平成23年2月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成23年2月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成23年2月24日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第39号まで、議案第41号から議案第43号まで、議案第45号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第69号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第39号まで、議案第41号から議案第43号まで、議案第45号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第69号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(44人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 森 礼子
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 服部 一
 28番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 浦口高典
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
 16番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事 仁坂吉伸
 副知事 下 宏
 知事室長 曽根義廣
 国体推進監 中村正次
 危機管理監 前硲健作
 総務部長 宮地俊明
 企画部長 柏原康文
 環境生活部長 保田栄一
 福祉保健部長 西上邦雄
 商工観光労働部長 岡本賢司
 農林水産部長 阪中栄一
 県土整備部長 原 広之
 会計管理者 神田泰仁
 教育委員会委員長 宮永健史
 教育長 山口裕市
 公安委員会委員長 大桑いく嗣
 警察本部長 山岸直人
 人事委員会委員長 守屋駿二
 代表監査委員 楠本 隆
 選挙管理委員会委員 上山義彦
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長 森田実美
 次長 佐本 明
 議事課長 堀 達也
 議事課副課長 吉田政弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任 中尾祐一
 議事課主査 保田良春
 議事課主査 中村安隆
 議事課主事 的場健司
 総務課長 上坊 晃
 調査課長 中井祥之
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 午前10時0分開議
○議長(谷 洋一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第39号まで、議案第41号から議案第43号まで、議案第45号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第69号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 34番原 日出夫君。
 〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 おはようございます。
 私、今議会、本会をもって退任するわけですけど、ちょっと最初の議会と同じように緊張しております。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、高病原性鳥インフルエンザの対策において、知事を先頭に職員一丸となって昼夜を問わず取り組んでいただいていることについて、心から敬意を表したいと思います。
 最初に私の提案ですが、和歌山県保健医療計画について第1点質問したいと思います。
 これは、今回、私自身ががん患者という立場から、和歌山県保健医療計画におけるがん対策とその地域医療について質問したいと思います。
 まず第1点目として、和歌山県におけるがん対策について、私の体験と他のがん患者との交流経験を踏まえて問題提起をし、県当局の考え方をお尋ねします。
 私ががんと診断されたとき、まず精神面のストレスが大きかった。次に、どんな治療をどこの病院で行うか、治療を受けながら、しかも私は、よりよい治療を受けるにはどうすればいいかということを考えました。こうした医療の相談はどこに行けばよいのか、県民の皆さんには、余り知られていないのではないかと思います。
 治療には、患者と医師の信頼関係が必要です。最近は大変お医者さんが忙しくて、外来でも診断がなかなか──次から次へと先生がもう昼夜問わず大変です。
 そんな中で、患者本人に余り昔のように問診をせずに、患者の診療情報をパソコンを眺めながらの診断が多いことを感じました。我々の時代はそうではなかったんですが、やはりそれだけ医師の負担、患者が多い中で、本当に患者と向き合いながら相談していくということになっていないなと思います。患者情報を中心にした、パソコンを中心にした、画面を中心にした診断が多いことについて、私自身、非常に不安を覚えた1人であります。
 そういう中で、がん患者になると、3分の1から4分の1がうつになるということもお聞きしています。そのため、最近は治療の初期から緩和ケアが行われているんですが、和歌山県立医科大学においても今は十分とは言えない状況でありますし、そうした状況から見ると、他のがん拠点病院においても十分に対応できる状態とは私は思っておりません。うつに対処できる専門的な精神科医が必要ですが、現状では非常に少ないです。
 がん患者の不安な精神面をケアするため、緩和ケア体制をもっと充実する必要があると思いますが、県当局の見解をお聞きしたいと思います。
 次に、同じがん患者との交流の中で、より強く感じたことがあります。血液がんの人、肺がんの人、乳がんが他の部所へ転移した人、さまざまな方ががんと闘っておられます。たまたま私はこういう立場にあったので、私ががんという情報を聞いて、いろんな方から相談も受けながら、今後のがん、かかっているがんについて、私と同じような悩み、不安、どんな治療をしたらいいのか、どこへ行けばいいのか、もっと高度な医療はどこに求めたらいいかというのががん患者の悩みであります。
 たまたま私の友人で、白血病と診断され、それで骨髄移植を受けると。しかし、骨髄移植実施までは準備期間がすごく必要であります。準備期間というのは、一度、白血病細胞も正常な白血球も一たん皆殺してしまいます。その後、移植までに根回し療法を行い、これらに要する期間は、入院と退院を繰り返しながら約10カ月を要しています。この間、患者にとって──私の友人ですが──治療意欲を失うこともあれば、うつの状態になっていました。一時は、最悪のパターン、自殺も考えたというふうに聞いております。これを支えるのは、家族や周囲であります。田辺周辺では、この4月以降、その専門医が、いわゆる血液内科医が不在になるという事態も生まれてきています。
 そういった中で、準備期間が終了して骨髄移植を迎えられたとき、現在は、骨髄移植を実施している施設は和歌山医科大学と和歌山日赤のみであります。骨髄移植して、退院まで約2~3カ月要します。この間、患者を支える家族が寝泊りできる場所が必要となり、現在、その友人の家族は、そういった場所、和歌山市内にアパートを借りて、その患者を支えている状況であります。これに対しては、大変な経済的負担が大きくのしかかっている状態であります。
 また、もう一人の私の友人が──もう僕びっくりした。あがががんになったら、周りが皆がんだったというのを初めて気ついたんですけど、それほど、3人に1人、2人死亡しているというような実態の中で、本当にこれは大変だなというように感じています。
 私の友人の1人が肺がんにかかって、和医大にかかりました。そして、南和歌山医療センターにかかりました。東京に、セカンドオピニオンで2カ所行ってきました。それらが、すべての診断の中身は、少し共通する部分もあるんですが、抗がん剤、化学治療やいろんな治療の中身が、すべてこの診断の中身が変わるので、その人が全く困惑状態になる。まさに、このことを「がん難民」と言われてるんですけど、自分はどこへかかったら──その治療方針がみんな違うから、自分はどれを選択したらいいかわからないと、こういう状態になって、最終的には、少しお金もあったんでしょう、鹿児島県の最優先の、あの有名な杉原プロゴルファーが治療するという場所ですが、それを選択して、今2カ月入院して、そこで治療にかかっているという状況であります。
 私自身、治療法についてもいい方法がないかと考えました。また、和医大にかかりまして、主治医の医師に相談しますと、今どきは、和歌山医大もそうですけど、3点セットです。まず、抗がん剤という化学治療、そして放射線、そして手術と、こういう状況であります。
 私の勉強した範囲内で、この治療がいいんだろうかということの疑問を持ちまして、私自身もいろんなブレーンに御相談しながら、和医大の主治医でないお医者さんとも相談しながら、おかげで県外で放射線治療を受けることになり、その治療で今のところ完全になくなり──ほかへは転移してるんですけど、そこはなくなりました。
 その治療で、一応ベターな選択だったなというふうに私自身がそう思っているだけで。しかし、迷っている、現在でも。今、治療を受けてますけど、この治療が本当にベターなんかということについては、今も迷いながら闘っているところであります。
 したがって、セカンドオピニオンということを聞きたくても、対応してくれるのは、主治医であったり、同じ診療科の同僚の医師であったりして、患者として利用しづらい場合があります。
 そこで、その病院でベターな治療法がなければ、他の病院や他の治療方法を紹介するようなセカンドオピニオンのあり方、整備体制が必要であると考えますが、県の取り組みについてお伺いしたいと思います。
 次に、和歌山県立医科大学附属病院の腫瘍センターの充実についてお尋ねします。
 先日、学長の年頭の冒頭のコメントの中に、和歌山医科大学が全国のトップテンに入るということを出されたのを読ましていただきまして、直接お会いして、和歌山医科大学は、今後、腫瘍センターを含めて和歌山県全体の医療体制をどう充実させていくのかについて懇談させていただきました。
 そういう中で、いろいろ課題はあると思うんですが、医療技術の向上を目指す必要があるということを言われていました。とりわけ私の経験から見ると、いろんな治療があるんですけど、私自身の体験から、この際、1つだけ、放射線科の充実が必要であると考えました。
 和歌山県内の放射線治療要求数は、医療関係者から聞いたところによると、新規がん発生数、年間約5000人のうち60%、約3000人が必要であると言われています。さらに、再発した方を含めると約4000人近い方が対象と言われています。
 私自身、県外で放射線治療を行わざるを得なかったわけですが、県内でIMRT──いわゆる強度変調放射線治療機器ですが──等による高度な放射線治療が可能な体制整備が喫緊の課題であると感じています。
 私は、県外へ行かなければならない。IMRTの設備があるけども、実際にこれに対して和歌山医大に尋ねますと、それで治療したいと和歌山医大に言いましたけれども、実際に放射線医はもちろんのこと、医学物理士、それから放射線治療品質管理士がどうしてもIMRTには必要であります。それがゼロであります。だから、私はそこで治療を受けられないのです。だから、そういう点で、和歌山県立医科大学病院ではそういう状態でありますから、ちなみに周辺も調べてみました。奈良医科大学においては4人。今、医学物理士、放射線治療品質管理士、これはそれぞれ4名存在しています。そういう中で、また南和歌山医療センター。ホームページで見まして、私は入院中見ましたけど、南和歌山医療センターにもIMRTがあります。しかし、これに対して、先ほど言いました人的体制が十分とられてないという状況であります。
 和歌山県は、保健医療計画のがん対策の中で、専門的で質の高いがん医療の提供について、すべての拠点病院において外科的療法や放射線療法、化学療法といった専門的治療が受けられるよう、県は専門医等の確保・育成を支援し、専門学会などが作成したがん診療ガイドラインに準じた水準での治療が可能な体制を整備しますと述べています。そうしたことから、医療技術の向上のため、とりわけ放射線治療の充実が必要であると思いますが、県の考えをお尋ねします。
 次に、地域医療について御質問します。
 地域医療機関の連携の強化及び役割分担とその統合についてであります。
 自分自身が病気にかかる以前から、地域医療について、病院と病院間の、大きい病院、例えば田辺で大きい病院といえば紀南病院、南和歌山医療センター、この2つがもっともっと役割分担しながら連携してたら、もっと効率的になるんちゃうかなとか日ごろから思いましたし、病院と診療所の提携、これも、例えば南和歌山、紀南病院で、すべての科の医長をやった先生方が皆開業しています。少なくともそういう医療の技術や考え方においては、病院での一番トップであった人たちが開業しているわけですから、そういう病院と診療所の連携をすれば、もっと地域における役割分担をしながら連携をすれば、そういう地域医療に貢献していけるし、内容が充実していけるんではないかということを考えました。
 また、もう1つは、さらに公的病院である紀南綜合病院と、それから独立行政法人の南和歌山医療センターについて、いつも見ながら、考えながら、患者さんの意見も聞きながら行きました。
 そこを、本来なら──例えば10分エリアに2つの大きな病院がある。これを、公的病院ですから統合してはどうか。経営を一体化していく。お互いに役割分担して、がん拠点病院は南和歌山が重視する。そして、紀南病院は他の内科や産婦人科、小児科その他関係を重視する。経営は一体にしていけば、今、医療資源が、医者が少ない。それは少ないのは事実ですが、そういう役割分担をしながら経営統合して、そしていくならば、現在のある医療、医師の資源を十分運営すればやっていけるんではないかということを常々考えていました。
 そこで、その問題を南和歌山の院長やそこの事務長、企画部長、それから、地域医療を考えている木下先生ともお会いして、私の意見を述べさせていただきました。そうした中で、そのとおりだということを言われました。まさに、この地域医療で必要なのは、民間と統合するのは難しいけれども、紀南病院のような公的病院と独立行政法人である南和歌山医療センターが同一経営で、今の医師の医療資源を活用して効率的にやるならば、しかも役割分担するならば、もっと地域医療に貢献できるんではないかということを言われておりました。
 これは、まさに私は、そういったもので考えながら、病院と病院、病院と診療所、いわゆる開業医、それから今の公的病院の統合を展望して我々は考えていく必要があるんではないかと。そういう意味では、個々の病院が考えてもなかなか難しい。
 そこで、県や保健所などが地域医療のあり方を考えて、これをできるだけコーディネートしていく、そういう県の役割を果たしてほしいと思いますが、それについて県としての考え方をお聞きしたいと思います。
 次に、それと関連して、これは田辺保健所医療圏内の休日急患診療所のあり方です。
 今、田辺市は、広域圏で休日急患の体制を市民総合センターというところで取り組んでます。絶えず、日曜日に行きますと、その担当の責任者も私の後輩なんですけど、いつも言われてます。狭いところでの休日急患、そこで、風邪やインフルエンザの状態で、子供さんが1つの小さい部屋でどんどん入ってる。これでは、むしろ病気をまき散らしている状況だと。これを改善せんとだめですよと。もし急患であれば、そこに診断する、精密検査をする施設が何もない。また大きい病院へ転送しなきゃならん。そういう状況が述べられておりました。
 そういう意味で、休日急患診療所が、その状態の中で今考えなければならないのは、そういう検査も十分できないんです。そういう状況の中で、私は、紀南地域での休日急患診療所を病院内に設置することが望ましいんではないかということを提案しました。それは、そういう方向が一番望ましいということを言われておりますが、それをやっぱり先ほども言いましたコーディネートするのは県であり、県の保健所なんです。その話がなかなか今通じていない。だから、そういう意味で、県の果たす役割を十分そこでやっていただきたいということを思いますが、県のお考えをお聞きしたいと思います。
 以上で、大きい1番目の和歌山県保健医療計画について質問させていただきます。──「ちょっとゆっくりしゃべれ」って。いつも速いから、ゆっくりしゃべってゆっくりしゃべって。いつも速いさかい怒られてます。
 次に、土と緑の保全事業の提案でありますが、手元に資料を配付させていただいております。
 これは、私自身が、県当局がどう受け入れるとか受け入れないとかどうかというより、絶えず自分は、地方では農林水産国というふうに言っております、みずから。農林水産国と言ったら、みんな悪いようにとると思うんですけど、僕は、農林水産国で十分誇りに思ってます。その地域の、我々特に紀南における農林水産の実情、最も取り組む議員の1人として頑張っていきたいということで、この議場に送っていただいたということで頑張っていたわけです。
 そういう意味で、資料はこれ、このとおり、後で見ていただいたらと思うんですけど、結論的に言えば、今までの公共事業が、土木建設事業やいろんなハード面がどんどんやられます。それはそれなりに果たす役割はあって大きいんですけど、もう1つは、継続してその地域の産業を興していくやつとが一緒になっていないということを、通常、そんなに考えておりますので、そのことを基本にしながら、この提案が皆さんに御理解いただけたらありがたいと思います。
 まず、住民が地域に暮らし続けるためには、その地域において産業活動が持続的に行われ、雇用と所得が絶えず再生産されていくということを私はいつも提案しています。それは、地域活動や地域をどうしていくかという議論の中で、いつもその問題を提起しながら、我々の地域がどうあるべきかというときに、そんな地域おこしの課題で取り組んでおります。そのためには、一時の公共事業だけでは、その地域の継続発展は望めません。現実はそれを物語っています。
 中山間地域に道路等が整備され、便利になっても、そこは過疎化し、その道路だけが光っているというのが、我々、田辺・西牟婁圏内でも感じます。ある川柳に「皮肉にも高速ついて過疎になり」という言葉が歌われたのを見ました。
 道路環境政策とその道路を生かしたその地域の産業政策が同時に進められる。これが大事だと思うんです。道路だけが先行して、いつも通りながら、このトンネルの費用の3分の1地域経済活性化に使える財源があれば、うまくその道路と地域が、産業が成り立ち、そこに雇用が生まれ、そこに人々が定着していけるのになあと言いながらトンネルをくぐり抜けるわけでありますが、そのことが抜けてたんではないか。
 道路環境政策とその道路を生かしたその地域の産業政策を同時に進められ、それぞれの投資が行われていくことが必要ではないかというふうに痛感しております。現在の雇用対策は、一時的、対処療法で非生産的な嫌いがあります。
 昨今、生活保護世帯の増加が問題となっております。私、調べてみますと、生活保護費は、国が約3兆円、和歌山県では226億円、我が田辺市では13億2000万円のいわゆる生活保護費が使われております。
 私は、この中で、少なくとも1割、働きたくても働けなくて生活保護費を受けなければならないという人は、少なくとも最低あると思う。その人たちのための雇用対策を、働く意欲のある人には働く場所を確保していくということになれば、そのお金を少なくともその分野に投資していくことが、何も新たな財源をつくる必要なく、そういう有効活用をしていくことによって雇用が確保していくんではないかというふうに思います。
 例えば、厚生労働政策、商業・商工関係、それから、いろいろ農林水産という形でワンストップ型の就職相談や技術習得支援、ふるさと雇用、緊急雇用などの対策も一時的に効果はあるんですが、しかし、雇用機会の増大や創出をしていかなければ、継続していくような事業にしていかなければ、これは行き詰まると思うんです。
 私は、ふるさと雇用と緊急雇用だけでも大体2兆円近く使っているんですね。平成21年度から補正、補正、補正って、22年度まで全体として国が2兆円近く使っております。これは、全く1年とか1年半の限定した雇用対策。その地域に継続して、その地域の経済を基盤にした雇用対策に継続して使うお金になっていないと。これでは一時しのぎではないか。まさに対処療法的雇用政策ではないかというふうに考えているわけです。
 そういう意味で、私は、農林業を基盤とした分野で雇用創生と、しかも国土保全というのを組み合わせた新たな観点から土と緑の保全事業を提言し、知事の見解をお聞きしたいというふうに思っているわけであります。
 土の分野では、農業生産は国の基幹産業です。地方の柱である。しかし、現状は、荒廃する農地、高齢化、後継者不足など、さまざまな問題を抱えて地域の農業は非常に厳しい。国土としての農地の保全、農業経営の公的な支援を展開して農業分野での雇用を創出していく、このことが大事ではないか。
 緑の分野では、日本の国土の77%が森林であり、和歌山県もほとんどそれに近い全国有数の森林があります。我が田辺市では89%が森林である。国土の資源である森について、その防災への効果、さらにCO2削減効果を評価しながら保全管理を進める、さらに国産材の利用拡大で木材自給率の向上──この施策をするならば雇用につながっていくんではないか。
 私は、もう1つの観点は、今議会で述べたいのは、基本的な点で、農林業を通した農山漁村の重要性、国土、国を愛するそのことを助成していきたい。
 今、農業は国の基幹であり、農耕民族である日本人の根底には土と緑があるというこのことが、今のグローバル化の進展に伴い、日本人のアイデンティティーといったものが薄れていく中で、非常に心配している1人であります。
 農林業に従事し、土や緑にみずから触れることで国土を保全するという思想、哲学がその人の心の中に生まれ、日本の国、さらには日本の田畑や山林を愛するという気持ちが生まれてくるんではないか。そのようなことを次世代の日本に伝えていくことは、今、私たち農山漁村に生きる人間の責務だというふうに考えております。この観点は、今、日本の政策哲学にきちんと位置づける必要があるんではないか。
 このような観点から、私は、土と緑の保全事業は、中山間地域を守り、活性化させる大きな力の政策になると考えます。これは、少なくとも地方の土木業者がそれに参画していくことになりますから、こういう意味での事業として、国の土と緑を守るという保全事業は、必ず地域の、例えば和歌山県の1次産業を強化し、そこに雇用が生まれて地域活性化につながっていくんではないかということを考える1人であります。このことを提案したいと思います。
 それで、もう1つは、私は、今いろいろとやってますけど、地域での雇用、職業訓練──今言いました日本の国のこの国土を守るという教育がもう一方でやられなきゃならない。そういう意味では、地域の雇用という意味と、職業訓練として子供から若者、中高年まで一定期間引き受ける。次代を担う子供たちへの学びの提供、新規就農者への就業体験、企業の社員教育、中高年の働く場所など、広く活用できるというふうに思っております。
 そういう意味で、その産業、農林業を再生することにもつながっていくと思います。私は、そのことを、国土を守る、防災の観点もある、そういう国土保全をぜひとも追求し、農地や森林を守ることへの意識改革を進めていく必要があるんではないかと。
 例えば、前の議会で、私、韓国の一社一村運動を言いました。それは、もちろん1つの──我々やってる企業の森とかいろいろあるんですけど、それだけではないんですね。韓国の大手企業がすべて参画してるんですけど、その社長のコメントを見てみますと、いわゆるその社長は、私は農家出身だと。しかし、このままグローバル化して、韓国においても、次の世代の社長──私がやめて次の社長になると、農業というものの、そして国土を守るということが薄れていくと。したがって、私の企業が1社運動をするというのは、この韓国の国土を守り、農業、林業を国民に代々伝えていくための事業だというふうに──これではプラス、利益にはならないけれども、そういう思想を定着させるんだということを述べられておられました。まさにそのとおりだというふうに私は思います。
 国土保全と土と緑の保全事業が一体化された政策は、地方の活性化はもちろん、国の政策哲学の基盤となるというふうに私は確信しますが、知事の所見をお聞きしたいと思います。
 次に、最後に中山間地域の振興のための一考察であります。時間が余りないのでプリントにさして──中山間地域であります。
 私は、まず、これらを進めて頑張っていただいているのはよくわかっていた上での提案でありますので、誤解のないようにお願いします。
 県行政に、やっぱり各セクション、セクションでやることはあるんですけど、中山間地域の全体を組織的に機関として統合した司令塔が必要ではないか、そして、それと諸機関、ここにずっと右側へ書いてるんですけど、とりわけ大学機関や農協、農業法人、民間団体と連携しながら、この地域をどうしていくんだということを検討する必要があるんではないかというふうに考えております。
 その前に、まず組織と人がその体制をとるということと、基礎調査活動があって政策がつくられるというふうに思うんです。どんどんやってるのはよくわかるんですけど、和歌山県全体の中山間や過疎をどのようにして、実態の中でどうやっていくのかという政策をきちっと確立していく必要があるんではないか。
 例えばの例ですけど、ここに書いている、「新たな基礎生活圏の構築」って書いてるのは、これは実際に私が体験した。ある集落へ行きますと、青年部長が75歳です。そこの人が、冗談で言うんです。「ここの青年部長は75歳」。「何ですか」と。「20人おるけど、最年少が75歳。我々は青年部長と言うてるんです」と言うてました。まさにその全体が、80、90代のとこの世帯の人ばっかりなんです。
 そういう状況を5年、10年見たら、実際に県行政がアクションを起こしたとしても、それに未来がありますか。じゃ、どうするんですか、そういう集落を。まさに今、日本の中で培われて、今、検討されようとしてるんですけど、そういう部分の集落を幾つか集合体にして、新たな公共サービス、公共福祉が本当に平等にいくためにどうしたらええかということも検討されてる段階であります。
 そういう調査をしてこそ、中山間、過疎に対する政策がきちっと確立されていくというふうに思うし、そういう調査活動に一定の地域の各種農協や農業団体、それからNPOや大学機関の協力を得て、一定に調査をしながら、そして2年ぐらいで調査をして、政策をそういう人たちとともにつくり上げていくと。その事例が、実は、たびたび言ってますけど、田辺市の上秋津のガルテンというのは、これ、2年かけて、大学機関、地元、行政機関と市で2年間その地域をどうするかということをきちっと政策づくりをして実施された。
 だから、そういうことが実際に大事ではないかというふうに考えるわけですが、そのことを1点、ぜひともここに書いている中山間地域総合政策室──これ勝手ですよ。要らんことを言うなと言われるか知らんけど、そういうことを考えたらどうだ、統括して。ただし、みんな兼務ですよと。各セクションから寄って、この地域をどうしていくんだと。そのためには、そういういろんな団体の協力を得て政策づくりをしていくと。こういうことを提案していますが、いかがなものでしょうか、お聞きしたいと思います。
 もう1つは、私は、常々地域奉仕やいろんな意味で、大学の、特に和歌山大学や京都大学の先生とディスカッションしながら実践、一緒に汗かいてきたわけですけど、そういう中で、どうしても和歌山大学の先生方に、観光学部は──私、最初に平成17年に提案したんです、と思うてます、議事録見ますと。なぜかというと、今度、和歌山大学に農学部がないことを何年もの間、私はその教授らに言うてました。1次産業が重要な和歌山県になぜ、その大学機関に農学部がないということは不思議でならなかったから、いろいろ問題提起をしてきました。そこで、私は、そういう実態の中で、学校の教授連中の名刺を見たり、いろいろ話してきますと、農学の関係の先生方はたくさんおられるんです。
 そういう意味で、どうしてもこういうことをぜひ考えてほしいと。これだけ皆さんが地域に入って、独立行政法人になって皆さんと一緒にやってるんですから、これを何とか農学部へ発展的にいけるようにしていただければ、県内の高校生が、改めて園芸を勉強したい人たちが、また地元で学習して、地元の県の研修機関やいろんな分野に実力を発揮していけるんじゃないかということを提案さしていただきました。これは学校当局にです。
 そういう意味で、県においても、ぜひともここ和歌山大学に農学部を設置できるよう努力していただけたらありがたいというふうに思いますが、その考え方をお聞きしたいと思います。
 ただ、大学に農学部ができたら、またいろいろ金要るんちゃうかと。「和歌山、全然要らんで」って、僕、その先生方に言いました。「和歌山県全部フィールドですよ」と。全部フィールドですよ。県の試験場は幾つもあるし、そして園地はいっぱい、果樹から野菜から全部あります。そういうところが全部自分の実習試験場になるんじゃないですか。だから、金の投資は要らん。人の投資だけでいいんです。それによって、全部和歌山県をフィールドにすれば、県行政と一体になれば、農学部はできるんじゃないですかということを提案させていただきました。そういう意味で県当局の考え方をお聞きしたいと思います。
 以上で、私の第1回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、がん対策でございます。
 私もがん患者の1人でありましたので、原議員の御指摘、御発言には身にしみるような思いがございます。
 がん患者の精神面のケアにつきまして、議員御指摘のとおり、がん診療連携拠点病院では、治療が始まった段階から緩和ケアチームが、がん患者の身体的、精神的苦痛等に対して適切な緩和ケアを提供しているところです。
 ただ、より専門的で高度な知識を持つ精神科医がすべてのがん患者に対応することは、今のところ、現実的には大変困難でありますので、県といたしましては、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修を実施するなど、患者の療養生活の質の維持向上を図っているところでございます。
 次に、セカンドオピニオンについてでございます。
 これについては、まことに原議員の問題意識のとおりでありまして、大事なことだと思います。このためには、第1にその機会があるかどうかということと、第2にそれに現実に治療しておられる医師が冷静に対応してくださるかどうかということでございます。
 第1の点については、特にがん拠点病院では、診断や治療法について主治医以外の第三者の医師による助言が受けられますし、拠点病院の相談支援センターでは、セカンドオピニオンの提示が可能な他病院の医師の紹介を行っておりますけれども、2番目に述べた医師の冷静な対応も含めて、引き続き患者みずからが適切な治療法を選択できるように体制を整備し、充実してまいりたいというふうに思っております。
 次に、放射線治療の充実につきましては、これも原議員に同感でございまして、原議員が県外に行かなければならなかったというのは、和歌山県の知事として大変残念であります。和歌山県立医大とも相談をして、この充実に努めていきたいと考えております。
 特に、放射線科医を初め、放射線機器の精度管理や、あるいは放射線照射を行う放射線技士、医学物理士等の重要性は高まっておりまして、がん拠点病院ではどこでもその育成確保に努めているところですが、特に和歌山県立医科大学では、これをやらなければいけないと思います。
 大学では、腫瘍センターの充実に向けて放射線療法、化学療法、緩和ケア等の専門医を育成するため、がん専門医臨床研修モデル事業などに取り組んでいるところですが、一層充実に努めてもらいたいと考えております。今後とも、がん対策につきましては、引き続きしっかりと取り組んでまいります。
 次に、地域医療についてでございます。
 医師不足が深刻な状況の中、患者が必要とする医療サービスを提供していくためには、議員御指摘のとおり、病院と開業医の連携や医療機関の役割分担及び統合再編など、限られた医療資源を有効活用することは重要であると認識しております。
 県といたしましても、保健所単位で市町村、病院、医師会等を構成委員とし、地域の医療体制を検討する医療対策協議会を設置しておりまして、喫緊の課題である救急医療などの体制を構築するため、病院や医師会等に働きかけるなど、連携強化に積極的に取り組んでいるところであります。一部においては、救急病院の医師の負担軽減のため、開業医による宿直の応援、こういうことにも堅実な動きが出てきております。
 それから、医療機関の役割分担と統合については、開設者が異なるわけでございまして、それぞれの医師が第一義的には大事でありますが、県といたしましては、地域住民や医療機関の意見を聞きながら、急性期から亜急性期、回復期、維持期、そして在宅に連なる連携体制の強化を図り、患者にとって切れ目のない医療提供体制の構築に取り組み、また、例えば統合あるいは調整によるメリットなどを生かして、必要に応じて中に入って調整もしながら頑張ってやっていきたいと考えております。
 次に、原議員のおっしゃる土と緑の保全事業、国土保全の議論でございます。
 農林水産業、特に農林業が産業として自立するためには、まず産業としてもうかるということが基本でありまして、そのためには、県では産地づくりとか担い手の育成などさまざまな施策を展開しておりますが、厳しい条件下の中山間地域においては、高齢化が進み、農地や森林が荒廃する中で、現状のままでは生業としての継続が難しい状況が生まれているという点については、原議員おっしゃるとおりであります。
 その中で、特に土と緑の国土保全をどう図っていくか、こういうことが問われているという点についても、原議員に共感を覚えるところであります。
 このような難しい状況の中で地域をどう守っていくかということについては、我々も大きな問題意識を持って取り組まなければいけないと感じております。特に、公共事業を切り離して考えないで、産業をこれによってどう振興するか、まちづくりにどう生かすか、逆にそれから、そういう産業政策や、あるいはまちづくり政策から公共事業をどう考えるか、そういうことを両者調整しながら、いつも考えていくというふうにしていかなきゃいけないと考えております。
 こうした観点から、県では、過疎対策課を設置し、地域の再生・活性化への総合的な取り組みを県が全力で支援するわかやま版「過疎集落支援総合対策」を実施するなど、全庁を挙げて取り組みを行っているところでございますが、さらに公共事業のあり方も含めてどういう施策を具体的にどうやっていったらいいか、常に知恵を絞ってまいりたいと考えております。
 次に、中山間地域について特別の組織を設けたらどうかということでございます。
 この中山間地域対策につきましては、地域資源を活用した6次産業化や観光振興、企業と農山村の交流を初め、地域医療や生活基盤の整備など、各部にわたる施策を実施しております。これらの推進に当たりましては、地域の実態を十分踏まえ、総合的に取り組む必要があるという考えは、原議員と同じでございます。
 もう少し一般的に申し上げますと、この問題に限らず、現在の県庁の課は、あらかじめ定められた権限のみを行使すればよいというものでは、もはやございません。それぞれにまず任務が示されておりまして、他の課の所掌の仕事も任務遂行上必要なら、その行使を要請するということがモラルとして調整されております。
 過疎対策課は、過疎地におけるあらゆる問題をすべて背負い、あらゆる関係者の声を聞いて、それを必要があると考えたら、他の課にもお願いをして実行していくという任務を負ってございます。したがいまして、議員御指摘のような、名前はちょっと違いますが、機能を十分果たすように、これからも私も指導してまいりたいと考えております。
 次に、和歌山大学に農学部設置をという御提案についてでございますが、できれば私もそれが望ましいと思います。大学にそういう機運が出てまいりましたら、無条件に応援してまいりたいと考えております。
 ただ、よく私も経験しておりますが、和歌山大学に農学部をということを言われる方々が、全国の農学部にどういう動きが起こっているかということを余り何か認識しておられないというところもあります。すなわち、大体の農学部は、例えば環境工学部になったり、あるいは生物理工学部になったりしておるわけでございます。和歌山大学にもシステム工学部の中に、そういうようなことを研究しておられる方もおられるし、もっと言うと、近畿大学には、まさに生物理工学部が和歌山で学部を設置くださってるというところもあります。そういうところをまずは全面的に信頼しつつお願いをして一緒に研究を進めてもらうと、そういうふうに現実になっておりますが、そういうことをもっと重要視したらいいんじゃないかな。
 さらに、栽培等の技術に至っては、県の試験研究機関を大いに利用してもらうという必要があると思います。農業や林業の発展がそれによって期待できるように、私もこれら試験研究機関の機能の見直しについて、これから徹底的に実は行っていきたいと考えているところでございます。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
 〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 紀南地域におけます回復期のリハビリテーション医療につきましては、議員御指摘のとおり、一層の充実が必要であると認識をしてございます。新たなリハビリテーションセンターの設置、あるいは既設の医療機関の機能強化や相互の連携など、地域にとってより適切な医療体制のあり方につきまして、今後、保健所とともに地域の意見を十分にお聞きし、医療対策協議会において検討を行ってまいります。
 また、田辺広域休日急患診療所につきましては、現在、地域の開業医、勤務医の協力により、休日等の初期救急の診療体制を確保しているところでございます。
 休日急患診療所を病院内に併設することにつきましては、地元医師会を初めとする地域の医療関係者とも十分協議する必要があり、そのためには、議員御指摘のように、保健所の果たす役割は大変重要であると考えております。
 今後、保健所を中心に、医療対策協議会におきまして、地域の救急医療体制の一層の充実に向け、検討を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
 〔原 日出夫君、登壇〕
○原 日出夫君 ちょっと最後なんで、前へ行かしてもらいます。
 再質問をさせていただきます。質問というよりすべて要望ですけど、よろしくお願いします。
 がん対策についてであります。
 答弁で、治療が始まった段階から緩和ケアチームが、がん患者の身体的、精神的苦痛に対して適切な緩和ケアを提供しているとありました。
 がん拠点病院に相談支援センターが配置されていますが、これが十分機能しているのでしょうか。私自身、相談支援センターを活用していませんし、私の友人や関係者もこれを活用していません。これがあること自体、知らない人たちもあるわけであります。
 これは、相談支援センターの役割ががん患者に知らされていないし、その存在価値の評価が余りないのかもしれません。県は、がん拠点病院の相談支援センターの実態と、それを活用している件数を見て、がん患者が支援センターを活用できる状況を切り開いてほしいというふうに強く要望したいと思います。
 たまたまゆうべ、ちょっとホームページを見ましたら、がん相談支援センターを管理する国立がん研究センターがこういうふうに言うております。がん相談支援センターが、こんな相談ができる、こんな相談をしてもいいのかなどのわかるような、やっぱり相談事例を作成したパンフレットもつくっていく必要があるんではないか。それから、がん相談支援センターについてのパンフレットを作成する中で、医師が告知の際に、それを私なら告知されるというときに、じゃ相談支援センターは診断から治療までの一連のプロセスの中で、そのがんのときに相談支援センターを活用するように患者さんに知らせていく必要があるんではないかと、そういうことも言われております。例えば、拠点病院であればいいんですけど、拠点病院以外で診察を受けた患者さんには、拠点病院が、拠点病院でない患者さんに出前講座などをすることも考えたらどうなのか。また、そういうことを言われております。
 だから、相談支援センターが、まさにそういうがん患者さんになじみ深く、相談しやすく、そして相談に乗ってくれるという信頼関係をぜひつくっていただけたらありがたいというふうに思うんです。
 そこで、厚生労働省は、2011年度の予算で、がん総合相談体制の整備として、都道府県に1カ所、地域包括相談支援センターを新たに設置して、心理、医療や生活介護など、さまざまな分野に関するワンストップで提供する体制を支援するということで、予算を9億4000万かけてやられるそうです。
 したがって、我が和歌山県でも、そのがん拠点病院のがん相談支援センターと地域包括相談支援センターがどう有効に連携していくのかという点についても十分検討されて、がん患者に対する信頼と利用を含めて御検討していただきますようお願いしたいと思います。
 それから、2つ目ですが、がん難民をなくすためには、和歌山県に信頼されるセカンドオピニオン、そういうものの体制をぜひつくってほしいと。ほとんどの患者さんは、東京、大阪、神戸、方々にオピニオンとして求めていきます。和歌山で、ここで相談してくれればこうだということについて確立できるよう強く、これも要望したいと思います。
 最後に、知事から強い答弁がありました。放射線治療の体制強化は、和歌山県でやっぱり最低IMRTに対する医学物理士など、体制をぜひ強く要望したいと思います。
 最後に、地域医療についてでありますが、私は白血病患者の事例を先ほど述べました。たまたま調査しました。
 血液内科医そのものが、紀南病院も南和歌山医療センターも、実は新宮までないんですけど、開業医で若い先生が開業してて、その人が血液内科の専門医だったわけですね。この人をどうして友好的に病院と提携しながらやってくれないんだろうかということで、今提案してるところなんですけど、そういったこととか、たまたま南和歌山医療センターの副院長が内科医なんです。専門医なんです。それは、学長とも前に話をして、これを紀南病院に何とか副院長として内科医とチェンジしてくれないんだろうかということも言いました。しかし、それも無理です。それは、やっぱり病院間同士では、非常に無理です。
 だから、県行政がそれをうまく活用できるようなコーディネートをしていくことによって、新たな人材、医師を求めるんでなくて、今ある医師をお互いに地域で有効活用していけるようなことをできるのは、もう県しかないんです。これは病院間ではとても無理なんです。それを県がその役割をぜひ果たしてほしいというのが私の考えであります。ぜひとも頑張ってほしいし、医務課職員の積極的な取り組みを期待したいというふうに思っております。
 回復リハビリテーションについてですが、これは、私たまたま南和歌山医療センターの木下先生が、紀南全体の地域医療をどうしていくかという地域医療パスという講演を聞かしてもらいました。
 その中で、総括的に今必要なのは、この回復のリハビリテーションセンターがなかったら、今、はまゆう病院に頼っていたんではあかん、それだけではもう無理やと、限界来ていると。だから、寝たきりをつくらない、そして整形や外科を含め、そして介護も含めても、そういった点で、どうしてもいわゆる回復リハビリテーションが必要だということを言われておりました。
 これは、私はできるというふうに思った。私、またそのときに提案しました。これこそ紀南病院と南和歌山医療センターの統合を展望しながら、回復期リハビリテーションを統合経営、相互の経営でやっていけないんだろうかということを言いました。それをやっていただければ最高やということも、これも言われました。だから、これは県もコーディネートしなきゃいけません。お互いに、自分とこ、自分とこという無駄じゃなくて、1つのものをつくり出していくという可能性を見てほしいと。そのためには、ことし6月までにつくれという国の地域医療再生計画が今つくられようとしてますが、この地域医療再生計画の中に組み込まれれば一番ありがたいし、なければ、それを展望した対策をぜひ講じてほしいというふうに思います。
 以上で、私の再質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)(「最後にちょっと、最後にちょっとあいさつ」と呼ぶ者あり)そうそう、最後なんです。
 それで、私、平成11年から当選させていただきまして、そしてつい、がん治療やったら、ちょっとぽっぽっとぼけてしまうんで──現在まで3期12年間やらせていただきました。うるさいというぐらい、48回中43回、一般質問、予算委員会、ずっと続けさせていただきましたけど、その点、多面にわたる政策提言が、ずうっとこの前から家で見さしてもらうと、かなりの部分で県政の中に少しでも生かされているのがたくさん見られました。本当に県当局のいわゆる御理解をいただいて、県勢発展のために県当局が非常に頑張っていただいてるなというのをまた改めて痛感した次第です。
 今後とも、知事先頭に、ぜひとも県勢発展のために頑張っていただきたいし、私は一県民として地域づくりのために汗して頑張っていきたいと思います。今後ともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問は終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中村裕一君。
 〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 おはようございます。
 今期最終の定例会となりました。この議会のことを「さよなら議会」とも申しますが、今期で勇退される先輩の皆様、大変お疲れさまでございました。しかし、選挙へ出られる皆さん、正々堂々と政策を主張して、ぜひ当選をして、またこの壇上でふるさと和歌山発展のために議論をし、頑張ろうではございませんか。
 私は、県会議員は結構頑張っていると思いますが、残念ながら世間の評価はそんなに高くはないようであります。その原因の1つは、一生懸命頑張ってることを伝え切れてないというところがまずあるのかなと。
 もう1つは、せっかく力を持ってるのに、その力を十分発揮できてないんではないかと思うこともあります。県内各地でお互い頑張って県民の皆様の御意見を伺って、1つの政策にまとめていくというようなことは、これは県議会しかできないわけでありまして、その最たるものは、議員提案条例であると思いますし、いろんな政策を決めていく、こんなことができるわけでありますから、ぜひ当選の暁には、そんなことで頑張ろうではございませんか。
 以上申し上げ、通告に従い、一般質問を行ってまいりたいと思います。
 まず、浄化槽行政について伺います。
 浄化槽の事務については、平成21年9月定例会の条例改正で、平成22年度より県から市町村へ移管されました。その後1年が経過しますが、事務は順調に行われているのでしょうか。例えば、浄化槽の設置には届け出が必要なことから役所には設置情報が寄せられますが、逆に廃止時も義務ながら届け出が提出されず、現在、県でどれだけの浄化槽が運転されているのか実態がわかりません。
 このような最も基礎的な情報がない中で、適正な行政は執行できるのでしょうか。例えば、11条検査などの法定検査も受検率が18.3%と全国32位――平成20年度でありますが――と低迷していますが、こんなところにも影響してるんではないでしょうか。また、浄化槽台帳が整備されると、不名誉な生活排水衛生処理率も分母が減少して向上するとの話も聞きます。
 県では、長期計画で汚水処理人口普及率70%を掲げながら、事務移管により県の不備を市町村へ押しつけたような格好ですが、台帳の精度が低い中で移管はどのような状況でしょうか。
 現在、県水質保全センターが浄化槽台帳を整備するべく準備中と聞きますが、本来は県初め関係市町村が自主的に行うべき行政の基盤整備であると考えますが、県の評価と支援について御見解を伺います。
 次は、説明責任について伺います。
 県では、昨年4月1日より県報の有償頒布をやめ、かわりに県ホームページ並びに県庁の情報公開コーナーで印刷物を閲覧できることになったと聞きます。果たして、これで県民に告知したと言えるのでしょうか。
 県報とは、県が制定する条例、規則、行政処分等を公布または公表するための機関紙で、国でいう官報に相当します。幾らブロードバンド時代といえども、インターネットの環境にいない人もいるでしょうし、また、インターネットの環境にいても、見るためには一々電源を入れた上でホームページを見に行かなければなりません。ましてや、県庁の情報公開コーナーへ見に来いとは論外であります。
 そもそも重要な決定は、県報への登載や県庁前の掲示板に掲載するだけで県民に告知したことにする制度も前近代的で民主的とは言えませんが、ホームページに載せただけで済ませることも同様だと考えます。
 現在、47都道府県で紙媒体の公報を廃止したのは10県ありますが、地方自治法第100条17に「都道府県は、当該都道府県の区域内の市町村の議会及び他の都道府県の議会に、公報及び適当と認める刊行物を送付しなければならない。」ともあり、果たして現状でよいのでしょうか。
 今日は、情報化時代を通り過ぎ、情報があふれて何が真実かわかりにくい時代であります。民主主義の根本である説明責任を果たすため、決定を県民に親切丁寧にお知らせする新たな方法が求められておりますが、御所見を伺います。
 3番目は、道成寺周辺の道路整備と排水対策について提言を申し上げ、御所見を伺います。
 道成寺は、本県最古の勅願寺であり、街道一の物語、安珍清姫の絵説き説法を聞きに大勢の観光客が訪れます。物語は、歌舞伎や能でも道成寺物として有名です。また、縁起物語の宮子姫は実在の人物と言われ、文武天皇の妃で聖武天皇を産んだ、藤原不比等の娘宮子だと言われています。
 現在、県教育委員会では世界遺産追加登録のための調査中と伺いますが、ぜひ道成寺が追加登録されることを大いに期待いたします。
 しかし、残念ながら、道成寺へのアクセス道路県道玄子小松原線、印南日高線は、とても世界遺産にふさわしいものではなく、観光バスのドライバー泣かせの隘路であります。しかも、少し強い雨が降れば水浸しで、どこが道路かわからなくなり、門前から道成寺駅前一帯が床下浸水になります。何しろ1300年前は、道成寺西方あたりは九海士の里という宮子姫の実家がある漁村だったのですから、日高平野の治水は極めて困難であります。
 日高平野北部の河川は、日高川町と御坊市の境界付近を流れる土生川以外はすべて西川に流れ込みます。しかし、肝心の西川は、落差がないために大変水はけが悪うございます。西川は、現在、県において堤防改修中ですが、平野の流水をすべて西川に流すことは不可能で、数十年前から日高川へ直接流す計画がありました。しかし、開渠の河川計画であったことから、いまだに実現しておりません。
 そこで、提案申し上げたいと思います。
 4車線化時には実はフルインターになる川辺インターと御坊南インターから道成寺へのアクセス道路を整備し、そこに地下の放水路を設けてはと思いますが、知事の御見解を伺いたいと思います。
 なお、昨年2月定例会一般質問におきましてお聞きをしました西川河口の津波対策につきましては、背後施設のかさ上げをするため、平成22年度では施設高さ等の測量を完了し、平成23年度からは地元と協議しながら対策工法を決定し、具体的に進めていくと伺いました。この際、県道日高港線の拡幅着手とともにお礼を申し上げておきます。ありがとうございました。
 4番目は、新しい高齢者対策について伺います。
 高齢化社会と言われて久しく時間が経過しましたが、高齢化問題は老人福祉だけではなく、さまざまな分野での共通課題であります。
 時節柄、地域を回ってみて、空き家と更地、独居老人の多さに大変驚きます。マスコミをにぎわす今日的課題、例えば買い物難民、振り込め詐欺、悪質訪問販売、災害弱者等々、これはすべて高齢者に関係します。焼け野原の中、子供たちを育て、立派な日本につくり上げてくれた先輩に申しわけないと思います。
 そこで、私は、高齢者を取り巻く県行政の今日的課題についてお伺いをいたします。
 初めに、住宅用火災警報器の普及についてであります。
 平成16年の消防法改正により、すべての住宅に住宅用火災警報器の設置が義務づけられました。新築住宅については既に平成18年6月1日より義務化され、既存住宅についても本年6月1日までに義務化されます。義務化といっても罰則はありませんが、住宅火災で亡くなる高齢者は多く、国は死亡者数を半減させるための切り札として普及を進めています。
 御坊市内では、自治会で共同購入し、消防団がボランティアで設置したところもありますが、地域によって温度差があります。本県では、北山村が全戸に無料配布して普及率100%ですが、昨年末時点で、本県の普及率は59.8%、全国では63.6%です。高齢化が進む本県での目標達成について、危機管理監の御見解を伺います。
 同様に、テレビの地上波のデジタル化についても、本年7月24日正午に期限が来ます。既に普及率は90%を超えたと言われますが、80歳以上の独居世帯はカウントされてないとも聞きます。ある夏の昼過ぎ、突然テレビがつかないということが起きないのか心配であります。現在の普及率と今後の対応について伺います。
 3番目に、農業の機械化について伺います。
 ことし1月に二階代議士や坂本、花田両県議とともに日高川町で原見林業の低コスト林業の現場を視察してまいりました。
 私のこれまでの林業に対してのイメージは、木材価格の低迷から作業員の高齢化が進み、作業効率も悪い消え行く産業だと思っていました。しかし、低コスト林業の現場で働く若い人たちの姿を見て、目からうろこが落ちた思いで、はっきりと林業の明るい未来が見えました。
 山頂まで整備された作業道を毎日自動車で通勤し、重機を使用した間伐作業では、チェーンソーよりも重いものを持つ必要がありません。何と、都会から来た若い女性も働いています。私は、この方式を農業にも導入できないかと考えます。農村では高齢化が進み、1人で農作業をやっている人もいます。農機具の誤操作や台風の見回りで亡くなる人が後を絶ちません。
 現在、農業の現場では、資材や動力系機械は大手が寡占していますが、それ以外は中小零細メーカーが細々とやっているのが現状です。労働集約的な作業を機械化するのは困難ですが、重いものを持たなくてもいいような圃場、トラック、倉庫など、開発の可能性は大いにあります。
 かつて農業試験場に農機具部があり、農機具の普及に効果を上げました。今こそ農業の機械化が必要と考えますが、御見解を伺います。
 そのほかに、期限はありませんが、高齢化ゆえ普及が進みにくい課題として、生活排水衛生処理率や住宅の耐震化があります。共通しているのは、問題を正しく理解してもらいにくいということ。余命幾ばくもなく、子供たちも帰ってこないのでそんなにお金をかけたくない、年金生活でかけたくてもかけられないという事情があるのです。
 私は、特別養護老人ホームの必要性に異論はありませんが、在宅の高齢者にも同様の特別の支援を行う時期に来ているのではと思いますが、知事の御見解を伺います。
 5番目に、高校全入時代の入試のあり方について伺います。
 平成22年4月から公立高校の授業料が無償化されました。今日の教育現場を見たときに、高校授業料無償化より優先されるべき教育的課題はほかにもあるものの、ここでは賛否は論じません。しかし、無償化されほぼ全入に近い義務教育のような状況が生まれるなら、ぜひ整理しておかねばならない課題があると思います。
 1つは、県立高校の入学定員についてであります。
 毎年9月県議会終了後に発表される高校入学定員について、中学のPTAは、1クラスでも多く確保し、15の春を泣かせないように求めています。しかし、県教育委員会は、定員を、子供たちの希望と関係なく、地元の子供たちでさえ希望しない分校や1地域に組み込むべきでない実業科も算入し、トータルで過不足がないよう算定します。その結果、みんな高校へは入れても、昨年からはただで高校へ入れても、子供たちも父兄も決して満足できません。
 私たちが、県教育委員会と定数の交渉をするときは、いつも予算を理由に定員増加が難しいと聞かされます。そこで、一体1クラス分の経費はと尋ねると、担任、副担任2人分の人件費相当分で約1600万円だそうであります。
 私は、もし1600万円で数十人の子供たちの未来が保証されるなら安いものだと思います。しかし、実際にはクラス増減の帳尻合わせは臨時の講師で行っているはずで、教諭だとしてもそう高くはないのではと思いますが、ぜひ知事にこの1600万円は高いのかどうか伺ってみたいと思います。
 次に、学科のあり方について伺います。
 知事は、県政最大の課題を産業振興ととらえ、各分野でさまざまな政策を掲げておられます。とりわけ本県の特性を生かした観光産業の振興を主張されますが、最大の人材養成機関である本県公立高校には、観光関連の学科は神島高校に観光コースが唯一あるのみです。観光の大きな楽しみである美食を提供するシェフやパティシエを養成する学科もありません。
 世の中で必要とされる職業すべてに合わせた学科の改編は難しくても、子供たちの希望が多い普通科の増員や戦略的に必要な観光関連学科、物づくりが我が国産業の生命線と言われる中での実業科など、学校や先生たちのための学科ではなく、主役である子供たちのためにこそ、今、時代の要請する学科改編が求められておりますが、知事の御所見を伺います。
 6番目に、看護学校の設置について伺います。
 私が県会議員に当選した約20年前は看護師不足と言われ、その後、新宮に県立看護学校が設置され、県立医科大学にも看護学部が開設されたので、看護師不足は解消されたものと思っていました。しかし、医師不足の声に隠れてわかりにくかっただけで、相変わらず看護師不足は顕著であることがわかりました。しかも、今後予測される医学の進歩や医療サービスの向上を考えた場合、人数だけではなく、質の高い人材養成が必要だと言われています。
 さて、私の地元である御坊市や日高郡では、看護師不足に対し、公立病院でさえも奨学金を支給しないと人が集まらないそうです。また、ある民間病院では、専従のスカウトを置いて、わざわざ九州から数十人単位でリクルートしてきます。このような涙ぐましい努力をしてでも看護師を確保しないと、病院経営はもとより、地域医療が成り立ちません。知事は、現在の看護師不足、特に日高地方の看護師不足について、どのように認識されていますか。
 一方、日高地方の高校を卒業して、大学看護学部や看護学校に入学する人は毎年数十人おり、有田地方から田辺・西牟婁地方まで含めれば、毎年100人近くになります。しかし、日高や有田という中紀地方には看護学校はないので、せっかく看護師になる志を立てても、県外初め他の地域の学校へ入学しなければなりません。したがって、地元定着率も低くなりがちです。
 そのため、最近、日高地方にも看護学校設立を求める声がほうふつとして起こってきました。既に御坊市長を初め日高地方の町村会から県立看護学校の設置要望がされておりますが、看護学校の必要性について知事の御見解を伺います。
 最後に、医療問題でもう1問。地域医療支援センターについて伺います。
 県では、医師不足解消のため、県立医科大学の入学定員の増員を初め、各種の対策を講じているところですが、平成23年度では、県地域医療支援センターの設置を目指していると聞きます。
 地域医療支援センターは、医師不足の状況等を把握・分析し、医師のキャリア支援と一体的に医師不足病院の医師確保の支援等を行う機関で、学会、研修中の代理医師の派遣や指導医の養成など、地方にいても都会の大病院に負けない待遇を確保して医師を地域に定着させるというものです。
 県では、同センターを県立医科大学に委託し、医師を指導する専任医師2名、専従事務員3名の5人体制で運営する予定で、来年度予算案に約1億2000万円が盛り込まれています。医師数は全国平均以上ながら、地域、診療科目により偏在著しい本県で、ぜひとも早期の発展を願うものであります。
 しかし、一方には、県立医科大学が受託することにより県立医科大学の関連病院が優先されるのではないかという声や、平成26年度以降、毎年県立医科大学を卒業する県民医療枠20名、地域医療枠10名は、臨床研修を終えた後、公立病院にしか派遣されないので、民間病院にはおかげがないなどの不満の声もあります。既に紀南地方の民間病院では、院長自身が1カ月に15日も当直を行わなければならないという大変な状況にあると聞きます。
 そのため、地域医療支援センターには、日赤医療センターや労災病院など中核病院も巻き込んで、広く地域医療を志す医師を糾合し、本当に医師不足が深刻な地域、診療科目、民間医療機関にも供給していく大きな役割が期待されています。新年度で地域医療支援センター設立に向けた知事の御見解をお伺いいたします。
 あわせて、地域医療の一翼を担う民間医療機関の深刻な医師不足についての御認識と、県民医療枠、地域医療枠の対象拡大も含めた解消策について伺います。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、道成寺の道路整備と排水対策についてでございますが、中村議員から具体的な提言をいただきましたので、真摯に検討しなければいけないと考えております。
 もう少し申し上げますと、道成寺へのアクセス道路については、道成寺に至る県道日高印南線の区間が狭隘でございまして、観光バスの通行が困難な状況にありまして、実はちょっと道成寺から離れたところに駐車場もあるんですけれども、そこに入るのもぎりぎりかつかつというぐらいで、不便を来しております。
 これは何とかしないといかんというふうに思っておりますが、しかしながら、私のみではなくて、歴代の県当局もこれを拡幅しようとしておりまして、残念ながらこれまで地元の御協力が得られなかった、あるいは、もっと露骨に言うと反対ということによって整備には至っておりません。
 私は、道成寺のあり方を考えると大変残念でありまして、多分地元の方もいろいろ御納得いただけるようなあり方があるんじゃないかなあということで、地元の役所の人々もぜひ考えてもらいたいというふうに考えております。御協力が得られればいつでも整備したい、そういうふうに考えております。
 一方、道成寺周辺の排水対策についても、議員御指摘のとおり、この問題は、従来から大変深刻な問題としてとらえております。県下有数の観光地であるにもかかわらず、地盤が低くて水はけが悪いために浸水対策の必要性があるということはよくわかっておりまして、これをどうするか、真剣かつ早期に考えていかなきゃいけないと考えております。
 議員の御提案は真摯にこの地域の抱える課題を考えられたものだと思いますので、道成寺という観光資源を生かしていくために、アクセス道路と浸水対策の問題解決に向けて議員を初め地元の方々ともよく相談してまいりたいと思います。
 次に、在宅高齢者への特別支援ということでございます。
 高齢者の方は現在の和歌山を築いてきてくれた方でありまして、高齢者が地域で安心して生活いただける環境づくりをしていくということは、我々にとって大変大事なことでございます。
 これまでも、在宅生活を支える介護サービスの充実を図るとともに、困っている高齢者を地域で支えていく仕組みを構築していくために、住民や民生委員等と連携・協力し、高齢者へのさりげない見守り活動を行う地域見守り協力員の制度や、あるいは市町村の社会福祉協議会やシルバー人材センターによる地域で助け合う事業の立ち上げ支援等の取り組みを進めてまいりました。
 また、来年度は、医療と介護の連携強化を図り、地域でお住まいの高齢者に対するきめ細かな支援体制の構築を進めるほか、本県の高齢者の総合的な福祉施策の基本的な方針や施策の方向を示したわかやま長寿プラン、これ、現在ございますが、これを見直すこととしております。
 さらに、生活の基盤となる、高齢期になっても住み続けることのできる住まいの整備も重要な課題でございまして、今後、現在進行中の高齢者住まい法の改正によりまして、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供するサービス付き高齢者向け住宅の制度が創設される見込みと聞いております。
 こうした国の動きも踏まえ、来年度は、住宅部局と福祉部局が連携して、高齢者住まい法に基づく県高齢者居住安定確保計画を新たに策定する予定でございまして、議員御指摘の点についても十分念頭に置いてしっかりと検討してもらいたいと考えております。
 次に、高校の入学の問題であります。
 県立高等学校の募集定員については、中学校の卒業生徒数の推移や高等学校への入学状況、進学率及び地域の実態等を踏まえ、教育委員会が総合的に検討を行い、決定しております。私は、教育委員会に対しましても、和歌山の子供は和歌山で育てるということを基本に置くように求めているところでございます。
 現に、今年度の入学定員の決定に当たっても、議員諸氏の御提言によりまして教育委員会に配慮を求めました。あるいは、それに対する予算もきちんとつけるということにしたところでございます。子供の未来を予算を理由に狭めていくということは全く考えておりません。今後とも、和歌山県の教育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
 高等学校の学科のあり方につきましては、社会の求める人材育成や本県の特色を生かした教育を行えるように、バランスよく設置することが大切だと考えております。
 学科改編につきましても、議員御指摘のとおり、時代の要請に対応しながら考えていく必要があります。観光や物づくりに従事する人材の育成などは、特に重要だというふうに考えております。一方では、子供たちの志望状況も、これまた無視できないというところがございます。そういう点を──志望状況から言うと、どうも普通学科が多いというのも、また事実でございます。こういうことを全部総合的に考えて賢明な対応をしてまいりたいと考えております。
 次に、看護学科、看護師確保対策でございます。
 現在、県では、潜在看護職員の復職支援や修学資金の貸与、院内保育所の設置促進等の事業に取り組んで看護師の確保を図っているというところでございますが、特に日高地方の看護師不足につきましては、議員御指摘のとおり、この地域には養成所がございませんで、看護師確保が困難であるということを伺っております。養成所の設置も視野に入れた対策が必要であると考えております。
 しかしながら、新たな養成所の設置は、学生や専任教員の確保とか、あるいは実習施設の確保の課題がありまして、現在、日高管内の市町、医療機関、保健所等で構成する日高地方地域医療対策協議会において、運営のあり方等を含め検討しているところでございます。
 県といたしましても、県全体の看護師確保対策とあわせ、この協議会と十分連携しながら、特に日高地方の看護師の養成、これを引き続き検討してまいりたいと考えております。
 次に、地域医療支援センターでございます。
 本県では、医師不足解消の抜本対策といたしまして、和歌山県立医科大学に県民医療枠や、あるいは地域医療枠を設けるなど、入学定員の増員を行ってきたところでございます。
 しかしながら、平成16年度の新医師臨床研修制度の実施に伴いまして、医師としてのキャリアの維持・向上のため、都市部の診療機能の高い医療機関に医師が集中する傾向にあります。
 和歌山県立医大においては、地方にあって、ある意味では、例外的にこの研修医を多く集めている、立派な業績を上げておりますけれども、それでもなかなか大変なところがございます。
 地域医療支援センターは、地域の病院でもキャリア形成ができるシステムを構築し、若手医師が地域で意欲を持って働ける環境を整備するものであります。このことにより、医師の地域偏在を解消し、入学定員の増員の効果をより確実なものとしてまいりたいと考えております。
 また、同センターの運営については、県立医科大学へ委託を行いますけれども、センターの運営方針については、県医療対策特別委員会において協議を行うなど、効果的に事業が実施できるよう県が主導的に取り組んでまいります。
 県民医療枠、地域医療枠については、御承知のように平成20年度から認められたわけですが、この増員については、卒業後9年間は、地域医療を守る地域の拠点病院で勤務するということを条件に国に認められたものであります。もっと正確に言いますと、今、県民医療枠について御説明申し上げました。
 和歌山県の現状では、このような地域拠点病院は各地の公的病院が担っておりますので、これが医師不足で破綻するということがないように、まず公的病院に優先的に医師を配置する必要があると考えております。
 しかしながら、議員御指摘のように、民間病院においても2次救急医療等を担っていただいている等々、大変地域において重要な役割を果たしていただいております。したがって、決してこれらを軽視することなく、各病院の診療体制や、あるいは公的病院の充足状況、あるいはその民間病院の切実な医師不足、そういうことを考えて、今後、配置先として、地域に必要な医療を提供してくださっているようなそういう民間病院を含めることについても検討してまいりたいというふうに考えております。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長原 広之君。
 〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 浄化槽事務の市町村移管についてでございますが、浄化槽台帳は、個人から県への申請、届け出をもとに作成したものでございます。平成18年1月までは、浄化槽法による廃止届の提出義務がなかったことなどから、台帳と使用実態との乖離が見られるところでございます。
 県では、権限移譲に当たりまして、住宅地図と台帳情報を突合し精査するとともに、市町村へ引き継ぐ際には、緊急雇用創出事業の活用等によるさらなる精査をお願いしたところでございます。権限移譲後においても、台帳と実態との乖離が見られ、指導等に際し確認に時間を要するなどの御意見をいただいているところでございます。今後も引き続き、緊急雇用創出事業の活用等による市町村の台帳整備に協力を行ってまいります。
 検査機関の台帳整備への支援についてでございますが、浄化槽台帳の整備は、県、市町村、関係団体で構成する県浄化槽対策協議会の要綱では、市町村と和歌山県水質保全センターが行うことになってございます。今後、同センターのノウハウを活用することにより、台帳整備がより効率的に進むものと考えております。
 県といたしましては、市町村と和歌山県水質保全センターに対し、台帳整備手法の助言を行うなど、協力を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 総務部長宮地俊明君。
 〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 説明責任につきましてお答え申し上げます。
 和歌山県報につきましては、近年のインターネットの普及状況等を踏まえ、インターネットを利用する方法によって閲覧できるようにした上で、関係機関などの御理解をいただき、平成22年度から紙媒体の県報は閲覧用のみに限定し、関係先への配付を取りやめたところであります。
 これまでも、インターネットを活用する環境にない方からの御要望により、郵送、ファクシミリ等による対応もしてきたところでありますが、今後、電子メールの活用など、県民の皆様に対する情報提供の充実につきましてさらに検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 危機管理監前硲健作君。
 〔前硲健作君、登壇〕
○危機管理監(前硲健作君) 御質問いただきました高齢者対策のうち、住宅用火災警報器の普及についてでありますけれども、平成16年の消防法改正によりまして、本年6月1日からすべての住宅を対象として住宅用火災警報器の設置が義務づけられます。
 我が国の住宅火災における死者数は、平成15年以降連続して1000人を超える高い水準で推移し、このうち65歳以上の高齢者が占める割合も約6割となっており、住宅用火災警報器の早期普及は、高齢者を初め県民の安全・安心を確保する上で重要な課題であると認識しております。
 県内の多くの消防本部では、普及が進んでいる地域の例を参考にしまして、地域推進組織を整備し、説明会の開催でありますとか各地域での共同購入、あるいは相談窓口の設置など、関係機関、関係者が連携して地域に密着した普及活動を展開していただいております。
 県といたしましては、こうした各地域での取り組みと相まって、引き続き、あらゆる機会をとらまえて住宅用火災警報器の設置を呼びかけ、その普及啓発に努めてまいりたいと思っております。
○議長(谷 洋一君) 企画部長柏原康文君。
 〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 新しい高齢者対策のうち、地上波デジタル化の普及率と今後の対応についてお答えいたします。
 地上デジタル放送対応機器の普及につきましては、国の公表によりますと、平成22年9月時点で88.7%となっております。アナログ放送を視聴されている方が地上デジタル放送への移行を知らず、突然見えなくなるということがないよう、地デジへの円滑な移行を推進するため、国が設置した総務省和歌山県テレビ受信者支援センターにおいて、今後、アナログ放送画面への告知強化及び各市町村への臨時相談コーナー設置等により、万全の体制を講じていくこととしております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 農林水産部長阪中栄一君。
 〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 新しい高齢者対策のうち、農業の機械化についてでございますけれども、65歳以上の従事者が約50%を占めるなど農業の高齢化が進む中、地域実態に合った農作業の機械化や生産基盤の整備により省力化を図ることは重要な取り組みであると考えてございます。
 このため、県では、国の研究機関や機械メーカー等との連携を図りながら、エンドウの空気莢選別機やイチゴ高設栽培の装置、軽トラックへのコンテナの積みおろしを軽労化するための機械等の開発に取り組むとともに、乗用モノレールや防除用機械等の導入に加えまして、園内道の整備や傾斜の緩和など、働きやすい農地づくりを推進してきたところでございます。
 農業の機械化推進に当たりましては、初期投資やランニングコストをいかに抑えるかということが重要であり、こうした観点から、今後とも国の研究機関や機械メーカー等との連携を図りながら研究開発を進めるとともに、農家個々の経営状況を踏まえた機械化を推進してまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
 午前11時37分休憩
────────────────────
 午後1時0分再開
○副議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
 〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 今期最後の一般質問をさせていただきます。
 議長のお許しを得ましたので、5点について質問と要望をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、1点目は命を守る国民健康保険制度にということについてです。
 昨年9月の定例議会においても、国民健康保険制度──以下、「国保」と省略させていただきます──についてお尋ねいたしました。そのときにも、国保料が大変高いという問題や資格証明書の発行を中止するように求めました。さらに、国保制度の広域化で市町村の運営の厳しさが解消されるのかという点についてお聞きいたしました。今回も再度質問させていただきます。
 なぜなら、資格証の発行は、国民の医療を受ける権利を奪うやり方であると思うからです。保険料を1年以上特別の事情なく滞納すると、保険証を取り上げられ、資格証明書が交付されます。窓口で一たん全額医療費を払わなければなりません。
 国保は、社会保障制度であり、国民の生存権の確保を目的とする国家的保障制度です。相互扶助制度ではないと思います。憲法の理念に基づいて、1959年1月に施行されました。憲法25条の精神を受け、その第1条に「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与すること」とし、第4条では「国は、国民健康保険事業の運営が健全に行われるようにつとめなければならない。」としています。したがって、命にかかわる保険給付の一時差しとめ通知に当たる資格証明書の発行はやめるべきと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。
 次に、保険料の引き下げと市町村の支援についてお聞きいたします。
 日本共産党県議団では、県民の皆さんに暮らしアンケートの御協力をいただきました。和歌山市では、現在776人から回答をいただいています。その中で、行政に優先的に力を入れて取り組んでほしいことという問いに対して、一番多いのは、国保料の負担軽減が64%でした。2番目は介護保険料の負担軽減で、3番目は若者の雇用対策です。
 当県の直近の2010年11月時点では、国保加入全世帯のうち、短期被保険者証5.4%、資格証明書は1.8%交付されています。いずれも前年度に比べ減っていますが、依然として資格証明書が3342世帯に発行されています。
 少し前、3年前ですが、NHKが、資格証明書の発行割合の高い三重県、広島県、福岡県、栃木県、和歌山県の救急医療機関500機関にアンケートを実施し、384機関から回答を得たことを発表していましたが、結果は、資格証明書もしくは無保険状態で病状悪化し、病院にかかったときは既に手おくれで、亡くなった人が41人あったことを報道しました。国民の健康を守るはずの制度が国民の命を切り捨てる結果となっています。
 9月議会でも申し上げましたが、所得200万円で40歳代夫婦と未成年の子供2人の4人家族で、和歌山市の保険料は43万6810円と、近畿の県庁・府庁所在地の中で一番高くなっています。県は国に対して国保の財政基盤強化策の一層の充実を図るように要望しているということですが、それと同時に保険者(市町村)への財政基盤の支援を行う必要があると思います。
 例えば、県単独福祉医療を実施することによりぺナルティーとして国費が約5億円減額されていますが、これに対する県の補てんの問題です。現在、老人医療と重度心身障害者医療での減額分の2分の1、約1億9000万円が補てんされています。乳幼児医療分、1人親医療分を含め、この全額を県が負担してはどうでしょうか。福祉保健部長、お答えください。
 3つ目は、「国保の『広域化』よりも手厚い国庫負担を」、このことについてお尋ねいたします。
 市町村は、住民の保険料負担を軽減するために、一般会計から繰り入れしています。広域化の理由として、安定的な財政運営ができる規模が必要などとしています。多くの低所得者が加入する国保は、手厚い国庫負担なしには成り立ちません。国は、国保への国庫負担割合、1984年50%から2008年24%にまで減らしてきました。これを是正して、国庫負担を計画的に戻していき、高過ぎる国保料をだれもが払える水準に引き下げることが先決ではないでしょうか。そのことなしに安定的な財政運営はできません。
 県の市町村国民健康保険広域化等支援方針の中でも、「広域化の取り組みや各市町村国保の運営努力には限界があります。特に保険料負担率は都道府県で大きな格差があるだけでなく、被保険者の平均所得が低いほど保険料負担率が高くなる状況にあります」と、国保の構造的な問題は、財政運営の広域化によって解消されるものではないことを指摘しています。
 また、財政運営の広域化は保険料の平準化を図ることを目的にしていますが、高い水準で平準化が図られたのでは意味がありません。逆に、平準化することで、今、各市町村が法定外繰り入れなどをしている努力が抑制され、一層保険料が高くなることが考えられます。こうした点から、福祉保健部長の国保広域化に対する考えをお聞かせください。
 2点目は、知的障害児通園施設の増設についてお聞きいたします。
 障害のある子供の福祉をめぐって急いで解決されるべき課題は、障害者自立支援法によってもたらされた問題の解消と、通園、入所ともに障害児施設を改善・充実させることです。
 児童福祉法に基づく知的障害児通園施設は、知的発達障害のある児童が、保護者のもとから毎日通いながら社会に適応できるように必要な生活、学習、運動などの指導を行う施設です。通園には、施設のバスが定まった場所まで送り迎えに当たります。
 現在、知的障害児通園施設は、県下に3カ所あると聞いております。和歌山市2カ所、紀の川市1カ所です。設置主体は、いずれも社会福祉法人で、公立はありません。
 保護者の皆さんは、障害があるからこそ、できるだけ早く療養を受け、安心して子育てをしたい、こういったお母さんの切実な願いがあります。すべての子供は、法のもとに平等でなければなりません。障害や発達に弱さを持っている場合は、速やかに最も子供にふさわしい医療や訓練、療育などの支援が受けられることを保障しなければなりません。入園させたくても定員がいっぱいで入園できないという状況を聞いていますが、県はどのように把握されていますか。また、入園できない子供への対応はどのようにされていますか。
 今の通園施設は和歌山市近辺に集中しており、伊都、橋本や紀南地方などには1カ所もありません。和歌山市を含め、県下的にもっと施設が必要ではないでしょうか。県としては、どのようにお考えですか。福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 3点目は、乳幼児医療費助成制度の拡充について要望をいたします。
 コルネリア・デ・ランゲ症候群という病気があります。K君にお会いするまで病名を知りませんでした。
 コルネリア・デ・ランゲ症候群とは、1933年にアムステルダムの医師が発表した2症例の論文により、以後、同一の症例をその医師の名前からコルネリア・デ・ランゲ症候群と呼ぶようになったということです。原因は突発的な遺伝子の異常と考えられていますが、確定していません。出生率は、3万から5万人に1人と言われています。2500グラム以下の低体重出生が大半で、成長不良、発達遅滞、多毛、四肢奇形を主徴とする先天性の奇形症候群です。
 K君は、2歳で和歌山市内のある大病院から大阪府立母子保健総合医療センターに紹介されました。母子センターは大阪府和泉市にあり、周産期、小児医療の専門的な基幹施設として、地域の医療機関と連携して高度専門医療を行っているところです。
 K君は、胃ろうをつくり、そこから栄養をとっています。低血糖を起こしたり、目が離せません。夜、急なことで自動車道を走って受診することも多々あります。入院することもしばしばです。この病気は、難病指定や小児慢性特定疾患の対象にもなっていません。一時は、入院時、退院するときには40万円も窓口で支払ったこともありました。
 今は、高額療養費制度を申請しました。県内の病院であれば、窓口負担は現物支給で無料です。県外のどこにおいても窓口負担が無料となるように、国への働きかけや、また、今後進められていく関西広域連合の課題としても、今後、医療や福祉の制度的な連携まで広げ、そしてこのような問題の解決にも当たっていただけたらと思います。ぜひよろしくお願いいたします。これは要望といたします。
 4点目は、労働相談についてお聞きいたします。
 依然と雇用が厳しい状況です。ある39歳の男性。共働きで2人の子育てをしています。県内の大手企業に請負で働いていましたが、生産の縮小で契約が打ち切られ、今度は他社に派遣で働くようになりました。朝8時15分から夕方5時まで、45分の休憩を除いて8時間、ラインでずっと立ちっ放しの仕事のために腰痛にも悩んでいます。
 また、ある若者は、高校を卒業して水産関係の仕事をしています。朝6時出勤時にはタイムカードを押しますが、退出時は押すことになっていません。夜10時などになるときもありますが、サービス残業です。休日はほとんど寝ていることが多く、家族も心配しています。
 また、29歳の若者ですが、清掃会社で働き、週3日、朝6時から夜10時まで働きます。そして、1カ月は4万9000円程度の所得にしかなりません。
 そして、40歳の女性の方ですが、会社勤めでがん治療をし、そして療養後出勤すると、上司に「こんなにお荷物になるとは思わなかった」と言われました。そして、本人はやめてしまいました。家族から聞き、本人は大変悔しい思いをしているということです。
 このように、本当に今、県民の若者や、そして女性の働く実態は厳しい状況です。深夜まで残業、病気で解雇された、病休後復職したが嫌がらせを受けているなど、今、雇用をめぐっては大変深刻な事態が広がっていると思います。
 これに対しては、労働者派遣法など、労働法制の改正や不法な状態をなくす取り組みが必要ですが、今回質問したいのは、県の労働相談が、こうした労働者から相談され、問題の解決のために親身に対応するものにどうしていくかという点です。労働条件が守られていなくてもわからない、どのように相談してよいかわからない、そもそも相談することとは考えていない、そういう労働者も多いように見受けられます。県として窓口の周知徹底をどのようにお考えでしょうか。
 また、さまざまな相談窓口がふえてきましたが、住居や生活に困窮する離職者対策などについて、相談者に付き添って本人の生活再建がうまくいくような支援が必要と考えますが、県としてはどのように考えておられますか。商工観光労働部長にお聞きいたします。
 最後に、県道新和歌浦梅原線、通称・大浦街道の歩道整備についてお尋ねをいたします。
 舟津町交差点から西浜交差点の区間、歩道が非常に狭く、平らでない場所も多くあります。コンクリートの溝ぶたの上をがたがたと歩いたり、鉄板の上を歩かなければならなかったり、雨天の日は特に危険です。高齢者や障害のある人、子供や自転車通学生など、登下校時も非常に危ない状況です。このような現状をどのように認識されていますか。また、安全対策や今後の歩道整備の見通しを県土整備部長にお伺いいたします。
 以上、最初の質問を終わらせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 国民健康保険は、相互扶助の精神にのっとり、低所得者も被保険者として保険料を負担する社会保険方式で運用される社会保障制度であります。この趣旨から、国民健康保険法において、悪質な保険料滞納者に対しては、市町村が被保険者証の返還を求め、被保険者資格証明書を発行する制度が定められたものと理解しております。
 物事の本質は、資格証明書の発給をやめよということでありましたが、その発給ではなくて、保険料滞納者が被保険者証の返還を求められるということではないかなというふうに思います。その資格証明書は、そういう場合でも被保険者を何らかの形で救済しようという妥協の対策だと考えております。
 同時に、この制度は、被保険者間の負担の公平を図るとともに、多くの被保険者の保険料の納付意識を高めるということにもつながると考えております。
 県といたしましては、被保険者資格証明書の運用に当たっては、生活状況等を把握し、きめ細かな納付相談を十分に行った上で交付するよう、引き続き市町村を指導してまいりたいと思います。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
 〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) まず、保険料の引き下げと市町村支援についてですが、各市町村におきましては、厳しい財政状況のもと、一般会計からの繰入金等により、懸命に保険料の増加抑制を行っているものと認識をしております。
 県におきましても、市町村を財政的に支援するため、低所得者の保険料軽減に要する経費等も含めまして、平成23年度は94億7000万円の国民健康保険関係の予算案をお願いしているところであります。
 重度心身障害児医療、老人医療の実施に伴う国庫負担金減額措置に対する県費助成につきましては、継続して実施しているところですが、乳幼児医療、1人親医療の実施に伴う国庫負担金減額措置に対する県費助成につきましては、議員御指摘のように行っておりません。この差は、制度ができたときの経緯にもよっているところですが、そもそもこれらの措置を県がとったときに国庫負担金の減額まで国がしなければいけないのかという議論もございます。
 また、国において、福祉医療費の公費負担を早期に実現することや地方単独福祉医療制度の実施に伴う国民健康保険の国庫負担金減額措置の廃止を従来から要望してきたところであります。引き続き、これを要望していきたいと考えております。
 次に、「国保の『広域化』よりも手厚い国庫負担を」についてですが、昨年12月、県が策定いたしました市町村国保広域化等支援方針は、市町村国保の運営の広域化や財政の安定化を推進するために策定した支援の方針であります。
 しかし、国民健康保険には財政基盤が脆弱であるという構造的な問題があることから、県としましては、国の責任においてこの構造的な問題を解決し、国庫負担による保険財政基盤強化策等の一層の充実を図るよう、引き続き要望してまいりたいと考えております。
 知的障害のある就学前児童に対する専門的療育機関であります知的障害児通園施設につきましては、児童の早期療育に非常に重要な役割を果たしており、現在、和歌山市に2施設、紀の川市に1施設があり、合わせて定員90名分が整備されております。
 通園施設の受け入れ状況につきましては、県子ども・女性・障害者相談センターにおいて入園の決定を行っておりますが、平成22年4月1日現在では、入園希望者40名に対しまして入園者数は33名となっております。
 入園できない子供への対応としまして、児童デイサービス事業があり、県内で56カ所、定員631名、平均いたしまして1カ月に約1000名の児童が利用しており、障害児の個別療育や集団療育等を実施しております。
 さらに、県内7つの障害保健福祉圏域におきまして、年間延べ約5000人の児童を対象としまして障害児(者)地域療育等支援事業を実施しており、医師や理学療法士等の専門家が直接家庭へ定期的に訪問したり、地域の集会所などを巡回する等の方法により在宅の障害児童の地域生活を支え、身近な地域での療育支援の充実を図っているところであります。
 県といたしましては、障害児療育は、可能な限り身近な地域で行われるのが望ましいと考えており、児童のよりよい療育環境の整備を図るため、市町村とも協議の上、社会福祉法人による施設設置を働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
 〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 労働相談窓口についてでございますが、国や労働関係団体など、さまざまな機関に相談窓口が設置されていますが、県では労働センターに窓口を設置し、専門の相談員が労働条件や職場環境などの労働問題に関する相談を受けています。労使間のトラブルで困っている方はもちろんのこと、労働条件等でちょっとした疑問を持っている方にも気軽に相談していただけるよう、水曜日は夜8時まで相談を受け付け、土曜日も開設しているところです。労働者への周知は、県の広報メディアやホームページ等を通して定期的、継続的に行ってございます。
 また、寄せられた相談につきましては、内容に応じて和歌山労働局、県労働委員会等関係機関と連携し、問題解決に向け、適切な対応に努めているところです。
 なお、よりよい労働条件確保のため、県が委嘱した社会保険労務士が事業所を巡回訪問する中小企業労働施策アドバイザーを活用するとともに、講習会、セミナー等のあらゆる機会をとらまえて、事業者に対し労働関係法令等の周知を行っております。
 また、あわせて労働基準法の要点と働く人の相談窓口を掲載したリーフレット「労働法の基礎知識」を現在作成しており、こうしたリーフレットも活用しながら、労働者への周知啓発にもより一層努めてまいります。
 次に、離職者対策についてでございますが、県では、住居、生活に困窮する離職者等に対しまして、和歌山労働局との連携のもとに設置しております和歌山県地域共同就職支援センターに生活・就労相談支援員を配置し、融資制度や助成金、生活保護制度の案内、住宅確保や能力開発の相談などを行うとともに、国の職業紹介等との一体的な支援を実施しております。
 また、和歌山労働局、和歌山県、和歌山市等の福祉部門や雇用部門の関係機関並びに精神保健福祉関係機関等から成る生活福祉・就労支援協議会において関係機関の支援策を共有化するなど、困窮者支援のためのネットワーク構築を図っているところであります。
 今後とも、自立に向けた支援を必要とする求職者等に対しましては、関係機関相互のより一層の連携強化を図るとともに、これら機関間のネットワークを活用し、生活支援から就労支援までの一貫した支援を実施してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 県土整備部長原 広之君。
 〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 県道新和歌浦梅原線の歩道整備についてでございます。
 西浜交差点から舟津町交差点の間につきましては、歩道幅員が狭く、段差もあり、一部区間において歩道面が傾斜しているなどのため、歩行者等の通行に支障となってございます。
 現在、歩道の段差修正や側溝ぶたの修繕のほか、民地の協力が得られる場合には、電柱の移設を行うなど、歩行者等の通行の安全確保に努めているところでございます。
 抜本的な対策としての歩道の拡幅につきましては、平成19年に車道を狭め、歩道を拡幅すべく社会実験を試みましたが、地元の御理解が得られず、やむなく中止に至ったところでございます。
 また、民地側への歩道の拡幅につきましては、沿道に連檐する数多くの事業所や商店、人家などの移転が必要となるため、地元の御協力が不可欠であると考えております。このため、引き続き段差修正等の現道対策に取り組むとともに、自動車及び歩行者等の交通の状況を見ながら、地元の皆様の御意見もお伺いし、歩道整備のあり方について検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 幾つかの要望をさせていただきたいと思います。
 まず、県道の大浦街道、新和歌浦梅原線。
 やはり、先ほども申しましたように、高齢者の問題やそういった歩行に安全対策をというところは、かなりきめ細かく──住民の方が言われてということもあるんですが、県としてもしっかりとチェックをぜひしていただいて、改善できるところは順次やっていただきたいなあと思います。
 今後の見通しについては、やはり地元の皆さんとどんなふうにすればいいかということを密に相談をしていただいて何とか実現して方向性が出していけるように、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 労働相談についてなんですけども、先ほど私は──地域を訪問させていただいたりするときにでもこういった声を聞くわけなんですが、事業者さんへのアドバイザー活動は県としてされるんですが、やっぱり県民の大方の方は、働いている人が多くて、そういう働いてる環境がどうなってるかというあたりをぜひ何らかの形で実態をつかむというようなことに努力をしていっていただきたいなと思います。
 そういった中で、身近な相談がもっともっとできるようにしないと、労基局への相談はかなり多いということではお聞きしてるんですけども、もっと県として積極的な県民への労働実態のアプローチをぜひ進めていただきたいなと思います。
 2番目の知的障害児通園施設の増設という問題では、公立でというようなことでは回答はいただけなかったんですが、そういった施設の増設も含めて、今後ぜひ公立も含めて考えていただきたいというのは、入園の希望だけでなくて、障害のある子供を受け入れてるという保育所が多い中で、和歌山市を除いたら100人の施設で390人というふうに聞かせていただいてるんですけども、本当に保育所で元気な子供たちと一緒がいい場合もあるし、個々個々、1人1人子供の状況が違うと思うんです。
 そういった中で、やはり施設で、十分専門家のそろってる中で育つ環境がある子供が必要な場合と、そういったことを細かく見た上で、今後、知的障害児の問題、障害児の福祉の問題をぜひ考えていただきたいなと思います。
 最後の国民健康保険制度ということで、社会保障制度という問題を私はぜひ強調して言いたいのは、この資格証は発行されて、それで健康保険証を、私としては取り上げられてるというこういう仕組みになってるんじゃないかと思ってるんです。
 そういう中で、やはり病院に行けないと、そういう状況を社会保障制度という限りの中で、こういうやり方がいいのかという問題で私は問いかけをしてるんですけども。今、この国保滞納差し押さえということでは、06年度から09年度まで倍増してるということで、この間の国の、厚生労働省の調査で発表されていました。
 やはりそういう差し押さえとか収納率を上げていくという、そういったところに自治体がかなりやっていかなければいけない、そういった今の国の問題が私は大きいんだと思ってるんですけども、そういうことに対して国庫負担をもっとふやしていくようにするということを自治体としてしっかりと強力に──福祉保健部長は、そういう、国にも要望していくと言ってくださったんですけど、そのことがまず最初にあるんじゃないかなあ。
 そういうことで収納率を上げるとか、大事な保険証を取り上げてというやり方は決してよくないと思いますので、ぜひ考えていただきたい。和歌山が県として率先してそういったことを取り組んでやっていっていただきたいなというふうに要望しまして、再質問を終わらせていただきます。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 17番岸本 健君。
 〔岸本 健君、登壇〕(拍手)
○岸本 健君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従いまして一般質問をさせていただきます。
 2月15日、地元紀の川市で高病原性鳥インフルエンザに感染した鶏が発見されました。午前9時過ぎ、紀北家畜保健衛生所に連絡が入り、養鶏所にて衛生所の職員によるインフルエンザの簡易検査を行い、死んだ鶏の5羽中4羽、生きている鶏の5羽中1羽に陽性反応が出ました。
 和歌山県と紀の川市は対策本部を設置し、その後、遺伝子検査で10羽中10羽に高病原性鳥インフルエンザを示すH5亜型が確認されたことにより、12万羽の殺処分と半径10キロ圏内の移動禁止措置が決定されました。
 16日午前零時10分、殺処分開始。18日午前4時10分には、発生農場の鶏約12万羽の殺処分が完了しました。20日には、殺処分した鶏12万羽、卵約40トン、飼料110トン、ふんなどの埋却作業、発生養鶏場の消毒を完了し、すべての防疫措置が完了しました。予想以上に早い対応であったと感じております。
 殺処分開始からすべての防疫措置完了まで、本庁、那賀、伊都、海草、有田、日高の各振興局、また信太山駐屯地から自衛隊員、国の出先機関、紀の川市、JA、建設業界、延べ約2600名が24時間体制で動員されました。過酷な作業であったとも思いますし、動物を殺さなくてはならないというつらい気持ちにもなったことだと思います。
 作業前の健康診断が行われている貴志川体育館や埋設場所の手前にあるグラウンドにも向かいました。特に、作業を終えられた職員さんは疲れ果てておりましたし、那賀振興局にも休日出勤で現場の対応に追われておりましたが、素早い対応で取り組まれていました。作業中、石灰を吸い込んだり、疲労と睡眠不足等で体調を崩し、病院に行かれた方もおられたとのことでありました。
 短期間で防疫措置完了については、職員さんたちの活躍はもちろんでありますが、地元紀の川市が12万羽という大量の埋設場所の確保、決定が早かったことや、那賀振興局の殺処分に必要な資材の確保、そして、これらに対する協力が得られたことも大きいと感じています。二度とこのようなことが起きてはいけないのですが、危機管理上、県内の養鶏場付近で、できるだけ近くに埋設可能な場所や大型車が通行できる進入路等を確認しておかなければならないのではないでしょうか。
 また、現場の緊迫した状態の中、冷え切った体で養鶏場での作業に当たっている職員の皆さんたちのために、紀の川市赤十字奉仕団のメンバーの心温まる炊き出しをしていただきました。感染拡大防止のために、寒さや雨などの厳しい状況の中で昼夜を問わず作業にかかわられた方々、また関係の方々の御尽力に、心から感謝を申し上げます。
 和歌山県は、毎年県内の養鶏農家を対象に施設などを一斉点検を行っております。この養鶏場においても県職員の立入検査を何度も受け、防疫体制を整えておられ、問題はないということでありましたが、16日の農林水産省疫学調査チームが実施した現地調査の結果が発表され、鶏舎の金網の網目は4センチで、金網の外側には遮光カーテンがかかっていたが、カーテンに破れた部分もあった、また、壁の下にはすき間があるなど、小鳥やネズミなどの小動物の侵入は可能と考えるとの指摘がありました。現実として、周辺にはネズミの穴が発見されており、定期的に駆除する対策をしっかりとしていたとも言われております。
 農林水産省動物衛生課の担当者によると、「不備はあるが、経営者としてできる対策はとられていた」。また、京都産業大学の大槻公一鳥インフルエンザ研究センター長は、「初めての発生で、指導する行政も指導を受ける経営者も徹底度が低かったかもしれない。一般の鶏舎は窓がなく、密閉性の高いウィンドレス鶏舎に比べると感染リスクが高いということを行政も経営者も常に意識をしてもらいたい。たとえ網目の大きさが2センチでも、ウイルスを運ぶ可能性があるハエは容易に鶏舎に侵入できる。ネズミも完全に駆除することは不可能。2センチの網目だから大丈夫というわけではなく、多方面に目を向け、より完全な状態に近づける努力が必要だ」とコメントされています。
 今後、養鶏農家は当然のことながら、和歌山県はさらに厳しい目で検査、指導を行っていただきたいと要望いたします。
 このような状態の発生でありますので、県内の養鶏農家や、特に半径10キロ以内の和歌山市2カ所、紀美野町6カ所、有田川町2カ所、紀の川市1カ所の養鶏所が万全の体制をとっていたとしても、養鶏農家の方々の不安は消せないと思います。
 感染経路の解明、蔓延防止は当然、当該の養鶏場はもちろん、移動制限区域内の養鶏業者も15日午後からは卵や鶏肉を出荷できない状態であると思いますし、19日午前11時より鶏や卵の移動制限区域を半径5キロ圏内に半減させ、5キロから10キロを搬出制限区域に変更し、臨床検査などの条件を満たせば卵の出荷が可能となりましたが、鶏肉の出荷は行えない状況でありますし、半径5キロ以内の養鶏農家2軒については移動制限が行われています。
 移動制限が解除になった後についても、本当にもとどおりになるのか心配であります。終息宣言までは、法律上、21日間新たな発生がなければ最短で3月14日午前零時であると。この間の消費の落ち込みにより、流通業界の売り上げ減少など地域経済に深刻な打撃を与え、住民生活にも影響を及ぼす可能性も考えられます。発生農家や移動制限を受けた農家、関連の業者に対する対応をしっかりしていただきたいとお願いいたします。
 そして、何よりも懸念するのは風評被害であります。和歌山以前に鳥インフルエンザが発生した地域で、観光旅館の予約がキャンセルになったという話も伺いました。
 昨日、全議員が所属している和歌山県議会スポーツ振興議員連盟総会の昼食時にて、知事も同席のもと、和歌山県産鶏の卵かけ御飯と空揚げをいただきました。先輩議員の中には、4杯も食べられた方もおられます。日々の活動に疲れた体に力がわいてきたことだと思います。
 県産の卵や鶏が安心・安全であることを県民の皆様に御理解いただき、感染した鶏に濃厚に接触しない限り人には感染しないし、鶏の卵や肉を食べることにより鳥インフルエンザが人に感染することはないということは世界的にも報告がないのですから、風評被害等の防止のために、消費者はもちろん、流通業者等に対しても正しい情報の提供に努めていただきたいと思います。
 県は、引き続き、感染源や感染経路等の究明、養鶏農家の衛生管理の徹底を指導し、発生予防に努めていただきたいと思います。養鶏農家に対する補償について、また危機管理について、特に発生前の事前対応について、県の今後の対応について知事にお伺いいたします。
 次に、農林水産業の振興策についてお尋ねいたします。
 近年、高齢化や後継者不足、自然災害、価格の低迷等、第1次産業を取り巻く環境は悪循環で回っているように感じます。
 和歌山県においては、トップセールスなどの販路開拓や食品開発、品種改良、技術改良と日々努力をしていただいていることは実感しているのですが、新たな技術を活用する必要があるのではないでしょうか。
 数年前から藤山議員も質問されています電磁冷凍という冷凍技術についてであります。
 従来の保存方法では、食品が周辺から冷やされ、外側から徐々に氷に変わり、氷が結晶化することで体積が膨張し、食品の細胞膜が破れ、解凍時には、壊れた細胞膜から細胞内の栄養や水分が流れ出し、食味が悪化します。しかし、電磁冷凍という技術は、食品を冷却しながら磁力エネルギーで細胞中の水分子を振動させます。この振動で、ゼロ度を下回っても氷の結晶にはならず、食品の中心部まで約マイナス40度冷やされた段階で小さな衝撃を与え、一瞬で全体を凍結させます。食品中の水分子は極小な氷の粒となり、結晶化しないで細胞膜が破壊されず、解凍時の食味の悪化がないということと長期保存がきくとのことです。
 農産物はもちろん、野菜や鮮魚、肉、揚げ物、洋菓子、和菓子、加工品である弁当、おすしに至るまで、解凍しても凍らせる前の状態になります。新鮮なままとりたて、つくりたての状態であります。
 例えば、島根県隠岐諸島にある海土町は、境港から沖合い60キロメートルに位置し、舟で3時間、人口2500人ほどの小さな島であります。主要産業は漁業でありますが、離島ゆえに魚が市場に届くまでに鮮度が落ち、価格が下がる。漁業が先細りし、若者は職を求めて島を離れ、過疎化、高齢化が進む中、町の負債も100億円を超える危機的な状況でありました。
 しかし、この技術を導入した凍結センターを整備し、地元特産であるシロイカ、イワガキなど50品目以上の製品を販売。離島のハンディを克服。海産物のブランド化に成功。1年じゅう出荷できるメリットもあり、東京などの大都市圏の飲食店、中国などの海外にも出荷しています。当初の計算より1年早く黒字になり、さらなる増収を見込んでいるようです。
 地元でとれたものを地元で加工する。新しい技術を使うことで島の価値が上がる。これらのことにより、島では新たな雇用が生まれ、Iターン、Uターン、また島に残る若者がふえ、この6年間で250人以上の若者が島に移住しています。若者の増加が島の活性化につながり、さまざまな島の振興策に取り組んでいます。
 多額の経費がかかり、大漁時には値崩れを起こすなどの漁師の生活は安定しませんでしたが、ある時期の漁師の収入が50万円くらいだったものが、電磁冷凍導入後、200万を超える方もおられるようであります。
 和歌山県でも、マグロやカツオなどの水産物はもちろん、全国でも通用する果樹に活用してはどうだろうかと考え、開発者の大和田さんにお話を伺いました。柿、ミカンについては、少し皮がやわらかくなるが、中身は新鮮なままで、干し柿や桃をカットしたものは、解凍後も凍らせる前の状態になり、どれも新鮮なままであるとのことでありました。生果に限らず、2級品など加工やジュースに回るものにも活用できると思います。
 電磁冷凍などの技術を活用することによって、生産地域で加工し、雇用を拡大し、自分たちのブランド化を進め、旬の時期に限らず付加価値をつけ、国内に限らず世界に販路を拡大できるのではないでしょうか。生産者の所得の安定、後継者不足の解消などの効果も期待できると思います。
 おととし、紀の川市がリーダーシップをとり、JA、各農業団体、農業従事者、議会関係者等を集め、電磁冷凍についての鮮度や技術の講習を行っております。また、県内では、平成18年度に有田川町の授産施設において導入され、自家農場でとれる野菜、果実類を電磁冷凍して近くの直売所で販売しているとのことであります。
 また、地元の漁港と連携して、特産の生シラスを電磁凍結し、解凍後も生と変わらない風味があるということです。実際、シラスを食べた方にお話を伺ったところ、新鮮で、冷凍していたものとは思わなかったと言われておりました。
 新たな技術を取り入れることにより、さらなる農林水産業の発展につながるのではないかと考えますが、農林水産部長のお考えをお伺いいたします。
 次、最後の質問です。
 去る2月5日、紀の国わかやま国体のソフトボール競技、成年男女・少年男子の会場となる紀の川市貴志川スポーツ公園野球場にて、紀の川市模擬国体成年女子ソフトボール大会が開催されました。
 北京オリンピック金メダリストの上野由岐子投手と峰幸代捕手らが所属するルネサスエレクトロニクス高崎女子ソフトボールチームにお越しいただき、トップレベルの練習見学、一流ピッチャーのボール体験、紀の川市内の大人から小学生まで宇津木妙子シニアアドバイザーのノックなどの体験、また仁坂知事も上野投手のボールを体験されました。残念ながら、バットは振ってはいけないとのことでありましたので、ホームランを見ることはできませんでした。
 また、国体の決勝戦をイメージして和歌山県選抜チームとの試合が行われ、約2000人の観客が訪れ、オリンピックで活躍した一流選手らのプレーに感動しました。
 会場には、紀の川市観光協会がラーメン、うどんなどの販売、おもてなしコーナーとしてぜんざいを約1000人分無料配布されていました。
 翌日2月6日には、当地方で開催されるハンドボール競技を盛り上げようということで、紀の川市打田体育館において、那賀地方青年団体連絡会の主催で、日本ハンドボールリーグ5連勝中でナショナル選手が在籍する日本を代表する大同特殊鋼フェニックスによるハンドボール講習会が行われました。紀の川市、岩出市立中学校ハンドボール部の生徒が147名参加しました。両日ともに、国体に向けて、また県民のスポーツに対する機運を高めるためにすばらしい取り組みであったと関心させられました。
 平成27年紀の国わかやま国体に向けて、県はもちろん、各市町村、地域の各団体が取り組みを始めています。私自身は昭和45年生まれでありますので、46年に行われた第26回国民体育大会については、思い出の黒潮国体パネル展を見るくらいでありますので、大変楽しみにしています。
 平成21年文教委員会委員長として、新潟国体の開会式や各競技を視察させていただきました。会場のすばらしさやスタッフのおもてなしの心などに驚くばかりでありました。中でも関心を持っていたのは、道路網の整備でありました。特にインフラ整備がおくれている和歌山県では、どうなるのだろうかと考えてしまいます。
 知事は、就任以来、和歌山県内の高速道路の整備促進、幹線道路の整備に全力で取り組まれてきました。近年、京奈和自動車道について200億前後の予算が、残念ながら政権交代後145億円と、愕然とする結果であります。
 以前からよく県民の皆様から言われるのですが、「京奈和自動車道は、自分たちが生きているうちにできるんか」と、そんなことを言われます。「平成27年の国体までに完成するように頑張ってるんよ」と言いますと、必ずと言っていいほど激励を受けます。
 京奈和自動車道は、京都、奈良、和歌山を結ぶ延長120キロの高規格幹線道路であり、国土幹線自動車道などと連携し、都市圏外周部の環状交通体系を形成するとともに、京都、奈良、和歌山の拠点都市間の時間短縮を図り連携を強化することで一体的な近畿圏の形成に寄与することになり、また関西国際空港や重要港湾等へのアクセス性の向上により物流の効率化や広域的な大阪湾ベイエリア開発整備につながります。
 県内においても、国道24号や県道粉河加太線などの一般道路の交通混雑の緩和、交通事故の減少、沿道環境の改善が考えられますし、地域間の所要時間の短縮や大阪都市部などの渋滞地域を通過せずに名神高速や名阪道路などに続き、農産物等の輸送の時間短縮も考えられます。3次救急医療をより早く受けられるようにもなりますし、観光拠点を相互に連絡し、広域的な観光ネットワークをも形成できます。安全で快適な交通環境、利便性の向上、地域に新たな活力を生み出す京奈和自動車道は、地域の念願であります。
 こうした中で来年度の直轄事業の事業計画が示されたと聞いていますが、京奈和自動車道紀北東道路、紀北西道路についての現在の状況と今後の展望についてお伺いいたします。
 2月定例会初日の知事説明で、希望の政策の中に、高速道路を補完する県内の幹線道路として重点的に整備を進めてきたX軸ネットワークにつきましては平成23年度に完成いたしますので、引き続き各生活圏の背骨に当たる主要河川沿いの道路を川筋ネットワークとし、優先整備し、県内の道路ネットワークのさらなる強化を図ると言われております。
 県道和歌山橋本線は、和歌山市堀止地内の国道42号との交差点から橋本市向副地内の国道370号の橋本橋に至る49キロの主要地方道であり、紀の川左岸沿いの和歌山市、紀の川市、かつらぎ町、九度山町、橋本市を通過し、各市町の経済及び文化の発展に重要な役割を果たしています。また、大規模地震時には、円滑かつ迅速な復旧救援活動に使用する緊急輸送道路にも指定されています。紀の川筋にはなくてはならない主要幹線道路であります。
 現在、伊都郡かつらぎ町渋田地内で、2車線改良と紀の川市北涌地内で歩道整備が行われており、遠方工区のみが未着工区間であります。特に遠方工区でありますが、平成8年、県からルート提示があり、その後、地元によるルート変更要請、そして、さらに県とルートについて協議を繰り返し、平成13年度に事業着手しますが、さらに平成22年までルートについて協議が繰り返されました。地元はもちろん、県当局は大変な労力であったと感じています。
 平成22年10月、地元区長及び道路委員長から、地域の総意として堤防沿いルートでの整備要望が提出されました。
 現在、県道和歌山橋本線遠方地区は乗用車同士の対向も難しく、朝夕は渋滞、特に特産物であるミカン、桃、柿の出荷時期には、選果場に出入りする大型トレーラーや軽トラックで大渋滞が発生しています。民家の壁や塀に車をこすったり、溝に脱輪、ひどいときはトラックが民家の電気線を切り、停電が起きたこともあります。休日に付近を歩きますと、ドアミラーがよく落ちていることもあります。
 小学生の下校時には、交通量が多いため、県道の側溝の中を歩いたり、橋の欄干にしがみつきながらカニのように歩いて渡っている姿も目にしたことがあります。自宅から車を出すのも、車で自宅に帰るのも大変な状況であります。子供が自転車で車と接触した事故もあり、親は子供が帰宅するまで心配でしようがないと、そんな状況であります。
 県道和歌山橋本線の交通量について、かつらぎ町西渋田付近で約9000台が、紀の川市竹房橋付近では約4000台と減少し、そのうちの大半が遠方地内を避けて通行しているようにも推測されますし、かなりの台数があの狭い道を通行しています。
 知事の言われる川筋ネットワークとして優先整備、県内の道路ネットワークのさらなる強化のためにも、地域の安心・安全のためにも県道和歌山橋本線遠方工区は迅速に整備されることを念願するものでございます。県道和歌山橋本線遠方工区の今後の取り組みについて、県土整備部長にお伺いいたします。
 以上をお尋ねしまして、私の質問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの岸本健君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、高病原性鳥インフルエンザについてでございます。
 関係農家に対する支援でございますが、当該農家につきましては、家畜伝染病予防法に基づく手当金として、殺処分の対象となった鶏については、鶏の評価額の8割が国から補償されます。
 現在、国では、家畜伝染病予防法を改正し、全額を補償するよう検討されているところでありますが、国の政局混迷の折から国が全額補償できない場合には、仮にそういうことがありましたら、県が残りを補てんしてまいりたいと考えております。
 また、移動制限区域内の家禽農家における売り上げ減少額や飼料費等の増加額に対しても補てんしてまいりたいと考えており、金融支援につきましても相談窓口を設置するなど対応を行っているところでございます。
 また、事前対応につきましては、これまでも必要資材の備蓄や動員体制の整備、また発生時を想定した防疫演習を行い、危機管理体制の構築に努めてきたところでありますが、このたびの対策に係る課題を検証いたしまして、幾つか細かい点で改善すべきところがあったと思いますので、こういう点についてもきちんとし、また埋却候補地を市町村と具体的に協議しておくということなど、危機管理の強化に努めてまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 農林水産部長阪中栄一君。
 〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 電磁冷凍など冷凍技術の活用についてでございますが、電磁冷凍は、細胞を壊さないで凍結することにより、食品の鮮度や風味を損なわず長期保存ができる新しい冷凍技術というふうに言われてございます。
 議員お話しの島根県海土町の事例のほか、県内では有田川町の授産施設にこの冷凍装置が導入されておりまして、平成23年度では、本施設を活用した冷凍シラスの売り出しに県も支援することとなっております。
 県といたしましては、6次産業化の取り組みにより収益性の高い農林水産業を実現していくことが大変重要と考えておりまして、こうした冷凍技術の導入は、地域資源を活用した新たな商品開発、また高付加価値化による生産者の安定収入の確保などの点で効果が期待されるものであると思っております。
 設備の導入コスト、活用法に応じた冷凍技術の確立や販売先の確保等、多くの課題もございますが、今後、意欲のありますJAあるいは漁協に対しまして情報の提供を行うとともに、国の補助事業の活用など、必要な支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 県土整備部長原 広之君。
 〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 京奈和自動車道の整備についてでございます。
 高野口インターチェンジから仮称・打田インターチェンジまでの紀北東道路では、ほぼ全線で工事が推進され、用地取得につきましても、一部残る区間で土地収用制度の活用に向け、手続中でございます。
 さらに、仮称・打田インターチェンジから和歌山ジャンクションまでの紀北西道路につきましては、用地取得が進められており、紀の川市内において本線工事が推進されているところでございます。
 こうした中で、国から示された平成23年度国予算に係る直轄事業の事業計画におきまして、紀北東道路につきましては平成25年度供用予定、また紀北西道路につきましては平成27年度供用予定とされているところでございます。
 一方で、国予算につきましては、今年度の145億円に対し来年度は104億円から134億円と示され、非常に厳しい状況でございます。このため、県といたしましては、平成27年国体までに全線供用されるよう、国に対し必要な予算の確保を強く働きかけてまいります。
 次に、県道和歌山橋本線の整備についてでございます。
 県では、平成23年度から、X軸ネットワークに続く新たな施策として、各生活圏の背骨に当たる主要河川沿いの道路を川筋ネットワークとして重点的に整備を進めてまいりたいと考えております。
 本路線は、この川筋ネットワークに位置づけられる紀の川沿いの主要幹線道路でございます。しかしながら、紀の川市遠方地区におきましては、未改良のため幅員が狭小で、通行に支障を来している状況にございます。議員御指摘のとおり、ルートの問題で地元調整に長期間要しておりましたが、昨年10月、堤防沿いルートの計画が地元了解されたところでございます。今後、地元関係者と具体的な協議を進め、早期完成に努めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 17番岸本 健君。
○岸本 健君 要望です。
 とにかく鳥インフルエンザについては、農家への補償をお願いしたいと。これはもう、第1次産業は自然との闘いであります。農家が決して好きでこんなことになったんではないんで、その辺も含めて、もう御理解はいただいておると思うので、よろしくお願いをしたいと思います。
 あと、場所ですが、今回すごく対応が早かった。というのは、もちろん職員さんがすごく一生懸命やってくれたというのもあったんだけども、それ以前に埋める場所を決めるのが早かった。資材も届くのが早かった。これが、場所を決定するまでに2日も3日もかかってたら、それはずっと後へずるわけです。ですから、本当にそういう意味ではくれぐれもほかの、今後、二度と起きてはいけないんだけども、その辺は考えて対応をしていただきたいと思います。
 あと、発生直後、いろんな形で情報をいろいろ御連絡をいただきました。本当にありがたかったです。ただ、時折、新聞で見るほうが早いときもありました。朝から県庁へ来て、「これ、ほんまですか」って聞くこともありました。ですから、大変忙しい中、本部のほうも混乱してると思いますけども、できるだけ多くの情報を提供していただきたいとお願いをいたします。
 それから、遠方の道についてでありますけども、一度夕方、本当に道のところに立っていただきたいと。家の敷地から道路の白線をまたぐ、左右の車を確認するときに、顔をこう振るだけで、車が来たら当たりそうな気持ちになります。本当に危険です。あの道を移してもらうことによって、あの地域は安心して生活ができる。これはもう地域の切実な要望でありますので、以上要望して終わります。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で岸本健君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
 午後2時15分散会

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