平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成23年12月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


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平成23年12月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成23年12月7日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第158号(当局説明)
 第2 議案第122号及び議案第130号から議案第158号まで(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第158号(当局説明)
 第2 議案第122号及び議案第130号から議案第158号まで(質疑)
 第3 一般質問
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出席議員(40人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 13番 山田正彦
 14番 坂本 登
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(2人)
 12番 川口文章
 33番 浦口高典
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説明のため出席した者
 知事 仁坂吉伸
 副知事 下 宏
 知事室長 野田寛芳
 国体推進監 中村正次
 危機管理監 宇恵元昭
 総務部長 米澤朋通
 企画部長 柏原康文
 環境生活部長 保田栄一
 福祉保健部長 鈴木敏彦
 商工観光労働部長 大門達生
 農林水産部長 増谷行紀
 県土整備部長 森 勝彦
 会計管理者 米山重明
 教育委員会委員 寺村多喜
 教育長 西下博通
 公安委員会委員 溝端莊悟
 警察本部長 山岸直人
 人事委員会委員長 守屋駿二
 代表監査委員 楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 森田実美
 次長 佐本 明
 議事課長 堀 達也
 議事課副課長 吉田政弘
 議事班長 中井 寛
 議事課主任 中尾祐一
 議事課主査 保田良春
 議事課主査 中村安隆
 議事課副主査 坂口敦子
 総務課長 上坊 晃
 調査課長 谷村守彦
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 午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から監査報告がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第1、議案第158号を議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました議案について、御説明申し上げます。
 議案第158号は、国の第3次補正予算を活用し、一般会計で総額59億5300万円余の増額補正をお願いするものでございます。
 まず、東海・東南海・南海地震等、大規模災害に備えた道路の防災・減災対策を図るため、緊急に実施する必要性が高く、速効性のある道路の保全改良事業等を実施してまいります。
 また、現下の雇用情勢にかんがみ、離職を余儀なくされた非正規労働者、中高年齢者及び東日本大震災等の影響による失業者等に対し、短期の雇用就業機会を創出し、地域のニーズに応じた人材育成を行うため、緊急雇用創出事業臨時特例基金への積み立てを行ってまいります。
 また、長引く景気低迷に加え、経済情勢の激変や社会不安の増大、全国に広がる大震災の影響等により一段と厳しさを増す自殺対策を取り巻く状況に対し、平成24年度以降も引き続き万全の対策を講じるため、自殺対策緊急強化基金への積み立てを行ってまいります。
 また、このほか国道371号橋本バイパス道路改良工事に要する経費について、債務負担行為の設定をお願いしているところであります。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようにお願い申し上げます。
○議長(新島 雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に日程第2、議案第122号及び議案第130号から議案第158号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 20番浅井修一郎君。
 〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 おはようございます。
 この12月定例会一般質問の初日のトップバッターとしての機会をいただきましたが、私の不摂生から風邪を引いてしまい、ごらんのような声になってしまいました。お聞き苦しいと思いますけれども、お許しをいただきたいと思います。
 それでは、通告に従い早速質問に入らせていただきますが、まず1点目、2点目につきましては分割質問方式で、そして以下は一問一答方式でお願いしたいというふうに思います。
 それでは、まず1点目、野田政権の現状と今後についてでありますけれども、民主党政権が誕生してはや2年がたちました。その間、鳩山さん、菅さんに続いて、去る9月2日に3人目のドジョウ内閣と呼ばれている野田さんが総理になって3カ月になりますが、2年前の総選挙時のマニフェストとはほど遠い方向へと向かっています。
 子ども手当、高速道路の無料化、ガソリン税の廃止等々、何も実行されないままであり、また、日本の国益そのものにかかわる外交・防衛問題、とりわけ普天間基地移設問題では「最低でも県外」と沖縄県民を翻弄し、尖閣諸島近海では中国軍の艦船が行ったり来たり、竹島は韓国議会が、北方四島へはロシア大統領みずからが訪問するなど、領土問題ではそれらの国々に完全に軽視されている状況であります。
 また、TPP問題でも、中身がまだ不透明で国民的議論もされないまま、国会でも反対派、推進派の議論をしないで拙速に交渉参加を表明、あげくの果てには消費税を引き上げる発言を野田総理は国際公約となる国際会議の場でされましたが、「消費税は引き上げない」、「国民の信を問わず総理をころころかえるな」と言っていたあのころの民主党はどこへ行ってしまったのでしょうか。
 そこで、知事に、発足から3カ月たった野田政権についての所見をお尋ねします。
 次に、先日、大阪府知事と大阪市長のダブル選挙がありました。結果は、皆様方も御承知のとおり、大阪都構想を前面に掲げて戦った橋下氏率いる地域政党、維新の会の圧勝で、橋下市長、松井知事が誕生いたしました。
 私は、今回の選挙を見て、小泉政権時の郵政民営化をめぐり民営化に賛成か反対かと訴えて自民党が圧勝したのを思い出します。今回は、景気の低迷が続き、有権者の閉塞感が漂う中、大阪を変える、大阪から日本を変える、この言葉が民意を集約させたのではないかと思いますが、具体的な政策が見えていない中で、大阪府民、市民の期待にこたえていけるのでしょうか。
 ともあれ、大阪府とは府県間道路を初めとする府県で協調して取り組まなければならない課題がたくさんあります。また、関西国際空港のハブ化のために、大阪府、大阪市と緊密に連携していく必要があると思います。そうした中で、今回のダブル選挙の結果について、本県にどのように影響するのか、今後、大阪とどうつき合っていくのか、知事の所見をお尋ねいたします。
 また、昨年12月に設立された関西広域連合には、本県を含む関西の7府県が参加していますが、大阪市を初め関西にある4つの政令市は参加していません。大阪市長に当選された橋下氏は参加を積極的に進めると言われているようでありますけれども、関西広域連合への政令市の参加についてどう考えるのか、あわせてお尋ねいたします。
○議長(新島 雄君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 民主党政権が誕生いたしましたとき、またその以前の参議院選挙のときぐらいから、地域主権改革や、あるいは地域の逼迫している経済を立て直すということを旗印に、地方を大事にするという公約であったと思います。そのため、地方の有権者の支持を得て、特に地方で圧勝したということであったと思います。
 本県のような地方圏に属する典型的な地方にとっては、こういう地方を大切にする政策が選択されるかなという期待をしておりましたが、実際は、社会資本整備とか、あるいは地方の技術開発とか、あるいは地方の農業基盤整備といった将来への投資の側面が大いに後退をしてしまいました。野田政権におかれましては、この点、大いに政策転換をしてほしいと私は思います。
 野田政権が誕生いたしまして、政権発足直後に紀伊半島大水害が発生しました。応急復旧に関しましては、国や関係機関の尽力のもと早期に進んだことについては感謝を申し上げたいと考えております。ただし、その一部であります樹園地の20度傾斜地問題、そういうごくわずかな項目でございますけども、そういう項目については、論理として当たり前のことがどうしてもっと早くできないのかというような感もありまして、国にもっと汗をかいてもらわなきゃいかんと考えております。
 また、大水害で国道42号線が通行どめになったこともあり、また東日本大震災のときの教訓もございまして、高速道路のミッシングリンクの解消を初め、紀伊半島アンカールートの──アンカールートというのはいかり型ということですが──早期整備について、発災直後、野田総理が来県した際、被災地の早期復旧への協力依頼とともに、その必要性を切実な思いで訴えました。また、そのほかの閣僚、政府の方々にもこれを大いに訴えておるところ、一定の理解を示されていると思います。ただ、大事なことは実際に実行されるかどうかなのでございまして、期待を持って注視していきたいと思いますし、期待を裏切らないようにしてほしいというふうに思います。
 大阪府との関係につきましては、橋下前知事が就任されたとき、大阪府内という小さな枠組みの中だけで物事を考えるのではなくて、大関西という立場で考えてくれというふうに申し上げました。
 大阪だけで縮こまりますと、例えば、和泉山脈の府県間道路が大阪側で非常に未整備で行き来が困難である、こういうようなのはもってのほかであって、こういう小さい大阪への縮こまりは和歌山にとっても困るけれども、関西にとっても大阪にとってもためになりませんというようなことを申し上げました。ということを、松井知事にも昨日お会いしたときに言って、同じようなことをあらかじめ申し上げてきたところであります。
 大阪府とはお隣同士ということもありまして、府県間道路や関西国際空港を初め、関西広域連合の運営など協調して取り組んでいくことが多うございますので、松井知事と連絡を密にしていきたいと考えております。
 関西広域連合への政令市の参加については、今までも政令市側も参加を拒んでいるわけではございませんで、広域連合への国出先機関の移管が済んだ時点で参加するという姿勢でありました。政令市は府県と同等の権限を持っているということもありまして、参加は歓迎であります。橋下新市長はこういう点について積極的であるかと推測しておりますので、他の3市も引っ張って、早期に参加されることを期待しております。
○議長(新島 雄君) 浅井修一郎君。
 〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次に、先ほど触れましたけれども、TPP(環太平洋経済連携協定)についてでありますが、野田総理が先月開催されたAPECの首脳会議において、関係国に対しTPPへの参加に向け協議を行う旨を表明いたしました。TPP参加に対しては、国会内でも、反対派、推進派ともに十分な議論がなされていない状況であり、農林水産業を初め国内産業に多大な影響が生じるのではないか、さらに、本県経済にも大変な影響が及ぶのではないかと危惧しているところでありますが、TPP参加について知事はどのようなお考えをお持ちなのか、御所見をお聞きしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) TPPに参加することによりまして、交渉に参加するというか、もう1つ進んで実際に入ってしまったと仮定したときでございますが、どの分野にどの程度影響があるのか。特に、農林水産業を初め大きな影響を受ける産業への対応について、どういう影響があるからどういうふうに対処するんだということを国民に対してちゃんと説明をして、情報は全部提供するということが十分行われていないと明らかに思います。そういうふうに考えると、これは大変心配であるし、こういうことをちゃんとやりながら物事は考えてもらいたいというふうに思います。
 TPPの問題は、この議場でも申し上げておりますが、いつでも言っておりますが、一部の推進論者が言っているようにバラ色の話、入るとバラ色になる、あるいは入ると大打撃を受けて日本がむちゃくちゃになるということだけではなくて、本質はいわばブロック経済でありますので、入らなかったときの競争力の欠如から成る経済のマイナスと、それから先ほど言いましたような入ったときのプラス、入ったときのマイナス、これ全部計算をして利害得失を考えないといけない。それで、その上でマイナスの点についてはちゃんと助成をするとか調整をするとかして手当てをせないかん、これが真っ当な政策だと私は思います。
 そういう意味で、和歌山にとってもやっぱりこれは大事でございますので、世上言われてるようなマクロでこんなに得するぞとか、こんなに損するぞとか、ああいう議論ではなくて、もうちょっとまともな分析をしてみようということで、これは時間がかかりますが、やってまいりました。
 その結果、まず参加をした場合は、例えば弱い産業、農林水産業などへの影響が出ます。これをどう計算するかというのは難しいんですけれども、思い切り競争力の弱い産業はなくなってしまうというような、競争力が弱くなる産業はなくなってしまうというような、そういう仮定で計算をいたしましたところ、全体として県内の産出額が136億円減少するというような答えが出ました。
 例えば、米に関していえば、有機米みたいに趣味で買ってるようなものは残りますけれども、その他、競争にさらされるとこは全部なくなるというような仮定であります。
 一方、参加したときに、そのような農林水産業も食品輸出なんかで少し得をするかもしれないというのはございますが、現在の輸出が極めて少ないということですから、これが大いにふえたとしても大したことはございません。したがって、数100万円ぐらいの得になるということであります。
 一方、参加をしないとどうなるかというと、他の国が参加をした、それから、韓国は米とのFTAがありますので参加したと同じ効果になりますので、参加をしたと仮定をして計算をいたしますと、例えばそういう競争力が弱くなる結果、電機・電子、あるいは輸送機械・一般機械、そういうものが輸出市場でかなり打撃を受けます。
 和歌山県は、一部を除きますと、最終製品というよりも、その部品等々を供給して頑張っている企業が圧倒的に多いわけです。ですから、そこのところを輸出が落ちた分だけこちらも売り上げは減るということで計算をいたしますと、これがまた全体として137億円売り上げが減少するということになってしまいます。
 一方、参加をしたときに、世上言われてるように競争力のある産業がさらに輸出がふえるというような点については、どのぐらいふえるか、これあんまりよくわかりません。我々として自信がないので、これは多分あるだろうけれども、この計算はしませんでした。この点については、内閣官房の試算によると約2.7兆円ふえるということになっとるんですけれども、あんまり自信がないので、これは……(「10年違うか」と呼ぶ者あり)10年かもしれませんね。我々は、これは採用をしませんでした。
 したがって、いろいろ、退くも地獄、進むも地獄ということをいつも申し上げておりますが、そういう中で一番正しい選択をし、それから、それに対してちゃんと手当てをすると。我々は、そっちの手当てをちゃんとするということを言っていかないと、軽々しくは賛成できないということだと思っております。
○議長(新島 雄君) 浅井修一郎君。
 〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 ちょっと知事に質問が多過ぎたのかなと思って不安になってきたんですけども、時間の関係上、ちょっと簡略に答弁をお願いしたいと思います。
 次に、電力供給不足の問題についてお尋ねいたします。
 まず、1点目の電力供給についてお尋ねします。
 去る3月11日に発生した東日本大震災は、特に東北・北関東地方の太平洋沿岸部を中心に、多くの生命と生活基盤を失い、さらに生活インフラを破壊するなど、我が国災害史上未曾有の大惨事となりました。特に、東京電力福島第1原子力発電所の事故に起因する事態により原子力発電所の安全性に大きな疑問符がついたと考えており、従来の計画どおり原子力発電所の建設が進まないだろうというふうに思います。もちろん、東京電力福島第1原発事故の収束をにらみながら、事故原因を精査し、これまでの安全対策の問題点を丹念に検証するとともに、原子力政策のあり方について再検討を行わなければなりません。
 さて、このたびの電力供給不足は、県民生活や経済活動に大きな障害、影響を及ぼすものであり、単に節電だけに取り組むだけでは、将来にわたっての県民生活の利便性確保、県経済の持続的発展等、地域の活性化に影を落とすおそれもあります。
 もちろん、今すぐすべての原子力発電をストップさせ、再生可能エネルギーに取ってかえるということは現実的ではありません。将来的に再生可能エネルギーの割合をふやしていくことは必要でありますが、継続的に地域の活性化を図るには、当面、化石燃料に頼った発電への取り組みを進めざるを得ないと思っています。
 このような危機的な状況に対応するために、民間企業が持っている発電能力をもっと使う必要があるのではないか。その際、電力事業者にすべての対策を任せるのではなく、県民生活や県経済がこれ以上の混乱や停滞に陥らないよう、地域ごとに適切な対策を講じる必要があるのではないでしょうか。
 例えば、過去に卸電力事業(IPP)の入札に参加した東燃ゼネラルなどは、自社の敷地を使った発電事業に参入できるのではないか。そのような発電能力のある民間企業の発電施設をもっと活用するよう、関西電力に働きかけていくことも必要なのではないかと思います。
 県民や社会活動に影響を与える節電行動だけに頼るのではなく、国全体の電力供給力を上げていくため、企業こぞって協力するということが必要だと考えます。
 国や関電から発表されている電力の需給状況を踏まえ、できるだけ県経済に影響を与えず生産活動を維持していくためには、県としてどういう対応をしていくべきか、知事の見解をお尋ねしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事、簡素な答弁を求めます。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 電力の供給力確保という点については、私も大変重要なことだと考えております。そういう意味では、これまでの火力発電所や水力発電所の可能な限りの活用、さらには他社からの応援融通による調達など必要だと思います。
 さらに、計画的に停止されていた海南発電所2号機を来年の夏稼働させるべく準備をしているようでございますので、これについてはいい話だと思います。
 それから、自家発についても大いに活用するということで、私たちも応援をしながらやっていってもらうようにしていきたいと思っております。
○議長(新島 雄君) 浅井修一郎君。
 〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次に、電力供給不足の問題についての節電アクションプランについてお尋ねします。
 県では、去る11月18日、この冬に県庁や家庭、事業所等で取り組む節電対策、わかやま冬の節電アクションプランを発表されました。内容は、12月19日から3月23日までの平日に、家庭や業務部門で前年同期費の最大使用電力10%以上の削減を目指すというものでありますが、私は、節電は不足しているから節電するのではなく、常に無駄なエネルギーを消費しないように心がけることが大切であるというふうに思います。
 節電を強引に推し進めますと、地域の元気をなくし、経済活動の足かせにならないかということで、決してもろ手を挙げて節電に賛同しているわけではありません。しかしながら、電力の需給バランスが完全に崩れてしまった現状では、節電対策を県民の皆さん方にお願いせざるを得ないということは理解しております。
 この冬の電力需給はことしの夏以上に厳しい状況とも言われておりますので、停電によるパニックなど絶対に発生させないよう、節電対策は着実に実行していただかなければなりません。今回のアクションプランには、「家族で団らん こたつでみかん」というキャッチフレーズがつけられており、和歌山の特産品ミカン、このミカンに着目していただいたことを大いに評価したいというふうに思います。
 そこで、このキャッチフレーズを掲げ、ミカンの消費拡大を図りながら、節電対策にどのように取り組み、どのように県民の皆さんに周知しようと考えておられるのか、その心意気も含めて、環境生活部長にお伺いします。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
 〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 節電アクションプランについてですが、冬期の節電対策は、高い電力需要の時間帯が朝の9時ごろから夜の9時ごろまでと長く、電力需要のピークとなる時間帯が短い夏期の節電対策に比べまして対応が難しいという特徴があり、家庭での夕刻以降の節電対策は大変重要となってまいります。
 今回のアクションプランのキャッチフレーズ「家族で団らん こたつでみかん」は、家族が1つの部屋で消費電力の少ないこたつで暖まりながら楽しい団らんの時間を過ごすことで節電に取り組み、あわせて本県特産品ミカンの消費拡大にもつなげようというイメージで設定をいたしました。
 県では、率先して節電に取り組むことはもちろんのこと、街頭啓発や広報活動等を積極的に展開し、各家庭や各事業所の理解と協力を得ていきたいと考えております。県民みんなが力を合わせましてこの危機を乗り切るんだという機運を盛り上げ、不測の事態に陥ることのないよう万全を期す所存であります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 浅井修一郎君。
 〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次に、紀伊半島大水害についてお尋ねします。
 まず、1点目の災害対策の総括についてでありますが、紀伊半島大水害は、記録的豪雨による災害であり、紀伊半島全域で河川のはんらん、浸水、土砂災害が広い範囲で、多数の箇所で、ほぼ同時に発生いたしました。和歌山県としては、昭和28年の7.18水害を上回る降水量で、人的被害は死者52人、行方不明者5人にも上り、家屋の全半壊は2200棟を超える被害となりました。改めて、被害に遭われた皆様方に心よりお見舞い申し上げますとともに、犠牲になられました方々とその御遺族の皆さん方に対し、深くお悔やみを申し上げる次第であります。
 今回の災害で、知事は初動からスピード感を持って、人命救助を最優先に被災者や被災市町村への支援とともに何度も被災地に入り、現場で直接住民の声を聞いて対応に当たり、迅速な国への要望活動など陣頭指揮の姿は鬼気迫るものがあったというふうに思います。
 また、あれだけ大きかった被害の状況から復旧作業は困難をきわめると感じましたが、次々に応急復旧が完成し、通行どめ箇所が解消、ライフラインが復旧する過程を、私は知事の行動力に感心をしながら見ておりました。ライフライン関係機関では、全国から復旧作業の応援を得ていたのでしょう。現地では、関東や九州のナンバーをつけた作業車が走り回っていたと聞いております。関係機関の御活躍、奮闘について、この場をおかりして改めて御礼を申し上げたいと思います。
 災害発生から3カ月余り経過いたしました。先日の3日には、大災害の象徴的な存在でありました流出したJR那智川鉄橋が復旧いたしました。この復旧に対し、二階代議士も直接JR西日本の社長にかけ合っていただいたと、さきの11月15日に上京した折、衆議院議員会館で秘書の方からもお聞きしました。全面開通したことは、被災地にとって大変大きな節目であるように感じています。主な応急復旧はこのJR那智川鉄橋で完了に至り、9月4日から設置していた県災害対策本部も11月30日に廃止されています。
 そこで、知事にお聞きします。
 実際の大災害の災害活動を指揮した災害対策本部長として、紀伊半島大水害の災害対策を総括してお答えいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 発災後直ちに災害対策本部を設置いたしましたが、今振り返って考えますと、今回その立ち上がりが早くできまして、設置以降は、災害対策本部の形を使って初動から統一的にやれた点がよかったと思います。統一的というのは、県以外の関係機関も一堂に会しまして、毎日何回も何回も調整をしてやっておったということでございます。何よりも、これが早期復旧につながったわけでございまして、それを望んでおられる地元の人には喜んでもらえたかと思います。
 一方、応急は一応完成しましたけれども、まだまだ本格復旧、生活の再建、産業の再建、やることはいっぱい残っております。そういう点については今後頑張っていきたいと思いますが、それにつけても、亡くなった方あるいは被災された方々の悲しみを思えば、いかばかりかという思いは消えることはございません。
 ただ、そのためにも今後対策を大いに頑張ってやっていきたい、そんなふうに思っております。
○議長(新島 雄君) 浅井修一郎君。
 〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次、2点目の今回の災害から得られた教訓についてでありますが、本県の防災対策の重点は、近年は東海・東南海・南海地震のような地震・津波対策でした。東日本大震災を目の当たりにし、さらに防災・減災対策の総点検に臨んでいることは承知しております。また、その取り組みはNHKなどでも先進的な取り組みと評価されており、我々も期待しているところであります。
 しかしながら、今回の大水害でこれだけの被害が出ており、風水害対策も点検が必要であると感じております。
 近い将来発生するであろうと言われている東海・東南海・南海地震のような巨大地震や今回のような大水害発生時に、県としてどう災害対策を行っていくのか。今回、その災害対策に当たって、今まで考えていなかったのに対応できたことや、もっとこうしたほうがよかったことなど、実際の大災害の災害対策を経験した知事として、その経験から得られた教訓についてお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回得られた教訓といたしましては、第一にみんなで協力したのがよかったということだと思います。被災を受けた地域の市町村は、その打撃ゆえに通常の機能はとても期待できなくなるということがあります。その際、県は手をこまねいているだけじゃなくて、進んで救援に入らなきゃいかんということだと思います。このことは、東日本大震災の支援を行ってきて我々が得ていた教訓であります。
 今回の初動期においても同じような事態が発生しましたんで、避難所や避難者のことが心配であったので、職員を派遣して県で助けました。あるいは、町の災害対策本部に県の職員を派遣して、これも一緒にやってまいりました。
 今回の災害では、相手が大変なときは、報告を求めるだけじゃなくて、あるいは指示、指導をするだけじゃなくて、自分でやろうという方針で指揮をとりましたけれども、このことは大災害の初動期に共通する教訓と考えて、今後も肝に銘じていきたいと思います。
 もう1つ、とにかく早く直すんだということで、かなりリスクをとって強引に事を進めました。それは、こういう場合は財政リスクなどいろいろ考えてしまうんですけど、国も応援してあげると言ってくださったんで、早く早くということで強引にやってきたのがよかったと思います。
 一方、反省することもたくさんありまして、水位計や気象データが回線の途絶で十分な情報が入らなかった、あるいは孤立集落に配備した防災行政無線が浸水してしまったというようなことが多々ございまして、こういうことについては、この教訓を生かして大いに改善をして、次に生かせるようにしてまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 浅井修一郎君。
 〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 この項目、最後でありますけれども、次に、復旧・復興への取り組みについてであります。
 「頑張れ日本」、「まけるな!!和歌山」を合い言葉に、今回の被害に対しての応急復旧についてはほぼ完了いたしました。いわゆる機能の回復は達成されたと考えているのですが、被害の現場、災害のつめ跡はいまだ生々しく現場に残っております。今後、残る課題としては、本格復興する局面に入っているのだというふうに思います。
 県では、11月1日に復旧・復興本部を設置し、本格復旧・復興に取り組んでいくということでありますが、復旧・復興本部長として今何が最も重要な課題とお考えか、またこの難題に取り組む意気込みとあわせて知事にお伺いをしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、本格的な復旧はまだまだこれからでございます。
 例として、がけ崩れで道路が通行どめの場所を応急的に通れるようにしたわけでございますが、斜面の手当てはまだこれからでございます。河川では、土のうを積んで多少の雨では大丈夫にしておりますけれども、あくまでも仮の復旧でありまして、今後堤防をきちんとつくっていくことも必要でございます。
 また、河川の場合は、二度とはんらんが起きないように、あるいは起きるリスクが少なくなるように、改良復旧ということもやっていかないかんと思っております。それから、早くやるということも大事でございますので、この間のアクションプログラムでは、河川も道路も95%を24年度の1年間で全部やってしまおうという意気込みで、今頑張ろうとしているところです。
 次の課題としては、重要なものは経済や暮らしの再建があります。経済の再建の対策として、中小企業支援など、すべて議会にお願いをいたしまして、今回の補正予算も含めて準備はいたしましたが、あとはこういうのを使いながら被災者を励まして、再建してもらうように努力をしていくということだと思います。さらに、先ほど反省として申し上げました点についても改良していかないかんということであります。
 さらに申し上げますと、今回痛感したのは高速道路の問題でございます。いつも申し上げておりますが、やはりこの安全の面でも、紀伊半島一周の高速道路はぜひ必要だというふうに考えております。
 そういうことを、いろいろ山積した課題はこれから対応してまいります。そのために復旧・復興本部をつくり、復旧・復興アクションプログラムを策定いたしましたんで、これをもとにして「まけるな!!和歌山」のスローガンのもと頑張っていきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 浅井修一郎君。
 〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次に、平成24年度新政策と予算編成の方針について。
 まず1点目、新政策の予算編成の考え方についてお尋ねいたします。
 先ほどの防災対策についての質問でも述べたように、東南海・南海地震が懸念される本県にとって、地震・津波対策の加速化が求められております。さらに、台風12号により被災された方が一日も早くもとの生活に戻れるよう、被災地の復興に県としても全力で取り組む必要があるとともに、今後の局所的な豪雨の発生等に備えた風水害対策にも取り組んでいかなければなりません。
 一方、防災対策のみならず、医療や福祉、産業振興なども着実に進めていかなければなりません。県では、このような状況の中、来年度の予算編成に向けた新政策と予算編成の方針を発表されましたが、その中で知事は、平成24年度予算は、元気な和歌山の実現に向け、災害に備えた安全の政策、暮らしを守る安心の政策、新たな成長に向けた挑戦の政策等に積極的な予算の重点配分を行うとの目標を掲げられました。
 新政策と予算編成の方針で示された安全、安心、挑戦という3つの目標の実現に向け、来年度の新政策としてどのような取り組みを進められようとしているのか、知事のお考えをお伺いします。簡略にお願いします。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 来年度当初予算編成につきましては、元気な和歌山の実現に向け、安全、安心、挑戦を基本として全体を組み立てていきたいと思います。
 まず、1つ目の安全の政策では、今議会で補正をお願いしている被災者の住宅再建や被災事業者の再建などの復興支援を進めるとともに、風水害に強い県土づくりを進めるため、洪水、はんらんレベルに応じた浸水想定区域図の策定や中小河川の浸水対策に取り組んでまいりたいと思います。また、津波、地震、これに対する備えも大事でございまして、ライフジャケット、あるいは水門、樋門の問題、そういうことをやってまいりたいと思います。さらに、孤立集落のヘリポートとか、あるいは防災教育、こういうものもやっていきたいと思います。
 2つ目の安心の政策は、児童虐待に対応するための相談機能の強化とか、あるいは先天性代謝異常等への新たな検査方法の導入などなど考えたいと思いますし、また、医療についても、地域拠点病院の改築支援あるいはがん診療についての支援、こういうことをやっていきたいし、紀中地域への看護師養成所設置支援なども進めていきたいと思います。
 3つ目の挑戦は、和歌山産業の競争力強化でございます。これについては、技術開発支援や企業誘致、そういうことを中心にして、あるいは工業高校等と県内企業の連携を強化しながら、県内就職についてもぜひ支援していきたいと思います。
 さらに、農業振興については、引き続き農業緊急戦略アクションプログラムの推進を図るとともに、鳥獣害対策、まだまだでございますから頑張りたいと思いますし、それから後継者対策として、トレーニングファームで新規就農者の育成に力を入れるということをやっていきたいと思います。
 観光や、あるいは国際協力、これについても力を入れていきたいと思いますので、今具体化を考えておりまして、原案を提出さしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(新島 雄君) 浅井修一郎君。
 〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次に2点目、災害復旧・復興支援対策による今後の予算編成への影響についてお尋ねします。
 県は、台風12号による大災害への対応として、さきの9月議会において災害復旧事業など約673億円の補正予算を組むとともに、今議会においても11億円余りの復興支援等の事業に係る補正予算を提案しております。
 私は、被災された方々や地域の早期復旧・復興を図る上で、あらゆる事業に全力で取り組むべきであると先ほども申し上げたところでありますけれども、一方で、これらの財政需要により、平成24年度以降の予算編成全体への影響はないかと心配せざるを得ないところであります。県民の皆さんに安心感を持っていただくという意味で、知事の所見をあわせてお願いします。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 御指摘のように、災害復旧・復興に係る今年度の補正予算総額は約684億円になっております。その2分の1強が国庫支出金によって賄われまして、約210億円発行予定の地方債についても、後年度の元利償還金が地方交付税より措置されます。さらに、激甚災害指定による国庫支出金のかさ上げとか、あるいは特別交付税によって最終的に国からいわば返ってくるお金というようなものも多くなるように、これから強く要望し、県負担の軽減を図っていきたいと思っております。
 平成24年度以降の予算編成においても、県民生活に御指摘のような悪い影響が出ないように、最大限の努力をしていきたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 浅井修一郎君。
 〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 これから時間の関係上、県土整備部長につきましては、一括してずっと答弁をいただきたいというように思います。
 次に、津波監視カメラの設置についてでありますが、東日本大震災の甚大な被害は、我々にとっても津波の脅威を改めて認識させるものとなりました。本県では、過去から東南海・南海地震などに伴う津波に襲われ、たびたび甚大な被害を受けてきましたが、数10年の時間の経過とともに、その脅威に対する認識が希薄になってきたことは否定できないのではないでしょうか。
 連日放映された映像では、到達した津波が防潮堤を簡単に乗り越え、次々と建物や自動車などを押し流す姿をまざまざと見せつけられました。こうした津波が来れば、堤防などハード整備だけで防ぐことは困難で、いち早く逃げることがいかに重要であるかを考えさせられたのは、この私だけではないと思います。
 その一方で、このような映像による情報は、津波の規模を把握し、現実的なものとして認識する上で非常に効果的であると感じました。本県では、東日本大震災の甚大な被害状況を受け、4月から防災・減災対策の総点検を行っているところでありますけれども、津波規模の把握などにこのような映像情報を取り入れることが、的確な避難情報の提供や被害状況の把握に非常に有効ではないかと思います。東南海・南海地震による津波に備え、これらの映像をよりリアルタイムで状況を把握し、減災対策に生かすことが重要であると思いますが、県土整備部長にお伺いします。
 また次に、避難路沿いの廃墟対策についてお尋ねいたします。
 平成23年7月7日に公布された景観支障防止条例が平成24年1月1日から施行されることになっており、景観上の廃墟対策についてはこれから実施されていくことと思いますが、しかし、廃墟の問題は景観上の問題だけでなく、防災の観点から考えることも重要ではないでしょうか。
 避難路沿いに廃墟があり、それが地震により倒壊した場合、避難路が通れなくなり、津波が襲ってきても逃げられない事態になってしまいます。このようなことが決してあってはなりません。県内には、このような危険な箇所が数多くあると思われますが、各市町村と連携を図りながら避難路確保のための対策を講じることが大切であると思いますが、あわせて県土整備部長の答弁を求めます。
 次に、河川対策でありますが、台風12号による復旧・復興も進んでまいりましたが、河川では応急復旧を終え、今、国の災害査定を受けているところと聞いております。今後、本格的な復旧作業に入っていくことになりますが、これら被災を受けた河川の早期復旧が待たれるところでありますが、その復旧方針についてお伺いします。
 あわせて、他の県内の各河川についても、今回の台風12号のような集中豪雨がいつ発生するかもわかりません。それらの河川の改修についても、早急な河川整備をしていただきたいと思いますが、県土整備部長の答弁を求めます。
 また今回、例えば私の地元である有田川につきましては、幸いはんらんは起こりませんでしたが、もう少しで危ないところでありました。他の川でも、台風12号の増水により多くの雑木やごみが欄干や構造物付近に堆積し、流下を阻害しています。いつ発生するかわからない集中豪雨に対応するためにも、河積を確保し流下能力を妨げないためにも、それらの撤去を早急にしなければならないと思いますが、この件についても県土整備部長に答弁を求めます。
 次に、砂防対策についてお尋ねいたします。
 県土の約8割が山地で覆われている本県においては、約1万8500カ所の土砂災害危険箇所が存在し、常に土石流、地すべり、がけ崩れなどの脅威にさらされています。ことしも、7月の梅雨前線豪雨、9月の台風12号及び台風15号の襲来により、本県南部を中心として激甚、悲惨な土砂災害が発生し、多くの人命、財産が奪われました。特に、土砂災害では、田辺市伏菟野地区における深層崩壊や熊野地区における河道閉塞、那智川水系における土石流の発生などにより、30名を超える死者、行方不明者と多くの財産が失われるなど、地域に甚大な被害が生じています。
 そこで、台風12号により発生した土砂災害への対応状況と今後の砂防事業の進め方について、あわせて県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 最初に、津波監視カメラの設置についてでございますが、本県では、国土交通省が設置した河川・道路監視用カメラ2チャンネル分の画像提供を受けております。沿岸部に設置されているカメラ映像は、津波状況を把握することにも活用できるものと考えております。
 これらに加えまして、県管理河川において、洪水、高潮のほか津波の状況も監視可能なカメラを数河川の河川部に設置し、県当局として県民の避難に役立てる防災情報の取得に努めてまいりたいと考えております。これは、現在3カ所程度の設置を予定しているところでございます。
 続きまして、避難路沿いの廃墟対策についてでございますが、これにつきましては、議員に以前から御指摘をいただいておりますことでございます。
 大地震の発生が近づいてる中で、人命にかかわることでございますので、景観以上に差し迫った非常に重要な課題であると認識しているところでございます。特に、東海・東南海・南海地震における津波につきましては、非常に短い時間での到達が予想されておりますので、迅速かつ円滑に避難することが求められます。そのためにも避難路の確保が重要でありまして、その避難路を閉塞させる危険性がある建築物への対策が必要であると考えておるところでございます。
 このため、現在、法律、防災、建築の各分野の専門家による検討会を設置しまして、どのような対策がとれるのかについて、財産権等の法的な問題、また市町村との連携など、さまざまな角度から検討を行っているところでございます。引き続き検討を重ねまして、対策の実施に向け取り組んでまいります。
 続きまして、河川対策でございますが、台風12号では、紀中から紀南地方において記録的な降雨となりまして、県の河川管理施設の災害復旧申請箇所は837カ所に上るなど、甚大な被害となりました。これら被災箇所の早期復旧に向けまして全力で取り組んでいるところでございまして、平成24年度中に95%の箇所、平成25年度までに大規模被災箇所を除くすべての箇所の完成を目指しているところでございます。
 大規模に被災した日高川、切目川、太田川、那智川では、原形に復旧するだけでなくて、河川を改良して復旧する改良復旧作業を実施すべく手続中であります。これらの河川では、3年から5年での完成を目指しております。
 なお、被害の少なかった河川につきましても、これまでの河川整備のスピードを緩めることなく、集中豪雨対策等の予防的な治水対策強化に努めてまいります。
 それから、流下阻害対策でございますが、治水上支障となっております流木やごみなどは、次期出水期までに撤去してまいります。また、同様に流下阻害となっております立ち木についても、緊急性の高い箇所から伐採してまいります。
 最後に、砂防対策でございますが、台風12号により発生しました大規模な土砂災害への対応ですが、土石流等の発災後、速やかに河道の確保や土石流センサーの設置等、2次災害を防ぐための応急工事を実施したところでございます。
 田辺市熊野地区における土砂ダムについては、国土交通省により緊急工事が実施されておりまして、12月3日には警戒区域が解除されたところでございます。また、那智川水系における土石流災害につきましても、国土交通省による緊急工事が実施されることとなっております。その他の大規模土砂災害発生箇所につきましても、一日も早い復旧・復興に向けて事業を実施してまいりたいと思っております。
 今後とも、土砂災害の予防、被害の軽減のためハード対策を推進するとともに、土砂災害警戒区域等の指定等、ソフト対策を実施してまいります。
○議長(新島 雄君) 浅井修一郎君。
 〔浅井修一郎君、登壇〕
○浅井修一郎君 次に、要望でありますけれども、この土砂災害を負った同地区に対して迅速な復旧・復興に向け努力していただいておりますが、より一層、緊急かつ集中的な施設整備を実施することにより、地域の安全を確保していただくよう強く要望しておきたいと思います。
 また、私ども自民党県議団では、今議会に和歌山県議会砂防事業促進研究会、仮称でありますけれども、設立し、砂防事業の推進に取り組んでいくこととなっております。
 次なんですが、余り時間がありませんので足らないというふうに思います。医療関係につきましては、次回の機会に質問をしたいと。せっかく答弁を考えていただいた部長さんに申しわけございませんが、肝心なことだけを1点申し上げたいと思います。
 このがん対策につきましては、非常に大切であるということから、がんの予防、早期発見、緩和ケアを含めた質の高い医療の提供等、和歌山県のがん対策をより一層推進し、1人でもがんで亡くなる方を減らすためにも、今議会でがん対策を推進する条例を制定するために、我々自民党県議団が中心となって、超党派による検討会の設置を今立ち上げようと進めているところであります。
 以上報告申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、浅井修一郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 30番多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさしていただきたいと思います。
 4点にわたりまして一般質問をさしていただきますけども、基本的に一問一答方式でやらせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 頑張れ日本、頑張れ東北、負けるな和歌山、そんな気持ちを込めまして、最初に防災対策について質問さしていただきたいと思います。
 台風12号被害から3カ月がたちました。日高川、那智川、古座川、熊野川等々と被害の大きかった地域を回ってみますと、まだつめ跡深く残っているのがわかります。いかに甚大な災害であったのか、改めて痛感させられる思いでございます。被害に遭われた方々には、改めて哀悼の意をささげたいと思いますし、お見舞いも申し上げたいと存じます。
 この3カ月で道路や河川の復旧・復興は進んでおります。那智川にかかるJR紀勢線の橋げたは修復され、試験運転を経て12月3日、やっと紀伊勝浦─新宮間の開通ができ、全線復旧となりました。
 同じく3日には、田辺市熊野地区の土砂ダムを埋める工事が完了し、同地区の18世帯、28人を対象にしていた警戒区域指定が解除されました。総力を挙げて取り組んでいただきました関係各位や、仁坂知事初め県当局の方々には、寝食を忘れての対応について敬意を申し上げます。
 9月4日設置の災害対策本部が先月11月30日で廃止され、今後は復旧・復興本部を中心に本格復興を進めていくとされております。知事も県議会開会日、あいさつの中で「何よりも大切なのは被災された方々の暮らしの再建」と話され、住宅再建については県独自の上乗せのほか、被災事業者や農林業者に対する独自の助成制度を創設するなど、全力で支援する決意も述べておられました。
 被災された方々の生活は、まだ大勢の方の生活がもとに戻れていない状況でございます。新たに出てくる支援策も柔軟に対応をお願いしたいと思います。
 今後の復旧・復興、災害に強いまちづくり、河川管理等の都市基盤の整備、そして中期計画でお示しいただいております洪水・治水対策の強化、既存ダムや今後新設のダムについても、治水強化に向けた取り組みを十分視野に入れて取り組みをお願い申し上げる次第でございます。
 まず、最初の質問として、このたびの台風12号による被害のまとめ、今後の復旧・復興について知事にお尋ねをしたいと思います。
○議長(新島 雄君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 台風12号に伴う11月30日現在の被害状況は、人的被害について死者52名、行方不明者5名、負傷者9名、家屋の被害について、全半壊、一部損壊で約2400棟、床上・床下浸水被害で約7400棟となっております。また、道路、河川、橋梁、砂防施設などの公共土木施設等の被害箇所は約1800カ所、被害金額は約648億円、商業、工業、観光業の被害金額は約59億円、農林水産業の被害は、林業、農地、農業用施設、農作物被害等で約418億円など、総額1150億円となっております。
 今後の復旧については、11月1日に復旧・復興本部を設置し、その対策について和歌山県復旧・復興アクションプログラムとして取りまとめました。各対策を短期、中期、長期に分類、整理し、県としての考え方や行動目標を示したものでございます。
 12月3日のJR紀勢線全通が、主な応急復旧では最終になりました。ただ、本格復旧は、御指摘のとおりまだまだこれからであります。道路・河川・砂防災害復旧箇所については、このアクションプログラムにおいて、平成24年度中に95%を直してしまおう、学校などは100%直してしまおうということを目指して取り組んでおります。
 今後も、これまでの防災・減災対策に加え、新たな風水害対策にも取り組むことで、より災害に強い新しい和歌山をつくるために、全庁挙げて取り組んでいく所存でございます。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今の御説明にもありました、いかに未曾有の甚大な被害だったかということが、本当にうかがえると思います。
 先ほどの浅井議員の質問と重複しますので、簡単に要望とさせていただきますけども、被災地の現場でよく28台風、昭和28年の台風以来の大きな被害だったというふうに聞いております。和歌山県としても、昭和28年の大水害による復旧・復興工事により、人件費、災害復旧費、公債費の増加を招いたことによる赤字再建団体に陥った苦い経験があります。そうならにように、工夫をぜひお願いしたいと存じます。
 次の質問に移らせていただきます。
 次に、義援金についてでございます。
 和歌山県に対して初めていただいた義援金です。昭和38年に災害対策基本法に基づく災害義援金制度ができました。例えば、阪神・淡路大震災やことしの東日本大震災の際、義援金の受け皿としての経験はあったでしょうが、今回のように本県のために義援金を募ってというのは初めての経験ではないかと思われます。全国からの激励や義援金、そして各議会や各自治体からのお見舞い等も多数お寄せいただきました。改めて、県政のトップの知事として、そのことに対してのお気持ちをお示しいただきたいと存じます。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 台風12号の災害義援金については、県の地域防災計画に基づき、県、日本赤十字社県支部及び県共同募金会において9月9日から募集を行っておりまして、11月30日現在の受け付け額は3団体合わせまして約1万件の7億円余りでございます。他府県市からの見舞金についても、28件の1200万円が県に届けられております。
 このたびの災害では、県民の皆様はもとより、本県にゆかりのある企業、団体、個人、あるいは、そうでなくても全国のあらゆる方面の皆様から、当初の予想をはるかに上回るような心温まる御支援が寄せられていることに深く感謝を申し上げるとともに、心からお礼を申し上げたいと思います。
 最近は、地域社会の中できずなが希薄化してまいっております。しかしながら、こういう事態を前にいたしますと、まだまだ支え合いの精神が強く働いているというふうに考えまして、大変うれしく思ってるところでございます。かくなる上は、これを県のほうで長く置いておくことなく、被災の方々にできるだけ早く届けるような工夫を引き続きやってまいりたいと思います。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 総額につきましては、今知事からお示しをいただきました。義援金の県内外、個人や団体など、内訳については福祉保健部長からお示しいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 義援金の県内、県外及び個人、団体の内訳につきましては、全体としては把握はできておりませんが、県受け付けのゆうちょ銀行口座受け入れ分では、2268件、約3800万円のうち県外が1618件、約2900万円であり、県外からが7割以上を占めております。また、日本赤十字社県支部受け付け分では、4984件のうち個人が4228件であり、個人からが8割以上を占めている状況でございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今御報告いただきました真心からの義援金を、県内だけでなく県外からも多数いただきました。本当にありがたいことでございます。
 ことし2月の定例県議会で無縁社会という言葉を使い、ぜひそうならないようにと質問もさしていただきました。全国の皆様にお支えいただき、復旧・復興の力強い後押しとして使っていただきたい、そう思います。
 そこで、義援金をいただいた方からの要望で、できれば支援する側も目的を選択できるような寄附金を募集する等の工夫をしていただけないか、そういう意見もありましたので、福祉保健部長にお答えを聞かせていただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 議員御提案の寄附金募集につきましては、東日本大震災の被災県で災害復旧及び復興事業の財源に充てるための寄附金を募集している事例等を参考にしながら、どのような目的の寄附金募集が考えられるのか等、関係部局とも検討してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 続いて、防災に女性の視点をとの観点からお聞きをしたいと思います。
 女性の視点から防災行政総点検を公明党女性局で行いました。この調査は、10月1日から1カ月間、東日本被災県、岩手、宮城、福島を除き、基本的に女性議員が存在する自治体の状況を、全国の党所属女性議員が連携し、聞き取り調査を行ったものでございます。地方防災会議への女性の登用、防災計画を作成する上で女性の意見を反映させたか等々となっております。
 「防災に女性の視点を」についてのお考えを、本県の実情、今後の取り組みについて、あわせて知事にお聞きしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 防災に限らず一般論で、さまざまな審議会あるいは委員会に女性にどんどん参加していただこうというのは私の願いでもありますし、議会の皆様も同じ考えであろうかと思います。ただ、実はこの和歌山県の防災会議については、大変成績が悪いのでございます。
 和歌山県の地域防災計画においては、防災に関する政策・方針決定過程及び防災の現場における女性の参画を拡大し、男女共同参画の視点を取り入れた防災体制の確立に努めることを防災行政の基本方針の1つとしておりまして、計画に女性の視点が反映されるように努めようとしております。
 ところが、それを審議する防災会議は、国の定めた規則がございまして、委員の大部分はいわゆる充て職、組織の長でございます。その長が男性のときは男性となってしまうということで、大変成績が悪い原因となっております。
 今後は、その縛りが必ずしも固定的でない部分もありますので、そういうときは、その当該団体から推薦をいただくときに、女性の登用ということについて趣旨に賛同いただいて、できるだけ女性を推薦いただけるように働きかけていきたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今、お答えをいただきましたけども、現在、防災会議に女性を登用していないのは大変残念でございます。全国の調査でも、地方防災会議に女性委員を登用していないところは44%ありました。地域防災計画に女性の意見を反映させていないと答えたところも54%に上ることがわかりました。女性の視点で防災計画を策定することは、言うに及ばず大事な点でございます。
 いろいろ法律的な制約もあろうかと思いますが、今や女性抜きに防災、減災は語れません。本県の防災計画に大きく反映されますので、防災会議に女性を登用していただくように、重ねてこれはお願いとさしていただきたいと思います。
 次に、ハザードマップの現状と課題について質問さしていただきます。
 国土交通省の発表によりますと、9月の台風12号による豪雨で発生した土砂災害について、奈良、和歌山、三重3県で崩壊した土砂の総量は推定で約1億立米に上ると発表しております。豪雨による災害としては、戦後最大ということでございます。災害が発生したのは3077カ所、総面積は計約950万平米に及び、和歌山県は672カ所、約1200万立米となっております。
 毎年のように発生している土砂災害から国民の命を守るため、土砂災害のおそれのある区域について危険の周知、警戒避難体制の整備、一定の開発行為の制限、建築物の構造規制、既存住宅の移転促進等の対策を推進しようとの趣旨で、平成13年、土砂災害防止法が施行されています。
 土砂災害のおそれのある場所を都道府県が警戒区域に指定すると、市町村には避難場所などを住民に周知するためハザードマップの配布が義務づけられております。また、市町村の防災計画に避難勧告を発令する基準なども記載しなくてはなりません。平成12年から21年の10年間だけでも、県内でがけ崩れ、地すべり、土石流等の土砂災害発生件数は112件となっております。この問題については、9月議会で角田議員も触れておりますが、深層崩壊という新たな現象をも引き起こし、土砂ダムの決壊も長く心配され続けてきました。このたびの台風12号被害で土砂災害への警戒を改めて重要視しなければならないと強く感じております。
 本県における土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域指定等の定められた対象に対する基礎調査の進捗はどうなっているのでしょうか。
 また、土砂災害警戒区域について、各市町村は土砂災害ハザードマップを作成し、住民配布していくとなっております。実態はどのようになっておるんでしょうか。また、このたびの災害発生地域でハザードマップの作成及び公表がされていない市町村数をお示しください。
 土砂災害危険箇所以外での災害の発生はどうなっていますでしょうか、あわせて県土整備部長にお尋ねをしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 基礎調査の進捗状況でございますが、調査対象の土砂災害危険箇所1万8487カ所のうち、12月6日時点で4430カ所の基礎調査が完了しており、457カ所が調査中でございます。
 次に、土砂災害警戒区域を指定している市町村は15団体で、うちハザードマップを作成済みの市町村は6団体でございます。
 また、ハザードマップが未作成で土砂災害が発生した市町村数は9団体です。
 土砂災害危険箇所以外で、台風12号により土砂災害が発生したのは16カ所でございます。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今、御答弁いただきました。平成13年から取り組み、対象箇所が多いためか、基礎調査の完了は約24%ということでございます。県の基礎調査が完了しないとその後の対応が進まないことを考えますと、急ぐ必要も感じております。
 また、警戒区域に指定されている15市町村のうち、ハザードマップ作成がされていない自治体は9自治体という御答弁でございました。市町村もそれぞれ努力していただいているとは、私も直接首長さんから話を伺ったときに聞いております。全国的に見ても大変悪い状況でございますし、なぜこのようにおくれているのかということも含めて分析をし、またこれからもその地域について県としてどのようになさるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
 また、あわせて危険箇所以外でも16カ所で土砂災害が発生したとの御答弁でございました。このことで地域防災計画の見直しへの影響はどのように考えられるのか、県土整備部長にお答えをいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 土砂災害ハザードマップ未作成の原因は、市町村によりまして事情は異なりますが、津波浸水対策を優先させてきた、住民と協働して作成しているため時間を要している、自治会単位等の区域指定が完了してないなどが主な理由と聞いておるところでございます。
 また、ハザードマップ未作成の9自治体におきましては今回の台風12号では人的被害は発生しておりませんが、これに甘んじることなく、住民の方々の迅速かつ円滑な避難行動を支援するためにもハザードマップの作成が重要であると認識しておりますので、今後とも住民の方々の生命を守るため、土砂災害警戒区域等の指定を推進するとともに、ハザードマップを作成するよう市町村を指導してまいります。
 地域防災計画の見直しについてでございますが、現計画にその当該の16カ所については記載されておりませんので、今後、速やかに土砂災害危険箇所として追加記載するよう市町村を指導してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次に、紀の川水系及び和歌山市域河川整備計画についてお伺いをしたいと思います。
 今後、20年から30年の紀の川水系河川整備計画原案が10月に発表されました。今後のスケジュールとして、学識経験者や住民説明会等で意見をまとめ、整備計画案として地方公共団体の長に意見を求め協議をすることになっております。
 この計画は、津波への対応は安政の南海地震を想定しており、津波は地震発生後約50分で紀の川河口に第1波が到達し、おおむね紀の川大堰まで遡上し、下流部の堤防高さには達しないが、河川敷より約0.5から1.5メートルの高さまでという判断になっております。安政の南海地震はマグニチュード8.4であります。中央防災会議での東海・東南海・南海地震の3連動の地震想定はマグニチュード8.6となっていますので、想定の違いがどのように影響するのかが心配でございます。
 また、このたびの台風12号による紀の川水系の浸水戸数は、紀の川市や橋本市、かつらぎ町など、103戸数などとなっております。紀の川水系観測点、船戸観測所や三谷観測所では、はんらん注意水位5.00メートルを超え、避難判断水位近くまで来ており、貴志観測所や五條観測所では、避難判断水位を超過し、はんらん危険水位まで到達していたことがうかがえます。
 降り始めから5日間で年間降水量の75%が集中し、大台ケ原では2400ミリを超える記録的な豪雨となったにもかかわらず、台風12号により紀の川水系に甚大な被害が及ばなかったのは幸いいたしました。それは、紀中、紀南と降り方が違ったからです。紀の川水系にも広範囲に、また長きにわたって降り続き、1000ミリ以上になることも十分予想されることと思われます。
 どのような被害想定が成り立つのか、シミュレーションを行ったり対策を講じる必要があるのではないでしょうか。お考えをお聞きしたいと思います。
 また、一方で県管理の河川整備計画は、和歌山市域河川整備計画として8月に策定されております。平成に入ってからの水害として、2年前の平成21年11月の観測史上最大規模の1時間122.5ミリの降水量を初め、平成元年の床上・床下浸水7000戸数と大きな被害を経験しております。和歌山市域ブロック内の21河川のうち、特に被害が大きかった和田川、土入川、七瀬川、大門川についての今後の河川整備計画の見通しを、県土整備部長にお示しいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 県南部を中心に発生した台風12号のような降雨による計画規模を上回る洪水が紀の川に発生した場合は、甚大な被害を及ぼすことが予想されます。そのような場合の被害をできるだけ軽減できるよう、必要な対策を検討し実施されるよう国土交通省に申し入れたいと考えます。
 和田川、土入川、七瀬川、大門川につきましては、河川整備計画に基づき改修を進めております。それぞれの河川の進捗状況でございますが、和田川につきましては、現在、和歌川合流点から坂田橋までの約2200メートル区間の整備を重点的に進めており、流下能力向上対策として河床掘削を行うための護岸工事を実施しております。今年度でおおむねJR橋梁部を残して護岸工が完成することから、下流部から河床掘削に着手する予定としております。
 今後も、上流に向かって護岸整備及び河床掘削を進め、平成29年度末完成を目指してまいります。
 土入川につきましては、護岸の整備がおおむね完了しておりますが、今後、河床掘削を行うためには不法係留船の撤去が必要となることから、現在、貯木場跡に係留施設の整備を進めているところであり、平成25年度末完了を目指してまいります。係留施設が完成し、土入川から不法係留船を一掃した後、流下能力向上対策として河床掘削を実施する予定としております。
 七瀬川につきましては、現在、紀の川合流点から鴨居川合流点までの1600メートル区間の用地取得を進めており、11月末で約78%の用地取得率となっております。また、平成22年度から下流部の護岸工事にも着手しており、上流に向かって用地取得及び護岸整備を進めてまいります。
 なお、紀の川合流点から国道24号までの間について、平成29年度末完成を目指してまいります。
 大門川につきましては、市堀川分派点からJR橋付近までの1300メートル区間で河床掘削を実施する計画であり、市堀川分派点から大門川橋付近までの約1000メートル区間の整備が、大門川橋からJR橋までの間については河床掘削を行うための護岸補強が必要なため、現在、護岸工事を実施しているところです。護岸工事が終わり次第、流下能力向上対策として河床掘削を実施し、平成25年度末完成を目指してまいります。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 次に、地域の主権改革についてお尋ねをしてまいりたいと思います。
 国と地方の協議の場を創設することなどを盛り込んだ地域主権改革3法が、第1次一括法案が4月28日、第2次一括法案が同じく8月26日、民主、自民、公明各党など与野党の賛成多数で可決・成立いたしました。
 これまで、地方自治に関することについても国が一方的に決めてきたことについて、地域のことは地域に住む住民が責任を持って決めていく大きな意義のある一歩と言えます。国と地方が上下関係ではなく対等な関係で議論し、地方が国政に参加する場としての出発点として期待をしております。
 また一方では、法律名にもありますように、地域の自主性と自立性を高めるための改革ともなっています。地方六団体、とりわけ全国知事会がこの法律について推進役を果たしてきたわけですが、知事としてどのように受けとめておられるのか。また、施行日は来年4月となっております。本県としてどのような準備をしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地域のことは地域住民がみずからの判断と責任において決定するということを目指す地方分権改革を推進する上で、地方への義務づけ規定の廃止を進めていこうとする方向性は大変評価しております。
 その見直しの1つとして、御指摘のように国が定めていた施設等の基準をかなり多く地方で定めることになりました。そこまではよろしいんでございますが、その中には少々首をかしげるものもまだございます。
 例えば、案内標識等の寸法は地方の裁量が発揮できるような改正が行われましたが、福祉施設等の施設基準や人員基準は、国が定める基準によって地方で基準を定めるということになりまして、単に基準の根拠を政令から条例に移しただけということもございます。これでは本来の地方分権の趣旨に沿った見直しとは言えないと思いますので、全国知事会とも連携して、さらに見直しを求めていきたいと思います。
 ただ、地方の自由度が増加するということは、同時に責任も増加するということでございますので、本県としては基準を制定する際には、ちゃんと説明責任が果たせるように、レベルを上げて取り組んで、県民の福祉の維持向上を第一に考えていきたいと考えております。
 また、御指摘の条例の制定が必要なものは、法改正の施行日をにらみながら、2月議会以降に提案したいと考えております。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 関連して、公営住宅についてお伺いをしたいと思います。
 地方の権限が高まることは、同時に住民のために生かし、地域の自主性、自立性を高めていく責任が伴うことにもなります。このたびの改正で、例えば国が決めていた基準にかえて、条例で基準を規定、国の関与を廃止または弱い形態の関与へ、また、計画等の策定義務を廃止へとの方向に改正していくことになっております。具体的には、公営住宅の整備基準及び収入基準など、国の基準に合わせていたものを、地域ごとに、もっと言えば団地ごとに基準を見直すこともできるのではないでしょうか。どのような判断をされるのか、県土整備部長にお尋ねをさせていただきます。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 公営住宅法の一部改正の内容は、同居親族要件の廃止、入居収入基準の条例委任、公営住宅及び共同施設の整備基準の条例委任となっており、各自治体が独自に判断できる範囲が広くなっております。条例委任については、国から条例改正時に参考とすべき基準が示されることとなっております。県では、その基準を参考としながらも、県営住宅が立地するそれぞれの地域の実情を踏まえた対応がとれるよう、できるだけ速やかに条例等を策定してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今、御答弁いただきました。法令改正に伴ういろんな規則を、また条例を和歌山県で考えていく必要があると思います。
 特に、和歌山市にある公営住宅は、県営は19団地2943戸数、市営は104団地5224戸数であります。応募倍率は、市内だけの県営で平均8.7倍、市営では5.1倍となっております。近年ほぼ変わらず推移をしております。県営は、西浜、雄湊、城北、今福第1団地の建てかえを終え、現在、今福第2団地の174戸を建てかえ中で、次の川永団地384戸数の建てかえを進めようとしております。
 一方、和歌山市においては、建てかえの計画が進まず、老朽化に伴う政策的な空き家が1109戸数となっており、希望者がなかなか入居できない状況にもなってきています。
 同じ市民、県民として、安定的な住まいを提供するとの趣旨や公営住宅のあり方等をかんがみ、それぞれが補完し合うような県市協調をしていくお考えはありませんか、お尋ねをしたいと思います。県土整備部長にお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 和歌山市内においては、議員御指摘のように、県営、市営ともに多くの住宅ストックがありますが、市営住宅には、一部の団地において、建てかえ事業実施のために政策的に多くの空き家を確保している現状があります。市では、建てかえ計画を策定し、事業化を進めようとしていますので、県としましては、これまでに培ってきた建てかえ事業の経験や知識を具体的に示すことなどによりまして、和歌山市の建てかえ事業が円滑に実施できるよう協力してまいりたいと思います。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 これは要望でございますけども、今の御説明にもありましたけど、公営住宅が果たす役割というのは、一昔前の住宅不足の解消と未熟な民間市場をリードしてきた時代から、1つは地域や社会と共生した公営住宅、また、それぞれの世代のライフスタイルやライフステージに対応した公営住宅、また、3点目に都市部や郡部地域の実情に応じた公営住宅の供給などと、新しい視点も望まれていると思われます。
 既存スタイルの公営住宅には、若者を取り込むまちづくりや共生社会になりにくい一面もあり、和歌山市内だけでも8000戸に及ぶ公営住宅を考えたとき、例えば副知事が取り組んでおられます和歌山県・和歌山市政策連携会議などで、この公営住宅のあり方というのをテーマに政策の1つとしてとらえていただきたい、これは要望とさせていただきたいと思います。
 続いて、精神福祉行政について質問さしていただきます。
 医療計画と精神疾患について。
 医療計画は、都道府県が5年ごとに作成し、県民の適切な医療が切れ目なく提供されるよう、病院の連携体制や数値目標を設定し、基本方針としてきています。平成25年度からの新医療計画の実施に向けて、来年度、平成24年度には、計画の策定をしていくことになってまいります。計画の方針、そして今までの4大疾病5事業に加え、今や最大の疾患と言われる精神疾患についての位置づけを県医療計画としてどのように考えておられるのか、福祉保健部長にお尋ねをしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 現行の医療計画は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞及び糖尿病の4疾病と、救急医療、災害時医療、僻地医療、周産期医療及び小児医療の5事業ごとの医療提供体制の構築などが柱となっており、平成20年度から5カ年計画で実施しています。
 次期計画につきましては、11月16日に厚生労働省が開催した第8回医療計画の見直し等に関する検討会で、都道府県が医療計画を作成する際の指針の見直し案について検討が行われています。その中で厚生労働省は、現行の4疾病に追加する精神疾患に関し、急増するうつ病と認知症に重点を置いた指針を作成する方針を示しております。同検討会における議論は平成23年中に終え、次期計画に記載すべき内容や策定手順を示した指針が都道府県に提示される予定でございます。
 県では現在、現行計画の進捗状況の把握、検証を行っているところですが、次期計画に精神疾患が追加されることから、福祉や介護サービスとの連携が一層重要になると考えており、進捗状況の評価とあわせて新たな課題への対応策についても検討を行っていきます。さらに、計画作成に当たっては、患者動向、医療資源及び医療連携に関する現状の把握も重要であるため、その現状分析を行い、現行の医療提供体制の課題を抽出して、その課題を解決するための方策も検討してまいります。
 これらの検討に当たっては、医療関係者等の意見も十分伺いながら、その結果を次期計画に反映して、平成24年度中に策定し、急性期から回復期、在宅療養に至るまで切れ目のない医療の提供が実現できるよう、医療提供体制の確保を図ってまいります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 認知行動療法のその後の進捗状況をお伺いしたいと思います。
 4大疾病の中で最も患者数が多い糖尿病を大きく上回り、がんの2倍に上り、今では、08年の患者調査によると患者数は約323万人となり、国民病とまで言われるようになってきております、心の病、うつ病対策についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年の12月議会でも取り上げました。和歌山県における自殺対策の推進基本方針を1年前倒しして、今年度から自殺・うつ病対策の基本方針に改め、うつ病患者の支援のあり方や認知行動療法の位置づけなど、総合的な対策の方向性を盛り込んでまいりますとの知事答弁をいただきました。また、認知行動療法についても、今後、治療法の普及や人材育成など環境整備を図ってまいりたいとのお考えも聞かせていただきました。県行政として初めて認知行動療法を前進させる心強い、力強い御答弁だったと記憶しております。
 昨年の12月以来の取り組みについて、福祉保健部長にお聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) うつ病治療に有効性が示されている認知行動療法については、本年1月31日から2月1日にかけ、同療法を先駆的に取り入れている沖縄県立総合精神保健福祉センターに職員を派遣し、講義を受け、導入に向け検討を行ってまいりましたが、このたび12月7日、本日、県立こころの医療センターで専門外来を開設する運びとなりました。また、県立医科大学附属病院においても、来年度中に導入の予定となっております。さらに、10月に実施した認知行動療法導入についてのアンケート結果では、導入を検討していると回答した民間病院も出てきております。
 また、認知行動療法の普及については、10月に沖縄県の福祉センター所長を招聘し、約80名の保健医療従事者を対象に研修を行いました。
 うつ病の早期発見、早期治療のための一般診療科と精神科の連携につきましては、4月から御坊保健医療圏で連携体制を構築し、運営を行っております。他の保健医療圏域は、精神保健福祉センターに配置したうつ病対策連携員を中心に連携の具体化に向け取り組んでいます。
 うつ病に関するかかりつけ医の対応力の向上につきましては、県医師会実施の約300人が受講する研修に助成を行い、その充実に努めているところでございます。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 今、御答弁いただきました。
 本当にわざわざ沖縄まで研修に行かれたことについて、敬意を表します。また、先月には沖縄の所長を講師に招き、専門家の方々の研修会もやっていただいたとの御報告をいただきました。今後の医療計画策定でも新たに取り上げていく環境にあることは間違いなさそうです。
 ますますふえている心の病、うつ病に対し、認知行動療法のその効果が認められてきております。先日も、NHKで認知行動療法についての紹介がございました。しかし、まだまだ身近で受診できない現状からすると、今後も引き続き研修や啓発を重ねていただきたいと強く要望させていただきたいと思います。
 次に、県立学校の再編と支援学校の新設についてお聞きしたいと思います。
 和歌山県立和歌山北高校、和歌山西高校の統合問題についてであります。
 平成24年度県立高校学校別・学科別の募集定員が10月に発表されました。平成24年度より1校減って、全日制は30校6校舎4分校となります。この発表で、やっと県立和歌山北高校、和歌山西高校統合再編における概要が見えてまいりました。
 和歌山北高校は、毎年の国体だけでなく、スポーツ教育の伝統校として県内外から注目を集めてきたその特性と、設備、環境面への配慮、一方、和歌山西高校は、地の利の面からも特色の乏しさからも少子化の影響を一番受けていたのかもしれません。
 北高校、西高校を統合し、平成24年度4月から県立和歌山北高校の北校舎、西校舎の普通科として生まれ変わるに当たって、1つ、新しいカリキュラム等、それぞれの校舎の特色について、2つ、地域や関係者等に対する説明責任について、3つ、両校舎の運営に関する工夫や制服、校歌、校章についての考え方について、4つ、教員の配置と交流について、5つ目に、両校舎の距離は直線で7キロ、自転車を使って行くとしても20分はかかると思います。同じ高校として、クラブ活動の運営についてはどのように考えているのか、教育長にお尋ねしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 和歌山県立和歌山北高校、和歌山西高校統合に係る5点の質問にお答えさせていただきます。
 まず、第1点目の新しいカリキュラム等、それぞれの校舎の特色についてでございますが、来年度、統合校として新たなスタートを切る和歌山北高等学校につきましては、現和歌山西高等学校と和歌山北高等学校、それぞれの校舎を活用しながら、両校の歴史と伝統を引き継ぎ、知・徳・体のバランスのとれた人間の育成を目標に据えるとともに、勉強とスポーツ、芸術等、生徒の興味関心のある分野のカリキュラムを充実させることによって、社会に羽ばたいていこうとする高い志を持った生徒を育てていきたいと考えております。
 特に西校舎には、これまでの体育科をスポーツ健康科学科として設置するとともに、普通科では福祉や商業関係の科目を選択できるようにするなど、生徒の進路希望にこたえる学習を行っていきます。また、全員クラブ制を導入し、スポーツによって学校の活性化を図ってまいります。
 一方、北校舎の普通科では、進学を重視した特別進学クラスを設置するとともに、多様な教科、科目を開設してまいります。
 なお、スポーツ健康科学科につきましては、学年を超えた教育活動が多いことや施設設備の整備の関係から、平成25年度までは北校舎で学習することとしております。
 2点目の地域や関係者に対する説明責任についてでございますが、統合に関しましては、一昨年度から地域協議会等を通して、保護者や同窓会関係者、地域の方に対して適宜説明を行ってまいりました。また、本年9月下旬から県内8カ所で開催しました進路指導会議で、すべての中学校に対して周知徹底を図り、10月中旬の学校独自のオープンスクールでも、中学生や保護者に対しまして説明をしております。
 3点目の両校舎の運営の工夫や制服、校歌、校章についてでございますが、両校舎の運営に関しましては、来春の入学式を1カ所で行うこととするなど、統合校としてできるだけ一体感を出せる工夫を考えているところでございます。制服、校歌、校章につきましては、これまで両校で協議を重ねてまいりました。その結果、両校の歴史と伝統を引き継ぎながらも統合校としての新たなイメージを持たせた制服とするなど、4月に向け鋭意準備を進めているところでございます。
 4点目の教員の配置と交流につきましてでございますが、教員につきましては、標準法に基づき適切に配置してまいります。現在、当該の学校で両校舎の交流のあり方を検討しているところであり、1つの学校としての一体感を持って教員が指導に当たれるよう協議を進めております。
 5点目のクラブ活動の運営についてでございますが、クラブ活動につきましては、統合校における1つのクラブとして活動することになります。競技力を高め、好成績が残せるよう、校舎間の移動や競技種目の特性も考慮に入れながら、それぞれの校舎の体育館やグラウンド等の施設や設備を最も有効な形で利用して、クラブ活動を展開してまいります。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁ありがとうございました。
 最後の質問に入らせていただきたいと思います。
 県立和歌山西高校と和歌山さくら支援学校の併置についてでございます。
 平成24年度4月に、和歌山県立和歌山西高校と和歌山県立和歌山北高校西校舎、和歌山さくら支援学校併置の計画が進められております。
 西下教育長は、9月の定例議会での服部議員の支援学校の併置に関しての質問に対し、1つ、和歌山市内の支援学校児童生徒の増加、2つ、そのことに伴って適切な配置、3つ、1つの校舎になっても西高校には通常の2倍の校地があるため円滑な運営ができるとの御説明だったと思います。2校の統合と支援学校の併置というこの好機に、県立高校として特別支援教育を推し進めていく中、新たにどのような教育をお考えなのか、この点につきまして御説明を教育長に求めたいと思います。
○議長(新島 雄君) 教育長。
 〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 和歌山西高校と和歌山さくら支援学校併置に係る教育についてお答えいたします。
 来春に再編される現在の和歌山西高等学校と和歌山さくら支援学校は、同じ校地に併置する特徴を生かし、学校行事や生徒会活動等の日常的な交流を積極的に進め、同じ社会に生きる人間としてお互いを正しく理解し、ともに助け合い、支え合っていくことの大切さを学んでいくことを目指しております。また、両校における教科の専門性や生徒指導のあり方等について理解を深め、1人1人の教育的ニーズに合わせた指導・支援の蓄積を教職員の研修を通して生かし合うことにより、教育活動の一層の充実を図ってまいります。
 このように、両校が互いの教育を高め合うことを大きな目標としており、このことを通して、すべての子供たちが共生することの意義をしっかり身につけ、これからの社会を担う若者として育っていってくれるものと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 多田純一君。
 〔多田純一君、登壇〕
○多田純一君 御答弁ありがとうございました。
 最後に、ちょっと要望だけさせていただきたいと思います。
 全国でも初めて普通高校と支援学校の併置型を行いました京都府立八幡支援学校を公明党県議団3人で訪問いたしました。ここは、旧八幡高校と旧南八幡高校が統合し、八幡高校北キャンパスと南キャンパスとして平成19年4月にスタートし、平成22年4月には南キャンパスに全国初となる支援学校を併置させた高等学校となっております。
 行ってみますと、同一敷地内で門も1つとなっておりました。学校行事だけでなく、日ごろからのともに学べる機会の設定や、交流広場で食堂を活用し、昼食時間などを利用して日常的な交流も行っておりましたし、御飯を食べさせてあげたり歯を磨いてあげている仲むつまじい光景もよく見かけるそうでございます。
 両校の交流や共同学習を通じて、支援学校の児童生徒にはコミュニケーション力が身につき、八幡高校の生徒には障害への理解や思いやり、そして支え合うことの大切さを学び、ノーマライゼーション社会の推進を目指し、スクールパートナーとして協調しながら、ともに学習し、成長している姿など、併置型のよさがうかがえる支援学校でございました。北キャンパスとの交流も行っているようでございます。
 当局も視察され、研究されてきたと伺っております。両校の関係者の方が十分な話し合いと準備を重ねていただき、新しい試みが成功するように期待と要望を申し上げ、一般質問とさせていただきます。ありがとうございました。
○議長(新島 雄君) 以上で、多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
 午前11時55分休憩
────────────────────
 午後1時1分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に従い、一般質問に入らせていただきます。
 まず最初に、TPP問題で質問をさせていただきます。
 野田政権は、先月、TPP(環太平洋連携協定)の交渉参加表明を強行いたしました。和歌山県議会としても、昨年12月議会でTPP交渉参加に反対する意見書を全会派賛成で可決しているところです。政府の交渉参加表明強行は、国民、県民の拙速な交渉参加反対の声、これが大きく広がってきている中で、世論を踏みにじったものとして許せないものであります。
 昨年の議会では、物品の関税撤廃による影響をどう見るかが議論をされました。TPP参加が農業と食料自給率に壊滅的影響を与える結果となるということは、まさに大問題であります。
 これに加えて、この間、国民的議論が進む中で明らかになってきたのは、食の安全や、また医療、雇用などの法律や制度というようなルールが輸入を不当に制限する非関税障壁だとして攻撃される、このことにより、国民・県民生活のさまざまな分野にかかわる大問題となってくるということです。
 野田政権によるTPP交渉参加表明という重大事態を受け、この間、指摘されてきたさまざまな問題点が県民生活にどう影響をしようとしているのか、またTPP問題への政治姿勢をお伺いしたいと思います。
 まず、第1点目の農業分野ですが、県内農業を初め、加工、流通などを含め、大きな影響がある分野です。昨年から立ち上げたTPP問題での庁内プロジェクトチームでの論議を踏まえて、農業分野での影響についてどう検討されたか、まず農林水産部長から答弁をお願いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 農林水産部長増谷行紀君。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) TPPに加入した場合の農林水産業への影響を、TPP参加国に加え、ASEAN加盟国、韓国、カナダ、メキシコの計18カ国について、関税が撤廃された場合を想定して検討しております。
 検討品目は、県内での産出額が1億円以上で、かつ当該各国の生産状況、輸出状況、関税率等から見まして競合すると考えられる10品目でございます。試算に際しましては、農林水産省が行った試算を参考に本県の状況等を加味いたしまして、影響額を平成20年度の生産額に当てはめて算出いたしました。
 例えば米では、有機栽培等の特別に栽培された米と自家消費米の半分が残り、それ以外の米、すなわち県内で産出される米の全量の85%が減少するとして試算しております。また、温州ミカンでは、ガット・ウルグアイ・ラウンド合意の際の影響を参考にして、10%の生産減少になるとして試算しております。
 この結果、午前中に知事のほうから申し上げましたように、本県農林水産物への影響額は約136億円、このうち農産物が121億円、畜産が14億円と推計いたしております。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 続けて、医療分野についてお伺いいたします。
 暮らしとかかわる問題でこの間大きくクローズアップされてきたのが、医療の分野へのTPPの影響です。
 かねてからアメリカは日本に医療の市場原理導入を求めており、混合診療の全面解禁、薬価ルールへの干渉など、圧力を強めてくると考えられます。人やサービスの移動緩和による地域医療への影響、さらに、公的医療保険制度、国民皆保険制度が市場参入の障壁としてねらわれると指摘をされておりますが、県民の医療と健康にどのような影響が及ぶと考えているのか、福祉保健部長に答弁をお願いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
 〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) TPP問題の医療分野への影響につきましては、現時点では国からの十分な情報提供もなく、詳細については不明ですが、県といたしましては、世界に誇る国民皆保険制度を堅持していくことが何よりも大切であるというふうに考えてございます。今後のTPP交渉では、我が国の安心・安全な医療が損なわれないよう、しっかりと対応するように政府に強く訴えてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 3つ目に、公共事業の分野で今度はお伺いいたします。これは、地域経済への影響が懸念されている大きな問題だと思います。
 TPP参加により国際入札の基準が下げられるのはもとより、県や市町村ができるだけ地元業者に発注しようとしているこのルールや工夫が非関税障壁だとして攻撃されかねません。これをなくしてしまえば、外国からだけではなく県外業者もフリーパスとなりかねません。公共事業の分野での影響はどう考えているのか、県土整備部長から答弁をお願いします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 現在、外国企業が参入可能な地方公共団体におけるWTO基準額は、建設工事では23億円、建設工事に係る委託業務では2億3000万円でございますが、我が国がTPPに参加することによりこの金額が引き下げられるかどうかもわかっておりません。いずれにしましても、議員御心配の公共事業への影響につきましては、今後、情報収集に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 3つの分野でそれぞれの関係部長から答弁をいただきました。これらの問題以外にも、食品安全のルールも非関税障壁とされかねないなどの問題、影響は多岐にわたっております。
 そこで、今度は知事にお伺いをいたします。
 知事は、昨年12月議会において、農業への手だてなどを抜きにTPPへの参加は常軌を逸していると答弁をされています。この間の国民的論議でも明らかになったように、県民生活全般への影響が危惧される中、和歌山県というこの地域的条件も踏まえて、情報提供や姿勢も示さないまま交渉参加表明をした国に対し、知事として抗議もし、撤回を求めるべきではないでしょうか。知事の政治姿勢をお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) TPPに参加することによりまして我が国の産業にどの程度影響がどういうふうにあるのか、あるいはそれに対する対応はこんなふうにしてやるんだというようなことについて、国民に対する情報提供が十分に行われていない中で、交渉に参加するとだけしかおっしゃらない政府の対応は問題があると思っております。
 そのため、政府に対しては、TPP交渉には国益を損なわないという強い姿勢で臨むとともに、TPP参加による影響、対応策を早急に明らかにして、そして国民的な議論もきちんとやって、とりわけ農林水産業など大きな打撃を受ける懸念がある産業への対応策は最も早く検討して、それを公にしてもらいたい、そんなふうに思っております。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長答弁の中では、国民皆保険制度をしっかり守ることが大切だという答弁もありました。言うべきことは言い、求めるべきことはきっぱりと求めていくよう要望するものです。
 また、知事からは、政府の姿勢は問題があるという御答弁をいただきました。午前中の答弁の中でもいろいろありました。バスに乗りおくれるな、長いものには巻かれろ式の国のやり方は、私は許しがたいと思ってます。日本農業の再生とTPPの参加は両立しません。農業の持続的再生産を支えれば、日本には温暖多雨な気候条件を生かすすぐれた農業技術と、また安全・安心を求める消費者ニーズなど、農業発展の条件はあるし、そこに和歌山の未来があると思います。医療や公共事業でも一極集中ではなく、多様な地域が魅力ある地方を形成することが求められます。
 知事は、午前中の答弁の中で、参加するも地獄、しないも地獄という知事の考え方をおっしゃいましたけども、その考え方が当たっていたとしても、参加して和歌山の農林水産業が壊滅するよりも、参加せずに、苦しいけれども豊かな山河と地域社会が残る和歌山を目指してほしいということを申し上げておきたいというふうに思います。
 続けて、それでは、2番目の柱の質問に移らせていただきます。
 災害復興と河川、ダムの防災対策についてお伺いをいたします。
 第1点目に、今議会に提案をされている災害復興補正予算と関連をして質問をさせていただきます。
 9月議会では、災害復旧のための事業と補正予算に迅速に着手をいただきました。私ども共産党県議団としても、災害直後から救援ボランティアで災害現場に伺い、同時に県民の皆さんからの要望をお聞きしてまいりました。救援、復旧から復興へと課題が移ってきた中で、県民、被災市町村からは、国の災害復旧事業に係らない分野で県や市町村の温かい支援を求める声が数多く出されました。
 小規模な農地災害の相談は、各地で数多く出されています。また、大きな借金を抱えたまま、破壊された農業用ハウスやボイラーを前に涙ぐむ若い農業後継者の声、濁流により根こそぎ倒されたりした果樹を前に、天災だから補償とは言わないが、このミカンやブルーベリーの木を植えかえてもう一度頑張ることにぜひ支援が欲しいという農家の声、動かなくなった軽トラックや農機具などを新たに買いそろえることも、年は年だし、とても困難だという元気に地域を支えている農家の声、また、地域に1つしかないお店が再開できないとなると地域が元気をなくしてしまう、何とか再開してもらって地域の活力を取り戻したいという自治体首長さんの声、これらの切実な声にこたえるべく、今回の県単独補助事業や補正予算が組まれたことを歓迎したいと思います。
 そこで、農業再開支援策として進めようとしている支援内容について当局から答弁を求めるとともに、また、補正予算額は要望に十分こたえられる予算規模になっているのか、林業の分野では森林作業道の復旧対策を求める声が多く出されていますが、どのように対応していくのか、以上の点について、農林水産部長よりお答え願います。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農業の復旧支援について、よりきめ細かく、被災者視点での復旧・復興につなげていくため、3本柱から成る再開支援策を12月補正予算でお願いしているところでございます。
 被災ミカン園等での改植や農業用ハウス等の復旧、農協が行う農業用機械の貸し出しを通じて営農再開を支援する営農再開緊急支援事業、被災地の担い手組織が行う農地の再利用活動に関連する農業機械・施設の整備を支援する地域農業支援対策、国の災害復旧の対象とならない事業費40万円未満の小規模災害復旧や、田畑の転石除去などの工事を支援する農業生産基盤復旧支援事業での必要額をお願いしているところでございます。
 なお、必要な事業につきましては、平成24年度予算におきましても引き続き実施していく考えでございます。
 また、林業の作業道につきましては、森林施業を実施する上で重要な施策であることから、現在、国の森林整備地域活動支援交付金を活用して復旧に取り組んでいるところでございます。
 今後とも被災者の声を聞きながら、引き続ききめ細かく、かつ十分な対応が行えるよう、地域の農林水産業の方や市町村と一体となって一日も早い復旧・復興を図っていきたいと考えております。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 続けて、商工関係もお聞きしたいと思います。
 補正予算では、県内中小業者への支援として、融資制度に加えて補助制度も設けられました。あわせて独自補助をする市町村も出てきています。災害から時間がたっていて、既に補修をしたり施設を買いかえたりという対応を済ませている事業者もあるでしょうから、補助を受ける際の手続がスムーズにできるよう工夫していただきたいし、また、独自補助をする市町村と県とで二度手間になったり複雑にならないよう配慮すべきだと考えますが、いかがでしょうか。商工観光労働部長にお答え願います。
○副議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長大門達生君。
 〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) このたびの台風12号において被災された事業者の方々の事業再開を支援するため、県独自の支援制度を創設することとしたところでありますが、この制度の運用におきましては、市町村、商工会等とよく連携しながら、手続上、申請者にできるだけ負担のかかることのないよう配慮してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 両部長から御答弁いただきました。
 これまでに前例のない画期的な支援に踏み込んでいただいたわけですから、くじけそうになりながらも必死に立ち上がろうとしている県民と、復旧・復興の業務にてんてこ舞いしている市町村の声に丁寧にこたえていただき、多くの県民に喜んでいただけるよう取り組んでいただくことを要望しておきたいと思います。
 引き続いて、県営ダムの治水能力向上のためにということでお伺いをしていきたいと思います。
 知事は、9月議会の質問に対し、県内利水ダムに治水への協力を働きかけると答弁をされ、また部長からは、県営ダムの運用改善、本体の改良を求めた質問に対し、ソフト対策、河川改修も含めて効果的な対策を検討するとの答弁がありました。いずれも大変積極的な答弁であったし、アクションプログラムにも中期対策として位置づけて早期対応を目指すという姿勢も評価をしたいと思います。
 私はこの間、他県でのダムの改善事業を視察してまいりました。鹿児島県にある鶴田ダムでは、多目的ダムの水位を下げて治水容量を大きくしようと、ダム本体の下のほうに放流ゲートや、また発電用の取水口を新たに設けて、そういうような改良工事が行われていました。また、熊本県の氷川ダムでは、ダム本体をかさ上げする改良工事によって治水容量をふやしていました。ダム問題には、それぞれの地域の条件や経過のもとに、さまざまな努力や、また試み、模索というものが全国各地で行われていることを実感しました。
 私たち和歌山県では、県営の多目的ダムに設置された水力発電所を民間に売却する計画が出された7年前、二川ダムを持つ私たち有田川流域では大問題になりました。地元自治体や、また地元議会からも一斉に反対や慎重な対応を求める意見が上がりました。
 ダム直下の二川地区の集会所では、区長さんを初め多くの区民の方々から御意見を伺いましたが、次々に怒りを表明されました。二川地区はダム建設には反対だった。当時、ダム反対町長まで誕生した。しかし、洪水対策のためにと言われて泣く泣く同意をしたんですと。発電所を売り渡すのであったらダム建設時の約束違反だ、一からやり直しをせんなんことになる。発電がもうからんのやったらもう発電やめて、どうか防災ダム一本にしてほしい。これが圧倒的な声だったんですね。
 これに対して県は、発電所は売ってもダムは県営であり、治水は県が責任を持つと、こういうふうに答え、関西電力への売却に当たり、ダム運用について協議もし、二川ダムでも運用水位を下げ、予備放流や洪水調節でも治水能力向上の改善を果たしてきた、そういう経過があります。
 県営ダムの治水能力向上のためには、関西電力を初めとする水利権者等との調整が必要ですが、決してゼロからのスタートではないはずです。これまでの経過やこのたびの大災害を踏まえて、県民の安全という立場からしっかりと取り組んでいただきたいと考えています。
 知事は、9月議会後、早速関西電力へも行っていただいたと聞いておりますが、県営ダムの治水能力向上のための取り組み状況について、まず知事より答弁をお願いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御指摘のとおり、和歌山県の県営のダムについては、利水部分と、それから治水部分がありまして、治水部分をうまく使って、下流の堤防等々ももちろん使って、それでその治水がちゃんとできるという想定をつくっておったわけでございます。ところが、現実にその想定を上回るような水が来てしまったもんですから、最終的には、わかりやすく言うと、入ってくる水と出ていく水が同じになってしもたという時期が出てしまいまして、被害も発生したわけでございます。
 今回はそれを受けまして、大規模出水によってダムがあふれることが将来予想されるときには、利水をしばらく犠牲にしてもダムの貯水位をあらかじめ下げて、それで治水の機能の向上を図って下流の安全を確保するということはどうだろうかということで、関西電力に、そのような要請を県がやったときには協力してくださいというような申し入れをいたしました。
 私自身も、関西電力が停電の復旧に随分御尽力してくれましたんで、それのお礼を申し上げると同時に、社長にお目にかかったときにこのようなことを申し入れて、その場で、それはごもっともでありますと、県から要請があったら、我々は下流の方々の安全を守るのが物すごく大事な要請ですから協力さしてもらいますというお話をいただいて、原則はオーケーになっております。
 あとは、実際にどのような場合にどのような手続で、あるいは方法で、タイミングで、それからまた放水するときにどういう事故処理を役割分担でやっていくかというようなことをきっちり決めておきませんと、気持ちだけではいけませんので、そういうことを今詰めているところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事からは、原則オーケーという返事もいただきながら具体的なところを詰めているというお話をいただきました。この答弁を踏まえた上で、もう少し具体的な課題で質問を続けさせていただきたいと思います。
 ダム操作規程の改善をということで質問をいたします。
 県は、2002年から七川ダムで、加えて2005年の発電所売却時に当たり七川ダム、二川ダムで運用規程というものを定めて、ダムの操作改善を進めてまいりました。しかし、これは本体であるダム操作規則というのには手をつけずに、いわば接ぎ木をしたような形で操作を決めてるわけなんですね。このことにより、せっかくの運用改善が本則から外れた限定的な操作というような扱いともなっていて、本来は操作規則をしかるべく改定すべきだと考えるものです。また、現実的には、洪水直前に慌ててダムの水位を下げようとしても、なかなか操作規程上も施設の能力的にも思うように予備放流できないという現状もあります。
 今回の災害の教訓を踏まえ、例えば制限水位ですとか予備放流の水位、予備放流方法、こんなものをしっかりと検証、検討、調整をして、それが書かれている操作規則そのものの改定にも踏み込むべきではないでしょうか。県土整備部長の答弁を求めます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) ダムの操作規則でございますが、これはダムの当初の計画に基づきまして、ダムの操作の基本となるべき事項及びダムの操作の原則について定めているものでございます。他方、運用規程は、その他、ダム管理上必要な事項を定めたものとして、操作規則の適用を受ける範囲を超えた緊急的な操作等について定めたものでございます。
 現在、関西電力と今回のような大規模洪水時の緊急的な操作について協議中でございますので、その結果を踏まえまして、運用規程を含め操作のルールというものをきちんと整理しまして、必要な見直し等を行ってまいりたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からは必要な見直しを行っていくということでしたけれども、具体的な話ができなかったんで、もう少しお話をしたいというふうに思います。
 規程の上位、下位の位置づけからすれば、規則と運用規程というのはそういう関係にあるんですけれども、今回、私が質問で取り上げたのは、二川ダムの運用規程の整備というのは、そういう部分的な動機ではなかったということなんですね。発電所売却という歴史的な節目に当たって、ダム建設の歴史や近年の集中豪雨など気象条件に対応すべく、今後ダムはどうあるべきかという議論の上で、地元から出された要望にどうこたえるかと、当時、知恵を出してつくったダム運用なんですね。
 売却前の2004年12月議会、操作規程の見直しを求めた私の質問に対し、当時の知事答弁はこんなふうになってます。「御指摘の二川ダムにつきましては、従来よりもさらに洪水対策を重視したダム運用が行われるよう、現在、ダムの操作規程の見直しを行っているところであり、御質問にありましたが、来年3月までに必要な検討及び関係部局との調整を行い、来年の出水期から適用できるよう、現在鋭意作業を進めているところでございます」、こんなふうになってたんですね。このように、ダム操作全体をしっかりと見直した作業をしていたわけです。
 しかし、発電所売却の期限が、12月だけど、もう3月に迫っていて、また次の5月の出水期からすぐにそのダム運用を開始しなければいけないと、こういう時間的な制約もあり、国の認可を得る時間的余裕がなかったことや、アロケーションと呼ばれる費用分担で今後どうするかといったすぐに決着できない課題もあったんで、ダム操作規程の下に位置する運用規程ということで改善をルール化したという、そういう当時の制約があったと思うんですね。
 今の実際のダム運用は、この新しいダム運用が生かされ、ダム水位についても、関西電力との話し合いのもと、ダム操作規則の制限値よりもうんと低い水位で安全運転をしてくれてます。地元自治体、住民もとても喜んでおります。
 ですから、ダム操作規則で定める重要な事項であるダムの水位をどれぐらいにするかというようなことや、また洪水前にはどこまで予備放流するかということも、実態としてはもう改善がどんどん前に進んできてるんですね。そして、先ほど申し上げましたように、アロケーションと呼ばれるダムの費用負担割合も、新しい洪水対策重視の今のダム運用での発電実績、当然その発電の実績は少なくなるはずですから、そういうことに基づいて、この間、発電側の費用負担を下げて改定しているではありませんか。
 だから、本来、県が約束していたダム操作規則という本体部分までしっかりと見直す条件はあるし、やろうじゃありませんか。つまり、もともとやろうとしていたことを、今回の災害を踏まえて、一層洪水対策を強化するように全体としてきちんと整理しましょうというふうな提案なんですが、いかがでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 先ほど申し上げましたように、現在、具体的な手続等について関西電力側と協議をしているところでございまして、まだその中身が決まってないところでございます。決まりましたら、それがきちんと機能するようにするためにはどのようなルールを規定していくべきなのかというのをしっかり考えまして、必要な見直しをやっていきたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長のほうからは今調整中だというお話でありましたから、これから県営ダムそれぞれの治水能力向上のために、ダム操作を初めとするソフト対策や、またハード対策、そして何よりも大事な河川改修と大きな枠組みで取り組んでいただくわけですから、発電所売却時の経過も含めてしっかりと検討していただくよう強く要望して、次の質問に移りたいというふうに思います。
 次に、ダム堆砂の現状と対策についてお伺いをしたいと思います。
 ダムの堆積土砂は、ダムの治水能力を減少させる深刻な問題です。堆積土砂は、ダム本体の近くでたまってくれずにダム上流部からどんどんたまってくるので、治水容量を減少させます。少ない流入量と思っていても計画よりダム水位が上昇してしまい、ダム操作を狂わせかねません。特に椿山ダムの堆砂は、この数年間でかなり進んでいるというふうに考えますが、県営多目的ダムの堆砂状況と今後の対策について、県土整備部長より答弁を願います。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 一般にダムの堆砂は、完成当初は進行が速く、年数の経過に伴いまして貯水池の周辺が安定し、進行が遅くなってまいります。
 椿山ダムでも、昭和63年の完成後、10年間で約220万立方メートルの堆砂がありましたが、近年10年間では約110万立方メートルと堆砂の進行が半減している状況でございます。
 ダムでは、あらかじめ100年分の計画堆砂容量を確保しておりますが、椿山ダムの現状の堆砂率は約44%、二川ダム、七川ダムについては、それぞれ約66%、約49%となっております。このまま現在のペースで堆砂をすると仮定しても、椿山ダムではあと約50年間分、二川ダム、七川ダムでも、それぞれあと約40年間分、約120年間分の堆砂容量が残っていることになります。
 今後、堆砂の進行が遅くなってくることを考えますと、さらに長期間分の容量が残っていることになりますが、毎年の調査結果を踏まえまして、対策が必要となれば、その時点で対応してまいりたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 部長からは、椿山ダムについては44%だという数字も示されました。大したことないんだというふうなトーンで、最近は減ってきてるんだというふうな答弁であったかと思いますが、私は、この23~24年で既に44%もたまっているということは、かなりの数字だというふうに思っております。
 それで、あと残り何年間分という話もありましたが、古座川の堆砂容量が随分あるというふうに言ってましたけども、これにはわけがあるんです。古座川の七川ダムは、ダムの最上流部の堆積土砂を毎年少しずつですが取ってるんですね。だからこの間、ずっとふえてないんです。ところが、椿山ダムも二川ダムも、そういう堆積土砂を取るという仕事は一切まだしてないんです。ですから、どんどんどんどんふえていってる。そこに差が出ているというふうに思うんですね。
 ですから、これはそろそろ考えなけりゃいけない時期に来てるというふうに思いますし、毎年の調査結果を踏まえてというふうにおっしゃいましたが、ことしの今回の台風災害で山々の谷から大変な量の土砂が河川に流出しています。それがダムにどっと押し寄せてると考えます。ですから、この秋から冬にかけて各ダムで堆砂容量の調査が行われるはずですから、その最新の数字をしっかり踏まえて今後の対応をしていただくよう要望をしておきたいと思います。
 次に、二川ダムの常時放流施設の渇水放流への活用、これは治水から今度は利水への配慮について少しお伺いをしたいというふうに思っております。
 洪水前に予備放流で思い切って水位を下げようというふうにしたときに、もし雨量が予想を大幅に下回ってしまえば、その下げた水位がもとどおりに回復できずに、発電や水道、農業用水に迷惑を与えてしまうので、この判断がなかなか難しいんだという話がよく出てまいります。
 ダムというのは、歴史的には利水用に水をためる施設としてスタートをしたものですから、古い設計の多目的ダムなどは発電など利水への比重が大きくて、多くの水をため込めるように洪水調節の放流ゲートがもともとダムの上のほうにしかついてないという構造のものが多いんですね。ですから、新たにダムの下のほうに放流口を増設しようと、そういう改造をしているところもあるというのは先ほども紹介いたしました。
 二川ダムも、ゲートより下に活用できない水がたくさんためられたままになるという、そういう構造になっております。実は二川ダムには、発電用取水口や放流ゲートより下の水を使える条件があると私は考えています。それが常時放流用の取水口なんですね。
 二川ダムでは、発電所がダムよりも遠く離れた下流にあって、そのダム直下から発電所の放流口までは川に水が流れないという状態が続いておりました。ですから、悪臭を放つ干からびた川に水の流れを取り戻そうと、こういう地元の強い声にこたえて、県は河川環境改善対策として、少しずつですけども、常時放流をする施設がようやく実現したと、こういう経過を持っています。
 この常時放流のための取水管は、実は洪水放流ゲートより2.4メートルも低いところに穴をあけて設置してるんですね。これは、通常は活用できない水位の水を放流できる条件になると考えます。今、時代の求めに応じて治水能力を上げようとダムの運用水位や予備放流水位を下げていく、そんな工夫を進めていることとあわせて、この施設が小さな改造によって水位低下時の渇水放流施設の役割が少しでも果たせるようになれば、環境改善とともに、水道水や農業用水などの渇水対策として、利水に対するいざというときの効果が期待できると考え、提案するものですが、いかがでしょうか。県土整備部長の見解を求めます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 維持放流設備は、二川ダム直下から岩倉発電所の放流口までの約6.5キロメートルについて、洪水調節等でゲートから放流する場合を除いてダムからの放流がないことから、よどみによる水質の悪化等の改善を図るため、ダム水環境改善事業により平成9年度に整備されたものでございます。
 議員御提案のようにこの維持放流設備を渇水放流に活用するためには、取水位置の変更や取水口の拡大が必要となってきますので、コスト面等の課題があると考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 ちょっと能力的に難しいんだという趣旨の答弁であったかと思いますが、その能力を少し上げる工夫ができないか、ぜひ検討していただきたいと思っているんです。何しろ私たちの有田川では、渇水時にはポンプでダムの水を放流しようかということまで検討されたぐらいですから、きょう提案したことも含めて幅広い対策方法を検討していただくようにお願いをしておきたいと思います。
 次に、今度は切目川のダムと河川整備計画についてお伺いいたします。今度は、既設ダムではなくて計画中の県営ダムの話です。
 今回の豪雨を経験して、現在計画中の切目川ダムと河川整備計画はそのままで大丈夫なんですかと、こういう疑問の声があります。県として十分説明し、答えていくとともに、ダム建設予算が優先して河川整備が後回しにならないように、これはしっかりと留意すべきだと考えますが、県土整備部長、いかがでしょうか。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 台風12号による降雨量は、長期的な視点に立った河川整備の基本的な方針を定めた切目川水系河川整備基本方針の計画雨量を数ミリ上回る程度で、ほぼ同等でございました。
 現在、切目川水系河川整備計画に従いまして、切目川ダムは基本方針の水準で建設を進めております。また、長期間を要する河道の整備は、一定の効果が早期に発現できるよう、段階的な水準を設定しまして順次進めておるところでございます。今後、ダム建設とあわせて河道整備を進めることによりまして、洪水への安全性は向上していくことになりますが、整備の途中段階や計画規模を上回る洪水にはハード整備だけでは対応できませんので、洪水はんらんレベルに応じた浸水想定区域図の策定などもあわせまして、ハード・ソフト一体となった治水対策に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 それでは、次の、ダムの安全神話を克服し、河川整備の抜本的強化をという質問に移らせていただきます。ダムだけでは洪水を防ぐことはできないし、安全対策できないわけですね。
 ただし書き操作による危険性の周知をという点で、まず質問をさせていただきます。
 28水害を二度と起こさないために、こんなふうなスローガンのもとにダム事業が計画された私たちの流域、また県内各地の流域では、ダムの安全神話というべき、もうこんな立派なダムができたからあんな水害は起こらない、こういう意識が、行政にも、また住民にもあったのではないかと思います。計画を超過する洪水は必ず起こるし、洪水から命を守るための準備が日ごろから行われていたかが問われているんではないでしょうか。
 ダムが通常の洪水調節操作から、ただし書き操作と呼ばれている非常時の操作に切りかわるときには、先ほど知事からもありましたが、上流から入ってきた水をそのままダムで調整せずに流してしまうという非常モードになるんですが、これにスイッチが切りかわるときが、実は急激なゲート操作による雪崩とも津波とも思えるような衝撃波がダム下流を襲うことになります。日高川の椿山ダムは、洪水が右肩上がりに増加しているタイミングでこのただし書き操作に入らなければいけなかったという、洪水増加に追いつこうとゲートの放流量を一気にふやさざるを得なくなり、その激烈な例だったというふうに言えると思います。
 ところが、このダムが非常時操作に移行するときは重大事態なんだということが、平素から、そしてまた災害の起こるその瞬間ですら、地元自治体にも住民にも十分に伝わっていただろうかということを思うんですね。スピーカーからは「毎秒何トンまでの放流をします。水位の上昇に御注意ください」というような通常操作の延長線上と感じてしまうような放送しか流れませんでしたし、深夜、とうとう日高川町長みずからマイクを持って「町長の玉置です。避難してください」と叫んだ緊迫感ある対応が、町長が言ってるんやからほんまやなということで、ようやく住民の避難を本格化させ、命を救いました。
 ところが、これらがもっと夜の早い段階で、ただし書き放流にならざるを得ないとダムや県が判断した夜の7時や8時の段階で動けていたらと、こんなふうに思うんですね。
 最近では、全国的にもダムがただし書き操作に突入した年間の件数というのが以前の10年間分にも上っていると、そんなぐらいの頻度だと言われております。椿山ダムや二川ダムでは、建設以来、初めてこのただし書き操作に入ったというわけなんですけども、このことが、じゃあもうしばらく起こらないのかといえば、そうじゃなくて、いつ起きても不思議ではない近年の気象条件になっているわけなんです。日ごろできていないことはいざというときにはできないというのが本当に鉄則だと思います。
 県として、ただし書き操作の危険性の周知など、ダムの安全神話克服のために今後の対応はどう考えているか、県土整備部長より答弁を願います。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 県管理の多目的ダムでは、毎年、ダム管理事務所と市町との情報伝達も含めた洪水対応演習を実施しておりまして、椿山ダムでは、ことしも5月にただし書き操作も含めた演習を実施しております。
 また、台風12号の際、ダムへの流入量の増大に伴って、椿山ダム管理事務所では、日高川町への情報提供としまして、9月3日19時に、ただし書き操作に移行する可能性として、今後、ダムに貯留できなくなり、流入した量をそのまま放流する可能性があることについて説明し、注意を促しております。さらに、それ以降、毎正時に流入量と放流量を通知したところでございます。
 なお、河川の水位情報を常時公表しておりまして、日高川川原河水位観測所では2日23時40分に、高津尾水位観測所では3日2時10分に、町の避難準備情報発令の判断目安となるはんらん注意水位に達していることを示していたところでございます。
 今回の水害を踏まえまして、計画を上回る洪水などに対して、早目の警戒、避難が重要であることなど、これまで以上により一層の周知啓発に努めてまいりたいと思います。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 次に、堤防のかさ上げや強化と、流出、堆積した土砂の撤去、活用をという点で質問をさせていただきます。
 今回の大水害によって、行政も住民も河川整備の重要性を強く認識させられることになりました。県としては、堤防のかさ上げ、それからすぐにかさ上げできないとこはパラペットというようなものもつくる、そういう設置等に取り組むとともに、堤防を乗り越える洪水も最悪想定した場合、たとえ乗り越えても破堤という、もう堤が破れてしまう、決壊するという最悪の事態を避ける堤防強化が求められているんではないかと思うんですね。
 例えば地震対策では、建物の耐震補強事業というのが、地震で傾いたり、ひびが入ったり、ダメージは受けても、倒壊してぺちゃんこにだけはならないように補強に取り組んでいるということと、私は同じ考え方が実は水害対策でも必要じゃないかというふうに思うわけです。
 また、今回の豪雨により河川に流出した大量の土砂、また以前から堆積が進んでいたところの土砂、こういったものを復旧・復興事業の建設資材としても有効に活用しながら、積極的に活用しながら、河床の土砂撤去にこれまでにない姿勢で取り組むべきではないかと思いますが、県土整備部長の見解を求めます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 洪水が堤防を越流しないようにする対策としましては、引堤や堤防のかさ上げ等がございまして、各河川の特性に合う方法で今後とも実施してまいりたいと思います。
 土堤は洪水が堤防を越えると脆弱になる性質を有しておりまして、越流時の破堤を回避する工法はまだ確立されていないのが現状でありますことから、今後の国等の技術的な動向について注意してまいりたいと思います。
 次に、流出、堆積した土砂の撤去につきましては、議員御指摘のとおり、土砂の有効活用を図る方向で進めているところでございます。砂利の量でありますとか品質、運搬距離など、条件がよい河川につきまして、堆積土砂の撤去にあわせて資源の有効活用を行って、コストの縮減を図ってまいりたいと思っております。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 それでは最後に、台風災害の教訓を河川整備計画や避難計画に生かすという課題について、知事に質問をさせていただきます。
 県の管理している河川では、河川整備基本方針ですとか河川整備計画というものの策定に順次取り組んでこられました。既存の方針、計画も、また現在進行中で策定中のものも、今回の台風災害を踏まえて、その目標や計画というものに十分生かしていくべきではないでしょうか。
 また、計画はあくまで一定の基準に基づいた設定値であり、超過洪水は必ず起こることから、地震や津波の災害対策で議論されているのと同様に、浸水予想や避難計画に今回の大水害の教訓をしっかりと生かしていくべきだと考えます。知事の所見と今後の取り組みの決意をお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 知事。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 河川やダムの整備は、ある一定の洪水規模を対象に実施されておりまして、整備の途中段階や完成後であっても、それを上回る洪水に対しては対応に限界があります。東日本大震災や、あるいは今回の紀伊半島大水害は、まさしくそのことを改めて認識させられたと考えております。
 これまでも、河川改修や洪水ハザードマップ作成支援など、我々県といたしましても、ハード・ソフト一体となった治水対策に努めてきたところでありますけれども、やはり今から考えますと、ハードに頼り過ぎた面があるということは否めないと思います。
 今回、ハードといたしまして、特に被害の大きかった河川については、単純復旧じゃなくて改良復旧によって河川の流下能力を従前以上に向上させるとともに、県内のダムにつきましては、これは多分熊野川もそうだと思いますが、利水容量を活用して治水機能の向上を図るような工夫もしております。
 それでも、それを上回る洪水は起こるかもしれないと考えて、被害を最小限に抑えるための対策として、洪水はんらんレベルに応じた浸水想定区域図の作成とか、洪水予報河川とか、水位周知河川の指定拡大等のソフト対策、あるいはこういうものを全部踏まえまして、市町村当局とよく打ち合わせをして、あるいは住民にも周知して、トータルとして防災力の向上に努めなきゃいけないと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 知事の御答弁もいただきました。
 今回の質問は、私が初当選、初質問をした8年前から一貫して取り上げてきた美しく安全な有田川をと、そういう課題を胸に、ダム運用の改善と河川整備について質問をさせていただきました。
 ぜひ県民、地元住民と一緒になって、台風災害を経験した和歌山県として、災害対策、防災対策強化に取り組んでいただきますよう強く要望いたしまして、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 23番岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 まず、紀の川支川の浸水対策についてお尋ねいたします。
 台風12号の影響で紀の川が増水し、河川敷のグラウンドなど、大変大きな被害を受けました。特に、粉河にあります若もの広場では、この資料の1枚目の紀の川⑤、⑥と書いたところなんですが、全長約320メートル、そして一番広いとこで幅60メートル、高さで4メートルから5メートルと、それだけの部分が崩壊しまして、サッカーで使われるような多目的グラウンドが1面、それから野球グラウンド5面、ゲートボール用のグラウンド1面、これがすべて使用不可能となっております。国体では、ソフトボール会場にしようということで考えられてた場所であります。
 これは紀の川なんですが、ここだけでなくて、県管理の中小河川でも護岸が崩れ、土砂が堆積しております。
 紀の川市内には、県管理の中小河川や用水路等、紀の川の合流点に当たる樋門が43カ所あります。そのうち20カ所が水位が逆転して大変危険だということで、台風12号のときにはこの樋門を閉めなければならないようになりました。必然的にそこに注ぎ込む地域の中小河川、水路等はあふれ出します。地元の消防団の皆さんが昼夜を問わない排水作業を行ってくれましたが、必死の作業でもすべて排水できたわけでなく、あふれ返った水が住宅地に流れ、床上・床下浸水が起こりました。また、田畑は水没して道路は浸水、それから陥没等により通行どめという状態が起こりました。
 近年の台風の傾向は大型で、そして局地的な集中豪雨をもたらす傾向にあります。こういった状態をそのままにしておいてはいけない。台風や集中豪雨のたびに、これらの地域の住民の方々は不安な日々を送らなければなりません。私は、こうした地元住民の不安を一日でも早く解消し、安心で安全で暮らせるように、樋門での逆流など、これらの浸水対策をとるべきであると考えますが、どのような方法をお考えですか。県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 県土整備部長森 勝彦君。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 県におきましては、機動的に内水排除を行うため排水ポンプ車3台を順次導入する計画としておりまして、紀の川周辺には今年度1台、来年度以降1台配備する予定であり、広域的に運用を行ってまいります。
 また、国においても紀の川周辺に3台配備していることから、緊急的に排水が必要な状況が発生すれば協力を要請してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 この1枚目の写真の丸田川、貴志川合流地点付近という写真を見ていただいたら、ちょっと──もともとの写真があれば一番よかったんですが、比べられたのかなと思います。大体想像はつくと思うんですけども、今言われた排水ポンプの数でこんなもんすくえるわけがないんですよね。根本的な解決には全くなってないというふうに私は感じます。まだまだいろいろと考える余地があると思いますので、県の取り組めることをもっとしっかりと考えていただいて取り組んでいただきたいと思います。
 そして次に、紀の川の河川整備計画における治水対策についてお尋ねをいたします。
 明治29年の旧河川法制定以来、治水、利水を主な目的として進められてきた河川の整備は、我が国や地域の発展に大きな役割を果たしてきました。川や水に対する地域の人々のニーズも時代とともに変化しており、これらも的確に対応していくことが望まれるようになりました。
 このような背景を受けて、平成9年5月に河川法が改正され、法の目的にこれまでの治水、利水、それから河川環境の整備と保全が位置づけられました。また、河川整備の計画の改正と計画策定の手続が整備され、地域の意見を反映した河川整備の計画制度が導入されることになりました。
 現在、国において、紀の川水系河川整備計画の策定が進められていると聞いておりますが、今回の台風12号の被害を踏まえると、紀の川の治水対策は喫緊の課題であると考えますが、この河川整備計画において、今後の治水対策をどう考え、どう進めようとしているのか、県土整備部長にお尋ねいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 紀の川水系河川整備計画については、現在、国土交通省が原案を作成し、関係住民の皆さんから意見を伺っている段階であり、今後、住民の意見等を反映し、関係行政機関との協議を経て、河川整備計画が決定、公表される予定でございます。
 この河川整備計画の原案では、治水の課題として、岩出井堰などの狭窄部や堤防の未整備箇所で流下能力が不足していることが挙げられております。国においては、狭窄部の対策については、井堰の全面改築あるいは部分改築を下流から順次実施するとしています。また、堤防の未整備箇所については、上下流のバランスを考慮しながら整備を実施するため、測量調査及び用地取得に取り組んでいるところと聞いております。
 県としましては、これら治水課題の早期解消、治水効果の早期発現を引き続き国に求めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 和歌山河川国道事務所でもそういうことを言われてますけども、紀の川の現状として、岩出、藤崎、小田、これらの狭窄、それから6カ所の堤防未整備箇所、河道の土石堆積、これらが洪水の大きな原因になってるんではないかというふうに言われております。実際、紀の川市内にも無堤防地域というのがあります。資料の1枚目の紀の川⑦、20年ぐらい前からずっと言うてるらしいのになかなか進んでなくて、大雨のたびにこのミカン畑がえらい浸水して、県道までかかってくるという状態であります。
 これは畑ですけども、もちろんこの近くにも家屋が並んでおります。大変な被害をそのたびに受けてます。ですから、これらを早急に進めるように、一刻も早く整備をしていただけるように、県も国に対して要望していただきたいと思います。
 次に、河川の事業の予算確保についてお尋ねをいたします。
 紀の川、そしてまたその支川ですけども、見ておりますと、紀の川なんかは樹木や草が青々と生い茂りまして、余りにも緑豊かなため、ここは河川敷なのか、雑木林なのか、それとも川なのかと、わからないような状態であります。上流から流れてきた瓦れきや樹木や草が大量にはまって流れないような状況になっております。
 土砂の堆積が進みますと、河積縮小で、そのために台風や豪雨のたびに危険な場所がふえてきております。河川の土砂のしゅんせつ、樹木の伐採を今まで以上に進めていく必要があると考えます。
 ここ数年、地域の要望を聞くたびに、河川についての要望が非常に多く感じられております。しかしながら、その要望は、危険な状態でもなかなかこたえられないのであります。河川事業の予算が以前のピーク時に比べて大幅に減少していると、予算が十分に確保できてないので河川改修が進まないんではないのかと、そんな思いになります。しゅんせつ、伐木、堤防除草等の維持管理の予算も不足しております。地域の要望にこのままではこたえられていないのではないかなと思います。県土整備部長、お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長。
 〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 議員御指摘のとおり、河川事業の予算は平成10年度をピークに年々減少傾向にありましたが、近年の浸水被害を受け、ここ2年は連続して中小河川の整備のスピードアップを図り、平成22年度県当初予算は対前年比1.23倍、平成23年度県当初予算は同1.24倍を認めていただきました。平成22年度は、国の経済対策を受けて積極的に予算を追加し、最終的には当初比約1.4倍として推進しました。
 今後とも、近年浸水被害が多発している地域に重点配分し、選択と集中により事業進捗を図るとともに、中小河川の浸水対策の推進が図れるよう引き続き積極的に取り組んでまいります。
 しゅんせつ、除草等の維持管理の予算につきましては、平成21年、22年度と従前の2~3倍の予算を確保して対応し、地域からの要望にも一定程度おこたえできたのではないかと考えております。
 近年、たび重なる洪水被害も相まって、しゅんせつや樹木の伐採等の要望が引き続き多い状況でございますが、地元とよく相談しながら現地の状況を確認した上で、緊急性の高い箇所から実施してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 河川は地域住民に潤いや安らぎを与える場所でもあります。また、河川事業の担う最も重要な役割は、水害から県民の生命、財産を守ることであります。災害が起こってからではもう遅いんです。災害が起こりにくいように常日ごろから着実に河川整備を進める必要があると考えます。今後、十分な予算を確保していただきますようにお願いをいたします。
 次に、ため池対策についてお尋ねをいたします。
 私の自宅からすぐ近くに愛宕池という池があります。愛宕池は、昔からかんがい用の池として地域の果樹園等で利用されてきております。
 これも台風12号の影響で、資料の2枚目ですけども、大体見ていただいたらわかるかなと思うんですが、堤体の幅約50メートル、それから高さが20メートル、この堤体が決壊をしました。水を通す水路が整備されておったのですが、いろんなところから付近の水路と合流をしながら、大体標高133メートルの場所から紀の川沿いの県道和歌山橋本線を越えて紀の川へ流れ込んできました。約1キロ、土砂や瓦れきを巻き込みながら流れていきました。幸いけが人はいませんでしたが、民家2軒の5人の方が避難をされました。この決壊した堤体の上には市道がありまして、この一帯の柿畑につながる唯一の道であります。これはもう一日も早い復旧を望んでおります。
 これだけではなくて、ほかにもいろんな小さなため池が点在しておるんですが、あるため池では水位が上がって、池から注ぎ込んでる谷川の川幅が異常に膨らみまして、周りの土砂とか置いてあったバラスとかをのみ込みながら、近くの集会所、これ床上浸水になりまして、そしてその隣にある道、畑まで土砂がたまってしまいまして、大体深いところで2メートルぐらいの高さまで上がりまして、大変なため池の被害を受けております。
 このため池は、やっぱり決壊しますと、いわゆる山津波、土石流が起こり、一瞬のうちに家であったり、また田んぼ、畑、それから道路、これは大変な大きな影響、被害を受けていきます。
 近年でも平成20年の5月、以前にも質問させていただきましたが、紀北地方で記録的な豪雨に見舞われたことがありました。紀の川市の桃山町調月地区で2カ所の農業用ため池の堤防が崩れ、決壊するおそれがあるということで、65世帯に避難勧告が出されたことがありました。幸い、そのときのため池は決壊はしませんでしたが、堤防が崩壊すれば大変な被害が出ていたということはもう想像できました。
 ため池は、本来、農業用水、集落用水、また防火用水などを目的としたもので、危険な急傾斜地や集落、それから住宅地の上にも多く点在し、現在では、その役割を果たしているものもありますが、実際は大なり小なり活用してるものが大半で、地域にとってはなくてはならない施設であります。多くは江戸時代に、またそれ以前につくられたものもあります。老朽化している状態であります。それに、ため池の管理者が高齢化をしていること、それから減っていること、ため池の管理もままならぬ状態であるということをよく聞きます。
 これらを考えたときに、今後30年以内、東南海地震が60%から70%の確率で、また南海地震が50%の確率で発生すると言われています。また、東南海・南海地震の場合の予測では震度5強以上、また紀北に隣接する中央構造線による地震予測では、紀の川沿いの低地で液状化の危険度が高い上、震度6強から震度7というふうに予測されております。このような地震が起きたらどうなのかと。阪神・淡路大震災の淡路島や新潟中越地震、能登半島地震でも、ため池の決壊で大きな被害が出ております。
 これを考えると、和歌山県内のため池が5545カ所、紀の川市内でも786カ所あります。今回のような集中豪雨や地震などによってため池が決壊するのではないかという不安も感じております。
 現在、和歌山県は非常に危険度の高いため池から調査を行っていると。危険度の判定ができても、現在の予算と地元負担金、受益者負担金の問題があり、なかなか事業が進んでいないのが現状であると思います。地域住民の生命、財産を守るためにも早急な対策が必要だと思います。現状の取り組みと今後の対策について、農林水産部長にお尋ねいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長増谷行紀君。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 平成16年度から農業用ため池耐震診断を実施し、地域防災計画に位置づけられているため池など420カ所を目視で診断いたしました。その結果、220カ所を危険度が大きいと判定しております。また、平成17年度に農業用ため池緊急点検を実施いたしました。2ヘクタール以上の受益面積を持つため池1143カ所について点検を行い、72カ所で早急な整備が必要と判定いたしました。改修の必要の高いものを対象として、市町村から要望のあったため池について、要件の整ったものから計画的に改修を進めているところでございます。
 なお、平成16年度以降、20カ所で県営ため池整備を実施しております。県営ため池等整備事業では、国が50%、県が40%を負担し、残り10%を市町村を含む地元に負担をお願いしております。県費の率につきましては、地域の安全度を高めるため池整備を推進するため、農業農村整備事業の中では最も高い率となっております。
 また、ため池の安全性確保には日常の管理が極めて大事であるため、管理者にため池点検マニュアルを配付いたしました。また、さらに、ため池点検強化月間による地域住民への啓発活動を実施しているところでございます。
 このように、ソフト・ハード対策を総合的に行い、ため池に係る地域防災安全度の向上に取り組んでいるところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 今、部長が言われた平成16年度、農業用ため池の診断、420カ所をして危険度の高いため池が220カ所、それから平成17年度の点検では1143カ所を点検して、そのうち72カ所が早急な整備が必要と判断されるということです。それぞれ危険度の大きいため池220カ所、72カ所、早急な整備が必要と判断されておりますけども、それぞれの整備は完了していますか。お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ため池耐震診断で危険度が大きいと判定いたしました220カ所につきましては、17カ所で事業を実施いたしております。また、ため池緊急点検で早急な整備が必要と判定いたしました72カ所につきましては、うち3カ所で事業を実施しているところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 順調に進んでいるとは言いがたい、全く進んでいないというほうが表現しやすいかなと。予算の問題もいろいろとあるというのはわかっておるんですが、やはり危険なものをそのままにしておくというのは忍びない、何とか一日でも早く整備をしていただきたいと、そのように思います。とにかく、県民の皆さんが安心して生活できるように考えていただきたいと。
 そして、その診断、点検について見せていただいたんですけども、たくさんの項目をチェックしながら目視でその池を点検されるということなんです。今回の愛宕池の決壊については、堤体の外に豪雨なり、また道から流れ込む水なりで、それが原因で堤が決壊したということを聞いておりますけども、そのようなことは想定されて点検をされていたのか、農林水産部長、お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ため池緊急点検では、構造的危険度、周辺環境の危険度、あるいはため池が決壊した場合の影響度、立地条件等の各項目について判定しまして、総合的に危険度を決定しております。
 外部からの流入につきましては、周辺環境危険度の中の接続道路の項目におきまして、堤体に導水する勾配で接続として想定しております。
 ため池緊急点検におきまして、愛宕池は、堤体に導水する勾配で接続でございますので、周辺環境危険度におきましては最も危険ということになりますが、判定結果はほかの項目も加味いたしますので、その結果、整備の緊急性は低いということになっております。
 外側からの流入につきましては、危険度を示す指標の1つであることを改めて認識いたしまして、ため池点検マニュアルによる日常点検による確認の上、愛宕池の教訓は今後のため池整備の参考としてまいりたい、かように考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 今、部長が言われたように、私もその点検の書類を見せていただいたんです。そしたら、いろんな項目があって、ああ、これはもうチェックしていくのも大変だなと思うたんですが、この平成20年の桃山であったため池の決壊──決壊までいかなんだんですけども、それも今回の愛宕池も、堤体の外からの圧、水の流れだったり、雨だったり、これでこの2つのため池というのは危険な状態であったんだけども、点検のシートとか、そういうのを見ると、これはあんまり重きを置いてないんですよね、ほんまに。だから、今部長言われたとおり、この経験を──経験って、あんまりええ経験じゃないんですけども──加味していただいて、診断については慎重に行って判断をしていただきたい。
 愛宕池なんかまだ新しいですから、まさか決壊なんかという人が多かったと思うんですよ。だから、本当にそのチェックシートというのも大事なんだろうとは思いますけども、それ以上に今までの経験を十分に生かして診断、検査をしていただきたいと要望いたします。
 次に、ため池の地元負担金、受益者負担の軽減についてお尋ねをいたします。前の議会で平木議員からも質問があったと思うんですが、同様の質問になるかと思います。
 ため池の整備には、ため池等整備事業、それから地域ため池総合整備事業、農村災害対策整備事業がありますが、どの事業も地元負担金の割合が大きく、ため池改修には多額の事業費がかかります。そのため、地元負担金が高額になり、現実として住民に不安があってもため池改修ができないのが現状であると思います。ぜひ地元負担金、受益者負担金の軽減を検討していただきたいと思いますが、農林水産部長にお伺いいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ため池の整備は、いわゆるフル改修が基本でございますが、フル改修が困難な場合には、農業者や地域住民の方々等、地域の合意を踏まえまして、緊急放流施設や部分的な改修などの減災対策を行うため池等整備農地災害危機管理対策事業を活用するなど、いろいろな手法がございます。こうしたいろんな手法を使いまして地元負担の軽減を図るとともに、地域安全度の向上を目指してまいりたいと考えております。
 また、複数のため池が存在する地域では、ため池の統廃合、関連の用排水路の整備によりまして地域全体の安全度の向上を図る地域ため池総合整備事業という事業もございます。またこうした事業も活用して地域の負担軽減を図りながら、安全度の向上を目指してまいりたいと考えております。
 それから、9月議会で質問がございましたけれども、農地が減少しているというんですか、もう余り使われていないため池につきましては、必要に応じて水位を下げ、あるいは地域の安全度の向上を図るということで、水を抜くというんですか、そういうことの取り組みの検討も行っているところでございます。
 あと、減災対策を補完するため、現在検討中なんですけれども、平成24年度の新政策といたしまして、ため池の決壊被害から住民の生命と財産を守るために、浸水区域想定図を県で策定し、市町村によるため池ハザードマップの作成を支援するハザードマップ作成支援事業を新年度の事業として検討しているところでございます。
 このように、ため池対策といたしまして、フル改修だけではなく、減災対策、ソフト・ハードを組み合わせることで地元負担の軽減を図り、地域安全度の向上を目指してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 いろいろと対策をしていただいてる、これはもうよくわかりました。しかし、やはりまだまだ負担というのは大変大きいものがあります。余水ばけをちょっと広げて水を抜くとか、そういう対策をして、なるべくお金のかからないようにというのはもう十分わかっておるんですけども、やはりどうしても危険なものはしなければならないというたときに、やはりこの負担金というのがネックになって進まないという状況もあります。いろいろとこれからも対策を考えていただきたいと思います。
 次に、新規就農者支援策についてお尋ねをいたします。
 和歌山県は、黒潮のもたらす温暖な自然環境に恵まれまして、ミカン、桃、柿、ハッサク、キウイ、ブドウといった農業産出額で全国1位の果樹、それから野菜、花、稲作、畜産など、多様な農業が展開されております。このようなすばらしい本県農業が引き続き発展していくためには、農業を中心となって担う人材の確保と育成が極めて重要であると思います。
 しかしながら、農村における高齢化は加速度的に進んでおりまして、我が国の基幹的農業従事者の平均年齢が平成22年度で66.1歳と高齢化が進んでおります。とりわけ今まで本県の農業の近代化に第一線で取り組んで、維持発展さしてこられた昭和1けた生まれの方々は、既に70歳を超えております。地域農業を支え切れなくなっている状況ではないかなと思うときがあります。
 今後、地域農業がさらに弱体することは許されません。持続可能な力強い農業を実現するには、これからの地域農業のリーダーとなる人材の若い年齢層を厚くして、就農希望者や経営発展を目指す農業者等に対して、高度な経営力、それから地域リーダーとしての養成が必要不可欠だと認識しております。
 こうした現状で国は、食と農林漁業の再生実現会議における、我が国の食と農林漁業の再生のための中間提言というものがあります。新規就農者をふやし、将来の日本農業を支える人材を確保すると。毎年2万人の青年新規就農者が定着することを目標としていると。
 会社員など非農家の方が新規参入者として、野菜や果樹などに意欲的に取り組んでいる方が県内でふえていると聞いております。これは、みずからの努力や判断が収益に直結する、自然との触れ合いの中で労働する農業に魅力を感じるとのことですけども、私は、こうした意欲のある方々を少しでも農業に結びつけて、今後とも担い手の育成、農地の有効活用、農業生産の拡大、そして農商工連携などに積極的に取り組んで、まさに農業が農業として生きていけるような仕組みづくり、これが地域農業の活性化を図る上で重要であると考えます。
 県として、青年の就農意欲喚起と就農後の定着を図るためにどのような施策を行っていくのか。各地域の農業振興を考える上で大切なのは、生産者だけでなくて、消費者など多様な方々の意見を十分に反映した上で、地域の特性を最大限に生かし、重点的に取り組む事柄をしっかりと見定めることであると。地域の特性に合った県独自の支援の拡大について、農林水産部長にお尋ねいたします。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県では、農業大学校での学生教育や離転職者職業訓練を行う社会人課程、並びに御坊市の就農支援センターにおきまして、就農を希望される方々へ農業技術研修を実施しております。
 また、新規就農者の就農初期の経営と生活の安定を支援するため、県単独の新農業人あんしん自立支援事業におきまして、毎年3名の方に就農奨励金を支給、あるいは無利子の生活安定資金貸付貸与制度を設けております。また、農業公社によりまして、農地無償一時貸付等により、いろんな資金面での援助等、新規就農者への支援を行っているところでございます。和歌山で農業しませんかプロジェクトによりまして、ふるさと雇用活用事業と農の雇用事業を実施し、県内における新規就農者の確保にも努めてまいりました。
 こうしたことによりまして、平成20年度は、長期総合計画の目標である200名に近い約180名の新規就農者を確保というんですか、新規就農していただくことができました。
 これからも新規就農施策をより一層充実させて、地域の実情に合った仕組みづくりを新政策として計画しているところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 今、部長の答弁の中の最後にあった、地域の実情に合った新しい新政策を計画中ということがありましたけども、どのような政策ですか。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 議員お尋ねの新規就農支援の新政策につきましては、現在実施しております就農希望者の方々への研修をさらに充実させるということで、JA等の関係機関と協力いたしまして、実際にトレーニングファームとして農地を借り上げて、そこで1年間の研修を行っていただくという方向で、現在検討を進めてるところでございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 検討中ということなので、具体的な話を聞けないのが残念でありますけども、1年間に新規就農者が180名おられるということで、やっぱりこの新規就農者を育てていこうということなんだけども、さっき答弁をいただいた中で、県単事業ですね、新農業人あんしん自立支援事業ということで、定着するまでというか、就農支援金をいただけるということなんやけども、悲しいかな、180人就農するのに毎年3名しかもらえないというのも、もうちょっと枠を広げてもええんじゃないかなと。だから、今度の新政策については、もうちょっと多くを対象にして取り組んでいただきたいと、そんなふうに思います。
 次に、特定高性能農業機械導入の基準の見直しについてお尋ねをいたします。
 本県の地形上、小さな農地しか存在していないような地域がたくさんあります。このような地域では、物理的に小規模な農家で営農を行わざるを得ない。和歌山県では、平成17年9月に策定している特定高性能農業機械導入計画の基準に合わせて、国の補助事業では機械が導入できる規模の農家が限定されているという現状をかんがみて、今後、この基準を見直して、新規就農者のみならず、既に農業に従事されている方へも、地域の実情に応じて、きめ細かい担い手の確保、育成を支援していくべきであると。どうしていくのか、農林水産部長、お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 昭和28年に施行されました農業機械化促進法は、農業生産力の増進と農業経営の改善を図るために高性能農業機械の導入を促進することを定めた法律でございます。国が基本方針を定め、基本方針に基づき県が導入計画を策定することとなっております。
 特定高性能農業機械導入和歌山県計画につきましては、国が定めたトラクターやコンバイン等、農業機械の補助事業導入の際の下限面積を、議員御指摘のような状況から、和歌山県の地域の実情を加味して下限面積を下げるというふうな形で策定しております。園芸県である本県は、1戸当たりの農地面積が少ないことから、いろんな工夫をいたしまして、できるだけ低い面積を設定しているというのが実態でございます。
 しかし、この計画は樹立いたしましてから相当に年数が経過いたしましたし、また、新規就農のさらなる促進を図るという観点から、早急に下限面積の見直しに向けて国と協議を進めたいと、かように考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 早急に国と協議をされるとのことです。部長も言われましたとおり、この制度はかなり時間がもうたっておりますので、時代の流れに合っていないと思います。国の基準が和歌山県の農業の実情と全く合っていないと、そんなふうにも思います。協議は遅いぐらいに感じます。大至急取り組まれるように要望をいたします。
 次に、地域農業リーダー育成についてお尋ねをいたします。
 今後の地域農業のリーダーとなる人材の層を厚くするため、就農希望者や経営発展を目指す農業者等に対して、高度な経営力、地域リーダーとしての人間力等を養成し、自主性、主体性を持って経営管理能力の熟成が必要だと考えます。これらを実現するために、農業大学校の教育にとどまらず、他分野との連携による農業の可能性を発展させることが重要だと考えます。
 例えば、農業と福祉、農業と教育、農業と観光など、あらゆる分野と連携して、地域を支える新たな活動を促進していくべきであると思います。県としての見解を、農林水産部長、お答えください。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長。
 〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農産物の流通が、量販店やインターネットによる通信販売に加え、加工品や輸入品の増加など、複雑多様化している中で、国際競争力のあるたくましい産業として農業を発展させていくためには、生産技術の向上だけではなく、農家個々が販売、加工をも視野に入れて経営能力を向上させ、もうかる農業を展開することが重要であると考えております。
 加えまして、農業を中心とした個性豊かで活力ある地域づくりを推進するために、農林業と食品産業など、地域の得意分野を生かした産業育成の推進や、都市と農村との交流による農家民泊、体験教育旅行などの観光との連携、また、学校での食育や給食での地産地消などの推進が一層必要であると考えております。
 そのため、さまざまな販売戦略に伴う商工業者との協力体制の構築や、新農林水産業戦略プロジェクト、あるいは農商工連携ファンドを活用した6次産業化の推進による経営基盤の強化等、他産業との連携拡大を推進、実施しているところでございます。それとともに、若手を中心とした4Hクラブや、県下で約1000名いらっしゃる農業士などの中核的農家に対しまして、経営や異業種交流などの各種研修を積極的に行い、地域リーダーの育成に努めているところでございます。
 今後とも、農業と他産業との連携、交流を通じて、農家個々の経営基盤の強化と地域農業のリーダー育成に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕
○岸本 健君 ありがとうございます。
 農家個々の技術をその地域の技術として確立させること、そして、その地域のブランド力を構成して農業所得を向上と、新規就農者に対して支援をしていただいて、リーダーを育成していただきたいと思います。リーダーが育つことということは、持続的な農業の発展に必ずつながる、それは地域の発展につながる、そして和歌山県の発展に必ずつながる、そのように考えております。
 今後も、国の基準とか、そういうのにとらわれず、県独自でも新規就農の支援策についてしっかりと取り組んでいただきたいと要望いたしまして、私の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) 以上で、岸本健君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
 午後2時41分散会

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