平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(全文)


平成23年9月 和歌山県議会定例会会議録

第2号(全文)


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平成23年9月
和歌山県議会定例会会議録
第2号
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議事日程 第2号
 平成23年9月20日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第101号から議案第117号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第101号から議案第117号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(41人)
 1番 森 礼子
 2番 立谷誠一
 3番 尾崎太郎
 4番 藤山将材
 5番 新島 雄
 6番 山下直也
 7番 門 三佐博
 8番 井出益弘
 9番 濱口太史
 10番 鈴木太雄
 11番 服部 一
 12番 川口文章
 13番 山田正彦
 15番 宇治田栄蔵
 16番 尾崎要二
 17番 山本茂博
 18番 平木哲朗
 19番 前芝雅嗣
 20番 浅井修一郎
 21番 中村裕一
 22番 冨安民浩
 23番 岸本 健
 24番 中 拓哉
 25番 花田健吉
 26番 角田秀樹
 27番 吉井和視
 28番 向井嘉久藏
 29番 谷口和樹
 30番 多田純一
 31番 片桐章浩
 32番 藤本眞利子
 33番 浦口高典
 34番 大沢広太郎
 35番 谷 洋一
 36番 岩田弘彦
 37番 高田由一
 38番 奥村規子
 39番 山下大輔
 40番 松坂英樹
 41番 長坂隆司
 42番 雑賀光夫
欠席議員(1人)
 14番 坂本 登
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       野田寛芳
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      宇恵元昭
 総務部長       米澤朋通
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     鈴木敏彦
 商工観光労働部長   大門達生
 農林水産部長     増谷行紀
 県土整備部長     森 勝彦
 会計管理者      米山重明
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        西下博通
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事班長       中井 寛
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       谷村守彦
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  午前10時0分開議
○議長(新島 雄君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第101号から議案第117号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 35番谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕(拍手)
○谷 洋一君 おはようございます。
 まず最初に、一言申し上げます。
 今回の台風12号により、県内において数多くの方々が犠牲になられました。亡くなられた方々に対し、心から御冥福をお祈りいたします。
 また、被害に遭われ、避難生活など不自由な暮らしを余儀なくされている多くの皆様方に対しましても、心からお見舞いを申し上げたいと思います。
 そして、県内外から自衛隊、警察、消防を初めとした多数の関係機関や、ボランティアを初め、個人、企業など一般の方々から御支援をいただき、捜索活動、支援活動、復旧活動等に取り組んでくださっておりますことに深く感謝を申し上げるとともに、引き続き御尽力を賜りますようよろしくお願いいたします。
 自民党和歌山県連もいち早く災害対策本部を立ち上げていただき、いろいろ御尽力をしていただいております。先日は、青年部有志の方々がボランティアとして被災地に入って協力をしていただきました。厚く感謝を申し上げたいと思います。
 今回の台風災害により、一般質問の日程が当初の4日間から2日間に短縮されましたが、平成23年9月定例会の一般質問の初日に質問の機会を与えていただいたことに感謝を申し上げたいと思います。
 本県議会では、これまでにもさまざまな改革に取り組んでまいりましたが、今期定例会より対面式演壇を設け、分割質問方式や一問一答方式を導入することとなりました。私も、昨年来この4月までの間、議長として議会改革検討委員会等の場においてこの検討に携わってきた者として、まず最初に、今回導入されました新しい方式により質問をさせていただき、緊張感のある議論をいたしたいと思いますので、当局の方々におかれましても、県民の皆様にわかりやすい答弁をいただきますよう、よろしくお願いいたします。
 それでは、議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 1点目の台風12号に係る県の対応についての項目に入りたいと思います。
 毎年のように台風や集中豪雨が発生している和歌山県でありますが、9月2日から4日にかけて西日本を縦断した台風12号は、そのスピードが余りにもゆっくりであったため、紀伊半島の南東部や山間部に対し長時間にわたり激しい雨を降らし、過去に例を見ない甚大な被害をもたらしました。那智勝浦町に住む私自身にとっても初めての経験であり、改めて自然災害の脅威を身をもって感じたところです。
 県内における人的被害状況は、9月19日現在で、死者47人、行方不明者8人、負傷者6人であります。そのうち、那智勝浦町で犠牲になられた方は23名に上ると思っております。
 物的な被害としても、家屋など民間施設や公共施設などに多数の被害が出ているとともに、道路や河川、鉄道、またライフラインとしての電気、水道、電話などにも多くの被害が出ています。
 私も、9月4日に朝から那智勝浦町の太田川や那智川の状況を確認に向かいましたが、道路の寸断などにより立ち入れる状況ではなく、午後に向かった古座川町においても、奥に立ち入ることはできたものの、家屋や流木が道路をふさぐなど、悲惨な状況にありました。
 幸いにも死者や行方不明者は出なかったものの、古座川にかかる橋も流され、全戸の4割は浸水するなど、今なお家屋周辺は流木や泥水に覆われており、特に高齢者の方々が多いこの地域では、普通の生活に戻るにはまだまだほど遠い状況にあると思います。それでも一生懸命頑張っている方々を目の前にして、この困難な状況を早期に解消しなければならないという思いをさらに強くしたところであります。
 くしくも、前回、平成22年6月議会の一般質問において、私は、万が一大規模地震等の災害が発生してしまった場合、紀南地方の海岸べりに住んでいる者として心配しているのは、それらの事態に対応できる基盤整備がきちんとできているかどうか。例えば、交通が遮断されて、空からの救援、または海からの救援に頼らなければならない事態が生じたときに、その事態に対応する基盤整備は十分にできているのかどうか。特に、港湾、漁港、堤防等の整備について、耐震、津波等への対応が十分できているかどうかについて、県として確実かつ的確に対処していただくよう、県当局に要望をいたしました。
 今回の被害は台風であり、地震、津波ではありませんが、大規模災害という点においては同じであります。今後、被災地域の復旧を進めていくに当たり、また災害に耐え得る基盤整備を行うに当たり、まず今回の被害がどのような規模に及んでいるのか、きちんと受けとめる必要があると思います。
 そこで、知事にお尋ねします。
 現時点の被害状況全体について、どのように把握されているのでしょうか。ニュース等により被災地域のさまざまな状況を目にするところですが、県下全体における被害の全容はどのようになっているのでしょうか。被害の全容を示していただきたいと思います。
 次に、今後の県の取り組みについてですが、県議会としましては、9月8日の議会開会日に「台風災害対策に関する意見書」を全会一致で可決しまして、内閣総理大臣を初めとする関係機関に提出いたしました。
 激甚災害の早期指定はもちろんのこと、各種災害復旧事業の早期採択、被災者生活再建支援制度の拡充、中小企業者に対する金融支援など、7項目にわたっております。その中の最重要項目である激甚災害については、本日20日に指定されると聞いており、その迅速な対応を非常にありがたく思います。
 特に、被災地に住んでいる人々にとっては、今後も生活していく上で、住宅、道路、電力、水道、通信等のライフラインの確保は急務でございます。場所によっては固定電話もまだつながらないままですし、携帯電話もつながりにくくなっております。大規模災害発生時に孤立集落の通信を確保するために無線機、衛星携帯電話の配備をしておりますが、その機能は十分果たされたのかどうか、改めて検証することも必要かと思います。
 今後も、行方不明の方々の捜索活動を最優先に行うことは当然のことでございますが、同時に市町村と連携して復旧活動に万全を期していかなければなりません。
 経済的には、農林水産業は大打撃を受けました。その全体の被害規模についての被害金額はまだわかっていません。
 今後の災害復旧については、膨大な予算と労力が必要なことから、国の支援は欠かすことができないのは当然のことでございます。
 そこで、今後についても国が早期に強力な対策を講じるように県としてどのような働きを行っていくのか。また、国の制度による対策以外に県としての独自の対策を考えているのかどうか。そして、ライフラインの確保を初めとする災害復旧に対する今後の県の取り組みについて、知事にお伺いいたします。
 次に、具体的な対策についてお伺いします。
 まずは、道路の復旧対策でございます。
 今回の豪雨による土砂災害の河川の増水による橋梁の流失など、県内各地にて国道、県道などに多数の被害が出ております。紀南地方においても、県内道路ネットワークの骨格を担うX軸ネットワークの国道311号、国道168号や国道371号、また、私の地元である県道那智山勝浦線、県道那智勝浦古座川線を初めとする県道にも甚大な被害が出ております。
 地域のライフラインとして深刻な事態となっておるのは、御承知のとおりであります。今後の道路網の復旧は、まさに地域住民の生活復旧に直結するものであり、また地域住民の生命・安全を守るための復旧であると考えます。
 そこで、今後の道路の復旧見込みについて、県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、河川のはんらんについてでございます。
 紀南地域では、熊野川を初め那智川、太田川、古座川など、多くの河川ではんらんが発生し、多数のとうとい命が奪われ、なお多くの人が行方不明になっております。被害に遭われた方、家族の方にとっての悲しみは大変深く、かける言葉も見つかりません。また、洪水は人的被害を与えたのみならず、周辺の集落をも壊滅状態にしました。
 今回、各河川においてこのような大規模なはんらんが発生した原因は何なのか。また、上流ダムの操作、事前放流などの予防的措置など、今回の台風への対応、備えはどのようになされていたのか。河川のはんらんに対する見解及び対策を県土整備部長からお伺いしたいと思います。
 次に、瓦れき、流木の撤去についてでございます。
 現に住宅地等にある瓦れき、流木の撤去をどうするのかということです。住民の方々の自助努力には限界があります。特に被害地である山間部においては、高齢者の方々が多く住んでおり、その方々にそのすべてを任すのは酷であります。行政の責任としてその対策は急務であり、ほうっておけないものと考えますが、県としての対策または支援をどのように考えているのか、環境生活部長にお伺いいたします。
 次に、経済的な支援策等についてお伺いいたします。
 まずは、中小企業者に対する金融支援についてでございます。
 今回の豪雨では、家屋以外にも、地域を支える商店や地域の雇用を守る工場、事業所など、多くの商工業施設も被災いたしました。これら被災された中小企業者の皆さんは地域経済を支える大切な一員であり、このまま放置すると被災地域の復興に大きな支障を来すことになると憂慮されます。
 被災された中小企業の皆さんに、一刻も早く店舗や工場、事業所を復旧し、事業再建に取り組んでいただくためにも、低金利で被災事業者の事情も十分考慮した新しい融資制度を創設するなど、これまでの県融資制度からさらに踏み込んだ金融支援策が必要であると考えますが、いかがでしょうか。商工観光労働部長にお伺いいたします。
 次に、観光業に対する支援についてお尋ねいたします。
 紀南地域にとって重要な基幹産業である観光産業も、この台風被害で大きな打撃を受けました。世界遺産に登録された熊野三山を初めとする観光地、また宿泊施設や土産物店などの商業施設、そして、そこに至る交通アクセスなど、熊野地域は悲惨な状況にあります。観光立県を掲げる和歌山県としては、その立て直しを早急に図らなければならないと考えます。世界遺産登録の効果により、その魅力は最近では国内だけでなく海外にも定着しつつあり、熊野に魅力を感じる多くの人々が熊野地方を訪れてくれるようになりました。しかしながら、このままの状態が長く続けば、本県の観光産業に対し、長きにわたり影響を与えることになりかねません。
 県として観光業に対して今後どのような支援または対策を打つつもりなのか、あわせて商工観光労働部長にお伺いいたします。
 以上で、1点目、台風12号に係る県の対応に関する最初の質問を終わらせていただきます。
○議長(新島 雄君) ただいまの谷洋一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 答弁に移らしていただく前に一言申し上げたいと思いますが、今回の台風で50人以上の死者、行方不明者をこの和歌山県から出してしまいました。また、多くの方々が財産を失われました。ざんきにたえないところであります。
 まず、このたびの台風12号豪雨によりまして、とうとい命を落とされた方々の御冥福を心からお祈りいたしますとともに、被災された県民の皆様に心からお見舞い申し上げます。
 ただ、今は悲しみに沈んでいるときではないと。一日も早い復旧に全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
 議員の皆様を初め、市町村、関係機関とともに全力を傾注してまいりたいと考えております。
 この間、国、関係機関、関西広域連合を初め、県内外から大変な御支援をいただきました。心からお礼を申し上げる次第であります。
 台風12号の激甚災害の指定については、本日、閣議決定をされました。県からの要請で早急な指定をしてくださったことに対してお礼を申し上げたいと思いますが、今後とも必要な対策に積極的に取り組んでいく所存でございます。
 さて、御質問でございますけども、台風12号は極めて低速で北上いたしました。本県から遠ざかりつつ豪雨が連続するという、経験のない事態を引き起こしました。紀伊半島を中心に広い範囲で総降水量1000ミリを超えました。一部の地域では2000ミリを超えていると思います。尋常でない降水量でありまして、1976年からの統計開始以来の国内観測記録を大幅に上回ったのを初め、各地で降水記録が更新され、被害が拡大いたしました。
 県では、直ちに災害対策本部を設置し、市町村や関係機関と連携しつつ、被害の把握と応急対策に取り組んでいるところでありますが、被害は余りにも深刻であります。
 現在までに把握している被害の概要といたしましては、大雨により各地で土砂崩れが発生いたしました。また、熊野川、那智川などの河川がはんらんし、多くの方が犠牲になる痛ましい大災害となりました。
 また、内陸部に至る幹線道路である国道168号、311号など、救援活動や生活を行っていく上で大切な道路が土砂崩れなどの被害を受け、鉄道もJR紀勢本線の那智川にかかる鉄橋が流出するなどして、運行にいまだ支障が出ております。
 電気、水道、電話などのライフラインについても紀南を中心に大変な大きな被害が出て、施設、設備が被災し、広範囲にわたり断絶いたしまして、県民の生活に影響が出ました。
 台風12号による被害は、人的被害や住居被害、道路や河川などの公共施設だけじゃなくて、農林水産業や紀南地方の観光業にまで及んでおります。被害の全容については、まだ行方不明者も残り、被害額も含めてすべて明らかになったわけではありませんが、平成になってから最も大きな台風被害であり、記録的な大災害との認識のもと、災害応急対策に取り組んでいく所存であります。
 さて、その中身でございますが、まず被害がだんだん明らかになってまいりました。4日の時点で大変な危機がありました。今でもそうでございますが。
 と申しますのは、ほとんどの地域が水没をして、それで助けに行こうとしても助けに行けない。空から助けに行くのが唯一の手段なんだけども、天候が悪い。しかも、前夜から自衛隊の災害出動を要請しておりましたが、関西の全部のヘリコプターを、自衛隊のものを動員してもらっても数機しかありませんでした。これはいかんということで、直ちに防災大臣に朝電話をして、国としての非常災害対策本部をつくろうというようなことで打ち合わせをしておられた中でありましたが、たくさんのヘリコプターを回してくださいと、自衛隊もたくさん投入してくださいというようなことを申し上げまして、それ以来、国には大変お世話になっていると考えております。
 今月13日には、激甚災害の早期指定や被災者の生活再建に向けた支援、あるいは被災地の迅速な救助・救援活動や今後の復旧にも極めて大きな役割を果たす高速道路ネットワークの整備など、8項目の緊急要望を行って──これは東京に行ってまいりまして──お願いをしてまいりました。
 一言で申しますと、今大変な状況を継続して助けてくださいということと、それから県民が今後安心して今後の生活に希望を持てるように安全な県土づくりに国としてもぜひ尽力してくださいと、この2つであろうかと思います。
 現在、もちろん、特に前半については国にも随分助けていただいておりまして、後半は今後の話なんですけども、前半については感謝をしているところであります。
 一方、自分でやらなきゃいけないことはたくさんあります。防災対策は市町村が担当というのが大体の基本でありますけれども、しかし、そんなことは言ってられません。市町村によっては、余りの被害の大きさにその機能を喪失しているようなところも当然出てまいります。それは責めるわけにはいきません。
 そのときに、県としてはそれを調整しながらいろんなものを送り込んだりするわけですけれども、監督をしている、あるいは報告を求めると、全体を集約すると、そういうことだけやっておればいいというものでは決してございません。自分でやらなきゃいけない、例えば県道あるいは国道の応急復旧とか、そういうことはもちろんでありますけれども、それから頼まなきゃいけないこと、これはもうどんどん頼むということでありますが、先ほど言ったみたいに、報告を求めるというんじゃなくて、報告が来れないような状態だったら自分で行ってかわりにやろうという考え方で、今多くの人員を特に危機にある市町村に送り込んで代替をしているというようなところがたくさんございます。
 例えば、ごみの話とかボランティアとか、それから被害認定とか、そういうところに多くの要員を送り込んで、それで被災者の確認とか、ニーズ調査とか、ボランティアとか、ごみ処理とか、応援隊の組織化とか、そういうことをやっているところでございます。
 今後は、こういう応急復旧に全力を挙げて、それで仮復旧ができましたら、今度は本復旧にも急いで取りかかって、我が県の機能を一日も早く取り返したいと思います。
 と同時に、引き続き国にもお願いをして、将来に安心と希望の持てるように、唯一残った、無傷で残った高速道路が那智勝浦道路でありましたが、そういうものがちゃんと紀伊半島を一周するように、あるいは北部で被害が起こったときに頼りになる京奈和がきちんと早くできますように、あるいは、そのほか各種インフラ、あるいは熊野川の総合計画とか、そういうことをきちんと国にお願いをしながら県としても頑張ってまいりたい、そんなふうに考えている次第であります。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 最初に、道路の復旧対策についてでございますが、台風12号により県内各地においてのり面崩壊や路側決壊等が発生し、高速道路、国道、県道で160カ所が通行どめとなり、県内道路ネットワークに甚大な被害が発生しました。
 これらの通行どめ箇所については、地元建設業者、測量業者等の協力を得まして応急復旧に取り組んだ結果、9月20日8時時点で122カ所の通行どめが解消されております。
 引き続き、X軸ネットワークの国道168号、311号等及び地域のライフラインであります県道那智山勝浦線等の箇所についても、一日も早い道路復旧に努めてまいります。
 次に、河川のはんらんについてでございます。
 大型で強い台風12号はゆっくりと北上し、熊野川上流の1800ミリを初め、紀伊半島を中心に広い範囲で総雨量1000ミリを超える大雨をもたらしました。今回の河川のはんらんは、この記録的な大雨によりもたらされたものと認識しております。
 洪水対策として県が設置している5つのダムのうち、七川ダムなど4つの多目的ダムでは、台風12号接近に伴い事前に予備放流等を行い、洪水調節容量の確保に努めました。次第に雨が強まる中、河川流量の増大に合わせ、下流部を洪水被害から守るため洪水調節を実施したところでございます。
 ふえ続ける洪水流をダムで調節したものの、強い雨は長時間降り続き、広川ダムを除く4ダムでは、計画規模以上の洪水流入となり、ダムの貯水位が満水付近に達しました。
 その状態においても、放流量をコントロールしながら、下流での急激な水位変化を軽減すべく懸命な操作を行い、下流でのはんらん発生をぎりぎりまで抑えるなど、可能な限りの洪水調節機能を発揮したところでございます。
 しかしながら、計画規模以上の大雨に対しましては、ダムや堤防等のハード整備だけでは限界があり、これまでも避難に役立つ情報提供等のソフト対策も進めてきたところでございます。
 以上のように最善を尽くしたところでございますが、今回のような記録的な大雨に今後見舞われた場合にどのような対応をしていくか検討していきたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 瓦れき、流木の撤去に係る県の対応についてでございますけれども、被災地の良好な生活環境を確保し、また一日も早い復旧・復興をなし遂げるためにも、台風12号の被害により発生した膨大な量の廃棄物を適正かつ迅速に処理することが必要であります。
 災害により発生した廃棄物の処理責務は市町村にありますが、県では特に被害の大きかった田辺市、新宮市、日高川町、那智勝浦町に廃棄物処理の担当職員を派遣し、処理方法等について助言するとともに、関西広域連合との連絡を密にしながら、県内市町村への応援要請や社団法人和歌山県産業廃棄物協会との協力体制の調整を行う等、被災市町村と一緒になって廃棄物処理に取り組んでいるところでございます。
 県といたしましても、廃棄物処理を一日でも早く完了できるよう、今後とも被災市町村に対し積極的に支援を行ってまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 初めに、中小企業者の方々に対する金融支援についてですが、今回の災害では、地域を支える多くの商工関係の皆様も被災され、その被害は甚大なものであると認識しております。
 議員御提案の被災中小企業者に対する事業再建に必要な低利融資等の金融支援策につきましては、東日本大震災あるいは過去の台風や地震の被災県の事例を参考に、新たな災害復旧対策資金の創設作業を行っているところであり、今議会での追加補正予算の提案に向け準備させていただいておりますので、何とぞよろしくお願いいたします。
 次に、観光業に対する支援についてですが、今回の台風12号では、主要幹線道路や鉄道などの交通アクセスが寸断したり、観光資源の一部が被災するなどの被害を受けたところであります。このため、宿泊のキャンセルやツアーの催行が中止になるなどの影響を受け、観光業を取り巻く状況は非常に厳しいものと認識しております。したがいまして、観光事業者の方々に対しましては、従来からのセーフティーネット保証を活用した県融資制度に加え、先ほど申し上げた新たな災害復旧対策資金において、できる限りの金融支援を行っていきたいと考えております。
 さらに、今後の観光施策の実施に当たっては、台風12号の被害を踏まえて既存の計画を思い切って見直し、熊野古道のボランティアによる宿泊つき保全活動などの積極的な取り組みや災害の復興状況等を勘案した上で、東海圏などに向けたメディア、旅行エージェント、一般消費者向けのプロモーション活動等を工夫して実施することで観光客の回復に全力で努めてまいります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 御答弁いただき、ありがとうございました。
 ただいま、知事あるいは関係部長から、今回の台風被害への取り組みについて御説明をいただきました。
 9月初めの台風襲来より、県においては知事を先頭に職員の皆さんが昼夜を問わず一生懸命に頑張ってくれておりますことに感謝いたします。
 私の住む那智勝浦町におきましても、寺本町長の奥さん、またお嬢さんがこの台風の犠牲になりました。しかし、町長も家に帰ることなく、庁舎でずっとそれ以来頑張ってくれております。頭の下がる思いであります。
 今回の災害による傷は本当に深く、被災地にはまだまだ大変不便な生活が続いております。また、迅速な復旧作業に取り組んでいただいているものの、それぞれの地域で安心して暮らせるようになるには、まだまだ時間がかかるように思います。
 そこで、知事を初め当局の皆様には、被災地の声、被災地の思いをいま一度しっかりと受けとめていただき、さらなる取り組みを進めていただくようお願いいたします。
 具体的な取り組みを幾つかお願いしたいと思います。
 まずは、ダム操作についてでございます。地球温暖化など地球を取り巻く環境が変化している中、今回の台風災害が想定外であったという言いわけは、もはや許されません。今後このような災害を起こさないために現行の操作の基準を見直していただき、今後は確実に治水機能を果たすことができる、そういうものにしていただきたいというのが1つであります。
 もう1つは、決壊した河川についても、単純に原形復旧をするというものではなく、川幅を拡大するなど、今後を見据えた復旧を行っていただきたいということ。河川に関係して、この2つの要望をさせていただきます。
 次に、JR紀勢線の復旧についてでございます。
 17日には白浜─串本間で運転が再開され、27日には紀伊勝浦まで復旧する見通しと聞いております。しかしながら、那智川にかかる橋梁が流失した紀伊勝浦─新宮間につきましては、復旧のめどが立っておりません。河川を管理する県としても、JR西日本に全面協力を行い、一日も早い紀勢線の全面復旧に全力を挙げていただきたいと思います。これも要望とさせていただきます。
 これで、1点目の質問を終了いたします。終わらせていただきます。
 それでは2点目、原発事故による放射能汚染についてでございます。
 原発事故で飛散した放射性セシウムに汚染された稲わらを給餌された牛の肉が流通したことで、学校給食の献立から牛肉を使ったメニューを外す教育委員会が各地で相次いでいます。「汚染牛肉が使われたと後からわかる現状では保護者に安心してもらえない」、「独自の検査を求める声に即応できないだけに保護者の不安が強い」等、保護者からの不安を理由に挙げている教育委員会が多くあります。
 一方、「牛肉は全部だめというのは過剰反応。長引けば風評被害にもつながる」、「卸売業者が個体識別番号をチェックしたものだけ使うので問題ない」という立場の教育委員会もあります。
 さらに、保護者からは、「給食には不検出のものを使う」とか「福島県産の農産物は使わない」など、「独自の厳しい基準をつくって」との声もあると聞いています。
 こうした声に、大阪市では市が放射能測定している卸売市場から食材を納入したり、京都市でも福島や北関東の食材について市の測定装置を使って検査した結果をホームページで公表しています。同様の検査は横浜市、前橋市などでも実施されていますが、ネックは費用で、検査機器は精密なもので数1000万円、外注すれば検査料は1検体当たり約2万円、食材を全部チェックすると年約1000万円かかると神戸市などで試算されています。
 知事にお尋ねします。
 野菜や米など多くの農産物が原発事故後の収穫物になりつつある中、放射能汚染は牛肉だけの問題でなくなっています。放射能から学校給食を初めとする食品の安全をどう守るのか、その方針をお尋ねします。
 原子力対策本部長からの指示で、出荷前の農水産物の放射能の検査は、福島県を初めとする17都県で実施されているところです。また、放射能の影響が考えられる自治体は、独自で県内産の農水産物を対象に検査が行われています。
 こうした汚染されたものを流通に乗せないための出荷前検査は当然きっちりやっていただかないといけませんが、セシウムに汚染された牛肉が流通したことで、指示対象以外で、しかも放射能の影響が考えられない西日本の自治体においても、米などの主要農水産物を中心に独自に出荷前検査を実施するところがふえています。
 これらは、主要農水産物のブランドイメージを守るため、消費者に安全性をアピールして安心して購入してもらうためとの理由ですが、こうした動きは、かえって福島や茨城県産を差別化し、風評被害を助長しているように思えるのですが。
 食品における風評被害とは、安全にもかかわらず、誤った情報、認識により、食品が売れなくなることだと思います。
 放射能から県産農水産物の安全性を担保するための仕組みを構築し、それを県民の皆様にきっちり説明するとともに情報を開示することが肝要であると考えますが、これから収穫期、特に本県の主要農産物である柿やミカンの収穫期を迎えるに当たって、風評被害から県産農水産物を守るためにどのように対応していくのか、知事にお伺いいたします。
 原発事故による放射能汚染に関する質問とさせていただきます。どうか、よろしくお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県民の安全を守る、特に健康を守るというのは、我々の大事な責務であります。そういう意味で、この放射能あるいは放射線による障害が出ないようにしなきゃいけない、あるいはまた議員御指摘のように、和歌山県の農産物、生産物がそういう点で風評被害に遭わないようにしなきゃいけないというのは我々の義務だと考えております。
 現在、被災された県、福島県を中心に近傍の県では、そういう風評被害を防ぐために、出荷に際してみずからの安全のために、かなりの程度の検査をして、それで安全なものを出しているというふうに考えております。
 我々は、これが100%きちんとなされているかどうかということは、それはなかなか検証するのが難しいわけですけれども、みずからの生き残りのためにそういうことをきちんとやってくださっていると思っておって、まずはそれを信じて、その上でちょっとおかしいということであれば、みずからもいろいろ調査に行くということにしていきたいと思っております。
 すべての食品について全部検査をするというのは、技術的には多分無理だというふうに思いますので、そういう方針でやってまいりたいと考えております。
 次に、今度は和歌山県の農産物について、風評被害の対象にならないかどうかという点についても注意しておかないといけないと考えます。
 現在、県ではかなりの──かなりと言ってもそんなにたくさんではございませんが──簡易型及び本格的な計量機器を入手しておりますので、これを用いてできるだけ多くの農産物についてまずは簡易検査をして、簡易検査で少しおかしいなと思うようなものについては本格的に精密検査をして成分分析をして、その上で有意な数字が出た場合には速やかに公表して県産農産物や流通食品の安全の確保を図ってまいりたい、そんなふうに思っております。
 ただ、皆さんよく御存じだと思いますが、自然界にも放射能はあります。その値は、現在でも日本はかなり低い値でありまして、およそ1けた多いような地域が世界じゅうにはたくさんあります。そういうことについての基本的な知識というようなものを県民の皆様が持っていただいて、それで、もちろん安全を図りながら、被災された福島県等々の方々に不合理な差別になるようなそういうことは避けていかなきゃいけないんではないかと、そんなふうに考えるところであります。
○議長(新島 雄君) 谷 洋一君。
  〔谷 洋一君、登壇〕
○谷 洋一君 御答弁いただきましてありがとうございます。
 知事は、就任以来、県産品の普及や販路開拓など、県のトップセールスマンということで先頭に立って懸命に取り組んでいただいております。とりわけ農水産物の売り込みに力を入れてこられまして、そして、今、この農水産物が原発事故による放射能汚染という問題に直面しています。
 御答弁にもございましたが、本当にこの問題に関しては、冷静な判断、冷静な対応が最も重要かと思います。本県においても、信頼される管理体制のもと、県内外の皆様に安心して和歌山の農水産品を味わっていただけるよう引き続き取り組んでいただき、しっかりと和歌山ブランドを守っていただきたいと思います。
 以上、お願いさせていただきまして、私の一般質問を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) 以上で、谷洋一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕(拍手)
○藤本眞利子君 まず、質問に入る前に、このたび台風12号による被害によりお亡くなりになった方々に、心から御冥福をお祈り申し上げます。また、被害に遭われた皆さんに、一日も早い復興を皆さんと心を1つにして御支援申し上げたいというふうに考えます。
 私も、11日に現地のほうに案内していただき、新宮市街、高田、那智勝浦、那智川沿いと現状を見てまいりました。13日には、会派で大塔、本宮、請川、川湯と視察をさせていただきました。余りの被害に言葉をなくしまして、水の怖さとか山津波の恐ろしさに気持ちが震えました。
 多くの方が被災され、いまだに不自由な生活を強いられています。被害に遭われた方の声も聞いてまいりましたので、機会を見てこの声を県政に届けたいと思っております。
 被害の影響で2日間に短縮されました一般質問の貴重な時間をいただきました。しばらく御清聴、よろしくお願いいたします。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。谷先輩議員と重なる部分もあるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 放射能による食の安全と環境調査についてお聞きします。
 メルトダウンを起こした福島第1原発事故から半年が過ぎましたが、最近では情報量が薄くなってまいりましたけれども、現地では収束のめどもなかなか立たないといった状況であります。きょうの新聞によれば収束前倒しを表明されているというふうなことですが、予断を許さない状況には変わりはありません。
 福島第1原発事故により、大気も大地も海も放射能により汚染されました。3月11日以降も強い地震が続いて、放射能に汚染された冷却水があふれ出すといった危険性も指摘されていました。
 8月6日に広島で行われた原水爆禁止世界大会に参加をしたときに、福島の避難区域からの参加者から、「生まれ育った家も土地も仕事も財産もなくした。一番つらいのは、小さいころからアユ釣りをした川や、今までふるさとではぐくんだ思い出もすべてなくしたことだ」とおっしゃられた言葉に胸が詰まりました。
 7月上旬に、国内で放射性セシウムを含む稲わらをえさとして与えられた牛から、基準値を超える放射性セシウムが検出されました。和歌山県内にも流通しているということで、県の環境衛生研究センターが検体の入手可能な肉について検査を行っています。
 福島県からの牛肉が和歌山県でどの程度流通しているのか見当もつきませんでした。第1報の発表は、海南市内の食肉販売業の方が肉牛84キロを岩出市や和歌山市、有田の販売業者に小売したとの情報でしたが、その後、次から次へと調査結果が伝えられ、一体どのくらい流通してしまったのか、大きな不安に駆られました。
 8月末現在で、和歌山県では和歌山市内で3473キロ、その他の地域で4091キロを合わせ、およそ7564キログラムが流通をしています。調べるまでもなく返品、廃棄した肉が315キロ、調査ができ基準値以内であった牛肉については976キロ、基準値以上が29キロということで、残りのおよそ6244キロについては既に販売流通されてしまっているということで、調べることもできない状況となっています。調べた検体について、基準値以内、基準値以上も合わせてセシウムが少なからず検出されており、流通してしまった6244キロの肉についても、基準値以内か以上かは別として、セシウムに汚染されていたと考えられます。
 汚染された牛肉が全国くまなく、県内くまなく流通してしまっているという事実は、他の食材についても同じことが言えると思います。0157や狂牛病の問題もあり、牛についてはトレーサビリティーが確立されているため個体の確かめは他の食肉よりも容易であったと思われますが、それでも結果としては流通してしまった個体の82.5%は検査できないということであります。
 内部被曝という意味は、皆さんも理解されていると思います。放射能に汚染された食べ物や水を飲食する、それから汚染された空気を吸い込むことで起こる被曝であります。内部被曝では、放射性物質が長期間体内にとどまって放射線を出し続け、周りの細胞の遺伝子や染色体を損傷し続けると言われています。外部被曝では低い線量とされていても、体への影響は大きく、少量でも発がんに結びつく確率が高くなると言われています。
 DNAを傷つけ変性させる放射線被害は、新陳代謝の活発な胎児、乳幼児から成長期の子供に特に大きな影響を与えます。変性されたDNAは子供にも伝わりますので、これから子供を持つ可能性のある人も注意する必要があると指摘されています。
 先ほど基準値の話をいたしましたが、少量でも影響のある放射性物質を基準値以内だから大丈夫ということにはならないと思われます。しかも、セシウム137にしても沃素131にしても、日本の基準値は大変緩いものになっています。
 飲み物では、WTO基準、セシウム137が10ベクレルに対して日本は200ベクレル、20倍の緩さであります。沃素131についても、WHOの基準は10ベクレルに対して日本は300ベクレルということで、30倍余りであります。食べ物でも、アメリカ170ベクレル、ベラルーシ100ベクレルに比べ、日本のセシウム137の基準値は500ベクレル、沃素131に至っては2000ベクレルという途方もない数値を認めている国であります。
 県の調査結果に、「県内で流通が判明した固体識別番号0240747611の牛肉について506ベクレルの放射性セシウムが検出されていますが、仮にこの牛肉を毎日100グラムずつ1年間食べ続けても、体が受ける影響はおよそ0.24ミリシーベルトとなり、東京─ニューヨーク間を飛行機で往復して受ける影響と同程度であることから、医学的に影響が出るとは考えられず、健康上の問題を過度に心配する必要はありません」というふうに書かれて、県民の皆さんにお知らせしています。
 果たしてそうなのでしょうか。東京─ニューヨーク間の飛行機は自分で選んだ結果であり、それによって便利さを享受できるのは自分であります。だれの責任でもありません。しかし、今回の食品の放射能汚染は東電の原発事故によるものであり、だれが好きこのんでセシウムで汚染された牛肉を食べたい人がいるでしょう。
 また、その影響は、それこそ直ちにないにしても、チェルノブイリの事故後、子供たちの甲状腺がんが多発しているという事実と、25年たってもなお多くの方が苦しんでいる事実を真摯に受けとめなければならないと思います。基準値以下だから大丈夫とは言い切れません。
 県民の命を守る行政であるからこそ、過度に心配をする必要ないと言うのではなく、皆さんがどの食べ物も安心して食べることができるよう、牛肉に限らず、他の食物の放射能汚染調査を行い、県民の皆さんに情報を公開するべきだと思います。
 そこで、環境生活部長にお伺いします。
 現在、食物の放射能検査はどのようにされていますか。また、今後食べ物や加工食品の放射能検査を強化する必要があると考えますが、県としての対策をお聞きします。
 このように、今さら言うまでもありませんが、食のグローバル化の中で、子供たちに安全な食べ物を提供することは容易なことではありません。そんな中で、和歌山県の学校給食や保育所での給食は大丈夫なのでしょうか。
 和歌山県には、保育所216園、幼稚園111園、小学校286校、中学校でも給食が提供されています。給食センター方式のところ、自前給食のところと、形態はさまざまであります。食材の仕入れ形態もさまざまで、紀の川市のように地産地消を基本に地元でとれた野菜などを給食に使っているところ、和歌山市のようにお米は市内産米を使っているところなど、子供たちに少しでも安全な食材を提供していこうという姿勢を感じます。
 食物の放射能汚染の問題については、せめて子供たちに提供する給食等については、安全には安全を期していただきたいと考えます。
 京都市では、茨城、栃木、群馬、千葉、福島の5県の産地の野菜すべてについて放射能測定を行っており、計測で暫定基準値を超えた野菜は給食には使用しないとしています。和歌山県でも各市町村と連携し、給食の安全を確保するための具体的な対策を講じる必要があると思います。
 そこで、教育委員会にお伺いします。
 給食の安全をさらに求めるためにも、セシウムの暫定基準値の引き下げをしていただきたいと考えます。また、給食について今後どういった安全対策を講じていくのか、お伺いします。
 また、給食の安全を確保するためにも、さらに地産地消を進めるべきと考えますが、見解と対応をお聞きします。
 福島第1原発から放出された放射性物質は、日本全国に飛散しました。県でも、3月11日以降、環境放射能水準調査を強化し、環境衛生研究所において降下物の測定、蛇口水の測定を毎日行っています。また、地上1メートルの高さでサーベイメーターを用いた空間放射線量率の測定も行っています。
 3月11日以降も大きな変化は見られないとのことでありますが、どれも場所が和歌山市の環境衛生研究所で測定しているわけであります。
 ある市民の方が、地表と地表1メートルを御自身の測定器──25万円もしたと言われておりましたが──はかられたデータをいただきました。8月4日には和歌山城の岡口門トイレ側溝で0.1マイクロシーベルト、通常の2倍の数値、動物愛護センター雨どいの下でも2倍の数値、岩出さぎのせ公園ソフトドーム着地点で0.18マイクロシーベルトと約3倍の数値であります。
 このように、場所が違えば数値は全く違ってきます。取り越し苦労であればいいのですが、25年たった今でもチェルノブイリの健康被害の全容がつかめていないということから考えると、念には念を入れた対策を講じていただきたいと熱望するものです。
 そこで、先ほどの市民の方のように独自で調査をされている方も案外おられます。県内各地の一般市民の皆さんに放射能環境調査員になっていただき、放射能測定を行っていただく、その報告を県のほうで取りまとめるといった体制をとってはいかがでしょうか。
 今後の大気の放射能汚染の監視体制を強化する必要があると思いますが、環境生活部長にお聞きをします。
 まず1問目、よろしくお願いいたします。
○議長(新島 雄君) ただいまの藤本眞利子君の質問に対する答弁を求めます。
 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) まず食の安全についてですが、現在は、基準値を超えているおそれのある食品を流通から排除するため、環境衛生研究センターの検出器で環境放射能水準調査の空き時間を利用して検査をしていますので、検査数が限られております。
 そのために、9月から各保健所にサーベイメーターを配備し、頻繁にスクリーニング検査を行い、一定の値を超えた場合、環境衛生研究センターに新たに設置した検出器で核種まで分析する体制を整えたところです。
 今後は、基準値を超える食品が流通した場合、直ちに流通から排除するため、また県産農水産物に放射性物質の移行がないことを確認するために、モニタリング検査を実施してまいります。
 あわせて、食品事業者等からの依頼検査にも対応できる体制を整備しておりますので、流通食品の安全確保は図られるものと考えております。
 次に環境調査についてですが、空間放射線量率の測定につきましては、測定する場所や時間帯、天候、そして測定の方法などによって数値が異なりますので、正確な測定結果を公表していることが求められている県としましては、現状の定点観測の手法が最も有効であると考えております。
 なお、議員の御質問にもございましたが、本県では、和歌山市にある県環境衛生研究センターで空間放射線量率の定点観測を常時行い、また随時に県内各地で測定を行ってはいるものの、遠隔地にお住まいの方々の中には身近な場所での継続的な測定を希望される方もおられるとお聞きしております。
 こういった御要望におこたえするため、今議会に空間放射線量率を定点観測する機器であるモニタリングポストを現状の1カ所から4カ所に増設する補正予算案を提出させていただいております。これらの設備が整った際には県内でより詳細な測定が可能となりますので、県民の不安解消につなげてまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 学校給食についてお答えしたいと思います。
 学校給食における県独自の放射性物質の規制値を設けることにつきましては、国の暫定規制値が原子力安全委員会が設定した指標に基づいて定められていること、また食品の流通にも混乱が生じることも考えられますことから、その規制値を見直すことは難しいものと考えてございます。
 学校給食の食材につきましては、近隣の小売業者等から購入してございますけれども、これらの業者が扱っている一般に流通している食品は食品衛生法により安全性が確認されたものであり、安全な食材であるというふうに考えてございます。
 これまでも、学校給食につきましては、地域の自然や食文化等を理解するなど、食育の観点から地場産物の活用を推進してきました。今後は、食育の観点とあわせ、より一層安全・安心な食材の確保のため、学校給食の実施主体である市町村に対し積極的な地元食材の活用を図るよう指導してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 福島第1原発の事故以来、日本全体が不安なそういった状態だと思うんですね。放射能というのは色もにおいもない恐ろしい物質ですので、放射能と食の安全について子供を持つお母さん方が大変心配しています。暫定基準値内なので安全ですというのではなくて、調べることと公表することがセットで初めて安全だというふうに私は思うわけです。
 今後、基準値を超える食品が流通した場合、直ちに流通から排除するために計画的にモニタリング検査を実施するとのことです。ただ、一定の値を超えたもののみ検出器で分析するとのことですので、今の段階ではモニタリング検査時の数値は公表しないということです。
 和歌山に流通している食品が安全だと保証する意味で、検体数をふやしていただくとか数値を公表することだというふうに思います。お米についての不安も寄せられておりますので、その点についてもしっかり検査をしていただきたい、できれば公表していただきたいなというふうなことを要望して、次に移りたいと思います。
 青少年の体験活動の推進について質問をします。
 青少年の家の指定管理事業への移行については、私が申し上げるまでもありませんが、平成12年度に和歌山県青少年育成協会に運営委託した後、平成18年度から指定管理者による運営が行われています。
 平成20年の行財政改革の事務事業の見直しにこの青少年の家も含まれていたと記憶しています。当時、青少年の家が廃止されるのではないかと危惧する県民の皆さんの声をお聞きし、私も会派の皆さんとともに3カ所の青少年の家を視察させていただきました。また、20年の12月議会では、青少年の家は必要であるし、ますます充実させるべき施設だと思うとの意見も述べさせていただきました。知事も3つの青少年の家を視察し、指定管理の方々とお話をされたと答弁されています。その後、青少年の家は存続され、今に至っています。
 来年度は指定管理者の切りかえ時期に当たるということで、6月議会では平成23年度青少年の家の維持管理委託の債務負担行為の補正が可決されました。
 指定管理に移行した経過については、行政の財源不足とか硬直化というようなこともあったと思いますが、民間に管理を任せたほうが柔軟な対応や運営ができるのではないかという安易な期待感もあったと思います。青少年施設が県直轄から育成協会に委託されたとき、ちなみに白崎少年の家の委託料が1年間7335万円であります。18年度より指定管理者に移行し、18、19、20年度は3480万円とおよそ半額になり、21年度が3068万円、22、23年度が2826万円、24年度から26年度は2668万円となっています。育成協会に委託したときの委託費に比べると、およそ5000万円もの開きがあります。他の2施設についても同様の管理費の減額であります。
 青少年施設の存在意義は何なのでしょうか。安ければ安いほどよいといった存在なのでしょうか。このままの状況で推移していくなら、青少年施設の発展は望めません。
 兵庫県立南但馬自然学校という県直轄の施設が兵庫県にございます。兵庫県では、昭和63年度から県下の公立小学校の5年生を対象に4泊5日の自然学校推進事業を実施、平成20年には20年目を迎えました。それを機に、新たに日本体育大学教授の宮川氏を委員長に、学識経験者、学校関係者、行政関係者、保護者と14人の委員から成る自然学校評価委員会を立ち上げました。今後は、自然学校の見直しの視点や充実に向けた方策等を参考に一層の充実に向けた取り組みを進めようとの試みであります。
 一方、和歌山県では行財政改革の荒波の中、充実させるどころか、指定管理者にその管理から運営まで任せてしまいました。県として、教育委員会として、10年後、20年後の子供たちの姿や、今、和歌山県に生まれ育つ子供たちの健全育成をどのように支えていくのかといった視点すら感じることができません。そこには、青少年の健全育成に寄与するといった理念のかけらもありません。
 科学技術や情報化社会の急激な進展や少子化、核家族化が進む中での子供たちを取り巻く状況は大きく変化してきています。地域で活動する機会が減少し、社会性が身につかない、直接体験が不足しているなどの課題や、インターネット社会のいじめ問題など、新たな問題も発生してきています。人間関係がうまくつくれない、集団生活に適応できない子供も増加しています。
 教育基本法の改正や学習指導要領の改訂等、国の教育改革の流れにおいても体験活動の重要性が述べられている状況であります。このような中で、教育委員会と青少年・男女共同参画課がタッグを組み、豊かな自然の中で学校では経験できないさまざまな体験活動を通して、豊かな人間性や問題解決能力を育成できる教育を構築する必要があると考えます。その学習をするための場である青少年施設を最大限に活用する試みが求められています。
 そこで、お伺いします。
 県の施設でありながら、県内の小中学校の生徒の利用が少ない状況にあります。兵庫県の例をお話ししましたが、今後はさらに青少年の家を核に幼児期からの生活体験や自然体験などの直接的な体験をさせながら、豊かな人間関係を育てる子供たちの生きる力をはぐくむ具体的な取り組みが求められます。
 まず、和歌山県として青少年の健全育成のためにつくったであろう青少年の家の位置づけを環境生活部長にお聞きします。
 また、県として今後、青少年施設の運営をどのようにされるお考えなのか、お伺いします。運営についての基本的な考え方、今後老朽化していくであろう施設改善の具体的な姿、そして長期ビジョンをお示しください。
 教育長には、青少年の家の利用状況と、それを含めた宿泊体験活動を今後どのように進めていかれるのか、お聞きします。
 最後に、青少年健全育成は、青少年・男女共同参画課だけで進めるべき性質のものではありません。子供たちの生きる力をはぐくむ体験学習を保障するためにも、教育委員会、教職員、行政関係者、学識経験者、保護者等を巻き込んだ協議会を立ち上げ、今後の青少年健全育成の指針を示す必要があると考えます。ビジョンを明確にし、青少年の健全育成の道筋を明らかにしていただきたいと考えますが、環境生活部長に御答弁をお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 青少年の家の位置づけと今後の運営について。
 まず、位置づけについてでありますが、青少年の健全な活動を推進し、生活指導を通じて心身ともに健康な青少年の育成を図るとともに、地域における青少年活動及び生涯学習活動の拠点とすることを目的に設置をいたしております。
 また、運営につきましては、平成18年度からは指定管理者制度を導入し、事業者に管理を委託しているところですが、研修メニューの充実や自主事業の取り組みなどで年々利用者をふやすなど、一定の成果を上げているものと考えております。
 県といたしましても、平成21年度から22年度にかけ3館の耐震補強工事を終えたところであり、今後も指定管理受託者とともに、児童生徒はもちろん、広く一般に活用していただけるよう、広報活動や内容の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 なお、議員御指摘の青少年健全育成の指針につきましては、国の子ども・若者ビジョンにより示された青少年施策に関する基本方針をもとに新たな計画策定を進めているところで、計画策定に当たっては、学識経験者、教育関係者、保護者、青少年団体関係者等で構成する県青少年問題協議会からもさまざまな観点から意見をいただくとともに、関係部局と十分協議しながら策定をしてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 議員御指摘の青少年の家の利用状況と宿泊体験活動の推進についてお答えさせていただきます。
 県立青少年の家の利活用につきましては、これまでも関係部局と連携しながら、説明会等を開催して学校関係者への周知に努めてきたところでございます。ここ数年の利用率は、県内の小学校で33%、中学校では28%、高等学校では23%となっております。
 宿泊体験活動は、ルールやマナーといった社会性を高め、自主性や自立心、コミュニケーション能力をはぐくむなど、児童生徒の生きる力を育成する上で極めて重要であるというふうにとらえてございます。
 このことから、これまでも関係機関と連携し、ほんまもん体験や民泊等を取り入れたプログラムを推進してきたところであり、平成21年度の調査では、県内の小学校5年生の79%が宿泊体験活動を体験している状況にございます。今後、学習指導要領の趣旨にのっとり、すべての小学校で宿泊体験活動を実施するよう、その必要性や重要性をさらに周知してまいります。
 その際の活動拠点としての県立青少年の家の活用につきましては、さまざまな体験活動を実施するのに適した施設であることから、今後ともその利活用を勧めるとともに、環境教育やキャリア教育の視点を取り入れた宿泊を伴わない体験活動等においても、より多くの学校が活用するよう関係部局とも協議しながら、市町村教育委員会や県立学校に働きかけてまいります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 指定管理者制度を導入した結果、研修メニューも充実して、自主事業の取り組みなどから利用者もふえた、効果を上げているとのことです。指定管理の皆さんの御努力には頭が下がりますが、県はそれをいいことに、努力して収益を上げれば、その分、委託金を減額するということを行っているわけです。これでは、青少年を指導する指導者が育ちません。指定管理制度に移行したことにより、行財政改革の当初の目的は私は達せられたと思います。今後は、青少年健全育成のために青少年の家のあり方をしっかりと構築していただきたいと要望します。
 しかも、こういうふうに災害が多発する中では、青少年の家は何もかもそろっています。食べるところ、それから寝るところ、そういうのがそろっていて十分な設備を整えておりますので、そういった意味でもこの活用はすごく大事だと思いますし、長期ビジョンに沿った具体的な姿を描いていただきたいというふうに要望して、次の質問に移ります。
 入札制度についてお伺いします。
 県では、平成20年6月から現在に至るまで何度となく改定を行い、より適正で公平な制度完成を目標に進められていると認識しています。
 しかし、私も選挙を戦い、多くの県民の皆さんの声を聞く限りでは、和歌山県が推し進めようとしている公平な制度への思惑と、実際入札に参加している建設業者の皆さんの感じ方には、大きな隔たりがあると感じざるを得ません。
 その大きな原因となっているのが、予定価格1億円以上の工事における予定価格の事後公表と、入札後の開札及び落札状況が公開されないため透明性が確保されていないところによるものだということです。この問題については、尾﨑議員、坂本議員も質問されておりますが、その後の経過も含め、改めてお聞きします。
 予定価格の事後公表については、6月議会でも尾﨑議員の質問にありました。予定価格を事前に公表するデメリットは、私にも理解できない。県は、予定価格を事前に公表すると建設業者の見積もり努力を損なわせる弊害があると返答されています。それでは、1億円未満の事前公表との整合性がありません。
 現況の入札状況では、最低制限価格近辺の競争がほとんどであります。そのため、各建設業者は積算、見積もり努力を最大限に行っていると聞いております。1億円未満の工事に入札する建設業者は見積もり努力をされ、1億円以上の工事を入札する建設業者は見積もり努力をしない。1億円以上の大きな工事を行うAランク会社のほうが見積もりがずさんだと言われているのでしょうか。また、県は1億円未満の建設業者は現場をかけ持ちしたり、それこそ見積もりを行ったりで大変忙しく、専門に見積もりをする社員が確保できない。それで、目安となるように事前公表をさせていただいているとのことでした。1億円以上の建設業者は専門の社員が見積もりをしているので、事前公表しなくても経験から積算、見積もりができるとおっしゃっております。
 2つの理由は相反しているように思います。1億円以上の工事については、建設業者が見積もり努力をしないから事前に公表しないと言われます。一方、1億円以上に入札できる会社には専門の職員がいるので、事前公表しなくても大丈夫と言われます。どちらが本当の理由かよくわかりません。
 予定価格が事前公表であろうと事後公表であろうと、建設業者は十分な積算、見積もりを行わなければならないということは言うまでもありません。また、1億円以上の予定価格の事後公表については、漏えい問題がいつもつきまといます。
 建設業者の皆さんにとって仕事をとれるかとれないかは死活問題であります。そのために何とか予定価格を聞き出そうとするのは、ある意味、わかりやすい行動です。表ではわからないものは裏で探ろうとするところに癒着が生まれます。
 このような事後公表は建設業界の経営力を強化するために望ましいと言われておりますが、入札の透明性をさらに高めるためには1億円以上の工事における予定価格の事後公表は改めるべきだと考えますが、見解をお聞きします。
 次に、密室で行われている開札及び入札についてであります。このことについては、皆さんからももっとオープンにすべきだとの声が蔓延しております。
 特に、入札時に1日経過しなければ開札されないことや、開札時の各社の応札価格がわからないこと、落札まで時間がかかり過ぎること等への改善を求める声が多く寄せられています。
 その理由は幾つもあります。まず、開札時の各社の応札額が非公表のため、自社にどのくらいの落札可能性があるのか判断できません。加えて、落札までの時間がかかり過ぎるため、応札を締め切ってから落札決定が出るまで、建設業者側はひたすら待たなければなりません。落札決定が出るまで、その工事に配置する予定の技術者を他の入札では使えない状況になってしまうわけです。大手会社であれば何人もの技術者を抱え、幾つもの入札に参加できますが、零細な建設業者ではそうもいきません。
 このことは、坂本議員も質問の中で、県にとっても建設業者にとっても大きな損失であると言われております。坂本議員が質問されたとき、当局は「所要日数の短縮に努めてまいりたい」と答弁されていますが、近日の落札では入札から落札まで1カ月近く要した案件もあります。これでは、短縮に努めているとは到底言えません。
 また、開札から落札まで全く密室で行われており、落札決定まで時間がかかり過ぎることもあわせて、一部の業者と発注業者が結託して、それこそ応札額を変更しているのではないかというような不名誉な声まで聞かれます。痛くもない腹を探られるような制度は早々に改善すべきであると考えます。
 まず、希望者には閲覧できる状態にし、応札締め切り後には速やかに開札をしてはどうでしょう。各事業者の名前も応札金額もすべて希望者が閲覧できるようにしてはいかがでしょう。こうすれば自社の落札可能性がすぐに判断できますし、応札後に変更しているのではないかといった疑いもなくなります。入札の透明性も一段と高まります。
 入札制度の透明性を高めるためにも改善を行う必要があると考えますが、県土整備部長にお伺いをします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) まず、現行で事後公表となっている予定価格1億円以上の工事も事前公表すべきということについてでございますが、予定価格の事前公表は適正な見積もりを阻害し、過度の低入札を招いていることから、予定価格1億円以上の工事は事後公表としています。
 ただし、予定価格1億円未満の工事については、予定価格を自社見積もりの参考としているという中小規模の業者の意見も多いことから事前公表としています。
 予定価格の事後公表は、最低制限価格相当域に応札が集中し、抽せんを行ってまで業者が赤字覚悟で落札し、企業として疲弊してしまうことを防ぐものであります。また、このことは、予定価格を探ろうとする職員への不正な働きかけの可能性があるというリスクを冒してまで行っているところでございます。
 本年4月の入札制度の見直しにおいては、予定価格の事後公表の拡大は見送ることとしましたが、一日も早く多くの企業で見積もり能力を涵養していただき、予定価格の事後公表に移ることが望ましいと考えております。
 次に、入札の開札結果を速やかに、かつ各業者の応札金額も公開すべきということについてでございますが、電子入札の開札は応札最終日の翌開庁日に行い、開札状況すなわち応札業者名及び最低制限価格または調査基準価格は速やかに公開しております。このことにより、不必要な他社の情報を知らずとも、応札された方は、自社が失格であるか、落札候補となり得るかどうか判断できます。
 また、各業者の応札金額は、各業者の技術等を反映した個別の企業情報であり、そのような情報を不必要に公表することは公正な行政として適切でないと考えます。そればかりか、議員御提案の応札金額を公開することは、入札不成立となり再入札を行う場合、業者の1回目の応札金額があらかじめ知られていると不公平なため不適切と考えます。
 開札後の落札決定までの日数については、できる限り短くするよう努めていますが、予定価格1億円以上の低入札価格調査工事については、落札決定まで不測の日数を要する場合があることから、平成22年4月から問い合わせいただいた業者の方には、その業者の総合評価順位のみお知らせするよう配慮しているところでございます。
○議長(新島 雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 この件に関しましては、先輩・同僚議員よりも何度となく質問もありましたし、私がさらに質問するというのもおこがましいかなという思いもありましたが、私も県民の皆さんの声を県政に届ける責任がありますので、お伺いいたします。
 まず、1億円以上の入札の事後公表についてであります。
 事後公表に漏えい問題がつきまとう、隠すから漏れているのではないかと疑われるという件であります。そのリスクを負ってまでというふうにお答えをいただきましたが、昨年の9月以降、現在まで和歌山県全域から発注された予定価格1億円以上の港湾工事、5件あるわけですが、この工事がすべて同一業者に落札されている。しかも、考えられないような落札率で落札されているため、他の業者が価格が漏れているのではと疑う、そういう無理もないことかなというふうに思います。
 また、開札から落札までの日数がかかり過ぎるという問題についても、低入札価格調査の場合は業者の皆さんも納得する部分があると思いますが、理由のはっきりしない場合もあって不信感を持たれる業者も多いようであります。このようなことから、県として入札制度の透明度をさらに高める改善をするべきだと思います。
 この件については、また質問を改めてします。
 次、港湾工事における安全性についてお伺いをします。
 和歌山下津港湾事務所発注の工事についてお聞きします。
 和歌山市にある雑賀崎漁港で新設する工事が発注されました。雑賀崎漁港は平成16年の台風23号による被災により1000トン級のケーソンが倒壊して、甚大な被害をこうむった場所であります。
 ところが、こういう危険な地域の突堤工事において、水中へ据えつける底版ブロック1つ当たりの重量を200トン未満で設計され、しかもその1つの底版ブロックの上に消波ブロックが1つ乗る形状になっています。通常は、底版ブロックは外力によって基礎地盤均一に分散伝達して不等沈下等を防ぎ、全体の構造の安定と一体化のために必要な基盤なんですが、均一に分散させるためにも、1つの底版ブロックの上には2つ、3つの消波ブロックを乗せて、その上に互い違いに消波ブロックを積み上げていくというやり方が通常であります。
 県は設計に問題ないとされていますが、1000トン級のケーソンが倒壊するような雑賀崎漁港での底版新設工事において、底版ブロック1つ当たりの重量を重くするならともかく、軽くして施工し、しかも底版ブロックに消波ブロックを1本積み上げるという形状にするのは問題はないのでしょうか。
 それでなくても、災害が多発している昨今ですので、このことは災害時に和歌山県民の命と財産にかかわるリスクを高めるものだというふうに思います。明らかに方向性が間違っていると考えます。1つの積み木のように積み上げるのは、ちょっと危ないと思います。
 この案件がなぜそういうことになっているのか、また発注における県の姿勢について、御意見をお聞かせください。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 港湾工事における安全性についてでございますが、県が国の補助を受けて設計する施設は、国の技術指針に基づいた安定計算により安全性を確認した上で、経済性、施工性なども考慮し、施工断面を決定しております。
 雑賀崎漁港の突堤につきましても、国の補助を受けておりますので、同様の検討を経て適切な設計を行っており、底版ブロックの重量や形状には何ら問題はありません。
 今後も十分に安全性に留意した設計を行ってまいります。
○議長(新島 雄君) 藤本眞利子君。
  〔藤本眞利子君、登壇〕
○藤本眞利子君 底版ブロックの重量とか形状に何らの問題はないと御答弁いただきました。雑賀崎の場合、ケーソンが倒壊した場所でもあるので、安全には十分注意していただきたいとの思いから質問を行っております。
 直立消波ブロックの施工に詳しい方からの話では、通常の形状では今回のような事例はほとんど見当たらないということです。形状に問題はないとされておりますので、じゃ、この形状ごとに具体的な強度を今後ちょっと聞いていきたいと思うんですが、これは今後の検討に譲りたいというふうに思います。
 最後の質問をさせていただきます。(「簡潔にやれよ」と呼ぶ者あり)また詰めは、はい。
 11月13日にアメリカ・南カリフォルニア県人会100周年記念式典が開催されるに当たり県議会としてもお祝いに行くということで、私も議長を先頭に先輩・同僚議員とともに記念式典に出席させていただきたいというふうに考えています。
 以前、ワシントンのスミソニアン博物館に行った折、日本人移民のコーナーがあり、その充実ぶりに驚かされたことがありました。日本の先人たちがなれない異国の地で大変な苦労をしながら基礎を築いたことについて、日本では余り学ぶ機会がありません。このことは大変残念なことだと思います。
 全国では、戦前に北米、中南米、東南アジア、満州に101万3000人余り、戦後は米国、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、ペルー、ドミニカなど16万人余り、合計117万4600人余りの人々が海外に移住しています。
 和歌山県では、北米に2万270人、豪州アラフラ海方面に4283人、ブラジル5112人、ハワイ4663人、カナダ7329人、中国・満州に6945人と、4万8558人の方が移住しています。
 当時100万人以上の人が海を渡って新しい生き方を求めた中で、和歌山からも5万人近い人が海を渡った、全国でも和歌山県の移住人口は6番目ということで、大変大きなものだとわかります。日本の歴史の中でも、移民問題は特筆すべきものではないでしょうか。
 和歌山市民図書館の移民資料館の中谷班長さんに、オーストラリアへの移民の過半数はシロチョウガイをとりに行った和歌山県人であったとか、美浜町アメリカ村の工野儀兵衛さんは単身でフレザー川のサケ漁をしたとか、和歌山県の湯浅銀之助さんが全米日本人会の初代会長であったなど、おもしろいエピソードもお聞きしました。
 このようなエピソードも含め、貴重な資料が和歌山市の市民図書館移民資料センターにおさめられています。この資料館は、宇治田市長の英断で昭和59年に設立されました。その当時、資料収集に大変尽力をされた職員がいたようで、今では全国でも東京のJICA以外は最大の量を誇り、他の追随を許さない大変貴重な資料が保存され展示されています。移民の研究をされている大学の先生方や関係者の間では高い評価を受けているのですが、一般の市民の皆さんにはなかなかなじみが薄いといった状況にあります。
 9月3日から国際交流センターで移動パネル展、「世界をつなぐ和歌山県人会との交流」展、これが開催されており、海を渡った和歌山県人の姿が展示されています。同じ和歌山県に生まれた者として感銘を受ける内容でありますが、国際交流センター内の開催ですので、残念ながら多くの市民の皆さんに見ていただけていないと思います。
 このように移民資料室に保存されている資料は、和歌山県の移民の歴史だけでなく、日本から海外に移住された皆さんにとっても貴重な資料であり、各国に散らばる日本人の2世、3世、4世の皆さんの自分のルーツを頼る道しるべにもなると考えます。
 今後、移民2世、3世の皆さんが高齢になっているということもあって、聞き取りするにも最後のチャンス、このままでは移民の歴史は埋もれてしまいます。県内県人会や海外県人会の力もかり、資料館ではない常設展示のある移民研究センターを設立してはどうかと提案したいと思います。
 まずは、他の県にない貴重な観光資源、学術資源である資料を生かすためにも、県が音頭をとっていただき、和歌山大学、移民資料センター、国際交流センター、関係者等々による(仮称)移民研究センター実行委員会を設立していただく。その中で、研究センター設立に向けた具体的な提言をいただいてはどうでしょうか。
 県の移民の歴史だけでなく、日本の移民の歴史が和歌山に来和していただければわかるとなれば、研究者はもちろん、県外からの観光客や日本を訪れる2世、3世が必ず立ち寄っていただけるものと考えます。
 一度真剣に検討していただきたいと思いますが、知事に御答弁をお願いして、私の一般質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県からの移民の方々が、幾多の艱難辛苦を乗り越え、現地において確固たる地位を築かれていることは、我々の誇りとするところであります。
 大事なことは、そういう方々の努力をたたえることと、そういう方々及び子孫の方々、皆さん、ふるさとへの懐かしい感情を持っておられるから、そういう感情におこたえするということだと考えております。
 そのため、時折そういう方々が県庁を訪問して私に面会をお申し込みになりますけれども、できるだけ時間をとって丁寧に対応して、随分知り合いになって仲よくなった方々もたくさんございます。
 また、そうした思いの一環として、私自身及び県会議員の方々と一緒に、平成21年にはブラジルやペルーの和歌山県人会を訪問し、交流を深め、労をねぎらったところであります。また、本年11月には、できますれば、南カリフォルニア、南加和歌山県人会創立100周年の記念式典がございますので、お祝いを申し上げに参上したいと考えております。
 議員御提案の移民資料センター設立については、広く県内外から多くの資料を収集している和歌山市民図書館の移民資料室があり、また美浜町の資料館もございます。県が新たな施設をつくるということは、なかなか現今の情勢のもとでは難しいと思いますけれども、本県が有する移民の歴史を後世に伝えていくことは大変意義深いことであります。
 したがって、今後、関係者と連携しながら、この移民資料室の活用も含めて、先人の活躍を広く伝えるさまざまな取り組みを実施してまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 以上で、藤本眞利子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時44分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 きょう、私は、一問一答方式をさせていただきますので、こちらのほうからよろしくお願いします。
 まず、さきの台風12号の襲来により、紀伊半島は大変な被害を受けました。特に和歌山県は、近年にない大きな災害となりました。多くの人命が奪われるとともに、生活基盤である住宅や田や畑、山林や漁業施設等にも大きな被害をもたらしました。亡くなられました方々に心よりの御冥福をお祈り申し上げますとともに、被害を受けられました皆様に一日も早い復興を祈念いたします。
 また、今回の台風12号の発生から日本海へ抜けるまでの期間、県知事初め県職員の皆様方には、昼夜を通して県民の生命と財産を守るため最大限の御尽力をいただき、私たち議員にも刻々と変化する情報をお送りいただきましたこと、その御努力と御配慮に感謝を申し上げたいと思います。
 さて、一般質問に入らせていただきます。
 まず、県当局として、台風12号の現時点での総括をどのようにされているのでしょうか、お伺いをいたします。
○議長(新島 雄君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 台風第12号により、県内各地の観測記録を更新する大雨となり、紀中地方から紀南地方を中心に甚大な被害が発生いたしました。県では直ちに災害対策本部を設置し、市町村や関係機関と連携しつつ、被害の把握と応急対策に取り組んでおるところでございますが、被害は余りに深刻でございます。
 9月20日6時までに把握している被害の概要といたしましては、大雨により各地で土砂崩れが発生、また熊野川、那智川などの河川がはんらんし、死者47名、行方不明8名、建物の全半壊252棟など、痛ましい大災害となりました。
 また、内陸部に至る幹線道路である国道168号、311号など、救援活動や生活を行っていく上で大切な道路が土砂崩れなどの被害を受け、鉄道もJR紀勢本線の那智川にかかる鉄橋が流出するなど、運行に支障が出ております。電気、水道、電話などのライフラインにつきましても、施設・設備が被災し、広範囲にわたり断絶し、県民の生活に影響が出ました。
 被害は、人的被害や住居被害、道路や河川などの公共施設だけではなく、農林水産業や紀南地方の観光業まで及んでおります。
 被害の全容については、いまだ行方不明者も残り、被害額も含めてすべてが明らかになったわけではありませんが、平成になってから最も大きな台風被害であり、記録的な大災害との認識のもと、被害者の救済を初め、一日も早い災害復旧に向け、関係機関とともに全力で取り組んでおるところでございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 ありがとうございます。
 私は、これ今回の災害ですが、よくまちの皆さんにお聞きしましても、20年、30年に一遍の大きな台風だったな、そんな感覚を持たれてる方もおられますけれども、注意しなければならないことの1つに、これ、もう地球環境的にこうした時代を迎えてる可能性がある。
 それは、今まで何10年に1回というサイクルでこうした激甚と言われるような災害を受けるようなことになりましたけれども、これからひょっとしたら3年、5年の周期でこういう事態が起こる可能性もある。そのための体制づくりを、それは予算的なことであったりとか、住民の皆さん方、県民の皆さん方に対する啓発啓蒙のことであったりとか、いろいろそんなことも含めて、その新しい時代に対する対応を考えていく必要があると、そのように考えます。
 そういった意味で、ぜひまたそういう側面でもお力添えをいただきたい、御尽力いただきたいと思います。
 それでは、答弁は結構ですので、2つ目に入らせていただきます。
 通告では、もう1週間ほど前ですので、激甚災害の認定の状態をお尋ねする予定になっていましたが、きょうは激甚災害の、政府のほうで閣議決定があったということですので、内容を少し変えさせていただきたいと思います。
 激甚災害の認定についてどう対応されているのかお伺いする予定でしたが、激甚災害の認定が、先ほどもお話ししましたが、本日下ったということですので、こうした取り組みに対して、県知事初め当局の皆さん方の御尽力に心から敬意と感謝を申し上げたいと思います。
 ただ、一方、国に対して一言申し上げたいと思います。
 10日ほど前に、自由民主党の谷垣総裁が白浜空港にお見えになりました。その席に地元ということで私も呼んでいただきまして、県議会からは県議長を初め、地元の周辺市町村の議員の皆さん方初め、大勢の皆さん方がおいででしたが、その席でも激甚災害の真っ先の対応をお願いしたいと、そういう趣旨のお願いをさせていただきましたところ、同席していただいてました代議士の方から、「もう出たつもりでやってほしい」というお話もありました。しかし、見込みでするというのは、やはり行政としてはなかなか難しい。我々も見込みという中で人々にその話をすることができない、そういうジレンマがありました。
 きょうは閣議決定があったということですけれども、ちょっと数えてみたんですけど、15~16日かかってるんです。その席で代議士のほうからも、激甚災害の状態、「計算らせんだって見たらわかる」という言葉を言われていました。私も見たらわかるんと違うんかなと思ったぐらいです。
 お願いは、もっとスピード感ある取り組みを国民は望んでる、このシグナルをぜひ国のほうに発信をしていただきたいと思いますが、このことについて御見解をお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 危機管理監。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) お答え申し上げます。
 通常でございますと、激甚災害に指定するまでに約1カ月程度かかるというふうに聞いてございます。本来はそれぞれの分野で被害額を上げて、それで中央防災会議の意見等を聞きながら決めるという順番になっておりますが、今回の決定については、私どもは異例の早さだというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 はい、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次に移らせていただきます。
 次に、県民に対する警報等の災害予報連絡体制についてお伺いをいたします。
 この表現方法が適切かどうかはまた御指摘をいただけたらと思いますが、県下各市町村の警報等の災害予報連絡体制、どうなってるんやろかと。この台風で地域全体が大混乱の中で、そういうふうに感じてしまいました。
 特に、私は西牟婁郡内ですので、西牟婁郡内では情報が錯綜していたように感じます。例えば、下流の住民に対して、富田川上流の滝尻地区で土砂崩れが発生し、前面の富田川がせきとめられたので避難をすることを促す放送が、もう台風過ぎて久しい9月の10日過ぎにでも、まだ現在においてでも、行政放送により流されていました。
 しかし、その台風が通過した翌日に県の担当の職員の方にお伺いすると、一部せきとめられたが十分流れていますので、鉄砲水のようなことが起こって下流域がつかるようなことはないでしょう、そんなお返事でした。
 私自身も台風通過後の4日の日と、それから10日の2回、現場へ行き、現状を確認いたしましたが、確かに大きな土砂崩れというか土石流が発生していましたが、川幅全体ではありませんでした。したがって、残された3割ほどの川幅からは水が排出されているため、水位も下がっていて、身の危険を感じることは正直ありませんでした。このことに関連しまして、一部新聞報道でも、決壊したといううわさが流れたという報道が載っていました。こうした事柄が不安を助長していると、このように感じた次第です。
 これは、正しい情報が正確に届いていないことの証左だと思いました。今後に大きな教訓をいろいろと残している、こういうことでもあると考えます。こういったことも含めて、そうした情報の管理、あるいは報道のあり方についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 危機管理監。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) お答え申し上げます。
 富田川沿いの避難勧告等や警報につきましては、9月4日、土砂崩れの現場の状況に基づく緊急情報として、田辺市中辺路行政局が注意喚起や避難を促す放送を行った旨を確認してございます。
 また、田辺市からの情報により、上富田町、白浜町でも同様の防災行政無線による注意喚起や避難を促す放送を行ったと聞いてございます。
 今回は、市町村が今まさに起こっている災害現場の情報をもとに、災害を発生させる可能性のある情報をみずから判断し、住民に迅速に広報したものであり、幸いにして被害を発生させるような状況には至りませんでしたが、住民の安全を確保するために行った放送については、適正なものと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 このことで、せんだって上富田町議会がありまして、そこでも議員さんから町長に向かってこのことについて質問があったようです。
 その質問は、避難するより川から離れるようにといった内容の、趣旨の放送に対して、どこに逃げていったらええんなというような住民の方々の声を議員さんが届けたと。そのことに対して町長が答弁をされてたと、こういうくだりなんですが、いろいろもっときめ細かい──私が地元におって感じるのは、滝尻の土石の崩壊によってせきとめ湖のようなことになってるこのことについても、放送だけ聞いておると、全体がせきとめられていつ決壊するかわからんと、そう頭の中が、住民の皆さん方が広がりを持つ。
 私が2回目に迂回路を通って現場に行くと、やっぱり下流の人らが入ったらあかんとこまで来て、その現場を見に来てるわけです。見て、ああ、こんなんだったんかって、一言、その方々とのやりとりすると、一体どんなになってるんかわからんさかい恐ろしいから、もう放送の内容がそれ以上の内容でないので、どんな事態になってるか見に来たんやと、それこそ危険だったら行ったら悪いような場所に来てるわけです。そんなこともありましたので、今後の参考になればと。
 それから、もう1点だけ、今の関係のことでこんなことありました。
 数日前なんですけど、富田川の橋を車で渡ってると。赤信号でとまったんで何気なく下見たら、アユ釣ってるんです。1人や2人じゃないんですよ。長いさおをかけてアユを釣ってるんです。上では決壊するかわからんと言うてるわけです。
 これ、住民の皆さん方の意識改革というか責任をやっぱり問わなきゃならん側面もありますけど、何でこんな事態になってるかというあたりも一度研究いただいて、住民が悪い、住民が悪い、おまんら言うこと聞かなんでんなて、これだけではなかなか済まんことというのが起こると思いますので、やっぱりこの放送のあり方、啓発のあり方、そういったことも、今回、いろんな小さな教訓ですけど、たくさんの教訓をもらえてると思うんです。これをまた県政あるいは地方自治の中でも反映していただけるようにお願いできたらなと思いました。
 そしたら、御答弁は結構ですので、次に移らせていただきます。ちょっと案件を多く用意しましたので、時間の関係もありますので進めさせていただきたいと思います。
 次に、山野の間伐材の処理対応についてですが、台風12号に伴う大雨によりまして道路が無数にえぐられ、橋が壊れ落ちていた。そのうちの幾つかは明らかに上流から流れてきた杉の木や草が川をふさぎまして小さなダムのようになり、道路の石垣やセメントづくりの擁壁を壊し、橋の橋脚にひっかかり、橋が壊されていることが確認できます。さらに、海まで流れ、海岸線に大量のごみとなって打ち上げられています。
 こうしたごみは、すべて上流より流れてきたものです。山で切られた間伐材が放置され、大雨により流れ落ち、道や橋を傷めながら海へ流れ込んでいるのは明白です。
 こうした機会に、間伐された木や雨で流されそうな草に対する処理対策を真剣に考える必要を感じます。このことに関して当局の御見解をお伺いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 先生御指摘のように、先日の台風12号に伴う大雨による山崩れの際、立ち木が根こそぎ倒れる中で、森林内の間伐材もこれら立ち木とともに土石と一体となって流出したものと考えております。
 こうした状況を防ぐため、治山事業においては、間伐材を等高線上に整理するほか、簡易な施設を設置するなど、伐採した間伐材が斜面を転がり落ちないように林内に安全に処理しているところでございます。
 また、間伐事業についても、森林組合を初めとする林業事業体に対して、林内に安全に処理するよう働きかけ、山地災害の未然防止に努めているところでございます。今後、こうした努力を一層重ねていく所存でございます。
 また、県としましては、効率的に間伐材の搬出等を行う低コスト林業を積極的に進めており、この施策を進めることがこのような被害を防ぐ有効な対策と考えております。
○議長(新島 雄君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 きょうは議長のお許しをいただいていますので、こんなもん用意しました、ちょっと大げさかわかりませんけど。(写真を示す)もう県当局の皆さん方、知事初め御存じのような写真です。
 これは、間伐された木が木と木の間に挟まってこういう状態を引き起こしてる。これも議員の皆さん方も御存じのとおりです。
 この間伐された木だけがこんなことになってないというのは、流木、これもそうなんですけど、これは実は大塔村のほうなんですけど、これもこの流木によってせきとめられて、もう川の場所が移動して、この橋が壊れています。これは流木だけが原因かといったら、そうではないかわからないですけれども、やはりこういう状態というのは異常だと思うんです。もう県下一帯がこういう事態になってまして。
 これはすさみ町です。すさみ町の県道の橋なんです。県道の橋が、これがこうして、たまたまこれ工事中でして余計ひっかかりやすかったということあると思うんです。ごめん、こんなん、いいですか。
 これがもう1個あるんですよ。こんなことになって、こんなに壊れてしもうたやつ。もうこれ、やり直しだと思う。橋全体を恐らくつぶしてしもてやり直しをしなければならないんじゃないかなと思うんです。こんな状態です。恐らく億の単位の金額が要りそうに思えます。
 あと、その後なんですよ。この川をおりて、漁港へおりてくるわけです。南風に乗って、これはすさみの写真なんですが、すさみの漁港なんですけど、これ、実は漁港の湾の中ですので、すさみの漁師の人が取らんなんらしいんです。すさみの役場が管理下にあるというか、県の管理以外のとこなんです。
 これ皆、大勢で出てやってるんですけど、7月の豪雨のときの写真なんですけど、当時30万円しかすさみに予算化できてないという話で、ジュースの1本ずつ配れんというふうなことでした。
 これ、やっぱり、私が思いますのは、海と山の一体管理というか、これをこれからの時代──これ、同じような写真で済みません。同じようなすさみの漁港の中なんです。毎回こんな事態が起こってまして、これに費用と時間的エネルギーが、漁師の皆さん方初め、行政の職員もそうですけど、物すごいとられています。完璧なことはなかなか自然のことですから難しいと思うんですが、やっぱり山と海の一体管理という発想で取り組んでいただきたいなと。
 間伐の話なんですが、やはり河川のはたに生えてる流木ごと、根っこごとおりてきて、壊されて、それが橋にかかって、あるいは道路をいじめたり、橋壊れてしもたりと。それから、それがダムみたいになって住宅のほうに、床上あるいは床下浸水になっていくと、こういうことというのは十分考えられますし、そういう現象が随所にありました。
 やっぱり間伐材の処理のあり方も含めて、繰り返しで悪いですが、真剣に考えていただいて、これ、やっぱり大事な我々県民の公共資産でありますし、大事なものですので、こうしたことで我々の資源が災害来るごとにこの繰り返しをさせられるて、こういうことから少しでも改善できないかなと、そんな意味でちょっと提言をさせていただきました。
 今、御答弁ありましたので、一般的にはその答弁というのは私も理解できますし、ただやっぱり問題意識、目的意識をもっともっと掘り下げて持っていただいて、これからの今後の災害に対応していただけたらと、そんなふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、次の項目に移らせていただきます。議長、よろしいでしょうか。
○議長(新島 雄君) どうぞ。
○立谷誠一君 それでは次に、県民に対する災害見舞金制度の見直しについてというテーマでお願いをさせていただきました。
 この災害見舞金制度の見直しという表現ですが、災害に遭われた家庭や住宅の姿を見てみますと、水が引くと避難所から自宅に帰りまして、水浸しになった自宅の掃除を始めています。そして、次々と水につかってしまった家の中のものを運び出し、数時間もするとその周辺に、空き地全体に、たんすや、冷蔵庫や、テレビや、本や、ふとんや、畳など積み上がり、あふれ返っています。すべて廃棄処分物として処理しなければならないごみとなってしまっているのです。資産として見てみましたら、やっぱり1軒当たり恐らく数100万円、新しいものを買おうとしたらそのぐらいの費用がいってるんじゃないかと思うほどの山のような廃棄物の、1軒当たりそんなものが出てきています。
 それで、こんな事態になったときに県の見舞制度ってどうなってるんかなと思っていましたところ、資料がありまして、いただくと、実は床上浸水で5000円てなってるんです。正直なところ、ちょっとお話しさせていただいて、お許しをいただきたいんやけど、僕、これ、配達してお見舞いの方に持っていけという立場になったとしたら、いや、これどうしょう、5000円持って、正直行きにくいなという気分になってしまいました。
 これが県の見舞金制度なんですけど(資料を示す)、ちなみに住宅の全壊で1万円、半壊で5000円、床上浸水で5000円と、重傷の負傷者が出たとき5000円と、こんな感じです。
 このお金の多寡が問題というよりは、やっぱり気持ちもそこになかったらあかんということはよくわかっていますし、県当局のお考えも以前聞きましたのでそのようにも感じるわけですけども、いま一度、でもこうした機会に、この金額がその災害やお見舞いをするという立場に立ったときの金額として妥当な現時点で金額なんかどうか、そこらあたりの御見解をお伺いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 県民に対する災害見舞金制度の見直しにつきましてお答えいたします。
 今回の台風12号災害では、人的被害に加えて、建物の被害も相当な規模の被害が発生してございます。
 災害見舞金は、被災者の方々に県として弔慰などの意をあらわす見舞金でございます。当然、それだけで被災者の方々の支援ができるものとは考えていないところでございます。
 今は、被災された皆様の一日も早い復興が何よりも望まれるところでございますので、県といたしましても、災害見舞金のみならず、災害義援金とか被災者生活再建支援制度なども含め、さまざまな支援によって全体として被災者の方々の速やかな支援を行ってまいりたいというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 はい、お答えいただきました。現時点ではそういう御答弁というふうに感じます。
 今後、ただ、時代って変わってもいきますし、そうした中で、やはり適正な金額であったりとか、その時々のやっぱり経済状況、それから県のありようの事態の状態も含めて、また御検討いただけたらと思う次第でございます。どうぞよろしくお願いします。
 そしたら、次に移らせていただきます。
 台風12号関係の最後の案件です。森林伐採後の地上権の取得ということで質問にさせていただきました。
 このことですが、山の保水力が低くなっているとよく言われています。ほかにも、戦後余りにも広範囲にわたって植林をしたことにより、山や里の安定したバランス環境が壊れてると、これは私だけじゃなくて大勢の方々がそう感じておられるんではないかと思います。
 1~2例出してみますと、山で住めなくなった猿やイノシシ、シカなどが里まで進出し、これが鳥獣被害となって生活者を困らせています。また、春には、大量に植林された杉やヒノキの花が咲き、花粉となり風に乗りまして、一説には数1000万人という国民が花粉症を患い、困っています。また、木材の値段も一向に回復しません。
 こうした悩み事を抜本的に解決すべきときが来ていると私は思います。台風被害の確認に山間部を回ってみますと、植林して数年と考えられる林をところどころで見かけます。現場ではまだ植林が続いているんです。山の資産価値が下がっている今、自然林と植林のバランスを考えた施策が実行できるいいタイミングではないか、いい機会ではないかと考えますが、今後の林業政策をお伺いしたいと思います。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 県では、これまで林業の活性化のため、杉、ヒノキの人工林資源の育成に努めてまいりました。現在、それらの資源が充実しつつあり、その多くが伐採期を迎える中で、濃密作業道の整備や高性能機械の導入など、低コスト林業に取り組み、林業生産活動を推進しているところでございます。
 一方、近年、森林に対する県民のニーズが多様化しており、自然林を含めた多様な森林育成の重要性は十分に認識しております。
 このため、尾根付近や岩石地など植林に不適なところは、天然更新による自然林への回帰のほか、企業の森による広葉樹の植栽などを推進しております。また、植林に適した優良な林地には、資源の循環利用に向け、杉、ヒノキの再植林を進めているところでございます。
 これらを総合的に推進し、人工林と自然林のバランスのとれた保水力のある、災害にも強い多様な森林づくりを今後とも推進していく所存でございます。
○議長(新島 雄君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 そういう御回答をいただきました。
 1つ参考になればという思いで提言をしておきたいと思います。
 白浜町では、過去2回にわたって、1回目はもう10数年前です。2回目は今から6年、7年ぐらい前なんですが、当時の中辺路町長にお願いしまして、福定から奈良県に至る一帯、数10万坪になると思います、この土地を取得いたしました。そこには3万坪ほどのところに杉やヒノキが、80年杉ぐらいのもんが立っているわけです。3万本ほど立ってるんですが、たしか3000万そこそこだったと思うんです。坪単価にしたら1坪27円ぐらい違うかというふうに聞きました。それは土地と地上権、もちろん土地に地上権がついてるわけですから、土地と3万本ほど立ってる木つきです。
 これを買って、大部分は、半分以上はもう伐採された後を買ったんですが、そのときに地元の森林組合の役員の方がおいでになられて、お願いがあるんやと。木植えさせてほしいというお願い事でした。よく聞くと、それを植えることによって数1000万円の植林の事業ができるわけです。それ聞いた上で、話、断りしにくかったんですが、お断りさしてもらいました。それは、町が買うた理由、目的の目指すところが違ったからです。また、植林をして、この杉、ヒノキの林を広げていこうと、そういう考え方になかったからです。
 当時、そしたら職員が、何かほかの木も植えていこうやないかという提言もありましたけど、それも断りました。自然のままに置いとこうと。最初はカヤの木が生えてきて、樹勢が強いもんが次々と残っていって、最後に今の雑木林が構成されてくる、それまで待とうと。何年もたってる間に土砂崩れなんか起こったら困るでという話もありましたけども、土砂崩れなど起こることなく、2~3年もしたら、もう本当に5メートルぐらいの大きな木の林、バインが生えてきて、更生されて、その土地は、今日現在でも安定した山の状態を保っています。
 私は提言、強いてそういう表現を使わせていただいてお願いしたいのは、余りにも国内の戦後の造林の事業によって、石の上にも木植えたほどふえ過ぎた、ふやし過ぎた。これが全体の日本国土の山と、よく言われる里、それから我々住んでる地域の国民の生活のバランスが壊れ過ぎてる。今、物すごくええ機会だと思うんです。1坪何万円もするような山でしたら買えませんけれども、何10円で買える。この地上権だけでも買うとくわけにいかんかな。しばらく保管することによってその方向性を広げられるんでないかと。
 いろいろ今、答弁ありましたようなことも有益な事業だと思うんですが、もっと掘り込んだ、進んだ取り組みって本当にできんもんなんかなと。これが保水力を増す結果にもなり、そして今回のような災害の、少しでも災害の力を弱めしめれる原因にならないかと思うところです。
 地元の皆さんに聞いたら、あと10センチ高かったら床上・床下浸水を受けるであろうというような状態まで来たけど、この堤防をつくってくれてたから助かったということもよく聞きます。でも、あと10センチだったんです。あと10センチのこの違いが死ぬか生きるかの事態を多く引き起こすわけですから、そういう視点でも一度県当局の皆さん方の中で御検討いただけたらと、そういうふうに感じた次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 そしたら、次に移らせていただきます。
 これで台風に関連する、災害の関連の質問を終わらせていただきまして、ちょっと内容変わるんですが、項目の2つに入らせていただきたいと思います。
 介護疲れ対策についてということで質問内容の通告をさしていただいています。
 最近、これ、新聞記事の切り抜きなんですが、こういう記事がありました。
 介護疲れ対策についてですが、今、介護を必要とする方々に対する対策として、介護保険制度等の中で、デイサービス、デイケア、ショートステイ、グループホーム、特養、ヘルパー派遣事業などなど、たくさんのメニューが用意されておりまして、完全なネットが張りめぐらされているように一見見えるわけです。しかし、介護疲れから高齢者に暴力をふるったり、食事を与えなかったり、そのほかにもいろいろな形で、社会の目には見えない状態で高齢者いじめが進んでいるとも言われています。
 今月に入ってからも、この新聞記事なんですが、この新聞の大きな紙面の片隅でしたが、「介護の母親を蹴って死なす」という記事が載っていました。
 ちょっと中、少しだけ読ませていただきましたら、どうやら無職の44歳の男の人──子供さんです──が、夕食を食べなかったことに腹が立ってけってしもて、それが高じて70歳のお母さんが亡くなるわけですけど、普通けったぐらいで死にませんね。けった後、どないなってるかというと、内蔵が恐らく破裂したんだと思うんです。そういうことが連動するから、命まで終わってしまう結果になってると思うんです。この容疑者の119番で警察が駆けつけて犯行を認めたと。
 で、その中の後ろの記事に、容疑者は正美さん──お母さんですが、正美さんと2人暮らしで、数年前から病気の正美さんを介護していた、こういう内容の記事です。
 この記事を読んで近くの人らともちょっと話ししてみたんですけど、1つ言われたのは、こんなことでした。まず、何と非情な息子さんだな、お母さん、さぞ痛かっただろうな、お母さん気の毒やな、こんなことでした。
 しかし、果たして本当にこの44歳の息子さん、平素からこんな鬼のような心しかない人間だったんだろうか。息子の母に対する愛情はなくなってしまっていたんだろうか。母を死なせたことの罪は重くて、しかし包容力のない社会が罪をつくってしまっていないだろうか、こういう視点で私は考えているんですが、44歳の息子の暴力をとめられなかったことに対する社会全体の責任はないと言い切れるだろうか。
 いずれにしましても、介護疲れから来るこうした事故、事件が多いことに気づき、対策を考えていくべきであると考えます。少子高齢化が進む中で、新しい時代の行政の仕事として考えていかなければならないと考えるんですが、当局のお考えをお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 介護疲れ対策についてお答えをいたします。
 議員から御紹介のございました介護にかかわる痛ましい事件は、依然として全国的に報道されているところです。
 こうした事件を未然に防止するためには、認知症に対する正しい理解や介護知識の周知、それから介護保険制度の利用促進による介護者の負担軽減に加えて、孤立している高齢者の世帯には、地域住民による支え合いを通じて孤立化することのないよう働きかけることが重要であると考えております。
 県では、これまでに民生委員、児童委員等と連携・協力し、高齢者や家族を孤立させないように、あいさつや声がけ、それからさりげない見守り活動を行う地域見守り協力員の制度や、シルバー人材センター等による地域で助け合う事業の立ち上げ支援など、地域で困っている高齢者やその家族の方をできる限り早く見つけて、相談や支援につなげる環境づくりに取り組んできたところでございます。
 県といたしましては、今後も当事者1人の問題とせず、みんなの問題とするような地域の機運を醸成していくため、引き続き地域住民による助け合い活動の支援や福祉関係機関と地域住民のネットワーク強化など、地域で支え合う体制づくりの一層の充実強化を図ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 御答弁をいただきました。ぜひそういう、今、答弁いただきましたその延長線上で、ぜひこうしたことの被害者が出ないように、そうした取り組みにつなげていただきたいと思います。
 今回の1つのこうした短い記事の中で類推して考えることは、こういうことだろうと思うんです。
 44歳、数年前というわけですから、40歳前後のときにお母さんが介護を必要とする、そういう事態になったと。恐らく勤めをされておられた可能性があると、年齢が年齢ですから。しかし、この男性の方、恐らく介護の知識、能力、経験、何にもなかったと思うんです。大方の家はそうだと思うんです。何にもないけれども、お母さんがそういう事態になったからということで介護をスタートする。すごく重要な、大事なことだと思うんです。
 しかし、やっぱり3日や5日、1週間や一月、二月や半年ではないんです。数年と書いてますので、恐らく3年から5年の範囲で介護、毎日、朝から晩まで24時間、365日、おふろに入れることから、食事の用意から、布団の上げ下げ──上げ下げはあれとしても──夏だったら夏用の布団、冬だったら冬用の布団、いろんなことを、お嫁さんがおったら2人でまたできたかもわかりませんけど、それを知識、経験、能力、失礼ですけど、やったことないんですから、それを求めることは不可能だと思います。そういう環境の中の人が介護を始めるこの実情に対して、やっぱり問題意識を持っていただきたいと思うんです。
 やっぱりこれは、私が思うのに、せめてヘルパーの3級あるいは2級ぐらいの知識を県民の皆さんに教えてあげてほしい。寝たきりになったときの抱き上げ方はどうする、トイレに行ったときのそういうトイレの始末の仕方をどうする、食事の仕方をどうする。
 嚥下という言葉がありますけど、我々、食べ物を胃に入れるときに、嚥下のここの首の筋肉というのは鍛えることできません。これを間違うて、嚥下力が弱まると肺へそのまま、御飯ようけようけ食べやららってどんどんお茶碗2杯ぐらい入れるわけです。でも、それ皆、肺へ入ってしもた。実際よくあることなんです。これで肺炎併発して亡くなってしまう、そんなことがあるんですけれども、知らないんですよ。私もそんな詳しく知ってるわけではありませんし。大方の方は、普通に同じように食事をスプーンで与えたのに何か肺炎になってしもたって、こんな事態なんかも頻繁に起こっています。
 そうしたことも含めて、これからの福祉行政をもう少し進化をさせていただいて──全く担当いただく職員の皆さん方には気の毒やと思います。なかなかお医者さんでも難しいようなことを求め続けられるわけですから。しかし、そこには1度しかない命をもらった人という生命があるわけです。この生命の尊厳をやっぱり終えんのその日まで守ってあげたいなと、そんなふうに思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 時間的なこともありますので、次に移らしていただきたいと思います。
 次に、高校受験の制度についてですが、過日、田辺・西牟婁の進路指導協議会の皆さん方の陳情がございまして、県の教育委員会にありました。その陳情に行った陳情書をちょっと朗読させていただきたいと思います。
 今回、知事部局の知事さん初め、皆さんもおいでですね。私たちは教育委員会のほうに陳情させていただきまして、ここからなんですが、「田辺・西牟婁地方の中学校卒業生は、ほとんどがこの地域の県立高等学校へ進学しております。これは、私立高等学校が近隣にないことや、通学の交通手段も便利ではなく、遠距離の通学は時間的、経済的に生徒や家庭の大きな負担になることが要因であると考えます。 このように、当地方の中学校の卒業生は、限られた県立高校を中心とした選択肢の中から進学先を選ばざるを得ない状況におかれています。その上、平成14年度の学区制度撤廃後、他地方からの入学者が増加し、他地方の高等学校へ進学せざるを得ない状況も見られます」、こう云々されまして、主な項目として3つあるんです。
 当地方の中学に在籍する生徒の進学希望を勘案し、全日制の定員の維持をお願いしたい。2つ目に、進学希望の多い全日制普通科及び総合学科の定員の維持をお願いしたい。3つ目に、南紀高等学校の定時制の昼間コースと夜間コースの維持継続、周参見分校の維持継続をお願いしたいと、こういうふうな内容でした。
 こうしたように、当地方の中学校の卒業生は、限られた県立高校を中心とした選択肢の中から進学先を選ばなければならないと、こういう状況にあるんですが、私もこの席に同行して、その席でも発言をさせていただきましたが、まず昨年の西牟婁郡内全体の中で高校入学がかなわなかった生徒は何人ありましたかと、その後、郡内の校長先生にお尋ねすると、数人だったと思いますという返事でした。
 そしたら私は思ったんです。たった数人のみが高校に入れなかったんです。言いかえたら、数人だけに入学を許さなかったんです。15の春とよく言われますが、この数人の生徒に、正直、何の責任があったんだろうかと思いました。入学がかなわなかったこの数人の今後の生徒の人生を考えると、ふびんな思いがするわけです。この子供たちは心の中に重いものを一生持ち続けることにはならないだろうか。勉強しなかった罰なのでしょうか。頭が悪かったから社会へ入れてやらないというのでしょうか。勉強しなかったため、わずか数人に罰を与えるかのようなこの仕組み、考え方を変えていただき、若いこれからの世代の子供たち全員に期待をかける度量と深い愛情で包む姿が、はぐくむ姿が欲しいと思います。
 さらに、生徒たちの普通科志望が高まって久しいのですが、今回の陳情に同行して、これも驚きました。それは、進学希望の多い全日制普通科及び総合学科の定員の維持をお願いしたいとなっていたからです。この内容と趣旨は、私が育友会の役員をさせていただいていました20年ほど前の陳情とほとんど一緒でした。
 時代は変わっても、あるいは立場が違っても、その時々に思う親の願いは同じなのです。親の願いは地域の願いであり、県民の願いです。当該生徒たちの願いの時は瞬く間に過ぎ去っていきます。早急な対策をお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
○議長(新島 雄君) 教育長。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 高校受験制度についてお答えします。
 県立高等学校の募集定員につきましては、中学校の卒業生徒数の推移や高等学校への入学状況、進学率及び地域の実態等を踏まえながら、和歌山の子供は和歌山で育てるという方針のもと、学習の機会が保障できるよう総合的に検討を行い、決定してきてございます。
 平成23年度の高等学校入学者選抜におきましても、県全体として希望する受験生がすべて入学できるよう募集定員を定めたところであり、田辺・西牟婁地方の生徒につきましても、市町村教育委員会を通して行った調査では、高校入学を希望した生徒が全員入学できている状況にございます。
 普通科志向が高い状況につきましては、中学生や保護者の意向を考慮するとともに、よき職業人の育成という高等学校の担うべき役割をも視野に入れながら、本県の特色を生かした教育を行っていくことが大切だというふうに考えてございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 お言葉を返すようで申しわけないんですが、これ、実は1週間ほど前に原稿を急づくりでちょっとつくらしていただいて、県の皆さん方とのちょっとすり合わせもさしていただきました。そのときも、今、教育長のお話があったんですが、そしたら校長先生の私に言うた情報が間違ってたんかということにもなってしまいますので、できたら申さんといてあげてほしいと思いながら、その後、教育長に確認をしました、白浜の。そしたら、そういうことです、そんな内容でした。
 ここで内容のそごのことについて、どうのこうのと言う気はないんです。今、私たちの世代がしておかなきゃならんことというのは、少子高齢化と言われてるこういう時代背景も含めたときに、本当に1人1人の子供たちを大切にしてやりたいな。その子供たちが高校へ行きたいと。そしたら、政府も高校の授業料を無償にして、まあ義務教育みたいな状態になってきてるわけです。
 そのときに、こういう時代のそういう状況もありますので、ぜひ子供たち全員を入学させてやっていただいて、そら世界は競争の世界ですので、そんな努力をしていない力のない人材をつくり込んでいくことに加担しないかとか、いろんな考え方とか意見とかはあるかわかりません。しかし、私はまだ15の年でその選択をさせるのは酷だなと。自分の人生を振り返っても、全く15のときなんか、そういう判断を私自身も何1つようせなんだ。高校へ行かしてもうたことによって、その3年間でまた次の人生のことをいろいろ考えたりと、大事な15から18の年齢だと思うんです。このときにもう少し、もう一遍だけ子供たちに力を、考える時間と、そういうものを与えてやってほしいな、切にそんなことを感じます。
 くどいですけれども、やっぱり子供たちは、我々が思う以上に、天から罰を与えられたかのような思いでふさぎ込む。みんなが行くとこ行けんのですから。私たちが育った時代とは違って、あの当時は何割も高校受験かなわない、それは家庭の経済的な事情であったりとか、もっともっと複雑な状況背景があったと思うんです。今はもうすごくそういう時代からも改善されて、健やかに育つ環境が、私たちの育った時代とはまた違う意味でよくなってると思うんです。そのときにこの子供たちが、おまえが勉強せなんださかいやぞと、おまえは頭疎かったから違うんかと、そんな話になるようなことにならないように願う者の1人でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 時間のこともありますので、最後にもう1つだけ質問させていただきたいと思います。
 ふるさと雇用再生特別基金活用事業についてです。
 3カ年事業でありましたこの事業によりまして、新しい雇用や地域活性化に支援をいただきました。行政支援の常道として1年区切りの場合が多いわけですけど、今回これ、3年という複数年にわたる補助事業を考えていただいたこの発想と、こうした取り組みをいただいたことに、本当に県民の1人としても、地方自治を少し知ってる立場の者としても、感謝と御礼を申し上げたいと思います。
 しかし、この3年間に県内の企業活動が活発になり、雇用が大幅に増加したとは考えられず、ふるさと雇用再生特別基金活用事業で採用され働いている方々が来年の3月で仕事が切れていくわけです。予算がここでとまるわけですから。それで、それに連動しまして、これからどうなるんやろかと、そういう心配をされているという声をよく聞きます。これ、緑の雇用事業のあれに少し似てるかもわかりませんけど、3カ年雇うていただくと、もう本当にそこに入り込んで、気持ちも、仕事も、何かも入り込んだ中で仕事をしてた。で、振り返ってみたらやっぱり3年だったということになるんだろうと思うんです。
 私、思いますのは、来年の春に直ちにやめるんでなく、1人1人の雇用状況や事業所等の実態を調べていただいて、支援を続ける個人や団体の吟味をいただいて、やっぱり残す、これもう少し育ててやりたいな、そういう団体、企業があると思うんです。私も幾つかそういうものを確認しています。吟味をいただきまして、地方のともりかけたこの火を消さないでほしいと考えます。
 時間、もうあと3分ですが、当局の今後、それから来年以降の取り組みのお考えをお聞かせいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
○議長(新島 雄君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) ふるさと雇用再生特別基金活用事業につきましては、平成21年度から23年度までの3カ年に地域求職者等を雇い入れて、基金事業が終了しても雇用の継続が見込まれる事業を行うこととなっております。
 この基金事業では、平成21年度から22年度までに、県、市町村合わせて述べ781名の雇用を創出し、平成23年度においても約600名の雇用を計画しておりますが、現在のところ、国において延長のための新たな財源措置は講じられておりません。したがいまして、基金事業の趣旨や県の財政状況を勘案すると、来年度以降の県単独の実施は難しいと考えております。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕
○立谷誠一君 済みません、あと1分あるんで。
 実はきのう、すさみの漁業協同組合の理事職といった、その地域の中のトップなんですけど、その方から電話ありまして、同じ内容だったんです。それは、今、おかげで1人雇うていただけたと。その1人雇うていただいた人をどうしてるかというと、すさみの管内の荷揚げ場、魚が揚がったところを集めてきて、白浜の漁師の漁場も皆回って田辺の市場まで出しているんやと。この子が来てくれたおかげでこの作業ができるようになって、これとまると、もう漁協でまた費用を捻出するか、市町村、あの辺でしたら白浜、すさみ、田辺あたりの市と町にお願いしてせんならん。これ、とまると本当に困るんやと。漁師がとった魚をまた市場まで持っていくということは、今現在の漁業の実態を考えたら、本当にその余力はもうないんや、ぜひこの議場でお願いしてもらえんかと。
 きのうのことで漁協のことを言いましたけど、実はこれを一般質問するについても、ほかの団体からもそういう声が実はありまして、その現状をちょっとお伝えさしていただきまして、またぜひ、今の御答弁は御答弁で私もよく理解はできるわけですけど、御配慮いただけたらと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 以上で、立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、早速質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、地震・津波と台風・大雨災害についてであります。
 3.11東日本大災害は、私たちに大きな衝撃を与えました。現地では、苦難の中で復興が始まっています。そのやさき、私たち和歌山県民の足元で起こった台風12号災害。思いもしなかった被害を与え、多くの県民の皆さんが犠牲になり、行方不明の皆さんも多数いらっしゃいます。2つの災害で犠牲になられた皆さん、被災された皆さんにお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。
 まだ災害の危険が続いています。まずは被災者の救援と復旧が第一です。同時に、私たちは、こうした災害から教訓を引き出し、今後に生かさなくてはなりません。
 まず第1は、このたびの台風大雨での河川のはんらんなどの問題です。今月、県議会の対策本部で状況をお聞きした次の日の6日、私たち県議団は被災地に入り、私は那智川に沿って市野々地域に向かいました。流木が打ち上がり、乗用車が壁に張りついているという沿道の状況です。那智の滝に上る道路そのものが流されているのに息をのみました。川上から大きな石が流れてきて、その石が道路を削り取ったのでしょうか。
 そこで質問ですが、このたびの災害でたくさんの犠牲者を出してしまったわけですが、避難指示、避難場所のあり方など、現時点でどういう問題があったとお考えなのでしょうか。知事にお伺いいたします。
 あわせて、農林水産業への莫大な被害が出ていますが、それを含めて被災者支援についての決意をお聞かせいただきたいと思います。
 また、この台風で紀の川市の愛宕池が決壊いたしました。2008年の春には、同じ紀の川筋の松池、桜池が、集中豪雨の中でひびが入ったことがあります。このたびはそれほどひどい雨ではない中での決壊です。松池、桜池についても、ため池の点検との関係で問題を指摘しました。このたびの愛宕池の場合には、第2次点検の対象になっていなかった池の全面決壊です。ため池点検と安全対策について見直す必要があるのではないでしょうか。農林水産部長の見解をお伺いいたします。
 第2は、津波から避難する問題です。
 いつ襲うかもしれない東南海・南海地震津波、東日本大震災は従来考えられていたのとは違った大きな津波が襲うかもしれないことを教えています。海南市の入り口には浮上式津波防災堤防の建設が始まっていますが、それでも逃げなくてはなりません。
 このたび県は、津波からの避難場所を3つのレベルに分けて指定なされました。このことでは賛成ですし、さらに充実する必要があると考えています。
 私は、海南市東浜というところで育ちました。昭和21年12月の南海地震津波のときは、2階建ての家屋の階段、上から3段を残して水につかりました。津波震災地域で育ってきただけに、津波から避難することがどれだけ大変なことかよくわかります。行政は高台に逃げろと言うけれども、寝たきりのお年寄りを連れて避難するのは大変だ、もっと現実的な逃げ方を考えなくてはならないということを申し上げてまいりました。
 今回、県がリードして市町村の避難場所を確定した作業は、高台だけでなく浸水地域内にもレベル1の避難場所を設置するなど、私が申し上げてきたことにこたえていただいたものとして評価するものです。
 同時に、私がもっと現実的な避難方法をと提案したときは、3.11大津波以前のことでした。ですから、私はこれほど大きな津波を考えてはいませんでした。したがって、今回の呼び方で言えばレベル1の避難場所でも十分だ、それ以上高いところに無理に移動しなくてもいいというふうに私は当時考えていたわけです。
 ところが、このたび県がリードした考えは、それとは違っています。レベル1に指定されている小学校の児童でも、避難する時間があるならば、さらに安全な避難場所に逃げてほしいというものです。私は一たん首をかしげたんですが、「釜石の奇跡」と言われたケースをよくよく検討してみると、釜石の中学校は、従来のハザードマップでは浸水が予想されてない場所にありながら津波に襲われ、中学生、小学生はそこから1キロ以上も逃げて助かったわけです。県の防災担当課の説明を聞いてやっと私も納得したわけでございます。
 それでも、東浜のような高齢化が進み、避難場所まで距離がある地域の現実を前にして、立ちすくむということもあります。
 あるいは、その近くの日方保育園というところでは、近くに7階建てのマンションがあるので、そこに逃げさせてもらえるように交渉していると聞きます。それはこのたびの発表には入っていません。
 つまり、避難場所の指定というのは相当のところまで来たと思いますが、行政が指定した避難場所がすべてではなくて、民間のしっかりした建物も含めて、市民がみずからの責任で避難場所を決める、そしてそれを行政が支援するという必要があるんだろうと思います。
 そういう意味では、避難場所の確保はまだまだ進めなくてはならないと思っています。当局のお考えはいかがでしょうか。
 また、病院などの津波対策も大きな課題になっています。海南市では、津波浸水地域に新しい市民病院の建設が始まっており、市民からは多くの意見が寄せられています。私は、だからといって市民病院の立地場所を変更して高台に移すべきだと断定的に主張するつもりはありません。まちづくりの関係もあるから大変難しいわけです。よく議論して納得できるような対策をとることが大事だと思っています。
 そこで、県の場合は、和歌山医科大学附属病院が海岸近くにあり、対策が必要とされていると思いますが、どのような対策を検討されているのでしょうか。
 以上、第1の柱について、まず御答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○議長(新島 雄君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今回は、各地で観測記録を更新するほどの豪雨であり、今まで災害発生が予測されていない地域での災害が発生しております。また、夜間に豪雨となり、急速に河川の水位が上昇し、避難が困難であった地域もあったと聞いております。
 県では、市町村に対して、風水害に備え、国のガイドラインに基づく判断基準をあらかじめ整備するように助言するとともに、気象台の発表する気象情報や土砂災害警戒情報、水位情報を活用するように助言してまいりました。
 今回、被災市町をこの間回ってきましたときに複数の首長から、県の情報、すなわち水位情報とか、あるいは雨量情報とか、そういうものが大変役に立ったというふうなお礼がありました。しかし、それも、そのうちの幾つかはその後の大増水によって破壊されておりますし、そこで避難した人も余りの水位上昇に避難先自体が危なかったというような話を被災地でよく聞いたところであります。
 今回のような予想を上回る豪雨については、避難指示等の発令の判断が非常に難しかったと考えておりますが、市町村が適切な避難指示等を行えるよう、これはどこへ行くかということも含めて、国においても発令判断基準の見直しに取り組むと聞いておりますし、我々も雨量に応じてどのぐらいまで来るかというような情報を何とか入手したいなというような気持ちでおりまして、緊急復旧が一段落したら、じっくりこの問題にも専門家の意見を聞きながら取り組んでいきたいと思っております。
 次に、農林水産業関係の被害、これは多分まだふえていくと思いますが、16日現在で133億円であります。被害は県内各地で発生しておりまして、大規模な山腹崩壊や農地流出、養殖施設の破損など、甚大であります。私自身、現地を訪れるたびに被害の大きさを痛感しております。
 この大きさから、先週の火曜日、13日に国のほうに要望に行った際に、例えば官房長官や国交大臣、総務大臣、防災大臣にお会いして、激甚災害の指定とか、あるいは今後の復旧のための補助事業の認定とか、それをスピーディーにやってもらいたいというようなことを申してまいりました。その結果、激甚災害については、きょう閣議決定があったと聞いておりますし、また多くの対策もスピーディーにどんどん進めていけるようになっているところであります。
 被災対策としては、県では、被災直後から職員が現場へ足を踏み入れて被害情報の把握等を行って、迅速な仮復旧や早期の本格的な復旧事業の着手のための準備を進めておりまして、そのための予算の増額を近くお願いしたいと考えております。
 あわせて、農業施設、漁業施設の復旧助成についても予算措置を検討しておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 農業につきましては、農業施設の損壊とか、あるいはJAなどの共同利用地の損害については、公的事業としてそれを行うことができますので、最大限これを行っていきたいと思っております。
 また、それに漏れた部分についても、被災された農林水産業者の経営の安定をいち早く金融面で支えるために、従来の災害時以上に利子負担の軽減や融資枠の大幅な拡充を実施しまして、適用対象も被災した農業施設や農機具等の修繕、購入にも広げてやっていきたいと考えております。
 今後も被災された方の気持ちに立って、状況に応じて必要な対策を速やかにとり、被災された皆様が一日も早くもとの生活に戻ることができるように総力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 愛宕池では、平成16年度にため池耐震診断、平成17年度に農業用ため池緊急点検を実施しております。
 耐震1次診断では、目視による堤体の調査や地形、下流の状況等を総合的に勘案し、危険度を判定いたしました。緊急点検も同様に、目視による現地調査に立地条件等を加えて総合的に判定を行いました。
 耐震1次診断では、下流に民家が多い等、危険度の多いため池から優先的に2次診断を実施することとしております。愛宕池は、地形や下流に民家が少ないことから、2次診断を行っておりません。
 日常管理においてため池の変状を即座に把握することが、ため池の決壊及び2次被害の防止につながることから、これを充実させることが安全確保につながると考えております。このため、ため池点検マニュアルを管理者に配付し、日常管理の充実を市町村を通じて指導していく所存でございます。
 また、愛宕池の決壊については、紀の川市役所が原因を調査中であり、今後の安全対策等の参考にしたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 避難場所をより細かく決めていくことへの支援についてお答えを申し上げます。
 東日本大震災から得られた教訓とは、想定を信じ切ってはいけないこと、ハード対策を過信してはいけないことなどがありますが、最も重要なことは、国土を形づくってきた自然と向き合って生きる上では、自然災害ではどんなことも起こり得るということを改めて考えていただき、備えていただくことでございます。
 そこから導き出された考え方として、津波からの避難については、時間が許す限り高台へ逃げることが最も重要との認識のもと、4月から市町村と連携し、避難場所の緊急点検を進めてまいりました。
 見直され、安全レベルを分けた緊急避難先は、地域ごとに一覧で示されるとともに、避難カードに自分で選択して記入し、家族で共有することをお願いしてございます。その後で避難経路を実際に歩いていただき、かかる時間やブロック塀などを確認する家族での避難訓練のような取り組みを行うことや、新たな高台、裏山や避難ビルなどについて、地域の中で検討する取り組みをぜひ進めていただくよう助言しているところでございます。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 医科大学附属病院の津波対策についてですが、現在の津波浸水予測では、県立医科大学附属病院の東側にある中津川があふれ、約1メートル浸水するとの想定になっております。
 東日本大震災では、予測を超える大津波により甚大な被害を受けていることから、現在、想定を超える津波浸水対策も含め、県立医科大学の中に設置している災害対策委員会等で検討しております。
 また、県におきましても、庁内関係課及び県立医科大学でプロジェクトチームをつくり、一体となって検討を進めているところでございます。
 今後、国の想定見直しも考慮し、災害時においても病院機能を維持するよう、防災・減災対策に取り組んでまいります。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。
 災害から引き出す教訓などと言ったんですけども、私自身もまだ教訓を引き出せるような状態でないし、それも一言で言えるようなものではないことはよくわかっています。
 那智川に沿って何回も上がりおりしましたけども、町長さんの御家族がなくなったあの場所で、一体どこに避難したら助かったんだろうか。川があふれる、山が崩れるという状況だからです。そんなことを考えたような次第でございました。
 改めてじっくりとこの教訓を引き出して避難対策などに生かしていただきたいし、また今、知事を先頭にして、県の職員が一丸になってこの津波対策、災害復旧、全力を挙げていただいておりますことに感謝申し上げます。
 今後、河川の予算の問題などもまた検討していく必要もありますが、その問題については、またじっくりと議論をしていきたいというふうに思います。
 そこで次に、津波からの避難の問題です。これは私もいろいろと話を聞いて自分の考えも変わってきたわけですが、「想定外を生き抜く力」という群馬大学大学院の片田教授のビデオも担当課に薦められて見せていただきました。
 中学生が真っ先に高台に逃げたというあの「釜石の奇跡」、そしてあるケースでは、兄弟が津波から逃げおくれたから、今から逃げたらかえって危ないといって屋根裏でお兄ちゃんが弟をかばって生き抜いたという話、いろいろな話がありますけども、そのときの状況に合わせて最善を尽くして生き抜く判断力をつけることが言われています。
 また、防災教育というのは、家族のきずなを強め、地域のつながりを強めるものだということも感じました。
 ぜひともこのビデオを私も地域の皆さんと一緒にでも見ながら、一緒に勉強しながら、避難場所についてもまた考えていきたいと思いますので、行政の担当課のほうでもひとつ御支援をよろしくお願いしたいと思います。
 そこで次に、第2の柱に移ります。
 第2の柱は、原発事故・放射能漏れと脱原発への考えなどをお伺いいたします。
 福島原発事故、放射能汚染はいまだに収束に至らず、不安が広がっています。原発というものは、安全性、廃棄物処理技術が確立されていない未完成の技術です。かつては和歌山県への原発設置計画も持ち上がりましたが、私たち多くの県民は一致してそれに反対し、それを許しませんでした。
 しかし、福島原発が引き起こしたこのたびの事態を前にして、原発の危険性を指摘してきた私自身も改めて原発からの撤退の必要性を痛感したところです。「原発ゼロ」に向かわなくてはならないと思います。
 私たちが「原発ゼロ」という意味は、あすからすべての原発をやめてしまえということではなく、期限を切って原発をゼロにする、その間に自然エネルギー・省エネルギー社会への転換を図ろうとするものです。きのうも東京では「さようなら原発」という大きな集会があったと聞いています。
 そこで質問ですが、福井の原発銀座と言われるところで事故があって、琵琶湖が汚染されるようなことがあれば大変です。関西広域連合の場でも各府県知事の皆さんがいろいろ議論されているようですが、どういう論議をされているのか、仁坂知事は脱原発という問題についてどのようにお考えなのかをお伺いいたします。
 次に、福島原発放射能漏れへの不安が広がっています。特に、子供を持つお母さんたちの心配は深刻です。検査体制は、県民の不安にこたえられるものになっているのでしょうか。流通食品の検査体制は十分だと言えるんでしょうか。
 さらに、和歌山県全体では放射能はそう高くないと思いますが、局地的に放射線量が高いホットスポットはないのかという懸念が聞かれます。どういう対策をなされているんでしょうか。
 以上、御答弁をお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 関西広域連合の議論でありますけれども、東日本大震災を受けまして、府県知事で構成するエネルギー検討会というものを設置いたしまして、関西におけるエネルギーの需給見通し、エネルギー源の多様化、省エネ・節電のあり方等、関西の中長期的なエネルギー政策の考え方を検討しているところでございます。
 私は、2つの視点が大事だと思っております。
 全体として、我々が生きていく、あるいは雇用を守っていくというためには、エネルギーの総量を確保しなきゃいけないということと、もう1つは、太陽光発電など再生可能なエネルギーの導入を積極的に行って、多種多様なエネルギー源のバランスミックスを図っていくことは重要だと、そんなふうに私は思っております。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 県内の環境や流通食品の放射能検査体制についてでございます。
 現在、県では、和歌山市内にある県環境衛生研究センターにおいて、空間放射線量率の測定を1時間ごとに、降下物及び蛇口水の放射線核種分析を毎日実施いたしております。また、空間放射線量率の測定については、6月に県内10カ所でも実施したところです。
 これらの測定結果はホームページでも公表しておりますが、今のところ、福島第1原子力発電所の事故以前の測定数値と変わってはございません。
 なお、空間放射線量率を毎時測定するモニタリングポストにつきましては、今議会に増設する補正予算案をお願いしており、今以上にきめ細かな測定体制を整えてまいりたいと考えております。
 流通食品の検査については、放射能の影響が考えられる都県においては、農水産物の出荷前検査が徹底されていると考えていますが、基準値を超える食品が県内に流通した場合には、直ちに流通から排除できるように検査機能を強化することが必要であるため、9月から各保健所にサーベイメーターを配備し、頻繁にスクリーニング検査を実施できる体制を整備し、また環境衛生研究センターにおいて食品事業者等からの依頼検査に対応できる体制を整備いたしております。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。
 そこで、知事にもう少し聞きたいんですけども、エネルギーを確保するという問題と、それから、そのために太陽光発電などを広げていくということはいいんですが、私はこの原発の事故を受けて衝撃を受けた。私自身は、原発というのは危険なものだということを主張してきて、もちろん和歌山県に持ってくることには反対をしました。しかし、同時に、今から考えれば、原子力の平和利用ということについて、多少のまだ幻想を持っていたんではないかという気持ちがございます。これは多かれ少なかれ、国民の多くの皆さんが、原発ゼロにするという立場の方であっても、減らしていくという立場であっても、やはり原発が、あの事故を受けて大きな衝撃を受けて、それぞれいろいろなことを考えられたと思うんです。
 そこで、仁坂知事はこの前、6月議会では、和歌山県に原発を持ってくるなという高田議員の質問に対しては、今は和歌山県に原発を立地するような条件はないというふうには言われたんですけども、あの事故を受けて、原発ゼロという立場に立たれていないことはよくわかってるんですが、しかし、それ以前と原発についてどういうふうに認識が変わられたのか。ああいうことは初めから私はお見通しだったよということなのか、あるいは衝撃を受けたのか、その辺を。そのことによって自然エネルギーの転換のスピードの問題もやっぱり変わってくると思います。その点ひとつ、知事はどうだったのかをお聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 大変個人的な私の思いを述べます。
 私は、その昔々、ずっと昔、原子力安全課の、課長じゃありません、係長をやっておりました。科学技術庁におりまして防災対策などを──原子力の防災対策なんですが──やっておりまして、そのときに、その横のほうで安全審査とか安全確保をやってるグループがいますから、そういう人の言うことも聞いてよく勉強してました。
 そのときの知識からすると、今回、大変衝撃を受けました。それは、地震は考えてるんだけど、津波ということについてのやっぱり備えが全然できてなかったなということは、少なくとも確実だろうというふうに思います。
 そういう意味で、人間のいろんな知恵というのはやっぱり謙虚でなきゃいかんというふうに思いまして、これは大変なことだから、みんなでまた知恵を集めて、少なくとも同じ過ちを二度と繰り返してはいかんというふうに、今思っているところでございます。
○議長(新島 雄君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 知事も衝撃を受けられたという話を聞いて安心いたしました。やはりその点では私たちは、私自身も原発反対の立場だったけども、それでも衝撃を受けて認識を深めたわけですから。
 そして、一層自然エネルギーへの転換を急がなくてはならない、そして期限を切って原発ゼロにしなきゃならないという立場に立っているわけでございます。もちろん、その点では知事とは少しスタンスは違うと思うんですが、しかし、衝撃を受けたとしたら、やはりこれまでの延長線上で自然エネルギーを開発していったらいいんではない。やはり原発は、私は一日も早くなくしていきたいと思いますし、それなりのふさわしい体制をとって自然エネルギーを開発しなければならないというふうに思います。それは次の質問になるわけでございます。
 それから、もう1つ、放射能検査体制について答弁をいただきました。これについては、検査ポイントや検査機器をふやしていただいたことは大変ありがたいことでございます。それでも、県としてすべての地点を測定することはできないと思います。
 そこで、私ども、安物でございますが、放射能測定器を買いました。10万円でして、ウクライナ製でございます。県でふやした分は80万円するそうで。ですから、これ、相談があったらはかるんですが、しかし、素人が安物の機械ではかって、あそこが高いぞ、ここが高いぞと言うて回るのでは、かえって県民の不安をあおることになって、そういうことを私たちはしたくない、はかるけれども。ですから、むしろ高いところがあったら、県の担当課にお話しして、どうも私とこの安もんの機械ではかったら高いようなんだ、もう少しあんたとこのええ機械ではかってくれへんかと言うて、県民に安心してもらえるようにしていきたいというふうに思っています。
 それで、県としてもこういうものを使いたいという県民の方があったら、それは限界があるでということは言いながらでも、機械も貸し出すようなことも検討されてはどうかというふうなことも思います。これは要望にしておきたいと思います。
 以上で、この項目は終わります。
 そしたら、次いったらええな。どうもなれないので。
 第3の柱は、自然エネルギー開発の可能性とその追求という問題でお伺いいたしたいと思います。
 自然エネルギーといえば太陽光発電が言われ、バイオマス、風力、水力、潮力、地熱など、いろいろ研究中のものも含めてあります。さきの県議会では、企業からメガソーラー発電の提案があること、また民家も含めて太陽光発電をもっと推進したらええんではないかという議論もされました。私は、そういうものも積極的な提案だと思っています。
 ただ、自然エネルギーといえば太陽光発電というのもどうかなという思いもあるわけです。なぜかといえば、太陽光発電というのは必ずしも効率がいいわけではないからです。
 身近な話でいいますが、私の家では、昔つけた太陽熱の温水器が屋根についていて、春過ぎから天気のよい日はほとんどおふろのお湯を沸かす必要がありません。太陽熱というのは、電気に変換せずに熱として利用するのが一番効率がいいわけです。極端な話、太陽光発電でできた電気でオール電化といっておふろのお湯を沸かすとすれば、これほど無駄なことはないと思います。
 この県議会場には昼間でも電灯がついています。昔から日本の家屋には天窓というものをあけていました。先日、私は、下津の金鳥蚊取り線香の工場にお邪魔したんですが、天井に蛍光灯よりもっと明るいライトがついている。これ何ですかと聞いたら、実は太陽光を取り込んでいるんです。近代的天窓でありました。
 もちろん電気は必要ですから、これまでの火力発電も含めて、太陽光発電や水力、風力、地熱、潮力発電など必要です。ただ、太陽光発電というのは、一定の平面に当たった光の一部分だけが電気に変換する。今後の変換効率の向上には期待したいんですが、現時点では効率はそれほどよくありません。
 ところで、水力というものはどういうものか。水力というものは、太陽の熱で水が蒸発して雲になり、雨が降ります。山に降った雨が谷間に集まってきて川になります。太陽熱が生み出したエネルギーが自然の営みによって凝縮されたものを人間が水力発電として利用する。だから太陽光発電よりも効率がいいという場合があります。風力もバイオマスも、太陽光エネルギーの凝縮したものを利用すると言ってもいいでしょう。
 こういうことも踏まえながら、お伺いいたします。
 第1は、メガソーラー発電であります。
 孫社長の提案については、太陽光発電の可能性を提唱した点では積極的な提案だと受けとめました。しかし、6月県議会の報告では疑問を感じたのも事実です。
 関西広域連合に孫社長がおいでになって提案された。関西広域連合というところは、個別企業の経営者がやってきて提案できるところなんでしょうか。孫社長はどういう経過があっておいでになり、関西広域連合はそれを受け入れたのでしょうか。特定企業の利権のようなものになってはいけないと思うんですが、いかがでしょうか。知事にお伺いいたします。
 第2に、太陽光発電については、休耕地にまで踏み込まなくても、太陽光パネルをつける場所は和歌山県ではたくさんあるのではないかと思います。その可能性について、当局の御見解をお伺いいたします。
 第3は、太陽光エネルギーを凝縮したものとして申し上げた小水力発電やバイオマスであります。和歌山県での小水力発電やバイオマスの可能性についてどう見ておられるのか、商工観光労働部長にお伺いいたします。
 第4に、太陽光発電については、国・県として、それを促進するための応援をさらに引き上げる必要があると思います。また、太陽光発電以外の太陽熱利用があります。屋上に置く太陽熱給湯器が私は有効だと思っていますが、こういうものへの補助はどうなっているのか。これも応援していく必要があると考えますが、いかがでしょうか。環境生活部長にお伺いいたします。
 そして、この項目の最後に、風力発電の問題にかかわって申し上げたいと思います。
 私は、この問題では、低周波被害が生じていることを指摘し、県担当課には測定をお願いしました。しかし、国の基準が確立されていない中で被害者の救済には至っていません。被害を訴えておられる方は、離れた場所に住居を移し、そこから山の上のミカン畑に通うという不自由な生活を強いられています。
 風力発電を進める企業はたくさんの計画を持っているわけですが、このままでは地域住民には受け入れられないだろうと思います。低周波被害を出さないようにするためには、専門家による研究や国の規制基準が必要ですが、それとともに、現に被害を訴えて、転居して二重生活しておられる方にも企業が知らんふりというのは、いかにもだと私は思っています。
 県として、企業と被害者の間を取り持って少しでも救済措置を進める必要がある。今後の風力発電の発展のためにもお願いをしたい。これは要望といたします。
 以上、質問した項目への御答弁をお願いいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 自然エネルギー協議会の話でありますが、ソフトバンク側からメガソーラー事業について大阪府に話がありまして、それを受けて橋下知事から関西広域連合として取り組んではどうかという提案がありましたので、5月下旬に開催された関西広域連合委員会終了後、ソフトバンクの孫社長から提案を聞くことになりました。
 その中身は、このあり方を考える協議会と、それからソフトバンクの資金を投じて行うプロジェクトの2つの側面があるわけであります。
 協議会については、和歌山県としては参加を表明しておりましたが、関西広域連合としてまとめて参加するということにその場でなりました。なお、自然エネルギー協議会へ参加する企業については、同協議会事務局のホームページ上で準会員としての法人の募集を9月から行っておりまして、ソフトバンク以外の企業も受け入れることになっております。
 一方、プロジェクトについては、当県としての立場とともに提案をしておりますが、まだ当県を含めて、ほかのところもそうでしょうが、進展はございません。
○議長(新島 雄君) 商工観光労働部長。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) まず、太陽光発電における太陽光パネルの設置場所についてですが、本県にはメガソーラーに適した未利用地が多いことから、これらの未利用地にメガソーラーが設置されれば土地の有効活用につながるものと考えております。
 次に、小水力やバイオマスの可能性についてですが、本県は日射量だけでなく、水量や森林資源などにも恵まれており、バイオマスなどの自然エネルギーの取り組みには適した地域であると考えており、事業実施に当たり、諸制度との適合、景観や環境との調和など、事業者との間で条件が整えば、県としても積極的に推進していきたいと考えております。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 住宅用太陽光発電の導入に対しましては、国の補助制度と余剰電力買取制度とを組み合わせた支援体制が現在とられています。また、県では、単独で上乗せの補助制度を本年度から立ち上げており、県内にはさらなる上乗せ補助を行っている自治体もあります。
 今後の住宅用太陽光発電の普及に向けては、余剰買取制度の拡充や全量買取制度の創設など、より抜本的な支援体制の充実を求めて国に働きかけを行っているところです。
 なお、議員御提言の家庭用太陽熱温水器につきましては、エネルギー変換効率が高いことは認識しておりますが、その活用範囲がお湯に限定されており、価格面も比較的安価であることから、補助制度を創設することは難しいものと考えております。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。
 それでは、次の柱へ行きます。
 といいますのは、本当はこの3の柱の延長線上に4の柱があるんですが、最後に知事にまとめてお答えいただきたかった関係で、質問の技術上、別の項目にしたものです。
 今までの自然エネルギーをめぐるやりとりを踏まえた上で、自然エネルギー開発にかかわって知事にお伺いしたいと思います。
 農業用水を利用した小水力発電は農林水産部で管轄されている。南部町にある島ノ瀬ダムは農林水産省所管で、近畿でも先進的な試みだそうです。
 また、有田川町が二川ダムを利用した小水力発電を検討中だと河川課からお伺いいたしました。しかし、河川課は、申請があった場合に許可条件を示すのが仕事で、推進する立場にはないと思います。
 谷川を利用した小水力発電は商工観光労働部が管轄されるわけですが、申請があった場合の対応にしかなっていないように思います。バイオマスは農林行政、これは多少応援もしていらっしゃる。太陽光だけは商工観光労働部で推進の方向に向かっている。こういうふうになっていると思います。
 しかし、今、自然エネルギーの開発が急がれる特別な歴史的局面であります。そこで原発についての認識をお聞きしたわけですが、やはり自然エネルギーの開発は今までの延長線でやっていいんではない、急速に進める必要がある、こういう時期です。
 技術開発は主として国の問題でしょうけども、和歌山県でのその可能性を探求する必要があると思います。ですから、商工、農林、河川それぞれでなくて、また申請があれば受け付けるという待ちの姿勢ではなくて、自然エネルギーの開発、和歌山県でのその可能性を探るということが必要だと思うんです。
 私は、先日、小水力発電について取り組んでおられる和歌山大学システム工学部の中島教授にお会いしてきました。また、経済学部の中村教授は、前からバイオマスを提唱しておられる。和歌山高専にも専門家の先生がいらっしゃる。こういう方の知恵を含めるのも含めて、てんでばらばらに、言うてきたら許可するよとかいうんではなくて、和歌山県内で、そういう太陽光エネルギーだけじゃなくて、小水力もバイオマスも含めた自然エネルギーの開発の可能性がどれだけあるのかというのを総合的に検討する、そういう場所をつくられてはどうかと思うんですが、知事の御見解をお伺いいたします。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま議員は、縦割り行政的にてんでばらばらとおっしゃいましたが、その各部局のボスは私でございまして、そのボスに対して、部局が勝手にやってるかのような言い方をされるのはいささか失礼な感じがいたします。
 ただ、私が全部束ねて自分1人で統括するというのも実は大変で、実は少し前から、この問題なんかが発生する前から、エネルギーは一元的に商工観光労働部で所管をして、それでいろんなところの機能もかりながら、総合調整をしたり、業界とのつき合いをしたり、あるいは企画をしたりしようということになっておりまして、その機能は今、十分果たされています。
 さらに、今おっしゃったような外部の方々の御意見もどんどん取り入れて、これから頑張っていきたいと考えております。
○議長(新島 雄君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 ありがとうございました。しっかりボスが采配を振っていただいて、待ちの姿勢でなくて、自然エネルギー開発のために、これまでと違った対応をやっていただけるように期待をしております。
 最後に、戦争責任をめぐる知事のメッセージの問題でございます。
 仁坂知事が「県民の友」の8月号の知事メッセージで、「戦争責任」と題して、「当時のすべての国民にその責任があった」と述べていることについて、多くの県民の方から、これはどうなってるんだと憤りの声が上がってきています。知事のところにも届いてると思います。
 知事は、「戦争指導者達と一般の国民の責任は同列同等には論じられない」としつつも、「戦意を高揚させるような新聞が売れ、教育現場では軍国主義が鼓吹され、戦勝記念のパレードが行われ、兵士の出征の際には別離の涙のかわりに万歳が唱えられたことも事実です」と述べています。
 戦前、教育勅語のもとで教育統制が行われ、新聞や出版には検閲が行われ、国民を軍国主義の方向に引きずっていったことをどのように考えておられるんでしょうか。同列ではないというただし書きをつけたとしても、国民の責任だと言うのでしょうか。また、そんな体制の中でも命がけで戦争に反対した人がいたという問題は、知事の視野には全く入っていないようにも見受けられました。
 さらに、「同じ多くの国民が敗戦の後はころりと変わったのです」と述べておられます。侵略戦争と戦争の惨禍への反省から、平和憲法を制定し、平和国家への道を歩もうとした国民を「ころりと変わった」とは、国民を愚弄し、日本国憲法を踏みにじる発言だと言わなくてはなりません。
 もちろん、戦争中には時流に乗りながら戦後はころりと変わったという変わり身の早い要領のよい人間もいたでしょう。しかし、多くの国民を「ころりと変わった」などと言うことは、絶対に許されるものではないというふうに思います。知事の真意をお聞かせいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 「県民の友」8月号のメッセージに「戦争責任」についてというタイトルでエッセーを発表いたしました。少なからぬ人から賛意を得ましたが、一方で批判も寄せられました。
 批判は、主として2つございました。1つは、「無謀な戦争」と私は書きました。それに対しては何事かという議論がありました。それは、米国を初めとする国々の謀略によって日本が戦争に追い込まれたんじゃないかというような趣旨でありました。しかし、戦争の正しい戦略はあったのかと。現に敗戦をして日本を滅亡のふちに追いやったではないか。多くの人々の命を失わせたではないか。仮に勝ったとしても、敵味方の多くの命を失わせるのが戦争でありますから、何とか避ける国家戦略はなかったのかというように私は思っております。
 次に、雑賀議員のような方がいらっしゃいます。多くの一般国民は無辜で、責任は戦争を指導した一握りの人々にあると、だからそんなこと言われるのは嫌だということであります。それに対して私が申し上げたいのは、責任を一部の人だけのせいにして自分は無辜だったというのなら、また同じ失敗をいつか繰り返す可能性があるのではないか、そんなふうに私は思いました。
 国民1人1人が、あるいは県政で言えば県民1人1人が自分でしっかり勉強して、考えて、おかしいと思ったら、多数意見や、あるいは一見権威のありそうなものに乗せられないで、堂々と非を鳴らすことが大事だというふうに思うわけでございます。
 そういうことを申し上げたかったので、終戦記念日でもあるということもありまして、あのような文章を載せさせていただきました。
○議長(新島 雄君) 雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕
○雑賀光夫君 私たちは、今から戦前のようなああいう状態をつくらないように、再び戦争を繰り返さないように、国民1人1人が頑張らなくてはならない、これは思います。
 しかし、あの戦争前の、知事が、教育現場では軍国主義が鼓吹され、戦勝の記念パレードで云々、あるいは出征の際の万歳、こういうことを言われていた時代というのはどういう時代だったのか、知事は認識されているのでしょうか。認識されていないはずはないと思います。あのときに戦争を反対すれば非国民と言われ、それだけでなくて獄につながれ、そして獄中で亡くなった方も大勢いらっしゃるわけでございます。
 そういうことがありながら、とにかく国民が戦争に反対しなかったじゃないかという言い方というのは、実は戦後すぐの内閣が言い出した一億総ざんげ論という、とにかくみんな悪いんだと、こういう議論があったわけです。それに共通する、戦争指導者の戦争責任をあいまいにするものであり、それは戦前の社会全体を全く無視した議論だと思います。
 そしてこの戦後の問題で、私は、ころりと変わって戦争に反対になったというここの問題については、特にこだわるわけです。
 戦争に協力した教師がどんな苦痛の思いを持って戦後の教育に立ち向かったのか。ここに高知県の教員の竹本源治さんという方の「戦死せる教え児よ」という詩があります。短いもんですから読んでみたいと思います。
 「逝いて還らぬ教え児よ 私の手は血まみれだ! 君を縊つたその綱の 端を私ももつていた しかも人の子の師の名において 鳴呼! 『お互いにだまされていた』の言訳がなんでできよう 慚愧、悔恨、懺悔を重ねても それがなんの償いになろう 逝つた君はもう還らない 今ぞ私は汚濁の手をすすぎ 涙をはらつて君の墓標に誓う 『繰り返さぬぞ絶対に!』」。
 戦争に協力した教師たちは、ころりと変わったんじゃなくて、こういう痛恨の思いを持ちながら、教え子を再び戦場に送らないという決意を持って平和の教育に当たったわけでございます。
 こういうことを申し上げまして、特にそれ以上答弁は求めませんが、質問を終わりたいと……(「議長」と呼ぶ者あり)ああ、いいですか。
○議長(新島 雄君) 知事。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 実は私は、竹本源治さんと同じことを言いたいのであります。「君を縊つたその綱の 端を私ももつていた しかも人の子の師の名において 鳴呼! 『お互いにだまされていた』の言訳がなんでできよう」。その竹本源治さんを評価する雑賀議員が、一部の政治家や軍部にのみ責任があって多くの国民は無辜であったと主張することが竹本さんの悲痛なる反省に反することに、どうして気がつかないのでありましょうか。
 政治や社会風潮には、ムード、流れがあります。これに反すると戦前は社会的制裁を受ける、あるいは、おっしゃったように、肉体的にも弾圧される、そういう時代でありました。今日でも社会的につまはじきにされるというようなことはたくさんあります。しかし、それに国民が無批判に乗れば取り返しがつかないこともまた繰り返されるのではないでしょうか。おかしいと思ったらぜひ言うべきであります。そのために1人1人が自分の目と頭で考えて、よく勉強すべきであろうと思うわけであります。そういうことを言っておるわけであります。
 私は、県民のために一番よいと思うことを県政で必死にやっております。しかし、間違うかもしれない。その中身が少しでもおかしいと思ったら、どんどん問題提起されるべきであります。私は、それによって県政に誤りなきが期されるのだと信じております。それが県民すべてのいわば責任なのだと思うわけであります。
 そういう意味で、雑賀議員の今回の批判は断然間違ってると思いますけれども、しかしそういう問題を提起されて、こういう議論ができるということはいいことだと考えております。
○議長(新島 雄君) 知事に申し上げます。少し答弁が長いようでありますので、簡潔にお願いをいたします。
 以上で、雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕(拍手)
○平木哲朗君 それでは、議長のお許しをいただきましたので、本日5番目です。議会では5番目というのは今までなかったような気がしますが、御清聴よろしくお願いします。
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 まず最初の質問は、防災対策についてお聞きします。
 まず最初に、台風12号による災害は、想像を絶する大きな被害を日本じゅうにもたらしました。和歌山県内でも紀南地方を中心に大きなつめ跡を残し、大変な大規模災害をもたらしました。改めて、亡くなられた皆様には心からお悔やみを申し上げ、御冥福をお祈り申し上げます。また、行方不明の皆様には、自衛隊、県警、消防等、関係機関の皆さんには、全力を挙げて一日でも早い発見に努められることをお願いいたします。また、被害を受けられた皆様には心からお見舞いを申し上げますとともに、国、県、市町村、議会が果たすべき責任を果たし、地域住民の皆さんとともに一日も早い復興・復旧に取り組んでいかなければなりません。
 東日本大震災では、国の対応がおくれ、被害がさらに拡大し、瓦れき処理もおくれ、放射能汚染も、さまざまな対応がおくれているのが現状であります。民主党の政権下において、この台風12号の大きな被害に対する復旧・復興が迅速に進むか不安を感じているのは私だけではないと思います。
 東日本大震災では、政府の対応のおくれで被害が拡大しましたが、この台風12号の災害に対する復旧対策、復興対策までおくれることのないよう、ぜひ政府には、一日も早く早期の復旧・復興に関する予算を3次補正予算にのせていただくようお願いをしたいと思います。県選出の国会議員の皆さんにも、早急に成立ができるようお取り組みをお願いしたいと思います。
 台風12号関連の質問は、大きな被害を受けられた地域の選出の先輩・同僚議員が質問されていますので、私は、以前から心配している防災対策についてお聞きします。
 まず最初に、ため池対策についてお聞きします。
 現在、ため池は、県下に5549のため池があります。そのうち橋本市、伊都郡には、県全体の約20%に当たる1046のため池があります。橋本・伊都地域では津波の心配はほとんどありませんが、地震やゲリラ豪雨、また台風や劣化によるため池の崩壊を懸念しています。つまり、ため池決壊により山津波、土石流となり、一瞬のうちに住宅地をのみ込んでしまう、また田や畑が荒らされ、あるいは県道、市道、農道等が大きな被害を受けてしまいます。
 県では、県営ため池等整備事業、県営ため池調査事業、震災対策ため池調査事業、県営中山間総合農地防災事業があります。非常に危険度の高いため池から調査を行っていただいておりますが、危険度の判定ができても、現在の予算と地元負担金、受益者負担金の問題があり、なかなか事業が進まないのが現状と考えています。
 津波が来る確率の低い地域では、今回の台風被害でもあった山津波、土石流が本当に怖いのです。地震や台風やゲリラ豪雨が続く中、地域住民の生命、財産を守るためにも早急な対策が必要となります。現状の取り組みと今後の対策について、仁坂知事にお聞きします。
 次に、危険なため池と判断されたとき、県営ため池等整備事業、あるいは県営中山間総合農地防災事業等がありますが、事業費に対する負担割合、つまり地元負担金の問題があります。ため池改修となると多額の事業費がかかります。また、地元負担金が高額になり、ため池改修ができないのが現状です。
 地域の生命、財産を守る防災の観点から、地元負担金、受益者負担金の軽減を検討していただきたいと思いますが、知事の所見をお聞きします。
 次に、河川の防災対策について、県土整備部長にお聞きします。
 紀の川や中小河川を見て回りますと、紀の川では、河川に樹木や草や竹が生い茂り、余りにも緑豊かなため、ここは河川敷か川か全くわからないような錯覚に陥ることもあります。また、紀の川でも、中小河川でも土砂の堆積が進み、川と地面の高低がなくなってきています。今回の台風やゲリラ豪雨が降れば大変危険なところがふえてきています。
 また、今回の台風によりダムからの放流もあり、住宅地や農産物直売所「やっちょん広場」の浸水、河川グラウンドが大きな被害を受けました。上流から流れてきた瓦れきが樹木や草や竹が生い茂るところに大量にたまっています。
 想定外の雨が降るという防災上の観点から、河川の土砂のしゅんせつ、樹木や竹の伐採を今まで以上に進めていく必要性を感じています。県として、基本方針と今後の対策について、県土整備部長にお聞きします。
 次に、浸水対策についてお聞きします。
 この台風により、橋本市でも浸水被害が発生しました。JAのやっちょん広場、また紀和病院、樋門がある学文路地区の住宅地が浸水をしました。樋門を閉めたことによる大谷川の水が紀の川へ流れ込まなくなり、ポンプで排水しているが追いつかなくなり、住宅地へ浸水しました。これはもう恒例行事と言っていいほど、樋門が閉まると、こういうふうになってしまうということであります。
 やっちょん広場の浸水は、紀の川の水位が上がり、河川の水が紀の川へ流れ込むことができずに行き場を失ったことが原因であります。
 今後は、想定外の雨の降るところを念頭に考えていただき、早急に浸水対策を求めるものでありますが、今後の対策について県土整備部長にお聞きします。
 次に、消防の広域化についてお聞きします。
 和歌山県消防広域化推進計画が、策定されています。平成20年6月から平成25年3月までに広域化対象市町村が広域消防運営計画を作成し、広域化の実現を目指すことになっています。県内17消防本部及び2消防非常備町村を5ブロックに統合する計画であります。
 現在の状況を見ても3ブロックは全く進んでおりません。残り2ブロックは議論はされていますが、進展は見られません。県も市町村合併のような積極姿勢が残念ながら見受けられません。このままでは平成25年3月の期限に間に合いませんが、今後、消防の広域化を進めてくのかいかないのか、また今後の対応についてお聞きします。
 1問目、終わります。
○議長(新島 雄君) ただいまの平木哲朗君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ため池でございますが、これは新田開発とともに江戸時代ごろに建造され、地域の農業用水供給源、あるいは個人池も含め、現在、県下に5500ぐらい存在しております。
 近年、このため池の老朽化による漏水や、堤のやせているというんでしょうか、堤体やせが発生いたしておりまして、豪雨や地震によるため池の損壊も想定されるところでありまして、下流域への2次被害が懸念されております。
 地域防災計画に位置づけられたため池、規模の大きなため池など、現在県では420カ所の耐震診断調査──これは1次でございますが──やっておりまして、危険度を把握しております。
 危険度の高い220カ所のうち、特に高い82カ所を第2次診断し、うち62カ所が要対策、対策をせないかんということになっておりまして、市町村の要望も受け、要件の整ったものから順次、県営ため池等整備事業で計画的に実施しているところであります。
 また、ハード対策とあわせ、平成20年度から、ため池管理者に対して市町村を介して点検マニュアルを配付しておりまして、日常点検の充実強化を指導しております。これは、例えば樹木なんか生えてくると弱くなるとか、そういうようなものがありますので、注意をしてくださいということです。
 一遍には全部改修できないんですけども、できるだけスピードアップしてやっていきたいと考えております。
 次に、制度でございますが、県営ため池等整備事業の負担率は、国50%、県40%、残りは市町村を含む地元受益者10%の負担ということになっております。団体営ため池等整備事業では、国50%、県5%、地元45%であります。
 県営事業は、国の示す県負担のガイドライン、これは29%なんですけども、これを40%にあらかじめ直してありまして、大幅に上乗せをしております。農業用施設の改修に係る県の支援としては最も高率であります。
 地元負担をなくしてやってあげたらということについては、うん、そうだなという気持ちもあるんですが、なかなか現実の問題として難しいところがあります。
 そこで、全面改修を基本とすると随分多額のお金がかかるので、費用負担可能性を考慮して、安全度を高める部分改修、これもお勧めをしております。
 また、ソフト対策を組み合わせて、安全なように何とかもたせようということをやっておりまして、また県単独の小規模土地改良事業など、対策の規模に応じた事業の選択等により負担額をリーズナブルにしていきながら、できるだけ改修の率を上げていきたい、そんなふうに思っております。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 河川の樹木の伐採と土砂のしゅんせつについてでございますが、流下阻害対策として、樹木の繁茂や土砂の堆積が顕著で治水上支障のあるところから、伐採、しゅんせつを進めております。
 今後も、樹木の繁茂状況や河床の堆積状況を精査の上、地元の御意見もお聞きしながら適切に対応してまいります。
 続いて、浸水対策についてでございます。
 議員御指摘のとおり、紀の川本川の水位が高い場合、支川から本川への排水が困難となり、内水被害が発生する可能性があります。
 県としましては、大滝ダムの早期運用開始等により、紀の川本川の水位を極力低下させるよう国土交通省に要請しているところでございます。
 また、想定外の降雨に対しましても機動的に内水排除を行うため、排水ポンプ車3台を順次導入する計画としておりまして、紀の川周辺には、今年度1台、来年度以降1台配備する予定であり、広域的に運用を行ってまいります。
 なお、国においても紀の川周辺に3台配備していることから、緊急的に排水が必要な状況が発生すれば協力を要請してまいります。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 消防の広域化についてお答え申し上げます。
 消防の広域化につきましては、平成18年6月の消防組織法の改正を受け、市町村の御意見をお聞きした上で、平成20年5月に和歌山県消防広域化推進計画を策定し、県内17消防本部及び2非常備町村を、1、和歌山市・海南市、2、橋本市・紀の川市・岩出市・海草郡・伊都郡、3、有田市・御坊市・有田郡・日高郡、4、田辺市・西牟婁郡、5、新宮市・東牟婁郡の5ブロックに分け、各ブロックで広域化について御協議をいただいたところでございます。
 協議の結果としましては、3、有田市・御坊市・有田郡・日高郡、4、田辺市・西牟婁郡、5、新宮市・東牟婁郡の3ブロックにつきましては、給与水準の調整や施設整備の時期等に課題があり広域化による大きなメリットが見出せないという判断により、平成24年度末までの広域化は見送ることとされました。
 残る1、和歌山市・海南市、2、橋本市・紀の川市・岩出市・海草郡・伊都郡の2ブロックにつきましては、現在協議中であり、早期に御判断いただくよう働きかけておりますが、期限内の広域化は困難であるとお聞きをしてございます。
 県といたしましては、残る2ブロックの協議結果が広域化を見送ることとなった場合、再度各ブロックの市町村の考え方をお聞きした上で、期限にこだわることなく、自主的な市町村消防の広域化の推進について、市町村と協議しながら検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 答弁ありがとうございました。
 まず、1番目のため池対策でありますけども、県下に約5500あるというお話をいただいてます。緊急性の高いところから整備をしていただくということはよくわかってます。
 ただ、その残りの状況のため池が一体どうなってんのよということが全く私は把握されてないんかなと思うんです。小さなため池が決壊しても田畑を荒らしてしまう。そしたら、このときに必ず災害負担金として、地元負担金として、もう農林業というのは必ず地元負担金、受益負担金というのがついてくるんですよ。やっぱりこういうため池という部分でも、もう少しきちんとした調査が私は必要ではないかと思うんです。
 これを県だけでやれというんじゃなくて、県も、市町村も、自治会も、それから水利組合とかを含めた中で、もう少し、このため池は使われている、もう現在は使われていない、たまたま水がたまってるだけやというようなため池もあるかもわかりませんけども、こういう点についてやはり調査せなあかんのじゃないかと思ってます。
 先ほどから、何かマニュアルを送りつけて進めるというような話がありましたけども、これをやるんやったら報告の義務づけというのが必ずないと、ああ、来たわ、終わりましたよ、別に報告せんでもええんかなということになるような感じもします。この点について、農林水産部長に再度お聞きします。
○議長(新島 雄君) 農林水産部長。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) ちょっと補足して説明させていただきます。
 ため池の緊急点検、これ、中越地震を受けて、県のほうで受益面積が0.5ヘクタール以上のため池について行いました。2ヘクタール以上のため池1143につきましては、県のほうでチェックいたしまして、72カ所が早急な整備が必要という判断を行っております。それから、0.5ないし2ヘクタール未満の受益面積のため池につきましては、市町村のほうに検討をお願いいたしております。
 それから、日常点検の推進のために、マニュアルを送りつけるだけじゃなしに、私どものほうで、例えば今回の台風12号の被害を受けまして、特に緊急度が高いと判断いたしました134のため池については、改めて現場を確認するようにということを振興局並びに市町村にお願いいたしております。
 それから、ただいま先生御指摘がございましたように、今後、市町村にその点検状況の結果、これも報告を求めて、より的確な現状把握に努めたいと、かように考えております。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 では、そのように必ずやっていただきたいと思います。これは本当に大変なことなんですよ。今、日本じゅう津波、津波で沸いてますけども、本当、津波の来ないとこというのは山津波という恐ろしい現実がありますから、それもこの間の愛宕池のように、診断はしてたけども違うところから決壊したようだというお話も聞いてますんで、そういう部分でやはり十分な対応をお願いしたいと思います。
 地元負担金の削減については、納得はしてないんですけども、やっぱり防災の観点からいうと、本来違うところが予算を持ってきて防災対策に、これはあくまで農林水産部の予算でありますので、その中からやれと言うほうが僕は無理違うんかなという気もしてます。
 そういう部分で、本当は危機管理監に聞きたかったんですけども、なかなか通告上それができなかったんで、知事に直接聞いたほうがええかなと。1番も本当は農林水産部長に聞きたかったんですけども、知事に直接答えてもうたほうが前へ進むん違うかなと思て質問をさしてもらいました。
 実際、この地元負担金というのは農林業に本当にしつこいほどついてくるもんなんです、災害が起きたら。林道災害が起きても、地元負担金幾ら出しなさいというふうなことばっかりなんですよね。農道もそうなんですけども。でも道路については全く負担金ありませんし。そういう部分についても、こういう防災上の観点から必要なことについては、ぜひ負担軽減ということをもう少し、県は全国よりもようけ補助してるという話は聞いてますけども、さらにの負担軽減という部分をお願いしたいと思います。
 次に、河川の問題でありますけども、とにかく紀の川というのは本当に緑豊かな川になってしまってまして、木を伐採すると、環境団体とかそういうところから怒ってきて、何で切るんやという話があります。でも、その地域住民にしたら、そこに上流から今回のように瓦れきとか木材とかいっぱい流れて、そこへとまって、そして堤防を乗り越す可能性が非常に高い。そういうところがあるんで、やっぱりもう少し、これはもう国土交通省に要望するしかないんですけども、そういう部分での伐採とか、そういうことはきちんと県からも強く言っていただきたいと思います。
 浸水につきましても、紀の川というのは、和歌山県で雨が降ってなかっても奈良県大台ヶ原でむちゃくちゃ降ったり、奈良県の降雨量がふえたことによって紀の川の水位が上がるんです。台風6号のときも大雨洪水警報、橋本に出てましたけど、雨降ってませんでした。でも水位はどんどんどんどん上がってくるという、もうぎりぎりのところまで台風6号のときも来てました。
 今回は、大迫ダムが放流したということで、市の職員さんに聞くと、放流から3時間してようやく橋本へたどり着くというふうなこともあります。そういうことについて、大滝ダムができたから紀の川の流れが減るというのは、ちょっと想定外のときは違うんちゃうかなという気もします。
 これはもう1つ、またこれも国にはっきり県からも言うてほしいんですけども、樋門のある地域というのは、常に樋門を閉めることによって水が逃げるとこなくなるんです。ただ、水を集水場みたいにするところはあるんですけども、それも横は住宅地なんですよね。そしたら、この台風3号でも地域住民の人がもう心配で、朝4時半からずっとそこを見に来てるんです。そういうふうなことが相次いでるんですよ。もうずっと継続的に続いてるということなんで、この樋門のあるところに対しては、やっぱり国土交通省に対して、県もわかってるんやから、県土整備部長、強く何らかの対策をしていただかないと、もう本当に大変なことになると思います。
 やっぱり中小の河川、確かに排水ポンプ車3台と言いますけども、これ、紀の川が同時にはんらんしてということは、あちこちでそういう事態が起こってるんですよ。3台というのは足らんわけですよ。この辺のことも、排水ポンプ車を配置するだけで片づく問題じゃないんです。私らも消防団で消防ポンプを持っていきましたけど、全然太刀打ちできないんです。結局役に立ったのは、災害協定で来てくれた橋本建設業界の大きなポンプが多量に出してくれたおかげでおさまったという。消防のポンプぐらいじゃとてもじゃないですけども、入ってくる量と出ていく量とは全然違うんで、やっぱりもう少しこの浸水対策については根本的に、物を配置したらええというだけの問題と違うと思うんで、逆にそういう中小河川のはんらんの危険のある地域には、もう少し対策を講じていただきたいと思います。
 これで第1問を終わります。
 次に、2番目、地域医療についてお聞きします。
 公立病院改革推進については、公立病院改革ガイドラインが平成19年12月24日、総務省から通知され、公立病院は公立病院改革プランを策定し、積極的に取り組むことを要請されています。和歌山県でも、現在、県内13団体が平成20年度中に策定の予定と回答されています。平成21年2月から3月にプランを公表するということになっていました。
 公立病院も経営の健全化に向けて取り組まなければならなくなりました。病院経営を取り巻く環境も厳しく、改革プランを達成することが求められています。
 公立病院が民間委託、診療所、介護施設等への転換を余儀なくされることのないよう、公立病院の経営の健全化のため、県も公立病院改革プランの進行管理に取り組まなければなりません。限られた医療資源を効果的に、効率的に活用するためには、地域医療の再編(役割分担)、ネットワーク化への取り組みを進めていかなければなりません。また、将来的には、公立病院の独立行政法人化への検討も必要かもしれません。
 公立病院が高度先進医療、急性期病院への特化が進み、入院日数が短縮され、短期間に退院を求められるケースがふえており、療養型病床の不足により近隣の民間病院が満床になり、遠方への転院も求められる事態が最近見受けられます。
 特に高齢者世帯では、介護施設への入所も難しく、大変苦労されています。高齢化が進行する中で、療養型病床の不足は大きな社会問題ではないかと思います。国は、介護施設への入所や在宅介護や在宅医療を進める方針を示していますが、現状を全く理解していないのではないかと思います。
 介護施設の方とも先日お話をしましたが、現実的には、病気の方の入所は、病気の治療をする場所ではないので十分なケアができないので入所は難しいというお話を聞きました。病院からは、介護施設へ移っても症状が悪くなって戻ってくるケースも多いと聞いています。在宅介護や在宅医療についても、核家族化、高齢化が進み、非常に厳しい現実があると思います。
 そこで、公立病院改革プランについてお聞きします。
 公立病院改革プランにおける公立病院の経営の健全化の状況について、総務部長にお聞きします。
 次に、公立病院改革に伴う再編(機能分担)、ネットワーク化への取り組みについて、福祉保健部長にお聞きします。
 公立病院改革プランの策定後の地域医療への影響について、福祉保健部長にお聞きします。
 2番目に、療養型病床不足による慢性患者、社会的入院患者、症状が固定した患者等への対策について、福祉保健部長にお聞きします。
○議長(新島 雄君) 総務部長。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 公立病院の経営の健全化についてお答えいたします。
 本県におきましては、13の公立病院すべてで平成20年度に公立病院改革プランを策定し、今後とも地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくため、病院事業経営の改革に総合的に取り組んでいるところでございます。
 御質問の経営の健全化・効率化につきましては、すべての病院において、主要な経営指標である経常収支について黒字化を目標とし、医師確保による診療体制の充実や、業務委託の見直し等による経営基盤の強化に取り組んでいるところでございます。
 平成21年度決算では、4病院において経常収支が黒字となり、平成20年度決算の1病院から改善しております。また、平成22年度決算では、黒字となる病院がさらに増加するものと見込まれ、着実に経営健全化が進捗しているものと考えております。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 公立病院の再編・ネットワーク化につきましては、限られた医療資源を効果的・効率的に活用し、本来有する機能を十分に発揮できる環境づくりを行うため、医療機関相互の機能分担と医療連携を進めるものでございます。
 具体的な取り組みといたしましては、串本町において、国保直営串本病院と国保古座川病院が統合、新たにくしもと町立病院が本年11月に開院いたします。新病院には、外来化学療法室やヘリポートが新設されるなど、地域の拠点病院として機能の充実が図られております。
 また、各地域においても、病院間での医師の相互派遣や診療の応援、病院と開業医との連携による救急医療体制の堅持、高度医療機器等の共同利用等、それぞれの実情に応じた取り組みを推進しております。
 次に、地域医療への影響についてですが、全国的に勤務医不足が大きな問題となる中、地域において必要な医療を確保するためには、地域の拠点となる公立病院の健全な経営と医療機関相互の連携が不可欠でございます。
 県としましては、地域における医療ニーズをしっかりと把握しながら公立病院改革プランを着実に推進していくとともに、和歌山県立医科大学入学定員の増員や、地域においても医師がキャリア形成を継続できるような環境づくりなど、抜本的な医師確保対策に取り組み、将来にわたり持続可能な医療提供体制の構築を目指してまいります。
 次に、療養型病床数の不足への対応についてでございます。
 県内医療機関における療養病床の利用状況につきましては、その利用率が87.3%と、一般病床などと比べますと比較的高い水準にございますが、県内すべての保健医療圏において、既存病床数が医療法の規定による基準病床数を上回る中、その増床については容易ではございません。
 そのような中、地域の拠点病院等におきましては、急性期の治療を終えた患者等の相談窓口として地域医療連携室を設け、必要な医療の程度に応じ、退院後の受け入れ先となる医療機関や介護保険施設、在宅に備えた在宅療養支援診療所や介護サービス事業者などの紹介を行っているところです。
 高齢化の進展に伴う慢性期医療への対応など、多様なニーズにこたえるため、より多くの医療機関に対し、地域医療連携室の設置と地域包括支援センター等との連携強化を促し、地域における緊密な医療と介護のネットワークづくりを進めてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 答弁ありがとうございました。
 公立病院改革プランというのは、地方自治体にとってはあめとむちというようなもので、収益が下がればこの病院を閉めなさいであるとか、介護施設に転換しなさいとか、そういう総務省から出てきたプランであります。
 その中で、本来、収支が上がってるということは、確かに市町村の財政からの、一般会計からの繰り出しが減っていく、逆に言えば、利益が上がれば総務省からの交付税も減らされる、減らしていけるというふうな二重のねらいがあるんではないかと私は思ってまして、地域医療どうのこうのというのはあんまり考えてないんかなという部分がある反面、再編・ネットワークという部分では非常に効果があるんではないかと思ってます。
 今、お話を聞いてた中で、本来、公立病院の役割というのは、僻地医療とか、民間病院にできない不採算部門を公立病院が担いなさいよということやったと、もともと思うんです。その分、地方交付税で赤字額については補てんしましょうということやったと思うんですけども、今のこの公立病院改革プランでいきますと、どうも不採算部門のところが切り離されて、もうかる医療を公立病院はやっていきなさいよというふうに聞こえてなりません。
 実際に、本当に、例えばがん患者が、もう終末医療のときは出ていきなさいよと言われる。また、あるいは脳内出血とか脳溢血とか脳卒中とかで来た人がこれ以上治療できなくなったら、もう次の病院へ移りなさいよという、今、流れです。これって、私も先ほども質問の中でお話ししましたように、私の知ってる人でも、脳の病気で介護施設へ行ったんやけども、かえって悪くなって帰ってきて亡くなったというケースも実際にあるんです。
 やっぱり医療と介護というのは違うもんやと思うんですけども、こういうところの部分が非常に受け皿としてどんどんなくなっていくんかなという気がするんですけども、1つ聞きたいのは、もう公立病院というのは、今言うたようなほうに特化していってしまうんかどうかというのをお聞きしたいなと思います。
○議長(新島 雄君) 総務部長。
  〔米澤朋通君、登壇〕
○総務部長(米澤朋通君) 今、公立病院の役割についての御質問がございました。
 公立病院の役割というのは、やはり地域医療の最終的な番人として、地域の住民の皆さんの地域医療を担っていくという役割は、この公立病院改革プランの策定前も策定後も変わらないと考えております。
 この公立病院改革プランで目指しましたところは、そういった地域医療の役割を公立病院が担えるためにも、不採算部門については、一般会計からの繰り入れでありましたりとか、必要な医療は担っていくと。
 一方で、営業努力でカバーできる部分というのもあります。これがこれまで混然一体となって、営業努力で本来カバーしないといけないところも赤字要因になってたというところもございますので、在庫管理ですとか、職員の給与ですとか、そういうところで努力できるものは、営業努力でできるところは努力していって、そうすることによって地域医療を引き続き担っていくというのがこのプランの趣旨でございますし、それぞれ13の公立病院におきましても、その趣旨にのっとって経営健全化を進められて地域医療を担っていくということでございますので、引き続き公立病院は地域医療を担っていく大きな役割を持ってるというふうに考えております。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 ありがとうございました。本当に公立病院が果たすべき役割というのをやっぱりぜひきちっと果たすということ。
 総務省に注文なんですけども、ガイドラインをつくっていただくのはええんですけども、やっぱり都市と地方というのは環境が違いますから、そういう部分について、やっぱり一方的なもんじゃなくて、私、長さんのこういう研修会も3回ほど行ったんですけども、あの人の話聞いてたら、都市のことばっかりやなと、公立病院改革を進めるために非常に有利なところばっかり説明してるなという気もしたんで、やっぱり地方は地方の状況というのがあるんで、その辺は、今後もし見直すことがあれば、ぜひ国のほうにも訴えていただきたいなと思います。
 2番目には、療養型病床の不足というのが、先ほども申しましたように、結局は高齢者の方、特に重い病気でもう治療のしようがない、でも公立病院におったら診療点数も上がれへんし、これ以上治療しても仕方ないんで次へ移ってくださいよというのは事実あることです。在院日数の資料を見ていただいたらわかりますけど、大体2週間から3週間おれたら今ええなという状態やと思うんですね。こういう人たちが本当に介護施設へ行っても大丈夫なんか。
 在宅医療、在宅介護というのもあります。でも、これはやっぱりやった人しかわかりませんよ。こんなこと進めてほんまに、例えばおばあちゃんがおって、若い2人が働いてて、おばあちゃんが例えば病気で帰ってきて、そしたらだれが見るんよという話ですわ。じゃ、片方だれか仕事やめやなあかんというふうな現実もあるわけです。やっぱり介護施設の人も、ちょっと病院の方はと思うのがあるけども、介護施設と病院の連携があるんでそれを引き取ってるというような状況もあります。
 だから、療養型の病床をふやすことは難しいという、容易ではないというはっきりした答弁いただいたんで気持ちはよかったんですけども、中途半端に答えてもらうよりはよかったんですけども、やっぱりその辺のことについて、在宅療養支援診療所、24時間体制でやってもらえるというのはあるんやけども、実際そういう不安を、重い病気の方というのは、がんの末期患者の人というのは常にそういう不安を持ちながら生活してるということも含めて、やっぱり余ってるところがあるんやったら足らないとこへ回すとか、そういうふうな、医療計画の中でここはあんまり必要ないからこっちへ回すというふうなことも、もっともっと必要のあるとこへ回していただくというふうなことも必要かと思います。
 公立病院でも、今、医師と看護師の数の関係で、本来300あるんやけど、現在は200床で回してないというところもあるんですから、どっかにそういう部分を一時的に回すとか、やっぱりそういう柔軟な発想でぜひ取り組んでいただきたいと思います。これはもう答弁は結構です。
 最後に、私の質問のときには必ず出てきます国道371号バイパスについてと左岸農免についてお聞きをしたいと思います。
 国道371号バイパスは、知事、県土整備部、橋本市、関係機関の皆さんの御協力により大きく進展をしました。用地買収も一部を除き順調に進んでいます。
 残念ながら、大阪府側は依然として厳しい状況が続いていますが、これはもういきなり要望ですが、仁坂知事、県土整備部には、引き続き大阪府への強力な働きかけをお願いします。橋下知事も転身されるようでありますので、知事がかわれば考え方も変わるかなと思いますんで、ぜひお願いをしたいと思います。
 また、橋本市も河内長野市への働きかけをさらに市長、市議会ともに強めていくということで先日の総会で決めておりますので、さらに橋本市としても河内長野市への働きかけを強めてまいります。
 国道371号バイパスは、住宅地の中や近接地を通過するため、騒音を心配する声が高くなっています。騒音については、371号バイパスが完成し、自動車が通行してみなければ騒音の大きさはわかりませんが、今まで自動車が通らなかった場所を通るわけですから、騒音について十分な配慮をお願いしたいと思います。
 また、小原田からさつき台間がかなり高いところを走り、勾配がきつくなってるように感じていますが、冬の凍結が心配になっています。
 そこで、県土整備部長にお聞きします。
 国道371号バイパスの和歌山県側について、当初の目標年度、平成25年度に完成できるか、県土整備部長にお聞きします。
 柱本・橋谷地区に用地買収が難航している地域がありますが、ことし以上の予算の増額が必要と聞いていますが、大丈夫でしょうか。
 また、騒音対策について県土整備部長にお聞きします。
 三石台地区では、以前から騒音に対する対策協議会が設置され、県と協議を重ね、道路改良もしていただきました。しかし、まだ不十分であるため、防音壁の設置を要望されています。
 また、橋谷・御幸辻地区でも、今まで道路がなかったところに国道371号バイパスがつくられるため、騒音の心配をしています。今後、工事を進めていく中でどのような対策を立てていくのかお聞きします。また、地域住民の皆さんに十分な説明をし、誠意ある対応をお願いしたいと思います。
 次に、小原田─さつき台間は、結構高いところ、傾斜のきついところを走行するために凍結対策が必要と考えますが、どのような対策を考えられていますか。
 次に、紀の川左岸広域農道について県土整備部長にお聞きします。
 橋本市でも開発がおくれている河南地域の活性化を図る上でも大変重要な広域農道となります。特に、柿を中心とする農産物が生産され、日本一のへらざおの生産地でもあります。この道路とともに圃場整備や農産物の直売所も計画され、地域の活性化のため、一大チャンスとしてとらえています。高野山開創1200年までにはどうしても完成させなければなりません。
 そこで質問です。用地交渉難航地に対して、今後の取り組みについてお聞きします。
 また、清水─九度山間については、高野山開創1200年までの実現は可能か。どんなことをしても完成させることを確約してほしいと思いますが、県土整備部長の答弁をお願いします。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 国道371号橋本バイパスにつきましては、任意交渉を続け、土地収用法も活用し、早期に用地取得を完了させるとともに、必要予算の確保に努めまして、平成25年度の供用を目標に整備を進めてまいります。
 三石台地区につきましては、平成13年度から騒音調査を実施しておりまして、その結果を踏まえ、騒音対策として平成18年、19年に低騒音舗装を施工することにより、沿道への騒音の緩和が図られているところでございます。また、柱谷・御幸辻地区についても、必要に応じ低騒音舗装などの対策を検討いたします。
 最後に、凍結対策については、バイパス完成後の路面状況を見きわめて適正な管理に努めます。
 続きまして、紀の川左岸広域農道についてでございますが、用地難航箇所につきましては、引き続き任意交渉を続けますが、土地収用法の活用も視野に入れて進めてまいります。
 また、紀の川左岸地区全体については、平成27年度供用を目指して整備を進めます。高野山開創1200年までには、地元の協力を得て、橋本工区など事業効果を発現できる区間の供用をふやすよう努めてまいります。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 ここで本当にお願いしたいのは、大阪府への働きかけについてであります。ここは、企業誘致でも大切な道路でありますし、実は地域医療についても大事な道なんです。ここは千代田の南医療センターあるいは近畿大学の病院へ通う人であるとか、救急搬送するためにとっても大事な道なんです。
 ですから、何よりも早くこういうことをやっぱり働きかけて、橋下知事もかわるかもわかりませんけども、ぜひ引き続き、知事も努力されてるのはもうわかってますし、国交省へ行っても言われるのが、大阪府次第やというのが、もう何回も国交省へ行っていつも同じ答えが返ってきましたけども、そういう分についてぜひお願いしたいのと、やっぱり今の天見の仮設道というのは場所悪いん違うかなと僕は思ってるんです。もっとトンネルの近くのほうへ仮設道を入れて、トンネルを先に掘るというふうな申し出も和歌山県からしていただきたいなと。その分だけ早くなるん違うかな。今の天見でしたら、今のところまで行って、また南海の高野線を越えて上へ行かなあかんという、まだまだ、仮設道に大きな金使い過ぎ違うかなと思うぐらい、非常に、工事としてもかなり時間がかかると思いますんで、その辺についても一度トンネルを早く掘るためにいい方法をぜひ和歌山県でも大阪府のほうへ申し入れをしてほしいなと思います。
 もう1つ、紀の川左岸について、今、用地交渉の難航地域についてお話をいただきました。引き続き交渉していただくということでありますが、これはもう以前にも知事陳情のときにもお話ししましたように、もうここの地域は、地元の人が何回も何回も行って交渉してもらって、もうそれでも、お金何ぼ積んでもうても要らんて言われたとこなんです。そんなとこにいつまでも用地交渉します、用地交渉しますと言われても、そんなん、そしたら平成27年の3月までにどない考えても間に合えへんと思うんですよね。やっぱり地元の人がこれだけ一生懸命に、県の職員にかわってどんどんどんどん地元の用地交渉をここまで進めてくれたのに、こういう対応では私は納得できません。もう一歩踏み込んだ答弁をいただきたいと思います。
○議長(新島 雄君) 県土整備部長。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) この箇所につきましては、土地収用法の活用は必要と考えておりますので、本年度から事業認定図書の作成等の作業を行う予定でございます。
○議長(新島 雄君) 平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕
○平木哲朗君 農道ということで、土地収用法は確かに全国で1つしか認められてないような話も聞いてますが、ぜひ早期にしていただいて、もしだめな場合、次の対策を立てていただくということをお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(新島 雄君) 以上で、平木哲朗君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時55分散会

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