平成23年6月 和歌山県議会定例会会議録 第2号(高田由一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 37番高田由一君。
  〔高田由一君、登壇〕(拍手)
○高田由一君 議長のお許しを得ましたので、通告に従い、一般質問をいたします。
 最初に、このたび4月の選挙では県民の皆様の大きな御支援をいただき、8年ぶりにこの議場に帰らせていただきました。今後は、先輩また同僚の議員の皆さんの御指導、また御協力のもと、また知事初め県当局の皆さんと忌憚のない議論をしながら、微力ではございますが、県勢発展のために頑張りたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 質問に入ります。
 東日本大震災は、未曾有の災害となりました。亡くなられた方への御冥福をお祈りするとともに、被災された皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 私たち共産党の県会議員団は、10名から成る救援隊を組織しまして、5月22日から26日まで、2泊5日という強行日程で岩手県陸前高田市と大船渡市に救援ボランティアに行ってまいりました。
 この間、私たちの呼びかけにこたえまして、募金や、また物資の提供に御協力をいただきました県民の皆様に、この場をおかりしまして厚く御礼を申し上げます。
 私たちは、2トンのトラックに和歌山のナツミカンや梅干し、お米、その他の物資を満載にして、走りっ放しで約20時間かけて到着をいたしました。何とか難を逃れました現地の共産党の事務所に雑魚寝をしながら、泥かきや物資の仕分け、写真の洗浄などのお手伝いをしてまいりました。同時に、独自の取り組みとして無料の青空市を開催し、物資を配布いたしました。現地は生鮮食料が不足をしておりますから、和歌山のナツミカンは本当に喜ばれました。
 こうした救援活動は、とても1回で終わるようなものではございません。今後、長期にわたってきめ細やかな生活再建へ向けてのお手伝いが必要だと感じた次第です。特に、被災された皆さんは生活再建へ向けて必死であり、ほっとできる場所と時間がありません。だからこそ、東北が頑張るんではなくて、被災していない私たちが頑張らなあかんと感じた次第であります。
 このような経験から、今回は質問させていただきます。
 まず最初に、被災地支援について伺います。
 関西広域連合の分担で、現在、和歌山県は岩手県への支援を担当しております。担当課に伺いますと、初期に避難所へ救援に入った県職員に対して、別れ際に避難所の皆さんが送別会をしてくれた例も出るなど、素早い和歌山県の取り組みに対して高い評価をいただいているとの話も伺っております。
 そこで、これまでの和歌山県の被災地支援の取り組み経過と実績を知事のほうからお聞かせいただきたいと思います。
 また、今後も継続的な支援が必要となってまいりますが、支援する側とされる側の人間的なつながりをつくっていくためにも、地域密着型の支援がますます必要になってくると考えております。県だけではなくて、市町村間の相互支援、ペアリング支援という言葉が今言われております。こうした点について、今後の取り組み方向について知事に伺いたいと思います。
 ここからは、和歌山県内の防災対策について、順次、危機管理監に答弁をお願いしたいと思います。
 最初に、防災情報の周知について伺います。
 このたび、県では携帯電話会社と提携して、エリアメールという災害情報の発信に取り組むことになりました。ところが、このエリアメール、一般の県民の方はもちろん、町役場へ行きましても、どういうものか知っている方は大変少のうございます。ぜひこの議場でその効果をお示し願いたいと思います。
 また、停電時にも大丈夫なのか、対策はどうなのか、また障害のある方への対応もできるのかどうかなど、あわせて答弁をお願いしたいと思います。
 さらに、西牟婁郡では防災無線の放送が聞こえにくいという苦情がたくさん寄せられております。各家庭に戸別の受信機を設置してほしいという要望も高いわけでございますが、今後どのように対処されていこうとしているのか、答弁をお願いします。
 次に、防災計画の見直しについて伺います。
 このことについては、今回の東日本の地震を受けて、東海・東南海・南海地震の連動型地震についての被害想定も国のほうで見直しがされております。
 この点で私が心配しておりますのは、これまでは余りにもコンピューターによる津波予想が優先されておりまして、過去の文献調査や津波被害の痕跡の調査が、費用の面もあって十分なされていなかったことでございます。今回での東北での地震についても、一部の専門家は、過去の文献から貞観地震という西暦800年代の地震・津波被害を警告しておりました。こうしたことも踏まえ、今度の防災計画見直しには、ぜひ過去の文献調査や津波の痕跡調査も踏まえたものにしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。答弁をお願いいたします。
 次に、津波からの緊急避難場所の確保について伺います。
 今後起こるであろう南海の巨大地震は、いつ来るかわかりません。ですから、今大切なことは、津波から緊急避難できる場所を一刻も早く確保することだと思います。その点で、西牟婁郡海岸近くへ行きますと、おうちの裏に裏山があるにもかかわらず、避難できる道がないと嘆いているお年寄りの方のお話も多く伺いました。今後、避難路の整備についてどのように進められていくのか、答弁をお願いしたいと思います。
 また、今、田辺以南では高速道路が建設中であります。例えば、白浜町の富田地域です。富田地域では、津波に対しても、また明治の大水害のような水害に対しても、高速道路が避難場所の1つになるのは間違いないと思います。高速道路にも駆け上がれるような避難路を整備するべきだと思いますが、いかがでしょうか。この項目のみ、県土整備部長の答弁でお願いをいたします。
 また、夜間、停電時の避難誘導について、かねてから心配の声が上がっております。今、道路を照らす照明は、国道は国、県道は県の設置となっておりますが、日常最もよく使う市町村道には道路照明がないんです。あとは、町内会や自治会が設置する防犯灯のみが対応しております。
 いずれにいたしましても、こうした道路照明や防犯灯は、停電のときには役に立ちません。避難のときに威力を発揮する避難誘導灯の設置を進めていくお考えはないでしょうか。答弁をお願いしたいと思います。
 さらに、避難のときに妨げになるブロック塀の対策です。現在、どのようになっているでしょうか。現状と今後の取り組みについて答弁を求めるものであります。
 この防災対策の最後に、県立白浜なぎさホームの移転について伺います。
 この白浜なぎさホームは、県立の母子寮です。現在、白浜町湯崎というところにございます。大変老朽化しておりますけれども、このホームが今度白浜町の寒サ浦という、もとの白浜の警察があった場所に移転されようとしております。
 ところが、この移転場所というのは、私、県の出している津波浸水予想のマップも打ち出しましたが、過去の経験からでさえ5メートル近い浸水が予想されておる場所でございます。住民からは、「警察も高台に移転したのに、何で小さい子供たちもたくさんいる母子寮をここに持ってくるんやろう」と、素朴な疑問の声、心配の声が上がっております。今、移転工事はこれから基礎の部分に取りかかろうかという段階でございますが、やはり3月の津波を目の当たりにした今、もう一度考え直す必要があるのではないでしょうか。
 そこで、伺います。現在の移転場所に決定した理由と経過を答弁願います。
 また、新しい施設をつくったわ、被害想定見直しでもっと高い津波が来るかもしれないとなったら、ほんまに何をやってるかわかりません。現在、予算執行中でございますが、まだ間に合うと思います。どうか、考え直していただけないでしょうか。福祉保健部長の答弁をお願いしたいと思います。
 次に、原発計画と自然エネルギーの推進について伺います。
 今回の福島第1原発での事故は、日本と世界に大きな衝撃を与えるとともに、原発に依存したエネルギー政策をこのまま続けていいのかという問題を投げかけています。御承知のように、ドイツでは2022年までに現在17基ある原発を全廃することを政府の方針として決めました。イタリアでも、国民投票で原発推進をしないことが決まりました。我が国でも、原発依存から抜け出そうという議論を進めていくときではないでしょうか。
 原発で事故があった場合は、ほかの事故には見られない異質の危険があることが今度の福島の事故でも明らかになりました。社会的には、地域社会そのもの、日本経済全体を破壊しようとしています。空間的には、大気、土壌、水、すべて汚染しています。時間的には、何万年という将来にわたって人間の命と健康を脅かし続けるのです。
 既に、原発で出た使用済み核燃料は、全国で1万トンを大きく超えていると言われています。それらに含まれる死の灰などを、これから人間の住む環境から放射能が消えるまで、何万年という極めて長期間にわたって隔離し続けなければならないわけです。
 何万年とはどういう時間単位でしょうか。1万年前の日本は縄文時代です。縄文人の文化や言語が現在まで伝わっていないように、現在の我々の生活や言語が1万年たって伝わっているとは到底思えないわけです。そのことを考えただけでも、これ以上この原発に頼ることはやめにしないと子孫に対する罪になると思います。
 もちろん、私たち共産党も、今すぐ原発を全廃することは、電力需要の問題があるので非現実的だというのはわかります。それゆえ、先日発表した政策では、今後5年から10年以内に原発をゼロにするプログラムを制定することを求めているのであります。
 では、どのような方法でそれを達成するのかといえば、地球温暖化の問題もあり、安易に火力や石炭による発電に置きかえるというやり方をとるべきでないのは明らかです。
 私は、自然エネルギーの推進と低エネルギー社会への転換が大切だと考えています。これは、何も無謀な計画ではありません。
 現在、日本の総発電量に占める原発の割合は25%と言われております。しかし、今後5から10年の間に電力消費量を1割削減、そして現在の自然エネルギーによる電力を2.5倍程度に引き上げることができるなら、原発による発電量をカバーすることができるという試算もございます。
 現在、原発を除いた総発電量は、あのバブル経済のときに、1990年の日本で原発も含めた総発電量と同じと言われています。つまり、今仮に原発がなくても、1990年、20年前の電力使用状況なら今でも十分対応できるという試算もございます。夏場の電力消費のピーク時への対応は、知事も進められているように当然必要でございますが、原発からの撤退は無理な課題ではないと私は思います。
 以上のような基本的な見解を述べた上で質問をいたします。
 まず、関西電力が和歌山県内に計画している日高、日置川の原発計画であります。この2つの計画については、既に国の原発推進計画である重要電源開発地点からは外されており、私たちも安心していたんです。ところが、3月11日の東日本の震災と原発事故の直後の関西電力の社長の記者会見、その新聞の記事がここにもございます。3月16日の「読売新聞」でございますけれども、この中にはっきりと「和歌山県日高町、白浜町を立地候補地として位置づけている」と明記されているのであります。私たちも大変びっくりしました。
 そういうこともあって、私は、先日、原発についての申し入れで関西電力本社を訪れました。私が「日高と日置川の原発はまだ計画しているんですか」と聞いたときに、原子燃料サイクル部長さんという方が、「紀伊半島にもやりたいことはやりたいが、地元の意向もあるので、今はどうのこうの言える状況じゃない」というふうに答えられました。やはり、まだあきらめてなかったんかという思いでございました。
 和歌山県での原発計画は、私、調べましたが、今から約45年前ね、1967年、昭和42年にさかのぼります。日高町への建設計画に始まったわけですが、当時の知事は大橋正雄さんでございました。その大橋知事さんは、県議会での質問に対して次のように言っています。「火力よりも公害が少ない。原子力そのものに公害はない。積極的に取り組む。地元の納得を得られる中で誘致の方向に進んでいきたい」、こういう答弁をして原発建設に積極的な態度でおられたようです。
 その後、住民の反対運動が大きく盛り上がる中、1971年に大橋知事さんが県議会答弁で述べられたのが、いわゆる3原則でございます。つまり、原発の問題について県は「適地性、安全性、地元の同意の3原則を前提に地域振興の立場で取り組む」という、聞いたことのある議員さんも多いと思われますが、有名な答弁になったわけです。
 以来、県議会で原発問題を質問されると、歴代の知事は、仮谷さん、西口さんを含め、この答弁を繰り返し答弁するだけでした。何回再質問しても同じ答弁が返ってきます。最後にこの3原則の答弁を原発問題でされたのが、1999年、平成11年9月議会での西口知事さんの答弁だったと思います。質問者は私、高田でありました。よくまあ30年間も同じ答弁を繰り返したなと、変な感心をしたものでございます。
 また、議会での論戦とは別に、県の長期計画にも原発は位置づけられてまいりました。例えば、仮谷知事の時代の第4次長期計画「新世紀の国21」では、原発の推進を明確に書いておりました。ここに持ってまいりましたが、この第4次長期計画の139ページにこのように書いています。「県としては、適地性・安全性・地元の同意という3原則を堅持し、立地地域を総合的に整備し、住民の福祉と地域振興の立場から、原子力発電所等の電源立地を促進する」。
 もちろん、その後のこれ以降の長期計画については、住民運動などもあって原発推進は書かれなくなったのでありますけれども、当面実現の見通しがないから書かれなかったと言われています。もちろん、今後は原発に頼らないとか、県として原発を推進したのは間違いだったなどの反省の言葉は何一つ書かれておりません。
 こういう状況を振り返るなら、結局、今まで和歌山県に原発を立地させていないのは、だれの功績でもない、住民運動の力で頑張ってきたからにほかならないわけです。実際、3原則のうち唯一の防波堤は、3つ目の住民同意だけでした。これが崩れていれば、まさに和歌山県は原発銀座のようになっていたと思います。
 そこで、知事に伺います。
 この際、従来の答弁を超えて、和歌山県には原発はつくらせない、関西電力は計画を断念せよと、この議場で表明をしていただけないでしょうか。1971年、当時の大橋知事が答弁して以来、40年間頑固に続いてきた従来の立場を見直す答弁をぜひお願いいたします。
 次に、自然エネルギーの推進について伺います。
 このことについては、知事も積極的に発言していただいていることは大変ありがたいと思っております。中でも、日照量の多いこの和歌山県の特性を生かした住宅用太陽光発電については、その普及を図るために、自然エネルギー発電の全量買い取り制度の単価のアップ並びに家庭における初期負担が不要となるような制度をつくるよう国に要望していただいていることは、私たちも同感で、非常に重要な点だと考えております。
 こうした自然エネルギーの導入促進についての知事のお考えをお示しいただきたいと思います。
 この項目の最後に、電力移出県等交付金のことについて伺います。
 この交付金は、和歌山県が火力発電所を中心に県内の需要を大きく上回る電力を他府県に移出をしているので、その御褒美と言ってはなんですが、国から年間3億円程度が交付されていたものです。残念ながら、ことしは交付基準に該当しなかったようでありますけれども、ふだんいただいていた貴重な財源であります。地方交付税の縛りではなくて、きちんと交付されるもので、これまでは企業誘致などに主に使われてまいりました。私は、この機会にその使い方を見直すことを求めたいと思います。
 県内の発電は、それなりに大きな環境への負担がかかっております。ですから、その発電によって得られた交付金は自然エネルギーの推進にこそ使うべきだと思うのですが、関係部長の答弁をお願いしたいと思います。
 次に、緑の雇用事業について伺います。
 この緑の雇用事業は、前知事が提唱し、その後、国の事業として継承されております。
 まず、この事業のこれまでの県内の実績をお示し願いたいと思います。
 これまで県外から何名の方が来て、そのうち何人の方が定着をしているのか、また、これまで国、県合わせてどれだけの補助金が支出をされたのか、そして数字だけではなくて、どのような事業効果があったのか、農林水産部長に答弁を求めます。
 その事業で本宮町森林組合に雇われていた9名の比較的若い労働者たちが解雇をされるという事態が先日起こりました。作業員の半数という大量解雇であります。組合のほうは本人了解の上での退職と言われているそうですが、本人たちが記者会見までして納得していないというふうに言っているのですから、私はあえて「解雇」という言葉を使いたいと思います。
 県の推進してきた事業に乗って補助金ももらった上で、しかも10年近く働いてきた人を一度に大量解雇しようというのですから、よほどの理由があるのではないかと思いました。ところが、先日の地方新聞を見ますと、その主な理由は間伐事業に係る国の補助金の削減だと書かれておりました。
 また、解雇された方々にお話を伺うことがありました。皆一様に、東日本大震災の影響で国の補助金が大きく削減されるから、経営が大変になるからと説明されたと証言されておりました。
 そこで、農林水産部長に伺います。
 そのような国の補助金の大幅な削減も推測されると組合側は言っているようですが、そのような事実はあるのかどうか、お答え願いたいと思います。
 さらに言うなら、その補助金カットの原因は作業員の技術、つまり今求められているのは搬出間伐──要は切り倒しだけではなくて、山から出してくる間伐──この技術がない人が多いからだと言われているそうですが、緑の雇用の方々は本当に技術の低い人たちだったのでしょうか。中には、県の森林組合連合会から技術的に表彰されている方もいると伺いました。これまでも県は、林業労働力確保支援センターなどで高性能林業機械の操作や林道の開設などについて、しっかり研修してきたのではないでしょうか。この点についても答弁をお願いしたいと思います。
 そして、部長、私が最も言いたいのは、このような大量解雇に至る間に、県行政に対して組合から相談を受けていなかったんか、県として情報収集はどうなってあったんかということでございます。一体、県がこのような動きを知ったのはいつだったのか、それに対して今日までどのような指導をされてきたのか、反省点は何だったのか、答弁をお願いしたいと思います。
 最後に、県道の道路改良と事業推進について伺います。
 1番目の県道田辺白浜線については、白浜町堅田地内堅田上の交差点から郵便橋方面にかけて、特にJR紀勢線踏切の前後が狭くて、朝夕の交通量の多いときには自転車で通学する高校生も重なり、大変危険な状況です。ぜひ早急に拡幅をお願いしたいと思います。
 2番目のすさみ古座線については、すさみから佐本方面、小河内間の特に雫の滝という滝の付近が狭くて行き違いが困難です。地域からの要望も強く、ぜひ実現をお願いしたいと思います。
 3番目の日置川大塔線、特に玉伝口から市鹿野間の拡幅については、従来からも地元要望も出され、県当局も御苦労いただいていると聞いております。
 以上の3点の箇所については、長年の地域要望事項であります。
 ある地域では、「車1台をかわせる待避所をつくってくれるだけで助かるのに、一体県は何をしてくれてるんやろか。もう田舎に人は住むなということか」というような厳しい御意見を私たち懇談会で伺うこともしばしばでございます。別に予算の大きくかかる立派な道をつくれと言ってるんではないんです。毎日の生活の支障になっている部分だけでもというささやかな住民の願いにどうやってこたえるのかは、知恵と工夫を尽くして取り組んでいただきたいと思います。特に、過疎地に暮らす住民の声にどうこたえるのか、県土整備部長の決意のこもった答弁をお願いしたいと思います。
 また、白浜温泉線の新しい区間であります、いわゆるフラワーライン線というのがございます。これは、白浜町富田から高速道路のアクセス道路でもあり、早急な事業進捗を求めますとともに、津波避難の際にも役立つような構造にしていただきたいというのが地元の要望であります。このことについても、答弁をお願いいたします。
 以上で、第1回目の質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの高田由一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、東日本大震災の支援と防災対策、今後の計画でございます。
 発災直後から大阪府とともにいち早く職員を派遣し、岩手県現地事務所を開設いたしました。現地事務所は、災害復旧支援、避難所支援、災害ボランティア、仮設住宅等の布団の提供等の支援活動の拠点でありまして、この活動をもとに現在まで全体で延べ約1200人を超える県職員派遣を行っております。現地事務所は、岩手県庁や関係機関とダイレクトに接触することで顔の見えるきめ細かな支援が行える体制をとっておりまして、当面、2名体制で継続していきます。
 また、市町村間の相互応援は迅速な対応が期待できるため、意義のあることと考えておりまして、さらに促進するよう助言してまいりたいと考えております。
 次に、原発計画と自然エネルギーの推進でございます。
 就任以来、今まで関西電力から県に対して、あるいは私に対して、原子力発電所の建設の申し入れを受けたことはありません。ただ、東京電力福島第1原子力発電所の事故を踏まえれば、現状では原発の立地は難しいかと思います。
 自然エネルギーの推進につきましては、メガソーラーの誘致活動や木質バイオマス利用の普及活動などに努めているところであり、現在、国に対しましても、東日本大震災の被災状況を踏まえ、再生可能エネルギーの導入をさらに加速化するため、一定期間における全量買い取り単価の上積みを要望しております。
○副議長(前芝雅嗣君) 危機管理監宇恵元昭君。
  〔宇恵元昭君、登壇〕
○危機管理監(宇恵元昭君) 東日本大震災への支援と防災対策について、3点の御質問にお答えいたします。
 まず、防災情報の周知につきましては、エリアメールは通常のメールとは違い、県から情報発信すれば瞬時に送信エリアの携帯電話が受信する仕組みとなっております。
 特徴は、事前に携帯電話のアドレスを登録する必要がなく、受信したメールは保存されるため、後に確認することができます。バイブレーションや音声読み上げなどの機能も使用できるため、障害者の方々にも認知いただけるところでございます。また、観光客などにも配信されることから、大津波、津波警報や注意報など、緊急情報が周知できると期待しているところであります。停電時には、直ちに通信が途切れることなく一定期間通じると聞いており、今年度の対策として無停電化、バッテリーの24時間化の対策を講じると聞いております。
 防災行政無線につきましては、市町村が設置、運用を行っており、屋外スピーカーの設置や戸別受信機等の配備については、効果的に情報が伝わるよう市町村が計画しております。戸別受信機や防災ラジオについては、県内市町村で約4万4000台配置されており、主に屋外スピーカーの聞こえない地域の世帯や社会福祉施設、防災拠点、避難施設等に設置されております。
 今後とも、災害情報が迅速かつ確実に伝えられるよう、さまざまな情報手段、伝達手段を研究し、積極的に進めてまいります。
 次に、防災計画の見直しにつきましては、過去の文献調査や過去の津波の痕跡調査は重要であるということは認識しております。今後、中央防災会議において、東海・東南海・南海地震等に係る専門調査会が設置され、研究者による調査について、その中で検証されると聞いておりますので、専門調査会での検討について注視してまいります。
 最後に、津波からの緊急避難場所の確保につきましては、現在、避難所等の緊急点検を行っており、新たな緊急避難先の確保のためには避難路、避難誘導灯の整備が必要であると考えます。
 また、ブロック塀の安全対策につきましては、平成22年度から実施している県民減災運動推進事業の中で、木造住宅耐震化、家具の固定とともに減災効果が高い対策として位置づけて推進をしております。
 県では、これら対策に係る市町村事業への支援を行っているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 県土整備部長森 勝彦君。
  〔森 勝彦君、登壇〕
○県土整備部長(森 勝彦君) 初めに、高速道路への避難路についてでございますが、議員御指摘のように、さきの東日本大震災では、高速道路が救援復旧ルートとして効果を発揮したことに加え、津波襲来時に住民が高速道路ののり面を駆け上がり一時避難したことにより多くの人命が救われたと報告されております。
 こうしたことを踏まえ、近畿自動車道紀勢線の事業中区間等においても、高速道路への避難路の設置や避難場所としての活用などについて、国や関係機関に働きかけてまいります。
 次に、県道の道路改良と事業推進についてでございます。
 まず、県道田辺白浜線ですが、白浜町堅田上から郵便橋間において、議員御指摘のように、JR踏切の前後、上富田町と白浜町にまたがる約200メートルの区間で、特に狭隘というほどではありませんが、2車線が確保できていない区間が残っております。当該区間につきましては、要望もございますことから、白浜町の地籍調査の見通しなども勘案し、今後、地元町とも相談してまいります。
 次に、県道すさみ古座線ですが、すさみ町周参見から小河内地内の未改良区間約5キロメートル間において、平成16年度から現道対策を実施しております。現在、そのうち特に交通の支障となっていた約1.3キロメートルが完成しており、残る区間の事業推進に引き続き努めてまいります。
 また、県道日置川大塔線ですが、白浜町玉伝口から市鹿野間において、平成21年度まで現道対策を実施しておりました。今後も、地元協力が整えば、住民の意見をお聞きしながら狭隘な箇所の現道対策を検討してまいります。
 最後に、県道白浜温泉線の事業推進についてでございますが、国道42号と白浜空港を結ぶ約4.4キロメートルの事業区間のうち、富田川から県道栄岩崎線までの高架区間において工事を進めております。今年度から富田川にかかる橋梁工事及び才野地区の測量・設計を行ってまいります。
 なお、高架区間への津波等緊急時における避難についても、接続する県道などから自転車や徒歩で進入することができるようになっております。
 以上でございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 県立白浜なぎさホームの移転についてお答えいたします。
 県立白浜なぎさホームの移転先の選定につきましては、白浜町に御協力をいただき進めてまいりました。白浜町から提示された複数の候補地の中から、断層の影響が懸念される土地などを除き、検討をした結果、現在の建設地に決定をいたしました。
 移転先が津波ハザードマップにおいて3ないし5メートルの津波浸水が予想されている土地であることから、当初から鉄筋コンクリートづくり3階建てとしておりましたが、さらに今般の東日本大震災の被害状況にかんがみ、想定の2倍の高さの津波浸水にも耐え得る避難場所を屋上に設置するなど、逃げおくれた地域住民の方々や観光客も避難できるよう、津波避難ビルとしての役割を果たすことができる設計としております。
 津波浸水の予想される地域に本施設のような津波避難ビルを整備することは、地域住民等の避難場所の選択肢をふやし、大きな減災効果があるものと考えております。こうしたことから、本施設の建設につきましては、地域の方々からも強く切望されているところでありまして、予定どおり事業を進めてまいりたいと考えてございます。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 商工観光労働部長大門達生君。
  〔大門達生君、登壇〕
○商工観光労働部長(大門達生君) 電力移出県等交付金についてお答えいたします。
 電力移出県等交付金は、公共用の施設整備、住民の利便性向上及び産業の振興に寄与する事業に促進することで、地域住民の福祉の向上を図り、これにより発電用施設の設置及び運転の円滑化に資することを目的としております。
 これまで、本県では、産業振興のための企業誘致活動事業や県内の中小企業等を支援するために、県工業技術センターの機器整備などに活用してまいりました。
 今後の交付金の使用につきましては、引き続き産業振興など交付目的に資するよう、自然エネルギーの普及への使用も含めて検討してまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 農林水産部長増谷行紀君。
  〔増谷行紀君、登壇〕
○農林水産部長(増谷行紀君) 緑の雇用の今後についての御質問4点について、一括してお答え申し上げます。
 緑の雇用事業により、これまで県外から本県に約460名の方々が就業され、このうち引き続き県内で就業されている方々は、その52%、約240名となっております。また、平成15年度から平成22年度までの8年間に、地元での雇用者も含め、本県では緑の雇用事業に約23億円の補助金を活用し、林業担い手の確保とその技術向上を図ってきたところです。
 本年度の国の間伐事業に関しましては、搬出間伐を中心とするものに事業内容が見直されたものの、補助金総額はほぼ前年度と同額を確保できる見通しとなっております。県といたしましては、低コスト林業を推進する中で、こうした事業を有効に活用して搬出間伐を進めており、搬出間伐の促進に向けた作業道整備や林業機械操作の技術研修などについても積極的に実施してきたところです。
 森林組合に対しては、これまでも情報の収集、指導を行ってまいりましたが、今回の本宮町の案件については、第1報を知った4月中旬以降、双方からの聞き取りや双方交えての話し合いの場に出席するなどし、事実関係の把握に努めているところです。結果的に事前の対応に至らなかったことから、今後は森林組合との一層の連携強化を図り、組合指導の充実に努めてまいります。
○副議長(前芝雅嗣君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前芝雅嗣君) 再質問を許します。
 37番高田由一君。
○高田由一君 何点か再質問をさしていただきます。
 危機管理監からは、エリアメールについての詳しい御説明がございました。24時間、電源が切れてもバッテリーで対応できるということを伺って安心したのと同時に、障害を持った方もきちんと情報が伝わる可能性があるということで、大変有益な手段だということが御答弁でもわかりました。
 やはり、地域では戸別の防災無線という要望も強いわけでございますが、そのエリアメールの普及ということにもしっかり取り組んでいただきながら、その辺、勘案して県のほうでしっかりと情報伝達の推進をしていただきたいと思います。これは要望でございます。
 商工観光労働部長の電力移出県交付金についての御答弁、自然エネルギーへの活用ということも文言に入れていただきました。ぜひそうなるように。
 そして、これからは、自然エネルギーを普及するということは、そのこと自体と同時に、そのことで雇用を県内に創出するということにもつながってまいると私は考えております。そういう点でいえば、まさに電力移出県交付金はその目的に合致すると思いますので、そうした点について、ぜひとも力を入れて推進していただきたいというふうに思います。要望でございます。
 農林水産部長からは、緑の雇用の問題について答弁をいただきました。国からの補助金の削減はないというはっきりした答弁がございました。であるなら、私はどう見ても、この解雇された皆様に道理があるというふうに思いました。この問題は、確かに労使間の問題でもございます。解決のためには当事者間の話し合いが今後大切になってまいりますが、県政としては、せっかく補助事業まで──23億円ですか──投入してきた、こういう中で定着してきた方々を、このままほうり出してええのかどうかということが問われるというふうに思います。
 中には、既に和歌山を離れた方も数名いらっしゃると伺いました。そして、先日聞き取りをさしてもらいましたら、一方では解雇された方でも、「私たちは仕事が変わったとしても、この本宮の地元の集落に残って、ここで仕事と子育てを続けたい」という御家族も複数いらっしゃいます。こういうことがあっても、まさに和歌山県民以上にというぐらい和歌山県や本宮町を愛してくれている。その言葉に、私は大変ありがたい話やなというふうに思いました。ほんまにええ方々たちに来ていただいたと思います。
 この上は、知事、せんだって記者会見でお話しされてましたが、県政先頭に立って救済のほうにも全力を注いでいただくことを、この点では強く要望をしておきたいというふうに思います。
 それから、県土整備部長、ごめんなさい。1点目の県道田辺白浜線は一部2車線になってない区間があって、特に狭隘でないと言われましたが、特に狭隘なんです、ほんまに。1回あそこの出っ張ったところを見ていただいたらというふうに思います。ほんまに危ないです。ですから、これだけ地元から要望が上がっているんで、その御認識は変えられたほうがいいと思います。これは要望です。
 それから、なぎさホームの件でございます。
 この県立なぎさホームのことなんですが、先ほど部長の答弁では、町に協力を依頼して、提示された候補地の中から断層のないとこを選んだということなんですが、断層なくても津波が心配なんです。なぜこの移転先を選んだのかという積極的な理由が見えないということを申し上げたいと思います。
 御承知かと思うんですが、移転先の地名は、先ほども申し上げましたとおり白浜町寒サ浦ということでございます。「浦」という字は、陸地につく地名ではないんですね。海だったところなんです。地元の人は、今なぎさホームが移転されようとしているまさにそのところで、昔、よういそ物拾うたというふうに言われております。埋め立ててつくった土地です。
 せんだって現場も見てきましたが、なかなか水が出て大変な工事にもなっているというふうに聞いておりますが、地盤改良すればそういうところへも今の技術を使えば十分建てられるとは思うんですけれども、それにしても、やっぱりわざわざなぜそこへ建てるんよというのが率直な近所の皆さん、また町民の感情なんです。
 ぜひそうした点も含めて再度答弁いただきたいのは、なぜそこに移転したのか。そこがええと思ったから移転したんじゃないんですか。その点を、しっかり答弁をもう一回いただきたいと思います。
 それから、最後に原発の問題でございます。
 知事が従来の3原則という答弁を繰り返さなかったので、ほっといたしました。ですが、現状ではこの原発の計画というのは大変難しいと思うという知事の御答弁でございましたけれども、大変現状では難しいと思う──客観的な状況がこうだから、福島もあってこうだから難しいのか、それとも知事御自身の判断として、もうやっぱり原発やめようという判断に基づいて難しいと言われてるのか、そのあたりをもう一回御答弁いただきたいと思います。
 特に、きのうですが、大阪の平松市長さんも関電へ行かれまして、もちろん大阪には原発計画はないんですが、脱原発にしていこうやないかという提案をされたというふうに伺っておりますので、この点でもう少し踏み込んだ対応というんですか、そういうことを答弁していただきたいなというふうに思って再質問をさせていただきます。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 原子力発電所の立地についてでございますが、まず第1に、案件はありませんということと、それから、現状ではそういうものをつくろうとしても、なかなか難しいんじゃないかというふうな状況を御説明したまででございます。
○副議長(前芝雅嗣君) 福祉保健部長鈴木敏彦君。
  〔鈴木敏彦君、登壇〕
○福祉保健部長(鈴木敏彦君) 県立白浜なぎさホームの移転についての再質問にお答えいたします。
 移転につきましては、以前から白浜町と十分協議を進めてまいりまして、最終4カ所に候補地を絞りました。その4カ所の中で、先ほども答弁させていただきましたが、一部断層の影響が懸念される土地というのがございましたので、ここは排除をいたしました。それからあと、道路から容易に施設内を見通すことができるという、この母子の寮でプライバシーが損なわれるというふうなこともございましたので、そこも排除をいたしました。
 最終、現在のところがベストということで決定をし、なおかつ、先ほども答弁いたしましたが、あの被災がございましたので、再度変更設計をいたしまして、そういう津波に対応する施設としたところでございます。
 以上です。
○副議長(前芝雅嗣君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(前芝雅嗣君) 再々質問を許します。
 37番高田由一君。
○高田由一君 知事から御答弁をいただきました。
 原発の問題について、もう一回聞いたら同じことを言われてもあれなんで、もう聞かないんですが、やはり知事としてこういう方向でやろうよという積極的なアクションというか、御提言をされていくべきときじゃないかなというふうに思いますんで、今回はそのことをぜひ要望しておきたいというふうに思います。
 それと、福祉保健部長、答弁いただきましたが、地元の理解を得るためにも、この避難のタワーをつくってもうた、これは本当にいいことだと思うんです。
 そやけれども、この地図にもありますように、この寒サ浦という地域は、地元の方もおられますけど、これ、谷合いになってるんです。そこへ海が入り組んできたとこで、この谷合いの両側はもう宅地になってるんですよね。だから、わざわざそこへ、津波避難ビルへ逃げんでも、この間、防災課に聞きましたら、より高いところへ逃げよというのが今の流れだそうですから、わざわざそこへ行かいでもええと。
 ただ、私、逃げおくれた方のためにそういうところがあるというのは、それは大事なことだと思うんですよ。そやけれども、やっぱり、繰り返しになりますが、わざわざなぜよというところなんです。
 ですから、私はやはりこの想定見直しで、この赤いところがまた紫色になったり、それ以上になったりするのを大変恐れておりますし、先ほどの地盤の問題もございます。ぜひとも、こういう予算がついた時点ではございますが、御賢察をいただいて、再度の見直しを要望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
○副議長(前芝雅嗣君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で高田由一君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時42分散会

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