平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(泉 正徳議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○泉 正徳君 おはようございます。
 先日の15日の夜半に新宮市を襲ったゲリラ豪雨は、床上・床下浸水、大変多くの方に被害をもたらしました。この場をおかりいたしまして、被害を受けられた皆さんにお見舞いを申し上げます。それとともに、和歌山ではほとんど雨が降っていないんですが、新宮ではこれぐらいのゲリラ豪雨があったということ、改めて和歌山は南北に広い県だと、和歌山に住んでますから余計広さを感じたわけでございます。そういう意味からも、僻地から出身の私がこういう機会を得ましたこと、大変うれしく思ってます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 本年8月の推計人口で和歌山県の人口が100万人を割り、私たちが子供のころから教わってきた「100万県民」という意識からすれば、県の人口減少に一抹の寂しさを感じるのは私だけでしょうか。
 県の統計によりますと、初めて100万人を突破したのは昭和30年の国勢調査であり、推計人口では昭和57年の109万人が最高だそうであります。その当時に比べると、9万人の人口が減ったことになります。この減少した人口を和歌山県の南部に置きかえてみますと、白浜町の半分、すさみ町以南、新宮市までの人口が30年足らずでなくなった計算になります。
 22年3月末が法期限だった過疎地域自立促進特別措置法が、全国知事会初め、多くの団体の皆さんの働きかけで現行過疎法の6年間の延長が本年3月、衆参両院では全会一致で可決され、県内では新たに由良町、那智勝浦町、太地町が過疎地域に追加され、県下30市町村のうち半数以上の16の市町村が過疎法の対象地域となりました。
 このたび、法の延長を受けて、和歌山県では、和歌山県過疎地域自立促進計画及び過疎地域自立促進市町村計画のもととなる過疎地域自立促進方針を定め、過疎地域の再生、活性化に取り組むとされています。この方針では、「産業の振興」「交通通信体系の整備、情報化及び移住・交流の推進」「生活環境の整備」「高齢者等の保健及び福祉の向上及び増進」「医療の確保」「教育の振興」「地域文化の振興等」「集落の整備」が取り上げられ、過疎地域自立促進の基本的な方向と広域的な経済社会生活圏の整備計画との関連がうたわれています。
 昨年の2月議会でも過疎地域の現状について知事から答弁をいただきましたが、過疎問題はもはや過疎地域だけの問題ではなく、大きく和歌山県の問題として取り上げなければならないところに来ているのではないかと思います。地域振興や医療、保健、福祉、道路を初め地域のインフラ整備、多岐にわたる過疎地の抱える問題がありますが、和歌山県政の課題である今後の過疎対策についてどう取り組まれるのか、知事の決意をお聞かせください。
 また、過疎地域自立促進方針に基づき基本計画の策定から計画を実行に移すまでには、県と市町村が地域の実情を共有し、そしてまた問題の解決に向けての活発な議論や地域のニーズに対する理解が必要です。今回の促進計画の中でも多くの事業メニューがあり、特に県の施策として重点的に取り上げられている過疎生活圏に関する再生活性化方針をどのように定めて、具体的な過疎計画にどう結びつけていくのか。また、現状での市町村との協議事項と課題について、企画部長よりお答え願います。
 そして、今回計画遂行のために一番のポイントは、地域の担い手をどのようにつくり上げていくかだと思います。関係機関や関係者との協議や調整など事業を推進するための地域でのコーディネーターが必要であり、従来市町村職員が担っていた分野、いわゆる市町村が進めてきた行政統治にかわり、計画を進めるために住民の参画意識を促し、運営主体をどうつくり上げていくかがこの計画の成功の秘訣だと思います。役所のOB初め、生活圏単位だとまだまだ人材もあろうかと思われますが、地域の実情に明るく、やる気のある人材を運営主体のリーダーに育てることも必要ではないでしょうか。地域の担い手をどのように考えているかを企画部長からお聞かせください。
 次に、地域医療についてお伺いします。
 和歌山県では、平成20年3月に策定された和歌山県保健医療計画に基づいて地域医療に取り組まれ、この中では、医療のみならず、保健や福祉の総合的な取り組みにも触れられています。
 先月の8月22日、田辺で開催された地域医療シンポジウムの会場では知事の姿も拝見して驚いたのですが、田辺圏域では田辺圏域保健医療介護の連携体制の構築をすすめる会を発足させて、医療・介護の効率的な連携を目的に、患者の情報を共有する仕組みをつくる活動が行われています。このシンポジウムでは幾つかの取り組みが発表されましたが、特に感じたのは住民の意識改革です。住民に医学知識を持ってもらい、自分の健康は自分で守るという地域での取り組みです。
 また、国保は市町村、介護は広域という事業主体の違いの壁や、全国的にも社会福祉士や介護福祉士など福祉職出身が多くなり、主治医との連絡について医療分野の敷居が高いと感じている人が多いという意見もあります。県民の健康を守るための保健、医療、介護の連携についての知事の考えをお聞かせください。
 この保健医療計画の中で保健医療圏域別の入院患者の動向が示されていますが、和歌山保健医療圏89.3%に次いで医療圏内の入院患者数が多いのが田辺医療圏84.6%であり、和歌山市以外の他の保健医療圏に比べて田辺医療圏では圏内で患者の対応が行われていると見てよいのだと思います。
 紀南での地域医療の中核をなすのは公立病院である社会保険紀南病院、国立南和歌山医療センターでありますが、広い医療圏域を抱える2つの公立病院は、救急搬送や休日医療の対応など、医師は過酷な労働を強いられています。今後の地域医療を考える上でも、公立病院の医師の確保を初め、体制づくりに県の協力は不可欠です。田辺保健医療圏の将来像を福祉保健部長よりお示しください。
 和歌山圏内には多くの僻地診療所がありますが、僻地での医師の確保は医療制度改革による医師不足の上に、僻地ゆえの生活環境などの問題を抱え、各自治体は医師の確保に大変苦労しているのが現状です。
 国では、各県にへき地医療支援機構を置き、対策を進めてきました。国の第1次計画では、医療に恵まれない僻地等における医療の確保及び向上と地域住民の福祉の増進を図るため、昭和47年には自治医科大学が創設され今日に至ってますし、また、三重県、愛知県、岐阜県の東海3県ではへき地医療研修会、へき地体験実習などを積極的に行い、各県の僻地対策をより効果的にするためにへき地医療研究会を開催してへき地医療計画に関しての情報交換もなされています。全国各県が地域医療充実のためにいろいろと知恵を絞り、取り組まれていることは言うまでもありません。
 私の住む本宮町には公立診療所がありますが、その公立診療所に隣村の奈良県十津川村の村営バスが1日2便運行されています。本宮診療所の前には村営バスの停留場が設置され、通院のための村民への交通施策がなされています。県境に住む住民には、僻地医療の問題は、単に自治体だけでは解決できない切実な問題です。奈良県や三重県等々、県を越えた僻地医療についての意見交換の場があってもいいと思いますし、時には協力、連携し合って医師の確保を考えることも必要だと思いますが、福祉保健部長の考えをお聞かせください。
 3点目は、地域文化の振興についてお伺いします。
 県では、本年4月に文化芸術振興基本計画を策定しています。この中では、文化芸術が暮らしの中に息づく心豊かな社会の実現を目指し制定したと書いてあります。私は、できればこの中に「地域の誇り」という文言が欲しいのですが、文化芸術活動の振興、文化資源の活用と文化芸術振興による地域づくり、文化芸術を担う人づくりの推進と、施策の方向を示して取り組んでいます。
 電気や水道のように、人が生きるために文化や芸術も大事なライフラインだと思います。文化芸術は広範囲に及びますので、きょうは地域文化について質問をいたします。
 高野・熊野が世界遺産に登録されたときに、当時の文化庁の長官でありました河合隼雄氏の講演がありました。この中で、「熊野のすばらしさを世界に向けて発信することはすばらしいことですが、外国人に突っ込んで聞かれるとなかなか困る」と言われていました。「キリスト教なら唯一の神を信じているが、熊野はどうですか」と問われると、「宗教もあり仏教もあり、熊野は何でもあります」。「何もかもあってそれでいいのか」と言われますと、「外国人に対して熊野の本質をはっきり言えないと、世界には発信しにくい」と、そういうことであります。
 人類は初めに、アニミズムといって、石や木にも神があるとか魂があると考え、それが多神教になり、さらに洗練されて一神教になりました。だから、人類の進化を考えたときに、一神教が一番上にあり、他のものは古臭いと、こう考える人がたくさんいました。キリスト教の国やイスラム教の国の人はまだその考えを持っているとも述べられていました。
 しかし、日本人のもともとの考えは、精神と物、物と人、あるいは心と体は分けられないという考え方だったと言っています。だから、木1本見ても我々は拝みたくなるのだというのは、木も精神を持ってます。熊野の文化や精神を語ろうとすれば、木の話が出てきたり、海の話が出てきたり、滝の話が出てきたり、火の話が出てきたり、非常に特徴的なところらしいのですが、熊野は自然の力を持っていると、こうも言われていました。
 和歌山の自然豊かな中ではぐくまれてきた文化を伝えるため、1つのテーマである「地域文化の継承」に取り組まれていますが、ぜひ地域の文化をつくり上げてきたもととなる歴史や伝承など、地域の誇れる文化を外国人にも説明できるような文化的、民族的な背景をきっちりと押さえて後世に残してほしいと思います。このことが将来きっと世界に発信できるすばらしい地域の財産になると思います。
 そこで、企画部長に現在の地域文化継承への取り組みについてお伺いします。
 和歌山には、時代とともに歩んできた多くの民俗文化財があります。これらを後世に残すためには、継承するための人的、経済的な支えが必要です。地域で継承されて今日まで至っているものもあれば、過疎や少子化で郷土芸能が維持できなくなっている地域も少なくないと思われますし、後継者がいなくて継承できなくなる貴重な伝統文化もあります。
 昨日も平木議員から伝統工芸について質問がありましたが、教育長に民俗文化財に関する現状と取り組みについて伺います。
 最後に、林業政策についてお伺いします。
 第62回全国植樹祭が田辺市の新庄公園で平成23年5月22日に開催されることが決定し、既にカウントダウンが始まりました。また、来年は、世界じゅうの森林の持続可能な経営、保全、利用の重要性に対する認識を高めることを目的として国連で定められた国際森林年でもあります。今回の植樹祭は、木の国和歌山を広く、国内はもとより世界に発信する機会を得たものと喜んでいます。我々県議会も植樹祭の成功に向けて取り組んでいきたいと思っています。
 森林は、国土の保全、水源の涵養、生態系の維持など、多くの公益的な機能を有する大切な公共財であり、近年は地球温暖化防止の二酸化炭素の吸収源としても大きく取り上げられています。しかし、山林に目を向けますと、長引く木材不況は材価の下落や木材需要の減少など、林家や木材関係者には厳しい風が吹いています。こんなときだからこそ、植樹祭のテーマである「緑の神話 今 そして未来へ 紀州木の国から」、木の国再生のメッセージを県民に向けて発信し、植樹祭を契機として県の林政ビジョンを示し、積極的に対策を進めていくことが和歌山県の林業にとって大事なことだと思いますが、知事の林政ビジョンについてお聞かせください。
 政府の平成23年度概算予算要求の概要が示されました。概要には、森林環境保全直接支援事業の創設、簡易で丈夫な路網整備の推進、安全・安心の確保に向けた治山対策の重点化、森林林業再生プランの実現に不可欠な人材の育成、地域材の利用拡大の促進、国際森林年の取り組みの推進が主要事項として取り上げられています。特に直接支払い制度については、具体的に5つのポイントを示して効率的かつ効果的に森林整備が図れるよう、意欲と実行力を有し、かつ面的なまとまりを持って持続的な森林経営を実施するものに対し支援すると明記され、切り捨て間伐から搬出間伐へシフトして、10年後には木材自給率50%達成を見込むと掲げられています。
 そこで、農林水産部として林業関係の政府の23年度概算予算要求をどうとらえているのか、部長の答弁を求めます。
 またあわせて、和歌山県は林野面積の95%を民有林が占め、3ヘクタール以下の小規模林家が54%という現状であります。事業推進をするためには、林家の理解と協力が不可欠であります。直接支払い制度へどのように対応していくのか、お答えください。
 最後に、林業を通した雇用創出についてお伺いします。
 先日の農林業センサスでも全国的に農業の就労者が5年前に比べて22%の減少という記事が載っていました。県内の雇用状況を見ましても、景気の低迷や企業の人員削減など、雇用拡大が思うように進んでいないのが現状です。
 今まで過疎地域では、第1次産業と建設業が雇用の受け皿であったことは間違いありません。和歌山県の建設業での雇用は最盛期の5万人から1万人近くの減少となり、過疎地では、森林を生かした林業振興による雇用拡大を図らなければなりません。県でも、紀州材生産販売プランや低コスト林業、また企業と協力して企業の森事業などに取り組まれていますが、さきの質問でも述べましたが、国の林業政策にのっとり、和歌山県の林業活性化を進めるためには官民一体となって取り組まなければならないことは言うまでもありません。
 先日、田辺市で開催された森林づくりを考えるシンポジウムでも森に対していろいろな意見が交わされていました。森と海のつながりの大切さでは、「森は海の恋人」というキャッチフレーズで森に木を植えて環境改善をした宮城県気仙沼市での話を取り上げて、森と海の間に里があり、この里に住む人間のかかわり方の重要性が言われ、また人工林は子孫を含めて最後まで手入れをしますという契約のもとにつくったものだとか、森林の大切さを理解するためには日本人の価値観を変えていかなければならないとも言われていました。
 和歌山県は、県土の77%が森林という全国でも有数の森林県で、ヒノキの蓄積率は全国1位であります。森に人が住めるような雇用の創出、林業で稼いでいけるように森林組合などの体制づくりとリーダーの養成は喫緊の課題です。これら県として雇用創出に向けてどのように取り組まれるのかを部長にお伺いいたします。
 以上、壇上よりの御質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの泉正徳君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 過疎対策についてお答えいたしたいと思います。
 これにつきましては、著しい人口の減少とか急速な高齢化の進展等によりまして活力が低下し、集落機能の維持が困難となりつつありまして、過疎対策はまさに待ったなしの状況にあります。このため、失効が懸念されました旧過疎法について、新しい過疎法をつくってもらわないととても困るということで、2年間ぐらいになりますか、大変な努力をしまして、県議会議員の御協力のもと、積極的な働きかけを行ってまいりました。
 これは与野党の一致した議員立法でできておりますので、政権交代があってどうかなという懸念もあったんですが、幸い、これについては両方とも大変熱心にやってくださいまして延長ができました。むしろ拡充ができました。それで6年間の法延長が実現したところでございます。これについては安堵するとともに、そういうふうに国レベルでやっていただいた方々に評価をしたいと思うし、また感謝をしたいと思います。
 ただ、そのときに和歌山県がずうっと提唱していたモデルのうちで1つだけ実現しなかったものもあります。これが、今年度から県で行うことにいたしました過疎生活圏という概念を導入した取り組みであります。これについては、人に「やったらどうだ」と言っておいて国が取り上げられなかったから「わしゃ知らん」というわけにもいきませんので、県で皆様にお諮りしてやらしていただいているところです。
 過疎化は、過疎地域だけではなく県全体の問題であるとの御指摘は、私も全く同感であります。県下の過疎市町村は、面積が県土の4分の3を占め、多くの県施策が過疎地域の振興につながることから、それら施策の実施に当たっては、過疎地域の再生と活性化を常に念頭に置き、県民だれ1人として見捨てないという強い思いを持って取り組んでまいりたいと思います。
 考えてみますと、和歌山じゅうが苦しいわけであります。しかし、過疎の地はもっと苦しいと思います。そういう意味で、温かい改革の気持ちを持って取り組んでまいりたいと思います。
 地域医療についてでございます。
 障害のある人や高齢者を初め、すべての県民が住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、保健、医療、介護が密接に連携し、住民の健康情報、診療情報などを関係機関で共有し、切れ目のないサービスを提供していくことが重要であると考えております。
 近年、病院と診療所など医療機関の間での連携は、我々もお願いをしたりしておりますこともあってか、徐々に進みつつありますけれども、地域における保健、医療、介護の連携はまだまだ必ずしも十分にとれていないのではないかと考えております。地域の実情に応じまして、保健所の機能も活用しながら地域における医療と介護の連携強化を図ることができないか検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、林業についてでございます。
 森林は和歌山県の貴重な資源であります。来年開催する全国植樹祭は、この森林を守り、生かし、そのすばらしさを広く伝えることにより、木の国の豊かな森林と木の文化をよりよい姿で後世に引き継いでいくための県民全体の取り組みの大きな節目にしたいと考えております。また、全国にもこれを大いにアピールしたいというふうに思っております。
 森林資源が充実し、本格的に森を利用できる時代が再び到来する中で、森を生かし守る主体となる林業の活性化が、環境の保全や、あるいは山村での雇用の確保という観点からも重要であると考えております。
 このため、今回の植樹祭を契機として、改めて森林と林業の重要性への県民の皆様の御理解を高めながら、低コスト林業の一層の推進による産業として自立した林業へのチャレンジを初め、大消費地をターゲットとする紀州材の需要拡大対策とか、あるいは他産地との競合にも対応できる木材安定供給体制の整備とか、さらには間伐等の森林整備と貴重な生態系を守る公有林化等による森林の保全などをいろいろ組み合わせて、総合的に推進してまいりたいと思います。
 こういう考え方でありますけれども、具体的な政策に結びつかないと口先人間になってしまいます。そこで、19年度から森林・林業振興アクションプログラムをつくりまして、これを実行するようにしております。
 間伐材の利用につきまして、トップセールスでこれを広げるということに成功しました。販売量をふやすということにこれはつながります。それから、今申し上げましたようないろいろな中身をこのプランの中に具体的に書いておりまして、今実行を進めているところでございます。
 川上から川下の林業関係者の皆さんとともに、これからも一生懸命努力をして木材を豊かに生産できる森林と自然生態系が守られた森林とをしっかり築き上げ、元気で生き生きとした林業と森林の再生を進めてまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 初めに、過疎生活圏についてお答えいたします。
 県では、今年度からわかやま版「過疎集落支援総合対策」として、住民生活の一体性を重視した昭和合併前の旧町村や中学校区単位を過疎生活圏と位置づけ、日常生活の機能確保や地域資源を活用した活性化に取り組んでいくこととしております。それを実効性あるものにするため、地域住民や各種団体はもとより市町村、県が一緒になって寄合会を設置し、地域が抱える課題やニーズについて話し合いを行ってまいります。
 この取り組みを始めるに際して、4月から県下の市町村に事業説明を行い、協議したところ、現在、田辺市を初めとする7市町村の8つの過疎生活圏で本事業に取り組むこととなりました。これまで開催した寄合会では、例えば若者の定住促進に向けた住宅の確保、鳥獣害対策、耕作放棄地の解消、日用品の買い物支援や通院の移動手段に伴う生活交通の確保など、さまざまな観点から地域の課題が出されています。
 次に、地域の担い手についての考え方についてでございますが、担い手といたしましては、地域住民を初め、NPOや農業協同組合、商工会などの地域団体、集落支援員や地域おこし協力隊等の外部人材を想定しています。さらには、寄合会を重ねる中で、議員御提言の地域の実情に明るい役所のOBで取り組みに意欲のある方や積極的でリーダーシップのある方などにも参加していただけるよう努めてまいります。
 続きまして、県の地域文化継承への取り組みについてお答えいたします。
 地域文化の継承につきましては、今年度の新規施策として、暮らしに密着した文化資源である方言や民話、民謡を収集し、歴史的背景の分析を加え、整理してデータベース化する和歌山文化情報アーカイブ事業に取り組んでおります。特に方言につきましては、調査員が県内市町村に赴き、住民の方々から直接音源を収集し、より正確なデータとして記録してまいります。
 これらの資料につきましては、今後、歴史的町並みですとか郷土文化、郷土料理、それから紀の国の先人などあわせまして、県民共通の貴重な文化財産として後世に継承するとともに、本県の特色ある文化として県内外へ発信してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 田辺保健医療圏の将来像についてでございますが、社会保険紀南病院につきましては、地域周産期母子医療センター及び僻地医療拠点病院として周産期医療や僻地医療支援の中核的な役割を担っていただいており、また、南和歌山医療センターにつきましても、紀南地域で唯一の3次救急医療施設として救命救急の重責を果たしていただいていると認識しております。
 県といたしましても、国の地域医療再生交付金を活用し、紀南病院のNICU後方病床の整備や南和歌山医療センターへのドクターヘリによる搬送受け入れのためのヘリポート設置など、紀南地域の救急医療、周産期医療の中核となる両病院の機能強化に取り組んでおります。
 田辺保健医療圏では、紀南病院、南和歌山医療センターを中心に地域の医療機関等の連携を図り医療体制の堅持に取り組むとともに、僻地の医療体制につきましても、僻地医療拠点病院による診療支援や自治医科大学卒業医師の活用等により、その充実を図ってまいります。
 次に、県域を越えた僻地医療についての情報交換についてです。
 本県におきましては、奈良県、三重県と平成18年に紀伊半島3県地域医療関係者連絡会議を設置し、3県共通の課題である医師の確保や地域偏在、また診療科偏在の解消に向け、特に県境の救急医療、周産期医療などについて定期的に意見交換、また情報共有を行い、県域を越えた医療連携を実施しております。
 県民だれもが安心して適切な医療サービスを受けられるよう、今後とも当連絡会議で意見交換を行い、議員御指摘の僻地医療等も含めた県境の医療連携について協議、検討を重ねてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(谷 洋一君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 林業政策についての3点についてお答えいたします。
 まず、平成23年度の概算要求につきましては、林野庁におきまして、10年後の木材自給率50%を目標に掲げたことに伴いまして、林業施業の集約化、間伐や道づくりを効率的に行える人材の育成といったことを目的として施策や制度の改革が行われ、特に搬出間伐を積極的に推進するための森林環境保全直接支援事業を初めとする新たな施策に予算が重点化されております。
 要求額につきましては、対前年比5.9%増の3042億円であり、そのうち一般公共事業については対前年比10.9%増の2074億円となっておりまして、こうした予算は、現在本県が取り組んでいる低コスト林業の考えに沿うものでありまして、今後は国の予算化の状況等に留意しながらこれを有効に活用し、本県の森林・林業施策の一層の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、直接支払い制度につきましては、これまでの造林補助事業を組みかえて新たに創設された森林整備のための補助事業であります。集約化により搬出間伐等の森林施業と、これと一体となった森林作業道の開設に意欲と実行力を持って取り組む事業体等を支援する内容となっております。
 県といたしましては、森林組合を中心として意欲のある事業体の育成に取り組みながら、小規模林家を初めとする森林所有者の集約化を図り、計画的な森林施業と路網整備が推進されるよう、この制度を積極的に活用してまいりたいと考えております。
 次に、林業を通した雇用の創出についてでございますが、本県における森林資源は、育てる時代から利用できる時代を迎え、これまでの切り捨て間伐などの保育作業から搬出間伐などによる木材生産へと移行している中で、林業や木材産業における雇用の場の拡大が見込まれてございます。
 このため、県といたしましては、紀州材生産販売プランに基づきまして、間伐材生産や林内路網の整備による低コスト林業の推進のほか、紀州材加工体制の整備などに取り組んでいるところでございます。
 森林組合に対しましては、地域林業再生に向けた雇用の受け皿として期待しているところでございまして、森林組合が地域における林業活性化の牽引役となれるよう、森林組合系統での指導強化を求めるとともに、組合役職員のスキルアップや作業現場における高度な生産技術を担う技能者の養成に努めてまいりたいと考えております。
 今後は、低コスト林業の一層の推進を初め、こうした森林組合の育成強化や民間事業体の参入促進のほか、紀州材の販路拡大を強化しまして、山村地域を初めとする川上から川下に至る地域の一体的な雇用の拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 民俗文化財に関する現状と取り組みについてお答えいたします。
 県内の民俗文化財の中には、後継者がいないなどの理由から継承が困難となって、長らく伝えられてきた貴重な伝統文化が絶えてしまうという危機にさらされているものもございます。
 教育委員会では、これらの貴重な民俗文化財を後世に伝えていくための取り組みといたしまして、平成17年度より国の委託事業を活用いたしまして、祭り、行事、伝統技術の映像記録作成事業を実施し、伝承者がいなくなった場合でも次世代の人々が受け継ぎ、再び復活できるように祭りの儀式や踊りの振りなどを詳細に記録するよう努めております。これまでに11件の映像記録の保存を行っておりまして、平成22年度におきましても2カ所で実施しているところでございます。
 祭り、行事に使用する道具の修理等を行うための費用につきましては、希望する団体に対し補助を行っておりまして、今年度は、国の委託事業等を含め、14団体に補助を行っております。
 また、県の無形民俗文化財に指定されております田辺市の大瀬の太鼓踊りや有田川町の二川歌舞伎芝居等では、地元の小学生が保存会の指導を受け、祭りや運動会等で披露し、文化財伝承のための取り組みを行っております。
 さらに、熊野・高野地域に残る民俗文化財のうち、主なものを国指定の重要無形文化財に格上げするための調査事業を本年度から実施をしております。
 今後もこのような取り組みを実施することによりまして、民俗文化財の保存を図ってまいりたいと考えます。
 以上です。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、泉正徳君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時27分休憩
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