平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(長坂隆司議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午前10時0分開議
○議長(谷 洋一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第102号から議案第121号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 まず、和歌山県のがん対策についてであります。
 去る8月28日、和歌山ビッグ愛1階大ホールにて第2回がんサポート講演会があり、国立がんセンター名誉総長、財団法人日本対がん協会会長の垣添忠生先生の講演を拝聴しました。垣添氏は、自身も5年前に腎臓がん手術、大腸のポリープ手術をされていますが、奥さんも3回もがん手術を受け、抗がん剤治療で闘病されていました。先生自身も訓練を受けて医師、看護師、介護士の役目を果たし、奥さんの希望で年末に自宅に帰りましたが、奥さんは正月を迎えることなく大みそかになって享年78歳で亡くなりました。2日前から昏睡状態でしたが、亡くなる直前、奥さんはぱっと目をあけて、先生の手をぎゅっと握って、ありがとうの気持ちを示すようにお亡くなりになったそうです。
 講演の中で垣添氏は、「在宅希望者が多いが、なかなか実現しない。いかにしてがんの在宅医療を充実させるか、精神の荒廃をどう和らげていくかが問題だ」と言われていました。また、妻を亡くして悲嘆に暮れて、孤独、寂しさ、無力感、それを紛らすためにろくに食事もとらずに酒に明け暮れる状況が続き、立ち直るまでに1年かかったと言いますが、そんな人々を支援するためのグリーフケアの必要性も語られていました。
 日本は、年間34万人ががんで死亡し、うち20万人はがんで配偶者を失っています。在宅医療を充実させるためには、病院、かかりつけ医、在宅医療に興味を持つ看護師あるいは介護士等の連携が必要で、医療従事者だけ声を出していてもだめ、行政、政治の協力を得るべく、患者、家族の皆さんからどんどん声を出してほしいと締めくくっておられました。その後のシンポジウムで、中学校、高校教育の中でもっと喫煙の問題やがんの教育をしていくべきと力説されていました。
 そこで質問に移りますが、1つ目、がん患者の罹患、生存、死亡などの転帰、その他の状況等を把握・分析するためには院内がん登録及び地域がん登録の整備が必要です。本県の進捗状況はいかがですか。福祉保健部長にお答えいただきます。
 2点目に、各医療圏ごとにがん診療連携拠点病院の設置は必要だと思いますが、現在、有田、新宮、日高医療圏にはありません。日高は、日高総合病院をがん連携推進病院に指定いただいたところです。がん診療連携拠点病院設置には一定以上の各種がん治療機器やがん専門医の配置が必要だと思いますが、今後、空白医療圏へのがん拠点病院設置等医療体制の整備について、福祉保健部長、お聞かせください。
 3点目に、2006年9月制定の島根県がん対策推進条例を皮切りに、高知県、新潟県、神奈川県、長崎県、奈良県、徳島県、愛媛県で相次いでがん条例が制定されました。沖縄県においても、去る7月26日、沖縄県がん診療連携協議会案として沖縄県知事、県議会議長あて沖縄県がん対策推進基本条例案が提出されました。がん死亡率の高い本県にとって、がん対策に全県挙げて取り組んでいくという姿勢を示すためにも条例の制定は必要ではないでしょうか。がん条例制定について、知事の所見をお伺いいたします。
 2点目に、和歌山県としての食品開発戦略についてであります。
 去る9月6日に地方独立行政法人北海道立総合研究機構の食品加工研究センターを視察、概況説明をいただいてまいりました。北海道の食品工業は、出荷額が全製造業の37%を占め、北海道科学技術振興戦略の戦略研究3分野の1つに位置づけられています。平成4年に食品工業の活性・育成を図って、時のの横路道政のときに発足し、高橋道政になっても重要な地位を占めています。ことし4月からもう少し機能的に動けるようにと、地方独立行政法人化されました。
 北海道も、売上高50億円以下の中小零細企業が多く、センターの職員みずからが現地へ訪問して技術支援を行っています。1人の職員が5社を担当するといったノルマもあるそうです。大学との連携よりも企業との連携のほうが強いという印象を受けました。公立の研究機関の中でもこの食品加工研究センターは、企業寄りに活動してもよいというビジョンがあるようであります。
 研究テーマは、企業の要望調査からといったボトムアップ型が基本です。特に、加熱水蒸気処理技術がすぐれ、食品のおいしさの保持や賞味期限の延長等に効果を生み出しております。また、漬物からつくった植物性乳酸菌(HOKKAIDO)株利用で特許の許諾件数も多くなっています。それと、実際に味見をさせていただいたのですが、魚類からつくった魚のしょうゆ、魚醤であります。加工副産物を生かす出口として15~16年前に始められました。しょうゆで売ってもキッコーマンに勝てるわけがないということで、味つけのもとにするとか魚の加工品に使用するとか、そういうことで成功をおさめ、他府県の人が多く買っているようです。
 和歌山県でも、北海道より気温も高いし、発酵品としては十分やれるのではないかと感じました。味わわせていただきましたが、それほど臭みもなく、大変味わいの深いものでしたし、ホタテからつくったしょうゆはオイスターソースのようないため物などの利用に適しているのではないかと思いました。それに、昆布の大産地ですから、海藻の機能性研究はかなり進んでいる印象がありました。
 そこで質問ですが、1つ目、北海道立食品加工研究センターのホームページをのぞいてみますと、食品加工研究センター新ビジョンというものが見れます。そして、その中にはビジョン策定時に数値目標を設定しています。付加価値率の向上も、食品工業の目標として設定されています。北海道も科学技術振興条例が近年制定され、フード分野が北海道の将来を担う重要な戦略研究分野と位置づけられています。
 和歌山県も、昨年10月6日、和歌山県新技術創出推進条例が公布され、科学技術新興を積極的に図っていく意気込みを県民に示しています。本県も、県工業技術センターでの研究開発、技術支援等に具体的な数値目標を設定していってもいいのではないでしょうか。商工観光労働部長にお伺いいたします。
 2点目、ことし4月より県工業技術センターの食品開発室が食品産業部として昇格して、スタッフも8名にふえました。この食品産業部を、本県の持つポテンシャルを最大限に生かす食品加工の中核施設として、最低限必要な充実を加えていただきたいと思います。例えば、企業も使える調理実習試験室を十分スペースをとっていただきたい。また、センター内の設備機器の利用頻度、活用状況をいま一度洗い出していただく。そして、企業のニーズを吸い上げるためにアンケートやヒアリングを実施いただきたいと思いますが、商工観光労働部長、いかがでしょうか。
 3点目に、県工業技術センターの食品開発室が食品産業部に拡充された今、和歌山県の食品開発戦略について改めて知事の所見をお伺いいたします。
 3点目に、県の鳥獣害対策についてであります。
 ことしの夏は、殊のほか暑い日が続いていました。山にすむ動物も食物を求めて山をおりることを余儀なくされて、各地でイノシシ、シカなどによる、鳥獣による被害が頻発しているものと思います。それと、最近気になるのは、猟友会等、狩猟に携わる人口が高齢化などで減少していることも鳥獣の繁殖に影響しているのではないかということです。
 社団法人和歌山県猟友会の会員権の推移でありますが、第1種の銃猟会員は、平成9年度に3288人、平成21年度になると2038人に激減しております。第2種の空気銃使用の銃猟会員は、平成9年度42人、平成21年度は27人に減少しています。一方、わなの利用者は、平成9年度71人、平成21年度は674人とたくさんふえているものの、学習能力のあるイノシシの捕獲は実際問題としてはかどっていないようであります。
 2007年12月14日の佐世保の銃乱射事件を契機に銃刀法が改正され、猟銃の所持者は所持許可更新時にその操作及び射撃の技能に関する講習を受けることを義務づけられました。一定以上の皿を撃たないと合格しません。3年ごとの更新ですが、皿撃ちしてまで銃を撃ちたいものかと言って、検定試験を受けない狩猟者も出てきているということであります。皿を撃つ技術と実際に山野で鳥獣の動きに即応して銃を撃つのは全く異なるものという言い分であります。
 さらに、今の若い人は、山へ行ってまで鉄砲を撃ちたいという人は余りいないようです。例えば本県猟友会員は、平成20年6月現在で満29歳以下が1%、満30歳以上39歳以下が5%、満40歳以上49歳以下が9%、満50歳以上59歳以下が27%、満60歳以上69歳以下が34%、満70歳以上が24%となっています。第1種会員では、満55歳までが25%、満56歳以上65歳までが37%、66歳以上が38%と、高齢化は歴然としています。
 そこで質問ですが、1つ目、銃刀法も改正された中、県は鳥獣害対策をどう考えておられますか。農林水産部長、お願いします。
 2点目に、山野の多い和歌山県はイノシシ、シカなどの被害が頻発する県であります。国で銃刀法は改正されて、猟銃の所持許可更新講習も、高齢化の進む狩猟者には殊のほか厳しくなりました。皿撃ちと実際の狩猟技術は感覚的にも異なります。狩猟者のさらなる減少を食いとめるため、国のほうへも弾力的な運用を考えていただきますよう当局からも要望いただきたいと思います。これは要望とさせていただきます。
 3点目に、最近大変増加しているのは特定外来生物のアライグマによる被害であります。特に農作物の被害が大きく、スイカやミカン、カボチャなどの被害が深刻化しています。スイカなんか、表面に1つ穴をつくって、甘いところだけきれいにすくい取っています。市街地でもアライグマの出没が確認されています。県のアライグマ被害対策について、農林水産部長にお伺いいたします。
 4点目に、和歌山県の教育についてであります。
 最近、日本の教育について海外と比較したデータに気になるものが幾つかあります。まず、経済協力開発機構(OECD)が発表した日本や欧米など32カ国の教育状況をデータで紹介する「図表で見る教育」2010ですが、2007年現在の統計で、教育機関に支出される日本の公的支出の割合は国内総生産費(GDP)比で3.4%と、データのある加盟28カ国の中で最下位になりました。GDP比の公的支出は加盟国平均で5.2%で、最も高かったのはデンマークの7.8%、次いでアイスランドが7.4%、スウェーデンとノルウェーが6.7%でした。日本では、子供1人当たりの教育支出はOECD平均を上回っていますが、家計などの私費負担の割合が高いのです。
 日本は、教育支出のうち私費負担が33.3%を占め、加盟国平均の17.4%を大きく上回っています。特に小学校入学前の就学前教育56.2%と、大学などの高等教育67.5%で高い水準になっています。
 また、文部科学省などが所管する財団法人日本青少年研究所が公表したのですが、日中に加え韓国、アメリカの計4カ国の高校生にアンケート調査を行った結果、日本は「授業と宿題以外の勉強をしない」、「授業中は居眠りをする」と答えた高校生の割合が突出して多かったということです。同研究所は、日本の高校生は勉強への意欲が低いのではないかと分析しています。これは、昨年6月から11月、4カ国の高校生計6173人に対してアンケートを行ったそうです。
 報告書によると、「授業、宿題以外の勉強をしない」と答えた高校生の割合は、日本がトップ、高1で38.3%、高2で34.9%、高3では28.9%に上りました。一方、中国では、7.7%から5.3%と、いずれも1割に達していません。アメリカでは27.1%から16.1%、韓国は21.8%から11.4%と、日本より低くなっています。
 「授業中居眠りをする」と答えた高校生も、日本が男女ともに40%超、男子48.9%、女子41.7%で断然トップ、韓国、男子31.6%、女子33.1%、アメリカ、男子26.3%、女子14.7%が続き、中国、男子6.1%、女子3.4%は最も低くなっています。
 大学受験を控えた高3だけは授業、宿題以外で勉強する高校生も多いようで、「3~4時間」、「4時間以上」という回答が23.3%、超学歴社会と呼ばれる韓国33.1%に次いで多かったのです。同研究所は、日本は与えられたこと、目前に迫った課題に向かってしか勉強しない高校生が多いと見ています。
 それと、もう1つショッキングなデータですが、スイスの国際経営開発研究所(IMD)による海外留学生数の調査(2009年)で、日本は、調査対象57カ国・地域中41位に低迷しています。アメリカの国際教育研究所がまとめた2008年から2009年のアメリカへの留学者数は、日本が前年比14%減の2万9264人だったのに対し、中国は21%増の9万8510人、韓国は9%増の7万5065人でした。20代の出国率は長年右肩上がりの傾向が続いていましたが、平成9年の24.1%をピークに減少に転じ、19年には19.4%にとどまっています。大手商社や外務省でも、最近、海外赴任を希望する若手社員、職員が激減しているというんです。今まで日本は海外へ行くことによって多くを学んできました。英語力のアップも当然必要で、外国人の本音を知る上でも大切なことであります。
 以上のような傾向と比例するかのように、日本の国力は低下しています。国民1人当たりの国内総生産(GDP)は、平成12年の世界3位から20年には23位に転落、IMDによる国際競争力ランキングでは、日本は1990年(平成2年)の1位に対し、ことしは27位に甘んじています。完全週5日制や総合的な学習の時間が導入された2002年度以降に小中学校を過ごした世代はゆとり教育世代と言われますが、導入時に中学3年だった人が高校を経てストレートで4年生大学を卒業すると、ことし4月、1期生で入社を果たしています。
 産業能率大学が新入社員を対象に行った調査では、今どきの新人さんは指示されないとやらないが、言われれば無難にこなすタイプが多いと言っています。ある人材育成コンサルタント会社が入社10年目までの若手社員を対象とした昨年10月の調査では、「今働いている会社で昇進したいと思うか」の質問に対し、4割の若手が「昇進したいと思わない」と回答し、責任ある立場を望まない傾向が顕著に出ています。
 日本の国際的地位の低下は、どうも教育から来ているとしか言いようがありません。やはり日本は、かつてのトレードマークであった勤勉、それも愚直な勤勉さ、そしてハングリー精神が必要ではないでしょうか。小学校、中学校時代から、人の役に、社会の役に立ちたいと思える教育が必要です。子供が将来の志や夢を持てるような教育、特に産業が少なくて人口減少している和歌山県では、なくてはならないものだと思います。社会に出て、人のため、地域のため、そして日本のために働ける人材を輩出できる教育、私の思いとしては、すなわち子供が将来の志や夢を持てる教育について、教育長の所見をお尋ねいたします。
 以上4点、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、和歌山県のがん対策についてお答え申し上げます。
 県では、がん対策基本法に定められました国のがん対策推進基本計画をもとに、本県の状況を踏まえて和歌山県がん対策推進計画を平成20年3月に策定いたしました。この計画には、県及び市町村あるいは拠点病院を初めとする医療機関や関係機関、団体、それに県民が一体となって取り組んでいく必要があると明記しており、県では、この計画に基づき、がんによる死亡率の減少と、すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上を目指して、がん対策を積極的に推進しているところであります。現状では、がんになられて命を亡くされるような方もまだまだ結構多いものですから、これから頑張らなきゃいかんというふうに思います。
 議員御指摘のいわゆるがん条例については、幾つかの県と市町で議員提案により制定され、がん対策の推進が図られていると聞いていますが、本県においてもがん対策推進計画に基づく取り組みを進めながら、条例について他県の取り組みなどを参考に研究していきたいと考えております。
 次に、加工食品の戦略についてでございます。
 ミカン、梅、柿を初め豊かな農水産物資源を活用した食品開発は、農業振興のみならず、地域活性化の面からも県民の皆様に大いなる期待を持っていただけるものと信じておりまして、さまざまな方法を駆使して和歌山発の加工品づくりに力を注いでいかなければならないと考えております。
 かつて統計をとりますと、和歌山県はこれだけ農水産物がいっぱいあるんですけれども、加工に回す、加工で売るという点ではあんまりいい成績ではありませんでした。これをもっと高めないと損だというふうに思いまして、努力をしてまいりました。
 平成20年度から食品加工に係るヘッドクォーター──これはいろんなところにまたがっておりますので、1つの中心をつくったということですが──これを設置いたしまして、関係部局の連携により情報の共有、一元化を図っておりまして、現在、例えば大手食品・飲料メーカーとの連携による商品開発とか、地元の自発的な動きも含めて生産者グループ等による加工食品開発とか、あるいは健康志向を踏まえた果実の機能性成分の技術的な、あるいは研究的な開発とか、そういうもの3つを柱に国の資金の活用とか、大学との連携とか、地域の人たちを励ますとか、そういうようなことで取り組みを進めているところでございます。
 平成21年10月には和歌山県新技術創出推進条例というのをつくっていただきましたが、これをもとにして産業技術基本計画を制定しております。その計画においては、この加工食品などのバイオ技術、これが4つの重点分野のうちの1つとしてとらえておりまして、物すごく熱心にやっていきたい、そういうふうに思っているところでございます。
 一例を挙げますと、工業技術センターを組織改編いたしまして、県内企業による新商品開発や加工技術上の課題解決などに係る支援を一層強化いたしました。こうした取り組みによりまして、梅酢ポリフェノールの機能性解明、農商工連携によるジンジャーエールの商品化など、徐々に成果が出てきております。
 今後とも生産者や関係業界の皆様、研究機関との連携を強化し、機能性研究や技術開発に努めることにより、果樹王国和歌山の発展、食品産業の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) がん登録の進捗状況についてお答えをいたします。
 がん登録は、がんの種類や発症年齢、治療状況などの情報を把握して適切な対策や医療の確保を図る上で重要であると認識をしております。県では、県内のがん診療連携拠点病院6病院と、平成21年度からは拠点病院以外の5病院の計11病院において院内がん登録を実施しています。
 地域がん登録については、その法整備等について国に対して提案するとともに、県立医科大学を初めとするがん診療連携拠点病院、県医師会、県病院協会などの協力をいただきながら、また他県の取り組みも参考にし、その実施に向けて検討を進めているところです。
 次に、空白医療圏へのがん診療連携拠点病院設置等医療体制の整備についてですが、国のがん対策推進基本計画では、原則として、全国すべての2次保健医療圏においておおむね1カ所程度拠点病院を整備することとなっています。本県では各医療圏のほとんどが小規模であり、和歌山保健医療圏以外での医療資源は限られているという現状があります。
 このような状況の中で、すべての県民が県内どこでも質の高いがん治療を受けることができるようにするため、国指定のがん診療連携拠点病院のない医療圏を中心に、地域の拠点病院のうち一定要件を満たすものを県が独自にがん診療連携推進病院として指定することとし、本年6月には国保日高総合病院を指定したところであります。
 今後とも、がん診療体制の整備充実に取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。
○議長(谷 洋一君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 県工業技術センターでの研究開発等における具体的な数値目標の設定につきましては、平成19年6月に策定しました和歌山県工業技術センター中期計画におきまして、数値目標として、受託試験、受託研究等の拡大に伴う事業収入金額の増加や、提案公募型研究の獲得件数の増加、知財の登録数、実施契約数の増加を掲げ、おおむね達成することができました。
 このたび、これに次ぐ新たな中期計画の策定を行い、食品産業技術の振興も含めた組織マネジメントや財務などを含む多方面からの視点に基づき、策定の上、名称も「和歌山県工業技術センター中期経営計画」と改め、平成26年度を目標年度として本年度から鋭意取り組んでいるところです。
 なお、県全体の産業技術政策としましては、本年4月に策定しました和歌山県産業技術基本計画におきまして、今後5年間における製品出荷額、従業員数、付加価値額の数値目標を定め、計画達成に邁進してまいります。
 次に、県工業技術センターの食品産業部の充実についてでございますが、食品産業部では現在9台の機器を保有しており、工業技術センターにおける研究開発に活用しているほか、民間企業にも広く利用していただいています。このうち、民間企業による利用頻度の高い機器としましては、凍結乾燥機や真空包装機などがあり、それぞれ年間29回から30回程度の利用があります。また、利用頻度の少ない機器としては粉体造粒装置があり、年間の利用は8回程度となっておりますが、これは顆粒状の食品製造には欠かせない機器であり、こうした食品製造を行う企業にとっては不可欠な装置です。
 本年度も6種類の機器の追加導入を予定しておりますが、これらの機器につきましても、これまでと同様に広く民間企業による利活用を呼びかけてまいりたいと考えております。
 なお、議員御指摘の調理実習試験室につきましては、工業技術センターでこれまでに整備した機器を活用することで食品加工や商品の試作が行えることから、今後とも県内事業者のニーズに対応した機器の充実を図ってまいりたいと考えております。
 また、工業技術センターで県内の中小・中堅企業をリスト化し、庁内関係各課と共同して計画的に企業を訪問し、意見交換を行っているところです。
 今後とも、このような企業ニーズの把握に努め、工業技術センターの支援機能の充実強化に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 県の鳥獣害対策についてでございますが、県下の野生鳥獣による農作物の被害額につきましては、年間約3億円で推移しておりまして、深刻な状況であると認識してございます。
 県では、これまで被害対策として、防護さくの設置支援や有害鳥獣捕獲の補助、また、わな設置資材の補助、さらに地域の被害対策を支援する鳥獣害対策アドバイザーの育成など、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。また、イノシシやニホンジカにつきましては、狩猟期間の延長やくくりわなの12センチ規制の解除などに取り組むとともに、この9月の3日には被害が拡大しているニホンジカにつきまして捕獲頭数制限を撤廃したところでございます。
 しかしながら、こうした取り組みを行っているにもかかわらず、鳥獣による被害が依然として減少しない中、これまで以上に捕獲に力を入れていく必要があると考えておりまして、議員御指摘のとおり、狩猟に携わる人の高齢化、また、昨年12月の銃刀法の改正施行といったことがございますが、現在、猟友会等の関係団体の皆さんから人材の確保について御意見を伺っているところでありまして、今後、鳥獣害対策の中に反映してまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、アライグマの被害対策等についてでございますが、県下におけるアライグマの被害につきましては、平成14年ごろから発生が見られ、昨年度の被害額は野菜、果樹を中心に約3000万円となっております。
 アライグマは、毎年1頭の親から平均4頭を出産する高い繁殖能力を持つことから、このままで放置すると生態系等への被害を及ぼすおそれがあるとして、平成17年、外来生物法により特定外来生物に指定されたところでございます。
 本県においても、外来生物法に基づく実施計画を策定した23市町においては、わな猟免許を保有しなくても箱わなで捕獲できるようになっており、昨年は県下で約1500頭が捕獲されてございます。
 アライグマ対策につきましては、捕獲が最重点でございまして、未策定の市町村に対し実施計画の策定を促進するとともに、引き続き捕獲おりの設置を支援するなど、アライグマによる農作物の被害軽減に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 和歌山県の教育についてお答えいたします。
 子供たちが将来への夢を持ち、志を抱いて社会に出ていこうとする人材の育成は教育に課せられた大きな取り組み課題であり、自立した社会人として活躍するために必要となる資質、能力の育成に努めることは、極めて重要なことであると考えております。
 このため、本県では平成20年度から、自立、共生、社会参加の3つをキーワードといたしまして、地域の方々と一体となって市民性を育てる教育を実施しております。小学校段階から公共の精神や帰属意識を育てるとともに、よりよい社会の実現に向け、自他ともに大切にし、義務と責任を果たしながら積極的に社会に参画しようとする意欲や態度を育成しております。また、ふるさと教育を通して、郷土の自然や産業、先人の努力や工夫を知ることにより、地域のすばらしさに気づき、郷土を愛し守り育てる心を育てております。
 さらに、公立中学校や高等学校では、職場体験活動や地域の人材を活用した出前授業あるいは講演会等を実施し、将来自分がどのように社会に参画していくかを考える取り組みも行っております。
 今後も、確かな学力、豊かな心、健やかな体といった教育の根幹部分を大切にしながら、学校、家庭、地域の関係者がともに学び、協働した取り組みを進める地域共育コミュニティを拡大し、子供たちが人として育つ多様な学びの場をつくることによって社会の形成者としての確かな自覚を持ち、地域社会づくりや国づくりに貢献できる人間力を育ててまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 がん対策についてですが、がん条例は京都府においても京都府がん対策検討会議において制定する方針で進んでいます。山田知事自身が、がん条例制定を公約に当選された方であります。患者などへの情報提供、支援についての中で、拠点病院の患者サロンに遠隔地から参加がある、患者の療養生活にもよい影響があると感じる、ニーズも高いので、拠点病院以外の協力など、環境整備が必要だという認識が出ています。
 本県は全国有数のがん死亡率の高い県でありまして、本県ならではのがん条例をつくっていくべきではないでしょうか。
 昨年12月議会でもお尋ねしましたが、県がん対策推進計画の中にも、重点課題として、がん患者及び家族に対する支援をうたっています。がん診療には経済的問題、心理的問題も重要であって、相談支援や精神的ケアも充実させてほしいものであります。だからこそ、民間での患者会ネットワークや患者サロンをつくる活動への支援も考えていただきたい。市民と行政、医療者などが話し合うがんのタウンミーティングにも注目いただきたいと思います。
 こんな取り組みを実効あるものにするためにも、がん条例は必要だと思うわけであります。がん患者やその家族が1人で身も心も閉ざすのではなく、医療従事者にも入っていただいて、ともに定期的に集まって情報交換、心の悩みを話し合う患者サロンを、仁坂知事もミニ集会のつもりでぜひ一度のぞいてみていただければと思います。知事も、患者目線でがん患者、家族、医療従事者、介護従事者などとともにがん条例をつくっていくことを選挙公約にしていただくくらいの御理解、御推進をいただきますよう要望させていただきます。
 終わります。
○議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。

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