平成23年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成23年2月24日(木曜日)

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中村裕一君。
 〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 今期最終の定例会となりました。この議会のことを「さよなら議会」とも申しますが、今期で勇退される先輩の皆様、大変お疲れさまでございました。しかし、選挙へ出られる皆さん、正々堂々と政策を主張して、ぜひ当選をして、またこの壇上でふるさと和歌山発展のために議論をし、頑張ろうではございませんか。
 私は、県会議員は結構頑張っていると思いますが、残念ながら世間の評価はそんなに高くはないようであります。その原因の1つは、一生懸命頑張ってることを伝え切れてないというところがまずあるのかなと。
 もう1つは、せっかく力を持ってるのに、その力を十分発揮できてないんではないかと思うこともあります。県内各地でお互い頑張って県民の皆様の御意見を伺って、1つの政策にまとめていくというようなことは、これは県議会しかできないわけでありまして、その最たるものは、議員提案条例であると思いますし、いろんな政策を決めていく、こんなことができるわけでありますから、ぜひ当選の暁には、そんなことで頑張ろうではございませんか。
 以上申し上げ、通告に従い、一般質問を行ってまいりたいと思います。
 まず、浄化槽行政について伺います。
 浄化槽の事務については、平成21年9月定例会の条例改正で、平成22年度より県から市町村へ移管されました。その後1年が経過しますが、事務は順調に行われているのでしょうか。例えば、浄化槽の設置には届け出が必要なことから役所には設置情報が寄せられますが、逆に廃止時も義務ながら届け出が提出されず、現在、県でどれだけの浄化槽が運転されているのか実態がわかりません。
 このような最も基礎的な情報がない中で、適正な行政は執行できるのでしょうか。例えば、11条検査などの法定検査も受検率が18.3%と全国32位――平成20年度でありますが――と低迷していますが、こんなところにも影響してるんではないでしょうか。また、浄化槽台帳が整備されると、不名誉な生活排水衛生処理率も分母が減少して向上するとの話も聞きます。
 県では、長期計画で汚水処理人口普及率70%を掲げながら、事務移管により県の不備を市町村へ押しつけたような格好ですが、台帳の精度が低い中で移管はどのような状況でしょうか。
 現在、県水質保全センターが浄化槽台帳を整備するべく準備中と聞きますが、本来は県初め関係市町村が自主的に行うべき行政の基盤整備であると考えますが、県の評価と支援について御見解を伺います。
 次は、説明責任について伺います。
 県では、昨年4月1日より県報の有償頒布をやめ、かわりに県ホームページ並びに県庁の情報公開コーナーで印刷物を閲覧できることになったと聞きます。果たして、これで県民に告知したと言えるのでしょうか。
 県報とは、県が制定する条例、規則、行政処分等を公布または公表するための機関紙で、国でいう官報に相当します。幾らブロードバンド時代といえども、インターネットの環境にいない人もいるでしょうし、また、インターネットの環境にいても、見るためには一々電源を入れた上でホームページを見に行かなければなりません。ましてや、県庁の情報公開コーナーへ見に来いとは論外であります。
 そもそも重要な決定は、県報への登載や県庁前の掲示板に掲載するだけで県民に告知したことにする制度も前近代的で民主的とは言えませんが、ホームページに載せただけで済ませることも同様だと考えます。
 現在、47都道府県で紙媒体の公報を廃止したのは10県ありますが、地方自治法第100条17に「都道府県は、当該都道府県の区域内の市町村の議会及び他の都道府県の議会に、公報及び適当と認める刊行物を送付しなければならない。」ともあり、果たして現状でよいのでしょうか。
 今日は、情報化時代を通り過ぎ、情報があふれて何が真実かわかりにくい時代であります。民主主義の根本である説明責任を果たすため、決定を県民に親切丁寧にお知らせする新たな方法が求められておりますが、御所見を伺います。
 3番目は、道成寺周辺の道路整備と排水対策について提言を申し上げ、御所見を伺います。
 道成寺は、本県最古の勅願寺であり、街道一の物語、安珍清姫の絵説き説法を聞きに大勢の観光客が訪れます。物語は、歌舞伎や能でも道成寺物として有名です。また、縁起物語の宮子姫は実在の人物と言われ、文武天皇の妃で聖武天皇を産んだ、藤原不比等の娘宮子だと言われています。
 現在、県教育委員会では世界遺産追加登録のための調査中と伺いますが、ぜひ道成寺が追加登録されることを大いに期待いたします。
 しかし、残念ながら、道成寺へのアクセス道路県道玄子小松原線、印南日高線は、とても世界遺産にふさわしいものではなく、観光バスのドライバー泣かせの隘路であります。しかも、少し強い雨が降れば水浸しで、どこが道路かわからなくなり、門前から道成寺駅前一帯が床下浸水になります。何しろ1300年前は、道成寺西方あたりは九海士の里という宮子姫の実家がある漁村だったのですから、日高平野の治水は極めて困難であります。
 日高平野北部の河川は、日高川町と御坊市の境界付近を流れる土生川以外はすべて西川に流れ込みます。しかし、肝心の西川は、落差がないために大変水はけが悪うございます。西川は、現在、県において堤防改修中ですが、平野の流水をすべて西川に流すことは不可能で、数十年前から日高川へ直接流す計画がありました。しかし、開渠の河川計画であったことから、いまだに実現しておりません。
 そこで、提案申し上げたいと思います。
 4車線化時には実はフルインターになる川辺インターと御坊南インターから道成寺へのアクセス道路を整備し、そこに地下の放水路を設けてはと思いますが、知事の御見解を伺いたいと思います。
 なお、昨年2月定例会一般質問におきましてお聞きをしました西川河口の津波対策につきましては、背後施設のかさ上げをするため、平成22年度では施設高さ等の測量を完了し、平成23年度からは地元と協議しながら対策工法を決定し、具体的に進めていくと伺いました。この際、県道日高港線の拡幅着手とともにお礼を申し上げておきます。ありがとうございました。
 4番目は、新しい高齢者対策について伺います。
 高齢化社会と言われて久しく時間が経過しましたが、高齢化問題は老人福祉だけではなく、さまざまな分野での共通課題であります。
 時節柄、地域を回ってみて、空き家と更地、独居老人の多さに大変驚きます。マスコミをにぎわす今日的課題、例えば買い物難民、振り込め詐欺、悪質訪問販売、災害弱者等々、これはすべて高齢者に関係します。焼け野原の中、子供たちを育て、立派な日本につくり上げてくれた先輩に申しわけないと思います。
 そこで、私は、高齢者を取り巻く県行政の今日的課題についてお伺いをいたします。
 初めに、住宅用火災警報器の普及についてであります。
 平成16年の消防法改正により、すべての住宅に住宅用火災警報器の設置が義務づけられました。新築住宅については既に平成18年6月1日より義務化され、既存住宅についても本年6月1日までに義務化されます。義務化といっても罰則はありませんが、住宅火災で亡くなる高齢者は多く、国は死亡者数を半減させるための切り札として普及を進めています。
 御坊市内では、自治会で共同購入し、消防団がボランティアで設置したところもありますが、地域によって温度差があります。本県では、北山村が全戸に無料配布して普及率100%ですが、昨年末時点で、本県の普及率は59.8%、全国では63.6%です。高齢化が進む本県での目標達成について、危機管理監の御見解を伺います。
 同様に、テレビの地上波のデジタル化についても、本年7月24日正午に期限が来ます。既に普及率は90%を超えたと言われますが、80歳以上の独居世帯はカウントされてないとも聞きます。ある夏の昼過ぎ、突然テレビがつかないということが起きないのか心配であります。現在の普及率と今後の対応について伺います。
 3番目に、農業の機械化について伺います。
 ことし1月に二階代議士や坂本、花田両県議とともに日高川町で原見林業の低コスト林業の現場を視察してまいりました。
 私のこれまでの林業に対してのイメージは、木材価格の低迷から作業員の高齢化が進み、作業効率も悪い消え行く産業だと思っていました。しかし、低コスト林業の現場で働く若い人たちの姿を見て、目からうろこが落ちた思いで、はっきりと林業の明るい未来が見えました。
 山頂まで整備された作業道を毎日自動車で通勤し、重機を使用した間伐作業では、チェーンソーよりも重いものを持つ必要がありません。何と、都会から来た若い女性も働いています。私は、この方式を農業にも導入できないかと考えます。農村では高齢化が進み、1人で農作業をやっている人もいます。農機具の誤操作や台風の見回りで亡くなる人が後を絶ちません。
 現在、農業の現場では、資材や動力系機械は大手が寡占していますが、それ以外は中小零細メーカーが細々とやっているのが現状です。労働集約的な作業を機械化するのは困難ですが、重いものを持たなくてもいいような圃場、トラック、倉庫など、開発の可能性は大いにあります。
 かつて農業試験場に農機具部があり、農機具の普及に効果を上げました。今こそ農業の機械化が必要と考えますが、御見解を伺います。
 そのほかに、期限はありませんが、高齢化ゆえ普及が進みにくい課題として、生活排水衛生処理率や住宅の耐震化があります。共通しているのは、問題を正しく理解してもらいにくいということ。余命幾ばくもなく、子供たちも帰ってこないのでそんなにお金をかけたくない、年金生活でかけたくてもかけられないという事情があるのです。
 私は、特別養護老人ホームの必要性に異論はありませんが、在宅の高齢者にも同様の特別の支援を行う時期に来ているのではと思いますが、知事の御見解を伺います。
 5番目に、高校全入時代の入試のあり方について伺います。
 平成22年4月から公立高校の授業料が無償化されました。今日の教育現場を見たときに、高校授業料無償化より優先されるべき教育的課題はほかにもあるものの、ここでは賛否は論じません。しかし、無償化されほぼ全入に近い義務教育のような状況が生まれるなら、ぜひ整理しておかねばならない課題があると思います。
 1つは、県立高校の入学定員についてであります。
 毎年9月県議会終了後に発表される高校入学定員について、中学のPTAは、1クラスでも多く確保し、15の春を泣かせないように求めています。しかし、県教育委員会は、定員を、子供たちの希望と関係なく、地元の子供たちでさえ希望しない分校や1地域に組み込むべきでない実業科も算入し、トータルで過不足がないよう算定します。その結果、みんな高校へは入れても、昨年からはただで高校へ入れても、子供たちも父兄も決して満足できません。
 私たちが、県教育委員会と定数の交渉をするときは、いつも予算を理由に定員増加が難しいと聞かされます。そこで、一体1クラス分の経費はと尋ねると、担任、副担任2人分の人件費相当分で約1600万円だそうであります。
 私は、もし1600万円で数十人の子供たちの未来が保証されるなら安いものだと思います。しかし、実際にはクラス増減の帳尻合わせは臨時の講師で行っているはずで、教諭だとしてもそう高くはないのではと思いますが、ぜひ知事にこの1600万円は高いのかどうか伺ってみたいと思います。
 次に、学科のあり方について伺います。
 知事は、県政最大の課題を産業振興ととらえ、各分野でさまざまな政策を掲げておられます。とりわけ本県の特性を生かした観光産業の振興を主張されますが、最大の人材養成機関である本県公立高校には、観光関連の学科は神島高校に観光コースが唯一あるのみです。観光の大きな楽しみである美食を提供するシェフやパティシエを養成する学科もありません。
 世の中で必要とされる職業すべてに合わせた学科の改編は難しくても、子供たちの希望が多い普通科の増員や戦略的に必要な観光関連学科、物づくりが我が国産業の生命線と言われる中での実業科など、学校や先生たちのための学科ではなく、主役である子供たちのためにこそ、今、時代の要請する学科改編が求められておりますが、知事の御所見を伺います。
 6番目に、看護学校の設置について伺います。
 私が県会議員に当選した約20年前は看護師不足と言われ、その後、新宮に県立看護学校が設置され、県立医科大学にも看護学部が開設されたので、看護師不足は解消されたものと思っていました。しかし、医師不足の声に隠れてわかりにくかっただけで、相変わらず看護師不足は顕著であることがわかりました。しかも、今後予測される医学の進歩や医療サービスの向上を考えた場合、人数だけではなく、質の高い人材養成が必要だと言われています。
 さて、私の地元である御坊市や日高郡では、看護師不足に対し、公立病院でさえも奨学金を支給しないと人が集まらないそうです。また、ある民間病院では、専従のスカウトを置いて、わざわざ九州から数十人単位でリクルートしてきます。このような涙ぐましい努力をしてでも看護師を確保しないと、病院経営はもとより、地域医療が成り立ちません。知事は、現在の看護師不足、特に日高地方の看護師不足について、どのように認識されていますか。
 一方、日高地方の高校を卒業して、大学看護学部や看護学校に入学する人は毎年数十人おり、有田地方から田辺・西牟婁地方まで含めれば、毎年100人近くになります。しかし、日高や有田という中紀地方には看護学校はないので、せっかく看護師になる志を立てても、県外初め他の地域の学校へ入学しなければなりません。したがって、地元定着率も低くなりがちです。
 そのため、最近、日高地方にも看護学校設立を求める声がほうふつとして起こってきました。既に御坊市長を初め日高地方の町村会から県立看護学校の設置要望がされておりますが、看護学校の必要性について知事の御見解を伺います。
 最後に、医療問題でもう1問。地域医療支援センターについて伺います。
 県では、医師不足解消のため、県立医科大学の入学定員の増員を初め、各種の対策を講じているところですが、平成23年度では、県地域医療支援センターの設置を目指していると聞きます。
 地域医療支援センターは、医師不足の状況等を把握・分析し、医師のキャリア支援と一体的に医師不足病院の医師確保の支援等を行う機関で、学会、研修中の代理医師の派遣や指導医の養成など、地方にいても都会の大病院に負けない待遇を確保して医師を地域に定着させるというものです。
 県では、同センターを県立医科大学に委託し、医師を指導する専任医師2名、専従事務員3名の5人体制で運営する予定で、来年度予算案に約1億2000万円が盛り込まれています。医師数は全国平均以上ながら、地域、診療科目により偏在著しい本県で、ぜひとも早期の発展を願うものであります。
 しかし、一方には、県立医科大学が受託することにより県立医科大学の関連病院が優先されるのではないかという声や、平成26年度以降、毎年県立医科大学を卒業する県民医療枠20名、地域医療枠10名は、臨床研修を終えた後、公立病院にしか派遣されないので、民間病院にはおかげがないなどの不満の声もあります。既に紀南地方の民間病院では、院長自身が1カ月に15日も当直を行わなければならないという大変な状況にあると聞きます。
 そのため、地域医療支援センターには、日赤医療センターや労災病院など中核病院も巻き込んで、広く地域医療を志す医師を糾合し、本当に医師不足が深刻な地域、診療科目、民間医療機関にも供給していく大きな役割が期待されています。新年度で地域医療支援センター設立に向けた知事の御見解をお伺いいたします。
 あわせて、地域医療の一翼を担う民間医療機関の深刻な医師不足についての御認識と、県民医療枠、地域医療枠の対象拡大も含めた解消策について伺います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、道成寺の道路整備と排水対策についてでございますが、中村議員から具体的な提言をいただきましたので、真摯に検討しなければいけないと考えております。
 もう少し申し上げますと、道成寺へのアクセス道路については、道成寺に至る県道日高印南線の区間が狭隘でございまして、観光バスの通行が困難な状況にありまして、実はちょっと道成寺から離れたところに駐車場もあるんですけれども、そこに入るのもぎりぎりかつかつというぐらいで、不便を来しております。
 これは何とかしないといかんというふうに思っておりますが、しかしながら、私のみではなくて、歴代の県当局もこれを拡幅しようとしておりまして、残念ながらこれまで地元の御協力が得られなかった、あるいは、もっと露骨に言うと反対ということによって整備には至っておりません。
 私は、道成寺のあり方を考えると大変残念でありまして、多分地元の方もいろいろ御納得いただけるようなあり方があるんじゃないかなあということで、地元の役所の人々もぜひ考えてもらいたいというふうに考えております。御協力が得られればいつでも整備したい、そういうふうに考えております。
 一方、道成寺周辺の排水対策についても、議員御指摘のとおり、この問題は、従来から大変深刻な問題としてとらえております。県下有数の観光地であるにもかかわらず、地盤が低くて水はけが悪いために浸水対策の必要性があるということはよくわかっておりまして、これをどうするか、真剣かつ早期に考えていかなきゃいけないと考えております。
 議員の御提案は真摯にこの地域の抱える課題を考えられたものだと思いますので、道成寺という観光資源を生かしていくために、アクセス道路と浸水対策の問題解決に向けて議員を初め地元の方々ともよく相談してまいりたいと思います。
 次に、在宅高齢者への特別支援ということでございます。
 高齢者の方は現在の和歌山を築いてきてくれた方でありまして、高齢者が地域で安心して生活いただける環境づくりをしていくということは、我々にとって大変大事なことでございます。
 これまでも、在宅生活を支える介護サービスの充実を図るとともに、困っている高齢者を地域で支えていく仕組みを構築していくために、住民や民生委員等と連携・協力し、高齢者へのさりげない見守り活動を行う地域見守り協力員の制度や、あるいは市町村の社会福祉協議会やシルバー人材センターによる地域で助け合う事業の立ち上げ支援等の取り組みを進めてまいりました。
 また、来年度は、医療と介護の連携強化を図り、地域でお住まいの高齢者に対するきめ細かな支援体制の構築を進めるほか、本県の高齢者の総合的な福祉施策の基本的な方針や施策の方向を示したわかやま長寿プラン、これ、現在ございますが、これを見直すこととしております。
 さらに、生活の基盤となる、高齢期になっても住み続けることのできる住まいの整備も重要な課題でございまして、今後、現在進行中の高齢者住まい法の改正によりまして、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供するサービス付き高齢者向け住宅の制度が創設される見込みと聞いております。
 こうした国の動きも踏まえ、来年度は、住宅部局と福祉部局が連携して、高齢者住まい法に基づく県高齢者居住安定確保計画を新たに策定する予定でございまして、議員御指摘の点についても十分念頭に置いてしっかりと検討してもらいたいと考えております。
 次に、高校の入学の問題であります。
 県立高等学校の募集定員については、中学校の卒業生徒数の推移や高等学校への入学状況、進学率及び地域の実態等を踏まえ、教育委員会が総合的に検討を行い、決定しております。私は、教育委員会に対しましても、和歌山の子供は和歌山で育てるということを基本に置くように求めているところでございます。
 現に、今年度の入学定員の決定に当たっても、議員諸氏の御提言によりまして教育委員会に配慮を求めました。あるいは、それに対する予算もきちんとつけるということにしたところでございます。子供の未来を予算を理由に狭めていくということは全く考えておりません。今後とも、和歌山県の教育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 高等学校の学科のあり方につきましては、社会の求める人材育成や本県の特色を生かした教育を行えるように、バランスよく設置することが大切だと考えております。
 学科改編につきましても、議員御指摘のとおり、時代の要請に対応しながら考えていく必要があります。観光や物づくりに従事する人材の育成などは、特に重要だというふうに考えております。一方では、子供たちの志望状況も、これまた無視できないというところがございます。そういう点を──志望状況から言うと、どうも普通学科が多いというのも、また事実でございます。こういうことを全部総合的に考えて賢明な対応をしてまいりたいと考えております。
 次に、看護学科、看護師確保対策でございます。
 現在、県では、潜在看護職員の復職支援や修学資金の貸与、院内保育所の設置促進等の事業に取り組んで看護師の確保を図っているというところでございますが、特に日高地方の看護師不足につきましては、議員御指摘のとおり、この地域には養成所がございませんで、看護師確保が困難であるということを伺っております。養成所の設置も視野に入れた対策が必要であると考えております。
 しかしながら、新たな養成所の設置は、学生や専任教員の確保とか、あるいは実習施設の確保の課題がありまして、現在、日高管内の市町、医療機関、保健所等で構成する日高地方地域医療対策協議会において、運営のあり方等を含め検討しているところでございます。
 県といたしましても、県全体の看護師確保対策とあわせ、この協議会と十分連携しながら、特に日高地方の看護師の養成、これを引き続き検討してまいりたいと考えております。
 次に、地域医療支援センターでございます。
 本県では、医師不足解消の抜本対策といたしまして、和歌山県立医科大学に県民医療枠や、あるいは地域医療枠を設けるなど、入学定員の増員を行ってきたところでございます。
 しかしながら、平成16年度の新医師臨床研修制度の実施に伴いまして、医師としてのキャリアの維持・向上のため、都市部の診療機能の高い医療機関に医師が集中する傾向にあります。
 和歌山県立医大においては、地方にあって、ある意味では、例外的にこの研修医を多く集めている、立派な業績を上げておりますけれども、それでもなかなか大変なところがございます。
 地域医療支援センターは、地域の病院でもキャリア形成ができるシステムを構築し、若手医師が地域で意欲を持って働ける環境を整備するものであります。このことにより、医師の地域偏在を解消し、入学定員の増員の効果をより確実なものとしてまいりたいと考えております。
 また、同センターの運営については、県立医科大学へ委託を行いますけれども、センターの運営方針については、県医療対策特別委員会において協議を行うなど、効果的に事業が実施できるよう県が主導的に取り組んでまいります。
 県民医療枠、地域医療枠については、御承知のように平成20年度から認められたわけですが、この増員については、卒業後9年間は、地域医療を守る地域の拠点病院で勤務するということを条件に国に認められたものであります。もっと正確に言いますと、今、県民医療枠について御説明申し上げました。
 和歌山県の現状では、このような地域拠点病院は各地の公的病院が担っておりますので、これが医師不足で破綻するということがないように、まず公的病院に優先的に医師を配置する必要があると考えております。
 しかしながら、議員御指摘のように、民間病院においても2次救急医療等を担っていただいている等々、大変地域において重要な役割を果たしていただいております。したがって、決してこれらを軽視することなく、各病院の診療体制や、あるいは公的病院の充足状況、あるいはその民間病院の切実な医師不足、そういうことを考えて、今後、配置先として、地域に必要な医療を提供してくださっているようなそういう民間病院を含めることについても検討してまいりたいというふうに考えております。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長原 広之君。
 〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 浄化槽事務の市町村移管についてでございますが、浄化槽台帳は、個人から県への申請、届け出をもとに作成したものでございます。平成18年1月までは、浄化槽法による廃止届の提出義務がなかったことなどから、台帳と使用実態との乖離が見られるところでございます。
 県では、権限移譲に当たりまして、住宅地図と台帳情報を突合し精査するとともに、市町村へ引き継ぐ際には、緊急雇用創出事業の活用等によるさらなる精査をお願いしたところでございます。権限移譲後においても、台帳と実態との乖離が見られ、指導等に際し確認に時間を要するなどの御意見をいただいているところでございます。今後も引き続き、緊急雇用創出事業の活用等による市町村の台帳整備に協力を行ってまいります。
 検査機関の台帳整備への支援についてでございますが、浄化槽台帳の整備は、県、市町村、関係団体で構成する県浄化槽対策協議会の要綱では、市町村と和歌山県水質保全センターが行うことになってございます。今後、同センターのノウハウを活用することにより、台帳整備がより効率的に進むものと考えております。
 県といたしましては、市町村と和歌山県水質保全センターに対し、台帳整備手法の助言を行うなど、協力を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 総務部長宮地俊明君。
 〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 説明責任につきましてお答え申し上げます。
 和歌山県報につきましては、近年のインターネットの普及状況等を踏まえ、インターネットを利用する方法によって閲覧できるようにした上で、関係機関などの御理解をいただき、平成22年度から紙媒体の県報は閲覧用のみに限定し、関係先への配付を取りやめたところであります。
 これまでも、インターネットを活用する環境にない方からの御要望により、郵送、ファクシミリ等による対応もしてきたところでありますが、今後、電子メールの活用など、県民の皆様に対する情報提供の充実につきましてさらに検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 危機管理監前硲健作君。
 〔前硲健作君、登壇〕
○危機管理監(前硲健作君) 御質問いただきました高齢者対策のうち、住宅用火災警報器の普及についてでありますけれども、平成16年の消防法改正によりまして、本年6月1日からすべての住宅を対象として住宅用火災警報器の設置が義務づけられます。
 我が国の住宅火災における死者数は、平成15年以降連続して1000人を超える高い水準で推移し、このうち65歳以上の高齢者が占める割合も約6割となっており、住宅用火災警報器の早期普及は、高齢者を初め県民の安全・安心を確保する上で重要な課題であると認識しております。
 県内の多くの消防本部では、普及が進んでいる地域の例を参考にしまして、地域推進組織を整備し、説明会の開催でありますとか各地域での共同購入、あるいは相談窓口の設置など、関係機関、関係者が連携して地域に密着した普及活動を展開していただいております。
 県といたしましては、こうした各地域での取り組みと相まって、引き続き、あらゆる機会をとらまえて住宅用火災警報器の設置を呼びかけ、その普及啓発に努めてまいりたいと思っております。
○議長(谷 洋一君) 企画部長柏原康文君。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 新しい高齢者対策のうち、地上波デジタル化の普及率と今後の対応についてお答えいたします。
 地上デジタル放送対応機器の普及につきましては、国の公表によりますと、平成22年9月時点で88.7%となっております。アナログ放送を視聴されている方が地上デジタル放送への移行を知らず、突然見えなくなるということがないよう、地デジへの円滑な移行を推進するため、国が設置した総務省和歌山県テレビ受信者支援センターにおいて、今後、アナログ放送画面への告知強化及び各市町村への臨時相談コーナー設置等により、万全の体制を講じていくこととしております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 農林水産部長阪中栄一君。
 〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 新しい高齢者対策のうち、農業の機械化についてでございますけれども、65歳以上の従事者が約50%を占めるなど農業の高齢化が進む中、地域実態に合った農作業の機械化や生産基盤の整備により省力化を図ることは重要な取り組みであると考えてございます。
 このため、県では、国の研究機関や機械メーカー等との連携を図りながら、エンドウの空気莢選別機やイチゴ高設栽培の装置、軽トラックへのコンテナの積みおろしを軽労化するための機械等の開発に取り組むとともに、乗用モノレールや防除用機械等の導入に加えまして、園内道の整備や傾斜の緩和など、働きやすい農地づくりを推進してきたところでございます。
 農業の機械化推進に当たりましては、初期投資やランニングコストをいかに抑えるかということが重要であり、こうした観点から、今後とも国の研究機関や機械メーカー等との連携を図りながら研究開発を進めるとともに、農家個々の経営状況を踏まえた機械化を推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
 午前11時37分休憩
────────────────────

このページの先頭へ