平成22年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(森 礼子議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(谷 洋一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第134号及び議案第143号から議案第178号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 9番森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 議長のお許しをいただきましたので、質問させていただきます。
 その前に少しごあいさつをさせてください。この伝統ある和歌山県議会、そして300回記念議会におきまして質問をさせていただくということは、私にとっても記念すべき日となりました。本当に身の引き締まる思いでございます。どうか、皆様、よろしくお願いいたします。(拍手)
 では、質問に移らせていただきます。
 まず初めに、和歌山県の子育て支援施策についてお尋ねします。
 子供は、親にとって何物にもかえがたい存在であるというばかりでなく、社会にとっても将来を託さなければならない宝物であります。かつての日本においては、子育ては親だけでなく、祖父母、兄や姉、御近所の方、また、町なかなどで子供が悪さをしていると、そして危ないことをしていると注意をするように、さまざまな人が子育てにかかわり、社会全体で子育てをしていく取り組みが自然にできていたと思います。
 しかし、核家族化と言われ始めて既に何十年も経過するうちに、育児の知識や生活の知恵が家庭や地域社会を通して受け継がれていくことがすっかり少なくなってまいりました。また、地域で助け合いという意識も薄くなってきており、それが親の育児不安や養育力の低下にもつながっていると言われます。
 子育ては親が行うのが本来の姿だと思ってはおりますが、これまでのように親や家庭、地域社会に子育てのすべてをゆだねることがだんだんと難しくなってきていることを考えますと、行政も子育てに対する支援を強化することが求められているのではないでしょうか。
 そういう意味からも、議会開催日に知事が2期目の県政を担っていくことに当たってのごあいさつで説明をいただきました政策の中で、県民の安全・安心を守ることを大きく取り上げられ、福祉、医療など、県民の生活に密着した安全・安心の施策は一歩たりとも後退させるわけにはいかないと強く述べられたのが印象的でありました。本当に心強く思った次第であります。
 県においては、子育て環境ナンバーワンを目指すという高い目標を掲げ、これまでも紀州3人っこ施策や乳幼児医療費助成、こうのとりサポートなど種々の施策に取り組んでこられること、資料で拝見しております。しかし、現在の子育て支援では全県下的にカバーできていない制度などもあり、いまだ物足りない感がございます。
 そこで、改めて知事にお伺いしたいと思います。自他ともに認める子育て環境ナンバーワンとなるため、今後どのように施策を充実されようと考えておられるのでしょうか。
 次に、子育て支援に関連して、保育所などを利用している児童が病気にかかったときの対応をどうするのかということについてお尋ねいたします。
 仕事をしながら子育てをする女性の増加に伴い、全国的には、保育所に入りたくてもあきがなくて入ることができない待機児童の発生が深刻な問題となっておりますが、幸いなことに、本県においては保育所にはおおむねスムーズに入所できていると聞いております。
 しかし、保育所に入所できても、子供の急な発病に対応したり、看病のため何日も休暇をとらなければならないことが親の負担となっております。仕事と子育ての両立を難しくさせる要因の1つになっている事実がございます。先日も、保育所に預けている子供がよく熱を出すので、このまま仕事を続けることができるのか悩んでいるというお母さんの話を伺いました。
 先ほどお話ししましたが、最近の子育て家庭は、親元から離れて住み、近所のつき合いも疎遠になりがちであるため、子供が病気になったときに頼る人がなく、自分たちで何とかやりくりしていかなければならないということが背景にあるわけです。
 経済的な環境が厳しくなっている中、ここ数年、子供ができてもずっと仕事を続けたいと考える女性はますます増加の傾向にあります。待機児童解消の手だても大切でありますが、保育所に入所できた後のフォローという視点でもこれからは必要になってくると思います。
 私は、病気にかかった児童が在籍する保育所にそういった児童を専門に保育する看護師や保育士を派遣する制度であったり、地域で看護師として長年経験を積まれた方がいらっしゃるのであれば、そういった方々に集団保育が可能になるまで子供たちを預かっていただけるような制度をつくったりするのも病児保育の対策につながる1つの方法ではないかと考えております。
 働く女性が安心して仕事と子育てを両立するためにも必要な制度である病児及び病後児の保育について、県ではどう取り組まれているのか、また今後どう取り組まれるのか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、児童虐待についてであります。
 児童虐待という言葉を聞かない日はないと言ってもよいくらい、毎日のように事件の報道がなされております。私も、子供を持つ親として大変心を痛めております。このような悲惨な虐待事件を1つでも減らせないものかと考えるのは、だれでもが同じ思いではないでしょうか。
 7月の厚生労働省の発表によりますと、全国の201カ所の児童相談所で平成21年度に対応した児童虐待の相談件数は4万4210件と過去最大となり、児童虐待防止法が施行された平成12年度と比べて2.5倍となっております。一方、和歌山県内に目を向けますと、平成21年度、県下2カ所の児童相談所で受けた虐待相談件数は460件と、過去最高であった平成19年度に次ぐ数を数え、平成12年度と比べ2.9倍にふえているということがあります。ほぼ全国と同じ状況にあるということがわかります。
 虐待事件が発生した場合、一番の被害を受けるのは、もちろん児童であります。次代を担う児童が何の非もないのに肉体的、精神的に傷つき、場合によっては命をなくしてしまうということは、決してあってはならないことだと思います。虐待が見つかった際に、行政や警察等関係者の皆様は限られた人員の中で本当によく対応してくださっていると思いますが、子供たちのことを考えれば、命が助かったからよい、傷が治ったからよい、虐待から逃げられたからよいというものではございません。一度虐待を受けてしまった子供は、身体に傷がなくても、また傷が治っても、心には大きな傷跡が残っております。そういう意味からも虐待を未然に防ぐことが大切であり、虐待につながらないような予防施策が大変重要だと私は考えております。
 児童虐待の1つに育児放棄、いわゆるネグレクトがございますが、ある書物では、虫歯の治療が全くされずにほうっておかれた児童の発見がネグレクトの予防、発見につながる可能性が高いという報告もされております。
 本県の児童虐待防止策はどのように進められているのでしょうか。また、今後どのように展開していかれるのでしょうか。学校での歯科検診と虐待予防の取り組みとの関係も含めて、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、将来の社会の担い手となり、活躍を期する子供の教育についてお尋ねいたします。
 私は、今、2人の子の母として、教育の大切さについて考えさせられる毎日でございます。よく言われることですが、子供への教育には大きく分けて地域での教育、家庭での教育、学校での教育の3つがありますが、ここでは我が家の家庭教育について申し述べ、その後に学校教育について質問させていただきます。
 私ごとで恐縮でございますが、私の家庭の教育方針として、「おはよう」、「行ってきます」、「ごめんなさい」、「ありがとう」、家族とのあいさつ、そして、人と会ったときは自分からあいさつをするということがモットーになっております。家庭教育こそが教育の一番の基礎になると私は考えております。そして、会話も大事です。子供の話を聞くことを毎日の大切な時間としております。
 食事については、栄養のバランスも計算しながら、和歌山県の地元の材料を使って、私の手料理で一緒に食事をするということを心がけております。それが私流の食育であります。
 私は、生まれ育ったこの和歌山が大好きであります。私が育てられたのと同じように、子供にも故郷を愛し、誇りを持てるように育ててまいりたいと思います。
 このように、私は家庭での教育が大変大事なことだと思い、力を入れていますが、学校での教育の現状はどうなっていて、子供たちの将来のために改善していく余地はないのか、お伺いしたいと思います。
 すべての子供は教育を受ける権利があります。そして、子供1人1人が社会の担い手として一層活躍できることが期待されています。子供が自立した個人としてたくましく生き抜いていくための資質、能力を育てるのが教育の仕事です。そして、子供の教育に携わる教員は、教育者としてみずからの研さんに励み、子供たちによりよい教育を与えるように努力することが求められていると思います。
 和歌山県の教育の実態はどうなっているのでしょうか。「知育」「徳育」「体育」といった言葉をよく耳にしますが、私は、学力を伸ばしていくためには子供の体力を向上させることが必要でないか、基礎体力の向上を図ることが教育の中でも重要なウエートを占めていると私は考えております。本県の子供の体力は、平成21年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果、全国平均を下回っているとお聞きいたしました。
 次に、学力についてお伺いします。
 経済協力開発機構(OECD)が今月7日に発表した、世界の65の国と地域から15歳の約47万人が参加して昨年実施された学習到達度調査の結果によると、日本は最も順位が低かった読解力の分野で前回の調査の15位から今回は8位にアップし、文部科学省では学力は改善の傾向にあると分析していることが報道されております。
 ここで、本県の児童生徒の学力についてですが、全国学力・学習状況調査の結果、国語の平均点や算数、数学の活用問題の平均点が全国平均を下回っており、国語力や活用する力に課題が見られる状況が続いているとお聞きいたしました。このように課題がなかなか改善に至らない要因は、学校や教員に、あるいは家庭や地域といったさまざまなところにあると思いますし、それぞれの要因が複合的に関連していると考えます。
 私は、1人の保護者として、学校を訪れ、ほかの保護者の方々と話す機会があります。そこでは、授業に積極的に参加できない子供の姿や子供たちが活躍する場面が少ないのではないかと感じられる授業を見ることがありました。また、テレビの視聴時間やテレビゲームの遊び時間が長い子供たちの様子や、家庭での学習時間が短く、戸外で遊ぶ子供が少ない子供たちの生活実態を聞かせていただくことがあります。私は、今こそこのような子供たちの実態をよい方向へ導いていく取り組みが必要だと考えます。
 基本的な生活習慣を身につけ、しっかりとした体力と学力をつけた子供を育成するには、今後どのような取り組みが必要なのでしょうか。県内の各地方にはすぐれた実践実例があるとお聞きします。そのような事例も取り入れながら、指導改善や授業改善に取り組んでいただきたいと考えます。
 県教育委員会が目指そうとしている児童生徒の姿、体力・学力向上への具体的な取り組みについて、教育長にお尋ねいたします。
 次に、道路整備、とりわけ高速道路ネットワーク形成について御質問いたします。
 知事は、選挙期間中の公約として、また今議会の冒頭の2期目の今後の県政運営の基礎的な考えとして、県民の伸びるチャンスをふやすインフラを充実することを掲げていらっしゃいます。私も選挙で知事の応援の際にお話しさせていただきましたが、麻生元総理が新宮市にお越しになられた際、私が娘を連れて新宮に車で向かったその道中、娘の言葉の中に「時間がないんだったら高速道路を使って。早く着くから、おいしいものを食べて温泉に入りたいよ」と話す場面がございました。小学2年生の娘でも高速道路があるということが当たり前のように感じるのですから、県内はもちろん、他府県から和歌山に来られる方々にとって、どれほどに高速道路が必要に感じていることでしょう。
 紀伊半島という日本最大の半島に位置し、今や青森まで延びているという新幹線も通っていない、国土幹線軸から離れた不利な立地条件によって経済発展や雇用創出に必要な企業進出などの大きな阻害要因となり、本県が大きく伸びようとするチャンスが長年奪われてまいりました。
 私には中学生になる息子もおりますが、将来、たとえ勉学のために和歌山から一たん離れて、帰ってきたときに働ける場所があるのか、大変不安に思っております。また、多くの方から同じような声を聞いております。働く場所の確保、産業の発展につながる高速道路の整備は、まさに和歌山県民の悲願であります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 知事は1期目にも和歌山県の道路整備に御尽力されましたが、2期目の県政を担われるに当たり、県内の道路整備、とりわけ高速道路のネットワークの形成についてどのようにお考えでしょうか。再度その意気込みと決意についてお伺いしたいと存じます。
 次に、高速道路の整備の進捗状況と見通しについてお尋ねします。
 新宮への道中の娘の言葉を例として触れましたが、私は観光振興が和歌山県の活性化のための1つの大きな柱だと考えております。県内には、「紀伊山地の霊場と参詣道」として登録された高野山や熊野三山を初めとして、歴史の舞台となった建造物や史跡、文化財、美しい海岸線や名高い温泉地、そして多種多様の海や山の味覚など、もっともっと多くの方々に来ていただいて楽しんでいただくことができる資源がたくさんあると思います。もう少し便利に、早く和歌山に来ることができたら、こうした資源をもっと活用できるのではないでしょうか。
 あと160日余りに迫った全国植樹祭、また5年後に開催される予定の紀の国わかやま国体は、全国から多くの方が来県し、和歌山県の歴史、文化、自然や食をPRする絶好のチャンスだと思います。このような大きなイベントを活用して、県下一丸となって観光振興に取り組むことが重要な1つと私は考えます。
 しかし、観光振興の基盤とも言える高速道路は、紀伊半島を一周する路線の整備はおろか、御坊から田辺間の4車線化の凍結など、厳しい状況になっています。
 大阪方面からの観光客が利用する近畿自動車道の海南から田辺の間は、観光シーズンや土曜日、日曜日になりますと、必ずと言っていいほどの渋滞が発生しております。運転をしていて一度ひどい渋滞に巻き込まれましたら、幾らすばらしい観光地があるからといっても、次に車で行ってみようと思う気をなくさせてしまうのではないでしょうか。気持ちよく和歌山県を訪れていただくことができれば、産業や観光振興にもっと大きくプラスになるものと思います。
 そこで、多くの和歌山県民の悲願でもある紀伊半島を一周する近畿自動車道と、関西大環状道路の一翼を担う京奈和自動車道の整備の状況はどうなっているのでしょうか。来年5月の全国植樹祭や5年後に予定されている紀の国わかやま国体の開催時に高速道路の整備はどこまで進んでいるのか。それぞれ整備区間の進捗状況と見通しについて、県土整備部長からお聞かせください。
 最後に、JR和歌山駅から和歌山城へと延びていく和歌山市のメーンストリートとも言うべきけやき大通りについて質問いたします。
 けやき大通りは、私が幼いころから親しんできた道で、四季の移り変わりをケヤキの木の葉が教えてくれる趣のある、また、たくさんのお店が軒を連ねるにぎわいのある大通りでございます。しかし、スーパーマーケットや大型店舗が中心市街地から離れた場所に数多く立地し、和歌山市内の商業が郊外型になってきたことから、けやき大通りの沿道にはシャッターをおろしたままの店舗が目立ち、駅前通りとしての活気がなくなってきています。
 和歌山市の中心市街地の活性化については、県、市でこれまでさまざまな取り組みが行われていますが、このけやき大通りににぎわいを取り戻すことが中心市街地の活性化に不可欠で、そのためにはこれまで以上に思い切った取り組みも必要であると思います。
 また、けやき通りは道幅が広く、幾重にも立ち並ぶケヤキは県外の方々に自慢することのできる並木道になっておりますが、交通安全という視点から見て、景観を維持しながら、自動車を運転する人だけでなく、歩行者や自転車に乗る人にとっても優しい街路にしていただきたいと思うのは私だけではないと思います。
 県では、有識者や地域の方々による委員会を設置して、和歌山のシンボルロードと言うべきけやき大通りの整備のあり方やその利活用についても検討を行っていると報道されておりますが、中心市街地の活性化や安全面の向上という観点を踏まえ、現在の検討の状況と今後の見通しについて県土整備部長にお伺いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今後の子育て支援施策の充実についてですが、和歌山は本当に子育てをしやすい、和歌山に住んでよかったと思ってもらえるような施策を積極的に展開し、子供を産み育てよう、子育ては楽しいんだという意欲向上につなげ、ひいては少子高齢化に少しでも歯どめをかけたいと考えております。そのためには、子育て費用の負担軽減のみならず、子育てに関連する施設の整備、人材の育成、利便性や安全性の確保など、子供を産み育てる環境全般を充実させていくことが必要と考えております。
 本県では、これまでも紀州3人っこ施策、こうのとりサポートなど、独自の取り組みを進めてきており、本年6月には子供や女性の命を守るため、子宮頸がん、ヒブ、肺炎球菌の早期定期接種化を国に対して提案するとともに、国がどうであろうと県だけでも必ずやるぞと発表して、23年度新政策においてワクチン接種に対する県独自の支援策を打ち出しておりました。本県のこのような取り組みが、現在、国を挙げて進められているワクチン接種緊急促進事業につながったものと考えております。
 今後とも地域の実情を勘案しながらさらなる充実に努め、また、県内のどこに暮らしていても同質の子育て支援サービスが受けられるようにも心がけ、総体として自他ともに認める子育て環境ナンバーワンを目指してまいりたいと考えております。
 次に、高速道路ネットワークの形成についてでございます。
 近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道など地方の高速道路網の形成は、農林水産業や企業誘致、観光振興など、地域社会の発展に必要不可欠であり、県民の将来のチャンスを保障するとともに、東南海・南海地震などの大規模災害への備えや救急医療の充実のためにも絶対に不可欠な社会資本であります。このため、紀伊半島一周高速道路や海南─田辺間の4車線化及び京奈和自動車道の早期実現など、あらゆる機会をとらえて訴えてまいりました。
 この結果、近畿自動車道紀勢線の田辺─すさみ間が着工され、南伸が図られるとともに、京奈和自動車道についても紀北東道路の完成にめどが立つなど、目に見えて工事が進められ、着実に成果があらわれてきています。
 しかしながら、国の道路予算は非常に厳しい状況となりました。来年度はさらに削減される可能性が議論されております。平成27年国体開催までの完成を働きかけてきた近畿自動車道紀勢線の田辺─すさみ間や京奈和自動車道の整備に必要な事業費が今後確保されるのか、懸念するところであります。
 国土のミッシングリンクを解消する高速道路のネットワークについては、国が責任を持って早期に整備すべきであり、県民の悲願である紀伊半島一周高速道路や海南─田辺間の4車線化及び京奈和自動車道の県内早期供用がこれ以上おくれることがないように、引き続き強く働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 病児・病後児保育の現状と今後の取り組みについてでございますが、保育所に通う児童等が病気にかかった際の保育といたしましては、病気中であるが症状が安定している児童、また回復期にある児童を対象にしまして、病児・病後児保育事業としまして、現在、県内では7カ所の保育所、医療機関で実施されてございます。また、会員相互の子育て支援事業でありますファミリーサポートセンターにおける病児、病後児の一時預かり事業は、県内3カ所で実施をされております。
 これらの事業の実施箇所は年々増加しておりますが、両制度をあわせましても、いまだ県内すべての地域をカバーするに至っていない現状でございます。働く女性が子育てと仕事を両立させることは大変重要でありますので、議員御提言の保育制度の可能性なども検討しながら、引き続き病児・病後児保育の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、児童虐待の未然防止についてですが、児童虐待は、育児不安や健康不安、また経済の困窮、仕事のトラブル、夫婦の不和など、さまざまな要因が複雑に絡み合い、ストレスがたまることによって引き起こされると言われております。県では、虐待を予防するためのテレビやラジオによる啓発、広報紙への掲載、講演会の開催、また職員や関係団体による街頭啓発などに加えまして、子育て等に悩みを抱える方の精神的な支えとなる電話や面談による相談事業の実施、また民生児童委員や教育関係者への研修なども行っているところであります。
 今後は、より対象を絞り込んだ予防策といたしまして、養育支援が必要であると医療機関が認める児童やその家族に関する情報を市町村等に伝達する体制づくりや、実際に虐待を行ってしまった親などに対する意識改革につながる特別研修受講の徹底などに取り組みまして、虐待予防や再発防止の強化に努めてまいりたいと考えております。
 なお、学校での歯科検診の結果につきましては、保護者への周知にとどめることなく、児童の健康管理、生活習慣に関連する情報として関係者間で共有し、ネグレクト等虐待が強く疑われる児童が確認された場合には通告の対象としているところでございます。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長原 広之君。
  〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) まず、高速道路整備の進捗状況と見通しについてお答えいたします。
 近畿自動車道の田辺─すさみ間につきましては、現在87%の用地を取得しておりまして、今年度、沿線の4市町村内すべてにおいて本線工事に着手し、事業推進を図っているところでございます。
 また、海南─有田間の4車線化につきましては、本年7月に白浜方面の2車線化が完成しております。現在、大阪方面向けの2車線化の改良工事が実施されておりまして、県といたしましては、来年5月に本県で開催される全国植樹祭なども踏まえ、一日も早い4車線化の完成を強く要望しているところでございます。
 次に、京奈和自動車道につきましては、高野口インターチェンジから(仮称)打田インターチェンジまではほぼ全線で工事が推進され、用地取得につきましても、一部残る区間で土地収用制度の活用に向け準備中でございます。
 このうち、高野口インターチェンジから(仮称)かつらぎインターチェンジまでの間につきましては平成23年度供用予定と聞いております。
 また、(仮称)打田インターチェンジから和歌山ジャンクションまでの間につきましては、用地取得が進められておりまして、紀の川市内において本線工事が推進されているところでございます。
 しかしながら、平成27年国体までに近畿自動車道の田辺─すさみ間や京奈和自動車道を供用するためには、相当の事業費が残っている中、現状の国の道路予算では目標に向けた整備が非常に厳しい状況となっております。このため、引き続き国に対して必要な予算の確保を強く働きかけてまいります。
 続きまして、けやき大通りの再生に向けた検討についてお答えいたします。
 交通事故の多発など現状の課題を解消し、和歌山の玄関口としてふさわしい道路空間の創造やシンボルロードとしての魅力の向上を図り、にぎわいのある通りを再生するため、その整備のあり方について検討しているところでございます。
 本年6月に有識者や地元自治会、商店街、NPO団体の代表者などで構成するけやき大通り再生検討委員会を設立し、地元の方々を初め市内全域でのアンケートの実施や、地元の方々から成るワークショップを開催するなど、幅広く御意見を聞きながら検討を進めているところでございます。
 先日、第3回の委員会では、交通安全の確保やゆとり、にぎわいの創出といった観点から側道を廃止し歩道を広げる整備計画案や、オープンカフェやイベントの開催などの利活用計画案につきまして、いろいろな角度から御議論をいただきました。
 県といたしましては、こうした計画案につきましてさまざまな御意見があることから、引き続き、地元の方々を初め広く県民の皆様の御意見を十分お聞きしながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育についてお答えいたします。
 まず、県教育委員会が目指す児童生徒の姿につきましては、学校、家庭、地域がしっかりと連携をしながら、1人1人の将来の夢や目標を実現するために健やかな体と確かな学力が身につき、市民性や勤労観、職業観の高い児童生徒を育てていきたいというふうに考えてございます。
 次に、体力につきましては、低下に歯どめがかかってきているという状況でございますが、全国平均と比べますとまだ依然低い状況にございますので、改善に向けてさらに取り組みを進めているところでございます。具体的には、運動機会の確保を目的として長縄跳び等に児童が取り組むきのくにチャレンジランキング事業を半数以上の小学校で実施しており、仲間とともに運動しながらランクを上げる楽しさを味わっています。
 また、体力向上のためには教員の指導力が重要であるということから、運動の質、量ともにより一層充実した体育授業を目指しまして、今後とも県内各地での研修会等を実施してまいります。
 学力に関しましては、本年度の全国学力・学習状況調査の結果からも、依然として知識、技能を活用する力や国語力に課題が見られます。その解決に向けまして、現在、庁内に学力向上プロジェクトチームを立ち上げ、市町村教育委員会教育長会や校長会等におきまして、学校長が展望を持ち、学力向上に向けた取り組みを主体的に進めるよう求めるとともに、退職教員等外部人材の活用を含め、授業改善や補助教材の作成、学習につまずきの見られる児童生徒への指導の充実などに取り組んでございます。
 さらに、来る1月29日、30日の両日、田辺市内におきまして、県内のすぐれた教育実践を共有するための和歌山教育実践研究大会を初めて実施いたします。県内の小中高等学校及び特別支援学校における教育実践の成果をともに学び合うことにより、教師力の一層の向上を目指してまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。

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