平成23年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○議長(新島 雄君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 39番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。
 お昼1番の質問でありまして、昼食をとった後、眠たくなる方もいらっしゃるかもわかりませんが、眠たくならないような質問を一生懸命やらせてもらいたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 刷新クラブで初めての質問となります。岩田弘彦さんと2人で頑張っているわけですが、お互いに無所属として厳しい選挙を戦い抜いてまいりました。今後は和歌山の未来をしっかりと見詰めて活動してまいりますので、よろしくお願いいたします。
 さて、今、私たちのこの国は、大変な局面を迎えています。歴史家であり経済学者、またこの国に対してさまざまな提言活動を続ける作家の堺屋太一さんは、つい1週間ほど前に新しい本を出されましたが、そこでは今回の震災を「第三の敗戦」と位置づけられています。第1の敗戦は幕末、第2の敗戦は太平洋戦争、そして下り坂20年の末に来たこのたびの大震災が第3の敗戦、ここで大改革ができなければ日本は負け続けると警鐘を鳴らしています。
 私自身も、これだけの規模の災害が今起こったことは、日本にとって単なる偶然ではなく、乗り越えるべき試練として与えられたものだと感じています。苦しいですが、皆で力を合わせ、何としても乗り越えて次の世代、子供たちのためにもよりよい日本、よりよい和歌山をつくっていきたいと思います。この厳しい時代の節目となる大切な年、この春の選挙でたくさんの皆様に応援してもらい、3期目の県議会に送っていただきました。応援していただいた皆様に心から感謝するとともに、この時代に政治家として活動さしていただくその責任の重さをしっかりと受けとめて、覚悟を持って活動していきたいと思っています。
 それでは、通告に従って順次質問させていただきますが、本日、一般質問最終日ということで、ここまで先輩・同僚議員からさまざまな視点で貴重な議論が行われてきました。私の質問とかぶる内容もございましたが、重複した部分はできるだけ削りつつ、かつ私なりの視点で質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。
 まずは、東日本大震災を受けて和歌山の震災対応について。
 今回の東日本大震災では、多くのとうとい人命が奪われ、巨大地震発生から3カ月を過ぎた現状においても仮設住宅への入居もままならず、多くの人が避難所生活を続ける状況にあります。
 私自身もボランティアとして被災地に入り被害を受けた皆様に寄り添う中で、今回の震災がどれほど悲惨なものかを改めて認識しました。この質問冒頭に当たり、まずは心からお悔やみとお見舞いを申し上げます。
 今回の大震災と大津波では、多くの人の未来を一瞬にして奪い去ったその悲劇を直視して、しかしそれは決して他人事ではなく、和歌山もいつ巨大地震に襲われるかもしれない、この教訓を私たちの和歌山でもしっかりと生かしていくために、多くの先輩・同僚議員もそれぞれに被災地へ入られる中、私自身も口先でなくまずは行動ということでボランティアとして実際に現場に立ち、現地の人たちと一緒に汗を流す中で多くのことを学ばせてもらってまいりました。
 私が東北の被災地に入ったのは、ボランティアが足りなくなると心配されていたことしのゴールデンウイーク明けの5月9日から12日までの間です。震災後、作業がおくれ、なかなか復旧しなかったJR大船渡線(ドラゴンレール)が何とか気仙沼まで開通したタイミングで、岩手県一ノ関までは新幹線を使い、一ノ関からローカル線に乗りかえ、気仙沼の現地へ向かいました。
 気仙沼に向かう途中では、多くのボランティアの若者に出会いました。グループもあればひとり単身で被災地に入る若者もたくさんいて、中でも1人で行動している若い女性が多いのに驚きました。必要とし、必要とされる。今、被災地は、おせっかいになることを気にすることなく思い切り他人のために行動できる場所、必要とされる確かな手ごたえを得られる場所であり、多くの心優しい若者が被災地を目指しています。これも日本社会の一面だと感じました。
 さて、被災地での活動では、気仙沼からスタートしたのですが、まず現地に入って最初に感じたことは、悲しいことに大きなダメージを受けたまちは音がなくなります。気仙沼に入ったのは昼過ぎで、その日は夕方、日の暮れる時間まで救援物資を運ぶお手伝いをして被災地を回っていたのですが、そこでは以前、阪神・淡路大震災のときに被災地を回った情景をほうふつとさせるもので、同じ感覚を味わいました。尋常ではない大きな被害を受けたまちは、現在の私たちが生活する日常、喧騒に包まれる社会からは隔絶された、荒涼とした荒野に立つような独特の情景があって、本当に心痛むものです。
 ここから、お手元の資料をごらんいただきながらお聞きいただければと思います。
 資料1という中で、私が訪ねさしていただいた気仙沼、そして陸前高田──地図であらわしていますが、その後、写真でそれぞれの状況をお示ししております。
 翌日10日は、朝からボランティアセンターへ向かいました。気仙沼市では、東新城という市街地から少し離れたところにある市民健康管理センターすこやかという施設内にボランティアセンターが設置されていました。朝早くから多くのボランティアが全国から集まり、その日は400名を超える人が参加され、中には、日本人だけでなく、カナダ、アメリカ、フランスなどの日本在住の外国人の方も応援に駆けつけてくれていました。
 ボランティア活動への参加の流れとしては、まず最初に受付テントでボランティア保険への加入など、必要な書類にサインして登録を済ませます。受け付けが終わるとテント横のスペースに集合し、班分けが行われます。本部スタッフが作業内容を読み上げて、志願者を募ります。主な作業は瓦れきの撤去、泥出し、家財道具の運び出しなどで、それぞれボランティアで集まった人たちが自分に合った作業を見つけて、自主的に手を挙げていきます。作業ごとに人数を割り振り、10人ぐらいずつの班を編成して、作業内容に合わせた道具もその場で支給され、各自スコップや一輪車、泥出し用の布袋などを確保して出発の準備を整えます。準備が整ったグループからそれぞれバスに乗り込み、市内各所に派遣されていきます。
 私が派遣されたのは沿岸部から5キロぐらい入った住宅地で、そこでは約半数の家屋が全壊状況で、流失した家屋も多く、もとあった場所もわからない家も数多くあるといった地域でした。私たちが担当したおうちは、気仙沼で魚の仲買業を営む小野寺さんという方のお宅で、2階建ての1階部分は天井まで津波が押し寄せ、泥に埋まり、庭などもめちゃめちゃに破壊されている状況でした。
 泥出しと一言で言っても、本当に大変な作業で、そもそもまちじゅうが洗濯機でかき回されたような状態で、泥にまみれて魚や動物、ペットの死骸などが散乱し、悪臭も想像を絶するものでした。男手で10人がかり、途中、昼食時には各自持参したおにぎりをほおばり、そのほか、脱水症状にならないように水分補給をするための休憩をとりつつ、みっちり朝9時から午後3時まで作業を続け、それで何とか1軒の家が片づくといった状況でした。こういった作業を被害地域全体で行うことを考えると、本当に大変な労力が必要とされ、相当なマンパワーが今後とも必要だと改めて認識させられました。
 午後3時に作業が終了し、順次迎えの車を待ってボランティアセンターに戻ります。センターに戻った後は、持っていった道具を次の日の作業に使えるように各自きれいに水洗いして返却、最後に報告書を提出して一連の活動は終了となります。
 気仙沼では受け付けからチーム分け、作業内容の説明から現場への送り迎えまで本当に組織化され、すべての作業がスムーズに行われていました。これは和歌山でもお手本とすべきものと思います。いざというときのために貴重な経験の場となりますので、ぜひ和歌山からも、県、市町村の職員の皆さんにはできるだけ多くの方に実際に体験しておいていただきたいと思います。
 翌11日は、手配していたレンタカーに乗り込み、朝早くから気仙沼を離れ、陸路、陸前高田市へ向かいました。ちょうど陸前高田へ向かうまでは──これ、地図にもあるんですけれども──45号線という一部が車の専用道路になってる道路があるんですけれども、それが陸前高田までつながってまして、その専用道路によって陸前高田に向かいました。
 ところどころで海まで見渡せる休憩所があるのですが、そこから眺める風景は、例外なくすべてが悲惨な状況でした。気仙沼、陸前高田などマスコミが取り上げられるまちはテレビなどを通じて多くの人に知らされていますが、それ以外も海に面した入り江という入り江のすべての集落が壊滅しています。まさに唖然とするほかない状況であり、改めてその被害の大きさに驚き、鳥肌が立ちました。
 陸前高田の市街地に入ってからは、皆さんもテレビで何度も見られていると思いますが、やはり大変な状況です。陸前高田市は、まちとしての規模は気仙沼より小さいながら、被害規模自体は気仙沼と同等もしくはそれ以上の状況で、自治体としての中枢機能へのダメージも甚大で、それはボランティアセンターの運営にもあらわれていました。
 陸前高田市災害ボランティアセンターは、陸前高田市横田町というかなり内陸に入った場所に仮事務所が設置されていました。陸前高田の社会福祉協議会は大津波で事務所を失い、職員のうち数名が死亡、行方不明となっているということで、残された職員の皆さんは必死で社協自体の再建を進めつつ、災害ボランティアセンターの運営もこなしているという状況でありました。
 5月11日、陸前高田市で私が参加した日に集まっていたボランティアは約40人、気仙沼市の10分の1という状況でした。これも後ほど提言させていただきますが、それぞれの被災地では今ボランティアの争奪戦が始まっています。情報をしっかりと発信できていないところはボランティアを集められない状況となっていて、陸前高田市などは被害が大き過ぎて行政組織も機能低下しており、本来は大きな被害を受けているからこそたくさんのボランティアが必要なところを、しかし逆に悪循環に陥っていて、被害が大き過ぎたため情報を発信する力も弱く、結果的にボランティアを集められず復興もおくれるという状況にあります。
 陸前高田でのボランティアは、仕組みとしては気仙沼とおよそ同じなのですが、とにかく40人しか集まらない状況ですので、人手が足りない。ボランティアの派遣要請は山のように来ていても、残念ながら十分に対応できる状況にはありませんでした。
 当日、ボランティア登録を済ませると早速名前を呼ばれ、派遣先の概要が書かれた紙と地図を渡されて、何と1人で行ってほしいということでした。手渡された資料を見ると、家屋内の泥出しと家財道具の運び出しで、希望人数として5名から10名のボランティアを派遣してほしいと書かれていました。気仙沼での経験からしても、とても1人でお手伝いに行っても間に合わないと不安に思い、担当の方に伝えると、申しわけないが被災者の方はボランティアの派遣を待っていて、とにかく行ってほしいということでした。私自身、陸前高田は初めてで、当然地の利もない中で、しかし手配したレンタカーに何とかカーナビはついていましたので、それを頼りにとにかく出発しました。
 派遣された先は83歳の金野さんというおじいさんのお宅で、陸前高田市の北部の沿岸地域で、あたり一帯ほとんどの家が流失してしまっている状況の中で、少し高台のところにあった金野さんほか数軒が残っているという状況でした。
 最後のページの写真ですけれども、この手前に見えるのが金野さんのお宅で、その奥、2~3キロあるんですけれども、海岸線まで普通は見えてない状況なんですね。金野さんいわく、「これ、家がいっぱいあったんやけれども、それ全部流されてしもうた」と。それで、その奥にはもう海が見えてるだけというような状況になっているおうちでした。
 到着後、あいさつをして、すぐに使えなくなった家財道具の搬出など作業に取りかかりましたが、いかんせん、1人で運べるものは限られていて、なかなか作業もはかどらず申しわけないと思っていたところに、2人のボランティアが応援に駆けつけてくれて3人で作業を進め、何とかその日に予定していた作業を終わらせることができました。
 同じボランティアでお手伝いさせていただくにも、それぞれの地域で大きな差があることを実感しました。今回、被災地に入って本当に多くのことを学ばせていただいたと思います。
 東日本大震災の復興は、日本の挑戦だと思います。私たちの和歌山では、震災から時間が経過して、ややもするともう過去の出来事のように感じられている人も多いように思いますが、しかし被災地では今も多くの人が戦っています。これから息の長い持久戦となります。今後、和歌山県としてどういった貢献ができるのか、しっかりと腰を据えて考えていく必要があります。
 また、今回の震災で現地に入って実際に活動してみて、あすは我が身というのが現実だと改めて実感しました。東日本大震災をしっかりと我がものとして検証を行い、それを和歌山の防災にどうつなげていくのか、真剣な議論が必要です。和歌山県議会からも多くの先輩・同僚議員が現地に入り、貴重な情報を得ていますので、それを持ち寄り、英知を集めて和歌山の未来に備えることこそが、私たちの使命だと思います。
 そこで、今回は、私自身の体験を通して幾つかの質問並びに提言をさせていただきます。
 まず今回の東日本大震災に係る調査について、和歌山県として現状どういった調査を行ってきているか、また今回の大地震と大津波については多くの想定外があったと言われていますが、これまで和歌山で想定していた東南海・南海の大地震に係る被害予測と照らし合わせ、今後どういった見直しが必要と考えているか、危機管理監にお尋ねいたします。
 また、今回の東日本大震災を受けて、その被害状況の把握から本県のこれまでのハザードマップの見直しをどのように考えているか。4月21日に行われた定例の記者会見で、知事のほうから防災・減災対策の総点検を実施するといったことが発表されていますが、その中身についてお聞かせください。あわせて、新たに和歌山県民の皆さんにハザードマップを提示できる具体的な時期についてもお聞かせ願いたいと思います。
 続いて、災害情報の受発信環境の整備について。
 今回、現地に入って被災された皆さんからいろいろとお話を聞かせてもらう中で、災害時の情報が何にも増して大切なものだと何度も指摘されました。まさに情報こそが生死の分かれ目になる。地震発生直後、津波被害を最小限に抑えるのにも不可欠なものだったということですが、これからの和歌山県における防災で災害時における正確な情報を伝達するための環境整備は最重要課題だと思います。
 そこで、具体的な提案として、災害情報の戸別受信器、特に災害情報ラジオの整備をお願いしたいと思います。
 これは平成16年の12月定例議会で私自身、既に提言させていただいていますが、その整備自体はそれからそんなに進んでおりません。防災行政無線、その情報の受信体制として戸別受信器の整備は何にも増して進めなくてはならない取り組みであります。改めて提言させていただきます。
 今回、防災に係る政策について、もう一度しっかりと勉強し点検しようと幾つかの自治体へ調査に行っているところですが、その1つ、この6月7日、和歌山と同じく3連動の巨大地震への対策が進む静岡県庁を訪問し、防災に係る静岡の取り組みを勉強してまいりました。
 静岡県では、危機管理部の危機政策課の藤田和久さんと、同じく危機管理部防災通信課の稲葉清さんから静岡の取り組みをお話しいただいたのですが、その中で、静岡県総合情報ネットワーク、防災行政無線のシステムについてお話を伺いました。資料はちょっと席のほうに忘れてきたんですけれども、後ほどまた皆さんにも見てもらえればと思いますが、特にそこでは防災情報の活用の方法、中でも戸別受信器の重要性について説明を受け、今、静岡県では、その推進のため、新たに予算として大規模地震対策等総合支援事業費として戸別受信器の整備については補助金を出す制度をつくっているということでした。
 今回提言している戸別受信器は、当然地震災害に限ったものではなく、水害、土砂崩れなどの心配のある地域にも重要な取り組みとなります。防災対策の重要施策として、防災行政無線の戸別受信器の整備・推進を改めて提案しますが、危機管理監から御答弁をいただきたいと思います。
 次に、災害時における県民の避難場所の明確化とその避難先の事前把握について。
 どこにどれだけの人が避難して、何をどれぐらい必要としているか、被災者の把握は災害対応の第一歩となりますが、これには相当の労力が必要となります。今回の東日本大震災のときにも、県民の安否確認に膨大な労力がかけられ、しかしながら被害実態の把握に大変手間取る状況があり、行政対応に対する批判にもつながったと陸前高田の避難所でお聞きしました。できるだけ短い期間に県民の避難実態を把握するためには、事前の備えが重要となります。
 現在、和歌山県では、災害時にどういった避難行動をとるべきか日ごろから考えておいてもらおうと避難カードをつくり、県内全世帯に配布しています。非常によい取り組みだと思いますが、これをもう一工夫して、県民の皆さんの安否確認にも役立てるものとしていただきたいと思います。この避難カードで避難場所とともに県外の親戚など連絡のとれる身寄りなどを書き入れるようにして、それを地元の市町村で把握しておいてもらう、これだけで災害時に行方不明者を確認していく作業に大いに役立ちます。県としてこの避難カードをいざ災害が起こったときに県民の安否確認をするためのツールとしても役立てられるよう工夫していただきたいと思いますが、これも危機管理監から御答弁願います。
 次に、県の事業継続計画、いわゆるBCPの策定状況とその見直しについて。
 私自身、これまでの議会で何度かBCPの策定について具体的な提言を行ってきていますが、今回の大震災を受けて、全国の自治体でも業務の優先順位など特に見直しが必要とされるものが明らかになる中で、その修正に急ぎ着手している状況があります。今回の東日本大震災を受けて、県が策定してきているBCP(事業継続計画)の見直しをどのように考えているか。あわせて、市町村におけるBCPの策定状況と今後の対応についてお聞かせいただきたいと思います。
 続いて、県内の各市町村の災害対応として行政機能のバックアップ、県外の自治体と結ぶ災害時の相互応援協定の締結促進について。
 今回の東日本大震災では、陸前高田市などを初めとして多くの被災した市町村は、行政能力自体が著しく毀損される状況となっています。こういった状況では、さきにも触れたように復興プロセスにも大きな影響が出てきます。被災地にいかに早く行政能力を復活させられるかが非常に大切で、そのためには、みずからの力だけではなく、外部、他の自治体の協力を得られる体制づくりが重要となってきます。
 5月8日、東日本大震災を受けて、その復興をどうやって手助けできるか、大前研一氏の勉強会「一新塾」の呼びかけで、復興を早期に実現するためのパネルディスカッションが東京で行われました。パネラーは歴代の卒塾生が務め、政令市の全国最年少市長である熊谷俊人千葉市長、千葉県の秋山浩保柏市長などともに、私もパネラーとして参加させていただいてきましたが、そこでの議論として、行政機能の復活といったことが大きなテーマとして取り上げられ、自治体間の応援協定をできるだけ遠い地域の自治体と積極的に結び、いざ大きな被害があったときにはスムーズにバックアップする体制を確立するといったことについて議論が重ねられました。
 実際に、千葉市も柏市も市長が先頭となって被災地に入っていますが、改めて行政機能の回復の難しさを痛感したと話されていました。いざというときに備えて、これも日ごろからの準備が大切で、特に日常的に職員交流を促進し、相互の自治体間で親和性を高め、大きな被害があったときにはBCPなどから大量の職員に一気に入ってもらえるプランづくりを進めておくことが重要です。
 現在の県内の各市町村の対応状況を調べてみると、30市町村の中で被害時の応援協定を結べているのは13の市町であり、半数以上は何も対応できていない状況です。しかも、遠方の自治体と協定を結べているところはほとんどありません。これも県から早急に指導して、大きな災害が起きたときに同じく被災する心配のないできるだけ遠隔地で相互応援がしっかりとできる取り組みをぜひ進めていただきたいと思いますが、これも危機管理監から御答弁をお願いします。
 次に、県職員のボランティア参加について。
 今回の大震災は、被災地の実態を知る上で重要な機会となります。県民の生命、財産を守る行政職員として、できるだけ被災地に入り、その実態を見てくることが貴重な体験、行政職員としての財産となります。
 そこでお伺いしますが、現在の和歌山県職員のボランティア参加状況をお教えください。あわせて、特に担当課については、各ボランティアセンターを訪ねてそれぞれのよいところ、課題を調査していくことが重要だと考えますが、そういった取り組みについて環境生活部長からお考えをお聞かせください。
 また、ボランティアの受け入れに関しては社会福祉協議会が主体となっていますが、今回、被災地で社会福祉協議会と地元自治体、また県との関係についてなかなかかみ合っていないところも目につきました。社協との関係がうまくいかないと、ボランティアの受け入れ、ボランティアに活躍してもらうのにも大きな障害となります。また、今回の東日本の被災地では、さきに触れたようにボランティアの争奪戦から、それぞれの地域のボランティアの受け入れ状況にも大きな格差が生まれています。この問題を克服するためには、被災した当該の市町村の対応だけで任せておくのではなく、そこでは県が情報を集約し、まとめて発信していくといった仕組みづくりが不可欠となります。
 そこで、現状における県と社会福祉協議会との連携状況、あわせてボランティアを円滑に受け入れるための取り組みをどのように考えているか。また、県下の市町村の社会福祉協議会と県災害ボランティアセンターとの連携強化に向けた取り組みの考え、最後に県がコーディネーターとしてボランティア情報について情報の集約、発信を行っていく取り組みについて、環境生活部長からお考えをお聞かせください。
 続きまして、真の環境先進県を目指して、新たなエネルギー政策の積極的推進、自然エネルギーへの取り組みについて。
 和歌山県は、これまで、環境先進県となることを事あるごとにうたってきていますが、それを口先だけでなく今こそ実行していくときであり、思い切った取り組みが望まれます。
 このたびの東日本大震災、東京電力福島第1原子力発電所の事故により日本全体のエネルギー政策が根本から見直されるという大きな転機を迎え、日本政府においてもさまざまな局面で厳しい政治的決断が迫られる状況にあります。
 そういった中では、地方政府においても単なる傍観者ではなく、改めてこの機会をとらえて地域におけるエネルギー政策の思い切った決断、他の地方をリードして、できれば地域の浮揚策にも結びつけられるような取り組みが今求められます。
 今回の原発事故を受け、国内では原子力発電に関して先行きの見えない状況が続いています。これから数十年先を見据えて、少なくとも原子力発電の新増設は難しく、原子力発電のシェア拡大は望めない中で、今日の時点で原発を即時廃止するといったことは非現実的だとしても、新たなエネルギー戦略の構築こそが今急がれるものとなっています。
 これから我が国が目指すべきエネルギー政策、そのグランドデザインをどのように描くべきか。そこでは、さまざまな取り組みを組み合わせるベストミックスへの挑戦が必要とされます。今後は、自然エネルギーなどに代表される非化石エネルギーの最大限の導入と化石燃料の高度利用による発電事業といったベストミックスを確保することこそが重要となります。
 そんな中、今注目される再生可能エネルギーは、太陽光や風力、水力などの自然エネルギーをエネルギー源とするために対価なく無尽蔵に資源の利用が可能で、環境性にもすぐれるものとなっています。中でも、特に太陽光発電については住宅や事業所での導入量拡大が見込まれ、さらには産業経済の活性化、地域活性化にも大きく貢献することが期待されるなど、大きなポテンシャルを秘めています。
 自然エネルギー推進の先進大国であるドイツでも、今後の自然エネルギーの活用において、太陽光発電については最も力を入れるべき分野として、中央政府、地方政府ともにその導入促進、利用拡大、技術革新を後押ししています。ドイツの太陽光発電の総発電量は、2005年に日本を追い抜いてから世界でトップを維持し続け、2010年の発電量は1700万キロワットに達しています。ちなみに、福島第1原子力発電所の1号機から4号機までの発電量の総計は281万キロワットです。太陽光発電だけをとっても大きな発電力を誇っています。
 世界の小さな国ではなく、ドイツのような経済大国で既に太陽光と風力を合わせた自然エネルギーの発電量が国全体の10%にも達しており、これは注目に値し、今後の私たちの日本におけるエネルギー政策においてもまさしく手本となる取り組みとなっています。今後さらにドイツでは、新たな技術革新や大量普及により、世界全体の自然エネルギー推進の牽引車となることを目指すとしています。
 こういったさまざまな状況を踏まえて、今、日本においてエネルギー政策については大きな政治的決断のときが近づいています。これからの未来を生きる子供たちにどういった国を受け渡していくのか、そのためにも将来を見据えたエネルギー政策のぶれない方針こそが求められます。
 今回の原発事故を受けて、改めて太陽光発電やコージェネレーションシステムによる自家発電の有効性が見直され、今後日本全体において住宅や事業所などで多極分散、小規模分散型のエネルギー創出の取り組みが進み、大きな流れとして新エネルギーの導入が加速されることは間違いのない現実であり、そこでは地方政府の役割も決して小さなものではありません。自然エネルギーの普及には自治体側の行動も加速されていて、脱原発・太陽光推進を掲げて先ごろ当選した黒岩祐治神奈川県知事は、選挙後、神奈川県全域で自然エネルギー推進の政策を圧倒的なスピードで進めていきたいと抱負を述べ、改めて強い意向を表明しています。
 また、県内の浜岡原発が停止した川勝平太静岡県知事なども、「静岡は太陽に恵まれている。今後は自然エネルギーの導入を一気に進めたい」と、静岡独自の新たなエネルギー構想を提示していくとしています。
 そういった中で、今回、その神奈川県と静岡県を訪問し、それぞれの政策も勉強させていただいてきました。そういったものも踏まえて、幾つかの提言並びに質問をさせていただきます。
 まず、現在、原子力発電に対する不安が増大する中で、日本全体のエネルギー政策の抜本的な見直しも迫られる状況にありますが、これからの見直しについて、元経済産業省出身である仁坂知事はどのように考えておられるか、その所見をお聞かせください。
 また、先日、関西広域連合の会議において、ソフトバンク株式会社の孫正義社長がみずから乗り込み、自然エネルギーの促進策で持論を展開され、またそこでは仁坂知事とも個人的にもお話をされていたようですが、どういった提案をされ、知事はその提案をどのように受けとめているのか、また今後の具体的な取り組みについてどう考えているか、御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、和歌山県を含む関西広域連合が自然エネルギー協議会に参画するということで、この7月、正式に設立されるというアナウンスがされています。和歌山県も自然エネルギー協議会に参加する意向ということですが、その参加の意義、和歌山県としてのメリットをどのように考えているか。
 また、今、国においても自然エネルギーの導入について積極的な議論が進んでいるところですが、そういった状況を受けて私どもの和歌山県として、地域のブランド化といった観点からも自然エネルギーの活用、太陽光発電事業の積極的推進から、環境先進県への取り組みには非常に重要な取り組みだと考えております。新エネルギー政策推進に関する知事の考え、和歌山を新エネルギー先進地としていく意気込みについて御所見を伺いたいと思います。あわせて、和歌山県として太陽光発電に係る諸条件を検討して地域として推進する有効性をどのように評価するか、お聞かせください。
 最後になります。ブランド構築、環境先進県和歌山のイメージを発信するその端緒となる取り組みとして、太陽光発電普及を加速させる政策、和歌山新エネルギー創造・ソーラー推進プロジェクトについて。
 これ、お手元の資料でお配りしております。図入りで書いていますので、ちょっとまたごらんいただきながらお聞きいただきたいと思うんですが。
 今、国においてエネルギー政策全体が見直される転機にあり、そこでは地方政府においても思い切って今後国が進めるエネルギー政策を先取りして、和歌山としての独自性を出し、新たなエネルギー政策を戦略的に進めることができれば地域にとって大きなチャンス、和歌山の活性化にもつなげられる可能性があるのだと思います。
 仁坂知事も、和歌山県の「環境白書」において、世界に誇れるすばらしい自然を持つふるさと和歌山を次の世代に引き継ぐため行動を加速させなければならないとして、太陽光発電を初めとした自然エネルギーの導入促進を誓ってくれています。今こそ、その本気度が試されるときだと思います。
 そこで、具体的な提案として、お配りしているような提案なんですけれども、和歌山で新エネルギーを創造して、ソーラー発電の事業を一気に全国で先頭を切って進んでいけるようなプロジェクトの提案であります。
 今、新たに家を建てようとしている人のほとんどが、太陽光パネルの設置を検討しているといったアンケートがあります。環境への意識の高まりと、特に現在は原発事故から電力不足などによって、エネルギー、電力に関しての関心は非常に高いものとなっています。そこでは、ちょっとしたきっかけさえあれば太陽光パネルの設置が驚くほど加速され、成果の上がるタイミングだと思います。
 そもそも、余剰電力の買い取り制度ができてその買取価格が40円を超えてからは太陽光パネルを設置するデメリットはほとんどなく、ネックとなっているのは初期投資のコストをどうやって捻出できるかといったことぐらいがハードルとなっている状況です。お手元の資料で月々の支払いのモデルを見てもらうと、通常支払う光熱費に少しプラスした金額で設置できるわけで、県が最初の初期投資のお金を賄ってあげられれば問題がなくなります。
 さらに、太陽光パネルを一気に進めるためのインセンティブ、動機づけとして、できればこの制度をつくり、期限を決めて利用者の金利分を県が負担して金利ゼロとすることができれば、申し込みはさらに加速するものと思います。このスキームでは、そもそも県として基金となるお金を最初に用意するだけでそれが回っていくわけで、このスキームを例えば10年の制度として時限的に実施すれば、最後の10年目でこの制度を利用する方が最終に支払いを終える20年後にはその用意したお金は基金に基本的には戻ってくる仕組みです。最初に期限つきの金利を負担するだけが県の負担となるわけですので、ぜひこのフレームさえつくっていただければ多くの人に利用してもらえる提案だと思います。
 神奈川県でかながわソーラープロジェクトといったものが提案されていて、これは和歌山にも似通ったところがあるんですけれども、実は神奈川の提案と和歌山とは本質的に違い、神奈川とは違って和歌山の案が現実的に実現できる案であります。神奈川のモデルというのもお手元に配らしていただいておりますが、このスキームであれば今国会で準備されている再生可能エネルギー促進法がそもそも成立しないと実現しませんし、その法案も、現在具体的に検討も入っていない。一般世帯の全量買い取りが実現しなくては、この枠組み自体が成り立ちません。その上、民間の資本を出してくれるパートナーを見つけられるかといったところも難しい問題があり、それに比べ今回提案している和歌山モデルは、現状既にある諸施策の中で実現できるものですので、制度自体も極力シンプルな枠組みとしております。
 これが実現すると、全体の180万円の事業費に、全体10年間の、実際のソーラーパネル設置を私自身の試算としては5万個として、ネットでの事業費ベースで約900億の経済波及効果も考えられると期待しております。他の都道府県に先駆けて和歌山県が取り組むことで県内事業者の育成にもつながり、将来的には県外事業の獲得なども視野に入るなど、和歌山の事業者にとって大きなメリットがあります。他の都道府県に先駆け、ぜひ積極的に進めてもらいたいと思いますが、知事の所見をお聞かせいただきたいと思います。
 以上で、私の一般質問1問目を終了させていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(新島 雄君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 日本のエネルギー政策につきましては、東日本大震災を踏まえ、今まさに国レベルで新たな議論の時期にあるものと考えております。
 特に、我が国全体のエネルギー需給の見通しのもとに、従来の原子力と化石燃料に省エネルギーや再生可能エネルギーの導入を促進するなど、今後、国でさまざまな検討が行われた上で日本のエネルギー政策が見直されていくべきものだと思っております。しかし、若干、政府全体がどうなることやらというふうに思っておりますので、少し不透明であります。
 2番目は、孫社長の提案でございます。
 これにつきましては、委員会の席で孫社長から提案があったのは、昨日でございましたか、片桐議員の御質問にお答えしましたように、1つは協議会の設立、もう1つはプロジェクトとしてのメガソーラーの設置推進についてでありました。特に前者のほうが中心でありました。
 そのうち、まず御質問に従いましてプロジェクトにつきましては、本県はもともと日照時間にも恵まれ、メガソーラーに適した用地もありますので、孫社長の提言に賛同し、積極的にかかわってまいりたいと考えております。ただし、地域が取り組むメガソーラー事業については、ソフトバンク側から提示されている条件もあります。その条件は、ほかの民間企業や企業誘致に際して妨げとならないようなリーズナブルなものでなければなりません。そういう点から、本県としても合理的で参入しやすい条件を提示していただければ積極的に事業を推進してまいりたいと考えております。そういう条件を、リーズナブルにしてくれないと困りますよということを私は発言をしておきました。
 それから、その次の協議会のほうの話でございますが、これは自然エネルギーの普及促進を目的に設立を予定している協議会でございまして、本県においても自然エネルギーを普及拡大するさまざまな取り組みを推進しているところですけれども、この協議会に参画することで、自然エネルギーの普及をさらに加速させることが可能となると考えております。
 例えば、メガソーラー事業が成り立つためには、まず国で議論されている全量買い取り制度の確立が不可欠であります。しかも、事業採算がとれるような高い価格での買い取りが必要です。もちろん、その価格が電気料金にはね返ってくるという面もありますが、今の自然エネルギーを大事にしようという流れの中では、それを甘受しつつ賛成するということも必要ではないかと思っております。
 次に、送電線への接続の問題があります。せっかくメガソーラーを設置しても、それを電力会社の送電線に接続できなければ、あるいは接続に当たってさまざまな条件をつけられるようであれば、事業が困難になってまいります。
 3つ目として、農地に設置する際の農地法の制限といったさまざまな規制の緩和も必要になってまいります。こういうことについても検討していただく必要があります。
 このような課題に対して、自然エネルギー協議会に参加した自治体が一致団結して応援することで自然エネルギーの導入を促進してまいりたいと考えております。
 なお、現在30を超える道府県が協議会への参画を表明しており、今後、国への働きかけ等において大きな力になるものと考えております。
 4番目に、本県の新エネルギーの政策推進に係る私の考え、あるいは太陽光発電を地域として推進する有効性についてということでありますが、これについてもるる御説明申し上げておりますように、エネルギーの多様化を進めていくためには、地域に広く存在する自然エネルギーを活用した取り組みを積極的に推進していくべきだと考えております。
 特に本県は、日射量等の諸条件が近畿でも1、2を争う地域でありまして、太陽光発電を推進する地域としての特性は大いにあると考えております。
 次に、議員の提案であります。
 これについては、そのうちの初期負担なしで毎月の支払い額に売電収入や省エネによる経費節減分を充てる太陽光発電普及システムが必要であるという点については、私も同感であります。実は、もっと広く考えると、地球問題への解決に資するような具体的な方法として考えられないか、小宮山さんなんかとも話し合って、かねてより模索を続けているところであります。
 この考えを実現するためには、言えば済むというわけではございませんで、県費を投入すれば済むというわけではございません。10年にわたる長期スパンを見通して、県民の皆さんに利益を与え、かつ破綻を招かない事業スキームを構築しなければならなく、かつそのためには能力のある、事業に当たる民間企業を見つける必要もあります。そういう解決しなきゃならない課題がたくさんありまして、私も勉強を続けているところであります。
 しかしながら、太陽光発電を大量普及させる有効な手段、手法の1つであると思いますので、今後とも検討を続けてまいりたいと思います。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 東日本大震災を受けて、和歌山の震災対応について6点の御質問にお答えいたします。
 まず、東日本大震災の調査についてですが、県では、関西広域連合の取り組みの中で、発災後すぐの3月14日に大阪府とともに岩手県へ職員を派遣し、その後、4月1日からは岩手県現地事務所を立ち上げ、岩手県庁や関係機関との調整、現地状況調査などを行い、あわせて私を初め関係職員が出張するなど、被災状況の把握、支援ニーズの収集などに努めているところです。
 実際に、人的支援、物的支援、被災者の本県への受け入れなどを行う際には、岩手県庁と緊密な連携を保ちながら、被災自治体や各避難所へも直接赴くなどして十分な調整を図っているところです。こうした際には、把握できた課題、例えば避難行動や避難場所のあり方、市町村行政機能の確保といった課題につきましては、現在実施中の総点検の中に反映しているところであり、避難場所の見直しにつきましては、津波到達時間を考慮し、可能な範囲でより高く、より安全な避難場所へ避難するよう周知するほか、防災行政無線の浸水対策、電源確保等の取り組みを既に進めているところであります。
 次に、東南海・南海地震の被害想定及びハザードマップの見直しにつきましては、実際に被災地に立ち、安全と考えられていた防潮堤が倒壊している状況を目の当たりにして、これからの被害想定のあり方については、今回の東日本大震災による地震・津波被害の十分な分析が必要であると考えているところです。
 国では、東日本大震災の検証を踏まえて、東海・東南海・南海地震3連動の被害想定に着手し、平成24年度にかけて新たな被害想定の調査が行われると聞いております。
 県では、こうした国による調査結果を受けて被害想定を見直すこととしており、各市町村におけるハザードマップ等の作成ができるだけ早期に行えるよう、国に対して早急に策定するよう要望しているところでございます。
 次に、防災情報の戸別受信器の整備推進につきましては、議員御指摘のとおり、災害情報の伝達手段として市町村が設置運用している防災行政無線は、極めて有効かつ重要なものであると考えております。また、戸別受信器や防災ラジオについては、より効果的に災害情報を伝えることができるものとして、県内市町村で約4万4000台が、主に屋外スピーカーの聞こえない地域の世帯や社会福祉施設、防災拠点、避難施設等に設置されております。
 県といたしましても、多様な情報伝達手段の確保について、市町村と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、県民の避難場所の明確化とその事前把握につきましては、現在、防災・減災対策の総点検の中で避難場所の見直しを行っているところであり、また、県民1人1人にその避難場所を自覚していただくよう、市町村から全世帯に避難カードを配布することとしております。その際、あらかじめ地区ごとに作成する避難所、緊急避難先の一覧表の中から住民の方が選択し、記載していただくことを考えております。よって、地区ごとの避難先はおおむね事前把握することができるものと考えております。
 次に、本県のBCP(事業継続計画)の策定状況とその見直しにつきましては、県では災害対策本部応急対応マニュアルを策定し、発災直後の優先業務について定めているところであり、今回の東日本大震災の被害状況を踏まえて、通常業務も含めた業務継続計画の見直しを行うこととしております。また、市町村が行政機能を喪失した場合への対応が極めて重要な課題であると認識しております。
 現在、BCPを策定している市町村はありませんが、今後、国が示している手引などに基づき策定を進めるよう、県としても努めてまいります。
 最後に、県内市町村の災害時の相互応援協定の締結状況につきましては、県内では13の市町が県外市町との相互応援協定を締結しており、主に物資、資機材、車両等の提供や職員の派遣等について定められております。東日本大震災によって行政機能が喪失している市町村の現状を踏まえると、東海・東南海・南海地震の発生に備え、遠隔地の市町村との相互応援協定は、応援元を多く確保しておく観点からも意義のあることと考えております。また、同種の事務、同種の職種による応援活動によって、応急対策、復旧・復興対策が迅速かつ適切に遂行されるものと期待できます。
 県といたしましても、こうした協定の締結がさらに進むよう、さまざまな情報提供や助言などに努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) まず、東日本大震災を受けての県職員のボランティア参加状況と現地ボランティアセンターの調査についてでございます。
 被災地支援におけるボランティアの果たす役割は非常に重要であり、今回の震災においてもボランティアの活動が連日報道されています。本県におきましても、被災地支援のため、救助活動や物資集積場の運営、健康医療活動や医療援助等に多数の職員が従事してきたところです。
 県職員のボランティアについては、個人で参加しているボランティアの人数は把握しておりませんが、県と県社会福祉協議会が運行している災害ボランティアバスに県職員が毎回添乗しており、現地でのボランティア活動の実態やボランティアセンターの運営方法等について情報収集を行い、課題等の把握に努めているところです。
 また、ボランティア休暇の取得については、毎年庁内に周知していることに加え、今回の東日本大震災に係るボランティア休暇に関しましては、取得日数の増加を人事委員会に依頼しているところであります。
 次に、県と社会福祉協議会との連携状況についてでございます。
 平成20年10月、和歌山県社会福祉協議会内に常設で和歌山県災害ボランティアセンターを設置し、県災害対策本部と一体的に活動し、災害ボランティア活動に係る情報受発信や市町村災害ボランティアセンターの後方支援等業務を行うこととなっています。
 議員御指摘のとおり、県災害ボランティアセンターと市町村災害ボランティアセンターが連携し、情報共有等を行うことが円滑なボランティア活動に結びつくと認識しているところでございます。
 県としましても、各市町村に災害ボランティアセンターの重要性をさらに周知するとともに、現在、県災害ボランティアセンターで行っている災害ボランティアコーディネーター等支援者養成研修事業等の充実を図り、県災害ボランティアセンターと関係機関のネットワーク強化を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 残時間8秒ですが、再質問なさいますか。
  〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 8秒以内でお願いいたします。
 39番山下大輔君。
○山下大輔君 2点だけお願いいたします。
 戸別受信器について、再度また御検討いただきたい。
 それと、知事に、最後のソーラープロジェクト。
 これ、今言われた、もう一回ちょっと枠を見てもらいたいんですけれども、県のお金だけじゃなくて地元金融機関の協力も得て対応できることも検討したフレームですんで、一度本当に考えてください。スピードが勝負で、和歌山が本当にここからまた活性化できる起爆剤になると思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上、終了いたします。
○議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。ややオーバーしたことをお忘れなく。

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