平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(中村裕一議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○議長(谷 洋一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 9月定例会一般質問、私が最後になります。しばらくおつき合いいただきたいと思います。
 質問に入る前に、日中友好議員連盟では、去る7月13日から15日までの3日間の日程で上海市を訪問してまいりましたので、概要を御報告申し上げます。
 7月13日、門議連会長を団長に一行7名は、上海浦東空港到着後、リニアモーターカーで市内まで移動し、直ちにCITS(中国国際旅行社)の華東地区総部を訪問しました。CITSは日本のJTBに相当する国営旅行会社で、華東地区にある上海市ほか6省を統括する支店を訪ね、フェン会長初め訪日観光担当部課長と面談しました。支店はCITS上海として独立した旅行会社でもあり、訪日旅行者を毎年1万人送り出しています。また、フェン会長は上海、廈門、寧波など各市の国営旅行会社の役員を兼務しています。
 次に、私たちの訪問直前に来和した上海市内の航空会社や旅行会社の訪日担当者と懇談いたしました。皆さん、訪日旅行の責任者ながら現代上海娘というべき若い女性ばかりで、和歌山への研修旅行は社内で希望者がいなかったが、帰国報告したらうらやましがられたなど、率直な意見を伺いました。
 以上2件の観光関係者の主な意見は次のとおりでした。
 最近、上海には日本から20余県の知事がトップセールスで訪れたこと。注目のPR方法は映画やテレビでの放送で、研修旅行にもマスコミ関係者を参加させたほうがよいということ。現在、中国の旅行社では、7月の訪日ビザ発給緩和を受け、ゴールデンルート以外の新素材を探していること。中国人の訪日目的は温泉、美食、買い物の3点であること。和歌山県は関空に近く、海、温泉、美食があり、大変よい印象で、特にマグロ解体ショーが好評でした。その意味で、和歌山は類似の奈良、京都より大阪と組むほうが相性がよいというアドバイスもありました。
 一方、研修旅行に買い物時間がなく残念だったという意見や、上海に比べ人やコンビニが少ないという声もありました。
 翌7月14日は、広島県の造船会社が手がける日本物産市場GLジャパンプラザを視察し、光原政典支配人から中国人の嗜好や販売状況についてお話を伺いました。店舗規模は市内のどこにもあるようなスーパーほどの大きさですが、高級な日本物産が豊富に陳列されており、中には湯浅町産ミカン缶詰もありました。今のところ客層は上海在留邦人が中心ですが、徐々に中国人富裕層が増加しているそうです。
 午後は上海万博を視察しました。高層ビルが林立する上海市内の工場跡に世界246の国と地域、国際機関が出展した会場は、巨大なパビリオンと群衆で埋め尽くされ、大変な活気で、大阪万博をほうふつさせるものがありました。急成長する現代中国の息吹が感じられました。
 私たち一行は、入場する前から駐車場のバスの数に度肝を抜かれましたが、1脚10元、約128円の折りたたみいすを買い、約1時間並んで中国館を視察しました。残念ながら、展示内容はディズニーランドやUSJをよく知る者にすれば大きな驚きはなく、逆に安価な折りたたみいすとの対比で中国の限界を見た感じがしました。
 翌7月15日は、早朝から在上海日本国総領事館を表敬訪問しました。8月1日付で中国大使館に筆頭公使で赴任されたチャイナスクールのエース横井裕総領事が多忙の中、面接してくださり、日中関係、中国の経済情勢、訪日観光、日本産品の対中輸出等、詳しく御教示いただきました。お話は多岐にわたり、私たち7人では聞かせてもらうのはもったいないほどすばらしい内容でした。同時に、一衣帯水の日中間ながら課題もたくさんあり、時に波風も立ちますが、横井さんのような有能な人が外交を支えてくれているのだと感じました。また、経済担当の佐々木領事からも上海周辺の経済事情をお聞きしました。
 次に、ジェトロ上海センターを訪問し、松村副所長、大橋農林水産部長から上海の経済事情、日本産品、特に農産物の上海市場でのマーケティングについて伺いました。御説明の趣旨は、富裕層は増加しているが、高級品が何の努力もなしに売れるわけではないこと、売り込みには単発的なイベントでは効果が薄く、継続的な取り組みが必要だということでした。
 以上のとおり、大変充実した内容の訪問となりましたが、実は和歌山県の認知度が低いことを再認識した旅でもありました。議員連盟としては、今後とも中国との経済関係が発展する中で、まず本県の存在をPRする必要性を痛感しました。
 どうか、県当局におかれましては、映画やテレビでの撮影誘致や研修旅行の受け入れなどさらに努力し、本県のすばらしい自然や文化を宣伝するよう要望いたしまして、報告といたします。
 なお、漁船衝突事件により中国から各種の交流中止が告げられ、今後多方面での報復措置が予定されているとの報道があります。現在、日中両国は経済的、政治的に最も大切な関係にあり、これを維持発展させるためには今後、両国の粘り強い外交努力を望むものであります。
 さて、通告に従い、一般質問を行ってまいりたいと思います。
 最初は、民主党政権の弊害であります。
 昨年の総選挙で、一度やらせてみてはとの国民の判断で政権交代が行われました。私たちも選挙戦を通じてマニフェストの矛盾を訴えましたが、テレビを中心にマスコミの声にかき消され、残念ながら国民の耳には届きにくかったようであります。ところが、民主党政権は発足直後からマニフェストの矛盾が噴出し、普天間問題が象徴するように、とんでもない政権運営で国民を不幸にしています。ようやく参議院選挙で民主党には国民からイエローカードが突きつけられましたが、円高で中小企業や国民生活が苦しむ中、平気で代表選挙に明け暮れました。いよいよ我が国経済は政治不況、政策不況の様相を呈しております。
 9月3日、自民党では党本部と都道府県連の合同会議が開催され、参議院選挙の結果、国会が本当のねじれ状態になったことから、政府主導から国会主導の政治になるとして、今秋開催される国会では堂々と対決し、国家国民のための政策を積極的に提案していくとの決意が谷垣総裁初め役員から表明されました。また、民主党になくて我が党にある地方組織こそが政党の根本であり、地方組織を通じて国民の声を聞いて政策を立案、実現していこうとの結論を得ました。したがって、今後和歌山県におきましても、党所属議員が一丸となって党員、県民の皆さんのお声を聞き、各種政策の実現に取り組んでまいる覚悟であります。
 さて、今後国会が開催され、政府の予算編成が本格化しますが、昨年の政権交代以来、本県にとってどのような影響があったのでしょうか。報道されることはなくても、この1年間で私が経験しただけで2件はありました。1つは、高校生の死亡事故を受けて国交省に歩道設置の要望をしましたが、新規採択はないと言われました。これが「コンクリートから人へ」の実態です。もう1つは、ビニールハウスを農協が建設し農家にリースするという事業ですが、2月に申し込んだのに7月になっても農水省が許可しなかったのです。おくれた理由は政務3役が決裁を抱え込み過ぎたからで、これが政治主導の実態であります。恐らく県全体ではほかにもあり、県民が損をしているのではと心配いたします。この際、検証するよう要望しておきます。
 次に、一括交付金について伺います。
 政府では、本年6月に閣議決定した地域主権戦略大綱に基づき、地域のことは地域で決めるという地域主権を確立するため、国から地方へのひもつき補助金を廃止し、地方が自由に使える一括交付金にするとしています。
 さきの民主党代表選挙でも小沢氏が、一括交付金にすれば無駄が省けて7割に削減できると主張していました。補助金の大半が福祉や医療、教育など国民生活に直結する予算であることから、公共事業にしわ寄せがいくのではないかと懸念する声があります。
 代表選挙は菅氏が再選されましたが、一括交付金の内容は依然示されていません。これまでスローガンは立派でも中身が伴わない生煮えの政策ばかりで、一体どんなものが飛び出してくるのかわかりません。全国知事会初め地方六団体から、一括交付金の制度設計については減額されることなく、真に地方の使い勝手のよい制度となるよう要望が出されていますが、仁坂知事の一括交付金についてのお考えを伺います。
 2番目は高速道路の延伸についてですが、まず御坊─田辺間の4車線化について伺います。
 ことしの夏の印象は、大変な猛暑と参議院選挙の勝利、もう1つは海南湯浅道路の暫定4車線による劇的な渋滞解消であります。毎年記録的な渋滞が発生する上り線が、下り線が2車線化されたことに伴い、8月のお盆と日曜だけの暫定的4車線化でございましたが、大いに効果を上げました。整然と流れる車列の中に私自身運転してみて大変感激するとともに、改めて4車線化の必要を強く感じました。
 昭和59年以来繰り返されてきた渋滞による物心両面の多大な損失を考えたとき、じくじたる思いがいたしますが、今後とも、地域振興や安全・安心のため、高速道路の延伸、4車線化に努めようではありませんか。
 ところが、国土交通省はいまだに湯浅御坊道路を優先すると言っています。御坊─田辺間の4車線化は政権交代により凍結されましたが、夏の参議院選挙の結果、国会のねじれ現象はさきに申し上げたとおりで、我が党も国会運営を通じて政策を実現していくことが可能になりました。御坊─田辺間を置いてきぼりにした4車線化法案も現在のところ成立しておりませんので、いま一度政府や国へ要望していくべきであると思いますが、御所見を伺います。
 次に、湯浅御坊道路の4車線化について伺いますが、年内にも都市計画決定されると伺っております。事業化も含めて今後の展望をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、和歌山南インターチェンジについて伺います。
 本年3月、和歌山北インターチェンジが供用され、14万人が居住する紀の川右岸地域の利便性が向上しました。長年塩漬けだった和歌山市の企業用地にも事業所の建設が始まっていますが、その後のインター利用状況はいかがでしょうか。
 一方、和歌山市の南部地域、紀の川市貴志川町などから乗り入れる南インターについても、本年度、和歌山市において調査費が計上されたと聞いております。進捗状況はいかがでしょうか。
 また、細長い県土にあって、紀南地方から交通センターや大学、貴志川町などへのアクセスを考えた場合、ぜひ南行きも必要と考えますが、インター自体の必要性もあわせて県の御所見を伺います。
 3番目は地震対策であります。
 まず、地域防災計画の見直しについて伺います。
 防災の日の9月1日、全国各地で防災訓練が行われ、35都道府県で67万人が参加したそうであります。本県でも、12日にマグニチュード8.6の地震を想定した総合防災訓練が串本町を中心に74団体1500人が参加して行われました。発生時期の予知はできなくても発生することは100%間違いない南海、東南海、東海地震に備えることは、官民いずれの立場でも大切であります。とりわけ、政治や行政が率先して積極的に取り組むことは、多くの生命、財産を守ることになります。その意味で、あらゆる政策決定の場面で常に防災の視点を忘れてはなりません。
 さて、南海、東南海、東海地震が3連動する可能性が高くなったことから、先ごろ、政府の総合防災訓練では3連動地震を想定した初めての訓練が行われたことが報道されています。そして、政府は、今後、3連動地震の本格的な大綱策定に着手するとしています。これにあわせて本県でも地域防災計画を見直す必要があるのかどうか、もし見直すとすればどのような内容となるのでしょうか。
 昨日は、地震に伴う海底地すべりで津波が増幅されるという報道がありました。地域防災計画はすべての防災対策の根幹です。しっかりと見直していただきたいと思います。
 また、最近、本県でも公立学校の耐震化、県施設の耐震化がおくれているとの指摘がありました。近い将来、巨大地震が襲来する本県では公立施設の耐震化は進んでいるものと思っておりましたので、大変意外に感じました。公立施設は、災害時に支援機関や組織の所在地であり、住民の避難所となる最も大切な施設ですが、改めて耐震化の状況と対策を伺います。
 次に、住宅の耐震化について伺います。
 本県だけでも耐震改修が必要な住宅が約12万7000棟もあると言われております。しかし、なかなか耐震化が進んでいないのが実態で、理由は地震そのものや耐震改修への知識不足、加えて空き家や高齢化等、本県では過疎地特有の事情もあります。そんな中、最近は少ない金額でも耐震化できる技術も開発・普及してきていると聞きますが、本県としては今後どのように取り組むのでしょうか。県土整備部長に伺います。
 次に、防災対策のあり方と財源について伺います。
 これまで政府の災害対策は、どちらかというと予防対策よりも事後対策が中心でありました。例えば、河川整備には災害関連事業などという災害が起こることを前提とした事業さえあります。これは、高度成長以前、国の予算は乏しく、事前に講じるほどゆとりがなかった名残ではないでしょうか。新幹線や高速道路も世界銀行からの借金だったことは御案内のとおりです。
 しかし、世界有数の先進国になった今日、防災対策も改善すべきであります。特に地震災害は人的・物的被害が甚大になり、復興予算も多額になります。それゆえ、将来支出する復興予算の何割かでも予防対策に講ずることができれば災害そのものを小さくすることができ、結果的にトータルで予算は少なくて済むのではと考えます。今こそそのための法制度の見直しや恒久財源の確保が求められていますが、どのような御認識でしょうか。
 次に、津波新法についてであります。
 自民党では、二階代議士を中心に津波対策を主眼とした新法の制定を求める動きがありますが、県の御所見を伺います。
 次に、ガソリンスタンドの耐震化について伺います。
 阪神・淡路大震災では、ガソリンスタンドは1件も被災することなく、復旧や避難生活に大いに役立ったそうであります。現在、その効果に注目し、石油類だけではなくガスや水、トイレの使用などのサービスを提供する災害対応ステーションとしてのガソリンスタンドがあらわれました。
 しかし、本県では業者が多く、長引く不況や過当競争、過疎のためガソリンスタンドの経営は大変と聞いております。果たして施設の更新ができているのか、そして来るべき震災に被災することなく生き残ることができるのか。
 現在、経産省では、人口減少地区という基準でガソリンタンクの廃棄や改修に補助金を出していますが、巨大地震が襲来する本県ではむしろ耐震改修に支援を仰ぐべきで、支援のあり方について県のお考えを伺います。
 最後に、教育問題について伺います。
 まず、暑さ対策について。
 ことしは例年にない猛暑が続き、熱中症で亡くなる人が全国で163人に上り、クーラーの製造が、エコポイント効果もあって製造が追いつかない、スーパーや酒屋の棚からスポーツドリンクが消えるなどの現象が起きました。そんなまだ暑い8月25日から既に小学校の授業が始まっていますが、子供たちは大丈夫なのかと心配します。
 私たちが子供のころは、35度を超える猛暑日がそれほどあった記憶がありません。最近は、校舎もほとんどが鉄筋コンクリートになり立派になったものの、逆に午後の教室はサウナ状態ではないかと思います。しかも、今ではクーラーが家庭に普及し、ないのは学校だけです。御坊市内の中学校では、職員室でも子供たちに遠慮してクーラーは使わないそうです。温暖化が心配される昨今の状況から、小中学校も県立学校並みに空調が整備されるべきだと考えます。また、空調だけでなく、校舎や運動場の緑化も有効だと思いますが、支援について御所見を伺います。
 次に、学力テストについて伺います。
 政権交代で、自民党政権の教育改革のうち教員免許更新制度と学力テストが日教組の要求により廃止されるのではと心配されていましたが、更新制度はそのまま残り、学力テストは抽出ながら残りました。しかし、抽出方式では本来の目的が達成できるんでしょうか。県教育委員会では国に対して全校実施を強く求めていますが、その意義と決意について、改めてお伺いします。
 また、今のところ本県の学力は全国的に下位にとどまっていますが、学力向上のため本県ではどのような取り組みをしているのか、御報告願います。
 最後に、医師の養成についてお伺いします。
 本県では久しく医師不足と言われ、医療政策としては医科大学入学定員の増員や県民枠、推薦制度、奨学金、ほかにドクターバンク制度など、各種の事業に取り組んできました。しかし、大学入学以前についての対策は手つかずの状態にあります。
 子供たちの個性を伸ばし、希望をかなえることも必要ですが、地域としてどんな子供を育てるのか。例えば、ふるさとににしきを飾るのではなく、ふるさとでにしきを織る子供や地域のために頑張ってくれる子供を育てる必要がないでしょうか。本当に医師不足を解消するためには、紀南地方を中心に和歌山で生まれ育った子供たちを医大に入れないとできないのではないかと考えております。
 8月12日付の「読売新聞」には、宮城県教育委員会が医学部合格者数をふやす特別講座を開設したことが紹介されています。その講座は、医学部を目指す公立高校生を対象に進学意欲を高め、入試を突破する学力をつけさせることが目的で、生徒に負担は求めないそうです。夏休み中に開かれた講座では、3年生には仙台市内の予備校で医療問題の講演や医学部での出題が多い小論文、理系科目の指導が行われ、学校の授業とは違う刺激を受けたと好評だったようです。1・2年生向けには、東北大学医学部で直接大学教授から講義を受け、AEDを使った救命救急の模擬体験をさせましたが、参加者から医師になりたいとの思いが強くなったという声が寄せられています。
 この背景には宮城県内の郡部での医師不足があり、教育委員会では、まず医師を目指す生徒をふやさなくてはとの熱い思いから始まりました。本県でもこのまねをしろとは申しませんが、単なるインターンシップ程度ではとてもかなわないことであります。何か具体的に行動すべきであると考えますが、御所見を伺います。
 実際に和歌山へ帰郷する希望者が多いことはありがたいことですが、みんな公務員になりたいというのでは本県の発展は危ういと思います。
 以上、御質問し、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、一括交付金のあり方につきまして御答弁申し上げます。
 私は、これまでも全国知事会の一括交付金プロジェクトチームのメンバーとして幅広く議論をし、一括交付金を国の財源捻出の手段とすることのないように訴えてきたところであります。
 一括交付金のそもそもの目的は、地方の自由裁量を拡大し、実質的な地方の自主財源に転換するものでありまして、配られた後、地方の自由が増すとか、あるいは我々の好むところに回せるという意味でプラスの点がございます。一方で、すぐに、だからといってバラ色の制度かというと、そうではありません。ちょっと考えると、いろいろなクリアをしなければいけないところがたくさんございます。
 第1に、地方の自由裁量権、地方に移されても地方の自由裁量権の拡大につながらない補助金、これは義務的経費は全部そうでございますが、これが膨大にあります。これは、一括交付金の対象にしてもらってもしようがないということでございます。
 次に、一括交付金化に当たっては、対象となる事業が滞りなく執行できるよう、必要な予算総額を確保することが大前提であります。これについては、民主党の党首選のときに議論になりましたけれども、どうも一括交付金化すると国の財源がそれだけ助かるのではないかというようなことに大変な力点が置かれていたような気がいたしますが、これは明らかに間違いであるというふうに思います。
 さらに、3番目の交付金の配分方法につきましても、仮に客観的な指標として、例えば人口のみを使用すると都市部に偏った配分になってしまいまして、本県のような社会資本整備のおくれている地域とか、あるいは財政力の強弱という地方の実情を的確に反映することができないということになります。したがって、今申し上げましたような点を的確に配慮したそういう配分方法、これを確立してもらわないと危なくて乗れないということだと思います。
 行革の、これは打ち出の小づちではありません。よく半分ぐらいのお金で同じような工事ができるというような議論が──地方に移せばですね──ございます。しかし、和歌山県の実態を考えますと、和歌山県はまず、要らないところに補助金をもらい、それで欲しいところに必ずしももらえないなどということはありません。本当に欲しいところだけぜひ頼むと言って、それでも全部くれませんが、もらってきているわけで、要らないところに無理やりつけてもらって迷惑だとかそういうような話はございません。したがって、そこで節約できる余地はありません。
 それから、効率的な使用方法ができなくて──国だとですね。地方だと効率的な使用方法ができるから節約になるという議論も一部ございますけれども、私どもは国の直轄負担金、これについてはまだかなり払わないといけませんけれども、払うに当たっては、県がもしこれをやったときにもっと節約できるんじゃないか、そういう観点で1つ1つ全部チェックをさしていただいております。国がやたらとぜいたくな工法で行い、その何%かを県にツケを回されたらたまらんということでありまして、そういう点については全部チェックするようにしておりますが、ごくごくわずか、我々としてはちょっと使い方がおかしいんじゃないかというようなところはありますけども、大略、県がやっても国がやっても同じようなやり方になるということが我々の知見としてわかっております。
 したがって、財源捻出の手法としてこの一括交付金を使うということは全く意味をなさない。むしろ地方切り捨て、国の財政再建のツケ回しということになるかというふうに考えております。そこで、今後とも一括交付金の制度設計に当たっては、こうした条件が満たされるように強く主張してまいりたいと考えております。
 次に、御坊─田辺間の4車化についてでございます。
 これについては、議員御指摘のとおり、海南─有田間について、ことしの7月16日に下り2車線が完成いたしました。加えて、上り車線についてもお盆などの繁忙期に暫定的に2車線で供用されたことから、御指摘のようにこれまでの海南付近を先頭に発生していた上り線の渋滞はおおむね解消されました。
 しかしながら、下り線では渋滞の先頭が南下いたしまして、8月13日には広川南付近を先頭に約19キロメートルの渋滞が発生し、上り車線についても川辺インターや東岩代トンネル付近を先頭に約6キロメートルの渋滞が発生いたしました。
 そもそも御坊─田辺間では、1日当たりの交通量は年平均でも約1万3000台でございます。繁忙期には約2万6000台に達するなど、2車線でスムーズに走行可能だと言われております交通容量1万台を大きく超えております。さらに、対面通行による重大事故が発生しているということから、直ちに4車線化が必要な区間であると考えております。
 こうした中、御坊─田辺間の4車線化事業については、ことしの4月9日に国土交通省の再検証結果において着手見合わせとされ、その後、国会では、こうした4車線化事業のための利便増進事業の拡充等に係る法律の改正案が継続審議になっております。次の国会で改めて審議されることになっております。
 県としては、国会での法案審議や高速道路のあり方検討など、高速道路整備に係る今後の動向を注視しながら、引き続き御坊─田辺間4車線化の早期実現、事業化を働きかけてまいりたいと思います。
 次に、湯浅御坊道路の4車線化全体の話でございます。
 これは、知事就任後、直ちにその必要性を国に働きかけました。事業手法や事業主体が未定の中、県が主体となって平成19年12月から環境影響評価や都市計画の手続を開始いたしました。通常は事業手法や事業主体が決まってからやるんですけれども、それだとまたその後何年もかかるということで、あらかじめこれは環境影響評価と都市計画をやっておこうということで、国の理解を得まして県が特別に中心になって行った次第でございます。
 現在、どんどん進んでおりまして、環境影響評価書を国土交通大臣に送付したところでありまして、県といたしましては平成22年内の都市計画決定を目標に手続を進めております。この都市計画決定で、有田─御坊間については整備に至るまでの時間のかかる手続が終わることになります。
 今後、事業主体、事業手法などを国に早急に決定していただき、既に用地を取得して、着工可能である御坊─田辺間も含め、可能なところから着手し、県民の悲願であるところの有田─田辺間全体の4車線化が早期に実現されるよう、国、関係機関に対して強く働きかけてまいります。議員各位におかれましては、今後も引き続き御協力をお願い申し上げます。
 その関係で、御坊─田辺4車線化の白紙化の議論の中で、一部の政治勢力から有田─御坊間の都市計画を放置した知事の責任はどんなもんかという議論がありましたが、これについては、まさに私、就任以来、これだけは早く着手しなきゃいけない、多少従来のやり方からすると無理があったんですけれども、着手をして少なくとも責任を果たしているつもりでございますので、皆様の御理解もいただきたいと、そんなふうに思います。
 次に、津波新法でございます。
 地震対策のうち、いわゆる津波新法と呼ばれております津波対策の推進に関する法律案につきましては、6月に国会に提案されたもので、現在、閉会中審査と聞いております。法案検討に当たっては、議員連盟の国会議員各位に本県を視察いただき、県や国、町の取り組みや津波対策の課題についてつぶさに聴取いただいたところであります。
 法案は、稲むらの火の故事にちなんだ津波の日の制定や津波対策に対するソフト面、ハード面の充実などに加え、所要の財政措置支援についても言及されておりますので、津波防災対策を進めていく上で大きな力になるものと期待されております。
 次に、ガソリンスタンドの耐震化でございます。
 国の制度では、ガソリンスタンドが散在するなど供給の不安定な地域が改修等の補助金の対象とされておりますが、本県では対象となる地域は一部に限られております。本県のように大地震が想定されている地域では、地震発生時、広い範囲で供給が途絶えることが懸念されますので、補助金の対象となる地域を拡大するよう、業界団体と連携し国に対して働きかけをしてまいりたい、そんなふうに考えております。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、和歌山北インターチェンジの利用状況についてでございます。
 3月14日に供用開始後、8月末までの日平均交通量は4900台であり、予測していた交通量4200台を上回っている状況でございます。
 次に、和歌山南インターチェンジにつきましては、平成22年度から和歌山市が調査に着手しており、インターの必要性や設置位置などの検討を行うと聞いております。議員御指摘のインターの形式等についてもこの中で検討されることになりますので、今後、市での検討が済み次第、県としても内容について十分お伺いしたいと考えております。
 次に、住宅耐震化についてですが、建築基準法が改正された昭和56年5月以前に建築された木造住宅を対象とし、耐震診断から耐震改修までの各段階で補助を行っているところです。
 具体的には、耐震診断は無料で実施し、その結果、倒壊の可能性があると判断された場合には、高齢者などの方に対しては専門家を無料で派遣し、個別の相談や改修計画の提案を行う耐震改修サポート事業を実施しております。また、耐震改修に係る設計費についても3分の2の補助を行い、より改修に取り組みやすい制度としております。
 耐震改修工事につきましては、倒壊しないとされる基準までの改修工事はもとより、倒壊しないとされる基準に至らないまでも、人命優先の考えから、避難を重視した基準を満足する改修工事や新しい金物などを利用した安価な工法も補助の対象としております。例えば、標準的な工法で約120万円の工事では個人負担が46万円程度ですが、こういったことを活用いたします場合、工事費は約90万円となり、個人の負担が20万円程度でおさまった事例もございます。
 これら補助制度や安価な工法については、まだ十分浸透していない部分もございますので、県民の皆様にわかりやすく情報発信することにより、今後も住宅の耐震化に向けて取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 危機管理監前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○危機管理監(前硲健作君) 地震対策についてのうち、地域防災計画の見直し、公立施設の耐震化、それと防災対策のあり方と財源についての3点にお答えをいたします。
 現在、中央防災会議では東海地震対策と東南海・南海地震対策が別々の大綱に分かれておりまして、県といたしましては国に対する提案におきまして見直しを訴えてまいりましたが、ようやく3連動を想定した大綱等の策定に着手されることとなりました。これにより、全国で取り組む体制が構築されるものとして大きな期待を持っております。
 そこで、議員御指摘の本県地域防災計画の見直しについてでございますが、現行の計画はこの3地震の連動を視野に入れた最大の被害想定をもとに策定しているところでありますけれども、今後、国において3連動の大綱なり防災戦略、活動要領等が策定されてまいりますので、それにあわせて随時、応急対策計画等の必要な修正を行ってまいりたいと考えております。
 次に、公立施設の耐震化ですが、県では、近い将来発生が予測されている東南海・南海地震等大規模災害に備え、昭和56年5月以前の建築基準法に基づいて建築された建築物のうち、耐震の安全性が確認されております県営住宅を除く一定規模以上の県施設461棟について、平成19年度までに耐震診断を実施いたしました。
 診断の結果、改修が必要とされた305棟のうち267棟につきましては改修等を完了または実施中でございますが、今後さらに38棟について改修等を行う必要がございまして、平成26年度末の完了を目指し取り組んでいるところでございます。
 また、公立学校の耐震化については、本年4月1日現在で県立学校施設は94.5%と、計画的に改修を進めているところであります。また、小中学校施設につきましては73.7%となっており、引き続き、関係市町村に対し早期に耐震化を図るよう働きかけてまいります。
 次に、防災対策のあり方と財源についてでございますが、議員御指摘のとおり、住宅や公共建築物の耐震化を初め予防対策、これが大変重要であります。この予防対策を進める上での財源確保についても、地方自治体にとって大きな課題であります。
 県はもとよりのことでありますが、特に基礎的自治体である市町村におきましては、その財源の捻出に苦心しているところでありますので、地震防災対策特別措置法に定める財政上の特例措置の延長について国に提案をしているところでございまして、今後とも、災害予防対策のためのしっかりとした財源的裏づけとなる支援措置を国に対し働きかけてまいりたいと存じます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育問題の暑さ対策、小中学校の普通教室への空調設備設置並びに緑化等についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、ことしの夏の暑さは近年にない異常な暑さでございました。このような暑い状況下では子供たちの集中力が低下し、授業に支障が出ることも考えられることから、小中学校に空調設備等を設置し教育環境を充実させることは、市町村の取り組みとして検討していただく課題だというふうに考えてございます。
 また、運動場を緑化いたしますと、土に比べ芝生の運動場は地表面近くで温度が3度低いということが確認されており、芝生化した学校では照り返しがなく、以前より涼しく感じられたとの報告を受けております。
 県におきましては、平成20年度から屋外運動場芝生化促進事業を実施し、運動場の全面芝生化に取り組んでいる市町村を支援しております。その結果、平成22年度までの3年間で県内19校の小学校において実施されました。
 小中学校における空調設備の設置並びに屋上緑化等については、それぞれ国の補助制度がございますので、県といたしましては、これらの補助制度を活用し負担軽減を図るよう市町村に働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、学力テストでございます。
 全国学力・学習状況調査については、調査方式について、県内すべての学校において在籍児童生徒の学習課題に基づくきめ細かい指導を行うために、全数調査による児童生徒1人1人の学力・学習状況の把握、分析が必要であると考えており、今後さまざまな機会をとらえて強く国に要望してまいります。
 また、県教育委員会では、依然として全国平均を下回る状況を受けまして、新たに庁内に学力向上プロジェクトチームを立ち上げ、市町村教育委員会と協議しながら、各学校の課題に応じた主体的な取り組みを支援するとともに、学力に改善が見られたすぐれた取り組みの普及啓発、退職教員等の協力によるワークシートの作成や学習指導への参画など、具体的な対応策を複合的に行うこととしております。
 今後、さらに市町村教育委員会と連携強化を図り、児童生徒の学力向上に努めてまいりたいと存じます。
 医師の養成についてでございます。
 医師不足に係る学校教育の役割については、医学・医療に対する興味、関心を持たせることであり、県立医科大学の教授等による出前授業に加えまして、今年度から研究室でのインターンシップなど、医学部への進学意欲を高める取り組みを行っております。
 また、地域医療を支える和歌山県内からの高校生募集枠につきましても、医科大学関係者、高等学校長会とともに継続して協議を行っているところでございます。
 今後とも、医師の養成について公教育としてどのような具体的支援ができるか、関係部局、大学等の意見を参考にしながら研究し、連携を図ってまいります。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。議案第116号は、行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、議案第102号から議案第115号まで及び議案第117号から議案第119号までは、お手元に配付しております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。9月22日及び24日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 御異議なしと認めます。よって、9月22日及び24日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月27日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時50分散会

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