平成22年12月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成22年12月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成22年12月9日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第134号及び議案第143号から議案第178号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第134号及び議案第143号から議案第178号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(43人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 森 礼子
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 服部 一
 28番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 浦口高典
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 46番 松本貞次
欠席議員(1人)
 45番 野見山 海
〔備考〕
 16番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 知事室長       曽根義廣
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      前硲健作
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     西上邦雄
 商工観光労働部長   岡本賢司
 農林水産部長     阪中栄一
 県土整備部長     原 広之
 会計管理者      神田泰仁
 教育委員会委員    柏井洋臣
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大桑いく嗣
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 議事課主事      的塲健司
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○議長(谷 洋一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第134号及び議案第143号から議案第178号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 9番森 礼子君。
  〔森 礼子君、登壇〕(拍手)
○森 礼子君 議長のお許しをいただきましたので、質問させていただきます。
 その前に少しごあいさつをさせてください。この伝統ある和歌山県議会、そして300回記念議会におきまして質問をさせていただくということは、私にとっても記念すべき日となりました。本当に身の引き締まる思いでございます。どうか、皆様、よろしくお願いいたします。(拍手)
 では、質問に移らせていただきます。
 まず初めに、和歌山県の子育て支援施策についてお尋ねします。
 子供は、親にとって何物にもかえがたい存在であるというばかりでなく、社会にとっても将来を託さなければならない宝物であります。かつての日本においては、子育ては親だけでなく、祖父母、兄や姉、御近所の方、また、町なかなどで子供が悪さをしていると、そして危ないことをしていると注意をするように、さまざまな人が子育てにかかわり、社会全体で子育てをしていく取り組みが自然にできていたと思います。
 しかし、核家族化と言われ始めて既に何十年も経過するうちに、育児の知識や生活の知恵が家庭や地域社会を通して受け継がれていくことがすっかり少なくなってまいりました。また、地域で助け合いという意識も薄くなってきており、それが親の育児不安や養育力の低下にもつながっていると言われます。
 子育ては親が行うのが本来の姿だと思ってはおりますが、これまでのように親や家庭、地域社会に子育てのすべてをゆだねることがだんだんと難しくなってきていることを考えますと、行政も子育てに対する支援を強化することが求められているのではないでしょうか。
 そういう意味からも、議会開催日に知事が2期目の県政を担っていくことに当たってのごあいさつで説明をいただきました政策の中で、県民の安全・安心を守ることを大きく取り上げられ、福祉、医療など、県民の生活に密着した安全・安心の施策は一歩たりとも後退させるわけにはいかないと強く述べられたのが印象的でありました。本当に心強く思った次第であります。
 県においては、子育て環境ナンバーワンを目指すという高い目標を掲げ、これまでも紀州3人っこ施策や乳幼児医療費助成、こうのとりサポートなど種々の施策に取り組んでこられること、資料で拝見しております。しかし、現在の子育て支援では全県下的にカバーできていない制度などもあり、いまだ物足りない感がございます。
 そこで、改めて知事にお伺いしたいと思います。自他ともに認める子育て環境ナンバーワンとなるため、今後どのように施策を充実されようと考えておられるのでしょうか。
 次に、子育て支援に関連して、保育所などを利用している児童が病気にかかったときの対応をどうするのかということについてお尋ねいたします。
 仕事をしながら子育てをする女性の増加に伴い、全国的には、保育所に入りたくてもあきがなくて入ることができない待機児童の発生が深刻な問題となっておりますが、幸いなことに、本県においては保育所にはおおむねスムーズに入所できていると聞いております。
 しかし、保育所に入所できても、子供の急な発病に対応したり、看病のため何日も休暇をとらなければならないことが親の負担となっております。仕事と子育ての両立を難しくさせる要因の1つになっている事実がございます。先日も、保育所に預けている子供がよく熱を出すので、このまま仕事を続けることができるのか悩んでいるというお母さんの話を伺いました。
 先ほどお話ししましたが、最近の子育て家庭は、親元から離れて住み、近所のつき合いも疎遠になりがちであるため、子供が病気になったときに頼る人がなく、自分たちで何とかやりくりしていかなければならないということが背景にあるわけです。
 経済的な環境が厳しくなっている中、ここ数年、子供ができてもずっと仕事を続けたいと考える女性はますます増加の傾向にあります。待機児童解消の手だても大切でありますが、保育所に入所できた後のフォローという視点でもこれからは必要になってくると思います。
 私は、病気にかかった児童が在籍する保育所にそういった児童を専門に保育する看護師や保育士を派遣する制度であったり、地域で看護師として長年経験を積まれた方がいらっしゃるのであれば、そういった方々に集団保育が可能になるまで子供たちを預かっていただけるような制度をつくったりするのも病児保育の対策につながる1つの方法ではないかと考えております。
 働く女性が安心して仕事と子育てを両立するためにも必要な制度である病児及び病後児の保育について、県ではどう取り組まれているのか、また今後どう取り組まれるのか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、児童虐待についてであります。
 児童虐待という言葉を聞かない日はないと言ってもよいくらい、毎日のように事件の報道がなされております。私も、子供を持つ親として大変心を痛めております。このような悲惨な虐待事件を1つでも減らせないものかと考えるのは、だれでもが同じ思いではないでしょうか。
 7月の厚生労働省の発表によりますと、全国の201カ所の児童相談所で平成21年度に対応した児童虐待の相談件数は4万4210件と過去最大となり、児童虐待防止法が施行された平成12年度と比べて2.5倍となっております。一方、和歌山県内に目を向けますと、平成21年度、県下2カ所の児童相談所で受けた虐待相談件数は460件と、過去最高であった平成19年度に次ぐ数を数え、平成12年度と比べ2.9倍にふえているということがあります。ほぼ全国と同じ状況にあるということがわかります。
 虐待事件が発生した場合、一番の被害を受けるのは、もちろん児童であります。次代を担う児童が何の非もないのに肉体的、精神的に傷つき、場合によっては命をなくしてしまうということは、決してあってはならないことだと思います。虐待が見つかった際に、行政や警察等関係者の皆様は限られた人員の中で本当によく対応してくださっていると思いますが、子供たちのことを考えれば、命が助かったからよい、傷が治ったからよい、虐待から逃げられたからよいというものではございません。一度虐待を受けてしまった子供は、身体に傷がなくても、また傷が治っても、心には大きな傷跡が残っております。そういう意味からも虐待を未然に防ぐことが大切であり、虐待につながらないような予防施策が大変重要だと私は考えております。
 児童虐待の1つに育児放棄、いわゆるネグレクトがございますが、ある書物では、虫歯の治療が全くされずにほうっておかれた児童の発見がネグレクトの予防、発見につながる可能性が高いという報告もされております。
 本県の児童虐待防止策はどのように進められているのでしょうか。また、今後どのように展開していかれるのでしょうか。学校での歯科検診と虐待予防の取り組みとの関係も含めて、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、将来の社会の担い手となり、活躍を期する子供の教育についてお尋ねいたします。
 私は、今、2人の子の母として、教育の大切さについて考えさせられる毎日でございます。よく言われることですが、子供への教育には大きく分けて地域での教育、家庭での教育、学校での教育の3つがありますが、ここでは我が家の家庭教育について申し述べ、その後に学校教育について質問させていただきます。
 私ごとで恐縮でございますが、私の家庭の教育方針として、「おはよう」、「行ってきます」、「ごめんなさい」、「ありがとう」、家族とのあいさつ、そして、人と会ったときは自分からあいさつをするということがモットーになっております。家庭教育こそが教育の一番の基礎になると私は考えております。そして、会話も大事です。子供の話を聞くことを毎日の大切な時間としております。
 食事については、栄養のバランスも計算しながら、和歌山県の地元の材料を使って、私の手料理で一緒に食事をするということを心がけております。それが私流の食育であります。
 私は、生まれ育ったこの和歌山が大好きであります。私が育てられたのと同じように、子供にも故郷を愛し、誇りを持てるように育ててまいりたいと思います。
 このように、私は家庭での教育が大変大事なことだと思い、力を入れていますが、学校での教育の現状はどうなっていて、子供たちの将来のために改善していく余地はないのか、お伺いしたいと思います。
 すべての子供は教育を受ける権利があります。そして、子供1人1人が社会の担い手として一層活躍できることが期待されています。子供が自立した個人としてたくましく生き抜いていくための資質、能力を育てるのが教育の仕事です。そして、子供の教育に携わる教員は、教育者としてみずからの研さんに励み、子供たちによりよい教育を与えるように努力することが求められていると思います。
 和歌山県の教育の実態はどうなっているのでしょうか。「知育」「徳育」「体育」といった言葉をよく耳にしますが、私は、学力を伸ばしていくためには子供の体力を向上させることが必要でないか、基礎体力の向上を図ることが教育の中でも重要なウエートを占めていると私は考えております。本県の子供の体力は、平成21年度の全国体力・運動能力、運動習慣等調査の結果、全国平均を下回っているとお聞きいたしました。
 次に、学力についてお伺いします。
 経済協力開発機構(OECD)が今月7日に発表した、世界の65の国と地域から15歳の約47万人が参加して昨年実施された学習到達度調査の結果によると、日本は最も順位が低かった読解力の分野で前回の調査の15位から今回は8位にアップし、文部科学省では学力は改善の傾向にあると分析していることが報道されております。
 ここで、本県の児童生徒の学力についてですが、全国学力・学習状況調査の結果、国語の平均点や算数、数学の活用問題の平均点が全国平均を下回っており、国語力や活用する力に課題が見られる状況が続いているとお聞きいたしました。このように課題がなかなか改善に至らない要因は、学校や教員に、あるいは家庭や地域といったさまざまなところにあると思いますし、それぞれの要因が複合的に関連していると考えます。
 私は、1人の保護者として、学校を訪れ、ほかの保護者の方々と話す機会があります。そこでは、授業に積極的に参加できない子供の姿や子供たちが活躍する場面が少ないのではないかと感じられる授業を見ることがありました。また、テレビの視聴時間やテレビゲームの遊び時間が長い子供たちの様子や、家庭での学習時間が短く、戸外で遊ぶ子供が少ない子供たちの生活実態を聞かせていただくことがあります。私は、今こそこのような子供たちの実態をよい方向へ導いていく取り組みが必要だと考えます。
 基本的な生活習慣を身につけ、しっかりとした体力と学力をつけた子供を育成するには、今後どのような取り組みが必要なのでしょうか。県内の各地方にはすぐれた実践実例があるとお聞きします。そのような事例も取り入れながら、指導改善や授業改善に取り組んでいただきたいと考えます。
 県教育委員会が目指そうとしている児童生徒の姿、体力・学力向上への具体的な取り組みについて、教育長にお尋ねいたします。
 次に、道路整備、とりわけ高速道路ネットワーク形成について御質問いたします。
 知事は、選挙期間中の公約として、また今議会の冒頭の2期目の今後の県政運営の基礎的な考えとして、県民の伸びるチャンスをふやすインフラを充実することを掲げていらっしゃいます。私も選挙で知事の応援の際にお話しさせていただきましたが、麻生元総理が新宮市にお越しになられた際、私が娘を連れて新宮に車で向かったその道中、娘の言葉の中に「時間がないんだったら高速道路を使って。早く着くから、おいしいものを食べて温泉に入りたいよ」と話す場面がございました。小学2年生の娘でも高速道路があるということが当たり前のように感じるのですから、県内はもちろん、他府県から和歌山に来られる方々にとって、どれほどに高速道路が必要に感じていることでしょう。
 紀伊半島という日本最大の半島に位置し、今や青森まで延びているという新幹線も通っていない、国土幹線軸から離れた不利な立地条件によって経済発展や雇用創出に必要な企業進出などの大きな阻害要因となり、本県が大きく伸びようとするチャンスが長年奪われてまいりました。
 私には中学生になる息子もおりますが、将来、たとえ勉学のために和歌山から一たん離れて、帰ってきたときに働ける場所があるのか、大変不安に思っております。また、多くの方から同じような声を聞いております。働く場所の確保、産業の発展につながる高速道路の整備は、まさに和歌山県民の悲願であります。
 そこで、知事にお尋ねいたします。
 知事は1期目にも和歌山県の道路整備に御尽力されましたが、2期目の県政を担われるに当たり、県内の道路整備、とりわけ高速道路のネットワークの形成についてどのようにお考えでしょうか。再度その意気込みと決意についてお伺いしたいと存じます。
 次に、高速道路の整備の進捗状況と見通しについてお尋ねします。
 新宮への道中の娘の言葉を例として触れましたが、私は観光振興が和歌山県の活性化のための1つの大きな柱だと考えております。県内には、「紀伊山地の霊場と参詣道」として登録された高野山や熊野三山を初めとして、歴史の舞台となった建造物や史跡、文化財、美しい海岸線や名高い温泉地、そして多種多様の海や山の味覚など、もっともっと多くの方々に来ていただいて楽しんでいただくことができる資源がたくさんあると思います。もう少し便利に、早く和歌山に来ることができたら、こうした資源をもっと活用できるのではないでしょうか。
 あと160日余りに迫った全国植樹祭、また5年後に開催される予定の紀の国わかやま国体は、全国から多くの方が来県し、和歌山県の歴史、文化、自然や食をPRする絶好のチャンスだと思います。このような大きなイベントを活用して、県下一丸となって観光振興に取り組むことが重要な1つと私は考えます。
 しかし、観光振興の基盤とも言える高速道路は、紀伊半島を一周する路線の整備はおろか、御坊から田辺間の4車線化の凍結など、厳しい状況になっています。
 大阪方面からの観光客が利用する近畿自動車道の海南から田辺の間は、観光シーズンや土曜日、日曜日になりますと、必ずと言っていいほどの渋滞が発生しております。運転をしていて一度ひどい渋滞に巻き込まれましたら、幾らすばらしい観光地があるからといっても、次に車で行ってみようと思う気をなくさせてしまうのではないでしょうか。気持ちよく和歌山県を訪れていただくことができれば、産業や観光振興にもっと大きくプラスになるものと思います。
 そこで、多くの和歌山県民の悲願でもある紀伊半島を一周する近畿自動車道と、関西大環状道路の一翼を担う京奈和自動車道の整備の状況はどうなっているのでしょうか。来年5月の全国植樹祭や5年後に予定されている紀の国わかやま国体の開催時に高速道路の整備はどこまで進んでいるのか。それぞれ整備区間の進捗状況と見通しについて、県土整備部長からお聞かせください。
 最後に、JR和歌山駅から和歌山城へと延びていく和歌山市のメーンストリートとも言うべきけやき大通りについて質問いたします。
 けやき大通りは、私が幼いころから親しんできた道で、四季の移り変わりをケヤキの木の葉が教えてくれる趣のある、また、たくさんのお店が軒を連ねるにぎわいのある大通りでございます。しかし、スーパーマーケットや大型店舗が中心市街地から離れた場所に数多く立地し、和歌山市内の商業が郊外型になってきたことから、けやき大通りの沿道にはシャッターをおろしたままの店舗が目立ち、駅前通りとしての活気がなくなってきています。
 和歌山市の中心市街地の活性化については、県、市でこれまでさまざまな取り組みが行われていますが、このけやき大通りににぎわいを取り戻すことが中心市街地の活性化に不可欠で、そのためにはこれまで以上に思い切った取り組みも必要であると思います。
 また、けやき通りは道幅が広く、幾重にも立ち並ぶケヤキは県外の方々に自慢することのできる並木道になっておりますが、交通安全という視点から見て、景観を維持しながら、自動車を運転する人だけでなく、歩行者や自転車に乗る人にとっても優しい街路にしていただきたいと思うのは私だけではないと思います。
 県では、有識者や地域の方々による委員会を設置して、和歌山のシンボルロードと言うべきけやき大通りの整備のあり方やその利活用についても検討を行っていると報道されておりますが、中心市街地の活性化や安全面の向上という観点を踏まえ、現在の検討の状況と今後の見通しについて県土整備部長にお伺いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの森礼子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 今後の子育て支援施策の充実についてですが、和歌山は本当に子育てをしやすい、和歌山に住んでよかったと思ってもらえるような施策を積極的に展開し、子供を産み育てよう、子育ては楽しいんだという意欲向上につなげ、ひいては少子高齢化に少しでも歯どめをかけたいと考えております。そのためには、子育て費用の負担軽減のみならず、子育てに関連する施設の整備、人材の育成、利便性や安全性の確保など、子供を産み育てる環境全般を充実させていくことが必要と考えております。
 本県では、これまでも紀州3人っこ施策、こうのとりサポートなど、独自の取り組みを進めてきており、本年6月には子供や女性の命を守るため、子宮頸がん、ヒブ、肺炎球菌の早期定期接種化を国に対して提案するとともに、国がどうであろうと県だけでも必ずやるぞと発表して、23年度新政策においてワクチン接種に対する県独自の支援策を打ち出しておりました。本県のこのような取り組みが、現在、国を挙げて進められているワクチン接種緊急促進事業につながったものと考えております。
 今後とも地域の実情を勘案しながらさらなる充実に努め、また、県内のどこに暮らしていても同質の子育て支援サービスが受けられるようにも心がけ、総体として自他ともに認める子育て環境ナンバーワンを目指してまいりたいと考えております。
 次に、高速道路ネットワークの形成についてでございます。
 近畿自動車道紀勢線や京奈和自動車道など地方の高速道路網の形成は、農林水産業や企業誘致、観光振興など、地域社会の発展に必要不可欠であり、県民の将来のチャンスを保障するとともに、東南海・南海地震などの大規模災害への備えや救急医療の充実のためにも絶対に不可欠な社会資本であります。このため、紀伊半島一周高速道路や海南─田辺間の4車線化及び京奈和自動車道の早期実現など、あらゆる機会をとらえて訴えてまいりました。
 この結果、近畿自動車道紀勢線の田辺─すさみ間が着工され、南伸が図られるとともに、京奈和自動車道についても紀北東道路の完成にめどが立つなど、目に見えて工事が進められ、着実に成果があらわれてきています。
 しかしながら、国の道路予算は非常に厳しい状況となりました。来年度はさらに削減される可能性が議論されております。平成27年国体開催までの完成を働きかけてきた近畿自動車道紀勢線の田辺─すさみ間や京奈和自動車道の整備に必要な事業費が今後確保されるのか、懸念するところであります。
 国土のミッシングリンクを解消する高速道路のネットワークについては、国が責任を持って早期に整備すべきであり、県民の悲願である紀伊半島一周高速道路や海南─田辺間の4車線化及び京奈和自動車道の県内早期供用がこれ以上おくれることがないように、引き続き強く働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 病児・病後児保育の現状と今後の取り組みについてでございますが、保育所に通う児童等が病気にかかった際の保育といたしましては、病気中であるが症状が安定している児童、また回復期にある児童を対象にしまして、病児・病後児保育事業としまして、現在、県内では7カ所の保育所、医療機関で実施されてございます。また、会員相互の子育て支援事業でありますファミリーサポートセンターにおける病児、病後児の一時預かり事業は、県内3カ所で実施をされております。
 これらの事業の実施箇所は年々増加しておりますが、両制度をあわせましても、いまだ県内すべての地域をカバーするに至っていない現状でございます。働く女性が子育てと仕事を両立させることは大変重要でありますので、議員御提言の保育制度の可能性なども検討しながら、引き続き病児・病後児保育の充実に努めてまいりたいと考えております。
 次に、児童虐待の未然防止についてですが、児童虐待は、育児不安や健康不安、また経済の困窮、仕事のトラブル、夫婦の不和など、さまざまな要因が複雑に絡み合い、ストレスがたまることによって引き起こされると言われております。県では、虐待を予防するためのテレビやラジオによる啓発、広報紙への掲載、講演会の開催、また職員や関係団体による街頭啓発などに加えまして、子育て等に悩みを抱える方の精神的な支えとなる電話や面談による相談事業の実施、また民生児童委員や教育関係者への研修なども行っているところであります。
 今後は、より対象を絞り込んだ予防策といたしまして、養育支援が必要であると医療機関が認める児童やその家族に関する情報を市町村等に伝達する体制づくりや、実際に虐待を行ってしまった親などに対する意識改革につながる特別研修受講の徹底などに取り組みまして、虐待予防や再発防止の強化に努めてまいりたいと考えております。
 なお、学校での歯科検診の結果につきましては、保護者への周知にとどめることなく、児童の健康管理、生活習慣に関連する情報として関係者間で共有し、ネグレクト等虐待が強く疑われる児童が確認された場合には通告の対象としているところでございます。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長原 広之君。
  〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) まず、高速道路整備の進捗状況と見通しについてお答えいたします。
 近畿自動車道の田辺─すさみ間につきましては、現在87%の用地を取得しておりまして、今年度、沿線の4市町村内すべてにおいて本線工事に着手し、事業推進を図っているところでございます。
 また、海南─有田間の4車線化につきましては、本年7月に白浜方面の2車線化が完成しております。現在、大阪方面向けの2車線化の改良工事が実施されておりまして、県といたしましては、来年5月に本県で開催される全国植樹祭なども踏まえ、一日も早い4車線化の完成を強く要望しているところでございます。
 次に、京奈和自動車道につきましては、高野口インターチェンジから(仮称)打田インターチェンジまではほぼ全線で工事が推進され、用地取得につきましても、一部残る区間で土地収用制度の活用に向け準備中でございます。
 このうち、高野口インターチェンジから(仮称)かつらぎインターチェンジまでの間につきましては平成23年度供用予定と聞いております。
 また、(仮称)打田インターチェンジから和歌山ジャンクションまでの間につきましては、用地取得が進められておりまして、紀の川市内において本線工事が推進されているところでございます。
 しかしながら、平成27年国体までに近畿自動車道の田辺─すさみ間や京奈和自動車道を供用するためには、相当の事業費が残っている中、現状の国の道路予算では目標に向けた整備が非常に厳しい状況となっております。このため、引き続き国に対して必要な予算の確保を強く働きかけてまいります。
 続きまして、けやき大通りの再生に向けた検討についてお答えいたします。
 交通事故の多発など現状の課題を解消し、和歌山の玄関口としてふさわしい道路空間の創造やシンボルロードとしての魅力の向上を図り、にぎわいのある通りを再生するため、その整備のあり方について検討しているところでございます。
 本年6月に有識者や地元自治会、商店街、NPO団体の代表者などで構成するけやき大通り再生検討委員会を設立し、地元の方々を初め市内全域でのアンケートの実施や、地元の方々から成るワークショップを開催するなど、幅広く御意見を聞きながら検討を進めているところでございます。
 先日、第3回の委員会では、交通安全の確保やゆとり、にぎわいの創出といった観点から側道を廃止し歩道を広げる整備計画案や、オープンカフェやイベントの開催などの利活用計画案につきまして、いろいろな角度から御議論をいただきました。
 県といたしましては、こうした計画案につきましてさまざまな御意見があることから、引き続き、地元の方々を初め広く県民の皆様の御意見を十分お聞きしながら検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育についてお答えいたします。
 まず、県教育委員会が目指す児童生徒の姿につきましては、学校、家庭、地域がしっかりと連携をしながら、1人1人の将来の夢や目標を実現するために健やかな体と確かな学力が身につき、市民性や勤労観、職業観の高い児童生徒を育てていきたいというふうに考えてございます。
 次に、体力につきましては、低下に歯どめがかかってきているという状況でございますが、全国平均と比べますとまだ依然低い状況にございますので、改善に向けてさらに取り組みを進めているところでございます。具体的には、運動機会の確保を目的として長縄跳び等に児童が取り組むきのくにチャレンジランキング事業を半数以上の小学校で実施しており、仲間とともに運動しながらランクを上げる楽しさを味わっています。
 また、体力向上のためには教員の指導力が重要であるということから、運動の質、量ともにより一層充実した体育授業を目指しまして、今後とも県内各地での研修会等を実施してまいります。
 学力に関しましては、本年度の全国学力・学習状況調査の結果からも、依然として知識、技能を活用する力や国語力に課題が見られます。その解決に向けまして、現在、庁内に学力向上プロジェクトチームを立ち上げ、市町村教育委員会教育長会や校長会等におきまして、学校長が展望を持ち、学力向上に向けた取り組みを主体的に進めるよう求めるとともに、退職教員等外部人材の活用を含め、授業改善や補助教材の作成、学習につまずきの見られる児童生徒への指導の充実などに取り組んでございます。
 さらに、来る1月29日、30日の両日、田辺市内におきまして、県内のすぐれた教育実践を共有するための和歌山教育実践研究大会を初めて実施いたします。県内の小中高等学校及び特別支援学校における教育実践の成果をともに学び合うことにより、教師力の一層の向上を目指してまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
  〔「ございません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、森礼子君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 44番雑賀光夫君。
  〔雑賀光夫君、登壇〕(拍手)
○雑賀光夫君 議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
 第1の柱は、地域経済活性化の問題です。
 今、どこに行っても業者の皆さんからは仕事がないという嘆きを聞かされます。そんな中で、10月30日、海南商工会議所ホールをお借りして、私たち共産党議員団が呼びかけ「みんなで考えよう! 地域経済活性化シンポジウム」を開催しました。その報告書を皆さんのお手元にお配りしております。
 シンポジウムには、角谷勝司海南商工会議所会頭、大谷雅己下津町商工会会長、中村修史紀美野町商工会会長、そして吉井英勝日本共産党衆議院議員がパネラーとして参加いただき、私は開会あいさつとして日ごろ考えていることをお話しさせていただきました。
 商工会議所、商工会の3トップは、別に共産党を応援していただいているわけではありません。それでも、私たちの立場から見ると、地域経済活性化のために取り組んでおられる商工会議所、商工会のトップの皆さんとお話しすると、私たちとして大いに共感できるところがあります。
 下津の商工会を訪問したときです。たまたま東大阪市で共産党員市長であった長尾淳三さんと一緒だったのですが、長尾さんが市長をしていたころの東大阪市では、市内の事業所を悉皆調査で市の管理職の方が訪問したそうです。地域の民商でも海南市にそんなことを要望しています。その話を聞かれた下津商工会の役員さんは、実はうちの商工会でそれをやろうと検討しているんだというお話でした。商工会が地域の小規模零細企業の面倒を実によく見ていると感動いたしました。
 海南市よりも高齢化、過疎化が進んでいる紀美野町は大変です。そんな中で夏祭りや農業商工祭りに呼んでいただきますが、商工会を初めとする町民の皆さんが力を合わせていると感じます。商工会の中村会長さんは、和歌山市や紀の川市に幾つもの洋品店を開いておられる事業家ですが、紀美野町の自宅に本社を置いておられる、こよなくふるさとを愛する方です。
 商工会議所の会頭をなさっている角谷さんをサンコー本社にお訪ねしました。家庭用品業界の多くが中国で生産している中で、サンコーは国内での生産を行っています。10年ほど前に中国に進出する会社と国内で頑張る会社に分けて、角谷さんは国内での生産に徹してこられたそうです。最初に工夫した商品は、袋状になっていた便座カバーを便座の上に張りつけるようにしたもの。その後、奥さんや子供さんの様子を見ては、こんなものがあれば喜ばれると工夫して商品を開発されたと言います。
 帰りにいただいたのは「人の心に貯金する」という題の自伝でした。家に帰って一気に読みました。この本でございます。(本を示す)中学校を出ただけで商売に飛び込まれた角谷さんがどんな苦労をし、何を考えてやってきたのか、事業を引き継ぐ人に伝えたいことが書かれています。人生論としても地場産業の歴史としてもおもしろいと思いました。その後、お会いした折に、「あの本を子供たちに読ませたいですね」というお話をしました。
 その後、シンポジウムを開くのに、ぜひパネラーにとお願いに上がりました。角谷さんは「商工会議所というのは一党一派に偏らない市民党ですよ」と言われて、パネラー参加を了承してくださったのです。それだけではありません。「人の心に貯金する」のこの本を100冊こん包して「どうぞ使ってください」とおっしゃるんです。早速、山口教育長にも海南市教育長にもお渡しして、県立図書館、海南市民図書館にも置いていただくことにしました。さらに、小学校、高校、公民館にも1冊ずつ置いてもらっています。知事にお渡しするのは遅くなったんですが、もしかしたら渡っているかもわかりませんが──知事は既にいただいているそうでございます。
 中学校の先生にお聞きすると、これまでも地元の中学校でこの方に生徒にお話ししていただいたことがあるそうです。やんちゃ坊主が一番目を輝かせて聞いたと退職教員仲間からお聞きしました。
 こうした地域の経済界の皆さんの活動に私たちが共感した、皆さんの活動に私たち共産党が考えていることと響き合うものがある、そのことが今回のシンポジウム成功の基礎になったと思うんです。きょうは、このシンポジウムで皆さんから提言されたこと、私からお話ししたことについて、県当局にも一緒に考えていただこうという立場から質問いたします。
 まず、1ページ開いたところで開会あいさつで、東燃ゼネラルの撤退の心配について、私たちも東京まで行ってきたことを報告しております。私は、松坂議員などとともに吉井英勝衆議院議員のお世話で東燃ゼネラル本社や経済産業省に出向いて、有田地方や海南市の立場を訴えてまいりました。経産省は、知事はもちろんですが、海南市、有田市の市長さんや商工会議所などが働きかけをなさっていることを重く受けとめているということでしたが、予断を許さないという感じがいたしました。このシンポジウムの翌日が東燃ゼネラルが計画を提出する期限だったのですが、これから3年間の間に検討するというか、有田市にとっては戦々恐々としながら過ごさなくてはならないような内容のようです。県としては現時点でどういう分析をしておられるのか、どういう対応をされるのか、知事にお伺いいたします。
 このたびの問題では、東燃ゼネラルに問題があったわけでなく、国の新しい法律の関係でこういう問題が起こったのですから、東燃ゼネラルが有田市から撤退しなくてもいいような支援を経済産業省にも要請してきたのですが、大企業の中には、自治体から多大の支援を受けながら利益追求のために無責任な行動をとる場合もあります。亀山市から一部撤退したシャープ工場の問題について、吉井代議士がパネラーとしての発言で触れています。
 シャープ亀山工場については、一時期バラ色に宣伝され、私も平成21年2月の防災特別委員会の視察で行ったことがあります。あのころまでは全国各県が多額の補助金を積み上げて誘致合戦をしました。木村前知事のころでしたが、和歌山県も100億円の補助金をぶち上げました。あの補助金のシステムは今も続いているのでしょうか。平成8年の予算委員会で私は無責任な撤退をさせない協定を結ぶべきだと主張し、当時の商工労働部長は、その必要はないと答弁されました。その後、シャープ亀山のような問題が起こらないような保証は取りつけておられるのでしょうか。
 下津町商工会の大谷会長さんから内航海運振興についての御意見が出されています。報告書の6ページでございます。船舶業者、船舶数の表があります。内航海運ですから高知県などの太平洋に面した県は少ないのが当たり前ですが、瀬戸内海に面した県の中では、和歌山県は船舶数でも大変少ない。そして、県下の船舶の3分の2が下津港区に保有されています。内航海運という地場産業は余り目立たないのですが、下津では数あるミカン農家に匹敵する売り上げを誇っている重要な地場産業であると語られています。そして、和歌山県では金融面での支援が他県よりおくれているという御意見でございます。
 商工観光労働部長にお伺いいたします。
 第1、内航海運という地場産業の状態と、和歌山の産業の中で占める位置は重要であると思います。内航海運事業者への支援についてどうお考えでしょうか。
 第2に、この産業を支援するために金融についてはどういう施策をされているのでしょうか。私は、2月県会で、元気な企業を応援する成長サポート資金をもっと使い勝手よくできないかと申し上げ、貸付金額、貸付期間とも延長していただいて、また、信用保証協会の御理解もあって、内航海運業者が新しい船を建造するのにも役立ったと喜んでいただいています。しかし、徳島県などと比べると、地方銀行はなかなか内航海運の船舶振興への御理解がいただけないというのが関係者の御意見です。県としてどこまで指導できるのかはともかく、地域の銀行によって、特に徳島県と比べて船舶の担保価値評価の違いというものがあるのでしょうか。
 次に、シンポジウムではフロアからも貴重な御意見が出されています。17ページですが、海南市の商店街の会長さんからの御意見です。大店法規制緩和廃止により、大型店舗が郊外でもうけて、商店街はシャッター通りになっている。中心市街地に戻ってきなさいという法律ができたが、活性化基本計画について総理大臣の認定をもらうのが難しいと言われます。
 海南市の中心商店街は、ショッピングセンターココが閉店し、まちの中心部で買い物難民ということが言われるようになりました。その対策は、県、市、商店街、地域住民など、それぞれの立場から対応が必要だと思いますが、県としてはどういう対応を考えておられるんでしょうか。また、商店街の役員さんが認証をもらうのは難しいと言っておられる問題はどこにネックがあるのか。商工観光労働部長のお考えをお聞かせください。
 次に、16ページに下津の塗装業者から住宅リフォーム助成制度を海南市や和歌山県でもやってほしいという御意見が出されています。この問題は私も9月県会で取り上げ、その再発言で経済効果が大きい岩手県宮古市の例を紹介しました。その資料を報告書16ページにも載せております。
 この12月議会冒頭、知事あいさつの第1に働く場をもっとふやすということを挙げて、日本一と言われる振興策を講じてまいりますと仁坂知事が強調されたことに私は注目しました。この間、知事選挙がありました。知事は多くの県民の皆さんにお会いになられたことと思います。私たちは、自分ではわかっているつもりでいたことでも、県民の皆さんから生の話を聞くと認識を新たにするということはよくあることです。
 そこで、働く場をふやすために県庁の英知を結集して日本一の施策を講じるために今どういう手を打っているのかをお聞きするつもりだったのですが、そのものずばりの質問が昨日、多田議員からございまして、知事の答弁をお聞きしました。県内企業の技術開発、異業種交流、積極的な販売促進など、まだまだおっしゃられることは抽象的ではありますが、大事なことは言っておられるんですが、しかし、今求められるのは、長期的な経済活性化、雇用拡大とともに、経済不況のもとでの緊急経済対策としての雇用確保もまた求められていると思います。この点でも日本一というような施策を考えられておられるのか、知事にお伺いしたいと思います。
 そして、その施策の1つとして住宅リフォーム助成制度が有効な施策ではないかというのが次の質問項目になります。
 シンポジウム以後、海南市の建設業協会の役員さんとも懇談いたしました。今、住宅建築になると、どうしてもナショナル住建など大手になかなか太刀打ちできない場合がある。しかし、住宅リフォームの需要を掘り起こすことは大変いいのではないかという御意見も出ました。古いものをすぐにつぶしてしまうのではなくてリフォームして使う。資源有効利用としてもいいことです。特に、景気対策の補正予算が組まれるときです。83億円の留保財源もあることですから、それを5倍、10倍の需要を引き出す施策に使うことはぜひとも実現していただきたいと思います。
 まず第1に、9月県議会の質問での知事答弁では、耐震、バリアフリーなど限られたリフォームは取り組まれていくということです。しかし、私が指摘したように、耐震リフォームは、昨年度はたった61件しかない。話にならない。これを大幅に引き上げる施策はあるのでしょうか。
 第2は、期間限定でもいいから、全国で大きな成果を上げている、幅広く利用できる住宅リフォーム助成制度を取り入れられたらどうかと思いますが、いかがでしょうか。
 以上2点、県土整備部長からお答えください。
 次に、紀美野町商工会の中村会長から過疎の地域での活性化を目指して幾つかの取り組みが報告されました。その1つ1つに支援をいただきたいのですが、きょうは紀美野町でりら創造芸術高等専修学校とともに進めている取り組みについてお伺いいたします。
 りらというのは、歌や踊り、舞台芸術などを学ぶ学校です。私もことしの世界民族祭の前夜祭で前の紀美野町の教育長さんと並んで舞台を見たのですが、数年前に紀美野町真国小学校の跡にりら専修学校がやってきたとき、何か宗教団体でも来るのと違うかと心配された方もいて説得に苦労されたと、前の教育長さんはおっしゃっておられました。しかし、若い人たちがやってきて芸術を学ぶ。地域の伝統芸能を学んで地域に溶け込んだ活動をしている。紀美野町の祭りにも出演する。民族祭の会場には、りらと地元で開発したお菓子も売っていました。
 最初の入学生7人が卒業したのですが、卒業式には私も出席させていただきました。卒業生1人1人が自分の言葉でりらでの体験を語ります。それを聞きながら、本物の教育があると感じました。ことしは18人もの新入生があって寄宿舎が足りなくなった。そこで、休校になっている志賀野小学校を寄宿舎にという話になってきているんだけれども、真国の地元でも寂しくなるから寄宿舎を残してほしいと言っておられるともお聞きしました。
 紀美野町の奥のほうにあるこの過疎の地域ですばらしい自然や地域の人々に溶け込みながら進められている取り組み、多くの方が民族祭のボランティアに参加しています。県庁職員の方々にも大勢お会いいたしました。県としてこうした取り組みをどう評価し、どういう支援をなさっておられるのか。地域振興や文化を担当される企画部長にお伺いいたします。
 山口教育長に「人の心に貯金する」の本をお届けしたとき、私の携帯にお礼の電話をいただき、「海南に立派な人がいるんですね」とおっしゃった。私のところに来る教育委員会の幹部の方が「教育長に薦められて読みました」とも言ってくれました。私が子供たちに読ませたいと思い、角谷さんから託された100冊の本を配って回っていることに恐らく共感いただけているんだろうと思っています。山口教育長の感想をお聞かせください。
 最後に、私たちが開いた経済活性化シンポジウムは、私たち共産党議員団が呼びかけ、共産党国会議員も参加し、そして、私たちとは政治的立場は違うが、地域経済について真剣に考えていらっしゃる皆さんと語り合うと、肝胆相照らしたというところに大きな意義があると思います。この報告書を知事にもぜひお読みいただきたいと思います。これは要望ですが、もし何か感想がありましたらお話しいただけてもと思います。
 第2の柱は、高校生の就職問題です。
 和歌山労働局の調べでは、10月末現在、就職内定率は微増ですが、新宮市や海南市のように10%以上落ち込んでいる地域もあります。また、高等学校教職員組合のアンケートには、厳しい状況とともに昨年よりも微増、就職支援相談員の活動によるものという報告もあり、教育委員会が配置された相談員が頑張っておられることがうかがわれます。
 そんな中で、教育長にお伺いいたします。
 第1に、ことしの高校生の就職見通しはどうでしょうか。
 第2に、学校の中での高校生の就職への支援はどうでしょうか。昨年からの就職アドバイザーはそのまま残していただいているとさきの文教委員会でお伺いしました。そのほかに、高校生が資格を取って就職しやすくするなどの支援も他府県で行われたこともあったと聞いていますが、そういうことも含めてどういう支援をされているのでしょうか。
 第4は、昨年も実施された100人を限度とする県庁での緊急雇用であります。この点も昨日、多田議員から同趣旨の質問がありました。来年も緊急雇用を続けていただけるように要望するとともに、その多田議員への答弁で「成果並びに課題を検証し」と言われた。どういう課題があると考えておられるのかを商工観光労働部長にお伺いいたします。
 第3の柱は、プレジャーボートの係留場所設置の問題です。
 私は、多くのプレジャーボートなどが海南市周辺に無秩序に係留されている問題を取り上げ、津波防災の立場から規制をお願いしました。この問題にはすぐに対応していただいて、規制条例が制定され、暫定的な置き場になっている場所のボートも登録され、係留場所が設置されればそちらに移されることになっています。
 ここで新たな問題が起こっているんですが、県との役割分担で海南市が主体となってプレジャーボートの係留施設設置を進めようとしていた事業について、民主党政権が進める事業仕分けの影響なのか、海南市が当てにしていた係留施設への補助金が採択されなかったわけです。この係留施設は、遊びのための船の問題でなく、津波のときに船が凶器になることを防ぐ防災施設としても位置づけられているものです。
 そこで質問ですが、第1に、係留場所の整備はどのように進んでいるんでしょうか。
 第2に、係留場所設置に係る周辺道路は大丈夫なのかという御意見もお聞きすることがあるんですが、どうなっているのでしょうか。
 第3に、事業仕分けの関係で国の補助金はいろいろな変転もあったようですが、海南市に過重な負担を強いるような心配はないのでしょうか。
 以上、県土整備部長にお伺いいたしまして、私の第1回目の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの雑賀光夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、東燃ゼネラルの問題でございます。
 この東燃ゼネラルの和歌山工場につきましては、海南市、有田市を初め、地域の雇用、経済面を中心に大いに貢献していただいていると認識しております。
 私は、エネルギー供給構造高度化法に基づき経済産業省が石油精製業の供給過剰構造の改善をしようとしているという情報を入手いたしましたので、それ以来ずっと有田製油所を守るべく努力をしてきました。経済産業省、それから東燃ゼネラル石油の社長などなどと面談をいたしまして、さまざまな方法で和歌山工場の存続を働きかけてまいりました。この基準に対応した東燃ゼネラル石油の計画、これは10月末が期限でしたが、現在のところ公表はされておりませんが、入手した情報を総合いたしますと、現段階では和歌山工場の縮小等を示したということはございませんで、引き続き、全体でどういうふうに対応するか具体的に検討してまいるというふうになっていると承知しております。
 今後とも、工場が撤退し地域経済が衰退することのないよう、私に課せられた義務として、持てる人脈とノウハウを駆使し、常に必要な手段を講じていきたいと考えております。
 次に、働く場をもっとふやすということに関連しての御質問でございますが、これにつきましては、産業振興が重要なことから、技術開発や販路開拓による企業振興の充実、国内外からの企業誘致の促進などにより雇用の場の拡大に努めておりまして、また一方、観光や農林水産業を初めとして各産業別にきめ細かな振興策を実施しているところであります。これもどんどんレベルアップをしていかないといかんと思います。加えて、これらの産業の発展を支えるインフラ整備についても力を入れておりますが、これについても引き続き頑張らなければいけません。
 また一方、基金の活用──この基金というのは国が下さった基金なんですが──この基金活用により雇用創出を図るとともに、経済5団体等への求人拡大要請、企業情報を初めとした就職関連情報の提供、ミスマッチ対策等を実施しているところでありまして、今後とも雇用の確保に全力で取り組んでまいります。
 このような成長政策に加えまして、景気にも配慮をしてまいりました。一例は、リーマンショックの際のセーフティーネットを中心とするような政策金融拡充あるいは公共事業を1.5倍に拡大していることなどであります。この点も看過することなく、今後ともいろいろなアイデアはさまざまな観点からよく検討してまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) まず、大企業誘致への補助金のあり方についてでございますが、企業誘致につきましては、中小企業、大企業にかかわらず、優良な企業の誘致に積極的に取り組んでいるところであります。
 亀山市を例として、急激な景気後退が地域経済に与えた影響を見るとき、多様な分野から成る産業構造が必要であり、その有力な形成手段として企業誘致が必要であると考えております。
 本県の企業誘致に係る補助制度については、誘致企業の大小にかかわらず、本県の立地環境を踏まえ、きめ細かく企業ニーズに対応できるものとするため、絶えず見直ししておるところでございます。
 なお、実施要綱において返還義務を明記し、企業の一方的な撤退について歯どめをかけるとともに、進出協定において地元企業との連携等、地域に根差した企業活動を促進しているところであります。
 次に、内航海運事業者への支援についてでございます。
 内航海運事業を含めた県内中小企業者は、地域経済の活性化や貴重な雇用の場の創出など、大きく貢献いただいているものと認識しています。内航海運事業者につきましては、貨物等の取扱量や船舶の運搬能力など、その競争力に影響する点を注視し、各種経営相談等に応じるとともに、専門家の派遣や経営革新計画認定などの支援を実施してまいります。
 内航海運事業への金融支援についてでございますが、県の中小企業向け融資制度につきましては、農林水産業やサービス業の一部などを除く幅広い業種を対象に、経営の安定化や事業の活性化に必要な資金の円滑な調達を目的に実施しており、内航海運業についても対象となっております。本年2月議会での議員からの御質問でもお答えさせていただきましたが、県の制度融資につきましては、中小企業の皆様の資金需要などを踏まえ毎年制度の見直しに取り組んでおり、他府県と比べても手厚い支援措置を講じているところでございます。
 なお、県は金融機関を直接指導・監督する立場にはございませんので、地元金融機関の担保評価については関与すべきものではないと考えております。
 大規模店舗とまちづくりについてでございます。
 買い物難民または買い物弱者につきましては、高齢化社会の進展等から社会的な問題となってきており、国の緊急総合経済対策におきましてもその対策が予算化されております。具体的には、高齢者等が徒歩で外出し買い物行為を行うことに困難を感じる人が多い地域で、継続的に行う宅配や移動販売等の事業に対し国が補助を行うもので、商工会等の公的団体だけでなく、民間事業者でも市町村や他の事業者との連携を条件に補助対象としております。
 ことし5月、海南市の中心部にあったショッピングタウンココの閉店に伴い、買い物に不便を感じている方がおられると聞いております。県としましては、海南市を初め関係機関に情報提供を行い、国の制度の周知を図っており、今後、事業の要望状況を踏まえ、海南市とともに支援してまいりたいと考えております。
 次に、海南市中心市街地活性化基本計画案の国の認定につきましては、平成21年度に内閣府と事前協議を行った際、既存商店街に人を引き込む戦略、人を呼び込むための魅力づくりが不十分との指摘があり、さらに事業全体としては、認定を受けることにより国の補助金が受けられる事業、国が支援することが望ましいと思われる事業が見受けられないといった指摘もあって、認定に至っていないと聞いております。
 県としましては、これまでも中心市街地活性化協議会に参加し、策定にかかわってきておりますので、指摘のあった課題が克服され、当計画が認定を受けられるよう引き続き支援してまいります。
 最後に、高校生の就職問題に関して、県庁内の緊急雇用についてでございます。
 高卒未就職者の臨時雇用の今後の対応を検討する上で、課題としましては、職場における研修やジョブカフェ等におけるより効果的な支援の内容、高校生本人の職業観の醸成、卒業校との連携などが考えられます。このような課題並びに成果を検証しながら、現時の高校生の雇用情勢を注視しつつ、今後の対応を検討してまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長原 広之君。
  〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) まず、住宅リフォーム助成制度など、仕事をふやす施策についてお答えいたします。
 現行の耐震などのリフォーム助成につきましては、従来から木造住宅の耐震改修に対する助成制度の拡充に努めてきたところでございます。さらに、補助対象の拡大などの拡充策を検討しているところでございます。また、今回の国の補正予算により、従来の補助金に加え、さらに上乗せすることが可能となっております。これらの制度拡充により、県民の方々の御利用を促進し、木造住宅の耐震化の普及に努めてまいります。
 次に、枠を取り払った住宅リフォーム助成制度の導入についてでございますが、現在、県及び市町村では、喫緊の課題でございます住宅の耐震化などの施策目的に応じた助成制度を実施しているところでございます。県といたしましては、このような助成制度をできるだけ利用していただくよう、各種制度をわかりやすく説明する冊子を作成するとともに、総合的な相談窓口を設置して助成制度の周知に努めているところでございます。今後とも、各種助成制度の有効な活用を図り、それぞれの施策目的の達成に努めてまいりたいと考えております。
 続きまして、海南市のプレジャーボート係留施設についての取り組みについてお答えいたします。
 1点目のプレジャーボート係留施設の整備状況についてでございますが、当該事業につきましては、平成22年度の新規事業として国に要望を行っておりましたが、みなと振興交付金の廃止等により事業実施が認められませんでした。県といたしましては、平成23年度予算に向けて、海南市と協議の上、社会資本整備総合交付金事業に切りかえ、事業実施に向けた要望を行っているところでございます。
 2点目の係留施設関連道路などの整備についてでございますが、海南市が整備計画に基づき、係留施設の整備とあわせて一体的に整備していくこととしております。
 3点目の海南市に過重な負担をかけることはないのかについてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、平成23年度予算において市が国の補助を得て事業を実施できるよう要望を行っているところでございます。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) りら創造芸術高等専修学校についてでございますが、同校は教育の一環として、五穀豊穣を祈る田楽「真国御田の舞」を復活させたり、さらには地元の特産品づくりに協力するなど、地域に根差した活動を展開しております。これらの活動が地域に受け入れられ、本年開催の世界民族祭in真国は子供から老人まで大勢が参加する地域ぐるみのイベントとなっています。こうした、若者が移り住み地域の人々と交わることで生まれる地域を元気にする効果は、数値であらわされる以上のものがあり、過疎、高齢化に悩む地域の活性化の1つのあり方と評価しております。
 真国地区では、地域住民が同校と連携しながらみずからの課題として過疎対策に真摯に取り組んでいただいておりますので、今後とも地元自治体と連携し、同地区の再生、活性化を積極的に支援してまいります。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 角谷勝司さんがお書きになりました「人の心に貯金する」という自伝を読んでの感想をお尋ねいただきました。
 日本じゅうが貧しかった時代ではありますが、戦争で父親を亡くされ、一家の家計を支えるため中学校卒業後、地元産品の問屋に住み込みで働き、人づき合いが一番苦手だった少年が本人の努力とアイデアによって苦労を乗り越えていく物語には深い感銘を覚えました。とりわけ、売り込み先のお店で番頭さんたちに相手にされず黙って立って待っている間に、脱ぎ散らかされた履物をそっとそろえておいた──これはお母さんからそのように教えられていたそうでございますが──そのことが店の主人の目にとまり、初めて声をかけてもらい商談が成立したというくだりは、そのような気配りを大切にし合う心や文化が生きていたということに胸が熱くなる思いがいたしました。
 また、国際的な競争が激しくなる昨今、ひたむきに喜んでもらえるよそにない製品とサービスを磨いていけば、必ずお客様の気持ちをつかみ、難局を打開できるという不撓の精神は、角谷さんの努力と誠実で常に前向きな生きざまに裏づけられたものでございまして、不況に直面している地元産業関係者のみならず、私たち教育関係者や子供たちにとっても学ぶべきことがたくさんあると感じた次第でございます。(「まだまだ」、「教育長、答弁」と呼ぶ者あり)
○議長(谷 洋一君) 高校生のやつです。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 失礼いたしました。
 もう1件ありまして、ことしの高校生就職の状況につきましては、昨今の雇用状況の悪化に伴いまして本年10月末現在の高校生の就職内定率は57.5%と、前年同時期を1.9ポイント上回ってはいるものの、依然として厳しい状況が続いてございます。こうした中でも、県内には求人のニーズはあるけれども満たされていないという企業もたくさんあると伺っており、現在配置しております就職支援員と教員とが協力しながら、こうした企業の情報収集や求人開拓を行うとともに、生徒や保護者が多様な職種に視野を広げて就職先を探すよう、引き続き支援してまいりたいと考えております。
 また、資格取得につきましても、わかやま版「地域産業の担い手育成プロジェクト」事業を実施し、企業の方を学校に招き、専門的技能の指導を受けたり資格につながる内容を授業に取り入れたりするなど、各学校で工夫しているところでございます。
 県教育委員会といたしましては、就職を希望する高校生を支援するため、県内を5地域に分けてきのくに人材育成協議会を設置し、学校、ハローワーク、県労働関係部局、経済団体等が就職関連情報の共有等を行い、それぞれの機関の取り組みが有効に機能するよう努めているところでございます。
 また、和歌山労働局及び県労働関係部局と連携し、10月には知事を筆頭に経済5団体に対して今年度2度目の求人拡大を要請するとともに、現在、県内約1200の事業所へ戸別訪問を関係部局と協力して実施しているところでございます。今後とも、1人でも多くの生徒の希望がかなうよう、全力を挙げて取り組んでまいります。
 以上でございます。失礼いたしました。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 44番雑賀光夫君。
○雑賀光夫君 御答弁ありがとうございました。幾つか要望を申し上げたいと思います。
 高校生の緊急雇用の問題ですが、何か課題があるときのう聞いたので何か難しいことがあるのかと思ったんですけれども、御説明いただきますと、課題は前向きに進めていけるものだと思いました。また、県としても、雇用するだけでなくて職業につくためにサポートをしっかりやっていただいている、こういう点、大変ありがたいと思います。県のサポート、それから卒業させた高校側のフォローも含めて、しっかりとこの緊急雇用された卒業生の面倒を見ていただきたい。このことを関係者にお願い申し上げ、緊急雇用はぜひとも来年も続けていただけるように要望しておきます。
 プレジャーボートの問題では、いろいろありましたが、国の補助事業になるように要望いただいているということでございます。これができればいいんですが、県が条例をせっかくつくっていただいたんですから、海南市に過重な負担をかけさせるわけにはいかない。最後まで面倒見ていただけるようにお願いしておきます。
 一番大きな今回の経済活性化の問題、地元を元気にする、雇用をふやすという問題は、これは立場の違いにかかわらず、お互い共通の思いだろうというふうに思っています。知事がおっしゃった仕事をふやす日本一の施策について、昨年の答弁、きょうはさらにもう1回答弁していただきましたけども、まだまだ抽象的で、具体化はこれからだと思っているんですが、それに加えて私は、景気対策という立場からも日本一の施策を考えないのかと申し上げました。
 それで、もちろん緊急経済対策、基金を使って、そして公共事業をやってといういろいろなことはあるんですけども、しかし、それに加えて私は、全国的にも大きな成果を上げている住宅リフォーム助成にどうして目を向けないんだろうかということがなかなかわかりにくいわけです。
 秋田県では大きな成果を上げていると言われていますし、岩手県議会、宮城県議会でも全会一致で請願が可決された。これから進むでしょう。きのうの「しんぶん赤旗」に山形県も来年度から住宅リフォーム総合支援事業ということで、7億円余りの予算を組むということをそちらの県土整備部長がおっしゃっているという報道がありました。
 国から今、景気対策予算が来ているわけです。そして、さきの議会でも保留財源が83億7900万円ある。そこへ今度さらに22億円の補正で上積みされるというふうに聞いております。一般財源ですから何にでも使えるわけで、これを借金の返済や将来のために基金を積み立てるということもあるでしょうけども、しかし、景気が悪いからというので景気対策でお金が来ているわけです。それを有効に使うことをまず考えるべきだろうと思います。
 それで、例えば83億円、さらに22億円積まれた一部でも基金にして、3年間ぐらい住宅リフォーム助成制度をやれないのか。もちろん、期間を切った施策ですから永続的なものにはなりませんけども、エコポイントだってやっぱり期間を切って、今大変だからやるわけでしょう。そういうものは考えてもいいんではないか。特に、それをそのまま公共事業に使うのとは違って、県民の財布からお金を引き出す、懐からこれを助成金にしてお金を引き出すわけですから、5倍にも、うまくいったら10倍にもそれが経済効果を持つ施策ですから、これはぜひとも当初予算で検討していただきたいというふうに思っています。
 9月に答弁されたときとは、さらに新たに国の予算もついたわけですから、前の答弁にかかわりなく、さらに新たな検討がなされると思いますので、ぜひとも当初予算ではこれを実現していただきたいということを要望しておきたいと思います。
 それで、私たちが開いた経済活性化シンポジウムでは、行政への要望ということできょうは申し上げたんですが、そこで話し合われたことは行政への要望だけではありませんで、自分たちで知恵を出して今の経済が大変な中で乗り切っていこうやと、こういう討論がしっかりやられているわけです。この点も、私は大変大事なことだというふうに思っています。
 そこで、私はシンポジウムの報告書の最後で、閉会のあいさつで1つ提案をしているわけです。それは、海南市でも紀美野町でもオークワさんがまちづくりで大きな影響を与えている。オークワさんというのは文化活動でも補助事業をなさっている、地域貢献を大変大事にされている加盟店だと思っています。そこで私は、オークワ本部に経済活性化シンポジウムを開くのにぜひ御参加くださいと案内に行きました。ゼネラルマネジャーの方にお会いしまして、大変誠実に対応していただきました。
 私は、こういう大きな店との関係を、国の段階では大型店舗が勝手なことをしないように規制するということが課題でしょうし、海南市にとってはそれを進出する場合は協定を結んでということが課題でしょうけども、私ども市民レベルあるいは商店街レベルから言うと、やはりまちづくりのパートナーとして考えていきたい。もちろん、オークワさんは商工会議所にも入っていただき、そして地域の活性化の協議会にも入っていただいているわけですけども、なかなか市民としては、買い物するのに接触はあるんですけれども、そういうオークワさんがこれからどういうふうにやっていくんですかというあたりではなかなか私ども話をする機会がこれまで少なかったわけで、そういう点でもパートナーになっていただきたいというつもりで実はオークワの本部へもこのシンポジウムの機会にお伺いしたわけです。そして、大変誠実に対応もしていただいて、紀美野町の店についてもこうするんだという私が知らなかったいろんな話もしていただきました。
 これからは、それに限りません。松源、イオン、大型電気店などもありますけども、一層このまちづくりの輪に入っていただけるようにこれから呼びかけていきたいというふうに思っています。
 そういうことも含めて考えていることを申し上げまして、この場での私の発言を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
○議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で雑賀光夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時32分休憩
────────────────────
  午後1時2分再開
○副議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 では、早速、議長のお許しを得ましたので、質問に入らせていただきます。
 私は、今回、本来専門ではないんですけど、県内の中小企業の育成に関して少しいろんな方とお会いして議論する中で、ぜひこれを議会で取り上げていきたいなということで、中小企業の育成について、まず知事と商工観光労働部長にお尋ねしたいと思います。
 1つは、知事は第2期県政の政策の基本的な考え方の中で、働く場をもっとふやす、中小企業や農林水産業、観光業など本県の経済を支えている産業振興や企業誘致など、新たな雇用を生み出し、和歌山の元気創造につながる分野において県庁の英知を集結し、日本一と言われる振興策を講じてまいりますとうたっております。私は、その中で、県内の中小企業の育成についての考え方と支援機関のあり方について、まず知事にお聞きしたいと思います。
 もう1つは商工観光労働部長にですが、中小企業への施策に伴う成果はどうでしょうか、やる気のある企業掘り起こしの成果はどうでしたか、また、県の支援を受け、技術開発した企業は順調に成長しているのでしょうか、お尋ねします。
 私は、主に和歌山の地域資源を生かした地域経済を活性化できないか、関係する生産者や加工業者や専門家の方との交流を深めてきました。地域資源を生かした生産、加工、販売など新商品開発、和歌山のブランド化など、掘り起こせばやる気のある企業はたくさんあります。その企業や集団に行政と研究機関が手を差し伸べて事業化への道筋を示せれば、できる可能性がたくさんあるということを最近痛感しております。
 また、零細企業であっても技術開発し、新商品を開発して事業化、つまり製品を実用化して内外で評価を受けた企業も育ってきています。本来なら、技術開発し、商品化したものを事業化し、販売促進につなげ、雇用拡大を図る事業として、できるものならそうなっていってほしいんですが、そうならない企業もあります。また、継続した企業成長につながらず、途中で挫折しかける企業もあります。私はこれらの現状を見て、和歌山にやる気のある企業はありますし、何とかして生き延びようと頑張っています。
 県は、本年の4月に定めた和歌山県産業技術基本計画で、県下の中小企業への具体的施策を示しています。県の支援を受け、技術開発と新商品化した企業が事業化し、生産し、販売していくところまで行政や関係機関がどうかかわれるかが今問われていると思います。研究開発を支援した後からは企業努力で頑張りなさいでは、続いていかないのではないかというふうに思います。
 やる気企業の努力成果、つまり技術開発、新商品開発を県の財産として位置づけ、その企業が内外に打って出ていけるように支援していく体制、つまり研究開発、商品化、事業化、販売への一貫した企業への支援体制が今求められているのではないでしょうか。そのためには、わかやま産業振興財団の今果たす役割は大きく、ここがその役割を担うことが県内企業育成の責任を果たすと考えますが、どうでしょうか。第1点についてはこのことであります。
 次に、2点目の農業振興策の中の農業振興について、特にTPPについてです。昨日、松坂議員からも同じテーマですが、私は私なりの観点で述べさせていただきます。
 TPPについてですが、1990年代、ガット・ウルグアイ合意を初めとした貿易の自由化、関税撤廃措置により、オレンジの自由化はさることながら、木材の輸入自由化によって林業は壊滅的被害に遭い、山が崩壊し、我が和歌山県の農山村の過疎化をもたらしてきました。和歌山県の基幹産業である木材産業の現状は説明するに及びません。今回のTPPは、参加国間の関税を原則撤廃して自由貿易を行うことを前提としたものです。
 政府は食料・農業・農村基本計画を策定し、平成32年までに食料自給率50%達成を目指し、TPPが締結すれば農水省の試算では14%に低下するということをうたっております。しかも、現状の日本の農産物平均関税率は、きのうも言われておりましたが、2番目に低いんです。EUは19.5、韓国が62.2%。こういった、鎖国であるから開国とは何とやということを言いたい。既にもう開国しているんです。
 TPPによる国内、県内への影響については、細かくはきのうのとおりです。松坂議員のとおりであります。TPPによって、第1次産業を初めそれに関連する産業と雇用への影響は、和歌山を初めとした農山村を多く抱える地域は消滅しかねない事態になります。私は、これらの影響を受けるという観点だけでなく、根本的な国は国民の国土を守るという義務のもと、都市も農村も均衡のとれた維持、発展を進めるべきであり、独立国家として国土を保全し、食料安全保障を維持することは国家の生命線であると考えます。
 そこで、こうした国、県への影響を踏まえ、知事はTPPに関してどう考えているのか、知事として国に対してどう意見を述べていくのか、お尋ねします。
 次に、農山漁村の活性化に向けた6次産業の推進についてです。
 農山漁村の活性化を進めるための取り組みについてでありますが、紀南地方の農山漁村の現状を見ると、農林水産物価格の低迷等による所得の減少、高齢化や過疎化の進展等により、その活力は著しく低下しています。紀南地方の地域資源は、多種多様な農林水産物と豊富な観光資源であります。こういった中で、この地域資源を組み合わせた6次産業の育成が不可欠であると考えております。
 農林水産省においては、本年3月に公表した食料・農業・農村基本計画において、6次産業の推進を政策の柱の1つとして位置づけ、この臨時国会は閉会されましたが、その6次産業に関する関連法案が成立しました。6次産業の推進に向けた環境整備がこのように進み、整ってきているわけであります。
 そこで、1つは、和歌山県の農林水産業、農山漁村の持っている地域資源と2次産業、3次産業との融合、連携によって新たな付加価値を生み出して農林水産業の産業化をつくり出し、事業化する方針を立てる必要に来ていると思います。これは、農林水産部と商工観光労働部が連携して、国の制度と方針を活用して政策的に取り組むことが今求められていると思いますが、どうでしょうか。
 2つは、国の制度は、中身を見てみますと規模的に大変大きく、地域と食品加工産業と連携するシステムになっていますが、それだけでなく、紀南では地域密着で地域の小規模の生産、加工、販売の6次産業育成も県単独で進める必要があると思います。和歌山県においては、昨年度から生産、加工、流通、販売までの一体的な取り組みを支援する新農林水産業戦略プロジェクトを展開しており、時代を先取りした施策として私自身も高く評価しているところであります。
 事業実施主体のほとんどが、その内容を見ますと農協や漁協で、地域の農産物を活用して加工などを行う小規模な生産者グループなどの取り組みが余り見られません。大変残念であります。今後、6次産業化を推進していくためには、農協や漁協に加えて、小規模な生産者グループなどの多様な団体が食品加工や販路開拓などに積極的にチャレンジすることが必要と考えています。地元生産者などからは、新農林水産戦略プロジェクトの求める事業内容や目標はレベルが高過ぎるなどとの意見があり、もっと取り組みやすい仕組みづくりが必要と考えますが、この点について農林水産部長のお考えをお伺いいたします。
 次に、梅の現状と課題についてです。
 梅の現状は皆さんも御存じのとおり、梅産地の現状については、梅産農家は一昨年から非常に梅干しの原料価格の低迷で生産意欲が薄れ、農業を継続していくことに対して非常に不安を感じています。ことしの平成22年の実態を見ますと、皆さん御存じのように、10キログラムのたるの原料価格が平均3800円です。10キログラムのたる、梅干し原料の生産費コストが、この間、農協が試算しているんですけど、5308円。これは、私なら私がつくっている梅の加工していく段階での人件費が含まれていない中での5300円であります。
 ところが、もう7年前ぐらいに和歌山大学が学生と教授との間で和歌山紀南の梅干しの生産コストはどれほどかかっているんだろうかという調査をしました。その生産費コストは、大体最低6000円以上なければ農家が再生産できるものではないというふうに発表されております。昨年、ことしにかけて農家がつくればつくるほど1たるに当たって1500円余りの赤字となり、農家経営が続けられない大変厳しい状況になっております。
 梅産業は、皆さんも御存じのとおり、和歌山県の地域経済に与える影響、地方自治体への税収入の影響から見ても基幹産業としての役割は大きい。また、梅は、生産農家、加工業者、販売業者、関連資材業者、運送業者などの多くの方々が、その地域の産業複合体として、またお互いに運命共同体として地域経済を支えてきました。今ここに至って、梅の原料価格の低迷による梅農家の危機が梅産業全体に与える影響、地域経済への与える影響ははかり知れません。
 そこで、私は、梅生産農家が再生産できるようにしていけるための立場から県当局に提言し、今後の参考にしていただけたらありがたいなと思います。
 それは、まず梅干しというのは生果でない。市場ですぐに売って全国にはかさなきゃならないというものではなくて、まず保存できるという市場に支配されない、そういうものであります。
 もう1つは、紀州梅は全国生産の62%を占めます。まさにメジャーであります。そして、梅干しは全国の58%を占める250万たるが全体のシェアを支配しているわけであります。また、中国からの輸入はピーク時の2分の1の220万たるに減って、最近はむしろ減少傾向になっております。
 そこで、そんな客観的な状況を見まして、まず1つは、生産者の生産コストに見合う梅干しの原料価格にするためにどういうことが必要なのかということを私はずっと考えてきました。また、農家の皆さんとも御相談させてもらいながらやってきたんですけど、農家の生産コストに見合った梅干し原料取引価格決定の今の枠組みづくりが、現状は加工業者主導で決められております。これを、むしろ和歌山大学がずっと計算したように、生産コスト、加工・販売コスト、店頭価格などを勘案して基準価格を算定する第三者機関を設置する。交渉においてはそれは何も拘束力はありませんが、基準として参考資料としてお互いに交渉の中でのものにしていければ、もう少し地域的に、社会的に梅干し原料価格がどのようにつくられていくかというその労働力や過程が理解されてきて、それだけの生産コストに見合う原料価格が少なくとも5000円から6000円の価格がなければこれからの梅産業の梅産地が育っていかないということが理解されていくんではないかというふうに考えます。そういう意味では、県当局もこれをぜひ考えながら地域におけるそういう考え方に協力していただけたらありがたいと思います。
 2つ目は、紀州梅のブランドを維持していくという意味で、一昨年から非常に私自身も危機感を感じております。今の全体のデフレ傾向の中で、すべての量販店で出回っているのは、安ければいい、コストが安ければいいという流れがずっと続いております。これにいかに巻き込まれない地域産地のブランドを守っていくかということは全国でも非常な戦いをしております。
 例えば、福岡なんかは明太子が、あそこは産地でないから非常に戦いにくいんですけど、切れ明太とかそういう形で大量に生産する企業が進出してきて、今までのブランドを守っていた福岡の産地が非常に取り崩されてきている。こういう危機とか、その中でも米においてはいろいろと努力しているところもあります。魚沼ブランドは、こんな安値になっている中でも価格は一つも落ちておりません。それは地域、地域で頑張っております。
 そういう意味では、この梅が一昨年から、今までは大手は手をつけていなかったものまでが、わけあり梅とか切れ梅とかつぶれ梅とかいう形で大変に量販店に出回るようになりました。これは、ひいては産地が非常に取り崩されていく。産地は梅が62%を占める量を持ちながらあるのですから、これをきちっと守っていけばどこからも動かされないのですけど、そういう切れ梅、わけあり梅で低価格の商品が出回る事態を招いているのを見過ごしてしまうと、まさに梅産地のブランドが総崩れになってしまうんではないかと。そのことによって、本来の梅生産コストに見合う梅原料価格の足を引っ張ってくると。こういう形になっていますので、これについては私はいろんな手だてをしながら、梅のそういう外品と言われているんですけど、それを梅肉にするなど新たな加工戦略を組みながら、産地を守っていく方策を県当局も考えていくべきではないかというふうに考えているわけです。これについて知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 次に、「肥料高騰、これからの農業」ということで書かしていただいてるのは、実は2008年の肥料高騰のときに私も議会で質問したことがあります。最近においては、肥料の原料の、中国を中心として争奪戦が開始されたというふうに新聞でも報道されております。そういう意味では、肥料の輸出がどんどんどんどん制限されてくる事態、これからいわゆる高どまりになっていくんではないかというふうに思っております。
 そういう意味ではもう一回原点を見直して、梅では、生産コスト高で去年、ことしにかけて非常に厳しかったので廃園する農家、そして肥料はことしもうやらんねんという農家が現実に生まれてきております。いかに肥料コストを下げるために我々は県内の農業生産を強めていくかということについては、これはぜひとも今度は本腰を入れて考えていかなあかん。だから、化学肥料と堆肥とを有機的に結びつけて、例えば梅や柿やミカン、桃といったところに対してどんな肥料をすればコストダウンになって成長していけるかということの研究も含めてですが、そういうことと、もう1つはこういう輸入資材に頼らないで地域の未利用資源を使った堆肥生産も十分考えていく必要があるのではないか。実はそういう意味で、低コストな生産体制など地域循環型農業をどう構築していくか、これが大切な時期に来ていると思いますが、いかがでしょうか。
 また、最後になりますが、県農と連携した販売促進。たまたま県農とTPPのことも含めてお話しさせてもらったんですが、実はその組織図をずっと見てみますと、県農はほんまに全体として全国シェアを持ちながら、東京、名古屋、大阪に事務所を置いて、和歌山県の農産物をどないして売っていくかという人も組織もきちっと充実させているんです。
 そこで、私は、県が食料を売っていくための農産物のイベントやいろいろ手だては十分にやっていただいておりますが、ここでこの組織を使わんかんべんないなと。県農組織を思い切り使って、そして県農産物を、頑張っている食品流通課が中心にして、商工観光労働部も含めてですけど、ここと提携すれば人と組織を使ったより合理的な、全国的な販売に入っていけるんではないかということでちょっとお話しさせてもらったんです。これは、まさにお互いに一体になって京阪神を含めた隣接の販売へも大きな力を発揮できるんではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
 次に、林業振興についてであります。
 私は、紀州の林業には未来があるということでいつも訴えさせていただいております。そこで、和歌山県の木材自給率が、国が50%達成に向けた林業活性化をどうしていくかということの提案がされていますが、今、山村の人たちは間伐などの林業活動を続けていますが、木材の値段の低迷など、林業は依然として非常に厳しいものがあります。しかし、林業への展望、環境は切り開かれてきております。
 和歌山県は、戦後に植えた杉やヒノキの人工林がやっと大きく育ち、利用可能な人工面積が10年後には2倍になるなど、和歌山県の林業は活性化に向けたそういう体制ができています。
 国では、昨年、10年後の木材自給率を50%以上にすることなどを目標にした森林・林業再生プランがつくられました。先月末には、ことし1年間の議論を踏まえ、このプランの具体化に向けた計画の最終取りまとめを行っています。この取りまとめでは、国、県、市町村、森林所有者がそれぞれの役割のもと、自発的な取り組みを維持することを前提に、市町村計画のマスタープラン化をし、森林管理・環境保全直接支払制度を新設されました。低コスト林業の確立のための路網の整備の推進、林業事業体や人材の育成、国産材利用の拡大などを含め、林業を成長産業の1つにするというふうに目指されております。これは、和歌山県としては本当にいい環境が整ったのではないかというふうに考えております。この国の政策を受け入れ、県や市町村、行政当局の力量が今試されるというふうに思います。
 本県では、現在、古くから紀州材として培われてきた柱材や製材だけでなく、プレカットなどの新しい製品加工など、さまざまな木材製品が活性化しつつあります。こうした加工場の整備とともに、それぞれの加工場が必要とする木材を量、質ともにそろえてきちんと供給できる山側の体制整備、つまり山側の木材生産から川下の製品加工などに至る総合的かつ具体的な施策の実施が必要となります。そうすることで、山だけでなく、まさに木材まで含めた地域全体の雇用、経済が活性化してくる、これは私は非常に心を躍らせているんです。
 かつての田辺周辺、311号線沿いの中辺路、大塔、本宮、すさみ、日置川、こういったところでじゃんじゃん製材がなってきた時代を私は体験してるんですが、そのことを夢見ながら、この政策を本当に具体的にするなら、過疎化した中山間地域での新たな基幹産業として育っていくのではないかということを期待しているわけであります。
 そういう意味で、県がアクションプログラムを策定し、低コスト林業として進めてきた作業道や高速機械の整備などはもちろんですが、地域の森林整備事業全体を的確に把握し、森林組合や素材生産業者、さらに建設業者など、林業を担うことのできる事業体を総合的に調整する森林管理局的な組織も必要になってくるんではないかというふうに考えております。県も、森林組合だけに事業を任すのではなく、建設業者などさまざまな事業体の参入を促すべきであるし、そうした事業体の調整に積極的に役割を果たすべきだと考えます。
 いずれにしても、いよいよ利用が可能となってきた和歌山県の森林を活用し、国が掲げる木材自給率50%の実現に向けて具体的にどのように対策を進めるのか、農林水産部長にお伺いします。
 次に、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律等を踏まえた紀州材の利用拡大についてです。
 去る10月1日には、公共建築物等における木材利用の促進に関する法律が施行されました。この法律は、国がみずから率先して木材利用を図るため、公共建築物における木材利用の基本方針を作成し、国が整備する公共施設の木造化の目標を定めることなどを内容とするものであります。
 この法律では、地方公共団体に対しても、公共建築物における木材利用促進に関する施策策定など、木材利用に努めることが求められています。せっかくできたこの法律の精神を生かして、県内の公共建設は本当にすべてが紀州材を使っていくんだという意気込みぐらいを持ち、県と市町村それぞれに強力に紀州材使用を進めてほしいと考えます。
 この公共建築物等における木材利用の促進に関する法律に基づき、市町村への法律の趣旨徹底も含め、県はどのような取り組みを進めるのか、農林水産部長にお伺いします。
 最後になりましたが、福祉事業団と地域福祉団体の連携についてであります。
 和歌山県福祉事業団と地域福祉団体の連携についてでありますが、第1点は、県は県立障害児者入所施設の来年4月からの民間譲渡をするとして今議会に議案として提出されていますが、そのことによる施設利用者へのいわゆる影響、サービスの質の低下は招かないのか。民間譲渡に伴い、福祉事業団への管理監督指導が十分されるのか。譲渡に伴う県との契約は十分なのか。
 2つ目は、県福祉事業団は民間福祉法人として紀北から紀南全域を統括する事業所として、つまり大組織としての弊害はないのか。地域に行き届いた事業所運営ができるのでしょうか。
 また、地域に密着した地域の障害児童相談所等は県下に108カ所あります。県福祉事業団が地域福祉事業所と連携・協力して地域要望にこたえていくための指導は県はどう考えているのかお尋ねして、1回目の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 県内の中小企業の育成につきましては、かねてから実施しております産業別担当者制度を生かした企業の業況把握に努めるとともに、豊富な民間人材を有する財団法人わかやま産業振興財団をワンストップ窓口として、県内すべての企業を対象に各種相談に応じ、これを進行する体制を整えております。
 また、やる気のある企業に向けては、専門家の派遣や経営革新計画の認定、国内外に向けた販路開拓支援など、さまざまな支援を実施しております。
 さらには、当該財団を中小企業振興の中核支援機関と位置づけ、産学官連携を初め先進的な研究開発支援を行う工業技術センターなどとも連携し、地域経済の活性化や雇用の創出に向けて取り組んでまいります。
 次に、TPPでございますが、昨日も答弁しましたように、この問題については二面あると考えております。すなわち、参加しないことで他国との競争上、日本が不利に置かれて日本経済が破綻しないかということと、逆に、参加することで壊滅的な打撃を受ける産業が出てくるのではないかという面であります。これらについては、影響を産業ごとに的確に把握し、それぞれの産業についてどのような対策が必要か見きわめ、慎重に対応すべきであると考えております。
 農林水産業につきましては、現政権は生産性の向上や競争力の強化のための施策を予算にして60%もカットし、さらにその政策を今のところ承継し、その政策を転換し、さらにもっと強化するという考え方もないようでありますが、その中でいきなりTPPに入るということは、これは常軌を逸していると感じているところであります。
 県といたしましては、議員お話しの農山村への影響も含め、農林水産業全般に関する影響を分析するとともに、それに対して基盤整備などどのような対策が必要か十分見きわめた上で国に対してきちんと要求をしていきたいと思っております。
 次に、梅の現状とその課題でございます。
 梅の現状につきましては、近年、経済不況に伴う消費者の購買力の減退と低価格指向が進む中、梅たるの取引価格が低迷し、梅産業の持続的発展には非常に厳しい状況にあると承知しております。こうした中、県ではこれまで、梅の需要拡大を図る観点から、販売促進の強化を初め、新商品開発や輸出拡大に力を入れてきております。例えば、首都圏において梅の持つ機能性をPRするためのフォーラムを開催するなど、活発に活動しております。
 一方、供給過剰といった新しい事態に対処するため、関係者が力を合わせながらこの局面を打開していくことが何よりも大切と考え、生産農家を初め加工業者や関係する農協、市町で構成するうめ需給・販売対策会議を去る7月22日に設置したところであります。この取り組みとして、生産農家と加工業者による話し合いの場を設け、お互いの情報を共有し、歩み寄れる方策について検討しているところであります。
 今後、流通の専門家を招いた現地検討会を開催するとともに、うめ需給・販売対策会議で県がコーディネーター役を果たしながら、議員からの提案を含め、より具体的な梅振興についても検討を進め、将来につながる道筋を見出してまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 技術開発と新商品開発、中小企業への支援の取り組みと成果についてでございますが、技術開発につきましては、昨年制定した和歌山県新技術創出推進条例を踏まえ、本年4月に和歌山県産業技術基本計画を策定し、新たな技術の創出等に向け、戦略的に取り組んでおります。また、新商品開発では、地域資源を活用したわかやま中小企業元気ファンド等の各種補助制度を実施するとともに、販路開拓では本年4月にアクションプログラムを策定し、国内外への出店等を支援しております。
 このように、やる気のある企業に対しては、議員御指摘のとおり、わかやま産業振興財団を中心に企業の掘り起こしから販路開拓まで一貫して支援を行ってまいります。
 なお、成果の一例といたしまして、商工会の企業カルテ活動で発掘された事業者が経営革新の計画認定を取得、さらには画期的な冷凍システムの開発を通じ、首都圏等への販路拡大を行った例があり、中小企業庁の「元気なモノ作り中小企業300社」にも選定されてございます。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) まず、農業振興についての3点について、一括してお答えいたします。
 まず、農山漁村の活性化に向けた6次産業化の推進についてでございますが、議員お話しのように、農林漁家の所得が低迷する中で、農林水産業を核に2次産業、3次産業へと産業のすそ野を広げることで新たな付加価値を創出する6次産業の推進は、今後の農林水産業振興の基本施策となるものでありまして、過疎化が進行する農山漁村においては新たな産業を生み出し、雇用の拡大にもつながるものと考えております。
 このため、県では昨年度から生産、加工、流通、販売の総合的な取り組みを支援する新農林水産業戦略プロジェクトを推進しており、これまでに18のプロジェクトが始動する中で、地域特産物の育成や新商品開発、また、新たな販路の開拓などが進みつつあります。今後とも、こうした成果や先進的な取り組み事例のPR活動を通じまして、新規プロジェクトの掘り起こしに努めてまいりたいと考えております。
 また、食品産業と連携した商品開発など農商工連携の強化、さらにはさきに成立したいわゆる6次産業化法に基づく国の施策活用や小規模農家グループに対する支援策についても検討し、和歌山県としての総合的な6次産業化の推進に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、肥料高騰、これからの農業についてでございますが、肥料の原料価格が高騰する中で、農業の原点に立ち返り、土づくりを基本とした化学肥料に依存しない循環型農業を進め、低コスト化を図っていくことは重要であると考えております。このため、一昨年、家畜の堆肥を活用した施肥指針を品目別に作成し、これを基本に、低コストな施肥の普及とともに地域に存在する有機資源の活用を推進しているところでありまして、県内では、有機栽培実践グループと食品関連業者、リサイクル業者が連携した食品残渣の肥料化など、資源循環のモデル的な取り組みが広がりつつあります。
 今後、農業試験場が中心となって取り組んでおります肥料効果の高い鶏ふん堆肥の開発・実用化などの試験研究をさらに進めるとともに、地域において活用できる資源情報の収集、提供を行うなど、栽培品目に適した資源循環型農業をより一層推進してまいりたいと考えております。
 次に、県農と連携した販売促進についてでありますが、本県農産物のすばらしさを全国に情報発信し販売促進につなげるため、県農等JAグループとの連携は非常に重要であると考えております。このため、これまで大規模なPR活動やフェアの開催といったイベントにおける連携に加え、継続的な取り組みとして、県農と関係が深い食品スーパーの店舗を活用しながら加工品を含めた県産品の売り場確保に対する支援を行ってきております。
 また、県と県農との間でプロジェクトチームを設置し、わかやまブランドの向上に向けた生産・販売戦略について検討を重ねているところでありまして、今後、議員お話しの視点も踏まえ、県農等JAグループと一体となって京阪神など大消費地における県産農産物の一層の販売促進に努めてまいりたいと考えております。
 次に、林業振興についての2点についてお答えいたします。
 まず、木材自給率50%達成に向けた林業活性化の具体策についてでありますが、本県では、森林資源の充実等を林業活性化の絶好の機会ととらえ、これまで紀州材生産販売プランに基づき低コスト林業や紀州材の利用拡大を積極的に展開した結果、間伐材の増産や需要拡大など、着実に成果を上げてきたところでございます。
 今後、紀州材の一層の増産のためには、基盤整備を基本として効率的な作業システムの確立と、その担い手である事業体や人材の育成、さらには紀州材の販路拡大が急務であると考えております。このため、木材の搬送が可能な基幹的な作業道と効率的な間伐作業等のための作業道などの路網整備を集約化された団地内で一体的に進めるとともに、路網を補完する架線系の機械や走行性能にすぐれた車両系の機械など、本県の急峻な地形に適合する機械の選定、導入を進めてまいります。
 また、林業技術研修の一層の充実等により、事業体の新規参入の促進と路網整備の技術者等の人材育成を図るほか、紀州材の大都市等への販売促進や、乾燥材、プレカットなどニーズに即した加工体制整備、さらにはマスタープランとなる市町村森林整備計画や直接支払い制度などの国の新たな制度も有効に活用しまして、本県林業、木材産業の振興に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、紀州材の利用促進につきましては、公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の施行等を受け、現在、県が整備を行う公共建築物での木材利用促進のための木造化を促進すべき建築物の基準等を内容とする木材利用の促進に関する方針を、関係部局と連携を図りながら策定中でございます。また、市町村に対しましても、木材関係団体とともにすべての市町村を訪問し、木材利用に向けた市町村方針の策定など、公共建築物等での木材利用を促しているところでございます。
 県といたしましては、こうした方針の策定をばねに公共建築物等での木材利用を一層促進し、紀州材の利用拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 福祉事業団と地域福祉団体との連携についてお答え申し上げます。
 県立障害福祉施設の譲渡先となります社会福祉法人和歌山県福祉事業団につきましては、県が昭和40年に県立福祉施設の管理運営を行うことを目的として設立いたしまして、以来、今日まで県立障害福祉施設の管理運営等を担ってきております。
 県立施設の民間譲渡につきましては、現在の指定管理者である福祉事業団のこれまでの適正な管理運営の実績により、また、入所者や保護者の方々の譲渡に対する御理解のもと、施設利用者へのサービスの一層の向上につなげることを目的として行うものであります。
 なお、福祉事業団は現在の指定管理者制度においても自立した経営を行っておりまして、譲渡によって施設の経営環境が変わるものではありませんが、県といたしましては、今後とも福祉事業団が地域における社会福祉事業の担い手として、他の事業者や地域の方々とともに連携・協力を図りながら住民ニーズに応じたきめ細やかな福祉サービスを提供するよう、必要に応じ指導等を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 まず、商工観光労働部長に再質問という形でお願いしたいと思います。
 私は、先ほども言いましたけども、技術開発し、新商品化した元気ある企業をどう伸ばすのか、その支援に行政はどうかかわるのかということについてもう少し具体的に示していただけたらありがたいし、もう1つは、新しい技術と新商品が全国でただ1つしかないと。内外にもう評価されていて県外でも高く評価されながらも、その商品が県内の公共や民間に広く活用されない状況はどこに問題があるのかなと、非常に私自身寂しくなることがあります。
 その方の意見を聞きますと、ある県では、そこの住宅公社が木造住宅すべてに利用するとか、ある企業はそれを全面的に活用するとかいう評価をしてその能力、技術を評価していながら、和歌山県内で余り利用されていないと。ここにやっぱり知事が言うように、日本一のという言葉を私は真剣に受けとめて、やっぱり育っている企業、しかも内外に少ししかない、和歌山県でしかないその技術を開発した商品を和歌山県の財産にしながらその企業が内外に打って出る支援策が、それはお金ではなくて、そういう支援策をやっていくことが大切だなというふうに痛感しております。そういう意味で、具体的にそういう対策を今後どう考えていくのか、商工観光労働部長にお尋ねします。
 要望は後で言います。
○副議長(山下直也君) 再質問に対する答弁を求めます。
 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 再質問につきまして、一括してお答えいたします。
 さきに答弁しましたとおり、やる気ある企業に対しましては、県が中心になってわかやま産業振興財団や経済団体、県工業技術センター、県内大学等と連携しながら、企業の掘り起こしから販路開拓までを一貫して積極的に取り組んでおります。特に、新しい技術や新商品で県外で高い評価をされながらも県内の公共、民間に広く活用されていない状況については、和歌山県試し買い制度や公共事業での優先使用を進めております。
 県といたしましては、今後とも、やる気ある県内中小企業の振興の観点に立って、庁内関係部局とも連携し、積極的な販路開拓支援に取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再々質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 今の件については、ぜひ直接そういう方との懇談も含めてやりながら問題点を解決していただきたいと思います。これからやっぱり中小企業育成という意味では、和歌山県にそういう企業は育っているし、育っていくんですから、そういう積極的な事例を残しながら、次に頑張る人の奨励になっていくというのかな、そういう励ましになっていくということになると思いますので、和歌山県が少なくとも中小企業に信頼される政策をお願いしたいと思います。
 それからもう1つ。次に要望ですけど、6次産業についてですけど、この前、2010年の農林業センサスによるデータを見まして、先ほどは6次産業として県内の農家の農産物の加工をやっているのは、平成17年のデータは515だったんですが22年は1470というふうに、農家が今までただつくって売るというんではなくて、加工して売るということは3倍以上に、農家が付加価値をつけて何とか売って収入を得ようという努力をされております。
 そういう意味では、先ほども言った大企業、大手食料機関とやっていくというのはあるんですけど、そういう小規模で地域のグループが自分たちのつくったものをその農村地域でやっぱりそれを加工して売っていくと。そういう付加価値をつけて売っていくということについても、国は大きな施策として億という単位の例えば負担──我々受益者負担は1000万以上かかるような大きなものが多いですけど──そういう小規模なことについてもきめ細かく指導いただけたらありがたいと思います。
 それから、次にTPPについてですけど、知事の御答弁、僕としては評価したいと思います。ほんで、きょうの新聞を見てみますと、やっぱり国自身が、韓国は今の北朝鮮問題で非常にアメリカとの提携をして、何とかという提携をしながらも、韓国とアメリカがFTA交渉の中で今やっているんですけど、その中で肉の関税率を下げて全面にアメリカの肉を韓国に入れろということで今がんがんやられているんです。それで今、緊張の中のアメリカと韓国の提携の中でも、この肉の関税引き下げというのは一切受けつけないという、ばーっと拒否しているんですね。
 やっぱりそういう国としての態度をやっておりますんで、我々は和歌山県だけでなくて、全国の過疎や農村地域だけでなくて、それにかかわる産業経済が侵されない、よりそれによって競争力を高めていく、そういう産業に育てる状況をまずつくり上げることが国の責務だというふうに私は考えているんですが、その点、ぜひとも知事を先頭に頑張っていただけたらと思います。
 それから、梅のことについてぜひとも──これを知事に質問したというのは、梅産業の実態がやっぱり紀南の実際の地域産業の中心になっていますんで、できるなら、以前にも──農家のそういう形の皆さんとの梅の実態をぜひ懇談などしていただいて、実態をまずつかんでいただいて方向性を農協も含めてつかんでいただけたらありがたいと思っております。
 次に、最後になりますけど、林業はもう私が言ったように、国はどんどん言うてきてます。しかし、法律をつくり、施策をつくり、公共建築物についてはやるんやということも言うてますけど、その財源的裏づけはここの直接支払い制度ぐらいにもう少しお金を出そうという裏づけをしてきてるんですけど、例えば公共建築物にしても、実際にその裏づけする形でどんどんやれやれと言うてくるけれども、それに対する負担は地方自治体が100%負担していかなきゃいかんと。RCとの関係の平米当たりのコストが違うということの単価が、木造が今のところまだ高いという状況の中で、非常に厳しい事態はあるんですけど、そういった意味でも、県としては進めながら、国に対してそういうことの要求もきちっとしながら進めていただけたらありがたいと思います。
 これで終わります。ありがとうございました。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 18番川口文章君。
  〔川口文章君、登壇〕(拍手)
○川口文章君 議長のお許しをいただきましたので、一般質問させていただきます。
 仁坂知事が県政2期目を担当されるに当たり、先輩議員からのお祝いの言葉がございましたが、改めまして、圧倒的な得票で御当選されましたことに心からお祝い申し上げますとともに、お喜びを申し上げます。
 2期目の県政運営は、県民の皆様にとっては、昨年9月の政権交代とあわせて現在の異常な世界経済状況をかんがみて、県民の皆様から期待され、和歌山の県政を託されたものであります。私は、知事の「安全で安心な元気な和歌山づくりに県民の皆様と一緒に頑張ります」とのことに共感しております。「安全で安心な元気な和歌山づくり」の短い言葉に県政のすべての政策が含まれております。これらの政策を実現するためには、県民の声を聞き、開かれた県政を推進することであると思っております。
 知事は、時間のある限り地域の行事に出席するなど今まで以上に地域へ出向き、また、引き続き県政報告会を開催していただきたいと思いますし、県民に身近な知事であってほしいと思うわけであります。
 それでは、一般質問させていただきます。
 初めに、今回の選挙で公約に掲げられた「あたたかい改革」について質問いたします。
 知事は、1期目に前知事の不祥事を受けて県の名誉回復に努めていただいたこと、また、国の財政が厳しい中、県行財政の再建に御努力されたことなど、さまざまな改革に取り組まれてきたことは十分承知いたしております。私も、長く岩出市の運営に携わってきた経験から、特に財政の健全化を図ることや健全性を維持することの難しさを身をもって感じてきただけに、これまでの知事の取り組みについては高く評価するところであります。
 また、知事の言われる改革とは、今申し上げた県の信頼回復に向けた取り組みや行財政改革のみならず、行財政各般にわたって新政策として実施してきたすべての取り組みを指しておられると理解しておりますが、知事は今回の選挙戦でも、その改革は県民にとって温かい改革でなければならない、これまで続けてきた改革をとめてはならないと県民に訴えてこられ、その結果、県民の圧倒的な支持を受け、見事に再選を果たされましたので、2期目の県政においても引き続き改革に取り組まれるものと大いに期待するところです。
 今、県民を取り巻く環境は大変厳しいものがあります。報道等によりますと景気は少し回復していると言われておりますが、逆に物価は低迷し、さらに失業率も高い水準にあるなど、依然として景気は低迷していると言わざるを得ない状況にあり、このような厳しい経済情勢のもとで、国においても、また県においても経済対策のための補正予算の編成やさまざまな景気対策の取り組みを行ってきたところでありますが、県民にとっては、まだまだ景気が目に見えてよくなったという実感を持てない状況であります。
 このような状況下で、知事はこれまで約80社の企業誘致を成功させるとともに、県産品のトップセールスについても知事みずからが東奔西走されるなど、知事はこれまで何とかして和歌山を元気にしようと懸命に努力され、改革に取り組まれてこられました。
 また一方、「あたたかい改革」を進めるに当たっても、行政はできるだけ経費の削減を図り、効率のよいスリムな行政運営が県民から求められております。このため、持続可能な財政構造への転換を図るために、平成17年に21年度を目標年次として行財政改革推進プランを策定し、行財政改革を推し進めてまいりました。さらに、平成19年度に「新行財政改革推進プラン~持続可能な県政へ~」を策定し、全庁挙げて取り組まれてまいりました。
 知事は、歳出削減に努める一方、財源の確保については、前段で述べたとおり企業誘致や観光振興などの経済活性化を積極的に進められ、税源の確保に向けて積極的に推進されております。
 しかしながら、政権交代に伴う国の一括交付金制度の導入の動きや各助成制度の見直しについて事業仕分け等で審議、議論がされている中、経済情勢の悪化から景気対策が求められており、財政再建は計画どおり進められないのではないでしょうか。
 そこで、お伺いいたします。
 まず1点目に、今後進めようとされている「あたたかい改革」により具体的に何をされようとしているのか。知事の御所見をお伺いいたします。
 2点目に、平成19年度に策定された「新行財政改革推進プラン~持続可能な県政へ~」は計画どおり進捗しているのでしょうか。総務部長にお伺いいたします。
 次に、関西国際空港と伊丹空港の経営統合についてお尋ねいたします。
 伊丹空港は、昭和39年のジェット機就航以来、騒音問題が深刻化し、その年には大阪国際空港騒音対策協議会が発足いたしました。それ以来、昭和44年の伊丹空港周辺住民から夜間利用差しどめの請求等を求めた大阪空港訴訟や、昭和48年以降数次にわたる大阪国際空港の廃止を求める公害調停委員会に対する調停などが行われ、昭和48年には伊丹市が大阪国際空港撤去都市を宣言しております。
 一方、関西国際空港は、大阪国際空港の環境・公害問題の抜本的な解決を図るため建設された国策による空港であります。その位置についても、当初有力であった神戸沖案については昭和47年に神戸市議会が反対決議を可決し、またその翌年には空港建設反対を掲げた神戸市長が再選するなど、受け入れられませんでした。
 このように、関西国際空港は位置の選定も難航を極めた末、昭和49年、航空審議会が大阪国際空港の廃止を前提として、その位置を大阪湾南東部の泉州沖の海上という答申をされております。我々といたしましては、関西国際空港は伊丹空港の廃止を前提に建設されるとの認識をもとに協力してまいりましたが、伊丹空港の存続が平成2年に決定されました。
 現在の関西国際空港の現状を見ますと、環境に配慮し沖合5キロメートルの海上に造成したため事業費が巨額になったこと、国費投入を抑制するため民活方式を導入し株式会社として誕生したことにより、1兆円を超える有利子負債と年間200億円以上の支払利息が発生するようになり、経営を圧迫しております。
 長引く世界同時不況の中、輸出の生産や個人消費等の減少による航空需要の減退やJALの破綻など大変厳しい外部環境のもとでも、政府補給金90億円を受けているとはいえ、平成21年度においても黒字を確保したことは、巨額な有利子負債の圧縮があれば関西国際空港は十分な競争力があるものと考えます。
 そういった中、関西国際空港を国際拠点空港として再生するために、本年5月に国土交通省成長戦略会議で関空会社のバランスシートの抜本的な改善、関空本来の優位性を生かした競争力強化策、伊丹の活用のあり方という相互に関連する諸課題について抜本的解決を図ることが必要であるとの方針が示されました。そして今回、成長戦略会議の方針にのっとり、関西国際空港、伊丹空港の統合案が示されたようであります。現状につきましては、お手元に配付させていただいております資料のとおり、国が67%、地方自治体等が33%を関西国際空港株式会社に出資し一体運営をしておりましたが、1兆円を超える有利子負債が発生し、国の負担を減少させるため、両空港の統合案が国から提示されました。
 新聞報道によりますと、統合案は、資料配付のとおり、関空会社の土地とそれに見合う負債を切り離し両空港を一体運営する、国が100%出資する統合事業運営会社を設立する内容であります。これにより、現在の関西国際空港株式会社は関空土地保有会社となり、事業運営会社から土地の賃料を受け取り、1兆円を超える有利子負債を償還するための統合案であります。そして、将来は統合事業運営会社を民間に売却するとの報道であります。このことは、国が関空の運営権を民間に売却しやすくする仕組みづくりであり、国としての責任回避ではないでしょうか。
 和歌山県を含む地元自治体は多額の出資をしており、関西空港の開港に期待し、いろいろな政策、施策に大きな影響がありました。私は、この統合案では和歌山県が出資する関空土地保有会社は借金返済会社ではないかと考えます。統合事業運営会社に国が100%出資することで、自治体、経済界の意見を反映させることができない仕組みであります。これでいいのでしょうか。
 そこで、お伺いいたします。
 まず初めに、国は地方自治体の意見を聞き、関西国際空港、大阪国際空港の統合整備に向けた法案整備を行った上、平成23年4月をめどに新会社の設立を目指すとのことでありますが、この経営統合案についてどうお考えか、知事の御所見をお伺いいたします。
 2点目に、今回示された両空港の経営統合案について、国が経営改善に向けどのような効果があると考えているのか、企画部長にお伺いいたします。
 3点目に、国が示す両空港統合案では、関空会社の持つ1兆円以上の有利子負債は統合事業会社と関空土地保有会社で返済することとなりますが、2つの会社の経営は成り立つのか、将来、我々地方公共団体の新たな負担増にならないのか、企画部長にお伺いいたします。
 4点目に、本県は関西国際空港を国際拠点空港として発展させるため現在まで125億円もの出資をしておりますが、国から示された案では空港運営は国が100%出資の事業運営会社が行うこととなり、空港運営に対する出資がなくなります。したがって、空港の事業運営に、本県はもとより地元自治体の意見を反映させることができなくなるのではないでしょうか。私は、関空発展のために出資している以上、事業運営にも関与すべきであると思いますが、企画部長にお伺いいたします。
 最後に、農地の耕作放棄地の防止と活用についてお伺いいたします。
 農地の耕作放棄地の増加は、米作経営では生計が立たない、農家後継者がいない等のことで耕作放棄地が目に余る状況であり、農地の保全が問題となっております。要因は、都市部と地方の経済格差が広がりつつあり、特に農業関係の経済は疲弊しつつあります。その原因の1つは減反政策にあり、さらに本県は小規模農業が大きな原因かもしれません。多くの農家がただ土地を遊ばせているだけで収益は減る、山里は荒れる、耕作を休んだ土地は荒れて使い物にならないとの弊害は農家を苦しめております。国は農家戸別補償制度を創設し、米作農家の救済に努めておりますが、私は県当局の農業政策についてお聞きし、提案したいと思います。
 数年前から県内の市町村では耕作放棄地を利用した市民農園が普及しており、農地を区画して1区画を幾らかの安い単価でサラリーマン家庭や一般家庭にあっせんをしております。このあっせん事業はかなりの人気で、農地を借りて土との触れ合いを楽しみ、野菜など無農薬栽培をして、趣味と実益を兼ねて楽しんでいると聞きました。反面、農家の所得にはならず、農地が荒れ地にならないだけで農家の収入にはつながっておりません。
 しかし、財政の厳しい市町村では、単独ではこの事業の普及、推進は非常に難しいと。いかにして耕作放棄地を活用し、少しでも農家所得につなげられないか、市町村にとっては非常に難しいと言っておられました。
 また、保育所、幼稚園、小中学校では、耕作放棄地を無償で借り受け、米づくりや野菜づくりなどを通じて現在の課題となっている食育教育のための学校田として活用しています。県の農業施策の助成・補助制度対象にすれば、農家にとっても一挙両得であり、耕作放棄地の活用、農家所得の向上につながるのではないでしょうか。
 そこで、お伺いいたします。
 1点目に、県下の耕作放棄地の状況について農林水産部長にお聞きいたします。
 2点目に、この施策は農業政策だけではなく、現在の大きな課題になっている食育にも役立つ施策だと思っております。また、市民農園を実施している、また実施しようとして計画のある市町村に対して、または農家に対して、耕作放棄地の活用を推進し、少しでも農家所得の向上を図るためにも助成・補助制度を検討する考えはありませんか、農林水産部長にお伺いいたします。
 以上、大きく3点を質問し、誠意ある御答弁をいただきますようよろしくお願いいたしまして、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの川口文章君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 「あたたかい改革」により何をするかとの御質問でありますが、私が公約で申し上げました「あたたかい改革」につきましては、県庁が仕事を進める上で経済性や効率性などの合理性のみが優先されて、本当に困っておられる県民の方や活力を失いつつある地域の方々など、いわゆる弱者を切り捨てるようなことになってはならないとの思いから申し上げたものでございます。
 具体的には、新行財政改革推進プランを考える際の補助金の見直しを要求されたときも、県民生活への影響を考えまして県単独医療費助成制度は死守いたしました。また、福祉や防災、治安といった県民の安全・安心に係る施策などは一歩も後退させておりません。さらには、その後の情勢を見まして、和歌山版の過疎集落支援総合対策とか、あるいは中小企業向けのセーフティーネット対策など、時々の状況に応じてこの問題に情熱を持って取り組んで、困っておられる人々や地域を絶対に見捨てないという意気込みでやってまいりました。
 今後も、県行政が弱者の切り捨てにならないように常に配慮しながらやっていきたいと思います。例えば、中小河川の浸水対策で困っておられる方々をきちんと配慮するとか、あるいは過疎地域に住んでおられる人に手厚く配慮していこうとか、あるいは防災や少子化対策を充実させていこうとか、お年寄りや障害を持つ人々への配慮を欠いてはいかんとか、あるいは授業についていけなくなった子供への対策をきちんとしようとか、あるいはいじめやDV対策などを忘れないようにしようとか、そういう点についていつもきめ細かく考えて、対策を実施してまいりたいと考えております。
 次に、関西国際空港と伊丹空港の経営統合案でございますけれども、関西国際空港は、1兆円を超える有利子負債によりまして空港使用料が高額となっているために、発着便の減便や路線廃止が相次いでおります。これを打開するため、今まで有利子負債の解消を国に訴えてきたところであります。
 そもそも関西国際空港は、伊丹空港の騒音問題の解消と関西の航空需要を賄うため建設された国策空港でありまして、民活により株式会社方式で設置されたとはいえ、本来、国が有利子負債の解消について責任を持つ必要があると考えます。関西国際空港が開港して16年になりますが、いまだに有利子負債の問題を解決できていない中で、今回、国が率先してこの問題に取り組もうとしている点は一歩前進と評価したいと思います。
 しかし、議員御指摘のとおり、今回の経営統合案では事業運営権の売却により有利子負債の解消を図ることになっておりますが、それで本当に有利子負債がすっかり解消されるのか、あるいは空港運営に地元自治体の意見が反映されるシステムになっていないんじゃないかなどの課題もありますので、そうした点についてきちんと担保されるよう国に強く意見を言ってまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 総務部長宮地俊明君。
  〔宮地俊明君、登壇〕
○総務部長(宮地俊明君) 新行財政改革推進プランの進捗につきましてお答え申し上げます。
 新行財政改革推進プランは、長期総合計画における各施策を実行していくため、単年度の収支が慢性的に不足する厳しい財政状況を転換し、基金の大幅な取り崩しに頼ることなく財政収支が均衡する状態の実現を目指して策定したものでありまして、これまで県民生活への影響に十分配慮しながら、全庁を挙げて事務事業の見直しや歳入確保の取り組みを進めてきたところであります。
 この結果、財政調整基金及び県債管理基金の平成21年度末残高は、新行革プランで想定しておりました84億円に対し実際には184億円の残高となるなど、財政状況の改善に向け着実に進捗しているものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 関西国際空港と伊丹空港の経営統合案についての3つの質問にお答えをさせていただきます。
 まず、経営統合案の効果についてでございますが、国土交通省によりますと、単一主体が両空港を運営することにより経営責任が一元化、明確化され、経営の効率化と収益力の強化を図ることが可能となり、より有利で円滑に事業運営権の売却を行うことができる。また、伊丹空港の収益を活用して関西国際空港のバランスシートを改善する際、課税による流出が起こらないなどの効果があると説明されております。
 なお、新会社は民間経営の視点により戦略的な経営が図られるとされていますが、収支計画、空港運営のあり方などについては具体的には示されておりません。
 次に、2つの新会社の経営は成り立つのかという御質問についてでございますが、まず空港を運営する事業運営会社については、統合による経営の効率化と収益力の強化により事業価値を高め、国が責任を持って事業運営権の売却に取り組む。一方、土地保有会社は事業運営会社からの賃料により債務を返済していきますが、これが円滑に行われるよう、国が賃料の設定に関与することを検討するとなっております。このように、国の主導で両会社の経営が安定するよう検討が進められています。
 加えて、国は、新たなスキームに基づく経営の抜本的効率化を図るまでは激変緩和の観点から時限的に何らかの支援措置が必要となるケースも想定されるとしており、本県は両会社の経営安定が極めて重要であることから、この支援の継続を強く求めてまいります。
 最後に、空港運営への地元意見の反映についてでございますが、事業運営会社は国が株式を100%保有し、また、民間経営の視点に立って戦略的な経営を図るとされています。この会社の利益が負債返済の原資となるため、利益を上げることは大事でありますが、利益を重視する余り、関西国際空港を首都圏空港と並ぶ国際拠点空港として再生するという本来の目的が阻害されることがないよう、空港運営に地元意見を反映する仕組みの構築を国に対し強く求めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 耕作放棄地の活用についてでございますが、耕作放棄地につきましては、平成21年度の調査では1975ヘクタールとなっておりまして、そのうち農用地区域内の795ヘクタールについて、早急に復元を図るべき農地として、国の耕作放棄地緊急対策を活用しながら、その再生と農業利用に向けた取り組みを進めているところでございます。
 あわせまして、耕作放棄地の発生防止を図るため、県事業で各JAに農地の利用調整を行う営農支援員を派遣するとともに、選果場等を単位とした利用調整組織の育成に努めているところでございます。
 そのような中で、市民農園につきましては、農地の保全対策として、また、都市と農村の交流や県民の農業理解を通じた農村の活性化対策の1つとして有効な手段であると考えておりまして、現在、県では各地域において市民農園の可能性についての意見交換を行っております。
 また、現在、それぞれの地域で学童農園が子供たちの農業体験の場として活用されておりますが、市民農園を活用し、親子の触れ合いを通じた農作物の栽培や収穫物を家族で一緒に食することは、地元農産物への愛着や理解が深まるなど、子供から大人までの食育という観点からも大変意義深いものであると考えております。
 今後、農地の多様な利用形態として、市民農園整備への助成、補助など、その開設に向けた支援を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 以上で、川口文章君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時20分散会

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