平成23年2月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(尾崎太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

平成23年2月23日(水曜日)

 午後1時1分再開
○議長(谷 洋一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 日程第2、議案第1号から議案第16号まで、議案第33号から議案第39号まで、議案第41号から議案第43号まで、議案第45号から議案第57号まで及び議案第59号から議案第69号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 19番尾崎太郎君。
 〔尾崎太郎君、登壇〕(拍手)
○尾崎太郎君 議長の許可を得ました。
 先輩・同僚議員の御配慮で、当初議会の一般質問の初日、トップバッターで質問に立つ機会をお与えいただけましたことに感謝申し上げ、一般質問をしたいと思いますが、22日、ニュージーランドで発生したマグニチュード6.3の大地震では、大勢の方が被災されました。邦人も、学生を初め連絡がとれない方がかなりいるとの報道です。安否が気遣われるところですが、我々といたしましても、何かお役に立てることがあれば少しでもお手伝いをしていきたいと存じます。
 さて、昨年の9月7日、中国漁船が尖閣諸島近海を領海侵犯いたしました。海上保安庁の巡視船は、立入検査を行うべく停船を命じましたが、これを無視した中国漁船は、あろうことか巡視船に体当たりを繰り返すという暴挙に出ました。海上保安庁は公務執行妨害で船長を逮捕し、石垣島で取り調べをするとともに船員からも事情聴取を行い、9日、船長を那覇地方検察庁に送検しました。
 中国政府は、全く根拠もなく尖閣諸島は中国固有の領土などとうそぶき、無礼にも12日の深夜、丹羽宇一郎中国大使を呼びつけ、我が国の対応に抗議しました。丹羽大使は、国内法に基づき粛々と対応するという日本の立場は変わらないと応じたそうであります。
 ところが、政府は13日、船長を除く船員を中国へ帰国させてしまいました。仙谷官房長官は会見で、「漁船の違法操業との関係でガス田協議を中止すると言われても困る。私の予測では、14人と船がお帰りになれば違った状況が開かれてくるのではないか」と述べました。お帰りになればとは、あいた口がふさがりませんが、この時点では、船長に関しては、19日、勾留延長を決定し、司法手続を進める方針でありました。
 すると、同日、中国外務省の王光亜次官が丹羽中国大使に電話で、「日本が船長を即時無条件で釈放しないなら、強い報復措置をとる。その結果はすべて日本側が負う」と警告し、矢継ぎ早に日本との閣僚級の往来を停止、石炭関係会議の延期、日本への中国人観光団の規模縮小等を決定、さらには、21日に予定されていた大学生の上海万博招致を中止、あげくの果てにはフジタの4人の社員を許可なく軍事管理区域を撮影したとして拘束、レアアースの我が国への輸出を事実上停止するなど、まるでならず者のような恫喝を仕掛けてきました。
 さらに、9月20日付の「毎日新聞」は、北京外交筋の話として、中国がオバマ政権に、尖閣諸島への日米安保条約の適用に直接言及しないようにたびたび働きかけていたということを伝えています。21日、温家宝首相が、船長を釈放しなければさらなる対抗措置をとる用意があるとすごむと、国連総会への出席のため菅総理や前原外相が不在となっていた24日、那覇地検は、この時点では勾留期限はまだ5日残っていましたが、突然、日中関係への考慮から船長の釈放を決めてしまいました。
 仙谷官房長官は、捜査に当たっている那覇検察庁の独自の判断によって決定し、政府はこれを了としたなどとして、あたかも起訴便宜主義による判断であるかのように装いましたが、賢明な国民は、それが内閣の政治判断であったことを見抜いていました。中国の恫喝に腰が抜けたのでしょうが、責任を検察になすりつけるひきょうさには辟易させられます。
 とどめは28日、中国の調査船、漁業監視船が多数尖閣近海やガス田開発地域周辺に集結している事態に、「周辺にいらっしゃることは確認している」などと発言していましたが、こびへつらいもここまで来れば立派ですと皮肉の1つも言いたくなるではないですか。
 平成16年3月24日、中国人活動家7人が魚釣島に不法上陸する事件がありました。時の小泉内閣は彼らを強制送還しましたが、少なくともそれが政治判断であったことを小泉首相は認めていました。小泉首相自身が記者会見で、「法に基づいて適切に処理することでやってきたが、日中関係に悪影響を与えないよう大局的に判断しなければいけない。そういう基本方針に沿って関係当局に指示した」と語っています。私は、小泉首相の判断が正しかったとは思いませんが、責任は我にありとする態度は、菅・仙谷コンビよりはよほどましではあります。
 自由民主党県議団は、向井会長の発案で、昨年の9月21日、軍事ジャーナリストの井上和彦氏を招いて勉強会を行いました。
 私は、「くだんの中国漁船は軍関係者であった可能性が高いのではないですか」と質問したのですが、漁船は通常、船団を組んで行動するもので単独行動は異例であること、軍艦ではない船は防水区画がなく、そのような船を体当たりさせるのはよほど訓練された胆力が要ると推察されることなどから、その疑いは極めて濃厚であるとのことでした。今回の事件は、中国の偽装漁船による我が国領海の情報収集であった可能性が高く、もしそうであるならば、それは軍事行動であると言っても過言ではない事態なのでありますから、我が国政府は、安全保障の観点からも船長を厳しく追及すべきでありました。
 そもそも尖閣諸島が我が国の領土であることは、全く疑う余地のないことであります。かつては、248人もの日本人が生活をしていたのです。中国も、尖閣諸島を日本の領土だと認識していた証拠は幾らでもあります。
 大正8年(1919年)、福建省から出港した漁船が遭難し、魚釣島に漂着。島民は献身的に救助に当たりました。中華民国総領事は、島民に感謝状を贈っていますが、その中には「日本帝国沖縄県八重山郡尖閣列島」という記述があります。
 サンフランシスコ平和条約においても、尖閣諸島は、同条第2条に基づき我が国が放棄した領土のうちには含まれてはおらず、第3条に基づき南西諸島の一部としてアメリカ合衆国の施政下に置かれ、1971年6月17日署名の琉球諸島及び大東諸島に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定により、我が国に施政権が返還された地域の中に含まれています。この件に関して、中国は何ら異議を唱えてはおりません。
 また、昭和35年(1960年)に中国で出版された世界地図帳でも、尖閣諸島は日本領であると記載されています。
 中国が領海法に尖閣諸島を中国領と書き込んだのは92年のことですが、1969年に国連アジア極東経済委員会が、尖閣諸島周辺の海底に石油、天然ガスが大量に存在する可能性を指摘したことがその背景にあります。中国らしいといえば中国らしいですが、このような行動原理を持つ大国が隣に存在することに、我々はもっと用心深くならなければなりません。その意味では、今回の事件は、逆説的ではありますが、図らずもかの国の本性が露呈し、我が国の国民が覚せいしたことにおいて意義があったと言えましょう。
 例えば、「友愛」などと歯の浮くようなことを言って、中国人に地方参政権を付与することなど、全く正気のさたではないということがはっきりとし、かかる亡国の法案が成立する可能性は遠のいたのではないでしょうか。昨年末の内閣府の外交に関する意識調査では、実に9割もの国民が嫌中感情を抱いているとの結果が出ています。
 賢明な国民は覚せいしましたが、国政を担う政治家はどうでしょうか。ハニートラップやマネートラップにからめ捕られたのではないかと疑いたくなるような、露骨な媚中派がしょうけつをきわめています。中国に対して奇妙な贖罪意識を持っているのが彼らの特徴ですが、民主党のみならず、残念ながら我が党にも少なからず存在をしています。この贖罪意識こそ我が国に対する中国の切り札なのですから、中国は永遠に日本が贖罪意識を持ち続けるよう、あらゆる努力を惜しまないでしょう。
 中国全土に反日記念館をつくり、我が国の歴史教科書にくちばしを入れ、靖国神社の参拝に難癖をつけ、あり得ない規模の虐殺が南京であったとわめき、反日プロパガンダ映画を撮る。すべては清く正しい中国を日本帝国主義が侵略したとする荒唐無稽な物語を信じ込ませ、無用の贖罪意識を日本国民に持たせ続けさせるためだと言えます。そして、その戦略は、今日まで多大の戦果を中国にもたらしてきました。
 満州事変やシナ事変の実相について今回は詳しくは論じませんが、当時の大陸は、馬賊がばっこし、軍閥が割拠し、政府が乱立する、とても人々が安心して暮らせるような地域ではなく、一種の内乱状態にあったと言っても過言ではありません。
 日中戦争などという、あたかも統一された中国と日本との戦争のように思われますが、それがシナ事変をわかりにくくしていると言えます。ごく簡単に言えば、大陸での我が国の軍事行動は、在留邦人の保護のためであったと言えるのです。
 少なくともさきの大戦は、昭和26年(1951年)のサンフランシスコ平和条約の締結をもって、俗っぽい言葉で言えば手打ちが済んでいるのであり、その1年後の昭和27年には日華平和条約が締結され、中国とも手打ちを終えているのです。戦争には双方ともに言い分があるでしょうし、子供向けのテレビ番組ではあるまいし、正義が勝つとは限りません。残念ながら我が国は、武運つたなく戦いに敗れた。敗戦国ゆえ辱めも甘んじて受けざるを得ないでしょう。
 しかし、平和条約締結後は、お互いに過去のことは水に流すというのが文明国の態度であります。あるいは、過去を水に流すためにこそ平和条約は締結されるのです。おまけに、昭和47年(1972年)、日中国交正常化が行われ、お互いに過去は蒸し返すことはないという条項をわざわざ確認しています。
 にもかかわらず、手打ちの後であっても、相手が弱みを見せればつけ込んでやろうとする中国の行動様式は、そのようなことを潔しとはせず、恥と感ずる我々のそれとは全く異質のものであり、譲歩が相手の寛容を呼ぶなどとは中国相手にゆめ思ってはなりません。
 村山談話に菅談話、まことにもって百害あって一利なし。一日も早くこのようなものを破棄し、以後、謝罪など一切国政を担う政治家は口にすべきではありません。それが平和条約の締結に努力した先人に対する最低限の礼儀であり、国益を守る道であります。
 その上で、あえて改めて申し上げますが、侵略の定義にもよりますが、さきの大戦での我が国の戦いは、他国の領土や財産、労働力を搾取するために、軍事的な侵攻をなすという意味での侵略戦争では断固ありません。
 私は、新しい歴史教科書をつくる会の和歌山支部長をお引き受けしておりますが、当会顧問の自由社社長・加瀬英明氏が機関紙「史」の1月号で明らかにしたところによりますと、一昨年の9月、オバマ大統領が今上陛下に拝謁した際、非常に深いおじぎをしましたが、その理由は、黒人の自分が大統領になれたのは日本がさきの大戦を戦ったおかげであると大統領が思っていたからだそうで、情報源は、加瀬氏と親しい米国国務省の幹部であるとのことであります。
 大戦前の白人の人種差別意識たるや、今日の我々の想像を絶するものでありました。1919年、パリ講和会議において、我が国の牧野伸顕全権は、国際連盟の結成に当たり、その規約に人種差別撤廃条項を盛り込むよう提案をいたしました。これは、「人種あるいは国籍如何により法律上あるいは事実上何らの差別を設けざることを約す」とするものでしたが、出席者16名中11名の賛成多数を得たにもかかわらず、議長国アメリカが突如全会一致を主張し、多数決を無視して採択には至りませんでした。我が国の提案は、採択されやすいようにと、理想主義に過ぎることのないよう各国の事情もしんしゃくし、人種差別の即時撤廃を要求したものではなかったにもかかわらずであります。
 当時、世界を牛耳っていた白人たちにとって人種差別は常識であり、これをやめるつもりなど、さらさらなかったのです。アメリカでは、1922年、最高裁判所が日本人を帰化不能外国人と判断。24年には排日移民法が成立しています。
 先帝陛下は、さきの大戦の遠因を次のように仰せになっておられます。「この原因を尋ねれば、遠く第一次世界大戦後の平和条約の内容に伏在している。日本の主張した人種平等案は列国の容認するところとならず、黄白の差別感は依然残存し、加州移民拒否のごときは日本国民を憤慨させるに十分なものである。また、青島還付を強いられたこと、またしかりである。かかる国民的憤慨を背景として、一度軍が立ち上がったとき、これを抑えることは容易なわざではない」。
 排日移民法が成立すると、我が国の反米世論は沸騰し、割腹して抗議する人まで出て、両国国技館での集会には3万人が集まったと言います。
 アメリカでは、長らく黒人と白人が性的関係を結ぶことは、多くの州で犯罪でした。信じられないことに、1967年になってようやく最後の3つの州がこの法律を廃止したのです。1967年といえば昭和42年ですから、私が生まれた年には、まだアメリカでは黒人は白人とは結婚できないような差別がまかり通っていたのです。さきの大戦が、世界征服をたくらむ日本とデモクラシーを守るアメリカとの戦いなどとは笑止千万。仮面ライダーとショッカーではあるまいし、そんな勧善懲悪の物語でないことは、今や明白ではないですか。
 日本は戦いには敗れた。しかし、白人たちと互角に渡り合ったその姿は、白人たちには絶対にかなわないと思い込んでいた有色人種をして、独立のために立ち上がらしめたのです。アジア、アフリカの民は奮い立ったのです。決してイギリス、アメリカ等の欧米列強がみずから植民地支配をやめたわけではありません。さきの大戦は、反省の多い戦いではありました。しかし、なお、日本の戦いが全世界の有色人種に勇気と希望を与えたことも、また事実なのです。
 無用の贖罪意識により中国や韓国に対して国策を、特に領土という国家の根幹にかかわる問題において誤ることは絶対に許されません。竹島しかり。尖閣諸島しかり。ロシアなど、我が国の弱腰を見て北方領土への野心をむき出しにしてきましたが、国際社会というものは、そもそもそのようなものなのです。
 尖閣諸島は、大正島は国有地ですが、ほかは埼玉県在住の方の所有だそうです。平成14年からは国が賃借していますが、もし中国が法外な値段でこれを買うと言い、所有者が売ってしまえば──売るなら中国は金には糸目はつけないでしょうが──一体どうなってしまうのかとの疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか。
 「日本列島は日本人だけのものではない」と言った宇宙人がいましたが、我が国の極めて強い土地所有権からすれば、国土が買収されてしまったら、それこそ日本列島はだれのものなのでありましょうか。
 大正15年(1925年)に施行された外国人土地法は、外国人または外国法人の日本国内における土地、国防上必要な地区に関する権利についての制限を課すものですが、制限区域の基準や要件などが政令で定められていないため、全く機能していません。
 平成20年、自民党の小委員会において、藤井孝男議員は、外国資本が山林を買い占める動きはないか、地下水は土地所有者の権利になってしまう、森林売買や地下水の権利に法規制がないのは盲点だなどと問題点を指摘しました。また、平成21年に民主党の岩國哲人議員が再質問主意書で、外資の水源林を含む水源事業の買収活動について、政府が把握しているのかとただしています。大畠国交大臣は、先月21日の定例記者会見で、中国関係者などの外国資本による日本の土地取得が進んでいる問題について、まず実態を把握したいと話し、国交省として実態調査に乗り出す方針を明らかにしました。
 我が国は、残念ながら先進国で唯一地籍が未確定な国であり、国土の約半分しか確定しておりません。殊に森林は、いわゆる縄延びや所有者の登記漏れ、相続における名義変更漏れ等があり、正確な面積も所有者も把握することは困難でしょう。我が党でも、安全保障と土地法制を研究する議員の会が、国防上必要な土地の取得に一定の制限をかける議員立法を今国会へ提出することを目指しています。
 県土の8割弱を森林が占める本県ですが、中国人ミッションが森林を買うべく紀伊半島を訪れたとの話も耳にします。林業が不況のどん底にあえいでいる今、なぜとの疑問も出そうですが、だからこそ、それこそ二束三文で山林は買えてしまいます。
 森林は、CO2の吸収源取引の対象となることも将来十分に考えられるでしょうし、昨年、常任委員会で山梨県の生物多様性センターを視察した際に、バイオダイバーシティー、生物多様性なる概念を勉強しましたが、これなどもCO2の排出権取引のように市場化されていく可能性があります。本県の森林は、今や、外材よりも安い木材部分、豊かな生物多様性、さらには水資源としても魅力的な投資対象となっている可能性があります。
 外国からの投資は、敵視すべきではもちろんなく、場合によってはその導入を積極的に図るべきものですが、我が国の土地所有権は最終処分権まで含む、諸外国に比べ例外的に強いものであり、野方図な買収の放任は将来重大な問題に発展する可能性が高いと言わざるを得ません。
 ちなみに、アジアにおいては、外国人の土地所有を全面的に解禁しているのは我が国だけであり、アメリカでは法律で、対米外国投資委員会が安全保障上問題があると判断すれば大統領にその取引を阻止する権限があると定めています。
 都市計画区域外では、国土法により1ヘクタール以上の土地取引については、事後届け出が必要でありますが、この届け出は都道府県の事務であります。県土の保全を図る上で、現行法だけで十分であるのかどうか、検討を要すると考えます。
 さて、昨年の知事選挙では、我々は仁坂知事を推薦し、公明党の皆様とも御協力し、ともに選挙戦を戦いました。選挙の洗礼を受けて政治家は成長するものであり、仁坂知事も一皮も二皮もむけたのではないでしょうか。1期目より格段に笑顔がよくなったように思います。
 私も、4月の統一地方選挙に向けて準備を進めていますが、笑顔が苦手でありまして、日々反省をしているところであります。戻ってきましたら、知事を見習い、余り怒ることなく活動してまいりたいと思っております。
 レイモンド・チャンドラーの小説の主人公フィリップ・マーロウの有名なせりふに、「男はタフでなければならない。しかし、優しくなければ生きる資格がない」というのがありますが、選挙戦を通じ、仁坂知事のタフネスぶりには本当に驚かされました。
 たとえどのような不測の事態が出来しても、知事たるもの、県民のために必要とあらば不眠不休で最善を尽くさねばなりません。まさに知事はタフでなければなりません。
 残念なことですが、今月15日、本県において鳥インフルエンザの発生が確認されました。本会議の初日、知事は防災服で臨まれましたが、鳥インフルエンザの蔓延防止には初動が極めて大切であります。
 自由民主党和歌山県連では、高病原性鳥インフルエンザ強化本部を立ち上げ、当局に対策を申し入れましたが、その後の報告によりますと、極めて迅速に対応されたようです。知事のタフネスは、このような危機管理に遺憾なく発揮されたでしょうが、職員の皆様の御苦労も大変なものであったと拝察します。御努力のおかげで、20日には殺処分した12万羽や卵40トンを埋める作業も終え、消毒も済ませてくれました。
 しかし、引き続き警戒は怠れないでしょうし、再発防止策も講じていかなければなりません。また、被害に遭われた養鶏場への配慮も必要でしょうが、これまでの関係各位の懸命な働きに感謝を申し上げます。
 また、知事は、選挙戦を通じ、「和歌山を元気に あたたかい改革」をスローガンに掲げておりました。温かさとは、すなわち優しさのことであると思います。優しくなければ知事たる資格がない。行政における優しさとはいかにあるべきなのでしょうか。
 先月21日に政府が発表した月例経済報告では、景気の基調判断を7カ月ぶりに上方修正しました。しかし、足踏み状態という表現は維持されており、景気の先行きには不透明なものがあります。
 一方で、県内の動向を見ますと、11月の鉱工業生産指数は、2カ月連続で前月を下回っており、昨年1年間の企業倒産の件数は4年ぶりに減少には転じたものの、負債総額は4割も増加するなど、依然として厳しい状況にあると言えます。こうした景気・雇用情勢のもと、知事は2期目のスタートとなる予算の編成に取り組まれたところであります。
 今定例会には、前年比1.5%増となる5427億円の一般会計当初予算案が提案されています。持続可能な財政構造の確立と景気動向を見据えた積極的な予算措置という大変難しい連立方程式を解かなければならない予算編成であったと推察いたします。
 当予算案の策定に当たっては、県庁内での活発な議論はもちろんのこと、行政報告会で県内各地を回ってこられた際に、県民から寄せられた声、市町村懇談会での意見等を十分に参考にされたでしょうが、我が党との政策協定も踏まえてくれているものと考えております。
 しかし、何より「あたたかい改革」を掲げて選挙戦に臨んだわけでありますから、この予算案には知事の温かい思いが込められていなければなりません。
 1期目の仁坂県政には、あのような不祥事の後でしたので、何よりも公正、公平な入札制度の確立、決して不正を許さない厳しさが求められました。知事、担当各課、そして我々議会も随分と議論を重ね、一定の成果を得たものと考えております。
 2期目の仁坂県政は、県民に「あたたかい改革」を約束しました。温かい、優しい改革とはいかなるものであるのか、県民は期待をしていることと存じます。
 そこで、知事にお尋ねをいたします。
 第1点、知事の考える「あたたかい改革」とはいかなるものであるのか。
 第2点、それを実現させるための施策は本予算案の中で具体的にどのような形で盛り込まれているのか。
 第3点、持続可能な財政構造の確立に向けてはどのように取り組んでいるのか。
 第4点、本県の豊かな森林資源の可能性についてどのように考えるか。
 第5点、外国人による森林資源の買収について、実態を把握すべきだと考えるのか。
 第6点、外国人による森林資源の買収について、何らかの規制は必要であると考えるのか。
 第7点、高病原性鳥インフルエンザの発生から今日に至るまでの本県の対応について教えていただきたい。
 第8点、また、再発防止に向けてどのような取り組みをするのか。また、被害に遭われた養鶏場にはどのような配慮を考えているのか。
 以上をお尋ねして質問といたします。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの尾崎太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
 〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、23年度当初予算関連ということで、「あたたかい改革」とはいかなるものかということについて申し上げたいと思います。
 行財政改革を進めながら限られた予算の中で、つらい思いをしている人、地域に配慮しながら福祉や教育、あるいは過疎対策などを後退させることなく、さらに伸ばしていくという取り組みを私は「あたたかい改革」と位置づけております。
 次に、平成23年度当初予算への主な反映状況といたしましては、子供の命を守るためのヒブワクチン等の接種支援や児童虐待への対応強化、浸水被害を軽減するための中小河川の浸水対策予算の大幅拡充、過疎集落の再生に引き続き取り組むなど、現下の厳しい経済状況の中で特段の配慮をしたところであります。
 今後も、持続可能な財政構造の確立に努めながらも、このような「あたたかい改革」にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
 続きまして、森林資源の関係でございます。
 まず、和歌山県の森林資源の可能性ということでありますけれども、現在、木材生産のみならず、水資源の涵養や土砂崩壊防止機能のほか、CO2などの温室効果ガスの吸収源として、また生物多様性の保全といった点からも森林への期待が高まっております。
 本県の森林は戦後植林された人工林を中心に資源として充実しつつあり、森林資源を積極的に利用し、産業として自立した林業を確立さしていくことが山村地域の活性化と森林の多面的機能の発揮につながるものと考えております。
 このため、紀州材生産販売プランを一層推進し、低コスト林業による紀州材のさらなる増産と需要拡大を図っていく必要があると考えております。
 一方、地域の森林整備を進めていく上で森林の所有者を把握することが重要であります。売買による所有者の移動状況については、関係部局間の連携を強化させて、特に最近、その把握に努めていきたい、そのように考えております。
 また、森林資源を持続的かつ健全なものとするためには、適正な伐採を推進することが重要であります。このため、巷間言われているような外国人による無秩序な伐採を抑止するような、そのためのルールの強化についても現在検討しているところであります。
 いずれにいたしましても、森林所有者に適正な森林管理の実施を求めることは重要でありまして、本県森林の実態把握と適正な管理の推進、またその強化に努めてまいりたいと思っております。
 次に、高病原性鳥インフルエンザの関係でございますが、まず、去る2月15日、紀の川市の養鶏場で発生いたしました高病原性鳥インフルエンザについては、同日午後7時に陽性が確認された後、直ちに対策本部を開催、飼養されている12万羽すべての殺処分と移動制限区域の設定、消毒ポイントの設置など、蔓延防止に向けた対策を決定いたしました。
 これに基づき、県庁職員、紀の川市職員、関係団体、あるいは応援の自衛隊等の昼夜を分かたぬ努力、作業によりまして、18日午前4時にはすべての殺処分を終了。20日夜半には、処分鶏等の埋却、鶏舎の消毒、清掃等、すべての防疫措置を完了することができました。
 防疫作業に当たりましては、延べ2600名の人員を要したところでありますが、先述のように、県職員に加え、自衛隊や地元紀の川市、農政事務所等国の関係機関、農業協同組合、建設業協会などの皆さんに大変な御尽力をいただきました。昼夜を置かず大変過酷な作業に従事していただきまして、そういう方々にこの場をおかりして深く感謝を申し上げたいと思います。
 今後の防止対策といたしましては、飼養衛生管理指導の一層の徹底を図るとともに、定期的な消毒の実施等、農家の衛生意識の向上にも努め、防疫面での施設強化など、さまざまな観点からの検討も進めてまいります。
 次に、関係農家に対する支援でございますが、現行制度では、発生農家に対して、殺処分された鶏の評価額の8割は国から補償されます。現在、国では、家畜伝染病予防法を改正し、全額補償するよう検討されているというふうに聞いておりますが、国が全額補償できない場合には、県が残りを補てんしてまいりたいと考えております。
 また、移動制限区域内の家禽農家に対しましても、売り上げ減少額や飼料費等の増加額について補てんしてまいりたいと考えております。
 さらに、金融支援につきましては、相談窓口を設けるとともに、現在、融資機関と調整を進めておりまして、今後、必要に応じ、農家に対し訪問を行うなど、きめ細かな対応に努めてまいりたいと考えております。
 なお、本県の鶏肉、鶏卵の安全を呼びかけ、風評被害を防止する対策の一環といたしまして、先ほど多くの議員の皆様方と一緒に卵かけ御飯や空揚げなどを食べさせていただきまして、大いにアピールをしたところでございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、尾崎太郎君の質問が終了いたしました。

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