平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(原 日出夫議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 議長のお許しを得ましたので、質問に入りたいと思います。
 まず、第1点の知事は和歌山をどうするというテーマです。
 この質問については、既に向井議員から質問されました。私は、県民から素直な意見、質問として実は投げかけられました。それは、仁坂知事の4年間は端的に言って何をしてきたんですか、それによって和歌山は少しでもどう変わったのですか、次の4年間の仁坂カラーは何ですか、4年間で具体的に、マニフェストでなくても和歌山をこうするんだ、これだけは4年間で実現したいというのは何でしょうかと私に問われました。私は、全般的な施策と長計に基づく県政の方向は漠然とわかっていても、その人たちにはたと答えが出なかったのです。
 そこで、私の認識不足でしたので、今議会で改めて知事に尋ねることを約束しましたので、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 次に、2つ目の新しい発想による過疎対策ということで、新しい発想による過疎対策について次に伺います。
 和歌山県は、まさに全体が中山間、農山村地域です。県は新たに、中山間地域での人口減と高齢化、担い手不足による耕作放棄を食いとめるために、過疎集落の活性化対策としてことしからわかやま版過疎集落支援総合対策に着手し、既に県下8カ所の地域を指定してその地域の「寄合会」を組織し、過疎地域をどうしていくのか、議論とその方向を出そうとしています。
 私は、そこで県が示す新しい発想による過疎対策とはどういうことでしょうか、まず知事にお尋ねします。
 また、市町村がことしから進める過疎地域自立促進計画とこのわかやま版過疎集落支援総合対策はどうつながり、かかわっていくのか、企画部長にお尋ねします。
 次に3つ目で、私は今の2つのテーマに基づいて皆さんのお手元に資料を配付さしていただいてるんですが、私が大方12年間農業問題や過疎の問題に自分なりにかかわってきた中で、今議会で私の集大成として、いろんな活動の分野をして過疎集落の今後の生きていく道はどうあるべきかということを私なりに図表化したものです。そのことを皆さんと当局に提案しながら、本来過疎集落をどうしていくのかということについて議論を深めていただけたらありがたいということでつくらしていただきました。
 そこで、先ほど言いました和歌山版の過疎集落支援総合対策に私が改めてこういう提案をさしていただいたというのは、対峙するというよりも、それを強化していく意味での補完的意味で私はこのことを提案させていただきたいと思います。
 1つは、この説明に入る前に、国のことし2010年4月に公表された農林水産省農村に関する意識・意向調査の中で、実は過疎の関係で1980年から1990年、この10年の間で2255集落が過疎化していった。それから、1990年から2000年の10年間で4959集落が農業集落としての機能を喪失していったというふうに言われています。しかも、中山間地にある集落を中心に1403集落が、もう人がだれも住まない集落になってしまったと。これらの地域は、まさに農地、山村、山林等の農村資源の維持管理や農道のあぜ道の草刈りなど農業の生産活動を補完していく、そういうことが非常に困難になったということであります。
 そこで、私はこういう表を出させてもらったわけですが、農業者の9割が農地、農業用水等の農業生産資源を将来にわたって維持し続けることは難しくなる、これが言われております。約90%ですね。それは「どちらかといえば維持し続けられなくなる」も含めてですけど、90%の人が集落内の農業生産資源や農村資源の維持のために必要な施策というものが十分できていけないという状態であります。
 もう1つは、集落内の農業生産資源や農村資源の維持に必要な問題で、そこで生活していくためには何かと。農業で十分な所得が得られるような対策を講じてほしいというのが95.1%もあるわけです。しかも、農村資源維持活動に関するそういうための支援をしてほしいという人たちが77.4%、そして人材の確保に対して77.2%、また医療、福祉の機関・サービスについては44.2%とか。そういうふうにして、全国的なこの課題というのはまさに和歌山県にも同じ状況であると思います。
 そこで、私は、農山村の過疎対策の基本は、やっぱり地域振興対策として、つまり活力ある町や村づくりをするためには、地域と市町村と県行政が議論して総合的な地域づくりを進めるマスタープラン的なものを創造していく、地域の人たちの集まりと力を基礎にして総合的な対策を考える必要があるのではないかと。農山漁村の基盤整備は当然ですが、農林水産業を基軸にした資源、環境、地域をどう活性化していくのかということを主軸に置かないと、先ほどの意向調査の中では農業で十分な所得が得られるような対策というのが少なくとも95.1%を占めているから、地域をどうするかというものの基盤はその地域の農林水産業を機軸にしなければならないと、こう私は考えております。
 そのことに関して第1は、総合政策を地域の活力あるものにするためには、地域のコミュニティーが強まり、交流人口がふえ、やる気のある地域づくりを目指さなければならない。しかも、先ほど言いました、そこで生活するための所得を増加する必要がある。また、そこで雇用を生み出すために何をやるのかということを基盤にした和歌山県版の過疎対策地域づくりをする上での大切なことではないかと、そう思っております。
 私は、そういった考え方からこの表をつくったのは、中山間過疎地域活性化集落営農組織の中で、これは最終的に地域がみんなで集落営農を組織していくというのが必要なんですけども、その過程として社会的共同経営体にすべきだというふうに考えます。例えば、私が今農業しているところの地域はまち中に隣接したまさに旧田辺市なんですけども、そこで農業を営む人たちは、5年もすれば大方70%は後継者も担い手もなしに、本人も自分の持っている農地を責任持ってやれる状態にならない状態になるというのが私の調査でもわかっているわけです。
 そういったところで、自分たちがその地域、集落をどうしていくか。そのためには、私は地域住民による主体的共同、お互いに共同しよう。少なくとも僕が米をつくっている中では、そこの里山は水引きとかいろんな草刈りとかは共同で現実的にやっています。しかし、それでも毎年人が減ってきています。だから私は、人を雇って、草刈りや田んぼへ引く水についても応援をいただかなければならないという事態になっているわけです。そういう意味で、地域の住民により集落が全体としてみんなで助け合いしながら、その村をどう存続させていくかということに主力を置かなければならない時期に来てるというふうに思います。
 そういう意味では、農地や農道の水利、ため池や里山等の地域資源を広域的に共同管理するような指導が県行政で必要ではないかというふうに思います。個々ばらばらでなくて共同化する。そして、みんなが助け合いしていく共同の村だと。そこで農業を営みながら共同で利益を上げていくという社会的共同経営体にすべきだというのが、私の行き着いた到達点であります。そういう意味では、生産活動や暮らし、そういった意味でもお互いに助け合う共同体にしていかなければ、その地域の過疎集落の生きていく道がないというのを思いました。
 その中で、地域は何かということで、いろんな──県は企画、観光、それから農林水産をやっています。先ほど言いました、そこで働いて生活ができる、そしてみんながコミュニティーを充実させていく、そして病院や生活必需品をどうしていくかという問題があるんですけど、そういったことを含めるならば経営共同体にしなければこれは到達できない、個々の縦割りの行政ではできていかないというふうに思いました。
 そして、そこで働く人たちの、いわば人口もふやすし経営を成り立たせていこうと思ったら、やっぱり生産、加工、販売という6次産業へ思い切った手だてをしていくことによってその地域が活性化してくるし人口もふえてくると、こう思います。いつも言わしてもらっている秋津野ガルテンなんかは、もう既に50名の雇用に、6次産業によって高まってきました。そういった雇用が必要ではないかというのが私の到達点です。
 したがって、和歌山県が過疎集落対策の和歌山版として県下8カ所を選んでやっていますけれども、その目指す到達点は社会的共同経営体をつくっていかない限り僕は成り立っていかないと。これは、かつてのソ連のコルホーズとか中国の人民公社という感覚では全然ないんですよ。そういう意味ではないので、地域の社会経営体をつくっていかなければならないというふうに感じております。
 そこで、補完的な意味で、私は、今県が進めているグリーンツーリズム、人をどんどん都市と農村の交流、それから企業の森によって企業とその地域、森とのつながり、企業のふるさとということで取り組んでおります。これをさらに発展的にやってほしいというのが私の考えであります。
 それは、今、韓国が2004年から国ぐるみで一社一村運動ということで、1つの会社が1つの集落と提携してすべて交流をしていくと。すべてそこで農業なら農業、いろんな分野のことで交流しながら、そこの物販を全部お互いに契約して買う、そして交流をしていくという一社一村運動を行っております。これに知を得て、全国では静岡県が一社一村静岡運動というのを進めております。これについてもかなりの前進をしている。2005年からこれはやっているみたいですけど、進めております。これは、私は先ほど言いました一社一村運動が企業の森、企業のふるさとを発展させていってほしいという気持ちであります。その事例を少し述べます。
 それは、1つですけど、白浜町富田の椿で、今度、資生堂と県が企業の森ということで資生堂がやりました。そこは何をするのか。企業の森の森をどうなんじゃなくて、その森にツバキを植栽すると。ツバキをずっと植栽して、ツバキの花からツバキ油をとって、ほんでツバキ油で資生堂が売り出していくという形です。椿のツバキ、資生堂はそこに目をつけました。絞った油を資生堂が売り出すというまさにストーリーのある企業の戦略ですね。それと地元がうまくマッチングしていたと。そこで、地元は今後それをするためにツバキの木をどんどん植えるとともに、もう1つはそこで6次産業、つまり、そこに絞る工場をつくると。そこで雇用を生み出す。そして企業との交流は、あそこは温泉もあります。ホテルもあります。釣りもできます。そういう意味で、1年間通じた資生堂の従業員の皆さんと地域が一体になって地域、集落を発展させていくという方向へ今進もうとしている。資生堂もやる気満々ですし、そして地域もその方向を目指しております。
 そういった形をやっていくことが、私は本来、今県が積極的に進めている企業の森、企業のふるさとが発展的にその地域──今せっかくあるんですから、企業と森林組合だけに依存するんじゃなくて、企業の森とふるさとがその地域の一部分の人だけじゃなくて、企業がその地域全体とのかかわり合いをしながら交流を深める、1つのまさに一社一村運動へ発展させていただけたらありがたいということを、私の今までの経験とか今取り組んでいる事例をしながら県として積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 そこで、まとめ的に言えば、今言いましたように集落での基本は農業、林業を機軸にした生活基盤であり、雇用を生み出す6次産業にすべきだというのが1つです。そして、今言いましたように、人的交流による都市と会社と、そして集落の交流によってさらに地域活性化をしていく。
 もう1つは、生活圏維持のもとに、もちろん、今進めている福祉、医療、交通問題も含めて、あわせてそれを県が乗り込んでいってやるというだけでなくて、地域住民が主体的に活動する中で県がコーディネートしていくという形にしないと、すべて乗り込んでいったらすべての要求を全部聞いて、それをやってくれ、これをやってくれということの会議になってしまう。やっぱり地域が主体になって、地域が自分たちの地域をどうして変えていくんかということの主体性を明らかにしていく中で集落社会的共同経営体が成り立っていくんではないかというふうに思います。
 私は、この図表では集落営農の法人化を目指せと言っていますが、これはやれるところとやれないところがあります。みんながそうならないとあかんのですけど、秋津野ガルテンの場合は地域の考える会、秋津野を考える会が地域の経営というか、農山村の皆さんの利益、収入を上げるために農業法人をつくって経営に乗り出したということですので、そういったところへ到達するというのは、いろんな格差はあると思うんですけど、最終的にはそれを目指していくことによって地域の経営体が生活していく経営体として変わっていくのではないかということを提案したいと思います。
 次に、4番目の精神保健福祉対策についてです。
 今、日本の社会そのものが精神的に病んでいるというふうに私は思います。人間が病まないほうがどうかという社会構造です。精神疾患は、うつ病、自殺、ひきこもりなど、新たな心の病の問題として生まれています。
 紀南医療圏の紀南こころの医療センターの外来患者は現在でも185名とふえていますし、今、障害福祉の関係者の相談もふえていますが、県内の精神障害者の実情はどうでしょうか、まず最初にお尋ねします。
 その実態の中で、精神保健福祉対策の県の果たす役割と具体的施策について伺います。
 1つは、精神保健福祉センターや保健所の相談機能の充実です。とりわけ、保健所の精神相談員、PSWの増員は緊急の課題ですが、どう考えておられますか。
 2つは、入院患者さんの退院可能な精神障害者を初め、社会で自立を進めていくためには地域の福祉資源との連携と県としての具体的な支援が求められていますが、県のお考えをお聞きします。
 次に、精神保健医療体制の充実と地域の受け入れ態勢についてですが、県は県立精神科病院である県立こころの医療センターを県内全域の精神医療の中核病院として位置づけ、総合的、先駆的精神科医療に取り組むとともに、地域精神医療の向上と推進に努めますとあります。しかし現実は、県立こころの医療センターは県内全域の役割を果たしているのでしょうか。私の知る範囲、経験した範囲内では、県立こころの医療センターは紀中、紀北医療圏での役割しかないのでは。紀南医療圏での役割は紀南こころの医療センターがそれを担っていると思います。
 県として公平な地域医療の考え方で、紀南こころの医療センターを紀南の中核病院の役割としてどう位置づけ、支援していくのでしょうか、お尋ねします。
 さらに、社会的入院の解消及び精神障害者の社会的自立促進のための地域連携のネットワークを紀中・紀北医療圏と紀南医療圏において県は具体的に組織し、支援していくのでしょうか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、5点目の介護保険制度についてです。
 国の制度改正と考え方で当局に質問というか、お聞きしたいと思います。
 私は、6月議会で、介護保険10年の課題の中で、介護10年の節目での県民、介護事業所の人たちの声は、1つは介護人材の確保のための賃金アップなど処遇改善を図るべきだ、2つは、施設待機解消のための施設整備を促進してほしい、認知症対応のサービスの充実をしてほしい、夜間を含めた24時間対応の在宅サービスを充実してほしい、そういう点が主な点であります。とりわけ、デイサービスでの通所介護でのショートステイ事業を組み合わせることの可能性を検討してほしい、こういった部分に私自身が国のパブリックコメントに意見も述べてきました。
 今回、厚労省は社会保障審議会介護保険部会において──私の意見が全国的な意見でもあったんでしょう──保険部会においてショートステイ、短期入所の不足と問題に対し、通所介護の利用時間を延長し、宿泊を可能にする方針が示されました。また、特別養護老人ホームについても、待機者が和歌山県内で2875人、田辺・西牟婁579人という状況で、今回、個室ユニット型だけでなく多床室、何人かが入れることも認める方向を示されました。これらに対し、県はどう把握し、どう対応していくのでしょうか、お伺いします。
 最後に、パブリックコメントよりアンケートということ、これは、私、要望にかえさせていただきたいと思います。
 県は、介護事業のこういう6月議会の私の質問に対応してパブリックコメントを行いました。私は、県としては介護事業そのものはもう既に市町村に全部現場は対応されています。県がやるべきことは、県全体の実態を把握して制度上の問題や課題をつかむ立場にあります。したがって、パブリックコメントは1つの手法ですが、私は、県としての立場からするならば、各事業所の実情や介護利用者等の要望を含めアンケート調査を実施して、全体の意見を取りまとめていく必要があるのではないかということを要望しておきたいと思います。
 以上で、1回目の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、知事は和歌山をどうするか、こういうことでございます。
 3年余り前、知事に選んでいただいた私は、第1には不祥事により傷ついたふるさとの名誉を挽回するために職員と力を合わせて制度改正をして、一心に働いてまいりました。その結果、この点については、県民の皆様の県政への信頼を取り戻せたんじゃないか、そんなふうに考えております。
 第2に、ずうっと低迷をしていた県勢──県の勢いですね──これの再浮揚をぜひしたいというふうに考えておりまして、元気な和歌山のまさに中核というふうに考えております。そのために、考えられる限り、プラスになると思われる政策についてはすべてできるだけ早く実施するということで頑張ってまいりました。数えてみますと、200にも迫る改革を実施してまいりました。
 その中では、企業誘致も頑張りました。最近の3年半で、それ以前の20年の実績に匹敵するような件数と、それから投資額を実現しました。トップセールスによって駆けずり回って県産品のPRをしました。新農林水産業戦略プロジェクト等によって、生産から販売、技術開発に至る支援をいたしました。県内企業を励まし、助けるために、技術開発や販売促進のための制度を使って、頑張って和歌山の雇用をふやすように努力しました。地域的には、わがまち元気プロジェクトとか過疎対策などの地域活性化対策に取り組んできました。
 そういう効果が少しあったと考えておりますけれども、和歌山県はこのところ毎年5000人の人口流出、すなわち人口の社会減がございました。私の就任時点でもそうでございました。現在はこれをだんだんだんだんと少なくしてまいりまして、人口流出、まだ残念ながらありますが、2000人ぐらいまでにすることができました。
 日本全国大変つらい。特に雇用においてはつらい。和歌山も例外ではございません。ただ、相対的には和歌山の雇用状況は近畿のトップになりました。これは、何も私だけの功績ではありません。アイデアと努力、これはすべて投入しましたが、全県庁挙げて団結して努力をしてきた、また県民がこの努力に協力して相和して頑張ってくださった、そういうおかげではないかと思います。
 もう1つ、第3には、ぜひ安心・安全という、例えば福祉、教育、医療、そういう問題についてはいささかも後退させることがないようにしたいと、そういうふうに考えておりました。その点については、私は県庁の中へ入って少し驚いたんですが、県の財政は全国的に見るとそんなにひどくはありませんけれども、しかし、和歌山県だけでも2年半で破綻しそうな、財政ががたがたであった。それについて、再建策を講じて再建することができました。
 ただ、その中で、例えば弱者切り捨てをするというようなことがあっては何のための行革か。ただ事業仕分けをすればいいというわけではありません。そういう意味で、弱い者あるいはおくれた地域、困っている人々、期待している人々、そういう方々の期待を裏切らないような形で、何とか財政も、それからそういう安心・安全政策も守れたというふうに考えております。
 その中で、少し足し算もできました。例えば、全国トップレベルの紀州3人っこ政策とか、あるいは教育の充実とか高齢者の見回り対策、孤立集落の通信手段の確保、県立医大の定員の増加などによって地域医療崩壊を食いとめるための対策をするとか、そういうことも幅広くやってまいりました。また、基盤整備に関しても、X軸ネットワークが完成し、少しずつ高速道路も伸びております。
 ただし、こうした政策の効果はようやく芽生えてきたところであります。まだ道半ばだなあというふうに思っております。道すべてでなかったことについて残念な気持ちもあります。しかし、今この改革をやめてしまう、あるいは放棄してしまう、そうすると、例えば人口減少などもまたもとのもくあみになってしまう可能性もあります。したがって、この改革は続けていかないかん、そういうふうに思います。
 引き続き県政のかじ取りを負託していただけるならば──それは県民の方が考えることでありますが──次の4年間では、すべての産業に関して全国一の振興策を講じて、働く場をさらにふやし続けたいと思います。医療、福祉、防災など、県民の安心・安全を死守したいと思います。教育、文化、スポーツ、環境などの面で活力と品格のある和歌山を実現したいと思います。
 県民に生きるチャンスを与えるインフラの整備充実に、議会や県民の皆さんとともにもっと努力したいと思います。ふるさと和歌山をさらに元気にすべく力を尽くしていきたい、そんなふうに考えているところでございます。その中で新しい工夫もどんどんしていきたいと思います。
 ただし、こういうことを実現していくために今後も改革を続けなきゃいけないということであったとしても、その改革は弱い人々やおくれた地域を考えた温かい改革でなきゃいけないと考えております。仁坂カラーと言われましたけれども、こういう方向でやっていきたい、そんなふうに思います。
 私は、県民とともにすべての県民のいろいろな活動に参加していきたい、あるいはそういう県民の方々の力を結集していきたいというふうに考えてやってまいりました。しかしながら、個人的にはなかなかつらいこともあります。例えば、まちのお祭りがあります。私は一緒に楽しむのは大好きですから、そういうものはどんどん参加したいと思います。全県あちこち回っていろんな仕事をしてまいりました。多分、歴代及び全国の知事の中では、そういう点について最も熱心な1人だと思います。
 しかしながら、そういういろいろな催し、お祭り、行事、余りにもたくさんあります。不公平になってはいけないというところもあります。私は残念な気持ちもありますけれども、ただ、そういうお祭りあるいは行事、営み、そういうものが皆さんの力によって今後ともちゃんと維持できるように、それを少なくともやっていくのが最低限の私の仕事だというふうに考えております。そういうものを元気づけるような政策をやる、こういうことではないかと思います。口先だけでうまいこと言って回るよりも、それが私の仕事かなというふうに思います。
 県民の笑顔は私の笑顔であります。それが消えることがないように頑張って、一日も休まず全力を尽くしてやってまいりたいと考えております。
 次に、新しい発想による過疎対策と、新しい発想は何だということであります。
 これまでの取り組みは大体市町村単位で、あるいは集落単位で行われているところでありましたが、これに対して今回の試みは、住民生活の一体感が確保される地域を新たな概念である過疎生活圏として設定いたしまして、この地域の中で住民生活の利便性の確保などに取り組もうということであります。
 また、議員御指摘のように、事業の推進に当たっては地域住民等の参画あるいは発意、それを得て、「寄合会」と私どもは名づけておりますが、そういうものを設置してもらって、課題の抽出とか対策の検討を行うなど地域住民の主体性を重視した推進体制をとることによって、住民ニーズを反映した実効性のある継続的な取り組みを目指しているわけでございます。今回の取り組みを起爆剤として、過疎地域の再生と活性化のために邁進してまいりたいと考えております。
 次に、和歌山版集落営農の組織、議員御指摘の点でございます。
 これについては、中山間や過疎地域の住民の方が引き続き安心して暮らしていくために、互いに助け合い、農地や水路、里山等、地域資源を共同で管理し、産業振興を図るなど、生活基盤を守るシステムづくりが必要であります。そういう意味で、議員お話のわかやま版集落営農組織についても大変貴重な御提言だと考えております。
 よく議員御作成の表を見ますと、我々の政策が重要な要素として入っています。今さらながら、こういう方向で我々はやってきたんだという気もいたします。私も、地域の基幹産業である農林業をしっかりとしたものとして、生き生きとした産業活動の中での生活の糧となるようなものを得られるようにしなきゃいけない、きちんともうかるようにしなきゃいけない、そんなふうに思います。県内を見てみますと、頑張っておられる地域もありますけれども、全体的な実態ではなかなか厳しいものがあります。
 県では、これまでも地域産業のかなめである農林業の振興について、農地保全や担い手の確保、6次産業化などさまざまな施策を展開してきておりまして、一定の成果が上がっているものと考えておりますけれども、今後とも、地域振興についてさまざまな施策を展開する中で、地域の持っている資源、人、技術を最大限生かす方策について地元の方々を初め市町村とも十分話し合いをしながら頑張っていきたい、県も一緒になって取り組んでいきたいと考えております。
 なお、企業の森とか企業のふるさとでは森林づくりや人的交流などという面では多くの成果が出ていますけれども、まだまだもっともっとという気持ちもあります。今後は、地域産物の生産振興や加工、販売という面でも企業との連携を広げ、過疎地域活性化につながるよう積極的に引き続きやっていきたいと思います。
 企業の森とか企業のふるさとなどなどは、村と、あるいは集落と生産者との協力という点で、まさに議員の御指摘の方向で企画したものでございますけれども、さらに大いに発展をさしていきたいと、こんなふうに考えております。
○副議長(山下直也君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 過疎地域自立促進計画と過疎集落支援総合対策とのかかわりについてお答えをいたします。
 過疎地域自立促進市町村計画は、さきに県において策定を終えました過疎地域自立促進方針に基づき、過疎市町村において各種施策の推進に大きな役割を果たす過疎債等の有効活用を図る上でも必要であるということに配慮しながら、現在、最終的な策定作業に取り組んでいるところでございます。
 また、わかやま版過疎集落支援総合対策は、過疎地域の振興を図る上で極めて有効な手段であると考えております。このため、過疎債を活用してできるだけ多くの地域で過疎集落支援総合対策の事業展開が図られるよう、市町村計画の策定に当たってはその点も留意しながら助言に努めているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 精神保健福祉対策について、一括してお答えを申し上げます。
 国の統計であります平成20年の患者調査では、精神疾患を有する患者は県内に約2万5000人と推計されており、自立支援医療、精神通院医療の受給者も年々増加傾向にあります。そのような状況の中で、地域の精神保健福祉の中心的な役割を担う保健所の精神保健福祉相談員が行う相談機能の充実は大変重要であると認識しており、その体制強化をさらに図っていかなければならないと考えております。
 また、県精神保健福祉センター、市町村、医療機関、相談支援事業所、障害福祉サービス事業所などとより緊密な連携協調を図り、障害のある方が地域で安心して自立した生活を送れるよう、県としましても、個々の障害者のニーズと地域の福祉資源の調整を行う地域自立支援協議会等を活用し、その支援体制の充実強化に取り組んでまいります。
 次に、県立こころの医療センターは、県の保健医療計画により県内全域の中核病院と位置づけられ、認知症や児童・青年期の専門外来、薬物等の依存症に対する専門治療を初め、認知症を中心とした高齢者の専門病棟や急性期治療病棟を持ち、総合的、先駆的な取り組みを行っております。
 一方、紀南こころの医療センターは、県が取り組む精神科救急医療システムの中で夜間、休日の診療体制を持つ紀南圏域唯一の病院であり、精神科を標榜する診療所等も少ない現状から、田辺・西牟婁地域を中心とした紀南地方の中核をなす精神科病院と認識しており、引き続き、県としましてもできる限りの支援を行ってまいります。
 最後に、症状が安定した長期入院患者の解消につきましては、県が委託した地域活動支援センターの地域移行推進員や相談支援事業所が精神科病院、保健所、障害福祉サービス事業所などと連携を図りながら、地域生活に向けた訓練や生活の場の確保など、地域移行に向けた支援を行っております。
 今後、県精神科病院との連携により、症状が安定した長期入院患者の解消を図るため、より効果的な地域社会への移行に向けた取り組みを進めるとともに、社会的自立促進のための地域ネットワークづくりにも一層努めてまいりたいと考えております。
 次に、介護保険制度についてお答えします。
 国の制度改正と県の考え方についてですが、現在、国の社会保障審議会介護保険部会において介護保険制度の見直しの議論が進められており、その中で、デイサービスセンターを活用し、通所介護の時間延長や通所介護施設での宿泊サービスを実施するお泊まりデイサービスの創設が検討されております。また、同介護給付費分科会では、特別養護老人ホームの整備に関し、ユニット型施設の整備推進の方針は堅持しつつも、従来型と個室ユニット型の合築施設も認める方向で議論が進められております。
 県としましては、これらの見直しが家族介護者の負担軽減や仕事と介護の両立、また低所得高齢者の施設への入所環境の改善につながるものと考えており、今後の国の議論を注視してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 知事の和歌山をどうする、4年間どうするというやつで、県民の声でしたんで、私も今の答弁を皆さんに御報告させていただきたいと思います。
 次に、2と3は一括で。
 私は、2の部分の県のやり方と私自身はそれをやっていく上で、過疎地域をどうしていくのかという意味での現状を十分把握した上で取り組んでいるのかどうかを少し疑問に感じたのでね。大体、物事、こういう事業を始める前には、事前に8つの地域を選ぶんですけど、その地域集落を選ぶ上で、そこの実態調査をまず事前に半年か1年かけてやって、そして、そこは何がポイントかということをした上で企画をどうコーディネートしていくか。その地域はどうしても農山村地域でも農の部分で力を入れなあかんと思ったら農を入れる、そこへ福祉も入れるなら福祉も入れるという総合プロジェクトでもってその地域に入らないと、最初は聞き取り調査的になってしまって現実的にアクションを起こせないと、そう僕は考えたので、むしろその地域がどうあるべきかということの事前調査の中でアクションを起こしていくべきだと思いましたんで。
 その上で、その地域が、私自身の体験から5年後はもう担い手がないし、農山村で生きる方向がなかなか難しくなる中で地域の共同体集落をつくっていくことがかなり──そうしないと生きていけないということを自分自身も感じておりますので、そういった点を踏まえた企画部の対応であってほしいということを要望したいと思っております。それが要望です。
 次に、再質の部分ですが、精神保健対策でもう一度、1つだけ質問させていただきます。
 和歌山県の保健医療計画では、精神保健医療体制の受け入れ態勢は、県立こころの医療センターを、先ほど言いましたように県内全域の精神医療の中核病院と位置づけています。答弁では、紀南地方の中核をなす精神科病院と認識しているとあります。
 今回、医師不足から紀南こころの医療センターが、その起きた問題の過程の中で、現在43名転院を迫られ、転院させられました。その中で、県立こころの医療が和歌山県の中核病院であるなら、それに対してどれだけ対応できたか。43名中、県立こころの医療が受け入れたのは5名だけです。43名のうち70%は大阪なんですね。そういう実態なんです。
 だから、今後、家庭の保護者の皆さんや家族の皆さんは、これ全部大阪へ、ずっと面会に行かなあかん、そういう実態であります。それが県立こころの医療センターが受け入れとしての中核病院やというふうな位置づけが本来事実としてなっているのかどうかということを言いたいわけです。1つはそれなんです。
 それをしようと思ったら、やっぱり紀南こころの医療センターは紀南における中核病院としてきちっと位置づけて、それに対して県は県立こころの医療と対等に、税の公平さからいってもその点をきちっと位置づけていくという対策が求められているんではないかということについて、まず第1点お聞きしたい。
 ほんでもう一つは、今、緊急対応ですから、医師が不足してきたから大体200名定員を120から130名にしようとしています。現状の医師の確保の実態からいったらそうせざるを得ないと。しかし、それがずるずるずるずるいって、例えば120から130名に、200名からなったときに、それで紀南の精神科患者さんに対して対応できるのかという問題があります。私は、今は緊急対応ですけども、少なくとも中核病院としたら──県立こころの医療は300名の定員だったと認識してますが──紀南は200名なら200名の定員を確保するための努力をしない限り、我々、精神保健医療に対する県下の責任ある対策になっていかないんじゃないかということを危惧しているわけですけれども、それについてお伺いしたいと思います。福祉保健部長にお伺いします。
○副議長(山下直也君) 再質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 先ほども御答弁申し上げましたように、県におきましては、紀南こころの医療センターは紀南地域における精神科医療の中核病院と認識してございまして、この春以降、同センターの診療体制を維持するために必要な医師の確保に努めてきたところでございます。
 具体的に申し上げますと、県立医科大学の派遣医師につきましては派遣期間の延長を行うことになってございますし、県職員の精神科医が11月から月1回の当直応援をすることとなっております。また、県精神科病院協会にも支援を要請してございまして、近々診療支援についての検討をいただくことになっております。
 さらに、勤務医の定着を図るために、同センターが取り組む医師の就労環境改善に対する補助制度の活用を同センターと協議中でもあります。
 今後とも、引き続き同センターの診療体制の支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再々質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 今の保健問題、精神問題でございますが、一応今、全国的に総合病院の精神科は悲鳴を上げていると。皆、開業して熟練度の──精神科の医療に携わる医師というのは一定の、10年以上の熟練度が必要だと言われているんですけど、そういう熟練を経た人たちが総合病院からはやめて、自分で開業したり小規模なところへ転院していくと。そういう状態が、もうこの2年半で4割がやめられたと、総合病院では。というふうに、ちょっときょう、朝ホームページを開いたらそんなに出ていました。だから、それに対して対策をどうしていくかというのは非常に厳しいものがあるのは、実態は私もよくわかっております。
 そういう意味で、それはなぜかといったら、前の6月議会でも言わせてもうたように、医師自身が、先ほど言いましたように毎日の外来患者の180から200人近い人たちを3診察で、3人で対応していかんなん。もうとてももたないということで、どこの総合病院もそういう実態らしいです。そういう状態でやめていかざるを得ないと、そういう状況です。
 そこで、医師確保が非常に厳しい。総合病院としての受け入れは非常に限界を──今の状況で、今の国の医療体制の中では非常に厳しい課題を抱えているんですが、そのために、じゃあどうしたらいいのか。
 そこで、私は先ほどの質問の中で、地域福祉資源と連携して、入院をそれほどしなくてもいい人たち、している人たちでも在宅ではないけども地域資源のグループホームとかそういったところで受け入れれば十分生活ができていくとか、そういうのが努力すれば可能性はいっぱいあるわけですね。
 だから、そういう意味では、地域福祉資源をどう連携して、そういう総合病院としての医師確保ができない部分でどうフォローしていくかという意味での地域連携に思い切り力を入れてやる。そのために、先ほど言いましたようにPSWの職員をふやすと。そのことによって僕は地域連携がつながっていくと。金がないからもうだめだとかそういう問題じゃなくて、病院に医師を確保する1人にされたら、10名も20名も雇えますよ、PSWは。だから、そういう人、相談員を確保することによって1人1人の患者さんが病院にかかるまでの、また入院している人の退院にもかかわって地域福祉資源と連携していくという意味では、とりわけ最後にそういうPSWの人材確保が先決ではないかというふうに考えますので、そのことをお願いして終わります。
 以上です。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時43分休憩
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