平成23年2月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(全文)


県議会の活動

平成23年2月
和歌山県議会定例会会議録
第6号
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議事日程 第6号
 平成23年2月28日(月曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第39号まで、議案第41号から議案第43号まで、議案第45号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第69号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第39号まで、議案第41号から議案第43号まで、議案第45号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第69号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(44人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 森 礼子
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 服部 一
 28番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 浦口高典
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
 16番 欠員
37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事 仁坂吉伸
 副知事 下 宏
 知事室長 曽根義廣
 国体推進監 中村正次
 危機管理監 前硲健作
 総務部長 宮地俊明
 企画部長 柏原康文
 環境生活部長 保田栄一
 福祉保健部長 西上邦雄
 商工観光労働部長 岡本賢司
 農林水産部長 阪中栄一
 県土整備部長 原 広之
 会計管理者 神田泰仁
 教育委員会委員 山下郁夫
 教育長 山口裕市
 公安委員会委員長 大桑いく嗣
 警察本部長 山岸直人
 人事委員会委員長 守屋駿二
 代表監査委員 楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 森田実美
 次長 佐本 明
 議事課長 堀 達也
 議事課副課長 吉田政弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任 中尾祐一
 議事課主査 保田良春
 議事課主査 中村安隆
 議事課主事 的場健司
 総務課長 上坊 晃
 調査課長 中井祥之
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 午前10時1分開議
○議長(谷 洋一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第39号まで、議案第41号から議案第43号まで、議案第45号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第69号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 36番長坂隆司君。
 〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 皆さん、おはようございます。任期最後の議会で一般質問をさせていただく機会をちょうだいしまして、本当にありがとうございます。以下、通告に従いまして4点、一般質問をさせていただきます。
 1番目、新年度を迎えるに当たって。
 1つ目に、仁坂知事は昨年11月の知事選を戦われて圧倒的な勝利をおさめられました。その節はおめでとうございました。しかしながら、今回の選挙は、仁坂知事にとっても、準備期間もありましたし、対立候補の当初の積極的な活動もあって、決して楽な戦いではなかったのではないかと思います。知事は精力的に県内をくまなく回って、全国的な不況の中で県下の状況、県民の声をいろいろ聞かれたと思います。改めて2回目の選挙を戦われた感想をお伺いいたします。
 2点目に、平成23年度新政策の基本的な考え方として、「未来を拓く『希望』の政策」と「命とくらしの現在を守る『安心』の政策」の2本を柱に、前年比82億円増と積極予算を編成されました。人口減少に歯どめをかけて、県内企業が競争力をアップして雇用をふやしていただく、そして企業誘致、特に雇用が見込める製造業の誘致に積極的に打ち込んでいただきたいと思います。
 それと、和歌山県は、観光地にしろ、食材にしろ、他府県に負けない地域資源をいっぱい有しています。しかし、以前から宣伝下手が指摘されており、地域ブランドを全国にアピールし切れていないと思います。商品パッケージを変えてみるとか、主婦の口コミをもっと利用するとか、身近で地道な努力も必要でしょう。また、県内には多くの建設業者があります。技術力をつけていただく自助努力も必要でしょうが、その努力が報われる、県内の入札にも幅広く参加し落札できる、さらに公正、平等な入札制度改革に取り組んでいただきたいと思います。
 イノシシ、シカなど被害がとどまることを知らない現況の中、有害鳥獣対策で支援を大幅強化いただいたことは評価したいと思います。まさに日を決めて地域で集中的に捕獲する対策を打ち出していただきました。
 昨今のゲリラ豪雨に対応した河川の排水、浸水対策へも本格的に着手いただきます。また、2巡目国体を呼び水に、県内道路ネットワーク整備についてもさらに国の理解と支援を引き出していただきたいと思います。
 以上は私の感想でありますが、知事は昨年11月の知事選挙を踏まえて、新年度予算にどのようにそれが反映されたのか、お伺いいたします。
 3点目に、関西広域連合も昨年12月1日に設立されましたが、平成23年2月定例会も行われたと聞きます。今後、知事はこの関西広域連合にどうかかわり、実効性を持った県の施策推進にいかにつなげていかれるのか、知事、お聞かせいただきます。
 2点目に、がん治療対策についてであります。
 1つ目、科学的根拠に基づいた観点で現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療のことを標準治療と言われます。ある一定の基準にのっとった治療のことであり、医師個人の勘や経験に頼ったあやふやな医療ではなく、効果や副作用などを調べる臨床試験で評価され、たくさんの臨床実績が必要であり、そのときの最も成績のよい治療方法であります。だれもがどこでも同じように最良の治療が受けられることを目指した考え方であります。
 ところで、県下でがん治療をしている病院には、標準治療は行き渡っているのでしょうか。すなわち、どこの病院でも同じような治療が受けられる体制になっているのでしょうか。福祉保健部長にお伺いいたします。
 2点目に、新たな薬物が開発されてから治療薬として実際に患者の診療に使用できるようになるまでの時間差、あるいは海外での新薬を国内承認できるまでの時間差のことをドラッグラグと呼ばれますが、日本の新薬承認には特に長い時間がかかることがよく指摘されています。保険適用の問題もあります。また、承認されてもそれを使える医師がいなければ患者に届きません。腫瘍内科医等化学療法ができる医師がいないと、承認薬でもすべての病院で使えるわけではありません。
 和歌山県においても医大学長が検討されている中で、腫瘍内科講座についても言及されているようですが、化学療法ができる専門医の育成、充実が急がれると思いますが、福祉保健部長に県の施策をお伺いいたします。
 3点目に、患者サロンも、病院の協力もあって、那賀病院を初めとして和歌山県立医科大学、橋本市民、和歌山労災とできてきました。家族へのサポートも大切だという観点から、家族が話し合う家族の集いも始まっていると聞いています。各がん拠点病院にあるがん相談支援センターとの連携もあわせて、患者、家族に対するサポート、援助体制を充実いただければと思いますが、福祉保健部長いかがでしょうか。
 3点目に、食品加工研究についてであります。
 1つ目、国の6次産業化推進のもと、本県も全国有数の生産量と質を誇る果樹を有しており、販売、流通にも力を注いでいただいておりますが、やはり加工の部分が弱いと思います。本県としては、食品加工産業をどうしていくかというマスタープランが望まれます。生果だけでは、幾ら味がよくても伸び悩んでしまいます。実際、果実の消費は長期的に低落傾向にあります。特に60歳以上に比べて若者、壮年層の消費量は約半分と劣っています。消費者のニーズにも的確にこたえていく必要があります。県の6次産業化への取り組みと考え方について知事にお伺いいたします。
 2点目に、今まで私も秋田、新潟、宮崎、熊本各県と北海道といった農業道県の食品加工研究所等、研究機関の視察をともにしてきましたが、いずれのところも昭和末期か平成初期の時期に、生食だけではいずれ行き詰まるとの危機感から、食品加工の研究開発機関を打ち立てて成果を上げてきています。
 幾つかの企業が食品加工研究センターにあるインキュベーションルームを利用して検討を重ねていたり、同じセンターの大きな加工実習室で真っ白い湯気を部屋じゅうに蔓延させながら商品づくりに真剣に打ち込んでいる姿も幾つか拝見しました。本県も、工業技術センターに食品開発室、そして8人のスタッフを擁する食品産業部をつくっていただきました。でも、今後、本県の持つ食材をもっと伸ばしていくには、具体的に世界戦略、国内戦略を打ち出していく必要があります。
 例えば、せっかく文部科学省の都市エリア産学官連携促進事業等で梅のポリフェノールの機能性も実証されてきたのであれば、その臨床結果のもとに商品化して全国へ、そして世界へ売っていかなければなりません。そのためには、今の手狭なところで分析中心の組織では、せっかくの研究も大きな飛躍が望めないでしょう。工業技術センター食品産業部を加工技術が指導できるレベルに押し上げていかなければなりません。将来的には、仮称ではありますが、和歌山県食品科学センターなるものをつくっていく必要があります。
 ですから、まずその端緒につくべく、産学官民を構成メンバーとして、和歌山県の食品加工を強化するための組織、機能を検討する場を立ち上げていただいて、将来戦略、人材面、設備面、協力ネットワーク体制等を議論して、本県の宝と言うべき食材の加工、活用について推し進めていただきたいと思いますが、知事いかがでしょうか。
 4点目に、和歌山県の教育についてであります。
 1つ目に、生徒指導について。
 昨今、県下の中学校でいじめの横行、特に集団でのいじめの話をよく聞かされます。ある中学校では、女子生徒のいじめのグループというのがあって、その1人がそのグループの中に入っていない、いわばいじめられている側の子を誘い込んで、逆にいじめる側のグループに入れていじめをさせると、そういったことがあるとのことです。本来好きなことに打ち込めるはずのクラブ活動にも影響が及んできます。
 担任がいじめの存在を見て見ぬふりをしていたり、学校として校内での登校指導もおろそかにしているような状況があると聞きました。県教育委員会として、小中学校の生徒指導の現状をどのように把握しておられるのか、教育長の見解を伺います。
 2点目に、教員の対応について。
 確かに、モンスターペアレンツと呼ばれる自分の子供だけよければいいような、自分の家庭における教育のことを棚に上げて学校を責め立てる一方の保護者も少なくないようですが、小学校、中学校というのは義務教育であります。子供たちには、中学校においては自立心を養っていくことも大事でしょうが、全体の中の1人であることを受けとめ、そして人の気持ちにも配慮できる人間に成長していっていただきたいものであります。まして、選ばれた教師というのは聖職者であります。教師は、生徒に対して、自分の思いどおりになるものではない、子供が何でも自由に選べるものではないということを毅然と、はっきりと自信を持って指導していただきたいと思いますが、教育長いかがでしょうか。
 以上4点、第1問目を終わらしていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、知事選の感想でございます。
 私は、選挙戦を通じ県内各地をくまなく回らせていただきましたが、多くの県民の皆様方から励ましのお言葉をかけていただくと同時に、景気や雇用といった県民生活に深くかかわる切実な声を数多くいただきました。県民の皆様が厳しい景気低迷の中で歯を食いしばって頑張っている姿を実感し、和歌山を元気にするため、さらに頑張っていかなければならないと強く感じたところであります。
 選挙は、多くの皆様に助けていただいたので当選を果たすことができましたが、今後は県政でこれをお返しするということが大事なことであります。そこで、その気持ちを込めて、県庁前で登庁の第一声で、主として県庁の職員に「みんなでまた仕事だ」というふうに申し上げたわけでございますが、私のその辺の気持ちをあらわした言葉でございます。
 平成23年度当初予算におきましては、このような県民からいただいた意見に可能な限りお答えできるように留意したところでございます。具体的には、地域経済の再生や雇用の創出といった御意見が多かったということから、働く場の確保がやはり重要であると考えまして、頑張る地場産業への一貫した支援や企業誘致、果樹産地の再生、低コスト林業の推進等の農林水産業の振興など、県内産業の活力強化を進めることといたしました。また、特に中山間地域を訪問した際には鳥獣被害の深刻さを目の当たりにいたしましたので、鳥獣害対策予算を倍増いたしまして、対策に万全を期すこととした次第です。
 さらに、早期のインフラ整備を望む声も大変多うございました。道路整備を初めとする公共事業の予算にも配慮したところでありまして、特に各生活圏の背骨に当たる川筋ネットワーク整備に集中的に取り組むなど、県内の道路ネットワーク整備に引き続き注力することにしております。
 加えて、暮らしの安心・安全を望む声も高いことから、子供の命を守るヒブワクチン等の接種支援や、地域の拠点病院の整備を初めとする安心医療の充実、災害から県民の生命・財産を守る中小河川の浸水対策など、生活に密着した施策の拡充に努めたところでございます。
 次に、関西広域連合と県の政策推進についてでございます。
 関西広域連合では、独自の組織として府県知事で構成する広域連合委員会を設置し、合議による運営を行うこととしております。委員会においては、重要事項や今後の方針を全会一致で決定していくことになりますので、私も委員として、本県の意見や提案をしっかり言っていくとともに、副広域連合長としての調整役も果たしていきたいと考えております。
 また、委員会で大筋が決まると、各府県知事が、担当する分野ごとの執行責任を担い、事業の立案から実施までを行います。担当府県以外の府県では、事業担当の幹部が広域連合の参与として兼務しておりまして、事業の立案段階から各府県の意見の反映や、広域連合の事業と府県事業のマッチングの実施などを行うこととなっております。
 平成23年度から関西広域連合が本格的に活動していきますので、このような仕組みを十分活用して、広域連合が行う観光や防災などの分野における事業等が本県の施策や事業との連携のとれたものとなるようにしていきたいと考えております。
 次に、食品加工の問題でございます。
 6次産業化への取り組み、考え方についてでありますけれども、農林水産業を核とする6次産業の推進は、農林水産業の振興のみならず、新たな産業の育成や雇用機会の拡大を通じて地域活性化に大きく寄与するものと考えております。本県は、多種多様な農林水産物の生産に加えて、梅干しに代表される食品加工を行う特色ある地場産業があることや観光資源が豊富なことなどから、6次産業化に向けた高い潜在性、ポテンシャルを持っていると思います。
 議員お話しの食品加工の推進は、6次産業化推進のポイントになるものでありまして、食の外部化の進展に伴って需要の拡大が期待できる分野でもありますが、県内の加工の実態を見ますと、果樹を初めとする農林水産物が数多くあるのに対し、それらを加工する取り組みがこれまで弱く、我々の働きかけなどもありまして、ようやく県民の中にその機運が盛り上がってまいりました。そういうとこだと思います。これをもっと伸ばしていく必要があると感じております。
 このため、各地の盛り上がりを生産・販売面で助けることはもちろん、大手食品・飲料メーカーとの協働による商品開発を初め、食品産業と農林漁業者との連携により商品開発を進める農商工連携、また、農林漁業者みずからが生産、加工、流通、販売に一体的に取り組む新農林水産業戦略プロジェクトなどを進めています。
 これまでにショウガのジンジャーエールや有田みかんのポン酢などのヒット商品が生まれておりますけれども、今後こうした食品加工を含めた6次産業化をより一層強力に推進し、産業振興につなげてまいりたいと考えております。
 次に、これを支援する機関でございますが、これは2つ大きく分けられると思います。1つは、これまでも県内企業に対しまして、工業技術センターが食品の機能性の研究や技術相談等で支援を行っているところでございます。和歌山県の産業技術基本計画でもアグリバイオインダストリーは重点的に振興すべき4つの分野だというふうに言われておりまして、産業化も十分視野に入れた活動を今後強力に展開していかなきゃいかんというふうに思っております。
 一方、農業生産者みずからが取り組んでいる食品加工につきましては、例えば紀の川市の、私もちょっと見学いたしましたが、桃りゃんせ夢工房なんていうのがありまして、桃ジャムを初め多くの加工品をつくって観光客を呼んだりして人気を博しているというような例が、近年あちこちにいっぱい出てまいりました。こういった活動をより一層支援し、県内の農林水産物に係る加工食品のレベルアップを図るということは大変重要であると考えております。
 今後、こういうものを販売で助けていく、あるいは生産の助成等々で助けていくということとともに、県に幾つかございます農林水産関係の研究機関に、栽培の部分だけじゃなくて食品加工を指導できるような機能を付加していったらどうかなどというような問題意識で今後も検討してまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
 〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) がん治療対策について、一括してお答えを申し上げます。
 現在、県内に6カ所ございますがん診療連携拠点病院におきましては、手術療法、化学療法及び放射線療法を組み合わせた集学的治療と緩和ケアが実施されるとともに、各学会の診療ガイドラインに準ずる標準的治療を提供しております。
 また、標準的治療等の提供が可能な診療体制を拡充するため、和歌山県がん診療連携推進病院の制度を創設いたしまして、がん拠点病院のない2次保健医療圏を中心に整備を図っているところでございます。
 次に、専門医の育成・充実ですが、県立医科大学を初めとしますがん拠点病院では、がん治療に携わる医師による専門的知識の習得と専門医の確保に努めております。また、がん拠点病院を初め、2次保健医療圏の中核病院などで構成する県がん診療連携協議会に昨年6月、新たに化学療法部会を設け、県内どこでも質の高い化学療法が受けられるよう取り組みを進めているところであります。
 次に、患者、家族に対する援助体制の充実につきまして、県としましては、患者、家族それぞれの身になって相談に応じ、適切な助言等を行えるよう、それぞれのがん拠点病院に設けています相談支援センターが果たす役割の一層の充実に向けまして、引き続き支援を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
 〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 和歌山県の教育についてお答えいたします。
 いじめは、児童生徒の心身の健全な発達に重大な影響を及ぼす深刻な問題でございます。本県の小中学校におけるいじめの認知件数は、全国的に見て非常に少ない現状にございますが、その中でも集団で1人の児童生徒をいじめる悪質な事例や、携帯電話やパソコンを使用したネット上のいじめなどの見えにくい事例も報告されております。
 そこで現在、すべての公立学校におきまして実態把握のためのアンケートを実施し、いじめの早期発見と解決に努めているところでございます。また、いじめは絶対に許されないという意識を児童生徒にも教員にも徹底させるとともに、1人1人が尊重される集団づくりを行い、組織的に問題解決に取り組んでおります。
 今後、教育委員会といたしましては、児童生徒が発する小さなサインを見逃すことのないよう、さまざまな機会を通じて各学校に指導してまいります。
 次に、教員の対応についてでありますが、教育委員会といたしましては、教員に対し、日ごろから児童生徒の実態把握に努め、児童生徒に寄り添い、粘り強く熱意を持って対応するとともに、いじめや暴力行為には毅然とした態度で臨み、規範意識を初め、豊かな社会性を育てるよう引き続き指導してまいります。
 保護者への対応につきましても、誠意を持って対応する一方で、児童生徒のことを一番に考え、1人1人が社会的な力を身につけていけるよう、冷静に粘り強く対応することを指導してまいります。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 まず、がん治療対策についてでありますが、標準治療はもちろん大切ですが、数字上のマニュアル治療になってはいけないと思います。患者に合ったがんの治療を進めていくためにも、標準治療について患者自身も知ることは大事でしょう。県としてそんな啓発もしていただけたらと思います。
 医療格差を是正する意味でも、化学療法ができる腫瘍内科医ががん拠点病院で充足していることは必要だと思いますので、専門医の育成、充実、これもどうかよろしくお願いいたします。
 がん相談支援センターですが、患者自身その存在を知らないことも少なくないようですし、患者が求めている情報を的確に提供できるような使い勝手のいい、がん拠点病院の相談支援センターの充実に県としても目を向けていただければと思います。
 学校のいじめの問題ですが、どうも最近はいじめの集団化、陰湿化、こういう傾向が強いようであります。答弁いただいた中の児童生徒の発する小さいサインを特に担任の先生は見逃さないよう細心の注意をいただく。そして先生として生徒から尊敬される、かつ恐れられる、そんな先生になっていただきたいと思います。
 食品加工研究でありますが、食品の機能性研究や健康でおいしい食品の開発は全国的に熱心に取り組まれております。九州では九州地域バイオクラスター推進協議会というのがありまして、九州の機能性食品や健康食品の研究開発、量産化拠点の形成に向けての活動の一環で、開発を支援した機能性食品にロゴマークを制定して認定する制度をことし早々始めています。全国で独立した食品加工研究所を設置しているのは、北海道、青森、秋田、新潟、富山、愛知、愛媛、広島、香川、福岡、宮崎各県、計12道県であります。それぞれに有数の農水産資源を持っています。
 本県の長期総合計画においても、加工を核としたアグリビジネスの構築として、特定保健用食品の認定も視野に入れた機能性食品等の研究開発に取り組むとうたわれています。そのためには、企業の持つシーズを商品化するための加工研究開発を専門的に行う拠点はどうしても必要ではないかと思うわけであります。それに農商工の連携体制は欠かせません。大学の専門研究者にも入っていただいて、例えば和歌山県食品科学センターといった中核になる組織の中で、県の目指す売れる機能性食品づくりに一刻も早く取りかかるべきであります。
 時あたかも、和歌山県北山村の特産物ジャバラの抗アレルギー性、あっさりとしたおいしさに着目した愛媛県が宇和島産のジャバラ、このサプリやジュースを大々的に販売展開しております。ぼやぼやしておれないわけであります。
 そこで、1問再質問させていただきます。食品加工戦略のためのヘッドクオーター制についても、今まで農林水産政策局長をヘッドクオーターとして農林と商工を統括する形で議論してきていただいたことと思いますが、2つの部の間にあって、どうしても遠慮もあったのではないかと思います。和歌山県の将来に向けた食品加工戦略をさらに強力な実効力あるものにしていく、そんな議論を推し進めるためには、トップダウンで知事もしくは副知事にヘッドクオーターになっていただくことが必要ではないでしょうか。知事にお答えいただきます。
○議長(谷 洋一君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ヘッドクオーター制度につきましては、組織横断的な重要課題に対しまして、縦割りになったらいかんということで迅速かつ的確に対応するために設置しているわけでございます。もとより、知事とか副知事は全部ヘッドクオーターなんでありまして、すべての問題について指令を発してリードしていかないといけません。しかし、そこまで上がってこないと縦割り行政の弊害がなくせないということになると、ちょっとこれは身が持たないというか、困りものなものですから、したがって、職員レベルでもそれは心がけてきちんとやるべしだということで、そういうミッションを与えているということなんでございます。
 食品加工のヘッドクオーターを知事、副知事にということでありますが、和歌山県の食品加工戦略というのはもう大事なものでございますので、当然私が先頭に立ちまして、すべての関係職員をよく指導して検討していく、そういうことにしたいと思います。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再々質問を許します。
 〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 2番山本茂博君。
 〔山本茂博君、登壇〕(拍手)
○山本茂博君 皆さん、おはようございます。議長のお許しを得ましたので、通告に従い、最終定例会一般質問をさしていただきます。
 同僚並びに先輩議員、また知事初め職員の皆さん、また県民の皆さん、そしてまた岩出市民の皆さんには4年間温かい御指導、御鞭撻をいただき、本当にありがとうございました。改めて感謝申し上げます。
 それでは、質問に入ります。
 テレビ番組の中で、韓国の発展がクローズアップされておりました。韓国のサムスンなどの企業が海外進出され、民間の会社経験のある李明博大統領がトップセールスを行い、インドの原子力発電所など、韓国企業進出の基盤を押し上げているということでありました。それこそトップダウン、そしてスピード、官民連携による業界再編が現在の韓国経済を押し上げてきたとのことであります。かつての日本の政治経済において培われてきたことではないでしょうか。
 今、日本は混迷が続いております。また、民主党政権下でごたごたに対する嫌気が国民の中に充満しているんではないでしょうか。自民党が体育系であるのに対して、民主党はサークル活動系であると言われてます。ボトムアップのためにスピード感がない。政治主導ということで官民連携もない。それこそ、権限、責任、判断ができない。国の行く末を心配させる政権であります。
 仁坂行政から新年度予算が今回提案されてます。今求められてるのは、和歌山も韓国と同じように知事の指導力、そしてまたリーダーシップが求められております。これからの4年間に期待したいと思います。
 それでは、まず生活保護についてであります。
 近年、特に生活保護についての相談を多く受けるようになってまいったように思います。それは今の政治情勢の混迷に加えて、デフレ不況下による派遣社員の首切りが行われ、雇用がなくなってきた。まさにこの日本の将来に不安があるからではないでしょうか。飲食店の方から、「店も暇やし、私ら年金かけてるけど、年金より生活保護のほうがたくさん生活保護費もらっている。何とか私も生活保護費もらえやんか」、そんな質問もあります。また、「毎日飲みに来るお客が生活保護を受けて、そしてパチンコしてええわな」、そう言っておられます。
 何が問題かというと、掛け金をかけている国民年金より生活保護費のほうがたくさん受給されるということなんです。貯金などいろんな条件あります。しかし、こんな矛盾を生じさせている、そしてまた国民年金をかけない要因の1つになっているんではないかと私は思います。それこそ国民年金と生活保護費は差をつけるべきだと思いますし、例えば、生活保護受給者のためにアパート、それを国、県で建設し、住んでもらうということができないかということも考えます。しかし、これは十分、人権に配慮する必要があります。しかし、その結果、景気対策になるんではないかと思ったりもいたします。
 さて、昔の日本において生活保護を受けるのは、世帯主の病気によるなど、私的な場合が多かったと思います。しかし、最近では、会社の倒産など、働きたくても働き場所がない、そして経済不況、社会現象によって生活保護が受けられているのが現状です。日本経済に活力がなくなって、今日、特に地方はますます働く場所が減っている。当然、生活保護を受給する世帯がふえているんではないかと推察されます。
 また、県内において最近の生活保護率の推移はどうなっているのか。また、保護率が上昇しているとすれば、やはり保護を開始することになった原因に変化が起こっているのでしょうか。本県における生活保護の現状について福祉保健部長にお伺いいたします。
 昨年、話題になったことですが、中国国籍の方48人が入国され、入国直後に大阪市に対して生活保護申請を集団で行いました。これらの方々は、中国残留邦人が呼び寄せた親族であったとのことであります。大阪市は、法務省入国管理局が既に入国を許可しており、そして保護の申請内容が形式的に整っていたことなどから、生活保護費の受給目的での疑いがあったが、保護の決定を行ったとあります。本当に国も想定しなかった事案であったわけですが、一部の方には保護費を支給されました。しかし、他の方には支給を差しどめをして、あわせて法務省は入国手続の厳格化を求めたとのことであります。
 このほか、生活保護費を不正に受給しながら月額30万円のマンションに住み続けていたという暴力団員、そして、生活困窮者を路上で勧誘し、自分の経営するマンションに囲い込んだ上で、うその家賃を役場に申告させ、保護費をピンハネしていたという不動産業者の事例もあります。そしてまた、生活保護受給者80人、アパートに入居させ、必要でない訪問診療を受けさせ、不正に生活保護費の医療扶助を受け取っていた事件など、いわゆる悪質な貧困ビジネスが全国で数多く多発しております。
 それこそ生活保護制度は、憲法で保障する生存権、つまり「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とあり、「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とあります。医療、介護、障害者福祉、児童福祉等々とともに、日本の社会保障制度の重要な部分を担っている制度であります。
 また、この制度は、多くの民生委員の皆さんの御協力をいただきながら行っている制度であり、大切な制度であります。生活保護を受けようとする住民からすると、手続において使いやすいものでなくてはなりません。また、反対に悪用しやすい制度になっているのかもしれません。大阪市における中国からの入国者による集団申請のような事案が、本県では発生していないと思いますが、例えば貧困ビジネスのような生活保護制度の悪用事例について、本県についてどうなっているんでしょうか。
 また、こうした虚偽の申請により交付された生活保護費について、これらの返還を求めるのは当然でありますが、先月、監査委員から御報告がありましたが、県振興局において生活保護返還金の未収金が増加しているということであります。しかし、誤って受給された場合、保護受給世帯は決して余裕のある生活を送っていないわけですから、一度受給を受けて保護費を返還していただくというのは本当に難しいんではないかと予想されます。本県において返納を促すための何らかの手だてを講じているのでしょうか。
 以上について、福祉保健部長にお伺いいたします。
 最後に、ケースワーカー資質向上についてであります。
 偽装離婚により生活保護申請が行われるケースがあるということが言われております。本当に保護を要するかどうかの調査や適正な判定が必要です。また、自立のための相談や支援を行っていくための人的な体制が求められていると思います。実際に、生活保護費の不正受給をなくすために扶養義務者の調査や扶養義務の履行を求めることが生活保護要領に定められております。
 大阪市では、ケースワーカーが不足しているということで臨時職員を雇っているそうですが、マンツーマン方式によるケースワークが必要であると思います。濫給防止、乱発していませんか、漏給防止、漏れていないかということの対策について、県は指導されていると思いますが、ケースワーカーの資質向上について福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、生活排水処理行政について質問させていただきます。
 和歌山県下において豊かな調和のある自然環境、そして快適で文化的な生活環境を築くため、汚水処理施設の整備が欠かせないものだと考えます。現在、和歌山県下の汚水処理人口普及率は平成21年度において50.1%で、最下位の徳島県の47.6%に次いで普及率が悪い、いわゆるゴルフでいうとブービー賞であります。また、和歌山県を除く近畿府県の普及率を見ますと、奈良県が最も低い位置にあるわけですけれども、それでも83.9です。本県の整備は際立っておくれている実情です。汚水処理施設には下水道、集落排水、そして合併処理浄化槽等があります。和歌山県においておくれている生活排水処理についてどのような認識を持っているのか、知事にお伺いいたします。
 和歌山県の汚水適正処理構想が平成8年に作成され、3度目の見直しがされております。構想では、平成29年度汚水処理人口普及率70%に向けて取り組むと言われております。現在の取り組み状況について県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、紀の川流域下水道についてであります。
 伊都浄化センターが平成13年に完成し、供用開始されました。また、那賀処理区でも平成20年12月に供用開始されました。紀の川市や岩出市はベッドタウン化し、また宅地開発されております。本県の中で急激に都市化が進んでおります。下水道の普及がおくれたため、環境悪化につながっておりました。紀の川の水質の悪化による水道水、農業用水の水質保全が近々の課題でありました。念願の流域下水道ができた結果、紀の川におけるBODが下がり、水質向上につながっているというふうに聞いています。
 しかし、反対に下水道は赤字に陥りやすいと言われております。平成21年に地方公共団体の財政の健全化に関する法律が全面施行され、本県の白浜町、平成20年度の下水道事業特別会計が資金不足比率355.2%ということで、経営健全化計画が定められることになりました。要因としては、下水道接続率が低いということと、有収水量の伸び悩み、そして低く抑えた下水道料金が今まで改定されていなかったということが挙げられております。
 流域下水道において維持管理及び下水道処理は県がするということになってます。那賀処理ができてまだ2年しかたってません。那賀処理区の計画が本当に順調に推移しているのか、また処理面積、処理人口、処理水量、また管理運営が適正な状況にあるのか、県土整備部長にお伺いいたします。
 また、白浜町で資金不足の大きな要因は、下水道接続率の低迷であります。平成6年に供用されましたが、平成20年度末における接続率は57.4です。いかに接続してもらうかが大事です。供用開始区域では、下水道法第11条3で「公示された下水の処理を開始すべき日から3年以内に、その便所を水洗便所に改造しなければならない」とあります。しかし、接続するのに数十万円やっぱりかかるんです。現状として法律で縛るのは非常に難しいところがあるんかなと思います。
 しかし一方、合併浄化槽の補助、1基5人槽、33万2000円で国が3分の1、県が3分の1、市町村が3分の1、約11万何がしの金が県から出てます。下水道接続に要する費用、この補助は市町村によってばらつきがあります。和歌山県において市町村補助の半分を補助していると言われておりますが、岩出市でお聞きしますと、該当者はいない。なぜかというと、対象者は生活困窮世帯だというんです。接続費用、改修費用がかかるのに生活困窮世帯の方が利用される、これは難しいんではないかと思います。ならば、この予算の一部を下水道接続の補助に充てることなど、効果の上がる県費補助ができないのか、県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、合併浄化槽の保守点検であります。
 去年、住民の方から、浄化槽の法定検査の知らせが来たとのことで、今まで来たことがないのに、ことしに限って何で来たんやろう、こういうことです。年1回合併浄化槽の点検をくみ取り業者の方に行ってもうてるし、薬も入れてもうてる。それで市に問い合わしたら、平成22年の4月1日から浄化槽法における知事の権限が市町村に移譲された。保守点検、清掃、水質検査などの適正な維持管理に関する指導等も市町村が行うということであります。
 浄化槽法は平成20年5月に改正され、そして浄化槽法7条において、浄化槽設置後等の水質検査が定められ、浄化槽法11条では、「浄化槽管理者は、環境省令で定めるところにより、毎年1回、指定検査機関の行う水質に関する検査を受けなければならない。」とあります。罰則もあります。義務づけられてるんです。岩出市はそれを厳格に履行したということなんです。
 しかし、和歌山市、法定検査の知らせは出されていません。それで調べました。法定検査の知らせを出している市町村、平成20年には旧大塔村、旧清水町、21年には有田市、旧粉河町、印南町、日高川町、広川町、湯浅町、旧金屋町、22年には御坊市、旧那賀町、すさみ町、串本町、古座川町、旧桃山町、そして岩出市なんです。
 法定検査の受けられていない、知らないところの市町村にとって、住民の方は知らんのです。結局、お金が要らないんです。和歌山県民にとって不公平、そして不平等な結果と僕は思います。権限移譲される前は、それは県の仕事です。本当に責任あるんじゃないかと思います。岩出市において法定検査の義務の周知については、住民に対しては合併浄化槽の補助金申請のときに行ってもらうように指導しているということです。それ以外の事業者の人は補助金申請がないということで、知らんだろうと言っておられました。
 そこで、周知徹底についてどのように考えているのか、県土整備部長にお伺いいたします。
 また、和歌山県が指定している和歌山水質保全センターは、和歌山県で唯一、浄化槽法に基づく7条、11条検査を行う機関です。職員は25名で、平成22年度の事業計画では7条検査で3500基、11条検査で4万基を目標とされてます。県内で今、18万5000基の浄化槽が設置されてます。1年間義務づけされてる法定検査、14万基はされていないことになります。また、今のままで和歌山水質保全センターだけで本県の法定検査できるんでしょうか。これが疑問です。
 また、権限が移譲された市町村において、今までのように保健所の指導員、今おりません。本当にどこに相談したらええんやろということです。このようなことがわかっていながら、本当に受け皿がない中で市町村に権限移譲された、本当に早急過ぎはしないかなというふうに思いますし、これから他の権限移譲については十分精査し、市町村の意見を取り入れて実行していただきたいなというふうに思います。法定検査について本県の実情をどう考えているのか、県土整備部長にお伺いいたします。
 また、住民の方から言われるのが「何で2回検査する必要があるんよ。お金が2回も要るやんか」と。保守点検と法定点検を1回で済ますことができないのか。また、法定検査の検査時間も15分から20分だと言われています。あとは持って帰って検査をするなら、法定点検費用を下げることができないのか、県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、道路問題についてであります。
 京奈和自動車道の供用に伴う岩出市周辺道路の渋滞対策についてお伺いいたします。
 京奈和自動車道については、今後の紀北地域の発展、ひいては京阪神都市圏の発展にも大きく寄与するものだと期待されてます。現在、県内各地で工事が実施されており、国の道路予算が大変厳しい中で、先日公表された直轄事業の平成23年度事業計画において、23年度はかつらぎインターチェンジまで、また平成25年度は打田インターチェンジ、さらに平成27年度には全線開通予定とされていたことから、ますます早期供用の期待が高まっております。
 しかしながら、打田インターチェンジまで開通した状況を考えると、開通した状況に伴い交通量の増加が見込まれ、また交通の流れも著しく変化するものと考えられます。それこそ岩出市周辺道路が大渋滞するのではないかと懸念しております。
 そこで、今後、供用開始まで県道粉河加太線を初めとして、影響が見込まれる道路の交差点改良など、何らかの対応が必要であると思いますが、県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、泉佐野岩出線の整備についてお伺いいたします。
 京奈和自動車道の整備の進展に伴い、旧貴志川町方面からのアクセスとして、岩出橋を渡って県道泉佐野岩出線へ流入する交通が増加することが予想されます。さらに、県道泉佐野岩出線の大阪側が整備されることにより、府県間道路の交通量がふえるものと考えます。岩出橋の前後は現在も著しい渋滞状況にあり、地域住民も早い開通を待ち望んでおります。県において船戸交差点以南の区間については既に事業化していただいておりますが、残る国道24号備前交差点から岩出橋を経て船戸交差点までの今後の事業着手のめどについて、県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、県道新田広芝岩出停車場線についてお伺いいたします。
 県道新田広芝岩出停車場線は、岩出市の北部を東西に走る県道粉河加太線とJR和歌山線岩出駅を結ぶ重要な南北道路であります。沿線には、学校、警察署、県の地方機関があります。特に、国道24号から北側の区間においては幅員が狭く、線形も悪く、通行に支障を来しております。沿線には住宅が多く、また岩出市立上岩出小学校や市立上岩出保育所があるにもかかわらず、歩道もなく、歩行者や自転車が大変危険な状態にあります。
 今後、岩出市周辺の交通量が増加することにより、車が子供やお年寄りが歩くこうした生活道路へ入ってくることが考えられます。早急の整備が必要であると考えます。現在の整備状況と今後の見込みについて県土整備部長にお伺いいたします。
 次に、県道小豆島岩出線の整備についてであります。
 和歌山の「未来を拓く『希望』の政策」として、成長を支える基盤づくりとして道路ネットワークづくりが挙げられます。成長に不可欠な道路ネットワークを着実に整備するとあり、川筋ネットワークの整備が計上されております。各生活圏の背骨に当たる県内主要河川沿いの道路を整備するということです。川筋道路の中に紀の川筋の道路が含まれているのかちょっと疑問なのですが、現在、和歌山市内において紀の川右岸堤防道路の整備が進んでおります。
 和歌山北インターチェンジの周辺、また岩出市において中島地区の那賀下水処理場施設建設による周辺対策事業として道路が整備されております。中央に白線のついた6メートル道路となっており、今までトラック等のすれ違いには大変危険な状態でありましたが、解消されております。また、周辺の渋滞解消にもつながっております。しかし、まだ土曜、日曜など、24号バイパスにおいてイズミヤの前、また岩出市の備前交差点などは渋滞しております。
 そこで、紀の川右岸堤防道路を川筋ネットワークとして位置づけしていただき、和歌山市から橋本まで歩道がある、そして紀の川沿いのサイクリングロードが付加した道路があれば健康志向の高まりからいっても大変有意義なことではないかなというふうに考えます。
 また、岩出市内においても4車線化に向けて岩出橋の整備が進むものだと期待しておりますが、この川筋ネットワークの位置づけの中で、中島の下水処理施設から根来川に橋をつけていただき、大宮緑地付近に至り、そして紀の川右岸道路を整備することによって岩出大橋に接続する道路政策があれば、岩出市役所前の渋滞解消にもつながりますし、また、そこから岩出御膳、そして岡田スポーツ広場から県道桃山下井阪線に接続されたらなというふうに考えますが、県土整備部長に今後の方針についてお伺いいたします。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの山本茂博君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 生活排水処理についてでございますけれども、快適で衛生的な生活環境を確保し、河川などの公共用水域の水質を保全するため、また、この和歌山県のすばらしい自然を守り、生かすためにも、全国的に見て低い汚水処理人口普及率というのは大変残念であります。この早期向上が重要であると認識しております。
 そのため、県では平成21年に、地域特性や人口減少などの社会情勢の変化を考慮いたしまして、和歌山県全県域汚水適正処理構想を見直し、下水道等の集合処理と合併浄化槽双方の特徴を生かした、より効率的、効果的な生活排水処理を進めることといたしました。
 今後も、この構想の目標である平成29年度末の汚水処理人口普及率70%の達成に向けまして、市町村とともに生活排水処理に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
 〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 生活保護行政について、一括してお答えを申し上げます。
 生活保護の現状につきましては、生活保護率は平成9年度に過去最低の7.11パーミルとなって以来、増加傾向に転じておりまして、平成23年1月現在で14.03パーミルとなっております。この間の保護開始理由の推移を見ますと、世帯主あるいは世帯員の傷病を理由とするものの割合が減少する一方で、稼働収入や手持ち金の減少あるいは喪失を理由とするものの割合が増加しておりまして、議員御指摘のように、最近の厳しい雇用情勢を反映しているものと考えております。
 次に、生活保護制度の悪用事例についてですが、議員御質問のように、平成19年に橋本市で大阪の業者によります不正請求事件が発生したところでありますが、こうしたこともありまして、昨年6月に過去2年間にさかのぼり新規相談を含めたケースの点検を行うとともに、その後の指導監査でも点検を行いましたが、議員御指摘のような事例は確認をされておりません。今後とも定期的に点検を実施してまいりたいと考えております。
 次に、返還金等に係る未収金が発生した場合には、財務規則に基づく督促手続を適正に行うほか、一括返還が困難な場合には、世帯の状況を十分把握した上で、分割納付による計画的な返還等の指導に努めております。
 また、生活保護の実施機関である福祉事務所において、被保護者に対する収入申告義務の周知の徹底や課税状況調査及び金融機関調査などを実施し、早期に収入の状況を把握するなど、未収金発生の未然防止にも努めているところであります。
 最後に、ケースワーカーにつきましては、生活保護法を適正に実施するために必要な人員を配置するよう指導するとともに、近年、特に要保護者の生活課題が複雑多岐にわたってきておりまして、ケースワーカーには、生活保護制度以外の法律や制度等に関する幅広い知識や状況を把握するために必要な情報を得るための面接技術などが必要であることから、基礎から実務にわたる各種研修や福祉事務所においてケース診断会議等の実践的な研修などを実施し、その資質の向上に努めているところであります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長原 広之君。
 〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 汚水処理人口普及率70%達成に向けた取り組み状況についてでございます。
 県では、流域下水道事業として、伊都処理区と那賀処理区の整備の推進に努めているところでございます。また、市町村が行う公共下水道事業や集落排水事業などの計画箇所116カ所のうち、平成22年度現在で98カ所が完了または事業着手済みでございます。さらに、合併浄化槽につきましては、個人や市町村型の浄化槽設置に対する補助や啓発を行い、普及促進に努めているところでございます。今後とも、平成29年度末の汚水処理人口普及率の目標達成に向けて取り組んでまいります。
 那賀処理区の管理運営状況についてでございます。
 本年1月末現在の供用面積は175ヘクタール、供用区域内人口は約7200人、接続人口は約3300人で、接続率は約46%でございます。1月の日平均水量は約1180立方メートルで、現状では計画どおり運営されていると考えております。今後とも、岩出市、紀の川市とともに供用区域の拡大と接続率の向上に取り組んでまいります。
 下水道への接続補助についてでございます。
 下水道法では、供用開始後3年以内に下水道に接続しなければならないと義務づけられております。その接続に要する費用の負担が困難な生活困窮世帯等に対し、負担軽減のために市町村が補助したものについて、県がその2分の1を補助しているところでございます。この県費補助の趣旨は、法で義務づけられた接続の費用負担が困難な方を支援するものであり、それ以外の支援につきましては市町村でお願いしたいと考えております。
 浄化槽の法定検査の周知徹底についてでございます。
 県では従来から、設置届出書に法定検査の申込書の添付を求めるほか、「県民の友」や県の広報番組等による啓発を行うなど、受検率向上に努めてまいりました。権限移譲後も引き続き啓発を実施しているところでございます。
 また、本県の法定検査の実情についてですが、県の指定検査機関である水質保全センターにおいて検査件数の増加に応じて施設の拡充や人員の増員を行い、対応しているところでございます。
 次に、法定検査と保守点検の同時実施についてでございますが、法定検査は浄化槽法で年に1回、保守点検は同法施行規則により、例えば、処理対象人数が20人以下の合併浄化槽では年3回以上実施することと定められております。また、それぞれの実施内容が異なることから、おのおの別個に実施していただく必要がございます。
 また、法定検査料金についてですが、同センターにおきまして、平成19年度に料金を引き下げたところであり、その後の収支状況について現在、分析しているところでございます。今後、その結果を踏まえ、料金改定について検討してまいりたいと考えております。
 続いて道路問題について、岩出市周辺道路の渋滞対策についてお答えいたします。
 平成25年度に予定されている京奈和自動車道の仮称・打田インターまでの供用に伴い、交通量の増加と交通の流れが変わることにより、岩出市周辺の道路においても交差点などで交通混雑などの影響が考えられます。このため、現在、国土交通省を初め、岩出市や紀の川市、さらに関係機関と、その具体的な影響について検討しているところでございます。今後、検討結果を踏まえて、影響が予想される交差点の改良や、市が進められる道路整備に対する協力など、必要な対策を行ってまいります。
 県道泉佐野岩出線の整備についてでございますが、備前交差点から岩出橋を含む区間は、朝夕や休日にかけての渋滞が著しく、早急な対策が必要であると考えております。現在、市で地籍調査を進めていただいているところであり、今後、地元の協力が得られ次第、事業化できるよう取り組んでまいります。
 県道新田広芝岩出停車場線の整備についてでございますが、県道粉河加太線から県道和歌山打田線間のうち、特に交通の支障となっている3工区で整備を実施しております。
 まず、岩出市立上岩出小学校前においては、用地取得に向け、地元調整に着手したところでございます。また、市道山水栖線から国道24号までの未改良区間におきましては、道路拡幅工事を実施しております。さらに国道24号との交差点部分におきましては、用地取得できたところから順次交差点改良工事に着手してまいります。今後とも、予算の確保に努め、早期に完成できるよう整備を推進してまいります。
 県道小豆島岩出線の整備についてでございますが、紀の川沿いの川筋ネットワーク道路としては、右岸側は西脇山口線、また左岸側では県道和歌山橋本線などを位置づけております。議員御提案の岩出市内の紀の川右岸堤防道路につきましては、国道24号などの渋滞を避ける地域の生活道路としての役割が考えられます。
 この道路には、県道、市道及び河川管理道の区間があります。そのうち県道区間につきましては、幅員狭小など整備が必要な区間から順次整備を図ってまいりたいと考えております。また、市道等につきましては、岩出市と相談し、要請があれば協力してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 2番山本茂博君。
○山本茂博君 1点だけちょっと要望といいますか、流域下水道ということは、県と市がかかわる事業であります。当初の予算計画というんですか、管理計画によったら接続率はもう100%ということが主だと思います。目標にされてると思います。それこそ管理運営に影響が出て赤字になるということが、本当に私は心配するわけでございまして、また税金の投入、そしてまた住民負担として使用料が上がるというふうにはならないかなというふうに思います。
 そしてまた、那賀処理区の、今46%ということであります。今聞いてましたら、一遍、浄化槽の接続1年目というのは46%であれば、2年目、3年以降はもうほとんど接続というのはされないということなんです。だから、一番初めに、1回目にいかに接続してもらうかというのが、僕は市と県のこの共同事業体であれば、ほんまに必要じゃないかなというふうに思いますし、今、県のほうで生活困窮者ということで2分の1の補助ということを言われてますけども、生活困窮者、例えば生活保護の世帯の方だったらどうなるんでしょうって。本当にそれを考えたら、生活保護者の方はどうかなというふうにも思ったりもします。
 そういったことで、この県の補助自身が本当に意味のないもんになってるんではないかなと思ったりもするんで、この質問をさしていただいたんで、その点、一遍考えていただきたい。
 そしてまた、1点言えるのは、これは紀の川筋の公共下水ということで、本当に紀の川筋の市町村にかかわる問題だと思うんです。それは財政にこれから及ぼす影響というのがやっぱり出てくると思います。だから、初期投資だと思って、そしてまた100年先のことを考えていただく行政というものをぜひしていただきたいなということを本当に思いますんで、これについてまた一遍考えていただくことを要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山本茂博君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
 午前11時17分休憩
────────────────────
 午後1時0分再開
○副議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
 〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 皆さん、こんにちは。昼1番の質問でございますが、ひとつ最後までおつき合いのほどよろしくお願いいたします。(「わかりました」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。
 議長のお許しを得ましたので、一般質問を行います。質問に先立ちまして、去る22日、ニュージーランドで発生をいたしましたマグニチュード6.3の地震では、建物の崩壊により多くの人が犠牲になりました。いまだ行方知れずの方が日本人を含めたくさんいらっしゃいますが、安否が気遣われております。無事に救出されることを祈るばかりでございます。
 日本と同様に有数の地震国でもあるニュージーランドですが、今回の地震で耐震基準に対応していない古い建物や地盤の悪い場所の建物、補強されていない石造りの建物が集中的に倒壊をいたしました。改めて、本県の地盤や構造物の検証と耐震化を急ぐことが急務になっていると強く感じた次第です。
 また、鳥インフルエンザへの対応では、危機管理の重要性を教えてくれました。素早い対応が被害の拡大防止につながります。昼夜を分かたず奮闘された関係者の皆さんに感謝を申し上げたいと思います。
 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず、経済対策について知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 ことしの2月に内閣府が発表いたしました昨年10月から12月期の国内総生産速報に関する報道を見ておりますと、国内の実質成長率は前期比で0.3%の減、年率換算では1.1%の減と、5四半期ぶりに国内経済がマイナス成長となりました。その主たる要因としては、国内総生産の55%を占めている家計消費が大幅減になったということが指摘をされております。家計消費が落ち込んだ理由としては、家計の消費力を支える勤労者の所得が長期にわたり減少を続け、その上にエコカー補助金や家電エコポイントなどの消費を誘導する政策が終了または縮小したことが響いたと、このようなことが言われております。
 確かに、昨年の雇用者報酬は、バブル崩壊直後の平成4年以来の低水準にありまして、雇用者に占める非正規での働き方は過去最高の34%に達するなど、家計所得の低迷と雇用の不安定化が進んでおります。
 一方、株式上場している大企業の経常利益は5期連続増益ということです。これらのことを考えてみますと、大企業が増益になっても、家計の所得や雇用が安定しなければ経済の自律的な回復にはつながらないことを示していると思います。
 持続的な経済成長に結びつけるには、働き方の非正規から正規への転換で安定した雇用をふやし、最低賃金の大幅引き上げなど、雇用者報酬の引き上げで家計を温め、内需を拡大する経済政策がどうしても必要だと強く感じるところです。果たして新年度の状況に期待が持てるでしょうか。高卒、大卒の新卒者の就職状況は依然として厳しく、公的年金は5年ぶりとなる0.4%の引き下げが予定をされ、ことしに入って食料品や燃料価格の値上げが相次いでいるなど、将来の暮らし向きに不安が増大をしております。
 知事は、新年度の予算編成の基本的な考え方として、県内産業の活力強化を初めとする「未来を拓く『希望』の政策」と、県民の暮らしに直結する医療や福祉など「命とくらしの現在を守る『安心の政策』」を2つの柱として編成作業を行ったと言われております。
 昨年の県内企業の動向では、県税における法人税収で見ますと、今年度の最終補正、新年度当初予算とも増額計上されておりますが、東京商工リサーチ和歌山支店調べによると、この4年間、3けたの倒産が続いております。昨年の倒産件数は148件で、建設業が最多の52件、サービス業31件、小売業27件、製造業21件と続き、販売不振など売り上げの低迷による不況型倒産は134件、小売業は前年の倍の倒産と消費が冷え込んでいることがうかがえます。
 雇用の動向では、有効求人倍率は昨年12月で年間最高の0.65倍、知事は近畿では最高になっていると言いますが、平成19年当時の0.90倍にまでには回復をいたしておりません。県内企業のほとんどは中小零細の事業所であり、県民の雇用の場でもあることから、県内に根差している地元の中小事業者に活力をつけていくことこそが、県経済を浮揚させていく上で最大の課題でもあると思います。国の経済対策、生活対策としての補正予算で措置されたふるさと雇用、緊急雇用などの基金事業や公共事業に活用できる交付金事業はほとんどが新年度で終了するわけですが、それらの有効活用はもとより、県の予算で中小事業者の仕事づくりを支援し、新たな雇用と所得を生み出し、それが購買力の向上となり、地域で消費されるという地域での経済循環をつくり出していくことが県経済の浮揚につながっていくのではないかと考えます。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 知事は、本県経済の現状と先行きをどのように見られているのでしょうか。そして、仕事と雇用づくりの新年度予算と施策はどのようなものとなっているのでしょうか。
 知事は、昨年12月議会冒頭の所信表明で、県経済の活性化、地域が元気を取り戻すために働く場がもっと必要で、和歌山の元気創造につながる分野で日本一と言われる振興策を講じてまいると言われました。それは、和歌山経済が抱える課題の解決につながるものであることが求められておりますし、当初予算でどのような施策、予算としてあらわれているでしょうか。県内事業者の仕事づくりや雇用の拡大などにどのような成果が期待できるのでしょうか。知事にお尋ねをいたします。
 続いて、官公需の地元中小事業者への発注機会の拡大を求めたいと思います。
 21年度の決算でも審議しましたが、国の経済対策としての交付金を活用して、学校へのデジタルテレビやパソコンを購入する事業で、地元中小事業者への発注割合が13%と全国最低クラスとなったことがありました。同じ事業で同規模金額の発注を100%地元中小企業に発注した県が幾つもあったことを考えますと、改めて官公需のあり方についての考え方をお尋ねしておきたいと思います。
 官公需とは、御承知のように、国や自治体などの公的機関が業務のために使用する備品・消耗品などの物品を購入したり、みずから管理する施設などの清掃や警備などの役務、公共施設の建設、道路・河川の改修などの工事を発注する公共調達のことと言われております。県の21年度官公需契約額は705億円ということですが、発注の原資は税金ですから、発注に際しては公正性、経済性、透明性が求められ、経済性ということからいえば1円でも安いほうがいいということになります。経済性のみを追求すれば、物品購入でいいますと、競争入札で大量に取り扱う大手業者に一括発注するほうが有利となります。
 しかし一方では、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律で、中小事業者の受注機会の増大を図ることが定められております。これに基づき、国は毎年、官公需についての方針を閣議決定し、官公需額のうち中小事業者への発注金額と比率などの目標を発表し、翌年、実績を公表することになっております。ここには経済性の追求だけではない、中小企業施策や地域の振興策などからの要請にこたえなければならない官公需の社会的側面があります。
 官公需法では、地方自治体に対しても同様の施策を講じるように求めております。また、官公需は単に中小事業者への発注割合をふやせばいいというものだけではありません。際限ないダンピング競争が行われていれば中小企業振興とは言えず、地域経済を潤していることにはつながりません。そういう点も加味しておくことが必要だと思います。
 群馬県、千葉県など幾つかの県では、官公需のあり方についての方針と計画を持ち、全庁的に取り組んでいるところもあります。
 中小企業庁の資料によりますと、21年度の和歌山市を含んでの数字ですが、本県の官公需総額に占める中小企業向け発注額の割合は77.4%、全国で32位という状況です。発注割合が85%を超えている自治体が16団体あることからも、県においてまだまだ改善の余地があるようにも思います。官公需の地元中小事業者への発注の機会の拡大についてどのように取り組んでいるのか、お尋ねをいたします。実績の推移はどうか。新年度の方針と計画はあるのでしょうか。
 発注割合を高める工夫をする上で、目標を持って取り組むことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。中小企業振興につながるという点から、商工観光労働部長の見解をお伺いいたします。
 あわせて、少額随意契約制度の活用を要望しておきたいと思います。
 地方自治法で少額随意契約制度の定めがあります。入札参加資格の要件に満たない小規模零細事業者に自治体が直接発注できる仕組みです。あくまでも発注の原則は競争入札であって、少額であっても可能な限り競争入札するほうが望ましいわけですが、それでは小規模事業者を公共調達から排除することになりかねず、中小事業者振興という立場から見れば、できるだけ多くの事業者に仕事が行き渡ることが求められております。公共施設や学校の地域など小さい範囲での少額発注についてのあり方として検討してみてはいかがでしょうか。これは要望としておきたいと思います。
 続いて、中小企業向け制度融資の問題についてお尋ねをいたします。
 中小企業の経営破綻の回避や資金繰りに応じるため、国の景気対策として実施をされておりました景気対応緊急保証制度がことしの3月末で終了することとなっております。中小企業のほぼ全業種を対象として、長期低利の融資を信用保証協会が100%保証するもので、県内事業者の資金需要にこたえてまいりました。4月以降は原則として100%保証を打ち切り、金融機関が2割のリスクを負担する責任共有制度に戻すということです。激変緩和措置として指定業種を約6割の48業種に絞り込み、半年間実施し、10月からは業種指定要件をもとの20業種に戻すとしています。その結果、保証承諾額は現行の緊急保証制度の約4割に減じるとも言われております。
 中小企業の景況は、平成20年のリーマンショック以前に戻ったのでしょうか。業種全体としては売上高が減少していなくても、個々の事業者においては売上高が大きく減少している事業者もあります。業種指定から外されれば100%保証の対象にはならず、セーフティーネット保証を最も必要とする事業者の資金繰りが緊急保証制度の終了によって苦境に立たされることになりはしないか懸念がされるところです。
 そこで、商工観光労働部長にお尋ねをいたします。
 1点目、緊急保証制度終了後の融資制度はどうなるのか。国の全業種を対象とする緊急保証制度が終了、縮小していくことになりますが、資金需要はなくなったわけではありません。今後の中小企業向け制度融資のあり方はどうなるのでしょうか。資金需要にどのように対応していくのか。
 2点目、新規開業資金の充実を求めたいと思います。
 新規開業資金の必要額の確保と、借りやすくするためへの対応を考えてもらいたいということです。職を失った人や転職を考えている人から開業したいという相談を受けることがありますが、現実的にはなかなかハードルが高くて、元手が少なければ保証協会の保証も得にくくなります。新規開業を目指す人への応援をより強化していくために、開業に当たってのノウハウの助言はもとより、とりわけ開業資金の手だてを厚くしていくことを求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 続いて、住宅リフォーム助成制度についてお尋ねをいたします。
 住宅の改築や増築の際に経費の一部を補助する制度が、建築関連の中小事業者の仕事づくり、地域の経済対策として全国約1800自治体の中で1割を超える自治体が取り組むまでに、急速に広がりを見せております。本県でも既に実施されています耐震改修、太陽光発電、紀州材の活用、合併浄化槽の設置などへの補助制度や、国が実施する住宅エコポイント制度にとどまらず、広く一般的な住宅改修に対応する補助制度として、地元業者への発注を条件に補助対象工事、補助率、補助限度額などを定めて実施されています。
 昨年の2月議会でも紹介いたしましたが、県としては秋田県が昨年3月から住宅リフォーム緊急支援事業を立ち上げ、リフォーム工事に要する費用が50万円を超える工事に対して10%相当額、20万円を限度として、当初12億6000万円の予算で7000戸を対象として始めました。半年足らずで6939戸の実績、工事出来高152億5000万円に達したということです。
 秋田県では当初予算を上回る見込みのため、8月の臨時議会で8億4600万円の増額予算を組み、目標1万5000戸、予算額を21億6000万円にふやし、目標を達成すれば県経済への波及効果は約240億円と推計をしております。本県の耐震改修制度が60万円を限度としているにもかかわらず、6年かけて376戸の実績であることを考えますと、一般的な住宅リフォーム助成制度がいかに活用されているかがよくわかります。
 山形県では、新年度、耐震化、省エネ、バリアフリー、県産材活用のいずれかを含む一般的な住宅リフォーム工事に対して6000戸分、6億3100万円の当初予算を組むなど、それぞれの自治体で特色はあるものの、リフォームを促進させるものとして経済効果、事業効果に着目し、地域振興や省エネに資する事業として取り組まれております。
 近畿では、奈良県が新年度から国の住宅エコポイント制度を利用して、エコリフォームを行う住宅で、県の景観計画への適合、耐震改修、県産材活用のどれかを行うか、それ以外で50万円以上のリフォーム工事を県内事業者に発注した場合、補助を行う制度をスタートさせるということで、当初予算に1億400万円を計上しております。
 本県においても耐震改修制度を創設したその時期には、1年間に500戸の改修を目標に1億5000万円の予算を組んだ時期もありましたが、その年度の実績は48戸、1440万円の執行に終わったこともありました。予算の有効活用を考えれば、改修の対象を一般的なリフォーム工事に拡大をすればいいわけです。
 そこで、県土整備部長にお尋ねをいたします。
 住宅リフォーム助成制度の経済効果、事業効果についてでありますが、住宅リフォームへの補助はリフォームの促進につながることから、住宅関連産業の仕事づくりなどの経済効果、安全・安心で快適な居住の確保など、県民生活にとっても事業効果が期待できると思われますが、どのようにお考えでしょうか。
 また、県制度としての耐震改修の促進、県産材の利用促進にもなり、今議会にも提案されております景観条例、景観づくり協定などによる改修の推進などにも寄与できると考えるが、どうでしょうか。ぜひ制度実現に向けての検討を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、行財政改革について知事にお尋ねをいたします。
 長期総合計画の策定にあわせて、平成20年3月に平成20年度から24年度までの5年間を計画期間とする新行財政改革推進プランが策定されております。平成24年度を最終年度に歳入歳出の収支不足額ゼロを目指すもので、収支の均衡を図るために職員定数の削減、給与抑制など人件費の縮減、事務事業の見直し、投資的経費の抑制、県債の償還期間の長期化を行うことで、5年間で687億円の歳出削減を図り、歳入確保として県税収入の確保、退職手当債、行革債などの財源対策のための県債の活用、未利用県有財産の処分などを挙げ、歳入で690億円の確保を行い、合計1377億円の改善を図るとしています。その間、各年度で生じる収支不足額を財政調整基金と県債管理基金からの取り崩しで補い、23年度で基金からの取り崩しは終わり、収支均衡の図れた24年度には両基金残高を22億円と見込む計画となっております。
 新年度の行革推進プランの予定を見てみますと、収支不足23億円を基金からの取り崩しで補い、県債管理基金、財政調整基金の残高は22億円としております。一方、新年度当初予算を見てみますと、収支不足が16億円出ると見込んで、県債管理基金から取り崩すこととしておりますが、両基金の新年度末の残高は200億円を見込んでおります。プランでは両基金残高は毎年の取り崩しによって減っていく計画となっていましたが、しかし実際には基金を積み上げてきております。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 1点目、新行革プランと比較して県財政はどのようになってきていると考えておられるのでしょうか。新行革プランの数値が持続可能な財政構造の確立を目指すというものであるならば、基金残高が既にプランの22億円から200億円へと10倍近くにもなっていることを見ますと、既に前倒しで確立できているのではないでしょうか。
 2点目、福祉医療制度の充実を求めたいと思います。
 知事は、福祉や教育、過疎対策など、後退させることなくさらに伸ばしていく、それが「あたたかい改革」だというふうに言われまして、「あたたかい改革」を進めると言われております。県単独の福祉医療制度についての取り組みについて、どう考えているのかをお尋ねしておきます。
 これまでに県は、老人医療費助成の所得制限の強化によって対象者の縮小を進め、重度心身障害者医療費助成の対象者から65歳以上で新たに重度障害になった人は助成の対象から外しました。そして、08年には重度心身障害者医療やひとり親家庭医療については自己負担の導入の検討を行われてきました。これらは、知事の言う「あたたかい改革」とは逆の方向だと思います。今日の経済状況のもとでは、福祉医療制度の拡充、底上げこそが望まれる方向だと思いますが、いかがでしょうか。
 今年度の最終補正予算では、福祉医療制度などに対応するための福祉対策基金へ新たに30億円が積み立てられまして、残高も85億円と膨らんできております。基金に積み立てるばかりではなく、関係者からの要望も強い精神医療や訪問看護の福祉医療制度への追加を求めたいと思いますが、いかがお考えでしょうか。
 最後に、指定管理者制度のあり方についてお尋ねをいたします。
 平成15年の自治法改正によって、公の施設の管理主体の範囲を出資法人に限定していたものを民間の事業者にまで広げる指定管理者制度が導入され、県は平成18年度からこれまで管理委託に出していた施設や直営施設について指定管理者制度に移行させました。指定管理者制度は、民間事業者にまで管理委託を拡大することで、住民サービスの向上が図れ、かつ行政経費の削減が図れることを目的に創設をされております。施設の使用料は指定管理者の収入となることから、利用者がふえればふえるほど収入はふえることになります。
 一方、経費の削減は人件費の削減が中心となっており、施設を管理する職員は常勤職員から非常勤職員やアルバイトへの置きかえが進められました。利用者増と経費削減を追求していくもとで、全国的にも指定管理者制度への取り組みについて問題点も指摘されるようになり、昨年12月、総務省自治行政局長名で全国の自治体に対して、改めて指定管理者制度の運用について8項目にわたる留意事項を指摘して、適切な運用を求める通知を出しております。
 通知の特徴的な内容としては、施設の設置目的を効果的に達成するために活用できる制度であること、事業者選定は公共サービス水準の確保という要請を満たすものであり、単なる価格競争による入札ではないこと、事業者が労働法令の遵守や雇用、労働条件への適切な配慮をしているか留意をすることなど、公の施設の設置目的が十分達成され、そこで雇用されている労働者の労働条件にも目配りすることを求めております。時期にかなった通知だと思いますが、関係部長に幾つかお尋ねいたします。
 1点目、わかやま館を直営にする理由と今後の方針について。今議会にマリーナシティにあるわかやま館を指定管理者から外す議案が提案されています。わかやま館の有効活用を図るということで指定管理にしたと思うのですが、施設の設置目的が効果的に達成されなかったのでしょうか。また、指定管理料1億812万だったのに対して、直営にした場合の管理運営経費を7045万円と安く見積もっていますが、直営にしたほうが経費節減となるのでしょうか。どのような運営を考えているのでしょうか。
 また、わかやま館の今後の方針はどうするのか。どういう見通しを持って運営に当たろうとしているのか、お尋ねします。
 2点目、指定管理者制度のこれまでの実績についての評価はどうか。指定管理者制度が実施をされて既に5年が経過をしております。これまでの実績についてどのような評価をされているのでしょうか。
 3点目に、総務省通知についての検証はされたのでしょうか。指定管理者制度には経費の削減の追求のみが目的ではなく、サービスの質量の向上と同時に、適切な労働条件の確保が求められているところですが、総務省通知を受けての今後の方針についてお尋ねをいたしまして、私の第1問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、県経済の現況と先行きについてでございます。
 鉄鋼、化学などの一部の業種を除き、回復への懸念要因が払拭されたとは言えない状況であります。中小零細企業が多く、加えて下請要素が強いこともありまして、グローバル化、ニーズの多様化への対応のおくれなどにより、全般的には低迷状況が続いているものと考えております。
 一方、厳しい状況の中にあって、地域資源活用等による新商品開発や海外展示会への出店などによる販路開拓を進めるやる気のある企業が、業種を問わず数多く出てまいりまして、一部にそういう意味で前向きの動きが出てきていると思います。
 本県経済の活性化、雇用創出のためには、このような県内企業の活力強化が最重点課題と考えております。新年度予算では、経営相談、金融支援などの下支えの施策とともに、技術開発、販売促進、異業種交流(産学官の連携)を中心とした競争力の強化政策を進めているところでございます。
 この方針のもと、先駆的な研究開発助成の大幅な増額や首都圏での販路開拓、プレミア和歌山の販売促進、地場産業ブランド力強化支援などの新規事業を初めとした施策に一層取り組んでまいる所存でございます。また、国内外からの企業誘致とともに、雇用基金の活用により、切れ目のない雇用創出に取り組んでまいります。
 私は、本県の産業政策が、本県特有の地域の実情に応じた課題について地域全体の力を結集し、人口減少に苦しむ地域の新たな解決策のいわばモデルともなり得るように振興策に全力をもって取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、行財政改革プラン、新行財政改革推進プランと県財政の現状はということであります。
 私は、これまで新行財政改革推進プランに基づく人件費の抑制や事務事業の見直しなどにより収支不足額の縮小に取り組むとともに、地方交付税を初めとする地方税財源の充実・確保について国に対して強く働きかけてまいりました。平成23年度当初予算においては、こうした取り組みの成果もあり、収支不足額を16億円に圧縮し、将来の財政需要に的確に対応するために必要となる基金の減少を最小限にとどめることができたと思っております。
 現状では、基金残高については当初の新行財政改革推進プランを想定したときの水準よりも上がっておりますが、基金残高だけの問題ではありませんで、毎年の収支構造も変えていかないと、この基金を取り崩してしまって終わりということになりかねません。したがいまして、この収支構造については今のところ当初の想定のような形で推移しているというふうに考えております。
 しかしながら、先行き不透明な社会経済情勢や社会保障関係経費等の一層の増加が見込まれる中で、元気な和歌山を実現するためには、引き続き持続可能な財政構造の確立と新政策の推進、和歌山を元気にするためにもっともっといろんなことをやりたいという2つの目標を両立さしていく必要が依然としてあると考えております。
 その中で、重度障害のある方やひとり親家庭等を対象とする県単独医療費助成制度がございます。これについては、平成20年度に新行財政改革推進プランの趣旨に基づき、見直しを検討いたしましたけれども、県議会を初め市町村長及び関係団体の皆様からの御意見を十分踏まえて、一部自己負担の導入という案があったんですが、それを見送りまして、平成21年度以降も現行制度を維持しているところであります。
 本プランでは、財政状況を考慮しつつ見直しを検討していくこととしていますが、県単独医療費助成制度の必要性は認識しておりまして、今後も安心して医療を受けていただくためには、県単独医療費助成制度を将来にわたり持続可能なものにするということが重要であると考えております。
 また、精神障害のある方々や訪問看護療養費を重度心身障害者医療費助成制度の対象に加えて本制度を充実させることにつきましては、現行の対象者を含めた県単独医療費助成制度全体の中で総合的に検討してまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
 〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 官公需の実績の推移でございますが、平成19年度は県の中小企業者向け契約比率79.9%、平成20年度は70.7%、直近の平成21年度は77.5%で、金額ベースでは和歌山県の官公需総額705億4100万円のうち547億300万円が中小企業者の契約金額となっております。また、平成21年度の国の中小企業者向け契約比率53.1%、全都道府県平均75.9%となっており、いずれも和歌山県の契約比率は上回っております。
 新年度の方針と計画につきましては、県ではこれまでと同様に国の方針に準じて中小企業者の受注機会の増大のための措置を徹底するよう庁内等に周知を図り、一層の契約比率の向上に努めていく所存です。
 目標設定については、国の実績及び全国平均とも上回っていることから、現在のところ独自に目標を定める予定はありません。しかしながら、地元中小企業者への発注の増大を図るためには庁内等への徹底的な周知は欠かせないと考えておりますので、引き続き粘り強く取り組んでまいります。
 次に、中小企業向け制度融資についてお答えします。
 まず初めに、今後の中小企業向け制度融資のあり方についてですが、議員御指摘のとおり、本年3月末で国の緊急保証制度が終了するわけでございますが、業況の特に悪化している業種に対するセーフティネット保証(5号)制度は段階的に縮小されるものの、存続することから、これらの方々には引き続きこれまで同様の手厚い支援を行ってまいります。
 また、4月以降セーフティネット保証(5号)の対象から外れる業種の方々に対しては、まずは3月までに緊急保証の利用を検討いただくよう周知徹底を図るとともに、4月以降は、小企業応援資金といった信用保証協会100%保証の制度を活用した有利な資金の利用促進を初め経営支援資金・一般枠など、既存の責任共有制度対象資金でも支援してまいります。加えて、金融機関に対しましても、これまで同様、円滑に資金供給を行うよう、機会をとらまえて要請してまいります。
 次に、新規開業資金の対応についてですが、平成23年度から新規融資枠を10億円から20億円に引き上げ、必要額の確保を図ってまいります。また、金融機関への預託と保証料補助により近畿府県の中でも最大規模の利用者負担の軽減策を講じるとともに、1000万円までは自己資金要件を緩和するなど、これまでも有利で使い勝手のよい資金となるよう必要な見直しを行っており、引き続き金融機関や信用保証協会と連携して、新規開業者の資金需要に的確に対応してまいります。
 次に、わかやま館についてでございますが、わかやま館は平成6年に開催されました世界リゾート博の本県パビリオンとして開館し、以降、本県の文化の発展、観光の振興に大きな役割を果たしてまいりました。
 平成18年度からは指定管理者制度を活用し、サービスの向上に取り組んでまいりましたが、時代の流れとともに、県の施設としての必要性が低下する中で、平成21年2月に策定した新行財政改革推進プランの実施方針についてでは、建物を存続しながら売却または貸付手法等を検討すると決定したところです。そのため、平成23年度は必要最小限の維持管理にとどめることにより経費を大幅に削減した上で、県による直営の施設として管理、運営するとともに、売却等の検討を鋭意進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 県土整備部長原 広之君。
 〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 「住宅リフォーム助成制度の経済効果、事業効果は」及び「制度創設に向けての検討を」の2点についてお答えいたします。
 住宅産業は、関連する業種が多く、すそ野の広い産業であり、経済に及ぼす効果は大きいとされており、国は省エネルギー対策としての住宅エコポイントや、地場産材を用いた長期優良住宅への助成などを緊急経済対策に盛り込んでいるところでございます。
 県としては、県民の安全・安心な居住の確保のために耐震化やバリアフリー化のリフォーム助成制度を設けるとともに、国及び県の助成制度をわかりやすく説明するパンフレットの作成や、総合的な相談窓口の設置など、助成制度の周知に努めているところでございます。
 さらに来年度より、木造住宅の耐震改修をより促進するため補助要件の緩和を行うとともに、地域材の振興のため、新築、増築を対象とした紀州材を用いた住宅に対する補助戸数を倍増してまいりたいと考えております。
 これらの各種助成制度をフルに活用することにより、喫緊の課題である東南海・南海地震や高齢化社会への対応を図るとともに、地元業者の仕事づくりなど、地域経済への効果も見込まれるものと考えております。今後とも、現行の各種制度をより多くの方に御利用いただけますよう積極的に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 総務部長宮地俊明君。
 〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 指定管理者制度につきましては、導入施設におきまして利用者の増加や利便性の向上が図られるなど、住民サービスの向上に寄与するものと評価しております。
 昨年12月の総務省通知は、指定管理者制度の運用面での留意点等を周知するものでありますが、本県におきましても、住民サービスの向上という目的に絶えず留意しながら制度の運用を行っており、毎年、施設の管理状況や利用状況、利用者意見等についてモニタリング調査を実施しているところであります。今後とも、施設の運営状況等を十分把握しながら指定管理者制度を活用してまいります。
 なお、議員御指摘の適切な労働条件の確保につきましては、指定管理料の上限額の設定に当たってサービスの質の確保やこれまでの実績等を十分に踏まえるとともに、指定管理者の選定に当たりましては、制度の趣旨に沿って金額面も含め総合的に判断しているところであります。また、今後、指定管理者との協定締結時などに労働法令の遵守等について徹底を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 要望を2点ばかりさしていただきたいと思います。
 まず官公需の問題ですが、商工観光労働部長からは、全国53%を大きく上回っていて、全国平均を上回っているというようなことで、方針は今のところ考えはないというお話でしたが、和歌山県というのは御承知のように、非常に中小零細事業者の多い県でございまして、製造業などは20人以下の事業所というのが約9割を占めるという全国でも最高の位置になってるわけですが、全国的には11の都道府県が官公需の中小企業向け発注の機会の拡大についてということで、方針を現在持っております。和歌山は現在、21年度では32位ですから、全国的に見て決して、平均より上だと言うけども、中小零細事業者が多い割には少ないなという感は否めないと思うんですね。
 受注件数や受注金額というのは、結果の問題ですから、要はどんだけ発注の機会を広げていくのかということが大事なわけです。発注する部署は県庁の中に幾つもありまして、それぞれに発注をふやせ、ふやせと、こう言っているだけではなくて、やっぱりどこにどういう問題点があってというようなことを、きちんと全庁的に検証していく機会というものをつくって、その中で目標づくりを進めていくということが私は大事じゃないかなというふうに思っております。
 官公需の果たす役割とか、発注の機会をふやしていく意識づけというんですか、そういうことにもなってこようかと思うんですね。これまでにも受注は地元業者に受注をしても、しかし、そこから県内で製造できるにもかかわらず県外へ製造が発注されている問題であるとか、ISOの認証向上で製造することという条件をつけてみたりとか、そういった問題点を指摘してまいりましたが、こういうふうに受注機会を狭めるような条件をつけるということも過去行われてまいりました。やっぱりこういった問題もほかに多々あるのではないかと思うんですね。そういったことも含めて、そういう意味でぜひ地元中小企業向け発注機会の拡大について課題を洗い出して、全庁協議の契機にもしていって方針づくりを進めてもらいたいと、これはぜひ強く要望しておきたいと思うんです。考えていただきたいと思います。
 もう1点は、住宅リフォーム助成制度の問題ですが、県土整備部長からは住宅産業の及ぼす経済効果は大きいという認識を示されまして、それで、現在の助成制度の充実と周知に取り組んでいくということでした。
 それはそれで結構だと思うんですが、じゃあ、なぜ今こんなに全国多くで、そういう耐震改修やエコ制度があって、さらにその上に一般的な住宅リフォーム制度を乗せてきているのかということなんですね。やっぱりそれはそれだけ住宅リフォームの助成対象というのは広いわけですから、それを現在やっている耐震改修なり太陽光発電なりに上乗せをするということによって、経済効果、事業効果がけた違いに大きくなるということになるわけです。秋田県の例を見れば、それははっきりとわかると思うんですが、同時に、そのリフォーム工事の促進をさしていくということそのものが耐震改修や県産材の活用にもつながってくるということです。
 本県の耐震診断は、平成16年度から21年度の6年間で8035戸の実績があるわけなんですね。それで、耐震改修が必要とされる構造評点0.7未満の住宅というのは約6200戸、6199戸あるということで、77%あるということなんです。だから、7000戸近い住宅がつぶれちゃうよというようなことを耐震診断で言われてるんですが、耐震改修の補助制度が使われたのは376戸。この6年間で耐震改修予算というのは、何と5億2800万円の予算をつけてるんですが、実際に使われたのは1億1000万足らずで、80%が不用額にしてるわけなんですね。これはいかにももったいないと思いませんか。だから、この耐震改修に一般リフォームを拡大して、この予算だけでも補助金は、私は十分消化できると思うんです。
 新年度で補助要件を評点1.0未満の住宅でも改修制度を使えるようにするよということなんですが、問題はこの評点0.7未満、大きな地震が来たらつぶれちゃうよという住宅の耐震改修をより早く、早期に耐震化するということが望まれてると思うんですね。
 今、建築士さんの話なんかを聞きますと、耐震診断に行きますと確かに評点は低いと。それ以上に柱がシロアリで被害を受けていたり、壁などの剥落があったりと、ほかにこの耐震改修以上に直すところがいっぱいあるんだと。そういうことを指摘すると、なかなか改修というところに踏み切っていただけないというふうなことも言われております。
 ですから、そこにも一般的な住宅リフォーム助成制度の意義がやっぱり耐震改修を促進させるし、幅広い建築事業者の皆さんの経済効果にもなり、快適、安全な住宅づくりにもなると。それがやはり何百戸という対象ではなくて何千戸ということが一遍にできるということに私は大きい効果があるんじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひその辺も予算はあるわけですから、やり方の問題として十分に検討していっていただきたいということを申し上げて、私の質問を終わります。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 31番尾崎要二君。
 〔尾崎要二君、登壇〕(拍手)
○尾崎要二君 きょうは、外は雨でございます。随分暖かくなってきたなと、春のまぜやなと。戦いの日が日一日と近づいてくるということで、本日最後の質問でありますけれども、議場からも熱気と、そういうのが伝わってくるわけでありますけれども、しばし時間をいただきまして質問をさせていただきたいと思います。
 私からは、関西広域連合、自民党県連との政策協定に係る予算への反映、市町村合併の3点について、報告及び質問をしてまいりたいと思います。
 最初に広域連合について、私と吉井議員は昨年12月の県議会本会議で広域連合議会議員に選出され、本年1月から広域連合議会等に出席しましたので、その状況を報告いたします。
 まず、設立後初めてとなる臨時会に向け1月14日に全員協議会が大阪市内で開催され、議会の発足に伴う会議規則や傍聴規則、臨時会当日の議事等について協議を行いました。
 翌15日の臨時会には、各府県から選出された20名の議員が出席し、議長に大阪府の吉田議員、副議長に京都府の村田議員を選出いたしました。また、井戸広域連合長や仁坂副広域連合長を初め各府県知事からあいさつがあった後、会議規則や条例、平成22年度予算の専決処分案件などを審議し、すべての議案を全会一致で承認をいたしました。
 さらに2月11日には、雪の降り積もる中、2月定例会に向けた議案等説明会が大阪市内で開催され、質疑、質問の取り扱いを中心に協議を行いました。
 2月20日には、昼に全員協議会、午後1時から定例会があり、議案として、平成23年度予算案と広域計画が提案されました。井戸広域連合長や各分野の担当委員から提案説明の後、私や吉井議員を含む11名の議員から質疑、一般質問、理事者からの答弁が行われ、慎重に審議した結果、賛成多数で可決し、休憩なしで午後4時20分に閉会をいたしました。
 一般質問として私からは、広域連合への国の出先機関の丸ごと移管が提案されているが、丸ごとについての3点の懸念、丸ごと移管後の人員削減や移譲される権限、財源の確保について、特に人員については、今まで人員の削減に対して地方に比べて国は汗を流していない、国の行革のツケを広域連合が負わされるのではないかといった指摘もいたしました。
 また、同僚の浅井議員の御案内で有田川へウ飼いに行ったそのことを思い出しまして、ウ飼い船のウに例えて、丸ごと、すなわち丸飲み、有田川のウ飼いのウですら魚を捕獲するときにはしっぽから、背中から、腹からくわえても、飲むときには必ず頭から飲み込むと。ウでさえ飲み込むのに、丸飲みのときにはよく考えてするわけであって、やはり国の出先機関についてもいろいろと考えていくべきだというような話をさせていただきました。
 橋下国出先機関対策委員長から、丸ごと移管とは、国出先機関の早期移管を実現するため、権限、財源、組織の一括移管を求めるものであり、必要に応じて本省権限の移譲も求めたい、財源については今後の国との協議の中で見出したい、財源の域内配分については、今後、議会とも十分議論しながら決定していくべきものと認識していると答弁がありました。
 また、広域職員研修会における人材育成の基本的な考え方と具体的な方策について質問を行い、仁坂広域職員研修担当委員から、今後の広域行政の担い手となる職員を養成したい、次年度以降は内容の充実と専門的な知識習得のための研修を検討したいとの答弁がありました。
 吉井議員からは、広域連合として農林水産物の地産地消の取り組みへの見解について質問が行われ、井戸広域連合長から、域内消費に向けた取り組みについて実施の可能性も含め、構成団体の意見を聞きながら対応していきたいとの答弁がありました。
 また、ドクターヘリ事業の移管に際して、現行サービスの低下を来さないための具体的な方策について質問が行われ、飯泉広域医療担当委員から、既にある府県のサービス水準を基本としながら、複数のドクターヘリの共同運航による二重、三重のセーフティーネットの構築等、新たなメリットを生み出せるように取り組むとの答弁がありました。
 関西広域連合がいよいよ始動し、今後、関西の広域的な行政課題に本格的に取り組もうとしています。また、国に対して権限移譲を迫っています。私と吉井議員は、和歌山県の県益を考えるとともに、広域連合議会の一員として、広域連合の施策が実を結び、関西が一丸となって発展していくように大所高所に立って積極的に意見や提案を行ったり、時には苦言を呈したりしていきたいと考えています。
 以上が、関西広域連合についての報告であります。
 なお、その他資料を各議員に配付をさせていただいておりますので、また後でお目を通していただけましたら。
 それでは、質問に入りたいと思います。
 政策協定の予算への反映についてであります。
 昨年の知事選挙に際し、自由民主党和歌山県連は、仁坂知事に対していち早く推薦を決定し、40項目にわたる政策協定を結びました。先般、会見で知事は、選挙で県民に約束した項目はすべて平成23年度予算案に盛り込んだということを表明されました。まことに力強い限りでありますが、さて、政策協定はどのように盛り込まれたのか、知事にお伺いをしたいと思います。
 2点目の質問は、市町村合併についてであります。
 平成11年以降本格化した平成の合併では、全国の市町村数は、平成11年の3232から平成22年には1727になっています。本県の市町村は、明治、昭和の大合併などを経て昭和39年に田辺市と牟婁町の合併によって7市36町7村の50市町村となり、平成16年に南部町と南部川村が合併し、平仮名の「みなべ町」が誕生するまで40年間、行政区域は変わることなく平成の合併を迎えました。
 その間、市町村を取り巻く環境及びその果たすべき役割は大きく変化いたしました。高度成長の反面、東京への一極集中が進み、国民の生活や意識も多様化し、特に家族やコミュニティーが大きく変貌し、公共サービスの担い手としての市町村に対する負担が増大いたしました。さらに、近年、これまでのように右肩上がりの経済成長が期待できない中で人口の減少、少子高齢化が進展し、国、地方を通じた巨額の債務等の深刻な財政下において複雑・多様化する住民サービスを提供しなければならないなど、市町村を取り巻く環境の厳しさはずっと増しております。
 国においては、平成9年7月の地方分権推進委員会第2次勧告で、国、地方を通じた厳しい財政状況のもと、今後とも増大する市町村に対する行政需要や住民の日常生活、経済活動の一層の広域化に的確に対応するためには、基礎自治体である市町村の行財政能力の向上、効率的な地方行政体制の整備、確立が重要な課題となっている、今まで以上に積極的に自主的な市町村合併を推進するものとするとされ、内閣の諮問の機関である第25次地方制度調査会は、平成10年に市町村の合併がさらに一層推進されるよう、合併の障害の除去、合併後の市町村に対する支援、環境整備のための方策等について充実強化するとともに、特例制度や既存制度が効果的に活用されるための方策を早急に講じ、総合的に支援する必要があると答申されました。
 そこで、市町村合併を推進するため、平成11年、いわゆる地方分権一括法の中で合併特例法が改正され、市となるべき要件の緩和、地方交付税や地方債の特例措置による財政措置など市町村合併推進策が充実されたことにより、平成11年より「平成の合併」が本格的にスタートいたしました。
 本県では、平成13年1月に本県市町村の現状や課題、市町村の合併パターン、そして国、県の取り組み方策を内容とする、和歌山県市町村合併推進要綱が策定されました。その中には、市町村の規模が大きくなることにより保健師、土木技師、建築技師などの専門職員の配置や増員ができる、住民の日常生活圏の拡大に対応した広域的視点に立った公共施設や町の整備、土地利用など、地域の個性を生かしたまちづくりが可能になるといった合併の効果が示される一方で、中心部と周辺部では地域間格差が生じるのではないか、役場が遠くなり、行政サービスが低下するのではないかといった合併に際して懸念される事項も指摘をされておりました。
 そうした中、本県では12の市町村合併が行われ、平成18年には30市町村となりました。合併市町では、市町村合併による効果があらわれてきている一方で、合併に際して懸念されたデメリットもあらわれてきております。例えば、紀美野町として合併した旧美里町地域においては、合併によって役場が出張所となり職員数が減少し、近くの銀行の出張所も廃止をされATMもなくなる状況で、旧役場周辺のにぎわいが低下してきております。そして、喫茶店の閉店やガソリンスタンドの廃業もあり、住民にとって不便さも増してきております。また、海南市と合併した旧下津町地域においても、合併に対して厳しい声が多数聞かれるのが現状であります。
 私は、地域が衰退せず維持されていくためには、地域に核が必要であると考えております。地域を構成する最小の単位は家族であり、御近所を含む自治会が次にあり、それを束ねてきめ細かい要望に対して地域の施策を実施してきた重要な核が町役場でありました。役場を中心として地域が成り立っていたのが地方であり、中山間地域の姿であります。
 まず、家族が少子高齢化、核家族化によって大きく変化し、家族同士での支え合いができなくなったことから、育児や介護などといった点において以前より問題化するケースが多くなり、市町村に対する市民ニーズも増加してきています。このような中で、市町村合併において、地域の核になっていた役場がなくなり、結果的に地域の過疎化、特に中山間地域の過疎化に拍車をかけたのではないでしょうか。
 今申し上げたように、合併後の市町では、合併の際に懸念された事項、デメリット、つまり合併の負の部分が現実のものとなってきております。この負の部分は、人間の病気と同じで、できるだけ早く手当てをする必要があります。合併した市や町では、現在、この合併の負の部分を取り除こうと努力している中で、合併を推進してきた県自身、合併市町の状況についての検証がおろそかになっているのではないでしょうか。県みずから積極的に現状の把握に努め、市町村合併の負の部分も含めて検証を行い、適切に対応する必要があると思います。
 県も田舎暮らし応援事業において関係する町とタッグを組んで実績を上げ、特に紀美野町においては平成18年から平成22年の5年間で22世帯、56名の方に移り住んでいただいております。また、昭和の合併前の旧市町村を単位として過疎対策に取り組むなど、地域の活性化に努力していることは評価をしています。昔、住民総出で川や道路の掃除をやっていたころのように、地域住民みんなで支え合う地域づくりが大切であります。旧美里町真国地区においては、りら創造芸術高等専修学校が開設され、地元住民の皆さんとのすばらしいコミュニティーが築かれております。
 そこで、知事にお伺いいたします。平成の市町村合併について知事の所見をお伺いいたします。
 また、合併市町では、合併時に市町村建設計画を策定し、計画的にまちづくりに取り組んでいると聞いています。そこで、市町村建設計画に基づく各種事業の推進に対する県の姿勢について総務部長に伺いたいと思います。
 以上で、1回目の質問を終わります。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの尾崎要二君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、政策協定の予算への反映でございますが、自民党県連と締結いたしました政策協定は、和歌山の産業を元気にして働く場所をふやす、あるいは県民の安全・安心を守るなど7つの柱で構成されておりまして、自民党県連の方が選挙に際しまして、こういう運動方針でいきたいというようなことで原案をおつくりになって、それを拝見さしていただきましたところ、和歌山を元気にしたいという思いで進めております私の県政と全く同じであるということでございましたので、それでは政策協定という形で表に出しましょうということにいたしました。このように、もともと同じ考えでございますので、当初予算にもこの中身は十分反映しているわけでございます。
 例えば、頑張る地場産業への一貫した支援や企業誘致の推進に向けた北勢田第2工業団地の整備支援など、雇用の場の確保に取り組むとともに、果樹産地の再生対策や鳥獣害対策を大幅に強化することにより農林水産業を振興してまいる。また、国際チャーター便の就航促進など海外からの観光客の誘客を推進するとともに、県民の悲願である紀伊半島を一周する高速道路や京奈和自動車道の早期実現のほか、各生活圏の背骨に当たる川筋ネットワークあるいは府県間道路の整備に集中的に取り組むなど、交通基盤を充実してまいっております。
 さらに、集中豪雨等に対応するため、中小河川の浸水対策予算の大幅拡充、あるいは過疎集落の再生・活性化に引き続き取り組むなど、県民の安全・安心を守るとともに、広く世界で活躍できる人材を育成するため、実践的な英語力を身につけるための授業に新たに取り組むなど、教育の充実にも努めてまいりたいと考えております。
 これからも、このような政策をどんどん進めてまいりたいと考えておりますので、ぜひ御支援、御協力のほどお願い申し上げます。
 次に、「平成の合併」に関する所見でございます。
 「平成の合併」につきましては、和歌山県においては、平成16年10月の南部町と南部川村の合併を初め、平成18年3月の橋本市と高野口町の合併及び白浜町と日置川町との合併まで12の市町村合併が行われました。この結果、専門部署の新設等による行政基盤の強化や各種財政支援を活用した公共施設の耐震化の推進などの効果もあらわれております。
 その一方で、合併後4年から6年が経過した現在においても、旧庁舎の職員数の減少等により旧庁舎周辺部のにぎわいの低下や水道料金等の住民負担の調整の問題など、解決すべき課題を抱えておるところがたくさんあると思います。
 合併市町は、合併後おおむね10年程度を見据えた市町村建設計画に基づきましてこうした課題の解消に努めているところでありますが、県としても、議員御指摘のような問題意識を持って、この課題の解消に一緒に努めるべく努力してまいらなきゃいけないと思っております。
 例えば、そういう観点から、そういう問題意識をもとにして、田舎暮らしプロジェクトとか和歌山版の過疎集落総合支援対策とか、そういう取り組みを幾つか行い、市町村の方々といろいろな議論をしながら、さまざまな施策を通じてこれを支援してまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 総務部長宮地俊明君。
 〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 市町村建設計画に基づく各種事業の推進に対する県の姿勢につきまして、お答え申し上げます。
 合併市町におきましては、これまで市町村建設計画に基づき、緊急性の高い公の施設の耐震化やコミュニティーバスの運行といった各種事業を実施してきているところであります。今後、複合文化施設や消防庁舎などの大規模事業、旧市町村間を結ぶ道路の整備、上水道・簡易水道の整備など、さまざまな事業が実施される予定となっております。
 今後とも、一体的なまちづくりや地域間格差の解消といった観点からの取り組みを着実に進めていくことが必要であると考えております。
 県といたしましても、こうした観点から議員の御指摘を踏まえ、合併市町の状況をよりきめ細かく把握するとともに、市町村建設計画に基づく事業の推進につきまして、引き続き関係部局としっかり連携を図りながら支援してまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 31番尾崎要二君。
○尾崎要二君 我々県議会議員も当局もそうでありますけれども、常に県勢発展のために、また県民のためにということを考えて提案また議論、当局におかれては政策を立てるということでありますけれども、実施した施策が、また提言したことが、言ったとおりに、最初から思っているとおりにすべてが進むかというと、そうもいかないのが現状であろうと思います。
 例えば、文部科学省が子供たちのことを考えてということでゆとり教育を始めたら、子供たちの学力低下を招いてしまったと。また、県下のスポーツの例を挙げますと、競技力向上において大いにその役に立っていた県民総合体育大会というのがございました。それを10年前に、急に県の判断で突然取りやめてしまったと。そして、そのかわりに生まれたのが市町村対抗ジュニア駅伝であります。そのとき私も尋ねました。駅伝の実力は上がるんやろうなと。そこまで大きな犠牲を強いてするのならばと尋ねたところ、マラソンや駅伝の競技力向上に必ずつながるという力強い返事をいただいたんですけれども、今期においても年末年始に各種全国の駅伝大会がございました。本県の成績は、皆さんが御承知のとおりであります。なかなか結果が伴ってこないということであります。
 今回質問した市町村合併についてでありますけれども、当時私も、やはり町というのは適正規模になって、そして住民の生活にそのことがつながっていくんだと信じて賛成の立場でおりました。今になって、それで本当によかったのかなと、今の合併した姿を見さしていただいて自問自答を自分なりにしているところであります。
 合併の後、それぞれの市や町もそれぞれ新しいまちづくりに懸命の努力をされていると、また効果も上がっているということも認めるわけですけれども、合併が中山間地域の過疎化に拍車をかけたということも、これは紛れもない事実だというように感じてございます。
 合併を推進してきた県当局が、合併におけるデメリット、負の部分について情報収集や状況の調査をしなければならないところ、昨年までほとんどその調査をしていなかったという話も承っております。これで本当に地域の痛みに対する対応が県として進めていけるのかどうか、正直なところ不安であります。その辺も十分御留意をいただきたいということも、この場で要望を申し上げておきたいと思います。
 また、多くの県民の支援をいただいて2期目のスタートを切った知事が挙げた「あたたかい」改革についてであります。
 「あたたかい」という言葉をとってしまうと、「改革」という言葉が残るわけであります。おおむね世間では改革、改革と言えば響きがよいように聞こえますが、響きのよさの裏というか、影には厳しい政策を地方などに押しつけていくというようなところもよく見かけられるわけであります。効率性というのは無視はいたしませんけれども、効率性のみに余りにも目を奪われて、広く深く物事を見る姿勢に陰りが出ることが出ないように、知事にはひとつ十分そういうことを求めてまいりたいと思っております。
 多くの皆さんの期待にこたえて温かい県政を進めていく上においては、アンテナを高くしてきめ細かく情報を集め、広い視野で常に結果を検証しながら、謙虚な姿勢で県政を進めていただくよう要望しておきたいと思います。
 最後に、今期をもって御勇退を決意された大先輩の町田先生、また最長老の小川先生、そして同期の松本先生、野見山先生、原先生、今日までの御活躍に対して敬意と感謝を申し上げ、また、賜りました数々の御厚情に対して心からお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
 勇退後も健康に十分御注意いただいて、また御指導のほうもよろしくお願いを申し上げたいと思います。本当に御苦労さまでございました。感謝の気持ちを伝えて、以上で質問を終わります。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で尾崎要二君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
 午後2時20分散会

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