平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(浅井修一郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時1分開議
○副議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第102号から議案第121号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 4番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 おはようございます。
 本日は一般質問の最終日、トップバッターをいきたいと思います。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきますが、まず本題に入る前に、少し所感を述べたいと思います。
 思えば、サブプライムローン問題に端を発したアメリカ経済の混乱は世界同時不況へと広がり、リーマンショック、ドバイショックなど、世界経済の先行きは不透明なままであります。
 そうした中、昨年9月に民主党政権が誕生しました。しかし、鳩山内閣は政治と金の問題で急速に支持率を下げ、わずか10カ月ほどであっけなく退陣してしまいました。その後を受けた菅内閣は、直後の参議院選で大敗を喫したことは皆さんも御承知のとおりであります。
 加えて、先日行われた民主党代表選挙が2週間にわたって行われ、菅、小沢両氏による選挙戦が展開されました。両陣営とも所属の国会議員や地方議員、党員・サポーターの取り込みに狂奔する姿が連日マスコミで報道されておりました。私はこのお2人の候補者の言動を注意深く見守っておりましたが、選挙戦を通じてお2人の口からは、この国をどうしようとしているのか、山積する諸問題にどう取り組むのかといった政治論議はほとんど聞かれず、残念に思ったのは私一人ではないと思います。
 折しも、異常とも言える円高の問題が持ち上がりましたが、内閣による有効、適切な対策が行われないまま推移し、多くの経済評論家や専門家からはごうごうたる非難の声が沸き起こったのであります。やっと日本銀行による為替介入が行われたのがつい先日の9月15日で、少し円安ドル高に戻ったのではありますが、私に言わせれば遅きに失したと言いたいところであります。
 新しく発足した菅内閣には、喫緊の課題である景気の回復、雇用の促進、日本経済の安定と発展に全力で取り組み、国民の信頼を取り戻すために頑張っていただきたいと多くの国民が期待をしていると思いますが、どうでしょうか。私自身、余り期待はしておりません。
 以上、前ぶれが長くなりましたが、本題に入らせていただきます。
 まず初めに、エネルギー供給構造高度化法制定に伴う東燃ゼネラル石油の対応等による本県有田市への影響についてであります。
 この9月初旬、本県の人口が100万人を切ったとの報道がなされました。私の住む有田市も、昭和55年の3万5683人をピークに下降線をたどり、本年4月の推計人口は3万337人となり、今後も少子高齢化による人口減少が進展するものと予測されます。
 そのような有田市でありますが、豊かな自然や豊富な文化財に恵まれ、日本一のミカンやタチウオの1次産業とあわせて、東燃ゼネラル石油和歌山工場があることから、総称してミカンと魚とオイルの町とも呼ばれています。そのオイルに激震が走ったのは、7月6日付「日本経済新聞」に掲載された衝撃的な記事でありました。
 それは、昨年8月、今後の国内エネルギー需要の減少や地球温暖化対策への対応、さらにはエネルギー供給事業者の世界的な競争力強化を目的として施行されましたエネルギー供給構造高度化法に関する内容でありました。
 経済産業省は、その高度化法を受け、本年7月5日付で原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断基準を公表し、3年後の年度末であります平成26年3月31日までに基準を満たす計画書の策定を義務づけ、本年10月31日まで提出するよう求めています。
 私には化学的な知識はありませんけれども、記事の内容を見て愕然といたしました。今回告示された原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断基準に対して、東燃ゼネラル石油の場合は、和歌山工場に約500億円かけて新たな重質油分解装置を設置するのか、あるいは縮小するのか、最悪の場合は撤退も予想される内容であったからであります。
 では、エネルギー供給構造高度化法とは何ぞやと言いますと、エネルギー企業に対して原油など化石エネルギーの有効利用と非化石エネルギーの利用を促す法律で、石油会社には、重油からガソリンや軽油など付加価値の高い製品を精製できるようにするため、重質油分解装置の装備率の向上を求めるとのことでありますが、専門家の方は、この法そのものには理解ができるところではあるが、基準の設定や数値の算出方法には疑問があると言っています。また、この不景気に1つの工場に500億も設備投資する企業が果たしてどれだけあるだろう、国の本当のねらいは石油業界の再編のための圧力だろうとも言っておられます。
 東燃ゼネラル石油和歌山工場は、戦時中に当時の東燃が建設。米軍機による爆撃を受け操業を停止するが、戦後工場を復旧し、次第に増設しながら発展してきました。工場用地は75万坪と広大であります。2000年には米国資本のゼネラル石油が合併し、東燃ゼネラル石油となりました。現在、日量17万バレルの石油精製装置と多数の備蓄用タンクを擁しています。
 この和歌山工場の有田市経済に占める割合を見てみますと、東燃社員が約450名、関連会社従業員が約900名と多数が雇用されており、その家族を含めると、有田市のみならず近隣の海南市や有田川町にも与える影響が大きく、ひいては本県経済への影響も大きいものと思われます。
 税収面から見ても、9月11日付の「和歌山特報」にも掲載されておりましたが、平成20年度の法人県民税が4億2000万円、県事業税が20億1600万円であり、有田市の市民税は過去5年を平均すると年3億円、固定資産税年6億円と、市の税収入の25%にも及ぶと言われています。
 以上のことから、東燃がくしゃみをすれば有田市が風邪を引く、東燃が風邪を引けば有田市は肺炎を起こすと言われるほど影響力が大きいということであります。
 本案件について、知事は、この情報を察知するや否や、所管である経済産業省や東燃ゼネラル石油本社との調整など、有田市との連携のもと、地域経済への影響を最優先に考え速やかに対応いただいており、私としては大いに感謝しているところであります。
 また、地元有田市においても、市長が中心となって市議会、商工会議所、連合自治会や和歌山工場協力会社とともに経済産業省や東燃ゼネラル石油本社への嘆願書を提出するとともに、現在も自治会が中心となって地域住民に対し操業継続を願う署名活動が実施されるなど、地域においても積極的な活動が行われています。
 ちなみに、昨日、望月有田市長とお話をしますと、有田市の有権者数とほぼ同数ぐらいの約2万6700人の署名が現在のところ集まっているということをお聞きしました。つまり、全市民が操業継続を願っているということであります。
 これまで東燃ゼネラル石油和歌山工場では、70有余年の長きにわたり地域と共存共栄しながら発展してきた経緯があり、今回の難題に当たって、地域住民の東燃ゼネラル石油和歌山工場存続に対する熱き思いも1つになってあらわれているのではないかと思います。
 私は、当該法に基づく計画書提出期限は10月31日となっていますが、東燃ゼネラル石油におかれましては、実施計画の策定に当たり、ぜひそういった地元の思いをもしんしゃくして検討していただくことを切にお願いするものであります。
 もちろん、法施行の目的である地球温暖化対策やエネルギー供給者の国際競争力強化については、私はそれ自体を否定するものではありません。しかしながら、有田市は、石油コンビナートとして名高い川崎や堺市に比べ、東燃ゼネラル石油和歌山工場とともに景気にとらわれず地域を挙げた運命共同体として共生してきたこともあり、今回の基準は、働く場の喪失や経済活動の減退など、有田市経済への打撃ははかり知れなく大きいと言えるのであります。
 この判断基準を公表した国の動きは、有田市や全国至るところに存在する企業城下町の雇用や地域経済に重大な影響を及ぼすことになり、地域経済の現状が全く理解されていないと言わざるを得ません。今回、国においては、石油精製業者から提出される実施計画の指導に当たって、これらの疲弊する地方の雇用、産業面等への影響をしんしゃくするとともに、規制の緩和など運用面での弾力的な対応を講じていただくことが必要であると思います。
 そこで、今後の有田市はもとより和歌山県経済の持続的発展を願う観点から、東燃ゼネラル石油との良好な関係を保持しつつも、仁坂知事を先頭に同社に対し存続に向けた強いメッセージを送るとともに、特に所管の経済産業省に対しては、元通産官僚の先輩風を大いに吹かしていただいて、持てる人脈をすべて使いながら、ここでは特に先頭に立って要望活動を続けていただくことを切に願うものであります。
 さらに、本県では従来から県内への企業誘致を積極的に展開されてきたものの、昨今の経済のグローバル化の進展により地域間競争も激化しており、さらなる県内の既存企業への存続支援策を検討する時期に来ているのではないでしょうか。
 そこで、仁坂知事に東燃ゼネラル石油関連についてお尋ねいたします。
 1点目、今までの対応について、2点目、今後の対応について、3点目には県内企業への事業継続支援の以上の3点についてお尋ねいたします。
 また、和歌山県議会としても、このようなことで本県経済を衰退させることのないよう毅然とした態度で臨むことを期待し、今議会に意見書の提出を提案させていただくことになっております。どうか、先輩・同僚の議員の皆様方には深い御理解をいただき、御賛同くださいますようお願いを申し上げる次第でございます。
 次に、観光振興についてお尋ねいたします。
 平成16年7月に高野・熊野を中心とする紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に登録され、はや6年がたちました。登録以降、本県への観光客入り込み数は6年連続3000万人を突破しているとのことでありますが、これで満足していてはいけません。
 そこで、我々県議会では「真の観光立県を目指して」と県民総参加による観光振興を図るべく、議員提案による和歌山県観光立県推進条例を制定し、本年4月1日より施行されました。それを受け、観光振興実施行動計画「和歌山県観光振興アクションプログラム2010」が策定され、和歌山を売り出す、和歌山へ招く、和歌山でもてなす、この3本を柱に、まさに今、取り組み始めたところであります。
 本県には、世界遺産のみならず、海あり山あり川ありとすばらしい自然や温泉もあり、特に文化財や史跡等が豊富であります。それぞれの文化財や史跡には歴史や物語があり、当時をしのびながら楽しんでいただくルートづくりや、マイカーで来られる方々のためにも観光案内板の設置が必要ではないでしょうか。そのような歴史的な観光資源は県内すべての地域にあると思います。
 私の地元有田市では、熊野古道が南北に縦断し、北側は海南市下津町との境、有田市宮原町の蕪坂峠から有田川を渡り、南側は湯浅町との境である糸我峠まで約6キロメートルであります。
 皆さん方のお手元に配付さしていただいております資料は、江戸時代に紀州藩が編集した「紀伊国名所図会」であります。
 まず、資料1の蕪坂峠の王子社、そしてそこを少し下ったところに市指定文化財の爪書地蔵があり、ここには4メートル余りの自然石に阿弥陀さんと地蔵さんが線で描かれています。これは、弘法大師が爪で描いたと伝えられていることからこの名称がつけられたものと思います。
 さらに、山口王子を過ぎ、資料2のように有田川を渡り糸我町へ入ると、天平時代の右大臣藤原豊成の娘、中将姫伝説で有名な得生寺があり、毎年5月14日に会式が行われ、地元小学生25名が菩薩の面とけさや衣を身につけて二十五菩薩になって山内を練り歩きます。地元では「嫁見するなら糸我の会式」と言われ、有吉佐和子の小説「有田川」にも登場します。この会式が県の無形民俗文化財に指定されております。
 資料3には、その得生寺より糸我峠に至る道のりの図会があります。その中にも描かれていますが、得生寺のすぐ隣に糸我稲荷神社があります。この糸我稲荷神社は、今から約1360年前の第36代孝徳天皇の白雉3年、西暦652年に建てられています。伏見稲荷大社はそれから60年後の第43代元明天皇、和銅4年、西暦711年に建立されており、糸我稲荷神社は本朝最初と呼ばれ、そのあかしとして朝廷は伏見稲荷大社の地名の中に紀伊郡と入れ、伏見稲荷大社は山城国紀伊郡深草の地となっております。天皇を退いて上皇になられた方々は、熊野三山へ参拝される途中、まず糸我稲荷神社で奉幣され、次いで糸我王子に参られたそうです。糸我稲荷神社はいまだ文化財に指定されておりませんが、早速調査をし、指定していただきたいと思います。まさに一級品の文化財であるというふうに思います。
 そこから南側の山へ登りますと、湯浅町との境に糸我峠がありますが、資料4によりますと、後白河上皇はこの峠で歌会をしたと名所図会に載っており、資料5では、名産のミカンの味はすばらしく、中国の仙人しか口にすることができない金掌玉露にも勝るということで、よその地方から来た人は特に驚き、心を奪われたと記されています。後白河上皇も、「さすが紀伊の国のミカンは美味でおじゃる」と言ったかどうかわかりませんが、そのころから名産であったということであります。
 次に、資料6の県無形民俗文化財第7号に指定されている有田川のウ飼いでありますが、6月から8月と期間限定ながら夏の風物詩として県内外より多くの観光客が訪れています。このウ飼いは700年もの歴史があり、また、鵜匠がみずから川に入りウを操るといった全国唯一の徒歩漁法として有名でありますが、鵜匠の後継者不足が深刻な課題であります。鵜匠さんは、春先にシベリアから飛んでくるウミウを鳥もちで捕獲し、その後、6月の川開きまでの間にえづけや手綱、いわゆる手綱を使ってウを操る訓練やたいまつの火にならす訓練を重ね、ウ飼いが終わる9月には海へ帰します。
 大変な苦労でありますが、伝統漁法である文化財を守るために頑張らなければと鵜匠さん方は言ってくれていますが、今では4名しかおられません。我々も何とか後継者が育つような環境づくりに取り組まなければと思っているところであります。
 折しも、この9月24日、次の金曜日の午前7時55分から5分間、NHK-BSハイビジョンで「日めくり万葉集」という番組が放映されるそうであります。その番組の中で慶應義塾大学の藤原茂樹教授は、ウ飼いは有名な岐阜県長良川を初め全国13カ所で行われており、いずれも観光化され形を変えられていますが、有田川の徒歩漁法によるウ飼いは最も原型に近く、日本ウ飼い文化の中で唯一の資料であり、歴史的にも貴重であると収録時に言っておられたそうであります。このような貴重な文化財を何としても継承し、守っていかなければなりません。
 観光ウ飼いを他の議員さん方にも知ってほしいとのことから、先日、6月定例会の開会日6月7日に、私たち有田郡市選出の4名の議員が呼びかけ人となり、30名もの議員さん方の出席をいただき、観光ウ飼いを体験していただきました。御参加に対し心から感謝申し上げますとともに、その継承のために御指導、御協力のほどよろしくお願いを申し上げる次第であります。
 そこからさらに有田川を下り、国道42号線有田大橋南詰、有田警察署の南側山手のふもとに浄妙寺というのがあります。この寺は鑑真の高弟──つまり上のほうの弟子ということでありますけれども──唐の僧・如宝が大同元年、806年に開山したと伝えられ、薬師三尊、多宝塔など、国の重要文化財がたくさんある寺であります。
 また、その少し東のほうに、桜やツツジの名所でシーズンには花見客でにぎわうウエノ公園があります。実は、この公園は花見ができるといった単なる公園ではありません。無縁塔と豊龍山無縁寺が園内にあり、このためにつくられたような公園であります。
 その由来は、有田市箕島出身の興行師であった則岡豊松・ウエノ夫妻は終戦直後の混乱期、復員してきた遺骨が引き取り手のないまま放置されていると新聞で知り、祖国のために戦って一命を落としたのに、さぞ無念であろうと一念発起し、無縁塔を建立し供養することを決意。昭和25年4月に舞鶴引揚援護局外地戦没者無縁英霊270体、同年12月、舞鶴引揚援護庁元陸軍関係戦没者英霊2874体、さらに昭和27年8月、呉海軍残務処理部海軍関係無縁英霊592体、計3736体であります。これらの英霊を、千葉や京都舞鶴港、広島呉港まで赴き遺骨を持ち帰り、永遠に安置して供養すべく、私財をなげうち、有田川を見下ろす小高い山を買い取り、無縁塔を建てて納骨するとともに、豊龍山無縁寺を建て、その山に桜やツツジを植え、整備。以降、婦人の名前を冠してウエノ公園と名づけました。ちなみに、無縁塔、無縁寺での慰霊祭は無宗教であります。
 昭和31年8月には、則岡夫妻のことを伝え聞いた高松宮殿下が炎暑の中、当時の森川仙太有田市長とともに標高150メートルの山に登られ、無縁寺に参拝されました。そのときの様子が写真に残されています。その後、昭和34年に国が千鳥ヶ淵戦没者墓苑を東京都千代田区に建設されました。有田市の無縁寺より数年後であります。私たちは、このウエノ公園を「無縁さん」と呼び、また別の名を「関西の千鳥ヶ淵」とも呼称しています。
 昭和41年には厚生省の幹部が無縁塔を訪れ、夏の法要に参列し、維持費の名目で供養料、当時の5万円を供え、その当時であります鈴木善幸厚生大臣の感謝状も届いたそうです。平成15年1月には、二階俊博代議士の計らいで、当時の保守新党政調会長であった兵庫4区選出の井上喜一衆議院議員に予算委員会代表質問でこの無縁塔を取り上げていただき、当時の坂口厚生労働大臣から、「戦没者の慰霊追悼は大変大事なことでございますから、御指摘のようなことがあるとするならば、よく検討の上、対応しなければならないと思っており、検討を約束いたします」と答弁をされています。
 今後の国や県の対応に期待をしつつ、現在はNPO法人豊龍山戦没者墓苑奉仕会が中心となり、地元の方々と桜木の手入れや環境整備をしながらこの公園をお守りいただいています。
 いま1カ所、JR箕島駅北側の山、愛宕山と呼ばれていますが、ここに愛宕神社があり、珍しく神仏一体で祭られています。その神社を中心に1番から88番までほこらさんがあり、ここを愛宕八十八カ所と呼んでいます。これも歴史が古く、安土桃山時代の1590年代には既に確認されています。ちなみに、箕島駅から半日もあれば八十八カ所参りができることから、ミニ八十八カ所とも言われています。
 以上、地元有田市の文化財やそれに匹敵するような史跡等を紹介しましたが、まだまだ椒古墳やのろし跡等々、たくさんあります。しかし、こういった地域が持っている歴史や文化の財産が活用されていないというふうに思います。
 また、パンフレットやホームページ等で紹介したとしても、県内はもとより県外から来られる方々にも場所がわかりづらいというふうに思います。主要な国道や県道への案内板や説明板の設置、さらには駐車場やトイレ整備など強力に支援するとともに、文化財や史跡めぐりのルートづくりなど、これらを活用した観光振興を図りながら、ミカンや魚、かまぼこ、えびせんべいといった地元特産品の販路拡大につなげていくことが重要であるというふうに思いますが、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 また、文化財としての価値が十分あるにもかかわらず、いまだ登録されていないものについて、早急に調査し、申請をしていただきたいと思います。
 あわせて、今、本県では世界遺産追加登録をすべく調査していると聞いておりますが、先ほど述べた熊野古道やその他文化財的なものは含まれているのでしょうか。教育長にお尋ねいたします。
 次に、有田川の環境整備についてお尋ねいたします。
 有田川の有田市域内の河川整備については、一般質問の機会があるごとに毎回させていただいております。地元地域の自治会や各地区堤防強化委員会の皆さん方の熱心な陳情活動や不法耕作者への退去呼びかけなど、取り組みのおかげもあり、県当局も近年、少しずつではありますが、堤防改修や河床整正、樹木の伐採等に着手いただいており、今年度も何カ所か計画しているとお聞きし、感謝しているところであります。したがって、今回はそれらについての質問は省略し、安諦橋下流左岸側の環境整備に絞って質問をさせていただきます。
 霊験あらたかな高野山を源とする母なる川、清流有田川は、多くの自然の恵みや地域住民の生活に多大な恩恵をもたらしてくれています。また、上流から下流にかけて多方面で活用されています。
 まず、中上流域では道の駅やオートキャンプ場、川遊びのための整備がなされ、夏季には家族連れやグループでの子供たちの水遊び場やアユの釣り客などでにぎわっています。下流域では、グラウンドやテニスコートなどスポーツやレクリエーションのための整備がされており、さまざまなイベントや大会が開催され、多くの人々が参加し利用されています。
 今回、河口部安諦橋下流左岸の河川敷の整備についてでありますが、実は、私が初当選させていただいた平成15年に初めてこの件について質問をしました。当時はプレジャーボートが係留できるマリーナを整備する計画でありましたが、予定地の一部に珍しい貴重な干潟底生動物が生息しており、また環境省の日本の重要湿地500に選定されていることから、マリーナ計画を断念。現在では自然環境に配慮した河川の環境整備に主目的が変更されています。
 昨年6月議会でも同様の質問をさせていただきましたが、その内容は、子供たちの自然観察の学習の場として、また、周辺住民や隣接する有田市立病院の利用者等がリハビリや気分転換のため、安全に散策ができ、川に親しみ、憩える場として整備をしていただきたいと思います。
 また、有田地域の救急医療体制について、現在、地域医療住民アンケート調査を実施されていますが、その中で、二次救急医療機関である有田市立病院など地域の病院と三次救急医療機関である医大や日赤との連携体制の構築に取り組むこととされております。さらに、有田市立病院は災害拠点病院にも指定されていることからも、病院に隣接する河川敷に災害時や緊急時の利用をも考慮した計画をあわせて検討していただきたいと思います。
 しかしながら、安諦橋下流左岸側には相当数のプレジャーボートが不法係留されており、河川敷の整備を進める上において、これらの対策は大変重要となってきます。不法係留船の放置は、周辺環境を悪化させ、河川敷整備事業の進捗を妨げるものであります。
 さらに、プレジャーボート等の船舶は無秩序に停泊していることから、洪水や津波等による2次災害のおそれがあり、防災の観点からも不法係留船対策を進め、子供たちの遊び場、市民の憩いの場となる河川敷の整備を一日も早く完成させていただきたいと思います。これは有田市民の長年の悲願でもあります。
 不法係留船対策については、条例の施行が始まり、また沈船・廃船は順次撤去されているとのことですが、多数の係留船を撤去するにはその船を係留する施設が必要となります。これらの不法係留船対策として係留施設の整備を早急に進めていただきたいと願うものであります。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。
 1点目は、安諦橋下流左岸の河川敷の整備について、昨年6月議会で答弁をいただいた以降の進捗状況をお尋ねいたします。
 2点目は、河川敷の整備を進めるに当たり、一日も早く不法係留船対策を進める必要があると考えますが、今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 以上で、壇上からの質問は終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東燃ゼネラル石油和歌山工場については、本県の製造品出荷額ベースで約20%、有田市においては90%、さらに製造業だけじゃなくて周辺の経済に及ぼす影響などを考えますと、大変高い割合で有田市の経済、それから県の経済に貢献をしているというか、影響を及ぼす存在であるということだと思っております。一言で言うと、有田市も和歌山県も大いに依存しております。
 東燃ゼネラルの工場は全国にありますけれども、その中では、聞くところによると一番効率のいい工場だというふうに言われております。これは、逆に言うと反面、合理化が大変進んだ、それは逆に地元の方々のつらさでもあったし、それから、協力をしてこれまでともに頑張ってきたというようなものだと考えております。
 今回、エネルギー供給構造高度化法に基づきまして告示された基準の規制によりまして、今後、地域経済には大きな影響が懸念されます。私は、この基準が発表されるや否や、直ちに経済産業省から情報収集をしたり、あるいは働きかけをしたり、何とかまずこの基準の段階で有田工場だけがうまくいくようにできないかというようなことも考えて議論してまいりました。
 これは、1つには石油の確保という観点もあり、石油はだんだんいい石油が確保できなくなりますから、重質油分解装置を兼ね備えた日本の中に置いた工場のほうがいいということと、それから、日本じゅう石油精製業が設備過剰であって、これを合理化しないと共倒れになるという、そういう政策意図がこの基準の中に入っているということでございます。
 私は20年分ぐらい企業誘致を一生懸命頑張りまして、それで誘致を達成するということがこの4年間ぐらいできました。しかし、こういう大物に撤退でもされたら大変な打撃であるということにもなります。和歌山の危機だと考えております。
 先ほど言いましたように、基準に影響を与えたいと思いましたが、いろいろ東燃ゼネラルの和歌山工場あるいは本社と相談してデータをとり、何とかならんかと、こう考えましたが、どういう基準をつくっても和歌山だけ助かるというような基準はなかなかできません。
 それならば、一番効きそうな中身をそれぞれ経済産業省とか東燃ゼネラルに説得をして、あるいは情報を与えて、それで何とか有田への影響を軽くするように一生懸命考えてまいりました。ずっと経産省の職員あるいは東燃ゼネラルに直接働きかけて、こちらの社長なんかとも意見交換をしたり説得したりしている状態でございます。
 私は、この問題の難しさというのもわかっております。経済産業省のたび重なる規制緩和によって、この工場を残し、あちらをつぶせというようなことができなくなっております。それから、東燃ゼネラルはエクソンモービルという多国籍企業の支配になるところの会社であります。結局は、多国籍企業の意思決定というようなところに必然的に依存しているわけであります。
 ただ、そういう意味で決定力はなかなかだれにもないという状況でありますが、それぞれどういう説得をすると一番効果があり得るか、そういうことについて必死で考えて、現在努力をしているところであります。
 そういう経験、戦略、あるいはこれまでのノウハウ、人脈、そういうことを考えますと、この努力をなし得るのは私しかないと思っております。有田市を寂れさせないように必死の努力をして頑張っていきたい、それが私に課せられた最大の義務だ、和歌山の危機を救うための手段だというふうに考えております。
 さらに、その議論の中でこの存続の役に立つような県の政策、あるいは県の政策でもって存続にとって好ましくないようなそういう政策、そういうものがありましたら直ちに直すという用意はあるし、その旨を申し上げているところでございます。
 それから、さらに、東燃ゼネラルに限らず、県内企業はすべて大事な企業でございます。したがって、その企業が困っていて、和歌山にいづらいなあとか、いたくないなあというようなことになっては大変でございますので、こういう点についても情報収集はきちんとして、これまでもそうしてきましたけれども、県の政策について、油断によって例えば企業が出ていくというようなことがあってはならないということで、全力を挙げて頑張っているところでございます。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 文化財や史跡等を活用した観光振興についてでございますが、有田市には、議員御指摘のとおり、県の無形民俗文化財に指定されている有田川のウ飼いを初め、日本最古の稲荷神社とも言われる糸我稲荷神社、中将姫伝説で有名な得生寺、宮原から湯浅に向けミカン畑の中を行く熊野古道など、歴史文化の薫る観光資源が豊富に存在しております。さらに、桜やツツジの季節には大勢の花見客でにぎわうウエノ公園、タチウオの漁獲量日本一を誇る箕島漁港など、自然やグルメの魅力も有しています。
 県では、こうした豊かな観光資源を生かして多くの観光客に有田市を訪れていただけるよう、地元有田市や有田市観光協会等と連携しながら、旅行会社に対する商品造成の働きかけを初め、マスコミ取材ツアーや高速道路におけるキャンペーンの実施、県観光連盟ホームページによる情報発信等に取り組んでいるところです。
 また、観光案内板や公衆トイレ等につきましては、観光地の利便性、快適性を高める上で必要不可欠な施設であり、県としましてもその整備を支援していく考えであります。
 今後とも引き続き、和歌山県観光立県推進条例に基づき、有田市を初め本県のさらなる観光振興、ひいては県経済の発展に向け、地域と協働して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 有田川の環境整備についてのお尋ねでございますが、まず安諦橋下流左岸側の河川敷整備につきましては、昨年度、有田市や学識者と協議しながら河川敷の具体的な整備計画を策定いたしました。
 本計画では、安諦橋下流左岸約700メートルの区間につきまして、干潟の保全を考慮しながら、市立病院に来院される方々が車いすでも利用できるスロープや遊歩道のほか、災害や緊急時に利用できる芝生広場や駐車場などを整備することとしております。今年度は、下流側から遊歩道などの整備に着手するとともに、付近の沈廃船や不法耕作地の撤去を進めてまいりたいと考えております。
 次に、不法係留船対策については、これまでに係留施設候補地の比較検討を行い、現在、候補地に洪水や高潮が来た場合どういう影響を受けるかなどについて、学識者や有田市の意見聴取を行っているところです。今後、係留施設整備に早期に着工できるよう、係留施設計画案を取りまとめ次第、速やかに地元関係者で構成された有田川プレジャーボート対策等協議会に諮ることとしております。
 有田川の環境整備のため、安諦橋下流左岸側の河川敷整備と係留施設整備を初めとする不法係留船対策の進捗が目に見えるよう、切れ目なく進めてまいる所存でございます。
 以上です。
○副議長(山下直也君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 有田市内の未指定文化財の指定促進につきまして、御指摘のとおり、有田市内には数多くの未指定文化財がございますが、文化財指定は市・県・国と段階を置いての指定となっております。文化財の価値を調査し、指定を進めていくことは文化財保護の観点から重要でありますので、地元教育委員会と協議を行ってまいります。
 次に、世界遺産の追加登録に関しましては、史跡や建造物の国指定が必要でございます。そのため、熊野参詣道に関しては、ことし8月までに和歌山市から田辺市までの紀伊路、田辺市から那智勝浦町までの大辺路と田辺市内の中辺路の調査を行いました。
 有田市内に残る参詣道は蕪坂と糸我峠があり、地元教育委員会と協力して文化財指定の作業を進めていきたいと考えております。
 また、王子社や御紹介の糸我稲荷神社を初め関連文化財につきましては、学術調査が実施されておりませんので、まずは学術調査を実施してまいります。
 今後は、検討委員会を設置し文化財指定を計画的に進め、世界遺産への追加登録につなげられるよう図ってまいります。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 4番浅井修一郎君。
○浅井修一郎君 ただいま、それぞれ答弁をいただきました。
 1点、東燃関連についてでありますけれども、先ほども申しましたとおり、連合自治会が今、各家庭を回っていただいて嘆願書に署名をいただいていると。それがちょうどきょうあすにまとめる予定になっているというふうに聞いてるんですけども、有権者3万そこそこの市の中で──有権者2万7000弱でございます。その中で2万6700以上も集まっているということは、本当に市民の総意として何としても残っていただきたい。
 ただ、計画書の提出期限が10月31日というふうになっておりますので、何らかの、経産省の緩和措置とかそういった優遇されるような措置が出ないと、東燃さんも計画書を出しにくいんではないか。それまでにも我々も意見書等を提出しながらやりますけれども、ひとつ知事は全力を挙げてこの問題に取り組んでいただきたいことをお願い申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浅井修一郎君の質問が終了いたしました。

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