平成23年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(藤井健太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成23年2月28日(月曜日)

 午後1時0分再開
○副議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
 〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 皆さん、こんにちは。昼1番の質問でございますが、ひとつ最後までおつき合いのほどよろしくお願いいたします。(「わかりました」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 議長のお許しを得ましたので、一般質問を行います。質問に先立ちまして、去る22日、ニュージーランドで発生をいたしましたマグニチュード6.3の地震では、建物の崩壊により多くの人が犠牲になりました。いまだ行方知れずの方が日本人を含めたくさんいらっしゃいますが、安否が気遣われております。無事に救出されることを祈るばかりでございます。
 日本と同様に有数の地震国でもあるニュージーランドですが、今回の地震で耐震基準に対応していない古い建物や地盤の悪い場所の建物、補強されていない石造りの建物が集中的に倒壊をいたしました。改めて、本県の地盤や構造物の検証と耐震化を急ぐことが急務になっていると強く感じた次第です。
 また、鳥インフルエンザへの対応では、危機管理の重要性を教えてくれました。素早い対応が被害の拡大防止につながります。昼夜を分かたず奮闘された関係者の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。
 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず、経済対策について知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 ことしの2月に内閣府が発表いたしました昨年10月から12月期の国内総生産速報に関する報道を見ておりますと、国内の実質成長率は前期比で0.3%の減、年率換算では1.1%の減と、5四半期ぶりに国内経済がマイナス成長となりました。その主たる要因としては、国内総生産の55%を占めている家計消費が大幅減になったということが指摘をされております。家計消費が落ち込んだ理由としては、家計の消費力を支える勤労者の所得が長期にわたり減少を続け、その上にエコカー補助金や家電エコポイントなどの消費を誘導する政策が終了または縮小したことが響いたと、このようなことが言われております。
 確かに、昨年の雇用者報酬は、バブル崩壊直後の平成4年以来の低水準にありまして、雇用者に占める非正規での働き方は過去最高の34%に達するなど、家計所得の低迷と雇用の不安定化が進んでおります。
 一方、株式上場している大企業の経常利益は5期連続増益ということです。これらのことを考えてみますと、大企業が増益になっても、家計の所得や雇用が安定しなければ経済の自律的な回復にはつながらないことを示していると思います。
 持続的な経済成長に結びつけるには、働き方の非正規から正規への転換で安定した雇用をふやし、最低賃金の大幅引き上げなど、雇用者報酬の引き上げで家計を温め、内需を拡大する経済政策がどうしても必要だと強く感じるところです。果たして新年度の状況に期待が持てるでしょうか。高卒、大卒の新卒者の就職状況は依然として厳しく、公的年金は5年ぶりとなる0.4%の引き下げが予定をされ、ことしに入って食料品や燃料価格の値上げが相次いでいるなど、将来の暮らし向きに不安が増大をしております。
 知事は、新年度の予算編成の基本的な考え方として、県内産業の活力強化を初めとする「未来を拓く『希望』の政策」と、県民の暮らしに直結する医療や福祉など「命とくらしの現在を守る『安心の政策』」を2つの柱として編成作業を行ったと言われております。
 昨年の県内企業の動向では、県税における法人税収で見ますと、今年度の最終補正、新年度当初予算とも増額計上されておりますが、東京商工リサーチ和歌山支店調べによると、この4年間、3けたの倒産が続いております。昨年の倒産件数は148件で、建設業が最多の52件、サービス業31件、小売業27件、製造業21件と続き、販売不振など売り上げの低迷による不況型倒産は134件、小売業は前年の倍の倒産と消費が冷え込んでいることがうかがえます。
 雇用の動向では、有効求人倍率は昨年12月で年間最高の0.65倍、知事は近畿では最高になっていると言いますが、平成19年当時の0.90倍にまでには回復をいたしておりません。県内企業のほとんどは中小零細の事業所であり、県民の雇用の場でもあることから、県内に根差している地元の中小事業者に活力をつけていくことこそが、県経済を浮揚させていく上で最大の課題でもあると思います。国の経済対策、生活対策としての補正予算で措置されたふるさと雇用、緊急雇用などの基金事業や公共事業に活用できる交付金事業はほとんどが新年度で終了するわけですが、それらの有効活用はもとより、県の予算で中小事業者の仕事づくりを支援し、新たな雇用と所得を生み出し、それが購買力の向上となり、地域で消費されるという地域での経済循環をつくり出していくことが県経済の浮揚につながっていくのではないかと考えます。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 知事は、本県経済の現状と先行きをどのように見られているのでしょうか。そして、仕事と雇用づくりの新年度予算と施策はどのようなものとなっているのでしょうか。
 知事は、昨年12月議会冒頭の所信表明で、県経済の活性化、地域が元気を取り戻すために働く場がもっと必要で、和歌山の元気創造につながる分野で日本一と言われる振興策を講じてまいると言われました。それは、和歌山経済が抱える課題の解決につながるものであることが求められておりますし、当初予算でどのような施策、予算としてあらわれているでしょうか。県内事業者の仕事づくりや雇用の拡大などにどのような成果が期待できるのでしょうか。知事にお尋ねをいたします。
 続いて、官公需の地元中小事業者への発注機会の拡大を求めたいと思います。
 21年度の決算でも審議しましたが、国の経済対策としての交付金を活用して、学校へのデジタルテレビやパソコンを購入する事業で、地元中小事業者への発注割合が13%と全国最低クラスとなったことがありました。同じ事業で同規模金額の発注を100%地元中小企業に発注した県が幾つもあったことを考えますと、改めて官公需のあり方についての考え方をお尋ねしておきたいと思います。
 官公需とは、御承知のように、国や自治体などの公的機関が業務のために使用する備品・消耗品などの物品を購入したり、みずから管理する施設などの清掃や警備などの役務、公共施設の建設、道路・河川の改修などの工事を発注する公共調達のことと言われております。県の21年度官公需契約額は705億円ということですが、発注の原資は税金ですから、発注に際しては公正性、経済性、透明性が求められ、経済性ということからいえば1円でも安いほうがいいということになります。経済性のみを追求すれば、物品購入でいいますと、競争入札で大量に取り扱う大手業者に一括発注するほうが有利となります。
 しかし一方では、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律で、中小事業者の受注機会の増大を図ることが定められております。これに基づき、国は毎年、官公需についての方針を閣議決定し、官公需額のうち中小事業者への発注金額と比率などの目標を発表し、翌年、実績を公表することになっております。ここには経済性の追求だけではない、中小企業施策や地域の振興策などからの要請にこたえなければならない官公需の社会的側面があります。
 官公需法では、地方自治体に対しても同様の施策を講じるように求めております。また、官公需は単に中小事業者への発注割合をふやせばいいというものだけではありません。際限ないダンピング競争が行われていれば中小企業振興とは言えず、地域経済を潤していることにはつながりません。そういう点も加味しておくことが必要だと思います。
 群馬県、千葉県など幾つかの県では、官公需のあり方についての方針と計画を持ち、全庁的に取り組んでいるところもあります。
 中小企業庁の資料によりますと、21年度の和歌山市を含んでの数字ですが、本県の官公需総額に占める中小企業向け発注額の割合は77.4%、全国で32位という状況です。発注割合が85%を超えている自治体が16団体あることからも、県においてまだまだ改善の余地があるようにも思います。官公需の地元中小事業者への発注の機会の拡大についてどのように取り組んでいるのか、お尋ねをいたします。実績の推移はどうか。新年度の方針と計画はあるのでしょうか。
 発注割合を高める工夫をする上で、目標を持って取り組むことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。中小企業振興につながるという点から、商工観光労働部長の見解をお伺いいたします。
 あわせて、少額随意契約制度の活用を要望しておきたいと思います。
 地方自治法で少額随意契約制度の定めがあります。入札参加資格の要件に満たない小規模零細事業者に自治体が直接発注できる仕組みです。あくまでも発注の原則は競争入札であって、少額であっても可能な限り競争入札するほうが望ましいわけですが、それでは小規模事業者を公共調達から排除することになりかねず、中小事業者振興という立場から見れば、できるだけ多くの事業者に仕事が行き渡ることが求められております。公共施設や学校の地域など小さい範囲での少額発注についてのあり方として検討してみてはいかがでしょうか。これは要望としておきたいと思います。
 続いて、中小企業向け制度融資の問題についてお尋ねをいたします。
 中小企業の経営破綻の回避や資金繰りに応じるため、国の景気対策として実施をされておりました景気対応緊急保証制度がことしの3月末で終了することとなっております。中小企業のほぼ全業種を対象として、長期低利の融資を信用保証協会が100%保証するもので、県内事業者の資金需要にこたえてまいりました。4月以降は原則として100%保証を打ち切り、金融機関が2割のリスクを負担する責任共有制度に戻すということです。激変緩和措置として指定業種を約6割の48業種に絞り込み、半年間実施し、10月からは業種指定要件をもとの20業種に戻すとしています。その結果、保証承諾額は現行の緊急保証制度の約4割に減じるとも言われております。
 中小企業の景況は、平成20年のリーマンショック以前に戻ったのでしょうか。業種全体としては売上高が減少していなくても、個々の事業者においては売上高が大きく減少している事業者もあります。業種指定から外されれば100%保証の対象にはならず、セーフティーネット保証を最も必要とする事業者の資金繰りが緊急保証制度の終了によって苦境に立たされることになりはしないか懸念がされるところです。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
 1点目、緊急保証制度終了後の融資制度はどうなるのか。国の全業種を対象とする緊急保証制度が終了、縮小していくことになりますが、資金需要はなくなったわけではありません。今後の中小企業向け制度融資のあり方はどうなるのでしょうか。資金需要にどのように対応していくのか。
 2点目、新規開業資金の充実を求めたいと思います。
 新規開業資金の必要額の確保と、借りやすくするためへの対応を考えてもらいたいということです。職を失った人や転職を考えている人から開業したいという相談を受けることがありますが、現実的にはなかなかハードルが高くて、元手が少なければ保証協会の保証も得にくくなります。新規開業を目指す人への応援をより強化していくために、開業に当たってのノウハウの助言はもとより、とりわけ開業資金の手だてを厚くしていくことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 続いて、住宅リフォーム助成制度についてお尋ねをいたします。
 住宅の改築や増築の際に経費の一部を補助する制度が、建築関連の中小事業者の仕事づくり、地域の経済対策として全国約1800自治体の中で1割を超える自治体が取り組むまでに、急速に広がりを見せております。本県でも既に実施されています耐震改修、太陽光発電、紀州材の活用、合併浄化槽の設置などへの補助制度や、国が実施する住宅エコポイント制度にとどまらず、広く一般的な住宅改修に対応する補助制度として、地元業者への発注を条件に補助対象工事、補助率、補助限度額などを定めて実施されています。
 昨年の2月議会でも紹介いたしましたが、県としては秋田県が昨年3月から住宅リフォーム緊急支援事業を立ち上げ、リフォーム工事に要する費用が50万円を超える工事に対して10%相当額、20万円を限度として、当初12億6000万円の予算で7000戸を対象として始めました。半年足らずで6939戸の実績、工事出来高152億5000万円に達したということです。
 秋田県では当初予算を上回る見込みのため、8月の臨時議会で8億4600万円の増額予算を組み、目標1万5000戸、予算額を21億6000万円にふやし、目標を達成すれば県経済への波及効果は約240億円と推計をしております。本県の耐震改修制度が60万円を限度としているにもかかわらず、6年かけて376戸の実績であることを考えますと、一般的な住宅リフォーム助成制度がいかに活用されているかがよくわかります。
 山形県では、新年度、耐震化、省エネ、バリアフリー、県産材活用のいずれかを含む一般的な住宅リフォーム工事に対して6000戸分、6億3100万円の当初予算を組むなど、それぞれの自治体で特色はあるものの、リフォームを促進させるものとして経済効果、事業効果に着目し、地域振興や省エネに資する事業として取り組まれております。
 近畿では、奈良県が新年度から国の住宅エコポイント制度を利用して、エコリフォームを行う住宅で、県の景観計画への適合、耐震改修、県産材活用のどれかを行うか、それ以外で50万円以上のリフォーム工事を県内事業者に発注した場合、補助を行う制度をスタートさせるということで、当初予算に1億400万円を計上しております。
 本県においても耐震改修制度を創設したその時期には、1年間に500戸の改修を目標に1億5000万円の予算を組んだ時期もありましたが、その年度の実績は48戸、1440万円の執行に終わったこともありました。予算の有効活用を考えれば、改修の対象を一般的なリフォーム工事に拡大をすればいいわけです。
 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 住宅リフォーム助成制度の経済効果、事業効果についてでありますが、住宅リフォームへの補助はリフォームの促進につながることから、住宅関連産業の仕事づくりなどの経済効果、安全・安心で快適な居住の確保など、県民生活にとっても事業効果が期待できると思われますが、どのようにお考えでしょうか。
 また、県制度としての耐震改修の促進、県産材の利用促進にもなり、今議会にも提案されております景観条例、景観づくり協定などによる改修の推進などにも寄与できると考えるが、どうでしょうか。ぜひ制度実現に向けての検討を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、行財政改革について知事にお尋ねをいたします。
 長期総合計画の策定にあわせて、平成20年3月に平成20年度から24年度までの5年間を計画期間とする新行財政改革推進プランが策定されております。平成24年度を最終年度に歳入歳出の収支不足額ゼロを目指すもので、収支の均衡を図るために職員定数の削減、給与抑制など人件費の縮減、事務事業の見直し、投資的経費の抑制、県債の償還期間の長期化を行うことで、5年間で687億円の歳出削減を図り、歳入確保として県税収入の確保、退職手当債、行革債などの財源対策のための県債の活用、未利用県有財産の処分などを挙げ、歳入で690億円の確保を行い、合計1377億円の改善を図るとしています。その間、各年度で生じる収支不足額を財政調整基金と県債管理基金からの取り崩しで補い、23年度で基金からの取り崩しは終わり、収支均衡の図れた24年度には両基金残高を22億円と見込む計画となっております。
 新年度の行革推進プランの予定を見てみますと、収支不足23億円を基金からの取り崩しで補い、県債管理基金、財政調整基金の残高は22億円としております。一方、新年度当初予算を見てみますと、収支不足が16億円出ると見込んで、県債管理基金から取り崩すこととしておりますが、両基金の新年度末の残高は200億円を見込んでおります。プランでは両基金残高は毎年の取り崩しによって減っていく計画となっていましたが、しかし実際には基金を積み上げてきております。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 1点目、新行革プランと比較して県財政はどのようになってきていると考えておられるのでしょうか。新行革プランの数値が持続可能な財政構造の確立を目指すというものであるならば、基金残高が既にプランの22億円から200億円へと10倍近くにもなっていることを見ますと、既に前倒しで確立できているのではないでしょうか。
 2点目、福祉医療制度の充実を求めたいと思います。
 知事は、福祉や教育、過疎対策など、後退させることなくさらに伸ばしていく、それが「あたたかい改革」だというふうに言われまして、「あたたかい改革」を進めると言われております。県単独の福祉医療制度についての取り組みについて、どう考えているのかをお尋ねしておきます。
 これまでに県は、老人医療費助成の所得制限の強化によって対象者の縮小を進め、重度心身障害者医療費助成の対象者から65歳以上で新たに重度障害になった人は助成の対象から外しました。そして、08年には重度心身障害者医療やひとり親家庭医療については自己負担の導入の検討を行われてきました。これらは、知事の言う「あたたかい改革」とは逆の方向だと思います。今日の経済状況のもとでは、福祉医療制度の拡充、底上げこそが望まれる方向だと思いますが、いかがでしょうか。
 今年度の最終補正予算では、福祉医療制度などに対応するための福祉対策基金へ新たに30億円が積み立てられまして、残高も85億円と膨らんできております。基金に積み立てるばかりではなく、関係者からの要望も強い精神医療や訪問看護の福祉医療制度への追加を求めたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 最後に、指定管理者制度のあり方についてお尋ねをいたします。
 平成15年の自治法改正によって、公の施設の管理主体の範囲を出資法人に限定していたものを民間の事業者にまで広げる指定管理者制度が導入され、県は平成18年度からこれまで管理委託に出していた施設や直営施設について指定管理者制度に移行させました。指定管理者制度は、民間事業者にまで管理委託を拡大することで、住民サービスの向上が図れ、かつ行政経費の削減が図れることを目的に創設をされております。施設の使用料は指定管理者の収入となることから、利用者がふえればふえるほど収入はふえることになります。
 一方、経費の削減は人件費の削減が中心となっており、施設を管理する職員は常勤職員から非常勤職員やアルバイトへの置きかえが進められました。利用者増と経費削減を追求していくもとで、全国的にも指定管理者制度への取り組みについて問題点も指摘されるようになり、昨年12月、総務省自治行政局長名で全国の自治体に対して、改めて指定管理者制度の運用について8項目にわたる留意事項を指摘して、適切な運用を求める通知を出しております。
 通知の特徴的な内容としては、施設の設置目的を効果的に達成するために活用できる制度であること、事業者選定は公共サービス水準の確保という要請を満たすものであり、単なる価格競争による入札ではないこと、事業者が労働法令の遵守や雇用、労働条件への適切な配慮をしているか留意をすることなど、公の施設の設置目的が十分達成され、そこで雇用されている労働者の労働条件にも目配りすることを求めております。時期にかなった通知だと思いますが、関係部長に幾つかお尋ねいたします。
 1点目、わかやま館を直営にする理由と今後の方針について。今議会にマリーナシティにあるわかやま館を指定管理者から外す議案が提案されています。わかやま館の有効活用を図るということで指定管理にしたと思うのですが、施設の設置目的が効果的に達成されなかったのでしょうか。また、指定管理料1億812万だったのに対して、直営にした場合の管理運営経費を7045万円と安く見積もっていますが、直営にしたほうが経費節減となるのでしょうか。どのような運営を考えているのでしょうか。
 また、わかやま館の今後の方針はどうするのか。どういう見通しを持って運営に当たろうとしているのか、お尋ねします。
 2点目、指定管理者制度のこれまでの実績についての評価はどうか。指定管理者制度が実施をされて既に5年が経過をしております。これまでの実績についてどのような評価をされているのでしょうか。
 3点目に、総務省通知についての検証はされたのでしょうか。指定管理者制度には経費の削減の追求のみが目的ではなく、サービスの質量の向上と同時に、適切な労働条件の確保が求められているところですが、総務省通知を受けての今後の方針についてお尋ねをいたしまして、私の第1問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、県経済の現況と先行きについてでございます。
 鉄鋼、化学などの一部の業種を除き、回復への懸念要因が払拭されたとは言えない状況であります。中小零細企業が多く、加えて下請要素が強いこともありまして、グローバル化、ニーズの多様化への対応のおくれなどにより、全般的には低迷状況が続いているものと考えております。
 一方、厳しい状況の中にあって、地域資源活用等による新商品開発や海外展示会への出店などによる販路開拓を進めるやる気のある企業が、業種を問わず数多く出てまいりまして、一部にそういう意味で前向きの動きが出てきていると思います。
 本県経済の活性化、雇用創出のためには、このような県内企業の活力強化が最重点課題と考えております。新年度予算では、経営相談、金融支援などの下支えの施策とともに、技術開発、販売促進、異業種交流(産学官の連携)を中心とした競争力の強化政策を進めているところでございます。
 この方針のもと、先駆的な研究開発助成の大幅な増額や首都圏での販路開拓、プレミア和歌山の販売促進、地場産業ブランド力強化支援などの新規事業を初めとした施策に一層取り組んでまいる所存でございます。また、国内外からの企業誘致とともに、雇用基金の活用により、切れ目のない雇用創出に取り組んでまいります。
 私は、本県の産業政策が、本県特有の地域の実情に応じた課題について地域全体の力を結集し、人口減少に苦しむ地域の新たな解決策のいわばモデルともなり得るように振興策に全力をもって取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、行財政改革プラン、新行財政改革推進プランと県財政の現状はということであります。
 私は、これまで新行財政改革推進プランに基づく人件費の抑制や事務事業の見直しなどにより収支不足額の縮小に取り組むとともに、地方交付税を初めとする地方税財源の充実・確保について国に対して強く働きかけてまいりました。平成23年度当初予算においては、こうした取り組みの成果もあり、収支不足額を16億円に圧縮し、将来の財政需要に的確に対応するために必要となる基金の減少を最小限にとどめることができたと思っております。
 現状では、基金残高については当初の新行財政改革推進プランを想定したときの水準よりも上がっておりますが、基金残高だけの問題ではありませんで、毎年の収支構造も変えていかないと、この基金を取り崩してしまって終わりということになりかねません。したがいまして、この収支構造については今のところ当初の想定のような形で推移しているというふうに考えております。
 しかしながら、先行き不透明な社会経済情勢や社会保障関係経費等の一層の増加が見込まれる中で、元気な和歌山を実現するためには、引き続き持続可能な財政構造の確立と新政策の推進、和歌山を元気にするためにもっともっといろんなことをやりたいという2つの目標を両立さしていく必要が依然としてあると考えております。
 その中で、重度障害のある方やひとり親家庭等を対象とする県単独医療費助成制度がございます。これについては、平成20年度に新行財政改革推進プランの趣旨に基づき、見直しを検討いたしましたけれども、県議会を初め市町村長及び関係団体の皆様からの御意見を十分踏まえて、一部自己負担の導入という案があったんですが、それを見送りまして、平成21年度以降も現行制度を維持しているところであります。
 本プランでは、財政状況を考慮しつつ見直しを検討していくこととしていますが、県単独医療費助成制度の必要性は認識しておりまして、今後も安心して医療を受けていただくためには、県単独医療費助成制度を将来にわたり持続可能なものにするということが重要であると考えております。
 また、精神障害のある方々や訪問看護療養費を重度心身障害者医療費助成制度の対象に加えて本制度を充実させることにつきましては、現行の対象者を含めた県単独医療費助成制度全体の中で総合的に検討してまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
 〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 官公需の実績の推移でございますが、平成19年度は県の中小企業者向け契約比率79.9%、平成20年度は70.7%、直近の平成21年度は77.5%で、金額ベースでは和歌山県の官公需総額705億4100万円のうち547億300万円が中小企業者の契約金額となっております。また、平成21年度の国の中小企業者向け契約比率53.1%、全都道府県平均75.9%となっており、いずれも和歌山県の契約比率は上回っております。
 新年度の方針と計画につきましては、県ではこれまでと同様に国の方針に準じて中小企業者の受注機会の増大のための措置を徹底するよう庁内等に周知を図り、一層の契約比率の向上に努めていく所存です。
 目標設定については、国の実績及び全国平均とも上回っていることから、現在のところ独自に目標を定める予定はありません。しかしながら、地元中小企業者への発注の増大を図るためには庁内等への徹底的な周知は欠かせないと考えておりますので、引き続き粘り強く取り組んでまいります。
 次に、中小企業向け制度融資についてお答えします。
 まず初めに、今後の中小企業向け制度融資のあり方についてですが、議員御指摘のとおり、本年3月末で国の緊急保証制度が終了するわけでございますが、業況の特に悪化している業種に対するセーフティネット保証(5号)制度は段階的に縮小されるものの、存続することから、これらの方々には引き続きこれまで同様の手厚い支援を行ってまいります。
 また、4月以降セーフティネット保証(5号)の対象から外れる業種の方々に対しては、まずは3月までに緊急保証の利用を検討いただくよう周知徹底を図るとともに、4月以降は、小企業応援資金といった信用保証協会100%保証の制度を活用した有利な資金の利用促進を初め経営支援資金・一般枠など、既存の責任共有制度対象資金でも支援してまいります。加えて、金融機関に対しましても、これまで同様、円滑に資金供給を行うよう、機会をとらまえて要請してまいります。
 次に、新規開業資金の対応についてですが、平成23年度から新規融資枠を10億円から20億円に引き上げ、必要額の確保を図ってまいります。また、金融機関への預託と保証料補助により近畿府県の中でも最大規模の利用者負担の軽減策を講じるとともに、1000万円までは自己資金要件を緩和するなど、これまでも有利で使い勝手のよい資金となるよう必要な見直しを行っており、引き続き金融機関や信用保証協会と連携して、新規開業者の資金需要に的確に対応してまいります。
 次に、わかやま館についてでございますが、わかやま館は平成6年に開催されました世界リゾート博の本県パビリオンとして開館し、以降、本県の文化の発展、観光の振興に大きな役割を果たしてまいりました。
 平成18年度からは指定管理者制度を活用し、サービスの向上に取り組んでまいりましたが、時代の流れとともに、県の施設としての必要性が低下する中で、平成21年2月に策定した新行財政改革推進プランの実施方針についてでは、建物を存続しながら売却または貸付手法等を検討すると決定したところです。そのため、平成23年度は必要最小限の維持管理にとどめることにより経費を大幅に削減した上で、県による直営の施設として管理、運営するとともに、売却等の検討を鋭意進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 県土整備部長原 広之君。
 〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 「住宅リフォーム助成制度の経済効果、事業効果は」及び「制度創設に向けての検討を」の2点についてお答えいたします。
 住宅産業は、関連する業種が多く、すそ野の広い産業であり、経済に及ぼす効果は大きいとされており、国は省エネルギー対策としての住宅エコポイントや、地場産材を用いた長期優良住宅への助成などを緊急経済対策に盛り込んでいるところでございます。
 県としては、県民の安全・安心な居住の確保のために耐震化やバリアフリー化のリフォーム助成制度を設けるとともに、国及び県の助成制度をわかりやすく説明するパンフレットの作成や、総合的な相談窓口の設置など、助成制度の周知に努めているところでございます。
 さらに来年度より、木造住宅の耐震改修をより促進するため補助要件の緩和を行うとともに、地域材の振興のため、新築、増築を対象とした紀州材を用いた住宅に対する補助戸数を倍増してまいりたいと考えております。
 これらの各種助成制度をフルに活用することにより、喫緊の課題である東南海・南海地震や高齢化社会への対応を図るとともに、地元業者の仕事づくりなど、地域経済への効果も見込まれるものと考えております。今後とも、現行の各種制度をより多くの方に御利用いただけますよう積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 総務部長宮地俊明君。
 〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 指定管理者制度につきましては、導入施設におきまして利用者の増加や利便性の向上が図られるなど、住民サービスの向上に寄与するものと評価しております。
 昨年12月の総務省通知は、指定管理者制度の運用面での留意点等を周知するものでありますが、本県におきましても、住民サービスの向上という目的に絶えず留意しながら制度の運用を行っており、毎年、施設の管理状況や利用状況、利用者意見等についてモニタリング調査を実施しているところであります。今後とも、施設の運営状況等を十分把握しながら指定管理者制度を活用してまいります。
 なお、議員御指摘の適切な労働条件の確保につきましては、指定管理料の上限額の設定に当たってサービスの質の確保やこれまでの実績等を十分に踏まえるとともに、指定管理者の選定に当たりましては、制度の趣旨に沿って金額面も含め総合的に判断しているところであります。また、今後、指定管理者との協定締結時などに労働法令の遵守等について徹底を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 要望を2点ばかりさしていただきたいと思います。
 まず官公需の問題ですが、商工観光労働部長からは、全国53%を大きく上回っていて、全国平均を上回っているというようなことで、方針は今のところ考えはないというお話でしたが、和歌山県というのは御承知のように、非常に中小零細事業者の多い県でございまして、製造業などは20人以下の事業所というのが約9割を占めるという全国でも最高の位置になってるわけですが、全国的には11の都道府県が官公需の中小企業向け発注の機会の拡大についてということで、方針を現在持っております。和歌山は現在、21年度では32位ですから、全国的に見て決して、平均より上だと言うけども、中小零細事業者が多い割には少ないなという感は否めないと思うんですね。
 受注件数や受注金額というのは、結果の問題ですから、要はどんだけ発注の機会を広げていくのかということが大事なわけです。発注する部署は県庁の中に幾つもありまして、それぞれに発注をふやせ、ふやせと、こう言っているだけではなくて、やっぱりどこにどういう問題点があってというようなことを、きちんと全庁的に検証していく機会というものをつくって、その中で目標づくりを進めていくということが私は大事じゃないかなというふうに思っております。
 官公需の果たす役割とか、発注の機会をふやしていく意識づけというんですか、そういうことにもなってこようかと思うんですね。これまでにも受注は地元業者に受注をしても、しかし、そこから県内で製造できるにもかかわらず県外へ製造が発注されている問題であるとか、ISOの認証向上で製造することという条件をつけてみたりとか、そういった問題点を指摘してまいりましたが、こういうふうに受注機会を狭めるような条件をつけるということも過去行われてまいりました。やっぱりこういった問題もほかに多々あるのではないかと思うんですね。そういったことも含めて、そういう意味でぜひ地元中小企業向け発注機会の拡大について課題を洗い出して、全庁協議の契機にもしていって方針づくりを進めてもらいたいと、これはぜひ強く要望しておきたいと思うんです。考えていただきたいと思います。
 もう1点は、住宅リフォーム助成制度の問題ですが、県土整備部長からは住宅産業の及ぼす経済効果は大きいという認識を示されまして、それで、現在の助成制度の充実と周知に取り組んでいくということでした。
 それはそれで結構だと思うんですが、じゃあ、なぜ今こんなに全国多くで、そういう耐震改修やエコ制度があって、さらにその上に一般的な住宅リフォーム制度を乗せてきているのかということなんですね。やっぱりそれはそれだけ住宅リフォームの助成対象というのは広いわけですから、それを現在やっている耐震改修なり太陽光発電なりに上乗せをするということによって、経済効果、事業効果がけた違いに大きくなるということになるわけです。秋田県の例を見れば、それははっきりとわかると思うんですが、同時に、そのリフォーム工事の促進をさしていくということそのものが耐震改修や県産材の活用にもつながってくるということです。
 本県の耐震診断は、平成16年度から21年度の6年間で8035戸の実績があるわけなんですね。それで、耐震改修が必要とされる構造評点0.7未満の住宅というのは約6200戸、6199戸あるということで、77%あるということなんです。だから、7000戸近い住宅がつぶれちゃうよというようなことを耐震診断で言われてるんですが、耐震改修の補助制度が使われたのは376戸。この6年間で耐震改修予算というのは、何と5億2800万円の予算をつけてるんですが、実際に使われたのは1億1000万足らずで、80%が不用額にしてるわけなんですね。これはいかにももったいないと思いませんか。だから、この耐震改修に一般リフォームを拡大して、この予算だけでも補助金は、私は十分消化できると思うんです。
 新年度で補助要件を評点1.0未満の住宅でも改修制度を使えるようにするよということなんですが、問題はこの評点0.7未満、大きな地震が来たらつぶれちゃうよという住宅の耐震改修をより早く、早期に耐震化するということが望まれてると思うんですね。
 今、建築士さんの話なんかを聞きますと、耐震診断に行きますと確かに評点は低いと。それ以上に柱がシロアリで被害を受けていたり、壁などの剥落があったりと、ほかにこの耐震改修以上に直すところがいっぱいあるんだと。そういうことを指摘すると、なかなか改修というところに踏み切っていただけないというふうなことも言われております。
 ですから、そこにも一般的な住宅リフォーム助成制度の意義がやっぱり耐震改修を促進させるし、幅広い建築事業者の皆さんの経済効果にもなり、快適、安全な住宅づくりにもなると。それがやはり何百戸という対象ではなくて何千戸ということが一遍にできるということに私は大きい効果があるんじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひその辺も予算はあるわけですから、やり方の問題として十分に検討していっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。

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