平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


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正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 このたびの台風12号災害により亡くなられた方々の御冥福と、行方不明の方々の一刻も早い発見をお祈り申し上げますとともに、被災されました皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 被害の大きさに加え、次は東南海・南海地震と思っていただけに、大変驚きました。
 同時に、我が国は四季があり、風光明媚で海洋資源に恵まれたすばらしい国でありますが、地震、津波、台風など、災害列島と言われる厳しい条件下で私たち国民はこの列島で生きていく限り、みんな協力し合って暮らしていかなければならない運命にあることを再認識した次第であります。
 自民党では、4日早朝に県連に対策本部を設置すると同時に、国会議員や県会議員が被災地に入り、被害の状況を見聞してまいりました。10、11の両日には谷垣総裁が来県し、知事や市町長、県民から被害状況の説明を受け、御意見や御要望を聞かしていただくとともに、紀南各地の被災現場を視察しました。
 谷垣総裁からは、激甚災害の早期の指定や復旧・復興の予算確保に自民党が努力することをお約束さしていただきました。また、視察時に国道沿いの線路がさびていることからJR紀勢線の運休状況が議論になり、二階俊博元運輸大臣がその場からJRに早期復旧を要請するという場面もありました。
 その後、異例の早さで激甚災害の本激の指定を受け、JRの復旧見込みも明らかになるなど、日に日に復旧が進んでいます。
 今回の災害では、知事初め県職員、県警の皆さんが前日から役所に詰め、夜を徹して警戒し、被害が出た4日早朝から応急対策に尽力され、不眠不休の活動をしてくれています。危機管理局の皆さんは、東日本大震災以来、休みもないと聞いています。職務ではありますが、皆さんが頑張ってくれていることを大変心強く思います。本日も台風襲来で大変だと思いますが、どうか今後とも交代をしながら頑張っていただくことをお願いしておきます。
 また、自衛隊、国土交通省など国の機関、全国の自治体、西日本高速道路会社初め、多くの企業、団体から支援が寄せられました。ボランティアの皆さんも、連日、大勢被災地入りしていただいております。
 被災地では、市町長初め、職員、議員、消防職員・団員に頑張っていただいております。そして、何といっても被災された県民自身が、気丈夫に住居や事業所の後片づけに取り組んでおられます。一刻も早い生活再建、事業再開へ向けて本当に頑張ってくれております。この県民の皆さんの頑張りを見たとき、私たちは何としてもお役に立たねばと思うとともに、9月4日、防災訓練の日に本当に発生した災害をこれこそ教訓に、次なる災害に備えたいと思います。
 さて、私は、今回の災害を現地で視察し、県民から御意見を伺って改めて思うことは、転ばぬ先のつえとも言うべき防災対策の大切さ、とりわけまちを守った日高川の堤防や、県民の命を救った那智川の砂防ダム、復旧・復興に役立つ那智勝浦道路や国道42号など、多くの公共インフラを見たとき、改めて公共事業の大切さを認識するものであります。
 公共事業を悪者扱いし、「コンクリートから人へ」などと甘言を弄し政権を獲得した民主党や吹聴したマスコミは、この事態をどう説明するのでしょうか。安全保障や国土保全なくして経済成長、国民生活は成立しません。私たちは、今こそ政権再交代を目指して頑張らねばと強く思うものであります。
 そこで、和歌山県では、流言飛語に惑わされずに、これまで知事を先頭に公共事業の必要性を堂々と主張してきましたが、今回の災害で果たした公共事業の評価と今後の取り組みについて知事のお考えを伺います。
 今回の災害では、崩壊しなかったものの、いつ崩壊してもおかしくない危険箇所が多数あると聞きました。今後予想される東南海・南海地震では、さらに大きな危機が待ち構えております。県政の責任者である知事の心構えを伺うものであります。
○議長(新島 雄君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 台風12号の影響で県南部を中心に激しい降雨に見舞われ、河川のはんらんや土砂災害等により多くのとうとい人命や財産が失われ、県民生活や経済活動に多大な被害を及ぼしたと、中村議員がおっしゃるとおりであります。
 こうした状況の中でも、例えば砂防堰堤については、多くの箇所で土石流から人家を守ることができました。また、日高川下流部の堤防についても、最近直したばかりなんですが、越水することなく、流域の人命や財産を守りました。
 それから、熊野川の新宮市を守っている大きな堤防なんですけども、実は明治のときは破壊されましたけども、今回は実は越流したんですけども、何とか破壊は免れました。したがって、新宮の市街地は床上浸水はしたんですけども、幸いなことに濁流が一気に押し寄せるというようなことはありませんでした。
 流域のこのような人命や財産を守ったことなど、これまで整備を進めてきた公共インフラが大きな役割を果たしたものと評価しております。
 それから、ネットワークという点については、国道42号線が特に津波に弱いということがわかっておりますので、それを補完するものとして、X軸のネットワークとか、これから川筋のネットワークとか、そういうものをつくっていこうとしておりましたが、そのX軸のネットワークが随所で実はえらい被害を受けております。また、42号は、今回津波はなかったんですが、それでも越波や路面冠水によりしばらく使えなかったということも明らかでありました。
 その中にあって、阪和自動車道や那智勝浦新宮道路などの高速道路はほぼ健全に機能いたしておりまして、被災地への救助・救援活動を支えたことから、改めて高速道路の有用性は認識したところであります。政府の方も大勢見えましたけれども、そういうことを申し上げたら、そのとおりだというふうに言うておられました。
 このため、今後も、こうした台風や洪水による災害だけでなくて、東海・東南海・南海地震などの大規模地震や津波被害に備えるため、近畿自動車道紀勢線のミッシングリンクの解消、すなわち一周高速道路をつくっておく、あるいは土石流対策や河川整備など災害に強い県土づくりに不可欠なインフラの整備は、これはきちんとやっていかないかんということで考えておりまして、要望もしてるところであります。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、避難指示・勧告について伺いたいと思います。
 多くの地域では避難指示や勧告が発令され、住民がいち早く避難したことが報告されております。例えば日高川町では、緊急放流に際しては、深夜2時に町長みずからが防災無線のマイクを握り、町民に避難を呼びかけたそうであります。しかし一方では、特に被害の大きかった地区では、避難指示や避難勧告がなかったため逃げおくれたとの報道があります。
 果たして、県内では避難指示や勧告は的確に発令されたのでしょうか。知事にお願いします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県としては、市町村に対して、例えば雨量とか河川とか、それがどのぐらいの水位に来てますよというようなことで具体的な数値を設定したり、あるいは過去の降雨量を計算して地域的に危険な地域へそういうものの情報を差し上げたり、あるいは雨量計とか水位計とかのリアルな情報、そういうものを共有したりして、市町村の避難に対する勧告とか指示とか、そういうことが遺漏なきを期するように側面から援助しているところでございます。
 今回の点について、結果から、避難勧告が出てなかったじゃないかとか、そういうことを言う動きもあるようですけれども、それは詳細をそれぞれ調べてみないとわかりませんけれども、私の印象を申し上げますと、例えば先ほどの危険箇所でいうと、もう全県が真っ赤になっていました。そうすると、全員避難と、どこへというようなところもあります。それから、通常は大体雨はこのぐらいというふうに考えておられたと思いますけども、それが最後の最後まで物すごい降りました。
 ということで、避難指示がどうだったかということを私は言い得る立場にありません。
 しかし、これからはそういう経験を生かして、さらによりよい行動ができるように考えていくということもまた大事だろうと考えておりまして、我々、さらに改良できる点はないかどうかとか、あるいは、国においてもそういうことは考えていただいているようでございますから、その情報をちゃんと市町村に伝えるとか、できるだけのことはしてまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 丁寧な答弁をしていただいて恐縮でございますが、あんまり時間がないので、簡潔にどうぞよろしくお願いします。
 3番目に、緊急放流について伺います。
 大雨により県内のダムには計画洪水量以上の水量が流入し、緊急放流が行われました。特に熊野川や日高川では、ピーク時、毎秒約1万8000トン、約4000トンの放流が行われ、中下流域で甚大な被害が発生したことから、「洪水は人災ではないか」との声があります。また、「あらかじめ大雨が予想されたのに、何でダムを空にしておいてくれなかったのか」という指摘もあります。
 果たして、ダムの放流は適切に行われたのでしょうか。県土整備部長に伺います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 大型で強い台風12号は、紀伊半島を中心に広い範囲で総雨量1000ミリを超える大雨をもたらしました。県が設置しております椿山ダムなど4つの多目的ダムでは、事前に放流を行い、洪水調節容量の確保に努めました。次第に雨が強まる中、下流部を洪水被害から守るため、洪水調節を実施したところでございます。
 ふえ続ける洪水流をダムで調節したものの、強い雨は長時間降り続き、椿山ダム、七川ダム及び二川ダムでは計画規模以上の洪水流入となり、ダムの貯水位が満水付近に達したところでございます。その状態においても放流量をコントロールしながら下流でのはんらん発生をぎりぎりまで抑えるなど、可能な限りの洪水調節機能を発揮しました。
 しかしながら、計画規模以上の大雨に対しましては、ダムや堤防等のハード整備だけでは限界があり、これまでも避難に役立つ情報提供等のソフト対策も進めてきたところでございます。
 以上のように最善を尽くしたところでございますが、今回のような記録的な大雨に今後見舞われた場合にどのような対応をしていくか検討してまいります。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 4番目に、今回、椿山ダムでは昭和63年の竣工後初めての、また七川ダムではことしになって既に2回目のただし書き操作が行われました。一般的に、頻繁にただし書き操作が行われる場合は河川整備の計画を見直すことが必要と考えられます。
 また、今回私も初めて知りましたが、あの大きい熊野川が1級河川でありながら、国土交通省が所管するのは下流5キロメートルだけで、日本有数の豪雨地帯を流域に持ち、3県を流れるのに、上中流域は各県で管理しています。
 最近、八ッ場ダムの洪水調整機能の有効性が改めて認められ、工事が再開されるようですが、熊野川流域には洪水調整ダムが1つもないのは大変不思議であります。
 この機会に県内の河川について、河川整備の計画の総点検が必要と考えますが、県土整備部長の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 熊野川におきましては、台風12号の記録的な大雨によりまして、現在の計画高水流量を上回る洪水が流下したと推測されます。今後の河川整備に先立ちまして基本的な方針から考え直す必要がありますことから、国に対しまして、台風12号洪水規模以上の対応となるよう、熊野川の河川整備基本方針の見直しを要望しております。
 県管理河川については、まず主要な河川におきまして、台風12号の大雨の規模を評価する予定でございます。その上で、ハード整備として対応するもの、またソフト対策で対応するものを整理し、必要に応じて河川整備基本方針や河川整備計画に反映してまいります。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 5番目は、農地災害について伺います。
 今回の災害では、農林水産業全般に被害が及びました。特に高齢化が進む紀南の中山間地では、ただでさえも耕作放棄地が広がっているだけに、今回の被災で耕作放棄が加速されるのではないかと心配されます。
 幸い、激甚災害に指定されたことで負担率は軽減されますが、この際、農地の公益的価値を評価して林地同様に負担金免除とできないか、農林水産部長のお考えを伺います。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農地・農業用施設の災害復旧は、国が復旧に係る経費の一部を負担することとなっており、農家からの申請に基づき、被災農家の1戸当たり復旧事業費に応じてきめ細かい補助の増額がございます。
 さらに、激甚指定されますと補助がかさ上げされますので、最近の事例では、農地流出や畦畔崩壊など農地災害では89ないし97%、ため池、頭首工、水路など農業用施設の災害では94ないし98%と、非常に高率の国庫補助が期待できる状況にございます。
 議員御指摘のように、農地は、国土保全機能等多面的機能を有しており、公益的な機能価値に着目して、県では、復旧された農地等が適正に維持できるよう中山間地域等直接支払制度や農地・水保全管理支払制度で支援しているところでございます。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 6番目は要望でございます。
 9月4日早朝から、私は御坊市、日高川町を視察し、大変なことが起こったことを悟りました。また、谷垣総裁に同行し、被害の大きさを実感いたしました。
 しかし、既にどの現場にも必ず重機が入り、けたたましいエンジン音を響かせながら土砂や瓦れきを撤去する人たちの姿を見ました。また、ほこりまみれになりながら交通整理するガードマンがいました。県と災害協定を結んでいる業界団体の会員企業の皆さんであります。彼らは4日早朝から危険箇所に分け入り、命がけで頑張ってくれております。おかげで、現在急ピッチで復旧が進んでおります。
 今回の台風が残したつめ跡は大変大きく、一刻も早い復興が望まれますが、前提条件は、道路初め公共インフラやライフラインの本格復旧であります。ぜひ県当局におかれては、早期着工、早期供用できるよう弾力的な事務をお願いしておきます。
 また、被災地の地域振興のためにも、可能な限り現場の事情を熟知した地元企業が受注できるよう配慮していただくことも、あわせて要望しておきます。
 次に、大きい2番目に移りたいと思います。
 防災対策について、2点伺います。
 まず、潜在看護師を災害医療員にできないかという提案です。
 今回の台風災害では、被災地に大勢の医療スタッフが派遣され、不足するマンパワーを補い、地域医療を支え続けたと聞きます。
 災害時には、数1000、数万という単位の傷病者が同時に発生し、被災を免れた医療施設に集中するため、廊下や玄関、駐車場までテントを張って治療が行われます。しかし、緊急患者と入院患者を同時に治療することはなかなか困難で、病院船の建造や、災害拠点病院付近には、ふだんは別の目的に使い、災害時には医療センターに衣がえできる体育館のような施設が必要だと考えております。
 しかしながら、そういう医療施設に収容される人はまだ幸運で、被災現場で亡くなるとか、重症化して担ぎ込まれる人も多くおられると予想します。
 そこで、私は、以前、一般質問で、災害特有の傷病に限り、講習を受けたらだれでも応急対策ができる資格の創設を提案したことがあります。しかし、もっと現実的な方法として、潜在看護師を災害医療員にする制度を提案します。
 私も知りませんでしたが、看護師は、国家資格のため当然名簿は管理されているものと思っておりましたが、実は免許は更新しないため、一部しかわからないそうであります。医師も同様で、そのためににせ医者なども出現するわけであります。
 しかし、元看護師という人は結構身近なところにおられて、私の近所にも、農家の奥さんで、元看護師で小学校の養護教諭だった方がおられます。この人たちに、医療の最前線に立てとは言えませんが、災害時あちこちで大量に発生する傷病者の応急処置をお願いすることは、災害医療を考えるとき、大変有効であると考えます。
 また、登録をお願いすることでインセンティブとなり、さらに社会的活動を期待することができるのではないかと思いますが、知事の所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御提案の潜在看護師を活用した地域での災害時の取り組みということでございますが、災害時の近隣住民の医療救護活動、健康管理のみならず、うまくいけば平常時における看護師不足にも役に立つんじゃないかなというふうに思います。
 そういうことで、こういう登録をお願いするようなやり方で、潜在看護師の掘り起こしにつながるものと考えて検討してまいりたい、このように思っております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、建設残土の有効活用について伺います。
 東日本大震災では、仙台東部道路が津波の衝撃を吸収し、付近住民の避難場所になったことで、盛り土工法が見直されつつあります。また、多島海の松島では、浸水したものの、被害は極めて少なかったそうであります。初代県議会議長で「稲むらの火」のモデルになった濱口梧陵翁の堤防も、実は盛り土であります。また、今回の災害でも、日高川など盛り土堤防は、激流からまちや農地を守ってくれました。
 盛り土は、施工や管理が容易で、津波や洪水のような巨大な圧力に耐え得るすばらしい工法です。万が一越流しても、最初の衝撃を緩和する減災効果があります。
 このような盛り土工法にいち早く注目し、御坊市では、和高専の小池准教授を座長に、建設業組合が津波防波堤研究会を立ち上げました。研究会では、防潮堤だけではなく、陸上防潮堤、学校運動場のかさ上げ、公園に避難小山を設置することなどを目的に、建設方法やコストの研究を始めました。
 現在、多くの公共事業では、建設残土やコンクリート殻が発生し、処理に多額の費用をかけております。この事例のように、建設残土の有効利用は大変重要と考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御提案の土砂あるいは瓦れき、そういうものの有効な利用については非常に有意義なことと考えております。
 実は那智勝浦町では、那智川の河川の整備、これは本格的にやり直して、多分ちょっと幅を広げないけない、随分掘り下げないけない、大きな岩がごろごろあるのを片づけないといけないと。たくさんの瓦れきや土砂が出てまいります。これをどこへ持っていくかという議論があって、那智勝浦町長と相談をして、高台をつくろうと。これによってもう1つの機宜である、例えば津波にも強い地域というのを部分的にでもつくっていけばいいというようなことをいろいろ考えて、今後やっていきたいと思っております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大きい3番目は、紀の国森づくり税について伺います。
 紀の国森づくり税は、平成17年12月定例会におきまして、自由民主党県議団が中心になって、1年余の研究期間を経て上程いたしました和歌山県議会初の政策条例であります。6年前の今ごろは条例案提出に向けて準備中でしたが、当時、県議団の政調会長として、条例案づくりや県内各種団体などの御意見を伺うなどの作業に携わりました。
 予想に反して県内自治体、団体、また議会内からも反対する声が寄せられる中、和歌山の森林を守りたいという一心で取り組んだことを懐かしく思うと同時に、議案の提案や答弁など、議員ではめったにできない大変貴重な経験をさしていただきました。
 条例は、周知期間にゆとりを持って平成19年4月1日に施行され、早いもので来年には期限が切れます。生んだ責任者の1人として4年余り注意深く見守ってきましたが、私の印象では、税そのものは認知され、特に自民党県議団から提案した花粉症の研究や森林環境の重要性の普及啓発など、大いに効果を上げたと思っております。
 果たして実際はどうだったのか、紀の国森づくり税の効果や実績について知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本件に関します中村議員を初め関係者の御努力に、本当に深く感謝をしたいと思っております。
 紀の国森づくり税については、そのすべてを基金に造成した上で、4年間で県民提案事業等228件、これを採択しております。約5万人の県民参加を得て、都市部における森林整備、あるいは荒廃森林の間伐や植樹活動、市町村民の森の造成、花粉症に関する調査及び小中学生を対象とした緑の教育や啓発活動、さらには保全すべき貴重な森林約400ヘクタールの公有林化などを実施いたしました。
 県民の納税とこれらの活動を通じて、「県民が知る、理解する、参画する」という紀の国森づくり税条例の基本理念が浸透し、森林の役割と保全・活用の重要性が県民に理解されたものと認識しております。
 さらには、県民の総参加の新たな形で開催された全国植樹祭を通して醸成された県民皆が身近な緑とふるさとの森を大切にする機運のなお一層の盛り上がりを次世代に継承していく必要があると考えております。
 このため、全国植樹祭を契機とした新たな条例を制定することとあわせ、間伐等も含めた森林の育成・保全や活用等の一層の推進を図るため、紀の国森づくり税条例の延長をお願いしたく、次期議会に向け、現在作業を進めているところでございます。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大きな4番目になります。
 自民党県議団並びに自民党県連政調会では、先般、県内各種団体を訪問し、役員や事務局の方々から御意見や御要望を承ってきました。一刻も早い政権再交代を望む声から県政に関する要望まで、多数拝聴することができました。
 そのうち、県議会から意見書として提出すべきものにつきましては、今議会に自民党から提案さしていただくことにしております。また、知事にただすべきものについては、以下の5点でありますので、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、緊急雇用対策の継続と充実について伺います。
 リーマンショック以来の不況に加えて、震災、円高といい材料がない中、本県の有効求人倍率が近畿でトップというのがせめてもの救いであります。
 県では、平成21年度以来、緊急雇用対策として、ふるさと雇用再生特別基金と緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用した事業を行ってまいりました。本年度が最終となりますが、特に緊急雇用創出事業については、県内経済団体を中心に継続を求める意見があります。ぜひとも継続の上、中身も充実していただきたいと思いますが、御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 緊急雇用創出事業、これは平成23年度が基本的に最終年度となっております。しかし、一部、平成24年度にまたがる事業や、平成23年度事業のうち諸事情により執行できなかった残額については、上限があるものの、平成24年度においても執行が可能となっております。
 また、今回の国の第3次補正において、厚生労働省が緊急雇用創出事業臨時特例交付金の拡充・延長を要求しておりまして、県としてはこの動向を見きわめながら、当県への配分に当たって十分確保できるように要望するとともに、事業内容についても充実したものになるよう努めてまいりたいと考えております。
 これは、基金をいただきまして、基金が切れてしまうということで、それをそっくり残すべきだと。できれば雇用のためにはいいんですけれども、緊急に国がぼんと基金をくれて「やれ」と言っていたのを「もうあげない」と言ったときに、県がそのまま残すべきかどうか、これはほかの雇用対策との関係で、本当はそれでよかったかどうか、そういうことは検証しなきゃいけませんので、全部肩がわりするというのはおかしいと思います。
 ただ、その中で、基金があろうとなかろうと、本来県がやるべきであったんじゃないかというような別の目的がきちんと証明されるものについては、これから精査をして、別途の政策としてやるべきかどうか検討してまいりたいと思います。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、小規模事業経営支援事業費補助金の継続について伺います。
 中小零細企業の比率が極めて高い本県では、マーケティングから納税記帳まで広く経営支援を行っているのが商工会議所や商工会の経営指導員であります。商工会議所や商工会は会費収入や行政からの補助金で運営されていますが、会員の減少や補助金の削減の影響で大変な苦境にあります。
 農協のように自営事業を行わない経営団体にとりまして、小規模事業経営支援事業費補助金、すなわち経営指導員を雇用する補助金は命綱であります。ぜひ継続をお願い申し上げますが、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 小規模事業経営支援事業費補助金は、県内小規模事業者の経営の安定と振興等を図るために、商工会や商工会議所が行う経営指導、金融相談等の活動に対して助成をするものであります。
 このたびの台風被害のあった地域においても、現に商工会等の経営指導員が被災した小規模事業者に対して、いち早く融資情報の提供とか、あるいは経営相談等に対応してくれておりまして、地域経済の復興に取り組んでいただいているところであります。
 このように地域に密着した商工会等の活動を支援する当補助金につきましては、私は次年度以降も引き続き継続したいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目に、認定看護管理者の設置について伺います。
 看護師は、医療の最前線から介護、教育、行政まで、幅広く活躍しております。その看護職を取り巻く諸事情を十分行政に反映させるめ、ぜひ県においても認定看護管理者の設置を希望する次第であります。
 認定看護管理者とは、患者や地域住民に質の高い組織的看護サービスを提供するための責任者として日本看護協会が育成、認定している制度でありますが、認定看護管理者の設置について知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 認定看護管理者については、日本看護協会の認定制度でありまして、一定の実務経験の後、研修を受け、認められるものであります。
 県の看護行政を推進していく上で、医療機関等で勤務する看護師の方々が抱える現場の課題を把握することが必要だと考えております。そのため、日ごろから県と看護協会等との関係団体と連携をとり、課題解決に向けての情報交換を行っているところでありますが、今後、関係団体との協議、連携をさらに密接に行って情報交換・共有に努めるけれども、議員の御提案についても、その中で1つの選択肢として考えていきたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 4番目に、医大保健看護学部への教育カリキュラム導入について伺います。
 中紀地方、とりわけ日高地方の看護師不足の抜本的解決策として日高病院に看護師養成所を設置することに知事から深い御理解と力強い御支援をいただいておりますことに、この場をおかりしてお礼を申し上げます。
 おかげさまで開設に向けて順調に進んでおりますが、全国の看護師養成所共通の悩みでありますが──したがって本県でも同様であります──専任教員の確保に大変苦労しております。
 その主な理由として、医療現場から専任教員に移れば給料が減少するというようなことが言われておりますが、公立学校の教員採用試験ではどの科目も高い倍率になるのに、高校看護学科には、2人募集しても1人しか応募がないと聞きました。人に物を教える聖職とまで言われる仕事が、給料が下がるので集まらないとはとても思えません。それよりも教員養成のあり方に問題があると考えます。
 看護師養成でさえ十分でない中、その川上の専任教員養成はさらに困難であります。看護専任教員そのものの社会的認知が進み、養成する機関が整えば、そう難しい問題ではないと思います。
 幸い、本県では平成24年度において専任教員養成講習を開催する予定と伺っており、日高の開校に間に合うものと大いに期待しているところであります。
 しかし、本来は県立医科大学保健看護学部のような常設の学校において定期的に少数でも養成されるべきであると考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在、看護師養成所の専任教員の確保は困難な状況ということにつきましては、議員御指摘のとおりであります。
 新しく看護師を養成するにもまず教員の確保が大事ということで、看護師養成所の専任教員になる要件を充たすためには、大学での教育課程の4単位の取得と3年の臨床での実務経験が必要となります。
 この大学での教育課程の4単位の取得ということなんですが、県立医科大学の保健看護学部では、新たに教育心理、教育法等の教育に関するカリキュラムを導入することとなり、文部科学省との協議も、これをやろうとすれば必要となってくるわけであります。
 今後は県立医科大学との協議を行い、ぜひそういうことができるように努力をしてまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 貧乏な和歌山県が苦労してでも県立医科大学を持ってる理由は、負担できる範囲で負担をしても県民の役に立ってほしいという、そういう思いがあるわけでございまして、ぜひ看護学部に看護学校の先生の養成コースをおつくりいただくようお願いをしておきたいと思います。
 最後に、医薬分業について伺います。
 医薬分業は、昔、西洋では、国王などが陰謀に加担する医師によって毒殺されることを防ぐために、病気を診察する医師と薬を管理する薬剤師を分けていたことに由来するそうです。
 今日では、医師と薬剤師の役割を分けることで過剰投薬等を抑制し、二重チェック、薬歴による不適切な薬を排除することができるなど、世界共通の政策となりました。
 我が国でも、戦後、GHQの指令により薬剤師法や薬事法が改正され、政府は医師らによる調剤を禁止して完全な医薬分業へ移行しようとしましたが、既得権の要求により、調剤については、医師らが「特別の理由があり、自己の処方箋により自らするときを除き」というただし書きが追加され、昭和50年代後半までは事実上骨抜きになっていました。
 しかし、その後、薬漬け医療が蔓延したことで、国では薬で利益が出ない仕組みに変更すると同時に、院外処方せん発行の報酬を高くして医薬分業を推進しました。その結果、日本でも医薬分業が進展してきましたが、いまだ道半ばであります。
 本県では、平成12年10月に県立医科大学附属病院が処方せんを全面発行し、医薬分業を推進してきました。ようやく分業率は40%まできましたが、全国平均63.1%に比べればまだまだであります。
 医師から薬剤師への利益のつけかえで終わることなく真に県民の利益となるよう、さらなる取り組みを期待するものでありますが、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 医薬分業は、薬剤師が医師と独立した立場から処方せんをチェックし、薬の重複投薬の防止、薬に関する十分な説明、薬の使用歴が医師が異なっていても管理されると、そういうことなど、薬物療法の有効性、安全性を高め、医療の質を向上させる効果があると思います。
 本県の現状は、御指摘のように、従来から医療機関に対して医薬分業の推進を図ってきましたけれども、全国的に見るとまだ低いということであります。
 県としては、より安全で質の高い医療を確保する観点から医薬分業の普及は望ましいと考えておりまして、今後さらに院外処方せんを発行していない公的病院を中心に働きかけるとともに、各地域の実情を踏まえながら、民間の病院、診療所等にも働きかけていくことにしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 なお、議案第120号は職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。議案第118号から議案第120号までを本日の日程に追加し、これより直ちに一括して議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 議案第118号から議案第120号までを一括して議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました諸議案について、御説明申し上げます。
 まず、補正予算でございます。
 このたびの台風12号により、県内各地で発生した甚大な被害に対応するため、議案第118号は一般会計で総額672億7200万円余の増額を、議案第119号は特別会計で総額7300万円の増額をお願いするものであり、その主なものについて御説明を申し上げます。
 一般会計におきましては、被災地における救助活動や応急復旧支援、また道路・河川等の公共土木施設等の復旧工事を初め、当面緊急に措置を必要とする諸事業に要する経費を、農林水産振興資金特別会計では、被害を受けた林業者に対する融資の貸し付け枠を拡充するための経費を計上しております。
 このほか、災害復旧工事あるいは災害関連融資に対する利子補給に要する経費等について、債務負担行為の設定をお願いしているところであります。
 議案第120号は、台風12号による災害に係る被災地への職員派遣に際し、派遣期間中も引き続き移転直前の住所を所有または賃借する職員に対し、継続して住居手当を支給するための改正でございます。
 何とぞ、御審議の上、御賛同を賜りますようにお願い申し上げます。
○議長(新島 雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 これより質疑に入ります。
 本案について質疑はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 質疑なしと認めます。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 議案第101号から議案第115号まで及び議案第118号から議案第120号までは、お手元に配付しております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。9月22日及び26日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、9月22日及び26日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月27日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時41分散会

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