平成22年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 おはようございます。今議会も張り切って質問させていただきたいと思います。
 仁坂知事、2期目の当選おめでとうございます。この厳しい時代に県政のかじ取りは本当に大変かと思いますが、和歌山県のため尽力いただけますことを心から祈念いたします。
 それでは、早速ではありますが、議長のお許しをいただきました。通告に従いまして、質問を順次させていただきます。
 まず最初に、中国山東省との未来へ向けた関係構築、和歌山県の戦略についてお尋ねいたします。
 今、緊張関係にあるこの東アジアにおいて、中でも特に中国との関係については、和歌山県として山東省と友好提携を結び、これまでその関係を深めてくる中では、今後のかじ取りが注目されるものとなります。そんな中、この12月3日に第6回を数える和歌山・山東省の企業商談会が開かれました。この商談会には和歌山県内の企業の皆さん、そして、主催となる和歌山県中小企業団体中央会から山下雅生会長を初め事務局の皆さん、また和歌山県からは商工観光労働部の岡本部長と企業振興課・山下課長補佐が参加される中、私も同行してまいりました。
 その報告とともに、あわせて今後中国とどのような関係を構築していこうとするか、和歌山県としての中国戦略、山東省への対応などを含めて県の姿勢について知事の御認識をお伺いしたいと思います。
 この商談会は、平成19年7月に和歌山県商工観光労働部、和歌山県中小企業団体中央会及び山東省商務庁の3者の間で交わされた経済協力枠組み覚書に基づき、山東省との経済交流の一環として開催されているものです。平成17年度から毎年定期的に開催されており、今回で通算6回目となり、本県からは化学工業、食品業、飲食業、アパレル業など12社が参加し、12月3日、山東省済南市のソフィテル・シルバープラザ済南で開催されました。
 今回の商談会について日程を追ってその内容を少し御紹介させていただくと、12月2日、関空から9時25分発、上海行きの飛行機で出発。上海経由で空路済南へ入る行程で、夕方には到着する予定でした。しかし、上海空港で済南行きの便が3時間おくれるというトラブルがあり、商談会が行われるホテルに到着できたのは午後8時を過ぎた時間でありましたが、山東省政府の皆さんには大変お待たせをすることになりました。
 しかし、その後の予定は変更なく行われ、山東省政府主催の歓迎レセプションでは山東省商務庁の閻兆万副庁長と山東省アジア処の李処長を初め、関係者の皆さんからごあいさつを受け、名刺交換、次の日から始まる商談会の打ち合わせなどを行いました。
 翌12月3日、商談会当日は8時30分に参加企業の皆さん、そして通訳の方とも合流し、9時からオープニングセレモニーに臨み、その後は終日商談会が開催されました。
 今回の商談会では、これまでの経験を生かして企業間の事前調整に力を入れ、参加企業のヒアリングを綿密に行ったことで、和歌山側の企業が求める中国企業とのマッチングもスムーズにいき、それぞれの企業ブースでは活発な面談が行われていました。商談会終了後に参加企業の皆さんから直接お話をお聞きしたところ、商談会の内容として実りある話ができたと喜ばれている企業が多く、例年以上の成果が上がり、今後の展開に期待が持てるということでした。
 今回初めて参加されたノカミモータースの中村社長の話では、自動車販売が好調な中国では車への関心が非常に高く、部品やパーツを掲載したパンフレットも早々になくなってしまい、日本、和歌山での感覚とは全く違うと話されていました。ブースにも人だかりができていて、いろんな引き合いがあり、そんな中、山東省政府からも、当初は予定になかった済南市内の自動車テーマパークへ行き、商談とあわせて新たなビジネスについても何か考えがあればアドバイスしてもらいたいと急遽要請されるなど、山東省政府の力の入れようにも感心したということでした。
 今回の商談会では現在の東アジアが緊張する状況の影響は感じられず、参加企業数としても、和歌山側からは12社なのに対して、中国側からは86社と過去最高の参加となっていました。
 次の日は帰国日で、午前5時にホテルロビーに集合、その後、済南空港へ移動、直行便を利用して空路関西国際空港、そして和歌山への帰路につきました。
 強行軍での商談会で、また緊張の高まるこのタイミングでしたので少しの心配もありましたが、しかし、実際に私自身も現場に立ち会い、その様子をつぶさに観察してきましたが、まさに政冷経熱を地で行く商談会であり、大きな成果があったものと思います。
 近年は豊富な労働力と技術力の向上により急速に中国経済は発展し、また富裕層も増加し続ける中、新たな市場としても、製造業のみならずサービスなどの分野でもさまざまなビジネスチャンスが期待できる状況が生まれています。日々変化の著しい中国経済にどう対処していくのか、和歌山県としての基本的な姿勢が問われるものとなります。
 私自身、今回、日中を初め東アジアでの緊張が続く中で中国の商談会に同行し、身をもってその現実を見てくる中で、改めてさまざまな発見もあり、勉強する機会ともなったのですが、それらは今後の政策づくりにも生かしていきたいと思っています。
 今回の商談会で1つだけ、特にノカミモータースの中村社長のお話をお聞きして、改めて感じたことがありました。中村社長が足を運んだ済南の自動車テーマパークというのは、日本で言う販売店の大規模版ですが、和歌山での自動車販売店では想像できない規模だということで、ベンツからBMW、トヨタのレクサスからフォルクスワーゲンまで一手に販売をしている自動車の遊園地のようなところだったそうです。そこでは新車販売から自動車のメンテナンスまで車に関するすべてのサービスを提供していて、中村社長いわく、最初は自動車整備でまだまだ中国では対応し切れないことも多いだろうからいろいろとアドバイスをしようと考えていたが、自動車のメンテナンスの設備は、和歌山のみならず関西でも同規模のものはなく、また設備としても最新鋭の設備を惜しみなく導入しており、本当に驚いたということでした。
 この話から改めて感じることは、中国経済の今は規模、質ともにさらにグレードアップしていて、これまでのように、人口が多い分だけ経済規模、GDPも大きいが中身的にはまだまだ経済の三流国といったことではもはやなく、その経済の内容としても日本を凌駕する状態まで来ていて、これには日本としても相当な危機感を持たなくてはいけないと強く感じました。しかし、日本としても絶対的優位な分野はまだあるわけで、10年後はわかりませんが、今なら中国経済に食い込める余地は十分にあるのだと思います。
 日本は、今、我々の世代のことだけでなく次の時代を考えても、世界の中、またアジアの中で一流国として生き残らなければならないわけで、そこでは単に中国を疎んじ遠ざけるだけでなく、リスクは十分に管理しながらもしたたかに戦略を練り、自分たちの利益をどのように確保していくのか、今真剣に考えなくてはいけないときだと思います。そういった中で、今後、和歌山県として中国との関係、山東省との関係をどのように構築していくのか。和歌山県の対中国、対アジア戦略が改めて問われるものとなります。
 そこで知事にお伺いいたしますが、まず、これまで県が進めてきた中国山東省への取り組みでは、それぞれの担当の皆さんを初め、多くの関係者の御努力で今日まで来ているわけですが、これまでの取り組みをどのように評価され、また、今、中国との関係が緊張する状況についてどういった現状認識を持たれているか。また、あわせて今後中国との関係がどのようになっていくと推察されているか、お答えください。
 また、そういった中で、今後、和歌山県として特に山東省との関係についてどういった姿勢で臨まれようとしているか。それぞれの都道府県の取り組みとしては、中国のカントリーリスクを重視し、消極的な姿勢を示しているところもあるようですし、また、逆にこれまでの交流をさらに活発化させようとしている地域も見受けられます。和歌山県としてどういった姿勢で臨まれるか、御所見を賜りたいと思います。
 次に、関西広域連合の発足から新しい地域の形を考える、足元の和歌山県、和歌山市の連携についてお尋ねいたします。
 関西広域連合がいよいよ発足いたしました。関西広域連合に関しての議論は、私自身、これまでもこの議会で何度も繰り返し行ってきたところであり、今議会では直接的に広域連合に係る質問ではなく、もう少し大きな視点で行政権限、その枠組みといったことについて幾つかの提言並びに質問をさせていただきたいと思います。
 今回の関西広域連合設立のねらいとしては、遅々として進まない国の地方分権改革を促す政治的な意味も大きいものであり、連合長への就任が決まった兵庫県の井戸敏三知事も、今回の広域連合はそもそも国に分権を強く迫る仕掛けだと強調し、また大阪府の橋下知事も、権限移譲に抵抗する霞ケ関の言いわけをはね返せるものと期待を寄せています。
 そこでは、国と地方、また地方においても都道府県と市町村との権限の新たな調整が必要となり、そこではこの広域連合の取り組みも含めて我々が今進めているのは新たな国づくりだという認識が不可欠だと考えます。この国の形をどういったものにしていくのか。今、日本社会は少子高齢化の進展、長引くデフレ経済など、財政状況はますます厳しくなり、そこではこれまでの発想にとらわれない新たな枠組みづくりが求められます。
 財政規模が縮小する中でも行政サービスの質を落とさず、住民の満足度を低下させないためには、それこそ知恵のある行政の実現が必要で、地域においても県と市町村がそれぞれに行ってきた行政サービスのあり方そのものをもう一度抜本的に見直す時期に来ているのだと思います。当然のこととして、行政サービスの受け手となる住民にとって、その提供者が国である、県である、市である、そういったことは関係なく、一番効率的に一番効果的に成果の上がる方法で税金が使われることこそが望まれています。
 そんな中、関西広域連合を和歌山県とともに積極的に推進してきた大阪府では、今、広域の取り組みを進めるとともに、足元の行政のあり方をもう一度根本的に見直そうという試みが進められています。「府と市を合わせて不幸せ」とやゆされてきた大阪のあり方を考え直そうと、大阪府の橋下知事は大阪府と大阪市の行政の二重構造を極力なくしていくその打開策として大阪都構想を訴えています。
 大阪では、府民体育館と市民体育館など府立と市立の重複施設が数多くあり、それらが行政の無駄遣いの温床になっていると指摘されています。また、公共交通網の整備や空港や港湾施設の整備などの事業でも府と市の調整がうまくいかず、こうしたことが大阪の停滞を招いている元凶と言われてきました。
 そういった状況の中で、大阪府の橋下知事が推進する大阪都構想については府民の多くも理解を示し、朝日新聞と朝日放送が共同で行った世論調査によると、反対28%なのに対して賛成43%となり、賛成する府民が反対派を大きく上回る状況が生まれています。
 そんな中、和歌山県としても特に中核市としての権限を有する和歌山市との間では、いま一度行政サービスのあり方を見直し、それに伴う事業再編、マネジメント統合などを真剣に議論するタイミングであり、県・市において新たな枠組み、執行体制自体も見直す取り組みを検討する時期に来ていると思います。
 和歌山県と和歌山市の連携については、私自身、県議会に初めて登壇させていただいたこの本会議場で、当時、木村知事でありましたが、県市連携の提言をさせていただきました。その後、当局としても、具体的な連携の取り組みとして和歌山県・和歌山市政策連携会議を設置し、毎年1回の割合で現在まで継続されてきています。
 その状況を確認してみると、これまで両団体の副知事、副市長が出席する会議を年1回の割合で開催してきています。県市政策連携会議におけるこれまでの議題で主なものとしては、中心市街地の活性化、和大新駅の整備推進、追加インターチェンジの設置、和歌山大学の観光学部の設置促進、内川の河川環境、景観条例の制定、第70回国民体育大会の開催、第2阪和道と国道26号線を結ぶ新規都市計画道路の事業化についてなどとなっています。
 このほか、各年度で話し合われた議題とその議論された内容まですべてを確認させていただきましたが、しかし、それらはそれぞれの担当課同士でも従来から調整してきている延長線上の話であり、もっと成果を上げられる仕組みに変えていく必要があります。
 今、こういった連携会議において必要とされているのは、事業効果や便益を最大化するためのガチンコによる県から市へ、また逆に市から県へのものも含めて思い切った権限の移譲やマネジメントの統合、できれば将来的には予算統合も含めた事業整理や行政サービスの向上を目指しての徹底した効率化論議など、真剣勝負の県市の議論が求められているのだと思います。
 現状において県市がもっと連携して効果を上げるべき事業、県民からも疑問の声が上がるものとして幾つかあります。そんな中、特に今回は和歌山県、和歌山市のシンボルともなる和歌山城の周辺整備、和歌山城を囲む歩道整備について1つの例として取り上げさせていただきます。
 この和歌山城の周囲というのは、多くの県民の皆さんが散歩やジョギングで親しんでいる場所ですが、先日、現状の整備状況はおかしいのではないか、行政の感覚を疑うとある県民の方から指摘され、私自身、改めて確認してまいりました。
 和歌山城を一周する歩道について、その整備にはそれこそ行政の連携不足の問題が浮き彫りとなる現実があります。お手元にお配りしておりますが、この図面は和歌山城の周囲をあらわすものであります。
 まず、この西側の道路は国道となっています。そして、北側の道路は県道、東側が市道で、南側がまた県道といった整備状況です。和歌山城といった視点でだれもコントロールすることなく、それぞれに道路の管理者に任せて全くばらばらの整備をしてきた結果、街路灯もばらばら、歩道もばらばら、その整備の統一感もなく、それぞれの歩道の趣もばらばらになってしまっていて、観光客のみならず、このお城を散策し、お城の周りを一周する市民、県民にとっても違和感のあるものとなっています。
 特に夜の状況はひどいもので、例えば夏場に少し涼しくなった日暮れ後にお城を一周ジョギングしようとすると、歩道ごとの照度の違いは相当なもので、明るさの違いというのはかなり決定的に違いのあるもので、危険も感じるような状況です。残念ながら、東京の皇居のように夜のジョギングを楽しめない状況ということです。私も改めて一周してきましたが、まさにそのとおりでした。(パネルを示す)これがその和歌山城の周囲に今整備されている街路灯の写真でありますけれども、ちょうどこの上──右上が北側の歩道で、その下が南側で、左上が東側の市道になっていて、下が西側の国道の街路灯です。
 西側は道路だけを照らす背の高い街路灯で、基本的には日暮れ後の歩道は相当暗い状況になります。南側は県道で三年坂の通りですが、歩道側を照らす街路灯があるので、それなりに照度は保たれています。東側も街路灯がありますが、間隔が結構開いているので、照度にばらつきがあります。北側に回ってくると、ここは南側のちょうど市役所前の通りですけれども、背の高い街路灯だけで、ちょうど県道になるんですけれども、しかも、間隔が物すごく広くとってあって、一の橋から汀丁交差点まで普通に歩いても暗くて非常に危険な状況になっています。
 また、歩道自体もそれぞれの整備に統一されたものはなく、道路の管理者が変わるところでその材質、色も大きく違っており、調和がとれていません。(パネルを示す)これがその歩道の写真でありますけれども、この歩道において道路の管理者がそれぞれ違っている。こういった、それぞれちょっとばらばらの整備になっているんですね。これがちょうど市役所、市道になっているところの東側の歩道ですけれども、ちょっとつるっとしたような感じで、三年坂の通りが実はこれで、県道なんですけれども、三年坂からずっと例えばジョギングして走ってくると、雨上がりのときなんかはここを回って瀬藤病院のところを市道に入るんですけれども、この市道とちょっと材質が違って、これ、意識して走らないとちょっとつるっとするというような状況も実はあるそうです。
 とにかく、こういったばらばらの整備になっているということについては非常に残念であり、しかし、これが和歌山を代表する観光スポットとなるお城の周囲の整備状況の現実です。
 これはあくまで一例として取り上げたものですが、行政同士がもっと協力することで地域の魅力を増し、また行政コストを下げ、またもっと成果の上がる事業にできる事例はほかにも数多くあるのだと思います。関西広域連合も発足した今、私たちの足元においてももう一度これまでの行政サービスを提供する仕組み、そのあり方を根本から見直していく作業が必要だと思います。
 そこで、県市政策連携会議を担当されている企画部長にお尋ねいたしますが、まず、現在の県市の協調する状況について、その現状認識をお聞かせください。
 また、私自身としては、現在の県市協調の取り組みは不十分で、特に県と市が同じ地域で行政サービスを執行していく上では、今の厳しい時代だからこそもっとその効果、効率を考えていくべきだと考えます。県市が調整、協力した上での成果といったことを考えると、予算執行上の効率化、事業実施における便益の向上、事業効果の増大など、どういった成果が上がっているのかといったことが重要であり、単に連携していますといったことでは、従来の県市の関係でもそれらは担当課においてやられてきたことであります。今後はさらにその連携体制を深め、連携による成果をどのように実のあるものとしていけるのか、工夫していく必要があると思います。
 そこで、現在の県市協調の取り組みにおける課題と今後の改善策についてどのように考えておられるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
 また、現在設置されている県市政策連携会議の推進に当たって、今後の改善の具体策について、例えば現在は県市で協力するといったことを取り決めているだけで、その後のフォローもされていない状況です。少なくとも1年間の協力する取り組みを進めた後は、その成果がどうであったのか分析、評価し、それを次年度につなげていくことが必要で、また、それらの内容を県民向けにも公表していく仕組みも必要と考えますが、どのように考えられるか。
 また、特に今回取り上げた和歌山城の周辺整備などでは、本来は歩道、街路灯などでは統一感を持たせるものとしてストーリー性も演出し、魅力アップが図れたはずです。そのためのマネジメント、執行体制の統合などを図るところから執行予算の軽減も図れた可能性もあり、もっと連携の効果を上げるべきだったと強く感じます。こういった例から考えても、今後の取り組みとして、現況で仕事内容が重複する業務について、例えば和歌山市にある県立図書館と市立図書館、文化ホールとして県文と市民会館など数え上げれば切りがないくらいに統合できそうな事業があると思いますが、それらについて思い切ってマネジメントの一本化、執行体制の統合など進めていく必要があると考えます。
 ある事業については和歌山市に移譲して和歌山市が責任を持って政策推進を行う、また、ある事業については県が事業のすべてを引き受けて予算を和歌山市から受託して事業実施に当たるなど、新たな連携の模索が必要だと考えますが、県市における事業統合、マネジメント、執行体制の統合といったことについてどう考えられるか、認識をお伺いいたします。
 最後の質問項目ですが、本質的な和歌山教育の改善に係る提言について。
 私自身、これまでこの県議会で、和歌山教育、学校のあり方、その役割といったことについて何度も議論してきました。そこでは、学校の中だけで完結させる狭い視野を持つことなく、学校はあくまで社会に出る準備期間であり、子供たちが将来社会に出る状況を見通して、その手助けを行っていく、そして厳しい社会に出てもしっかりと対応できる力を身につけた子供を何としても育てたいといった強い思いを持って取り組んできたところです。
 今、特に就職氷河期と言われる状況で、子供たちがこの日本で社会に出て働く場を見つけること自体が大変厳しい状況にあり、しかも、それはことしに限ったものではなくて、国内市場の縮小、国内産業の空洞化など構造的な問題がその根底にある中では、来年、再来年と今後もさらに厳しい就職環境が続くと予測され、そういった状況においては根本的にどういった教育によって真に生き抜く力を持った人材を育てられるか、日本教育そのものが見直されなくてはならない状況にあります。
 そこで、今回は、今教育のあり方が問い直される中、公立、私学のあり方も含め、子供たちにとってどういった教育環境が必要とされているのか、これまでの既成概念を超えた今の時代に必要とされる理想の学校の姿といったことを私なりに提案させていただきたいと思っています。
 私自身、3年前にあるテレビ番組を見て学校教育のあり方そのものを考えさせられる大きな衝撃を受けました。それは村上龍さんが企画、構成、そして司会も務める「カンブリア宮殿」という番組ですが、そこで取り上げられたある学校の再生物語にこれからの日本の教育を根本的に見直すべき重要なポイントがあると感じました。その紹介された学校というのは品川女子学院という学校です。かなり前には山口百恵さんが通っていた学校としても有名になりましたが、今はそのころの学校からさま変わりして、学校の取り組み自体が社会の大きな注目を集めるものとなっています。
 この品川女子学院は80年以上の歴史を誇る中高一貫校ですが、20年ほど前には廃校の危機もささやかれる学校となっていました。しかし、その後わずかの期間で出願者が数十倍に急増し、偏差値も測定不能な状況から急上昇して東京大学への現役合格者も輩出する、今や教育の大激戦区となっている東京にあって有数の人気校へと変貌しています。
 なぜ学校を再生できたのか。品川女子学院の生徒や教員がなぜ生き生きと明るく、やる気に満ち、教育界で大きな注目を浴びるようになったのか。わずかの期間で偏差値を飛躍的に向上させ、地域屈指の人気校になった秘密はどこにあるのか。その根底には今の日本教育が抱える大きな問題点を解決させる重要なヒントが隠されていて、その取り組みは和歌山教育も大きく前進させてくれると期待するものです。
 私自身、3年越しにこの学校を調査したいと思っていたのですが、先日、その念願がかない、やっと現場に伺わせてもらうことができました。校長先生と教頭先生に直接のお話を伺い、学校も見学させていただいてきましたので、今回の質問ではその品川女子学院に調査に行き、その改革のキーマンとなった人物からお話をお聞きした内容を含めて、新たな和歌山教育への提言とさせていただきたいと思います。
 品川女子学院の再生、学校改革、教育の改革は現在の6代目校長、漆紫穂子さんがスタートさせたものです。(パネルを示す)この写真の左側の女性です、漆紫穂子さん。まだお若い方です。昭和36年生まれの現在49歳、まだまだ若い経営者であり、学校長であります。それと、これが畑尾教頭先生。教頭先生からも改革の中身というのをじっくり聞かせていただきました。
 畑尾教頭先生の話では、品川女子学院は特別に他校から先生を引き抜いたりコンサルに入ってもらったということはなく、いろいろな改革は漆校長先生が先頭に立って試行錯誤を繰り返しつつ、みずからやり遂げたものだということです。人は入れかえず、しかしながら、結果的にパフォーマンスを劇的に向上させた、それはモチベーションのスイッチが入ったということだと説明を受けました。これがこの品川女子学院を語る上でキーワードとなるものですが、やる気のスイッチが入る。それは子供たちの変化も学校の変革においても同じで、内発的な動機がない限り、内発的な、みずから、内側から生まれてくる動機がない限り人は変わることはないという漆先生の信念でもあります。
 まず、モチベーションのスイッチを入れるための環境を整える第一歩として学校改革について。
 そのポイントは、学校として教育目標の明確化、そしてその共有化を徹底させることだということです。よい学校づくりは、まずその学校として教職員全員を巻き込んでミッション、ビジョン、バリューを一緒につくることだと言います。
 品川女子学院での取り組みを追ってみると、まず学校として何を目標とすべきかを明確にするために学校の設立当初から現在まで取り組んできたものをすべて洗い直して整理し、そうすることで学校が目指す方向が見えてくる。その後、全教員に学校として何を目標にすべきかを考えてもらい、ミッションをつくり上げ、そして、そのミッションを実現するため学校として10年後の姿、ビジョンをつくり、そのミッション、ビジョンの2つを実現していくための判断のよりどころとなるバリューをつくったということです。
 そして、この3つは「私たちの生き方 品川女子学院 ミッションステートメント」として1枚のリーフレットにまとめています。お手元の資料、3枚目になります。品川女子学院のミッションステートメント、お配りしておりますので、内容を御確認いただくと理解が深まると思います。このミッションステートメントは、品川女子学院におけるすべての行動の基礎になるものです。
 このように、学校の体制をまずは整えた上で、その後さまざまな取り組みを行っていったわけですが、その代表的な取り組みが28プロジェクト──これ別に大したものじゃないですが、(パネルを示す)皆さんの意識に残してもらいたいと思います。「28プロジェクト」と言われるものは品川女子学院の特徴的な取り組みとしてマスコミなどでもよく取り上げられているものですが、その意味は、学校を卒業し大学に進学する18歳を目標にするのではなく、そのずっと先の28歳になったときの生徒が理想とするみずからの姿を明確にイメージさせ、それを目標として未来から逆算して今何をすべきかを考えさせるというものです。
 未来から逆算する視野を持つと、おのずと、これは必要、これは不要と取捨選択の軸がはっきりして優先順位が決まってくる。生徒も今と未来がつながっていることに気づき、今は面倒だと感じることにもモチベーションが保てるようになると言います。子供たち自身の未来をしっかりと見詰めさせたライフプランづくりが28プロジェクトであり、品川女子学院の哲学となっています。
 この28プロジェクトをベースにして品川女子学院が目指しているのは、だれもが持っているやる気のスイッチを入れること。最初にも少し触れましたが、やる気のスイッチを入れることが何より大切であり、漆校長いわく、やる気のスイッチが入るポイントは自分のやりたいこと、目標が見つかったときだということです。
 しかし、簡単にやりたいことや目標は見つかりませんから、そのためにとにかく好きなことややりたいことに出会えるような体験の場を学校として提供していく、徹底して体験の場を提供していくということです。品川女子学院では、徹底して企業とのコラボレーションや企業体験プログラム、大学との連携などを通じて社会人や大学生と接する機会を設けています。これはもう公立、私学問わず、日本国じゅう学校でちょっとはやっていることです。でも、哲学を持って、これが子供たちにどういう影響を与えるのか、社会と接点を持たすことがどういう影響をもたらせるのかということを確信的にやって、それをしっかりと進めるということが実はポイントです。
 仕事で生き生きとしている人と接すると、その人へのあこがれが生まれる。そうした中で、この人は格好いい、こんな仕事があるのかと生徒に具体的にイメージしてもらえたら、それが勉強のモチベーションとなる。例えばマーケティングの仕事には心理学の勉強が必要で、数学は苦手だけど心理学の分野に進みたいのなら苦手な数学も頑張る、そうやって子供たちはみずから勉強に対しての姿勢を積極的なものとしていくということです。
 品川女子学院の職員室の前には机がずらっと並んでいました。それは授業の合間や昼休みに生徒が自主的に先生に質問しに来るために設けているもので、休み時間はいつも生徒であふれていて、先生たち自身もどうしてここまでやる気になれるのかと不思議がるぐらいに子供たちの姿勢は際立っています。
 あくまで子供たちのやる気のスイッチが入りやすい環境を整えること、それが学校の役割であり、それがあれば子供たちはみずから、自分の力で道を切り開いていく、押しつけても行動は変わらないと漆先生は繰り返します。環境が変わるとスイッチが入って、結果として行動が変わる。まずは環境を整えてやること、「北風と太陽」の童話のとおり、押しつけるのではなく、やりたくなるきっかけ、環境をつくっていくのが学校の責任だと話されていました。
 この品川女子学院では、28プロジェクトで社会とのかかわりを明確に持たせ、そこからやる気のスイッチが入りやすい環境づくりにさまざまな工夫を凝らしていく。その一環として、とにかく生徒が能動的に行動する、みずから動く力を育てるために生徒のお尻を押してあげる仕掛けを幾つもつくっていく。みずから動く力を身につけさせると数多くの経験をすることになり、結果的に自分の理想の姿を見つける手助けとなる。待ちの姿勢では得るものは少なく、みずから動かなくてはいけないということです。
 それまでの学校のように、生徒にはまだ十分な知恵や知識がない、失敗したらかわいそうといって大人がかわってやってしまうのではなく、子供自身が選び、体験し、時には失敗することさえも非常に大切なことだと言います。
 品川女子学院では、生徒が能動的に動くように意識して校内を見渡し、生徒の成長につながることで何か任せられることはないかと常に探すようにしていて、文化祭や体育祭などは当然のこととして、健康診断など通常は教員がする仕事まで子供たちに任せています。学校のかばんまで自分たちでデザインし、業者との交渉まで生徒たち自身に行わせているということです。もちろん、教員が全体を把握し、いざというときにはサポートするが、できる限り生徒に任せるということです。
 また、品川女子学院でのそれぞれの取り組みは、すべてが「本格的に」、「徹底的に」といった精神で貫かれていて、例えば文化祭なども徹底した社会勉強の場となっています。品川女子学院の白ばら祭では、高等部の生徒は起業体験プログラムの場として取り組んでいます。学園祭の模擬店を実際の会社に見立てて、設立から解散までを体験するというふうになっていて、模擬店1つを出すのに、資本主義とは何か、会社とはどんな仕組みで動いているのかといったことを徹底して教え、アントレプレナーシップやチームワークを身につけさせる。そこでは会社として事業計画書の作成から登記、決算までをやり遂げさせ、そのために司法書士、税理士、公認会計士、弁護士などの専門家、ベンチャーキャピタリスト、企業経営者など、実際のビジネスの世界で働いている人に協力を求めて学校に入ってもらっている。店舗数を絞るための企画コンペを実施したり、ベンチャーキャピタリストから投資を引き出すためのプレゼンテーションをしたりと、まさに本格的な内容となっています。
 こういったさまざまな取り組みを通じて、疑似でないリアルな社会の本当の姿にできるだけ接するように仕向け、そのことで学校の勉強と仕事がつながっていること、また今と未来がつながっていることに気づくことができると言います。
 漆校長は、学校外とのコラボレーションなどは大変なエネルギーが必要で、大学進学だけを考えれば回り道かと思った時期もあったが、しかし、大学のその先に目標を置くことで生徒のモチベーションが逆に高まり、勉強に打ち込んでくれる、結果として第一志望への合格者がふえたと言います。
 このような品川女子学院では、私自身も実際にその現場で見てきた印象として、子供たちが生き生きと明るい学園生活が実現されていて、それは他の進学私学で予備校化し、偏差値の向上を至上命題として灰色の学園生活を送っているものとは明確な違いのある教育を実践されていると感じました。
 学校は生徒の人生の物語をつくる場所、夢をつくる場所であって、そして、その夢をかなえる道案内をしてくれるのが学校であり、品川女子学院だということです。理想の話のように聞こえるかもしれませんが、現実の話であり、これは和歌山の学校でも決してできないものではないと私自身は確信して帰ってきたところです。
 そこで質問ですが、私はこれまでも社会との接点といったことで何度もこの議会で提言してきましたが、その具体例として今回、品川女子学院の視察を踏まえ、新たな教育のあり方といったものをお話しさせていただきました。まず、この品川女子学院の取り組みについて率直な御感想を教育長にお聞かせいただきたいと思います。
 今回は、学校見学、授業風景も見させていただき、まさにやらされる勉強からみずからの目標を持って進んでやる勉強に変えていくことが、勉強だけでなく、子供の成長にどれだけプラスになるか改めて認識させられたところです。心のスイッチを入れる品川女子学院の取り組み、それを導き出す手段となる28プロジェクト、これらの有効性をどのように考えるか。あわせて、ぜひこの取り組みは和歌山でも実践していっていただきたいと思いますが、教育長の御所見を伺いたいと思います。
 また、品川女子学院の特徴的な取り組みの1つとして、学習計画、シラバスの作成があります。シラバスとは、日本では主に大学などの講座の内容、指導方針などが書かれた手引書として認識されていますが、(資料を示す)これがその品川女子学院で使われているシラバス、いただいてきましたので、後ほど教育委員会に進呈いたします。
 これは、日本では、先ほどもお話ししたように、主に大学などの講座の内容、指導方針などが書かれた手引書として認識されていますが、アメリカの例などに倣い、より教育を家庭、地域にもオープンにしていく道具として、詳細な授業計画を示し、子供たちにどういった成長を促したいかを明確にし、教育効果を上げる、また学校の責任を明確化する意味も含め、今、東京などでは公立、私学を問わず広がっている状況があります。
 そういった中で、県教委の方にも内容を確認していただきましたが、この品川女子学院のシラバスを検証した中で県教委としてどのように評価しているか。あわせて、シラバスの作成、生徒、家庭への配布を提言いたしますが、どのように考えるかお聞かせいただきたいと思います。
 現在の教育委員会では和歌山教育のビジョンというものを出されています。ただ、そのビジョンに沿って学校ごとのミッション、ビジョン、バリューというものを品川女子学院ではつくっていましたが、今、和歌山の学校では、質実剛健とか文武両道といった、そういうものしか出されていません。そういったことをしっかりともう一度和歌山の学校ごとに見直していく、ミッション、ビジョン、バリューを創造、提示する作業が必要と考えますが、どのように考えるか、教育長にお伺いいたします。
 最後に、今学校のあり方を考える中で、大阪では私学の高等学校の無料化を進めようとしています。橋下知事は私学と公立を同一の環境で競争させ、人気のない学校は廃校など退場させるといった話もしています。このことは私自身ももう少し勉強していきたいと思っていますが、現時点で隣の大阪で行われているこの取り組みについて、その意図をどのように理解し、私学を無償化させていくことをどのように評価しているか。これも教育長に御所見を伺いたいと思います。
 以上で、私の質問とさせていただきます。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 中国との関係、一括してお答え申し上げたいと思います。
 これまでの中国山東省への取り組みの評価についてでございますが、本県は山東省と友好関係を締結して以来26年になります。この間、さまざまな分野で交流を行ってきた成果が現在の両県省の強固な信頼関係の構築につながっていると思います。また、人間と人間の強い信頼関係も、長くこの友好関係に携わってこられた方の中に根づいていると考えておりまして、私は大いに評価しております。
 さらに、平成19年以来、具体的な協力に力を入れようということで、環境協力あるいは観光交流、経済交流、職員交流等々、具体的な協力関係にも力を入れてまいりました。これについても、今後もっとやっていきたいと思います。
 次に、中国との関係の現状認識についてでございますが、中国は長年にわたり高度経済成長を続けており、本年にはGDPが世界第2位になることが予想されております。また、中国は日本の最大の貿易相手国ともなっておりまして、お互いになくてはならない間柄であります。したがって、相互にウィン・ウィンの関係を発展させることが両国にとって重要であります。そのためには、もうちょっときちんとした外交をしていただいた上で日中間の交流のパイプはさらに太くしていかなければならないと考えております。
 最後に、今後の山東省との関係についてでありますが、山東省は中国国内でGDP第3位を誇っており、同省との交流推進は本県にとって大きなメリットをもたらすものと考えます。
 既に申し上げたように、平成19年には両県省の協力関係を一層強化する覚書を交わし、これを起点に経済、観光、環境での交流を以前にも増して活発化させてきました。今後は、この交流関係をより深化させるため、商談会の開催や観光ルートの提示など、具体的かつ実利につながる交流を一層実施していきたいと考えております。また、今後の山東省との交流のかなめとなる人材育成のため、引き続き県職員を同省に派遣することを予定しております。
 中国経済が大きく発展している現在、長年にわたって山東省と交流を続けてきた本県については、これは大きなチャンスでありまして、今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 県市協調の御質問に一括してお答えいたします。
 和歌山市との政策立案並びに事業実施面での協調、協業につきましては、平成15年度から県市政策連携会議を開催し、両団体が一致協力して取り組む政策課題について意見交換や連絡調整を行っているところです。
 同会議においては、これまで和歌山市内の河川改修や景観形成の促進といった都市環境の整備を初め、企業誘致や医療・福祉、消費者問題等、幅広い分野において率直かつ建設的な協議を行っています。この中では、和歌山北インターチェンジの開設に係る関連道路の整備や産業廃棄物の保管及び土砂等の埋め立て等の不適正処理防止に関する手続など、県市協調の結果、県が事業執行や制度設計の主導を担い、事業目的の迅速な達成を図ることができた事例や、南海和歌山大学前駅や和歌山大学への観光学部の設置など、その時々の重要課題の解決、実現に大きな役割を果たしてまいりました。
 しかしながら一方、近年は全国各地で広域行政や地方公共団体間の連携についてさまざまに議論されており、各地域が創意工夫により限られた資金や人材を最大限に活用を図るとともに、これまでの仕組みや制度の抜本的な見直しを含む新しい施策についても積極的に取り組んでいかなければならない時代が到来していると感じております。
 そうした厳しい地域間競争の中、本県においても、これまで以上に県市間の緊密な関係の構築や新たな連携のあり方を模索していくことは極めて重要なことであると認識しています。議員の御指摘にありました県と市が別々に事業を行うことによる二重投資の弊害解消、同一地域内のプロジェクト進行の同期化による事業効果の拡大などにつきましては、連携協議の成果のフォローアップとあわせ、和歌山市とより深く検討を進めてまいりたいと思っております。
○副議長(山下直也君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 県教育のあり方についてお答えいたします。
 品川女子学院の教育につきましては、議員御紹介のとおり、社会とのつながりを重視し、生徒が主体的に学習活動に取り組み、みずから設定した目標に向けて学び続けることを主眼に置いている点で、大変すばらしいというふうに考えます。特に28プロジェクトは、将来の自分をイメージしながら生徒のやる気を引き出すプログラムとして参考になると思います。
 本県におきましても、同様のコンセプトであります自立、共生、社会参加を目指した市民性を育てる教育に取り組んでいるところでございます。今後さらに、今回の御提案を参考にして現在進めております地域共育コミュニティを生かし、児童生徒が主体的に自己の生き方や社会との関係を深く考える取り組みについて広げてまいります。
 次に、シラバスにつきましては、各教科の目標と内容、使用教材、指導計画等が表や写真などを取り入れて書かれており、生徒、保護者、地域にもわかりやすいものであると拝見いたしました。今後、本県におきましても、教育の方針や授業内容を伝えるシラバスや学習の手引などを充実させ、こういったものを仲立ちとしながら家庭との話し合いを深め、よりよい学校づくり、よりきめの細かな授業づくりを進めてまいります。
 次に、高等学校の個性化につきましては、議員御指摘のとおり、生徒や地域の実態に即し、学校としての願いが反映された各学校のビジョンが必要であります。このことから、学校長のリーダーシップと地域にも開かれた全教職員による教育によって明確なビジョンやコンセプトをつくり上げるとともに、それを地域や学校関係者に示す必要があると考え、これまでも指導してまいりました。
 そのことによって、中学校とその保護者が子供の個性や希望と各学校のコンセプトに即して学校を選ぶことが可能となり、不本意入学による中途退学の防止や不登校の減少、学力の向上にもつながるものと考えます。
 最後に、大阪府の取り組みについてでございますが、本県とは状況が異なりますが、私立高校と公立高校を同一の環境で競争させるということは1つの考え方であると存じます。その場合、授業料等教育費負担に限らず、さまざまな条件もあわせて公平性を確保する必要がございます。経営の独立、建学の精神を重視され、こだわりを持っております私立高校の状況から、条件を同じにするということは難しいものと推測されますが、もしそうなれば公立高校の個性化を促進することにつながる可能性があるかというふうに存じます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) この際、申し上げます。
 所定の質問の時間が既にオーバーをいたしております。
 以上で、山下大輔君の質問を終了いたします。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時34分休憩
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