平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(藤井健太郎議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 本日最後の質問者ということでございまして、一生懸命頑張らしていただきますんで、どうぞ最後までおつき合いよろしくお願いいたします。(「頑張れよ」と呼ぶ者あり)御期待に沿えるように頑張っていきたいと思うんですが。
 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず、「経済・雇用・くらしと営業の安定に向けて」ということで、県経済の先行き、見通しをどのように考え、これまでの経済対策の成果と今後の対策についてお伺いをしたいと思います。同時に、県経済を支える主役の1つでもある県民の家計の収入が減り、消費力、購買力が冷え込んできている中で、県民生活をどのように応援していくのか、県民の暮らしの安定に向けてどのように考えているのかをお伺いいたします。
 内閣府の景気ウォッチャー調査というのがありまして、街角の景気実感を各産業分野で調査をして指数であらわしたものであります。ことしの8月の結果を見ますと、前月比4.7ポイントの低下、45.1。2カ月ぶりに悪化をし、家計や企業、雇用、この3部門ですべて低下ということが示されておりました。この調査では、景気が回復傾向にあるかどうかの実感をはかる指数として、横ばいの状態を50という数字であらわしておりますが、この3年4カ月間、若干の上昇下降はあるものの、50を上回らない状況となっております。この2年間さまざまな景気対策がとられてきましたし、現在もとられつつありますが、景気回復の実感が伴わないことを示した1つのデータと言えます。
 今議会の冒頭、知事は、経済情勢への対応として、景気・経済情勢に対する対策の出動は国レベルでないといかんともしがたい、心配しながら国の対策に期待をすると言われました。しかし、県としては業況把握に努め、資金繰りと競争力、成長力の強化を支援していく、雇用面では、経済団体への求人の要請、企業と求職者のマッチングの機会の提供を行うというように言われております。
 これまで知事は、経済対策として、新商品や新技術の開発など伸びる可能性のある企業をさらに伸ばして競争力をつけていくこと、トップセールスなどで販路拡大を県外、国外に求めていくことなど、経済の供給側、企業活動を活発にしていく経済政策に力点を置かれているように見受けられます。
 県内経済の需要の側面、県内事業者の仕事づくりや県内の消費力をいかに高めていくかという視点でどのように考えておられるのか。企業活動に活力を持たせることによって雇用の増や給与のアップに期待できるという側面もありますが、県経済の自立的な景気回復を図っていくために県内での需要の喚起、冷え込んでいる家計をどう応援していくのかということも必要だと思うのですが、どうでしょうか。
 家計を応援するという視点から見ると、1つは県民の安定した雇用の維持や所得を向上させていくこと、2つ目に将来の生活設計に安心感が持てること、年金、医療、介護など社会保障制度の給付を安定させ、所得に占める社会保障負担をできるだけ軽減させていくことなどが必要だと私は考えています。
 そこで、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 1つは、県経済の今後の見通しと対策について。
 県経済の今後の見通しと対策の基本的な考え方をどのようにお持ちなのか。国の対策を心配しながら期待をすると言われておりますが、国に対してどのように働きかけをしていくのか。県として経済振興に係る基本的施策はどのようなもので、今後どうしていくのか。県内の需要を拡大させていく、強化していくということについてはどのように考えておられるのか。
 2つ目に、経済対策の評価と今後の対応について。
 08年12月から始められました経済対策は、景気を自立的な回復軌道に乗せることができている、できつつあると考えられているのでしょうか。経済対策関連の基金事業が設置をされておりますが、来年度でこれは底をつくことになります。これまでの評価と今後どのように活用を図られるのか。
 3つ目に、緊急雇用創出事業、ふるさと雇用再生事業について。
 離職を余儀なくされた人の一時的つなぎ雇用や失業者の安定雇用につなげるための事業が国の経済対策として全国の都道府県で実施をされております。国が発表いたしております緊急雇用の21年度実績と22年度計画を見ますと、本県は、雇用創出数で下から4番目、ふるさと雇用でも下から4番目、2つの事業を合わせた雇用創出数では下から2番目という低位に甘んじております。国が配分した予算の範囲内のみの事業でということでと見受けられますが、雇用創出を拡大していくという、そういう点から見てどのように考えて、今後どのようにされようとしているのか。
 4点目に、正規雇用の拡大について。
 ことし7月の本県の有効求人倍率は0.58倍。職を求める人2人に対して1人分の仕事しかない。正社員の有効求人倍率は0.27倍という状況で、正社員を希望する人では3人に1人分の仕事しかないという状況です。正社員としての仕事を求める求職者に対して、求人が少ないという状況が見てとれます。企業の求人の中でも、アルバイトなど非正規が占める割合が拡大してきているのではないでしょうか。また、失業率は改善の方向にあるのでしょうか。どのような認識をお持ちでしょうか。雇用の安定化を図るためにも正規雇用の拡大が必要です。正規雇用の拡大を進めることについてどのように考えておられるのでしょうか。
 5点目に、賃金、所得の向上について。
 県民所得の動向はどのようになっているのか。勤労者の賃金はどのようになってきているのでしょうか。毎月勤労統計調査であらわれている本県の平均現金給与総額では、この10年間低下を続け、10年前より年間53万円ほど下がっているようになっています。どのような認識をお持ちでしょうか。
 ことしの8月、最低賃金の改定が和歌山地方最低賃金審議会から和歌山労働局長に答申をされましたが、雇用者報酬を引き上げていくためにも最低賃金の引き上げが必要だと考えますが、知事の見解はいかがでしょうか。
 最低賃金は直接県の権限が及ぶところとはなっておりませんが、県内の最低賃金、ことしは10円引き上げて684円にするという答申となっています。10円の引き上げは全国最低のランクでもあり、近畿2府4県でも一番低い金額です。
 6点目、中小企業向け融資制度、金融円滑化法について。
 国の緊急保証制度の拡充を受けて、県の融資制度の見直しが随時実施をされてまいりました。ことし2月から拡充された資金繰り安定資金、経営支援資金を中心に毎月平均440件、50億円程度の資金供給がされております。県の中小企業振興策の柱でもあります。今般の円高への懸念が広がりつつある中で、さらなる中小企業向け制度融資の償還期限の延長、利息の引き下げ、貸し出し枠の拡大や融資の早期実行など、経済状況に見合った資金需要にこたえていくことが求められていると思います。
 今、とりわけ円高からの先行き懸念で、より安く材料を仕入れるために現金取引をされ始めた事業者の方々からは、短期決済資金を申し込んでからの早期実行と金利の引き下げをしてほしいという話を聞きます。また、貸し付け条件の変更を求めることができる金融円滑化法が施行されておりますが、申し込みをしにくいという話もよく聞きます。有効活用を進めていくために県からの金融機関への働きかけを続けていくことも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、関西広域連合について。
 今議会に関西広域連合設立に向けて規約案と予算1224万5000円が計上されました。ことし2月議会で規約案が説明をされ、これまで議論が進められてきたところですが、議案提出に当たり、改めてお尋ねをしておきたいと思います。
 私は、地方自治体のあり方としては、住民の暮らしの身近なところで住民の必要とするサービスが提供できることが最も望ましいと考えています。そのためには、基礎自治体である市町村の権限と財源を拡充・強化し、市町村を補完する広域自治体としての県の役割を高めていくことこそ重要だと思っています。そういう観点から、県域を超えた広域自治体づくりについては慎重に検討したいという思いを持っています。
 関西広域連合という関西の府県域を超えた新たな広域自治体をつくるということになります。今日の厳しい財政状況、経済状況の中で、県民の暮らしや営業の立て直し、住民自治の発展にとって、果たして必要なものなのかどうか、どのような展望と期待が持てるものとなるのか、現時点で県民にどこまで説明ができるのか、県民の理解と同意が得られたと考えているのか、お尋ねをいたします。
 1つは、広域連合で関西は元気になるのか。
 関西が元気になれば和歌山も元気になると言われますが、元気な関西とはどのような状況を想定されているのか。広域連合でないと実現できないものなのか。それと和歌山を元気にしていくこととどのように関係していくのか。県の産業振興、県民所得の引き上げ、少子高齢化対策や過疎対策などにどのような期待が持てるのでしょうか。
 2つ目に、経済界の位置づけとその役割について。
 関西の経済界が中心になって自治体の広域化を進めてきたこれまでの経緯があります。広域連合の協議会にも参加をして発言していくと、このように言われておりますが、経済界の広域連合での位置づけや役割はどのようになるのか。経済界にはその企業活動を通じて社会に貢献するという役割が期待をされております。しかし、広域連合は自治体であり、住民全体への奉仕者であることが求められています。運営についても住民自治が発揮できるようにすることが求められています。したがって、経済界の企業利益の追求の立場からの意見が大勢を占めることになることがあっては問題があると考えます。
 3点目に、地域開発と広域連合の役割について。
 関西広域機構の理事に、大阪湾ベイエリア開発推進機構という特定のプロジェクトを推進する団体が入っています。大阪湾ベイエリア開発の実現に向けての力が注がれることになるのではないか。
 もう1つは、国のこれまでの全国総合開発計画、いわゆる全総にかわる国土形成計画法による近畿圏広域地方計画が策定をされております。既に、道路や河川、港湾などの社会資本整備については広域計画ができ上がっています。経済団体と関係府県によって構成される近畿圏広域地方計画協議会がこの計画づくりを主導してきましたが、協議会の会長は関西広域機構の会長でもあります。大阪湾岸の開発、近畿圏の広域整備が広域連合の本格的な仕事であり、主たる目的となるのではないでしょうか。
 4点目に、広域連合の持つ問題点について。
 全国知事会道州制特別委員会報告が平成18年6月にされております。座長は木村前知事であります。本県が事務局を持っておりました。その報告の中で、広域連合について次のように述べている部分があります。「広域連合には課税権がないため、関係都道府県からの財政負担に依存することとなるばかりか、事業実施にあたっても実質的に複数の構成団体の意向に左右されるなど、むしろ調整に時間がかかることも想定される。 また、現行の都道府県を存続しながら新たに広域連合を設立することは、組織上、屋上屋を架すことにもなりかねず、運用に関して効率性に欠けるとともに、住民から見れば責任の所在がわかりにくくなることや広域連合で実施する事務と都道府県で実施する事務の連携・調整の面で総合的な対応が不十分となることなどが懸念される」。広域連合には、次のような限界があるとして、詰まるところ道州制の必要を説いているわけです。調整に時間がかかる、組織上、屋上屋を架す、運用に効率性がない、住民から見れば責任の所在がわかりにくい、広域連合と県の事務調整で総合性が不十分となると。これは全国知事会の道州制特別委員会の報告でありますが、関西広域連合にはこういった問題点が実際にあるのでしょうか。
 5点目に、広域連合と府県間協定について。
 関西広域機構の構成団体、理事となっております福井県、三重県、奈良県並びに政令市が設立時から広域連合に加わっていない中で、関西全体の問題が広域連合で扱えることになるのでしょうか。広域連合による事務と府県間協定による事務と二重行政になるのではないでしょうか。
 近畿2府7県の危機発生時の相互応援に関する基本協定が06年4月に締結されています。そこには、奈良、三重、福井も参加をしております。災害対策基本法、武力攻撃事態法、その他重大な被害が生じた場合、生じるおそれがある場合、相互応援する協定となっております。同時に複数の府県が被災しても要請にこたえられ、生活必需物資、資機材の提供、避難者、傷病者の受け入れ、職員の派遣、ほか要請のあった事項について対応するとなっております。新型インフルエンザなど危機発生時に備え、近畿の地方衛生研究所間で連携する協定が06年8月に締結されています。奈良、三重、福井も参加し、京都市、大阪市、神戸市、堺市の政令市や和歌山市も参加をしております。
 近畿地域イノベーション創出協議会、工業試験場などの試験研究機関の相互活用を図るもので、福井県、奈良県の工業技術センターも参加をしております。最近では、農林水産分野で果樹、飼料米研究を行うための試験研究機関の連携協定が、ことしの8月に、京都、大阪、奈良、和歌山の2府4県で結ばれています。カワウ広域協議会というのもあります。中部近畿カワウ広域協議会、近畿、中国、四国、九州のそれぞれの一部15府県で構成されております。近畿では、滋賀と大阪、そして徳島が入っております。和歌山は入っていません。この分野では県の事務がふえることになるのか。それともこの事業には加わらないことになるのでしょうか。
 これらを見ると、広域連合で実施するとされている事務が既に協定で実施されており、広域連合の参加府県のほうが少なくなります。協定締結府県のほうが多くあり、現在の府県間協定は生きたものとし、共同事務が行われることになると思われます。広域連合に加入していなくても広域で共同処理する事務への対応はできることになります。協定で不足しているものがあれば補強すればいいのではないでしょうか。
 6点目に、広域連合と道州制について。
 全国知事会や経済界は道州制を推進する立場をとっております。広域連合と道州は組織や権限のあり方は当然異なるものでありますが、道州制を展望して、道州制の議論を進めながら広域連合を発足させることになります。それとも、関西広域連合発足によって関西の道州制の議論はとまることになるのでしょうか。広域連合は過渡的な組織となり、最終的には府県間の広域行政のあり方として道州制を目指すこととしているのではないでしょうか。
 関西経済連合会の関西ビジョン2020、2008年10月に策定されたものですが、関西での広域連合への取り組みが、道州制導入に向けての議論を深め、実現させる先駆けとなると書かれてあります。全国知事会の道州制に対する基本的考え方、2007年1月に発表されておりますが、道州は都道府県にかわる広域自治体とし、地方自治体は道州と市町村の2層制とする。ことしの6月、政府の地域主権戦略大綱では、都道府県を越える広域的課題については、広域の連携も重要とし、自発的な連携や広域連合等に対する支援のあり方を検討、道州制についての検討も射程に入れておく。射程というのは、撃てば当たる距離のことです。手の届くところに置いておくということだと思います。
 7点目に、国の事務の受け皿について。
 国の出先機関の事務の移譲を受ける受け皿づくりとも言われておりますが、関西広域連合への権限と財源の移譲が他地域よりも先行して行われることになるのでしょうか。全国一斉に権限と財源の移譲が行われない限り、先行して受けるとしても極めて限定的なものになるのではないでしょうか。
 住民の理解と同意について。
 住民の理解と同意はどの程度まで得られていると考えられているのでしょうか。知事は、県民の中でよく理解していただいて、わかった上で発足しなきゃいけないと。去年の6月議会の答弁ですが、議案の提出に当たり、そう言える状況になったと考えておられるのでしょうか。「県民の友」や行政報告会、市町村長会や議長会、シンポジウムの開催など、説明はされてきたところですが、その中で反対意見はなかったということをもって県民には理解してもらえたということになるのでしょうか。
 広域連合で取り組む個別の事務について、2点ばかりお尋ねをいたします。
 1つは、温暖化対策への取り組みについて。
 広域連合では、温室効果ガスの排出の総量の削減に関する事務を行うとされています。温室効果ガスの削減目標は引き上げられるのでしょうか。京都議定書で1990年を基準に2012年までに6%削減が公約されていますが、逆に排出量はふえてきている現状です。広域連合がどのように働きかけていくのか。府県により設定目標はばらばらとなっておりますが、本県は10.6%の削減を掲げています。大量排出者への関西規模での総量規制がかけられることになるのでしょうか。
 もう1つは、ドクターヘリの運航について。
 関西全体の需要予測調査を行い、関西全体での最適配置、運航を行うとし、和歌山のドクターヘリを広域連合へ移管するとなっています。ドクターヘリの運航は、より身近にあるほうが救命救急医療にとってより効果が上がります。現在、県立医大附属病院に1機配備され、県内の消防本部から附属病院内の運航指令センターへホットラインが入るようになっております。ドクターヘリは、救急現場からの搬送時間の短縮と早期の治療開始が最大のメリットであるわけですが、運用が広域連合に移ればどうなるのか。さらに時間短縮や複数ヘリでの対応がされるのでしょうか。
 以上お尋ねして、私の第1問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、経済・雇用・暮らしにつきまして申し上げます。
 本県経済は、鉄鋼、化学などの一部業種を除き、回復への懸念要因が払拭されたとは言えません。現時の円高の影響により、今後、先行きに慎重にならざるを得ない状況にあると考えております。さらに言うと、前政権のときの潤沢な資金の経済対策で──そのような資金が、例えば県に基金などの形で配られております。この対策のいわば繰り延べ効果という形で、この1年間何とか景気の腰折れというのがなくて過ごしてこれたんじゃないかというふうに私自身は思っております。
 あんまりこういう悲観的なことばっかり言うと、私の立場からするとよくはないんですけれども、正直に申し上げますと、このような効果も考えると余り楽観的にはなれないというのが私の気持ちでございます。
 このような、これまた景気、経済情勢の対策は、理論的にも実際的にも国レベルでないと効果的な対応は難しい面があります。そういう意味で、やきもきをしながら心配しておるんですが、国に対しては、景気対策と、それから成長戦略、これをしっかりやってくれというふうに頼むとともに、県レベルでできることは全力で取り組んでいこうと考えておりまして、いろいろな対策を講じております。
 経済の活性化並びに雇用や所得の確保など県民生活の安定を図るため、平成20年12月、緊急経済対策本部を設置し、産業別担当者などを活用し、業況を的確に把握するとともに、金融対策や基金事業を初めとした雇用対策、下請地場産業対策などについて、国の経済対策の活用も図りながら全庁挙げて取り組みを進めてきたところであります。
 主な取り組みでありますけれども、金融対策につきましては、資金繰り安定資金や経営支援資金など、国の緊急保証制度と連携した特にセーフティーネット制度融資の創設によりまして、小規模零細企業への資金供給あるいは事業継続を支えることができたものと考えております。また、下請地場産業対策では、下請かけこみ寺の活用、相談窓口の設置により企業の課題に応じた指導を行ったところであります。このような施策により、本県経済の打撃を受ける、そういう打撃を受けることを防ぐことに一定の効果があったものと認識しております。
 今後とも円高などの動向を注意深く見守りながら、県民生活や企業の業況把握に努め、国に対して必要があれば提案、要望を行うなどし、引き続きセーフティーネットの充実、経営革新などの施策について機動的かつ適切に対策を講じてまいりたい、そんなふうに思っております。
 次に、雇用情勢につきましては、完全失業率が5%台を推移し、本県の有効求人倍率は全国平均を上回っており、近畿ではトップでございますが、かといって喜ぶわけにはいきませんで、依然厳しい状況が続いております。
 こうした状況を踏まえ、ふるさと雇用再生特別基金活用事業及び緊急雇用創出事業臨時特例基金活用事業の推進に鋭意取り組んでおり、21年度は県事業と市町村事業を合わせ1693人の雇用を創出しております。今年度はさらに基金を有効に活用し、現時点で約2700人の雇用を創出する計画を立て、切れ目のない雇用の創出に取り組んでおります。
 また、正社員有効求人倍率は低い状況が続いておりまして、就職面談会などのマッチング機会の提供やジョブカフェを初めとした若年者雇用対策、また経済団体や約3000企業への求人要請を行い、正社員の雇用拡大に向け取り組んでおります。
 これから、特に高校生の就職などが次の年に向けてまた始まります。ぜひできるだけ多くの人を雇ってくださるように、これからももう一度拍車をかけて企業などにお願いをしてまいりたい、そういうような指令を発したところでございます。
 次に、毎月勤労統計調査で所定内給与は減少傾向にありますが、賃金、所得の向上については、県内企業の生産性の向上など、事業活動そのものを活発化させることが重要であると考えています。このため、県内企業の研究開発やあるいは販路開拓の支援等を強化し、企業の力を強めるということもやっているところでございます。
 また、最低賃金の適正な引き上げは、労働者の生活の安定、消費の刺激、内需の拡大へとつながるプラスの要素があると考えておりまして、私は、できるだけ賃金が上がればいいというふうに思っております。しかし、これは無理やりに大幅な引き上げをいたしますと、それならば雇用を縮小する企業、あるいは撤退・廃業する企業が出ては一大事でありまして、こうするとかえって失業者が出て、人々の暮らしをより悪くするということにもつながりかねません。そういうことにも留意は必要であります。
 本県の最低賃金についても、公益、労働者、使用者の代表で構成する最低賃金審議会で地域経済等の実情を十分踏まえ、慎重な審議を経て、和歌山労働局長が法の趣旨に沿って決定されていると認識しております。
 いずれにしても、県経済が活性化することが重要であり、県内企業の元気を取り戻すため、技術力強化とか販売促進とかを柱にさまざまな施策を積極的に講じてまいりたいと考えております。
 次に、関西広域連合について幾つかの質問にお答えしたいと思います。
 まず、関西は元気になるのかということですが、元気な関西圏とは、地域の個性を連携させながらスケールを広げ、首都圏とは異なる多様な価値が集積する日本のもう1つの中心核として発展することであると考えております。このように関西圏が発展することが本県の発展にもつながると思います。
 県の区域を超えて取り組む必要のある課題に関西が一丸となって取り組む体制である関西広域連合は、元気な関西づくり、関西圏の浮揚につながる一助になると考えまして、関西広域連合への参加を目指してきました。
 本県が参加する具体的なメリットといたしまして、私どもから考えますと、とりわけ、これは一例ですが、本県の東南海・南海地震に備えた防災対策の強化充実とか、京都や大阪などの協働による海外からの観光客の誘致など、幾つか挙げることができると思います。
 次に、経済界の位置づけ、役割であります。
 関西広域連合は官民連携団体ではありません。地方公共団体でありますので、幅広い層の方々からいただいた御意見を運営に反映していくことになりますが、責任は行政庁であります。具体的には、経済界だけでなく、市町村や住民団体の代表の方、学識経験者などに附属機関として設置する広域連合協議会──これは規約に載っておりますが──これの構成員になっていただいて、いろんな意見を言っていただくということになろうかと思います。
 次に、地域開発と広域連合の役割であります。
 関西広域連合は、広域的な防災、観光、環境など、広域的に取り組んだほうが効果が上がるものに幅広く取り組んでいくことにしておりまして、社会資本整備を主たる目的とするものではありません。
 次に、関西広域連合がもし問題点があったら何じゃということでありますが、議員御指摘の点については、広域連合の限界を道州制を是とする立場から考えると限界があるというような議論でありまして、県が存続するということを前提にして、それよりはどうかということを議論したものではございません。県を前提として現在の広域連合を考えると、問題点があり得るとすれば、これは県の事務との関係において二重行政がどうだとか、あるいは屋上屋にならないかどうかとか、それから、るる申し上げておりますような人口の少ない県が損しないかとか、そういう問題があると思うんです。それについてはいろいろ配慮あるいは措置をいたしまして、必要最小限の経費で効率的に目的を達成できるよう、あるいは人口の少ない県が損することがないよういろいろ配慮して仕組みをつくっておると、こういうことであります。
 それから、関西広域連合と府県間協定であります。
 これは、広域的な課題については今まで広域連携で行ってきたものもあります。広域連合で行うことによって、より責任の所在が明確になって、より具体的に連携が進むというふうに期待されているものもあると思います。すべて連携をやめるというわけではありませんが、移せるものはどんどん移していけばいいというふうに思うわけであります。
 それから、道州制との関係につきましては、関西広域連合が道州にそのまま転化することはないと8月27日の関西広域機構分権改革推進本部会議で関係府県の知事等が確認したところです。ありていに申し上げますと、関西広域連合は道州制をとめるということにもなりませんが、推進するということにもなりません。
 次に、国の事務の受け皿についてでございます。
 国からの権限の受け皿については、今まで、複数の県にまたがる事務について府県では調整ができないという理由で、地方への権限移譲を拒否する国の言いわけあるいは理由がありました。例えば、府県間をまたがるような河川において、上流と下流の総合的な管理が必要だから、したがってそれぞれの各府県には任せられないということで権限の移譲はできないということであったんですが、広域連合ができますとこの中で議論ができますから、それは可能になってくるということだと思います。
 ただし、何を移し、何は国が責任を持ち続けるべきか、こういうことについてはそれぞれきちんと議論をして考えるべきだと私は思っております。さらに、権限が移される際には、その必要な財源、そういうものについての保証が絶対条件であると考えます。
 次に、住民の理解と同意でありますが、県民の周知については「県民の友」やホームページ、広報番組、シンポジウム、行政報告会を通じ、県民の方に説明を行ってきました。さらに、市町村にも御理解と御協力をいただくよう努力してきました。他府県となかなか比べにくいんですけれども、他府県のいろいろなこういう理解を求める努力に比べて和歌山県が劣っているということは全然ないと考えます。
 そのかいあって、関西広域連合に対する県民の認知や理解が広まってきたと思いますし、県のホームページで意見募集をいたしまして、特に反対の意見はなかったというふうに理解しております。
 したがって、ここで県民の代表たる皆様方にお諮りをいたしまして、広域連合について御賛同いただけないかどうか、そういうことを代表者の方々に御議論いただく機会として、別に早過ぎることはないんじゃないか、そんなふうに私は考えております。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 中小企業向け県融資制度についてでございますが、一昨年秋の世界同時不況以降、国の緊急保証制度と連携し、償還期限の延長、貸付限度額の拡大などを図るとともに、全国的にも最低水準まで融資利率の引き下げを行い、また中小企業の皆様方の意見も参考に、例えば短期決済資金の償還方法に一括償還を加えるなど、不断の見直しを行っているところです。
 今後とも、厳しい経済情勢を踏まえ、より使い勝手のよい制度となるよう見直しを行い、安定的な資金供給ができるよう努めてまいりたいと考えております。
 また、中小企業等金融円滑化法に関しましては、昨年12月に県内金融機関等に対し、返済条件の変更について個別企業の実情に応じた柔軟な対応を要請したところですが、今後とも同法に基づく各金融機関の開示状況を注視するとともに、引き続き中小企業者への円滑な資金供給について要請してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 関西広域連合における温暖化対策の取り組みについてですが、温室効果ガスの削減については、産業構造や森林面積など、各府県でそれぞれ異なる実情に即して目標を設定し、対策を講じているところです。また、関係府県においては、事業者に対する排出量規制という削減手法を採用していない状況でもあります。
 関西広域連合においては、広域環境保全の設立当初の取り組みとして関西広域環境保全計画を策定することとなっておりますが、その内容につきましては、今後、計画検討委員会で議論するということになっており、温室効果ガス削減についても、国の動向や各県の計画など実情を踏まえつつ、その内容が議論されていくものと考えております。
 関西広域連合の当面の具体的な取り組みといたしましては、関西統一キャンペーンの実施や電気自動車充電器ネットワーク化の検討など、広域メリットが十分に生かせるもの、また広域調整が必要なものなどに的を絞り、積極的に取り組むこととなっております。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) ドクターヘリの運航についてお答え申し上げます。
 関西広域連合に参加する地域では、現在、和歌山県、大阪府及び兵庫県にそれぞれ1機ずつ計3機のドクターヘリが配置されており、今後導入を検討している県もあると聞いております。
 ドクターヘリの運航が関西広域連合に移管されましても、ドクターヘリの配置及び運航指令センターは現行どおり和歌山県立医科大学附属病院となっております。
 各府県が独自にドクターヘリを運航することに比べまして、関西広域連合において現行以上の複数のドクターヘリを適切に運航するほうが県民の安全・安心がより高まり、高度な救急医療体制を提供できるものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 経済対策と関西広域連合ということでるるお尋ねをしたわけですが、経済対策はなかなか悩ましい問題であるわけですが、今回、家計という視点から見てどう見るかということで質問をさしてもらったつもりなんですが。
 和歌山県内というのはもうほとんどが中小企業でありまして──そうなんですが、その事業活動の活性化を図るということが県民の雇用の場の提供や所得の向上に結びつくと。それはもうそのとおりなんですけども、しかし、これだけ家計が冷え込まされてきて、消費力、購買力が低下をする中で、地域の仕事もどんどん減ってきてるということにあるわけですから、内需を喚起すると、内需をどうつくり上げるのかという視点からのそういう方向に沿っての政策の組み立てというのも私は必要ではないかなと。
 そういう点で検証してみるということで──どちらかといえば企業活動を応援する、供給サイドを引き伸ばしていくということで全体を潤していこうというような方向にあると思うんですが、その逆の立場から、じゃ需要はどうなんだろうかということで、県民生活の実態であるとか、消費力であるとか、仕事量がどうなっているのかとか、そういうところから、そこを温めていくという形での政策の組み立てというのも私は1つの方法として必要だと考えておりまして、これはもう要望には──もう来々月、知事選挙ですから、私はそういうふうに考えてるんだと、そういう意見を持ってるということで、ぜひお含みおきいただけたらと思います。
 関西広域連合ですが、議会で議案が提案をされておりますんで。やっぱり幾つか気になる点があるんです。関西広域連合ができたからすぐ関西全体が元気になるというわけでもないと思うんですね。そのことで和歌山県がストレートに直結するということでもない。和歌山県は和歌山県で一生懸命頑張っていかなくてはいけないということがもちろん当然あるだろうと、そういうふうに思っておりまして、分権改革ということでいえば、まず市町村、それを補完する都道府県、そこのところに権限と財源を持ってくると。そういう中でまだ不足する分であれば広域連携とか広域連合とかいうことも考えられると思いますが、そこのところを抜きにして、いきなり府県域を超えた広域連合をつくるということには少し違和感を感じるところもあります。
 地方自治体の姿としてどうあるべきかということの結論がまだ国民のコンセンサスとしては出てないと思うんですね。今、地域主権改革ということで、地方政府基本法をつくろうとかいうようなことの話もありまして、一方では、大阪の橋下知事などは8月にも大阪の市長との論戦の中で、強い大阪、強い関西をつくるためには連携を超えた意思決定が必要と、そのための新しい広域自治体として関西州が必要だと考えると。一足飛びにいかないなら、関西広域連合を踏み台にして、そこで努力をしていくということで、関西広域連合がそのまま道州につながるものではない。これはもうだれが見てもそう思うわけですね。
 しかし、一方では道州制の議論が進んでいるわけです。広域連合を構成する団体の首長の中でも道州制の議論がある。片や兵庫県の井戸知事などは、政府の地域主権戦略大綱の道州制を射程に入れて検討するとしてることについては、道州制は国が制度的に府県合併を強制する仕掛けであって、地域主権に反するんだと、こういうコメントもされているわけです。
 広域連合が出発をして、先ほど知事は、広域連合は自動的に道州制になるもんでもないんだと、しかし道州制の議論は議論として別にあるんだというような話がされていたわけなんですが、じゃあ仁坂知事としてはこの関西広域連合の議案を提出するに当たって、この道州制というものについて地方自治体のあり方として、片や広域連合があって、これで広域行政はできるということがあって、一方で道州制の議論がされておって、それが進められていって、仁坂知事としては、この和歌山県の県民の暮らしとか今の産業の状況とか、さまざまな課題がたくさんあると思うんですが、そういったものを解決するために道州制についてはどのように考えておられますか。これをお尋ねしたいと思います。
○副議長(山下直也君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、道州制についてはいろいろ考えるところがあります。絶対反対、何でも反対ということを言うつもりもございませんが、2つの点からちゃんと問題をきちんと詰めないと案にならないというふうに思っております。
 1つは、この国の形を規定するものとして、道州に何をやらせ、国としては何をちゃんと責任を持ってやり続けるか、そういうことについて、何でも道州ができたから移してしまえというと日本の国が分解してしまうというような、特に経済規制の上書きなどでそういう問題が発生するんだということについて、余り人は言わないんですが、私は大変な懸念を持っています。
 2つ目に、私は和歌山県の知事であります。一番責任を持つべきは、この100万人の──ちょっと切りましたか知りませんが──この100万人の県民の幸せを考える。これが私にとっての使命であります。したがって、その100万人の県民にとって懸念のあるようなことはきちんと詰めてもらわないと、あるいは詰めていかないと軽々しく乗るわけにはいかんということだと思います。
 それは、具体的に言うと、道州間の調整というのを何1つ議論はしてません。全部東京を中心とする州が勝ってしまうかもしれない。それから、道州の中で、道州内の配分をどんなふうにするんだというようなことについて何1つ議論されておりません。ちょっと専門的な用語で言うと、道州間財政調整と道州内財政調整、こういう2つの問題についてきちんと案が出てこないと、やっぱりそんなものを「はい」、「イエス」と、「何でもええんです」と言うわけには私はいかん、そういうふうに思っておりまして、これが100万人の県民に対する私の責任だというふうに思っております。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再々質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 じゃあ、知事に再度お伺いいたしますが、100万県民の幸せを願ってという、それは知事として県政の最高責任者、県民の代表として当然だと思うんですが、じゃ、このつくろうとしてる関西広域連合はその100万人県民の幸せとどうつながっていくのかというところをきちんと県民に説明をしなくてはいけないと思うんです。
 ホームページで意見を募集したら反対意見はなかったと言いますけど、たしか3件しか意見が来なかったというふうにも聞いておるんですが、余り県民としては自分のみずからの生活と関西広域連合が結びついていないといいますか、そういう状況にまだ広くあるんではないのかなという気が私自身しているわけですが、この100万県民の幸せと関西広域連合を、どう結びつくのか説明していただきたいと思います。
○副議長(山下直也君) 再々質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) これについては、私がこの提案理由の中で御説明しておりますように、和歌山県の100万人の県民にとって少しでもいいことがあったらやろうじゃないかというのが基本的な考え方です。もちろん、悪い点のほうが多ければやめたらいいけども、悪い点は極小にしたから、したがって、いい点は幾つか考えられる。例えば、先ほど答弁で申し上げましたような点がいろいろ考えられるので、これは100万人の県民のためになるんではないかと、そういうことを考えて御提案申し上げた次第でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 以上で、藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は9月21日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時38分散会

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