平成22年12月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成22年12月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成22年12月8日(水曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第170号から議案第178号まで(当局説明)
 第2 議案第134号及び議案第143号から議案第178号まで(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第170号から議案第178号まで(当局説明)
 第2 議案第134号及び議案第143号から議案第178号まで(質疑)
 第3 一般質問
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出席議員(43人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 森 礼子
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 服部 一
 28番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 35番 浦口高典
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 46番 松本貞次
欠席議員(1人)
 45番 野見山 海
〔備考〕
 16番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 知事室長       曽根義廣
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      前硲健作
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     西上邦雄
 商工観光労働部長   岡本賢司
 農林水産部長     阪中栄一
 県土整備部長     原 広之
 会計管理者      神田泰仁
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    溝端莊悟
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 議事課主事      的塲健司
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○議長(谷 洋一君) これより本日の会議を開きます。
 日程に先立ち、諸般の報告をいたします。
 監査委員から現金出納検査実施結果の報告がありました。お手元に配付しておりますので、御了承願います。
 次に、報告いたします。
 議案の追加提出がありました。
 日程第1、議案第170号から議案第178号までを一括して議題といたします。
 議案は、お手元に配付しております。
 まず、当局の説明を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) ただいま上程されました諸議案について、御説明申し上げます。
 初めに、予算関係についてでございます。
 議案第170号から第175号までは、さきに議決いただきました職員の給与関係条例の改正等に伴う人件費の補正であり、一般会計で10億6100万円余の減額を行うほか、5特別会計で補正を行うことといたしております。
 次に、議案第176号一般会計補正予算は総額80億8800万円の増額補正であり、国の円高デフレ対応のための緊急総合経済対策に伴う補正予算として、予防接種法に位置づけられていない子宮頸がんワクチンなど3種のワクチンについて、接種者の負担軽減を図るほか、社会資本の整備を促進するとともに、依然厳しい経済情勢に迅速に対応するため69億3600万円余の公共事業予算を追加提案させていただきました。
 続きまして、条例案件等についてでございますが、議案第177号は、ただいま申し上げましたワクチンの接種を緊急に促進するため、国交付金による基金の設置条例を制定するものでございます。
 また、議案第178号は、建設事業の施行に伴う市町村負担金について議決をお願いするものでございます。
 何とぞ、御審議の上、御賛同賜りますようお願い申し上げます。
○議長(谷 洋一君) 以上で、当局の説明が終わりました。
 次に日程第2、議案第134号及び議案第143号から議案第178号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 6番向井嘉久藏君。
  〔向井嘉久藏君、登壇〕(拍手)
○向井嘉久藏君 皆さん、おはようございます。一般質問を始めさしていただきます。
 25万9200、7万6051、2万4467、これが今回行われました和歌山知事選の投票結果であります。まさしく仁坂知事の快勝であります。県下津々浦々、多くの支持を受けて第2期目の県政を担当するわけでございます。
 中央ではこのように言われておるようでございます。泡沫候補と対戦したん違うかと。知らない人は、25万9200対7万6051、この数字を見ますと、他府県の方は泡沫候補と戦ったんじゃないか。いえいえ、そうじゃありませんでした。片や民主党の県連の幹事長、女性候補。和歌山県にとっても女性候補が対戦相手になったというのは初めてでございます。そういうことで、当初は本当に激戦が予想されたわけでございますが、開票結果はさきに述べたとおりであります。
 この結果を見て、私はいろいろと考えました。戦う前のマスコミの論評等々、また結果を考えますと、ちょっと私には今の選挙がなかなか複雑でわからない。また、中央での出来事、また国と国との出来事、これらにも我々地方議員をも巻き込まれていくんではないか、こういうふうに思いました。
 しかし、つらつら考えてみますと、私は、この結果、県民が選択したのは、この4年間危ない船出じゃなくて、経験豊かな船長にこの4年間の航海を任したい、こういう思いではなかったかなと、こういうふうに思います。もう1つは、4年間の仁坂知事の努力が実ってきた、目に見えたものになってきた。こういうことが高く評価されたのではないかな、こういうふうに思った次第でございます。また、人柄もそうです。地味であります。横へ来たらオーラが放たれて座が明るくなったということはございませんが、その人柄はまじめであります。今、まじめというのは大事であります。そういう意味で、これも1つの大きなポイントに加わったんじゃないか、こういうふうに思います。
 4年前の11月23日でありましたか、私が橋本で自分の女性千人集会というのを持っておりますが、ちょうどそのときに自民党の県連の局長から電話がかかってきまして、「仁坂さん、今まだデビューする場所がないんよ。おまえとこでちょっとひとつ席つくってくれへんか」、こういう電話をいただきました。喜んでお受けさしていただいたんですが、それが4年前の11月23日、橋本市民会館での仁坂知事のデビューでございました。
 恐らく、東京から和歌山へ帰ってきて、4年前に戦った選挙戦というのは無我夢中でほとんど記憶になかったんじゃないか、こういうふうに思うんです。私もゴルフ好きですからよくゴルフ場に出かけますが、そのときに周囲の景色が印象に残っていた日は非常にスコアがよろしゅうございますが、スコアの悪い日はなかなか周囲が見えておりません。そんな初戦であったと思うんですが、この2期目、知事は4年間の実績と、また、その自信で17日間の選挙戦を戦われた。県民からのいろんな要望、こんなことしてほしいよ、こんなこともありますよということを多く聞かれて、17日間で恐らくやニュー仁坂が誕生した。私はこのように思います。
 この県議会初日に、29日でしたか、初登壇したときの仁坂知事の自信に満ちたこの演壇での発言を聞くときに、「あっ、ニュー仁坂が誕生したな」、こういう思いでありました。
 前にもお願いしたのでありますが、私は、この県庁の職員、4500人おられます。すばらしい力を持った人たちです。すばらしい指導者は、このすばらしい力を持った職員を使いこなしてこそすばらしい知事だというふうに評価されると思います。どうか、これからの4年間、しっかりと県職員の力が発揮できるようにリーダーとして指導していってもらいたいと、このように思います。
 それでは、質問に入らしていただきます。
 現在、我が国の経済情勢は、緊急経済対策を初めとする政策の効果などを背景に徐々に持ち直しておりますが、ここに来て家電エコポイントの縮小やエコカーの補助金制度の終了など政策効果の息切れ、また米韓の自由貿易協定(FTA)の批准に向けた協議により、米国市場では、韓国企業と激しいシェア争いを演じている日本企業は極めて不利な戦いを強いられることは容易に予想されるところであります。対応鈍い政府の責任は非常に重うございます。
 また、海外経済の減速や過度の円高により先行き不安が広がりつつあります。先月、内閣府が発表した月例経済報告11月によりますと、景気はこのところ足踏み状態となっている、また失業率が高水準にあるなど厳しい状況にあるとし、20カ月ぶりに下方修正した前月の表現を据え置く等、警戒感を示しております。
 また、来春卒業を予定している大卒就職内定が50%と厳しい数字が出ております。せめてもの救いは、ここに来て株価が1万円台を回復したことでしょうか。
 本県に目を転じますと、有効求人倍率が5カ月連続で改善したことは、知事がこれまでに取り組んできた政策が徐々に目に見える形であらわれてきた結果ではないかと評価するものでありますが、大型小売店販売額が30カ月連続で前年同月比を下回るなど、個人消費の冷え込みが依然と続いており、県内経済は厳しい状況にあります。
 そこで、お伺いします。
 2期目に向けた知事の決意についてであります。
 厳しい現況下でさきの知事選が施行され、快勝されました。知事選で県民と約束した公約の実現こそが、あなたへ県民が託した信任への大きなお返しとなるでしょう。知事の力強い決意を伺いたいと思うのでございます。
 続いて、平成23年度当初予算編成に向けた基本姿勢についてお伺いいたします。
 県では、厳しい経済状況のもとで来年度の予算編成に向けた編成方針が発表されましたが、その中で知事は、23年度予算は元気な和歌山の実現に向け、県内産業の活力強化を初めとする希望の政策と、県民の暮らしに直結する医療や福祉などの安心の政策に積極的な予算の重点配分を行うとの目標を掲げられておられます。希望と安心という目標に向けての基本方針をお伺いいたします。
 続いて、マニフェストについてお伺いいたします。
 マニフェストとは、候補者と有権者との間で取り交わす契約だと私は思っております。私が初めてマニフェストという言葉をこの議場で使ったのは平成8年、産廃でございました。橋本で起こった産業廃棄物の大変な問題、ダイオキシンが発生しました。県の協力を得て8年後の平成16年にようやく終息したわけでございますが、そのときに使った言葉がマニフェスト。マニフェストとは、そのときは、出た廃棄物、産業廃棄物にその産業廃棄物の経歴を示していく証明書ということで使わしていただきました。いつ、どこでこの産業廃棄物が発生して、途中経過を記入しながら最終どこで処分されたか、こういうのがマニフェストというふうに言われておりましたので、私は初め、政治の世界でマニフェストと言われたときには何かこう違和感があったわけでございますが、今マニフェストと言えば、政治家が、政党が有権者と、国民と約束をする契約書というふうに理解していると思います。そのことについてお伺いしたいのでございます。
 このマニフェストと言われるものが、この選挙で3種類出ておりました。1つが、知事が法定ビラとして出された1つ。もう1つは、自由民主党和歌山県連と政策協定しました。40項目にも及ぶ政策協定でありました。それが2つ目。3つ目は、知事が各県下でいろんなことを発言されました。発言であっても、私はやっぱり県民とのマニフェストというふうに理解いたします。その中で、活字にされたものが橋本市であります。この3つがこの選挙でマニフェストとして出ていたというふうに思います。
 私は、マニフェストとは、候補者と有権者との間で取り交わす契約書、このように理解しております。したがって、契約書の内容については何よりも優先して実行されるべきものと考えます。このような考えのもと、今回の知事選に県民と交わしたマニフェストについてお伺いしたいのであります。
 選挙中に出された法定ビラであります。「和歌山を元気に あたたかい改革」で仁坂の4つの政策、こういうことでありました。働く場をもっとふやします、県民の安心・安全を守ります、和歌山の活力と品格を高めます、県民の伸びるチャンスをふやすインフラの充実に努めますと大きなくくりで述べられております。そういうマニフェストの中で、私は自民党と交わした政策協定についてお伺いします。
 40項目にも及ぶ政策協定を知事は自民党和歌山県連と交わしました。自民党が知事選で政策協定を交わしたことは過去にないそうでございます。自民、民主の対決を、いかにこの戦いを重要視していたかをおわかりいただけると思います。知事のこの政策実行の決意をお伺いします。
 続いて、3つ目のマニフェストがございます。橋本市民と交わした、また県下の県民と交わしたマニフェストでありますが、特に橋本市民とは活字にして出ておりました。橋本市民と交わしたマニフェストについてお伺いしたいと思います。
 「橋本市の明日のために」という題でございまして、仁坂県政・橋本市の重点施策と題しまして、インフラ整備・産業政策・都市政策、市民が安心できる医療・福祉・教育分野に全力を挙げますと約束しています。そのうち具体的に地名等を記している項目がありますから、これについてお伺いします。
 まず、インフラ整備についてであります。
 国道371号バイパス府県間道路の早期開通、橋本五條線恋野─上田地区の早期の改良と恋野橋のかけかえ、紀の川左岸広域農道の早期完成、西部幹線道路の早期完成、また産業政策につきましては、地場産業、パイル織物、へらざお等の振興、こういう項目でありました。
 特にお伺いしたいのは、当然371号のバイパスの道路の早期完成と新紀見峠トンネルのことでありますが、これは今までにも何回か取り上げております。また、県道橋本五條線についても取り上げております。
 また、改良が着々と進んでいますが、恋野橋のかけかえというのが初めて出てまいりました。地元から、以前から知事に強い要望がありました。この橋は、普通乗用車がすれ違うことができないくらいの狭隘な幅の橋であります。したがって、どうしてもこの橋をかけかえてもらいたいという地元の要望が非常に強かった。
 選挙中、知事がこの地区で街頭演説を打ちました。その小さな集落に、知事に何とかしてもらいたい、知事の話を聞きたいという人々が300人も集まった。知事はその街頭演説の席上、「きっとやります」と約束してくれた。今まではちょっとトーンダウンしておったんですが、今度、「やります」と言い切ってくれた。このことに恋野地区の皆さん方は、本当にようやく工事にかかってもらえるかな、計画にかかってもらえるかなという期待が高まっております。このことについて改めてインフラ整備の中で再度お伺いいたしたいと思います。
 知事は、選挙前、選挙中を通じて県民からいろんな意見、要望等を見聞されたことと思います。このことがニュー仁坂の大きなエネルギーになるんではないか、このように思います。我々自民党といたしましても、関心を持って見守り、バックアップしてまいりたい、このように申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの向井嘉久藏君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、2期目に向けた私の決意ということでございますが、不祥事によって傷ついたふるさと和歌山の名誉を挽回し、ふるさと和歌山を元気にするためにこの4年間頑張ってまいりました。
 県勢浮揚の実現に向けて、200に迫らんとする改革をなし遂げてきた結果、これまでの4年間でそれ以前の20年間の実績に匹敵する企業誘致の実現や有効求人倍率が近畿でトップになるなど、施策の効果がようやく芽生えてきたところであります。
 ふるさと和歌山をさらに元気にするために引き続き温かい改革を続けていくという訴えが、県民から今回の選挙におきまして高く評価をいただいたものと考えております。と同時に、和歌山県の現状は、向井議員の御指摘のように、まだまだ手放しでできるものではございません。今後一層頑張れという期待がこの選挙における評価につながったものと考えております。
 私は、選挙戦を通じまして県内各地をくまなく回らしていただきましたが、多くの県民の皆様方から励ましのお言葉をかけていただくと同時に、景気や雇用といった県民生活に深くかかわる切実な声を数多くいただきました。
 私は、与えられた4年間の任期中にすべての産業ごとにきめの細かい振興策を講じながら、働く場をふやすとともに、福祉、医療や防災、治安対策などの県民の安心・安全を守ることに力を注いでまいります。また、将来を担う人づくり、スポーツ・文化の振興や都市の再生を通じ、和歌山の活力と品格を高めていきたいと考えております。さらに、県民の悲願である高速道路の早期実現や府県間道路、川筋ネットワーク道路の整備など県民の伸びるチャンスにつながるインフラの充実に努めてまいりたいと考えております。
 県民の皆様と県議会、そして県職員が一体となった100万人県民連合で「和歌山を元気に あたたかい改革」の公約実現に向けて全力で邁進したいと考えております。
 次に、来年度当初予算編成の基本姿勢についてでございますが、元気な和歌山の創造に向け「未来を拓く『希望』の政策」と「命とくらしの現在(いま)を守る『安心』の政策」を基本思想として、全体を組み立てていきたいと考えております。
 1つ目の柱である希望の政策につきましては、産業の元気づくりが重要であることから、県内産業への技術開発支援、企業誘致、地場産業の振興施策の強化、農業緊急戦略アクションプログラムの推進などに取り組んでいきたいと考えております。
 また、農業振興の一環として、鳥獣害被害対策は一段とレベルアップする所存でございます。
 また、新たな成長点を生み出し、育てていくため、わかやまEVアクションプランを本年度中に策定し、電気自動車の普及や充電インフラ整備を推進するとともに、欧米や中国を初めとする海外からの観光客の増大にも頑張っていきたいと考えております。
 さらに、都市づくりに積極的に乗り出そうと考えておりまして、市町村が主役でございますけれども、県としても積極的にサポートをしていこうと考えております。そのため、わがまち元気プロジェクトや商店街振興あるいはさまざまなインフラづくりを通じまして、県の施策もまちづくりのために投入してまいりたいと考えております。同時に、景観の観点から、問題のある建物を撤去するような、そういう仕掛けを決める条例、これもつくってまいりたいと考えております。
 2つ目の安心の政策につきましては、医療や健康づくりは欠かせないことから、救急医療や周産期医療体制強化、子供のとうとい命を守る細菌性髄膜炎予防ワクチンや女性のがん予防につながる子宮頸がんワクチンの全市町村での接種に向け、支援を進めたいと考えております。
 また、東南海・南海地震に備え、木造住宅耐震化をさらに進めるための取り組みや消費者行政に取り組む市町村への支援、治安対策等を充実強化してまいりたいと考えております。
 さらに、本年度から着手している過疎集落支援総合対策について、住民の皆様方の御協力をいただきながら取り組みの拡大や内容の充実を進めてまいりたいと考えております。
 現在、施策の具体化に向けた検討を進めているところでありまして、議会を初め、県民の皆様からいただいた御意見を踏まえながら当初予算を編成してまいりたいと考えております。
 次に、マニフェストでございますが、選挙期間中に県民の皆様に約束した選挙公約、あるいはこれをマニフェストと呼んでいる人もおりますが、こういうものは守らなければならないものであると考えております。
 また、自民党県連のマニフェストは、私が1期目から追求し、今後も引き続き取り組むべき内容と全く一致しているものでありまして、私も確認を取り交わさしていただいた次第でありますが、私に与えられた4年間の任期期間中に精いっぱい頑張りますので、その実現に向け応援いただきますようにお願い申し上げます。
 次に、「橋本市の明日のために」という宣言は、橋本市の発展のために、こういうインフラ整備が必要だ、こういう施策が必要だということについて述べたものでございまして、この中身については非常に重要なものであると考えております。
 まず、国道371号の和歌山県側の橋本バイパスにつきましては、平成25年度の供用を目標に、今、整備を進めております。大阪側につきましては、これまでもあらゆる機会をとらえ、早期整備を働きかけてきたところでありますが、引き続きもっと頑張りたいと思います。同時に新紀見トンネルについて、国及び大阪府を引っ張りながら早期事業着手に全力を挙げてまいりたいと思います。
 次に、県道橋本五條線の恋野から上田間についてでありますが、用地取得を推進するとともに、順次工事に着手し、早期完成に努めてまいります。
 また、県道山内恋野線の恋野橋につきましては、これまで市や促進協議会からかけかえについての要望をいただいております。今後、早期に事業化できるよう、地元関係者の意見を聞きながら、具体的なルートの確定など、すぐに着手してまいりたいと考えております。
 続いて、紀の川左岸広域農道についてでありますが、地域の農業発展に重要な農道でありまして、本年度、橋本工区約4.5キロメートルのうち約1.3キロメートルの完成を図るなど、国の予算もこれは大変厳しいんですけれども、県としては早期整備に全力を挙げてまいりたいと思います。
 最後に、西部幹線道路についてでありますが、県道山田岸上線及び県道山田御幸辻停車場線において、現在事業中区間の早期完成に努めるとともに、残る未整備区間についても狭隘な箇所の早期整備に努めてまいります。
 次に産業政策でございますが、橋本市を中心としたパイル織物やへらざおなどの産業は、これまで地域経済を支えてきた主要な地場産業であります。しかしながら、近年の消費構造の変化や国際化の進展などの情勢変化によりまして、大変厳しい構造的な不況状態からなかなか脱することのできない状況にあると認識しております。
 一方、パイル織物では、例えば、これまで蓄積した技術力を生かし、産業資材などの新たな分野に適した新商品、新製品の開発や、国内や海外の著名な展示会への集団出展、またへらざおでは、伝統工芸品としての特性を生かし、地域おこしや観光産業と連携していく取り組みが検討されるなど、新たな取り組みも生まれております。県としては、このような産地企業の積極的な取り組みを精いっぱい支援するとともに、新政策として新商品、新サービスの開発から販売開拓までを一貫して支援する施策を充実するなどして、地場産業全体の底上げと活性化を目指してまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、向井嘉久藏君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 25番多田純一君。
  〔多田純一君、登壇〕(拍手)
○多田純一君 おはようございます。
 それでは、議長よりお許しいただきましたので、一般質問させていただきたいと思います。
 まず、一般質問を仁坂県政2期目のスタートの一般質問初日にお話しさせていただくこと、先輩・同僚議員に感謝申し上げたいと思います。
 このたび2度目の御支援をさせていただいたわけでございますけども、この県知事選挙におきまして、圧倒的な勝利をおさめられた仁坂知事に心からお祝い申し上げたいと思います。2番手にトリプルスコアという大差で勝利されたわけでございますけども、私は3つその要因があるというふうに考えております。
 まずは、今、向井先輩議員がおっしゃっておりました、仁坂さん御自身の人柄が評価されたものだというふうに思います。これは出口調査でも明らかであります。投票の際、一番重視した点という質問では、候補者個人の魅力が最も高かったそうですし、その次に政策や公約と続いております。浮動票の7割が仁坂さんへの投票という結果も出ております。未成年者の模擬投票でも、64%が仁坂さんに投票ということになっております。若者も仁坂さんに期待をしていることが十分うかがえます。この4年間、まじめに県政をリードされてこられたその評価だと考えられます。
 勝因の2つ目として、国政の影響が大きかったと言わざるを得ません。与野党対決型として注目され、民主党政権への批判票が追い風になり、日増しに対立候補の勢いが失速していった感がありました。
 3つ目に、その大きな要因となったのは、初めは県民連合として政党には推薦依頼をしないとされていたものの、相手候補が民主党だけでなく我が党を初め他の政党への支援を要請始めたために仁坂さん御自身も決断を迫られるに至ったのではないでしょうか。その決断が自民党推薦、公明党県本部支持という体制を築き、自民党を中心に組織力を大きく動かし、きめの細かいあいさつ回りと個人演説会での参加者の結集、弁士も党派や団体を超え、みんな仁坂さんの応援団という流れを築いていくことになりました。和歌山市内だけではなく、県下各地で同じような動きが展開されたことと推察いたします。
 選挙戦での感想や県民との新たなきずな等がありましたら、お答えをいただきたいと思います。
 この勝利は、4年間御自身がおやりになってきた努力に対する評価と、引き続き県政への期待をあらわすものと考えます。しかし、県民はそれだけでは満足していないのも事実です。現に投票率がやや改善されたというものの43%台にとどまり、依然低い結果に終わったと言わざるを得ません。発信力を高める必要性を感じていますが、いかがでしょうか。この点についての知事の受けとめ方と県政への関心をより高めていくことについて御所見をお聞かせください。
 仁坂知事が当選後初登庁の際、4年前の言葉につけ加えられて、「また仕事だ。みんなと一緒に仕事だ」と呼びかけられました。まさに県勢飛躍のときを迎えるため、一致団結して前進していかなければならないとき、私も同感です。
 ことし、プロ野球、長いペナントレース、セ・パ両リーグの日本一に輝いたのは千葉ロッテでした。その西村徳文監督が選手とのきずなを大事にし、和をモットーとしたことは、チーム和歌山としても傾聴に値するものではないでしょうか。ロッテ生え抜きのコーチとしてボビー・バレンタイン監督のもと信頼を重ね、今シーズンから監督として采配。目立たないが選手の個性1人1人を大事にし、対話を積み重ねていったそうであります。
 仁坂知事は、官僚経験も長く、県職員とのギャップを心配する声がこの選挙戦でも数多く聞こえてまいりました。2期目の県政のスタートに当たり、チーム和歌山、チーム仁坂としてどのように県職員と和を築いていかれるおつもりなのか、お聞かせを願いたいと思います。
 さて、県政の新たなスタートとともに、12月1日、関西広域連合が承認され、仁坂知事も副広域連合長に選任されました。仁坂知事が積極的にリードし、本県が一番最初に名乗りを上げてきました。それぞれが権益を主張する中で、調整役として、また和歌山の持てる力を存分に発揮していただくため、改めてその意気込みをお伺いしたいと存じます。
 次に、政権与党との対応についてお伺いします。
 2カ月前、熟議を尽くすとのスローガンで出発した第176回臨時国会が12月3日に閉幕いたしました。中国漁船衝突事件や閣僚の失言が相次ぎました。中でも、みずからの国会答弁に関する発言で柳田法務大臣が辞任、不用意な答弁を繰り返した仙谷官房長官も問責決議を受けるなど、提出された法案の3割台しか成立されておらず、熟議とはほど遠く、菅内閣スローガンとして掲げた有言実行内閣は、数々の大臣による失言内閣となってしまっています。地域主権改革3法案も2度も継続審議となり、全国の知事からも強い不満が上がっております。
 来年1月に召集される通常国会もますますの波乱が予想されていますし、首相自身のリーダーシップが問われる予算編成などでは、子ども手当に代表されるように、財源の根拠が乏しいにもかかわらず上積み案が先行し、新たな地方負担なども懸念されるところです。言葉の軽さが信頼を大きく損なっています。和歌山県政を守るためにも断固たる知事の姿勢を期待するところです。政権与党との基本的なスタンスをどうお考えか、お聞かせいただきたいと思います。
 4点目に、「和歌山を元気に あたたかい改革」を掲げ、4つの政策を実行し、実現されるとされております。その第1に、働く場をもっとふやす、日本一の振興策を講じるとおっしゃっております。どのような計画を立てていかれるおつもりか、お示しください。
 この項目の最後に、新政策についてお尋ねをしたいと思います。
 先日、「『元気な和歌山』の実現に向けて 平成23年度新政策と予算編成の方針」と題して記者発表されました。早期の手だてが必要なもの、例えば新政策の中でお示しされている地場産業の活性化策は、前倒しが必要なぐらい喫緊な政策です。
 今、和歌山市の地場産業も大変厳しい状況です。融資を受けても次の手だてが見つからない。どうすれば産業として生き残っていけるのか。アドバイザーやトータルコンサルティングも必要です。2月補正でも早急に検討されてはどうでしょうか。その上で、新年度に拡充していただくプライオリティーの高いものと受けとめております。知事のお考えをお聞かせください。
 大きな2点目に、新卒未就職者対策についてお伺いをします。
 新年度を迎えても就職が未定の新卒者が大学、高校卒で全国10万人に上るとも推計されています。彼らはやむを得ず留年したり、大学院や大学へ進学したり、正規採用を希望しながらアルバイトを続けている卒業生も少なくありません。新社会人として一歩を踏み出す前に適切な職につけないということは、本人の人生にとって重大な問題であると同時に、日本の経済、社会の活力低下という点からも大いに憂慮すべき事態と言えます。今こそ行政挙げて新卒未就職者の雇用支援に全力を尽くす必要性があります。
 和歌山労働局は、来年3月卒業予定の高校生の就職内定率が10月末現在57.5%で、前年同期を1.9%上回ったと発表しました。しかし、依然厳しい状況です。県外からの求人数は減って、県内企業により期待が集まってきています。一方、県が進めてきた企業誘致の地域先では、進出した40社の中で紀南地域を選んだのは6社のみ、それも高速道路が整備されている田辺、南部地域のみとなっています。医療系事務を希望したが、採用がゼロ。希望先と雇用とのミスマッチも指摘されております。
 国においては、中小企業庁が新卒未就職者と採用意欲のある中小企業を半年間の職場実習を通じて引き合わせる新卒者就職応援プロジェクトをスタートいたしました。実習中は1日7000円が技能習得支援金として国から実習生に支給され、受け入れ企業にも助成金が出る仕組みになっています。また、我々公明党が主張して実現した、雇用保険を受けられない人が職業訓練を受講する場合に期間限定で生活費を支給する訓練・生活支援給付金制度の対象にこの4月から新卒未就職者が対象として加わったことは、一歩前進と言えましょう。
 また、就職活動に有利な新卒の立場を続けるためにあえて留年した学生も少なくないことを考え、卒業後3年間は新卒扱いにするよう、我が党は政府に要望しているところであります。
 一方、地方自治体においても、このような厳しい就職環境を配慮し、政府の取り組みだけに任せられないという独自の支援策を講じる自治体も出てきております。厳しい就職環境であるからこそ、逆に優秀な人材を確保できるチャンスとも言えます。
 本県では、ことし4月から、この就職状況の中で、卒業しても未就職となる新規高校卒業者を対象に臨時雇用を実施しています。厳しい雇用環境は、まだしばらく続く可能性があります。県として新卒未就職者に対してどのように対応されようとしているのか、新たな対策をどうお考えか、仁坂知事にお尋ねをしたいと思います。
 また、現在やっておられる新規高校卒業者臨時雇用救済措置の現状と今後について、知事や労働局長、教育長が経済5団体への要請や担当者が10月から11月にかけて県内事業所約1200社へ個別訪問し、求人拡大の要請を行っていると伺っています。どのような状況なのか。そして、雇用のミスマッチ解消等に向けた今後の具体的な取り組みについて、それぞれ商工観光労働部長にお聞きします。
 3点目に、うつ病対策についてお尋ねをしたいと思います。
 21世紀になって既に10年が過ぎました。20世紀とは違う課題を抱えている私たちの社会。政治は、国民の生命・財産を守るため、時代や社会の変化に鋭く反応し、新しい政策を打たなければなりません。公明党は新しい福祉を提唱し、現在、社会保障トータルプランとして計画を進めております。その中で、今までの年金、医療、介護、子育て支援、障害者福祉、雇用、貧困・格差だけでなく、新しい視点で高齢者の社会的孤立の予防、虐待対策、青少年のひきこもり、そしてうつ病対策など加えて検討しているところでございます。
 近年、社会構造の変化に伴い社会全体にストレスが蔓延し、うつ病などの心の病が急激に増加しています。ことしの日本精神神経学会など4学会の共同宣言によると、うつ病を初めとする精神疾患は、先進諸国ではがんや心臓疾患と並ぶ3大疾患で、その対策は国家政策の最優先課題であり、我が国でもがんに続いて重大な社会的損失をもたらし、国民病とも言うべき疾病であるとされております。また、世界保健機関(WHO)は、うつ病は2020年には全疾患の第2位になるとの予測も発表されています。
 一方で、このうつ病から自殺の原因になり得ることが多いとされています。平成21年版の「自殺対策白書」によると、平成20年における我が国の自殺者は3万2249人であり、その原因は健康問題が64.5%と最も多く、そのうち4割以上をうつ病が占め、総合的なうつ病対策が重要な課題であることが改めて浮き彫りにされました。また、昨年末に厚労省が発表した調査によると、平成11年には44万人のうつ病の患者数が初めて100万人を超え、10年で2.4倍に急増している事実もわかりました。また、有病者数を250万人と推計し、うつ病を含む気分障害の有病者数に至っては1000万人以上と推計され、10人に1人の割合になっています。既に国民病となっている状況です。
 この推計でいうと、本県にはおよそ1万人の方がうつ病で悩んでおられ、気分障害の有病者数はおよそ10万人以上と推計されることにもなってきます。最悪の事態の自殺者数も、ここ数年、年間250人を下回らない数値になっています。本県の職員や教育現場での精神疾患による長期休職者数も年々増加傾向で、それぞれ40人から50人に及んでいます。先日も、まじめで優秀な県職員の悲惨なケースもあったように仄聞しております。
 先般、厚労省が初めてうつ病と自殺による経済損失が2.7兆円に上るとの推計を出しています。欧米では、うつ病に対するサポート体制を強化させ、特にイギリスでは専門家の養成を認識し、薬に頼るのみではなく、相談事業や学校教育などで早期に啓発活動に力を入れ、家族のニーズに応じた介入サービスや問題解決のためのサービスなどに対策を講じ、自殺率を15%減らしたとのことです。自殺に至らなくとも、活力の低下による経済損失は社会全体に蔓延していくもので、ほっとけない事態と考えます。
 うつ病対策としては、大きく3つの段階に分けることができます。まず、予防対策として、知識の周知や相談窓口の設置など、自己管理のための環境整備です。次に早期発見、早期治療、最後にリハビリや復職支援となります。ただ、現実には、発症してその人が病院に来てから治療が始まります。だが、医師不足のためか、精神科病院には待ち時間が長く、治療に関しては、医師は患者1人当たり5分から10分程度の診療時間しか確保できていないのも現状です。薬を出して診察を終わるケースも多く、心が病んでいる原因がどこにあるのかといったじっくりと時間をかけた治療がなかなかできないとの指摘を耳にします。
 また、うつ病患者に対しては、早期発見、早期治療はもちろん、症状に応じて医師、精神保健福祉士、薬剤師、看護師、心理士など、数多くの専門職が知恵を出し合って対応することが必要です。職場復帰への支援や病院に行けず悩んでいる人が早期に相談、受診できる仕組みづくりなど、医療機関や職場、県、市町村などの連携のもと取り組みを強化し、進めていく必要があると思います。
 県では、これまでさまざまなうつ病対策を講じてきたことは承知しておりますが、うつ病は不登校、ひきこもり、不眠症、自傷行為、症状の悪化により自殺に至る原因にもなっています。うつ病に対する知識の周知、予防、早期発見、治療の連携づくり、うつ病患者の受診率の向上、リハビリテーション、復職支援等、一貫した対策が求められています。早急に総合的うつ病対策ビジョンを策定し、県民を守っていく必要があると考えます。知事の御所見をお伺いします。
 一昨年、公明党は、うつ病対策ワーキングチームを発足させ、具体的な提言を行い、既に幾つか実現されています。うつ病の回復率を高めるためには、身近なかかりつけ医が早期発見し、的確にうつ病を診断し得る技術の向上が必要との観点から、平成20年度からかかりつけ医うつ病対応力向上研修事業を開始いたしました。今年度からは、子供のうつ対策として、小児科医も加えることになっています。この研修事業についての進捗状況について福祉保健部長にお尋ねをいたします。
 次に、認知行動療法についてお伺いします。
 この4月から、うつ病の治療に有効な認知行動療法に保険が適用されることになりました。この療法は1970年代にアメリカで開発され、欧米を中心に世界的に広く使用されている治療方法です。
 人の行動パターンには、その人固有の思考、行動、感情、この3つが密接に影響していて、抗うつ薬では脳内における気分の調整はできるものの、人の記憶の集積である思考まで修正することはできません。それをカウンセリングにより、患者の自己否定的な思考や解釈、つまり認知のゆがみを気づかせることで思考や行動パターンを変え、改善を図っていく精神療法であります。
 私は、この10月、認知行動療法による治療法を取り入れ、目覚ましい効果を上げている沖縄県総合精神保健福祉センターを視察してまいりました。マスコミにも数多く取り上げられており、視察希望も多く、私が訪問したその日も全国5カ所、8人の議員が参加しており、これまでの取り組みについて一緒に視察をしてまいりました。
 このセンターでは、平成17年から5年間、慢性うつ病患者に対し、社会復帰を目的に認知行動療法デイケアを月4回、3カ月ワンクール行っております。開始以来、新規修了者は本年6月の時点、174人となり、継続者を含めると350人に認知行動療法を実践してきたことになります。受講者の約3分の2は自殺念慮を経験しているようです。受講者には、学生やサラリーマン、主婦など、職業はさまざまとなっております。
 お手元に資料を配付さしていただいております。資料の1は「ハミルトン鬱病評価尺度にみる新規修了者のうつ病の推移」という資料でございます。これは、ハミルトンうつ病評価尺度というのは1960年に開発され、世界的によく用いられてるうつ病の評価尺度です。この表にもそれぞれの状態に応じて点数が評価されておりますが、7点以下は正常、そして軽症、中等症、重症、最重症と点数で表示しています。開始前、中等症から最重症の方96人が存在していたわけでございます。それが3カ月後にはかなり症状が好転してきているのがわかります。反応率、寛解率も50%前後、そして91.2%の方が軽度以下になったことがうかがわれます。
 資料2は「うつ病デイケアにおける修了者の就労に関する転帰」という資料でございます。開始前には就業中の方が23人、休職中の方は72名、無職の方が31人、主婦の方は14人、それが終了後には就業中の方が55人、復職された方は18人、そして就職された方は9人ということになっております。開始前23人の就業者だったものが79人ということで、約3倍以上の転帰ということでございます。いずれも、これは沖縄県立総合精神保健福祉センターの資料でございます。
 このセンターの取り組みにおける効果に着目する精神科医療機関に勤務する医師や心理士、看護師、精神保健福祉士、作業療法士を対象にセンターではワークショップを実施し、その治療法は着実に広がってきております。日本では、新しい治療法であるこの認知行動療法に着目し、公明党うつ対策ワーキングチームでは、専門医や関係団体、経済界、労働界などの関係者との精力的なヒアリングなどを重ね、総合的うつ対策をまとめ、その実現を強く政府に申し入れしてきたところであります。その結果、先ほどの認知行動療法に保険が適用となったほか、ことしの夏には独立行政法人国立精神・神経医療研究センターでは、認知行動療法の実施者を養成する研修が開始されることにもなりました。
 厚労省は、初めてうつ病と自殺による経済損失が2.7兆円に上るとの推計値を発表しています。本県に当てはめると、およそ270億円にも値することにもなります。金額の妥当性はともかく、相当大きな社会的損失であることは間違いありません。この心の病気を抱えて、ひっそりと孤独にさしていてはいけないと痛切に考えます。幸せになる権利を取り戻させるためにも、効果が期待される治療法をぜひ積極的に行政として取り組む必要があると断じます。うつ病の新たな治療法として、認知行動療法について大いに期待をしているところであります。
 しかし、現状を見ると、この療法がどこの機関で受診できるのかなど基本的な情報や認知行動療法を習得している医療関係者が少ない点について心配しているところであります。県として認知行動療法についてどのように受けとめておられるのか。また、医療関係者の養成や支援についてどうお考えになっておられるのか。県立和歌山医科大学には医療機関のモデルになるように県として働きかけていくべきと考えますが、どうでしょうか。お考えをお聞きしたいと思います。
 最後に、和歌山市主要幹線道路、特に東部地域における進捗状況と見通しについてお伺いします。
 この問題につきましては、2年前、平成20年9月議会でも取り上げさしていただきました。
 和歌山市東部の玄関口、田中町交差点から東側、反対に高速道路おり口から宮街道、花山交差点を抜けて市内中心部に進む道の渋滞は、ほとんど緩和されていないのが現状です。国体開催時には県外からの人の流れをつくる主要道路となりますし、平時においても周辺地域から市内に流入する幹線道路となっております。
 例えば、紀の川市や岩出市方面から小倉、和佐、岩橋とつなぐ県道井ノ口秋月線の工事は、県道岩橋栗栖交差点から宮街道の手前、JA和歌山東農協までの1.1キロ、これは平成10年から事業開始されておりますけども、18年までに総工費約50億円がかかっております。しかし、あと西側300メートルのところでとまって約3年がたっています。幅員25メートル道路となっていますので、JA和歌山東農協まではスムーズですが、あとの300メートルが渋滞箇所となったまま。
 同じ宮街道に接続する松島本渡線も、花山西交差点から南下して湊神前線との結節点まで約1.4キロ、そのうち和歌山市が650メートル事業化し、そこから先の県道秋月海南線までの1キロを県が事業化しています。いまだ供用開始に至っておりません。
 また、国体道路と結ぶ湊神前線は、新堀橋から宮前跨線橋までの1.3キロ、宮前跨線橋から県道秋月海南線までの1.3キロは供用されておりますけども、貴志川線踏切より東側300メートル、そして南下して県道までの結節点の約1キロが、事業化はされていますけども、供用開始がされていない状況です。
 また、竈山神社北側の南港山東線1.4キロメートルの区間には、既に約124億円の事業費がかかっています。しかし、まだ道はつながっていません。
 道はつながってこそ活用され、経済効果も期待できます。それぞれの幹線道路について、供用開始の見通しについてと今後の事業延伸につきまして、県土整備部長にお答えをいただきたいと思います。
 以上、質問して第1問といたします。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの多田純一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私の2期目県政についての3点の質問についてでございますけれども、まず、議員御指摘のように県政への県民の関心をいかに高めていくかということは大変重要なことだと考えております。これまでも広報紙「県民の友」や県ホームページで知事メッセージを発信し、テレビ広報番組「きのくに21」に私自身が語るコーナーを設け、また迅速かつ適正に県政についてお知らせすべく週に1度は記者会見を実施するなど、積極的に取り組んでまいりました。
 さらに、昨年から開催している県行政報告会では、各市町村をきめ細かく回り、1人でも多くの県民の皆様にお会いし、じかに私から県行政について説明した上、参加者の皆様からは生の御意見をちょうだいしております。これによって、県政の内容を変更さしていただいたこともたくさんございます。
 今回の選挙期間においても県内各地をくまなく回り、県民の皆様が長く厳しい景気低迷の中で本当に大変な思いで歯を食いしばって頑張っておられることを改めて実感しました。この状況を改善してほしいとの期待感を私は強く感じまして、将来の発展を見据えた実効性のある政策を推進し、和歌山を元気にするために再び全身全霊を挙げて取り組まなければならないと考えております。
 取り組みには、100万人県民1人1人が県政に対して関心を寄せ、御理解をいただき、そして参画してもらうことが何よりも大事であります。2期目県政に当たり、広報紙や広報番組、ホームページを活用し、また記者会見を初めマスコミへの情報提供を通じ、より効果的な情報発信を行うとともに、県行政報告会をより充実して継続的に開催するなど、県民との意見交換をさらに進めることで多くの皆様が県政に関心を持ち、そして参画いただけるように頑張って努めてまいりたいと思います。
 次に、どのようにして県職員と和を築いていくかについてでございますが、この4年間で県政に対する信頼を回復できましたのは、私1人の力によるのでは決してなく、県庁職員が一丸となって県政の再生のため懸命に働いてくれたおかげだと考えております。
 また、政策を考えるときには、政策がもたらすメリットだけではなくて、どのような副作用があるかなどということを考えなければなりません。したがって、知事1人というんでは決していけませんで、多くの人の頭と目で検討することが必要であります。そのため、本県では、翌年度の新政策は、担当部局から出されてきたアイデアを私と職員あるいは関係部局で議論を重ねて練り上げております。アクションプログラムの作成など、最近の実態について申し上げますと、最近は職員からどんどんアイデアが出てくるということに私は大変うれしく感じているところでございます。
 さらに、県民の皆様の御意見を聞くことが出発点であるという基本姿勢のもと、できる限り私自身も直接県民の皆様と触れ合う機会を設けているところでありますが、1人でできることには限界がありますので、業界別や地域別の担当者制度を設けて、職員がお伺いした県民の皆さんの御意見を私に伝えてもらうという、みんなで議論をするというふうにしているところでございます。
 このように、これまでも職員とともに県勢の発展に努めてまいりましたけれども、県民のために頑張ろうという志を共有し、それぞれの持ち場で積極的に活動してくれてる職員を大変私は誇りに思っております。もちろん、県民のためにということがすべてでありまして、自分たちのためになってはいけないのでありますけれども、私も職員もそれは自戒しながら、今後はなお一層職員との議論を重ねながら力を合わせて元気な和歌山の創造に取り組んでまいります。
 次に、副広域連合長としての意気込みについてでございますが、関西広域連合に本県が参加するに当たって、県民の皆様や県議会の皆様から、本県のような人口の少ない県の意見が人口の多い府県の意見に引っ張られ、埋没してしまうのではないかということが懸念材料として挙げられておりました。そのため、私から、まず広域連合委員会の地位を高めた上で、広域連合委員会の意思決定は重要事項については全会一致とすること、事業の実施に当たって合意できない府県がある場合には参加を強制せず、分賦金を徴収しない取り扱いとすることを提案し、先日開催された第1回広域連合委員会で申し合わせたところであります。
 さらには、今般、広域連合長に選出された井戸兵庫県知事から副連合長に指名されましたので、広域連合がうまく機能するように連合長を助けるとともに、本県の意見を全体の中に盛り込めるように努めていきたいと考えています。関西広域連合が、人口が多い中心部に偏ることなく、各地域の個性を連携させて本県の発展に不可欠な元気な関西圏づくりにつながるよう、実績を上げられるように積極的に運営に参加し、県民の皆様に喜ばれるようなものにしてまいりたいと思っております。
 次に、政権与党との関係でございます。
 政権与党と知事選挙でたもとを分かったのでありますが、どんな政党であれ、国政を担う限りは地方を公正に扱う義務がありまして、また地方の民意を尊重する義務もあります。それを果たさず恣意的にあるいはまたほしいままに行政を動かすならば、必ず国民のしっぺ返しを受けます。また、県としても選挙で政権与党が対立候補を推したからといって、必要以上にこれを嫌ったり没交渉にしたりしてはなりません。
 国に対しては緊密な意見交換を行い、和歌山県のために申し上げるべきことは申し上げていかなければなりません。国は常に正しい判断をするとは限りませんので、県民の利益を守るため、正しいことはその根拠を示しつつ、堂々と国に主張してまいらなければならないと考えております。
 次に、働く場をふやす振興策についてでございますが、雇用の場の確保には企業誘致も大事ですが、これに加えまして、和歌山の企業にも雇用増に取り組んでもらうことが重要だと考えております。私は、産業別担当者制度等を活用し、企業の業況把握に努め、それらを施策に生かしながら、県内企業の技術開発、異業種交流、積極的な販売促進の3本柱による企業振興の充実を図るとともに、紀北、紀南といった地域の特性に応じた国内外からの企業誘致の促進などにより雇用の場をふやしてまいります。それぞれの分野で基本計画、アクションプログラムなどを作成し、基本方針を明らかにしながら着実に施策を推進しているところであります。同様に、観光や農林水産業の振興など、あらゆる産業の戦略的振興を図って働く場をふやしてまいりたいと考えております。
 今後、本県の施策が地域の実情に応じた課題を地域全体の力を結集して解決し、人口減少に苦しむ地域の新たなモデルとなり得る日本一と言われる振興策と呼ばれるように、全力をもって取り組んでまいりたいと思います。と同時に、公正でクリーンで、かつスピーディーに動く県政を持続し、高速道路を初めとするインフラもきちんと整備して、すべての産業人の基本的な基盤を形成してまいりたいと思っております。
 次に、新政策についてでございます。
 これは、県勢活性化に向けて特に重要な施策を整理したものでございますけれども、緊急を要するものについては、前倒し実施など、常日ごろよりスピード感を持って県政を進めておりまして、議員の意見と全く同感でございます。これからもそうしていきたいと思います。
 地場産業の振興は、特に新政策の中でも重要な政策として位置づけて取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、新規未就職者対策でございます。
 新規学卒者がやむなく未就職のまま卒業となれば、本人はもとより社会全体に深刻な問題を招くおそれがあるため、若年者の就職支援については最重点に取り組んでおります。今年度も就職環境が昨年同様大変厳しい状況であることを踏まえ、経済5団体並びに県内事業所1200社に対する求人拡大要請の実施や、あるいは就職面談会の開催など、さまざまな対策を講じております。
 今後、ジョブカフェわかやまの支援体制をさらに拡充し、高校生に対する支援の強化を図るとともに、新たに大学生やその保護者の方々に対し県内企業情報を提供するなど、きめ細かい支援に取り組み、就職氷河期の再来と言われる厳しい雇用環境に対応してまいりたいと思います。
 いずれにいたしましても、新規学卒者が希望と意欲を持って社会人としての第一歩を踏み出すことのできる雇用の場を拡大することが何よりも求められることから、今後とも、企業誘致や産業振興、すなわち働く場の確保、これに取り組んでまいりたいと思っております。
 次に、うつ病の問題でございます。
 これは、多くの方が受診していないという現状とか、あるいは自殺の大きな要因になっているという深刻な状況にあります。こうしたことから、うつ病対策にはその早期発見、早期治療が重要であると認識しており、県としても総合的な対策が必要であると考えております。
 また、議員御指摘のとおり、うつ病対策は喫緊の課題であることから、平成25年改定予定の「和歌山県における自殺対策の推進基本方針」を来年度から見直しまして、「自殺・うつ病対策の基本方針」というふうに改めまして、うつ病患者の支援体制のあり方や認知行動療法の位置づけなど、総合的な対策の方向性を盛り込んでまいりたいと思います。
 認知行動療法については、うつ病はもちろん、不安障害やストレス障害などの精神疾患に効果のある心理療法であると私も聞いておりまして、今後、この治療法の普及、人材育成などの環境整備を図ってまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 高校生未就職者の臨時雇用につきましては、緊急雇用創出基金を活用し、県及び教育委員会で実際に勤務しながらジョブカフェなどの就職支援を受け、社会人としての基礎力向上や働くことへの意識向上を図るなど、正規就職までのセーフティーネットとするものであります。雇用総数は53名で、本年11月末現在、退職者が32名、そのうち就職が24名、その他の進路が8名となっております。
 この制度につきましては、残る21名が就職できるよう全力を挙げて取り組むとともに、現時の高校生の雇用情勢を注視しつつ、現行事業の成果並びに課題を検証しながら今後の対応を検討してまいります。
 次に、求人拡大要請につきましては、新規学卒者を取り巻く就職環境が昨年同様大変厳しいものであるため、10月には知事、和歌山労働局長、教育長から経済5団体に対し今年度2回目の要請を行うとともに、現在、県内事業所約1200社の個別訪問による要請を実施しております。
 大変厳しい経営環境の中ではありますが、11月末現在では県内大手企業を初め8社の皆様より新たに15名の求人を出していただいたところであり、今後も引き続き求人拡大をお願いしてまいりたいと考えております。
 最後に、ミスマッチ対策につきましては、若年者の離職率の高さが課題となっており、七五三現象と言われますように、就職後3年以内に離職する割合が中卒者では約70%、高卒者では約50%、大卒者では約30%となっております。その対策としましては、インターンシップや職場体験、セミナー等を通じて仕事に対する若年者の認識を深めるとともに企業と若年者の交流を図り、定着率の向上に取り組んでいるところであります。
 県としましては、今後も関係機関と連携しながら、1人でも多くの若者の職場定着につながるよう、より一層きめ細かい支援策を講じてまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) うつ病対策につきまして、一括してお答えを申し上げます。
 本県におきましては、平成20年度に実施をいたしましたかかりつけ医への研修に70人の受講がございました。また、今年度県医師会が行いますうつ病の診療と治療についての研修に、約300人の医師が受講する予定となっております。
 さらに、こうした研修に加えまして、うつ病の早期発見、早期治療のためにはかかりつけ医と精神科医との連携が重要であるということから、現在、御坊保健医療圏におきまして、一般診療科と精神科の連携に向けた検討を進めているところでございます。より実効のある体制づくりに向けまして、順次、他の保健医療圏におきましても同様の取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。
 また、認知行動療法につきましては、議員から御説明のありました沖縄県の効果的な取り組みをどのように取り入れていけるか、具体的に検討する必要があると考えます。
 まず、これまでの取り組みに加えまして、自殺対策緊急強化基金を活用いたしまして、医師や医療従事者を対象とする認知行動療法に関する研修会を開催するなど、人材育成の支援を行い、その普及を進めてまいります。さらに、沖縄県などで実施している先駆的な取り組みの導入につきましては、県立医科大学附属病院、また県精神保健福祉センター、さらには県立こころの医療センターとも連携を図りながら今後検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長原 広之君。
  〔原 広之君、登壇〕
○県土整備部長(原 広之君) 和歌山市内の現状と見通しについてお答えいたします。
 県道井ノ口秋月線につきましては、残る国道24号から東側の約300メートルの事業区間において用地取得が既に完了しております。今後、物件が移転しましたところから順次工事に着手してまいりたいと考えております。
 湊神前線につきましては、松島本渡線までの300メートルの事業区間におきまして用地取得が約9割となるとともに、本年8月に和歌山電鐵貴志川線の踏切拡幅を完了したところでございます。
 松島本渡線につきましては、湊神前線から南側約1キロメートルの事業区間におきまして用地取得が約9割となっており、現在、文化財調査を実施しているところでございます。
 これらの区間につきましては、いずれも平成24年度の供用を目標に事業推進に努めてまいりたいと考えております。
 南港山東線につきましては、竈山神社付近の約400メートルの事業区間におきましておおむね用地取得が完了し、平成23年度の供用を目標に改良工事を行ってまいります。
 また、松島本渡線、南港山東線の事業延伸部につきましては、現在、都市計画変更等に係る地元説明を進めておりまして、事業中の区間とあわせ、国体開催までに各路線をつなげネットワークを完成するよう整備を進めてまいります。
 なお、市の事業区間の松島本渡線の650メートルの区間におきましては、用地取得を進めていると聞いております。今後も国体開催に向け、早期整備が図られるよう市に働きかけてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 25番多田純一君。
○多田純一君 知事、ことし「無縁社会」という言葉が大きく報じられました。今の世相をあらわす言葉として言われてるわけでございますけども、ぜひそんな無縁社会というそんな言葉とは無縁な社会をつくっていただきたいと、特に県政の2期目のスタートに当たりまして、県民が安全・安心で暮らしていけるような、そういう県政をぜひ築いていただきたいと、このように強く要望さしていただきたいと思います。
 それから、その反対というか、対する言葉として、「そですり合うも他生の縁」という、こういう日本の特に親しみのある言葉として言われているわけでございますけども、先ほどの高校生の採用ですね、未就職者に対する雇用、これもセーフティーネットという観点ではよくわかりますけども、できれば本当にそれぞれが実力でそれぞれの希望先を見つけながら進めていくというのが本来の姿じゃないかと思うんですけども、今の社会情勢の中でやむを得ない部分もあるかというふうに思いますが、ぜひそういう縁を、高校新規卒業者の方々も和歌山県で半年なり1年間雇用さしていただいて縁をつくるわけですので、ぜひ大事に育てていただいて、その方が無事社会に出るときには、「ああ、県庁で勤めた半年、この1年が非常に経験よかったな」と、こういうことも大事な事業というんでしょうか、施策というんでしょうか、こういうことになるんじゃないかなと思うんですね。ただ単に基金があるからセーフティーネットを使う、それだけでは僕はいけないんじゃないかと思いますので、続けるか続けないかは今後のまだ検討だと思いますけども、ぜひもし続ける場合はそういう形であっていただきたい。これもあわせてお願いしたいと思います。
 それから、うつ病に対して。
 これはもう質問じゃなくて、先ほど力強い御答弁をいただきました。前倒しをしてうつ病対策、自殺対策と同時に進めていかれると、こういうことでございました。ぜひ早急に来年度から取り組みをしていただきたいと思いますし、その中で、沖縄の例を紹介さしていただきましたけど、デイケアでやるというのは、これは沖縄流のやり方だと思います。最終的には、僕は、今言われたアウトリーチというんでしょうかね──このひきこもりとか、今、アウトリーチをいろいろ進めていただいて非常に効果があると思います。ぜひ心の病を持ったそういううつ病の方々に対しても、アウトリーチができるような、そんな施策をぜひ来年度以降の政策を考えていただくときに考慮していただきたいと思います。
 それから、かかりつけ医の研修。
 これも、身近なところはかかりつけ医なんですね。だから、かかりつけ医の研修をいろいろやっていただいていると思います。ぜひこういう研修を受けられた方に研修済みとかそういう修了証とか、またホームページで公開している他府県なんかもございます。それがまた励みになると思いますんで、かかりつけ医研修を進めるという角度でいうと、こういう観点もぜひ考慮していただきたい、このように思います。
 それから、最後に道路の問題。
 一般質問で、いろいろ進めていく中で非常に当局の方ともいろいろ相談というか、いろいろ交渉さしていただきました。その中で、我々県民、市民の立場からすると、道路がなかなかつながってないというのが、何をしてんのかなと、行政は何をしてるんかなと、こういうふうに思うんですね。先ほど紹介させていただいたJA東農協のところ300メートル、約3年間もとまったままなんですね。何してんのよ、どういう状況よと、これがやっぱり県民、市民のいら立ちになると思うんです。
 計画道路をこさえてるときには、ぜひ目標値というものをある程度持っていただいたほうが──それぞれの行政の立場の中でそれを進めていく。その目標値に対して、それがもしできなければ、そのときは理由はきちっとそれは持つべきだと思いますけども、ちゃんとした目標値を持ってやっていただくというのがこれからの行政のあり方じゃないかなと思いますんで、意見として申さしていただいて、2問目とさしていただきます。大変ありがとうございます。
○議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で多田純一君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時32分休憩
────────────────────
  午後2時1分再開
○副議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕(拍手)
○松坂英樹君 大変長らくお待たせをいたしました。300回記念の議会にふさわしい危機管理能力の問われるアクシデントでありましたが、あらゆる困難に負けずに、早速一般質問に入らせていただきたいと思います。
 今、TPP・環太平洋戦略的経済連携協定への参加問題が政治の熱い焦点となっています。TPPは、関税を原則撤廃し農産物の輸入完全自由化を進めるものであり、日本がこのTPPに参加をすれば、国の試算によると食料自給率は14%にまで低下してしまい、県内農業はもちろん、関連産業など地域経済に深刻な打撃を与えるという重大な問題だと考えます。
 政府は、開国と農業の再生を両立させるというふうに繰り返してはいますが、既にEUやアメリカ並みの経営規模になっている分野のそんな農業でさえ壊滅的打撃を受けることになり、両立は不可能です。今でも日本の農産物の平均関税率は、OECD各国の中でもアメリカに次いで2番目に低く、鎖国どころか十分過ぎるほど開かれていて、日本農業の疲弊と困難の主な原因となっているのです。
 TPPへの参加は、北海道庁の試算でも明らかなように、食料と農業を破壊するだけではなく、地域経済全体を破壊するものです。知事、議会、農業団体、経済界がそろって反対をしています。
 以上、述べたような問題点は、国自身の試算でも、また本定例県議会に提出されている農業団体からの反対請願の意見書案にも、これ以上農林水産物の輸入自由化が進めば安価な外国産の流入、はんらんによる価格破壊が起こり、農業を初め1次産業は壊滅的なダメージを受け、関連産業は衰退し、雇用機会が失われ、地域経済は崩壊をする、こんなふうに書かれています。
 先日12月1日の全国町村長大会でも、我々は政府に対し、TPP反対を明確に表明する、こういうふうに特別決議が採択をされたところです。知事は、このTPP問題をどういうふうに認識をし、また和歌山県経済と産業への影響についてどう考えているのでしょうか。一昨日にプロジェクトチームを立ち上げたと記者会見されましたが、和歌山県への影響額はどう考えていますか。
 そして2点目に、県内農業と地域経済を守るという立場から、和歌山県知事という立場で国に対してTPPには反対だとはっきり意思表示をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 以上、TPP問題2点について知事の答弁を求めます。
 次に、鳥獣被害対策についての質問をさせていただきます。
 県内の鳥獣被害は年々深刻さを増すばかりです。農業生産への被害だけにとどまらず、中山間地で暮らしが成り立たなくなるなど、県民生活と地域全体の課題となっています。
 10日ほど前ですが、有田川町の山間部の三瀬川という集落で、「シカによって畑の白菜を食べられた」、そういうおばあさんの話を聞きました。畑の白菜20数個がみんな食べられてしまったということですが、息子の家にも分けてあげようと楽しみにしていたのに、一夜のうちに全滅ということだったそうです。
 県が発表する被害額というのは、基本的には商品作物への被害であり、こういった自家栽培の畑などへの被害は数値となってあらわれてきません。しかし、これは深刻な問題で、田舎の高齢者世帯は、年金収入は極めて少ないけれども、毎日の食事は野菜などを自給自足やおすそ分けをし合って生活を成り立たせているのです。自家栽培の畑が鳥獣被害によって何もつくれなくなると住み続けられなくなってしまうのです。農業対策予算という位置づけだけではなくて、まさに地域やこの集落の存在にかかわる地域政策の問題として正面から取り組むべき課題であると考えます。
 鳥獣害対策は、農地の防護対策はもちろんのこと、人里近くのエリアで爆発的な個体数増加という事態があって、頭数調整のための捕獲が焦眉の課題となっております。加えて、単純に捕獲だけではなくて、地域住民の共同や生息環境への働きかけも合わせた総合的な取り組みが必要なことは言うまでもありません。
 そこで、鳥獣被害対策の予算がどうなっているのかに注目をしてみますと、近年は有害捕獲数の激増もあり、市町村の鳥獣被害対策予算が実は増加傾向で、市町村の予算は火の車です。調べてみますと、ここ4年間でほぼ倍増している自治体が多いんですね。有田川町も広川町も、お隣の日高川町でも年間約2000万円の予算となっているのが実態です。ところが、県の予算を見てみますと、県単独の鳥獣被害対策予算は年間4000万円程度であって、これでは市町村予算に毛が生えた程度ではないかと。果たすべき役割や予算規模からいっても、極めて不十分ということになっているんではないでしょうか。
 県予算としては、防護さくや防護おりの補助事業額の増額はもちろんのこと、この有害捕獲報償費の補助増額とか狩猟免許者への支援、さらには県からは補助金を出していない国事業の防護さく事業への県の上乗せ補助を検討するなど、ぜひ大幅な増額を新年度予算編成の中で検討していただきたいと提案をするものです。
 また一方、国の予算のほうですけれども、特別措置法に基づく鳥獣被害対策事業予算が、本年、2010年度分は事業仕分けによって28億円から約24億円へと削減をされて、全国的な要望額も一方で急増したために和歌山県分は要望額の半分しか認められませんでした。大変重大な影響を受けました。
 しかし、民主党政権も事態の深刻さと急増する予算要望を無視できずに、来年度は別枠で100億円の対策費を概算要求しておりますが、しかし、これが和歌山県で十分に活用できる内容となっているかどうかは極めて不透明であり、本年度同様の交付金事業のほうは何と半分に減らしてしまうということですから、国に対しても和歌山県としてしっかりと物を申していかなければならないというふうに思っています。
 そこで知事に伺いますが、来年度予算編成に向け、国の事業をフルに活用できるよう働きかけるとともに、県予算も、また取り組みも一気に倍増させるぐらいのそういう思い切った対応が求められているのではないかと思いますが、来年度県予算、取り組みの抜本的強化についてどう考えているか答弁を求めます。
 次に、具体的な問題で2点、農林水産部長にお尋ねをいたします。
 まず第1点目に、有害鳥獣捕獲のための免許の取得、それから更新、そして狩猟登録、この3つの経費への支援の問題です。有害捕獲を必要とされる規模に引き上げようとすれば、捕獲用のおりの設置などを相当数拡大させるとともに、銃器での駆除をお願いしている猟友会の皆さんや、有害捕獲のため、わな免許を取得した農家の皆さんへの支援が求められています。
 今年度から広川町では、毎年毎年必要となっている狩猟登録の費用への補助をスタートさせました。印南町では、新たに猟銃免許を取得する人を対象にして、手続費用や猟銃購入費の一部を補助する制度をスタートさせました。これらはどちらも県内の新しい動きです。また、全国的には長野県で、猟銃者確保事業として許可所得に係る経費の支援が、そして有害鳥獣捕獲者支援事業としてハンター保険や射撃訓練経費をそれぞれ市町村とともに支援する予算が始まっています。これらの県内市町村で始まった努力や全国的な試みをぜひ和歌山県の事業として取り入れていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
 実は、これらの費用は負担が案外大変なんです。銃の免許取得費用は約7万円かかります。そして、毎年行わなければならない狩猟登録にかかる費用は、保険料など含めて銃で4万円、わなで2万数千円です。そして、3年ごとには銃やわな免許の更新を迎えます。毎年の費用に加えて更新費用がかかるので、更新と狩猟登録合わせれば、わな免許では約4万円の出費となります。
 県はこれまで、わなを新規に免許取得するそのときの費用に対しては支援を新たに設けてきたんですけれども、その後、残念ながら銃の免許取得費用への支援も、また銃もわなも免許の更新時の費用への支援も、そして免許とは別に毎年毎年必要となるこの狩猟登録というこの手続費用への支援する制度がまだありません。
 有害捕獲は、猟期を外れた時期に無理をお願いする事業です。また、箱わなにしても、ほっといて入るものでなくて、えさの補給や管理や見回りなど多大な労力がかかります。有害捕獲は、猟友会の皆さんや免許取得者の皆さんの献身的な協力なしには成り立たない事業なのです。困難な中での免許取得者拡大に向けて、また途中で免許をやめてしまわずに継続して有害捕獲に御協力いただけるよう、これらの費用に対する支援拡大がぜひ必要ではないでしょうか。
 次に、野生鳥獣食肉活用について伺います。
 日高川町でスタートした野生鳥獣の食肉加工の取り組みが注目を集めています。有害鳥獣食肉処理加工施設として町内2カ所に開設されたジビエ工房紀州、これには全国からの視察が後を絶たないと聞いております。鳥獣被害対策推進のためにも猟友会や食肉加工・販売・料理関係者との連携を深め、県内各地にこういった取り組みを広めていくべきだと思いますが、今後の展開についてどう考えているか、御答弁を願いたいと思います。
 引き続き、3つ目の柱であるミカン対策に移らせていただきます。
 2010年産ミカンは、裏年ということもあり、有田地方での収穫量は前年対比85%程度であり、当初滑り出しの販売価格はまずまずだったものの、収穫量が少ないこともあって、一昨年よりは収入が少ないのではないかと言われております。
 第1点目に、本年の和歌山県産ミカンの生産販売状況や県の取り組みについて答弁を願います。
 2点目に、県オリジナル新品種のアピールと普及について伺います。
 私はこれまでも魅力的な和歌山県オリジナル新品種をと求めてまいりましたが、この間、果樹試験場と農家の協力のもと、味と着色のよい極わせ品種や浮き皮の少ない12月の主力品種など、開発が進められてきました。現在、品種登録出願中の「YN26」という開発ネームの極わせミカンがこのたび農業新聞にも全国的に取り上げられ注目されているところです。
 和歌山県産ミカンのブランド力と注目度アップのためにもどんどんアピールをし、そのことで農家も励ましてほしいと思います。今後のネーミングや商標登録、普及に向けた取り組みはどう進んでいくのか、お尋ねをいたします。
 それから、気候温暖化に対応した栽培技術について伺います。
 昨今の気候温暖化は農作物に大きな影響を与えています。夏の高温や降水量の低下、秋になっても暑さがずっと続くという中で、農産物全般に不作や品質低下、ミカンでも色づきや収穫期のずれ込みなどが言われています。特に、ミカン栽培では収穫前に秋肥えという肥料をまくのですが、気温が下がってもなかなか地温が下がらないために予想以上に養分が木に吸収をされて樹勢が強くなり過ぎて12月の浮き皮が激しくなるなど、今までの延長線上の、経験上の栽培ではいけないという課題が報告されています。県として気候温暖化に対応した栽培技術についてどう考えているのか、お答え願います。
 4点目に、基盤整備についてお尋ねをいたします。
 先日、有田のミカン畑で事業化された乗用型モノレールの説明・試乗会に参加をさせていただきました。急な段々畑が多いミカン畑にとって、運搬用モノレールはなくてはならない存在です。安全対策のために人が乗れるモノレールということで、今年度8路線、約1000メートルの施設が完成したのでお披露目となりました。私も試乗させていただいたのですが、パワーもあって安心して乗れる感じです。事業に取り組んだ農家の方からは「とてもすばらしい。しかし、値段が高いのが難点。また、車体が長いので、段々畑ではコンテナを積むのにも不便。もっと短く簡便に」などの感想が出されていました。もっともな御意見であり、リーズナブルな普及品を期待したいところです。
 有田地方のミカン畑に設置されたモノレールは、既に30~40年たって更新時期を迎えてぐらぐらになっている畑が多く見受けられます。ところが、経済的理由によりなかなか設備投資に踏み切れないでいる実態があります。こうした園地整備の事業を推進することは、後継者対策、高齢者対策、また地域の経済対策としても大事な役割を果たすと考えています。今日的なニーズに合った基盤整備として、運搬用モノレールの機能強化や更新、園地内の作業道の整備というような身近な基盤整備への支援が求められていると思いますが、いかがでしょうか。
 以上、ミカン対策4点については農林水産部長より御答弁を願います。
 4つ目の柱である有田の救急医療体制強化についての質問に移ります。
 私は、「有田は救急医療の谷間だ」、こういう救急患者さんや救急隊員さんの声を紹介しながら、一昨年度の12月議会、昨年度の2月議会で継続的にこの問題を取り上げ、救急患者が和歌山市内の大病院に運ばれざるを得ない状況の改善を求めてまいりました。
 ことし3月に湯浅町が次世代育成支援行動計画、この作成のためにアンケートをとっているんですが、その自由回答欄の中には、夜間の救急医療機関が遠く、大きい病院しかないことが困る、また、休日・夜間、子供が病気のとき診てもらえる施設が近くに欲しいなど、切実な医療に対する有田住民の願いがつづられています。
 この間、県が中心となって地域医療再生計画を立てるとともに、関係機関とともに立ち上げられた湯浅保健所圏域医療体制整備充実委員会として協議を重ね、3次救急医療機関への患者集中の防止、救急告示病院など各2次救急医療機関の診療機能も踏まえながら、病院群輪番制の再構築など、体制整備の努力を重ねてこられました。
 そして、このほど秋に地域医療住民アンケートというのが実施され、有田地方の住民意識や医療需要などを幅広く調査されました。その結果を見せていただくと、和歌山市内の大病院指向の割合よりも地元の救急病院でまず診てもらいたいという割合が多く、その願いが切実であることがはっきり出ていたというふうに思います。
 県として、この住民アンケート結果をどう分析し、今後の体制づくりに生かそうとしているのか。関係機関との協議状況と今後の方向性についての考え方、以上2点について福祉保健部長より答弁を願います。
 最後に、犬の多頭飼育問題を質問させていただきます。
 この間、有田郡内の3町の5カ所において同一人物が合計約80頭もの犬を多頭飼育──多くの数ですね──多頭飼育し、当該地域の付近住民が大変な迷惑をこうむっております。飼い主自身が住んでもいないこれらの場所で非常識な多頭飼育を続けることにより、犬がほえることへの苦痛を初め、さくを越えて犬が逃げ出したりする問題や、飛びかかってきた犬のせいで通行人が転倒したりと、数多くの問題が報告され相談を受けてまいりました。
 有田川町の修理川地区では、地区住民、行政、地権者など関係者の努力により犬が撤去されました。しかし、湯浅町の住宅密集地や広川町の飼育現場では、住民や行政の懸命の努力にもかかわらず、飼い主は多頭飼育をやめる意思もなく、依然として付近住民への耐えがたい被害が続いているのが現状です。無法な犬の多頭飼育問題に対する県としての対応と今後の取り組みについて答弁を願います。
 次に、県と湯浅保健所、地元自治体は、住民からの相談を受け、現場にも常に足を運び、飼い主への指導や対策に努力をされてまいりましたが、しかし一方で、住民は事態がなかなか改善をされないというもどかしさ、そして、これからの先行きへの不安を感じています。現行法に基づく厳しい指導と対策を取り切るとともに、法の限界もあることから、実効性のある有効な法改正や条例の検討をすべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 以上、2点について環境生活部長から答弁をお願いして、私の第1問を終わります。御清聴、ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの松坂英樹君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、TPPの関係でございます。
 環太平洋戦略的経済連携協定・TPPにつきましては、二面あると思います。1つは、一般論ですが、他国より競争上不利に扱われて日本経済が破綻しないかという問題と、もう一方は、参加によって影響を受ける産業をどう守るか、この2つの問題がこの手の問題にはいつも議論になります。こういう問題は、影響を的確に把握した上で、その上でちゃんと対応策を打てるかどうかということを見きわめた上で慎重に対応すべきものと考えております。少なくとも今の国政が農業の競争力強化策を放棄してしまったというように思える上でさらにTPPに入るというのは、常軌を逸してるというふうに私は思います。
 県内の影響につきましては、工業分野では業界や輸出入関係の企業等への聞き取り調査を行っているところでありますが、現時点では輸入関税が残っている幾つかの業界、この業界は農業と同じような問題がございまして、これに対して非常に慎重な考慮が必要であります。
 大部分の他の産業、これについては、むしろ関税がありませんので、したがって、輸入面で打撃を受けるということではなくて、逆にむしろ入らないことによる経済の影響をどう考えるか。例えば、関税で不利に扱われた結果、輸出産業が打撃を受けると、今度は部品とかそういうものに対する発注もがくっと減るというようなことになるとどうなるかというようなことが議論になると思います。一方、農林水産業におきましては、大体については関税も残っております。
 それから、輸出よりもやっぱり輸入のほうが問題というようなのが基本でございますので、TPPに入ることによる影響ということが大問題であります。今後、生産性の向上とか競争力の強化が本当は大切なんでありまして、農業基盤整備などを国に働きかけていくことが必要と考えております。
 このため、産業ごとにどういう影響があって、何が必要かということをきちんと見きわめておかないといけませんので、庁内にプロジェクトチームを立ち上げたところでありまして、この中でそれぞれの産業ごとの影響を分析するとともに、悪影響が出るとすると、それを緩和するために何が必要かということをきちんと分析して、国に対してその対応をしないと困るということをきっちりと要求していくということをしていく所存であります。
 次に、鳥獣害被害の問題でありますが、これまで、有害鳥獣捕獲や防護さくの設置支援など、捕獲と防護の両面から取り組んでまいりました。しかし、こうした取り組みにもかかわらず、鳥獣害被害は減少せず、現場で農業に携わっている方々からは、何とかしてほしいという深刻な声、あるいは鳥獣害対策をもっと充実してほしいという声も聞いております。
 県としても、これまで鳥獣保護対策というのが名前からして明らかなように、これまでの法体系は「守る」ということであったんですが、これを180度ひっくり返しまして、個体数調整を行う「とる」に重点を置いた取り組みを強化していく必要があると考え、平成18年からイノシシ、平成20年からシカの猟期の延長を行うとともに、ことしの猟期からシカの1日当たりの捕獲頭数制限を撤廃したところであります。むしろ、減らすという目標も明示して減らしていこうというふうに考えているところであります。
 ところが、昨今、銃の所持規制が厳しくなる中で、後継者難などが発生いたしまして、この鳥獣をとってくださる方がいなくなっていくという重大な局面に我々は遭遇しております。したがいまして、来年度予算につきましても、既にこれまで春からずっと検討してきた中で抜本的に強化を図る所存でありましたが、さらにこの狩猟についてのハンター対策、こういうことをどういうふうにして考えていくかということをさらに追加して、さらに強化した対策を必要としていると考えております。
○副議長(山下直也君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 鳥獣害対策に関連する2点について一括してお答えいたします。
 狩猟免許の取得や更新、登録にかかわる経費につきましては、県では平成19年度からみずから農地を守る農家を支援するため、わな猟免許の取得に係る講習経費の一部に対し補助を行ってきておりまして、これまで203名の方の活用をいただいております。
 また、平成21年12月に施行された銃刀法の改正により、銃の所持者に対する新たな負担が発生していることは十分認識しております。県では鳥獣による被害が依然として減少しない中、鳥獣害対策についてこれまで以上に捕獲に力を入れていく必要があると考えておりまして、どのような方策がとれるのか、市町村や猟友会の方々の意見を聞きながら検討してまいりたいと考えてございます。
 次に、野生鳥獣の食肉としての利用についてでございますが、本県では、ジビエの処理加工施設の整備を推進するとともに、取り扱い店舗の拡大やホテル、レストランでの利用を促進するなど、流通販売対策に取り組んでおります。イノシシ、シカ肉は地域の貴重な資源として有効に活用することが重要であると考えておりまして、今後も引き続きわかやまジビエとしての活用を図ってまいります。
 次に、ミカン対策の4点につきまして一括してお答えいたします。
 まず、本年産ミカンの生産販売の状況と取り組みについてでございますが、本年は裏年に当たることから、生産量は対前年比約9割に当たります16万5000トンを見込んでおり、12月1日現在の出荷量は2万7000トンとなっております。一方、市場価格につきましては、糖度が高く品質が良好なこともありまして、前年を約4割程度上回る219円となっております。
 販売対策につきましては、JAグループと連携して、東京の品川駅構内において大規模なPR活動を実施したほか、百貨店やスーパーで和歌山フェアを開催するなど、積極的な販売促進活動に努めております。今後とも、需要の高まる年末年始に向けまして、厳選出荷の徹底に加えまして、市場との情報交換を密にしながら品質の高さを前面に出しました販売対策を推進してまいります。
 2点目の県オリジナル新品種のアピールと普及についてであります。
 これまで、本県ミカンのブランド力向上を図るため、極わせ、わせ、なかて、おくての県オリジナル品種によるシリーズ出荷に向けて取り組んでおります。その一環としてゆら早生を親とした極わせ品種YN26を果樹試験場で育成し、昨年、品種登録出願を行いました。
 これまで、JAや果樹育苗組合を通じ、新品種の特性や現地適応性について農家の方々にお伝えをしてきたところでございますが、平成25年に計画している苗木の本格配布までに農家の方々を対象とした現地研修会の開催、また栽培マニュアルの配布などに加え、販売時の名称につきましても検討を進め、産地化に向けての体制整備を図ってまいります。
 3点目の気候温暖化に対応した栽培技術についてでございます。
 浮き皮などの生理障害対策の技術開発に加えまして、高品質安定生産のためのかん水指標作成に取り組んでいるところであり、今後、ホームページを通じまして土壌に応じたかん水時期などに関する情報を農家の方々に提供することとしております。さらに、議員お話しの施肥技術に関する試験研究の実施につきましても検討を行ってまいりたいと考えております。
 最後に、運搬用モノレール更新や作業道など身近な基盤整備への支援についてでございますが、傾斜地の多い本県の産地実態を踏まえ、作業の省力化やコスト削減を図るため、これまで園内道の整備やモノレールの導入を進めてまいりました。今後も、補助事業や低利融資を活用しながら、園地条件に応じたきめ細やかな対応をし、働きやすい園地づくりを進めてまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 有田地方の救急医療体制強化についてお答え申し上げます。
 有田地域の住民の皆様が救急医療に対して何を求めているのかを把握するため、湯浅保健所におきまして、この9月にアンケート調査を実施いたしました。その結果では、日曜・祝日の救急対応につきましては、約7割の方が、和歌山市等の大病院ではなく、有田地域の医療機関で受診したいと回答されております。県では、このアンケート結果も踏まえまして、有田地域の救急医療体制を強化するため、湯浅保健所が中心となりまして、有田保健医療圏の医療機関、医師会、消防機関、市町等と現在鋭意協議を重ねているところであります。
 その協議の方向性としましては、日曜・祝日の救急患者に対応するため、管内の医療機関等の医師の協力を得まして、拠点病院に入院患者等に対応する救急センターを設置する方向で検討を進めております。今後とも引き続き、持続可能で安心できる有田地域の救急医療体制の構築に向けて取り組んでまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 犬の多頭飼育問題の2点についてお答え申し上げます。
 県の対応といたしましては、これまで飼い主に再三にわたりまして指導を重ねてまいりましたが、飼い主の対応が不十分なため、現在、動物の愛護及び管理に関する法律に基づく改善勧告を行っているところでございます。
 あわせて、問題となっている飼育場所の周辺住民を初め地元市町など関係者による連絡会を設置して、地域の共通の課題として飼い主との話し合いの場を設ける等、地域一体となって飼い主に対して改善を強く求めております。
 今後の取り組みといたしましては、飼い主が勧告に応じない場合は、法に基づく措置命令等、より厳しい対応を行います。さらに、動物愛護推進員を通じまして譲渡を求める働きも行ってまいります。
 次に、実効性のある法や条例改正につきましては、飼い主の所有権問題等から難しい課題があるところでございますが、全国的な問題となっている多頭飼育の適正化に向け、現在、国の中央環境審議会において動物の愛護及び管理に関する法律の改正の検討がなされておるところです。今後、こうした国の動向も注視してまいりたいというふうに考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 TPPの問題で再質問をさせていただきます。
 知事は、TPP問題によって県内の農林水産分野での影響は大きいと、こういう趣旨の答弁をされました。影響額については、具体的な額には言及されませんでしたけども、農林水産業の総算出額の約1割が見込まれるという答弁でしたから、和歌山県の農林水産業の総算出額は1286億円ですから、100数十億円の影響というふうになろうかと思います。
 しかし、これは国の計算方式の枠内での試算であって、他県のように関連産業や雇用全般への影響は反映されていない数字です。
 私は、和歌山県が農商工連携で地域の産業を元気にしていくという方向を目指しているだけに、影響の全体像をしっかりと把握することが大事ではないかと思います。
 また、国に対してのスタンスですが、どのような要望をしていくのかをこれから検討していくというふうな答弁でしたけれども、影響をさらに分析していくというのは結構ですし、さまざまな対応を求めるというのもいいんですが、基本姿勢はどうなのかと。反対だと──常軌を逸していると言うのなら、これはもうきっぱり反対だと言えばいいと思うんですね。反対だと、はっきり物を言うのか、そうでないのか。とりあえず今は何も言わずにおこうと思っているのか、基本的な姿勢のところを的確に答弁いただきたいと思います。
 そもそも私たちの和歌山県は、オレンジの輸入自由化で大変な苦労を経験しております。自由化前は、ミカンは全国で360万トン、400万トンと言われた生産高でしたが、ことしに至っては80万トンにまで下がってしまいました。輸入される濃縮ジュースの価格には到底対抗できずに、ジュース用ミカンの価格は、もはやただ同然となってしまいました。
 表年では、だぶつき感が加速をして、価格の下げがとまらないという状況が固定化し、農家手取り、収入の減少は著しく、もう農業を続けていく意欲をなくしかけている農家が多いんだというふうに思っています。こういう体験を持つ県民に対して、知事の態度は、私はちょっとそっけない態度じゃないかと思うんです。知事は、競争力をつけるのが農業政策のようにおっしゃいますけれども、工業製品と同じように思っている節があると思うんですね。
 いつまでも食料はお金で外国から買えばいいんだという時代ではないと思うんです。和歌山県農業と日本農業全体がまさにがけっ縁であり、県として地産地消の取り組みを進めて食料自給率を上げていこうと言ってるときに食料自給率を下げてどうするんだと、基本的に間違ってると国に対して堂々と物を言ってしかるべきではないでしょうか。
 影響額の全体像と国への対応姿勢、これはTPPの問題で知事の答弁を求めたいと思います。
 それから、鳥獣被害対策。
 知事からは、来年度予算に向けてハンター対策を追加していきたい、また部長からは、有害捕獲の経費支援について免許取得や、それから更新時等について検討していくという前向きの答弁をいただきました。免許取得と、それから更新、この2つは答弁にあったんですが、狩猟登録の経費については直接触れられておりませんでした。その後の免許取得と更新等についての検討というその「等」に含まれているんだろうと思うんですが、いずれにしても新しいことを始めようということなので、もう少し突っ込んで、今度は知事に再質問さしていただきたいと思います。
 有害捕獲に従事していただくためには、事実上狩猟登録というのを、免許だけじゃなくて、狩猟登録というのを毎年していただくことになっています。私が持ってますのは、広川町における狩猟登録申請の費用一覧表というのを見せていただきました。どんな費用がかかっているのかというのを紹介いたしますと、例えば銃の1つのケースでは、狩猟税、これは県税なんですけれども1万6500円、それに県の手数料1800円、そして大日本猟友会、県猟友会の会費などに5800円、猟友会有田支部の会費に6000円、ハンター保険に8000円、猟友会広川分会費に4000円、合計4万2100円というふうになっています。これ、銃ですけれども、わなのケースはどうか。これは、狩猟税──これは何回も言いますが、県税です──8200円、県手数料1800円、大日本猟友会、県猟友会費などに4000円、支部会費6000円、ハンター保険1100円、広川分会費4000円。わなの場合でも合計で2万5100円となるんですね。それにプラスして銃の場合は、これからは毎年の射撃の訓練費、そういった費用もかかってきます。
 私、今紹介しましたように、いろんな種類の費用が合わさってこれだけの個人負担になっているんですが、県税や県手数料または保険料など各種の費用、これらに支援を、工夫できる余地は、私、いっぱいあると思うんです。また、有害捕獲には協力できませんと、純粋に趣味やスポーツで免許を持ち、狩猟登録をすると、そういう方は別に枠外にしていいんですよ。こういう方は別だと。有害捕獲に協力していただいている猟友会や個人の皆さんにいろんな料金を引き下げたり、支援を手厚くして個人の負担はできるだけ軽減する。頑張って免許を取っていただいた方々が、免許取ったはええが、後から後からいろんなお金がかかってえらいよと言うてる。このことに報いることは、私は県民の合意を得られると思うんですね。
 知事に対して細かい具体的な答弁を求めるわけではありませんが、こういう性格を持った維持経費、狩猟登録費用なんだということを受けとめていただいて、ぜひこの有害捕獲の免許の取得や維持にかかわる支援を猟友会など関係機関とよく協議して進めるよう指示をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、以上2点、質問いたします。
○副議長(山下直也君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 松坂議員におかれましては、私が答弁をしていないところも含めて推測をしていただきまして、ありがとうございました。
 私の考えをいろいろと推測されたんですが、それについては異論もありまして、これを一々言っておりますと長くなりますので、「そういうことはないんですけど」というようなことも含めて留保させていただきたいと思います。
 その上で、本質的なところなんですが、現在、農業生産は、国においては米の所得補償を行うために農業の基盤整備という競争力を高めるような政策をお金にすると60%もカットしてしまったんですね。何も対策をとらないどころか、対策を弱めて、その上でTPPに入って荒波にさらすなんていうのは常軌を逸してるということを申し上げたわけです。ということは、現状では、そんなん入るのは反対であるというのは当然であると思います。
 次に、狩猟の問題でございますけれども、私はハンター対策を強化すると申し上げました。それは、まさに議員御指摘のようなこともいろいろ検討してやっていかなきゃいけないということも当然踏まえてるわけでございますので、その点、申し上げたいと思います。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再々質問を許します。
 42番松坂英樹君。
  〔松坂英樹君、登壇〕
○松坂英樹君 再質問についての答弁については、知事の考え方をお聞きいたしました。ぜひ和歌山県の知事として、国に対してしっかりとした要望等していっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 最後に2点簡単に、簡潔に要望をつけ加えさせていただきます。
 鳥獣被害対策の防護さくの関係ですけども、先ほど私、第1問の中でも言ったんですが、国の事業にも県費補助を加えてほしいということを提案いたしました。国のハード事業に取り組む自治体、取り組まない自治体、随分アンバランスが実はあるんですね。
 県内で一番事業場の多い広川町でお聞きしました。「なぜ広川町はここまで進んでいるんですか。住民の意識が高いんですか。町行政の熱意がすごいんですか」、こう聞きますと、担当の職員さんは「いいえ。町からも補助をして地元負担を軽くしているからです」と、さらりとお答えになりました。国のハード事業は補助率が約2分の1で、県費補助がないんです。地元負担が2分の1になっています。
 そこで、広川町では町単独予算で33%の補助をつけ、地元負担を12%に抑えているんですね。ですから進むんです。今年度、国の予算が半分に減らされ、ことしできなかった地区は来年度に待ってよと。来年度で事業化するという予定だそうですが、あと5地区ほどから手が挙がっていて、うれしい悲鳴だそうです。
 要望としましては、この市町村負担分には8割の交付税措置がされるんだということをもっと市町村にアピールをして理解してもらって積極的に取り組んでいただくようにすべきだということと、そして、その厳しい市町村財政の中で議会や財政にうんと言ってもらおうと思えば県も補助しているんだという形に踏み込んでいただければ理解を得やすいんですがと。これも道理だというふうに思いました。国と市町村だけに任せずに、県もぜひ予算枠を確保していただきたいと強く要望をしておきます。
 もう1点、基盤整備で運搬用モノレールや園内作業道の整備というような身近なものに力を入れようと提案をいたしました。これまで運搬用モノレールなどは、国のメニューでは、新設はオーケーだけれども、単純更新はだめなんだというような方向だったんですね。でも、今この古い運搬用モノレールを更新するときには機能も上がるし、それから積み込みの位置や路線の延長、そういったものも工夫していくわけですから、機能も上がれば本当に後継者対策になります。何よりも、今、こういった小さな事業というのは地元業者の方の仕事づくりになると。そういう景気対策の点でもぜひ、大型の工事じゃなくて、小さなこういう基盤事業、思い切って大胆に進めていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で松坂英樹君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 35番浦口高典君。
  〔浦口高典君、登壇〕(拍手)
○浦口高典君 議長のお許しを得ましたので、質問をさせていただきます。
 何分3年8カ月ぶりの質問でございますので、今回取り上げる人口減少、特区、そして観光については、先輩・同僚議員の方々が、この間、いろいろと質問されております。過去の議事録を一通り読み返し、できるだけ違った視点から簡潔に質問させていただきますので、知事初め当局の皆様の誠意ある御答弁をよろしくお願いいたします。
 まず初めに、「県人口99万人ショックから73万人ショックへ」について質問させていただきます。
 この言葉は、私が去る10月17日の県議会議員補欠選挙の選挙公報に載せたものでありますが、99万人ショックとは、「朝日新聞」がことし8月1日に和歌山県の人口が近畿地区で初めて100万人を切ったということで使っていた言葉から引用をいたしました。また、73万人ショックというのは私の造語ですが、国立社会保障・人口問題研究所の平成19年の人口推計によると、25年後に、さらに26万人が減少して73万人になるということであります。私にはむしろこちらのほうが大変なショックで、先行きが恐ろしい限りであります。
 実は、この人口問題は今からちょうど7年前に初質問に立ったときに取り上げたテーマであり、そのときに平成14年の国立社会保障・人口問題研究所の人口推計をもとに質問したのですが、当時の資料を読み返してみますと、平成22年、つまりことしですが、和歌山県の推計人口は103万1000人になっており、しかし実際には、さきにも申し上げたとおり99万人台になっており、推計以上に人口減少が進んでいるということになります。
 ちなみに、平成19年度の人口推計によると、平成47年(2035年)には73万8000人となり、そのときの高齢化率は現在の26.7%から38.6%に、逆に年少人口率──これは15歳未満の人口の割合ですが──現在の12.9%から9.4%に下がり、今より進んだ、まさに超少子高齢社会になっていることはほぼ間違いありません。
 もちろん、これは全国的な流れでもありますが、ここで一度立ちどまって考えなければいけないのは、平成17年の国勢調査によると、和歌山県の人口減少率が、もう既に皆さん御存じのとおり、秋田県に次いで全国で2番目に高いということであります。ちなみに、1番秋田県、2番和歌山県、3番目は青森県であります。そして、昭和30年の国勢調査で和歌山県が初めて100万人を超えたとき、同じ近畿地区の滋賀県は85万人でした。しかし、現在では99万人台になった和歌山県に対し、滋賀県は140万を超える県になりました。もちろん、人口が多いのは単によいというのではありませんが、経済成長等を考えたときに、その基礎となるのはやはり人口であります。
 滋賀県がなぜ人口がふえているのか調べてみますと、国土軸に位置することや、京都、大阪へのベッドタウンとして最適、また企業誘致や雇用の創出、さらには大学誘致等に積極的であったということがわかりますが、今まで和歌山県も、国土軸から離れていることはもちろんですが、同じような取り組みをしてきたのではないでしょうか。しかし、結果としてこのようになってしまったのはどうしてでしょうか。これには、やはり今までの県政のかじ取りの失敗はなかったか。知事、率直にお答えいただきたく存じます。
 さらに今から25年前、つまり昭和60年(1985年)には和歌山県は108万7000人で、現在は99万9000人ですので、約9万人がこの25年間で減少したことになります。そして、繰り返しますが、先ほどの人口推計によると、これから25年後の平成47年には73万8000人になり、約26万人が減少します。つまり、今までより3倍のペースで人口減少が進むことになりますが、知事はこのペースについてどのようにお感じになられますか。そしてまた、この人口激減と言ってもいい状況をとめる積極的かつ大胆な施策は何かあるのでしょうか。知事、お答えください。
 次に、県活性化のための特区についてであります。
 特区、正式には構造改革特区でありますが、これは、平成14年、小泉内閣において実情に合わなくなった国の規制が民間企業の経済活動や地方公共団体の事業を妨げていることがあるということで、こうした現在の事情にそぐわない国の規制を、地域を限定して改革することによって構造改革を進め、地域を活性化させることを目的とする制度であります。
 そこで、まず和歌山県における現在の特区の認定や活用及び取り組み状況について、企画部長、お答えください。
 さて、先日の知事選挙におきまして、仁坂知事の対立候補であった藤本眞利子前県議は、その政策集「和歌山元気宣言」の中で、和歌山県全体を観光経済特区にして、農林漁家民泊などの規制緩和や開業支援の全県下構想を進めるということで、具体的には体験農林漁業、農林漁家民泊、農林水産レストランなどの規制緩和、開業支援を進め、ほんまもんの和歌山体験等を通して知ってもらうことにより地域農林産業活性化にもつなげますと訴え、さらには、県内宿泊数を3倍増、外国人観光客10倍増計画を進めますとも訴えられておられました。
 もちろん、これらの中には、既に県が進めている施策もあると思いますが、中でも特区を生かした観光政策についてどのようなものがあるのでしょうか。商工観光労働部長、お答えください。
 次に、仁坂知事はこの選挙戦において「和歌山を元気に あたたかい改革」というスローガンを掲げておられました。そして、この4年間の実績として80社の企業誘致を行ったと強調されていらっしゃいましたが、そのうちの約半分は既に県内にあった企業であります。一方で、株式会社東京商工リサーチによると、平成19年1月よりことしの11月までの3年11カ月の間に県内では596社の倒産があり、負債総額が1025億にも上るということであります。このような状況から、知事が言われるほど、企業誘致により和歌山県の景気がよくなったとか、和歌山県民が元気になったとか感じていない人のほうが多いように思うのは私1人でしょうか。
 そこで提案でありますが、少し視点を変えて考えてみるのはいかがでしょうか。その1つの例として、紀州よさこい祭り、通称「おどるんや」であります。これについては、以前から申し上げておるとおり、8年前の踊りチームの結成から私自身もその中に入り行動をともにして、スポンサー集めを含め、深いかかわりを持ってまいりました。それはなぜかと申しますと、この祭りを実質的に立ち上げた2人の若者からこのような説得を受けたからであります。
 それは、「浦口さん、日常が元気のない和歌山を非日常から元気にしませんか」ということで、つまり、ここで彼らは日常の経済が落ち込んでいるんだったら、非日常の活動である踊りをベースにした祭りで和歌山を内から元気にしませんかという発想であり、大いにそのことに共感を覚え、彼らに協力してきたわけでありますが、御参考までに述べさせていただきます。
 また、先日久しぶりに紀州よさこい祭りの実行委員会であるお祭りプロジェクトの幹部3名と今後のことについて話をする機会があり、そのとき彼らが言うには、ことしでこの祭りも7回目を迎え、年々参加者はふえているが、観客を県外から呼び寄せるには、和歌山に根差した独自のテーマとリズムの曲や踊りづくり、さらに毎年祭りのときに大盛況である食べ物屋台「旬店街」も全国に発信するためには、今はやりのB級グルメのコンテストであるB-1グランプリの和歌山大会を開催し、その中から全国大会にも出てもらおうとも思っていますという積極的なアイデアを教えられ、大変頼もしく思いました。そして、またそれぐらいの発想と行動を起こさないと、和歌山の観光も、幾ら県民総参加でといっても結局は盛り上がらず、言葉だけに終わってしまう可能性があるのではないでしょうか。
 そこで、和歌山県にもたくさんの観光商品がありますが、その中でこれからどのようなものをどのような形で売り出そうと考えているのでしょうか。身近で観光商品にもなっている和歌山ラーメンの例もありますが、その名を聞いただけで県民が地元和歌山を意識し、自慢話の1つもしたくなるような、これから他府県にない独自に売り出そうとしている観光商品は何か、商工観光労働部長、お答えください。
 以上をもちまして、私の質問とさせていただきます。御清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの浦口高典君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 人口減少の問題についての3点の質問に、あわせてお答え申し上げます。
 和歌山県の人口が100万人を切るような事態となったのは、特に若年層が県外に流出する社会減が高齢化社会となり、出生数の低下となる自然減を招いた結果であると認識しております。すなわち、原因は社会減にあるということでございます。しかも、この流出数が毎年えらく大きく、かつ長く続いたことは驚くべきことであったというふうに思います。
 こうしたことから、私が4年前に就任して以来、社会減を食いとめるため懸命の努力を行おうといたしました。それが、私が唱えてまいりました、働く場をふやすということであります。なぜならば、人口が減るからといって、人を県外に出るなといって縛りつけるということはできません。働く場をふやして、こちらで働いたらいかがでしょうかというふうに持っていくしかないと思うのであります。
 そのために約80社の企業誘致を実現するとともに、県内企業の技術力強化や、あるいは販売促進戦略等の産業振興策、あるいは農林水産業、それから観光、そういうそれぞれの産業ごとにできるだけ産業活動を活発にして、そこで少しでも働く場をつくっていただく、あるいは縮小を食いとめる、そういうことを努力してまいりました。
 このためには道路ネットワークの整備などもその条件として大変重要でございますから、それを努力してまいりましたが、諸般の事情によりそれが頓挫したり障害にぶち当たったりいろいろしていることは、議員よく御存じのとおりであります。こういうふうにして元気な和歌山を創出するために数々の施策を進めてまいりましたし、今後ともやらなきゃいけないと思います。
 この結果、社会減が5000人から2000人程度まで抑えることができましたが、これはまだ不十分でございます。したがって、何とかして増加に転じさせるように一層の努力を続けていく。そのために政策にも磨きをかけるし、県民の方々にも頑張っていただくということが必要だと考えております。
 同時に、その社会増減だけではなくて、自然減もできるだけ減らすようにしなければいけません。そのために、子育て世帯の経済的負担の軽減や子育てと仕事の両立支援など、子育て環境No.1わかやまを目指してさまざまな施策を追求しておりまして、こういう形でその自然減対策もできるだけ講じてまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 構造改革特区についてでございますが、これまで本県関係では、県、市町村合わせて18件の認定を受けております。各計画の内容につきましては、市民農園の開設やミカン、梅等を活用した特産酒類の製造、さらには幼保連携や公立保育所への給食の外部搬入の特例など、さまざまな分野で本制度の活用が図られています。
 なお、現在国においては、新たに規制の特例措置、税制、財政、金融上の支援措置等をパッケージ化して実施する総合特区制度の創設を検討しており、本県から和歌山県高野・熊野世界遺産総合特区及び元気な水産県和歌山づくり総合特区を提案したところであります。引き続き国の動きを注視しながら、こうした制度の活用に努めてまいります。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 特区を生かした観光政策についてでございますが、本県におきましては、和歌山県観光立県推進条例に基づく観光振興実施行動計画、いわゆるアクションプログラムで、世界遺産や温泉とともに食の魅力を主要な観光資源と位置づけた観光振興施策に取り組んでいるところです。
 県内では、梅酒を初めとする果実酒など地域の特産品を活用した構造改革特区が認定されており、クエやマグロ、梅干し、和歌山ラーメンなどとともに、地元での活用や首都圏などを中心とした販売促進活動とさまざまな観光プロモーションとの連携を図りながら観光振興への取り組みを進めているところです。
 また、年々増加する外国人観光客に対する通訳ガイドなどの受け入れ体制の強化や旅行業法の規制緩和などを推進するため、国に対して和歌山県高野・熊野世界遺産総合特区を提案しているところでございます。
 次に、和歌山を元気にするための他府県にはない県独自の観光商品についてでございますが、全国の数ある観光地の中から旅行先として本県を選んでいただくためには、我が県の持つすばらしい観光資源とともに、本県独自の魅力と言える観光商品を見きわめ、それを積極的にPRしていくことが重要です。
 その1つの取り組みとして、熊野古道健康ウオーキングを推進しております。これは、世界遺産である熊野古道において、熊野セラピストと呼ばれる専門スタッフと語り部の案内により、血圧測定やストレッチ体操、瞑想等を取り入れながらウオーキングし、心身の機能を高めようとするもので、近年の健康志向の高まりとも相まって年々利用者が増加しています。
 また、万葉集と紀州徳川家ゆかりの景勝地である国名勝の和歌の浦や、戦国武将の真田昌幸・幸村親子が隠れ住んだ九度山などは、歴史ロマンが感じられるスポットとして売り込むことにより今後入り込みの増加が期待されます。
 さらに、世界遺産、国名勝、国宝など世界的、全国的に価値が認められた資源はもちろんのこと、県内各地の特色ある祭り、最近特に女性の注目が集まっているパワースポットなど、本県が有する独自の魅力をマスコミや旅行会社、インターネット等を活用して広くPRし、積極的に誘客を図ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 以上で、浦口高典君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後3時12分散会

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