平成23年6月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(片桐章浩議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○副議長(前芝雅嗣君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番片桐章浩君。
  〔片桐章浩君、登壇〕(拍手)
○片桐章浩君 こんにちは。議長からお許しいただきましたので、通告に従いまして一般質問を行います。よろしくお願い申し上げます。
 本日、3点でございますが、まず1点目、エネルギー問題について質問をさせていただきたいと思います。
 和歌山県を含む関西広域連合、ここは平成23年7月設立の自然エネルギー協議会に参画しようと、こういう意思表示をしていると思います。現在のところ賛同自治体は33、自然エネルギーの導入に向かおうとこの協議会ではしております。同協議会の2020年までの目標は、メガソーラーによるものが20万キロワット、つまり1カ所当たり2万キロワットのメガソーラーを10カ所の自治体でつくろうと、こういう計画をしていることになります。既に神奈川県、埼玉県、鳥取県、滋賀県、こういったところでは、建設計画への協力、こういう意思表示をしているところがあります。
 中でも神奈川県。自治体同士の共同、この計画に関しては共同というよりも自治体同士が競い合う、それが大事だということにしておりまして、単に太陽光だけを設置するんではなくて、電気自動車とセットにした神奈川モデル、こういったものを考えているようであります。
 岡山県も「おかやま新エネルギービジョン」、こういったものを策定いたしまして、2020年までに具体化しております、10件のメガソーラーという数値目標を掲げて誘致を図ろう、つまりエネルギー産業を核とした新産業をつくり出そうと、それによって地域の活性化を図ろう、こういう考えを持たしているところがあります。
 もう1つ、このソフトバンクによる自然エネルギー協議会の目的が、休耕地、それから耕作放棄地、これを活用した太陽光で5000キロワットの導入を目標にしているところがあります。農林水産省が判断した農地として利用に適していない土地、つまり耕作放棄地は1000平方キロメートルある、さらに休耕中の畑は膨大で、その面積は毎年ふえている、こういうふうに言われております。
 平成22年の9月、環境省がクリーンエネルギー政策を検討するために耕作放棄地などで太陽光発電の可能性について試算をしたものがあります。これによりますと、すべての耕作放棄地、河川、鉄道、海岸などにソーラーパネルを設置すれば、総発電能力が9400万キロワット、これだけに達するものがつくれるんではないだろうか、こういう試算があります。
 今回、ソフトバンクが太陽光を、まず最初の計画は福島県だったと思うんですが、ここに設置しようとしたのは、福島第1原子力、この4基で損なわれた500万キロワットを耕作放棄地で行おうとした、これがそもそもの始まりだったというふうに思います。
 環境省の試算を逆算して必要な耕作放棄地の面積を算出してみると、失われる500万キロワットに必要な広さ、これが7500ヘクタール、つまり福島県の耕作放棄地、これは2万2395ヘクタールですから、福島県の耕作放棄地の3分の1にソーラーパネルを設置する、これで賄えるということになるわけですが、それだけの休耕地を用意することは現実的ではありません。
 そこで、新エネルギー協議会を設置して全国に広げようと、そうしているわけであります。ただ、農地法第4条、農地の工業目的には転用の制限がありまして、耕作放棄地に太陽光発電を設置することはできません。そこで、国が農地法第4条を規制緩和し、耕作放棄地等を活用した太陽光発電施設、この設置を緩和する必要がありますが、これは容易ではない、こういうことであります。
 そこで、知事に質問をさしていただきたいと思います。
 工業用地を利用したもの、それから休耕地を利用したもの、このメガソーラーによる自然エネルギーの活用を目指している自然エネルギー協議会への参加の経緯を示していただき、他府県と比較して自然条件に適している和歌山県の今後の動きについてお答えください。
 2つ目、ソフトバンクのメガソーラー計画について質問をさしていただきます。
 2万キロワットのメガソーラー建設に対して、ソフトバンク側が79億円、誘致する自治体が1億円を支出して着手する計画、こういう計画になっておりますが、多くの自治体が参加の意思を明確にし始めている中、ソフトバンクのこの計画に関する和歌山県の考え方をお示しください。
 その中で、ソフトバンク側の言われている条件、例えば用地の無償提供、固定資産税の減免、1億円の支出など、難しい条件があればそれを示していただきまして、和歌山県がそれをクリアできるかどうかお答えいただきたいと思います。
 3点目、あわせて、関西広域連合の事務局のある大阪府に和歌山県としての候補地を伝えておりますが、それはどの地点なのでしょうか。和歌山市長もコスモパーク加太用地に誘致の意欲を見せていると言われておりますが、同用地も候補地として考えているのでしょうか、お答えいただきたいと思います。
 さて、このメガソーラー計画に関しては、実はソフトバンクだけがパートナーになるわけではありません。和歌山県は、全国一の再生可能エネルギーの先進県を目指すだけの条件を備えているのですから、単にこのソーラーを誘致するだけではなく、その中で雇用と経済効果をぜひとも備えた誘致、そういった考えを持っていただきたいというふうに思います。
 滋賀県の嘉田知事は、「地域の産業振興や雇用に効果がある。県内市町にも協力を呼びかけたい」と、このように発言しております。産業振興と雇用に波及する仕組みを機能させたいものですが、ここでいう嘉田知事の地域の産業振興や雇用に効果のある仕組みというのは私には全くわかりませんが、和歌山県では、このことを具体化さして目指すべきだというふうに思います。
 和歌山県で考えられるもの──既に知事のほうにも提言をさしていただいてる話ですが──沿岸部の未利用埋立地、この活用策として建設ができないものだろうか、これが1点。高齢化と少子化、過疎化している地域の未利用公共用地の総合的な再開発の核としての分散型電源基地の建設、これが2点。それから、林業と共生を図れるウインドファームの建設、これが3点目。これらは可能だというふうに思います。やるからには、再生可能エネルギーを核とした、日本における少子高齢化、過疎化地域の課題解決を図れるモデルケースになるような計画を考えてほしいと思っております。
 ここで、地域の雇用に関して効果があるとする試算があります。松本環境大臣の「東日本大震災復興事業から日本の成長戦略へ」と題する資料ですが、ここでは再生可能エネルギーは地域の雇用が大きい、このように記されております。
 再生可能エネルギーを1470万キロワット拡大すると、こういう前提があるわけなんですが、それによると機器製造と建設、運用とメンテナンス、これで年間2.2万人の直接雇用があると推計されておりまして、また風力発電産業は2万点に及ぶ部品による組み立て産業であり関連産業へのすそ野が広い、こういう産業になり得ると、このようにされております。そして、一定の需要があれば、つまり和歌山県でこういったものが一定数建設されれば、地元での組み立て工場の立地も十分期待できるんではないだろうかと、こういうことになろうかと思います。
 そしてもう1つ、メガソーラー、ウインドファーム、こういったものは近隣の防災拠点、病院での利用も可能となりますから、県内各地の防災対策の観点からも有効ではないかというふうに思います。
 ただし、いいことばかりではなくて課題があります。エネルギー問題はそもそも国家戦略でありまして、国民負担や産業活動に与える影響、これについても考えるべきものでありますし、再生可能エネルギーの導入に関しては、質の確保、コストの上昇回避の対応が不可欠であります。企業が安心して国内投資ができるエネルギーコストの維持が必要で、この対応を誤れば経済活動の停滞と産業の空洞化を招く、こういうことになりますから、県民的、国民的な議論が必要となろうかと思います。
 これらの議論を踏まえまして、巨大リスクに備えた災害に強いエネルギー導入の考え方について、成長産業としての再生可能エネルギーの導入について、政府が発表した2020年の早い段階での再生可能エネルギー20%導入の考えについて、和歌山県の担うべき役割について、知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
 続きまして、この項目最後であります。
 電気自動車と充電スタンドについての質問です。
 和歌山県は電気自動車の普及に努めておりまして、充電スタンドを数カ所設置する、こういう計画は既にありますが、観光面から考えますと少し計画地点が少ないように思います。これらのところは、民間の力も合わせて設備をふやす必要があろうかと思います。
 今回、このほど国土交通省が決定したEV観光タクシーによる地方観光の活性化事業に和歌山市の観光事業が採択されました。EV観光タクシーを活用した観光振興と、自家用電気自動車とEV観光タクシーの連携を図り、観光振興につなげよう、こういう取り組みであります。
 ここで取り上げている観光プランは、和歌山市内のコース及び県内主要観光地コース、この2つがあります。和歌山市及びその近郊を中心としたモデルコース、観光コースは問題は少ないと思いますが、問題は、和歌山県広域観光コースでは現在の体制では問題が残ると、こういうことであります。
 つまり、今回採択されている観光事業においては、和歌山市と白浜温泉、龍神温泉を結ぶコースが1つ、和歌山市から白浜温泉、そして熊野古道から高野山に抜けるコース、これが2点目でありますが、このルートに充電スタンドが設置されるのかどうかが問題となります。
 和歌山県に来られる観光客の約60%は近畿圏からのお客様ということになっております。それぞれ和歌山市まで来られる距離は、大津市からだったら140キロ、京都市からだったら131キロ、奈良市から100キロというように、電気自動車のフル充電走行可能距離である180キロを考えると、観光をしながらの紀伊半島一周、往復、こういったものは厳しい距離にあります。
 そこで、自家用電気自動車所有の環境意識の高い観光客に安心してもらうために、この観光地向けの電気自動車導入の決定の機会に、和歌山県が充電施設が充実していることを訴えてほしいというふうに思います。県の充電スタンドで不足するようであれば民間の充電スタンドとの連携を図る、こういった仕組みも必要ですが、観光事業者や環境意識の高い会社では、充電スタンド設置に既に大きな関心を寄せております。県が充電スタンドを設置する事業とあわせて、民間が充電スタンドを設置する際の補助制度の早期適用を検討していただきたいというふうに思っております。
 そこで質問は、環境生活部長にお答えいただきたいんですが、我が県が電気自動車の普及と充電スタンドの拡大への取り組み、これをしているところなんですが、全国で20件という数少ない事業採択を行っていただいた観光事業、これを好機ととらえ、県内の観光事業者、民間への充電スタンドの設置の支援制度を早急に整えていただきたいと思います。
 また、県が取り組んでいる民間、公共の充電器をネットワーク化するためのルールづくり、つまり県内各都市間や世界遺産の主要拠点間を充電しながら移動できるよう、南北に長い本県の実情に即した充電ネットワークづくりの現状についてお答えをいただきたいと思います。
 続きまして、防災対策です。
 防災対策の中で、福祉避難所をまず論点に上げたいと思います。
 御存じのように、福祉避難所とは、地震や津波、こういった大災害が発生したときに、介護が必要な高齢者や障害者、病人などのうち、特別の配慮を必要とする人たちを一時的に受け入れてケアする施設、このことを指します。通常の避難施設となる小学校の体育館などの避難所での生活が困難な方のための避難所と位置づけられております。
 これは、平成20年に厚生労働省から福祉避難所設置・運営に関するガイドラインが出され、自治体と福祉施設の間で福祉協定を結ぶところが少しずつ、それ以降、ふえてきているところであります。そして、民間の福祉施設を福祉避難所として活用させていただくためには、事前に市町村と事業者がそれぞれ協定を結んでおく、こういう必要があります。
 和歌山県においては、平成20年6月、和歌山県災害時要援護者支援マニュアルを策定し、その避難所における支援の項目で「市町村は、避難所を設置すると同時に、介護員等の支援が必要な要援護者を対象とする福祉避難所を設ける」、このように明記されているところであります。
 ところが、現時点におきまして、和歌山県下で福祉避難所は71カ所、想定収容人員は3333人、これだけが設置されているところでありますが、福祉避難所による要援護者対策を進めている、このことは心強いことなんですが、市町村によって取り組みに温度差がある、ここが問題になっていようかと思います。
 今回のような大災害が発生すれば、まともに影響が出るのは要援護者の方々です。自力で避難することができないことや、仮に体育館にたどり着いたとしても支えがないと生活ができない、そういう皆さんのために、日常生活上の安全と安心を提供できるのが福祉避難所ですから、市町村を問わず積極的に進めてほしい、このように思っております。
 そこで、質問であります。
 和歌山市における福祉避難所の箇所数をお示しください。要援護者が多いと思われる和歌山市ですが、もし協定している福祉避難所の数が少ないとすれば、なぜ取り組みがおくれているのか、その理由をお答えください。和歌山市における今後の福祉避難所協定の見通しと進め方についても、福祉保健部長からお答えいただきたいと思います。
 続いて、災害時の要援護者対策についてです。
 3月11日以降、地域の皆さんと防災についていろいろな話し合いをさせていただきました。中でも気をつけておきたいなと思ったことは、要援護者の皆さんへの対応でありますが、非常時は自分のことが精いっぱいで、地域内の要援護者の方々までの共助、これは次の段階になるおそれがあるということです。
 私が出会った人の中でも、目が不自由な人、車いすが欠かせない人、透析を受けている患者の方、高齢のため1人では歩く距離が限られている、こういった方がいました。「和歌山でもし津波が発生したら、もう逃げられないので自宅でそのまま待つよ」と、こういうふうにあきらめて話してくれた方もいたほどです。これら要援護者の皆さんへの避難の仕方、避難場所の周知がされていないんではないかなというふうに感じているところであります。
 要援護者への対応は難しいことはわかります。1人1人事情が違いますから、統一的な対応ができないからです。マニュアルでは、市町村が在宅の要援護者の把握をする、このようになっておりますが、その情報を、実際に支援してくれる人、例えば民生委員や自治会の役員の方々と共有するということは、それほど簡単なことではありません。
 市町村が整えている台帳には、避難行動要援護者の把握、個別計画策定のための登録の働きかけがうたわれていますから、それが機能していれば大災害発生時には要援護者を支援することは可能かと思いますが、台帳を見せてもらったところ、書き込むべき情報量が多過ぎて、援護を求める方、必要とする方が到底書き切れるようなものとは思えませんでした。ただ、これが整備されているとすれば、要援護者対策は相当進むのではないかというふうにも思っているわけであります。
 そこで、質問でありますが、災害発生時の要援護者の登録を受けて、具体的な個別の避難計画や対応が可能になっているのでしょうか。私が回った限りにおいてですが、この支援体制や台帳の存在を知っている要援護者はいませんでした。
 また、自治会単位で自治会内の企業や高いビル所有者などとの非常時における避難場所として使えるような協定、これは要援護者にとっては期待しているところであり、有効であると思いますが、この点、行政主導で話を進められないものでしょうか。福祉保健部長にお答えいただきたいと思います。
 続いて、学校の登校・下校時における防災対策について質問をいたします。
 小中学校、高校の生徒が自宅にいる場合、学校内にいる場合の防災対策は、大人がそばにいるので比較的大丈夫だというふうに思いますが、登校や下校時など生徒が1人になる時間帯、この時間帯に災害が発生した場合、情報伝達や逃げ込む場所が問題となります。
 通常であればここまで考えるべきことではないかもわかりませんが、東北の震災以降、保護者の皆さんからはこういう言葉がありました。どんな場合においても子供の命、これは絶対守りたい、特に母親としては守るべきものだと、こういうふうな言葉で表現してくれましたように、大人との情報が遮断される環境下での防災対策、これもぜひ検討の土台に上げていただきたいなというふうに思います。
 例えば、通学路にある避難場所を日常から知らせておくこと、教室に避難施設の地図を張っていくことなども方法だと思いますし、携帯電話の活用は違った意味での問題もありますから、強く勧めることはできませんが、携帯電話による情報伝達も考えられるというふうに思います。
 通学途中における生徒の安全対策は、主に海に近い場所に立地している学校、ここに通っている保護者から意見が多数寄せられております。学校の建っている位置によって防災対策は違ってくるのは当然のことだと思いますから、学校単位での防災の取り組みの中で検討してほしい課題だというふうに思います。
 そこで、教育長に質問をさしていただきます。
 登校・下校時に災害が発生した場合の生徒への情報伝達と避難方法についてはどう考えているでしょうか。また、保護者と学校の皆さんとの連携も必要だというふうに思いますが、学校としての防災対策についてお答えをいただきたいと思います。
 最後の項目です。最後は、げんき開発研究所、この活用についての質問をさしていただきます。
 国体に向けて、アスリートを科学医療の観点から支援する拠点の1つがげんき開発研究所です。ここは、スポーツ医科学の研究、県民の皆さんに向けたスポーツ教室、そしてトップアスリートへのメディカルサポート、こういったものを実施している施設であります。
 先日、施設見学に行ったところ、その機能とソフト面での充実した支援体制に驚きました。研究施設には3次元動作解析、人工気候室を初めとする設備が整えられています。この3次元動作解析装置というのは、例えばランニングフォーム、野球のピッチングフォーム、こういったものの解析を多面的に行えるので、これによってフォームを解析した結果、より速く、より強く、けがをしないフォームづくりのアドバイスが可能になる、そして身体バランスの測定など、見た目ではわからなかった部分のスポーツ動作の解析が行える、こういう特徴があります。また、人工気候室、これはすぐれものでして、地球上に存在するすべての地域の気温と湿度、これを人工的につくり出すことが可能な施設で、全国的にもまれな設備となっております。
 これだけの施設を持っているのは、東京にある国立スポーツ科学センターと我が県が持っているげんき開発研究所、この2つだけだというふうな評価も、担当する人から聞かしていただきました。
 そして、設備があって、もう1つ欠かせないものが、その設備を使って評価できる人の配置、そしてソフト面での支援体制ですが、ここでも何の心配も要らないと感じました。スポーツ医科学の専門家を配置して解析データの活用には万全を期していますから、国体に向けてこの施設の活用を図ることが今後の課題かなというふうに感じております。
 活用を図るためには仕組みが必要で、この研究所が置かれているのは和歌山市内ですから、県内のすべてのアスリートの皆さんに活用していただくのは困難ですし、専門家の人数が限られているため、すべての競技者までアドバイスすることも難しいところであります。この施設とここにいる専門家の活用を図るためには、指導者への指導を重点的に行い、よき指導者をつくること、これが大切だと思います。よき指導者を輩出することで、県内各地で、そして競技種目に関係なく、アスリートの支援と競技レベルの向上につながることができます。
 今では体制を整えるということは、それほど困難なことではないというふうに思います。例えば、ネット回線を利用すれば、この研究所と遠隔地の高校などとを結ぶことができますから、データの送信と解析に基づいた指導者への助言・指導が可能となります。既に体育系の大学を持っている県では、大学と高校などを結び、機能させていますが、和歌山県に今までその仕組みはなかったわけですが、この研究所が存在していることから、専門家によるスポーツ医科学の指導、遠隔地であっても可能となっているわけであります。ネット回線を利用するだけで、遠くてデータに基づく直接指導ができない、こういう理由はなくなっているわけであります。また、人材についても、民間の優秀なトレーナーと連携すれば、人材不足や設備不足も解消されます。
 つまり、げんき開発研究所を中心にデータの連携とトレーナーとの協力体制を整えたら、それで準備は整うと、こういうわけであります。国体に向けて、そしてその先にある県民の皆さんの健康づくりのためにも、げんき開発研究所のさらなる活用を図ってほしい、このように思っております。
 そこで、質問であります。
 げんき開発研究所のスポーツ医科学の拠点としての活用について、どのように考えているのでしょうか。そして、県内のトレーナーとの連携を図る仕組みは必要だと思いますが、その仕組みをつくることは可能でしょうか。
 そして、メディカルチェックや専門体力測定、科学的トレーニング指導を県内に広げるべきだと思いますが、医科学に関して、県内格差をなくすための方法についてお考えはありますでしょうか。この点につきまして、教育長の答弁をお願いしたいと思います。
 以上で、一般質問を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの片桐章浩君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) エネルギー問題につきまして、4点お答え申し上げます。
 まず、協議会への参加と今後の動きについてということでございます。
 本年5月の26日に第7回の関西広域連合委員会がありまして、その会議の後、ソフトバンクの孫正義社長が、自然エネルギー協議会の概要と、それからプロジェクトについて御説明になって、関西広域連合として協議会に参加することを決めました。
 本県といたしましても、自然エネルギーの普及促進のための協議会の趣旨に賛成し、それでプロジェクトとしての候補地を提案しているところであります。
 今後、自然エネルギー協議会への参加を表明している関係道府県とソフトバンクとの間で事務レベルの連絡会が開催されまして、今後の方針等について、当然のことながらすり合わせを行った上で、どうも7月ぐらいに第1回自然エネルギー協議会が開かれるというふうに聞いておりまして、これに参加するということになっております。
 次に、ソフトバンクのメガソーラー計画に対してどうかということでありますが、これは孫社長の話によると、プロジェクトという、そういう言葉でございましたが、メガソーラー計画、議員御指摘のとおりでございます。これについては、もともと和歌山県としては日照時間も長いし、それから遊休地も結構あるということで、それから自然エネルギーの話ですから、本県としても積極的にかかわっていきたいと考えております。
 その前提としては、孫正義社長は、まさに5月26日に言うとったんですが、1つは全量買い取り制の議論ができないといかんと、しかも高い価格で買ってもらわないと困ると。それから、接続ですね。電力会社の送電線への接続について拒絶をされるようなことがあったらどうしようもないから、それは接続をさしてもらわないと困る。3つ目は、農地などにも設置したいので、例えば農地のまま設置することが許される等々、規制の緩和をしてもらわないと困る、こういうようなことを言うておりまして、こういうことについては協議会のほうでみんなで応援していこうということになっております。
 これについては、今まさに国会でも法案が提出されて、特に買い取りについての強制力をもっと高めるというようなことが提案されております。
 私どもは、これに賛成なんですけれども、ただ一方では、当然、全量を高い価格で買い取ったら、電気料金にそれはいずれはね返ってくるだろうというようなことは明らかなわけです。しかし、今の自然エネルギーを大事にしようという流れの中では、そういうことも腹に含みつつ、甘受しつつ賛成をしていくのがよろしいんじゃないかと私は思っております。
 それから、プロジェクトについては、先ほど申し上げましたように、我々として提案をしております。議員から御指摘がありました条件については、先方から非公式で暫定的に、かつノンコミッタルに言われた話ですので、私がそれに言及するというのはちょっとよろしくないと思いますので、言わないでおきます。
 しかし、例えば仮定の問題として、用地の無償提供というのが絶対的な条件であるとするならば、それを計算いたしますと、実は80億円に対して自治体は1億円出せばいいという話ですが、数10%ぐらいの助成率になってしまう、つまり用地をただで上げるということによって。そういうことにもなりますし、それから民間でもこのメガソーラーのプロジェクトというのは実はあります。そういうものが、そんなんだったらうちはどうしてくれるんだと、こういうことになって、みんないなくなってしまう。あるいは、普通の企業誘致ですら、土地をただでくれなきゃ絶対行ってやらないということになっていきます。そうなると、すべての政策ががたがたになりますので、条件がリーズナブルでないと乗れないということだと思います。
 そういう点で、この間、広域連合で話をしたときも、私から──ほかの知事さんは割合無条件で、ちょっと「おっ」となってるような感じがあったんですけども──プロジェクトに関しては合理的で乗りやすい条件を提示してくれないと、あるいはそういう形でまとめてくれないと進みませんよというようなことを申し上げて、それはそのとおりだという話を承っております。条件が合いましたら積極的にやっていきたい、そんなふうに思います。
 それから、候補地等々につきまして、今申し上げましたような一応事情でございますので、それに言及しておられる、具体的な地名に言及しておられる首長さんもいらっしゃるように今お聞きいたしましたが、私のほうでは今のような状態でございますので、まだそれを申し上げる段階ではないというふうにお答えしておきたいと思います。
 次に、再生可能エネルギーに関して和歌山県の担うべき役割ということなんですけれども、これまで申し上げておりましたけれども、電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が成立いたしますと、全量買い取り方式の固定価格買い取り制度が始まり、買い取り価格によりましては、それがメガソーラーをどんどん惹起いたしまして、それが新たな成長分野になる可能性が出てくると考えております。
 先ほど申し上げましたように、もちろんこれは電力料金等々の問題との絡みでいろいろ考えなけりゃならない問題はありますが、基本的には進めるべきだと私ども思っておりますので、協議会等の活動を通じて前向きに対応していきたい、そういうふうに思います。
 プロジェクトにつきましても、和歌山県の有利な状況を大いにアピールしながら、リーズナブルな条件であれば積極的に対応して、これがうまくいきますと、少なくとも設備がどんどんできていきます。そうすると固定資産税とか、そういうのが上がります。雇用については、つくっておるときは雇用が多いんですが、できてしまうとちょっと普通の製造業などに比べると雇用者が少ない傾向がありますが、それでも何がしかのプラスはあることは事実であります。したがって、こういうことについても積極的に我々としては対応する、そのためのチャンスをうかがう、そういうことでやっていきたいと思っております。
○副議長(前芝雅嗣君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 電気自動車と充電スタンドについてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、電気自動車を利用する方々に県内の観光地を訪問していただこうとすれば、公共が設置する充電器だけでは十分ではなく、民間が設置する充電器を組み込んだ充電ネットワーク網を整えることが必要だと考えております。このため県では、一般にも開放することを条件に、民間での充電器設置を支援する補助制度を近く創設する予定であり、電気自動車普及という面からも大いに利用を働きかけてまいりたいと考えております。
 なお、県内の充電ネットワークづくりの現状については、過日、核となる急速充電器の設置希望を市町村に募ったところであり、近く観光ルートなども勘案して6カ所程度の設置先を決定し、民間充電器の一般開放ルールづくりなども進めながら、年度内の充電ネットワーク構築を目指してまいります。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 防災対策についての御質問にお答えいたします。
 まず、和歌山市における福祉避難所の箇所数ですが、和歌山市では、これまで福祉避難所の指定を行った例はないと聞いております。和歌山市において福祉避難所の指定がおくれていることについては特段の理由はないようですが、県で災害時要援護者支援マニュアルを策定し、市町村に周知してから既に約3年が経過していることからすれば、和歌山市の取り組みはおくれていると言わざるを得ません。
 今後、県としては、和歌山市における福祉避難所の指定に向けて強力に働きかけてまいりたいと考えております。
 次に、災害時の要援護者対策につきましては、市町村において避難時の支援者が身近にいない避難行動要支援者1人1人に対応する個別計画の策定を進めているところです。本年4月1日現在、26市町で策定中となっており、現在のところ、要支援者の登録者数は約1万8000人、このうち約3割の方について個別計画が作成されております。県といたしましては、残り約7割の方の個別計画の作成を求めるとともに、民生委員・児童委員初め地域住民の協力を得ながら、さらなる要支援者の把握及び個別計画の作成を促進するよう、引き続き働きかけてまいります。
 また、自治会や自主防災組織が建物所有者の同意のもと、民間の建物を非常時の避難場所として活用することは、要援護者の避難支援をより早く安全に行うための取り組みとして有効な支援策であると認識しております。県といたしましては、こういった有効な手法について、市町村において積極的に取り組みを検討するよう助言してまいりたいと考えております。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 教育長西下博通君。
  〔西下博通君、登壇〕
○教育長(西下博通君) 登校・下校時における避難方法とげんき開発研究所の活用について、2点の御質問にお答えします。
 登校・下校時における避難方法、避難場所及び情報伝達については、学校の置かれた地理的条件等を踏まえた適切な指導の徹底と伝達体制の構築が必要であり、既に登下校時の対応を含めた各学校の防災対策の総点検を行うよう指導しております。
 こうした中、学校によっては、親子で話し合って家庭における防災マップを作成したり、自治会と連携して高層マンションを避難場所とするなど、積極的な取り組みが始まっております。
 登下校時の避難については、子供たち自身に地域の避難経路等の実情を確認させるとともに、一刻を争うときには、マニュアルによらず、主体的に判断し行動できる力を身につけさせる必要があります。そのため、現在作成を進めている地震・津波防災教育のための教材を活用し、防災意識を一層高める取り組みを進めることといたしております。
 また、今回の東日本大震災後に教育庁内に公立、私立を含めた防災対策会議を設置し、協議を行うとともに、各学校に対し防災対策に関する実態調査を行いました。それらの結果を踏まえ、地域の方々の協力のもとに保護者や学校への緊急連絡体制を構築するなど、登下校時も含めたよりきめ細かく柔軟な対応策を講じるよう通知することとしています。
 今後とも、児童生徒の命を守ることを最優先に、学校における防災対策に万全を期する所存でございます。
 次に、げんき開発研究所の活用についてにお答えします。
 和歌山県立医科大学みらい医療推進センターげんき開発研究所の活用については、県教育委員会としましては、現在、紀の国わかやま国体での男女総合優勝に向け、県競技力向上対策本部が中心となり、県体育協会と連携を図りながらさまざまな強化対策を講じております。その1つとして、本年度より、きのくに医・科学サポート事業を立ち上げ、スポーツ医科学面からのサポートの充実を図ってまいることとしております。
 議員御指摘のとおり、げんき開発研究所は、日本でも数少ない最新機器が設置されておりますので、トップアスリートに対する医科学サポートの拠点として、施設の有効的な活用に努めてまいりたいと考えております。
 また、県内の多くのアスリートに医科学サポートの理解を進め、実施していくことは大変重要なことであります。指導者を対象とした医科学セミナーの開催、スポーツトレーナーや指導者間のネットワークの構築等により、スポーツ医科学サポートを県内に広げていきたいと考えております。
○副議長(前芝雅嗣君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前芝雅嗣君) 再質問を許します。
 31番片桐章浩君。
○片桐章浩君 お答えありがとうございます。
 ちょっと驚きまして、実は、けさ和歌山市に福祉避難所がゼロということと、ゼロの理由に特段の理由がないということを知りまして、これはえらいこっちゃというふうに思うたわけなんですが、もしこれ、県直営だったらここで激しく突っ込みたいところなんですが、ほかの地方自治体ということもありまして、多分お答えができないだろうというんで、ちょっと意見だけを述べさしていただきたいというふうに思うんです。
 平成20年度からこの福祉避難所というのが設置に向けて作業が進められていると。いまだに個別計画の作業も遅延しているというお答えもいただきまして、しかも把握している要援護者のうち個別計画できるのがわずか30%。把握してるのも全員じゃないんですよ、全体じゃない。全体じゃないうちの把握してる中の30%しかないということで、支援体制が整っていないというふうな状況が今回わかったわけなんですが、まず、ここを把握してから福祉避難所の指定を考えるというスピードで作業を進めると、非常時には到底これ備えられない、このように思っております。
 和歌山市がタイトな仕事をしているというのはわかりますが、タイトな仕事をしているのであれば、余計にこの課題を自分のところで抱えておかないで、早く福祉避難所を指定して要援護者の支援をそこにゆだねていったら、そういう仕組みをつくったら、作業量、仕事も軽減できるんじゃないのかなというふうに思うわけであります。
 福祉避難所の指定に問題があるとすれば、受けてくれないということだと思いますが、実は受けてくれる福祉施設、やろうよと、やるよという福祉施設は、いっぱいあるわけですよね。これ多分、市も知ってると思います。幾つか申し出してるのがありながら3年間も放置している、ここが僕は問題だというふうに思っております。
 その中において、県の姿勢として、知事がことしの4月、新人職員の研修会においてこういう話をしているわけです。「考えるのは1日でできる。調査・検討という政策はない」、こういうことを話しております。非常にいい内容なんで、ちょっと引用さしていただきます。
 「1年かけて検討しますなんていうことはいっぱいあると。検討している間は人々は幸せになりません」──結果が得られないんだから幸せになれないということですよね──「考えるのは1日でできる。考えるのは1日でできるから、検討みたいなものはすぐにやってしまおう。しかし、調査をします、検討します、考えますと言って1年もほったらかしているというのは、世の中に、特に行政機関にはいっぱいあります」と、このように新人の前で話しているわけです。
 今回、福祉避難所の指定ゼロという状態は、3年が経過し、しかも特定の理由もなく指定がゼロという状況、そんなことが今ここで起きている、こういうことをぜひ強く指導してほしいというふうに思います。
 そうこうしているうちに3月11日が来まして、このとき和歌山市内の片男波の自治会では、自治会が災害助け合い登録書というのを、これももうずっと以前から自主的につくって、地域内の要援護者の把握、これ、もう完了しているわけです。そして、支援者と要援護者をあらかじめ指定しているため、さきの震災において津波警報の際は自治会が率先して避難させたと、こういう事実もあります。できているところはできているわけです。
 作業完了を待っていたら、この先一体、福祉避難所指定、何年かかるかわかりません。把握している現状を踏まえて、また福祉避難所を一緒にやろうやと言うてくれる民間がいてるわけですから、そういった協定を速やかに結ぶことが地域の皆さんの安全と安心につながると思いますんで、ぜひ強力に県がリーダーシップを、音頭をとって進めていただくように強く要望して、一般質問を終わります。ありがとうございます。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で片桐章浩君の質問が終了いたしました。

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