平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録

第3号(全文)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

平成23年9月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成23年9月21日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第101号から議案第117号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第101号から議案第117号まで(質疑)
 第2 一般質問
    議案第118号から議案第120号まで(当局説明・質疑)
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(41人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 12番 川口文章
 13番 山田正彦
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(1人)
 14番 坂本 登
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       野田寛芳
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      宇恵元昭
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     鈴木敏彦
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     森 勝彦
 会計管理者      米山重明
 教育委員会委員    佐藤律子
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事班長       中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第101号から議案第117号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 26番角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕(拍手)
○角田秀樹君 おはようございます。
 ただいま大型の台風15号は、我が紀伊半島に最も接近してる様子でございます。昨夜からのニュースを拝するところ、12号に続いて甚大なる災害が出ないことを心から祈るものでございます。
 去る9月2日から4日にかけて広範囲で記録的な大雨をもたらした台風12号は、本県におきましても猛威を振るい、県災害対策本部発表の最新の情報で死者47名、行方不明者8名を含む甚大なる人的、物的被害をもたらしました。
 まず、心からの哀悼、お見舞いの意を表するとともに、不幸にしてお亡くなりになられた方々の御冥福を心よりお祈り申し上げる次第でございます。
 また、関係各位の懸命の復旧活動につきましては、日々報告されておりますけれど、その中、心よりまた敬意を表するところでございます。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさしていただきます。
 なお、本日は一問一答方式により質問をさしていただく予定にしておりますので、当局の誠意ある御答弁をお願いいたします。
 まずは1点目としまして、今回の惨事によりまして改めてその大切さを痛感させられました防災対策等につきまして御質問をさしていただきます。
 我々公明党和歌山県議団におきましては、去る9月1日に対策本部を立ち上げ、昨日午後5時に15号を含めた体制を組んだところであります。
 これまで、台風12号による災害の被災地の状況調査を、我々県議会3名と、そして西衆議院議員を中心にしながら行ってまいりました。その被害の甚大さは筆舌に尽くしがたい状況でありました。
 これを受けまして、去る9月8日に県議団として知事に対し平成23年9月台風12号に対する申し入れを行い、行方不明者の早期における捜索及び救出、被害状況の詳細把握、被害住民に対する心のケアを含む生活支援、公共インフラの早期復旧、被災者の住居の確保、事業継続の支援策の確立、避難勧告及び避難指示等の適切な運用のための見直し、台風に関する専門家の配置、テレビ、ラジオを活用する地域別情報発信の強化の9点について配慮した取り組みの要望を行ったところであります。
 そこで、まず知事にお伺いいたします。
 今回の災害により甚大な被害を受けた被災地域の早期の復興に関して、どのように取り組んでいかれるのか。特に、今回の災害により紀伊半島全体が広域的に被害を受けておりますので、奈良県及び三重県との3県による連携した取り組みが必要になってくるものと考えますが、この点についてどのようなお考えを持たれているのか。
 また、再びあらがいようのない自然災害が発生した場合に備えた防災体制の強化についてどのようなお考えを持たれているのか、御所見をお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) ただいまの角田秀樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 台風12号による災害に対しては、まずは被災者の救済、これを重点にやってまいりましたが、次は一日も早い災害復旧ということで、関係機関とともに現在全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 こうした中、現在行っている災害応急対策や今後の復旧・復興対策に万全を期するために、先日、9月13日ですが、野田総理、官房長官にお会いしましたけれども、一刻も早い災害復旧の実現と、あらゆる災害に強い県土づくりに向けた支援の要望を行ったところであります。その結果、昨日、激甚災害の指定の閣議決定が行われました。
 総理が視察に見えたときも同じようなことを口頭でこれは申し上げまして、その後、ちょっとこちらの本部を抜けさしてもらって、東京に行っていろいろ運動をしてまいりました。
 政府にお願いしているのは2つございまして、1つは現在の応急対策、あるいはこれから起こる災害復旧、それに対して、例えば補助金をつけていただくとか、それの査定とか当然あるわけです。さらに、特別交付税、それをいただくとか、そういうのがいろいろございまして、そういうところで復旧に大変なお金がかかりますから、これを応援してくださいというようなことでございます。
 それから、またJRを初め企業も一生懸命やっていただいてますけれども、そういうところも側面から、監督官庁の立場から御指導願いたいというようなこともお願いをしてるとこでございますし、それから、例えば日高川町で簡易水道の復旧の際に、機器が東日本に行ってて、ないという話が起こりました。その対策を、これはメーカーにいろいろお願いをして、こっちへ回してもらわないかんのですが、そういうようなこともお願いをしたりして、その都度大変動いていただいています。だから、そういう意味では感謝をしたいと思っております。
 もう1つのお願いは、やっぱり我々は災害に強い県土づくりを目指す、そういうことでないと、また同じことが起こるかもしれないと思うと、我々もびびってしまうわけであります。特に今回、インフラの関係では、42号線は津波がなかったので現在は使えておりますが、一時、4日の一番大切なときに白浜のところで冠水しまして、実は救援隊が南へ向かえなかった事態が約半日ぐらい続きました。それから、こういうときのためにと思いまして整備を急いでおりまして、ほぼ完成したところだったんですが、例のX軸ネットワークがまさにずたずたになってしまいました。無傷で残ったのは高速道路だけということなんで、そういうことも政府の方に申し上げて、我々を元気づけるためにも、何か起こったときに頼りになるようなものをちゃんとつくってほしいと、そういう意思表示をしてくれればこれは全然違うと、過去のことはもうええと、これから頑張ってくれと言って、そういうことをお願いして、一部の方はいろいろ、「そやな」というようなことを言うてくれました。
 だけど、これはまだぴしっと決まった話じゃないんで、これから本当に期待をしたいし、期待を裏切らないようにしてほしいというふうに思います。
 一方、関西広域連合からは、すぐ応援を出そうかという話がありました。しかし、いきなり何か何でもかんでもわあっと来てもらっても大混乱するだけですので、「ちょっと待ってくれ」と言いながら、東北のときの事態の推移を見ると、ずっといつも東北の方は遠慮されて我々からむしろ押し売りのような感じだったんですが、そういうことになってはいかんと思いまして、例えば一番初めにはボランティアと、それから岩手県から我々が行っていた応援部隊を引き受けるので、その代替をお願いするということをやりました。
 それから、兵庫県は特に能力があるので、災害の査定の指導とかそういうことについても、少数の部隊ですけども来てくれていろいろ教えてくれています。
 それから、さらに土木の技術屋が、やっぱりこれから本格復旧ということになると、ちゃんと図面をかいたり監督せないかんので足りないと。市町村も足りないので、県と市町村の分を合わせて、県内で調達できない分をお願いしたいといって、これはかなりの要求になりますけども、「うわっ」と言っておられましたが、その後、井戸連合長から非常に好意ある御回答をいただいております。
 さらに、今頼んでおるのは、ごみを早くなくしたいと思いますので、ごみの運搬の手段ですね、何とかならんかというようなことを今お願いをしているとこであります。
 また、紀伊半島全体でも、これは復旧はそれぞれわっとやらないといけないんですけども、今度、復興、先ほどのインフラの整備とか、そういうことになりますと、やっぱり力を合わせて政府と相談をしてということでございまして、荒井奈良県知事が国交大臣にそれを持ちかけております。紀伊半島の復興会議を政府と共同でやろうということでございまして、ちょっと私が今応急対策に忙殺されてるんで、奈良県知事にこのアレンジを頼んでるという状況でございます。そういうことも3県の力を合わせて頑張っていきたいと思います。
 現在そういうふうに、ありとあらゆる力をおかりしながら、また自分も頑張らなきゃいけない。自分たちも頑張って、いたずらに市町村に「ああせい、こうせい」と言うだけじゃなくて、県の職員がみずから代替をできるんならやってあげようということで、どんどん実は投入しておりまして、機能が少しでも不足してるなと思うところには、そういう形で機動的に対策をとってるというような状態でございます。
 一日も早く復旧をして、県民の皆さんがもとの生活再建を迎えるようにしていきたいと思っております。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 御答弁ありがとうございました。
 今の知事の答弁を聞かしていただきまして、まことに迅速な、また、かつきめ細かなそういう配慮に心から敬意を表したいと思います。
 これから細こい詳細の部分が多々出てこようと思いますが、ぜひとも県がリーダーシップをとっていただくことを心から御期待を申し上げる次第でございます。
 続きまして、各論部分につきましては関係部長に質問をさしていただきます。
 まず、本日、現在において災害対策本部で把握されております被害について、人的被害及び物的被害の概要がどのようなものなのか、危機管理監にお尋ねいたします。
 また、今回の災害の後、各地域を訪問さしていただき、お話を伺う中で改めて感じたのが、地元市町村における避難誘導の重要性であります。どのような判断基準を持って、どのタイミングで、そしてどのような方法で住民に対して伝達をするのか。これら1つ1つが直接的には地元市町村の判断にゆだねられてるわけでございますけれども、この時点での判断が適切に行われるか否かが、すべての地域住民の安全を守るための分岐点になると思います。
 一方、災害発生後における住民の安否確認につきましても大きな課題になります。地域が被災しているわけでございますから、安否確認のための交通や通信の機能が寸断されていることも想定されます。
 そのような中でも、要救助者の存在やその所在を早急に把握することが肝要であるため、各市町村において災害発生時の行動指針や初動マニュアル等について十分に検討していく必要があると考えるところであります。
 また、県においてもそのような市町村の体制づくりに対して厚く支援すべきであると考えますが、現在における市町村との連携の状況はどのようになっているのか、そして今後に向けてどのような対応を考えられているのか、危機管理監の御答弁をお願い申し上げます。
○議長(新島 雄君) 危機管理監。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 台風12号による被害状況並びに避難誘導及び安全確認に関する市町村との連携についてでございますが、台風第12号により、県内各地の観測記録を更新する大雨となり、紀中地方から紀南地方を中心に甚大な被害が発生いたしました。
 県では、災害対策本部を設置し、市町村や関係機関と連携しつつ、被害の把握と応急対策に取り組んでいるところでございますが、被害は余りにも深刻であります。
 9月21日6時現在までに把握している被害の概要といたしましては、大雨により各地で土砂崩れが発生、また、熊野川、那智川などの河川がはんらんし、死者47名、行方不明8名、建物の全半壊252棟等、多くの方が犠牲になる痛ましい大災害となりました。
 また、内陸部に至る幹線道路である国道168号、311号など、救援活動や生活を行っていく上で大切な道路が土砂崩れなどの被害を受け、また鉄道はJR紀勢本線の那智川にかかる鉄橋が流出するなどし、運行に支障が出ております。
 電気、水道、電話などのライフラインにつきましても、施設、設備が被災し、広範囲にわたり断絶し、県民の生活に影響が出ました。
 被害は、人的被害や住居被害、道路や河川などの公共施設だけではなく、農林水産業や紀南地方の観光業にも及んでおります。
 被害の全容につきましては、いまだ行方不明者も残り、被害額も含めてすべて明らかになっておりませんが、平成になってから最も大きな台風被害であり、記録的な大災害との認識のもと、被災者の救済を初め、一日も早い災害復旧に向け、関係機関とともに全力を挙げて取り組んでおるところでございます。
 県では、市町村に対し、風水害に備え国のガイドラインに基づく避難指示等の判断基準をあらかじめ整備するように助言するとともに、気象台の発表する気象情報や土砂災害警戒情報、水位情報を活用するよう助言してまいりました。
 今回のような予想を上回る豪雨においては避難指示等の発令の判断が非常に難しかったと考えておりますが、市町村が適切な避難指示等を行えるよう国においても発令判断基準見直しに取り組むと聞いており、本県でも専門家の意見を聞きながら検討してまいります。
 安否確認に係る市町村との連携につきましては、東南海・南海地震等に備え、平成21年度に市町村に対し、孤立化の予測される地域への市町村防災行政無線等の整備を支援したところであります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 ただいま危機管理監のほうから御答弁いただきました。再質問をさしていただきたいと思います。
 災害発生時における避難誘導及び安否確認に関する市町村との連携ということにつきまして、避難誘導に関しては、国の判断基準の見直しも参酌しつつ、専門家の意見を聞いた上でということでございますけれども、市町村への支援策をという話でございました。ぜひとも迅速な対応をお願いいたします。
 さらに、避難誘導に関してもう1点質問さしていただきたいと思いますが、災害時の避難誘導に関しては、避難過程での安全確保というものがまた非常に重要であると考えます。たとえ適切なタイミングで避難を開始したとしても、安全な方法で避難できなければ、やはり生命の危険にさらされることになります。
 そういった点を配慮した取り組みとして、串本町において救命胴衣等購入費補助金の交付制度が採用されております。住民等が災害発生時に備えて救命胴衣やヘルメットを購入した際には、おのおの1人当たり3000円を上限として購入価格の2分の1の額の補助を受けることができます。このような救命胴衣やヘルメットの家庭での常備は、災害時の安全な避難のために大きな役割を果たすのではないでしょうか。
 もちろん、地域によって常備の必要な物品は異なりますが、このような取り組みを市町村に対して働きかけ、県としてもこれからの市町村事業に対して何らかの形で支援を行うことは検討できないものでしょうか。
 次に、安否確認についてでありますが、災害発生時の通常の通信手段が機能しない際の安否確認の手段について、平成21年度において市町村等における防災行政無線等の整備を支援したということでありました。
 防災行政無線につきましては、県域内において、例えば市町村役場から管内の集落に対しての情報伝達に関しては非常に有益であります。しかし、非常に広域的な災害が発生し、遠距離間において通信をしなければならなくなった場合には、その機能が十分果たせなくなる可能性があると思います。
 そこで、このような場合に備えて、今年度の内閣府の新規事業の補助の中に地域防災力向上支援事業というものがございます。これは、災害衛星携帯電話の整備に国が2分の1の補助をするという、こういう制度でございますが、この件につきまして検討しておくべきではないかというふうに考えますが、いかがでしょうか。危機管理監の御答弁をお願いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 危機管理監。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 再質問にお答え申し上げます。
 まず、地域の常備の物品を購入する市町村事業への補助についてでございますが、県では地震防災対策の市町村支援事業として、きのくに防災力パワーアップ補助金制度を有しております。これは、市町村が直接行う避難路、誘導灯の整備や自主防災組織の資機材整備に要する経費等に支援をしているところでございます。
 また、東日本大震災以降、防災・減災対策の総点検に取り組んでおり、避難場所等の見直しに伴い必要となった緊急事業に対し、今回増額補正をお願いしているところでございます。
 次に、衛星携帯電話の整備促進についてでございますが、衛星携帯電話につきましては、現在、県内15市町で185台保有をしてございます。衛星携帯電話は非常時の通信手段の多様化を図る上で有効でございますが、その導入につきましては市町村の判断になるものと考えてございます。
 県では、平成21年度に孤立集落通信確保事業を実施し、全額を県負担で、市町村で孤立化が予想される地域に防災行政無線もしくは衛星携帯電話を整備する支援を行いましたが、衛星携帯電話の導入につきましては、維持費の問題等もあり、わずかでございました。
 なお、衛星携帯電話は、きのくに防災力パワーアップ補助金の対象でございますので、御活用をいただきたいと思います。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 あとは要望という形にさしていただきますが、実は救命胴衣につきましては、去る3月の11日、東日本を中心とした大震災が起こった中、約250名に及ぶ出動中の消防団員の方々がとうとい命を落とされたと、こういうことが判明しております。
 消防団は、もともと国家的ボランティアとしての組織でございまして、地方、地域の安全に貢献しているのがあの方々であります。ボランティアとして参加しているこういう大勢の方々が今回の大震災で命を落とされたということを厳粛に受けとめて、今後はそういった市町村からの部分につきましても、補助の制度の拡大ということをひとつ、このメニューの中には恐らく救命胴衣は入ってないというふうに思いますので、ひとつメニューに加えていただきたいということを切にお願いをさしていただきます。
 また、衛星携帯電話につきましては、いわゆるランニングコストというんですか、維持管理が非常に大変だということもよくわかります。しかしながら、セーフティーネットを二重、三重にするという、この部分がこれから非常に必要ではないかなというふうに思いますので、また見直しの検討、予算の関係もあろうかと思いますけれども、県民の命を大切にするという知事のこういうお心でございますから、どうかまた御検討をしていただきたいというふうに思います。これはもう要望とさしていただきます。
 続きまして、ダム及び河川関連についてお尋ねいたします。
 今回の台風被害で非常に甚大であったのが、川のはんらんによるものであります。報道でも、はんらんする熊野川や那智川等の様子が連日取り上げられておりますが、特に紀南地域においての幾つもの川が予想を超える大雨のためにはんらんし、その被害はとうとい人命を奪ったばかりでなく、周辺の町並みを一変させてしまいました。これらの惨状を目の当たりにし、一刻も早い復興に向けて私自身も最大に力を尽くさなければならないという気持ちを新たにしているところでございます。
 そんな中、非常に注目してるのがダムであります。果たして、大雨が本県を襲った場合、県下の各ダムにおいて洪水調整はどのように行われていたのでしょうか。
 各ダムの貯水量にはそれぞれ限界がございますけれども、計画以上の流入量がありますと、これを放流しなければなりません。しかし、流入量の増加の原因が台風である場合、その進路や雨量などについて、ある程度の事前想定を行うことは可能であると思います。
 仮に台風の影響による強い降雨が予想される場合、まだ影響の少ない時点での放流を進めておいて大雨による貯水量の増加に備えておくことが、一定限度は可能ではないかというふうに考えるところでございます。
 今回の台風12号のケースも、大雨を伴う可能性があること、また紀伊半島に被害をもたらす進路になることなど、事前に予想されておりましたが、このようなダムの洪水調整に関し何らかの対応がとられていたのでしょうか。
 また、そうであったとしても、今回このような被害が発生してしまったわけでありますから、これを教訓にした抜本的な見直しが求められてくると考えますが、この点につきまして、県土整備部長の御所見をお伺いします。
 あわせまして、流域河川について、河床のしゅんせつ、立ち木の伐採、堤防の補修等の必要性につきましても改めて点検、検証すべき時期に来ているのではないかと考えますが、いかがでしょうか。あわせて御答弁をお願い申し上げます。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 最初にダムについてでございますが、県管理の4つの多目的ダムにおきまして、台風12号接近に伴い、台風情報、気象情報等も踏まえまして事前に予備放流等を行い、洪水調節容量の確保に努めたところでございます。次第に雨が強まる中、河川流量の増大に合わせまして、下流部を洪水被害から守るため洪水調節を実施いたしました。
 抜本的な対策ということですが、今回の洪水は、計画規模以上の記録的な大雨によるものであり、ダムや堤防等のハード整備だけでは限界があり、これまでも避難に役立つ情報提供等のソフト対策も進めてきたところでございます。
 今後とも、ハード・ソフト一体となった効果的な洪水対策に努めていくとともに、今回の大雨を踏まえました対応策について検討していく所存でございます。
 また、河川関連についてでございますが、河床のしゅんせつ、立ち木の伐採、堤防の補修等の重要性は十分認識しておりまして、必要性の高いところから順次実施しておるところでございます。
 今回の災害も踏まえまして、河床の堆積状況や立ち木の繁茂状況、堤防の状況等を改めて精査・点検し、地元の御意見もお聞きしながら、より的確な河川の維持管理に努めてまいります。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 河川の関係なんでございますが、現場へ行かしていただいて特に感じたのは、日高川の入野というところの地区ですね。あそこは堤防が決壊されました。あの堤防の建設は28台風の後につくられたということでございまして、この秋になりますと運動会で必ず、私、小さい時分はミカン──小さい黄色いミカンですね──ああいったミカンを母親が買って、そして運動会に参加した。ああいった小さな早生のミカンをつくってるミカン畑が非常に被害をこうむったという、こういうことでございます。
 その中で、以前から、堤防がひび割れしてる、クラックが入ってる、だから改修していただきたいと、こういうお話をしていたんですけども、やさきにこういうふうな状況になって結果になったと。
 だから、日高川のあそこの右岸地域については、本当に安心して暮らせるようなそういう体制を──先ほど県土整備部長のほうから順位がいろいろあるという話がございましたけれども、地元からそういう意見が上がっていたんであれば、もっともっと研究をしていただきたいということを、これは強く要望しておきたいというふうに思います。
 次に、川のはんらんと並んで、今回の台風により大きな被害の原因となった土砂崩れがあります。
 9月4日未明に田辺市の伏菟野地区で発生した土砂崩れにより、民家6棟が倒壊し、6人が下敷きになり、そのうち救助されたお1人を除く5人の方がとうとい命を失いました。このような事態を受け、土砂崩れに関する危険地域の点検等、土砂災害対策について再検証する必要性を強く感じているところでございます。
 また、今回、本県や奈良県において見られる大規模な土砂崩れは、深い岩盤ごと山が崩れ落ちる深層崩壊であるとする専門家の指摘があります。厚さ0.5メートルから約2メートルの表土だけが滑り落ちる表層崩壊とは異なり、深層崩壊は、その下の岩盤ごと崩れる現象でありますから、当然規模が大きく、その分だけ甚大な被害につながります。
 私は、先日、田辺中辺路町の高原地区へ出向き、区長の方々から御案内を受けながら現場を見てきましたが、その崩壊の状況に大きな不安を覚えたものであります。
 そこで、県土整備部長にお尋ねいたします。
 現在、県内において、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律第6条及び第8条に基づき指定された土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域はどのくらいあるのでしょうか。
 また、さきに述べました高原地区のような地すべりの兆候が見られる区域に対して、どのような対策をとられるのでしょうか。県土整備部長にお答え願いたいと思います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 9月21日現在、当県においては土砂災害警戒区域が1657カ所、そのうち1107カ所が土砂災害特別警戒区域に指定されております。
 また、田辺市高原地区の地すべり防止区域内の兆候については、観測機器を設置するなど、地すべり活動の調査を行ってまいります。
 今後、地すべり活動に起因すると思われる変状が確認された場合、緊急度等を勘案の上、地すべり対策工事等の必要な対策をとってまいります。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 特に安全性という観点から、ああいう約60センチぐらい地すべりがもう既に起こってるわけでございますので、特にその辺だけ十分に注意をしていただきたいということを要望しておきます。
 知事、「平成の旅籠」ということで、高原地区で民宿のオープニングございましたね。ちょうどあの辺の近くなんですよ。あそこは、見ますと、本当に非常にいい景観の場所でございますけれども、裏腹に自然の驚異というものを改めて感じたところでございますので、どうか、大変な状況でございますが、またひとつよろしくお願い申し上げます。
 次に、港湾埋立地における液状化対策についてお伺いをいたします。
 最近の事例を見ますと、東日本大震災後に発生した千葉県浦安市の液状化現象が大きく取り上げられました。
 地震発生時に見られる液状化現象は建造物を倒壊させ、また地中の下水管等の生活必需施設に損傷を与えるなど、重大な被害の原因になります。液状化は、どの地盤においても発生の可能性がありますが、地下水位の高い砂地盤においては発生の頻度が高くなります。
 そこで、今回はリスクの高い港湾埋立地に絞ってお伺いをいたします。
 地震が発生した際に、津波による被害を防ぐ役割をあわせ持つ堤防、その他の港湾施設が液状化によって被害を受け、その機能を十分に果たせないということであれば、これは大きな問題と言わざるを得ません。本県の港湾における液状化についてはどのような状況でしょうか。
 また、今後に向けてどのような対策を考えられているのでしょうか。
 こちらも県土整備部長にお尋ね申し上げます。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 港湾埋立地における堤防その他の港湾施設につきましては、国が定める技術上の基準に基づきまして、液状化も考慮しつつ一定の地震動に対応した整備が行われております。
 特に、災害時の救援物資等の緊急海上輸送を支える耐震強化岸壁につきましては、和歌山下津港、日高港、文里港及び新宮港におきまして、当該地域で想定される最大の地震動に対応した整備が行われております。
 なお、現在、国において東日本大震災を踏まえた想定地震の見直しや港湾における津波対策のあり方などについて検討が行われているところでありまして、県としましては、これらの検討結果を踏まえ、必要に応じ適切に対応してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 じゃ、よろしくお願いします。
 続きまして、災害発生時における要援護者に対する支援についてお伺いします。
 いわゆる災害時要援護者と言われる高齢者、障害者、乳幼児等については、災害発生時の避難行動や環境変化への対応が困難であり、必要なときに必要な支援を受けられなければ自立した生活を継続していくことができません。
 そこで、行政においても災害時要援護者に対する支援について、防災関係部局と福祉関係部局等が十分に連携し、支援体制の整備を進める必要があります。本日は、この点について何点か質問をさしていただきます。
 まず初めに、人工透析患者に対する支援についてであります。
 人工透析患者は、定期的かつ継続的に人工透析を受けなければ腎不全の状態に陥ってしまう状況にありますので、災害時であっても治療を中断することは困難であります。
 一方、今回の台風12号による被害状況を見ましても、交通及び通信機能の寸断により複数の孤立集落が発生しました。このような集落に人工透析を受けられている方が取り残されてしまった場合には、その対応がその方の生命にさえ影響することが予想されます。実際に、今回の台風12号により発生した孤立集落の中にも人工透析を受けられている方がおられ、防災ヘリコプターによる搬送が行われたというようにも聞き及んでいるところであります。
 そこで、まず1点目としまして、交通機能の麻痺等によって人工透析患者が自力での移動をすることができない状況になった際の搬送及び受け入れ病院の確保に関する具体的な支援方法について、どのような御見解を持たれているのか、福祉保健部長の御答弁をお願い申し上げます。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 人工透析患者の搬送及び受け入れ病院の確保についてでございますが、災害発生時における人工透析を受けている方の搬送につきましては、道路の通行どめ等により孤立した場合、ヘリコプターによる緊急搬送が大変有効であるというふうに考えてございます。
 今回の台風12号による災害におきましては、県、市町村、医療機関が緊密に連携し、孤立した透析患者11名をヘリコプターにより緊急搬送したところでございます。
 また、受け入れ医療機関の確保につきましても、ライフラインの途絶等により、透析患者がかかりつけの医療機関で受診できない地域も発生いたしましたが、県、市町村、それから医大、地元医療機関との連携により、透析医療の確保を図ったところでございます。
 今後も、災害時においては、今回のように関係機関と協力・連携を図りながら、透析医療の確保に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 次に、レスキューポット等に関してお伺いをいたします。
 1つの例といたしまして、現在NPO法人和歌山県腎友会におきまして、災害等の緊急時に備え、会員情報を素早く正確に救急隊等に伝えるためのレスキューポットの普及に取り組んでおります。
 この事業は、兵庫県や愛知県において先行事例があり、会員の通院施設や服用中の薬剤の情報などを書き込み、容器に入れた上で冷蔵庫やげた箱などのわかりやすい場所に保管していくというものであります。
 人工透析患者は、1回に4~5時間を要する透析を週に数回受けなければならず、また薬剤の服用や食事の管理など、特別に注意を要することが多々あります。よって、このレスキューポットによってもたらされる患者の情報が正確に、かつ迅速に伝達されることが災害時における人工透析患者に対する医療の成否に大きく影響するのではないかと考えるところであります。
 ただいまの話は一例ではございますけれども、災害発生時における要援護者の支援について考えたとき、個人情報の保護に関するリスク管理等の課題が内在することを了知した上で、なお、このレスキューポット等のさらなる普及に向け県としても支援すべきではないかと考えますが、この件について福祉保健部長の御所見をお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) レスキューポット等の普及推進についてでございますが、レスキューポットは、高齢者や障害者など災害時要援護者の安全・安心を確保することを目的として、かかりつけ医、病歴、緊急連絡先など、必要な情報を記入したシートを容器に入れ自宅の冷蔵庫などに保管しておくことで、万一の救急時に備えるものでございます。
 NPO法人和歌山県腎友会において、兵庫県腎友会での先進事例を取り入れ、レスキューポットを会員の皆様に配布されたと伺っており、災害や救急医療の際に迅速な対応により要援護者を守る上で大変有意義な取り組みであると認識をしてございます。
 県におきましては、このような先進事例を市町村や要援護者の関係団体に紹介しているところであり、今後も消防部局と連携しながら、そのさらなる普及に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 続きまして、災害発生時における要援護者への情報伝達及び支援についてお伺いをしたいと思います。
 本年8月5日に改正障害者基本法が公布され、同法の第2条において障害者の定義として「発達障害者」が明記されたところであります。これにより、発達障害に対する理解と施策の普及啓発が進み、支援サービスが受けやすくなるものと評価するものであります。
 また、本年3月11日に発生した東日本大震災においては、障害者への情報伝達や支援がうまくいかなかった面のあったことを踏まえ、同法第26条において、「国及び地方公共団体は、障害者が地域社会において安全にかつ安心して生活を営むことができるようにするため(中略)防災及び防犯に関し必要な施策を講じなければならない。」と規定されております。
 そこで、この点につきまして、災害発生時における障害者を含む要援護者への情報伝達及び支援について、今後どのように対応していくことをお考えなのか、福祉保健部長の御答弁をお願いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 災害時要援護者に対して災害時に必要な情報を伝達するための媒体といたしましては、防災行政無線、ラジオ、テレビを初め、防災わかやまメール配信サービス、ファクス等がありますが、要援護者の体の状態等により対応できる媒体が異なってきます。
 また、より早く確実に伝達するためには、複数の媒体を活用することも必要となりますが、携帯電話等の機器の保有状況、また停電時にも対応可能か等を考慮すれば、最終的には要援護者1人1人の避難支援プランを作成し、だれがどのような流れで、どのような方法で、どういうことに留意して情報伝達を行うかを定めておくことが最も重要であると考えております。
 このたびの台風12号の災害に際して、各市町村において、避難支援プランによりどのように要援護者の避難支援が行われたのか、どういうことが問題であったのか等、十分検証を行った上で今後の要援護者支援対策を進めていきたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 次に、仮称ではございますが、レスキューシップということについてお伺いいたします。
 国におきましては、内閣府が平成23年度の第3次補正予算案で病院船導入に向けた調査費を要求しており、具体化に向けて着手されることが予定されております。
 これは、東日本大震災発生時に被災地の医療施設が被害を受け、交通機能も混乱を来していたところから、医師、医薬品、医療機器等を一体的に提供できるシステムを導入することが必要であると判断されたものであると考えられております。
 今般の台風12号による被害の甚大さ、そしてまた将来的に発生が予想されている東南海・南海地震などの災害に思いが及んだとき、本県におきましても同様のシステムの導入を検討してはどうかと考えるところであります。
 本県には、2600総トンのフェリーを2隻所有する南海フェリー株式会社などの法人があります。このような法人との連携を図ることにより、最低限必要な薬剤、医療機器の備蓄、保管を行い、必要な際にはこれを積み込み、仮称ではありますが、レスキューシップを運航できるという体制を常に確保していくことが、陸上における多くの機能が麻痺してしまう可能性がある大規模災害発生時に県民の生命を守るための大きな役割を果たすのではないかと考えますが、この件につきましても福祉保健部長の御所見をお伺いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 災害時に多くの傷病者を搬送する手段の1つとして、船舶は大変有効であると考えております。議員御指摘のとおり、国においても病院船導入に向けた取り組みも考えられております。
 また、日本透析医会と神戸大学海事科学部が連携し、災害時医療支援船により災害時に透析患者を輸送する体制をとっています。
 県におきましては、南海フェリー株式会社と船舶による災害時の輸送等に関する基本協定を締結しており、議員御提案のレスキューシップにつきましても今後検討してまいりたいと考えてございます。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 続きまして、大項目の2点目としてエネルギー対策についてお伺いいたします。
 東日本大震災後、菅直人前首相が安全宣言を覆し、全国の原子力発電所でストレステストを実施する方針を唐突に打ち出しました。そして、これを受けて全国の原子力発電所において耐性検査、いわゆるストレステストが実施され、あるいは実施されることが予想されます。
 また、我々の生活圏におきましても、夏場の電力不足が懸念されたことにより、本年6月には関西電力株式会社から電力消費者に向けての15%の節電要請もなされていたところでありますが、幸いなことに、この夏場に限っては消費のオーバーフローは発生しませんでした。しかし、電力不足の問題は、この夏に限られたものではなく、次の冬も、そしてこれ以降も継続的に取り組んでいかなければならない問題を含有しております。
 そこで、原子力発電に関する問題が継続的な課題であることは当然ながら、それと並行して、これとは別のエネルギー対策も検討、検証すべき時期に来ているのではないかと考えるところであります。
 2点ほど提案さしていただきたいと思いますが、1点目に、和歌山下津港西防波堤沖埋立地の第2工区におきまして関西電力株式会社が計画し、周辺住民のコンセンサスも得られたというふうに聞いておりますLNG火力発電所の建設について、改めてその推進を働きかけてはどうかと考えますが、いかがでしょうか。知事の御所見をお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 西防波堤沖埋立地第2工区で建設が計画されております和歌山発電所──これ、LNGでございますが──これは関西電力の公式な計画という点では、平成33年度以降運転開始で着工準備中ということになっておりますが、私の感覚で申しますと、そういう単純なものではどうもなくて、私が知事になってからできるだけ雇用をふやしたいということで、一時はこれがやや下火になっておりまして、それであの地域も企業誘致の対象にしてよろしいというふうに関西電力からむしろ意向を承った時期もありました。
 その後、「ちょっと経済の調子が上向いてきたんで、それはもうやめてください。つくるんだ」というて、そういう時期もありました。
 その後、またちょっと景気が悪くなって下火になっておりましたが、またもう1度チャンスが来ていると私は思っております。
 そういう意味で、ぜひ和歌山にこのLNGの火力発電所ができるといいと私は思っておりますので、そのように今後努力してまいりたいと思います。
 この間、節電の関係で社長がお見えになったときも、究極的には再生可能エネルギーをこれからふやしていかないといけないけれども、量的な問題をいえば、やっぱりLNGの火力発電所を1つ建設しておかなきゃいけないんじゃないでしょうかということで、ぜひ積極的にいろいろ準備をしてくださいというお話をしております。今後ともそのようにしていきたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 じゃ、今後とも積極的にひとつよろしくお願いします。
 2点目なんですが、再生可能エネルギーということで、太陽光パネル発電。
 和歌山県には未利用地がたくさんございます。例えば、今申し上げました西防波堤沖の第2工区につきましては民間の法人の所有ではありますが、その地先、第3は和歌山県の緑地でございます。そこにLNGが、第2ができ、そしてその隣に太陽光パネルの発電、いわゆる太陽光発電等をつけるというふうな構想も考えておりますが、この件について、県下の未利用地に再生可能エネルギー施設を誘致してはどうかというふうに考えますが、商工観光労働部長の御所見をお伺いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 再生可能エネルギー施設の誘致についてですが、本県には、議員御指摘のように、埋立地など未利用地が多いことから、これらの未利用地に再生可能エネルギー施設などが設置されることは土地の有効活用につながるものと考えており、諸制度との適合、景観や環境との調和などについて事業者との間で条件が整えば、県としても積極的に推進してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 それでは、次に住宅用太陽光発電設備導入促進事業ということについて。
 昨日もこういった質問があったと思うんですけれども、本県も地球温暖化対策の推進を図るための太陽光発電設備の設置促進を目的として、住宅用太陽光発電設備導入促進事業というのが実施されております。
 この取り組みにつきましてはCO2の削減に向けた評価すべき取り組みであると解するところでありますけれども、補助金の交付制度について疑問を感じております。
 本年度における本補助金の予算額が2035万円、補助金の交付額は、既築住宅についてはキロワット当たり3万円が上限で15万円、新築住宅についてはキロワット当たり2万円、上限が10万円ということであります。これから逆算しますと、おおむね200件の申請に対して補助金が交付されるということになります。
 この交付要綱を見ますと、10月31日の申請書の提出期限の時点で、申請額が予算額を上回った場合については抽せんで交付対象者が決定されるということであります。
 私は、この点につきまして、事業の有効性から勘案し、また申請者が瑕疵のない県民である場合、行政施策に基づく利益はひとしく享受すべきであるという観点から、例えば補正予算を組んだとしても、すべての申請者に対応すべきではないかと考えるところであります。
 この点について、環境生活部長の御所見をお伺いさしていただきます。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 住宅用太陽光発電設備導入促進事業につきましては、平成20年度から3カ年、国のモデル事業補助金を活用しまして実施しておりましたが、国の補助金が終了した本年度は、県費を増額措置することによりまして、県単独でこれまでと同様の事業費を確保していたところです。
 申し込み件数は年を追うごとに大幅に増加しているため、公開抽せんとさせていただいておりますが、太陽光発電の導入を奨励する事業としては、一定の効果を発揮できているものと考えております。
 議員御提言のすべての申請者に現行どおりの補助金を交付するとなると相当の予算が必要となり、限られた財源の中で捻出することは難しいと思われますが、さらなる支援の充実を図るため、余剰電力買取制度の拡充や全量買取制度の創設を国に働きかけるとともに、自然エネルギーへの転換が求められる中、県としても現行支援制度のあり方を引き続き検討してまいりたいというふうに考えてございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 角田秀樹君。
  〔角田秀樹君、登壇〕
○角田秀樹君 その辺が非常に理解がしがたいというふうに申し上げます。抽せんで漏れた方があるというのは、もう現実なんですね。また、一方、私どもが関西電力さんに電気料をお支払いする、この太陽光発電促進賦課金というのがその明細の中には乗っかっております。
 これは、昨年の11月、国が法令として決めました。太陽光発電の余剰電力買取制度、この分について、この文書を見ますと、全員参加型という、こういう考えのもとで、太陽光発電促進賦課金というのを電気料金の一部として電気を御使用のすべてのお客様に電気の御使用量に応じて御負担いただいてますというふうに、民間は公平にすべての方々から電気料金の中に賦課金を徴収されてます。
 また、我々行政にも、今あるように、このせっかくのいいモデル事業ではございますが、抽せんに漏れると。金額が多い少ないは別にしても、やはり同じような形で平等というのか、そういうものを最後まで貫いていくという、予算上の大きな問題があるというふうには理解もしますけれども、しかし、根本的な考え方としては平等・公平というのが行政の基本的な私はスタンスだと思います。(「もう時間来たぞ」と呼ぶ者あり)あと34秒になりました。
 以上で、私の意見として述べさせていただき、一般質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(新島 雄君) 以上で、角田秀樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕(拍手)
○谷口和樹君 皆さん、おはようございます。29番議員の谷口和樹でございます。
 今回の台風12号によって、私の住む田辺市を含めまして、和歌山の南は本当に大きな災害に見舞われました。田辺市では伏菟野、熊野地区でとうとい同郷の命を失い、土砂や瓦れき、倒木によって変わり果てた生まれ育ったふるさとを目の前にすると、本当に悲しい思いであります。
 本日も、南の皆様方は、先輩議員の方々は、この台風15号で気が気ではないと思われます。台風12号で直接、洪水や土砂災害で災害に見舞われた方々の心中は察するに余りありますが、謹んでお見舞い申し上げますとともに、失われたとうとい命に、そして御遺族に心よりお悔やみを申し上げます。
 また、まだ行方のわかっておられない方々を一日も早く見つけてあげたい。そして、家族の安堵することを心より願っております。
 南では、まだまだ復旧も始まったばかり。土砂に埋もれた田畑は、そのまま。全く避難場所から帰るめどの立っていない方々も多くおります。
 台風12号が接近し、被害が出始めてもう20日近くになりますが、改めて受けた被害の大きさと失ったものの重さを確認しております。
 同時に、今絶対やらなければならないことは、まだ見つけてあげれることができていない方の救助とともに、これ以上、災害で1人の命も失わないということであり、2次災害の発生を何としても食いとめなくてはならないということであります。
 現在、各地でまだまだ地すべりの兆候が見られ、動いている山も幾つか見つかっております。早急な調査と対策が必要でありますが、その調査や対策には、面積も広く、さらに山林比率の高いことから、拠点となる振興局建設部を初め、通常の体制ではスピードのある対応が不十分かと思われます。
 まず1点目、2次災害防止のために、今たくさん確認されておられます地すべり、河川のはんらんなどのおそれが見られる場所への調査や防護といった2次災害対策、そのための今後の各振興局建設部の組織強化、体制強化について、知事にお聞きいたします。
 9月7日には、森議員、門議員にも、資料3にあります熊野の土石流の現場にお越しをいただいた。13日には、改新クラブのメンバー、長坂議員、藤本議員、浦口議員、片桐議員にも、資料1にあります現地の大きな地すべり跡、そして資料2の田辺市熊野の大規模な土砂ダムを確認していただきましたが、率直に申し上げますと、この資料3を見ていただくとわかりますが、今でさえ土砂と倒木に埋まってしまって警戒区域に指定されて入ることもできなくなってしまった村が、あのような大きなダムが決壊してしまえば2度と下流のみんなが家に、村に戻ることができなくなってしまいます。
 この田辺市熊野、下流の面川地区だけでなく、土砂ダムの存在によって、本宮町、熊野川町を含めた新宮市で、多くの方々が同じ思いで不安で不安定な時間を過ごすことを強いられています。今回の台風12号でできた、万が一の場合、下流域に甚大な被害を及ぼすであろう田辺市熊野の土砂ダムを初め、本宮町や新宮市に流れる熊野川に流れ込む奈良県の4つの大型土砂ダムの現状とその復旧について、ずっと避難し続けている方々にかわりまして知事にお聞きいたします。
 加えて、各地の河川、特に支川では、土砂崩れや山からの倒木が護岸からあふれるくらい堆積している場所が多く見られます。田辺市では、上秋津の佐向谷や左会津川、右会津川を初め、河川はんらんや護岸の決壊に対して早急に対策が必要でありますが、河川はんらん防止のための堆積土砂と倒木の撤去について、県土整備部長にお聞きいたします。
 航空写真では確認されておられると思いますが、紀南各地で大規模な地すべりの兆候、地割れやクラックが確認されております。角田議員のお話にもありましたけども、中辺路町の高原にできた地すべりなどはかなり大きなもので、直下には集落も存在し、決壊すると富田川を封鎖するなど、土砂ダム化する可能性もあります。真下には311号線、371号線という大きな国道も通ってます。ここは本当に大きな警戒が必要であります。
 ほかにも、田辺市大塔の鉛山地区の地すべりは、すぐ下流に小さな子供を含めた家族が20世帯ほど集合しています。土石流の起きた深谷という場所では、最上流部に大規模な深層崩壊跡と見られる断層からの湧水が確認できます。
 田辺市では、芳養谷、秋津谷、三栖谷といった川の流れの最上流部のエリアから谷筋というのがありまして、その谷に沿ったエリアというのは格段の警戒と調査が必要であります。本当に多くの地割れやクラック、地すべりの兆候というのが見られます。ここを初めとしまして、県内の特に南の山間部には、この谷筋のエリアを含めて、その危険性というのはたくさん見られます。2次災害の防止のために、現在こういった谷筋のエリアの調査の必要性について、県土整備部長にお聞きいたします。
 2点目に移ります。災害弱者救済のための専用相談窓口の設置と手続の簡略化について。
 今回災害に遭われた方は、特に山間部を中心に高齢の方が多くおられます。窓口案内での窓口から担当課への紹介が、災害で不安や問題を抱える方々に本当に大きな負担になることを踏まえた上で、今、市町村では専用の窓口を設置するなど、各種の災害の助成制度に対してワンストップで対応できるように、こういうことの実施や検討の動きがあると聞いております。
 熊野川町日足地区から志古では新宮市管内でも大きな被害が出たところでありますが、家屋が2階部分まで浸水してとても住めるような状態ではなく、いつになったらもとどおりになるのかわからないほど。2週間余りの中で蓄積する疲労やストレスははかり知れないものがあり、今は、避難所生活が長引く中で、仮住居ではなく本住居の確保に対する思いが生まれてきております。このような思いも、今の県民相談窓口にはなかなか届くことがありません。そして、仮に連絡をしたとしても、なれない行政の決め事を自分で判別したり担当課をまたいで相談していく、現状困難かと思います。
 15日までのデータを伺うと、100件余り問い合わせがあったと聞いております。しかしながら、その中で道路情報や公共交通機関情報を除くと、災害の被害を受けた方の生活相談には窓口は全く機能しておられないと思っております。
 被害に遭われた方にできる限り負担をかけない利用や手続の簡略化が必要であり、台風12号災害専用の窓口の設置が必要だと思いますが、環境生活部長の答弁を伺います。
 3番に移ります。災害復旧とボランティアの支援についてであります。
 まず1点目、ボランティアセンターへの県からの派遣についてでありますが、現在、ボランティアセンターの運営には、地域の社会福祉協議会を中心に、地域のボランティアの方々が運営をされております。ボランティアセンターの現状に関しては、当局も御確認をされていると思いますが、ボランティアの方々のマッチングを安全を確認しながらセンターでどれだけスムーズに進められるか、それが運営のかぎでありまして、せっかくのボランティアの善意をロスなく、そして災害に遭われて手助けの必要な方にリスクなく進めていくためにも、ボランティアセンターの運営スキルの向上が求められるところであります。
 各地域、初めてのボランティアセンターの設置でありまして、現場の苦労も相当であります。当局からはまだまだセンターの運営は続いていくということでしたので、今後のボランティアセンターの運営に対して、県からのサポートスタッフの派遣について、環境生活部長にお聞きいたします。
 続いて2番、各市町村への動力噴射機つき軽トラックの配備についてお聞きいたします。
 動力噴射機とは、発動機式のポンプで吸い上げた水をかなり強力な水圧で噴射し洗浄していく機材でありますが、冠水被害に遭われた家の外壁の洗浄や床の洗浄、家の復旧に対して大きく役立ちます。
 電気式との大きな違いは、当然、停電中の地区での作業。停電は復旧しても、今回多い冠水によりまして配電盤の破損した家は、停電中でありましても家の電気がつきません。そういうお宅の洗浄復旧に活躍できること、さらには、軽トラックの荷台にタンクと組み込むことで配線の手間や距離、場所を選ばなくなります。
 ボランティアセンターに配備し、行政職員や消防団が使えるようにすることで大きく復旧が進みますし、広域配備することで効率的に使えること、万が一の当地域の災害発生時だけでなく他府県への復旧支援にも備えていけると思います。実際、一緒に復旧作業をやってきた中での実情であります。
 台風12号によって災害に遭われた地域のボランティアセンターへ荷台にタンクと動力噴射機を積載した軽トラックを配備することについて、福祉保健部長にお聞きいたします。
 1回目の質問を終わります。
○議長(新島 雄君) ただいまの谷口和樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 2次災害というお言葉がありましたけれども、2つの意味があると思うんです。2次災害って、例えば助けに行ったときにその人が被害に遭うというような場合と、それと多分、谷口議員はもっと大きな意味で、ほかで同じようなことが起こらないようにというようなことを言っておられたと思っております。両方とも大事でございますので、それについてお答えを申し上げたいと思います。
 まず、同じようなことがまた起こらないようにということなんですが、特にかなり打撃を受けた堤防のあるところとか、そういうところなんかは、仮に同じぐらいの物すごい水量が来なくても今度は随分脆弱になってるということがございますので、これは早く直さないといけないということでございまして、急いでやっております。
 特に堤防がずたずたになりました那智川については、ちょっとの雨でもまた集落の中に水が来そうな感じもありますので、これは大急ぎで土のうを積んだりいろんなことをやって、小規模な雨では──小規模と言ったってぱらぱらじゃなくて結構降った小規模の雨では、そっちに被害が及ばないように、今、大体対応したところでございます。
 その上で早く直そうということは、これは、河川も、堤防も、砂防も、それから道路もみんな同じでございまして、今頑張っております。
 と同時に、生活を戻さないといけませんから、戻すためにはやっぱりネットワークとしての道路がきちんとできてないと、例えば山仕事にも入れないとか、そういうことになります。そういう意味で、県でできることはもうすべて着手をせよということで、今一生懸命やっております。
 振興局には人員も張りついておりますが、足りないので、当該建設部に本庁からさらに12名応援を出しております。市町村にも同じようなことが言えるので、早く徹底的に着手しようじゃないかということで頑張っております。
 地域の建設業者の方、これが大変活躍してくれてまして、本当に感謝をする次第であります。
 今度は、応急復旧ができますと、本復旧あるいは改良復旧という段階になります。これも急いでやろうということでございますが、これについてはきちんと図面を引いたり、それから現場監督をしたりせないかんので、これの要員を大至急チェックしましたところ、さすがの県全体でも不足だということで、今、関西広域連合に県で19人、それから市町村については10人応援を頼むということで、無理なお願いをしているところであります。
 市町村の10人については、県内の少しは余力のある市町村から被害を受けた市町村へというようなこともアレンジをしまして、残りの部分について10名、これはもう固めまして、県外から来られた人は全部田辺市にというような計算をしております。そういうことで頑張りたいと思います。
 それから、もう1つの2次災害、すなわち無理をしてて建設業者の方がもう1回土砂崩れでやられるというようなことがあったら大変なんで、ここは、例えば雨の日なんかは十分注意をして無理をしないようにしてくださいということをお願いしているところでございます。
 次に、せきとめ湖、天然ダムの話でございますけれども、これについては2つ要素があると思います。
 1つは、一番危ないリスクに備えて、人命だけは絶対に救助せないかんということで、これは田辺市が警戒区域をつくったり避難指示を出したりして万全を期してもらってるところであります。
 もう1つは、早く直さないかんということで、これについては全国であちこちで今までも起こってますし、その都度国交省が知見を蓄えてるし、そういう制度もございますので、国交大臣にお願いをして、これを直轄で対処してくれという話をしました。
 その後、ニュースなんかでも、直轄の方々が開設をしたりしてくれております。どうするかという点については、基本的には、水を抜いて、それから自然に水が抜けるように水路をつくっていくということになります。その工事をし始めているところでもう1個台風が来ましたので、今中断をしてるということでございます。
 これができますと、また戻れる可能性が強くなってくるということで、早くやっていただきたいというふうにお願いをしてるところでございます。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 河川のはんらん防止については、2次災害防止のため、土砂や倒木等の堆積状況の調査点検を行いまして、治水上支障となっている土砂や倒木等を特定し、河川管理者としてこれらの適切かつ迅速な撤去を実施してまいります。
 谷筋エリアの調査につきましては、今回の土砂災害の発生状況にかんがみまして、速やかに空中写真の判読や現地踏査等の調査に着手しているところでございます。これによりまして、各渓流等の状況の把握を早急に行ってまいります。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) まず、専用相談窓口の設置についてでございますが、県では、今回の災害に関する相談におこたえするため、9月7日、新たに県民生活課内に台風12号災害における県民相談窓口を開設し、休日も含め対応しているところでございます。
 窓口では、被災地にお住まいの方の安否確認やごみ処理問題など、多岐にわたる相談におこたえしておりますが、直接おこたえできない場合には、迅速に対処できる国や市、町の関係部署を御案内しております。
 今後、窓口の運営につきましては、被災地の市、町にも相当数の相談が寄せられていると伺っておりますので、こうした市、町との連携も図りながら災害弱者の方々にとっても利用しやすい窓口づくりに努めてまいります。
 なお、被災者の方々の相談に直接おこたえするため、弁護士による移動県民相談も実施いたしますので、こうした機会も御利用いただければというふうに考えております。
 また、相談手続につきましては、被災者の方々の多様なニーズを的確に把握し、負担にならないよう配慮してまいります。
 次に、ボランティアセンターへの県からの派遣でございますが、災害時にボランティア活動が果たす役割は大きく、被災した方や被災地を支える大きな力となります。
 また、現在、ボランティア活動に県内外の多数の皆様の御協力をいただいておりますが、さらに活動を充実させるために、関西広域連合、県内企業及び団体にボランティアの派遣を依頼し、毎日3台のボランティアバスを県社会福祉協議会と共同で運行しているところであります。
 しかしながら、これらのボランティア活動が円滑に行われるためには、被災された方々のニーズを把握し、ボランティアを効率的にニーズに合わせる派遣調整を行う必要があります。
 現在、市、町の災害ボランティアセンターは、地元の社会福祉協議会などの職員、そして県や近畿府県社会福祉協議会の職員の応援により運営しているところですが、一層のセンターの充実を図るため、16日より5市町の災害ボランティアセンターにそれぞれ県職員を派遣したところであります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 市町村への動力噴射機つき軽トラックの配備についてですが、台風12号災害で浸水被害に見舞われた世帯では、家屋・家財の洗浄作業が必要となっております。
 先般、高圧洗浄機10台を購入し、那智勝浦町に配備したところであり、消防団やボランティアによる洗浄作業が急ピッチで進められております。
 議員御提案の動力噴射機つき軽トラックの配備については、軽トラックのほうは被災地で用意することが可能であると聞いてございますので、必要な市町村については高圧洗浄機を早急に被災地に配備し、洗浄作業をよりスピーディーに進めてまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 谷口和樹君。
  〔谷口和樹君、登壇〕
○谷口和樹君 御答弁ありがとうございます。
 現在も、台風が上陸するかということで非常に厳戒態勢であろうかと思いますが、現地ではさらに緊迫を増しております。地元消防団、消防署、市町村と、24時間体制で現地に張りついていただいておりますけれども、まずはこれ以上命を失うことがないように、そういう思いであります。
 ぜひとも、土砂ダムのこれからの対処につきましては、私がおります田辺市も含めまして、熊野川に流れ込む奈良県にある4つのダムについても、多くの皆さんが不安を抱えておられます。今後とも、奈良県にあるダムではありますけれども、全力でその解消に取り組んでいただきたいと思っております。
 私は、今、歴10年の地元の大塔消防団員でありまして、9月の4日から出動がありまして、4日には深谷地区の土石流の現場に、5日には同僚の湯川団員、野口団員、藤田団員とともに、田辺市伏菟野へ行方不明者の救助に行きました。7日には、ヘリで熊野のダムの水量を目視で確認していただきながら、熊野地区の行方不明者の救助に入りました。
 その最初の4日間の中で、現場での活動の中で私が感じたのは、現場でのタイムラグ、現場との乖離とタイムラグ。ぜひとも気づいていただきたい改善点は、知事も気づいておられるかと思われますが、初動での情報収集と指示のレスポンスの改善であります。私が思うに、その最大の原因というのは、現場の肝心な多くの情報の集まる場面で、やはり県職員の姿が欠けていたことではないかと思います。
 現在、災害対策の最前線は、住民とふだんから常に密着している、やはり市町村でありまして、現場のリアルな情報というのは、やはりそこにあります。
 職員の派遣でありますけれども、まずは地元の振興局へ、そしてそこからさらに災害の最前線であります市町村役場へ派遣していただけたら、一緒に行動していただいて一緒にしっかり歩いていただくことで、被害のあった地域の情報を共有できていくと思います。
 現場の活動の中で私が感じたこれから求めることでありますけれども、これから2次災害でこれ以上命を、1人の命も失わないように、こういう思いでしっかり体制を組んでいただきたいと思います。これは要望です。
 もう1つ、2次災害についてでありますけれども、和歌山県ではできる限りのことをやっていただいていると、そういうふうには思っておりますが、現状、この間から芳養、上芳養、上秋津でありましたり、ミカン畑や梅畑の田畑のある場所の被害を見せていただきました。地すべりの兆候であるクラックが、30センチから50センチ地割れしている。20メートルから30メートル上流までその被害が広がっていると。真下には民家があるんですけれど。
 現状の民間の田畑に入ったクラックや地すべりの兆候などには、たとえその民家が真下にあったとしても、行政が差し伸べる手だてがないというのが現状であります。
 たくさん地割れの入った南の中山間の農地やミカン畑、梅畑、今は何とかこの台風を乗り切っていただいて耐え切っていただいてほしいと思うばかりでありますけれども、正直、ある程度ルールを決めてでも──例えば真下に民家があるとするならば、その幅が10メートルを超すと、20メートルを超すと、そういったサイズでありましたり、含んでいる土砂の量でありましたり、ある程度のルールを決めていただいた上で、民間の土地でも、今回の応急の、次に起こる災害の対策に乗り出していただきたいなと、このように思っております。
 いずれにしましても、災害で命を失わない、そのためにこれからの対策に取り組んでいただきたいと思います。
 改めて、この2点をお願いします。
 災害が発生いたしまして、20日余りがたとうとしています。この間、県下で救助や捜索に昼夜を通して尽力をいただいた方々には、本当に改めて感謝を申し上げるところでありますが、まだ県下で行方がわかっておられない方々がおられます。何とかもう少し踏ん張っていただいて、もう少し頑張っていただきたいなと思っております。
 今、大規模土石流の後、土砂ダムができています田辺市熊野の話を少しさしていただきます。
 この熊野という地区があるところは、昭和の合併前は三川村という、そういう名前で呼ばれていました。林業のバブルや、ダムが建設されたり、あと日本でも珍しい集落再編成という、そういうのが行われた村であります。今は本当に人口が減ってしまいまして、2代さかのぼるとほとんどの人間の血がつながると、そういう小さな村でありますけれども、きれいな水と緑の鮮やかな、本当にすばらしいところでありました。
 最近では、三川の地域の方々が、田辺市の中心部であります海蔵寺通りに三川夢来人の館というアンテナショップを地域一丸で運営していまして、三川地区の産品をみんなで販売して、自然の豊かなところでとれたものというのは当然評判もよくて、運営されてる方は大変高齢の方ばっかりですけども、元気に本当に楽しそうにやっていました。今回、土石流の被害に遭われた方もその三川夢来人の館のメンバーでありました。
 本当に深い緑と水がきれいなすばらしいところでありましたが、今回その緑がきばをむきまして、2人の死者と1人の行方不明──1人をまだ見つけることができていません。土砂と倒木に埋もれた村と濁流を見ますと、本当に悲しい限りでありますが、この思いというのは、ルーツを山間部の山村を持つ方にはわかっていただけるかと思います。
 本当に悲しい限りでありますけれども、ただ今はなくした命の悲しみを抱きつつも、まずはダムを解消して、見つけられていない方をもう1度探しに行って、さらにこれからは、もう1度みんなで笑って暮らせる、そういうふるさとを復活させなければならないと強く思っております。
 この台風15号を乗り越えた後は、当然、私の住む田辺市だけでなくて、今回被害の集中した和歌山の南の地域は、お互いに力を合わせて復活に向かわなければなりません。
 過去、我が県にも地震、津波、水害、数々の大きな災害と困難があり、多くのとうとい命を失いながらも、それでも力を合わせて先人たちは乗り越えてきたはずです。50年後、100年後、この大きな災難を乗り越えてきたことを子供や孫に胸を張って伝えられるように、力を合わせて踏ん張っていきたいなと思っております。
 いずれにしましても、先輩方同様、この台風で、今の台風15号でさらなる被害がないこと、命を失わないことを切に祈っております。
 これからの県の取り組みにはなお一層の御尽力をお願いしつつ、一般質問を終わらしていただきます。本当にありがとうございました。
○議長(新島 雄君) 以上で、谷口和樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時39分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 11番服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕(拍手)
○服部 一君 議長に許可をいただきました。ただいまよりやらしていただきます。
 少し前段を申し上げたいと思います。
 議会改革検討委員会が設置されまして、今議会から対面方式をとられることになりました。きのうからそれぞれ質問者の様子、答弁者の様子を見ておったんですけども、少しの緊張感がある中に、番外幹部の皆さん方が質問者に集中されてるということで、少し緊張を持って皆さんやられていると思います。
 そこで、今後この対面方式をやっていくかどうかということを考えながら聞かしていただいてたんですけども、少し、私、感じたことと提案がございます。
 議長の点呼によって少しテンポよく、間合いをうまいことやらないかんのやないかと、このように思います。
 普通、質問者が、総括質問であったら大体半時間ぐらいで重要な質問をされてると思うんですけども、フルに持ち時間を使われて頑張っておられると思います。特に私は感じたんですけども、質問者が答弁者を指定してるわけなんです。そのために、この控席を答弁者も持ってるわけなんです。答弁の順番というのは指定をされておりますので、そんなに変わることないと思うんで、特に奥にいてる番外の答弁者については、卒業証書を授与するような厳かな形で出てこんと、もう少し早く答弁席に着くように、ひとつ今後、それぞれ努力していただきたいと、このように思います。
 もう1つは、質問する側としては、それぞれ現状なり課題なり将来について、執行部に対して質問、ただしていくわけなんですけども──いつも見てるんですけども──答弁される方は、質問者のエリアから外れたことを質問してないと思うんです。しかも通告をしてるわけなんです。そういうことからしますと、自分のエリア、持ち分の中へ入ってくることの答弁については、専門用語を使うて、うつむいて速いこと読み上げるようなことをやらんようにして、少なくとも半分ぐらいは2~3日の間に暗記して、やっぱり「よっしゃ、わかった」というぐらいの、対面式でやりとりをするというのが、これは緊張感とともに活発な議会のあり方やないかなと、このように感じますんで、ひとつそういうことで、できるだけ前向いてお互いに顔を見合いながら話をやろうではありませんか。
 そういうことで、番外執行部の皆さんも、我々も、この改革した対面方式について、長所・短所をお互いに出し合いながら改革して、そして長いこと続けたらこの対面方式はいいなと、このように、私、考えております。
 もう1つは、特に答弁者が演壇に立つときに、勘定してたら4回あいさつする、頭下げるわけなんです。野田総理みたいに頭の後ろまでわかるほど頭下げなくても、議長に敬意を表したら、あとはそんなにお互いの間の中で頭を下げなくてもいいんじゃないかと、このように私、感じましたんで、どうぞひとつ、そんなに頭下げてもうたら、僕偉いんかなと思うて錯覚起こす気がしますんで、そこら今後、我々はそういうことを感じませんので、ひとつそういうふうな形で質問、答弁をしたらと、このように思います。
 15号台風も、どうやら直撃をそれたそうであります。12号台風の損害、状況については、それぞれきのうから皆さんが述べられておりました。
 私も、今度の12号台風の、特に豪雨による災害なんです。昔から「人は水に勝てん」という言葉がありますけども、特に水害の被害が多かって、多くの死者、行方不明が出たということで、御冥福をお祈りしたいと思います。
 また、道路や河川、公共施設、住宅に大きな被害を与えられました。そういうことで、被災者の皆さんにもお見舞いを申し上げたいと思います。
 実は、今回、4日間の一般質問が2日になったわけなんです。我々が所管する建設委員会として、この2日間を有効に使おうやないかということで相談をいたしました。ひとつ被災地のほうへ行ってお手伝いをして現地視察をしようやないかと、こういう相談をしたんです。ところが、我々の委員会が高齢者ぞろいでございまして、行って足手まといになるようなことにならんかなという話も出まして、じゃ、質素に現地視察に行こうやないかと、こういうことになりまして、7名全員が出席し、ガイドも入れずに担当者を随行する中で、クッションの悪いマイクロバスに乗って、できるだけ時間を無駄にしないということで、昼食も走りながら、バスの中でとりながら現地へ向かいました。
 日高川沿線をずっと行かせていただいて、美山、龍神、そして本宮、熊野川と、こういうような形でしたわけなんですけども、話に聞いたり、説明を受けてる以上に大きな被害やなあということを感じました。
 そういった被害に対して一日でも早い復旧をということで、知事を筆頭に、職員の皆さん、それぞれ関係機関の皆さん、ボランティアの皆さんが一生懸命復旧に向けて活躍いただいてるということに心から感謝を申し上げたいと、このように思います。
 知事も申されておりましたように、国の支援を受けながら、議会もともに復旧復興に向けて頑張らないかんなと、こういう決意をした次第でございます。まあ、ともに頑張りましょう。
 次に、知事さんにひとつ感想と今後の取り組みについてお聞きしたいと思います。
 9月の7日に、紀の川市の行政報告会がございました。前回の紀の川市の報告会のときは大雪で中止になったんです。今回計画したら台風の真後やということでありまして、こらうまいこといかんなと思ってたんですけども、会場が満杯になりました。
 知事も、被害対策の疲れも見せず元気よくさっそうと登場していただきまして、約1時間半ぐらいの報告をいただきました。途中、疲れるやろなと思うて見てて、茶を見てたんですけども、封切ってなかったんで飲みにくかったと思うんです。来てくれた人に手渡ししたあの資料もわかりやすく、よくできてたと思います。
 私、知事さんより、和歌山県の現状あるいは課題、今後の取り組みについて、いろいろと報告をしていただいておりました。聞かしていただいてて、隣の方々とも話をしてたんですけども、少しこの時間の中で、12号台風の状況と対策について時間をかなり割いておられたように思うんです。そういう結果、後へ時間が押してきたというような状況になってたと思うんです。しかし、皆、一生懸命静かに聞かれて、いい行政報告会だったと私思います。
 報告が終わりましても、あと質問なり要望をお受けになられて、またその後、懇談されてたと。これはあんまり時間足らんぐらい頑張ってるなということを私、感じました。
 そこでもう1つ、見えられた人に話を聞いたんですけども、紀の川市としては、台風の報告云々はテレビや新聞で見てる、直接紀の川市にあんまり、紀南のほうのような被害もなかったという関係もあったと思うんですけども、京奈和なり、紀の川市を取り巻く道路状況、あるいは地域の課題や今後の取り組みについてもう少し詳しく知りたかったなと、こういう意見がございました。
 そういうことも含めて、今後参考にしていただくという中で、ひとつ感想とともに、今後、行政報告会をどのように取り組まれるか、ひとつお話しいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) ただいまの服部一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 決してへりくだってるわけではございませんが、どうも割合ちゃんと礼をするというのが癖になってるもんですから、大変失礼いたしました。
 行政報告会でございますけども、これは、私、知事になってからしばらくはやっておりませんで、21年になってから、これはやるべきだなと思いついて、それで始めて、今はもう2周ぐらいになってるんですけど、大体各市町村──和歌山市はちょっと人口多いんで何回かやるとして、1年に1回ぐらいは何とかできるだろうということでさしていただいております。
 割合、県庁で県政をやってることについては、記者会見も多くしておりますし、いろんなことをやってるんですが、やっぱりメディアは取捨選択してしか広報して載せてくれない。したがって、これはやっぱり自分でしゃべりに行かないといかんなあということで行かしていただいております。
 人を集める、声をかけていただくというのは結構大変なんで、これは地元の市町村とか、あるいは町内会とかいう方々に随分御尽力いただいておりまして、感謝申し上げております。
 それから、私どものほうから申し上げるだけじゃなくて、やっぱり聴衆の反応を聞いててもいろんなことがわかりますし、それから御意見をできるだけいただくことにしていて、それは聞きっ放しでその場は何かいいかげんに言ってごまかすというんじゃなくて、ちゃんと拾ってお答えできることはして、できないことは宿題として持って帰って対応するというのをきちんとやっております。
 こういうふうにして県民の皆さんと親しく接することができるのは大変ありがたいことだなというふうに考えておるところです。
 なお、先ほどお話がありましたように、ちょっと水害の直後だったもんですから、それについて長くなったかなあという感じがありまして、もともとの自分に対する戒めとしては、県政全体のことをしゃべるだけじゃなくて、やっぱり地元、地元のそれぞれの関心に配慮してしゃべらないかんなと思ってるところですが、今回は少しそれが至らなかったかもしれません。
 今後とも頑張ってやっていきますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○議長(新島 雄君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 今後も大変お忙しいと思いますけども、ひとつ続けられたら、さらに効果が上がるんじゃないかと思います。
 一般質問に入りたいと思います。
 まず、企画部長に質問をいたします。──さっきから言うてたんやけども、控席へ座っとかんと、遠いところにいてるんだから。
 企画部長には過疎対策についてお尋ねをいたしたいと思います。
 和歌山県の人口、もう100万人を切りました。97万人を1つのめどとして、今後、人口減に歯どめをかけようやないかということで取り組んでるわけでありますけども、なかなか今の社会情勢、時代からいきまして、そうはいきにくいんじゃないかという感じがいたします。
 この人口の原因については、県外流出もありますけども、少子高齢化、特に過疎地に対する人口の減少というのは大きな要素を持ってるじゃないかと、このように思います。
 そこで、和歌山県には過疎指定を受けたのが、30市町村の中で16あると思うんです。この指定を受けた市町村、地域については、過疎対策債等も含めまして、いろんな対策、支援というのが行われてると思うんです。
 ところが、この指定を受けてない14市町村、地域についてであります。
 こういった地域は、一見、紀の川市のように派手に見えるけども、かなり山間地が多いということであります。人は少なくなってくる、土地は荒れてくる、地域の活性化ということよりも維持をしにくいというような状況が出てるんです。ここへ手を加えないと、やがて限界集落に近づいてくるというのが、私、目に見えてると、このように思うんです。
 もちろん、生活道路、医療の問題、いろいろ対策、対応があろうと思いますけども、こういった指定を受けてない過疎地域の対策ということについて、どのように考えて、どのように取り組むか、お答えいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 企画部長。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 県下には、急激に人口が減少して高齢化が進展して生活機能が低下している、いわゆる過疎地域というのはたくさんございます。昨年、このために、私どものほうでは、地域の住民の方々とか、また市町村の方々、その地域の固有の課題を洗い出して活性化に結びつけていく、いわゆる過疎集落支援総合対策というのを実施してございます。
 この対策につきましては、もちろん過疎地域のところは対象になっておるんですが、その過疎地に準ずるようなところ、先ほど議員お話がございましたようなところに対しても対象にしてございまして、具体的には、県下に今、10市町村14生活圏で対策を講じておるわけですが、その中には過疎地域の指定を受けてないみなべ町清川地区というのも含まれてございます。
 今後はこういうところの対策につきましても、皆さんと一緒になってきめ細やかな対策をしていきたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 そのように、前向きにこっち向いてやってもうたら結構でございます。
 通告してないんですけども、この過疎指定というのはどこがやるんですか。基準はありますか。
○議長(新島 雄君) 企画部長。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 過疎地域はいわゆる国土交通省というところがやるんですけども、基準というのも、人口の減少率ですとか、それから地域のいわゆる経済の活性化の状況とか、そういうもろもろの状況を精査いたしまして指定をされているところでございます。
○議長(新島 雄君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 私もそういった過疎化が進む地域に住んでいますので、どうぞひとつよろしくお願いしたいと思います。
 次に、農林水産部長に3点ばかり質問をさしていただきたいと思います。
 過疎対策に関連してなんですけども、きのうも雑賀議員、平木議員が質問されまして知事が答弁されましたけども、防災のため池であります。
 私、議員に当選さしていただいて、一番気になって取り組んだのが、このため池なんです。御存じのように、淡路島のあの大震災のときにも池が幾つか決壊して大きな被害が出たということで、この池の決壊ということに対する被害というのは大変大きいもんがあると思うんです。
 平成の17年に国から自治体へ里道水路の払い下げを受けてると思うんです。聞くところによると、和歌山県に5500ほどのため池があると聞いておるんですけども、この払い下げを受けた時点での池の分類というのは、どういうような数字になってあらわれてるんか。官地であるとか、水利組合であるとか、個人持ちであるとかということについて、まず分類の数字をお聞かせいただきたいと、このように思います。──もう一遍に答えてくれたらええさかいに。
 ため池の点検なり今後の対応については、既に部長なり知事のほうから答弁されておりますので、重複の面は避けていただいて結構でありますけども、特に個人持ちの池については、老朽化してるところへ、もう利用してないという池が、これは山間地の山手に行くほどそういった池があるわけなんです。
 私の近くの那賀町から私の実家までの間に、13、池が並んでるんです。上へ行くほど危険な池があるんです。竹が生えたり、木が生えたりというようなことがあるんです。草刈っても、草を焼きもせんとそのままほうるからイノシシが暴れるというような大変危険な状態があると。1つ、小さくても、上の池が決壊しますとドミノ倒し式に大きな被害が出てくる、こういうようなことが起こると思うんです。
 私は、災害防止も含めてなんですけども、池の活用というのも1つの考え方ではないかということを提案したいんですけども──これは水利権者のいろんな意向や考え方もあると思うんで、なかなか一挙にいかんと思うんですけども──そういったことで、ため池の危険度ということについては、特に今後注意を払っていかな、大きな地震が来たら一番先に被害が出てくると、このように思うんです。
 ところが、和歌山県が5000からの池を全部管理するというのはなかなか難しい問題だと思うんです。そこで、それぞれの自治体に、きのうも平木議員が言われておりましたけども、もっと管理や指導をする体制をこしらえて、それを、報告を義務づけるような形をとらなんだら、これ1つ決壊したら大変な県の負担にもなってくると、こういうようなことが、私、起こると思うんです。そこらも踏まえた形で、この老朽ため池の点検なり今後の対応ということをしていかないかんのじゃないかと、このように思います。
 この分類をまずひとつ聞かしていただきたいと思います。
 その次に、鳥獣害対策であります。
 大変な鳥獣害によって、いろんな形であれやこれやと対応をされております。
○議長(新島 雄君) 服部議員、分割質問というふうになっておりますんで。(「しかし、もう一発でいこうや。同じや」と呼ぶ者あり)そこまで。次の……。(「議長の言うようにします」と呼ぶ者あり)
 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) まず、ため池の総数ですけれども、議員から発言がございましたように、約5500、そのうち市町村有が約2000、国有が約400、個人が約2500で、市町村と個人で8割以上を占めております。
 それから、危険度の把握につきましては、繰り返しになりますけれども、平成16年度から、市町村の地域防災計画で危険ため池と記載されてるような池など420カ所でため池の耐震診断を目視で実施いたしました。その結果、危険度の大きいと判定したため池は220ございまして、中で危険度の高い箇所から順次2次診断を進めており、現在、82カ所の診断を終わりました。62カ所が要注意ため池と把握しております。
 それから、新潟県の中越地震等によりまして、農業用のため池の緊急点検を平成17年度に、全国一斉ですけれども、実施いたしました。このときに、0.5ヘクタールから2ヘクタール未満のため池1287カ所については、市町村のほうに診断をお願いいたしました。それから、2ヘクタール以上の受益面積のところ1143については、県のほうで診断を実施いたしました。
 その結果、2ヘクタール以上の県が診断したところについては、72カ所が早急な整備が必要と考えております。また、市町村で行っていただいたところについては、176カ所が危険と考えております。
 こうした情報につきましては、市町村並びに地元のほうに、市町村を通じて情報を提供しております。
 それから、日常点検推進のためにマニュアル、冊子を作成いたしまして、いろんなチェックポイントを記載しておりますけれども、そのマニュアルを基本にため池の現状把握を行うように指導しております。
 先ほど発言がございましたように、市町村に点検の状況、これを今後、毎年ということはなかなか数が多いから無理とは思いますが、点検の状況を報告していただいて、漏れがないかをチェックしたいと考えております。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 数のことですけども、早急に点検をしていただきたいと思います。そうでなかったら、那賀町のあの愛宕池のように、点検をしててもああいう決壊が起こるということがありますんで、地元の管理したり、よく知ってる人の意見も聞くのも1つではないかと、このように思います。
 では次に、鳥獣害対策についてお尋ねいたします。
 農業をやってる人、あるいは家庭菜園をやってる人まで、この鳥獣害の被害に大変悩んでる。収穫前にそがれるということで、意欲ものうならなしてくるというふうな、こういう状態の中で、もうぼちぼち頭へ来てるというような状況が出てると思います。
 そこで知事さんも奮発して今年度は鳥獣害対策費を3億100万と倍増されたわけなんですけども、防護に力を入れてるのか、さっぱり鳥獣害の動物等が、鳥獣の数が減らないというのが現状であると思うんです。
 そこで、捕獲に力を入れるという対策というのが、これは大きな課題じゃないかと思うんです。ところが、捕獲するには、わなの規制、許可等が出てくると思うんです。ここらをもっと和歌山県独自の捕獲体制というのができないもんかなということを常々考えるわけなんです。
 猟友会の皆さん方も鳥獣害対策に対して大変努力をいただいてるわけなんですけども、めったに当たらんのか、撃って提げてんの見たことないんです。犬がほえるから山を越えて向こうへ行きますけども、猟期が終わったらまた戻ってくると、こういうような繰り返しが続いてるわけなんです。
 この鳥獣害対策の予算の執行の仕方は、現在どないなってるか。どういうようなもんに執行してるのか。また、事業年度までにどういう計画をされてるのか。それと、防護よりも捕獲ということにどういう思い切った対策を講じるのか。御答弁ください。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 今お話がございましたように、本年度から大幅に予算を増額し、捕獲、防護、環境整備を3本柱として総合的に実施しております。
 ただ、後ほど申し上げますが、私どもは「守る」から「とる」ほうに重点を移しつつございます。とるほうにつきまして、シカの管理捕獲なんですけれども、ことしの4月から5月20日までの間、県下全域で管理捕獲を行いまして、1500の捕獲目標をほぼ達成いたしました。
 それから、有害鳥獣の捕獲全般についてでございますけれども、8月末現在の時点では、昨年に比べて1.8倍の捕獲の実績を上げております。
 なお、参考までに申し上げますと、防護につきましては、昨年まで2戸以上となっておりました設置要件を緩和いたしまして、つまり単独1戸でもでき得るように改正いたしまして、前年度の2.7倍に予算を大幅に拡充いたしまして、それでも市町村からの要望に満たないので、また改めて補正等をお願いしたいと考えております。
 それから、環境整備ということなんですけれども、集落に鳥獣を近寄せないということも非常に大事でございますので、ことしから県下7カ所に1カ所30万円の予算で、何に使ってもいいですから鳥獣害を防ぐための仕組みというんですか、いろいろ地域に応じて工夫してくださいという予算も新しく設けました。
 次に、先ほど申し上げました防護から捕獲ということなんですけれども、例えば先ほど申し上げましたシカの管理捕獲。管理捕獲というのは、これは個体数調整でございまして、まさにとる対策に重点を置いた取り組みでございます。
 また、新たに本年度から現地で、わなの仕掛け方というんですか、わな猟の捕獲技術研修を実施することといたしまして、これまでに県下8カ所で研修を行い、264人の方に受講していただいております。
 それから、今、第11次の鳥獣保護事業計画というものを来年4月からの施行に向けて策定しておるんですけれども、その中で、私どもとしましては、有害鳥獣の捕獲効果が上がるような方法を検討しております。
 具体的には、例えばわな猟について、狩猟免許を持っていない人でも補助者としてわな猟の有害鳥獣捕獲に参加できる仕組みをつくる、あるいはわな猟の捕獲従事者を、今、狩猟経験が2年以上ないとだめなんですけれども、これを1年に短縮する、こういったようなことを具体的に検討している、そういう状況でございます。
○議長(新島 雄君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 池のコイの数を読んでんのと違うて、いてる数がわからんと思いますんで、もう全力挙げて捕獲に対策を講じていただきたいと思います。
 時間が迫ってきましたので急ぎます。
 射撃場の建設について、お答えをいただきたいと思います。
 この射撃場の問題については、当初は今度の国体に向けて、国体の競技場も併設した形でということで発想が出まして、応募した結果、湯浅町が手を挙げられて調査に入り検討したという中で、条件がそろわなくて中止になったということがあります。以後、それぞれこの問題についても議員からも質問がされたと思います。
 この射撃場の建設については、とにかく3つの条件をクリアすることという1つの条件が、ついてると思うんです。今から考えて、国体とともにというような射撃場は、時間的にもなかなか難しい問題があろうと思います。ただ、猟友会、クレーの皆さん方がこれに向かってということで、要望もかなり出てきております。今のところ、紀の川市にその候補地があると聞いてるわけなんですけども、なかなかこの3つの条件をクリアしようと思うたら難しいという問題があると思います。
 要は、特に猟友会の皆さん方がおっしゃるのには、銃の更新のときに実射をせないかん、あるいはまた練習、訓練も必要やということが1つの大きな目標だと思います。そういったことを仮に満たすとしても、やはり前から言ってるこの条件をクリアしてもらうということに変わりはないのかどうかということなんです。
 ある程度方針なり方向を決めないと、何とかしたら、要望していたら、これ、できんの違うかなということになってくると思うんです。県の財政支援そのものも、するのかしないのかということ、今のところはっきりわかってないような状態だと思うんです。
 そういったことを総合する中で、今後、射撃場の建設ということについて、ほんまに取り組むんかどうすんのかということをひとつはっきりと言うといてくださいよ。農林水産部長、お答えください。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 正直に申し上げまして、農林水産部長として答えるのは難しいところがございますが、射撃場につきましては、昨年6月、12月の本会議においても申し上げましたように、3つの条件が現在も基本となっております。
 1つは地元市町村の応分の負担、市町村による住民同意の取りつけ、それから運営主体の存在、つまり県費を投入しなくても自前で回っていける運営という、この3つが基本条件となっております。
 私といたしましては、この3つの条件は計画を本格的に検討するための前提条件であると理解しております。つまり、この3つの条件が確実に担保された上で、雇用あるいは狩猟効果とか、その他いろいろ地域経済への波及効果等を検討いたしまして、その上で、議員発言がございましたように、財政状況、非常に厳しき現下において設置すべきか否か、大局的な立場から最終的な判断がなされるものと受けとめております。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 大変な決断が要るだろうと思います。
 要は、先ほどから言いましたように、猟友会あるいはクレーの皆さん方の更新なり練習ということを想定する中で、今回どこでお借りすんのか知りませんけども、800万の事業費の中で420万ほど県がそういった皆さん方に補助するというように提案されてると思うんです。遠いか近いかわかりませんけども、そういった熱望する皆さん方の要望を満たすという面から考えて、そういった射撃場の設置に向けて取り組もうとしてる皆さん方とも、費用の面でも経費の面でも一遍相談をして進めてはどうかと、このように思ってますんで、そこら、その辺取り組んでみてくださいよ。──もう農林水産部長はそれで結構でございます。
 次に、教育について御質問を申し上げたいと思います。
 質問の前に、西下教育長がさっそうとデビューをされました。教育畑を長いこと歩まれまして立派に指導もされてきた、そういった手腕を抜てきされて教育長に就任されたわけなんです。大変私も、元気のあるところで期待をしております。
 就任時のあいさつの中でも触れられておりましたけども、ひとつここで和歌山県の教育のあり方ということ、教育長の指針をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 温かい激励の言葉、ありがとうございます。
 教育長に就任して以来、今日の本当にさまざまな社会状況に思いをいたして、改めて教育というのは、未来への責任であるということと同時に、和歌山の元気というのは子供の元気からだというふうに痛感しております。
 教育は、古来、「国家百年の大計」であるとも言われてます。あすの和歌山、将来の日本のために、まず地域を、ふるさとの伝統文化を大切にしながら、どのような困難な状況にあっても社会を支える、そういう国際社会で活躍できる志の高い人材というものを育成してまいりたいというふうに考えてございます。
 具体的には、県内のすべての学校において、基本的理念ですが、お互いに子供たちが支え合い、励まし合い、競い合い、鍛え合いながら、本当にたくましい人材となるよう、そういう教育を推進してまいりたいと考えてございます。
 また、教育を取り巻く、特に和歌山県の状況を考えてみますときに、とりわけ学力だとか体力の向上、また厳しい状況にある高校生の就職状況、生徒指導に係るさまざまな諸問題、そういう早急にしなければならない諸課題が山積しておりますので、こういう問題に対しては、早急に、積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。
 また、今回の台風12号や東日本大震災の甚大な被害を通して、私も各学校を回ってみましたけども、改めて感じたことは、学校は地域に支えられてるということでございます。地域から信頼される学校、地域が誇りに思える学校であるということが何よりも大事ではないかというふうに思っております。
 地域と一体となった幅広い防災体制といったことも含め、地域と学校がともに子供をはぐくむということを柱にした、夢と希望をはぐくむ和歌山らしい教育というものを実現したいというふうに決意を新たにいたしております。
 こうした観点から、教育委員会といたしましては、これまでも地域共有コミュニティなどに取り組んでまいりましたけども、この取り組みを一層充実させ、地域ととともに歩み、県民から本当に信頼される教育というものを実現したいというふうに考えてございます。
○議長(新島 雄君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 今、すばらしい考え、取り組み方を聞かしていただきました。うまくやっていただきますと長いことやっていただけると思いますんで、またひとつ頑張っていただきたいと思います。
 次に、2点ばかり、関連してますので、もう一括して答えてください。
 和歌山北高校と和歌山西高校の統合であります。
 これは、教育長が就任する前からこの構想というのは出てたと思うんです。地域の皆さん方あるいはPTAの役員の方々、また地元の議員さんあたりとの話し合いもあったんじゃないかと、私、このように思うんです。
 学区制がのうなりましたので、紀の川筋からでも志願できるわけなんです。「今度、北高と西高、統合するらしいな。どんな学校になんのよ」という話を聞くわけなんです。志願をしようと思てる子供は、立派な学校になるんやろなあということを期待してるわけなんです。
 ところが、具体的な施設なり、いろんな構想というのは聞いてないし、これを聞こうと思たら、まだ発表する段階じゃないと、こういうことなんです。私、これから聞きますけども、言うて悪いことは言わんで結構でございますけども、後で私の考え方を述べたいと思います。
 まず、この北高と西高が統合に向いたということについての考え方、取り組みと、また長所、短所──利点、短所というんかな──これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
 もう1つは、西高に支援学校を併設されるということなんです。理由は、支援学校の生徒数がふえてきたと、こういうように聞いてるわけなんです。園部に分校があり、また有功ケ丘学園もあるわけなんですけども、このコスモス支援学校が西高に併設されるという1つの理由をお聞かせいただきたいと思います。お答えいただいて後、私の考え方を申し上げたいと思います。
○議長(新島 雄君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 今、統合する和歌山西高校と和歌山北高校の問題でございますけども、校名は和歌山北高等学校として、現和歌山西高等学校の場所が統合校の西校舎、現北高校の場所が北校舎というふうにする予定でございます。
 この統合校になったいきさつというのは、私が承知してる範囲では、いわゆる生徒数の減、あるいは校舎の敷地の問題、それから老朽化の問題、そういうさまざまな問題から、統合してよりよい教育をしていこうということが出発点だというふうにお聞きしております。そういう中で、北高校のよさと、それから西高校のよさを生かしながら、学業とスポーツの両面で特徴のある学校を目指していきたいというふうに考えてございます。
 特に、北は北、西は西の生徒の特性がありますから、そういうものの中で、学力面では、生徒のさまざまな願いにこたえる教育を実現するために多様な科目を設置して、大学へ行きたい者、あるいは看護等医療関係の学校へ行きたい者、あるいは公務員等へ行きたい者、そういうふうな幅広い生徒の願いにこたえる教育を進めてまいりたいと、特にクラブ活動にも力を入れながら、たくましく心豊かな人間性をはぐくんでまいりたいというふうに考えてございます。
 特に、スポーツ健康科学科というものを併置していきますので、そこでは、トップアスリートの育成はもちろん、将来スポーツに携わる人材の育成にも力を入れていきたいというふうに思ってございます。
 スポーツ健康科学科でございますけども、これまで和歌山北高等学校で取り組んできた体育科の教育内容を基本としながらも、新しく時代に即応した健康だとか医療、科学分析などの要素も含め、従来の生徒の競技力の向上を図ることはもちろんですが、スポーツトレーナーや、あるいはインストラクター、あるいは健康や医療、福祉関係など、将来スポーツを基本として健康に関連した職業に携わる人材の育成に力を注いでまいります。
 統合校の環境整備という点では、授業やクラブ活動において、北校舎と西校舎の両方のグラウンド及び体育館の有効活用を進めるとともに、今後一層の競技力向上を図れるよう、本県の高校のスポーツの拠点校として、中心校として体育施設の設備の充実に向けた計画を立ててまいりたいと考えてございます。
 寄宿舎の設置やトレーニング設備の充実、授業で取り組むスポーツ科学や健康に関する分野の機器の充実についても図ってまいりたいというふうに考えてございます。
 特に、先ほど特別支援学校のお話ございましたけども、和歌山市内における特別支援学校児童生徒数が増加をいたしております。そのことに伴って、特別支援学校の適切な配置とその教育の充実を図るために、新設の特別支援学校を統合校の西校舎に併置して開校することにいたしております。
 この統合校と特別支援学校が1つの校地になりますけれども、西校舎は通常の県立高等学校の2倍近くの校地がございますので、両校ともに円滑な学校運営ができるというふうに考えてございます。
 魅力ある新しい学校を創造してまいりたいというふうに考えてございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 服部 一君。
  〔服部 一君、登壇〕
○服部 一君 もうあと答弁は要りませんけれども、今の答弁に対して私の考え方を申し上げたいと思います。
 1つ2つ、私、現時点において気に入らんことがあるんです。
 この間、教育委員会からだったと思うんですけど、お知らせということで、学科名の変更ということで来ました。志願数については後日お知らせしますと、こういう文書であったと思うんです。
 私は、この北校と西校の統合については早くから検討されて、こういった構想というのは知事にも報告というか相談をされてると思うんです。
 教育委員会制度というのは、昔は政治と教育が一体化してたんですけども、今の教育委員会制度については、いかに信任を受けた首長であっても学校教育の運営には入り込めないと、こういうことがあるわけなんです。ところが、いよいよという今の構想、計画を実現しようと思いますと、建築費、施設費等は、これ、議会の議決がなかったら進まんわけなんです。
 私は、いろんな角度からうわさが入ってくるわけなんです。情報も入ってくるわけなんです。特に、今、教育長は、運営面、いろんな面で答弁されましたけども、施設の面については触れられませんでした。これは、今、教育長としては言えない立場にあるんかなと思うんですけども、これは私、不思議に思うんです。
 来年からいよいよ統合が始まる、新高校が始まるということで、施設の設計については来年の予算に上げてくると、私、聞いてるわけなんです。予算の編成、査定というのは、もう間もなく、10月になったら入ってくると思うんです。知事の査定は遅くとも入ってくると思うんです。その時点で全体の構想、施設も含めた構想がなかったら、その中の一部だけ議会へ提案するということをしても通らんわけなんです。なぜこういった大きな構想が、大きな経費も事業費もかかるというような状況のもんが、全体に伏せとくというか、話ができないんかということ、私、不思議なんです。
 私、考えるのに、早くそういった大きな全体構想を打ち出したら財政のほうから締めが来るん違うかなということで気遣いしてるの違うかなと、こういうふうに私、思うんです。
 こういった日本にもない立派な学校をこしらえようかと、施設もこしらえようかという中で、私聞くのに、プールは50メーターで3コースか4コースぐらいやと、その上に格技場を建てたいんだと、トラックは400メーターとりたいけども、370メーターしかできやんのやと、こういう話を聞いてるんです。
 ほんまかうそかということは確認しませんけれども、こういった、今言われたように日本でも有名な立派な生徒、選手を養成するという、科学的なもんも入れた中でというような状況の学校をつくっていくについては、中途半端違うんかという気がするんです。やっぱり思い切った将来に向けた施設ということを今すべきと違うんかと。私、反対じゃないんです。支援をするんです。
 財政もよう聞いておいてほしいんですけども、こういったすばらしい取り組みで、国体に向けても頑張っておられますし、そういったスポーツ選手、体育ということについて、ひとつ和歌山県としてすばらしい全国的なもんにすんのやというぐらいの気構えで望まなんだら、財政で締められんの違うかなという心配してたら、何にもできやんと思うんです。
 そういったことについて、この施設面については、西高校にも寄せてもらいましたけども、かなり広いですよ。ところが、370メーターの中途半端なトラックって、ほかへ行ったってないんですよ。だから、そういったことも今後まだ考える余地があるんだったら考えてはと思うのと、もう1つ、支援学校の新設なんです。
 支援学校の生徒がふえてきたから、西校舎、西高へ、敷地も広いしということを言われておりますけども、これ、健常者というか、健康な子供が西高にいてるんですよ。そこへ支援をしてあげやんなん子供が同じ敷地内へ来るんですよ。どういった運営の仕方をするかということの中に、子供同士の弊害が起こるんと違うかなということを私自身感じるんです。
 願わくば、その支援してあげやんなん子供の数がふえてくるというような状況であるんなら、思い切っていろんな将来の社会復帰ができるような、そういった設備、環境をそろえた1つの学校をこしらえてやるべきと違うんかと。そうしますと、有功ケ丘学園、そういった福祉関係の学校も1カ所へ寄せられると。まだまだそういった検討の余地があるんだったら検討してはどうかと。
 学生寮もこしらえるという状況も聞いてますけども、支援をしてあげやんなん子供たちがプールで泳いでる、格技場で騒いでるのを見たときに、同じ温泉プールで入ろうと思たて、正規のプールというのは2メーターからあるから入られへんですよ。
 いろんなことを想定する中で、この支援学校の新設ということも、今もう考えられやんのかどうかわかりませんけども、ひとつ体育施設の思い切ったそういう学校をつくるんだったら、支援学校の施設も一遍考えてみてはどうかなと、このように思います。また、いろいろ提案されてきた時点で詳しく聞きたいと思います。
 これで、以上、一般質問を終わります。
○議長(新島 雄君) 以上で、服部一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しを得ましたので、一般質問をさせていただきます。
 まず最初に、このたびの台風12号による災害は、台風や豪雨災害としては明治22年や昭和28年の大水害にも匹敵する被害を、和歌山県内はもとより隣接県にも及ぼしました。災害で亡くなられた皆様や御家族に心からお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様を心からお見舞い申し上げたいと思います。
 また、この災害では、豪雨が長時間続く中、県職員はもとより市町村職員、消防団員の不眠不休の活動、また国や他府県からの御支援もいただき、このことには心から敬意を表したいと思います。また、ライフラインの確保や介護サービスの提供などで奮闘された民間企業の方も大勢いらっしゃいます。この活動にも感謝を申し上げたいと思います。
 何といっても今回の災害の特徴は、きょうの台風15号のこともそうですが、豪雨によって痛めつけられた箇所がいまだに落ちつかずに、その被害が継続をしているという点であります。大変な長期戦の様相になっております。どうか、職員の皆さんも適切な交代などをされながら、休むときには休んで、この災害への適切な対応に頑張っていただきたいと願っております。
 それでは、質問に入ります。
 まず1点目、台風12号による被災者支援について伺います。
 最初に、被災された皆さんが利用できる制度の周知について伺います。
 内閣府が発行している「被災者支援に関する各種制度の概要」というパンフレットを私はいただきました。それは分厚いもので、それを見ると本当に多種多様な制度がありますが、決してわかりやすいというものではありません。
 そこで伺いたいのは、被災者支援制度の周知、これをどのようにしていくのか、答弁をお願いしたいと思います。
 次に、罹災証明の発行とその支援について伺います。
 これから市町村にとって一番大変になってくるのが罹災証明の発行事務だと私は思います。現場へ行って壊れた家を1軒1軒訪ねながら住居の状況を確認して証明書を発行していく、本当に大変な作業になってくると思います。
 そこで、県としてどのような支援ができるのか、場合によっては直接の支援もあっていいと思うのですが、御答弁をお願いしたいと思います。
 次に、医療や介護など、市町村への指導と財政支援について伺います。
 被災者に対して市町村が実施する制度では、国保の保険料や医療費の窓口負担を減免する制度や、介護保険料や利用料、後期高齢者医療の保険料や自己負担の減免などの制度がございます。このような制度を市町村が積極的に活用するよう、県のほうも指導を強化されたいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、そうした減免を実施した場合には、市町村の財政負担に対して県もしっかり支援をするべきだと思うのですが、いかがでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
 次に、県税の軽減措置等について伺います。
 県の制度としては、各種県税の減免や徴収の猶予などの制度があります。こうした県税の制度について、どのように運用し、周知していくのか、総務部長の答弁をお願いいたします。
 次は、被災者に対する相談窓口についての要望でございます。
 これは、先ほど谷口議員の質問にもありましたので、このことについて、本当に県庁へ電話をされた方が困らないで、「ああ、よし、納得した」というような心持ちになれるようにしっかりとした対応をしていただきたい、このことを強く要望して、この項を終わりたいと思います。
 次に、この被災者支援の問題の最後に、高校生の通学困難者とその支援について、県教育委員会に伺います。
 各地で道路が寸断され、復旧には長時間かかるところもある中で、高校生の通学困難者が出ています。現時点で通学困難者の数をどのように把握されているのか、お示し願いたいと思います。
 また、自宅は被災していなくても道路の事情で学校に行けないということは、被災者と言うべきかもしれません。中には、既に自宅からの通学をあきらめ、新たに入寮手続をしたり、近くにアパートを借りて対応している御家庭もあるようですが、その経済的な負担は重いものがあります。
 そこで、県教委として、今回の台風被害に伴う生徒への支援や通学困難を解消するためこれまでどのような手だてを打ってきたのか、答弁をお願いしたいと思います。
 以上で、第1項目めの質問を終わります。よろしくお願いいたします。
○議長(新島 雄君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) まず、被災者が利用できる制度の周知についてお答えをいたします。
 今回の台風12号の災害では、本年9月2日付で、田辺市、新宮市、それから日高川町、那智勝浦町、古座川町に災害救助法の適用を決定いたしました。また、同日付で被災者生活再建支援制度を適用したところであります。
 こうした被災後の生活面の支援や住まいの確保、再建のための支援制度等の概要を取りまとめた内閣府が作成いたしましたリーフレットを各振興局を通じて市町村に配布をし、被災者の皆様に周知を図っているところであります。
 今後はさらに市町村への支援を強化し、自治会や民生、それから児童委員の協力も得ながら、被災された方々に直接パンフレットを配布して制度の内容を説明してもらうなど、さらなる周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
 それから、罹災証明の発行と支援についてでございます。
 罹災証明書の発行につきましては、住家の被害を調査して被害程度を認定する作業が必要となるため、9月13日に内閣府の担当官を招いて、県内市町村職員等を対象として、住家の被害認定に関する説明会を開催いたしました。
 また、9月14日から2日間、関西広域連合の御協力を得て現地研修会を開催するなど、市町村の体制強化を支援しているところであります。
 さらに、県としては、被災市町村からの要請を受けて、住家の被害認定業務について職員を派遣するなど、最大限支援することとしています。
 今後、社団法人和歌山県建築士会、それから同じく和歌山県建築士事務所協会、それから同じく建築家協会近畿支部和歌山地域会の協力も得ながら、早期に被害認定業務が完了し、罹災証明書がスムーズに発行できるよう支援していきたいと考えております。
 それから、医療や介護など、市町村への指導と財政支援でございますが、災害により市町村や和歌山県後期高齢者医療広域連合が医療に係る保険料や一部負担を減免した場合には国の財政調整交付金による一定の支援が講じられていることから、被害状況に応じて適切な措置を講じるよう指導しております。
 保険料の減免は広域連合と全市町村が取り組んでいますが、一部負担金減免は広域連合と6市5町にとどまっております。今回災害救助法が適用された2市3町は、一部負担金減免に対応できていませんので、速やかに減免要綱を策定するよう必要な指導を行っているところであります。その他の市町村に対しても、速やかに策定するよう指導してまいります。
 市町村には、県においても国保財政調整交付金による一定の支援を既に講じておりますが、現在、被害状況の収集に努めており、その結果を踏まえて交付基準を検討したいと考えております。
 介護保険につきましても同様に、各市町村が保険料や1割自己負担の減免が可能で減免額が一定以上になった場合、当該市町村に対して特別調整交付金が交付される旨を既に通知し、助言をしているところであります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 総務部長米澤朋通君。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 県税の軽減措置等の運用周知についてお答えいたします。
 被災者の皆様方の被災状況等に十分配慮し、県税については、申告等の期限の延長、減免、そして徴収猶予などの措置を講じることとしております。
 また、制度の内容につきましては、県ホームページへの掲載等により周知広報を図るとともに、相談窓口を設置し、個別に被災者の皆様方の相談に応じることとしております。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 高校生の通学困難者と支援についてお答えします。
 台風12号の災害によって通学困難になっている生徒数は、9月20日の時点で11高校177名であり、保護者の送迎や寄宿舎への入寮、親類宅への同居などで対応してるケースもありますが、いまだ通学できてない生徒もございます。
 各学校では、災害直後から教員が家庭訪問を行うなどして生徒の安否を確認するとともに、生徒や保護者からの学校生活にかかわる相談に乗るなど、きめ細かな支援を行ってございます。
 教育委員会といたしましては、JR等の運休に対してバスをチャーターし通学手段を確保するとともに、通学路の復旧に時間を要すると思われる生徒に対しましては、寄宿舎等、県が保有する施設の活用を働きかけるなど、学校と連携をとりながら鋭意対応しているところでございます。
 また、特に配慮を要する生徒については、スクールカウンセラーを活用し、生徒の心のケアを丁寧に行うとともに、教科書等の学用品を喪失した生徒には支給手続を行うなど、できるだけ早く通常の学校生活に戻れるよう支援に努めているところでございます。
 今後とも、被災した生徒たちが安心して学校生活を送ることができるよう最大限の支援を行ってまいります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 要望させていただきます。
 被災者支援の中で、私ども回っておりまして、よく声が寄せられます。今、県の発表では、田辺市や新宮市など5市町が被災者生活再建支援法の適用になってございます。これが適用されるのとそうでないのとでは本当に支援の内容に差が出てくるわけなんですけれども、例えば私の地元でも、上富田町の中で明らかに土砂災害で全壊された世帯もございますし、白浜町でも、家を増築していたやさきにやられたというおうちもございます。こうした方々は、「じゃ、外れているから何の支援も受けられんのか」と、そういう心配もされております。
 私は、今回の災害の規模からいっても、県全体として、近々こうした被災者生活支援法の適用になるというふうに思ってるんですけれども、今のままですと、指定された5市町以外の方はもう対象にならないんだというように解釈をされてる方が大変多いように思います。どうか、そうした点にも配慮をしていただいて──そういう解釈でよろしいと思うんですけれども、福祉保健部長、うなずいていただいてるんで──この点、よろしく周知のほうを要望したいと思います。
 この項、終わります。
 第2項目の河川改修について伺います。
 最初に、河川整備計画の策定状況について伺います。
 県内には、2つの1級河川と、そして85水系ある2級河川があるわけですけれども、これについての河川整備計画の策定状況をお示しください。また、全国的にはどのような状況になっているのか、あわせてお答えをいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 高田議員、分割でございますんで、この項すべての質問をよろしくお願いいたします。
○高田由一君 済みません。失礼しました。
 次に、2問目、河川への排水ポンプの配備について伺います。
 今回の台風被害で県内の主要河川ではんらんが起こりました。こうした本流のはんらんについては、先ほど申し上げた整備計画をしっかり推進していく必要があるわけですが、今回は雨量が大きかったこともあり、本流に至るまでの支流や排水路があふれた事例というのが大変多くあると思います。
 その中でも、新宮市で被害の大きかった相筋地区や、あるいは私の地元、日置川の田野井地区では排水ポンプの設置を切望されています。実際、ことしの6号台風のときも、今回の12号台風のときでも、民間業者の排水ポンプを総動員して、この日置川なんかでは排水をしたわけです。こういう大事なことは民間任せでいいのかというふうに私は思うんです。やはり行政が責任を持って排水ポンプをつけるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
 そこで、伺います。機動的な排水対策としての排水ポンプ車や排水ポンプの現在の保有状況と今後の配備、設置計画をお示し願いたいと思います。
 また、市町村が排水ポンプを設置した場合、それに対しては県も財政支援をされてはどうでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
 次に3つ目、紀の川や熊野川など、県内の1級河川の管理について伺います。
 例えば熊野川ですが、その管理は、国、和歌山県、三重県、奈良県と、流域によって管理者が異なっております。そのうち国が管理するいわゆる直轄区間は下流の5キロのみで、和歌山県が管理する区間の流路延長は、本川、支川を合わせて約181キロと長大なものになっています。また、この水系には全部で11のダムがあり、その管理も、国、関西電力、電源開発と複数に分かれています。
 このように、熊野川ではダム管理も含めると大変複雑な管理になっており、情報も一元化されておらず、今回のような大洪水に対処するには問題が多いわけです。
 例えば国は、水防法に基づいて、直轄管理する下流の5キロ区間については洪水予報河川と指定して、豪雨などの際には水位予測をしていますが、いかんせん、下流5キロだけの計画です。熊野川の大部分を管理する和歌山県や奈良県、ダム管理者との連携がとれていないのではないでしょうか。例えば今回の洪水でも、国や電源開発のダムの放流予想もわからないまま対応しようとしても無理がくると思います。
 そこで、県土整備部長に伺いますが、1級河川の統合的な管理ということを目指すべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。答弁をお願いします。
 最後に、知事にお伺いします。
 先日の「毎日新聞」のインタビューの中で、豪雨時の河川の水位変動を細かく予報する河川水位シミュレーションを導入すると言われたそうですが、このことについて知事のお考えをお聞かせください。
 以上で、2問目を終わります。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 最後に御指定のありました河川の降雨量によるところの水位のシミュレーションという点について申し上げたいと思います。
 これは世の中のどこにもないということだと思います。私は、被害地を見ておりまして、被災者の方のお話をお伺いしてたら、避難指示はあったけども、逃げても逃げても水が来たとか、そういう今回は本当に異常な事態がありました。ふだんの水害のときだったら避難して所定のとこへ行って大丈夫だったと思うんですが、これはちょっと大変だったというふうに思いました。
 そこで、こういうことができるんかどうかはわかりませんが、降雨量の実際に降った量と、それから今後の予測というものを足し合わせると、水系全体でどのぐらいの水の堆積ができて、これが川に流れていくと、どの地域ではどのぐらいの水位になるというような分析ツールができれば、これは随分役に立つなあというふうに思いました。
 そこで、そのとき申し上げましたが、今は緊急応急対策に大わらわですから、こういうじっくりとしたやつは今はできません。しかし、落ちついたら、一遍こういうことができないもんか国とも相談しながら勉強してみたい、こういうのができてればまた違う対策が打てるんじゃないか、そんなふうに思いました。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 1級河川の統合管理に係る情報の共有化、一元化ですが、防災力を高める上で、関係機関で連携しまして情報を共有することは大変重要だと考えております。
 雨量や河川水位、ダム情報等の必要な情報は、既に関係機関で共有が図られているところでございます。また、国と和歌山県、奈良県、三重県の河川水位、雨量、ダム情報等は、一部を除き、国土交通省のホームページで一元的に公表しております。
 一元的に公表されていない利水ダムの情報についても、一般へのわかりやすい情報提供の観点から、一元的公表を提案してまいります。
 次に、河川整備計画の策定状況でございます。
 現在、2級水系85水系のうち6水系、1級水系では策定予定の5圏域のうち2圏域で河川整備計画を策定しております。
 また、全国の策定状況ですが、1級水系について取りまとめられたものはございませんが、2級水系につきましては、平成21年4月1日現在、38都道府県で計画が策定されております。最多は山口県の26、全国平均は7となっております。
 今後とも、河川整備計画の早期策定に努めてまいります。
 最後に、排水ポンプの配備についてでございます。
 県では、現在のところ、排水ポンプ車や排水ポンプは保有しておりません。
 議員御指摘のとおり、内水はんらんには機動的に対応できる排水ポンプ車が有効であると考えております。県といたしましては、排水ポンプ車を3台、順次配備する予定としておりまして、海草振興局と西牟婁振興局には今年度中に排水ポンプ車各1台の配備を行う予定としております。
 市町村が行う内水対策への支援については、財政的な支援は困難ですが、排水ポンプ車を広域的かつ機動的に運用することにより支援してまいります。
○議長(新島 雄君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 河川の統合管理ということを私は求めたわけなんですけれども、御答弁にもありましたが、例えばこの熊野川のダムの情報といいますと、情報的にも国交省のホームページで一元化をしている、公表してるということなんですけれども、例えば大きなダムで言えば、電源開発と国交省の持ってる7つの大きなダムのうち6つが電源開発で、一元的には公表できていないわけですね。だから、7分の6ですから、統合できていないところのほうが大きいと私は思います。
 それで、ぜひこの水害を機会に、知事にも申し上げたいんですが、1級河川の統合管理ということについて踏み込んで国のほうにも要望していただいて、やはり1級河川ですから一元的には国の責任ということになってくると思いますが、そのことを国に求めていただくよう、ここで強く要望しておきたいというふうに思います。
 以上で、この項目を終わります。
 次に3つ目、ダム問題について伺います。これは一問一答形式でお願いしております。
 今回の水害を受けて、あちこちでダムについての御意見が噴出しております。私は、ダムの防災力を少しでも高めるために施設や運用の改善をすることを求めたいと思います。
 最初に、ダムの防災機能について伺います。
 今回大水害となった新宮川の水系に民間事業者や国が管理するダムが11あります。また、日置川には関西電力のダムが1つあります。合わせて12個ありますが、まず最初に伺いたいのは、私が今取り上げたこの12のダム、このうち洪水を調整するという機能を持ったダムは一体幾つあるのですか。答弁をお願いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 県管理外の12のダムについてでございますけども、新宮川水系に所在するダム11基、日置川に所在するダム1基はすべて利水ダムでございまして、洪水を調節する機能を持つダムはございません。
○議長(新島 雄君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 熊野川のほうには、あれだけの数のダムがあっても、治水の機能を持ったというダムがないわけです。ですから、先日から報道にもありますが、下流で水害が起こっておっても、ダムは上流から流れてきた水を受けて流しやると、規定どおりですというような対応になってくるというふうに思います。
 そこで、2つ目に伺いたいのは、この利水の専用ダムにも防災機能を持たせるべきだということです。これだけ防災や想定外の大雨が心配されているときに、利水ダムのあり方もこのままでいいのかという問題です。
 利水専用のダムとしての水利権の許可をもらっているんだから防災は二の次でいいんだというんじゃなくて、先ほど問題提起した河川の統合管理ということと一体に、県と事業者も一緒のテーブルに着いて防災機能を高めるための改良や改善を求めるということをやっていってはいかがかと思うんですが、これは知事の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 洪水等の緊急時において、公共用物である河川を大規模に利用する権利を有する者が当該河川の災害防除に積極的に協力をするということは、私は社会的な責務であるというふうに思います。
 県が許可したダムについては、実はこれを強制的に効かせるような手段があります。これは、河川法第52条に基づいて緊急時の洪水調整を指示することもできます。
 しかし、別に、法律の発動を云々すること──これは最後の手段なんですが──そんなことをしなくても十分説得すれば、今回のように雨が大量に降るということが予想されるときはあらかじめ調整をしておいてもらうという──それはやり過ぎると先に水が出るということになりますけれども──そういうことをお願いしてやっていただくというのがやっぱり望ましいと思います。我々もそういうことについての事前の話し合い、そういうことをちゃんとやっておくべきだと思うし、それから国については同じことが、国管理のところについては言えると思います。
○議長(新島 雄君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今、知事から、法によらなくても、やはり知事の権限としてそうしたことをしていただくということは可能だということを聞きました。私は、これは重要な御回答だったと思います。私は、そうした立場で河川行政を進めていただきたいというふうに思います。
 ただ、問題としては、幾ら早く放流を始めても、早く水を出そうとしても、物理的にあるいは構造的にダムがその水を出し切れないという問題が現実の問題としてあるわけです。
 そこで、私は、次には県営のダムについての改良の問題を提起したいと考えております。
 実は、農林水産部が管理する那智勝浦町の太田川流域にある小匠ダムというダムがございますが、これは防災専用のダムであります。このダムが、今から10年前、平成13年8月の台風11号のとき、かなりの下流域の被害が出たので、その後もっと防災機能が高められるような運用ができないのかという検討を農林部のほうでしていただいております。
 その研究成果が幾つかのレポートにまとまっております。この緑色のレポートがそうなんですけれども、このレポートによりますと、結論は、今までの過去の洪水でもどうしても計画どおりには対応できていない、だから、そうであるからこそ、人為的な操作の要らない自然流下式の穴あきダムにこのダムを改造しようじゃないかということが述べられております。そして、そのダムの改造に当たっては、下流のほうでもうちょっと受け皿を広くしなければいけませんから、下流のこの部分で河川改修をしなければならないとか、いろいろ具体的な改善が書かれておるわけでございます。
 そこで、私は、県土整備部の管理する県営ダムでも、このような具体的な改良を進めていくということを部長に求めたいと思うんです。
 例えば、古座川の七川ダムというのがございます。昭和31年に完成したものです。しかし、古くて立派なダムなんですけれども、設計や洪水についての考え方自体が今では古過ぎるものになっていると私は考えております。
 お配りしている資料と全く同じものをパネルにしておりますので、後ろの方は白いだけやと思わんと資料のほうを見ていただきたいと思います。(パネルを示す)
 この七川ダムの洪水、今回の台風12号での洪水ですが、この赤い線が放流量で、最高1300トンぐらいほうっていることが、そして急激にほうっていることがわかります。これだけ長時間長雨が続いておるわけだったんですけれども、計画洪水ということを左の黒い線でかいております。
 実はこの七川ダムというのを設計した当時は、どういう洪水が来るかというのをもちろん想定して設計してるんですが、この黒い線でかいた計画洪水をもとにダムをつくっておるわけです。つまり、この三角形の短いごくごく14時間ほどの間に、たった2~3時間で雨がざあっと降って、ダムに、最高1380トンでしたか、そうした流入があると。その後、急に雨がやんでざっと引くと。こういう雨の降り方や洪水なら、七川ダムというのは、本来の性能である1380トンまで対応できるんです。しかし、ちょっとでも雨が長引きますと、もうあっぷあっぷなって今回のような大放水になってしまいます。
 例えば、私、これは平成13年の予算委員会でも取り上げたことがあるんですが、98年9月の洪水では、計画した洪水の7割ぐらいしか流入は来ていないんです。それしかないのに、放流は計画の2倍やっているということを申し上げました。
 また、今回の12号の台風の洪水でも、流入の最大ピークは計画を下回ってるんですが、放流は、何と計画の4倍もの放流になっている。だから、これは想定外の洪水だから仕方がないと言って済まされる問題ではありません。
 なぜかといえば、例えばこのダムでは、1000トン引き受けて下流には300トンぐらいしか流しませんというような洪水の調整計画になってるわけなんですけれども、それに基づいて古座川全体の治水計画が立てられているからなんです。ですから、河川全体をどうしようというんじゃなくて、ダムに1000トンお任せしてるから、あとは適当にやれるというような河川の整備計画になっていたわけです。
 ですから、さっき黒の線で示したように、ああいうような極端な雨の降り方があれば計画どおり調整できますが、現実は、まさにあの黒い線でかいた計画は絵にかいたもちになってしまっています。これでは下流はたまったものではないんです。
 また、椿山ダムを申し上げたいと思いますが、椿山ダムでも、人災ではないかという声が議会で言われるほどの放流となっておりますが──このパネルにしました椿山ダムの放流状況でございますけれども、緑がダムへの流入で、赤がダムからの放流です。この一番どんどんどんどんダムへの流入が上がっているそのときに、物すごい急激な放流の仕方をされてるというのが、この赤い線のぐっと立ち上がっている部分でおわかりいただけると思うんです。
 一気に下流へ流しているということがグラフでもおわかりいただけると思うんですが、地元のほうで伺いますと、「こんな流し方するさかいに、例えば美山の川原河の立派な県道もこの水の勢いでやられたんや」というふうに言われておりました。流れる水の量も恐ろしいんですけども、量自体よりももっと怖いのは、一気に水かさが増したときの水の破壊力であると私は思います。
 そこで、伺いたいと思います。
 この際、県土整備部で管理してるこのようなダムについても、早急に運用を改善したり、ダム本体の改良について研究するよう求めたいと思いますが、部長の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 県営ダムについてでございます。
 ダム計画における洪水の規模は、ピーク流量のみではなく、流出ボリュームが大きく関与しております。
 洪水は、雨の降り方によりまして形態がさまざまであり、例えば今回の台風12号のように、最大流入量は計画洪水量より少ないが、長時間継続したため洪水調節容量を超えてしまうものがあります。逆に、最大流入量が計画洪水量を大幅に超えても、短時間であった場合はダムが満水にならず、調節可能な場合も想定できます。
 このような洪水に対応するには、ゲートの改造でありますとか、堤体のかさ上げなどのダムの改良も対策の1つとして考えられますが、運用しながらの改良となりますと、技術的に可能なのかどうか、あるいはダム構造的に問題なくできるのかどうか、また事業費も相当な額になるであろうこと、あるいは湛水域が拡大すれば新たな用地取得が必要になることなど、さまざまな課題が想定されますので容易なことではありません。
 したがいまして、ソフト対策、河川改修も含めまして、今回のような記録的な大雨を踏まえた、より効果的な対策を検討してまいりたいと思います。
○議長(新島 雄君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 今、部長、答弁で、ダムでの治水については、計画洪水のピークだけやなしに雨全体のボリュームが影響するからパンクすることもあるんだということだったと思うんですけれども、そのボリュームを考慮した計画にそもそもなっていないんですね。ここに、昭和29年に出された古座川総合開発事業の全体計画という小野知事が出された計画がございますけれども、そもそも雨の流出ボリューム、量自体が考慮されていないというような──当時の限界があると思うんですが──計画になっております。
 ですから、私は、こういうことも考えるなら、やはりダムの改良ということが必要じゃないかなというふうに思います。
 部長、今、なかなか改良は難しいというふうに答弁されたと思うんですが、例えば、ここには国交省が出した資料がございます。その中で、「堰堤改良事業の拡充」というような項目もありまして──読みます──「特に過去に建設されたダムでは、建設当時の技術レベルから放流量をきめ細かく調整できない放流施設をもつものも多く、洪水の発生が予測される時に事前放流を行うなどの柔軟なダム運用が物理的に困難なダムもある。このようなダムにおいては小規模な放流管を新たに設置することにより、事前放流への対応をしやすくし、より多くの洪水調節容量を確保するなど」ということで、国交省の事業の中にも、こうしたダム機能向上事業をやっていきましょうという、これ、平成17年のところですけれども、やっております。
 ですから、私は、このダム本体への改良ということをやっぱり逃げずに研究をまず始めると、農林のほうではそれにちょっとかかっているわけですから、県土のほうでもぜひ研究されたいと思うんですが、この点は再質問でもう1回お願いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 農林さんのほうで、小匠ダムですか、検討されてるということでございますが、設置されてる河川の規模でありますとか、七川ダムとか椿山ダムとは相当違うところもございますので一律には検討できないとは思いますが、先ほど申しましたように、ハード・ソフトさまざまな面から、どういった対策をとっていくのが効果的なのかということを幅広く検討さしていただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ここでいろいろやりとりしても進まないと思うんで、ぜひそういう研究もされていくことを要望しておきたいというふうに思います。
 進めていく上で時間の関係があります。次、4番の項目に行きたいというふうに思うんですけれども、時間がございませんので、4番、飛ばさしていただいていいでしょうか。申しわけございません。
 5番、次に、地震に対するダムの安全性について、これは知事に伺いたいと思います。
 さきの6月県議会で、私たちの松坂県議がダムの地震に対する安全性について質問しました。それに対して知事は、「当時の安全設計などを現在の知見で再度チェックしておくように指示した」というふうに答弁をされました。現在の知見で再度チェックするという、このことは非常に重要であり、その具体化はこれからだと思いますけれども、私は幾つかの提案をしたいと思います。
 これはさっきも取り上げた農林部の小匠ダムのレポートなんですが、農林部ばっかり褒めるわけじゃないんですけれども、この小匠ダムの研究にはもう1つありまして、堤体コンクリートの健全度を調査するというレポートもあわせて行っております。
 これによりますと、簡単なダムの強度調査とパソコンによる解析で大体の強度が出てくることがわかっております。私は、こうした簡易な手法があるのなら、やっぱり和歌山県内に影響があるダムについてはこうした知見も活用して総点検していくと、そしてその点検の際は、ぜひ民間のダムについても、事業者自身が調査するんじゃなしに、例えばダムの安全性を評価する第三者委員会みたいなものをつくって、そこできちんと検証をするということが大事だというふうに思っておるんですけれども、この点について知事のお考えをお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) この問題につきましてはいろいろ心配なことがたくさんありますので、ずっと昔は大丈夫だったんだけど今は大丈夫だろうかとか、そういうようなことを全部について考えようということで指令を出して検討してまいりました。
 それからまた、現在の知見というのは、知見が一番ありそうな人に聞くということも大事でありますんで、そういうことも、自分自身の経験というか、自分自身の行為としてもやってまいりました。
 例えば、今度、地震・津波の専門家会議というのをつくっておりますが、河田先生など──大体彼はいろんなところで危ないところは全部指摘してくれてて、それで、そういう点では、どちらかというと安全サイドに偏った意見を持っておられる人だと思いますが、ダムに関しては、特に重力ダムに関しては絶対大丈夫だというふうに言っておられました。
 私どもの今の知見、技術的な能力のある者たちもおりますが、そういう点でも大丈夫だということでありましたんで、私は今それを信じております。もちろん、違うという異論が出たら真摯に受けとめて、それについては対応していきたいと思いますが、今はダムについては大丈夫だと。
 ついでに言いますと、ため池はこの限りではないということで、こっちは頑張っていきます。
○議長(新島 雄君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 ダムの安全性の問題については、阪神・淡路の大震災が起こったときにもあちこちの議会で議論がありました。白浜町の議会では、日置川の殿山ダムについて、ほんまに安全かということを聞いた議員がおったんですが、そのとき配られたのが──これはよう配ってないんですが、関西電力が出したパンフレットです。(パンフレットを示す)
 「地震が来たって大丈夫!!」と大きな字で書いていただいておるんですが、自分自身のとこのダムを大丈夫と幾らびっくりマークを2つつけられても、ちょっと私たちは首をかしげるところがある。やはり第三者の目で、あるいは行政の公平な目で見ていただいて判断をしていくということが大事だと思いますんで、こうした立場で今後取り組んでいただけるよう、これは要望をしておきたいというふうに思います。
 続いて、次の6番目の項目に行きます。
 6番目の質問はダム問題の最後の水利権の問題なんですが、時間が大変押しておりますので、このダムの水利権、和歌山県知事が許可したもので、近々ダムの水利権の更新時期が来るダムについて部長に伺うはずだったんですが、これは日置川の殿山ダムということで、もう私のほうで言わせていただいて、この6番目の項目を飛ばさしていただきたいというふうに思います。
 それで、7番目。
 そこで、この水利権なんですが、この水利権は知事が許可を与える本当に大きな権限だと私は考えておるんですが、例えば、先ほど言ったようなダムの改良ですとか、運用の改善ですとか、こうしたことをダムの水利権の更新の際に事業者に求めていくというのは、知事としてぜひやっていただきたいというふうに私は思っております。
 そして、許可の期間についても、これまでは30年とか、本当に長いスパンの水利権の許可を与えていたんですが、せめてこれ、情勢に合わせて10年ぐらいの期間に短縮して、その時々の問題に対応できるようにするべきじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。答弁をお願いします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 高田議員の御発想は、推測をさしていただきますが、多分、水利権というところで縛らないと民間の大企業はきっと言うことを聞かないだろうと、利益ばっかり追求するに相違ないと、こういう前提であれば、その水利権のところで今のようなことを聞いていただくということは大事であると思います。
 しかし、そんなことまで言わなくても、理を尽くして議論することは今だってできるわけですから、そういうことは早速始めたいと思います。というのは、水利権は数年後ですから、すぐにそういう点については話をし、それで仮に意見の徹底的な対立があって正しいと我々が思うことがあったら、その水利権の問題も利用するということではないかと思います。
○議長(新島 雄君) 高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕
○高田由一君 このダムの水利権の問題については、実は県議会で大変古い歴史を持って論争がされております。昭和33年に日置川では大水害が起こり、ダムの放流について大問題になって、この県議会で残っている古い議事録でも大論争がされております。そのときに、水利権をこれからどうするのか、このまま許可してもええんか、そういうような本当に真摯な議論が闘わされて、住民の運動も、関電のダムの発電所まで何100人も押しかけるというようなところまでいってきたような、そんな運動があったわけなんです。
 ですから、知事がそういうように説得的に働きかけていただく、これ、大変大事なことだというふうに思います。ただ、また翻って、そうした県議会でのダム問題での闘争の歴史というのも見ていただいて、どれだけ苦労を地元がしてきたのかということも知っていただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。
 次に、最後の問題に行きます。
 過去の災害から学ぶ防災パンフレットの発行について伺います。
 今回、12号の台風による被害は、私にとっても本当に想定外のものでございました。しかし、私は、河川改修についての質問を準備する中で、今回の水害が明治22年8月の十津川大水害と呼ばれる災害と非常に似ていることに気がつきました。この120年前の水害のときも、今回の台風12号と全く同じようなコースを台風が通って、しかも非常にゆっくりした速度で進んで被害が出たことが京都大学防災研究所の研究レポートでも明らかになっております。古いレポートですが、きょうはここへ持ってまいりました。
 この研究の中では、明治の水害では、紀伊半島南東部で日雨量1000ミリを超える記録的な雨量があったことが推測されております。また、災害の特性として、大規模な崩壊の多さと、それによる崩土が河川をふさいで天然ダムをつくり、それが後に決壊して下流に2次被害をもたらしていることを挙げています。
 被害状況も、明治水害では、十津川村では山の崩壊が1200カ所に及び、168名もの死者が出ました。本宮でも熊野本宮大社が破損したことや、新宮では流出や全壊した戸数が591戸に及ぶなど、本当に今回と共通をしております。私の地元、富田川流域でも565名が亡くなられたと言われ、中でも現在の上富田町の朝来村、生馬村、岩田村では326人もの方が亡くなりました。
 この被害の大きな原因は、富田川上流部でのいわゆる天然ダム、せきとめ湖の崩壊により一気に大水が下流に押し寄せ、所によっては18メートルもの水位になったことにあります。
 今回、中辺路の滝尻の土砂崩壊が起こりましたが、明治の水害の経験から言えば、この現象は起こって当然の現象だったわけです。このせきとめ湖ができたのが遅かったこと、また崩壊しなかったことで何とか助かったものの、富田川流域の人はまさに紙一重のところで難を逃れたと言っても過言ではありません。富田川流域に住む者にとっては、河川の増水に注意することはもちろんですが、それ以上に土砂崩壊による天然ダムの決壊にこそ、あの台風のさなかに最も注意を払わなければならなかったわけでございます。あの台風のさなかにそのことに注意をしていた人は少数だったのではないでしょうか。
 私は、こうした過去の災害や研究に学ぶためにも、台風がこういうコースを通ったらこんな被害が起こったと、高潮がこの地域に起こるとか、そうした事例もまとめた本当にわかりやすい防災パンフレットのような小冊子を作成し配布をすることが大切だと考えております。県として取り組むことを求めますけれども、危機管理監の答弁をお願いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 危機管理監。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 過去の災害から学ぶ防災パンフレットの発行についてでございますが、過去の災害は今後の対策や行動の指針となるものであり、この体験を防災の知恵として生かしていくことは大変重要であると認識をしてございます。
 ただし、過去の災害のパターンをそのまま啓発に使う場合には、今回もこの程度との思い込みも招くおそれがございます。防災啓発資料として慎重に取り扱っていく必要があると考えてございます。
 今後、これらの点に配慮しながら、災害を具体的にイメージし、災害から逃れる知識を身につけていただけるよう、防災啓発パンフレットの作成に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 以上で、高田由一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 21番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 このたびの台風12号災害により亡くなられた方々の御冥福と、行方不明の方々の一刻も早い発見をお祈り申し上げますとともに、被災されました皆さんに心からお見舞いを申し上げます。
 被害の大きさに加え、次は東南海・南海地震と思っていただけに、大変驚きました。
 同時に、我が国は四季があり、風光明媚で海洋資源に恵まれたすばらしい国でありますが、地震、津波、台風など、災害列島と言われる厳しい条件下で私たち国民はこの列島で生きていく限り、みんな協力し合って暮らしていかなければならない運命にあることを再認識した次第であります。
 自民党では、4日早朝に県連に対策本部を設置すると同時に、国会議員や県会議員が被災地に入り、被害の状況を見聞してまいりました。10、11の両日には谷垣総裁が来県し、知事や市町長、県民から被害状況の説明を受け、御意見や御要望を聞かしていただくとともに、紀南各地の被災現場を視察しました。
 谷垣総裁からは、激甚災害の早期の指定や復旧・復興の予算確保に自民党が努力することをお約束さしていただきました。また、視察時に国道沿いの線路がさびていることからJR紀勢線の運休状況が議論になり、二階俊博元運輸大臣がその場からJRに早期復旧を要請するという場面もありました。
 その後、異例の早さで激甚災害の本激の指定を受け、JRの復旧見込みも明らかになるなど、日に日に復旧が進んでいます。
 今回の災害では、知事初め県職員、県警の皆さんが前日から役所に詰め、夜を徹して警戒し、被害が出た4日早朝から応急対策に尽力され、不眠不休の活動をしてくれています。危機管理局の皆さんは、東日本大震災以来、休みもないと聞いています。職務ではありますが、皆さんが頑張ってくれていることを大変心強く思います。本日も台風襲来で大変だと思いますが、どうか今後とも交代をしながら頑張っていただくことをお願いしておきます。
 また、自衛隊、国土交通省など国の機関、全国の自治体、西日本高速道路会社初め、多くの企業、団体から支援が寄せられました。ボランティアの皆さんも、連日、大勢被災地入りしていただいております。
 被災地では、市町長初め、職員、議員、消防職員・団員に頑張っていただいております。そして、何といっても被災された県民自身が、気丈夫に住居や事業所の後片づけに取り組んでおられます。一刻も早い生活再建、事業再開へ向けて本当に頑張ってくれております。この県民の皆さんの頑張りを見たとき、私たちは何としてもお役に立たねばと思うとともに、9月4日、防災訓練の日に本当に発生した災害をこれこそ教訓に、次なる災害に備えたいと思います。
 さて、私は、今回の災害を現地で視察し、県民から御意見を伺って改めて思うことは、転ばぬ先のつえとも言うべき防災対策の大切さ、とりわけまちを守った日高川の堤防や、県民の命を救った那智川の砂防ダム、復旧・復興に役立つ那智勝浦道路や国道42号など、多くの公共インフラを見たとき、改めて公共事業の大切さを認識するものであります。
 公共事業を悪者扱いし、「コンクリートから人へ」などと甘言を弄し政権を獲得した民主党や吹聴したマスコミは、この事態をどう説明するのでしょうか。安全保障や国土保全なくして経済成長、国民生活は成立しません。私たちは、今こそ政権再交代を目指して頑張らねばと強く思うものであります。
 そこで、和歌山県では、流言飛語に惑わされずに、これまで知事を先頭に公共事業の必要性を堂々と主張してきましたが、今回の災害で果たした公共事業の評価と今後の取り組みについて知事のお考えを伺います。
 今回の災害では、崩壊しなかったものの、いつ崩壊してもおかしくない危険箇所が多数あると聞きました。今後予想される東南海・南海地震では、さらに大きな危機が待ち構えております。県政の責任者である知事の心構えを伺うものであります。
○議長(新島 雄君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 台風12号の影響で県南部を中心に激しい降雨に見舞われ、河川のはんらんや土砂災害等により多くのとうとい人命や財産が失われ、県民生活や経済活動に多大な被害を及ぼしたと、中村議員がおっしゃるとおりであります。
 こうした状況の中でも、例えば砂防堰堤については、多くの箇所で土石流から人家を守ることができました。また、日高川下流部の堤防についても、最近直したばかりなんですが、越水することなく、流域の人命や財産を守りました。
 それから、熊野川の新宮市を守っている大きな堤防なんですけども、実は明治のときは破壊されましたけども、今回は実は越流したんですけども、何とか破壊は免れました。したがって、新宮の市街地は床上浸水はしたんですけども、幸いなことに濁流が一気に押し寄せるというようなことはありませんでした。
 流域のこのような人命や財産を守ったことなど、これまで整備を進めてきた公共インフラが大きな役割を果たしたものと評価しております。
 それから、ネットワークという点については、国道42号線が特に津波に弱いということがわかっておりますので、それを補完するものとして、X軸のネットワークとか、これから川筋のネットワークとか、そういうものをつくっていこうとしておりましたが、そのX軸のネットワークが随所で実はえらい被害を受けております。また、42号は、今回津波はなかったんですが、それでも越波や路面冠水によりしばらく使えなかったということも明らかでありました。
 その中にあって、阪和自動車道や那智勝浦新宮道路などの高速道路はほぼ健全に機能いたしておりまして、被災地への救助・救援活動を支えたことから、改めて高速道路の有用性は認識したところであります。政府の方も大勢見えましたけれども、そういうことを申し上げたら、そのとおりだというふうに言うておられました。
 このため、今後も、こうした台風や洪水による災害だけでなくて、東海・東南海・南海地震などの大規模地震や津波被害に備えるため、近畿自動車道紀勢線のミッシングリンクの解消、すなわち一周高速道路をつくっておく、あるいは土石流対策や河川整備など災害に強い県土づくりに不可欠なインフラの整備は、これはきちんとやっていかないかんということで考えておりまして、要望もしてるところであります。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、避難指示・勧告について伺いたいと思います。
 多くの地域では避難指示や勧告が発令され、住民がいち早く避難したことが報告されております。例えば日高川町では、緊急放流に際しては、深夜2時に町長みずからが防災無線のマイクを握り、町民に避難を呼びかけたそうであります。しかし一方では、特に被害の大きかった地区では、避難指示や避難勧告がなかったため逃げおくれたとの報道があります。
 果たして、県内では避難指示や勧告は的確に発令されたのでしょうか。知事にお願いします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県としては、市町村に対して、例えば雨量とか河川とか、それがどのぐらいの水位に来てますよというようなことで具体的な数値を設定したり、あるいは過去の降雨量を計算して地域的に危険な地域へそういうものの情報を差し上げたり、あるいは雨量計とか水位計とかのリアルな情報、そういうものを共有したりして、市町村の避難に対する勧告とか指示とか、そういうことが遺漏なきを期するように側面から援助しているところでございます。
 今回の点について、結果から、避難勧告が出てなかったじゃないかとか、そういうことを言う動きもあるようですけれども、それは詳細をそれぞれ調べてみないとわかりませんけれども、私の印象を申し上げますと、例えば先ほどの危険箇所でいうと、もう全県が真っ赤になっていました。そうすると、全員避難と、どこへというようなところもあります。それから、通常は大体雨はこのぐらいというふうに考えておられたと思いますけども、それが最後の最後まで物すごい降りました。
 ということで、避難指示がどうだったかということを私は言い得る立場にありません。
 しかし、これからはそういう経験を生かして、さらによりよい行動ができるように考えていくということもまた大事だろうと考えておりまして、我々、さらに改良できる点はないかどうかとか、あるいは、国においてもそういうことは考えていただいているようでございますから、その情報をちゃんと市町村に伝えるとか、できるだけのことはしてまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 丁寧な答弁をしていただいて恐縮でございますが、あんまり時間がないので、簡潔にどうぞよろしくお願いします。
 3番目に、緊急放流について伺います。
 大雨により県内のダムには計画洪水量以上の水量が流入し、緊急放流が行われました。特に熊野川や日高川では、ピーク時、毎秒約1万8000トン、約4000トンの放流が行われ、中下流域で甚大な被害が発生したことから、「洪水は人災ではないか」との声があります。また、「あらかじめ大雨が予想されたのに、何でダムを空にしておいてくれなかったのか」という指摘もあります。
 果たして、ダムの放流は適切に行われたのでしょうか。県土整備部長に伺います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 大型で強い台風12号は、紀伊半島を中心に広い範囲で総雨量1000ミリを超える大雨をもたらしました。県が設置しております椿山ダムなど4つの多目的ダムでは、事前に放流を行い、洪水調節容量の確保に努めました。次第に雨が強まる中、下流部を洪水被害から守るため、洪水調節を実施したところでございます。
 ふえ続ける洪水流をダムで調節したものの、強い雨は長時間降り続き、椿山ダム、七川ダム及び二川ダムでは計画規模以上の洪水流入となり、ダムの貯水位が満水付近に達したところでございます。その状態においても放流量をコントロールしながら下流でのはんらん発生をぎりぎりまで抑えるなど、可能な限りの洪水調節機能を発揮しました。
 しかしながら、計画規模以上の大雨に対しましては、ダムや堤防等のハード整備だけでは限界があり、これまでも避難に役立つ情報提供等のソフト対策も進めてきたところでございます。
 以上のように最善を尽くしたところでございますが、今回のような記録的な大雨に今後見舞われた場合にどのような対応をしていくか検討してまいります。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 4番目に、今回、椿山ダムでは昭和63年の竣工後初めての、また七川ダムではことしになって既に2回目のただし書き操作が行われました。一般的に、頻繁にただし書き操作が行われる場合は河川整備の計画を見直すことが必要と考えられます。
 また、今回私も初めて知りましたが、あの大きい熊野川が1級河川でありながら、国土交通省が所管するのは下流5キロメートルだけで、日本有数の豪雨地帯を流域に持ち、3県を流れるのに、上中流域は各県で管理しています。
 最近、八ッ場ダムの洪水調整機能の有効性が改めて認められ、工事が再開されるようですが、熊野川流域には洪水調整ダムが1つもないのは大変不思議であります。
 この機会に県内の河川について、河川整備の計画の総点検が必要と考えますが、県土整備部長の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 熊野川におきましては、台風12号の記録的な大雨によりまして、現在の計画高水流量を上回る洪水が流下したと推測されます。今後の河川整備に先立ちまして基本的な方針から考え直す必要がありますことから、国に対しまして、台風12号洪水規模以上の対応となるよう、熊野川の河川整備基本方針の見直しを要望しております。
 県管理河川については、まず主要な河川におきまして、台風12号の大雨の規模を評価する予定でございます。その上で、ハード整備として対応するもの、またソフト対策で対応するものを整理し、必要に応じて河川整備基本方針や河川整備計画に反映してまいります。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 5番目は、農地災害について伺います。
 今回の災害では、農林水産業全般に被害が及びました。特に高齢化が進む紀南の中山間地では、ただでさえも耕作放棄地が広がっているだけに、今回の被災で耕作放棄が加速されるのではないかと心配されます。
 幸い、激甚災害に指定されたことで負担率は軽減されますが、この際、農地の公益的価値を評価して林地同様に負担金免除とできないか、農林水産部長のお考えを伺います。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 農地・農業用施設の災害復旧は、国が復旧に係る経費の一部を負担することとなっており、農家からの申請に基づき、被災農家の1戸当たり復旧事業費に応じてきめ細かい補助の増額がございます。
 さらに、激甚指定されますと補助がかさ上げされますので、最近の事例では、農地流出や畦畔崩壊など農地災害では89ないし97%、ため池、頭首工、水路など農業用施設の災害では94ないし98%と、非常に高率の国庫補助が期待できる状況にございます。
 議員御指摘のように、農地は、国土保全機能等多面的機能を有しており、公益的な機能価値に着目して、県では、復旧された農地等が適正に維持できるよう中山間地域等直接支払制度や農地・水保全管理支払制度で支援しているところでございます。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 6番目は要望でございます。
 9月4日早朝から、私は御坊市、日高川町を視察し、大変なことが起こったことを悟りました。また、谷垣総裁に同行し、被害の大きさを実感いたしました。
 しかし、既にどの現場にも必ず重機が入り、けたたましいエンジン音を響かせながら土砂や瓦れきを撤去する人たちの姿を見ました。また、ほこりまみれになりながら交通整理するガードマンがいました。県と災害協定を結んでいる業界団体の会員企業の皆さんであります。彼らは4日早朝から危険箇所に分け入り、命がけで頑張ってくれております。おかげで、現在急ピッチで復旧が進んでおります。
 今回の台風が残したつめ跡は大変大きく、一刻も早い復興が望まれますが、前提条件は、道路初め公共インフラやライフラインの本格復旧であります。ぜひ県当局におかれては、早期着工、早期供用できるよう弾力的な事務をお願いしておきます。
 また、被災地の地域振興のためにも、可能な限り現場の事情を熟知した地元企業が受注できるよう配慮していただくことも、あわせて要望しておきます。
 次に、大きい2番目に移りたいと思います。
 防災対策について、2点伺います。
 まず、潜在看護師を災害医療員にできないかという提案です。
 今回の台風災害では、被災地に大勢の医療スタッフが派遣され、不足するマンパワーを補い、地域医療を支え続けたと聞きます。
 災害時には、数1000、数万という単位の傷病者が同時に発生し、被災を免れた医療施設に集中するため、廊下や玄関、駐車場までテントを張って治療が行われます。しかし、緊急患者と入院患者を同時に治療することはなかなか困難で、病院船の建造や、災害拠点病院付近には、ふだんは別の目的に使い、災害時には医療センターに衣がえできる体育館のような施設が必要だと考えております。
 しかしながら、そういう医療施設に収容される人はまだ幸運で、被災現場で亡くなるとか、重症化して担ぎ込まれる人も多くおられると予想します。
 そこで、私は、以前、一般質問で、災害特有の傷病に限り、講習を受けたらだれでも応急対策ができる資格の創設を提案したことがあります。しかし、もっと現実的な方法として、潜在看護師を災害医療員にする制度を提案します。
 私も知りませんでしたが、看護師は、国家資格のため当然名簿は管理されているものと思っておりましたが、実は免許は更新しないため、一部しかわからないそうであります。医師も同様で、そのためににせ医者なども出現するわけであります。
 しかし、元看護師という人は結構身近なところにおられて、私の近所にも、農家の奥さんで、元看護師で小学校の養護教諭だった方がおられます。この人たちに、医療の最前線に立てとは言えませんが、災害時あちこちで大量に発生する傷病者の応急処置をお願いすることは、災害医療を考えるとき、大変有効であると考えます。
 また、登録をお願いすることでインセンティブとなり、さらに社会的活動を期待することができるのではないかと思いますが、知事の所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御提案の潜在看護師を活用した地域での災害時の取り組みということでございますが、災害時の近隣住民の医療救護活動、健康管理のみならず、うまくいけば平常時における看護師不足にも役に立つんじゃないかなというふうに思います。
 そういうことで、こういう登録をお願いするようなやり方で、潜在看護師の掘り起こしにつながるものと考えて検討してまいりたい、このように思っております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次は、建設残土の有効活用について伺います。
 東日本大震災では、仙台東部道路が津波の衝撃を吸収し、付近住民の避難場所になったことで、盛り土工法が見直されつつあります。また、多島海の松島では、浸水したものの、被害は極めて少なかったそうであります。初代県議会議長で「稲むらの火」のモデルになった濱口梧陵翁の堤防も、実は盛り土であります。また、今回の災害でも、日高川など盛り土堤防は、激流からまちや農地を守ってくれました。
 盛り土は、施工や管理が容易で、津波や洪水のような巨大な圧力に耐え得るすばらしい工法です。万が一越流しても、最初の衝撃を緩和する減災効果があります。
 このような盛り土工法にいち早く注目し、御坊市では、和高専の小池准教授を座長に、建設業組合が津波防波堤研究会を立ち上げました。研究会では、防潮堤だけではなく、陸上防潮堤、学校運動場のかさ上げ、公園に避難小山を設置することなどを目的に、建設方法やコストの研究を始めました。
 現在、多くの公共事業では、建設残土やコンクリート殻が発生し、処理に多額の費用をかけております。この事例のように、建設残土の有効利用は大変重要と考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 議員御提案の土砂あるいは瓦れき、そういうものの有効な利用については非常に有意義なことと考えております。
 実は那智勝浦町では、那智川の河川の整備、これは本格的にやり直して、多分ちょっと幅を広げないけない、随分掘り下げないけない、大きな岩がごろごろあるのを片づけないといけないと。たくさんの瓦れきや土砂が出てまいります。これをどこへ持っていくかという議論があって、那智勝浦町長と相談をして、高台をつくろうと。これによってもう1つの機宜である、例えば津波にも強い地域というのを部分的にでもつくっていけばいいというようなことをいろいろ考えて、今後やっていきたいと思っております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大きい3番目は、紀の国森づくり税について伺います。
 紀の国森づくり税は、平成17年12月定例会におきまして、自由民主党県議団が中心になって、1年余の研究期間を経て上程いたしました和歌山県議会初の政策条例であります。6年前の今ごろは条例案提出に向けて準備中でしたが、当時、県議団の政調会長として、条例案づくりや県内各種団体などの御意見を伺うなどの作業に携わりました。
 予想に反して県内自治体、団体、また議会内からも反対する声が寄せられる中、和歌山の森林を守りたいという一心で取り組んだことを懐かしく思うと同時に、議案の提案や答弁など、議員ではめったにできない大変貴重な経験をさしていただきました。
 条例は、周知期間にゆとりを持って平成19年4月1日に施行され、早いもので来年には期限が切れます。生んだ責任者の1人として4年余り注意深く見守ってきましたが、私の印象では、税そのものは認知され、特に自民党県議団から提案した花粉症の研究や森林環境の重要性の普及啓発など、大いに効果を上げたと思っております。
 果たして実際はどうだったのか、紀の国森づくり税の効果や実績について知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本件に関します中村議員を初め関係者の御努力に、本当に深く感謝をしたいと思っております。
 紀の国森づくり税については、そのすべてを基金に造成した上で、4年間で県民提案事業等228件、これを採択しております。約5万人の県民参加を得て、都市部における森林整備、あるいは荒廃森林の間伐や植樹活動、市町村民の森の造成、花粉症に関する調査及び小中学生を対象とした緑の教育や啓発活動、さらには保全すべき貴重な森林約400ヘクタールの公有林化などを実施いたしました。
 県民の納税とこれらの活動を通じて、「県民が知る、理解する、参画する」という紀の国森づくり税条例の基本理念が浸透し、森林の役割と保全・活用の重要性が県民に理解されたものと認識しております。
 さらには、県民の総参加の新たな形で開催された全国植樹祭を通して醸成された県民皆が身近な緑とふるさとの森を大切にする機運のなお一層の盛り上がりを次世代に継承していく必要があると考えております。
 このため、全国植樹祭を契機とした新たな条例を制定することとあわせ、間伐等も含めた森林の育成・保全や活用等の一層の推進を図るため、紀の国森づくり税条例の延長をお願いしたく、次期議会に向け、現在作業を進めているところでございます。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 大きな4番目になります。
 自民党県議団並びに自民党県連政調会では、先般、県内各種団体を訪問し、役員や事務局の方々から御意見や御要望を承ってきました。一刻も早い政権再交代を望む声から県政に関する要望まで、多数拝聴することができました。
 そのうち、県議会から意見書として提出すべきものにつきましては、今議会に自民党から提案さしていただくことにしております。また、知事にただすべきものについては、以下の5点でありますので、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、緊急雇用対策の継続と充実について伺います。
 リーマンショック以来の不況に加えて、震災、円高といい材料がない中、本県の有効求人倍率が近畿でトップというのがせめてもの救いであります。
 県では、平成21年度以来、緊急雇用対策として、ふるさと雇用再生特別基金と緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用した事業を行ってまいりました。本年度が最終となりますが、特に緊急雇用創出事業については、県内経済団体を中心に継続を求める意見があります。ぜひとも継続の上、中身も充実していただきたいと思いますが、御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 緊急雇用創出事業、これは平成23年度が基本的に最終年度となっております。しかし、一部、平成24年度にまたがる事業や、平成23年度事業のうち諸事情により執行できなかった残額については、上限があるものの、平成24年度においても執行が可能となっております。
 また、今回の国の第3次補正において、厚生労働省が緊急雇用創出事業臨時特例交付金の拡充・延長を要求しておりまして、県としてはこの動向を見きわめながら、当県への配分に当たって十分確保できるように要望するとともに、事業内容についても充実したものになるよう努めてまいりたいと考えております。
 これは、基金をいただきまして、基金が切れてしまうということで、それをそっくり残すべきだと。できれば雇用のためにはいいんですけれども、緊急に国がぼんと基金をくれて「やれ」と言っていたのを「もうあげない」と言ったときに、県がそのまま残すべきかどうか、これはほかの雇用対策との関係で、本当はそれでよかったかどうか、そういうことは検証しなきゃいけませんので、全部肩がわりするというのはおかしいと思います。
 ただ、その中で、基金があろうとなかろうと、本来県がやるべきであったんじゃないかというような別の目的がきちんと証明されるものについては、これから精査をして、別途の政策としてやるべきかどうか検討してまいりたいと思います。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 次に、小規模事業経営支援事業費補助金の継続について伺います。
 中小零細企業の比率が極めて高い本県では、マーケティングから納税記帳まで広く経営支援を行っているのが商工会議所や商工会の経営指導員であります。商工会議所や商工会は会費収入や行政からの補助金で運営されていますが、会員の減少や補助金の削減の影響で大変な苦境にあります。
 農協のように自営事業を行わない経営団体にとりまして、小規模事業経営支援事業費補助金、すなわち経営指導員を雇用する補助金は命綱であります。ぜひ継続をお願い申し上げますが、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 小規模事業経営支援事業費補助金は、県内小規模事業者の経営の安定と振興等を図るために、商工会や商工会議所が行う経営指導、金融相談等の活動に対して助成をするものであります。
 このたびの台風被害のあった地域においても、現に商工会等の経営指導員が被災した小規模事業者に対して、いち早く融資情報の提供とか、あるいは経営相談等に対応してくれておりまして、地域経済の復興に取り組んでいただいているところであります。
 このように地域に密着した商工会等の活動を支援する当補助金につきましては、私は次年度以降も引き続き継続したいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 3番目に、認定看護管理者の設置について伺います。
 看護師は、医療の最前線から介護、教育、行政まで、幅広く活躍しております。その看護職を取り巻く諸事情を十分行政に反映させるめ、ぜひ県においても認定看護管理者の設置を希望する次第であります。
 認定看護管理者とは、患者や地域住民に質の高い組織的看護サービスを提供するための責任者として日本看護協会が育成、認定している制度でありますが、認定看護管理者の設置について知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 認定看護管理者については、日本看護協会の認定制度でありまして、一定の実務経験の後、研修を受け、認められるものであります。
 県の看護行政を推進していく上で、医療機関等で勤務する看護師の方々が抱える現場の課題を把握することが必要だと考えております。そのため、日ごろから県と看護協会等との関係団体と連携をとり、課題解決に向けての情報交換を行っているところでありますが、今後、関係団体との協議、連携をさらに密接に行って情報交換・共有に努めるけれども、議員の御提案についても、その中で1つの選択肢として考えていきたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 4番目に、医大保健看護学部への教育カリキュラム導入について伺います。
 中紀地方、とりわけ日高地方の看護師不足の抜本的解決策として日高病院に看護師養成所を設置することに知事から深い御理解と力強い御支援をいただいておりますことに、この場をおかりしてお礼を申し上げます。
 おかげさまで開設に向けて順調に進んでおりますが、全国の看護師養成所共通の悩みでありますが──したがって本県でも同様であります──専任教員の確保に大変苦労しております。
 その主な理由として、医療現場から専任教員に移れば給料が減少するというようなことが言われておりますが、公立学校の教員採用試験ではどの科目も高い倍率になるのに、高校看護学科には、2人募集しても1人しか応募がないと聞きました。人に物を教える聖職とまで言われる仕事が、給料が下がるので集まらないとはとても思えません。それよりも教員養成のあり方に問題があると考えます。
 看護師養成でさえ十分でない中、その川上の専任教員養成はさらに困難であります。看護専任教員そのものの社会的認知が進み、養成する機関が整えば、そう難しい問題ではないと思います。
 幸い、本県では平成24年度において専任教員養成講習を開催する予定と伺っており、日高の開校に間に合うものと大いに期待しているところであります。
 しかし、本来は県立医科大学保健看護学部のような常設の学校において定期的に少数でも養成されるべきであると考えますが、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 現在、看護師養成所の専任教員の確保は困難な状況ということにつきましては、議員御指摘のとおりであります。
 新しく看護師を養成するにもまず教員の確保が大事ということで、看護師養成所の専任教員になる要件を充たすためには、大学での教育課程の4単位の取得と3年の臨床での実務経験が必要となります。
 この大学での教育課程の4単位の取得ということなんですが、県立医科大学の保健看護学部では、新たに教育心理、教育法等の教育に関するカリキュラムを導入することとなり、文部科学省との協議も、これをやろうとすれば必要となってくるわけであります。
 今後は県立医科大学との協議を行い、ぜひそういうことができるように努力をしてまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕
○中村裕一君 貧乏な和歌山県が苦労してでも県立医科大学を持ってる理由は、負担できる範囲で負担をしても県民の役に立ってほしいという、そういう思いがあるわけでございまして、ぜひ看護学部に看護学校の先生の養成コースをおつくりいただくようお願いをしておきたいと思います。
 最後に、医薬分業について伺います。
 医薬分業は、昔、西洋では、国王などが陰謀に加担する医師によって毒殺されることを防ぐために、病気を診察する医師と薬を管理する薬剤師を分けていたことに由来するそうです。
 今日では、医師と薬剤師の役割を分けることで過剰投薬等を抑制し、二重チェック、薬歴による不適切な薬を排除することができるなど、世界共通の政策となりました。
 我が国でも、戦後、GHQの指令により薬剤師法や薬事法が改正され、政府は医師らによる調剤を禁止して完全な医薬分業へ移行しようとしましたが、既得権の要求により、調剤については、医師らが「特別の理由があり、自己の処方箋により自らするときを除き」というただし書きが追加され、昭和50年代後半までは事実上骨抜きになっていました。
 しかし、その後、薬漬け医療が蔓延したことで、国では薬で利益が出ない仕組みに変更すると同時に、院外処方せん発行の報酬を高くして医薬分業を推進しました。その結果、日本でも医薬分業が進展してきましたが、いまだ道半ばであります。
 本県では、平成12年10月に県立医科大学附属病院が処方せんを全面発行し、医薬分業を推進してきました。ようやく分業率は40%まできましたが、全国平均63.1%に比べればまだまだであります。
 医師から薬剤師への利益のつけかえで終わることなく真に県民の利益となるよう、さらなる取り組みを期待するものでありますが、知事の御所見を伺います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 医薬分業は、薬剤師が医師と独立した立場から処方せんをチェックし、薬の重複投薬の防止、薬に関する十分な説明、薬の使用歴が医師が異なっていても管理されると、そういうことなど、薬物療法の有効性、安全性を高め、医療の質を向上させる効果があると思います。
 本県の現状は、御指摘のように、従来から医療機関に対して医薬分業の推進を図ってきましたけれども、全国的に見るとまだ低いということであります。
 県としては、より安全で質の高い医療を確保する観点から医薬分業の普及は望ましいと考えておりまして、今後さらに院外処方せんを発行していない公的病院を中心に働きかけるとともに、各地域の実情を踏まえながら、民間の病院、診療所等にも働きかけていくことにしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 この際、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 なお、議案第120号は職員に関する条例議案でありますので、地方公務員法第5条第2項の規定により人事委員会の意見を徴しましたところ、文書により回答がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。議案第118号から議案第120号までを本日の日程に追加し、これより直ちに一括して議題といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 議案第118号から議案第120号までを一括して議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました諸議案について、御説明申し上げます。
 まず、補正予算でございます。
 このたびの台風12号により、県内各地で発生した甚大な被害に対応するため、議案第118号は一般会計で総額672億7200万円余の増額を、議案第119号は特別会計で総額7300万円の増額をお願いするものであり、その主なものについて御説明を申し上げます。
 一般会計におきましては、被災地における救助活動や応急復旧支援、また道路・河川等の公共土木施設等の復旧工事を初め、当面緊急に措置を必要とする諸事業に要する経費を、農林水産振興資金特別会計では、被害を受けた林業者に対する融資の貸し付け枠を拡充するための経費を計上しております。
 このほか、災害復旧工事あるいは災害関連融資に対する利子補給に要する経費等について、債務負担行為の設定をお願いしているところであります。
 議案第120号は、台風12号による災害に係る被災地への職員派遣に際し、派遣期間中も引き続き移転直前の住所を所有または賃借する職員に対し、継続して住居手当を支給するための改正でございます。
 何とぞ、御審議の上、御賛同を賜りますようにお願い申し上げます。
○議長(新島 雄君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 これより質疑に入ります。
 本案について質疑はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 質疑なしと認めます。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 議案第101号から議案第115号まで及び議案第118号から議案第120号までは、お手元に配付しております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 お諮りいたします。9月22日及び26日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 御異議なしと認めます。よって、9月22日及び26日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月27日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時41分散会

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