平成23年6月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(立谷誠一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番立谷誠一君。
  〔立谷誠一君、登壇〕(拍手)
○立谷誠一君 おはようございます。
 さきの統一地方選挙で、西牟婁郡選挙区より選出をいただきました立谷です。どうぞよろしくお願いいたします。議員の皆さん方には、今後とも御厚情、御指導賜りますようお願いを申し上げます。
 また、今回、早速この一般質問の壇上へ立たせていただきましたこと、議長、それから先輩の議員の皆さん方、そして関係者の皆さん方に深く感謝と御礼を申し上げたいと思います。今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、6月21日より始まった一般質問で登壇されました各議員の皆さん方が述べられておられましたが、去る3月11日に発生をいたしました東日本大地震とそれに伴い発生した巨大津波により、多くの方々の生命と財産が奪われてしまいました。改めて、御冥福と復興の一日も早からんことを祈念を申し上げるところでございます。
 それでは、本題に入らせていただきたいと思います。
 まず1点目ですが、過日国より発表のありました今後25年後の和歌山県人口の予測数値に関してでございます。
 発表によりますと、今後四半世紀で約27万人の減少になるとのことでありました。27万人とは、和歌山県土に置きかえてみますとどんなにすごい数字であるかがよくわかります。何と由良町、日高町、それから御坊市から南の地方、田辺市や新宮市まですべての市町村の全人口に匹敵した数になります。由良町から南の市町村の人々がすべていなくなった数字なのです。直近の県民人口は約99万人ですから減少率は27%で、約3割近いものでございます。この数字を日本国民1億2800万人に掛けてみますと、約3400万人がわずか25年で減少していくことになりますが、さすがに日本全体の減少数としてはそうはならないようでございます。
 しかし、残念ながら、我が県の減少率が際立って大きいのです。その原因として、少子高齢化が進んでいる上に、過疎がとまっていないことにあるのではないかと考えます。では、少子高齢化はとめられないとしても、なぜ他府県への人口の流出がとまらないのか。
 過疎がとまらない原因として考えられることの1つに、県民にとって重要な産業である第1次産業をなりわいとして生活を続ける農林水産業の生活実態は大変厳しく、梅やミカン、ジャバラなどごく一部のかんきつ類を除けば閉塞感に満ちあふれてございます。
 その原因の1つに、近年の鳥獣害被害があります。シカやイノシシ対策として田や畑に2メートル以上の電気さくやネットを張りめぐらし、近年は猿対策としてその上にネットをかぶせるという状況にあります。しかし、地元の人に聞けば、それでも網を破って入ってくると言われています。農林業を営む皆さんに万里の長城のようなどこまでも続くかのようなネットを張らせてまで農林業を守らせている現状は、全く気の毒なほどひどいものであると言わざるを得ません。農家の皆さんの耕作意欲は年々低下し、やる気を奪われてしまったその結果として、耕作放棄地が広がってございます。さらに、高速道路や県道や各市町村道の整備のおくれが企業進出や企業創業の回避につながり、新しい時代の若者の望む仕事ができてこないことなども理由として考えられています。
 ところで、我が国はさきの大戦で多くの戦死者を出すとともに、国土は焦土と化したと言われるほど、工場や家屋敷など、すべてのものを失いました。そして、終戦後、何もない状態から生活がスタートしましたが、戦後の国民の頑張りによる発展は、諸外国からは東洋の奇跡とまで言われ、世界で2番目の経済大国に上り詰めました。
 この東洋の奇跡を引き起こした経済発展の要因の1つに、終戦時7200万人と言われた日本国の人口が戦後の60年余りで5600万人余りも増加いたしました。この人口の膨張が経済発展を押し上げた大きな要因の1つであったと考えられています。
 その人口が、和歌山県では今後わずか25年ほどの間に30%近くも減少するというのです。このことは和歌山県にとって危機的な現象を引き起こすであろうことが予想され、今後、「和歌山県の発展」などという表現はもはや使えなくなる日が来ると考えます。9200億円と膨らんだ公債費残高の返済1つとってみましても、残された70万人が返済しなければならないとすれば、負担率は1.3倍に増加することになります。いずれにしても、年々県の力が低下し、夢や希望が縮小していくと思われます。ますます次の時代にとって県土の魅力が小さくなり、都市への移住を加速させてしまうという悪循環がとまらないであろうことを心配いたします。
 そこで、和歌山県の25年後の姿をどうとらえ、どのように考えておられるのか、お伺いをいたしたいと思います。
 次に、去る3月11日に発生した東日本大地震で学習しておかなければならないことについてでございます。
 私は、白浜町長時代、防災計画の策定と防災マップの作成を急がせ、進めてまいりました。そして、津波避難困難地域と位置づけられた箇所には防災タワーを建設し、3階以上の建物を所有している施設には緊急時の避難場所としての使用許可のお願いなどを進めるとともに、消防庁舎は空港近くの高台に建設し、田園地帯の平野部には近くの山の上に津波等の災害から住民の命を守るための3000人以上収容可能な避難基地の建設などの提案を進めてまいりましたが、理解者を広めるには大きなエネルギーが要りました。
 その理由の1つとして、近く発生すると言われている南海・東南海地震に対する受けとめ方にやはり大きな幅があったと考えます。例えば津波の高さは、国や県の提示の高さとしては4メートルから5メートルとの予想値でありますので、住民感情としては低いほうの4メートルぐらいを意識してしまっていることにあります。
 その県の方針を踏まえて白浜町内にも津波タワーを設置いたしましたが、去る3月11日の東日本大地震の後発生した巨大津波を見せつけられた後の県民の意識は、大きく変化したと感じます。「怖くて津波避難タワーにはもうよう行かん」と言われるようになりました。
 津波避難地域の防災マップも疑問符がついています。作成されている津波浸水地域よりももっともっと広範囲の地域が水浸しになるのではと県民は考え始め、それを踏まえた施策も求められており、県民の不安解消を進める上からも県の被害想定の見直し作業に早急に着手すべきであると考えますが、県当局のお考えをお伺いいたします。
 次に、災害ボランティアと言われる、災害発生後、被災地の復旧のためボランティアで応援に来てくれる応援団の皆さん方の有効的な活用策について、お考えをお伺いを申し上げます。
 地球上で発生する自然災害の約2割は日本で発生しているというデータがあるほど、日本は災害大国でもございます。地震、津波、火山噴火、台風に伴う大風や大雨による倒木や河川はんらんによる洪水、さらに近年は、前線の発達により局地的に発生する集中豪雨、熱帯夜、竜巻、ひょうなどなど、本当にありとあらゆる災害が発生し続けているのでございます。
 こうした災害は、マスコミの発達した今日、瞬時に全国民が知るところとなり、善意の思いが高じて被災地の一日も早い復興を応援したいとの思いで、ボランティアという自発的な協力者が被災地に殺到をいたします。しかし、殺到したボランティアの皆さん方と被災地の状況はどうかと申し上げれば、必ずしもボランティアの皆さんの意思や気持ちが被災地へ十分伝わっていないのではと考えています。
 首長時代の話ですが、例えばこんな話を地元の首長より聞かされました。「ボランティアなんかもう要らん。邪魔になる」、「マスコミもうるさくてかなわん」、その他、送られてくる救援物資についても厳しい意見をもらいました。しかし、大きな災害に遭遇し、極限状態に押し込められた者しかわからない、遭遇した者だからこそ言えることで、大変勉強になる内容でもございました。
 今回の東日本大震災でも、報道によりますと、例えばゴールデンウイーク前には「ボランティアが一度にたくさん来られても困る」となっていたが、ゴールデンウイークを過ぎるころからは「ボランティアが急に減り、困っている」とのことになりました。あれだけ広範囲で驚愕するほどの被害が発生しており、手伝ってほしい仕事は山のようにあるはずだが、それをうまく取り入れてコントロールする側の能力が下回り、機能不全を起こしていると感じている次第でございます。
 ボランティアのあり方に不足を言うのではなく、平素からすべてのボランティアを使いこなす知力と能力を研究し、用意をしておくべきであると考えます。そして、一日も早い被害の回復につなげることこそが大変重要で、ボランティアの皆さんのマンパワーを災害復旧活動にうまく取り入れることにより被災地域の一日も早い復興へつなげることができると考えますが、県当局のボランティアに対するとらまえ方の現状とお考えをお聞かせください。
 最後に、高齢者福祉についてお尋ねいたします。
 和歌山県の高齢化は、思いのほかハイピッチで進んでおり、特に農林水産業をなりわいとする山間部や漁村では30%から40%を超す状況にあり、ある意味、高齢化の先進地でもございます。今日の我々の県の苦悩は、10年後、20年後、大都市でも顕在化していくことが確実な情勢であり、我が県の取り組みは後に続く都道府県の道しるべともなると考えます。
 長年、社会福祉、高齢者福祉を見続けてきました者の1人として、きょうはぜひ改善策を考えてほしい事柄を、今回2点にのみ絞って見解をお尋ねいたします。
 まず1点目に認知症についてでございますが、認知症を患った方で、早い方は40代後半で発症した方がおられましたが、おおむね70~80歳代以降の年齢になると発症率は高くなってくるようでございます。今回は、その中でも発症初期の対応についてでございます。
 きちんとした行動や考えができるときと、少しおかしいと感じるときが入り混じっている時期でございます。私は、この時期が一番重要で、危険であり心配だと考えています。ある日突然変わったことを言い出したり、つじつまの合わないことをしてみたり、その行動や言動で周囲の者が驚き、不信感を持ったり注意したり、あるいはけんかが始まったりいたします。アドバイスをしようにも、そのタイミングや話し方、話す内容など、本当に難しさを覚えます。警察署へ通い始めたり、役場や銀行の窓口へ行きつじつまの合わないことを言い始めたり、不可解なことが少しずつ広がります。しかし、言っていることだけ聞いていると筋が通っている場合もたくさんございます。日時の経過とともに、確実に周囲の負担はふえていきます。そして、大きなトラブルに発展する場合もございます。そこに目をつけたかのように、悪徳商行為の犠牲になったりしてしまいます。
 こうした初期の場合、社会全体で見守る仕組みが、個人情報の視点であったり、個人の尊厳の問題であったり、プライバシーの壁であったり、家族の問題があったりで、なかなか本当の解決・対応策が難しく、交通事故に遭わないように、火災を起こさないようにと願いながら、本人とそして周りの方々の安全を心配してしまいます。
 こうした軽度の認知機能の低下の時期は、市町村の対応窓口である包括支援センターでも扱いは大変難しく、対応に苦慮しているというのが現状でございます。もっともっと精度の高い優しさで見守ることができる制度や仕組みを考えてほしいと願っていますが、県の認知症対策についてお伺いをいたします。
 2点目に、老人ホームへの入所希望者がなかなかその希望がかなわない現状についてでございます。
 行政課題が多い中、各種の県民福祉の向上のため努力を重ねていただいていますこと、県民の1人としてその努力を評価するところですが、西牟婁地方の高齢者福祉の現状を申し上げますと、特別養護老人ホームへの入所希望者が減少せず、高どまり状態が続いてございます。
 こうした場合、当事者本人はもちろんのこと、当該家族を含め周囲の多くの方々が、一日千秋の思いでただ待ち続けなければなりません。もちろん、介護度が高くなっても、家庭での生活が心身ともに一番落ちつきます。しかし、寝たきりあるいはそれに近い状態が長くなると、家庭でのマンパワーが弱い場合、介護疲れ状態となり、家族ともども倒れてしまわないかと心配をされているところでございます。
 それにしましても、同じ介護保険料を支払っているにもかかわらず、特別養護老人ホームに入所できる方とできない方があるというのが現実です。介護保険法のその目的、趣旨に照らせば、皆ひとしく人としての尊厳を保持する権利があります。超高齢化時代に突入している我が県において、今後の特別養護老人ホームのベッド数に関する方針と、現在の待機者の推移と入所決定に至る仕組みをお聞かせいただきたいと思います。
 最後に、7427──これはきょう現在の行方不明者の数字でございます。捜索活動が続いています。関係者の皆さんに、その御苦労に心より感謝の思いを申し上げ、御家族の皆様が一日も早く発見され、平穏な日々を取り戻されますよう祈念を申し上げまして、第1回目の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○議長(新島 雄君) ただいまの立谷誠一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 本県の人口推移についての御質問にお答え申し上げたいと思います。
 平成17年当時の過去の趨勢に基づいた国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、本県の人口は、平成29年に92万8000人、平成47年に73万8000人と大変厳しいものとなっております。和歌山県の人口減は若年層の県外流出が社会減を招き、ひいては高齢化の進展と出生率の低下が起こって自然減を招いた、こういうような結果であるというのは明らかであります。
 将来人口の推計は、過去のこういうトレンドを一定の計算式で延長して計算をするということでございますので、こういうことになっているわけです。少なくともしばらくは高齢化が進んでおりますから、人口は減少し続けると思います。しかし、人口減少の程度は、政策と県民の努力によりまして改善することも可能であるし、またそれがうまくいきませんともっと悪くなるということも考えられます。
 本県では長期総合計画を策定いたしましたが、これに基づきあらゆる施策を講じ、県民の方々も力を合わせて頑張っていただければ、平成29年の人口を国の推計より5万人多い97万5000人にとどめるようにしようじゃないかということで計画をつくっております。
 現状では、社会減対策として企業誘致や産業振興、移住交流の推進などさまざまな施策を展開して働く場所をふやしてきた、そういう結果、年間5000人台であった社会減を2000人台までに改善することができましたが、今後より一層努力を行うということによりまして、できれば社会増に転換し、同時に自然減対策として子育て世代の経済的負担の軽減や子育てと仕事の両立などを通じ子育て環境No.1わかやまを実現することにより自然減を食いとめ、長計の目標達成はおろか、それを上回るように努力していきたい、そんなふうに思っておる次第でございます。
○議長(新島 雄君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 防災対策についてのうち、県の被害想定の見直しについてお答え申し上げます。
 現在、国の中央防災会議において東日本大震災を検証し、地震動推定、被害想定のあり方が見直されており、東海・東南海・南海地震3連動の被害想定についても検討されているところであります。
 県では、こうした国による調査の結果を受けて被害想定の見直しを実施することとしており、その作業に少しでも早く着手できるよう、3連動の被害想定を早急に策定するよう国に対して要望をしているところであります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 災害ボランティアの有効的な活用策につきましてお答えいたします。
 ボランティアの受け入れについては、和歌山県地域防災計画の中で、防災ボランティアや被災地生活支援NPOの募集・登録とともに、御質問の一般ボランティアの活動環境の整備が定められており、県社会福祉協議会に常設の和歌山県災害ボランティアセンターにおいて受け入れ体制を整えることとなっております。
 議員御指摘のように、ボランティアの方々に気持ちよく活動していただくための体制整備に当たっては、多数のボランティアを円滑に受け入れ、その能力を最大限に発揮していただくためのマニュアルの整備や、被災地域の作業内容等をコーディネートする人材の養成が重要であると考えております。
 県社会福祉協議会では、既に「災害救援ボランティアセンター運営設置の手引き」を作成し、被災時におけるボランティアの受け入れ方法、市町村災害ボランティアセンターに対する後方支援などを詳細に定めているところです。
 しかしながら、今回の東日本大震災により総点検が必要なため、ボランティア活動に関するさまざまな課題について検討、整理した上でマニュアルの内容を充実させ、より実践的なものに仕上げていくことが肝要であると考えております。
 また、あわせて県災害ボランティアセンターの研修等を充実することで、コーディネーターとしての人材の養成や確保にも努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(新島 雄君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 高齢者福祉についてお答えをいたします。
 まず、認知機能の低下した高齢者の権利擁護についてでございますが、認知・痴呆対策については、認知症の方が住みなれた地域の中で尊厳を持って生活が続けられるよう、本人や家族への地域での総合的支援体制の構築に取り組んでいるところです。
 認知症対策においては、特に予防と早期発見が重要であり、これまで県立医科大学との協働による認知症予防教室のプログラム開発、市町村での認知症予防教室の開催、県医師会の協力による認知症の早期発見に向けたかかりつけ医の研修や地域包括支援センターを中心とした相談体制など、医療と介護が連携し、地域での予防と早期発見の仕組みづくりに取り組んできたところですが、議員御指摘のとおり、認知症初期段階において、認知機能は低下しているが日常生活は支障なく保たれているため本人に自覚症状がない段階があり、特にひとり暮らしの高齢者において周囲が対応に苦慮するという状況があります。
 県としましては、こうした判断能力が不十分なことにより日常生活に不安のある高齢者を支援するため、日常生活自立支援事業や成年後見制度の周知・普及を図るとともに、地域の関係者のネットワークによる支援の仕組みについて検討してまいります。
 次に、特別養護老人ホームへの入所待機者についてですが、特別養護老人ホームの整備に当たっては、わかやま長寿プラン2009に基づく計画的な整備を進めるとともに、国の経済対策に基づく介護基盤の緊急整備分を上乗せし、積極的に整備を進めております。平成21年度から23年度までの3年間の整備目標719床に対し、平成22年度末で412床を整備し、進捗率は52.8%となっております。また、今年度は416床を整備する計画ですので、これにより3年間の整備総数は828床となり、計画数を109床上回るペースで整備を進めております。
 次に、特別養護老人ホームの入所を希望する在宅の待機者数は、平成23年3月末現在で2824人であり、前年に比べて51人減少しましたが、ほぼ横ばいの状態で推移しております。介護保険制度の始まった翌年の平成13年には1221人でありましたので、この10年間で待機者数は約2倍に増加しております。
 待機者の解消のための大幅な整備の促進は介護保険料の急激な上昇を招くため、計画的に整備を進めていくことが必要であり、あわせて早期に入所が必要な待機者への配慮も重要であると考えております。
 このため、県では特別養護老人ホームの入所に関する指針を策定し、必要性の高い方から優先的に入所できるように指導してきたところです。具体的には、各施設に入所検討委員会を設置し、要介護度、認知の程度、介護者の有無、在宅サービスの利用率などの基準を総合的に勘案し、入所順位を決定することとしております。
 平成24年度以降の整備につきましても、各市町村と協議しながら、新たに策定を予定しているわかやま長寿プラン2012に基づき、引き続き計画的、積極的に整備を進めてまいります。
○議長(新島 雄君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(新島 雄君) 再質問を許します。
 2番立谷誠一君。
○立谷誠一君 後先になるんですが、答弁をいただいたことでちょっとお願いと感想を申し上げさせていただいて、ひとつ提言と要望もございますので、お願いいたします。
 まず、和歌山県の25年後の姿についてですが、これ実はよう考えたら25年後ぐらいに27%も、3割近くも減るって、そこまで──しかし、努力によって、できるだけそういうような数字に近づかないように努力していただくというのは非常に重要なことで、また少子高齢化の時代にさお差していくというようなことなんかもなかなか難しいことで、そうした中で県土を守っていただく、我々の文化的な生活を守ろうとすれば、一定数のこうした県民の人口というのは1つの指標としても重要かなと思うんですが、ちょっと考えておかなきゃならないことは、25年でとまる話じゃなくて、26年、27年、28年って下がり続けていくということに大きな問題があるんではないかと。トータルで、これやっぱり我々県民の本当に総力を挙げて、議員さん方、もちろん行政の皆さん方を含め、本当に人ごと話じゃなくて、これ、大変なこと起こるぞ、このぐらいの気迫と覚悟で、今からでもええから全県民にお願いをして、そうしたよりよい知恵をいただいて県土を守っていただきたい、そんなふうに思います。
 もう2~3カ月前ですが、すさみ町という町がありまして、そこで──ちょうど選挙のさなかでもありましたので、その記事を詳しく読んではいない。斜め読み状態なんですが──どちらかというと山間に近い状態で、海岸べりではありませんでしたが、2000年も前の生活痕の道具が出てきたという報道がありました。何と、2000年前にもうそこに生活が始まってる。2000年後の今日も4600人になんなんとする方々がおられるんですが、これからわずか25年で恐らく3分の1前後になるであろう、そのまた25年先あたりはもうひょっとしたら人おらんかもわからん、そのぐらい急激な減少が起こってる。
 2000年たって重ねてきた、延々と積み上げた生活が、わずか25年あるいは半世紀あたりでその地域がなくなっていくであろうというようなことというのは、大変つらいことでもあり、この間に、本当に地域の皆さん方の生活が文化となり、たくさんのすばらしいものを先人の皆さん方が残していただきました。これが簡単に、わずか25年や50年で消滅していくというのはほんまに耐えられない、そんな思いでもございます。やはりきょうここに御参会の皆さん方のお力を、ぜひこうした問題に対して真剣な取り組みをいただきたいなというふうに思います。
 それから、これは要望なんですが、鳥獣害被害についてもちょっと触れさせていただきたいと思います。
 本当に山間部に生活する──最近は海岸沿いでもそうです。きょうもこの席に立たせていただくまでの間に、先輩の議員の皆さんのお話を聞いてたら、家の横は海なんやて。家の前の海のとこまでシカが来てる。異常事態だというふうに感覚として考えていただきたいと思うんです。30~40年前は少なくとも──ああした農家の皆さん方が田んぼを囲い込んでしまう、そこへ電気さくを入れてる、まだそれだけでだめで、その上へさく、猿が来るからって上にまで囲い込んでる。いつぞやこんなこと、見たことないです。特にここ数年はひどいもので、やはり農家の皆さん方に伸び伸びと生活できる、伸び伸びと農作業をさしてあげられる環境を整えてあげてほしい。
 これは、農家の皆さん方がイノシシやシカ、猿を繁殖したわけではないわけです。何か問題が起こっているからだと思うんです。この問題をいろいろ考え合わせたら、やっぱり国の国策にまで原点が戻っていくようにも思うんです。国策の失敗でこうした事態が起こっていないかと思えてなりません。
 私は、シカやイノシシ、猿を駆逐せえという考え方を持ってるわけではないんです。わずか30~40年前はこんな事態ではなかった。今までどおり伸び伸びと農作業ができる環境に早くしてあげてほしい。やっぱり難儀を解決するのが我々政治の仕事でもあろうかと思うんです。
 そうした皆さん方がすごく真剣に考えておられますので、もう少し──蛇足ですが、農家の皆さんって年に一遍しか給料ないんです。年に1度なんです。少なくとも私も含めてここに出席させてもうた者は、30日に1回ずつ給料をもらえるんです。その1年に一遍の給料をもらえるときに、かっさらわれていくわけですよ。どんだけ苦しい思いを、どんだけ悔しい思いをされているかということをやはり共有させてほしいな、そんなふうに思うところです。
 法律もありますので、なかなか簡単にいくことではないと思うんですが、やっぱりそういう皆さん方の思いを共有させていただいて、我々も頑張ってる、だけど農家の皆さんももう少し辛抱してな、いずれ近い日にこうした農家の皆さん方に無理な過重な負担をかけるようなことから解放させていただく、その方向性で努力をしているんやと、そういう言葉の発信をしてあげればどれほど心が落ちつくか、これからも頑張っていこう、そういう気持ちを持っていただけるかと、そんなふうに思う次第でございます。
 それから、この災害の想定の見直し作業に着手してほしいと言うた事柄で、1~2点、ちょっと私も変わり者のとこありますので、お笑いいただきながらちょっと聞いていただきたいんですが、まず1つお願いというか、提言をさせていただきたいと思います。
 もう5~6年前なんですが、白浜空港からヘリコプターを飛ばしていただきました。私たちが望んだわけではないんですが、そういう段取りをいただきまして、初めてヘリコプターに乗りまして、それは国道42号線を串本あたりまでずっと見たんです。よくわかりました。何がどんなになってるかということが。やはり車走ってると、ついその幅間隔とか、どういう状況の地形であるかわかりにくいんです。
 それで、きょうは1つの提言ですが、きょう御参会の幹部の皆さん方、それからここに御出席をいただいております議員の皆さん方に、ぜひ一度、和歌山県下全域を紀北から南まで、特に今回災害という大きなテーマの中での問題解決をする意味では、やっぱり現場をよく知ってるということが一番重要な近道だと思うんです。見ていただいたらわかると思います。私は、あのときの受けたショックというか、感動を忘れられません。やはりこれは少し費用も要るかわかりませんが、一度御検討いただけたらなと。
 やはり我々は、県民の皆さん方の生命、財産を守るために、何がどういうことになってるんかということを、やっぱり百聞は一見にしかずです。目に見ていただけるとよくわかることがたくさんあると思いますので、一度御検討いただけないかと思います。
 それから、ハード面での堤防のことなんですが、これもひとつ聞いていただきたいと思います。あれがあの津波という水でひっくり返ってしまっている、破壊され続けてる。これだけ日本が土木工学、世界に冠たる土木工学やと言われてたことを信じ続けておりました。たった水の──「たった水の」という言い方がいいかどうかわかりませんが、水の一撃でひっくり返ってしまった。やはりこれは、我々の土木工学は世界一と言われてる中においても、まだまだ自然災害との中で改善していく必要性のある事柄が多いんではないかなと。やはり堤防が、地域の皆さん方の、今回でしたら仙台あるいは東日本の周辺の皆さん方の命を救っている側面もある。あの堤防があったからこの被害でおさまった、そういう側面もありますので、もう堤防なんかしたって意味ないなという話に直結するんではなくて、堤防がひっくり返ってしもうた、これにはやっぱり科学的理由と原因があると思うんです。そうしたこともぜひ検証作業を進めていただきたいなと思います。
 それから、もう1点です。知事のほうからも、今回の災害に際して大勢の職員の皆さん方の派遣をいただいている、大変ありがたい、そういうお話も聞かせていただきました。
 そこで、1つお願いなんです。ぜひ若い職員の皆さん方を中心に派遣をしてほしいな。もう5年、10年で退職される方々よりは、次の時代の方々。次の時代の方々に体で見ておいてもらう。次に来るのは30年、40年です。そのときにやっぱり見聞をした者がおらないというのは、力としては弱いんじゃないかと思います。やはり体で見た方々をこれからも育てて、これからの施策に反映させてもらう、次の世代の皆さん方を育てていくということも1つの視点ではないかと思うところでございます。
 それから、昨日でしたか、教育長の答弁の中で、子供さん方の教育の部分で、大川という小学校でしたか、あの場所も私も見てまいりました。いや、何でこんなところに小学校つくってたんやろかと思いました。それは、旧北上川という川の、しかも河口の近くに建設されてたんです。平素は何ともなかったんだろうと思うんですけど、ここにつくる必要性あったかな。近くに山があるのに。本当にあそこで大勢の皆さんが亡くなりました。
 「とにかく逃げる」ということでありましたけども、この「とにかく逃げる」、その視点で一度和歌山県下で低地にある学校、特に保育園、幼稚園、小学校のレベルの、まだまだ自分の判断と能力、体力で逃げ切れない、そういう学校というのは今回見直しもいただくので、私は最低10メートル以下にそういう学校がつくっておられるというところが一体全体県下にどれだけあるんかな。また、この学校の建てかえの折には、そうした視点を含めて、子供たちがとにかく慌てて逃げなあかんねっていうことだけの教育ではなくて、我々サイドがそうしたことの回避策を考える必要という意味からも、一体どんだけあるんかな。きょうは突然の質問ですので、おわかりになりにくいと思いますので、また後日教えていただければなと思います。
 最後にですけども、あそこの現場に行かせてもうていろいろ話ししたら、もう逃げるのあきらめた人が結構あったわけです。「逃げるのあきらめた。もういいよここで」って。あるとき新聞にも載っていましたけど、若い娘さんとおばあちゃんが逃げてて、走ってるんですよね。だけど、10メートルや20メートル走ってるんじゃないんです。何百メートルと走らなならん。当然、70、80、90のおばあちゃんがそんなに走れるわけないです。「もうここでええ」って言うたらしいです。「もうここでええ」、それが命の分かれ目になりまして、若い娘さんは置いて走っていったんで命助かりましたけど、「もうここでええ」って言って置いてしまったおばあちゃんは亡くなってしまいました。そのことをすごく後悔してるかのような記事を読んで、もう泣いてしまいました。
 ここで1つのお願いなんですが、こういう発想はだめだろうかというのです。本当に逃げられない人、たくさんあります。年いってきましたら足腰、特にひざが悪くて、30メートルやそこら行こらというお話は行くかもわかりませんが、あの山まで300メートル、500メートル全力疾走やでって、そんな話ができることないと思うんです。そうした方々の命を助ける側面で、例えばですけど、津波避難シェルターというのはどうやろかと。もう逃げていくというよりは、あれ、津波が5時間も6時間も水没させてる状態ではないと思うんです。ひょっとしたら数十分、長くても1時間前後、そんなもんかな。そしたら津波の避難シェルターみたいなことが考えられないか。そこにおじいちゃん、おばあちゃん、ここで入ってもらうことによって命を助けられるということにはならないか。放射能から逃げる、核戦争から核シェルターというのはありますけど、何か一遍考えてみてください。これが現実的なものかはさておいて、本当に真剣に考えていたら、真剣にその人の命を助けようと思ったら、そういうことじゃないかと思うんです。
 特に私は、今の高齢者の皆さん方は、何とあの激しかった戦争を、送り出した、あるいは銃後の世話をされた、それで命が助かって帰ってこられた。その方々が我々の今日の文化的、世界的にも2番目と言われるようなこういう立派な国をつくってくれたのは──私はしなかったですわ。私は後をついてきて、卒業したら車を買うてもうたりとか、本当にありがたい時代に育ちました。でも、今の高齢者の皆さん方が今の国家をつくってくれたんですよ。大恩のある方々です。その方々に対して余りにも配慮が少な過ぎるんじゃないかな。
 それは難しい話を今言うたかわかりません。しかし、そのぐらいのこと、我々の世代が考えるだけの、考えるぐらいの責任は持つべきだと思うんです。我々がこうして世界に胸張って、外国へ行ったってどこへ行ったって胸張って生活できる、いろんなことを考えさせていただくことができるのも、今の高齢者の皆さんのおかげです。ぜひこのことも、なっとうしたら守ってあげられるか。そんなとこ走って逃げいという話だけじゃなくて、そこの場所で何として守ってあげられるかという視点でも考えてみていただけたらなと思う次第です。
 それから、先ほどの高齢者福祉の事柄につきましては、すごくありがたい視点の答弁でもありました。ぜひ答弁いただいたことを踏まえて、これからもそういった意味で高齢者の皆さん方に安心してその終えんの日を迎えていただける、そういう視点で取り組みを続けていただけたらと思います。
 これで2質問に対するあれを終わらせていただきます。もうほとんど提言と要望とさせていただきます。どうぞよろしくお願いします。
○議長(新島 雄君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で立谷誠一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時45分休憩
────────────────────

このページの先頭へ