平成22年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時2分再開
○副議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 では、早速、議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
 私は、今回、本来専門ではないんですけど、県内の中小企業の育成に関して少しいろんな方とお会いして議論する中で、ぜひこれを議会で取り上げていきたいなということで、中小企業の育成について、まず知事と商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。
 1つは、知事は第2期県政の政策の基本的な考え方の中で、働く場をもっとふやす、中小企業や農林水産業、観光業など本県の経済を支えている産業振興や企業誘致など、新たな雇用を生み出し、和歌山の元気創造につながる分野において県庁の英知を集結し、日本一と言われる振興策を講じてまいりますとうたっております。私は、その中で、県内の中小企業の育成についての考え方と支援機関のあり方について、まず知事にお聞きしたいと思います。
 もう1つは商工観光労働部長にですが、中小企業への施策に伴う成果はどうでしょうか、やる気のある企業掘り起こしの成果はどうでしたか、また、県の支援を受け、技術開発した企業は順調に成長しているのでしょうか、お尋ねします。
 私は、主に和歌山の地域資源を生かした地域経済を活性化できないか、関係する生産者や加工業者や専門家の方との交流を深めてきました。地域資源を生かした生産、加工、販売など新商品開発、和歌山のブランド化など、掘り起こせばやる気のある企業はたくさんあります。その企業や集団に行政と研究機関が手を差し伸べて事業化への道筋を示せれば、できる可能性がたくさんあるということを最近痛感しております。
 また、零細企業であっても技術開発し、新商品を開発して事業化、つまり製品を実用化して内外で評価を受けた企業も育ってきています。本来なら、技術開発し、商品化したものを事業化し、販売促進につなげ、雇用拡大を図る事業として、できるものならそうなっていってほしいんですが、そうならない企業もあります。また、継続した企業成長につながらず、途中で挫折しかける企業もあります。私はこれらの現状を見て、和歌山にやる気のある企業はありますし、何とかして生き延びようと頑張っています。
 県は、本年の4月に定めた和歌山県産業技術基本計画で、県下の中小企業への具体的施策を示しています。県の支援を受け、技術開発と新商品化した企業が事業化し、生産し、販売していくところまで行政や関係機関がどうかかわれるかが今問われていると思います。研究開発を支援した後からは企業努力で頑張りなさいでは、続いていかないのではないかというふうに思います。
 やる気企業の努力成果、つまり技術開発、新商品開発を県の財産として位置づけ、その企業が内外に打って出ていけるように支援していく体制、つまり研究開発、商品化、事業化、販売への一貫した企業への支援体制が今求められているのではないでしょうか。そのためには、わかやま産業振興財団の今果たす役割は大きく、ここがその役割を担うことが県内企業育成の責任を果たすと考えますが、どうでしょうか。第1点についてはこのことであります。
 次に、2点目の農業振興策の中の農業振興について、特にTPPについてです。昨日、松坂議員からも同じテーマですが、私は私なりの観点で述べさせていただきます。
 TPPについてですが、1990年代、ガット・ウルグアイ合意を初めとした貿易の自由化、関税撤廃措置により、オレンジの自由化はさることながら、木材の輸入自由化によって林業は壊滅的被害に遭い、山が崩壊し、我が和歌山県の農山村の過疎化をもたらしてきました。和歌山県の基幹産業である木材産業の現状は説明するに及びません。今回のTPPは、参加国間の関税を原則撤廃して自由貿易を行うことを前提としたものです。
 政府は食料・農業・農村基本計画を策定し、平成32年までに食料自給率50%達成を目指し、TPPが締結すれば農水省の試算では14%に低下するということをうたっております。しかも、現状の日本の農産物平均関税率は、きのうも言われておりましたが、2番目に低いんです。EUは19.5、韓国が62.2%。こういった、鎖国であるから開国とは何とやということを言いたい。既にもう開国しているんです。
 TPPによる国内、県内への影響については、細かくはきのうのとおりです。松坂議員のとおりであります。TPPによって、第1次産業を初めそれに関連する産業と雇用への影響は、和歌山を初めとした農山村を多く抱える地域は消滅しかねない事態になります。私は、これらの影響を受けるという観点だけでなく、根本的な国は国民の国土を守るという義務のもと、都市も農村も均衡のとれた維持、発展を進めるべきであり、独立国家として国土を保全し、食料安全保障を維持することは国家の生命線であると考えます。
 そこで、こうした国、県への影響を踏まえ、知事はTPPに関してどう考えているのか、知事として国に対してどう意見を述べていくのか、お尋ねします。
 次に、農山漁村の活性化に向けた6次産業の推進についてです。
 農山漁村の活性化を進めるための取り組みについてでありますが、紀南地方の農山漁村の現状を見ると、農林水産物価格の低迷等による所得の減少、高齢化や過疎化の進展等により、その活力は著しく低下しています。紀南地方の地域資源は、多種多様な農林水産物と豊富な観光資源であります。こういった中で、この地域資源を組み合わせた6次産業の育成が不可欠であると考えております。
 農林水産省においては、本年3月に公表した食料・農業・農村基本計画において、6次産業の推進を政策の柱の1つとして位置づけ、この臨時国会は閉会されましたが、その6次産業に関する関連法案が成立しました。6次産業の推進に向けた環境整備がこのように進み、整ってきているわけであります。
 そこで、1つは、和歌山県の農林水産業、農山漁村の持っている地域資源と2次産業、3次産業との融合、連携によって新たな付加価値を生み出して農林水産業の産業化をつくり出し、事業化する方針を立てる必要に来ていると思います。これは、農林水産部と商工観光労働部が連携して、国の制度と方針を活用して政策的に取り組むことが今求められていると思いますが、どうでしょうか。
 2つは、国の制度は、中身を見てみますと規模的に大変大きく、地域と食品加工産業と連携するシステムになっていますが、それだけでなく、紀南では地域密着で地域の小規模の生産、加工、販売の6次産業育成も県単独で進める必要があると思います。和歌山県においては、昨年度から生産、加工、流通、販売までの一体的な取り組みを支援する新農林水産業戦略プロジェクトを展開しており、時代を先取りした施策として私自身も高く評価しているところであります。
 事業実施主体のほとんどが、その内容を見ますと農協や漁協で、地域の農産物を活用して加工などを行う小規模な生産者グループなどの取り組みが余り見られません。大変残念であります。今後、6次産業化を推進していくためには、農協や漁協に加えて、小規模な生産者グループなどの多様な団体が食品加工や販路開拓などに積極的にチャレンジすることが必要と考えています。地元生産者などからは、新農林水産戦略プロジェクトの求める事業内容や目標はレベルが高過ぎるなどとの意見があり、もっと取り組みやすい仕組みづくりが必要と考えますが、この点について農林水産部長のお考えをお伺いいたします。
 次に、梅の現状と課題についてです。
 梅の現状は皆さんも御存じのとおり、梅産地の現状については、梅産農家は一昨年から非常に梅干しの原料価格の低迷で生産意欲が薄れ、農業を継続していくことに対して非常に不安を感じています。ことしの平成22年の実態を見ますと、皆さん御存じのように、10キログラムのたるの原料価格が平均3800円です。10キログラムのたる、梅干し原料の生産費コストが、この間、農協が試算しているんですけど、5308円。これは、私なら私がつくっている梅の加工していく段階での人件費が含まれていない中での5300円であります。
 ところが、もう7年前ぐらいに和歌山大学が学生と教授との間で和歌山紀南の梅干しの生産コストはどれほどかかっているんだろうかという調査をしました。その生産費コストは、大体最低6000円以上なければ農家が再生産できるものではないというふうに発表されております。昨年、ことしにかけて農家がつくればつくるほど1たるに当たって1500円余りの赤字となり、農家経営が続けられない大変厳しい状況になっております。
 梅産業は、皆さんも御存じのとおり、和歌山県の地域経済に与える影響、地方自治体への税収入の影響から見ても基幹産業としての役割は大きい。また、梅は、生産農家、加工業者、販売業者、関連資材業者、運送業者などの多くの方々が、その地域の産業複合体として、またお互いに運命共同体として地域経済を支えてきました。今ここに至って、梅の原料価格の低迷による梅農家の危機が梅産業全体に与える影響、地域経済への与える影響ははかり知れません。
 そこで、私は、梅生産農家が再生産できるようにしていけるための立場から県当局に提言し、今後の参考にしていただけたらありがたいなと思います。
 それは、まず梅干しというのは生果でない。市場ですぐに売って全国にはかさなきゃならないというものではなくて、まず保存できるという市場に支配されない、そういうものであります。
 もう1つは、紀州梅は全国生産の62%を占めます。まさにメジャーであります。そして、梅干しは全国の58%を占める250万たるが全体のシェアを支配しているわけであります。また、中国からの輸入はピーク時の2分の1の220万たるに減って、最近はむしろ減少傾向になっております。
 そこで、そんな客観的な状況を見まして、まず1つは、生産者の生産コストに見合う梅干しの原料価格にするためにどういうことが必要なのかということを私はずっと考えてきました。また、農家の皆さんとも御相談させてもらいながらやってきたんですけど、農家の生産コストに見合った梅干し原料取引価格決定の今の枠組みづくりが、現状は加工業者主導で決められております。これを、むしろ和歌山大学がずっと計算したように、生産コスト、加工・販売コスト、店頭価格などを勘案して基準価格を算定する第三者機関を設置する。交渉においてはそれは何も拘束力はありませんが、基準として参考資料としてお互いに交渉の中でのものにしていければ、もう少し地域的に、社会的に梅干し原料価格がどのようにつくられていくかというその労働力や過程が理解されてきて、それだけの生産コストに見合う原料価格が少なくとも5000円から6000円の価格がなければこれからの梅産業の梅産地が育っていかないということが理解されていくんではないかというふうに考えます。そういう意味では、県当局もこれをぜひ考えながら地域におけるそういう考え方に協力していただけたらありがたいと思います。
 2つ目は、紀州梅のブランドを維持していくという意味で、一昨年から非常に私自身も危機感を感じております。今の全体のデフレ傾向の中で、すべての量販店で出回っているのは、安ければいい、コストが安ければいいという流れがずっと続いております。これにいかに巻き込まれない地域産地のブランドを守っていくかということは全国でも非常な戦いをしております。
 例えば、福岡なんかは明太子が、あそこは産地でないから非常に戦いにくいんですけど、切れ明太とかそういう形で大量に生産する企業が進出してきて、今までのブランドを守っていた福岡の産地が非常に取り崩されてきている。こういう危機とか、その中でも米においてはいろいろと努力しているところもあります。魚沼ブランドは、こんな安値になっている中でも価格は一つも落ちておりません。それは地域、地域で頑張っております。
 そういう意味では、この梅が一昨年から、今までは大手は手をつけていなかったものまでが、わけあり梅とか切れ梅とかつぶれ梅とかいう形で大変に量販店に出回るようになりました。これは、ひいては産地が非常に取り崩されていく。産地は梅が62%を占める量を持ちながらあるのですから、これをきちっと守っていけばどこからも動かされないのですけど、そういう切れ梅、わけあり梅で低価格の商品が出回る事態を招いているのを見過ごしてしまうと、まさに梅産地のブランドが総崩れになってしまうんではないかと。そのことによって、本来の梅生産コストに見合う梅原料価格の足を引っ張ってくると。こういう形になっていますので、これについては私はいろんな手だてをしながら、梅のそういう外品と言われているんですけど、それを梅肉にするなど新たな加工戦略を組みながら、産地を守っていく方策を県当局も考えていくべきではないかというふうに考えているわけです。これについて知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 次に、「肥料高騰、これからの農業」ということで書かしていただいてるのは、実は2008年の肥料高騰のときに私も議会で質問したことがあります。最近においては、肥料の原料の、中国を中心として争奪戦が開始されたというふうに新聞でも報道されております。そういう意味では、肥料の輸出がどんどんどんどん制限されてくる事態、これからいわゆる高どまりになっていくんではないかというふうに思っております。
 そういう意味ではもう一回原点を見直して、梅では、生産コスト高で去年、ことしにかけて非常に厳しかったので廃園する農家、そして肥料はことしもうやらんねんという農家が現実に生まれてきております。いかに肥料コストを下げるために我々は県内の農業生産を強めていくかということについては、これはぜひとも今度は本腰を入れて考えていかなあかん。だから、化学肥料と堆肥とを有機的に結びつけて、例えば梅や柿やミカン、桃といったところに対してどんな肥料をすればコストダウンになって成長していけるかということの研究も含めてですが、そういうことと、もう1つはこういう輸入資材に頼らないで地域の未利用資源を使った堆肥生産も十分考えていく必要があるのではないか。実はそういう意味で、低コストな生産体制など地域循環型農業をどう構築していくか、これが大切な時期に来ていると思いますが、いかがでしょうか。
 また、最後になりますが、県農と連携した販売促進。たまたま県農とTPPのことも含めてお話しさせてもらったんですが、実はその組織図をずっと見てみますと、県農はほんまに全体として全国シェアを持ちながら、東京、名古屋、大阪に事務所を置いて、和歌山県の農産物をどないして売っていくかという人も組織もきちっと充実させているんです。
 そこで、私は、県が食料を売っていくための農産物のイベントやいろいろ手だては十分にやっていただいておりますが、ここでこの組織を使わんかんべんないなと。県農組織を思い切り使って、そして県農産物を、頑張っている食品流通課が中心にして、商工観光労働部も含めてですけど、ここと提携すれば人と組織を使ったより合理的な、全国的な販売に入っていけるんではないかということでちょっとお話しさせてもらったんです。これは、まさにお互いに一体になって京阪神を含めた隣接の販売へも大きな力を発揮できるんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 次に、林業振興についてであります。
 私は、紀州の林業には未来があるということでいつも訴えさせていただいております。そこで、和歌山県の木材自給率が、国が50%達成に向けた林業活性化をどうしていくかということの提案がされていますが、今、山村の人たちは間伐などの林業活動を続けていますが、木材の値段の低迷など、林業は依然として非常に厳しいものがあります。しかし、林業への展望、環境は切り開かれてきております。
 和歌山県は、戦後に植えた杉やヒノキの人工林がやっと大きく育ち、利用可能な人工面積が10年後には2倍になるなど、和歌山県の林業は活性化に向けたそういう体制ができています。
 国では、昨年、10年後の木材自給率を50%以上にすることなどを目標にした森林・林業再生プランがつくられました。先月末には、ことし1年間の議論を踏まえ、このプランの具体化に向けた計画の最終取りまとめを行っています。この取りまとめでは、国、県、市町村、森林所有者がそれぞれの役割のもと、自発的な取り組みを維持することを前提に、市町村計画のマスタープラン化をし、森林管理・環境保全直接支払制度を新設されました。低コスト林業の確立のための路網の整備の推進、林業事業体や人材の育成、国産材利用の拡大などを含め、林業を成長産業の1つにするというふうに目指されております。これは、和歌山県としては本当にいい環境が整ったのではないかというふうに考えております。この国の政策を受け入れ、県や市町村、行政当局の力量が今試されるというふうに思います。
 本県では、現在、古くから紀州材として培われてきた柱材や製材だけでなく、プレカットなどの新しい製品加工など、さまざまな木材製品が活性化しつつあります。こうした加工場の整備とともに、それぞれの加工場が必要とする木材を量、質ともにそろえてきちんと供給できる山側の体制整備、つまり山側の木材生産から川下の製品加工などに至る総合的かつ具体的な施策の実施が必要となります。そうすることで、山だけでなく、まさに木材まで含めた地域全体の雇用、経済が活性化してくる、これは私は非常に心を躍らせているんです。
 かつての田辺周辺、311号線沿いの中辺路、大塔、本宮、すさみ、日置川、こういったところでじゃんじゃん製材がなってきた時代を私は体験してるんですが、そのことを夢見ながら、この政策を本当に具体的にするなら、過疎化した中山間地域での新たな基幹産業として育っていくのではないかということを期待しているわけであります。
 そういう意味で、県がアクションプログラムを策定し、低コスト林業として進めてきた作業道や高速機械の整備などはもちろんですが、地域の森林整備事業全体を的確に把握し、森林組合や素材生産業者、さらに建設業者など、林業を担うことのできる事業体を総合的に調整する森林管理局的な組織も必要になってくるんではないかというふうに考えております。県も、森林組合だけに事業を任すのではなく、建設業者などさまざまな事業体の参入を促すべきであるし、そうした事業体の調整に積極的に役割を果たすべきだと考えます。
 いずれにしても、いよいよ利用が可能となってきた和歌山県の森林を活用し、国が掲げる木材自給率50%の実現に向けて具体的にどのように対策を進めるのか、農林水産部長にお伺いします。
 次に、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律等を踏まえた紀州材の利用拡大についてです。
 去る10月1日には、公共建築物等における木材利用の促進に関する法律が施行されました。この法律は、国がみずから率先して木材利用を図るため、公共建築物における木材利用の基本方針を作成し、国が整備する公共施設の木造化の目標を定めることなどを内容とするものであります。
 この法律では、地方公共団体に対しても、公共建築物における木材利用促進に関する施策策定など、木材利用に努めることが求められています。せっかくできたこの法律の精神を生かして、県内の公共建設は本当にすべてが紀州材を使っていくんだという意気込みぐらいを持ち、県と市町村それぞれに強力に紀州材使用を進めてほしいと考えます。
 この公共建築物等における木材利用の促進に関する法律に基づき、市町村への法律の趣旨徹底も含め、県はどのような取り組みを進めるのか、農林水産部長にお伺いします。
 最後になりましたが、福祉事業団と地域福祉団体の連携についてであります。
 和歌山県福祉事業団と地域福祉団体の連携についてでありますが、第1点は、県は県立障害児者入所施設の来年4月からの民間譲渡をするとして今議会に議案として提出されていますが、そのことによる施設利用者へのいわゆる影響、サービスの質の低下は招かないのか。民間譲渡に伴い、福祉事業団への管理監督指導が十分されるのか。譲渡に伴う県との契約は十分なのか。
 2つ目は、県福祉事業団は民間福祉法人として紀北から紀南全域を統括する事業所として、つまり大組織としての弊害はないのか。地域に行き届いた事業所運営ができるのでしょうか。
 また、地域に密着した地域の障害児童相談所等は県下に108カ所あります。県福祉事業団が地域福祉事業所と連携・協力して地域要望にこたえていくための指導は県はどう考えているのかお尋ねして、1回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県内の中小企業の育成につきましては、かねてから実施しております産業別担当者制度を生かした企業の業況把握に努めるとともに、豊富な民間人材を有する財団法人わかやま産業振興財団をワンストップ窓口として、県内すべての企業を対象に各種相談に応じ、これを進行する体制を整えております。
 また、やる気のある企業に向けては、専門家の派遣や経営革新計画の認定、国内外に向けた販路開拓支援など、さまざまな支援を実施しております。
 さらには、当該財団を中小企業振興の中核支援機関と位置づけ、産学官連携を初め先進的な研究開発支援を行う工業技術センターなどとも連携し、地域経済の活性化や雇用の創出に向けて取り組んでまいります。
 次に、TPPでございますが、昨日も答弁しましたように、この問題については二面あると考えております。すなわち、参加しないことで他国との競争上、日本が不利に置かれて日本経済が破綻しないかということと、逆に、参加することで壊滅的な打撃を受ける産業が出てくるのではないかという面であります。これらについては、影響を産業ごとに的確に把握し、それぞれの産業についてどのような対策が必要か見きわめ、慎重に対応すべきであると考えております。
 農林水産業につきましては、現政権は生産性の向上や競争力の強化のための施策を予算にして60%もカットし、さらにその政策を今のところ承継し、その政策を転換し、さらにもっと強化するという考え方もないようでありますが、その中でいきなりTPPに入るということは、これは常軌を逸していると感じているところであります。
 県といたしましては、議員お話しの農山村への影響も含め、農林水産業全般に関する影響を分析するとともに、それに対して基盤整備などどのような対策が必要か十分見きわめた上で国に対してきちんと要求をしていきたいと思っております。
 次に、梅の現状とその課題でございます。
 梅の現状につきましては、近年、経済不況に伴う消費者の購買力の減退と低価格指向が進む中、梅たるの取引価格が低迷し、梅産業の持続的発展には非常に厳しい状況にあると承知しております。こうした中、県ではこれまで、梅の需要拡大を図る観点から、販売促進の強化を初め、新商品開発や輸出拡大に力を入れてきております。例えば、首都圏において梅の持つ機能性をPRするためのフォーラムを開催するなど、活発に活動しております。
 一方、供給過剰といった新しい事態に対処するため、関係者が力を合わせながらこの局面を打開していくことが何よりも大切と考え、生産農家を初め加工業者や関係する農協、市町で構成するうめ需給・販売対策会議を去る7月22日に設置したところであります。この取り組みとして、生産農家と加工業者による話し合いの場を設け、お互いの情報を共有し、歩み寄れる方策について検討しているところであります。
 今後、流通の専門家を招いた現地検討会を開催するとともに、うめ需給・販売対策会議で県がコーディネーター役を果たしながら、議員からの提案を含め、より具体的な梅振興についても検討を進め、将来につながる道筋を見出してまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 技術開発と新商品開発、中小企業への支援の取り組みと成果についてでございますが、技術開発につきましては、昨年制定した和歌山県新技術創出推進条例を踏まえ、本年4月に和歌山県産業技術基本計画を策定し、新たな技術の創出等に向け、戦略的に取り組んでおります。また、新商品開発では、地域資源を活用したわかやま中小企業元気ファンド等の各種補助制度を実施するとともに、販路開拓では本年4月にアクションプログラムを策定し、国内外への出店等を支援しております。
 このように、やる気のある企業に対しては、議員御指摘のとおり、わかやま産業振興財団を中心に企業の掘り起こしから販路開拓まで一貫して支援を行ってまいります。
 なお、成果の一例といたしまして、商工会の企業カルテ活動で発掘された事業者が経営革新の計画認定を取得、さらには画期的な冷凍システムの開発を通じ、首都圏等への販路拡大を行った例があり、中小企業庁の「元気なモノ作り中小企業300社」にも選定されてございます。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) まず、農業振興についての3点について、一括してお答えいたします。
 まず、農山漁村の活性化に向けた6次産業化の推進についてでございますが、議員お話しのように、農林漁家の所得が低迷する中で、農林水産業を核に2次産業、3次産業へと産業のすそ野を広げることで新たな付加価値を創出する6次産業の推進は、今後の農林水産業振興の基本施策となるものでありまして、過疎化が進行する農山漁村においては新たな産業を生み出し、雇用の拡大にもつながるものと考えております。
 このため、県では昨年度から生産、加工、流通、販売の総合的な取り組みを支援する新農林水産業戦略プロジェクトを推進しており、これまでに18のプロジェクトが始動する中で、地域特産物の育成や新商品開発、また、新たな販路の開拓などが進みつつあります。今後とも、こうした成果や先進的な取り組み事例のPR活動を通じまして、新規プロジェクトの掘り起こしに努めてまいりたいと考えております。
 また、食品産業と連携した商品開発など農商工連携の強化、さらにはさきに成立したいわゆる6次産業化法に基づく国の施策活用や小規模農家グループに対する支援策についても検討し、和歌山県としての総合的な6次産業化の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、肥料高騰、これからの農業についてでございますが、肥料の原料価格が高騰する中で、農業の原点に立ち返り、土づくりを基本とした化学肥料に依存しない循環型農業を進め、低コスト化を図っていくことは重要であると考えております。このため、一昨年、家畜の堆肥を活用した施肥指針を品目別に作成し、これを基本に、低コストな施肥の普及とともに地域に存在する有機資源の活用を推進しているところでありまして、県内では、有機栽培実践グループと食品関連業者、リサイクル業者が連携した食品残渣の肥料化など、資源循環のモデル的な取り組みが広がりつつあります。
 今後、農業試験場が中心となって取り組んでおります肥料効果の高い鶏ふん堆肥の開発・実用化などの試験研究をさらに進めるとともに、地域において活用できる資源情報の収集、提供を行うなど、栽培品目に適した資源循環型農業をより一層推進してまいりたいと考えております。
 次に、県農と連携した販売促進についてでありますが、本県農産物のすばらしさを全国に情報発信し販売促進につなげるため、県農等JAグループとの連携は非常に重要であると考えております。このため、これまで大規模なPR活動やフェアの開催といったイベントにおける連携に加え、継続的な取り組みとして、県農と関係が深い食品スーパーの店舗を活用しながら加工品を含めた県産品の売り場確保に対する支援を行ってきております。
 また、県と県農との間でプロジェクトチームを設置し、わかやまブランドの向上に向けた生産・販売戦略について検討を重ねているところでありまして、今後、議員お話しの視点も踏まえ、県農等JAグループと一体となって京阪神など大消費地における県産農産物の一層の販売促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、林業振興についての2点についてお答えいたします。
 まず、木材自給率50%達成に向けた林業活性化の具体策についてでありますが、本県では、森林資源の充実等を林業活性化の絶好の機会ととらえ、これまで紀州材生産販売プランに基づき低コスト林業や紀州材の利用拡大を積極的に展開した結果、間伐材の増産や需要拡大など、着実に成果を上げてきたところでございます。
 今後、紀州材の一層の増産のためには、基盤整備を基本として効率的な作業システムの確立と、その担い手である事業体や人材の育成、さらには紀州材の販路拡大が急務であると考えております。このため、木材の搬送が可能な基幹的な作業道と効率的な間伐作業等のための作業道などの路網整備を集約化された団地内で一体的に進めるとともに、路網を補完する架線系の機械や走行性能にすぐれた車両系の機械など、本県の急峻な地形に適合する機械の選定、導入を進めてまいります。
 また、林業技術研修の一層の充実等により、事業体の新規参入の促進と路網整備の技術者等の人材育成を図るほか、紀州材の大都市等への販売促進や、乾燥材、プレカットなどニーズに即した加工体制整備、さらにはマスタープランとなる市町村森林整備計画や直接支払い制度などの国の新たな制度も有効に活用しまして、本県林業、木材産業の振興に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、紀州材の利用促進につきましては、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の施行等を受け、現在、県が整備を行う公共建築物での木材利用促進のための木造化を促進すべき建築物の基準等を内容とする木材利用の促進に関する方針を、関係部局と連携を図りながら策定中でございます。また、市町村に対しましても、木材関係団体とともにすべての市町村を訪問し、木材利用に向けた市町村方針の策定など、公共建築物等での木材利用を促しているところでございます。
 県といたしましては、こうした方針の策定をばねに公共建築物等での木材利用を一層促進し、紀州材の利用拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 福祉事業団と地域福祉団体との連携についてお答え申し上げます。
 県立障害福祉施設の譲渡先となります社会福祉法人和歌山県福祉事業団につきましては、県が昭和40年に県立福祉施設の管理運営を行うことを目的として設立いたしまして、以来、今日まで県立障害福祉施設の管理運営等を担ってきております。
 県立施設の民間譲渡につきましては、現在の指定管理者である福祉事業団のこれまでの適正な管理運営の実績により、また、入所者や保護者の方々の譲渡に対する御理解のもと、施設利用者へのサービスの一層の向上につなげることを目的として行うものであります。
 なお、福祉事業団は現在の指定管理者制度においても自立した経営を行っておりまして、譲渡によって施設の経営環境が変わるものではありませんが、県といたしましては、今後とも福祉事業団が地域における社会福祉事業の担い手として、他の事業者や地域の方々とともに連携・協力を図りながら住民ニーズに応じたきめ細やかな福祉サービスを提供するよう、必要に応じ指導等を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 まず、商工観光労働部長に再質問という形でお願いしたいと思います。
 私は、先ほども言いましたけども、技術開発し、新商品化した元気ある企業をどう伸ばすのか、その支援に行政はどうかかわるのかということについてもう少し具体的に示していただけたらありがたいし、もう1つは、新しい技術と新商品が全国でただ1つしかないと。内外にもう評価されていて県外でも高く評価されながらも、その商品が県内の公共や民間に広く活用されない状況はどこに問題があるのかなと、非常に私自身寂しくなることがあります。
 その方の意見を聞きますと、ある県では、そこの住宅公社が木造住宅すべてに利用するとか、ある企業はそれを全面的に活用するとかいう評価をしてその能力、技術を評価していながら、和歌山県内で余り利用されていないと。ここにやっぱり知事が言うように、日本一のという言葉を私は真剣に受けとめて、やっぱり育っている企業、しかも内外に少ししかない、和歌山県でしかないその技術を開発した商品を和歌山県の財産にしながらその企業が内外に打って出る支援策が、それはお金ではなくて、そういう支援策をやっていくことが大切だなというふうに痛感しております。そういう意味で、具体的にそういう対策を今後どう考えていくのか、商工観光労働部長にお尋ねします。
 要望は後で言います。
○副議長(山下直也君) 再質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 再質問につきまして、一括してお答えいたします。
 さきに答弁しましたとおり、やる気ある企業に対しましては、県が中心になってわかやま産業振興財団や経済団体、県工業技術センター、県内大学等と連携しながら、企業の掘り起こしから販路開拓までを一貫して積極的に取り組んでおります。特に、新しい技術や新商品で県外で高い評価をされながらも県内の公共、民間に広く活用されていない状況については、和歌山県試し買い制度や公共事業での優先使用を進めております。
 県といたしましては、今後とも、やる気ある県内中小企業の振興の観点に立って、庁内関係部局とも連携し、積極的な販路開拓支援に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再々質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 今の件については、ぜひ直接そういう方との懇談も含めてやりながら問題点を解決していただきたいと思います。これからやっぱり中小企業育成という意味では、和歌山県にそういう企業は育っているし、育っていくんですから、そういう積極的な事例を残しながら、次に頑張る人の奨励になっていくというのかな、そういう励ましになっていくということになると思いますので、和歌山県が少なくとも中小企業に信頼される政策をお願いしたいと思います。
 それからもう1つ。次に要望ですけど、6次産業についてですけど、この前、2010年の農林業センサスによるデータを見まして、先ほどは6次産業として県内の農家の農産物の加工をやっているのは、平成17年のデータは515だったんですが22年は1470というふうに、農家が今までただつくって売るというんではなくて、加工して売るということは3倍以上に、農家が付加価値をつけて何とか売って収入を得ようという努力をされております。
 そういう意味では、先ほども言った大企業、大手食料機関とやっていくというのはあるんですけど、そういう小規模で地域のグループが自分たちのつくったものをその農村地域でやっぱりそれを加工して売っていくと。そういう付加価値をつけて売っていくということについても、国は大きな施策として億という単位の例えば負担──我々受益者負担は1000万以上かかるような大きなものが多いですけど──そういう小規模なことについてもきめ細かく指導いただけたらありがたいと思います。
 それから、次にTPPについてですけど、知事の御答弁、僕としては評価したいと思います。ほんで、きょうの新聞を見てみますと、やっぱり国自身が、韓国は今の北朝鮮問題で非常にアメリカとの提携をして、何とかという提携をしながらも、韓国とアメリカがFTA交渉の中で今やっているんですけど、その中で肉の関税率を下げて全面にアメリカの肉を韓国に入れろということで今がんがんやられているんです。それで今、緊張の中のアメリカと韓国の提携の中でも、この肉の関税引き下げというのは一切受けつけないという、ばーっと拒否しているんですね。
 やっぱりそういう国としての態度をやっておりますんで、我々は和歌山県だけでなくて、全国の過疎や農村地域だけでなくて、それにかかわる産業経済が侵されない、よりそれによって競争力を高めていく、そういう産業に育てる状況をまずつくり上げることが国の責務だというふうに私は考えているんですが、その点、ぜひとも知事を先頭に頑張っていただけたらと思います。
 それから、梅のことについてぜひとも──これを知事に質問したというのは、梅産業の実態がやっぱり紀南の実際の地域産業の中心になっていますんで、できるなら、以前にも──農家のそういう形の皆さんとの梅の実態をぜひ懇談などしていただいて、実態をまずつかんでいただいて方向性を農協も含めてつかんでいただけたらありがたいと思っております。
 次に、最後になりますけど、林業はもう私が言ったように、国はどんどん言うてきてます。しかし、法律をつくり、施策をつくり、公共建築物についてはやるんやということも言うてますけど、その財源的裏づけはここの直接支払い制度ぐらいにもう少しお金を出そうという裏づけをしてきてるんですけど、例えば公共建築物にしても、実際にその裏づけする形でどんどんやれやれと言うてくるけれども、それに対する負担は地方自治体が100%負担していかなきゃいかんと。RCとの関係の平米当たりのコストが違うということの単価が、木造が今のところまだ高いという状況の中で、非常に厳しい事態はあるんですけど、そういった意味でも、県としては進めながら、国に対してそういうことの要求もきちっとしながら進めていただけたらありがたいと思います。
 これで終わります。ありがとうございました。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。

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