平成23年2月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成23年2月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成23年2月25日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第39号まで、議案第41号から議案第43号まで、議案第45号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第69号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第39号まで、議案第41号から議案第43号まで、議案第45号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第69号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(44人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 森 礼子
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 服部 一
 28番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 浦口高典
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
 16番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事 仁坂吉伸
 副知事 下 宏
 知事室長 曽根義廣
 国体推進監 中村正次
 危機管理監 前硲健作
 総務部長 宮地俊明
 企画部長 柏原康文
 環境生活部長 保田栄一
 福祉保健部長 西上邦雄
 商工観光労働部長 岡本賢司
 農林水産部長 阪中栄一
 県土整備部長 原 広之
 会計管理者 神田泰仁
 教育委員会委員 寺村多喜
 教育長 山口裕市
 公安委員会委員 片山博臣
 警察本部長 山岸直人
 人事委員会委員長 守屋駿二
 代表監査委員 楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 森田実美
 次長 佐本 明
 議事課長 堀 達也
 議事課副課長 吉田政弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任 中尾祐一
 議事課主査 保田良春
 議事課主査 中村安隆
 議事課主事 的場健司
 総務課長 上坊 晃
 調査課長 中井祥之
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 午前10時0分開議
○議長(谷 洋一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第39号まで、議案第41号から議案第43号まで、議案第45号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第69号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 20番藤山将材君。
 〔藤山将材君、登壇〕(拍手)
○藤山将材君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入りたいと思いますが、それに先立ちまして、まず、先日のニュージーランドで発生をいたしました地震によりお亡くなりになられた方々に対して心から哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。また、本県出身の方を含め、依然として安否が確認できていない方々もたくさんおられます。一刻も早く無事に救出されることをお祈りしつつ、一般質問に入らせていただきます。
 まず1番目、動物愛護についてお尋ねをいたします。殺処分を減少させる取り組みについて、環境生活部長に伺います。
 近年のペットブームで犬や猫といった動物とともに生活をする方がふえる一方で、動物の虐待、遺棄、飼養放棄といった生命倫理にかかわる問題が顕著になってきております。
 現在、日本の飼育世帯率から推計される飼育数は、犬が約1200万匹、猫が約1000万匹の計約2200万匹であります。ペットの飼育数がふえ続ける背景として、飼育可能な住居環境が整備されたことや、少子化の中でペットが子供と同じようにかわいがられるようになった、ペットと暮らすことによる精神的効用が広がったことなどが挙げられます。
 これはこれで結構なことでありますが、一方で毎年約33万頭のペットが捨てられている状況であり、保健所に持ち込まれ、ほとんど引き取り手もなく、約1週間前後で殺処分されています。幸運にも飼い主が見つかる確率は、犬で約23%、猫ではわずか2.9%にすぎません。平成19年度は、犬、猫の殺処分数だけでも約30万匹に上ります。ペットの死因の一番は、事故でも老衰でもなく、行政による殺処分でございます。そして、その動物を殺処分にしてしまう状況をつくり出しているのは我々人間でございます。
 本県では、犬、猫合わせて約20万頭が飼養されていると言われていますが、毎年県の動物愛護センターにもたくさんのペットが持ち込まれ、多くは殺処分せざるを得ない状況であります。国では動物の愛護及び管理に関する法律が定められており、この法律では具体的処置については都道府県などの自治事務によることとされています。
 和歌山県においては、和歌山県動物の愛護及び管理に関する条例が定められ、「当該動物を可能な限りその終生にわたり飼養するとともに、飼養できなくなった場合には、自らの責任において新たな所有者等を見つけるよう努めなければならない」となっていますが、保護引き取り頭数のうち約半数が、病気や老齢、子供が欲しがって飼い始めたが飽きて世話をしなくなった、ふえ過ぎて面倒を見切れなくなった、しつけができないなどの理由で飼い主自身が持ち込んでくるというのが実態であります。まずはこうした事態に対処するため、飼い主のモラルを向上させなければなりません。かわいいから動物を飼うといった安易な気持ちだけで飼うのではなく、動物を飼養していくためには、命あるものとともに生活をしていくという覚悟と責任が必要であります。
 そこで、飼い主のモラル向上のため、どういう取り組みがされているのでしょうか。また、動物愛護法では悪質業者について登録及び更新の拒否や登録の取り消しなどができるようになっていますが、一部には利益を求めて犬や猫を無理やりに繁殖させているという取扱業者もあるやに聞いております。動物取扱業者の認可は県知事となっていますが、本県ではそういった無軌道な繁殖を行うペット業者に対する指導や規制はどのように行われているのでしょうか。動物の殺処分を減少させるための取り組みとあわせて、環境生活部長に伺います。
 さらに、そういったモラルは学校の教育現場においても子供たちにしっかりと教えていく必要があると思っています。我が国は古くから伝統を重んじる風土の中で、社会規範や道徳性をはぐくみ、その中で弱い者へのいたわりや命に対する畏敬の念を養ってきました。外遊びをしなくなり、自然と触れ合う機会がめっきり少なくなり、ゲームの世界に夢中になっている子供たち。こうした現代社会の中でこれらが十分に育てられていない現状にかんがみ、学校教育においても特に大切に指導をしていく必要があると考えております。生き物を慈しむ心を育てる、命のとうとさを学ばせる、そういった教育のあり方について教育長に伺います。
 2番目の項目として、和歌山県情報館や和歌山県モバイル情報館を県外の方にも見ていただく工夫や取り組みについて伺います。
 和歌山県の地場産品の販路拡大策として、これまでも海南市特産の日用家庭用品のアンテナショップや都心の百貨店等での展示販売などを提案さしていただいた際に、QRコードの活用やモバイルサイトの利用などについても提案をしてまいりました。昨年の2月議会では、私の質問に対し、和歌山県モバイル情報館について、知事から情報の充実と県広報紙等へのQRコードの掲載など積極的な回答もいただきました。持論を繰り返しますが、ブロードバンド時代においてインターネットの利用は県外への広報として大変有効であると考えています。
 以前、親元を離れて暮らす学生が台所用品にふるさとである海南市の業者名が印刷されているのを見つけ、ふるさとの産物がこんなにも遠くで売られ、使われていることを改めて知り、感心したという話を聞きました。地元海南市の日用雑貨は全国1位のシェアであり、私の知る限り、県産品においては日本じゅうで最も広く販売されているものだと思います。それこそ、北海道から沖縄まで、家族住まいから単身赴任のお父さんやひとり暮らしの学生のお宅まで1年じゅう利用をされています。
 例えば、食器を洗うスポンジ。その包装フィルムに和歌山県の広告とともに、ホームページのアドレスやQRコードを印刷してもらうことができれば、全国の利用者にホームページを見ていただく機会が格段にふえることも期待でき、県外への和歌山県のPR策に使えないかとも思っております。
 また、見ていただく工夫とともに、ホームページそのものもグレードアップしていく必要があると思います。和歌山県のホームページである和歌山県情報館は、ここ数年でかなり内容が充実してきたと率直に思っております。中でも、本県の写真を掲載した和歌山県フォト博物館などは、自然景観、街角風景など和歌山のイメージを持ってもらい、行ってみたいと思ってもらえる工夫もなされております。
 ただ、せっかくならば解説を加えるとともに、音の工夫なども考えてみてはいかがでしょうか。鳥のさえずりや川のせせらぎ、滝の流れ落ちる音なども臨場感があってよいかもしれません。照明を落とした部屋で、缶ビールを片手に臨場感のあるスライドショーを見ていただきながら至福の時間を味わっていただく。私がたまに家のメダカ水槽の前でやっていることでありますが、これこそいやしを売る和歌山冥利に尽きるではありませんか。そういった工夫をしてみてはと思います。
 さらに、モバイル情報館を見てみますと、車で移動中に情報などを見て行ってみようかと思ってもらえるような工夫が少し不足しているんではないかというふうに思います。例えば、生石高原の紹介文とともに、ススキの穂が風になびいている写真を載せればイメージがわくでありましょうし、みさと天文台を紹介するためには、暗闇に浮かび上がる天文台の写真と満天の星空の写真を合わせればイメージをつかんでいただけるのではないでしょうか。
 モバイルサイトを立ち上げたころに比べて携帯電話の容量や通信速度が格段に進歩している今、紹介文よりもビジュアルに重きを置くべきと考えますが、そのような工夫はできないのでしょうか。和歌山県の県外PRとしてホームページのさらなる充実や、見ていただく工夫や取り組みについて知事室長にお尋ねをいたします。
 3番目に、青少年の有害サイト対策についてお尋ねをいたします。
 青少年インターネット環境整備法が施行されたことにより、子供が使う携帯電話で有害なサイトの閲覧を制限するフィルタリングサービスの設定が携帯電話事業者に義務づけをされてから約2年がたちました。しかしながら、いまだに出会い系サイトを通じての少女買春やネット上でのいじめ、有料サイトからの高額の利用料請求などのトラブル、また悲惨な事件に巻き込まれてしまうような事態が後を絶たないことは、御承知のとおりであります。
 和歌山県においても、インターネットをきっかけとする青少年を巻き込んだ児童買春や児童ポルノなどの犯罪が年々増加をしております。こうした携帯電話のサイトを通じて性犯罪等の被害に遭った子供のほとんどが、このフィルタリングを設定しておりません。
 この問題について、私が問題視しているのは、大きく分けて3つであります。まず第1に、子供のほうがネットに関する知識が豊富で保護者が子供についていけていない、第2に販売店の説明不足、第3は、法施行前から既に携帯電話を所持している青少年へのフィルタリングの設定をどうするかであります。
 昨年、本県において実施された調査では、フィルタリングの契約時の利用率は54%で、20年度の約40%に比べれば普及が進んでいるように思われますが、幾つかの携帯電話販売店で聞いてみても、買ったときにはフィルタリングを利用しても、後に保護者が子供にねだられ解除してしまうケースが多いとのことであります。実際にはこの数字よりも低いことは容易に推測ができるわけであります。つまり、子供を守るべき保護者の理解が足りず、子供のネット利用について目が行き届いていないという実態が浮かび上がってきます。
 第2の問題が、携帯電話販売店の周知不足です。フィルタリングの普及が進んでいないことから、警察庁が実施をした携帯電話販売店に対するフィルタリング推奨状況等実態調査によると、40%の販売店が契約の際にきちんとした説明が不十分だったということであります。中には、つける必要はないとか、閲覧できないサイトがあるのでつけないほうがよいと説明するなど、明らかに不適切な対応も見られたということで、契約の際に適切な説明をするよう働きかけを強めなければなりません。
 第3は、法施行前から携帯電話を持っている青少年へのフィルタリングの設定でありますが、現状においては情報モラル講座などでフィルタリングに対しての理解を深めてもらうほかないですが、このままだと一度も受講することなく卒業してしまう子供もたくさんいるのではないですか。
 インターネットが広く普及した現在、子供たちに正しい情報の使い方やルールあるいは怖さも同時に教えることで、青少年の健全育成、ひいてはネット社会の健全な発展に結びつけていくことも大切でありますが、その気がなくてものぞけてしまうという現実がある以上、有害サイトとの接点を断ち切るために条例改正を含めた効果的な対策を考える時期に来ているのではないかと考えますが、環境生活部長に伺います。
 最後、4番目として和歌山─海南間の道路整備の必要性についてお尋ねをいたします。
 これまでも海南湯浅道路の4車線化や県道海南金屋線、国道42号の有田─海南間のバイパス、海南インターチェンジからマリーナシティへのアクセス道路、国道370号線の阪井バイパスの東側からの整備や木津バイパスへの早期の着手、海南市東部から和歌山市へ抜ける秋月海南線などの整備について数度にわたり質問をしてまいりました。一生懸命検討し、質問させていただいた項目が少しずつでも実現していっていることに未来への希望を感じるとともに、一方で、なかなか進まない箇所もあり、さらに強く訴えていく必要性を感じております。
 その1つが、和歌山─海南間の道路整備であります。県下最大の人口を抱える和歌山市へは、周辺地域からの行き来が多いことは今さら申し上げるまでもございません。和歌山市の市街地への交通の流れは大体3つに大分けすることができると思いますが、1つ目は泉南などの大阪方面からのルート、2つ目は紀の川筋方面からのルート、そして3つ目は中紀や紀南地方からのルートであります。
 このうち紀南方面、すなわち海南市から南に位置する地域からの交通は、ほぼすべてが海南市内を通過して和歌山市へ入っていくこととなります。いわば、海南市はエントランスホールのような役割を果たしていると言われますが、この和歌山市と海南市を結ぶ道路網がどう考えても脆弱であると言わざるを得ません。
 和歌山市と海南市を結ぶ道路としては、紀三井寺を通過する国道42号線、そしてマリーナシティを経由して和歌川沿いを走る和歌山市道があります。そのほかには県道が7本ありますが、和歌山─海南間の県道は、幹線道路としてどれ1つもまともに機能していません。唯一整備されている国道42号も、紀三井寺付近では1日に4万台を超える通行があり、慢性的に渋滞を起こしている状態であります。先週には大雪のため、国道42号や国体道路は完全に麻痺、幹線道路としての機能を完全に失い、改めて脆弱さが浮き彫りになりました。和歌山─海南間にはもう1本の幹線道路が必要不可欠と確信をいたした次第でございます。海南・海草議会議員連絡協議会からの本県に対する要望事項の中にも、平成19年度から新たに県道秋月海南線の整備促進が盛り込まれました。
 現在、和歌山市内の外環状道路として国体までの整備を目指して工事が進められている都市計画道路の南港山東線と松島本渡線も、竈山神社付近で交差をした後、海南方面への区間についてはめどが立っておらず、今後も整備には相当の期間を要すると思われます。県道などの別の路線整備をするなど、早期に効果を発揮できるよう検討すべきではありませんか。そうすることで和歌山市と海南市を結ぶネットワークを形成することもできると思いますが、知事の見解を伺いまして私の一般質問を終わります。
 御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの藤山将材君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 和歌山─海南間の道路事情の悪さはよく存じ上げておりまして、早く解決したいというふうに考えております。
 和歌山─海南間の主要幹線道路であります国道42号線においては、これまで県からも強く働きかけていた紀三井寺交差点の改良事業が国で進められておりまして、今後、渋滞緩和が少しは図られるものと期待しております。
 また、国道42号に加えて都市計画道路の松島本渡線などが将来の和歌山─海南間の幹線道路となりますが、和歌山市内では事業中の松島本渡線を来年度から県道秋月海南線まで延伸し、平成27年度国体開催までに一連区間が供用できるよう、和歌山市とも協力して整備を進めております。さらに、これに接続する県道秋月海南線や岩出海南線などについても、都市計画道路の供用に合わせて効果を発揮するよう、狭隘な区間から逐次整備を進めているところであります。
 今後も、幹線道路となる都市計画道路の整備と周辺道路の狭隘区間の整備を組み合わせ、段階的、効率的な整備を図ってまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 環境生活部長保田栄一君。
 〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 御質問の2点についてお答えいたします。
 まず、動物愛護についての飼い主のモラル向上のための取り組みについてですが、飼養者は、動物の生理、習性を正しく理解した上で、他人に迷惑をかけないで愛情を持って終生飼い続ける覚悟と責任を果たすことだと考えております。
 県では、こうした考え方に基づき、動物愛護センターを中心に、わうくらすやWAWフェスタ等の愛護教室やイベントを開催し、動物の愛護や適正な飼養の普及に努めているところです。
 ちなみに、昨年度は約22万人の方に動物愛護センターに来館していただき、約1万人の方に愛護教室などを受講していただいております。
 次に、動物の処分頭数を減少させるための取り組みについてですが、保護や拾得された犬や猫が速やかに飼い主に返還できるよう、鑑札や名札の装着を推進するため、広報媒体を通じて啓発を行っております。
 また、収容された犬や猫のうち、人と暮らしていくことが可能な犬、猫については、新たな飼い主に譲渡し、生存の機会を見出すことに努めるとともに、飼い主のいない不幸な命をつくらないため、不妊・去勢措置の普及啓発にも取り組んでいるところです。こうした取り組みの結果、保健所に収容された犬のうち、3割が返還または譲渡されております。
 最後に、無軌道な繁殖を行うペット業者に対する指導や規制については、飼養者のモラル向上が解決策の1つであると考えますが、現在、国の中央環境審議会において繁殖年齢や回数の制限等、動物取扱業者の適正化に向けての法整備の検討がなされているところですが、県といたしましては、現行法を厳格に運用するとともに、法令が遵守されるよう定期的に監視を行ってまいります。
 次に、続きまして青少年の有害サイト対策についてであります。
 昨年、県が独自に実施した携帯電話契約時調査でフィルタリング利用率の内訳は、小学生約82%、中学生約63%、高校生約42%と前年の内閣府調査の全国平均を上回るものの、まだ十分でないと考えております。このため、御指摘の問題点につきましても有識者や学校関係者、携帯電話事業者などで構成した和歌山県青少年インターネット有害情報対策会議を中心に検討を重ねており、ネット問題やフィルタリングに対する理解を深めるため、教育委員会と情報モラル講座を開催し、本年度は教職員や保護者等、約8500名の方々が受講されたところです。
 販売店対策につきましては、各携帯電話事業者とともにフィルタリング促進のための検討会などを行っており、今春の入学シーズンから販売店においてフィルタリング加入を推奨するチラシを配布する予定でございます。
 また、情報モラル教育につきましては、教育委員会によれば、現行学習指導要領に明記され、すべての学校で実施されておりますが、小学校は平成23年度、中学校、高等学校も順次導入される新学習指導要領により、ネットの危険性や個人情報の取り扱いなど、みずからを守る内容が組み込まれ、強化されてまいります。
 さらに、現在、フィルタリング解除の申し出について、保護者から書面による理由書を徴するという事業者の自主的な動きが広まりつつあります。この動きをより確実にするため、今後も事業者に働きかけるとともに、議員御指摘の趣旨を踏まえ、安易なフィルタリングの解除に歯どめをかけ、有害サイトから青少年を守るためのより有効な対策に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 知事室長曽根義廣君。
 〔曽根義廣君、登壇〕
○知事室長(曽根義廣君) 県ホームページのPRについてでございます。
 和歌山県情報館は、本県における行政情報を初めとするさまざまな情報を発信する重要な手段であると認識しており、より多くの方々に見てもらえるよう、インターネットでの検索結果を上位に表示させるための技術的な取り組みに加え、昨年の議員からの御提言を受けての「県民の友」などの広報紙や県の封筒などにホームページアドレスやQRコードを印刷するなどして認知度を高める取り組みを進めているところです。
 今後、県外の方々に向けても、県外で開催される見本市等で県が作成、配布するチラシにホームページアドレスやQRコードを印刷するなど、より一層のPRに努めてまいります。
 次に、ホームページの内容の充実につきましては、これまでフォト博物館やインターネット放送局といった魅力ある写真や動画の充実をしてまいりましたが、議員御提言のように、視覚だけでなく聴覚に訴えることも効果的であると考えますので、自然が奏でる音を取り入れるなど、今後ともさまざまな工夫を凝らしてまいります。
 また、モバイル版につきましても、和歌山県を紹介するページを充実するため、ビジュアルなモバイル版「和歌山県ガイドブック」を作成するなど、より多くの方々に和歌山のよさを知っていただけるように努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
 〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 生命を慈しむ教育についてお答えいたします。
 各学校では、自他の生命を尊重しようとする態度や動植物を大切にする心を育てるために、道徳の時間を初め、自然体験活動や動植物の飼育活動など、教育活動全体を通じて指導をしてございます。
 今後とも、生命のとうとさを実感できるさまざまな取り組みを通しまして、動植物を愛し、責任を持って育てようとする態度や大切にする強い気持ちを育成してまいりたいと考えます。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、藤山将材君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
 〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 通告に基づき、早速、一般質問をさせていただきたいと思います。
 まず初めに、「介護の充実を目指して」と、そういう柱で質問をさせていただきます。
 今、地域で住民の皆さんの御要望を伺うと、介護にかかわる心配事や御苦労を大変多くお聞きをいたします。特別養護老人ホームの順番待ちはなかなか減っていない状況ですし、認知症の家族の介護での大変な御苦労、もうこれは家庭介護の域を超えていると思うし、深刻です。過疎と高齢化が進む我が県では、在宅へ戻っての介護がなかなか難しいという状況も一方である、こんなことを感じる毎日です。
 そんな中、先日、介護施設で働く皆さんからお話を聞く機会がありました。職員の皆さんからは、利用者の方々の介護度や医療ニーズの重度化が進んでいること、また、排せつや入浴の介助、吸引を初めとする2人がかりでの対応が必要となる特定疾患など、仕事の内容は多岐にわたりきつくなってきている、夜勤は夕方4時から明くる日の9時まで17時間連続の勤務、間に2時間の休憩を入れようとしても休憩がとれない、職員配置もぎりぎりで容態急変が複数出ると対応し切れない、有給や代休などの休みもとりにくい、福祉の仕事につく若い人は心の優しい人が多いのだが忙しさの中ですり切れかねない状況がある、こういった御苦労をされているお話をお聞きいたしました。
 県内労働組合などの調査によりますと、介護の職場では、正規職員が4割にしかすぎず、非正規や登録職員が約6割を占めています。また、現在の職場の勤続年数は5年未満が半数を超えるなど、働き続けようとしても働き続けられない状況があるのではないでしょうか。働き続けられる賃金、労働条件を求める声は圧倒的です。介護職員の賃金がまだまだ低く、昇給の面でもなかなか上がっていかないという実態があります。
 また、夜勤の仕事の困難さもぜひわかってほしいとおっしゃいます。夜勤の交代勤務──3交代がなかなか組みにくいので変則2交代になる、夜勤が17時間とか16時間とか連続勤務のところが多く、夜勤者の人数が少なくて不安だ、緊急事態に対応できない、仮眠・休息がとれない、夜勤時間が長過ぎる、こういう声が出ているように、不安を抱えながらも休むこともできずに勤務している職場実態があります。
 しかし、こういった実態の中ではあっても、仕事に対する満足度という点では、利用者、家族から感謝される、人間的に成長できる、社会の役に立てるなど、こういった言葉が上位を占め、福祉の職場らしく生き生きと頑張っている、そういう姿があります。こういった利用者のためにという使命感に燃えて、そして支えられて頑張ってきたケアマネジャー、ヘルパー、すべての介護関係者の方々の努力に報いなければという気持ちでいっぱいになります。
 私は、職員の皆さんの声に加えて、施設の管理者の方々、また介護の専門学校へも伺ってお話を伺いました。施設の管理者の方々からは、職員確保への苦労話を初め、経営的には人件費の負担が厳しく、配置基準を初めとする制度上の改善や処遇改善の取り組みの継続を求める声が出されました。専門学校からは、介護職への雇用対策や専門職としてのスキルアップの取り組みの状況、また最近では、介護職員の子供さんが親の姿を見ながら入学してくれるのを見かけるようになり喜んでいますと、そういう心温まる話も聞かせていただきました。
 高齢化と過疎化が急速に進む和歌山県として、介護の職場を地域の重要な雇用の場として位置づけ、待遇改善に特段の力を入れるべきではないかと考え、以下3点にわたってお伺いをしたいと思います。
 まず第1に、介護老人保健施設利用者の重度化についてです。
 この問題は、一方で特別養護老人ホームの施設の絶対数が不足している、入所待ちがどっさりあってなかなか入れずにいる、このことに加えて、一方で、病院からは3カ月たったからといって退院を求められる、そしてその余儀なくされた患者さんの行き場がない、こういう問題が重なって、そのちょうど中間にあるこの老健施設に利用者が集中している、しわ寄せや負担がかかっているという構造的な問題があると私は考えます。
 ある施設の方は、感覚的ですが、「うちでは2割ぐらいの利用者さんは、本来、特養ホームがふさわしい方々ではないかと思う」、こんなふうにおっしゃいました。また、病院を転々とし退院してきたものの、まだまだ医療のニーズが必要だ、こういう利用者さんの割合も大変多くなってきています。看護師さんの感想としては、一昔前の病院の一般病棟の患者さんが今は老健施設にいらっしゃる、そういう状況だそうです。利用者の方本人や御家族も不安ですし、こういった重度化が職員の方々の腰痛など健康問題、人的配置の不足、こういう状況に結びついているのではないでしょうか。
 介護老人保健施設利用者の重度化について、県内の状況をどう認識し、対応をしていこうとしているのかお示しください。
 次に、介護労働者の労働実態と待遇改善についてお伺いをいたします。
 さきに紹介したような介護労働者の労働実態を県はリアルにつかもうとしているのでしょうか。大阪と和歌山では2万円ほどの賃金格差が依然としてあると聞きますし、働き続けても給料が上がらず、将来の見通しが持てないという実態があります。和歌山県として、介護の職場を地域経済の中でも重要な雇用の場としてきちんと位置づけ、待遇改善に特段の力を入れるべきではないでしょうか。国に対しても、処遇改善の取り組み継続や来年の介護報酬改定に向けてどんどん意見を上げるべきではないでしょうか。
 3点目に、医療費等の施設負担について伺います。
 介護老人保健施設において医療ニーズのある利用者がふえている一方で、検査や投薬費用、またおむつ代などは介護報酬に含まれているという仕組みになっているということで、この施設は保険請求ができずに実質的に施設の持ち出しとなっている部分がかなりある、そういうふうにお聞きいたしました。これは、介護保険の制度設計が施設や利用者の実情に合っていない制度上の問題ではないでしょうか。この問題を解決することは施設の経営改善につながり、ひいては正規雇用をふやし、人員配置の改善につながると考えます。国に対し、医療費等の施設負担について改善を求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、3点について福祉保健部長より御答弁を願います。
 次に、教育問題で3点お伺いをいたします。
 先日、急性アレルギー反応、いわゆるアナフィラキシーのある子供への対応について教職員の方々からお話を伺いました。私自身も、「アナフィラキシー」という言葉自体は聞いたことがありましたが、その実情はよく知りませんでした。
 アレルギーは、体内に侵入した異物に対する防御反応がかえって体に不利に作用して、かゆみやくしゃみ、炎症やぜんそくなどの症状を起こすものです。アナフィラキシーとは、そのアレルギーの原因物質に接触したり摂取した後、数分から数十分以内に体の複数の臓器や全身にあらわれる非常に激しい急性のアレルギー反応なのです。重症の場合は呼吸困難や意識障害を起こし、命を脅かすようなアナフィラキシーショックと呼ばれるショック症状を起こすのです。ショック症状が出た場合には、一刻を争ってエピペンと呼ばれる注射を打つことが重要になります。この注射は、医者の処方のもと本人が打つのが基本とされていますが、本人の症状が重篤であったり小さい子供さんの場合、医療従事者または家族、そしてだれもいないときには教師が打たなければならないときも考えられます。まさに命がかかった注射なんです。
 アレルギー一般については、最近は卵や小麦粉、そばなどの食物アレルギーについて食品表示もされてきて、よく知られていますが、アナフィラキシーとなると、もっと大変です。
 例えば牛乳のアナフィラキシーでは、牛乳を飲むというのはもちろんだめなんですけれども、牛乳が自分の手についただけでだめなんですね。隣の子の牛乳がかかることだってあるわけです。学校では小さな紙パックの牛乳なんかを飲み終わったら、小さくきちんと折り畳んで片づけましょうと、こんなふうに指導するわけですが、小さな子が一生懸命この牛乳パックを折り畳もうとすると、プチュっと牛乳が飛ぶことだってあるんですね。ですから、こうなるとクラスの子供たちとはうんと距離をとって給食を食べなければならない、こういうことになりますし、また食後は運動禁止ですから、このクラスは5時間目に体育の授業を計画することはできません。
 牛乳の例を挙げましたが、ハチもありますし、複数の食物のアナフィラキシーのある場合も多いわけで、親も、また担任の先生も緊張の糸が張り詰めっぱなしの状態、本当に大変な中、頑張っておられると思います。
 こういった子供たちを含め、すべての子供1人1人の成長をしっかりと保障していくさまざまな対応が求められているのが、今の学校現場の現状だと思います。
 きょうの質問では、行き届いた教育を保障する観点から、3点、教育長にお尋ねをいたします。
 まず、30人学級、少人数学級の実現について伺います。
 1人1人の子供たちの成長と発達を保障するため、30人学級など少人数での行き届いた教育の実現が強く望まれています。県としましても、この間、順次、少人数学級編制のための加配措置を広げてきたところです。国もこの声にこたえるべく、35人学級への学級定数改善をいよいよ来年度、小学校1年生からスタートさせようとしています。今回の国の措置により県内小学校でどの程度の学級定数改善が進むのでしょうか、見通しをお示しください。
 次に、発達障害のある子供たちへの対応について伺います。
 LD(学習障害)やADHD(注意欠陥・多動性障害)など発達障害のある子供の出現率が、ここ10年で100倍になったと言われている現状があります。これらは特別支援学級の対象外ですから、35人の普通学級には1名と言わず2名、3名と在籍する──もちろん、診断されていない場合もありますから──そういうのが現状なんです。
 発達障害のある子供には、その子の状況を十分に把握したかかわりや言葉かけが求められます。そうでなければ、気になる子が困った子だとして扱われてしまいます。この子たちは、決して困った子ではありません。困っている子なんですね。困った子によって大人たちのほうがどうしていいのか困っている。しかし、困った子と言われているその子供が自分を伝えられなくて、大人にわかってもらえなくて困っている子なんだと。そして、しっかりとその子に寄り添った対応ができれば、自分のことをわかってくれる、そういう安心感が持てて、落ちついて学習を初め学校生活が送れる、人間的人格形成や学習権の保障ができるわけです。
 こうした個別対応が大変重要になるわけですが、学級に発達障害の子供が在籍している場合、学級全体の子供たちへの支援との兼ね合いが大変難しいんです。担任は学級全体の子供たちに対する課題を与え、その課題に1人1人の子供たちがどう取り組んでいるのか、これを細かく観察をしながら適切な支援をすることが必要になります。しかし同時に、まず、発達障害のある子供が課題を理解しているのか、取り組みの方法を考えられるのか、これをその子供に寄り添い、その子供に応じた声かけが求められます。そうなると、担任1人で学級全体を見ることが困難になり、学級が安定しなくなってくる場合も起こってくるんです。
 私は、4年前の2月県議会で、発達障害のある子供たちや親や教職員に対する相談体制の充実をと一般質問で取り上げました。これに加えて、教職員の人的配置、学校全体での協力体制、個別指導と全体指導との関係での学習内容や学級指導での工夫などが大変重要であることは言うまでもありません。和歌山県として、LDやADHDなど発達障害のある子供たちへの対応や取り組みは、この間どう進んできたのでしょうか。新年度には新規事業も予算化されていますが、子供たちや現場の教職員、親たちの悩み、願いにこたえるものとなっているのでしょうか。
 3点目に、先ほど紹介しました急性アレルギー反応、いわゆるアナフィラキシーのある子供への対応について伺います。
 給食の時間における対応を含め、担任任せにせず学校全体で取り組むべき課題であるとともに、発作時の注射など、医療との境目にもかかわる重要な問題を含んでいます。しっかりと保護者との意思疎通を深め、主治医など医療関係機関との連携を強化していく必要があると考えます。アナフィラキシーへの対応について御答弁を願います。
 3点目の地デジ対策について伺います。
 「広川町の広八幡神社のあたりが地デジが入りにくいんやて」、こういう話をお聞きし、現地を歩いて状況を伺いました。既に地デジ対応のテレビのあるおうちでも、「テレビ和歌山など幾つかの局の電波が弱く、時々画面がとまる」というお宅、「うちはちゃんと映ってるよ」、こういうお宅もあります。「地デジのテレビを買ったとき、アンテナも新品にしたけれど、やはり電波が弱くて大きいアンテナに買いかえたんや。二度手間やったわ」、こういう声。また、「家の中で1台だけ地デジのテレビに変えたけど、映りが悪い。子供部屋や、あと何台かアナログのテレビあるけど、対策はそのときになってどうしようか考えようと思っている」、こういうお宅もありました。また、「電波が弱いので、光ケーブルで地デジを見るようにできると思って、アンケートが来ていたけど、そのままほうってあるよ」。こういったさまざまなケースが地域に混在してました。
 アナログ放送ではぎりぎり見えていたものが、デジタルだとその境目で、境界になって見えたり画像がとまったりと、こういう大きく影響が出てしまうケースのようです。
 電波を受信している箕島局の出力がわずか1ワットと、アマチュア無線のトランシーバーより出力が小さくなってしまったのも要因の1つではないかと考えたりもします。
 地域全体がもともと全く電波の入らない難視聴地域の対策、また地デジになることによって新たにこの難視聴地域への対策というものは、国、県、市町村の努力により、県内では面的対策は大きく進んだと思います。しかし、ここに至っても今回のケースのようなグレーゾーンがあるのかという認識を新たにいたしました。
 そこで、地デジ対策について、以下4点、知事に質問をさせていただきます。
 第1点目に、地域的、面的な地デジ対策としては7月の期限まであとわずかですが、県内受信困難地域への支援の到達はどこまで来ていて、残された課題はどうなのか、お答えください。
 加えて2点目に、個々の世帯に今度は焦点を当てて、県内地デジ未対応の世帯数やテレビの台数は県としてどのように把握されているのかもお示しください。
 次に3点目に、BS対応の問題点について伺います。
 当面の対策のめどが立たない地域は、BS放送機器の支給により地デジを見るという非常手段的な方法も用意をされていますが、東京の局の放送しか見ることができません。和歌山のニュースや天気予報、特に台風情報や地震情報が見られないというのは、非常に不便である以上に怖いことだと思うんです。また、BS放送自体も2015年3月末までと期限が切られているなど、極めて限定的、一時的な措置となっています。現状ではBS対応を選択せざるを得ない、こういう世帯は県内でどれぐらい出るのか、また放送期間終了時に向けての対策の見通しはどうなのか、お答え願いたいと思います。
 最後に、現行のアナログ波の停止時期の問題について見解を伺いたいと思います。
 地上波デジタル放送は、一番早い首都圏では2003年から放送が始まりました。それに比較して和歌山県内では、一番遅いところでは、やっとこの年末に放送が始まったばっかりです。
 地上波デジタル放送の受信対策というのは、実際に地デジ放送が始まってみないと、波が送られてこないと電波の強さも混信のぐあいなどもわからないし、受信側、送信側の対応策の試行錯誤もできない。これからという段階です。また、現実的には実際にアナログ放送がとまらないと本格対応に至らない世帯もあるでしょうし、しばらくはこのままで辛抱するよという部分も随分残されていると思うんですね。アナログ電波をとめるという実証実験も地域によっては積み重ねる必要があったと思います。
 総務省による普及率の調査が昨年末に発表をされておりますが、調査はそもそも80歳以上の高齢者の世帯、250万世帯が調査対象から外されているという不完全な代物です。また、この数字は受信機の普及率がベースですから、液晶テレビやDVDのレコーダーなど複数の機械を購入している場合、二重カウント、三重カウントされている場合もあるわけです。
 私が日ごろ地元の御家庭を訪問させていただく中でも、1人暮らし、2人暮らしの高齢者世帯が多い中、総務省は和歌山の普及率は約9割と弾いているそうですが、実感としては、とてもとてもいっていないという感じを受けています。その総務省調査でさえも、年収200万未満の世帯では2割が地デジ未対応であると深刻な事態ですし、和歌山県は近畿の中でも対応率が一番低くなっています。
 この問題の根本は、デジタル放送開始時期に合わせた、またテレビの買いかえサイクル、こういったものを無視した極めて無理のある地デジ移行計画にそもそも問題があるということです。かといって、計画は変更するつもりは国はないようですし、アナログ放送停止時期を延ばすことは、コストがかかるとか、後の使い道が待っているとか、こういうふうに言いますが、地デジ対応機器の普及率の現在の絶対的な少なさから見ても、番組やコマーシャルを見る対象者が今のままではがくんと減ってしまうわけで、テレビ局やスポンサーにとってもアナログ停波延期はデメリットばかりではないはずです。
 皆さん、今の状況では、和歌山県内にテレビ難民を出さないと断言できるでしょうか。全国市長会でもアナログ停波の延期を提言しています。県内の御家庭の現状から見ても、低所得者層や高齢者世帯での普及率の低さを見ても、国に対しアナログ停波の延期を求めるべきではないかと考えますが、知事の見解をお尋ねいたします。
 以上で、私の第1問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 地デジ対策についてお答えを申し上げます。
 本県は山がちな地形でございますし、中山間に人がたくさん住んでるというような地形的特徴があります。そういう意味で、この地デジが受信困難になりそうなところというのは自然にたくさん出てくるという、そういう点で問題のある県だと思います。そういう問題に関して、国の対応を私どもは約3年前ぐらいから激しく追及をしてまいりました。
 本件は、電波の利用という国策によって出てきた話でありまして、またアナログ波の停止を容認するというのはテレビ局の経営の問題ということでありますので、本件の問題は国の責任できちんとしなきゃいけない、いやしくも地域の視聴者に過大な負担をかけてはいかんということを強く要求してまいりました。何度も総務大臣室にも参りました。その都度、対策が手厚くなってまいりました。
 県でも、国の問題だとはいえ、県民に大変影響の出る話でございますので、非常に熱心に県としても努力をしてまいりました。いわば、和歌山県は全県中最もうるさく、かつ最もまじめに取り組んでいる県だと考えております。
 詳しく申し上げますと、現状については共聴施設新設への補助拡充やCATV対応をする場合の支援措置など、大きな改善がなされました。県では、市町村と連携して住民への説明会等を開催いたしまして、こうした制度の活用を進め、住民負担の軽減を図ってまいりました。地デジ対応方法未定の世帯数はだんだん減ってまいりました。1月時点の県集計で2361世帯でございます。昨年8月時点と比較いたしますと、1882世帯の減少となっております。
 県内における地上デジタル放送対応機器の普及率については、国の調査結果ですが、これによりますと平成22年9月で88.7%となっておりますが、国に要請し設置された総務省和歌山県テレビ受信者支援センター、いわゆるデジサポ和歌山が一般の方々への周知活動等に努めております。
 具体的には、デジサポが12月末時点で約7500世帯への戸別訪問を実施いたしまして、ことし6月からは各市町村への臨時相談窓口も設置するなど、移行に向けた対応が推進されております。
 次に、BSによる暫定難視対策いわゆるセーフティーネットにつきましては、現在117世帯において利用予定ですが、今後も、共聴施設改修に高額な負担が必要となる世帯など移行までに対策が完了しない世帯において利用いただくべく、国、市町村と連携し、順次住民への説明等の対応を進めていきたいと考えております。
 しかし、議員御指摘のとおり、こうした世帯には恒久的対策が必要であります。地元のテレビ局も見たいということでありますので、住民負担軽減のため、国に対しさらなる対応を要望していく必要があると考えております。
 県は、移行時にテレビが見えない方をなくす取り組みとして、市町とともに共聴施設改修や新たな難視の調査及び住民への説明など、できる限りの対策をとってきました。今も一生懸命やっております。これを最後まで続けていきたいと考えております。
 しかし、そもそも地デジ移行は国策でありまして、県や市町村も住民のために最善を尽くしますけれども、その遂行は国の責任において果たされるべきものであります。移行時に住民がテレビを見られなくなることがないよう、国に対して適切な対応を強く要求してまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
 〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 「介護の充実を目指して」の3点について一括してお答え申し上げます。
 まず、介護老人保健施設利用者の要介護度の状況につきましては、本年2月17日に公表されました介護サービス施設・事業所調査の結果によりますと、平均要介護度は平成17年には3.17であったものが平成21年には3.31と、議員御指摘のように高くなっており、特に要介護4以上の割合が年々高くなってきております。
 県では、要介護度が高い施設利用者の増加に対応するため、わかやま長寿プランに基づく計画的な施設の整備に加えまして、国の介護基盤緊急整備等臨時特例交付金も活用しながら積極的に整備を行っているところであります。
 次に、介護労働者の労働実態と待遇改善につきましては、介護サービス分野が確固とした雇用の場として成長するためには介護職員の給与水準の向上などの処遇改善を図ることが重要であることから、現在、介護職員処遇改善交付金を活用しまして、賃金の引き上げなど処遇の改善を図っているところです。
 また、交付金が終了する平成24年度以降の取り扱いについては、昨年11月に社会保障審議会介護保険部会で取りまとめられました介護保険制度の見直しに関する意見では、本来的には介護職員の処遇改善が継続できるよう介護報酬改定により対応する方向で検討していくべきであるとされています。詳細な内容につきましては、平成24年4月の介護報酬改定に向けた議論の中で決定されることとなりますので、県としても介護職員の処遇改善が継続できるよう、引き続き国に対し要望してまいります。
 最後に、医療費等の施設負担については、特別養護老人ホームに比べ、介護老人保健施設では、医療ニーズのある方の割合が高くなる傾向にあると考えられます。
 介護老人保健施設の入所者が受けた医療費等については、介護報酬あるいは診療報酬において評価されていることとなっておりますが、適正な評価がなされていない項目もあると聞いていますので、平成24年4月の介護報酬、診療報酬の同時改定に向けまして関係団体の意見もお聞きし、国に対し必要な事項を要望してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
 〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育問題についてお答えいたします。
 現在、公立学校における標準学級編制基準は40人とされておりますが、本県では独自に国の指導方法工夫改善に係る加配教員を活用いたしまして、小学校及び中学校の全学年で35人を基本として少人数学級編制を行い、子供たち1人1人に対するきめ細かな指導を進めてきたところでございます。
 今般、文部科学省におきましては、30年ぶりに教職員定数改善を行うための関連法案が提出されているところでございます。これによりまして、来年度は小学校第1学年において35人学級編制が導入される見込みとなっておりまして、現在の標準である40人学級編制と比較した場合、本県におきましては15学級程度増加するというふうに見込まれてございます。今国会における審議の状況を見守り、適切に対応してまいりたいと存じます。
 次に、発達障害のある子供への対応についてでございますが、県教育委員会では発達障害のある児童生徒が在籍する通常の学級における指導や支援を充実させるために、学校全体で取り組む特別支援教育の体制整備を推進するとともに、教員の指導力向上に係る研修会を実施してございます。
 また、今年度、LD等の通級指導教室を14教室増設いたしまして22教室とし、発達障害のある児童生徒の学びの場を拡充いたしました。さらに来年度は、新たに特別支援教育の視点を取り入れた新しい授業づくり事業を実施いたしまして、発達障害のある児童生徒を含めたすべての子供がわかりやすい授業づくりや、1人1人を大切にし合う学級経営のあり方等について研究開発を行う予定にしており、その研究成果は冊子として県内すべての学校に配布して今後の各研修会等で活用してまいりたいと存じます。
 急性アレルギー反応、いわゆるアナフィラキシーを有する児童生徒の対応につきましては、児童生徒の命にかかわる問題であると認識しており、国監修の「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」というのがございまして、これに基づいて適切に対応するよう各学校を指導しているところでございます。特に、当該児童生徒の在籍する学校におきましては、保護者、本人、主治医及び教職員などが緊急時の対応等についてあらかじめ取り決めをしておくよう、また当該児童生徒についての情報を教職員全員が共有するよう、強く指導しているところでございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
○松坂英樹君 答弁をいただきました。何点か要望をさせていただきたいと思います。
 今回、介護の職場や学校現場の声、実情を取り上げさせていただきました。どちらも大変な状況の中ではあるものの、やりがいを持って一生懸命頑張っている職員の皆さんの声や実態なんですね。だからこそ疲れた体にむち打って利用者のベッドに向かうんですし、子供の命にかかわることならと、とれる手だては何でもやり、注射もいとわないんです。ですから、県行政として、県教育委員会として、こういった状況に心を寄せ、現場の状況や声をリアルにつかむ努力が何よりもまず求められると思っています。
 そして、この法に基づく検査とか上から目線の指導という形だけでなくて、現場の苦労や悩みをわかって一緒になって頑張っていく、解決の方向を探っていく、そういう姿勢を貫いていただきたいと思います。現場の皆さんとともに力を合わせて利用者や御家族、子供たちや保護者、県民の皆さんの願いにこたえる一層の取り組みを強く要望するものです。
 地デジ対策については、国の調査で普及率88.7%、県の集計で対応の方法未決定が2361世帯というお話がありました。各市町村別のこの地域とか共聴組合を1つずつ対応を詰めていく、住民と一緒にいろいろ悩みながら対応を進める、この積み上げがここまで到達してきたという点では、県と県内市町村の取り組みに対して敬意を表するものです。
 しかし、国の数字で見ても、1割が未対応なんですね。一口に1割と言いますけども、100万県民から見れば、10万人の方がまだ対応できていないというボリュームになります。大量の地デジ難民、テレビが見られなくなる人が出かねないという現状です。ある日突然、まだ寿命でもない使えるテレビがごみになる。本当にこれでいいのかと。車についているテレビなんかも膨大な数のものが役立たずになります。
 7月24日の期限を前に、和歌山ではこの年度末の段階でどこまで来たのか、何が課題として残っているのか、そして大局的に見てこのままで突っ込んでいって本当に大丈夫なのか、このことを議論しておくべきだと思い、質問したわけですが、答弁では、テレビが見えない方をなくす取り組みを最後まで続けると、国に対しては適切な対応を求める、こういう答弁だったと思います。今の時期としての限界もあるでしょうが、これから3月、4月、5月、6月と、事態は一層緊迫していきます。今後とも和歌山県ではテレビの見えない方を出さないという立場で取り組み、国に対してもしっかりと物申していただくよう重ねて要望いたしまして、質問を終わります。
○議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
 午前11時8分休憩
────────────────────
 午後1時0分再開
○副議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番山下大輔君。
 〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 こんにちは。お昼、食後でもありますけれども、眠気も吹き飛ばすような質問をさしていただきたいと思いますんで、よろしくお願いいたします。
 今期最後の議会質問となりますので、心を込めて質問並びに提言をさせていただきたいと思います。
 まず、質問に入ります前に、今期限りで御勇退を決意された先輩議員には、本当に御苦労さまでした。当会派の松本代表のお話をお聞きしてても、いかにやめる決断が難しく勇気の要るものかを学ばせていただいております。これまでの御努力に敬意を表し、今後は、立場を変えてもこれまでの経験を生かし、県勢の発展にお力添えを賜れればと思います。
 また、あわせて高病原性鳥インフルエンザへの対応では、県職員の皆さんが手分けをして朝早くから夜遅くまで走り回られ、県民の安心・安全を守るため、まさに体を張って御苦労いただいたことについても、まずは心から敬意を表し、感謝申し上げます。
 さて、今、我が国日本、また私たちの愛するこの和歌山においても、さきの鳥インフルエンザなどでもそうですが、これまでに経験のない数多くの課題に直面する現実があります。少子高齢化と人口減少、グローバル化の進展とあわせて新興国の台頭、地球温暖化などに代表される地球規模の課題の噴出など、危機的な環境変化が次々と起こってくるのが今の時代であり、社会的にも先行きの見えない不安が蔓延する状況にあります。そんな今、まさにこのような時代にはリーダーシップが問われるものとなり、国を統治する中央政府のみならず、地方政府においてもその責任は重く、和歌山県でも知事のリーダーシップが問われるものとなります。
 そんな中、この厳しい難局に対処するリーダーシップのあり方について、過去の偉人は1つの知恵、すぐれたアドバイスを残してくれています。リーダーとはかくあるものとして、和歌山が生んだ世界の経営者である故松下幸之助氏は衆知の政治を説いています。(パネルを示す)「衆知」、たくさんの知ということですね。衆知の政治を説いています。指導者たるものは常に衆知によって事を行うことを心がけなくてはいけない。常に衆知によって事を行うことを心がけるとリーダーの心得を何度も説いていたということです。
 リーダーシップは、決して独断専行ではない。幅広く意見を聞き、助力を求め、その上で最後に指導者として強いリーダーシップを発揮して決断を下し、果断に実行、行動していく。今の厳しい時代にこそ、知事のリーダーシップも問われます。多くの県民が心から希望ある未来を切望する中で、その期待にこたえるためにも最善の努力を期待しつつ、私自身も幾つかの視点で和歌山の危機を救うことになればと願い、質問並びに提言をさせていただきたいと思いますので、当局には誠意ある御答弁をお願いいたします。
 それでは最初に、人口が100万人を割り込んだ和歌山の危機について。
 今、私たちのこの日本の状況について、特に人口に係る問題については、さまざまな調査機関、シンクタンクなどから警鐘が鳴らされる状況にあります。
 昨年12月、国土交通省は2050年時点の人口分布推計を国土審議会の長期展望委員会に示していますが、その推計によると、2050年には今人が住んでいる地点の66.4%、何と6割を超える地域で人口が半分以下に激減するということで、日本の特に地方においては、そのほとんどが人口半減の、しかも超高齢化地域となってしまうということです。さらに、その2割を超える地域では町、村そのものがなくなり無人化するという大変な未来が示されています。そもそも、少子化に起因する絶対人口の減少、そして都市への人口集中が今後加速度をつけて進んでいくことが予測されていて、これがまさに今の日本の現実です。
 また、今、民間からも注目される発表が相次いでいます。今の日本のデフレ状況を人口問題の視点から鋭く分析されているのは、以前この本会議場でも御紹介した日本政策投資銀行の藻谷浩介さんです。藻谷氏は、日本政策投資銀行に籍を置き、私の高校時代の友人と同様の役職で仕事をされています。その関係で私自身御縁をいただき、5~6年前からお話を伺う機会を持っているわけですが、一昨年には和歌山にお招きし、若い経営者の皆さんを前に講演も行っていただきました。
 藻谷氏は、特に地域振興の分野を長く担当され、全国各地をくまなく歩いてきたその経験を生かし、昨年、その知見を統計数値で分析し、解説した著書を出版され、それがベストセラーになっています。藻谷氏の指摘は、今、各方面からも注目を集め、ことしの正月にはNHKで放送された特別番組でも取り上げられ、それは、これからの日本、和歌山にとっても重要な示唆を与えてくれるものとなっています。
 今回出された本のタイトルは「デフレの正体」というものですが、その内容は、今の日本の問題の根本要因は人口問題であり、人口構造の変化を読み解くところから日本経済が直面する課題を明らかにしています。藻谷氏が指摘するポイントとしては、日本の問題は1995年以降に始まった15歳から64歳の生産年齢人口の減少が何より重要な指標であり、これは裏返しとして消費年齢人口の減少を意味している、これらの現象は、これまで経済論理でさまざまに解説されてきた景気循環、景気の波といったものを打ち消すほどの大きな影響を与えるもので、それぞれの地域によっては致命傷となりかねない内需縮小が進行していると指摘されています。今、景気の波を打ち消すほどの大きな人口の波が日本経済を洗っていて、日本の再生、中でも特に地方の再生においても人口問題を正面からとらえることの意義、その重要性を改めて指摘するものとなっています。
 また、イギリスの経済雑誌「エコノミスト」でも、昨年11月20日号で大々的に日本特集が組まれました。最近、特に海外において日本の問題が殊さら取り上げられる状況は少なく、まさにジャパンパッシングの状況ですが、有名経済誌で久しぶりに大々的に取り上げられたその内容は、メーンタイトルとして「The Japan Syndrome(日本症候群)」で、サブタイトルには「日本がこれから世界に与えられる最大の教訓は、人口減少と高齢化が経済成長力を吸い取る現実」というものです。
 少子高齢化の問題は、あくまで、日本だけの問題でなく、先進国の多くは同じ問題を抱えていて、日本の現状を精緻に分析することによって日本の教訓を得て新たな政策論議を始めなくてはいけないと警鐘を鳴らすものとなっています。その特集の中で、日本人が理解していないのは経済の病状がゆがんだ人口動態と複雑に絡み合っていることで、この人口問題に取り組まない限り日本の衰退はどうしようもないとしています。
 その後の日本の分析も非常に興味深いのですが、ここでは和歌山県にかかわる問題として話が膨らみ過ぎるので、これ以上の部分は割愛しますが、とにかく今の状況において人口問題は優先してフォーカスすべき重要な政策課題であり、個々の政策の枝葉末節を論じることよりも、まずその根本原因に焦点を当て、そこから政策全体を見渡していく視点が重要であり、それは特に地方政府においても重要な指摘となります。
 そんな中、私自身、和歌山県でもこの人口問題について正面から受けとめて真剣な議論を始めるべきだと強く感じています。和歌山においても人口減少と高齢化がさまざまな地域の衰退の重要な要素となっていて、そのことを改めてクローズアップするところから大所高所から政策全体を見渡して、それこそ選択と集中で政策の優先順位もさらに明確にしていくための真剣な検討を進める、人口問題といった切り口から、それを克服するためにはどういった未来図を描くべきか、未来の和歌山像を改めて描き直し、そのあるべき姿を明確にすることによって今後和歌山県が進むべき新たな道筋も見えてくるのだと思います。大切なのは、あくまでも従来型のボトムアップの総花的政策対応だけでなく、和歌山における人口問題の本質を見きわめる努力からトップダウン的な政策体系全体の見直しを行っていくことも重要な取り組みだと考えます。
 そこで、この人口問題について幾つかの質問並びに私なりの視点での提言を行わせていただきます。
 まず、人口減少問題への対応として、和歌山県として人口が減っている現実について何が問題であったと認識されているか。本県が行ってきた過去の取り組みにおいて、どこに問題があったと考えておられるか。また、その人口減少により及ぼす影響について知事の御所見を賜りたいと思います。
 また、今後、人口の減少を食いとめ、さらには人口を増加させるために、和歌山の地域の実態と照らし合わせて新たな地域のあり方、そのビジョンといったものをどういったふうに考えておられるのか。
 知事は前の12月定例議会で、人口の社会動態での減少を食いとめ、さらには人口の自然動態も増加に持っていくとお答えになられていますが、しかしそこでは、実効性ある対策を構築するには、現状の総花的取り組みをそれぞれに強化するといったことだけでは、これまでの和歌山がそうであったように実現はなかなか厳しいと考えます。
 和歌山の現実を見て、さらに特別などのような手だてを打って地域の未来を今予測されているものから変えていこうとされるのか。
 そもそも和歌山県は、北に大阪という大都市圏を抱えて、南北に長い県土を有する特徴を持っています。その特性からの地域対応では、南北におけるそれぞれの対策も大きく違ってきて当然であり、そういったエリアごとに仕分けされた政策の中で思い切った選択と集中を図り、さらに取り組むべき事業の優先順位をもっと明確にしていく必要があると考えますが、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 また、そもそも人口減少、人口構成などをめぐる人口問題の課題は、それぞれの地方・地域の人口動態によって必要な処方せんは大きく異なっていて、手本とすべきモデルもなく、和歌山独自の解決策を考案していくことが求められます。そういった中では、まず、これまでの取り組みは一たん横に置いて、政策形成過程の最上位に当たるところに人口問題をしっかりと据えて、真っ白のキャンパスにゼロから純粋に考える対策本部の立ち上げが有効だと考えます。
 人口減少に係る問題は古くて新しい問題であり、和歌山県でも平成18年には和歌山県人口対策推進本部が設置され、本格的な議論が始められようとしていました。個人的にも当時の組織長に当たる原副知事とはさまざまに議論したことを記憶していますが、それは残念ながら1年もたたずに頓挫することとなったのですが、ぜひもう一度、前回のような推進本部、戦略本部といったものを立ち上げて、全く白紙のもとに議論を深めることが今の和歌山には必要だと考えます。何事にも優先されるべき人口問題をクローズアップして、まさに衆知によって大胆に解決策を見出すためにも仮称・人口問題対策戦略本部といったものを立ち上げることを提案しますが、知事の御所見を賜りたいと思います。
 続きまして、現在社会問題となっている高齢者の皆さんなどへの買い物弱者の対策とあわせて、商店街振興、NPO雇用促進に係る提言について。
 買い物弱者の問題を調査してくる中で、その解決策は単なる福祉政策ではなく、商店街振興から地域経済への貢献ともなり、さらにはNPOの振興から雇用問題にまで幅広く地域としてメリットを享受できる取り組みになる可能性があると期待して提言させていただきたいと思います。
 まず、私たちのこの日本の高齢者の実態として、現在の高齢者の人口の推移を見ると、日本全体で65歳以上の高齢者の皆様は過去最高となり、さらに80歳以上人口が800万人を超える状況となっていて、大変な高齢化社会が到来していることを改めて認識させられます。
 65歳以上の高齢者人口は、昨年の推計値で2944万人、約3000万人となっており、総人口に占める割合は23.1%まで高まっています。年齢階級別に見ると、70歳以上の人口は2121万人、総人口の16.7%、75歳以上人口は1422万人で総人口の11.2%、80歳以上人口は826万人で6.5%となっています。これらのデータは総務省統計局から出されているものですが、そこでは、2000年以降は総人口がほぼ横ばいなのに対して高齢者の割合が増加の一途をたどっている現実があり、65歳以上人口の総人口に占める割合だけを見ても、急速に高齢化が進んでいることは明らかです。
 そもそも、高齢者がふえていっても総人口もふえれば全体的な高齢化は避けられますが、若年層の減少つまり少子化も同時に起きているので、高齢化というより高齢者の比率の増大化が急激に加速するものとなっています。
 そんな中、経済産業省は、昨年末、高齢者への取り組みの一環として、近くの商店街の相次ぐ閉店などで食料品など日常の買い物が難しくなった、主に高齢者の買い物難民を支援するとして新しい制度を導入することを発表しています。
 この買い物難民、言葉自体はどうかと思いますが、いわゆる買い物弱者への対策についてはこれからの時代にさらに深刻な状況になることが予測されていて、経産省の試算では買い物に困る高齢者は現在全国で600万人を超えると推計されていて、買い物弱者を支える取り組みは日本社会全体の喫緊の課題、テーマであり、それぞれの地域において積極的な取り組みが求められます。特に我々の和歌山では、全国各地域に先駆けて高齢化が先進的に進んでいる中では、その対策をしっかりと打ち出せば他の地域のモデルとなる取り組みになると期待されます。
 そこで、まず1つ目の質問として、この高齢化社会における買い物弱者の問題について、和歌山県としてどのように認識しているか。和歌山県における買い物弱者の現状と今後の見通しについて、福祉保健部長より御答弁をいただきたいと思います。
 さて、そういった高齢化、買い物弱者への対応として、今、大手資本のスーパーや全国展開するコンビニエンスストアチェーンがビジネスチャンスとしてとらえ、高齢者、買い物弱者へのサービスをこぞって模索する状況があります。
 先日、東京都内で会見したセブン&アイグループのセブン-イレブン・ジャパン社長の井阪隆一氏は、買い物弱者と言われる600万人以上の潜在的な市場規模は大きいと話し、コンビニエンスストアが提供している近くて便利という価値を改めて問い直し、新たな時代のコンビニエンスストアとして高齢者、買い物弱者の市場にもしっかりと取り組みたいと強い意欲を示しています。このセブン-イレブンの取り組みでは、タッチパネルを指で操作して宅配サービスの注文ができるタブレット型端末を利用し、セブン-イレブン・ジャパンを初め、NTT東日本、都市再生機構などが協力、この2月4日から試験的にシステムを運用させ、6カ月間の試行の後、問題がなければ全国展開したいとしています。
 こういった例はほかにも数多くあり、しかし、それらのほとんどは大手資本のスーパーや全国チェーンを持ったコンビニなどの取り組みで、それは買い物弱者を福祉の視点だけで見ると大変結構なことだと言えますが、しかし、地域経済、地域の商業振興といった視点では、少なからず問題を抱えるものとなります。地域の商店街振興、また地域の消費をこれ以上県外に流出させないといった立場からは、改めて和歌山の消費市場をどうやって守っていくかといった視点でも慎重に対応すべき重要な問題だと考えます。
 商店街振興といった点では、単なる商業活動だけに限らず、地域の人のつながり、地域文化を守っていくためにも商店街を簡単になくしてしまうわけにはいかず、県としてもこれまで真剣な取り組みを進めてきています。しかし、実際には、公共交通機関の整備が立ちおくれた特に和歌山のような地方では、若者中心にどんどん郊外の大型店に客が逃げていく状況があり、あわせてインターネットの普及などにより楽天、Amazonなどネット通販を利用して多くの県内消費が県外に流出し続ける状況があります。そこでは、これまでの努力では限界があり、アーケードをつくり、カラー舗装を施すなどのハード整備に頼る発想から脱却して、新たな方策を検討すべき段階に来ています。
 そこで、改めて質問ですが、現在の商店街の衰退に係る分析として、その問題点をどのようにとらえ、今後の取り組みについてどう考えておられるか、商工観光労働部長に御答弁をいただきたいと思います。
 さて、そこで、高齢者の買い物弱者対策とあわせて商店街振興を図る私なりの提言として、現在の商店街の衰退に当たっては、これまで消費者の身近にあった商店のあり方をもう一度見詰め直して、今の時代なりに再構築していくことが重要となります。
 地域における商店街を取り巻く環境変化に対応するためには、今の時代に合った消費者ニーズを酌み取り、魅力的なソフトを開発し、新たなネットワークの構築などが必要で、それができないと単に大手資本の大型小売店、ネットを含めた県外資本の企業に客をとられ、県外への消費の流出、お金の流出はとまらない状況となります。そこでは、今、買い物弱者といった新たな課題への対策を契機として、これを地元商店街の活性化につなげる方策を改めて考える知恵が求められているのだと思います。
 お手元の資料、今配っていただいてるみたいですけれども、ごらんください。(資料を示す)この最初の図にありますように、これは今の現状──物を購入する際にIT技術の推進であったりとかネットがもう一般に普及するという状況の中で商品を購入する例です。これでは経済活動として域内利益は損なわれる可能性が大きくなります。
 そこで、次のページですが、このように今こそ知恵を絞って、買い物弱者への対応としても地域内、特に身近な商店街との連携を図れる新たなネットワークを構築して、さらに地域で配送業務を新たに担えるNPOなどで雇用も生み出せるような取り組みが求められ、そこに県がコーディネーターとしてそういった仕組みを構築できないかということを提言させていただいております。こういった連携を地域で構築することができれば、地域内消費を守り、商店街を守り、買い物弱者を救済し、さらに雇用の創出さえも可能性が出てきます。
 そこで、このような買い物弱者の救済を契機とした新たな仕組みの導入、その有効性について商工観光労働部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 こういった取り組みは、あくまで民間部門だけで立ち上がっていくことが理想ではありますが、しかし、現実にその立ち上げを検討していくと、さまざまな課題も見えてきます。具体的に、まずコスト面で、大手資本が入らない状況では特に初期の段階においてはシステム構築のコストに販売収益が追いつかない、また、商店側としてもこういったシステムの運営能力には厳しい面があり、あわせてサービスの受け手となる高齢者の皆さんの対応能力としてもそれなりの手助けが必要となるなど、現実問題として商店の皆さんに任せているだけでは実現は難しく、よって特にその立ち上げの部分では県のコーディネートが欠かせないものとなります。
 県がかかわる意義としても、買い物弱者の問題を福祉政策とするミクロの視点だけでなく、地域全体を見て域内消費を守り、商業の活性化にも貢献するといった大局的な観点で見ると、県が積極的にかかわる意味も大きいと考えます。ぜひコーディネーター役として率先して取り組みを進めてもらいたいと思いますが、あわせて商工観光労働部長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 最後の項目になります。パワースポットブームと熊野健康村構想のさらなる推進についてお尋ねいたします。
 現在さまざまな視点で健康への関心が高まる中、今また新たなトレンドとして、若い女性を中心にパワースポットブームと言われる現象があります。このパワースポットについてはマスのメディアでも数多く取り上げられている状況にありますが、そもそもパワースポットという表現自体は和製英語であり、日本発の表現ですが、しかし、実際に英語圏でも用いられるようになっていて、クールジャパンの一連の輸出品、その1つとも言えるものになっています。
 ウィキペディアによると、「『世界のパワースポット:癒しと自分回復の旅ガイド』という本では、パワースポットには人を癒すとされる水があったり、人に語りかけるとされる岩があったり、あるいは磁力を発する断層があったりする」と説明されていて、荒俣宏氏の解説では、「パワースポットは大地の力がみなぎる場所と考えればよい」として、「そもそもパワースポットという言葉こそは新しいが、昔から大地の力を得ようとする試みはあった」と指摘されています。特に日本で古い事例として、和歌山の熊野三山詣でがあったと和歌山の事例が紹介されています。
 荒俣氏によると、「本来なら厳しい修験を行ってはじめて得られる力を、その場所に詣でるだけで得られる、身分性別を問わずパワーを得られる、という画期的なものであったとし、ただし何の宣伝もなしに人を集められるわけではなかったので言い伝えが用いられ」、熊野と「同様に伊勢神宮にお参りする『お伊勢参り』でも『修験者しか得られないパワーを性別身分を問わず得られる』と宣伝」し、全国に広まったということです。
 そんな今、パワースポットが若い女性を中心に注目を集める中、その元祖とも言える和歌山でそういった現象を利用しない手はないと考えるそんなタイミングで、たまたまよいお話をいただきました。私の恩師でもあり、元サイバーリンクス株式会社の取締役でもあった故小坂光生さんの御子息で、小坂亮輔さんという私が信頼する友人がいます。その奥様である小坂都さんが今、東京でマスコミ関係のお仕事を幅広くされていて、そこでたまたま国内のみならず海外のパワースポットも含めて紹介するプロジェクトが進んでいて、そこに和歌山を組み込むといった御提案をいただきました。
 世界的芸術家として名高いカメラマンの本間日呂志さん、そして、若い女性に大人気のカリスマ風水師MIREYさんが共同してパワースポット写真集などを制作する中で、何とか和歌山を組み込んでもらうといった話が小坂都さんの働きかけによりとんとん拍子に進み、昨年末、和歌山での取材を無事済ませることができました。これがその成果品であります。(本を示す)これ、中身を見るとすばらしい写真がたくさん載っていて、また御希望があればお貸しいたします。こういった写真集とあわせて「超開運パワスポ旅手帖」といった新刊が発刊され、和歌山も大きく掲載されるものとなっています。
 写真を撮っていただいた本間さんは、コマーシャルワークとして、ハリウッドの人気俳優ジャン・レノ、キアヌ・リーブスなど多数の著名人の撮影やグッチ、ナイキ等ファッションCMの世界でも輝かしい実績をお持ちの方で、また風水のMIREYさんは、コマーシャルソングの作成やNHKの俳優としても活躍されるほか、2007年には伝統的な中国の風水学と最先端の建築医学をベースに、スタイリッシュで実用的なアイテムによる環境医療の一環としてガーリー風水を提唱され、OLなどから圧倒的な支持を得ている方です。
 そんなお2人がそろって実際に和歌山に足を運び、各地を回り、多くの作品を残してくれました。和歌山を回ってみた感想として、和歌山の地域のポテンシャルはすばらしく、この21世紀には和歌山はもっと見直されるはずと、べた褒めだったようです。
 またもう1つ、取材を終わった後に小坂都さんからのお話で私自身非常にうれしかったこととして、東京に戻ってから2人の先生が口をそろえて、「和歌山県の対応がすばらしかった。観光振興課の県の職員の皆さんのホスピタリティーには感動した。和歌山は人も財産だ」と、感心しきりだったということです。「他の行政機関から頼まれて仕事をすることも少なくないが、お金とか豪華なもてなしといったことではなく、和歌山県は人として職員の皆さんの受け入れ対応のすばらしさは飛び抜けていて、心から感動した。一遍で和歌山ファンになり、今度はもっと時間をとってプライベートで和歌山を訪れ、作品をつくってみたい」と話されていたということでした。余談ではありますが、こういった積み重ねが和歌山の魅力発信に大きく役立つと改めて感じた次第です。
 さて、そういった中で、今後は和歌山の恵まれた自然と奥深い文化に触れてもらうことでさらなる和歌山ファンをふやしていかなくてはならないところですが、そこでは、これまで取り組んできている熊野健康村構想についても、今のパワースポットブームに便乗してさらなる発展が期待されます。
 そもそも、熊野健康村構想は今のパワースポットブームの先駆けでもあり、和歌山の持つ地域資源である自然環境と現代人に欠かせないいやし、健康意識をつなぎ合わせ、産業として振興しようとする取り組みであり、私自身、この県議会でヘルスツーリズム、環境医療産業の振興として何度も取り上げさせていただいて、それは従来の観光商品に高い付加価値をつけ商品化していくといった取り組みとして、これからの時代にこそ大きな価値を生むものと確信しているところです。
 一昨年には、総務省の地域づくり総務大臣表彰で、熊野で健康ラボが活動している田辺市が地方自治体表彰を受賞して、そこでは熊野で健康ラボにおけるヘルスツーリズムの取り組みも地域資源を生かした観光地づくりとして高く評価されたということです。
 そういった中で何点かお尋ねしますが、まず熊野健康村構想のこれまでの取り組み状況とその成果をどのように評価しているか、商工観光労働部長から御答弁をいただきたいと思います。
 また、今後、将来展望として、この熊野健康村構想を発展させた上で、地域資源である自然環境と現代人に欠かせないいやし、健康意識をうまく取り込み、産業として振興しようとする取り組み、観光医療産業の振興はこれからの時代にこそ重要なものだと考えますが、こういった取り組みを、熊野の現在の成功モデルを参考として改めて和歌山県全域に広げていくことについてどういった展望を持たれているか。今、心身に力を取り戻すパワースポットブームなどもその一例ですが、この時代だからこそ和歌山の持っている文化、自然といったものは大きく価値を増すものです。
 今後のさらなる推進に係る戦略、また特に強化して取り組むべき点など、どういった検討がされているか。あわせて、私はこれまでも、観光医療産業の振興といったことで、この熊野健康村構想の推進とあわせて、モデル事業が一定の成果をおさめる中で、観光と予防医療、ヘルスサービスを組み合わせた取り組みを県内各地で助成金などの制度をつくり、どんどん広げていくべきだといったことを提言させていただいてきました。今、熊野健康村構想、観光医療の取り組みは、パワースポットブームなどもうまく利用して、今こそそれを広げていくべき絶好のタイミングと考えますが、今後の県の取り組みについてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 また、熊野健康村構想、観光医療の振興において、これまでの取り組みをさらに発展させるために、有名スポーツ選手の取り込みといったことも御検討いただければと思います。
 昨年から、Jリーグチームの和歌山誘致ということでヴィッセル神戸、ヴァンフォーレ甲府について和歌山キャンプを実現してきていますが、この1月にも再度ヴァンフォーレ甲府には和歌山キャンプを実施していただきました。そのときにヴァンフォーレのオーナーである海野さん、またGMの佐久間さんとお話をする中で、和歌山の誇るべき文化でもあるよみがえり信仰について大いに興味を持っていただき、今後はスポーツの切り口でもそれは大いに活用できるという感触を得ました。
 一流のスポーツ選手はオフのタイミングで体をレストアしますが、その場所として和歌山を選んでもらう。基本的な施設としては、和歌山には医大もあり、関係の施設もありますが、しかし、単にハード面の競争では全国どこもが競合するわけで、そんな中、和歌山には熊野信仰、よみがえり信仰といういやしの文化があり、この付加価値は私たちが思っている以上に活用価値の高いものです。ヨーロッパなどでは一流スポーツ選手が体をケアするのにこぞって南フランスを訪れるように、今後は日本、アジアの一流選手が体をメンテナンスする場所として和歌山をブランド化していく、そういった構想も決して夢物語ではないと考えます。
 また、特にこれから私たちの和歌山では国体に向けて各種競技施設が整備されていく状況もあり、国体後の施設活用についても力を入れることが必要となります。そこでは単に、スポーツ施設がありますといったPRでは他の地域と変わらないわけで、和歌山独自によみがえりの地和歌山推進計画などとして、和歌山の空気を吸ってスポーツ選手の体力回復、増強、競技能力の向上、パワースポットで心の底から英気を養ってもらい、集中力を高め、トレーニング効果を上げるといった具体的な商品づくりも有効だと考えます。
 今、観光振興の取り組みにスポーツの切り口もしっかりと組み込んでいく視点は重要で、特に今、ヴァンフォーレ甲府のプロ選手が和歌山に実際に来てくれているのですから、選手の中にはこれからの日本代表となる逸材も何名かいます。そういった選手に個々当たっていく、またスポーツ関係のスポンサー企業にも働きかけ、お互いに協力して共同事業を推進するなど、新たな取り組みも可能だと考えます。
 スポーツの切り口を観光振興に取り込む戦略は今後特に必要で、力を入れ推進すべきと考えますが、これも商工観光労働部長に御答弁をあわせてお願いいたします。
 以上で、私の第1問目の質問とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 人口減少の原因は何かという点でございますけれども、これは日本全体と和歌山県と2つ考えていかないといかんと思います。
 日本全体の人口減少を招いた原因についてでございますが、これは、核家族化とか晩婚化とか、あるいは価値観が変わっていったとか人生の生きがいとか、そういう中で住宅とか教育とか保育施設といったような子育て環境を充実する、それからそういう若者の気持ちに影響を与えていくというような、そういう大きな意味での少子化対策の取り組みがおくれたというのが主な原因であると私は思います。
 一方、日本全体はそういうことでありますけれども、和歌山県においてはこういう日本全体に見られるような現象に加えて、若年層が県外に流出する社会減が長く続くという形の人口減少が大変顕著でした。これはすなわち、藻谷浩介さんが言っている生産年齢人口の減少といった問題にほかならないわけであります。
 40年ほど前は、和歌山県は人口流入も多く、人口増の県でありました。これはなぜかというと、産業活動がそれだけ活発でありまして、それで、そういうところへ働きに、和歌山にむしろ人々はお越しになった。しかし、産業構造というのはどんどん変わっていきまして、そういう構造が変わっていく中で、それまでの県内産業が厳しい状況になる。それで新しい企業もなかなか来てもらえなかったというようなことで、新しい産業振興や企業誘致等の取り組みが十分でなかったと。その結果、働き場所がなくなり若者が流出し、すなわち生産年齢人口が減ったというふうになったと思っております。
 その影響につきましては、本県の人口減少は高齢化とあわせて進展する。これは当たり前でありますが、地域の過疎化につながり、地域社会、経済にさまざまな影響を引き起こしております。
 次に、この人口増に向けた対策ということでありますが、人口増に向けた対策というのは、人口がふえてほしいと願うとか、あるいはよそへ行くなとか、無理やりに子供さんをつくりなさいとか、それはなかなか難しいんでありまして、したがって政策的に可変なもの、そういうものをできるだけいい方向へ向けて持っていくということが大事であります。
 和歌山県としては、特に力を入れなければならないという問題はこの社会減にあるということでございまして、私は、したがって、4年前に就任して以来、社会減を食いとめるために懸命に努力をしてまいりました。すなわち、働く場をふやして和歌山を元気にするのだというのがそれでございます。
 県民を和歌山に縛りつけることはできませんので、働く場をふやすことにより県民を和歌山にとどめるとともに、県外からの流入に努力してきた結果、5000人台であった社会減を2000人台までに抑えるなどの効果もあらわれてきております。しかし、対策はまだまだ不十分でございまして、働く場所をさらに確保するため、県内産業の活力強化や企業誘致に一層努力し、社会減を食いとめ、できれば社会増に転換さしていきたいと考えております。
 これに加えて、日本全体に加えて特に和歌山においても、できることならば自然減を少なくしたいというふうに考えておりますので、そのためには、今度は子育て世帯の経済的負担の軽減や子育てと仕事の両立支援などの少子化対策、これは和歌山県は大変力を入れておりますが、これも強化をして人口の減少をあわせて食いとめていきたいと考えているわけでございます。
 このように、人口減少対策、つまり人口対策ですね、議員御指摘の点については、まさに私の県政の最初から重要な課題と認識しておりまして、和歌山県の今後の10年を考える長期総合計画にも人口減少を最小限に食いとめるためのあらゆる施策を盛り込んでいるわけであります。
 人口問題、特に藻谷浩介氏の生産年齢人口の減少という指摘は、私は全く正しいと思いますけれども、対策としては、さっきも申し上げましたように、政策的に動かせるところに手をつけていかなければなりません。当県にあっては、それが産業政策であり、企業誘致であり、少子化対策であります。これらをさらに充実するとともに、その他の政策について何が必要か常に考えて対処してまいりたいと考えております。
 人口問題対策本部というお話でありますけれども、今申し上げましたように、私が県政を担うようになって以来、既に必死でそれは仕事しているところでございますけれども、まさに知事をトップとする県当局そのものがこの重要な人口問題対策本部そのものであると考えていただいてもよろしいかと思います。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
 〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 高齢化社会における買い物弱者への対策についてですが、議員御指摘のとおり、高齢化の一層の進展によりまして、日常生活での買い物に不便が生じる高齢者は今後も大きく増加することが予想されます。そのため、市町村の社会福祉協議会やシルバー人材センターでは、従前からボランティアや所属の会員などによりまして、高齢者の日常生活支援の1つとして買い物の代行や付き添いなどを実施しているところであり、県ではそのような地域で助け合う事業の立ち上げ支援を実施してきたところです。
 今後の高齢者の買い物弱者対策としては、市町村の社会福祉協議会やシルバー人材センターへの支援に加えて、地域の身近に住んでおられる住民の方々と高齢者の買い物先である地域の商店の方々との連携などのように地域のつながりを生かした取り組みが重要であると考えているところであり、それらへの支援を含め、地域全体で助け合い支え合う仕組みの充実を図り、関係団体や他部局とも連携しながら高齢者が地域で安心して暮らせる社会づくりに努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
 〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 商店街衰退の問題点と今後の取り組みについてでございます。
 商店街につきましては、これまでの右肩上がりの社会を前提とした都市政策に基づいて低密度で拡散した地域づくりをしてきた結果、中心市街地が希薄化し、また郊外に進出した大規模店との競争にさらされるなど、厳しい環境に置かれております。その振興は、産業の活性化という観点だけでなく、県外大手資本への県内消費の流出を食いとめ、域内経済の発展を図る上でも、また地域住民の安定した生活を維持する上でも重要なものと考えております。
 特に地域社会が希薄化する中で、地域住民にとりまして商店街は買い物をする場所だけでなく、高齢者や子育て世代への支援、地域文化の保存、継承、環境、リサイクル活動等の地域貢献に係る社会活動の核となることにも期待が高まりつつあります。
 このようなことから、県としましては、22年度から新たに商店街で持続的に行う社会活動を支援することとし、商店街のコミュニティー機能の形成を促進することで新たなにぎわいの創出を図り、活性化につなげることを目指しております。
 次に、買い物弱者の対策につきましては、議員の御質問にありますとおり喫緊の社会課題であり、かつ今後ますますその規模は拡大すると思われますので、商店街がこれをビジネスチャンスととらえ、この課題に果敢に取り組むときは、県といたしましても積極的に支援するところです。
 また、その際にNPO等との協働を図っていくことは新しい地域活性化モデルが顕示されることになりますので、商工観光労働部としましては、このような事業を進める上で生じるさまざまな課題等に関し、関係機関や他部局と連携して解決に努めてまいりたいと考えております。
 次に、熊野健康村構想についてですが、この構想は、熊野古道のいやし効果を科学的に検証した上で、心身の健康につながる新しい旅行形態であるヘルスツーリズムを創造するものであります。その実現に向け、民間事業者主体との連携のもと、ウオーキングに温泉入浴や地域の料理等を組み合わせた体験メニューを開発し、定期的なイベント開催や旅行商品化により、平成21年度には約2500人の方々に御利用いただくまでになっております。
 県といたしましても、近年の健康志向の高まりを背景に、熊野健康村構想の推進は観光の振興、地域の活性化に大きく寄与するものと認識しており、今年度は首都圏の旅行会社を対象とした現地ツアーや健康関連企業とタイアップしたキャンペーンの実施など、利用者の拡大に取り組んできました。
 また、昨今のパワースポットブームに即応するべく、関連書籍や女性誌の取材協力等を通じた情報発信に努めてきたところであります。
 今後とも若い女性など新たな客層の掘り起こしを含め、各種媒体を活用した認知度向上、健康やウオーキングの関連企業と連携したPRや集客などに引き続き積極的に取り組んでまいります。
 同時に、県全体がいやしの地とも言える本県において、熊野健康村構想をモデルケースとし、県内各地域の特性や意向を踏まえながら、議員御提言の観光と健康の維持増進を組み合わせた観光医療の振興を図っていきたいと考えております。
 次に、有名スポーツ選手を誘致する取り組みについてですが、議員御提案のとおり、有名選手に本県にお越しいただき、豊かな自然に触れ、温泉に入り、地域の料理を食べ、トレーニングや体のケアを行っていただくことは、いやしのブランド化、ひいては観光振興に大いに貢献するものと考えます。
 今後、ワールドカップの必勝祈願で熊野を訪れた日本サッカー協会や有名選手のスポンサー企業など、各種のスポーツ関連団体等を通じて誘致を働きかけるとともに、議員各位の御協力もいただきながら取り組んでまいりたいと思います。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 41番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁ありがとうございました。
 1点だけ、人口問題の部分です。
 知事が、2期目、今県政、また和歌山をどんどん引っ張っていこうということで取り組んでいただいている、その取り組みの状況について、非常にまじめにやられてるし、立派な見識もお持ちでやられてると本当に県民も理解してるし、私自身も県としたらいい方向に向かっていっているんだなというふうに感じています。
 ただ1点、先ほど最後に人口問題対策戦略本部ということで、組織で今、知事以下、今の当局が本部と言えば本部やというようなことでお答えいただいたんですけれども、実は民間企業でも、どれだけ優秀な経営者をいただいて、優秀な社員のある企業においても、例えば社外取締役であったりとか、自分の会社以外からのアドバイスというのをできる限りもらえるような仕組みてつくっているんですね。
 知事もおっしゃるように、今一生懸命自分たちが考えてて、県職員の方も優秀やと。それは、そう思います。でも、その中でしか出てこないやっぱりアイデアであったりとか知恵であったりとか、それをもう一回平場で、例えば人口問題とかということにフォーカスして考えれば、今まで思いつかんかったようなというか、もっと単純なアイデアでも人口をふやすような方法が例えば出てきたりすると。今まで何十億かかけて企業誘致をやってきた──例えば橋本地域が大阪のベッドタウンになるんなら、そこから例えば私鉄で走っても、もうノンストップで大阪まで30分、40分で行けるような電車に、県から直接お金を出してそういう地域づくりをやってみるとか、いろんな取り組みとして新しい知恵というものをしっかりと生み出すためにも、そういう知事初めとした対策本部で、そこに外部の有識者なりいろんな方にも入っていただいて、平場で議論をするというようなことは実は非常に重要なことじゃないかなというふうに感じております。
 これ、また改めて質問しても同じような答えになると思いますんで。ただ、そういう外部からの知恵もかりながら、新たなそういう人口問題対策戦略本部というものは、これからの和歌山を考えていく上でも非常に重要な取り組みやというふうに私自身は感じておりますので、ぜひ御検討いただければと思いますので、よろしくお願いいたしまして、要望として、2問目を終了いたします。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は2月28日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
 午後1時51分散会

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