平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(平木哲朗議員の質疑及び一般質問)


平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(平木哲朗議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕(拍手)
○平木哲朗君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、本日5番目です。議会では5番目というのは今までなかったような気がしますが、御清聴よろしくお願いします。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 まず最初の質問は、防災対策についてお聞きします。
 まず最初に、台風12号による災害は、想像を絶する大きな被害を日本じゅうにもたらしました。和歌山県内でも紀南地方を中心に大きなつめ跡を残し、大変な大規模災害をもたらしました。改めて、亡くなられた皆様には心からお悔やみを申し上げ、御冥福をお祈り申し上げます。また、行方不明の皆様には、自衛隊、県警、消防等、関係機関の皆さんには、全力を挙げて一日でも早い発見に努められることをお願いいたします。また、被害を受けられた皆様には心からお見舞いを申し上げますとともに、国、県、市町村、議会が果たすべき責任を果たし、地域住民の皆さんとともに一日も早い復興・復旧に取り組んでいかなければなりません。
 東日本大震災では、国の対応がおくれ、被害がさらに拡大し、瓦れき処理もおくれ、放射能汚染も、さまざまな対応がおくれているのが現状であります。民主党の政権下において、この台風12号の大きな被害に対する復旧・復興が迅速に進むか不安を感じているのは私だけではないと思います。
 東日本大震災では、政府の対応のおくれで被害が拡大しましたが、この台風12号の災害に対する復旧対策、復興対策までおくれることのないよう、ぜひ政府には、一日も早く早期の復旧・復興に関する予算を3次補正予算にのせていただくようお願いをしたいと思います。県選出の国会議員の皆さんにも、早急に成立ができるようお取り組みをお願いしたいと思います。
 台風12号関連の質問は、大きな被害を受けられた地域の選出の先輩・同僚議員が質問されていますので、私は、以前から心配している防災対策についてお聞きします。
 まず最初に、ため池対策についてお聞きします。
 現在、ため池は、県下に5549のため池があります。そのうち橋本市、伊都郡には、県全体の約20%に当たる1046のため池があります。橋本・伊都地域では津波の心配はほとんどありませんが、地震やゲリラ豪雨、また台風や劣化によるため池の崩壊を懸念しています。つまり、ため池決壊により山津波、土石流となり、一瞬のうちに住宅地をのみ込んでしまう、また田や畑が荒らされ、あるいは県道、市道、農道等が大きな被害を受けてしまいます。
 県では、県営ため池等整備事業、県営ため池調査事業、震災対策ため池調査事業、県営中山間総合農地防災事業があります。非常に危険度の高いため池から調査を行っていただいておりますが、危険度の判定ができても、現在の予算と地元負担金、受益者負担金の問題があり、なかなか事業が進まないのが現状と考えています。
 津波が来る確率の低い地域では、今回の台風被害でもあった山津波、土石流が本当に怖いのです。地震や台風やゲリラ豪雨が続く中、地域住民の生命、財産を守るためにも早急な対策が必要となります。現状の取り組みと今後の対策について、仁坂知事にお聞きします。
 次に、危険なため池と判断されたとき、県営ため池等整備事業、あるいは県営中山間総合農地防災事業等がありますが、事業費に対する負担割合、つまり地元負担金の問題があります。ため池改修となると多額の事業費がかかります。また、地元負担金が高額になり、ため池改修ができないのが現状です。
 地域の生命、財産を守る防災の観点から、地元負担金、受益者負担金の軽減を検討していただきたいと思いますが、知事の所見をお聞きします。
 次に、河川の防災対策について、県土整備部長にお聞きします。
 紀の川や中小河川を見て回りますと、紀の川では、河川に樹木や草や竹が生い茂り、余りにも緑豊かなため、ここは河川敷か川か全くわからないような錯覚に陥ることもあります。また、紀の川でも、中小河川でも土砂の堆積が進み、川と地面の高低がなくなってきています。今回の台風やゲリラ豪雨が降れば大変危険なところがふえてきています。
 また、今回の台風によりダムからの放流もあり、住宅地や農産物直売所「やっちょん広場」の浸水、河川グラウンドが大きな被害を受けました。上流から流れてきた瓦れきが樹木や草や竹が生い茂るところに大量にたまっています。
 想定外の雨が降るという防災上の観点から、河川の土砂のしゅんせつ、樹木や竹の伐採を今まで以上に進めていく必要性を感じています。県として、基本方針と今後の対策について、県土整備部長にお聞きします。
 次に、浸水対策についてお聞きします。
 この台風により、橋本市でも浸水被害が発生しました。JAのやっちょん広場、また紀和病院、樋門がある学文路地区の住宅地が浸水をしました。樋門を閉めたことによる大谷川の水が紀の川へ流れ込まなくなり、ポンプで排水しているが追いつかなくなり、住宅地へ浸水しました。これはもう恒例行事と言っていいほど、樋門が閉まると、こういうふうになってしまうということであります。
 やっちょん広場の浸水は、紀の川の水位が上がり、河川の水が紀の川へ流れ込むことができずに行き場を失ったことが原因であります。
 今後は、想定外の雨の降るところを念頭に考えていただき、早急に浸水対策を求めるものでありますが、今後の対策について県土整備部長にお聞きします。
 次に、消防の広域化についてお聞きします。
 和歌山県消防広域化推進計画が、策定されています。平成20年6月から平成25年3月までに広域化対象市町村が広域消防運営計画を作成し、広域化の実現を目指すことになっています。県内17消防本部及び2消防非常備町村を5ブロックに統合する計画であります。
 現在の状況を見ても3ブロックは全く進んでおりません。残り2ブロックは議論はされていますが、進展は見られません。県も市町村合併のような積極姿勢が残念ながら見受けられません。このままでは平成25年3月の期限に間に合いませんが、今後、消防の広域化を進めてくのかいかないのか、また今後の対応についてお聞きします。
 1問目、終わります。
○議長(新島 雄君) ただいまの平木哲朗君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ため池でございますが、これは新田開発とともに江戸時代ごろに建造され、地域の農業用水供給源、あるいは個人池も含め、現在、県下に5500ぐらい存在しております。
 近年、このため池の老朽化による漏水や、堤のやせているというんでしょうか、堤体やせが発生いたしておりまして、豪雨や地震によるため池の損壊も想定されるところでありまして、下流域への2次被害が懸念されております。
 地域防災計画に位置づけられたため池、規模の大きなため池など、現在県では420カ所の耐震診断調査──これは1次でございますが──やっておりまして、危険度を把握しております。
 危険度の高い220カ所のうち、特に高い82カ所を第2次診断し、うち62カ所が要対策、対策をせないかんということになっておりまして、市町村の要望も受け、要件の整ったものから順次、県営ため池等整備事業で計画的に実施しているところであります。
 また、ハード対策とあわせ、平成20年度から、ため池管理者に対して市町村を介して点検マニュアルを配付しておりまして、日常点検の充実強化を指導しております。これは、例えば樹木なんか生えてくると弱くなるとか、そういうようなものがありますので、注意をしてくださいということです。
 一遍には全部改修できないんですけども、できるだけスピードアップしてやっていきたいと考えております。
 次に、制度でございますが、県営ため池等整備事業の負担率は、国50%、県40%、残りは市町村を含む地元受益者10%の負担ということになっております。団体営ため池等整備事業では、国50%、県5%、地元45%であります。
 県営事業は、国の示す県負担のガイドライン、これは29%なんですけども、これを40%にあらかじめ直してありまして、大幅に上乗せをしております。農業用施設の改修に係る県の支援としては最も高率であります。
 地元負担をなくしてやってあげたらということについては、うん、そうだなという気持ちもあるんですが、なかなか現実の問題として難しいところがあります。
 そこで、全面改修を基本とすると随分多額のお金がかかるので、費用負担可能性を考慮して、安全度を高める部分改修、これもお勧めをしております。
 また、ソフト対策を組み合わせて、安全なように何とかもたせようということをやっておりまして、また県単独の小規模土地改良事業など、対策の規模に応じた事業の選択等により負担額をリーズナブルにしていきながら、できるだけ改修の率を上げていきたい、そんなふうに思っております。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 河川の樹木の伐採と土砂のしゅんせつについてでございますが、流下阻害対策として、樹木の繁茂や土砂の堆積が顕著で治水上支障のあるところから、伐採、しゅんせつを進めております。
 今後も、樹木の繁茂状況や河床の堆積状況を精査の上、地元の御意見もお聞きしながら適切に対応してまいります。
 続いて、浸水対策についてでございます。
 議員御指摘のとおり、紀の川本川の水位が高い場合、支川から本川への排水が困難となり、内水被害が発生する可能性があります。
 県としましては、大滝ダムの早期運用開始等により、紀の川本川の水位を極力低下させるよう国土交通省に要請しているところでございます。
 また、想定外の降雨に対しましても機動的に内水排除を行うため、排水ポンプ車3台を順次導入する計画としておりまして、紀の川周辺には、今年度1台、来年度以降1台配備する予定であり、広域的に運用を行ってまいります。
 なお、国においても紀の川周辺に3台配備していることから、緊急的に排水が必要な状況が発生すれば協力を要請してまいります。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 消防の広域化についてお答え申し上げます。
 消防の広域化につきましては、平成18年6月の消防組織法の改正を受け、市町村の御意見をお聞きした上で、平成20年5月に和歌山県消防広域化推進計画を策定し、県内17消防本部及び2非常備町村を、1、和歌山市・海南市、2、橋本市・紀の川市・岩出市・海草郡・伊都郡、3、有田市・御坊市・有田郡・日高郡、4、田辺市・西牟婁郡、5、新宮市・東牟婁郡の5ブロックに分け、各ブロックで広域化について御協議をいただいたところでございます。
 協議の結果としましては、3、有田市・御坊市・有田郡・日高郡、4、田辺市・西牟婁郡、5、新宮市・東牟婁郡の3ブロックにつきましては、給与水準の調整や施設整備の時期等に課題があり広域化による大きなメリットが見出せないという判断により、平成24年度末までの広域化は見送ることとされました。
 残る1、和歌山市・海南市、2、橋本市・紀の川市・岩出市・海草郡・伊都郡の2ブロックにつきましては、現在協議中であり、早期に御判断いただくよう働きかけておりますが、期限内の広域化は困難であるとお聞きをしてございます。
 県といたしましては、残る2ブロックの協議結果が広域化を見送ることとなった場合、再度各ブロックの市町村の考え方をお聞きした上で、期限にこだわることなく、自主的な市町村消防の広域化の推進について、市町村と協議しながら検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 答弁ありがとうございました。
 まず、1番目のため池対策でありますけども、県下に約5500あるというお話をいただいてます。緊急性の高いところから整備をしていただくということはよくわかってます。
 ただ、その残りの状況のため池が一体どうなってんのよということが全く私は把握されてないんかなと思うんです。小さなため池が決壊しても田畑を荒らしてしまう。そしたら、このときに必ず災害負担金として、地元負担金として、もう農林業というのは必ず地元負担金、受益負担金というのがついてくるんですよ。やっぱりこういうため池という部分でも、もう少しきちんとした調査が私は必要ではないかと思うんです。
 これを県だけでやれというんじゃなくて、県も、市町村も、自治会も、それから水利組合とかを含めた中で、もう少し、このため池は使われている、もう現在は使われていない、たまたま水がたまってるだけやというようなため池もあるかもわかりませんけども、こういう点についてやはり調査せなあかんのじゃないかと思ってます。
 先ほどから、何かマニュアルを送りつけて進めるというような話がありましたけども、これをやるんやったら報告の義務づけというのが必ずないと、ああ、来たわ、終わりましたよ、別に報告せんでもええんかなということになるような感じもします。この点について、農林水産部長に再度お聞きします。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ちょっと補足して説明させていただきます。
 ため池の緊急点検、これ、中越地震を受けて、県のほうで受益面積が0.5ヘクタール以上のため池について行いました。2ヘクタール以上のため池1143につきましては、県のほうでチェックいたしまして、72カ所が早急な整備が必要という判断を行っております。それから、0.5ないし2ヘクタール未満の受益面積のため池につきましては、市町村のほうに検討をお願いいたしております。
 それから、日常点検の推進のために、マニュアルを送りつけるだけじゃなしに、私どものほうで、例えば今回の台風12号の被害を受けまして、特に緊急度が高いと判断いたしました134のため池については、改めて現場を確認するようにということを振興局並びに市町村にお願いいたしております。
 それから、ただいま先生御指摘がございましたように、今後、市町村にその点検状況の結果、これも報告を求めて、より的確な現状把握に努めたいと、かように考えております。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 では、そのように必ずやっていただきたいと思います。これは本当に大変なことなんですよ。今、日本じゅう津波、津波で沸いてますけども、本当、津波の来ないとこというのは山津波という恐ろしい現実がありますから、それもこの間の愛宕池のように、診断はしてたけども違うところから決壊したようだというお話も聞いてますんで、そういう部分でやはり十分な対応をお願いしたいと思います。
 地元負担金の削減については、納得はしてないんですけども、やっぱり防災の観点からいうと、本来違うところが予算を持ってきて防災対策に、これはあくまで農林水産部の予算でありますので、その中からやれと言うほうが僕は無理違うんかなという気もしてます。
 そういう部分で、本当は危機管理監に聞きたかったんですけども、なかなか通告上それができなかったんで、知事に直接聞いたほうがええかなと。1番も本当は農林水産部長に聞きたかったんですけども、知事に直接答えてもうたほうが前へ進むん違うかなと思て質問をさしてもらいました。
 実際、この地元負担金というのは農林業に本当にしつこいほどついてくるもんなんです、災害が起きたら。林道災害が起きても、地元負担金幾ら出しなさいというふうなことばっかりなんですよね。農道もそうなんですけども。でも道路については全く負担金ありませんし。そういう部分についても、こういう防災上の観点から必要なことについては、ぜひ負担軽減ということをもう少し、県は全国よりもようけ補助してるという話は聞いてますけども、さらにの負担軽減という部分をお願いしたいと思います。
 次に、河川の問題でありますけども、とにかく紀の川というのは本当に緑豊かな川になってしまってまして、木を伐採すると、環境団体とかそういうところから怒ってきて、何で切るんやという話があります。でも、その地域住民にしたら、そこに上流から今回のように瓦れきとか木材とかいっぱい流れて、そこへとまって、そして堤防を乗り越す可能性が非常に高い。そういうところがあるんで、やっぱりもう少し、これはもう国土交通省に要望するしかないんですけども、そういう部分での伐採とか、そういうことはきちんと県からも強く言っていただきたいと思います。
 浸水につきましても、紀の川というのは、和歌山県で雨が降ってなかっても奈良県大台ヶ原でむちゃくちゃ降ったり、奈良県の降雨量がふえたことによって紀の川の水位が上がるんです。台風6号のときも大雨洪水警報、橋本に出てましたけど、雨降ってませんでした。でも水位はどんどんどんどん上がってくるという、もうぎりぎりのところまで台風6号のときも来てました。
 今回は、大迫ダムが放流したということで、市の職員さんに聞くと、放流から3時間してようやく橋本へたどり着くというふうなこともあります。そういうことについて、大滝ダムができたから紀の川の流れが減るというのは、ちょっと想定外のときは違うんちゃうかなという気もします。
 これはもう1つ、またこれも国にはっきり県からも言うてほしいんですけども、樋門のある地域というのは、常に樋門を閉めることによって水が逃げるとこなくなるんです。ただ、水を集水場みたいにするところはあるんですけども、それも横は住宅地なんですよね。そしたら、この台風3号でも地域住民の人がもう心配で、朝4時半からずっとそこを見に来てるんです。そういうふうなことが相次いでるんですよ。もうずっと継続的に続いてるということなんで、この樋門のあるところに対しては、やっぱり国土交通省に対して、県もわかってるんやから、県土整備部長、強く何らかの対策をしていただかないと、もう本当に大変なことになると思います。
 やっぱり中小の河川、確かに排水ポンプ車3台と言いますけども、これ、紀の川が同時にはんらんしてということは、あちこちでそういう事態が起こってるんですよ。3台というのは足らんわけですよ。この辺のことも、排水ポンプ車を配置するだけで片づく問題じゃないんです。私らも消防団で消防ポンプを持っていきましたけど、全然太刀打ちできないんです。結局役に立ったのは、災害協定で来てくれた橋本建設業界の大きなポンプが多量に出してくれたおかげでおさまったという。消防のポンプぐらいじゃとてもじゃないですけども、入ってくる量と出ていく量とは全然違うんで、やっぱりもう少しこの浸水対策については根本的に、物を配置したらええというだけの問題と違うと思うんで、逆にそういう中小河川のはんらんの危険のある地域には、もう少し対策を講じていただきたいと思います。
 これで第1問を終わります。
 次に、2番目、地域医療についてお聞きします。
 公立病院改革推進については、公立病院改革ガイドラインが平成19年12月24日、総務省から通知され、公立病院は公立病院改革プランを策定し、積極的に取り組むことを要請されています。和歌山県でも、現在、県内13団体が平成20年度中に策定の予定と回答されています。平成21年2月から3月にプランを公表するということになっていました。
 公立病院も経営の健全化に向けて取り組まなければならなくなりました。病院経営を取り巻く環境も厳しく、改革プランを達成することが求められています。
 公立病院が民間委託、診療所、介護施設等への転換を余儀なくされることのないよう、公立病院の経営の健全化のため、県も公立病院改革プランの進行管理に取り組まなければなりません。限られた医療資源を効果的に、効率的に活用するためには、地域医療の再編(役割分担)、ネットワーク化への取り組みを進めていかなければなりません。また、将来的には、公立病院の独立行政法人化への検討も必要かもしれません。
 公立病院が高度先進医療、急性期病院への特化が進み、入院日数が短縮され、短期間に退院を求められるケースがふえており、療養型病床の不足により近隣の民間病院が満床になり、遠方への転院も求められる事態が最近見受けられます。
 特に高齢者世帯では、介護施設への入所も難しく、大変苦労されています。高齢化が進行する中で、療養型病床の不足は大きな社会問題ではないかと思います。国は、介護施設への入所や在宅介護や在宅医療を進める方針を示していますが、現状を全く理解していないのではないかと思います。
 介護施設の方とも先日お話をしましたが、現実的には、病気の方の入所は、病気の治療をする場所ではないので十分なケアができないので入所は難しいというお話を聞きました。病院からは、介護施設へ移っても症状が悪くなって戻ってくるケースも多いと聞いています。在宅介護や在宅医療についても、核家族化、高齢化が進み、非常に厳しい現実があると思います。
 そこで、公立病院改革プランについてお聞きします。
 公立病院改革プランにおける公立病院の経営の健全化の状況について、総務部長にお聞きします。
 次に、公立病院改革に伴う再編(機能分担)、ネットワーク化への取り組みについて、福祉保健部長にお聞きします。
 公立病院改革プランの策定後の地域医療への影響について、福祉保健部長にお聞きします。
 2番目に、療養型病床不足による慢性患者、社会的入院患者、症状が固定した患者等への対策について、福祉保健部長にお聞きします。
○議長(新島 雄君) 総務部長。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 公立病院の経営の健全化についてお答えいたします。
 本県におきましては、13の公立病院すべてで平成20年度に公立病院改革プランを策定し、今後とも地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくため、病院事業経営の改革に総合的に取り組んでいるところでございます。
 御質問の経営の健全化・効率化につきましては、すべての病院において、主要な経営指標である経常収支について黒字化を目標とし、医師確保による診療体制の充実や、業務委託の見直し等による経営基盤の強化に取り組んでいるところでございます。
 平成21年度決算では、4病院において経常収支が黒字となり、平成20年度決算の1病院から改善しております。また、平成22年度決算では、黒字となる病院がさらに増加するものと見込まれ、着実に経営健全化が進捗しているものと考えております。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 公立病院の再編・ネットワーク化につきましては、限られた医療資源を効果的・効率的に活用し、本来有する機能を十分に発揮できる環境づくりを行うため、医療機関相互の機能分担と医療連携を進めるものでございます。
 具体的な取り組みといたしましては、串本町において、国保直営串本病院と国保古座川病院が統合、新たにくしもと町立病院が本年11月に開院いたします。新病院には、外来化学療法室やヘリポートが新設されるなど、地域の拠点病院として機能の充実が図られております。
 また、各地域においても、病院間での医師の相互派遣や診療の応援、病院と開業医との連携による救急医療体制の堅持、高度医療機器等の共同利用等、それぞれの実情に応じた取り組みを推進しております。
 次に、地域医療への影響についてですが、全国的に勤務医不足が大きな問題となる中、地域において必要な医療を確保するためには、地域の拠点となる公立病院の健全な経営と医療機関相互の連携が不可欠でございます。
 県としましては、地域における医療ニーズをしっかりと把握しながら公立病院改革プランを着実に推進していくとともに、和歌山県立医科大学入学定員の増員や、地域においても医師がキャリア形成を継続できるような環境づくりなど、抜本的な医師確保対策に取り組み、将来にわたり持続可能な医療提供体制の構築を目指してまいります。
 次に、療養型病床数の不足への対応についてでございます。
 県内医療機関における療養病床の利用状況につきましては、その利用率が87.3%と、一般病床などと比べますと比較的高い水準にございますが、県内すべての保健医療圏において、既存病床数が医療法の規定による基準病床数を上回る中、その増床については容易ではございません。
 そのような中、地域の拠点病院等におきましては、急性期の治療を終えた患者等の相談窓口として地域医療連携室を設け、必要な医療の程度に応じ、退院後の受け入れ先となる医療機関や介護保険施設、在宅に備えた在宅療養支援診療所や介護サービス事業者などの紹介を行っているところです。
 高齢化の進展に伴う慢性期医療への対応など、多様なニーズにこたえるため、より多くの医療機関に対し、地域医療連携室の設置と地域包括支援センター等との連携強化を促し、地域における緊密な医療と介護のネットワークづくりを進めてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 答弁ありがとうございました。
 公立病院改革プランというのは、地方自治体にとってはあめとむちというようなもので、収益が下がればこの病院を閉めなさいであるとか、介護施設に転換しなさいとか、そういう総務省から出てきたプランであります。
 その中で、本来、収支が上がってるということは、確かに市町村の財政からの、一般会計からの繰り出しが減っていく、逆に言えば、利益が上がれば総務省からの交付税も減らされる、減らしていけるというふうな二重のねらいがあるんではないかと私は思ってまして、地域医療どうのこうのというのはあんまり考えてないんかなという部分がある反面、再編・ネットワークという部分では非常に効果があるんではないかと思ってます。
 今、お話を聞いてた中で、本来、公立病院の役割というのは、僻地医療とか、民間病院にできない不採算部門を公立病院が担いなさいよということやったと、もともと思うんです。その分、地方交付税で赤字額については補てんしましょうということやったと思うんですけども、今のこの公立病院改革プランでいきますと、どうも不採算部門のところが切り離されて、もうかる医療を公立病院はやっていきなさいよというふうに聞こえてなりません。
 実際に、本当に、例えばがん患者が、もう終末医療のときは出ていきなさいよと言われる。また、あるいは脳内出血とか脳溢血とか脳卒中とかで来た人がこれ以上治療できなくなったら、もう次の病院へ移りなさいよという、今、流れです。これって、私も先ほども質問の中でお話ししましたように、私の知ってる人でも、脳の病気で介護施設へ行ったんやけども、かえって悪くなって帰ってきて亡くなったというケースも実際にあるんです。
 やっぱり医療と介護というのは違うもんやと思うんですけども、こういうところの部分が非常に受け皿としてどんどんなくなっていくんかなという気がするんですけども、1つ聞きたいのは、もう公立病院というのは、今言うたようなほうに特化していってしまうんかどうかというのをお聞きしたいなと思います。
○議長(新島 雄君) 総務部長。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 今、公立病院の役割についての御質問がございました。
 公立病院の役割というのは、やはり地域医療の最終的な番人として、地域の住民の皆さんの地域医療を担っていくという役割は、この公立病院改革プランの策定前も策定後も変わらないと考えております。
 この公立病院改革プランで目指しましたところは、そういった地域医療の役割を公立病院が担えるためにも、不採算部門については、一般会計からの繰り入れでありましたりとか、必要な医療は担っていくと。
 一方で、営業努力でカバーできる部分というのもあります。これがこれまで混然一体となって、営業努力で本来カバーしないといけないところも赤字要因になってたというところもございますので、在庫管理ですとか、職員の給与ですとか、そういうところで努力できるものは、営業努力でできるところは努力していって、そうすることによって地域医療を引き続き担っていくというのがこのプランの趣旨でございますし、それぞれ13の公立病院におきましても、その趣旨にのっとって経営健全化を進められて地域医療を担っていくということでございますので、引き続き公立病院は地域医療を担っていく大きな役割を持ってるというふうに考えております。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 ありがとうございました。本当に公立病院が果たすべき役割というのをやっぱりぜひきちっと果たすということ。
 総務省に注文なんですけども、ガイドラインをつくっていただくのはええんですけども、やっぱり都市と地方というのは環境が違いますから、そういう部分について、やっぱり一方的なもんじゃなくて、私、長さんのこういう研修会も3回ほど行ったんですけども、あの人の話聞いてたら、都市のことばっかりやなと、公立病院改革を進めるために非常に有利なところばっかり説明してるなという気もしたんで、やっぱり地方は地方の状況というのがあるんで、その辺は、今後もし見直すことがあれば、ぜひ国のほうにも訴えていただきたいなと思います。
 2番目には、療養型病床の不足というのが、先ほども申しましたように、結局は高齢者の方、特に重い病気でもう治療のしようがない、でも公立病院におったら診療点数も上がれへんし、これ以上治療しても仕方ないんで次へ移ってくださいよというのは事実あることです。在院日数の資料を見ていただいたらわかりますけど、大体2週間から3週間おれたら今ええなという状態やと思うんですね。こういう人たちが本当に介護施設へ行っても大丈夫なんか。
 在宅医療、在宅介護というのもあります。でも、これはやっぱりやった人しかわかりませんよ。こんなこと進めてほんまに、例えばおばあちゃんがおって、若い2人が働いてて、おばあちゃんが例えば病気で帰ってきて、そしたらだれが見るんよという話ですわ。じゃ、片方だれか仕事やめやなあかんというふうな現実もあるわけです。やっぱり介護施設の人も、ちょっと病院の方はと思うのがあるけども、介護施設と病院の連携があるんでそれを引き取ってるというような状況もあります。
 だから、療養型の病床をふやすことは難しいという、容易ではないというはっきりした答弁いただいたんで気持ちはよかったんですけども、中途半端に答えてもらうよりはよかったんですけども、やっぱりその辺のことについて、在宅療養支援診療所、24時間体制でやってもらえるというのはあるんやけども、実際そういう不安を、重い病気の方というのは、がんの末期患者の人というのは常にそういう不安を持ちながら生活してるということも含めて、やっぱり余ってるところがあるんやったら足らないとこへ回すとか、そういうふうな、医療計画の中でここはあんまり必要ないからこっちへ回すというふうなことも、もっともっと必要のあるとこへ回していただくというふうなことも必要かと思います。
 公立病院でも、今、医師と看護師の数の関係で、本来300あるんやけど、現在は200床で回してないというところもあるんですから、どっかにそういう部分を一時的に回すとか、やっぱりそういう柔軟な発想でぜひ取り組んでいただきたいと思います。これはもう答弁は結構です。
 最後に、私の質問のときには必ず出てきます国道371号バイパスについてと左岸農免についてお聞きをしたいと思います。
 国道371号バイパスは、知事、県土整備部、橋本市、関係機関の皆さんの御協力により大きく進展をしました。用地買収も一部を除き順調に進んでいます。
 残念ながら、大阪府側は依然として厳しい状況が続いていますが、これはもういきなり要望ですが、仁坂知事、県土整備部には、引き続き大阪府への強力な働きかけをお願いします。橋下知事も転身されるようでありますので、知事がかわれば考え方も変わるかなと思いますんで、ぜひお願いをしたいと思います。
 また、橋本市も河内長野市への働きかけをさらに市長、市議会ともに強めていくということで先日の総会で決めておりますので、さらに橋本市としても河内長野市への働きかけを強めてまいります。
 国道371号バイパスは、住宅地の中や近接地を通過するため、騒音を心配する声が高くなっています。騒音については、371号バイパスが完成し、自動車が通行してみなければ騒音の大きさはわかりませんが、今まで自動車が通らなかった場所を通るわけですから、騒音について十分な配慮をお願いしたいと思います。
 また、小原田からさつき台間がかなり高いところを走り、勾配がきつくなってるように感じていますが、冬の凍結が心配になっています。
 そこで、県土整備部長にお聞きします。
 国道371号バイパスの和歌山県側について、当初の目標年度、平成25年度に完成できるか、県土整備部長にお聞きします。
 柱本・橋谷地区に用地買収が難航している地域がありますが、ことし以上の予算の増額が必要と聞いていますが、大丈夫でしょうか。
 また、騒音対策について県土整備部長にお聞きします。
 三石台地区では、以前から騒音に対する対策協議会が設置され、県と協議を重ね、道路改良もしていただきました。しかし、まだ不十分であるため、防音壁の設置を要望されています。
 また、橋谷・御幸辻地区でも、今まで道路がなかったところに国道371号バイパスがつくられるため、騒音の心配をしています。今後、工事を進めていく中でどのような対策を立てていくのかお聞きします。また、地域住民の皆さんに十分な説明をし、誠意ある対応をお願いしたいと思います。
 次に、小原田─さつき台間は、結構高いところ、傾斜のきついところを走行するために凍結対策が必要と考えますが、どのような対策を考えられていますか。
 次に、紀の川左岸広域農道について県土整備部長にお聞きします。
 橋本市でも開発がおくれている河南地域の活性化を図る上でも大変重要な広域農道となります。特に、柿を中心とする農産物が生産され、日本一のへらざおの生産地でもあります。この道路とともに圃場整備や農産物の直売所も計画され、地域の活性化のため、一大チャンスとしてとらえています。高野山開創1200年までにはどうしても完成させなければなりません。
 そこで質問です。用地交渉難航地に対して、今後の取り組みについてお聞きします。
 また、清水─九度山間については、高野山開創1200年までの実現は可能か。どんなことをしても完成させることを確約してほしいと思いますが、県土整備部長の答弁をお願いします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 国道371号橋本バイパスにつきましては、任意交渉を続け、土地収用法も活用し、早期に用地取得を完了させるとともに、必要予算の確保に努めまして、平成25年度の供用を目標に整備を進めてまいります。
 三石台地区につきましては、平成13年度から騒音調査を実施しておりまして、その結果を踏まえ、騒音対策として平成18年、19年に低騒音舗装を施工することにより、沿道への騒音の緩和が図られているところでございます。また、柱谷・御幸辻地区についても、必要に応じ低騒音舗装などの対策を検討いたします。
 最後に、凍結対策については、バイパス完成後の路面状況を見きわめて適正な管理に努めます。
 続きまして、紀の川左岸広域農道についてでございますが、用地難航箇所につきましては、引き続き任意交渉を続けますが、土地収用法の活用も視野に入れて進めてまいります。
 また、紀の川左岸地区全体については、平成27年度供用を目指して整備を進めます。高野山開創1200年までには、地元の協力を得て、橋本工区など事業効果を発現できる区間の供用をふやすよう努めてまいります。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 ここで本当にお願いしたいのは、大阪府への働きかけについてであります。ここは、企業誘致でも大切な道路でありますし、実は地域医療についても大事な道なんです。ここは千代田の南医療センターあるいは近畿大学の病院へ通う人であるとか、救急搬送するためにとっても大事な道なんです。
 ですから、何よりも早くこういうことをやっぱり働きかけて、橋下知事もかわるかもわかりませんけども、ぜひ引き続き、知事も努力されてるのはもうわかってますし、国交省へ行っても言われるのが、大阪府次第やというのが、もう何回も国交省へ行っていつも同じ答えが返ってきましたけども、そういう分についてぜひお願いしたいのと、やっぱり今の天見の仮設道というのは場所悪いん違うかなと僕は思ってるんです。もっとトンネルの近くのほうへ仮設道を入れて、トンネルを先に掘るというふうな申し出も和歌山県からしていただきたいなと。その分だけ早くなるん違うかな。今の天見でしたら、今のところまで行って、また南海の高野線を越えて上へ行かなあかんという、まだまだ、仮設道に大きな金使い過ぎ違うかなと思うぐらい、非常に、工事としてもかなり時間がかかると思いますんで、その辺についても一度トンネルを早く掘るためにいい方法をぜひ和歌山県でも大阪府のほうへ申し入れをしてほしいなと思います。
 もう1つ、紀の川左岸について、今、用地交渉の難航地域についてお話をいただきました。引き続き交渉していただくということでありますが、これはもう以前にも知事陳情のときにもお話ししましたように、もうここの地域は、地元の人が何回も何回も行って交渉してもらって、もうそれでも、お金何ぼ積んでもうても要らんて言われたとこなんです。そんなとこにいつまでも用地交渉します、用地交渉しますと言われても、そんなん、そしたら平成27年の3月までにどない考えても間に合えへんと思うんですよね。やっぱり地元の人がこれだけ一生懸命に、県の職員にかわってどんどんどんどん地元の用地交渉をここまで進めてくれたのに、こういう対応では私は納得できません。もう一歩踏み込んだ答弁をいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) この箇所につきましては、土地収用法の活用は必要と考えておりますので、本年度から事業認定図書の作成等の作業を行う予定でございます。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 農道ということで、土地収用法は確かに全国で1つしか認められてないような話も聞いてますが、ぜひ早期にしていただいて、もしだめな場合、次の対策を立てていただくということをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(新島 雄君) 以上で、平木哲朗君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時55分散会

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