平成22年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(前芝雅嗣議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 3番前芝雅嗣君。
  〔前芝雅嗣君、登壇〕(拍手)
○前芝雅嗣君 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問をさせていただきます。
 一般質問も本日で3日目、皆様も大変お疲れかと思いますが、最後までの御清聴、どうかよろしくお願い申し上げます。
 まず最初に、去る9月1日から3日まで、仁坂吉伸知事を団長に谷洋一県議会議長と私はトルコ共和国を訪問させていただきました。質問に先立ち、その御報告をさせていただきます。
 トルコ共和国訪問の目的は、「2010年トルコにおける日本年」における重要な行事であるエルトゥールル号120年慰霊式典及び和歌山県と串本町で組織する日本トルコ友好120周年等事業実行委員会主催による文化交流事業への参加により、トルコ共和国、とりわけ串本町との関係の深いメルシン市やメルシン県と和歌山県との幅広い交流を促進するというものであります。
 トルコ共和国と日本との交流における和歌山県のかかわりにつきましては、改めて申し上げるまでもなく、大変意義深いものがございます。その契機となったのは1890年のトルコ軍艦エルトゥールル号の串本沖での遭難、そして当時の大島村民による69人の乗組員救出であったということは広く知られているところでございます。この事件からことしがちょうど120年目に当たるということから、日本、トルコ両政府が「2010年トルコにおける日本年」としての実行委員会を組織し、企業から寄附を集めたり参加団体を募ったりして、トルコ国内で日本の文化を紹介する各種イベントを実施してきました。
 私たち一行は、8月31日、関西国際空港22時30分発TK47便にて出発。約12時間のフライトを経て、予定より1時間早く、現地時間で9月1日の午前4時30分にイスタンブール・アタテュルク国際空港に到着。そこから仁坂知事と谷議長は、関西国際空港株式会社の伊藤誠専務取締役、県の担当政策統括参事らとともにトルコ航空本社を訪問し、現在週4往復となっている関西国際空港とイスタンブールとを結ぶ路線の増便要請を行ってきました。
 また、この後、仁坂知事と谷議長は、林克好イスタンブール総領事及び田嶋串本町長とともに、イスタンブール市内にある大統領の夏季邸宅であるタラビエ・キョシュクを訪問し、2年前に串本町を訪問されたアブドゥッラー・ギュル大統領と面会し、串本での歓迎に感動した話やエルトゥールル号をテーマとした映画制作について歓談いたしました。
 一方、私は文化国際課長とともに、TK2458便でアダナ空港に向かい、さらにアダナ空港からメルシン市内へ移動いたしました。
 メルシン市では、約40名の県民の皆さんと一緒に市主催の昼食会に招かれました。夕方には、メルシン・オペラ・バレエ劇場において2010年トルコにおける日本年実行委員会主催によるオペラ歌手、小川里美さんのリサイタルが行われ、出席してまいりました。
 翌9月2日は、いよいよ式典の日。前日夜に仁坂知事及び谷県議会議長と合流し、同じホテルで宿泊した私たちは、メルシン県が提供する車でホテルを出発し、午前10時から地中海に面したアタテュルク公園で田中信明特命全権大使、徳丸伸一海上自衛隊練習艦隊司令官、メルシン県知事、トルコ海軍南部方面指令、メルシン市長らとともに友好の記念植樹を行いました。
 続いて、約1キロメートルほど離れたメルシン市コングレス・エキシビジョン・パレスで、エルトゥールル号が沈んだ串本町大島沖からこの3年間にわたって引き揚げられた調理鍋や陶磁器、コインなどの遺品約300点を展示する里帰り展のオープニング式典に出席しました。串本で引き揚げ作業を行ってきた海洋考古学者のトゥファン・トゥランル氏や仁坂知事のあいさつの後、テープカットが行われ、はるばる日本から参加した180名の県民の皆様とともに、会場内に展示された品々を感慨深く視察いたしました。
 続いて、同じ敷地内の会場でトルコ郵便局の切手展のオープニング式典があり、展示された富士山や日本の風景を描いた図柄のトルコの切手などを興味深く拝見いたしました。
 午後は、最初に県庁を訪れ、ギュゼルオール・メルシン県知事を表敬訪問いたしました。その際、メルシン県知事から仁坂知事に対し、今回の訪問を機会に両県の友好提携についての提案があり、仁坂知事からは前向きに検討したい旨の発言がありました。
 続いて、トルコ海軍地中海方面基地を訪ね、海軍司令に面会、さらにメルシン市役所を訪問し、同市のエルタン副市長に面会をいたしました。
 これらの表敬訪問の後、私たち一行は、「串本通り」と名づけられた長さ250メートルほどの商業ビルやマンションが立ち並ぶ通りを、海上自衛隊、トルコ海軍軍楽隊によるマーチによる先導のもと、日本文化をPRしようと浴衣や和服を着られた方も含め、約180名の県民の皆様、熊野もうでの平安衣装をまとったトルコの女性、トルコの民族衣装や日本の武道の胴着を着た地元の若者たちなどで大変にぎやかなパレードをいたしました。通りを挟むビルとビルとの間に日の丸とトルコの国旗が何十本もかかり、また、国旗の色に合わせた赤と白の紙吹雪が舞う中を行進すると、お祝いに駆けつけてきてくれた多くのメルシン市民が手や国旗を振ってくれ、友好ムードが最高潮に盛り上がりました。
 日本はことしの夏はとりわけ暑かったのですが、メルシン市も負けず劣らずの暑さで汗だくになりながらのパレードでしたが、参加された皆さんも大変喜んでおられた様子が今でも目に浮かびます。
 そして、いよいよエルトゥールル号120年慰霊式典がアタテュルク公園の慰霊碑前で始まります。この慰霊碑は1972年に建てられたもので、大島の樫野崎にあるエルトゥールル号慰霊碑と同じ型なので、一瞬、樫野崎に戻ってきたのかと思うほどであります。この慰霊式には、午前中の一連の行事の出席者のほかにギュナイ文化観光大臣も出席されました。式典は、トルコ海軍及び海上自衛隊による儀仗、亡くなられた乗組員を悼んでの黙祷、両国国歌演奏の後、主な参加者による追悼のあいさつがありました。また、慰霊碑内で記帳を行い、最後に会場に花輪を奉呈して式典は終了いたしました。
 夜は再びメルシン市コングレス・エキシビジョン・パレスに戻り、両国の文化紹介を行う文化交流の夕べが開催されました。和歌山県からは、串本町出身の和楽器奏者による演奏、串本町トルコ文化協会によるメルシン県に伝わる民族舞踊、そして、りら創造高等芸術専修学校の生徒さんや関係者による能や日舞、創作ダンスがこの交流事業でそれぞれ披露されました。会場はメルシン市民ら約700名でいっぱいになり、両国の出演者の熱のこもった踊りや演奏が披露されるほどに、大きな拍手が沸き起こりました。特に、串本町トルコ文化協会による民族舞踊のときは、スタンディングオベーションが起こりました。
 最後に、出演者とともにメルシン県知事、メルシン市長、仁坂知事、串本町長、田中大使らが壇上に上がり、両国、両県、両市町の友好をますます発展させていくことを誓い合いました。
 最終日は、メルシン県のオルジャイ副知事の案内でメルシン県内の代表的な観光地を幾つか案内していただきました。海沿いにある12世紀ごろに築かれたという古い城壁やきれいな砂浜は今後リゾート地として発展する可能性が十分あり、また「天国と地獄」と呼ばれる大きながけ地では、地元の人たちによる伝統舞踊での歓迎を受けました。海沿いのレストランでの昼食では、魚やエビなどの海産物のほかに地元でとれたスイカ、桃、スモモ、ブドウなどのさまざまなフルーツが振る舞われ、いずれも非常においしく、和歌山県と同様に食材についても豊かな土地であることがわかりました。
 こうして私たち一行は、9月4日の午後、関西国際空港に戻ってまいりました。前回のトルコ訪問の際にも感じたことですが、本当にトルコの皆様は親日的です。その中でもメルシン県、メルシン市は特別であります。この訪問を通じお会いした皆様との意見交換の中でメルシン県、市の方々の日本及び和歌山県に対する熱い思いが伝わってきて、私はトルコ共和国と日本、メルシン県と和歌山県との間で今後幅広く交流ができるものと確信したところでございます。
 また、今回、仁坂知事と谷議長らがトルコ航空本社を訪問し、増便の要請をしてきたことを先ほど申し上げましたが、文化遺産の宝庫でもあり、また親日国として知られるトルコへの観光客が近年大きな伸びを見せていることから、来年の夏ダイヤから関西国際空港とイスタンブールを結ぶ直行便が現在の4便から週5便に増便されることとなったことを今回のトルコ訪問の大きな成果として、あわせて御報告させていただきます。
 それでは、質問に入らせていただきます。
 最初に、エルトゥールル号を題材とした映画制作についてであります。
 エルトゥールル号事件とは、エルトゥールル号の遭難に端を発し、現在へと続くこの友好の歴史の中には、他者のための献身的な精神や自国民を愛し誇りに思う精神から生まれた気高い行動など、現在の社会では希薄になりつつあるものを改めて思い起こさせてくれる事件であります。
 また一方で、さきのトルコ共和国訪問の報告でも述べましたように、今、日本とトルコは、このトルコ軍艦エルトゥールル号の事件から120年という節目の年を迎え、友好関係が大変な盛り上がりを見せております。
 そういった中、串本町は、日本とトルコ友好の原点となったエルトゥールル号を題材とした映画制作を企画し、青年を中心とした映画エルトゥールル──仮題であります──制作準備委員会が設立され、その現実に向けて動き出しております。
 和歌山県におきまして、映画制作に対し御賛同を得、企画部で部長を中心に串本町映画関係者と連携し、トヨタ自動車株式会社を初め、日本トルコ協会関連企業、文化庁を初めとする国の各機関等、映画への働きかけを行っていただいていると聞いております。また、9月のトルコ訪問の際にはアブドゥッラー・ギュル大統領を初め、トルコ航空、トルコ海軍からも協力をするとの答えをいただいているようです。11月にはアブドゥッラー・ギュル大統領から脚本を読みたいとの要望があり、脚本をトルコ語に翻訳し、映画監督みずからが届けたと聞いております。
 今回の映画制作の取り組みの意義は、和歌山県民の誇りでもある両国友好の原点にあったものを再び両国民に返し、エルトゥールル号将士の救難に尽くした大島樫野島民、またテヘラン空港から邦人を救出したトルコ共和国の義挙、そこにつづられた数々の人間としての尊厳、善意、自己犠牲、献身の精神を日本、トルコ国民に伝えることが第一義であります。
 また、映画制作につきましては、取り上げられた地域の知名度は上がり、ロケを地元で行えば多くのスタッフが現地に入ることにより経済効果につながります。また、地元と協力して取り組むことで、地域内で連帯感が生まれ、地域の活性化にもつながります。と同時に、本県経済の活性化にも大変寄与するものと考えます。
 広島県尾道市では、映画「男たちの大和」のロケのセットを撮影終了後に公開したことで観光の目玉となり、11カ月で100万人の入館者があり、40億円の経済効果があったと言われております。このほかに、山形県酒田市でも映画「おくりびと」によって6億4000万円ほどの経済効果があったと言われております。
 そんな中で、鳥取県ではロケの必要経費の一部に対し、また茨城県と水戸市では映画のオープンセットの建設に対し補助金を出すなど、映画の誘致に力を入れる自治体がふえてきております。しかしながら、映画制作には多額の費用が必要になりますし、現地撮影ロケも多くのボランティアなどの協力が必要になります。各地方自治体では、今さまざまな工夫を凝らし、映画撮影ロケ誘致に取り組んでいますが、現状ロケ誘致に苦労している中、私たちの和歌山県にはエルトゥールルというすばらしい物語、そしてすばらしい自然が存在しており、他の地方自治体よりも映画誘致、その後の誘客には有利な状況にあります。
 和歌山県におきましても、映画制作を通じて両国間の友好がますます深まる契機となると考えます。映画が制作され、ヒットするようなことになれば大変な経済効果をもたらすと思うところでございます。そういった意味でもこの映画をぜひ成功させねばならないと私は思いますが、知事はどのようにお考えですか。御所見をお伺いいたします。
 また、制作委員会が設置され、映画の制作が正式にスタートした際には、県として、鳥取県や茨城県のように、ロケの経費やオープンセットの建設に対する金銭的な補助をしていくお考えはありますか。あわせてお伺いいたします。
 次に、観光立県に向けてについて質問をいたします。
 本年4月、議員提案による和歌山県観光立県推進条例が制定され、11月7日には観光立県を県民に宣言し、本県もいよいよ、同条例にあるように、観光を本県経済のリーディング産業となるように育成し、観光立県を実現させるために本気で取り組む意欲が見えてきました。
 本県の観光資源は全国区と比較しても上位というわけでもなく、何もしなくてもお客様が来ていただけるというほどの資源ではありません。現在まで観光局におかれましては、職員も知恵を出し、汗をかき、またいろいろな施策を行ってくれ、財政厳しい折の中、予算も毎年ふやしていただいていることは承知しておりますが、本県の観光の現状はまだまだ大変厳しいのが現実であります。他県との競争に打ち勝ち、観光を本県経済のリーディング産業となるように育成するには、観光局の人材の育成、また増員、それに加えて予算の増額が大変重要だと考えますが、知事、いかがでしょうか。御答弁をお願いいたします。
 観光立県に向けて、県民も職員にも議会にも、知事は本当にやるぞと思えるような答弁を期待しております。
 続きまして、観光資源としての世界遺産について質問させていただきます。
 本県の世界遺産登録主要観光地の動態調査を見ますと、高野山におきましては、世界遺産に登録された平成16年の宿泊客数は37万人で、この人数は世界遺産登録前の平成8年と同等であります。平成7年よりは4万人少ない客数であります。それ以降、平成18年の20万人を省いては約31万人で推移しております。世界遺産登録以前の宿泊数より約2万から3万ほど少なくなっております。また、日帰り客を登録前と比較してみますと、微増でしかありません。
 一方、本宮温泉も高野山と同じであります。平成16年、世界遺産登録の年だけ前年を上回りましたが、平成17年16万人、18年15万人、19年14万人、20年14万人、21年13万人と、平成7年から平成15年までの世界遺産登録前と比較して下回っております。登録後の宿泊客数は高野山と同様に減少しております。ただし、日帰り客は3倍から4倍に増加しております。そして、結果として、宿泊客数と日帰り客数の合計で、世界遺産登録以前より以後のほうが増加しているという発表になっております。
 しかし、これでは全体の観光客数が増大しても、本県の観光消費額、また経済波及効果も期待できないのではないでしょうか。観光は訪れてくれる人数も大切ではありますが、本県に対して大きな経済効果をもたらすことも観光では大変重要な要素ではないかと私は思うのですが、この結果を見て、これからの観光施策の中で観光資源としての世界遺産の位置づけについて、商工観光労働部長にお伺いいたします。
 続きまして、紀南地方の観光客減少についてお伺いいたします。
 本県の主要温泉地であります白浜温泉宿泊客数は、平成13年以来6年ぶりに平成19年より平成21年まで200万人台を維持しております。日帰り客数も、減少はしていますが、平成17年以降は安定しています。また、じゃらん全国人気温泉地、もう一度行ってみたいランキングでも、平成19年18位、20年21位、21年18位とまずまずであります。
 一方、勝浦温泉はといいますと、宿泊客数、日帰り客数ともに大幅に減少しています。数字で言いますと、宿泊客数は平成7年最高時と比較しますと、平成21年は50万人も減り、日帰り客は同じく40万人も減少しております。じゃらんランキングでは、平成19年は全国44位、20年は49位、21年も49位に位置しております。これは今までとそう変わらないくらいの順位でございます。
 では、どうしてランキングの順位が変わらないのに宿泊客数、日帰り客数とも激減したのか。今までのランキングでは勝浦温泉単独でこのぐらいの順位でしたが、平成19年、20年、21年は勝浦、串本、すさみの3地域を合わせた順位で、勝浦温泉単独では50位以内には入りません。和歌山温泉地の2強である一方の雄、勝浦温泉がこれほど落ち込んでいるとは紀南地方にとってはゆゆしき事態であります。
 県としても、このままにしておいていいわけはありません。当地方の観光の中心は、皆様方も御承知のとおり、那智勝浦であります。同町の観光が元気でなければ、東牟婁はもちろん、新宮市の活性化もあり得ません。当局におかれましては、この現状をどう認識し、またどう取り組んでいただけるのか、商工観光労働部長にお伺いいたします。
 以上で、私の一般質問を終わります。御清聴、どうもありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの前芝雅嗣君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、エルトゥールル号を題材とした映画制作でございます。
 議員からお話がございましたように、当時の大島島民の方々が遭難されたトルコ軍艦の乗組員の救助や介護について献身的な活動をされたということに、私は深い感銘を受けております。今日の日本とトルコとの友好関係の礎は、まさにこのエピソードから発するものだと考えておりまして、このエピソードを映画化することは、前芝議員の御指摘のように、和歌山の名誉でもあるし、それから観光振興といった面でも非常に意義のあるものと考えておりまして、大変期待しているところであります。また、この企画にかける田嶋串本町長などの方々の情熱にも心を打たれるものがございます。
 県では、映画制作が実現されるよう、串本町と連携して民間企業の賛同を得るための活動等に取り組んでおります。ある企業のトップに私本人からもお話をして、協力を取りつけるきっかけもつくりました。また、脚本制作費も助成したところでございます。
 現在、担当部局において町及び映画制作関係者と定期的に会合を持ち、情報交換を行っているところでありますが、今後、映画制作の実現のためにできる限りの協力をしてまいりたいと考えております。
 次に、観光立県に向けてということであります。
 観光につきましては、本県経済の活性化や地域振興につながる県政の最重要施策と考え、知事就任以来、和歌山を売り出す、和歌山へ招く、和歌山でもてなすを観光施策の柱に、誘客を図るためのさまざまな取り組みを進めてきたところであります。
 現在、本県におきましては、より一層の誘客を図るため、世界遺産や温泉など、本県を代表する観光資源を活用した取り組みに加え、観光客の嗜好やニーズに合わせたわかやま○旅プロジェクトやターゲットを明確にした年金旅行の誘致など、新たな切り口での誘客に取り組んでいるところであり、また、インバウンドにつきましても海外エージェントへの働きかけやチャーター便の誘致などに努めております。
 これら効果的な観光振興施策を推進していくため、人材の育成や予算の重点配分など、人的、財政的な充実強化についても検討してまいりたいと考えております。とりわけ、観光振興の業務は専門性が高いということから、観光局の職員につきましては、地域の観光関係者との連携強化、あるいはマスコミやエージェント、民間事業者との協働事業を通じ、能力の向上等、知見の蓄積に努めさせているところであります。業務量等の必要に応じ増員も考えていかなきゃいけないと思います。
 2期目の県政を進めるに当たり、まさに観光が和歌山を元気にするため最も重要な施策であることからも、知事である私が先頭に立って観光振興への取り組みを進め、観光立県和歌山の実現を図ってまいりたいと考えます。本当にやるよという心意気で頑張ります。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 観光資源としての世界遺産についてですが、高野・熊野の世界遺産登録地域2市6町における平成21年の宿泊客数は約346万人で、登録前の平成15年と比較して3.2%の減少となっております。
 一方で、平成21年の日帰り客も含めた観光客総数は約1065万人で、平成15年から13.9%の増加となっていることから、その登録効果が一過性ではなくブランド力となって定着し、誘客に大きく寄与しているものと認識しております。
 世界遺産地域の集客力を宿泊に結びつけるということは、議員御指摘の経済波及効果の観点からも非常に重要であり、高野山、熊野三山という霊場と古道歩きの魅力はもちろんのこと、豊かな自然や良質の温泉、地域食材を生かしたグルメ、今も語り継がれる伝説・伝承、温かな人情など、世界遺産地域が有する多様で奥深い魅力について、マスコミや旅行会社、PRイベント等を通じて、ゆったり過ごす旅を提案、発信するとともに、海外を含め首都圏等に向け積極的に売り込むことにより滞在時間の延長や宿泊日数の増加につなげていきたいと考えております。
 また、日帰り客につきましては、地元事業者との連携による地域グルメの活用や土産物の販売促進を検討し、さらなる購買力の向上を図ってまいります。
 次に、紀南地方、特に勝浦温泉の観光客の減少についてでございますが、勝浦温泉への入り込み客数につきましては、議員御指摘のとおり、平成21年はその前年と比較して大幅に減少したことから、県としましても地元と危機感を共有しつつ、さまざまな取り組みを進めております。
 那智勝浦町は、世界遺産である那智山周辺を初め、多種多様な源泉を持つ温泉やマグロなど海の幸を生かしたグルメ、環境省の快水浴場百選で特選に選ばれた那智海水浴場など、すばらしい観光資源を豊富に有しています。
 県では、これらを観光客の誘致につなげるため、例えば、魚市場の見学を含む漁港ならではのまち歩きなど、新たな観光メニューの創造や、女性誌等において那智の滝や大門坂が昨今ブームとなっているパワースポットとして紹介してもらえるよう働きかけるなど、勝浦の観光地としての魅力向上、マスコミ等を通じた情報発信を推進するとともに、11月には全国各地から32の信用金庫の担当者を勝浦へ招き、信用金庫が主催する団体旅行の誘致に向けた現地視察を含むセミナーを開催するなど、地域と連携しながら鋭意誘客に努めているところです。
 今後とも引き続き、本県を代表する観光地の1つである勝浦温泉への誘客促進が紀南地域の、ひいては県全体の観光振興につながるとの認識のもと、年明け1月に予定している首都圏での大規模キャンペーンなど、あらゆる機会をとらえ、串本町など周辺地域の情報も含め、勝浦が持つ観光地としての魅力を大いにPRし、観光客の増加に向け、さらに積極的に取り組んでいきたいと考えてございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 以上で、前芝雅嗣君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は12月13日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時20分散会

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