平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(谷口和樹議員の質疑及び一般質問)


平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(谷口和樹議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、おはようございます。29番議員の谷口和樹でございます。
 今回の台風12号によって、私の住む田辺市を含めまして、和歌山の南は本当に大きな災害に見舞われました。田辺市では伏菟野、熊野地区でとうとい同郷の命を失い、土砂や瓦れき、倒木によって変わり果てた生まれ育ったふるさとを目の前にすると、本当に悲しい思いであります。
 本日も、南の皆様方は、先輩議員の方々は、この台風15号で気が気ではないと思われます。台風12号で直接、洪水や土砂災害で災害に見舞われた方々の心中は察するに余りありますが、謹んでお見舞い申し上げますとともに、失われたとうとい命に、そして御遺族に心よりお悔やみを申し上げます。
 また、まだ行方のわかっておられない方々を一日も早く見つけてあげたい。そして、家族の安堵することを心より願っております。
 南では、まだまだ復旧も始まったばかり。土砂に埋もれた田畑は、そのまま。全く避難場所から帰るめどの立っていない方々も多くおります。
 台風12号が接近し、被害が出始めてもう20日近くになりますが、改めて受けた被害の大きさと失ったものの重さを確認しております。
 同時に、今絶対やらなければならないことは、まだ見つけてあげれることができていない方の救助とともに、これ以上、災害で1人の命も失わないということであり、2次災害の発生を何としても食いとめなくてはならないということであります。
 現在、各地でまだまだ地すべりの兆候が見られ、動いている山も幾つか見つかっております。早急な調査と対策が必要でありますが、その調査や対策には、面積も広く、さらに山林比率の高いことから、拠点となる振興局建設部を初め、通常の体制ではスピードのある対応が不十分かと思われます。
 まず1点目、2次災害防止のために、今たくさん確認されておられます地すべり、河川のはんらんなどのおそれが見られる場所への調査や防護といった2次災害対策、そのための今後の各振興局建設部の組織強化、体制強化について、知事にお聞きいたします。
 9月7日には、森議員、門議員にも、資料3にあります熊野の土石流の現場にお越しをいただいた。13日には、改新クラブのメンバー、長坂議員、藤本議員、浦口議員、片桐議員にも、資料1にあります現地の大きな地すべり跡、そして資料2の田辺市熊野の大規模な土砂ダムを確認していただきましたが、率直に申し上げますと、この資料3を見ていただくとわかりますが、今でさえ土砂と倒木に埋まってしまって警戒区域に指定されて入ることもできなくなってしまった村が、あのような大きなダムが決壊してしまえば2度と下流のみんなが家に、村に戻ることができなくなってしまいます。
 この田辺市熊野、下流の面川地区だけでなく、土砂ダムの存在によって、本宮町、熊野川町を含めた新宮市で、多くの方々が同じ思いで不安で不安定な時間を過ごすことを強いられています。今回の台風12号でできた、万が一の場合、下流域に甚大な被害を及ぼすであろう田辺市熊野の土砂ダムを初め、本宮町や新宮市に流れる熊野川に流れ込む奈良県の4つの大型土砂ダムの現状とその復旧について、ずっと避難し続けている方々にかわりまして知事にお聞きいたします。
 加えて、各地の河川、特に支川では、土砂崩れや山からの倒木が護岸からあふれるくらい堆積している場所が多く見られます。田辺市では、上秋津の佐向谷や左会津川、右会津川を初め、河川はんらんや護岸の決壊に対して早急に対策が必要でありますが、河川はんらん防止のための堆積土砂と倒木の撤去について、県土整備部長にお聞きいたします。
 航空写真では確認されておられると思いますが、紀南各地で大規模な地すべりの兆候、地割れやクラックが確認されております。角田議員のお話にもありましたけども、中辺路町の高原にできた地すべりなどはかなり大きなもので、直下には集落も存在し、決壊すると富田川を封鎖するなど、土砂ダム化する可能性もあります。真下には311号線、371号線という大きな国道も通ってます。ここは本当に大きな警戒が必要であります。
 ほかにも、田辺市大塔の鉛山地区の地すべりは、すぐ下流に小さな子供を含めた家族が20世帯ほど集合しています。土石流の起きた深谷という場所では、最上流部に大規模な深層崩壊跡と見られる断層からの湧水が確認できます。
 田辺市では、芳養谷、秋津谷、三栖谷といった川の流れの最上流部のエリアから谷筋というのがありまして、その谷に沿ったエリアというのは格段の警戒と調査が必要であります。本当に多くの地割れやクラック、地すべりの兆候というのが見られます。ここを初めとしまして、県内の特に南の山間部には、この谷筋のエリアを含めて、その危険性というのはたくさん見られます。2次災害の防止のために、現在こういった谷筋のエリアの調査の必要性について、県土整備部長にお聞きいたします。
 2点目に移ります。災害弱者救済のための専用相談窓口の設置と手続の簡略化について。
 今回災害に遭われた方は、特に山間部を中心に高齢の方が多くおられます。窓口案内での窓口から担当課への紹介が、災害で不安や問題を抱える方々に本当に大きな負担になることを踏まえた上で、今、市町村では専用の窓口を設置するなど、各種の災害の助成制度に対してワンストップで対応できるように、こういうことの実施や検討の動きがあると聞いております。
 熊野川町日足地区から志古では新宮市管内でも大きな被害が出たところでありますが、家屋が2階部分まで浸水してとても住めるような状態ではなく、いつになったらもとどおりになるのかわからないほど。2週間余りの中で蓄積する疲労やストレスははかり知れないものがあり、今は、避難所生活が長引く中で、仮住居ではなく本住居の確保に対する思いが生まれてきております。このような思いも、今の県民相談窓口にはなかなか届くことがありません。そして、仮に連絡をしたとしても、なれない行政の決め事を自分で判別したり担当課をまたいで相談していく、現状困難かと思います。
 15日までのデータを伺うと、100件余り問い合わせがあったと聞いております。しかしながら、その中で道路情報や公共交通機関情報を除くと、災害の被害を受けた方の生活相談には窓口は全く機能しておられないと思っております。
 被害に遭われた方にできる限り負担をかけない利用や手続の簡略化が必要であり、台風12号災害専用の窓口の設置が必要だと思いますが、環境生活部長の答弁を伺います。
 3番に移ります。災害復旧とボランティアの支援についてであります。
 まず1点目、ボランティアセンターへの県からの派遣についてでありますが、現在、ボランティアセンターの運営には、地域の社会福祉協議会を中心に、地域のボランティアの方々が運営をされております。ボランティアセンターの現状に関しては、当局も御確認をされていると思いますが、ボランティアの方々のマッチングを安全を確認しながらセンターでどれだけスムーズに進められるか、それが運営のかぎでありまして、せっかくのボランティアの善意をロスなく、そして災害に遭われて手助けの必要な方にリスクなく進めていくためにも、ボランティアセンターの運営スキルの向上が求められるところであります。
 各地域、初めてのボランティアセンターの設置でありまして、現場の苦労も相当であります。当局からはまだまだセンターの運営は続いていくということでしたので、今後のボランティアセンターの運営に対して、県からのサポートスタッフの派遣について、環境生活部長にお聞きいたします。
 続いて2番、各市町村への動力噴射機つき軽トラックの配備についてお聞きいたします。
 動力噴射機とは、発動機式のポンプで吸い上げた水をかなり強力な水圧で噴射し洗浄していく機材でありますが、冠水被害に遭われた家の外壁の洗浄や床の洗浄、家の復旧に対して大きく役立ちます。
 電気式との大きな違いは、当然、停電中の地区での作業。停電は復旧しても、今回多い冠水によりまして配電盤の破損した家は、停電中でありましても家の電気がつきません。そういうお宅の洗浄復旧に活躍できること、さらには、軽トラックの荷台にタンクと組み込むことで配線の手間や距離、場所を選ばなくなります。
 ボランティアセンターに配備し、行政職員や消防団が使えるようにすることで大きく復旧が進みますし、広域配備することで効率的に使えること、万が一の当地域の災害発生時だけでなく他府県への復旧支援にも備えていけると思います。実際、一緒に復旧作業をやってきた中での実情であります。
 台風12号によって災害に遭われた地域のボランティアセンターへ荷台にタンクと動力噴射機を積載した軽トラックを配備することについて、福祉保健部長にお聞きいたします。
 1回目の質問を終わります。
○議長(新島 雄君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 2次災害というお言葉がありましたけれども、2つの意味があると思うんです。2次災害って、例えば助けに行ったときにその人が被害に遭うというような場合と、それと多分、谷口議員はもっと大きな意味で、ほかで同じようなことが起こらないようにというようなことを言っておられたと思っております。両方とも大事でございますので、それについてお答えを申し上げたいと思います。
 まず、同じようなことがまた起こらないようにということなんですが、特にかなり打撃を受けた堤防のあるところとか、そういうところなんかは、仮に同じぐらいの物すごい水量が来なくても今度は随分脆弱になってるということがございますので、これは早く直さないといけないということでございまして、急いでやっております。
 特に堤防がずたずたになりました那智川については、ちょっとの雨でもまた集落の中に水が来そうな感じもありますので、これは大急ぎで土のうを積んだりいろんなことをやって、小規模な雨では──小規模と言ったってぱらぱらじゃなくて結構降った小規模の雨では、そっちに被害が及ばないように、今、大体対応したところでございます。
 その上で早く直そうということは、これは、河川も、堤防も、砂防も、それから道路もみんな同じでございまして、今頑張っております。
 と同時に、生活を戻さないといけませんから、戻すためにはやっぱりネットワークとしての道路がきちんとできてないと、例えば山仕事にも入れないとか、そういうことになります。そういう意味で、県でできることはもうすべて着手をせよということで、今一生懸命やっております。
 振興局には人員も張りついておりますが、足りないので、当該建設部に本庁からさらに12名応援を出しております。市町村にも同じようなことが言えるので、早く徹底的に着手しようじゃないかということで頑張っております。
 地域の建設業者の方、これが大変活躍してくれてまして、本当に感謝をする次第であります。
 今度は、応急復旧ができますと、本復旧あるいは改良復旧という段階になります。これも急いでやろうということでございますが、これについてはきちんと図面を引いたり、それから現場監督をしたりせないかんので、これの要員を大至急チェックしましたところ、さすがの県全体でも不足だということで、今、関西広域連合に県で19人、それから市町村については10人応援を頼むということで、無理なお願いをしているところであります。
 市町村の10人については、県内の少しは余力のある市町村から被害を受けた市町村へというようなこともアレンジをしまして、残りの部分について10名、これはもう固めまして、県外から来られた人は全部田辺市にというような計算をしております。そういうことで頑張りたいと思います。
 それから、もう1つの2次災害、すなわち無理をしてて建設業者の方がもう1回土砂崩れでやられるというようなことがあったら大変なんで、ここは、例えば雨の日なんかは十分注意をして無理をしないようにしてくださいということをお願いしているところでございます。
 次に、せきとめ湖、天然ダムの話でございますけれども、これについては2つ要素があると思います。
 1つは、一番危ないリスクに備えて、人命だけは絶対に救助せないかんということで、これは田辺市が警戒区域をつくったり避難指示を出したりして万全を期してもらってるところであります。
 もう1つは、早く直さないかんということで、これについては全国であちこちで今までも起こってますし、その都度国交省が知見を蓄えてるし、そういう制度もございますので、国交大臣にお願いをして、これを直轄で対処してくれという話をしました。
 その後、ニュースなんかでも、直轄の方々が開設をしたりしてくれております。どうするかという点については、基本的には、水を抜いて、それから自然に水が抜けるように水路をつくっていくということになります。その工事をし始めているところでもう1個台風が来ましたので、今中断をしてるということでございます。
 これができますと、また戻れる可能性が強くなってくるということで、早くやっていただきたいというふうにお願いをしてるところでございます。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 河川のはんらん防止については、2次災害防止のため、土砂や倒木等の堆積状況の調査点検を行いまして、治水上支障となっている土砂や倒木等を特定し、河川管理者としてこれらの適切かつ迅速な撤去を実施してまいります。
 谷筋エリアの調査につきましては、今回の土砂災害の発生状況にかんがみまして、速やかに空中写真の判読や現地踏査等の調査に着手しているところでございます。これによりまして、各渓流等の状況の把握を早急に行ってまいります。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) まず、専用相談窓口の設置についてでございますが、県では、今回の災害に関する相談におこたえするため、9月7日、新たに県民生活課内に台風12号災害における県民相談窓口を開設し、休日も含め対応しているところでございます。
 窓口では、被災地にお住まいの方の安否確認やごみ処理問題など、多岐にわたる相談におこたえしておりますが、直接おこたえできない場合には、迅速に対処できる国や市、町の関係部署を御案内しております。
 今後、窓口の運営につきましては、被災地の市、町にも相当数の相談が寄せられていると伺っておりますので、こうした市、町との連携も図りながら災害弱者の方々にとっても利用しやすい窓口づくりに努めてまいります。
 なお、被災者の方々の相談に直接おこたえするため、弁護士による移動県民相談も実施いたしますので、こうした機会も御利用いただければというふうに考えております。
 また、相談手続につきましては、被災者の方々の多様なニーズを的確に把握し、負担にならないよう配慮してまいります。
 次に、ボランティアセンターへの県からの派遣でございますが、災害時にボランティア活動が果たす役割は大きく、被災した方や被災地を支える大きな力となります。
 また、現在、ボランティア活動に県内外の多数の皆様の御協力をいただいておりますが、さらに活動を充実させるために、関西広域連合、県内企業及び団体にボランティアの派遣を依頼し、毎日3台のボランティアバスを県社会福祉協議会と共同で運行しているところであります。
 しかしながら、これらのボランティア活動が円滑に行われるためには、被災された方々のニーズを把握し、ボランティアを効率的にニーズに合わせる派遣調整を行う必要があります。
 現在、市、町の災害ボランティアセンターは、地元の社会福祉協議会などの職員、そして県や近畿府県社会福祉協議会の職員の応援により運営しているところですが、一層のセンターの充実を図るため、16日より5市町の災害ボランティアセンターにそれぞれ県職員を派遣したところであります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 市町村への動力噴射機つき軽トラックの配備についてですが、台風12号災害で浸水被害に見舞われた世帯では、家屋・家財の洗浄作業が必要となっております。
 先般、高圧洗浄機10台を購入し、那智勝浦町に配備したところであり、消防団やボランティアによる洗浄作業が急ピッチで進められております。
 議員御提案の動力噴射機つき軽トラックの配備については、軽トラックのほうは被災地で用意することが可能であると聞いてございますので、必要な市町村については高圧洗浄機を早急に被災地に配備し、洗浄作業をよりスピーディーに進めてまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 御答弁ありがとうございます。
 現在も、台風が上陸するかということで非常に厳戒態勢であろうかと思いますが、現地ではさらに緊迫を増しております。地元消防団、消防署、市町村と、24時間体制で現地に張りついていただいておりますけれども、まずはこれ以上命を失うことがないように、そういう思いであります。
 ぜひとも、土砂ダムのこれからの対処につきましては、私がおります田辺市も含めまして、熊野川に流れ込む奈良県にある4つのダムについても、多くの皆さんが不安を抱えておられます。今後とも、奈良県にあるダムではありますけれども、全力でその解消に取り組んでいただきたいと思っております。
 私は、今、歴10年の地元の大塔消防団員でありまして、9月の4日から出動がありまして、4日には深谷地区の土石流の現場に、5日には同僚の湯川団員、野口団員、藤田団員とともに、田辺市伏菟野へ行方不明者の救助に行きました。7日には、ヘリで熊野のダムの水量を目視で確認していただきながら、熊野地区の行方不明者の救助に入りました。
 その最初の4日間の中で、現場での活動の中で私が感じたのは、現場でのタイムラグ、現場との乖離とタイムラグ。ぜひとも気づいていただきたい改善点は、知事も気づいておられるかと思われますが、初動での情報収集と指示のレスポンスの改善であります。私が思うに、その最大の原因というのは、現場の肝心な多くの情報の集まる場面で、やはり県職員の姿が欠けていたことではないかと思います。
 現在、災害対策の最前線は、住民とふだんから常に密着している、やはり市町村でありまして、現場のリアルな情報というのは、やはりそこにあります。
 職員の派遣でありますけれども、まずは地元の振興局へ、そしてそこからさらに災害の最前線であります市町村役場へ派遣していただけたら、一緒に行動していただいて一緒にしっかり歩いていただくことで、被害のあった地域の情報を共有できていくと思います。
 現場の活動の中で私が感じたこれから求めることでありますけれども、これから2次災害でこれ以上命を、1人の命も失わないように、こういう思いでしっかり体制を組んでいただきたいと思います。これは要望です。
 もう1つ、2次災害についてでありますけれども、和歌山県ではできる限りのことをやっていただいていると、そういうふうには思っておりますが、現状、この間から芳養、上芳養、上秋津でありましたり、ミカン畑や梅畑の田畑のある場所の被害を見せていただきました。地すべりの兆候であるクラックが、30センチから50センチ地割れしている。20メートルから30メートル上流までその被害が広がっていると。真下には民家があるんですけれど。
 現状の民間の田畑に入ったクラックや地すべりの兆候などには、たとえその民家が真下にあったとしても、行政が差し伸べる手だてがないというのが現状であります。
 たくさん地割れの入った南の中山間の農地やミカン畑、梅畑、今は何とかこの台風を乗り切っていただいて耐え切っていただいてほしいと思うばかりでありますけれども、正直、ある程度ルールを決めてでも──例えば真下に民家があるとするならば、その幅が10メートルを超すと、20メートルを超すと、そういったサイズでありましたり、含んでいる土砂の量でありましたり、ある程度のルールを決めていただいた上で、民間の土地でも、今回の応急の、次に起こる災害の対策に乗り出していただきたいなと、このように思っております。
 いずれにしましても、災害で命を失わない、そのためにこれからの対策に取り組んでいただきたいと思います。
 改めて、この2点をお願いします。
 災害が発生いたしまして、20日余りがたとうとしています。この間、県下で救助や捜索に昼夜を通して尽力をいただいた方々には、本当に改めて感謝を申し上げるところでありますが、まだ県下で行方がわかっておられない方々がおられます。何とかもう少し踏ん張っていただいて、もう少し頑張っていただきたいなと思っております。
 今、大規模土石流の後、土砂ダムができています田辺市熊野の話を少しさしていただきます。
 この熊野という地区があるところは、昭和の合併前は三川村という、そういう名前で呼ばれていました。林業のバブルや、ダムが建設されたり、あと日本でも珍しい集落再編成という、そういうのが行われた村であります。今は本当に人口が減ってしまいまして、2代さかのぼるとほとんどの人間の血がつながると、そういう小さな村でありますけれども、きれいな水と緑の鮮やかな、本当にすばらしいところでありました。
 最近では、三川の地域の方々が、田辺市の中心部であります海蔵寺通りに三川夢来人の館というアンテナショップを地域一丸で運営していまして、三川地区の産品をみんなで販売して、自然の豊かなところでとれたものというのは当然評判もよくて、運営されてる方は大変高齢の方ばっかりですけども、元気に本当に楽しそうにやっていました。今回、土石流の被害に遭われた方もその三川夢来人の館のメンバーでありました。
 本当に深い緑と水がきれいなすばらしいところでありましたが、今回その緑がきばをむきまして、2人の死者と1人の行方不明──1人をまだ見つけることができていません。土砂と倒木に埋もれた村と濁流を見ますと、本当に悲しい限りでありますが、この思いというのは、ルーツを山間部の山村を持つ方にはわかっていただけるかと思います。
 本当に悲しい限りでありますけれども、ただ今はなくした命の悲しみを抱きつつも、まずはダムを解消して、見つけられていない方をもう1度探しに行って、さらにこれからは、もう1度みんなで笑って暮らせる、そういうふるさとを復活させなければならないと強く思っております。
 この台風15号を乗り越えた後は、当然、私の住む田辺市だけでなくて、今回被害の集中した和歌山の南の地域は、お互いに力を合わせて復活に向かわなければなりません。
 過去、我が県にも地震、津波、水害、数々の大きな災害と困難があり、多くのとうとい命を失いながらも、それでも力を合わせて先人たちは乗り越えてきたはずです。50年後、100年後、この大きな災難を乗り越えてきたことを子供や孫に胸を張って伝えられるように、力を合わせて踏ん張っていきたいなと思っております。
 いずれにしましても、先輩方同様、この台風で、今の台風15号でさらなる被害がないこと、命を失わないことを切に祈っております。
 これからの県の取り組みにはなお一層の御尽力をお願いしつつ、一般質問を終わらしていただきます。本当にありがとうございました。
○議長(新島 雄君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時39分休憩
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