って、椿山ダム管理事務所では、日高川町への情報提供としまして、9月3日19時に、ただし書き操作に移行する可能性として、今後、ダムに貯留できなくなり、流入した量をそのまま放流する可能性があることについて説明し、注意を促しております。さらに、それ以降、毎正時に流入量と放流量を通知したところでございます。
 なお、河川の水位情報を常時公表しておりまして、日高川川原河水位観測所では2日23時40分に、高津尾水位観測所では3日2時10分に、町の避難準備情報発令の判断目安となるはんらん注意水位に達していることを示していたところでございます。
 今回の水害を踏まえまして、計画を上回る洪水などに対して、早目の警戒、避難が重要であることなど、これまで以上により一層の周知啓発に努めてまいりたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 次に、堤防のかさ上げや強化と、流出、堆積した土砂の撤去、活用をという点で質問をさせていただきます。
 今回の大水害によって、行政も住民も河川整備の重要性を強く認識させられることになりました。県としては、堤防のかさ上げ、それからすぐにかさ上げできないとこはパラペットというようなものもつくる、そういう設置等に取り組むとともに、堤防を乗り越える洪水も最悪想定した場合、たとえ乗り越えても破堤という、もう堤が破れてしまう、決壊するという最悪の事態を避ける堤防強化が求められているんではないかと思うんですね。
 例えば地震対策では、建物の耐震補強事業というのが、地震で傾いたり、ひびが入ったり、ダメージは受けても、倒壊してぺちゃんこにだけはならないように補強に取り組んでいるということと、私は同じ考え方が実は水害対策でも必要じゃないかというふうに思うわけです。
 また、今回の豪雨により河川に流出した大量の土砂、また以前から堆積が進んでいたところの土砂、こういったものを復旧・復興事業の建設資材としても有効に活用しながら、積極的に活用しながら、河床の土砂撤去にこれまでにない姿勢で取り組むべきではないかと思いますが、県土整備部長の見解を求めます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 洪水が堤防を越流しないようにする対策としましては、引堤や堤防のかさ上げ等がございまして、各河川の特性に合う方法で今後とも実施してまいりたいと思います。
 土堤は洪水が堤防を越えると脆弱になる性質を有しておりまして、越流時の破堤を回避する工法はまだ確立されていないのが現状でありますことから、今後の国等の技術的な動向について注意してまいりたいと思います。
 次に、流出、堆積した土砂の撤去につきましては、議員御指摘のとおり、土砂の有効活用を図る方向で進めているところでございます。砂利の量でありますとか品質、運搬距離など、条件がよい河川につきまして、堆積土砂の撤去にあわせて資源の有効活用を行って、コストの縮減を図ってまいりたいと思っております。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 それでは最後に、台風災害の教訓を河川整備計画や避難計画に生かすという課題について、知事に質問をさせていただきます。
 県の管理している河川では、河川整備基本方針ですとか河川整備計画というものの策定に順次取り組んでこられました。既存の方針、計画も、また現在進行中で策定中のものも、今回の台風災害を踏まえて、その目標や計画というものに十分生かしていくべきではないでしょうか。
 また、計画はあくまで一定の基準に基づいた設定値であり、超過洪水は必ず起こることから、地震や津波の災害対策で議論されているのと同様に、浸水予想や避難計画に今回の大水害の教訓をしっかりと生かしていくべきだと考えます。知事の所見と今後の取り組みの決意をお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 河川やダムの整備は、ある一定の洪水規模を対象に実施されておりまして、整備の途中段階や完成後であっても、それを上回る洪水に対しては対応に限界があります。東日本大震災や、あるいは今回の紀伊半島大水害は、まさしくそのことを改めて認識させられたと考えております。
 これまでも、河川改修や洪水ハザードマップ作成支援など、我々県といたしましても、ハード・ソフト一体となった治水対策に努めてきたところでありますけれども、やはり今から考えますと、ハードに頼り過ぎた面があるということは否めないと思います。
 今回、ハードといたしまして、特に被害の大きかった河川については、単純復旧じゃなくて改良復旧によって河川の流下能力を従前以上に向上させるとともに、県内のダムにつきましては、これは多分熊野川もそうだと思いますが、利水容量を活用して治水機能の向上を図るような工夫もしております。
 それでも、それを上回る洪水は起こるかもしれないと考えて、被害を最小限に抑えるための対策として、洪水はんらんレベルに応じた浸水想定区域図の作成とか、洪水予報河川とか、水位周知河川の指定拡大等のソフト対策、あるいはこういうものを全部踏まえまして、市町村当局とよく打ち合わせをして、あるいは住民にも周知して、トータルとして防災力の向上に努めなきゃいけないと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事の御答弁もいただきました。
 今回の質問は、私が初当選、初質問をした8年前から一貫して取り上げてきた美しく安全な有田川をと、そういう課題を胸に、ダム運用の改善と河川整備について質問をさせていただきました。
 ぜひ県民、地元住民と一緒になって、台風災害を経験した和歌山県として、災害対策、防災対策強化に取り組んでいただきますよう強く要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。

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