平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(谷 洋一議員の質疑及び一般質問)


汎用性を考慮してJIS第1・2水準文字の範囲で表示しているため、会議録正本とは一部表記の異なるものがあります。

正しい表記は「人名等の正しい表記」をご覧ください。

  午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第101号から議案第117号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 35番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 おはようございます。
 まず最初に、一言申し上げます。
 今回の台風12号により、県内において数多くの方々が犠牲になられました。亡くなられた方々に対し、心から御冥福をお祈りいたします。
 また、被害に遭われ、避難生活など不自由な暮らしを余儀なくされている多くの皆様方に対しましても、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 そして、県内外から自衛隊、警察、消防を初めとした多数の関係機関や、ボランティアを初め、個人、企業など一般の方々から御支援をいただき、捜索活動、支援活動、復旧活動等に取り組んでくださっておりますことに深く感謝を申し上げるとともに、引き続き御尽力を賜りますようよろしくお願いいたします。
 自民党和歌山県連もいち早く災害対策本部を立ち上げていただき、いろいろ御尽力をしていただいております。先日は、青年部有志の方々がボランティアとして被災地に入って協力をしていただきました。厚く感謝を申し上げたいと思います。
 今回の台風災害により、一般質問の日程が当初の4日間から2日間に短縮されましたが、平成23年9月定例会の一般質問の初日に質問の機会を与えていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 本県議会では、これまでにもさまざまな改革に取り組んでまいりましたが、今期定例会より対面式演壇を設け、分割質問方式や一問一答方式を導入することとなりました。私も、昨年来この4月までの間、議長として議会改革検討委員会等の場においてこの検討に携わってきた者として、まず最初に、今回導入されました新しい方式により質問をさせていただき、緊張感のある議論をいたしたいと思いますので、当局の方々におかれましても、県民の皆様にわかりやすい答弁をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 1点目の台風12号に係る県の対応についての項目に入りたいと思います。
 毎年のように台風や集中豪雨が発生している和歌山県でありますが、9月2日から4日にかけて西日本を縦断した台風12号は、そのスピードが余りにもゆっくりであったため、紀伊半島の南東部や山間部に対し長時間にわたり激しい雨を降らし、過去に例を見ない甚大な被害をもたらしました。那智勝浦町に住む私自身にとっても初めての経験であり、改めて自然災害の脅威を身をもって感じたところです。
 県内における人的被害状況は、9月19日現在で、死者47人、行方不明者8人、負傷者6人であります。そのうち、那智勝浦町で犠牲になられた方は23名に上ると思っております。
 物的な被害としても、家屋など民間施設や公共施設などに多数の被害が出ているとともに、道路や河川、鉄道、またライフラインとしての電気、水道、電話などにも多くの被害が出ています。
 私も、9月4日に朝から那智勝浦町の太田川や那智川の状況を確認に向かいましたが、道路の寸断などにより立ち入れる状況ではなく、午後に向かった古座川町においても、奥に立ち入ることはできたものの、家屋や流木が道路をふさぐなど、悲惨な状況にありました。
 幸いにも死者や行方不明者は出なかったものの、古座川にかかる橋も流され、全戸の4割は浸水するなど、今なお家屋周辺は流木や泥水に覆われており、特に高齢者の方々が多いこの地域では、普通の生活に戻るにはまだまだほど遠い状況にあると思います。それでも一生懸命頑張っている方々を目の前にして、この困難な状況を早期に解消しなければならないという思いをさらに強くしたところであります。
 くしくも、前回、平成22年6月議会の一般質問において、私は、万が一大規模地震等の災害が発生してしまった場合、紀南地方の海岸べりに住んでいる者として心配しているのは、それらの事態に対応できる基盤整備がきちんとできているかどうか。例えば、交通が遮断されて、空からの救援、または海からの救援に頼らなければならない事態が生じたときに、その事態に対応する基盤整備は十分にできているのかどうか。特に、港湾、漁港、堤防等の整備について、耐震、津波等への対応が十分できているかどうかについて、県として確実かつ的確に対処していただくよう、県当局に要望をいたしました。
 今回の被害は台風であり、地震、津波ではありませんが、大規模災害という点においては同じであります。今後、被災地域の復旧を進めていくに当たり、また災害に耐え得る基盤整備を行うに当たり、まず今回の被害がどのような規模に及んでいるのか、きちんと受けとめる必要があると思います。
 そこで、知事にお尋ねします。
 現時点の被害状況全体について、どのように把握されているのでしょうか。ニュース等により被災地域のさまざまな状況を目にするところですが、県下全体における被害の全容はどのようになっているのでしょうか。被害の全容を示していただきたいと思います。
 次に、今後の県の取り組みについてですが、県議会としましては、9月8日の議会開会日に「台風災害対策に関する意見書」を全会一致で可決しまして、内閣総理大臣を初めとする関係機関に提出いたしました。
 激甚災害の早期指定はもちろんのこと、各種災害復旧事業の早期採択、被災者生活再建支援制度の拡充、中小企業者に対する金融支援など、7項目にわたっております。その中の最重要項目である激甚災害については、本日20日に指定されると聞いており、その迅速な対応を非常にありがたく思います。
 特に、被災地に住んでいる人々にとっては、今後も生活していく上で、住宅、道路、電力、水道、通信等のライフラインの確保は急務でございます。場所によっては固定電話もまだつながらないままですし、携帯電話もつながりにくくなっております。大規模災害発生時に孤立集落の通信を確保するために無線機、衛星携帯電話の配備をしておりますが、その機能は十分果たされたのかどうか、改めて検証することも必要かと思います。
 今後も、行方不明の方々の捜索活動を最優先に行うことは当然のことでございますが、同時に市町村と連携して復旧活動に万全を期していかなければなりません。
 経済的には、農林水産業は大打撃を受けました。その全体の被害規模についての被害金額はまだわかっていません。
 今後の災害復旧については、膨大な予算と労力が必要なことから、国の支援は欠かすことができないのは当然のことでございます。
 そこで、今後についても国が早期に強力な対策を講じるように県としてどのような働きを行っていくのか。また、国の制度による対策以外に県としての独自の対策を考えているのかどうか。そして、ライフラインの確保を初めとする災害復旧に対する今後の県の取り組みについて、知事にお伺いいたします。
 次に、具体的な対策についてお伺いします。
 まずは、道路の復旧対策でございます。
 今回の豪雨による土砂災害の河川の増水による橋梁の流失など、県内各地にて国道、県道などに多数の被害が出ております。紀南地方においても、県内道路ネットワークの骨格を担うX軸ネットワークの国道311号、国道168号や国道371号、また、私の地元である県道那智山勝浦線、県道那智勝浦古座川線を初めとする県道にも甚大な被害が出ております。
 地域のライフラインとして深刻な事態となっておるのは、御承知のとおりであります。今後の道路網の復旧は、まさに地域住民の生活復旧に直結するものであり、また地域住民の生命・安全を守るための復旧であると考えます。
 そこで、今後の道路の復旧見込みについて、県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、河川のはんらんについてでございます。
 紀南地域では、熊野川を初め那智川、太田川、古座川など、多くの河川ではんらんが発生し、多数のとうとい命が奪われ、なお多くの人が行方不明になっております。被害に遭われた方、家族の方にとっての悲しみは大変深く、かける言葉も見つかりません。また、洪水は人的被害を与えたのみならず、周辺の集落をも壊滅状態にしました。
 今回、各河川においてこのような大規模なはんらんが発生した原因は何なのか。また、上流ダムの操作、事前放流などの予防的措置など、今回の台風への対応、備えはどのようになされていたのか。河川のはんらんに対する見解及び対策を県土整備部長からお伺いしたいと思います。
 次に、瓦れき、流木の撤去についてでございます。
 現に住宅地等にある瓦れき、流木の撤去をどうするのかということです。住民の方々の自助努力には限界があります。特に被害地である山間部においては、高齢者の方々が多く住んでおり、その方々にそのすべてを任すのは酷であります。行政の責任としてその対策は急務であり、ほうっておけないものと考えますが、県としての対策または支援をどのように考えているのか、環境生活部長にお伺いいたします。
 次に、経済的な支援策等についてお伺いいたします。
 まずは、中小企業者に対する金融支援についてでございます。
 今回の豪雨では、家屋以外にも、地域を支える商店や地域の雇用を守る工場、事業所など、多くの商工業施設も被災いたしました。これら被災された中小企業者の皆さんは地域経済を支える大切な一員であり、このまま放置すると被災地域の復興に大きな支障を来すことになると憂慮されます。
 被災された中小企業の皆さんに、一刻も早く店舗や工場、事業所を復旧し、事業再建に取り組んでいただくためにも、低金利で被災事業者の事情も十分考慮した新しい融資制度を創設するなど、これまでの県融資制度からさらに踏み込んだ金融支援策が必要であると考えますが、いかがでしょうか。商工観光労働部長にお伺いいたします。
 次に、観光業に対する支援についてお尋ねいたします。
 紀南地域にとって重要な基幹産業である観光産業も、この台風被害で大きな打撃を受けました。世界遺産に登録された熊野三山を初めとする観光地、また宿泊施設や土産物店などの商業施設、そして、そこに至る交通アクセスなど、熊野地域は悲惨な状況にあります。観光立県を掲げる和歌山県としては、その立て直しを早急に図らなければならないと考えます。世界遺産登録の効果により、その魅力は最近では国内だけでなく海外にも定着しつつあり、熊野に魅力を感じる多くの人々が熊野地方を訪れてくれるようになりました。しかしながら、このままの状態が長く続けば、本県の観光産業に対し、長きにわたり影響を与えることになりかねません。
 県として観光業に対して今後どのような支援または対策を打つつもりなのか、あわせて商工観光労働部長にお伺いいたします。
 以上で、1点目、台風12号に係る県の対応に関する最初の質問を終わらせていただきます。
○議長(新島 雄君) ただいまの谷洋一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 答弁に移らしていただく前に一言申し上げたいと思いますが、今回の台風で50人以上の死者、行方不明者をこの和歌山県から出してしまいました。また、多くの方々が財産を失われました。ざんきにたえないところであります。
 まず、このたびの台風12号豪雨によりまして、とうとい命を落とされた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、被災された県民の皆様に心からお見舞い申し上げます。
 ただ、今は悲しみに沈んでいるときではないと。一日も早い復旧に全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
 議員の皆様を初め、市町村、関係機関とともに全力を傾注してまいりたいと考えております。
 この間、国、関係機関、関西広域連合を初め、県内外から大変な御支援をいただきました。心からお礼を申し上げる次第であります。
 台風12号の激甚災害の指定については、本日、閣議決定をされました。県からの要請で早急な指定をしてくださったことに対してお礼を申し上げたいと思いますが、今後とも必要な対策に積極的に取り組んでいく所存でございます。
 さて、御質問でございますけども、台風12号は極めて低速で北上いたしました。本県から遠ざかりつつ豪雨が連続するという、経験のない事態を引き起こしました。紀伊半島を中心に広い範囲で総降水量1000ミリを超えました。一部の地域では2000ミリを超えていると思います。尋常でない降水量でありまして、1976年からの統計開始以来の国内観測記録を大幅に上回ったのを初め、各地で降水記録が更新され、被害が拡大いたしました。
 県では、直ちに災害対策本部を設置し、市町村や関係機関と連携しつつ、被害の把握と応急対策に取り組んでいるところでありますが、被害は余りにも深刻であります。
 現在までに把握している被害の概要といたしましては、大雨により各地で土砂崩れが発生いたしました。また、熊野川、那智川などの河川がはんらんし、多くの方が犠牲になる痛ましい大災害となりました。
 また、内陸部に至る幹線道路である国道168号、311号など、救援活動や生活を行っていく上で大切な道路が土砂崩れなどの被害を受け、鉄道もJR紀勢本線の那智川にかかる鉄橋が流出するなどして、運行にいまだ支障が出ております。
 電気、水道、電話などのライフラインについても紀南を中心に大変な大きな被害が出て、施設、設備が被災し、広範囲にわたり断絶いたしまして、県民の生活に影響が出ました。
 台風12号による被害は、人的被害や住居被害、道路や河川などの公共施設だけじゃなくて、農林水産業や紀南地方の観光業にまで及んでおります。被害の全容については、まだ行方不明者も残り、被害額も含めてすべて明らかになったわけではありませんが、平成になってから最も大きな台風被害であり、記録的な大災害との認識のもと、災害応急対策に取り組んでいく所存であります。
 さて、その中身でございますが、まず被害がだんだん明らかになってまいりました。4日の時点で大変な危機がありました。今でもそうでございますが。
 と申しますのは、ほとんどの地域が水没をして、それで助けに行こうとしても助けに行けない。空から助けに行くのが唯一の手段なんだけども、天候が悪い。しかも、前夜から自衛隊の災害出動を要請しておりましたが、関西の全部のヘリコプターを、自衛隊のものを動員してもらっても数機しかありませんでした。これはいかんということで、直ちに防災大臣に朝電話をして、国としての非常災害対策本部をつくろうというようなことで打ち合わせをしておられた中でありましたが、たくさんのヘリコプターを回してくださいと、自衛隊もたくさん投入してくださいというようなことを申し上げまして、それ以来、国には大変お世話になっていると考えております。
 今月13日には、激甚災害の早期指定や被災者の生活再建に向けた支援、あるいは被災地の迅速な救助・救援活動や今後の復旧にも極めて大きな役割を果たす高速道路ネットワークの整備など、8項目の緊急要望を行って──これは東京に行ってまいりまして──お願いをしてまいりました。
 一言で申しますと、今大変な状況を継続して助けてくださいということと、それから県民が今後安心して今後の生活に希望を持てるように安全な県土づくりに国としてもぜひ尽力してくださいと、この2つであろうかと思います。
 現在、もちろん、特に前半については国にも随分助けていただいておりまして、後半は今後の話なんですけども、前半については感謝をしているところであります。
 一方、自分でやらなきゃいけないことはたくさんあります。防災対策は市町村が担当というのが大体の基本でありますけれども、しかし、そんなことは言ってられません。市町村によっては、余りの被害の大きさにその機能を喪失しているようなところも当然出てまいります。それは責めるわけにはいきません。
 そのときに、県としてはそれを調整しながらいろんなものを送り込んだりするわけですけれども、監督をしている、あるいは報告を求めると、全体を集約すると、そういうことだけやっておればいいというものでは決してございません。自分でやらなきゃいけない、例えば県道あるいは国道の応急復旧とか、そういうことはもちろんでありますけれども、それから頼まなきゃいけないこと、これはもうどんどん頼むということでありますが、先ほど言ったみたいに、報告を求めるというんじゃなくて、報告が来れないような状態だったら自分で行ってかわりにやろうという考え方で、今多くの人員を特に危機にある市町村に送り込んで代替をしているというようなところがたくさんございます。
 例えば、ごみの話とかボランティアとか、それから被害認定とか、そういうところに多くの要員を送り込んで、それで被災者の確認とか、ニーズ調査とか、ボランティアとか、ごみ処理とか、応援隊の組織化とか、そういうことをやっているところでございます。
 今後は、こういう応急復旧に全力を挙げて、それで仮復旧ができましたら、今度は本復旧にも急いで取りかかって、我が県の機能を一日も早く取り返したいと思います。
 と同時に、引き続き国にもお願いをして、将来に安心と希望の持てるように、唯一残った、無傷で残った高速道路が那智勝浦道路でありましたが、そういうものがちゃんと紀伊半島を一周するように、あるいは北部で被害が起こったときに頼りになる京奈和がきちんと早くできますように、あるいは、そのほか各種インフラ、あるいは熊野川の総合計画とか、そういうことをきちんと国にお願いをしながら県としても頑張ってまいりたい、そんなふうに考えている次第であります。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 最初に、道路の復旧対策についてでございますが、台風12号により県内各地においてのり面崩壊や路側決壊等が発生し、高速道路、国道、県道で160カ所が通行どめとなり、県内道路ネットワークに甚大な被害が発生しました。
 これらの通行どめ箇所については、地元建設業者、測量業者等の協力を得まして応急復旧に取り組んだ結果、9月20日8時時点で122カ所の通行どめが解消されております。
 引き続き、X軸ネットワークの国道168号、311号等及び地域のライフラインであります県道那智山勝浦線等の箇所についても、一日も早い道路復旧に努めてまいります。
 次に、河川のはんらんについてでございます。
 大型で強い台風12号はゆっくりと北上し、熊野川上流の1800ミリを初め、紀伊半島を中心に広い範囲で総雨量1000ミリを超える大雨をもたらしました。今回の河川のはんらんは、この記録的な大雨によりもたらされたものと認識しております。
 洪水対策として県が設置している5つのダムのうち、七川ダムなど4つの多目的ダムでは、台風12号接近に伴い事前に予備放流等を行い、洪水調節容量の確保に努めました。次第に雨が強まる中、河川流量の増大に合わせ、下流部を洪水被害から守るため洪水調節を実施したところでございます。
 ふえ続ける洪水流をダムで調節したものの、強い雨は長時間降り続き、広川ダムを除く4ダムでは、計画規模以上の洪水流入となり、ダムの貯水位が満水付近に達しました。
 その状態においても、放流量をコントロールしながら、下流での急激な水位変化を軽減すべく懸命な操作を行い、下流でのはんらん発生をぎりぎりまで抑えるなど、可能な限りの洪水調節機能を発揮したところでございます。
 しかしながら、計画規模以上の大雨に対しましては、ダムや堤防等のハード整備だけでは限界があり、これまでも避難に役立つ情報提供等のソフト対策も進めてきたところでございます。
 以上のように最善を尽くしたところでございますが、今回のような記録的な大雨に今後見舞われた場合にどのような対応をしていくか検討していきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 瓦れき、流木の撤去に係る県の対応についてでございますけれども、被災地の良好な生活環境を確保し、また一日も早い復旧・復興をなし遂げるためにも、台風12号の被害により発生した膨大な量の廃棄物を適正かつ迅速に処理することが必要であります。
 災害により発生した廃棄物の処理責務は市町村にありますが、県では特に被害の大きかった田辺市、新宮市、日高川町、那智勝浦町に廃棄物処理の担当職員を派遣し、処理方法等について助言するとともに、関西広域連合との連絡を密にしながら、県内市町村への応援要請や社団法人和歌山県産業廃棄物協会との協力体制の調整を行う等、被災市町村と一緒になって廃棄物処理に取り組んでいるところでございます。
 県といたしましても、廃棄物処理を一日でも早く完了できるよう、今後とも被災市町村に対し積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 初めに、中小企業者の方々に対する金融支援についてですが、今回の災害では、地域を支える多くの商工関係の皆様も被災され、その被害は甚大なものであると認識しております。
 議員御提案の被災中小企業者に対する事業再建に必要な低利融資等の金融支援策につきましては、東日本大震災あるいは過去の台風や地震の被災県の事例を参考に、新たな災害復旧対策資金の創設作業を行っているところであり、今議会での追加補正予算の提案に向け準備させていただいておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 次に、観光業に対する支援についてですが、今回の台風12号では、主要幹線道路や鉄道などの交通アクセスが寸断したり、観光資源の一部が被災するなどの被害を受けたところであります。このため、宿泊のキャンセルやツアーの催行が中止になるなどの影響を受け、観光業を取り巻く状況は非常に厳しいものと認識しております。したがいまして、観光事業者の方々に対しましては、従来からのセーフティーネット保証を活用した県融資制度に加え、先ほど申し上げた新たな災害復旧対策資金において、できる限りの金融支援を行っていきたいと考えております。
 さらに、今後の観光施策の実施に当たっては、台風12号の被害を踏まえて既存の計画を思い切って見直し、熊野古道のボランティアによる宿泊つき保全活動などの積極的な取り組みや災害の復興状況等を勘案した上で、東海圏などに向けたメディア、旅行エージェント、一般消費者向けのプロモーション活動等を工夫して実施することで観光客の回復に全力で努めてまいります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 御答弁いただき、ありがとうございました。
 ただいま、知事あるいは関係部長から、今回の台風被害への取り組みについて御説明をいただきました。
 9月初めの台風襲来より、県においては知事を先頭に職員の皆さんが昼夜を問わず一生懸命に頑張ってくれておりますことに感謝いたします。
 私の住む那智勝浦町におきましても、寺本町長の奥さん、またお嬢さんがこの台風の犠牲になりました。しかし、町長も家に帰ることなく、庁舎でずっとそれ以来頑張ってくれております。頭の下がる思いであります。
 今回の災害による傷は本当に深く、被災地にはまだまだ大変不便な生活が続いております。また、迅速な復旧作業に取り組んでいただいているものの、それぞれの地域で安心して暮らせるようになるには、まだまだ時間がかかるように思います。
 そこで、知事を初め当局の皆様には、被災地の声、被災地の思いをいま一度しっかりと受けとめていただき、さらなる取り組みを進めていただくようお願いいたします。
 具体的な取り組みを幾つかお願いしたいと思います。
 まずは、ダム操作についてでございます。地球温暖化など地球を取り巻く環境が変化している中、今回の台風災害が想定外であったという言いわけは、もはや許されません。今後このような災害を起こさないために現行の操作の基準を見直していただき、今後は確実に治水機能を果たすことができる、そういうものにしていただきたいというのが1つであります。
 もう1つは、決壊した河川についても、単純に原形復旧をするというものではなく、川幅を拡大するなど、今後を見据えた復旧を行っていただきたいということ。河川に関係して、この2つの要望をさせていただきます。
 次に、JR紀勢線の復旧についてでございます。
 17日には白浜─串本間で運転が再開され、27日には紀伊勝浦まで復旧する見通しと聞いております。しかしながら、那智川にかかる橋梁が流失した紀伊勝浦─新宮間につきましては、復旧のめどが立っておりません。河川を管理する県としても、JR西日本に全面協力を行い、一日も早い紀勢線の全面復旧に全力を挙げていただきたいと思います。これも要望とさせていただきます。
 これで、1点目の質問を終了いたします。終わらせていただきます。
 それでは2点目、原発事故による放射能汚染についてでございます。
 原発事故で飛散した放射性セシウムに汚染された稲わらを給餌された牛の肉が流通したことで、学校給食の献立から牛肉を使ったメニューを外す教育委員会が各地で相次いでいます。「汚染牛肉が使われたと後からわかる現状では保護者に安心してもらえない」、「独自の検査を求める声に即応できないだけに保護者の不安が強い」等、保護者からの不安を理由に挙げている教育委員会が多くあります。
 一方、「牛肉は全部だめというのは過剰反応。長引けば風評被害にもつながる」、「卸売業者が個体識別番号をチェックしたものだけ使うので問題ない」という立場の教育委員会もあります。
 さらに、保護者からは、「給食には不検出のものを使う」とか「福島県産の農産物は使わない」など、「独自の厳しい基準をつくって」との声もあると聞いています。
 こうした声に、大阪市では市が放射能測定している卸売市場から食材を納入したり、京都市でも福島や北関東の食材について市の測定装置を使って検査した結果をホームページで公表しています。同様の検査は横浜市、前橋市などでも実施されていますが、ネックは費用で、検査機器は精密なもので数1000万円、外注すれば検査料は1検体当たり約2万円、食材を全部チェックすると年約1000万円かかると神戸市などで試算されています。
 知事にお尋ねします。
 野菜や米など多くの農産物が原発事故後の収穫物になりつつある中、放射能汚染は牛肉だけの問題でなくなっています。放射能から学校給食を初めとする食品の安全をどう守るのか、その方針をお尋ねします。
 原子力対策本部長からの指示で、出荷前の農水産物の放射能の検査は、福島県を初めとする17都県で実施されているところです。また、放射能の影響が考えられる自治体は、独自で県内産の農水産物を対象に検査が行われています。
 こうした汚染されたものを流通に乗せないための出荷前検査は当然きっちりやっていただかないといけませんが、セシウムに汚染された牛肉が流通したことで、指示対象以外で、しかも放射能の影響が考えられない西日本の自治体においても、米などの主要農水産物を中心に独自に出荷前検査を実施するところがふえています。
 これらは、主要農水産物のブランドイメージを守るため、消費者に安全性をアピールして安心して購入してもらうためとの理由ですが、こうした動きは、かえって福島や茨城県産を差別化し、風評被害を助長しているように思えるのですが。
 食品における風評被害とは、安全にもかかわらず、誤った情報、認識により、食品が売れなくなることだと思います。
 放射能から県産農水産物の安全性を担保するための仕組みを構築し、それを県民の皆様にきっちり説明するとともに情報を開示することが肝要であると考えますが、これから収穫期、特に本県の主要農産物である柿やミカンの収穫期を迎えるに当たって、風評被害から県産農水産物を守るためにどのように対応していくのか、知事にお伺いいたします。
 原発事故による放射能汚染に関する質問とさせていただきます。どうか、よろしくお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県民の安全を守る、特に健康を守るというのは、我々の大事な責務であります。そういう意味で、この放射能あるいは放射線による障害が出ないようにしなきゃいけない、あるいはまた議員御指摘のように、和歌山県の農産物、生産物がそういう点で風評被害に遭わないようにしなきゃいけないというのは我々の義務だと考えております。
 現在、被災された県、福島県を中心に近傍の県では、そういう風評被害を防ぐために、出荷に際してみずからの安全のために、かなりの程度の検査をして、それで安全なものを出しているというふうに考えております。
 我々は、これが100%きちんとなされているかどうかということは、それはなかなか検証するのが難しいわけですけれども、みずからの生き残りのためにそういうことをきちんとやってくださっていると思っておって、まずはそれを信じて、その上でちょっとおかしいということであれば、みずからもいろいろ調査に行くということにしていきたいと思っております。
 すべての食品について全部検査をするというのは、技術的には多分無理だというふうに思いますので、そういう方針でやってまいりたいと考えております。
 次に、今度は和歌山県の農産物について、風評被害の対象にならないかどうかという点についても注意しておかないといけないと考えます。
 現在、県ではかなりの──かなりと言ってもそんなにたくさんではございませんが──簡易型及び本格的な計量機器を入手しておりますので、これを用いてできるだけ多くの農産物についてまずは簡易検査をして、簡易検査で少しおかしいなと思うようなものについては本格的に精密検査をして成分分析をして、その上で有意な数字が出た場合には速やかに公表して県産農産物や流通食品の安全の確保を図ってまいりたい、そんなふうに思っております。
 ただ、皆さんよく御存じだと思いますが、自然界にも放射能はあります。その値は、現在でも日本はかなり低い値でありまして、およそ1けた多いような地域が世界じゅうにはたくさんあります。そういうことについての基本的な知識というようなものを県民の皆様が持っていただいて、それで、もちろん安全を図りながら、被災された福島県等々の方々に不合理な差別になるようなそういうことは避けていかなきゃいけないんではないかと、そんなふうに考えるところであります。
○議長(新島 雄君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 御答弁いただきましてありがとうございます。
 知事は、就任以来、県産品の普及や販路開拓など、県のトップセールスマンということで先頭に立って懸命に取り組んでいただいております。とりわけ農水産物の売り込みに力を入れてこられまして、そして、今、この農水産物が原発事故による放射能汚染という問題に直面しています。
 御答弁にもございましたが、本当にこの問題に関しては、冷静な判断、冷静な対応が最も重要かと思います。本県においても、信頼される管理体制のもと、県内外の皆様に安心して和歌山の農水産品を味わっていただけるよう引き続き取り組んでいただき、しっかりと和歌山ブランドを守っていただきたいと思います。
 以上、お願いさせていただきまして、私の一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、谷洋一君の質問が終了いたしました。

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