平成22年12月 和歌山県議会定例会会議録 第6号(花田健吉議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○副議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第134号及び議案第143号から議案第178号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 11番花田健吉君。
  〔花田健吉君、登壇〕(拍手)
○花田健吉君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、一般質問に入らせていただきたいと思いますが、その前に、仁坂知事、再選おめでとうございます。
 仁坂県政の2期目のキャッチフレーズは「あたたかい改革」だとお聞きいたしました。いつも県民の目線に立って弱い方、困っている方に寄り添う温かいまなざしで県政を進めていただくことを心から期待をいたしまして、質問に入らせていただきます。
 現在、我が国経済は深刻なデフレ経済にあえいでおります。特に民間活力の乏しい私たちの地方においては、一層深刻な状況であることは御承知のとおりであります。このたび、政府は突然TPPの議論を持ち出しておりますが、まだまだ農産物を初めとして我が国と関係国の価格格差は大きく、知事からも再三御答弁がありましたように、政府はもう少しそれぞれの産業に対し政策を施してからTPPに参加しないと、国内はさらにデフレが深刻化し、不況が蔓延するのではないかと憂慮するところであります。経済学者の論をまたなくても、デフレ経済の恐ろしさは皆さんもよく御承知のとおりでありますが、デフレがさらなるデフレを呼ぶデフレスパイラルになると、事態はさらに深刻になってまいります。
 建設業界に限って申し上げますと、バブル崩壊後、和歌山県だけではありませんが、公共事業のデフレ化が進みました。バブル時代は資材や労働賃金が高騰し、公共事業の設計単価が高くなりましたが、バブル崩壊後、過当競争が始まり、設計単価は逆にどんどん抑えられ、現在のデフレになっているのです。
 公共事業により建設された公共施設は私たち国民の共有の財産であり、時代を超えた共有の社会資本であります。また、公共事業は、その時々の経済状況をかんがみ、国民生活を守り、経済を活性化させるための起爆剤として用いられてきたことは御承知のとおりであります。
 しかし、昨今、公共事業は余り景気対策の効果がないと論じられるようになりました。なぜなのでしょうか。民主党政権はまさにこのことをとらえて、「コンクリートから人へ」の合い言葉のもと、給付型の政策に転換したのであります。政府は、子ども手当や高等学校の無償化等の給付政策を実行するために公共事業を、昨年は20%削減し、来年度はさらに10%削減すると政策提言しています。それらの手当が消費に回り経済を刺激し、景気回復につながるというのですが、にわかに信じることはできません。
 先般、新聞のアンケート調査でも4割を超える方が、子供の将来のため子ども手当を貯蓄に回すと回答されていました。消費を拡大させ、景気回復を図るどころか、縮小させてしまうことも危惧されます。一刻も早く子ども手当のような給付型施策から子育てをサポートする環境整備に力を尽くしてもらいたいと思います。
 しかし、昨今、公共事業も景気対策に有効な手段でないと言われるようになってしまいました。1930年代、アメリカが大不況を克服するためにニューディール政策を行い、景気対策と雇用対策を同時に行ったことは有名でありますが、以後、我が国においても、不況の波が押し寄せるたびに景気と雇用を安定させるために公共投資を行ってまいりました。そして、経済波及効果を生み出すことによりすべての産業に活力を与え、それが消費行動につながり、オイルショックやバブル崩壊後の危機的状況にあった日本の経済不況を乗り切ってまいりました。
 10年前、平成12年の和歌山県の公共投資額は国関係、県、市町村を合わせると2251億円の公共建設投資がありましたが、平成21年度の大型補正予算を除くと年々厳しい状況になっています。前知事時代は、大型工事は大手ゼネコンが受注し、県内業者は下請に回り、他府県の下請業者と厳しい競争にさらされ、利益の少ない中で仕事をしていました。
 仁坂県政になってほとんどの事業が県内業者に発注されるようになったことは高く評価するのですが、依然、建設業者の倒産や廃業が続いています。そのことは同時に多くの県民の、特に若者の働く場が失われたことになります。公共事業が大幅に削減されたことも大きな原因であると思いますが、それだけが現在のような建設業界を疲弊させたのではないと私は考えます。
 その1つの理由として、公共事業の設計段階における単価の決定方式が大変問題であると考えています。官製談合事件の後、我が県政は大変厳しい県民の批判渦巻く中ではありましたが、仁坂知事は就任してすぐ県民の信頼回復と公正で公平な入札システムを導入するため公共調達委員会を立ち上げ、現在の入札制度の骨格をつくられました。現在の入札システム自体はまだ少し改善の余地はあると思いますが、一定の成果は得られたと考えます。しかし、建設業界は今、入札システムの問題だけでなく、深刻なデフレに悩んでいます。
 そもそも、景気対策や雇用対策の一面を持つ公共事業がデフレに陥ることがおかしいと思いますが、過当競争から来るダンピングの激化から生じるデフレスパイラルが深刻化しています。このデフレスパイラルは、建設単価の決定過程においても大変大きな影響を及ぼします。
 厳しい受注競争は従業員の給料の値下げやボーナスのカットを生み、また、当然協力業者や資材納入業者にも値下げの協力を求めます。しかし、請負業者が従業員の給料を抑えたり、出入り業者の資材等の単価を低く抑えれば抑えるほど、数カ月先の設計単価に反映されるというシステムに問題があると思います。
 現在の設計単価の算出方法は、一定期間の県内の実勢単価の平均を採用しています。厳しい入札価格で工事を受注すると、当然建設会社は支出を抑えようと懸命に努力しますが、その結果、建設業界全般の実勢単価を押し下げます。その押し下げられた実勢単価が次の工事の設計単価に反映されるという仕組みは、余りにも厳しいシステムと言わざるを得ません。建設業界は企業努力をすればするほど実勢単価を押し下げ、次なる設計単価の引き下げをつくり出し、みずからがデフレスパイラルを誘発してしまうという過酷な制度です。
 一方、一括して大量購入できる大手ゼネコンや物流コストのかからない都市部の建設業者は比較的楽に資材等を購入できますが、和歌山県のような地方の零細業者は設計単価以上の資材を時には購入して工事を完成させなくてはならなくなり、地域間格差を生み出す不公平なシステムであるとも言えます。安く購入できる都会の業者と高く購入せざるを得ない地方の業者の平均単価を設計単価に反映するのであれば、地方の業者は初めから赤字覚悟で工事を請け負うことになるではありませんか。
 昨年、一般競争入札で公募しても応札のなかった工事が約3%あったと聞いています。従業員のことを考えると、どんな仕事でも確保しておきたいというのが業者の心理だと思いますが、それでもなお応札しないのは、設計段階から受注しても赤字になることがわかっているからであります。最近は、民間建築の単価のほうがまだましだと民間建築の営業に力を入れている建設会社も多いと聞きます。
 当局は、低価格から来る公共工事の品質の低下や適正価格の観点から、最低制限価格を設定することにより品質確保と経済効果を担保しようとしています。しかし、幾ら最低制限価格を引き上げても設計段階の単価が低ければ、それらの効果は余り期待できません。建設資材等の製品はただでできているわけではありません。製造過程で当然コストがかかり、そのコストに見合う製品単価があるはずであります。その単価に近い価格を採用せず、実勢単価を採用することが建設業界の構造的デフレを引き起こす要因の1つになっているのではと考えます。
 6月議会で、私は、「風が吹いたらおけ屋がもうかる」という話を引き合いに出しましたが、経済とは、循環させることにより波及効果が生まれ、その効果がまた新たな経済効果を生み出すという経済の原則があります。自由競争社会は一度デフレを起こすとインフレに戻すことは難しいと思いますが、唯一公共事業において、当局の主導によりある程度のデフレ対策が可能であると思います。そして、そのデフレ対策が民間産業にもよい影響を及ぼし、全体のデフレを抑制することができる可能性が生まれてきます。
 我が国は自由競争社会ですから競争原理は認めますが、デフレを誘発するような仕組みを認めるわけにはまいりません。当局は、国土交通省と各都道府県の例をすぐに持ち出しますが、勇気を持ってストップ・ザ・建設デフレを和歌山県から全国に発信していただきたいと思います。
 ちなみに、現在当局が確認している建設業者は5000数百社とお聞きいたしました。そのうち法人事業税を県に納めている建設業者は、約2700社余りであります。約半数であります。その額も年々減少していますし、県の発注総額からするとごくわずかであり、21年度のように大型の補正を組んでも建設業界の税収は伸びません。
 本来納めていただいた税金で公共事業を行い、そしてまた税金を納めてもらうという循環が正常な社会だと思います。公共工事に携わっても税金を納めるだけの利益が出ないのは、一般競争入札制度や設計単価だけに原因を求めるものではありませんが、建設業界の聞き取り調査を行い、その意見もぜひ取り入れていただきたいと思います。
 それでは、知事にお伺いをいたします。
 建設業界のデフレの原因についてどのように思われますか。知事がつくった設計単価の決定方法ではありませんが、この際、和歌山県方式と銘打って仁坂知事独自の決定方法を検討してみてはいかがですか。お答え願います。
 次に、県土整備部長に3点お伺いいたします。
 1つ、現在の設計単価の決定方法をどう思いますか。2つ、設計単価の変動についてお答えください。3つ、この設計単価の決定方法は法律で決められているのですか。御答弁をお願いいたします。
 次に、身体障害福祉対策についてお伺いをいたします。
 最初に、御坊駅の段差解消についてお伺いをいたします。
 御坊駅と紀伊田辺駅は紀勢本線の中でも大変特異な特徴を持った駅であります。それは、各駅停車の乗り継ぎ駅だからであります。両駅は、各駅電車は通勤時間帯を除くとほとんどの電車で1度下車し、乗り継がなくてはなりません。
 そこで、今回の質問の趣旨になるわけですが、御坊駅以南の特急のとまらない駅から乗車して和歌山方面に行くとき、特急列車に乗りかえるときはもちろん、そのまま各駅停車で御坊駅の次の紀伊内原駅に行くときでも御坊駅で一たん乗り継がなくてはなりません。そこで問題が生じています。体の御不自由な方、特に車いすの方や目の御不自由な方にとって大変な脅威と不便をかける駅となっています。ホームとの段差が大きいために訓練を受けた盲導犬が電車からおりようとせず、立ち往生するというのです。
 また、電車とホームの間隔が広いため、つえが入ってしまって怖くておりられないそうです。しかも、2番線、3番線に到着するので、駅員の方も気づきにくいということ。仕方がないので、近くの方に助けられて乗降しているとお聞きいたしました。
 冒頭述べましたが、仁坂県政はあたたかい改革をさきの選挙でお訴えになったのですから、障害者の立場に立って御坊駅が乗り継ぎ駅だということを強く御認識いただき、一刻も早く段差解消にお力添えをいただきたいと思います。
 そこで、企画部長にお尋ねいたします。
 御坊駅の段差解消の今後の見通しと対応についてお答えください。
 次に、障害者用の駐車スペースについてお尋ねをいたします。
 最近、車いすがかかれた青い駐車スペースがふえてまいりました。公共施設は当然のことですが、民間のスーパーや営業店等でも随分御配慮をいただき、喜んでいます。この障害者用スペースのさらなる普及について福祉保健部長にお伺いをいたします。
 また、このスペースに障害者の方が駐車しようとしても置けない場合があるとお聞きいたしました。しばらくあくのを待っていると、障害者ではなく健常者の方が駐車していることもよく目にするとお伺いをいたしました。とても残念なことでありますが、県当局はこの駐車スペースの啓発について県民に対し、どのような対策をとられているのか、あわせて福祉保健部長にお伺いをいたします。
 次に、重い障害があるために収入が限られ、生活保護を余儀なくされている方が保有を認められている車の使用について、知事初め当局に強く要望いたします。
 と申しますのは、例えば1級の障害者の方で定期的に病院に通院しなくてはならず、車の保有を認められているケースについてであります。この方にとっては、車は生命を維持していくために必要不可欠なものですから、当然、生活保護を受けていても保有を認めていただいています。しかし、この車の使用については大変厳しく、原則、病院の往復以外には認められていません。日用品の購入や地域の集会、選挙の投票所への移動にも使用は認められていません。
 そこで、生活保護法の所管は厚生労働省ですから、適正で明確な使用マニュアルの設定と公共交通機関のおくれている和歌山県の紀南のような地域では現行制度を少し緩和させていただき、せめて日常生活用品の購入と選挙の投票ぐらいは車の使用を認めるように関係部局に働きかけていただきたいと思います。
 次に、障害者手帳の提示による高速料金の割引についても要望をいたします。
 現在、ETCをつけた障害者の所有する車は半額制度を適用されていますが、視力障害の方は自分の車を使用していませんし、ETCカードを所有していない方も多いし、車を所有している方でも、ETCの機種と車が登録制になっていて限定されていますから、もし善意の方の車に乗せて送ってもらった場合でもETC割引は適用されません。そんなときは身体障害者手帳を提示し、本人確認ができれば障害者割引ができるよう関係機関に要望していただきたいのです。
 もう1点、高速サービスエリアでの身体障害者用トイレも利用しやすいように改修していただくよう、既に当局から関係機関に御要望いただいているとお聞きいたしておりますが、早期実現に引き続きよろしくお願いいたします。
 次に、身体に重い障害のある方の選挙投票について選挙管理委員長に御所見をお伺いいたします。
 現在、障害の種別と等級が重度の方に限り在宅郵便投票できますが、該当者の範囲が大変狭く限られていて、それ以外のかなり重いと思われる障害者の方には認められていません。私の地域でも、投票所までは約2キロメートルあり、視力や下肢に重い障害のある方にとってはとても歩いていける距離ではありません。
 選挙の投票権は、日本国憲法により国民に与えられた最も尊重されなければならない権利と義務であると思います。在宅郵便投票は不正投票が行われるかもしれないという推定理由だけで重い障害のある方の投票権を制約しているのは、憲法の趣旨にのっとっていないとも思います。行こうと思えば行けるのではと健常者の方から見れば思われるかもしれませんが、特に視力や下肢の重い障害がある方で規定に入らない方にとっては、投票に行きたいけれど、やっぱり心と体の負担を考えるとやめておこうという気持ちになっても、それを責めることはできません。
 数年前、手続が複雑でプライバシーの問題等国民から大変不評だった不在者投票制度が選挙期間中だれでも簡単に投票できる期日前投票制度に変わり、随分皆さんに喜ばれ、投票率向上にも貢献しています。その期日前投票と重い障害者の方の在宅郵便投票を制度的に比較してみても、重い障害者の方の在宅郵便投票の制約が厳し過ぎるのではと私は思います。もう少し障害者の在宅郵便投票の制度が見直され、国民の大切な権利である清き一票を投じることができるように制度改正に御尽力をいただきたいと思いますが、選挙管理委員会委員長のお考えをお伺いいたします。
 次に、去る10月28日、私が委員長をさせていただいていますが、小川武副委員長、平木哲朗議員、須川倍行議員、岸本健議員、山下直也副議長、井出益弘議員、森礼子議員、松本貞次議員、奥村規子議員から成る人権・少子高齢化問題等対策特別委員会は、高知県議会を訪問し、高知県の中山間地域の課題と対策について意見交換をしてまいりました。
 和歌山県と同じように、中山間部は過疎化と少子高齢化が進み、生活環境が激変し、住民生活が脅かされていると申されていました。地域の商店が消滅し、公共交通の撤退などによる生活環境が悪化、また施設の老朽化による水源確保の不安や、さらに病院や診療所の廃止により地域の医師不足が深刻化しているということでした。
 和歌山県においても同じような悩みを持った中山間地域は少なからずあるのではないか。現在、顕在化していなくても間もなく厳しい生活環境になると予想される地域が県内にはかなりあると思います。中山間地域の過疎化と少子高齢化は山や森林の環境にも大きく影響を及ぼし、鳥獣害被害も年々深刻になる一方であります。中山間地域において住みなれた地域で安心して暮らし続けることができる生活環境を築くため、我が県においても今から対応を考えていく必要があると考えます。
 今回、視察を終えて痛切に感じたことは、生活に最低限必要な物資の確保をどうするかということであります。高知県ではこうした状況に対応するため、高知県中山間地域安全安心サポート体制支援事業により、移動販売等に必要な車両の購入や改造及び附帯する部品購入等に要する経費に対し、補助制度を既に導入されていました。補助先は市町村、事業実施主体は市町村、団体、企業、任意団体等と幅広く、1台当たり1300万円を上限に補助率は4分の3以内、また、販売エリアが複数の市町村にまたがる地域では市町村が補助対象者とならない場合もあり、その場合は直接、団体、企業、任意団体等に3分の2を補助する制度であります。この制度は、食料品や日用雑貨などの提供とあわせて、見守り活動等を同時に行うこととなっています。
 そこで、知事にお伺いをいたします。
 過疎地域の生活の今後の安全保障について御所見をお伺いいたします。
 企画部長にお伺いいたします。
 過疎地域の買い物支援について、今後の対応をお伺いいたします。
 しかし、このような食料品や日用雑貨の購入が困難な地域は、中山間地域だけではありません。先般、雑賀議員からも質問がありましたので、私からは要望とさせていただきますが、私の近くの美浜町など、比較的人口の多い市街地でも買い物弱者の問題が起こっています。地域密着型の中規模スーパーが進出したため、近所の商店が閉店され、やがて郊外に大型スーパーマーケットが進出してくると、地域密着型の中規模のスーパーが閉店されました。
 そうすると、身近なところに食料品や日用雑貨を購入するところがなくなり、高齢者だけの家庭では、タクシーに乗って往復1000円以上も払って買い物に行かなくてはならない地域が出てきてしまったのです。県内の比較的市街地と言えるところでも実は核家族化が進み、子供たちは遠く離れて住んでいて、過疎地域より便利そうに見えるが、実は深刻な状況のところが現実としてあります。
 そしてまた、今後さらにそういう地域がふえてくると予想されます。そうした実情を御認識いただき、当局の今後の対応を強く要望して、第1問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの花田健吉君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、建設業界のデフレという点でございますが、消費者物価については引き続きデフレ傾向にあります。建設資材等も全国的な公共投資の減少による需要と供給のアンバランスからデフレ状態にあるということは否定できないと思います。
 議員お話しの設計単価につきましては、従来から実勢単価を調査し、決定しております。しかしながら、設計単価は調査のやり方や発注時期との時間のずれ等により、実際に建設業者の方が購入する単価とある程度乖離があるということは認識しております。乖離があると認められる場合は速やかに適正な設計単価となるように努めてまいりましたし、引き続きそうしたいと考えております。
 なお、本県では昨年12月に、ダンピング対策の充実を図るため最低制限価格の見直しを行いました。従来は、建設資材費などは営業努力で安く調達が可能であるという想定で積算をしておりましたが、それは議員御指摘にありましたように、大企業とか、あるいは中堅企業ぐらいだとひょっとしたらそれは可能だけれども、地方の中小企業はそういうことは無理だということが理論的にも、また調査をしましたのでよくわかりましたので、これについては見直しをしまして、人件費も含めて建設資材費は設計価格の100%を支払ったとしても赤字の出ないような積算方法に改めました。こういう点は、ある意味では和歌山方式であったんじゃないかというふうに考えております。
 設計単価の独自の方式を検討してはどうかということなんですけれども、設計単価は取引の実例、価格を考慮して適正に定めなければならないわけでございます。それをどういうふうにして把握するかというのが結構難しくて、母数の関係で国の考え方に基本的には依拠しております。それが変わると我々も可及的速やかに対応していくということなんでございます。
 ただし、先ほどの例にも明らかなように、明らかな事情があって和歌山県は別の算定方法をとるべきだということがきちんと説明できる場合は、それは配慮していきたいと思いますし、そういう考え方が和歌山方式になると考えております。
 実際の取引単価が適正に設計単価に反映できるように私たちもいつも考えてまいりますけれども、産業界におかれましても、議員の先生方におかれましても、どんどん意見、提言を賜りたいと、そう考えております。
 次に、過疎の問題でございますが、過疎地域につきましては、急激な人口減少の中で高齢化が進展し、集落機能の維持が困難となるなど、生活環境上多くの課題を抱えております。
 私は、県下各町をくまなく見て回りました際に、日用品の確保に苦労されていること、通院に多額の費用がかかること、鳥獣被害が想像以上であること、不安な気持ちで御高齢の方がお一人で暮らしていることなどさまざまな深刻で切実な悩みに接し、改めて県民だれ一人として見捨てないようにしようという思いを強くしました。
 このため、これまでも高齢者の見回りとか防災無線の配布とか努力をしてまいりましたが、特に今年度から取り組んでいるわかやま版「過疎集落支援総合対策」を初め、今申し上げました見守りあるいは生活交通対策、それから鳥獣害対策、生活基盤の整備や防災対策などハード・ソフト両面からさまざまな施策を結集して、過疎地域で生活する方々が住みなれた地域で安全かつ安心して暮らせるように、生活環境を築くことに全力で取り組んでまいりたいと思います。
 23年度新政策におきましても、これまでそういう観点から積み重ねてまいったんですが、選挙の際の知見も踏まえましてさらに改善を図ってまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 県土整備部長原 広之君。
  〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 設計単価の決定方法についてでございますが、資材等の設計単価は専門の調査機関の調査結果を採用しているところでございます。具体的には、実際の県内の流通価格を調査し、原則として最も頻度の高い価格を設計単価として採用しております。
 設計単価は、調査対象の抽出方法や調査の頻度あるいは調査の範囲、あるいは調査時期と発注時期の時間のずれ等により、個々の取引価格とある程度乖離が生じることは認識してございます。乖離が大きい場合には原因を分析、検証して適正な設計価格となるよう努めてまいります。
 次に、設計単価の変動についてでございますが、主要な労務費及び資材単価を10年前と比較しますと、普通作業員単価は約1割の下落、生コンクリート単価はほぼ同水準、アスファルトコンクリート単価は2割程度の上昇、ヒューム管などのコンクリート二次製品単価は製品によって上昇下落の変動が見られます。
 次に、設計単価決定における法的根拠についてでございますが、公共工事の発注に際しては予定価格を算出しております。この予定価格は、県財務規則で、契約の目的となる物件について、「取引の実例、価格、需給の状況、履行の難易、数量の多寡、履行期間の長短等を考慮して適正に定めなければならない」と規定されております。したがいまして、この予定価格の算出に必要な設計単価についても、同様の規則に従い、決定することとしております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 御坊駅の段差解消についてでございますが、駅のホームと列車との段差解消について、JR西日本によりますと、段差の大きさや介助できる駅員の体制などを総合的に勘案の上、計画的に順次工事を実施しているところであり、議員の御指摘の御坊駅につきましては、現在の計画では平成25年度以降とのことです。
 県といたしましても、鉄道を利用される皆さんに安心して御利用いただくため、できるだけ早い時期での段差解消をJR西日本に働きかけてまいります。
 次に、過疎地域の買い物支援についてでございますが、過疎地域におきましては、急激な購買者の減少や後継者不足などから小売店舗が減少しており、車を運転しない高齢者を中心に日常の買い物に不便を感じている方が増加していることから、いわゆる買い物弱者対策が大きな課題の1つとなっています。
 このため、今年度から実施している過疎集落支援総合対策の取り組みでは、住民の方との話し合いの場である寄合会において日常生活品の買い物方法などもお聞きしています。移動販売を利用する方、コミュニティーバスを利用して周辺の商店に買い物に行かれる方、買い物代行サービスを利用される方など、さまざまな形態で日用品を購入されているとのことです。
 いずれにいたしましても、過疎地域にお住まいの方の買い物を初めとする生活機能を確保することは大きなテーマでありますので、地域の実態と寄り合いで出た住民の方の意見を踏まえて、関係市町村とも十分連携を図りながら積極的に支援をしてまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 障害者用駐車スペースの普及と啓発についてお答え申し上げます。
 車いす使用者のための駐車スペースの確保は、障害のある方にとって日常生活を行う上で非常に重要なことでありますので、平成18年に福祉のまちづくり条例を改正いたしまして車いす使用者用駐車区画の設置必要数を大幅に拡大するとともに、平成21年7月には駐車区画をわかりやすくするための青色塗装を義務化したところであります。それとともに、コンビニエンスストアなどの民間事業者や市町村などに対しまして駐車区画の設置を働きかけるなど、駐車スペースの確保に取り組んできております。
 また、県民の皆様にも駐車区画の適正利用を御理解いただくために、県内各地域で街頭啓発を行っておりまして、今年度も障害者週間を中心にしまして、大型スーパーや公共施設などにおきまして50回以上の啓発活動を実施したところでございます。
 さらに、「県民の友」への啓発記事の掲載や、8月からはテレビ広報番組「県民チャンネル」でも継続して適正利用を呼びかけているところです。加えまして、企業における研修会にも参加をいたしまして適正利用についての認識を深めていただいているほか、県警本部とも連携をいたしまして、運転免許証の更新時に啓発用のリーフレットを配布するなどの取り組みも進めております。今後ともさまざまな機会をとらえまして、駐車スペースの確保とその適正利用の啓発に力を入れてまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 選挙管理委員会委員長諸木良介君。
  〔諸木良介君、登壇〕
○選挙管理委員会委員長(諸木良介君) 身体障害者の郵便による不在者投票についてお答えをいたします。
 郵便による不在者投票は、身体に重度の障害がある選挙人が市町村の選挙管理委員会に投票用紙を請求し、自宅に郵送された投票用紙に記載した上、郵送で返送する制度でございます。一般的な投票所における投票と異なり、投票管理者や投票立会人のいない自宅で投票の記載を行う制度であり、対象者及び手続については公職選挙法及び同法施行令で具体的に定められております。
 なお、障害者の投票環境向上に関する方策全般について、現在、国において有識者による検討会が設置され、幅広く議論がなされているところでございます。選挙管理委員会といたしましては、これら国の施策、動向を注視するとともに、だれもが投票しやすい環境の整備について今後とも市町村選挙管理委員会とも連携し、取り組んでまいりたいと存じてございます。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 11番花田健吉君。
○花田健吉君 御答弁いただきまして、ありがとうございます。再質問ではありません。要望で何点かお願いしたいと思います。
 まず、先ほど詳しい数字はあんまり述べなかったんですけども、建設業界のこういう統計の推移がずうっとありますね。それで、国勢調査をもとにしておりますので、17年に国勢調査をやっておりますので、22年まで待たなくてはなりませんが、その17年のときの統計を見ても、建設業界数が6222社──これは県で確認している業者かな。それとも、していないか、ちょっとこれ載っていないんですけども──それが今多分5000数百社とちょっと当局にお聞きしているんですが、その当時の統計はないんですけども、平成19年に法人事業税が28億3000万、年々減ってきて、今26億6000万ぐらいに減ってきているわけですけども──ごめんなさい。これは法人税を納めている業者の数です──2800から2600ぐらいまで今減少しています。
 これ、なぜこんなことになってくるのかなと。公共事業というのはある程度利益を担保されている。そしてまたそこで、何遍も申し上げますように、雇用とか景気対策とかといういろんな附帯する効果も当然公共事業には求められているはずでありますのに、こうして法人事業税ですら登録業者の半分ぐらいしか納められない状況というのは、これはどういう分析をされるのか。今後、当局におかれましても分析をしていただいて、できるだけ──全社とは言いませんけども、本当は全社ですけど、みんなやっぱりもうけていただいて法人事業税も我が県に納めていただけると。これが一番正常な姿だと思いますが、それに近づけるように当局にもぜひ分析と、そしてまた対応もお願いしたいと思います。
 それと、御坊駅ですけども、今、平成25年以降ということで、この以降というのは一体30年か35年ですかということになってくると思うので、そういうあれではなくて、1年でも早く段差解消に取り組んでいただくように当局からも関係──JR西日本ですけども、そちらのほうにお願いをしてもらいたい。本当にあそこは特異なというか、皆さんのわからない──あそこはまだエレベーターもなければエスカレーターもありません。障害者にとってまだバリアフリーがされていない駅ではありますが、その中でも、階段を上り下りする以前に電車からおりる、おりられないというこんな状況というのを一日も早く、一刻も早く解消してもらいたい。
 先ほども申し上げましたように、御坊駅というのは、必ず各駅停車はそこでとまっておりなくてはならない。始発駅であって終着駅、乗り継ぎ駅という3つの要点を持っております。それですから、ぜひ御坊駅の段差解消について一年でも早く解消していただくように、当局からもさらなる働きかけをしていただきたいと思います。
 もう1点、選挙の件ですけども、選挙というのは、もう皆さん御承知のとおりです。本当は全員に投票してもらいたいし、もらわなくてはならない本当の我々日本国民の固有の権利であります。海外に住んでおられる方も多分郵便投票されているはずでありますが、その郵便投票制度から見ますと、今言うたように、障害者の方が自宅で投票するのと、海外に長期出張されている方が投票するのと、いかほど違いがあるのかと。少し障害者に対して冷たくはないかということを私は思います。
 私も少し足が不自由ですけども、この私ですらやはりぱっと来る──さっきの障害者スペースの件も重なってきますけども、やはりおりて歩くということのプレッシャーに対しては、障害者は物すごくプレッシャーを感じているんです。皆さんが1キロ歩くなんていうのは、きょうは天気がええから歩いてみようかなんていうような気分になるかもわかりませんけども、私たち障害者はなかなかそんな気分にはなれません。できるだけ短く、できるだけ負担を少なくというのが障害者の心理だろうと僕は思うんです。そういうときに、この国民の、本当にこういう国政も県政も市町村政も、これ直接かかわるこういう投票行動に対して、もう少し投票制度が緩和されてもいいのではないかというふうに思います。
 以上、強く当局に要望いたしまして質問を終わります。ありがとうございました。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で花田健吉君の質問が終了いたしました。

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