平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第5号(全文)


県議会の活動

平成22年9月
和歌山県議会定例会会議録
第5号
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議事日程 第5号
 平成22年9月21日(火曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第102号から議案第121号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
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会議に付した事件
 第1 議案第102号から議案第121号まで(質疑)
 第2 一般質問
 第3 議案の付託
 第4 請願の付託
 第5 休会決定の件
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出席議員(42人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
 16番 欠員
 28番 欠員
 35番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      前硲健作
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     西上邦雄
 商工観光労働部長   岡本賢司
 農林水産部長     阪中栄一
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      神田泰仁
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    大桑いく嗣
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 議事課主事      的塲健司
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       中井祥之
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  午前10時1分開議
○副議長(山下直也君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第102号から議案第121号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 4番浅井修一郎君。
  〔浅井修一郎君、登壇〕(拍手)
○浅井修一郎君 おはようございます。
 本日は一般質問の最終日、トップバッターをいきたいと思います。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い一般質問をさせていただきますが、まず本題に入る前に、少し所感を述べたいと思います。
 思えば、サブプライムローン問題に端を発したアメリカ経済の混乱は世界同時不況へと広がり、リーマンショック、ドバイショックなど、世界経済の先行きは不透明なままであります。
 そうした中、昨年9月に民主党政権が誕生しました。しかし、鳩山内閣は政治と金の問題で急速に支持率を下げ、わずか10カ月ほどであっけなく退陣してしまいました。その後を受けた菅内閣は、直後の参議院選で大敗を喫したことは皆さんも御承知のとおりであります。
 加えて、先日行われた民主党代表選挙が2週間にわたって行われ、菅、小沢両氏による選挙戦が展開されました。両陣営とも所属の国会議員や地方議員、党員・サポーターの取り込みに狂奔する姿が連日マスコミで報道されておりました。私はこのお2人の候補者の言動を注意深く見守っておりましたが、選挙戦を通じてお2人の口からは、この国をどうしようとしているのか、山積する諸問題にどう取り組むのかといった政治論議はほとんど聞かれず、残念に思ったのは私一人ではないと思います。
 折しも、異常とも言える円高の問題が持ち上がりましたが、内閣による有効、適切な対策が行われないまま推移し、多くの経済評論家や専門家からはごうごうたる非難の声が沸き起こったのであります。やっと日本銀行による為替介入が行われたのがつい先日の9月15日で、少し円安ドル高に戻ったのではありますが、私に言わせれば遅きに失したと言いたいところであります。
 新しく発足した菅内閣には、喫緊の課題である景気の回復、雇用の促進、日本経済の安定と発展に全力で取り組み、国民の信頼を取り戻すために頑張っていただきたいと多くの国民が期待をしていると思いますが、どうでしょうか。私自身、余り期待はしておりません。
 以上、前ぶれが長くなりましたが、本題に入らせていただきます。
 まず初めに、エネルギー供給構造高度化法制定に伴う東燃ゼネラル石油の対応等による本県有田市への影響についてであります。
 この9月初旬、本県の人口が100万人を切ったとの報道がなされました。私の住む有田市も、昭和55年の3万5683人をピークに下降線をたどり、本年4月の推計人口は3万337人となり、今後も少子高齢化による人口減少が進展するものと予測されます。
 そのような有田市でありますが、豊かな自然や豊富な文化財に恵まれ、日本一のミカンやタチウオの1次産業とあわせて、東燃ゼネラル石油和歌山工場があることから、総称してミカンと魚とオイルの町とも呼ばれています。そのオイルに激震が走ったのは、7月6日付「日本経済新聞」に掲載された衝撃的な記事でありました。
 それは、昨年8月、今後の国内エネルギー需要の減少や地球温暖化対策への対応、さらにはエネルギー供給事業者の世界的な競争力強化を目的として施行されましたエネルギー供給構造高度化法に関する内容でありました。
 経済産業省は、その高度化法を受け、本年7月5日付で原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断基準を公表し、3年後の年度末であります平成26年3月31日までに基準を満たす計画書の策定を義務づけ、本年10月31日まで提出するよう求めています。
 私には化学的な知識はありませんけれども、記事の内容を見て愕然といたしました。今回告示された原油等の有効な利用に関する石油精製業者の判断基準に対して、東燃ゼネラル石油の場合は、和歌山工場に約500億円かけて新たな重質油分解装置を設置するのか、あるいは縮小するのか、最悪の場合は撤退も予想される内容であったからであります。
 では、エネルギー供給構造高度化法とは何ぞやと言いますと、エネルギー企業に対して原油など化石エネルギーの有効利用と非化石エネルギーの利用を促す法律で、石油会社には、重油からガソリンや軽油など付加価値の高い製品を精製できるようにするため、重質油分解装置の装備率の向上を求めるとのことでありますが、専門家の方は、この法そのものには理解ができるところではあるが、基準の設定や数値の算出方法には疑問があると言っています。また、この不景気に1つの工場に500億も設備投資する企業が果たしてどれだけあるだろう、国の本当のねらいは石油業界の再編のための圧力だろうとも言っておられます。
 東燃ゼネラル石油和歌山工場は、戦時中に当時の東燃が建設。米軍機による爆撃を受け操業を停止するが、戦後工場を復旧し、次第に増設しながら発展してきました。工場用地は75万坪と広大であります。2000年には米国資本のゼネラル石油が合併し、東燃ゼネラル石油となりました。現在、日量17万バレルの石油精製装置と多数の備蓄用タンクを擁しています。
 この和歌山工場の有田市経済に占める割合を見てみますと、東燃社員が約450名、関連会社従業員が約900名と多数が雇用されており、その家族を含めると、有田市のみならず近隣の海南市や有田川町にも与える影響が大きく、ひいては本県経済への影響も大きいものと思われます。
 税収面から見ても、9月11日付の「和歌山特報」にも掲載されておりましたが、平成20年度の法人県民税が4億2000万円、県事業税が20億1600万円であり、有田市の市民税は過去5年を平均すると年3億円、固定資産税年6億円と、市の税収入の25%にも及ぶと言われています。
 以上のことから、東燃がくしゃみをすれば有田市が風邪を引く、東燃が風邪を引けば有田市は肺炎を起こすと言われるほど影響力が大きいということであります。
 本案件について、知事は、この情報を察知するや否や、所管である経済産業省や東燃ゼネラル石油本社との調整など、有田市との連携のもと、地域経済への影響を最優先に考え速やかに対応いただいており、私としては大いに感謝しているところであります。
 また、地元有田市においても、市長が中心となって市議会、商工会議所、連合自治会や和歌山工場協力会社とともに経済産業省や東燃ゼネラル石油本社への嘆願書を提出するとともに、現在も自治会が中心となって地域住民に対し操業継続を願う署名活動が実施されるなど、地域においても積極的な活動が行われています。
 ちなみに、昨日、望月有田市長とお話をしますと、有田市の有権者数とほぼ同数ぐらいの約2万6700人の署名が現在のところ集まっているということをお聞きしました。つまり、全市民が操業継続を願っているということであります。
 これまで東燃ゼネラル石油和歌山工場では、70有余年の長きにわたり地域と共存共栄しながら発展してきた経緯があり、今回の難題に当たって、地域住民の東燃ゼネラル石油和歌山工場存続に対する熱き思いも1つになってあらわれているのではないかと思います。
 私は、当該法に基づく計画書提出期限は10月31日となっていますが、東燃ゼネラル石油におかれましては、実施計画の策定に当たり、ぜひそういった地元の思いをもしんしゃくして検討していただくことを切にお願いするものであります。
 もちろん、法施行の目的である地球温暖化対策やエネルギー供給者の国際競争力強化については、私はそれ自体を否定するものではありません。しかしながら、有田市は、石油コンビナートとして名高い川崎や堺市に比べ、東燃ゼネラル石油和歌山工場とともに景気にとらわれず地域を挙げた運命共同体として共生してきたこともあり、今回の基準は、働く場の喪失や経済活動の減退など、有田市経済への打撃ははかり知れなく大きいと言えるのであります。
 この判断基準を公表した国の動きは、有田市や全国至るところに存在する企業城下町の雇用や地域経済に重大な影響を及ぼすことになり、地域経済の現状が全く理解されていないと言わざるを得ません。今回、国においては、石油精製業者から提出される実施計画の指導に当たって、これらの疲弊する地方の雇用、産業面等への影響をしんしゃくするとともに、規制の緩和など運用面での弾力的な対応を講じていただくことが必要であると思います。
 そこで、今後の有田市はもとより和歌山県経済の持続的発展を願う観点から、東燃ゼネラル石油との良好な関係を保持しつつも、仁坂知事を先頭に同社に対し存続に向けた強いメッセージを送るとともに、特に所管の経済産業省に対しては、元通産官僚の先輩風を大いに吹かしていただいて、持てる人脈をすべて使いながら、ここでは特に先頭に立って要望活動を続けていただくことを切に願うものであります。
 さらに、本県では従来から県内への企業誘致を積極的に展開されてきたものの、昨今の経済のグローバル化の進展により地域間競争も激化しており、さらなる県内の既存企業への存続支援策を検討する時期に来ているのではないでしょうか。
 そこで、仁坂知事に東燃ゼネラル石油関連についてお尋ねいたします。
 1点目、今までの対応について、2点目、今後の対応について、3点目には県内企業への事業継続支援の以上の3点についてお尋ねいたします。
 また、和歌山県議会としても、このようなことで本県経済を衰退させることのないよう毅然とした態度で臨むことを期待し、今議会に意見書の提出を提案させていただくことになっております。どうか、先輩・同僚の議員の皆様方には深い御理解をいただき、御賛同くださいますようお願いを申し上げる次第でございます。
 次に、観光振興についてお尋ねいたします。
 平成16年7月に高野・熊野を中心とする紀伊山地の霊場と参詣道が世界遺産に登録され、はや6年がたちました。登録以降、本県への観光客入り込み数は6年連続3000万人を突破しているとのことでありますが、これで満足していてはいけません。
 そこで、我々県議会では「真の観光立県を目指して」と県民総参加による観光振興を図るべく、議員提案による和歌山県観光立県推進条例を制定し、本年4月1日より施行されました。それを受け、観光振興実施行動計画「和歌山県観光振興アクションプログラム2010」が策定され、和歌山を売り出す、和歌山へ招く、和歌山でもてなす、この3本を柱に、まさに今、取り組み始めたところであります。
 本県には、世界遺産のみならず、海あり山あり川ありとすばらしい自然や温泉もあり、特に文化財や史跡等が豊富であります。それぞれの文化財や史跡には歴史や物語があり、当時をしのびながら楽しんでいただくルートづくりや、マイカーで来られる方々のためにも観光案内板の設置が必要ではないでしょうか。そのような歴史的な観光資源は県内すべての地域にあると思います。
 私の地元有田市では、熊野古道が南北に縦断し、北側は海南市下津町との境、有田市宮原町の蕪坂峠から有田川を渡り、南側は湯浅町との境である糸我峠まで約6キロメートルであります。
 皆さん方のお手元に配付さしていただいております資料は、江戸時代に紀州藩が編集した「紀伊国名所図会」であります。
 まず、資料1の蕪坂峠の王子社、そしてそこを少し下ったところに市指定文化財の爪書地蔵があり、ここには4メートル余りの自然石に阿弥陀さんと地蔵さんが線で描かれています。これは、弘法大師が爪で描いたと伝えられていることからこの名称がつけられたものと思います。
 さらに、山口王子を過ぎ、資料2のように有田川を渡り糸我町へ入ると、天平時代の右大臣藤原豊成の娘、中将姫伝説で有名な得生寺があり、毎年5月14日に会式が行われ、地元小学生25名が菩薩の面とけさや衣を身につけて二十五菩薩になって山内を練り歩きます。地元では「嫁見するなら糸我の会式」と言われ、有吉佐和子の小説「有田川」にも登場します。この会式が県の無形民俗文化財に指定されております。
 資料3には、その得生寺より糸我峠に至る道のりの図会があります。その中にも描かれていますが、得生寺のすぐ隣に糸我稲荷神社があります。この糸我稲荷神社は、今から約1360年前の第36代孝徳天皇の白雉3年、西暦652年に建てられています。伏見稲荷大社はそれから60年後の第43代元明天皇、和銅4年、西暦711年に建立されており、糸我稲荷神社は本朝最初と呼ばれ、そのあかしとして朝廷は伏見稲荷大社の地名の中に紀伊郡と入れ、伏見稲荷大社は山城国紀伊郡深草の地となっております。天皇を退いて上皇になられた方々は、熊野三山へ参拝される途中、まず糸我稲荷神社で奉幣され、次いで糸我王子に参られたそうです。糸我稲荷神社はいまだ文化財に指定されておりませんが、早速調査をし、指定していただきたいと思います。まさに一級品の文化財であるというふうに思います。
 そこから南側の山へ登りますと、湯浅町との境に糸我峠がありますが、資料4によりますと、後白河上皇はこの峠で歌会をしたと名所図会に載っており、資料5では、名産のミカンの味はすばらしく、中国の仙人しか口にすることができない金掌玉露にも勝るということで、よその地方から来た人は特に驚き、心を奪われたと記されています。後白河上皇も、「さすが紀伊の国のミカンは美味でおじゃる」と言ったかどうかわかりませんが、そのころから名産であったということであります。
 次に、資料6の県無形民俗文化財第7号に指定されている有田川のウ飼いでありますが、6月から8月と期間限定ながら夏の風物詩として県内外より多くの観光客が訪れています。このウ飼いは700年もの歴史があり、また、鵜匠がみずから川に入りウを操るといった全国唯一の徒歩漁法として有名でありますが、鵜匠の後継者不足が深刻な課題であります。鵜匠さんは、春先にシベリアから飛んでくるウミウを鳥もちで捕獲し、その後、6月の川開きまでの間にえづけや手綱、いわゆる手綱を使ってウを操る訓練やたいまつの火にならす訓練を重ね、ウ飼いが終わる9月には海へ帰します。
 大変な苦労でありますが、伝統漁法である文化財を守るために頑張らなければと鵜匠さん方は言ってくれていますが、今では4名しかおられません。我々も何とか後継者が育つような環境づくりに取り組まなければと思っているところであります。
 折しも、この9月24日、次の金曜日の午前7時55分から5分間、NHK-BSハイビジョンで「日めくり万葉集」という番組が放映されるそうであります。その番組の中で慶應義塾大学の藤原茂樹教授は、ウ飼いは有名な岐阜県長良川を初め全国13カ所で行われており、いずれも観光化され形を変えられていますが、有田川の徒歩漁法によるウ飼いは最も原型に近く、日本ウ飼い文化の中で唯一の資料であり、歴史的にも貴重であると収録時に言っておられたそうであります。このような貴重な文化財を何としても継承し、守っていかなければなりません。
 観光ウ飼いを他の議員さん方にも知ってほしいとのことから、先日、6月定例会の開会日6月7日に、私たち有田郡市選出の4名の議員が呼びかけ人となり、30名もの議員さん方の出席をいただき、観光ウ飼いを体験していただきました。御参加に対し心から感謝申し上げますとともに、その継承のために御指導、御協力のほどよろしくお願いを申し上げる次第であります。
 そこからさらに有田川を下り、国道42号線有田大橋南詰、有田警察署の南側山手のふもとに浄妙寺というのがあります。この寺は鑑真の高弟──つまり上のほうの弟子ということでありますけれども──唐の僧・如宝が大同元年、806年に開山したと伝えられ、薬師三尊、多宝塔など、国の重要文化財がたくさんある寺であります。
 また、その少し東のほうに、桜やツツジの名所でシーズンには花見客でにぎわうウエノ公園があります。実は、この公園は花見ができるといった単なる公園ではありません。無縁塔と豊龍山無縁寺が園内にあり、このためにつくられたような公園であります。
 その由来は、有田市箕島出身の興行師であった則岡豊松・ウエノ夫妻は終戦直後の混乱期、復員してきた遺骨が引き取り手のないまま放置されていると新聞で知り、祖国のために戦って一命を落としたのに、さぞ無念であろうと一念発起し、無縁塔を建立し供養することを決意。昭和25年4月に舞鶴引揚援護局外地戦没者無縁英霊270体、同年12月、舞鶴引揚援護庁元陸軍関係戦没者英霊2874体、さらに昭和27年8月、呉海軍残務処理部海軍関係無縁英霊592体、計3736体であります。これらの英霊を、千葉や京都舞鶴港、広島呉港まで赴き遺骨を持ち帰り、永遠に安置して供養すべく、私財をなげうち、有田川を見下ろす小高い山を買い取り、無縁塔を建てて納骨するとともに、豊龍山無縁寺を建て、その山に桜やツツジを植え、整備。以降、婦人の名前を冠してウエノ公園と名づけました。ちなみに、無縁塔、無縁寺での慰霊祭は無宗教であります。
 昭和31年8月には、則岡夫妻のことを伝え聞いた高松宮殿下が炎暑の中、当時の森川仙太有田市長とともに標高150メートルの山に登られ、無縁寺に参拝されました。そのときの様子が写真に残されています。その後、昭和34年に国が千鳥ヶ淵戦没者墓苑を東京都千代田区に建設されました。有田市の無縁寺より数年後であります。私たちは、このウエノ公園を「無縁さん」と呼び、また別の名を「関西の千鳥ヶ淵」とも呼称しています。
 昭和41年には厚生省の幹部が無縁塔を訪れ、夏の法要に参列し、維持費の名目で供養料、当時の5万円を供え、その当時であります鈴木善幸厚生大臣の感謝状も届いたそうです。平成15年1月には、二階俊博代議士の計らいで、当時の保守新党政調会長であった兵庫4区選出の井上喜一衆議院議員に予算委員会代表質問でこの無縁塔を取り上げていただき、当時の坂口厚生労働大臣から、「戦没者の慰霊追悼は大変大事なことでございますから、御指摘のようなことがあるとするならば、よく検討の上、対応しなければならないと思っており、検討を約束いたします」と答弁をされています。
 今後の国や県の対応に期待をしつつ、現在はNPO法人豊龍山戦没者墓苑奉仕会が中心となり、地元の方々と桜木の手入れや環境整備をしながらこの公園をお守りいただいています。
 いま1カ所、JR箕島駅北側の山、愛宕山と呼ばれていますが、ここに愛宕神社があり、珍しく神仏一体で祭られています。その神社を中心に1番から88番までほこらさんがあり、ここを愛宕八十八カ所と呼んでいます。これも歴史が古く、安土桃山時代の1590年代には既に確認されています。ちなみに、箕島駅から半日もあれば八十八カ所参りができることから、ミニ八十八カ所とも言われています。
 以上、地元有田市の文化財やそれに匹敵するような史跡等を紹介しましたが、まだまだ椒古墳やのろし跡等々、たくさんあります。しかし、こういった地域が持っている歴史や文化の財産が活用されていないというふうに思います。
 また、パンフレットやホームページ等で紹介したとしても、県内はもとより県外から来られる方々にも場所がわかりづらいというふうに思います。主要な国道や県道への案内板や説明板の設置、さらには駐車場やトイレ整備など強力に支援するとともに、文化財や史跡めぐりのルートづくりなど、これらを活用した観光振興を図りながら、ミカンや魚、かまぼこ、えびせんべいといった地元特産品の販路拡大につなげていくことが重要であるというふうに思いますが、商工観光労働部長にお尋ねいたします。
 また、文化財としての価値が十分あるにもかかわらず、いまだ登録されていないものについて、早急に調査し、申請をしていただきたいと思います。
 あわせて、今、本県では世界遺産追加登録をすべく調査していると聞いておりますが、先ほど述べた熊野古道やその他文化財的なものは含まれているのでしょうか。教育長にお尋ねいたします。
 次に、有田川の環境整備についてお尋ねいたします。
 有田川の有田市域内の河川整備については、一般質問の機会があるごとに毎回させていただいております。地元地域の自治会や各地区堤防強化委員会の皆さん方の熱心な陳情活動や不法耕作者への退去呼びかけなど、取り組みのおかげもあり、県当局も近年、少しずつではありますが、堤防改修や河床整正、樹木の伐採等に着手いただいており、今年度も何カ所か計画しているとお聞きし、感謝しているところであります。したがって、今回はそれらについての質問は省略し、安諦橋下流左岸側の環境整備に絞って質問をさせていただきます。
 霊験あらたかな高野山を源とする母なる川、清流有田川は、多くの自然の恵みや地域住民の生活に多大な恩恵をもたらしてくれています。また、上流から下流にかけて多方面で活用されています。
 まず、中上流域では道の駅やオートキャンプ場、川遊びのための整備がなされ、夏季には家族連れやグループでの子供たちの水遊び場やアユの釣り客などでにぎわっています。下流域では、グラウンドやテニスコートなどスポーツやレクリエーションのための整備がされており、さまざまなイベントや大会が開催され、多くの人々が参加し利用されています。
 今回、河口部安諦橋下流左岸の河川敷の整備についてでありますが、実は、私が初当選させていただいた平成15年に初めてこの件について質問をしました。当時はプレジャーボートが係留できるマリーナを整備する計画でありましたが、予定地の一部に珍しい貴重な干潟底生動物が生息しており、また環境省の日本の重要湿地500に選定されていることから、マリーナ計画を断念。現在では自然環境に配慮した河川の環境整備に主目的が変更されています。
 昨年6月議会でも同様の質問をさせていただきましたが、その内容は、子供たちの自然観察の学習の場として、また、周辺住民や隣接する有田市立病院の利用者等がリハビリや気分転換のため、安全に散策ができ、川に親しみ、憩える場として整備をしていただきたいと思います。
 また、有田地域の救急医療体制について、現在、地域医療住民アンケート調査を実施されていますが、その中で、二次救急医療機関である有田市立病院など地域の病院と三次救急医療機関である医大や日赤との連携体制の構築に取り組むこととされております。さらに、有田市立病院は災害拠点病院にも指定されていることからも、病院に隣接する河川敷に災害時や緊急時の利用をも考慮した計画をあわせて検討していただきたいと思います。
 しかしながら、安諦橋下流左岸側には相当数のプレジャーボートが不法係留されており、河川敷の整備を進める上において、これらの対策は大変重要となってきます。不法係留船の放置は、周辺環境を悪化させ、河川敷整備事業の進捗を妨げるものであります。
 さらに、プレジャーボート等の船舶は無秩序に停泊していることから、洪水や津波等による2次災害のおそれがあり、防災の観点からも不法係留船対策を進め、子供たちの遊び場、市民の憩いの場となる河川敷の整備を一日も早く完成させていただきたいと思います。これは有田市民の長年の悲願でもあります。
 不法係留船対策については、条例の施行が始まり、また沈船・廃船は順次撤去されているとのことですが、多数の係留船を撤去するにはその船を係留する施設が必要となります。これらの不法係留船対策として係留施設の整備を早急に進めていただきたいと願うものであります。
 そこで、県土整備部長にお尋ねします。
 1点目は、安諦橋下流左岸の河川敷の整備について、昨年6月議会で答弁をいただいた以降の進捗状況をお尋ねいたします。
 2点目は、河川敷の整備を進めるに当たり、一日も早く不法係留船対策を進める必要があると考えますが、今後の取り組みについてお尋ねいたします。
 以上で、壇上からの質問は終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの浅井修一郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 東燃ゼネラル石油和歌山工場については、本県の製造品出荷額ベースで約20%、有田市においては90%、さらに製造業だけじゃなくて周辺の経済に及ぼす影響などを考えますと、大変高い割合で有田市の経済、それから県の経済に貢献をしているというか、影響を及ぼす存在であるということだと思っております。一言で言うと、有田市も和歌山県も大いに依存しております。
 東燃ゼネラルの工場は全国にありますけれども、その中では、聞くところによると一番効率のいい工場だというふうに言われております。これは、逆に言うと反面、合理化が大変進んだ、それは逆に地元の方々のつらさでもあったし、それから、協力をしてこれまでともに頑張ってきたというようなものだと考えております。
 今回、エネルギー供給構造高度化法に基づきまして告示された基準の規制によりまして、今後、地域経済には大きな影響が懸念されます。私は、この基準が発表されるや否や、直ちに経済産業省から情報収集をしたり、あるいは働きかけをしたり、何とかまずこの基準の段階で有田工場だけがうまくいくようにできないかというようなことも考えて議論してまいりました。
 これは、1つには石油の確保という観点もあり、石油はだんだんいい石油が確保できなくなりますから、重質油分解装置を兼ね備えた日本の中に置いた工場のほうがいいということと、それから、日本じゅう石油精製業が設備過剰であって、これを合理化しないと共倒れになるという、そういう政策意図がこの基準の中に入っているということでございます。
 私は20年分ぐらい企業誘致を一生懸命頑張りまして、それで誘致を達成するということがこの4年間ぐらいできました。しかし、こういう大物に撤退でもされたら大変な打撃であるということにもなります。和歌山の危機だと考えております。
 先ほど言いましたように、基準に影響を与えたいと思いましたが、いろいろ東燃ゼネラルの和歌山工場あるいは本社と相談してデータをとり、何とかならんかと、こう考えましたが、どういう基準をつくっても和歌山だけ助かるというような基準はなかなかできません。
 それならば、一番効きそうな中身をそれぞれ経済産業省とか東燃ゼネラルに説得をして、あるいは情報を与えて、それで何とか有田への影響を軽くするように一生懸命考えてまいりました。ずっと経産省の職員あるいは東燃ゼネラルに直接働きかけて、こちらの社長なんかとも意見交換をしたり説得したりしている状態でございます。
 私は、この問題の難しさというのもわかっております。経済産業省のたび重なる規制緩和によって、この工場を残し、あちらをつぶせというようなことができなくなっております。それから、東燃ゼネラルはエクソンモービルという多国籍企業の支配になるところの会社であります。結局は、多国籍企業の意思決定というようなところに必然的に依存しているわけであります。
 ただ、そういう意味で決定力はなかなかだれにもないという状況でありますが、それぞれどういう説得をすると一番効果があり得るか、そういうことについて必死で考えて、現在努力をしているところであります。
 そういう経験、戦略、あるいはこれまでのノウハウ、人脈、そういうことを考えますと、この努力をなし得るのは私しかないと思っております。有田市を寂れさせないように必死の努力をして頑張っていきたい、それが私に課せられた最大の義務だ、和歌山の危機を救うための手段だというふうに考えております。
 さらに、その議論の中でこの存続の役に立つような県の政策、あるいは県の政策でもって存続にとって好ましくないようなそういう政策、そういうものがありましたら直ちに直すという用意はあるし、その旨を申し上げているところでございます。
 それから、さらに、東燃ゼネラルに限らず、県内企業はすべて大事な企業でございます。したがって、その企業が困っていて、和歌山にいづらいなあとか、いたくないなあというようなことになっては大変でございますので、こういう点についても情報収集はきちんとして、これまでもそうしてきましたけれども、県の政策について、油断によって例えば企業が出ていくというようなことがあってはならないということで、全力を挙げて頑張っているところでございます。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 文化財や史跡等を活用した観光振興についてでございますが、有田市には、議員御指摘のとおり、県の無形民俗文化財に指定されている有田川のウ飼いを初め、日本最古の稲荷神社とも言われる糸我稲荷神社、中将姫伝説で有名な得生寺、宮原から湯浅に向けミカン畑の中を行く熊野古道など、歴史文化の薫る観光資源が豊富に存在しております。さらに、桜やツツジの季節には大勢の花見客でにぎわうウエノ公園、タチウオの漁獲量日本一を誇る箕島漁港など、自然やグルメの魅力も有しています。
 県では、こうした豊かな観光資源を生かして多くの観光客に有田市を訪れていただけるよう、地元有田市や有田市観光協会等と連携しながら、旅行会社に対する商品造成の働きかけを初め、マスコミ取材ツアーや高速道路におけるキャンペーンの実施、県観光連盟ホームページによる情報発信等に取り組んでいるところです。
 また、観光案内板や公衆トイレ等につきましては、観光地の利便性、快適性を高める上で必要不可欠な施設であり、県としましてもその整備を支援していく考えであります。
 今後とも引き続き、和歌山県観光立県推進条例に基づき、有田市を初め本県のさらなる観光振興、ひいては県経済の発展に向け、地域と協働して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 有田川の環境整備についてのお尋ねでございますが、まず安諦橋下流左岸側の河川敷整備につきましては、昨年度、有田市や学識者と協議しながら河川敷の具体的な整備計画を策定いたしました。
 本計画では、安諦橋下流左岸約700メートルの区間につきまして、干潟の保全を考慮しながら、市立病院に来院される方々が車いすでも利用できるスロープや遊歩道のほか、災害や緊急時に利用できる芝生広場や駐車場などを整備することとしております。今年度は、下流側から遊歩道などの整備に着手するとともに、付近の沈廃船や不法耕作地の撤去を進めてまいりたいと考えております。
 次に、不法係留船対策については、これまでに係留施設候補地の比較検討を行い、現在、候補地に洪水や高潮が来た場合どういう影響を受けるかなどについて、学識者や有田市の意見聴取を行っているところです。今後、係留施設整備に早期に着工できるよう、係留施設計画案を取りまとめ次第、速やかに地元関係者で構成された有田川プレジャーボート対策等協議会に諮ることとしております。
 有田川の環境整備のため、安諦橋下流左岸側の河川敷整備と係留施設整備を初めとする不法係留船対策の進捗が目に見えるよう、切れ目なく進めてまいる所存でございます。
 以上です。
○副議長(山下直也君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 有田市内の未指定文化財の指定促進につきまして、御指摘のとおり、有田市内には数多くの未指定文化財がございますが、文化財指定は市・県・国と段階を置いての指定となっております。文化財の価値を調査し、指定を進めていくことは文化財保護の観点から重要でありますので、地元教育委員会と協議を行ってまいります。
 次に、世界遺産の追加登録に関しましては、史跡や建造物の国指定が必要でございます。そのため、熊野参詣道に関しては、ことし8月までに和歌山市から田辺市までの紀伊路、田辺市から那智勝浦町までの大辺路と田辺市内の中辺路の調査を行いました。
 有田市内に残る参詣道は蕪坂と糸我峠があり、地元教育委員会と協力して文化財指定の作業を進めていきたいと考えております。
 また、王子社や御紹介の糸我稲荷神社を初め関連文化財につきましては、学術調査が実施されておりませんので、まずは学術調査を実施してまいります。
 今後は、検討委員会を設置し文化財指定を計画的に進め、世界遺産への追加登録につなげられるよう図ってまいります。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 4番浅井修一郎君。
○浅井修一郎君 ただいま、それぞれ答弁をいただきました。
 1点、東燃関連についてでありますけれども、先ほども申しましたとおり、連合自治会が今、各家庭を回っていただいて嘆願書に署名をいただいていると。それがちょうどきょうあすにまとめる予定になっているというふうに聞いてるんですけども、有権者3万そこそこの市の中で──有権者2万7000弱でございます。その中で2万6700以上も集まっているということは、本当に市民の総意として何としても残っていただきたい。
 ただ、計画書の提出期限が10月31日というふうになっておりますので、何らかの、経産省の緩和措置とかそういった優遇されるような措置が出ないと、東燃さんも計画書を出しにくいんではないか。それまでにも我々も意見書等を提出しながらやりますけれども、ひとつ知事は全力を挙げてこの問題に取り組んでいただきたいことをお願い申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で浅井修一郎君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 34番原 日出夫君。
  〔原 日出夫君、登壇〕(拍手)
○原 日出夫君 議長のお許しを得ましたので、質問に入りたいと思います。
 まず、第1点の知事は和歌山をどうするというテーマです。
 この質問については、既に向井議員から質問されました。私は、県民から素直な意見、質問として実は投げかけられました。それは、仁坂知事の4年間は端的に言って何をしてきたんですか、それによって和歌山は少しでもどう変わったのですか、次の4年間の仁坂カラーは何ですか、4年間で具体的に、マニフェストでなくても和歌山をこうするんだ、これだけは4年間で実現したいというのは何でしょうかと私に問われました。私は、全般的な施策と長計に基づく県政の方向は漠然とわかっていても、その人たちにはたと答えが出なかったのです。
 そこで、私の認識不足でしたので、今議会で改めて知事に尋ねることを約束しましたので、知事の御見解をお聞きしたいと思います。
 次に、2つ目の新しい発想による過疎対策ということで、新しい発想による過疎対策について次に伺います。
 和歌山県は、まさに全体が中山間、農山村地域です。県は新たに、中山間地域での人口減と高齢化、担い手不足による耕作放棄を食いとめるために、過疎集落の活性化対策としてことしからわかやま版過疎集落支援総合対策に着手し、既に県下8カ所の地域を指定してその地域の「寄合会」を組織し、過疎地域をどうしていくのか、議論とその方向を出そうとしています。
 私は、そこで県が示す新しい発想による過疎対策とはどういうことでしょうか、まず知事にお尋ねします。
 また、市町村がことしから進める過疎地域自立促進計画とこのわかやま版過疎集落支援総合対策はどうつながり、かかわっていくのか、企画部長にお尋ねします。
 次に3つ目で、私は今の2つのテーマに基づいて皆さんのお手元に資料を配付さしていただいてるんですが、私が大方12年間農業問題や過疎の問題に自分なりにかかわってきた中で、今議会で私の集大成として、いろんな活動の分野をして過疎集落の今後の生きていく道はどうあるべきかということを私なりに図表化したものです。そのことを皆さんと当局に提案しながら、本来過疎集落をどうしていくのかということについて議論を深めていただけたらありがたいということでつくらしていただきました。
 そこで、先ほど言いました和歌山版の過疎集落支援総合対策に私が改めてこういう提案をさしていただいたというのは、対峙するというよりも、それを強化していく意味での補完的意味で私はこのことを提案させていただきたいと思います。
 1つは、この説明に入る前に、国のことし2010年4月に公表された農林水産省農村に関する意識・意向調査の中で、実は過疎の関係で1980年から1990年、この10年の間で2255集落が過疎化していった。それから、1990年から2000年の10年間で4959集落が農業集落としての機能を喪失していったというふうに言われています。しかも、中山間地にある集落を中心に1403集落が、もう人がだれも住まない集落になってしまったと。これらの地域は、まさに農地、山村、山林等の農村資源の維持管理や農道のあぜ道の草刈りなど農業の生産活動を補完していく、そういうことが非常に困難になったということであります。
 そこで、私はこういう表を出させてもらったわけですが、農業者の9割が農地、農業用水等の農業生産資源を将来にわたって維持し続けることは難しくなる、これが言われております。約90%ですね。それは「どちらかといえば維持し続けられなくなる」も含めてですけど、90%の人が集落内の農業生産資源や農村資源の維持のために必要な施策というものが十分できていけないという状態であります。
 もう1つは、集落内の農業生産資源や農村資源の維持に必要な問題で、そこで生活していくためには何かと。農業で十分な所得が得られるような対策を講じてほしいというのが95.1%もあるわけです。しかも、農村資源維持活動に関するそういうための支援をしてほしいという人たちが77.4%、そして人材の確保に対して77.2%、また医療、福祉の機関・サービスについては44.2%とか。そういうふうにして、全国的なこの課題というのはまさに和歌山県にも同じ状況であると思います。
 そこで、私は、農山村の過疎対策の基本は、やっぱり地域振興対策として、つまり活力ある町や村づくりをするためには、地域と市町村と県行政が議論して総合的な地域づくりを進めるマスタープラン的なものを創造していく、地域の人たちの集まりと力を基礎にして総合的な対策を考える必要があるのではないかと。農山漁村の基盤整備は当然ですが、農林水産業を基軸にした資源、環境、地域をどう活性化していくのかということを主軸に置かないと、先ほどの意向調査の中では農業で十分な所得が得られるような対策というのが少なくとも95.1%を占めているから、地域をどうするかというものの基盤はその地域の農林水産業を機軸にしなければならないと、こう私は考えております。
 そのことに関して第1は、総合政策を地域の活力あるものにするためには、地域のコミュニティーが強まり、交流人口がふえ、やる気のある地域づくりを目指さなければならない。しかも、先ほど言いました、そこで生活するための所得を増加する必要がある。また、そこで雇用を生み出すために何をやるのかということを基盤にした和歌山県版の過疎対策地域づくりをする上での大切なことではないかと、そう思っております。
 私は、そういった考え方からこの表をつくったのは、中山間過疎地域活性化集落営農組織の中で、これは最終的に地域がみんなで集落営農を組織していくというのが必要なんですけども、その過程として社会的共同経営体にすべきだというふうに考えます。例えば、私が今農業しているところの地域はまち中に隣接したまさに旧田辺市なんですけども、そこで農業を営む人たちは、5年もすれば大方70%は後継者も担い手もなしに、本人も自分の持っている農地を責任持ってやれる状態にならない状態になるというのが私の調査でもわかっているわけです。
 そういったところで、自分たちがその地域、集落をどうしていくか。そのためには、私は地域住民による主体的共同、お互いに共同しよう。少なくとも僕が米をつくっている中では、そこの里山は水引きとかいろんな草刈りとかは共同で現実的にやっています。しかし、それでも毎年人が減ってきています。だから私は、人を雇って、草刈りや田んぼへ引く水についても応援をいただかなければならないという事態になっているわけです。そういう意味で、地域の住民により集落が全体としてみんなで助け合いしながら、その村をどう存続させていくかということに主力を置かなければならない時期に来てるというふうに思います。
 そういう意味では、農地や農道の水利、ため池や里山等の地域資源を広域的に共同管理するような指導が県行政で必要ではないかというふうに思います。個々ばらばらでなくて共同化する。そして、みんなが助け合いしていく共同の村だと。そこで農業を営みながら共同で利益を上げていくという社会的共同経営体にすべきだというのが、私の行き着いた到達点であります。そういう意味では、生産活動や暮らし、そういった意味でもお互いに助け合う共同体にしていかなければ、その地域の過疎集落の生きていく道がないというのを思いました。
 その中で、地域は何かということで、いろんな──県は企画、観光、それから農林水産をやっています。先ほど言いました、そこで働いて生活ができる、そしてみんながコミュニティーを充実させていく、そして病院や生活必需品をどうしていくかという問題があるんですけど、そういったことを含めるならば経営共同体にしなければこれは到達できない、個々の縦割りの行政ではできていかないというふうに思いました。
 そして、そこで働く人たちの、いわば人口もふやすし経営を成り立たせていこうと思ったら、やっぱり生産、加工、販売という6次産業へ思い切った手だてをしていくことによってその地域が活性化してくるし人口もふえてくると、こう思います。いつも言わしてもらっている秋津野ガルテンなんかは、もう既に50名の雇用に、6次産業によって高まってきました。そういった雇用が必要ではないかというのが私の到達点です。
 したがって、和歌山県が過疎集落対策の和歌山版として県下8カ所を選んでやっていますけれども、その目指す到達点は社会的共同経営体をつくっていかない限り僕は成り立っていかないと。これは、かつてのソ連のコルホーズとか中国の人民公社という感覚では全然ないんですよ。そういう意味ではないので、地域の社会経営体をつくっていかなければならないというふうに感じております。
 そこで、補完的な意味で、私は、今県が進めているグリーンツーリズム、人をどんどん都市と農村の交流、それから企業の森によって企業とその地域、森とのつながり、企業のふるさとということで取り組んでおります。これをさらに発展的にやってほしいというのが私の考えであります。
 それは、今、韓国が2004年から国ぐるみで一社一村運動ということで、1つの会社が1つの集落と提携してすべて交流をしていくと。すべてそこで農業なら農業、いろんな分野のことで交流しながら、そこの物販を全部お互いに契約して買う、そして交流をしていくという一社一村運動を行っております。これに知を得て、全国では静岡県が一社一村静岡運動というのを進めております。これについてもかなりの前進をしている。2005年からこれはやっているみたいですけど、進めております。これは、私は先ほど言いました一社一村運動が企業の森、企業のふるさとを発展させていってほしいという気持ちであります。その事例を少し述べます。
 それは、1つですけど、白浜町富田の椿で、今度、資生堂と県が企業の森ということで資生堂がやりました。そこは何をするのか。企業の森の森をどうなんじゃなくて、その森にツバキを植栽すると。ツバキをずっと植栽して、ツバキの花からツバキ油をとって、ほんでツバキ油で資生堂が売り出していくという形です。椿のツバキ、資生堂はそこに目をつけました。絞った油を資生堂が売り出すというまさにストーリーのある企業の戦略ですね。それと地元がうまくマッチングしていたと。そこで、地元は今後それをするためにツバキの木をどんどん植えるとともに、もう1つはそこで6次産業、つまり、そこに絞る工場をつくると。そこで雇用を生み出す。そして企業との交流は、あそこは温泉もあります。ホテルもあります。釣りもできます。そういう意味で、1年間通じた資生堂の従業員の皆さんと地域が一体になって地域、集落を発展させていくという方向へ今進もうとしている。資生堂もやる気満々ですし、そして地域もその方向を目指しております。
 そういった形をやっていくことが、私は本来、今県が積極的に進めている企業の森、企業のふるさとが発展的にその地域──今せっかくあるんですから、企業と森林組合だけに依存するんじゃなくて、企業の森とふるさとがその地域の一部分の人だけじゃなくて、企業がその地域全体とのかかわり合いをしながら交流を深める、1つのまさに一社一村運動へ発展させていただけたらありがたいということを、私の今までの経験とか今取り組んでいる事例をしながら県として積極的に取り組んでいただきたいというふうに思います。
 そこで、まとめ的に言えば、今言いましたように集落での基本は農業、林業を機軸にした生活基盤であり、雇用を生み出す6次産業にすべきだというのが1つです。そして、今言いましたように、人的交流による都市と会社と、そして集落の交流によってさらに地域活性化をしていく。
 もう1つは、生活圏維持のもとに、もちろん、今進めている福祉、医療、交通問題も含めて、あわせてそれを県が乗り込んでいってやるというだけでなくて、地域住民が主体的に活動する中で県がコーディネートしていくという形にしないと、すべて乗り込んでいったらすべての要求を全部聞いて、それをやってくれ、これをやってくれということの会議になってしまう。やっぱり地域が主体になって、地域が自分たちの地域をどうして変えていくんかということの主体性を明らかにしていく中で集落社会的共同経営体が成り立っていくんではないかというふうに思います。
 私は、この図表では集落営農の法人化を目指せと言っていますが、これはやれるところとやれないところがあります。みんながそうならないとあかんのですけど、秋津野ガルテンの場合は地域の考える会、秋津野を考える会が地域の経営というか、農山村の皆さんの利益、収入を上げるために農業法人をつくって経営に乗り出したということですので、そういったところへ到達するというのは、いろんな格差はあると思うんですけど、最終的にはそれを目指していくことによって地域の経営体が生活していく経営体として変わっていくのではないかということを提案したいと思います。
 次に、4番目の精神保健福祉対策についてです。
 今、日本の社会そのものが精神的に病んでいるというふうに私は思います。人間が病まないほうがどうかという社会構造です。精神疾患は、うつ病、自殺、ひきこもりなど、新たな心の病の問題として生まれています。
 紀南医療圏の紀南こころの医療センターの外来患者は現在でも185名とふえていますし、今、障害福祉の関係者の相談もふえていますが、県内の精神障害者の実情はどうでしょうか、まず最初にお尋ねします。
 その実態の中で、精神保健福祉対策の県の果たす役割と具体的施策について伺います。
 1つは、精神保健福祉センターや保健所の相談機能の充実です。とりわけ、保健所の精神相談員、PSWの増員は緊急の課題ですが、どう考えておられますか。
 2つは、入院患者さんの退院可能な精神障害者を初め、社会で自立を進めていくためには地域の福祉資源との連携と県としての具体的な支援が求められていますが、県のお考えをお聞きします。
 次に、精神保健医療体制の充実と地域の受け入れ態勢についてですが、県は県立精神科病院である県立こころの医療センターを県内全域の精神医療の中核病院として位置づけ、総合的、先駆的精神科医療に取り組むとともに、地域精神医療の向上と推進に努めますとあります。しかし現実は、県立こころの医療センターは県内全域の役割を果たしているのでしょうか。私の知る範囲、経験した範囲内では、県立こころの医療センターは紀中、紀北医療圏での役割しかないのでは。紀南医療圏での役割は紀南こころの医療センターがそれを担っていると思います。
 県として公平な地域医療の考え方で、紀南こころの医療センターを紀南の中核病院の役割としてどう位置づけ、支援していくのでしょうか、お尋ねします。
 さらに、社会的入院の解消及び精神障害者の社会的自立促進のための地域連携のネットワークを紀中・紀北医療圏と紀南医療圏において県は具体的に組織し、支援していくのでしょうか、福祉保健部長にお伺いいたします。
 次に、5点目の介護保険制度についてです。
 国の制度改正と考え方で当局に質問というか、お聞きしたいと思います。
 私は、6月議会で、介護保険10年の課題の中で、介護10年の節目での県民、介護事業所の人たちの声は、1つは介護人材の確保のための賃金アップなど処遇改善を図るべきだ、2つは、施設待機解消のための施設整備を促進してほしい、認知症対応のサービスの充実をしてほしい、夜間を含めた24時間対応の在宅サービスを充実してほしい、そういう点が主な点であります。とりわけ、デイサービスでの通所介護でのショートステイ事業を組み合わせることの可能性を検討してほしい、こういった部分に私自身が国のパブリックコメントに意見も述べてきました。
 今回、厚労省は社会保障審議会介護保険部会において──私の意見が全国的な意見でもあったんでしょう──保険部会においてショートステイ、短期入所の不足と問題に対し、通所介護の利用時間を延長し、宿泊を可能にする方針が示されました。また、特別養護老人ホームについても、待機者が和歌山県内で2875人、田辺・西牟婁579人という状況で、今回、個室ユニット型だけでなく多床室、何人かが入れることも認める方向を示されました。これらに対し、県はどう把握し、どう対応していくのでしょうか、お伺いします。
 最後に、パブリックコメントよりアンケートということ、これは、私、要望にかえさせていただきたいと思います。
 県は、介護事業のこういう6月議会の私の質問に対応してパブリックコメントを行いました。私は、県としては介護事業そのものはもう既に市町村に全部現場は対応されています。県がやるべきことは、県全体の実態を把握して制度上の問題や課題をつかむ立場にあります。したがって、パブリックコメントは1つの手法ですが、私は、県としての立場からするならば、各事業所の実情や介護利用者等の要望を含めアンケート調査を実施して、全体の意見を取りまとめていく必要があるのではないかということを要望しておきたいと思います。
 以上で、1回目の質問を終わらせていただきます。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの原日出夫君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、知事は和歌山をどうするか、こういうことでございます。
 3年余り前、知事に選んでいただいた私は、第1には不祥事により傷ついたふるさとの名誉を挽回するために職員と力を合わせて制度改正をして、一心に働いてまいりました。その結果、この点については、県民の皆様の県政への信頼を取り戻せたんじゃないか、そんなふうに考えております。
 第2に、ずうっと低迷をしていた県勢──県の勢いですね──これの再浮揚をぜひしたいというふうに考えておりまして、元気な和歌山のまさに中核というふうに考えております。そのために、考えられる限り、プラスになると思われる政策についてはすべてできるだけ早く実施するということで頑張ってまいりました。数えてみますと、200にも迫る改革を実施してまいりました。
 その中では、企業誘致も頑張りました。最近の3年半で、それ以前の20年の実績に匹敵するような件数と、それから投資額を実現しました。トップセールスによって駆けずり回って県産品のPRをしました。新農林水産業戦略プロジェクト等によって、生産から販売、技術開発に至る支援をいたしました。県内企業を励まし、助けるために、技術開発や販売促進のための制度を使って、頑張って和歌山の雇用をふやすように努力しました。地域的には、わがまち元気プロジェクトとか過疎対策などの地域活性化対策に取り組んできました。
 そういう効果が少しあったと考えておりますけれども、和歌山県はこのところ毎年5000人の人口流出、すなわち人口の社会減がございました。私の就任時点でもそうでございました。現在はこれをだんだんだんだんと少なくしてまいりまして、人口流出、まだ残念ながらありますが、2000人ぐらいまでにすることができました。
 日本全国大変つらい。特に雇用においてはつらい。和歌山も例外ではございません。ただ、相対的には和歌山の雇用状況は近畿のトップになりました。これは、何も私だけの功績ではありません。アイデアと努力、これはすべて投入しましたが、全県庁挙げて団結して努力をしてきた、また県民がこの努力に協力して相和して頑張ってくださった、そういうおかげではないかと思います。
 もう1つ、第3には、ぜひ安心・安全という、例えば福祉、教育、医療、そういう問題についてはいささかも後退させることがないようにしたいと、そういうふうに考えておりました。その点については、私は県庁の中へ入って少し驚いたんですが、県の財政は全国的に見るとそんなにひどくはありませんけれども、しかし、和歌山県だけでも2年半で破綻しそうな、財政ががたがたであった。それについて、再建策を講じて再建することができました。
 ただ、その中で、例えば弱者切り捨てをするというようなことがあっては何のための行革か。ただ事業仕分けをすればいいというわけではありません。そういう意味で、弱い者あるいはおくれた地域、困っている人々、期待している人々、そういう方々の期待を裏切らないような形で、何とか財政も、それからそういう安心・安全政策も守れたというふうに考えております。
 その中で、少し足し算もできました。例えば、全国トップレベルの紀州3人っこ政策とか、あるいは教育の充実とか高齢者の見回り対策、孤立集落の通信手段の確保、県立医大の定員の増加などによって地域医療崩壊を食いとめるための対策をするとか、そういうことも幅広くやってまいりました。また、基盤整備に関しても、X軸ネットワークが完成し、少しずつ高速道路も伸びております。
 ただし、こうした政策の効果はようやく芽生えてきたところであります。まだ道半ばだなあというふうに思っております。道すべてでなかったことについて残念な気持ちもあります。しかし、今この改革をやめてしまう、あるいは放棄してしまう、そうすると、例えば人口減少などもまたもとのもくあみになってしまう可能性もあります。したがって、この改革は続けていかないかん、そういうふうに思います。
 引き続き県政のかじ取りを負託していただけるならば──それは県民の方が考えることでありますが──次の4年間では、すべての産業に関して全国一の振興策を講じて、働く場をさらにふやし続けたいと思います。医療、福祉、防災など、県民の安心・安全を死守したいと思います。教育、文化、スポーツ、環境などの面で活力と品格のある和歌山を実現したいと思います。
 県民に生きるチャンスを与えるインフラの整備充実に、議会や県民の皆さんとともにもっと努力したいと思います。ふるさと和歌山をさらに元気にすべく力を尽くしていきたい、そんなふうに考えているところでございます。その中で新しい工夫もどんどんしていきたいと思います。
 ただし、こういうことを実現していくために今後も改革を続けなきゃいけないということであったとしても、その改革は弱い人々やおくれた地域を考えた温かい改革でなきゃいけないと考えております。仁坂カラーと言われましたけれども、こういう方向でやっていきたい、そんなふうに思います。
 私は、県民とともにすべての県民のいろいろな活動に参加していきたい、あるいはそういう県民の方々の力を結集していきたいというふうに考えてやってまいりました。しかしながら、個人的にはなかなかつらいこともあります。例えば、まちのお祭りがあります。私は一緒に楽しむのは大好きですから、そういうものはどんどん参加したいと思います。全県あちこち回っていろんな仕事をしてまいりました。多分、歴代及び全国の知事の中では、そういう点について最も熱心な1人だと思います。
 しかしながら、そういういろいろな催し、お祭り、行事、余りにもたくさんあります。不公平になってはいけないというところもあります。私は残念な気持ちもありますけれども、ただ、そういうお祭りあるいは行事、営み、そういうものが皆さんの力によって今後ともちゃんと維持できるように、それを少なくともやっていくのが最低限の私の仕事だというふうに考えております。そういうものを元気づけるような政策をやる、こういうことではないかと思います。口先だけでうまいこと言って回るよりも、それが私の仕事かなというふうに思います。
 県民の笑顔は私の笑顔であります。それが消えることがないように頑張って、一日も休まず全力を尽くしてやってまいりたいと考えております。
 次に、新しい発想による過疎対策と、新しい発想は何だということであります。
 これまでの取り組みは大体市町村単位で、あるいは集落単位で行われているところでありましたが、これに対して今回の試みは、住民生活の一体感が確保される地域を新たな概念である過疎生活圏として設定いたしまして、この地域の中で住民生活の利便性の確保などに取り組もうということであります。
 また、議員御指摘のように、事業の推進に当たっては地域住民等の参画あるいは発意、それを得て、「寄合会」と私どもは名づけておりますが、そういうものを設置してもらって、課題の抽出とか対策の検討を行うなど地域住民の主体性を重視した推進体制をとることによって、住民ニーズを反映した実効性のある継続的な取り組みを目指しているわけでございます。今回の取り組みを起爆剤として、過疎地域の再生と活性化のために邁進してまいりたいと考えております。
 次に、和歌山版集落営農の組織、議員御指摘の点でございます。
 これについては、中山間や過疎地域の住民の方が引き続き安心して暮らしていくために、互いに助け合い、農地や水路、里山等、地域資源を共同で管理し、産業振興を図るなど、生活基盤を守るシステムづくりが必要であります。そういう意味で、議員お話のわかやま版集落営農組織についても大変貴重な御提言だと考えております。
 よく議員御作成の表を見ますと、我々の政策が重要な要素として入っています。今さらながら、こういう方向で我々はやってきたんだという気もいたします。私も、地域の基幹産業である農林業をしっかりとしたものとして、生き生きとした産業活動の中での生活の糧となるようなものを得られるようにしなきゃいけない、きちんともうかるようにしなきゃいけない、そんなふうに思います。県内を見てみますと、頑張っておられる地域もありますけれども、全体的な実態ではなかなか厳しいものがあります。
 県では、これまでも地域産業のかなめである農林業の振興について、農地保全や担い手の確保、6次産業化などさまざまな施策を展開してきておりまして、一定の成果が上がっているものと考えておりますけれども、今後とも、地域振興についてさまざまな施策を展開する中で、地域の持っている資源、人、技術を最大限生かす方策について地元の方々を初め市町村とも十分話し合いをしながら頑張っていきたい、県も一緒になって取り組んでいきたいと考えております。
 なお、企業の森とか企業のふるさとでは森林づくりや人的交流などという面では多くの成果が出ていますけれども、まだまだもっともっとという気持ちもあります。今後は、地域産物の生産振興や加工、販売という面でも企業との連携を広げ、過疎地域活性化につながるよう積極的に引き続きやっていきたいと思います。
 企業の森とか企業のふるさとなどなどは、村と、あるいは集落と生産者との協力という点で、まさに議員の御指摘の方向で企画したものでございますけれども、さらに大いに発展をさしていきたいと、こんなふうに考えております。
○副議長(山下直也君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 過疎地域自立促進計画と過疎集落支援総合対策とのかかわりについてお答えをいたします。
 過疎地域自立促進市町村計画は、さきに県において策定を終えました過疎地域自立促進方針に基づき、過疎市町村において各種施策の推進に大きな役割を果たす過疎債等の有効活用を図る上でも必要であるということに配慮しながら、現在、最終的な策定作業に取り組んでいるところでございます。
 また、わかやま版過疎集落支援総合対策は、過疎地域の振興を図る上で極めて有効な手段であると考えております。このため、過疎債を活用してできるだけ多くの地域で過疎集落支援総合対策の事業展開が図られるよう、市町村計画の策定に当たってはその点も留意しながら助言に努めているところでございます。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 精神保健福祉対策について、一括してお答えを申し上げます。
 国の統計であります平成20年の患者調査では、精神疾患を有する患者は県内に約2万5000人と推計されており、自立支援医療、精神通院医療の受給者も年々増加傾向にあります。そのような状況の中で、地域の精神保健福祉の中心的な役割を担う保健所の精神保健福祉相談員が行う相談機能の充実は大変重要であると認識しており、その体制強化をさらに図っていかなければならないと考えております。
 また、県精神保健福祉センター、市町村、医療機関、相談支援事業所、障害福祉サービス事業所などとより緊密な連携協調を図り、障害のある方が地域で安心して自立した生活を送れるよう、県としましても、個々の障害者のニーズと地域の福祉資源の調整を行う地域自立支援協議会等を活用し、その支援体制の充実強化に取り組んでまいります。
 次に、県立こころの医療センターは、県の保健医療計画により県内全域の中核病院と位置づけられ、認知症や児童・青年期の専門外来、薬物等の依存症に対する専門治療を初め、認知症を中心とした高齢者の専門病棟や急性期治療病棟を持ち、総合的、先駆的な取り組みを行っております。
 一方、紀南こころの医療センターは、県が取り組む精神科救急医療システムの中で夜間、休日の診療体制を持つ紀南圏域唯一の病院であり、精神科を標榜する診療所等も少ない現状から、田辺・西牟婁地域を中心とした紀南地方の中核をなす精神科病院と認識しており、引き続き、県としましてもできる限りの支援を行ってまいります。
 最後に、症状が安定した長期入院患者の解消につきましては、県が委託した地域活動支援センターの地域移行推進員や相談支援事業所が精神科病院、保健所、障害福祉サービス事業所などと連携を図りながら、地域生活に向けた訓練や生活の場の確保など、地域移行に向けた支援を行っております。
 今後、県精神科病院との連携により、症状が安定した長期入院患者の解消を図るため、より効果的な地域社会への移行に向けた取り組みを進めるとともに、社会的自立促進のための地域ネットワークづくりにも一層努めてまいりたいと考えております。
 次に、介護保険制度についてお答えします。
 国の制度改正と県の考え方についてですが、現在、国の社会保障審議会介護保険部会において介護保険制度の見直しの議論が進められており、その中で、デイサービスセンターを活用し、通所介護の時間延長や通所介護施設での宿泊サービスを実施するお泊まりデイサービスの創設が検討されております。また、同介護給付費分科会では、特別養護老人ホームの整備に関し、ユニット型施設の整備推進の方針は堅持しつつも、従来型と個室ユニット型の合築施設も認める方向で議論が進められております。
 県としましては、これらの見直しが家族介護者の負担軽減や仕事と介護の両立、また低所得高齢者の施設への入所環境の改善につながるものと考えており、今後の国の議論を注視してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 知事の和歌山をどうする、4年間どうするというやつで、県民の声でしたんで、私も今の答弁を皆さんに御報告させていただきたいと思います。
 次に、2と3は一括で。
 私は、2の部分の県のやり方と私自身はそれをやっていく上で、過疎地域をどうしていくのかという意味での現状を十分把握した上で取り組んでいるのかどうかを少し疑問に感じたのでね。大体、物事、こういう事業を始める前には、事前に8つの地域を選ぶんですけど、その地域集落を選ぶ上で、そこの実態調査をまず事前に半年か1年かけてやって、そして、そこは何がポイントかということをした上で企画をどうコーディネートしていくか。その地域はどうしても農山村地域でも農の部分で力を入れなあかんと思ったら農を入れる、そこへ福祉も入れるなら福祉も入れるという総合プロジェクトでもってその地域に入らないと、最初は聞き取り調査的になってしまって現実的にアクションを起こせないと、そう僕は考えたので、むしろその地域がどうあるべきかということの事前調査の中でアクションを起こしていくべきだと思いましたんで。
 その上で、その地域が、私自身の体験から5年後はもう担い手がないし、農山村で生きる方向がなかなか難しくなる中で地域の共同体集落をつくっていくことがかなり──そうしないと生きていけないということを自分自身も感じておりますので、そういった点を踏まえた企画部の対応であってほしいということを要望したいと思っております。それが要望です。
 次に、再質の部分ですが、精神保健対策でもう一度、1つだけ質問させていただきます。
 和歌山県の保健医療計画では、精神保健医療体制の受け入れ態勢は、県立こころの医療センターを、先ほど言いましたように県内全域の精神医療の中核病院と位置づけています。答弁では、紀南地方の中核をなす精神科病院と認識しているとあります。
 今回、医師不足から紀南こころの医療センターが、その起きた問題の過程の中で、現在43名転院を迫られ、転院させられました。その中で、県立こころの医療が和歌山県の中核病院であるなら、それに対してどれだけ対応できたか。43名中、県立こころの医療が受け入れたのは5名だけです。43名のうち70%は大阪なんですね。そういう実態なんです。
 だから、今後、家庭の保護者の皆さんや家族の皆さんは、これ全部大阪へ、ずっと面会に行かなあかん、そういう実態であります。それが県立こころの医療センターが受け入れとしての中核病院やというふうな位置づけが本来事実としてなっているのかどうかということを言いたいわけです。1つはそれなんです。
 それをしようと思ったら、やっぱり紀南こころの医療センターは紀南における中核病院としてきちっと位置づけて、それに対して県は県立こころの医療と対等に、税の公平さからいってもその点をきちっと位置づけていくという対策が求められているんではないかということについて、まず第1点お聞きしたい。
 ほんでもう一つは、今、緊急対応ですから、医師が不足してきたから大体200名定員を120から130名にしようとしています。現状の医師の確保の実態からいったらそうせざるを得ないと。しかし、それがずるずるずるずるいって、例えば120から130名に、200名からなったときに、それで紀南の精神科患者さんに対して対応できるのかという問題があります。私は、今は緊急対応ですけども、少なくとも中核病院としたら──県立こころの医療は300名の定員だったと認識してますが──紀南は200名なら200名の定員を確保するための努力をしない限り、我々、精神保健医療に対する県下の責任ある対策になっていかないんじゃないかということを危惧しているわけですけれども、それについてお伺いしたいと思います。福祉保健部長にお伺いします。
○副議長(山下直也君) 再質問に対する答弁を求めます。
 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 先ほども御答弁申し上げましたように、県におきましては、紀南こころの医療センターは紀南地域における精神科医療の中核病院と認識してございまして、この春以降、同センターの診療体制を維持するために必要な医師の確保に努めてきたところでございます。
 具体的に申し上げますと、県立医科大学の派遣医師につきましては派遣期間の延長を行うことになってございますし、県職員の精神科医が11月から月1回の当直応援をすることとなっております。また、県精神科病院協会にも支援を要請してございまして、近々診療支援についての検討をいただくことになっております。
 さらに、勤務医の定着を図るために、同センターが取り組む医師の就労環境改善に対する補助制度の活用を同センターと協議中でもあります。
 今後とも、引き続き同センターの診療体制の支援を行ってまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再々質問を許します。
 34番原 日出夫君。
○原 日出夫君 今の保健問題、精神問題でございますが、一応今、全国的に総合病院の精神科は悲鳴を上げていると。皆、開業して熟練度の──精神科の医療に携わる医師というのは一定の、10年以上の熟練度が必要だと言われているんですけど、そういう熟練を経た人たちが総合病院からはやめて、自分で開業したり小規模なところへ転院していくと。そういう状態が、もうこの2年半で4割がやめられたと、総合病院では。というふうに、ちょっときょう、朝ホームページを開いたらそんなに出ていました。だから、それに対して対策をどうしていくかというのは非常に厳しいものがあるのは、実態は私もよくわかっております。
 そういう意味で、それはなぜかといったら、前の6月議会でも言わせてもうたように、医師自身が、先ほど言いましたように毎日の外来患者の180から200人近い人たちを3診察で、3人で対応していかんなん。もうとてももたないということで、どこの総合病院もそういう実態らしいです。そういう状態でやめていかざるを得ないと、そういう状況です。
 そこで、医師確保が非常に厳しい。総合病院としての受け入れは非常に限界を──今の状況で、今の国の医療体制の中では非常に厳しい課題を抱えているんですが、そのために、じゃあどうしたらいいのか。
 そこで、私は先ほどの質問の中で、地域福祉資源と連携して、入院をそれほどしなくてもいい人たち、している人たちでも在宅ではないけども地域資源のグループホームとかそういったところで受け入れれば十分生活ができていくとか、そういうのが努力すれば可能性はいっぱいあるわけですね。
 だから、そういう意味では、地域福祉資源をどう連携して、そういう総合病院としての医師確保ができない部分でどうフォローしていくかという意味での地域連携に思い切り力を入れてやる。そのために、先ほど言いましたようにPSWの職員をふやすと。そのことによって僕は地域連携がつながっていくと。金がないからもうだめだとかそういう問題じゃなくて、病院に医師を確保する1人にされたら、10名も20名も雇えますよ、PSWは。だから、そういう人、相談員を確保することによって1人1人の患者さんが病院にかかるまでの、また入院している人の退院にもかかわって地域福祉資源と連携していくという意味では、とりわけ最後にそういうPSWの人材確保が先決ではないかというふうに考えますので、そのことをお願いして終わります。
 以上です。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で原日出夫君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時43分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○議長(谷 洋一君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 32番中村裕一君。
  〔中村裕一君、登壇〕(拍手)
○中村裕一君 9月定例会一般質問、私が最後になります。しばらくおつき合いいただきたいと思います。
 質問に入る前に、日中友好議員連盟では、去る7月13日から15日までの3日間の日程で上海市を訪問してまいりましたので、概要を御報告申し上げます。
 7月13日、門議連会長を団長に一行7名は、上海浦東空港到着後、リニアモーターカーで市内まで移動し、直ちにCITS(中国国際旅行社)の華東地区総部を訪問しました。CITSは日本のJTBに相当する国営旅行会社で、華東地区にある上海市ほか6省を統括する支店を訪ね、フェン会長初め訪日観光担当部課長と面談しました。支店はCITS上海として独立した旅行会社でもあり、訪日旅行者を毎年1万人送り出しています。また、フェン会長は上海、廈門、寧波など各市の国営旅行会社の役員を兼務しています。
 次に、私たちの訪問直前に来和した上海市内の航空会社や旅行会社の訪日担当者と懇談いたしました。皆さん、訪日旅行の責任者ながら現代上海娘というべき若い女性ばかりで、和歌山への研修旅行は社内で希望者がいなかったが、帰国報告したらうらやましがられたなど、率直な意見を伺いました。
 以上2件の観光関係者の主な意見は次のとおりでした。
 最近、上海には日本から20余県の知事がトップセールスで訪れたこと。注目のPR方法は映画やテレビでの放送で、研修旅行にもマスコミ関係者を参加させたほうがよいということ。現在、中国の旅行社では、7月の訪日ビザ発給緩和を受け、ゴールデンルート以外の新素材を探していること。中国人の訪日目的は温泉、美食、買い物の3点であること。和歌山県は関空に近く、海、温泉、美食があり、大変よい印象で、特にマグロ解体ショーが好評でした。その意味で、和歌山は類似の奈良、京都より大阪と組むほうが相性がよいというアドバイスもありました。
 一方、研修旅行に買い物時間がなく残念だったという意見や、上海に比べ人やコンビニが少ないという声もありました。
 翌7月14日は、広島県の造船会社が手がける日本物産市場GLジャパンプラザを視察し、光原政典支配人から中国人の嗜好や販売状況についてお話を伺いました。店舗規模は市内のどこにもあるようなスーパーほどの大きさですが、高級な日本物産が豊富に陳列されており、中には湯浅町産ミカン缶詰もありました。今のところ客層は上海在留邦人が中心ですが、徐々に中国人富裕層が増加しているそうです。
 午後は上海万博を視察しました。高層ビルが林立する上海市内の工場跡に世界246の国と地域、国際機関が出展した会場は、巨大なパビリオンと群衆で埋め尽くされ、大変な活気で、大阪万博をほうふつさせるものがありました。急成長する現代中国の息吹が感じられました。
 私たち一行は、入場する前から駐車場のバスの数に度肝を抜かれましたが、1脚10元、約128円の折りたたみいすを買い、約1時間並んで中国館を視察しました。残念ながら、展示内容はディズニーランドやUSJをよく知る者にすれば大きな驚きはなく、逆に安価な折りたたみいすとの対比で中国の限界を見た感じがしました。
 翌7月15日は、早朝から在上海日本国総領事館を表敬訪問しました。8月1日付で中国大使館に筆頭公使で赴任されたチャイナスクールのエース横井裕総領事が多忙の中、面接してくださり、日中関係、中国の経済情勢、訪日観光、日本産品の対中輸出等、詳しく御教示いただきました。お話は多岐にわたり、私たち7人では聞かせてもらうのはもったいないほどすばらしい内容でした。同時に、一衣帯水の日中間ながら課題もたくさんあり、時に波風も立ちますが、横井さんのような有能な人が外交を支えてくれているのだと感じました。また、経済担当の佐々木領事からも上海周辺の経済事情をお聞きしました。
 次に、ジェトロ上海センターを訪問し、松村副所長、大橋農林水産部長から上海の経済事情、日本産品、特に農産物の上海市場でのマーケティングについて伺いました。御説明の趣旨は、富裕層は増加しているが、高級品が何の努力もなしに売れるわけではないこと、売り込みには単発的なイベントでは効果が薄く、継続的な取り組みが必要だということでした。
 以上のとおり、大変充実した内容の訪問となりましたが、実は和歌山県の認知度が低いことを再認識した旅でもありました。議員連盟としては、今後とも中国との経済関係が発展する中で、まず本県の存在をPRする必要性を痛感しました。
 どうか、県当局におかれましては、映画やテレビでの撮影誘致や研修旅行の受け入れなどさらに努力し、本県のすばらしい自然や文化を宣伝するよう要望いたしまして、報告といたします。
 なお、漁船衝突事件により中国から各種の交流中止が告げられ、今後多方面での報復措置が予定されているとの報道があります。現在、日中両国は経済的、政治的に最も大切な関係にあり、これを維持発展させるためには今後、両国の粘り強い外交努力を望むものであります。
 さて、通告に従い、一般質問を行ってまいりたいと思います。
 最初は、民主党政権の弊害であります。
 昨年の総選挙で、一度やらせてみてはとの国民の判断で政権交代が行われました。私たちも選挙戦を通じてマニフェストの矛盾を訴えましたが、テレビを中心にマスコミの声にかき消され、残念ながら国民の耳には届きにくかったようであります。ところが、民主党政権は発足直後からマニフェストの矛盾が噴出し、普天間問題が象徴するように、とんでもない政権運営で国民を不幸にしています。ようやく参議院選挙で民主党には国民からイエローカードが突きつけられましたが、円高で中小企業や国民生活が苦しむ中、平気で代表選挙に明け暮れました。いよいよ我が国経済は政治不況、政策不況の様相を呈しております。
 9月3日、自民党では党本部と都道府県連の合同会議が開催され、参議院選挙の結果、国会が本当のねじれ状態になったことから、政府主導から国会主導の政治になるとして、今秋開催される国会では堂々と対決し、国家国民のための政策を積極的に提案していくとの決意が谷垣総裁初め役員から表明されました。また、民主党になくて我が党にある地方組織こそが政党の根本であり、地方組織を通じて国民の声を聞いて政策を立案、実現していこうとの結論を得ました。したがって、今後和歌山県におきましても、党所属議員が一丸となって党員、県民の皆さんのお声を聞き、各種政策の実現に取り組んでまいる覚悟であります。
 さて、今後国会が開催され、政府の予算編成が本格化しますが、昨年の政権交代以来、本県にとってどのような影響があったのでしょうか。報道されることはなくても、この1年間で私が経験しただけで2件はありました。1つは、高校生の死亡事故を受けて国交省に歩道設置の要望をしましたが、新規採択はないと言われました。これが「コンクリートから人へ」の実態です。もう1つは、ビニールハウスを農協が建設し農家にリースするという事業ですが、2月に申し込んだのに7月になっても農水省が許可しなかったのです。おくれた理由は政務3役が決裁を抱え込み過ぎたからで、これが政治主導の実態であります。恐らく県全体ではほかにもあり、県民が損をしているのではと心配いたします。この際、検証するよう要望しておきます。
 次に、一括交付金について伺います。
 政府では、本年6月に閣議決定した地域主権戦略大綱に基づき、地域のことは地域で決めるという地域主権を確立するため、国から地方へのひもつき補助金を廃止し、地方が自由に使える一括交付金にするとしています。
 さきの民主党代表選挙でも小沢氏が、一括交付金にすれば無駄が省けて7割に削減できると主張していました。補助金の大半が福祉や医療、教育など国民生活に直結する予算であることから、公共事業にしわ寄せがいくのではないかと懸念する声があります。
 代表選挙は菅氏が再選されましたが、一括交付金の内容は依然示されていません。これまでスローガンは立派でも中身が伴わない生煮えの政策ばかりで、一体どんなものが飛び出してくるのかわかりません。全国知事会初め地方六団体から、一括交付金の制度設計については減額されることなく、真に地方の使い勝手のよい制度となるよう要望が出されていますが、仁坂知事の一括交付金についてのお考えを伺います。
 2番目は高速道路の延伸についてですが、まず御坊─田辺間の4車線化について伺います。
 ことしの夏の印象は、大変な猛暑と参議院選挙の勝利、もう1つは海南湯浅道路の暫定4車線による劇的な渋滞解消であります。毎年記録的な渋滞が発生する上り線が、下り線が2車線化されたことに伴い、8月のお盆と日曜だけの暫定的4車線化でございましたが、大いに効果を上げました。整然と流れる車列の中に私自身運転してみて大変感激するとともに、改めて4車線化の必要を強く感じました。
 昭和59年以来繰り返されてきた渋滞による物心両面の多大な損失を考えたとき、じくじたる思いがいたしますが、今後とも、地域振興や安全・安心のため、高速道路の延伸、4車線化に努めようではありませんか。
 ところが、国土交通省はいまだに湯浅御坊道路を優先すると言っています。御坊─田辺間の4車線化は政権交代により凍結されましたが、夏の参議院選挙の結果、国会のねじれ現象はさきに申し上げたとおりで、我が党も国会運営を通じて政策を実現していくことが可能になりました。御坊─田辺間を置いてきぼりにした4車線化法案も現在のところ成立しておりませんので、いま一度政府や国へ要望していくべきであると思いますが、御所見を伺います。
 次に、湯浅御坊道路の4車線化について伺いますが、年内にも都市計画決定されると伺っております。事業化も含めて今後の展望をお聞かせいただきたいと思います。
 次に、和歌山南インターチェンジについて伺います。
 本年3月、和歌山北インターチェンジが供用され、14万人が居住する紀の川右岸地域の利便性が向上しました。長年塩漬けだった和歌山市の企業用地にも事業所の建設が始まっていますが、その後のインター利用状況はいかがでしょうか。
 一方、和歌山市の南部地域、紀の川市貴志川町などから乗り入れる南インターについても、本年度、和歌山市において調査費が計上されたと聞いております。進捗状況はいかがでしょうか。
 また、細長い県土にあって、紀南地方から交通センターや大学、貴志川町などへのアクセスを考えた場合、ぜひ南行きも必要と考えますが、インター自体の必要性もあわせて県の御所見を伺います。
 3番目は地震対策であります。
 まず、地域防災計画の見直しについて伺います。
 防災の日の9月1日、全国各地で防災訓練が行われ、35都道府県で67万人が参加したそうであります。本県でも、12日にマグニチュード8.6の地震を想定した総合防災訓練が串本町を中心に74団体1500人が参加して行われました。発生時期の予知はできなくても発生することは100%間違いない南海、東南海、東海地震に備えることは、官民いずれの立場でも大切であります。とりわけ、政治や行政が率先して積極的に取り組むことは、多くの生命、財産を守ることになります。その意味で、あらゆる政策決定の場面で常に防災の視点を忘れてはなりません。
 さて、南海、東南海、東海地震が3連動する可能性が高くなったことから、先ごろ、政府の総合防災訓練では3連動地震を想定した初めての訓練が行われたことが報道されています。そして、政府は、今後、3連動地震の本格的な大綱策定に着手するとしています。これにあわせて本県でも地域防災計画を見直す必要があるのかどうか、もし見直すとすればどのような内容となるのでしょうか。
 昨日は、地震に伴う海底地すべりで津波が増幅されるという報道がありました。地域防災計画はすべての防災対策の根幹です。しっかりと見直していただきたいと思います。
 また、最近、本県でも公立学校の耐震化、県施設の耐震化がおくれているとの指摘がありました。近い将来、巨大地震が襲来する本県では公立施設の耐震化は進んでいるものと思っておりましたので、大変意外に感じました。公立施設は、災害時に支援機関や組織の所在地であり、住民の避難所となる最も大切な施設ですが、改めて耐震化の状況と対策を伺います。
 次に、住宅の耐震化について伺います。
 本県だけでも耐震改修が必要な住宅が約12万7000棟もあると言われております。しかし、なかなか耐震化が進んでいないのが実態で、理由は地震そのものや耐震改修への知識不足、加えて空き家や高齢化等、本県では過疎地特有の事情もあります。そんな中、最近は少ない金額でも耐震化できる技術も開発・普及してきていると聞きますが、本県としては今後どのように取り組むのでしょうか。県土整備部長に伺います。
 次に、防災対策のあり方と財源について伺います。
 これまで政府の災害対策は、どちらかというと予防対策よりも事後対策が中心でありました。例えば、河川整備には災害関連事業などという災害が起こることを前提とした事業さえあります。これは、高度成長以前、国の予算は乏しく、事前に講じるほどゆとりがなかった名残ではないでしょうか。新幹線や高速道路も世界銀行からの借金だったことは御案内のとおりです。
 しかし、世界有数の先進国になった今日、防災対策も改善すべきであります。特に地震災害は人的・物的被害が甚大になり、復興予算も多額になります。それゆえ、将来支出する復興予算の何割かでも予防対策に講ずることができれば災害そのものを小さくすることができ、結果的にトータルで予算は少なくて済むのではと考えます。今こそそのための法制度の見直しや恒久財源の確保が求められていますが、どのような御認識でしょうか。
 次に、津波新法についてであります。
 自民党では、二階代議士を中心に津波対策を主眼とした新法の制定を求める動きがありますが、県の御所見を伺います。
 次に、ガソリンスタンドの耐震化について伺います。
 阪神・淡路大震災では、ガソリンスタンドは1件も被災することなく、復旧や避難生活に大いに役立ったそうであります。現在、その効果に注目し、石油類だけではなくガスや水、トイレの使用などのサービスを提供する災害対応ステーションとしてのガソリンスタンドがあらわれました。
 しかし、本県では業者が多く、長引く不況や過当競争、過疎のためガソリンスタンドの経営は大変と聞いております。果たして施設の更新ができているのか、そして来るべき震災に被災することなく生き残ることができるのか。
 現在、経産省では、人口減少地区という基準でガソリンタンクの廃棄や改修に補助金を出していますが、巨大地震が襲来する本県ではむしろ耐震改修に支援を仰ぐべきで、支援のあり方について県のお考えを伺います。
 最後に、教育問題について伺います。
 まず、暑さ対策について。
 ことしは例年にない猛暑が続き、熱中症で亡くなる人が全国で163人に上り、クーラーの製造が、エコポイント効果もあって製造が追いつかない、スーパーや酒屋の棚からスポーツドリンクが消えるなどの現象が起きました。そんなまだ暑い8月25日から既に小学校の授業が始まっていますが、子供たちは大丈夫なのかと心配します。
 私たちが子供のころは、35度を超える猛暑日がそれほどあった記憶がありません。最近は、校舎もほとんどが鉄筋コンクリートになり立派になったものの、逆に午後の教室はサウナ状態ではないかと思います。しかも、今ではクーラーが家庭に普及し、ないのは学校だけです。御坊市内の中学校では、職員室でも子供たちに遠慮してクーラーは使わないそうです。温暖化が心配される昨今の状況から、小中学校も県立学校並みに空調が整備されるべきだと考えます。また、空調だけでなく、校舎や運動場の緑化も有効だと思いますが、支援について御所見を伺います。
 次に、学力テストについて伺います。
 政権交代で、自民党政権の教育改革のうち教員免許更新制度と学力テストが日教組の要求により廃止されるのではと心配されていましたが、更新制度はそのまま残り、学力テストは抽出ながら残りました。しかし、抽出方式では本来の目的が達成できるんでしょうか。県教育委員会では国に対して全校実施を強く求めていますが、その意義と決意について、改めてお伺いします。
 また、今のところ本県の学力は全国的に下位にとどまっていますが、学力向上のため本県ではどのような取り組みをしているのか、御報告願います。
 最後に、医師の養成についてお伺いします。
 本県では久しく医師不足と言われ、医療政策としては医科大学入学定員の増員や県民枠、推薦制度、奨学金、ほかにドクターバンク制度など、各種の事業に取り組んできました。しかし、大学入学以前についての対策は手つかずの状態にあります。
 子供たちの個性を伸ばし、希望をかなえることも必要ですが、地域としてどんな子供を育てるのか。例えば、ふるさとににしきを飾るのではなく、ふるさとでにしきを織る子供や地域のために頑張ってくれる子供を育てる必要がないでしょうか。本当に医師不足を解消するためには、紀南地方を中心に和歌山で生まれ育った子供たちを医大に入れないとできないのではないかと考えております。
 8月12日付の「読売新聞」には、宮城県教育委員会が医学部合格者数をふやす特別講座を開設したことが紹介されています。その講座は、医学部を目指す公立高校生を対象に進学意欲を高め、入試を突破する学力をつけさせることが目的で、生徒に負担は求めないそうです。夏休み中に開かれた講座では、3年生には仙台市内の予備校で医療問題の講演や医学部での出題が多い小論文、理系科目の指導が行われ、学校の授業とは違う刺激を受けたと好評だったようです。1・2年生向けには、東北大学医学部で直接大学教授から講義を受け、AEDを使った救命救急の模擬体験をさせましたが、参加者から医師になりたいとの思いが強くなったという声が寄せられています。
 この背景には宮城県内の郡部での医師不足があり、教育委員会では、まず医師を目指す生徒をふやさなくてはとの熱い思いから始まりました。本県でもこのまねをしろとは申しませんが、単なるインターンシップ程度ではとてもかなわないことであります。何か具体的に行動すべきであると考えますが、御所見を伺います。
 実際に和歌山へ帰郷する希望者が多いことはありがたいことですが、みんな公務員になりたいというのでは本県の発展は危ういと思います。
 以上、御質問し、私の一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの中村裕一君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、一括交付金のあり方につきまして御答弁申し上げます。
 私は、これまでも全国知事会の一括交付金プロジェクトチームのメンバーとして幅広く議論をし、一括交付金を国の財源捻出の手段とすることのないように訴えてきたところであります。
 一括交付金のそもそもの目的は、地方の自由裁量を拡大し、実質的な地方の自主財源に転換するものでありまして、配られた後、地方の自由が増すとか、あるいは我々の好むところに回せるという意味でプラスの点がございます。一方で、すぐに、だからといってバラ色の制度かというと、そうではありません。ちょっと考えると、いろいろなクリアをしなければいけないところがたくさんございます。
 第1に、地方の自由裁量権、地方に移されても地方の自由裁量権の拡大につながらない補助金、これは義務的経費は全部そうでございますが、これが膨大にあります。これは、一括交付金の対象にしてもらってもしようがないということでございます。
 次に、一括交付金化に当たっては、対象となる事業が滞りなく執行できるよう、必要な予算総額を確保することが大前提であります。これについては、民主党の党首選のときに議論になりましたけれども、どうも一括交付金化すると国の財源がそれだけ助かるのではないかというようなことに大変な力点が置かれていたような気がいたしますが、これは明らかに間違いであるというふうに思います。
 さらに、3番目の交付金の配分方法につきましても、仮に客観的な指標として、例えば人口のみを使用すると都市部に偏った配分になってしまいまして、本県のような社会資本整備のおくれている地域とか、あるいは財政力の強弱という地方の実情を的確に反映することができないということになります。したがって、今申し上げましたような点を的確に配慮したそういう配分方法、これを確立してもらわないと危なくて乗れないということだと思います。
 行革の、これは打ち出の小づちではありません。よく半分ぐらいのお金で同じような工事ができるというような議論が──地方に移せばですね──ございます。しかし、和歌山県の実態を考えますと、和歌山県はまず、要らないところに補助金をもらい、それで欲しいところに必ずしももらえないなどということはありません。本当に欲しいところだけぜひ頼むと言って、それでも全部くれませんが、もらってきているわけで、要らないところに無理やりつけてもらって迷惑だとかそういうような話はございません。したがって、そこで節約できる余地はありません。
 それから、効率的な使用方法ができなくて──国だとですね。地方だと効率的な使用方法ができるから節約になるという議論も一部ございますけれども、私どもは国の直轄負担金、これについてはまだかなり払わないといけませんけれども、払うに当たっては、県がもしこれをやったときにもっと節約できるんじゃないか、そういう観点で1つ1つ全部チェックをさしていただいております。国がやたらとぜいたくな工法で行い、その何%かを県にツケを回されたらたまらんということでありまして、そういう点については全部チェックするようにしておりますが、ごくごくわずか、我々としてはちょっと使い方がおかしいんじゃないかというようなところはありますけども、大略、県がやっても国がやっても同じようなやり方になるということが我々の知見としてわかっております。
 したがって、財源捻出の手法としてこの一括交付金を使うということは全く意味をなさない。むしろ地方切り捨て、国の財政再建のツケ回しということになるかというふうに考えております。そこで、今後とも一括交付金の制度設計に当たっては、こうした条件が満たされるように強く主張してまいりたいと考えております。
 次に、御坊─田辺間の4車化についてでございます。
 これについては、議員御指摘のとおり、海南─有田間について、ことしの7月16日に下り2車線が完成いたしました。加えて、上り車線についてもお盆などの繁忙期に暫定的に2車線で供用されたことから、御指摘のようにこれまでの海南付近を先頭に発生していた上り線の渋滞はおおむね解消されました。
 しかしながら、下り線では渋滞の先頭が南下いたしまして、8月13日には広川南付近を先頭に約19キロメートルの渋滞が発生し、上り車線についても川辺インターや東岩代トンネル付近を先頭に約6キロメートルの渋滞が発生いたしました。
 そもそも御坊─田辺間では、1日当たりの交通量は年平均でも約1万3000台でございます。繁忙期には約2万6000台に達するなど、2車線でスムーズに走行可能だと言われております交通容量1万台を大きく超えております。さらに、対面通行による重大事故が発生しているということから、直ちに4車線化が必要な区間であると考えております。
 こうした中、御坊─田辺間の4車線化事業については、ことしの4月9日に国土交通省の再検証結果において着手見合わせとされ、その後、国会では、こうした4車線化事業のための利便増進事業の拡充等に係る法律の改正案が継続審議になっております。次の国会で改めて審議されることになっております。
 県としては、国会での法案審議や高速道路のあり方検討など、高速道路整備に係る今後の動向を注視しながら、引き続き御坊─田辺間4車線化の早期実現、事業化を働きかけてまいりたいと思います。
 次に、湯浅御坊道路の4車線化全体の話でございます。
 これは、知事就任後、直ちにその必要性を国に働きかけました。事業手法や事業主体が未定の中、県が主体となって平成19年12月から環境影響評価や都市計画の手続を開始いたしました。通常は事業手法や事業主体が決まってからやるんですけれども、それだとまたその後何年もかかるということで、あらかじめこれは環境影響評価と都市計画をやっておこうということで、国の理解を得まして県が特別に中心になって行った次第でございます。
 現在、どんどん進んでおりまして、環境影響評価書を国土交通大臣に送付したところでありまして、県といたしましては平成22年内の都市計画決定を目標に手続を進めております。この都市計画決定で、有田─御坊間については整備に至るまでの時間のかかる手続が終わることになります。
 今後、事業主体、事業手法などを国に早急に決定していただき、既に用地を取得して、着工可能である御坊─田辺間も含め、可能なところから着手し、県民の悲願であるところの有田─田辺間全体の4車線化が早期に実現されるよう、国、関係機関に対して強く働きかけてまいります。議員各位におかれましては、今後も引き続き御協力をお願い申し上げます。
 その関係で、御坊─田辺4車線化の白紙化の議論の中で、一部の政治勢力から有田─御坊間の都市計画を放置した知事の責任はどんなもんかという議論がありましたが、これについては、まさに私、就任以来、これだけは早く着手しなきゃいけない、多少従来のやり方からすると無理があったんですけれども、着手をして少なくとも責任を果たしているつもりでございますので、皆様の御理解もいただきたいと、そんなふうに思います。
 次に、津波新法でございます。
 地震対策のうち、いわゆる津波新法と呼ばれております津波対策の推進に関する法律案につきましては、6月に国会に提案されたもので、現在、閉会中審査と聞いております。法案検討に当たっては、議員連盟の国会議員各位に本県を視察いただき、県や国、町の取り組みや津波対策の課題についてつぶさに聴取いただいたところであります。
 法案は、稲むらの火の故事にちなんだ津波の日の制定や津波対策に対するソフト面、ハード面の充実などに加え、所要の財政措置支援についても言及されておりますので、津波防災対策を進めていく上で大きな力になるものと期待されております。
 次に、ガソリンスタンドの耐震化でございます。
 国の制度では、ガソリンスタンドが散在するなど供給の不安定な地域が改修等の補助金の対象とされておりますが、本県では対象となる地域は一部に限られております。本県のように大地震が想定されている地域では、地震発生時、広い範囲で供給が途絶えることが懸念されますので、補助金の対象となる地域を拡大するよう、業界団体と連携し国に対して働きかけをしてまいりたい、そんなふうに考えております。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、和歌山北インターチェンジの利用状況についてでございます。
 3月14日に供用開始後、8月末までの日平均交通量は4900台であり、予測していた交通量4200台を上回っている状況でございます。
 次に、和歌山南インターチェンジにつきましては、平成22年度から和歌山市が調査に着手しており、インターの必要性や設置位置などの検討を行うと聞いております。議員御指摘のインターの形式等についてもこの中で検討されることになりますので、今後、市での検討が済み次第、県としても内容について十分お伺いしたいと考えております。
 次に、住宅耐震化についてですが、建築基準法が改正された昭和56年5月以前に建築された木造住宅を対象とし、耐震診断から耐震改修までの各段階で補助を行っているところです。
 具体的には、耐震診断は無料で実施し、その結果、倒壊の可能性があると判断された場合には、高齢者などの方に対しては専門家を無料で派遣し、個別の相談や改修計画の提案を行う耐震改修サポート事業を実施しております。また、耐震改修に係る設計費についても3分の2の補助を行い、より改修に取り組みやすい制度としております。
 耐震改修工事につきましては、倒壊しないとされる基準までの改修工事はもとより、倒壊しないとされる基準に至らないまでも、人命優先の考えから、避難を重視した基準を満足する改修工事や新しい金物などを利用した安価な工法も補助の対象としております。例えば、標準的な工法で約120万円の工事では個人負担が46万円程度ですが、こういったことを活用いたします場合、工事費は約90万円となり、個人の負担が20万円程度でおさまった事例もございます。
 これら補助制度や安価な工法については、まだ十分浸透していない部分もございますので、県民の皆様にわかりやすく情報発信することにより、今後も住宅の耐震化に向けて取り組んでまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 危機管理監前硲健作君。
  〔前硲健作君、登壇〕
○危機管理監(前硲健作君) 地震対策についてのうち、地域防災計画の見直し、公立施設の耐震化、それと防災対策のあり方と財源についての3点にお答えをいたします。
 現在、中央防災会議では東海地震対策と東南海・南海地震対策が別々の大綱に分かれておりまして、県といたしましては国に対する提案におきまして見直しを訴えてまいりましたが、ようやく3連動を想定した大綱等の策定に着手されることとなりました。これにより、全国で取り組む体制が構築されるものとして大きな期待を持っております。
 そこで、議員御指摘の本県地域防災計画の見直しについてでございますが、現行の計画はこの3地震の連動を視野に入れた最大の被害想定をもとに策定しているところでありますけれども、今後、国において3連動の大綱なり防災戦略、活動要領等が策定されてまいりますので、それにあわせて随時、応急対策計画等の必要な修正を行ってまいりたいと考えております。
 次に、公立施設の耐震化ですが、県では、近い将来発生が予測されている東南海・南海地震等大規模災害に備え、昭和56年5月以前の建築基準法に基づいて建築された建築物のうち、耐震の安全性が確認されております県営住宅を除く一定規模以上の県施設461棟について、平成19年度までに耐震診断を実施いたしました。
 診断の結果、改修が必要とされた305棟のうち267棟につきましては改修等を完了または実施中でございますが、今後さらに38棟について改修等を行う必要がございまして、平成26年度末の完了を目指し取り組んでいるところでございます。
 また、公立学校の耐震化については、本年4月1日現在で県立学校施設は94.5%と、計画的に改修を進めているところであります。また、小中学校施設につきましては73.7%となっており、引き続き、関係市町村に対し早期に耐震化を図るよう働きかけてまいります。
 次に、防災対策のあり方と財源についてでございますが、議員御指摘のとおり、住宅や公共建築物の耐震化を初め予防対策、これが大変重要であります。この予防対策を進める上での財源確保についても、地方自治体にとって大きな課題であります。
 県はもとよりのことでありますが、特に基礎的自治体である市町村におきましては、その財源の捻出に苦心しているところでありますので、地震防災対策特別措置法に定める財政上の特例措置の延長について国に提案をしているところでございまして、今後とも、災害予防対策のためのしっかりとした財源的裏づけとなる支援措置を国に対し働きかけてまいりたいと存じます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 教育問題の暑さ対策、小中学校の普通教室への空調設備設置並びに緑化等についてお答えいたします。
 議員御指摘のとおり、ことしの夏の暑さは近年にない異常な暑さでございました。このような暑い状況下では子供たちの集中力が低下し、授業に支障が出ることも考えられることから、小中学校に空調設備等を設置し教育環境を充実させることは、市町村の取り組みとして検討していただく課題だというふうに考えてございます。
 また、運動場を緑化いたしますと、土に比べ芝生の運動場は地表面近くで温度が3度低いということが確認されており、芝生化した学校では照り返しがなく、以前より涼しく感じられたとの報告を受けております。
 県におきましては、平成20年度から屋外運動場芝生化促進事業を実施し、運動場の全面芝生化に取り組んでいる市町村を支援しております。その結果、平成22年度までの3年間で県内19校の小学校において実施されました。
 小中学校における空調設備の設置並びに屋上緑化等については、それぞれ国の補助制度がございますので、県といたしましては、これらの補助制度を活用し負担軽減を図るよう市町村に働きかけてまいりたいと存じます。
 次に、学力テストでございます。
 全国学力・学習状況調査については、調査方式について、県内すべての学校において在籍児童生徒の学習課題に基づくきめ細かい指導を行うために、全数調査による児童生徒1人1人の学力・学習状況の把握、分析が必要であると考えており、今後さまざまな機会をとらえて強く国に要望してまいります。
 また、県教育委員会では、依然として全国平均を下回る状況を受けまして、新たに庁内に学力向上プロジェクトチームを立ち上げ、市町村教育委員会と協議しながら、各学校の課題に応じた主体的な取り組みを支援するとともに、学力に改善が見られたすぐれた取り組みの普及啓発、退職教員等の協力によるワークシートの作成や学習指導への参画など、具体的な対応策を複合的に行うこととしております。
 今後、さらに市町村教育委員会と連携強化を図り、児童生徒の学力向上に努めてまいりたいと存じます。
 医師の養成についてでございます。
 医師不足に係る学校教育の役割については、医学・医療に対する興味、関心を持たせることであり、県立医科大学の教授等による出前授業に加えまして、今年度から研究室でのインターンシップなど、医学部への進学意欲を高める取り組みを行っております。
 また、地域医療を支える和歌山県内からの高校生募集枠につきましても、医科大学関係者、高等学校長会とともに継続して協議を行っているところでございます。
 今後とも、医師の養成について公教育としてどのような具体的支援ができるか、関係部局、大学等の意見を参考にしながら研究し、連携を図ってまいります。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、中村裕一君の質問が終了いたしました。
 お諮りいたします。質疑及び一般質問を終結することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 御異議なしと認めます。よって、質疑及び一般質問を終結いたします。
 次に日程第3、議案の付託について申し上げます。
 お諮りいたします。議案第116号は、行政改革・基本計画等に関する特別委員会に付託いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 次に、議案第102号から議案第115号まで及び議案第117号から議案第119号までは、お手元に配付しております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 次に日程第4、請願の付託について申し上げます。
 今期定例会の請願については、お手元に配付しております請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
 なお、常任委員会の会場はお手元に配付しておりますので、御了承願います。
 お諮りいたします。9月22日及び24日は常任委員会審査のため休会といたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 御異議なしと認めます。よって、9月22日及び24日は休会とすることに決定いたしました。
 次会は、9月27日定刻より会議を開きます。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後1時50分散会

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