平成23年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(尾崎要二議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成23年2月28日(月曜日)

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番尾崎要二君。
 〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 きょうは、外は雨でございます。随分暖かくなってきたなと、春のまぜやなと。戦いの日が日一日と近づいてくるということで、本日最後の質問でありますけれども、議場からも熱気と、そういうのが伝わってくるわけでありますけれども、しばし時間をいただきまして質問をさせていただきたいと思います。
 私からは、関西広域連合、自民党県連との政策協定に係る予算への反映、市町村合併の3点について、報告及び質問をしてまいりたいと思います。
 最初に広域連合について、私と吉井議員は昨年12月の県議会本会議で広域連合議会議員に選出され、本年1月から広域連合議会等に出席しましたので、その状況を報告いたします。
 まず、設立後初めてとなる臨時会に向け1月14日に全員協議会が大阪市内で開催され、議会の発足に伴う会議規則や傍聴規則、臨時会当日の議事等について協議を行いました。
 翌15日の臨時会には、各府県から選出された20名の議員が出席し、議長に大阪府の吉田議員、副議長に京都府の村田議員を選出いたしました。また、井戸広域連合長や仁坂副広域連合長を初め各府県知事からあいさつがあった後、会議規則や条例、平成22年度予算の専決処分案件などを審議し、すべての議案を全会一致で承認をいたしました。
 さらに2月11日には、雪の降り積もる中、2月定例会に向けた議案等説明会が大阪市内で開催され、質疑、質問の取り扱いを中心に協議を行いました。
 2月20日には、昼に全員協議会、午後1時から定例会があり、議案として、平成23年度予算案と広域計画が提案されました。井戸広域連合長や各分野の担当委員から提案説明の後、私や吉井議員を含む11名の議員から質疑、一般質問、理事者からの答弁が行われ、慎重に審議した結果、賛成多数で可決し、休憩なしで午後4時20分に閉会をいたしました。
 一般質問として私からは、広域連合への国の出先機関の丸ごと移管が提案されているが、丸ごとについての3点の懸念、丸ごと移管後の人員削減や移譲される権限、財源の確保について、特に人員については、今まで人員の削減に対して地方に比べて国は汗を流していない、国の行革のツケを広域連合が負わされるのではないかといった指摘もいたしました。
 また、同僚の浅井議員の御案内で有田川へウ飼いに行ったそのことを思い出しまして、ウ飼い船のウに例えて、丸ごと、すなわち丸飲み、有田川のウ飼いのウですら魚を捕獲するときにはしっぽから、背中から、腹からくわえても、飲むときには必ず頭から飲み込むと。ウでさえ飲み込むのに、丸飲みのときにはよく考えてするわけであって、やはり国の出先機関についてもいろいろと考えていくべきだというような話をさせていただきました。
 橋下国出先機関対策委員長から、丸ごと移管とは、国出先機関の早期移管を実現するため、権限、財源、組織の一括移管を求めるものであり、必要に応じて本省権限の移譲も求めたい、財源については今後の国との協議の中で見出したい、財源の域内配分については、今後、議会とも十分議論しながら決定していくべきものと認識していると答弁がありました。
 また、広域職員研修会における人材育成の基本的な考え方と具体的な方策について質問を行い、仁坂広域職員研修担当委員から、今後の広域行政の担い手となる職員を養成したい、次年度以降は内容の充実と専門的な知識習得のための研修を検討したいとの答弁がありました。
 吉井議員からは、広域連合として農林水産物の地産地消の取り組みへの見解について質問が行われ、井戸広域連合長から、域内消費に向けた取り組みについて実施の可能性も含め、構成団体の意見を聞きながら対応していきたいとの答弁がありました。
 また、ドクターヘリ事業の移管に際して、現行サービスの低下を来さないための具体的な方策について質問が行われ、飯泉広域医療担当委員から、既にある府県のサービス水準を基本としながら、複数のドクターヘリの共同運航による二重、三重のセーフティーネットの構築等、新たなメリットを生み出せるように取り組むとの答弁がありました。
 関西広域連合がいよいよ始動し、今後、関西の広域的な行政課題に本格的に取り組もうとしています。また、国に対して権限移譲を迫っています。私と吉井議員は、和歌山県の県益を考えるとともに、広域連合議会の一員として、広域連合の施策が実を結び、関西が一丸となって発展していくように大所高所に立って積極的に意見や提案を行ったり、時には苦言を呈したりしていきたいと考えています。
 以上が、関西広域連合についての報告であります。
 なお、その他資料を各議員に配付をさせていただいておりますので、また後でお目を通していただけましたら。
 それでは、質問に入りたいと思います。
 政策協定の予算への反映についてであります。
 昨年の知事選挙に際し、自由民主党和歌山県連は、仁坂知事に対していち早く推薦を決定し、40項目にわたる政策協定を結びました。先般、会見で知事は、選挙で県民に約束した項目はすべて平成23年度予算案に盛り込んだということを表明されました。まことに力強い限りでありますが、さて、政策協定はどのように盛り込まれたのか、知事にお伺いをしたいと思います。
 2点目の質問は、市町村合併についてであります。
 平成11年以降本格化した平成の合併では、全国の市町村数は、平成11年の3232から平成22年には1727になっています。本県の市町村は、明治、昭和の大合併などを経て昭和39年に田辺市と牟婁町の合併によって7市36町7村の50市町村となり、平成16年に南部町と南部川村が合併し、平仮名の「みなべ町」が誕生するまで40年間、行政区域は変わることなく平成の合併を迎えました。
 その間、市町村を取り巻く環境及びその果たすべき役割は大きく変化いたしました。高度成長の反面、東京への一極集中が進み、国民の生活や意識も多様化し、特に家族やコミュニティーが大きく変貌し、公共サービスの担い手としての市町村に対する負担が増大いたしました。さらに、近年、これまでのように右肩上がりの経済成長が期待できない中で人口の減少、少子高齢化が進展し、国、地方を通じた巨額の債務等の深刻な財政下において複雑・多様化する住民サービスを提供しなければならないなど、市町村を取り巻く環境の厳しさはずっと増しております。
 国においては、平成9年7月の地方分権推進委員会第2次勧告で、国、地方を通じた厳しい財政状況のもと、今後とも増大する市町村に対する行政需要や住民の日常生活、経済活動の一層の広域化に的確に対応するためには、基礎自治体である市町村の行財政能力の向上、効率的な地方行政体制の整備、確立が重要な課題となっている、今まで以上に積極的に自主的な市町村合併を推進するものとするとされ、内閣の諮問の機関である第25次地方制度調査会は、平成10年に市町村の合併がさらに一層推進されるよう、合併の障害の除去、合併後の市町村に対する支援、環境整備のための方策等について充実強化するとともに、特例制度や既存制度が効果的に活用されるための方策を早急に講じ、総合的に支援する必要があると答申されました。
 そこで、市町村合併を推進するため、平成11年、いわゆる地方分権一括法の中で合併特例法が改正され、市となるべき要件の緩和、地方交付税や地方債の特例措置による財政措置など市町村合併推進策が充実されたことにより、平成11年より「平成の合併」が本格的にスタートいたしました。
 本県では、平成13年1月に本県市町村の現状や課題、市町村の合併パターン、そして国、県の取り組み方策を内容とする、和歌山県市町村合併推進要綱が策定されました。その中には、市町村の規模が大きくなることにより保健師、土木技師、建築技師などの専門職員の配置や増員ができる、住民の日常生活圏の拡大に対応した広域的視点に立った公共施設や町の整備、土地利用など、地域の個性を生かしたまちづくりが可能になるといった合併の効果が示される一方で、中心部と周辺部では地域間格差が生じるのではないか、役場が遠くなり、行政サービスが低下するのではないかといった合併に際して懸念される事項も指摘をされておりました。
 そうした中、本県では12の市町村合併が行われ、平成18年には30市町村となりました。合併市町では、市町村合併による効果があらわれてきている一方で、合併に際して懸念されたデメリットもあらわれてきております。例えば、紀美野町として合併した旧美里町地域においては、合併によって役場が出張所となり職員数が減少し、近くの銀行の出張所も廃止をされATMもなくなる状況で、旧役場周辺のにぎわいが低下してきております。そして、喫茶店の閉店やガソリンスタンドの廃業もあり、住民にとって不便さも増してきております。また、海南市と合併した旧下津町地域においても、合併に対して厳しい声が多数聞かれるのが現状であります。
 私は、地域が衰退せず維持されていくためには、地域に核が必要であると考えております。地域を構成する最小の単位は家族であり、御近所を含む自治会が次にあり、それを束ねてきめ細かい要望に対して地域の施策を実施してきた重要な核が町役場でありました。役場を中心として地域が成り立っていたのが地方であり、中山間地域の姿であります。
 まず、家族が少子高齢化、核家族化によって大きく変化し、家族同士での支え合いができなくなったことから、育児や介護などといった点において以前より問題化するケースが多くなり、市町村に対する市民ニーズも増加してきています。このような中で、市町村合併において、地域の核になっていた役場がなくなり、結果的に地域の過疎化、特に中山間地域の過疎化に拍車をかけたのではないでしょうか。
 今申し上げたように、合併後の市町では、合併の際に懸念された事項、デメリット、つまり合併の負の部分が現実のものとなってきております。この負の部分は、人間の病気と同じで、できるだけ早く手当てをする必要があります。合併した市や町では、現在、この合併の負の部分を取り除こうと努力している中で、合併を推進してきた県自身、合併市町の状況についての検証がおろそかになっているのではないでしょうか。県みずから積極的に現状の把握に努め、市町村合併の負の部分も含めて検証を行い、適切に対応する必要があると思います。
 県も田舎暮らし応援事業において関係する町とタッグを組んで実績を上げ、特に紀美野町においては平成18年から平成22年の5年間で22世帯、56名の方に移り住んでいただいております。また、昭和の合併前の旧市町村を単位として過疎対策に取り組むなど、地域の活性化に努力していることは評価をしています。昔、住民総出で川や道路の掃除をやっていたころのように、地域住民みんなで支え合う地域づくりが大切であります。旧美里町真国地区においては、りら創造芸術高等専修学校が開設され、地元住民の皆さんとのすばらしいコミュニティーが築かれております。
 そこで、知事にお伺いいたします。平成の市町村合併について知事の所見をお伺いいたします。
 また、合併市町では、合併時に市町村建設計画を策定し、計画的にまちづくりに取り組んでいると聞いています。そこで、市町村建設計画に基づく各種事業の推進に対する県の姿勢について総務部長に伺いたいと思います。
 以上で、1回目の質問を終わります。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、政策協定の予算への反映でございますが、自民党県連と締結いたしました政策協定は、和歌山の産業を元気にして働く場所をふやす、あるいは県民の安全・安心を守るなど7つの柱で構成されておりまして、自民党県連の方が選挙に際しまして、こういう運動方針でいきたいというようなことで原案をおつくりになって、それを拝見さしていただきましたところ、和歌山を元気にしたいという思いで進めております私の県政と全く同じであるということでございましたので、それでは政策協定という形で表に出しましょうということにいたしました。このように、もともと同じ考えでございますので、当初予算にもこの中身は十分反映しているわけでございます。
 例えば、頑張る地場産業への一貫した支援や企業誘致の推進に向けた北勢田第2工業団地の整備支援など、雇用の場の確保に取り組むとともに、果樹産地の再生対策や鳥獣害対策を大幅に強化することにより農林水産業を振興してまいる。また、国際チャーター便の就航促進など海外からの観光客の誘客を推進するとともに、県民の悲願である紀伊半島を一周する高速道路や京奈和自動車道の早期実現のほか、各生活圏の背骨に当たる川筋ネットワークあるいは府県間道路の整備に集中的に取り組むなど、交通基盤を充実してまいっております。
 さらに、集中豪雨等に対応するため、中小河川の浸水対策予算の大幅拡充、あるいは過疎集落の再生・活性化に引き続き取り組むなど、県民の安全・安心を守るとともに、広く世界で活躍できる人材を育成するため、実践的な英語力を身につけるための授業に新たに取り組むなど、教育の充実にも努めてまいりたいと考えております。
 これからも、このような政策をどんどん進めてまいりたいと考えておりますので、ぜひ御支援、御協力のほどお願い申し上げます。
 次に、「平成の合併」に関する所見でございます。
 「平成の合併」につきましては、和歌山県においては、平成16年10月の南部町と南部川村の合併を初め、平成18年3月の橋本市と高野口町の合併及び白浜町と日置川町との合併まで12の市町村合併が行われました。この結果、専門部署の新設等による行政基盤の強化や各種財政支援を活用した公共施設の耐震化の推進などの効果もあらわれております。
 その一方で、合併後4年から6年が経過した現在においても、旧庁舎の職員数の減少等により旧庁舎周辺部のにぎわいの低下や水道料金等の住民負担の調整の問題など、解決すべき課題を抱えておるところがたくさんあると思います。
 合併市町は、合併後おおむね10年程度を見据えた市町村建設計画に基づきましてこうした課題の解消に努めているところでありますが、県としても、議員御指摘のような問題意識を持って、この課題の解消に一緒に努めるべく努力してまいらなきゃいけないと思っております。
 例えば、そういう観点から、そういう問題意識をもとにして、田舎暮らしプロジェクトとか和歌山版の過疎集落総合支援対策とか、そういう取り組みを幾つか行い、市町村の方々といろいろな議論をしながら、さまざまな施策を通じてこれを支援してまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 総務部長宮地俊明君。
 〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 市町村建設計画に基づく各種事業の推進に対する県の姿勢につきまして、お答え申し上げます。
 合併市町におきましては、これまで市町村建設計画に基づき、緊急性の高い公の施設の耐震化やコミュニティーバスの運行といった各種事業を実施してきているところであります。今後、複合文化施設や消防庁舎などの大規模事業、旧市町村間を結ぶ道路の整備、上水道・簡易水道の整備など、さまざまな事業が実施される予定となっております。
 今後とも、一体的なまちづくりや地域間格差の解消といった観点からの取り組みを着実に進めていくことが必要であると考えております。
 県といたしましても、こうした観点から議員の御指摘を踏まえ、合併市町の状況をよりきめ細かく把握するとともに、市町村建設計画に基づく事業の推進につきまして、引き続き関係部局としっかり連携を図りながら支援してまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 31番尾崎要二君。
○尾崎要二君 我々県議会議員も当局もそうでありますけれども、常に県勢発展のために、また県民のためにということを考えて提案また議論、当局におかれては政策を立てるということでありますけれども、実施した施策が、また提言したことが、言ったとおりに、最初から思っているとおりにすべてが進むかというと、そうもいかないのが現状であろうと思います。
 例えば、文部科学省が子供たちのことを考えてということでゆとり教育を始めたら、子供たちの学力低下を招いてしまったと。また、県下のスポーツの例を挙げますと、競技力向上において大いにその役に立っていた県民総合体育大会というのがございました。それを10年前に、急に県の判断で突然取りやめてしまったと。そして、そのかわりに生まれたのが市町村対抗ジュニア駅伝であります。そのとき私も尋ねました。駅伝の実力は上がるんやろうなと。そこまで大きな犠牲を強いてするのならばと尋ねたところ、マラソンや駅伝の競技力向上に必ずつながるという力強い返事をいただいたんですけれども、今期においても年末年始に各種全国の駅伝大会がございました。本県の成績は、皆さんが御承知のとおりであります。なかなか結果が伴ってこないということであります。
 今回質問した市町村合併についてでありますけれども、当時私も、やはり町というのは適正規模になって、そして住民の生活にそのことがつながっていくんだと信じて賛成の立場でおりました。今になって、それで本当によかったのかなと、今の合併した姿を見さしていただいて自問自答を自分なりにしているところであります。
 合併の後、それぞれの市や町もそれぞれ新しいまちづくりに懸命の努力をされていると、また効果も上がっているということも認めるわけですけれども、合併が中山間地域の過疎化に拍車をかけたということも、これは紛れもない事実だというように感じてございます。
 合併を推進してきた県当局が、合併におけるデメリット、負の部分について情報収集や状況の調査をしなければならないところ、昨年までほとんどその調査をしていなかったという話も承っております。これで本当に地域の痛みに対する対応が県として進めていけるのかどうか、正直なところ不安であります。その辺も十分御留意をいただきたいということも、この場で要望を申し上げておきたいと思います。
 また、多くの県民の支援をいただいて2期目のスタートを切った知事が挙げた「あたたかい」改革についてであります。
 「あたたかい」という言葉をとってしまうと、「改革」という言葉が残るわけであります。おおむね世間では改革、改革と言えば響きがよいように聞こえますが、響きのよさの裏というか、影には厳しい政策を地方などに押しつけていくというようなところもよく見かけられるわけであります。効率性というのは無視はいたしませんけれども、効率性のみに余りにも目を奪われて、広く深く物事を見る姿勢に陰りが出ることが出ないように、知事にはひとつ十分そういうことを求めてまいりたいと思っております。
 多くの皆さんの期待にこたえて温かい県政を進めていく上においては、アンテナを高くしてきめ細かく情報を集め、広い視野で常に結果を検証しながら、謙虚な姿勢で県政を進めていただくよう要望しておきたいと思います。
 最後に、今期をもって御勇退を決意された大先輩の町田先生、また最長老の小川先生、そして同期の松本先生、野見山先生、原先生、今日までの御活躍に対して敬意と感謝を申し上げ、また、賜りました数々の御厚情に対して心からお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 勇退後も健康に十分御注意いただいて、また御指導のほうもよろしくお願いを申し上げたいと思います。本当に御苦労さまでございました。感謝の気持ちを伝えて、以上で質問を終わります。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎要二君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
 午後2時20分散会

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