平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第4号(全文)


県議会の活動

平成22年9月
和歌山県議会定例会会議録
第4号
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議事日程 第4号
 平成22年9月17日(金曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第102号から議案第121号まで(質疑)
 第2 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第102号から議案第121号まで(質疑)
 第2 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
 16番 欠員
 28番 欠員
 35番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      前硲健作
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     西上邦雄
 商工観光労働部長   岡本賢司
 農林水産部長     阪中栄一
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      神田泰仁
 教育委員会委員長   宮永健史
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員長   大岡淳人
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 議事課主事      的塲健司
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       中井祥之
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  午前10時0分開議
○議長(谷 洋一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第102号から議案第121号までを一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第2、一般質問を行います。
 36番長坂隆司君。
  〔長坂隆司君、登壇〕(拍手)
○長坂隆司君 おはようございます。議長のお許しをいただきましたので、以下、通告に従いまして一般質問をさしていただきます。
 まず、和歌山県のがん対策についてであります。
 去る8月28日、和歌山ビッグ愛1階大ホールにて第2回がんサポート講演会があり、国立がんセンター名誉総長、財団法人日本対がん協会会長の垣添忠生先生の講演を拝聴しました。垣添氏は、自身も5年前に腎臓がん手術、大腸のポリープ手術をされていますが、奥さんも3回もがん手術を受け、抗がん剤治療で闘病されていました。先生自身も訓練を受けて医師、看護師、介護士の役目を果たし、奥さんの希望で年末に自宅に帰りましたが、奥さんは正月を迎えることなく大みそかになって享年78歳で亡くなりました。2日前から昏睡状態でしたが、亡くなる直前、奥さんはぱっと目をあけて、先生の手をぎゅっと握って、ありがとうの気持ちを示すようにお亡くなりになったそうです。
 講演の中で垣添氏は、「在宅希望者が多いが、なかなか実現しない。いかにしてがんの在宅医療を充実させるか、精神の荒廃をどう和らげていくかが問題だ」と言われていました。また、妻を亡くして悲嘆に暮れて、孤独、寂しさ、無力感、それを紛らすためにろくに食事もとらずに酒に明け暮れる状況が続き、立ち直るまでに1年かかったと言いますが、そんな人々を支援するためのグリーフケアの必要性も語られていました。
 日本は、年間34万人ががんで死亡し、うち20万人はがんで配偶者を失っています。在宅医療を充実させるためには、病院、かかりつけ医、在宅医療に興味を持つ看護師あるいは介護士等の連携が必要で、医療従事者だけ声を出していてもだめ、行政、政治の協力を得るべく、患者、家族の皆さんからどんどん声を出してほしいと締めくくっておられました。その後のシンポジウムで、中学校、高校教育の中でもっと喫煙の問題やがんの教育をしていくべきと力説されていました。
 そこで質問に移りますが、1つ目、がん患者の罹患、生存、死亡などの転帰、その他の状況等を把握・分析するためには院内がん登録及び地域がん登録の整備が必要です。本県の進捗状況はいかがですか。福祉保健部長にお答えいただきます。
 2点目に、各医療圏ごとにがん診療連携拠点病院の設置は必要だと思いますが、現在、有田、新宮、日高医療圏にはありません。日高は、日高総合病院をがん連携推進病院に指定いただいたところです。がん診療連携拠点病院設置には一定以上の各種がん治療機器やがん専門医の配置が必要だと思いますが、今後、空白医療圏へのがん拠点病院設置等医療体制の整備について、福祉保健部長、お聞かせください。
 3点目に、2006年9月制定の島根県がん対策推進条例を皮切りに、高知県、新潟県、神奈川県、長崎県、奈良県、徳島県、愛媛県で相次いでがん条例が制定されました。沖縄県においても、去る7月26日、沖縄県がん診療連携協議会案として沖縄県知事、県議会議長あて沖縄県がん対策推進基本条例案が提出されました。がん死亡率の高い本県にとって、がん対策に全県挙げて取り組んでいくという姿勢を示すためにも条例の制定は必要ではないでしょうか。がん条例制定について、知事の所見をお伺いいたします。
 2点目に、和歌山県としての食品開発戦略についてであります。
 去る9月6日に地方独立行政法人北海道立総合研究機構の食品加工研究センターを視察、概況説明をいただいてまいりました。北海道の食品工業は、出荷額が全製造業の37%を占め、北海道科学技術振興戦略の戦略研究3分野の1つに位置づけられています。平成4年に食品工業の活性・育成を図って、時のの横路道政のときに発足し、高橋道政になっても重要な地位を占めています。ことし4月からもう少し機能的に動けるようにと、地方独立行政法人化されました。
 北海道も、売上高50億円以下の中小零細企業が多く、センターの職員みずからが現地へ訪問して技術支援を行っています。1人の職員が5社を担当するといったノルマもあるそうです。大学との連携よりも企業との連携のほうが強いという印象を受けました。公立の研究機関の中でもこの食品加工研究センターは、企業寄りに活動してもよいというビジョンがあるようであります。
 研究テーマは、企業の要望調査からといったボトムアップ型が基本です。特に、加熱水蒸気処理技術がすぐれ、食品のおいしさの保持や賞味期限の延長等に効果を生み出しております。また、漬物からつくった植物性乳酸菌(HOKKAIDO)株利用で特許の許諾件数も多くなっています。それと、実際に味見をさせていただいたのですが、魚類からつくった魚のしょうゆ、魚醤であります。加工副産物を生かす出口として15~16年前に始められました。しょうゆで売ってもキッコーマンに勝てるわけがないということで、味つけのもとにするとか魚の加工品に使用するとか、そういうことで成功をおさめ、他府県の人が多く買っているようです。
 和歌山県でも、北海道より気温も高いし、発酵品としては十分やれるのではないかと感じました。味わわせていただきましたが、それほど臭みもなく、大変味わいの深いものでしたし、ホタテからつくったしょうゆはオイスターソースのようないため物などの利用に適しているのではないかと思いました。それに、昆布の大産地ですから、海藻の機能性研究はかなり進んでいる印象がありました。
 そこで質問ですが、1つ目、北海道立食品加工研究センターのホームページをのぞいてみますと、食品加工研究センター新ビジョンというものが見れます。そして、その中にはビジョン策定時に数値目標を設定しています。付加価値率の向上も、食品工業の目標として設定されています。北海道も科学技術振興条例が近年制定され、フード分野が北海道の将来を担う重要な戦略研究分野と位置づけられています。
 和歌山県も、昨年10月6日、和歌山県新技術創出推進条例が公布され、科学技術新興を積極的に図っていく意気込みを県民に示しています。本県も、県工業技術センターでの研究開発、技術支援等に具体的な数値目標を設定していってもいいのではないでしょうか。商工観光労働部長にお伺いいたします。
 2点目、ことし4月より県工業技術センターの食品開発室が食品産業部として昇格して、スタッフも8名にふえました。この食品産業部を、本県の持つポテンシャルを最大限に生かす食品加工の中核施設として、最低限必要な充実を加えていただきたいと思います。例えば、企業も使える調理実習試験室を十分スペースをとっていただきたい。また、センター内の設備機器の利用頻度、活用状況をいま一度洗い出していただく。そして、企業のニーズを吸い上げるためにアンケートやヒアリングを実施いただきたいと思いますが、商工観光労働部長、いかがでしょうか。
 3点目に、県工業技術センターの食品開発室が食品産業部に拡充された今、和歌山県の食品開発戦略について改めて知事の所見をお伺いいたします。
 3点目に、県の鳥獣害対策についてであります。
 ことしの夏は、殊のほか暑い日が続いていました。山にすむ動物も食物を求めて山をおりることを余儀なくされて、各地でイノシシ、シカなどによる、鳥獣による被害が頻発しているものと思います。それと、最近気になるのは、猟友会等、狩猟に携わる人口が高齢化などで減少していることも鳥獣の繁殖に影響しているのではないかということです。
 社団法人和歌山県猟友会の会員権の推移でありますが、第1種の銃猟会員は、平成9年度に3288人、平成21年度になると2038人に激減しております。第2種の空気銃使用の銃猟会員は、平成9年度42人、平成21年度は27人に減少しています。一方、わなの利用者は、平成9年度71人、平成21年度は674人とたくさんふえているものの、学習能力のあるイノシシの捕獲は実際問題としてはかどっていないようであります。
 2007年12月14日の佐世保の銃乱射事件を契機に銃刀法が改正され、猟銃の所持者は所持許可更新時にその操作及び射撃の技能に関する講習を受けることを義務づけられました。一定以上の皿を撃たないと合格しません。3年ごとの更新ですが、皿撃ちしてまで銃を撃ちたいものかと言って、検定試験を受けない狩猟者も出てきているということであります。皿を撃つ技術と実際に山野で鳥獣の動きに即応して銃を撃つのは全く異なるものという言い分であります。
 さらに、今の若い人は、山へ行ってまで鉄砲を撃ちたいという人は余りいないようです。例えば本県猟友会員は、平成20年6月現在で満29歳以下が1%、満30歳以上39歳以下が5%、満40歳以上49歳以下が9%、満50歳以上59歳以下が27%、満60歳以上69歳以下が34%、満70歳以上が24%となっています。第1種会員では、満55歳までが25%、満56歳以上65歳までが37%、66歳以上が38%と、高齢化は歴然としています。
 そこで質問ですが、1つ目、銃刀法も改正された中、県は鳥獣害対策をどう考えておられますか。農林水産部長、お願いします。
 2点目に、山野の多い和歌山県はイノシシ、シカなどの被害が頻発する県であります。国で銃刀法は改正されて、猟銃の所持許可更新講習も、高齢化の進む狩猟者には殊のほか厳しくなりました。皿撃ちと実際の狩猟技術は感覚的にも異なります。狩猟者のさらなる減少を食いとめるため、国のほうへも弾力的な運用を考えていただきますよう当局からも要望いただきたいと思います。これは要望とさせていただきます。
 3点目に、最近大変増加しているのは特定外来生物のアライグマによる被害であります。特に農作物の被害が大きく、スイカやミカン、カボチャなどの被害が深刻化しています。スイカなんか、表面に1つ穴をつくって、甘いところだけきれいにすくい取っています。市街地でもアライグマの出没が確認されています。県のアライグマ被害対策について、農林水産部長にお伺いいたします。
 4点目に、和歌山県の教育についてであります。
 最近、日本の教育について海外と比較したデータに気になるものが幾つかあります。まず、経済協力開発機構(OECD)が発表した日本や欧米など32カ国の教育状況をデータで紹介する「図表で見る教育」2010ですが、2007年現在の統計で、教育機関に支出される日本の公的支出の割合は国内総生産費(GDP)比で3.4%と、データのある加盟28カ国の中で最下位になりました。GDP比の公的支出は加盟国平均で5.2%で、最も高かったのはデンマークの7.8%、次いでアイスランドが7.4%、スウェーデンとノルウェーが6.7%でした。日本では、子供1人当たりの教育支出はOECD平均を上回っていますが、家計などの私費負担の割合が高いのです。
 日本は、教育支出のうち私費負担が33.3%を占め、加盟国平均の17.4%を大きく上回っています。特に小学校入学前の就学前教育56.2%と、大学などの高等教育67.5%で高い水準になっています。
 また、文部科学省などが所管する財団法人日本青少年研究所が公表したのですが、日中に加え韓国、アメリカの計4カ国の高校生にアンケート調査を行った結果、日本は「授業と宿題以外の勉強をしない」、「授業中は居眠りをする」と答えた高校生の割合が突出して多かったということです。同研究所は、日本の高校生は勉強への意欲が低いのではないかと分析しています。これは、昨年6月から11月、4カ国の高校生計6173人に対してアンケートを行ったそうです。
 報告書によると、「授業、宿題以外の勉強をしない」と答えた高校生の割合は、日本がトップ、高1で38.3%、高2で34.9%、高3では28.9%に上りました。一方、中国では、7.7%から5.3%と、いずれも1割に達していません。アメリカでは27.1%から16.1%、韓国は21.8%から11.4%と、日本より低くなっています。
 「授業中居眠りをする」と答えた高校生も、日本が男女ともに40%超、男子48.9%、女子41.7%で断然トップ、韓国、男子31.6%、女子33.1%、アメリカ、男子26.3%、女子14.7%が続き、中国、男子6.1%、女子3.4%は最も低くなっています。
 大学受験を控えた高3だけは授業、宿題以外で勉強する高校生も多いようで、「3~4時間」、「4時間以上」という回答が23.3%、超学歴社会と呼ばれる韓国33.1%に次いで多かったのです。同研究所は、日本は与えられたこと、目前に迫った課題に向かってしか勉強しない高校生が多いと見ています。
 それと、もう1つショッキングなデータですが、スイスの国際経営開発研究所(IMD)による海外留学生数の調査(2009年)で、日本は、調査対象57カ国・地域中41位に低迷しています。アメリカの国際教育研究所がまとめた2008年から2009年のアメリカへの留学者数は、日本が前年比14%減の2万9264人だったのに対し、中国は21%増の9万8510人、韓国は9%増の7万5065人でした。20代の出国率は長年右肩上がりの傾向が続いていましたが、平成9年の24.1%をピークに減少に転じ、19年には19.4%にとどまっています。大手商社や外務省でも、最近、海外赴任を希望する若手社員、職員が激減しているというんです。今まで日本は海外へ行くことによって多くを学んできました。英語力のアップも当然必要で、外国人の本音を知る上でも大切なことであります。
 以上のような傾向と比例するかのように、日本の国力は低下しています。国民1人当たりの国内総生産(GDP)は、平成12年の世界3位から20年には23位に転落、IMDによる国際競争力ランキングでは、日本は1990年(平成2年)の1位に対し、ことしは27位に甘んじています。完全週5日制や総合的な学習の時間が導入された2002年度以降に小中学校を過ごした世代はゆとり教育世代と言われますが、導入時に中学3年だった人が高校を経てストレートで4年生大学を卒業すると、ことし4月、1期生で入社を果たしています。
 産業能率大学が新入社員を対象に行った調査では、今どきの新人さんは指示されないとやらないが、言われれば無難にこなすタイプが多いと言っています。ある人材育成コンサルタント会社が入社10年目までの若手社員を対象とした昨年10月の調査では、「今働いている会社で昇進したいと思うか」の質問に対し、4割の若手が「昇進したいと思わない」と回答し、責任ある立場を望まない傾向が顕著に出ています。
 日本の国際的地位の低下は、どうも教育から来ているとしか言いようがありません。やはり日本は、かつてのトレードマークであった勤勉、それも愚直な勤勉さ、そしてハングリー精神が必要ではないでしょうか。小学校、中学校時代から、人の役に、社会の役に立ちたいと思える教育が必要です。子供が将来の志や夢を持てるような教育、特に産業が少なくて人口減少している和歌山県では、なくてはならないものだと思います。社会に出て、人のため、地域のため、そして日本のために働ける人材を輩出できる教育、私の思いとしては、すなわち子供が将来の志や夢を持てる教育について、教育長の所見をお尋ねいたします。
 以上4点、一般質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの長坂隆司君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、和歌山県のがん対策についてお答え申し上げます。
 県では、がん対策基本法に定められました国のがん対策推進基本計画をもとに、本県の状況を踏まえて和歌山県がん対策推進計画を平成20年3月に策定いたしました。この計画には、県及び市町村あるいは拠点病院を初めとする医療機関や関係機関、団体、それに県民が一体となって取り組んでいく必要があると明記しており、県では、この計画に基づき、がんによる死亡率の減少と、すべてのがん患者及びその家族の苦痛の軽減と療養生活の質の維持向上を目指して、がん対策を積極的に推進しているところであります。現状では、がんになられて命を亡くされるような方もまだまだ結構多いものですから、これから頑張らなきゃいかんというふうに思います。
 議員御指摘のいわゆるがん条例については、幾つかの県と市町で議員提案により制定され、がん対策の推進が図られていると聞いていますが、本県においてもがん対策推進計画に基づく取り組みを進めながら、条例について他県の取り組みなどを参考に研究していきたいと考えております。
 次に、加工食品の戦略についてでございます。
 ミカン、梅、柿を初め豊かな農水産物資源を活用した食品開発は、農業振興のみならず、地域活性化の面からも県民の皆様に大いなる期待を持っていただけるものと信じておりまして、さまざまな方法を駆使して和歌山発の加工品づくりに力を注いでいかなければならないと考えております。
 かつて統計をとりますと、和歌山県はこれだけ農水産物がいっぱいあるんですけれども、加工に回す、加工で売るという点ではあんまりいい成績ではありませんでした。これをもっと高めないと損だというふうに思いまして、努力をしてまいりました。
 平成20年度から食品加工に係るヘッドクォーター──これはいろんなところにまたがっておりますので、1つの中心をつくったということですが──これを設置いたしまして、関係部局の連携により情報の共有、一元化を図っておりまして、現在、例えば大手食品・飲料メーカーとの連携による商品開発とか、地元の自発的な動きも含めて生産者グループ等による加工食品開発とか、あるいは健康志向を踏まえた果実の機能性成分の技術的な、あるいは研究的な開発とか、そういうもの3つを柱に国の資金の活用とか、大学との連携とか、地域の人たちを励ますとか、そういうようなことで取り組みを進めているところでございます。
 平成21年10月には和歌山県新技術創出推進条例というのをつくっていただきましたが、これをもとにして産業技術基本計画を制定しております。その計画においては、この加工食品などのバイオ技術、これが4つの重点分野のうちの1つとしてとらえておりまして、物すごく熱心にやっていきたい、そういうふうに思っているところでございます。
 一例を挙げますと、工業技術センターを組織改編いたしまして、県内企業による新商品開発や加工技術上の課題解決などに係る支援を一層強化いたしました。こうした取り組みによりまして、梅酢ポリフェノールの機能性解明、農商工連携によるジンジャーエールの商品化など、徐々に成果が出てきております。
 今後とも生産者や関係業界の皆様、研究機関との連携を強化し、機能性研究や技術開発に努めることにより、果樹王国和歌山の発展、食品産業の育成に取り組んでまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) がん登録の進捗状況についてお答えをいたします。
 がん登録は、がんの種類や発症年齢、治療状況などの情報を把握して適切な対策や医療の確保を図る上で重要であると認識をしております。県では、県内のがん診療連携拠点病院6病院と、平成21年度からは拠点病院以外の5病院の計11病院において院内がん登録を実施しています。
 地域がん登録については、その法整備等について国に対して提案するとともに、県立医科大学を初めとするがん診療連携拠点病院、県医師会、県病院協会などの協力をいただきながら、また他県の取り組みも参考にし、その実施に向けて検討を進めているところです。
 次に、空白医療圏へのがん診療連携拠点病院設置等医療体制の整備についてですが、国のがん対策推進基本計画では、原則として、全国すべての2次保健医療圏においておおむね1カ所程度拠点病院を整備することとなっています。本県では各医療圏のほとんどが小規模であり、和歌山保健医療圏以外での医療資源は限られているという現状があります。
 このような状況の中で、すべての県民が県内どこでも質の高いがん治療を受けることができるようにするため、国指定のがん診療連携拠点病院のない医療圏を中心に、地域の拠点病院のうち一定要件を満たすものを県が独自にがん診療連携推進病院として指定することとし、本年6月には国保日高総合病院を指定したところであります。
 今後とも、がん診療体制の整備充実に取り組んでいきたいと考えております。
 以上です。
○議長(谷 洋一君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 県工業技術センターでの研究開発等における具体的な数値目標の設定につきましては、平成19年6月に策定しました和歌山県工業技術センター中期計画におきまして、数値目標として、受託試験、受託研究等の拡大に伴う事業収入金額の増加や、提案公募型研究の獲得件数の増加、知財の登録数、実施契約数の増加を掲げ、おおむね達成することができました。
 このたび、これに次ぐ新たな中期計画の策定を行い、食品産業技術の振興も含めた組織マネジメントや財務などを含む多方面からの視点に基づき、策定の上、名称も「和歌山県工業技術センター中期経営計画」と改め、平成26年度を目標年度として本年度から鋭意取り組んでいるところです。
 なお、県全体の産業技術政策としましては、本年4月に策定しました和歌山県産業技術基本計画におきまして、今後5年間における製品出荷額、従業員数、付加価値額の数値目標を定め、計画達成に邁進してまいります。
 次に、県工業技術センターの食品産業部の充実についてでございますが、食品産業部では現在9台の機器を保有しており、工業技術センターにおける研究開発に活用しているほか、民間企業にも広く利用していただいています。このうち、民間企業による利用頻度の高い機器としましては、凍結乾燥機や真空包装機などがあり、それぞれ年間29回から30回程度の利用があります。また、利用頻度の少ない機器としては粉体造粒装置があり、年間の利用は8回程度となっておりますが、これは顆粒状の食品製造には欠かせない機器であり、こうした食品製造を行う企業にとっては不可欠な装置です。
 本年度も6種類の機器の追加導入を予定しておりますが、これらの機器につきましても、これまでと同様に広く民間企業による利活用を呼びかけてまいりたいと考えております。
 なお、議員御指摘の調理実習試験室につきましては、工業技術センターでこれまでに整備した機器を活用することで食品加工や商品の試作が行えることから、今後とも県内事業者のニーズに対応した機器の充実を図ってまいりたいと考えております。
 また、工業技術センターで県内の中小・中堅企業をリスト化し、庁内関係各課と共同して計画的に企業を訪問し、意見交換を行っているところです。
 今後とも、このような企業ニーズの把握に努め、工業技術センターの支援機能の充実強化に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 県の鳥獣害対策についてでございますが、県下の野生鳥獣による農作物の被害額につきましては、年間約3億円で推移しておりまして、深刻な状況であると認識してございます。
 県では、これまで被害対策として、防護さくの設置支援や有害鳥獣捕獲の補助、また、わな設置資材の補助、さらに地域の被害対策を支援する鳥獣害対策アドバイザーの育成など、さまざまな取り組みを行ってきたところでございます。また、イノシシやニホンジカにつきましては、狩猟期間の延長やくくりわなの12センチ規制の解除などに取り組むとともに、この9月の3日には被害が拡大しているニホンジカにつきまして捕獲頭数制限を撤廃したところでございます。
 しかしながら、こうした取り組みを行っているにもかかわらず、鳥獣による被害が依然として減少しない中、これまで以上に捕獲に力を入れていく必要があると考えておりまして、議員御指摘のとおり、狩猟に携わる人の高齢化、また、昨年12月の銃刀法の改正施行といったことがございますが、現在、猟友会等の関係団体の皆さんから人材の確保について御意見を伺っているところでありまして、今後、鳥獣害対策の中に反映してまいりたいというふうに考えてございます。
 次に、アライグマの被害対策等についてでございますが、県下におけるアライグマの被害につきましては、平成14年ごろから発生が見られ、昨年度の被害額は野菜、果樹を中心に約3000万円となっております。
 アライグマは、毎年1頭の親から平均4頭を出産する高い繁殖能力を持つことから、このままで放置すると生態系等への被害を及ぼすおそれがあるとして、平成17年、外来生物法により特定外来生物に指定されたところでございます。
 本県においても、外来生物法に基づく実施計画を策定した23市町においては、わな猟免許を保有しなくても箱わなで捕獲できるようになっており、昨年は県下で約1500頭が捕獲されてございます。
 アライグマ対策につきましては、捕獲が最重点でございまして、未策定の市町村に対し実施計画の策定を促進するとともに、引き続き捕獲おりの設置を支援するなど、アライグマによる農作物の被害軽減に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 和歌山県の教育についてお答えいたします。
 子供たちが将来への夢を持ち、志を抱いて社会に出ていこうとする人材の育成は教育に課せられた大きな取り組み課題であり、自立した社会人として活躍するために必要となる資質、能力の育成に努めることは、極めて重要なことであると考えております。
 このため、本県では平成20年度から、自立、共生、社会参加の3つをキーワードといたしまして、地域の方々と一体となって市民性を育てる教育を実施しております。小学校段階から公共の精神や帰属意識を育てるとともに、よりよい社会の実現に向け、自他ともに大切にし、義務と責任を果たしながら積極的に社会に参画しようとする意欲や態度を育成しております。また、ふるさと教育を通して、郷土の自然や産業、先人の努力や工夫を知ることにより、地域のすばらしさに気づき、郷土を愛し守り育てる心を育てております。
 さらに、公立中学校や高等学校では、職場体験活動や地域の人材を活用した出前授業あるいは講演会等を実施し、将来自分がどのように社会に参画していくかを考える取り組みも行っております。
 今後も、確かな学力、豊かな心、健やかな体といった教育の根幹部分を大切にしながら、学校、家庭、地域の関係者がともに学び、協働した取り組みを進める地域共育コミュニティを拡大し、子供たちが人として育つ多様な学びの場をつくることによって社会の形成者としての確かな自覚を持ち、地域社会づくりや国づくりに貢献できる人間力を育ててまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 36番長坂隆司君。
○長坂隆司君 御答弁いただきました。
 がん対策についてですが、がん条例は京都府においても京都府がん対策検討会議において制定する方針で進んでいます。山田知事自身が、がん条例制定を公約に当選された方であります。患者などへの情報提供、支援についての中で、拠点病院の患者サロンに遠隔地から参加がある、患者の療養生活にもよい影響があると感じる、ニーズも高いので、拠点病院以外の協力など、環境整備が必要だという認識が出ています。
 本県は全国有数のがん死亡率の高い県でありまして、本県ならではのがん条例をつくっていくべきではないでしょうか。
 昨年12月議会でもお尋ねしましたが、県がん対策推進計画の中にも、重点課題として、がん患者及び家族に対する支援をうたっています。がん診療には経済的問題、心理的問題も重要であって、相談支援や精神的ケアも充実させてほしいものであります。だからこそ、民間での患者会ネットワークや患者サロンをつくる活動への支援も考えていただきたい。市民と行政、医療者などが話し合うがんのタウンミーティングにも注目いただきたいと思います。
 こんな取り組みを実効あるものにするためにも、がん条例は必要だと思うわけであります。がん患者やその家族が1人で身も心も閉ざすのではなく、医療従事者にも入っていただいて、ともに定期的に集まって情報交換、心の悩みを話し合う患者サロンを、仁坂知事もミニ集会のつもりでぜひ一度のぞいてみていただければと思います。知事も、患者目線でがん患者、家族、医療従事者、介護従事者などとともにがん条例をつくっていくことを選挙公約にしていただくくらいの御理解、御推進をいただきますよう要望させていただきます。
 終わります。
○議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で長坂隆司君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 1番泉 正徳君。
  〔泉 正徳君、登壇〕(拍手)
○泉 正徳君 おはようございます。
 先日の15日の夜半に新宮市を襲ったゲリラ豪雨は、床上・床下浸水、大変多くの方に被害をもたらしました。この場をおかりいたしまして、被害を受けられた皆さんにお見舞いを申し上げます。それとともに、和歌山ではほとんど雨が降っていないんですが、新宮ではこれぐらいのゲリラ豪雨があったということ、改めて和歌山は南北に広い県だと、和歌山に住んでますから余計広さを感じたわけでございます。そういう意味からも、僻地から出身の私がこういう機会を得ましたこと、大変うれしく思ってます。
 議長のお許しをいただきましたので、一般質問をさせていただきます。
 本年8月の推計人口で和歌山県の人口が100万人を割り、私たちが子供のころから教わってきた「100万県民」という意識からすれば、県の人口減少に一抹の寂しさを感じるのは私だけでしょうか。
 県の統計によりますと、初めて100万人を突破したのは昭和30年の国勢調査であり、推計人口では昭和57年の109万人が最高だそうであります。その当時に比べると、9万人の人口が減ったことになります。この減少した人口を和歌山県の南部に置きかえてみますと、白浜町の半分、すさみ町以南、新宮市までの人口が30年足らずでなくなった計算になります。
 22年3月末が法期限だった過疎地域自立促進特別措置法が、全国知事会初め、多くの団体の皆さんの働きかけで現行過疎法の6年間の延長が本年3月、衆参両院では全会一致で可決され、県内では新たに由良町、那智勝浦町、太地町が過疎地域に追加され、県下30市町村のうち半数以上の16の市町村が過疎法の対象地域となりました。
 このたび、法の延長を受けて、和歌山県では、和歌山県過疎地域自立促進計画及び過疎地域自立促進市町村計画のもととなる過疎地域自立促進方針を定め、過疎地域の再生、活性化に取り組むとされています。この方針では、「産業の振興」「交通通信体系の整備、情報化及び移住・交流の推進」「生活環境の整備」「高齢者等の保健及び福祉の向上及び増進」「医療の確保」「教育の振興」「地域文化の振興等」「集落の整備」が取り上げられ、過疎地域自立促進の基本的な方向と広域的な経済社会生活圏の整備計画との関連がうたわれています。
 昨年の2月議会でも過疎地域の現状について知事から答弁をいただきましたが、過疎問題はもはや過疎地域だけの問題ではなく、大きく和歌山県の問題として取り上げなければならないところに来ているのではないかと思います。地域振興や医療、保健、福祉、道路を初め地域のインフラ整備、多岐にわたる過疎地の抱える問題がありますが、和歌山県政の課題である今後の過疎対策についてどう取り組まれるのか、知事の決意をお聞かせください。
 また、過疎地域自立促進方針に基づき基本計画の策定から計画を実行に移すまでには、県と市町村が地域の実情を共有し、そしてまた問題の解決に向けての活発な議論や地域のニーズに対する理解が必要です。今回の促進計画の中でも多くの事業メニューがあり、特に県の施策として重点的に取り上げられている過疎生活圏に関する再生活性化方針をどのように定めて、具体的な過疎計画にどう結びつけていくのか。また、現状での市町村との協議事項と課題について、企画部長よりお答え願います。
 そして、今回計画遂行のために一番のポイントは、地域の担い手をどのようにつくり上げていくかだと思います。関係機関や関係者との協議や調整など事業を推進するための地域でのコーディネーターが必要であり、従来市町村職員が担っていた分野、いわゆる市町村が進めてきた行政統治にかわり、計画を進めるために住民の参画意識を促し、運営主体をどうつくり上げていくかがこの計画の成功の秘訣だと思います。役所のOB初め、生活圏単位だとまだまだ人材もあろうかと思われますが、地域の実情に明るく、やる気のある人材を運営主体のリーダーに育てることも必要ではないでしょうか。地域の担い手をどのように考えているかを企画部長からお聞かせください。
 次に、地域医療についてお伺いします。
 和歌山県では、平成20年3月に策定された和歌山県保健医療計画に基づいて地域医療に取り組まれ、この中では、医療のみならず、保健や福祉の総合的な取り組みにも触れられています。
 先月の8月22日、田辺で開催された地域医療シンポジウムの会場では知事の姿も拝見して驚いたのですが、田辺圏域では田辺圏域保健医療介護の連携体制の構築をすすめる会を発足させて、医療・介護の効率的な連携を目的に、患者の情報を共有する仕組みをつくる活動が行われています。このシンポジウムでは幾つかの取り組みが発表されましたが、特に感じたのは住民の意識改革です。住民に医学知識を持ってもらい、自分の健康は自分で守るという地域での取り組みです。
 また、国保は市町村、介護は広域という事業主体の違いの壁や、全国的にも社会福祉士や介護福祉士など福祉職出身が多くなり、主治医との連絡について医療分野の敷居が高いと感じている人が多いという意見もあります。県民の健康を守るための保健、医療、介護の連携についての知事の考えをお聞かせください。
 この保健医療計画の中で保健医療圏域別の入院患者の動向が示されていますが、和歌山保健医療圏89.3%に次いで医療圏内の入院患者数が多いのが田辺医療圏84.6%であり、和歌山市以外の他の保健医療圏に比べて田辺医療圏では圏内で患者の対応が行われていると見てよいのだと思います。
 紀南での地域医療の中核をなすのは公立病院である社会保険紀南病院、国立南和歌山医療センターでありますが、広い医療圏域を抱える2つの公立病院は、救急搬送や休日医療の対応など、医師は過酷な労働を強いられています。今後の地域医療を考える上でも、公立病院の医師の確保を初め、体制づくりに県の協力は不可欠です。田辺保健医療圏の将来像を福祉保健部長よりお示しください。
 和歌山圏内には多くの僻地診療所がありますが、僻地での医師の確保は医療制度改革による医師不足の上に、僻地ゆえの生活環境などの問題を抱え、各自治体は医師の確保に大変苦労しているのが現状です。
 国では、各県にへき地医療支援機構を置き、対策を進めてきました。国の第1次計画では、医療に恵まれない僻地等における医療の確保及び向上と地域住民の福祉の増進を図るため、昭和47年には自治医科大学が創設され今日に至ってますし、また、三重県、愛知県、岐阜県の東海3県ではへき地医療研修会、へき地体験実習などを積極的に行い、各県の僻地対策をより効果的にするためにへき地医療研究会を開催してへき地医療計画に関しての情報交換もなされています。全国各県が地域医療充実のためにいろいろと知恵を絞り、取り組まれていることは言うまでもありません。
 私の住む本宮町には公立診療所がありますが、その公立診療所に隣村の奈良県十津川村の村営バスが1日2便運行されています。本宮診療所の前には村営バスの停留場が設置され、通院のための村民への交通施策がなされています。県境に住む住民には、僻地医療の問題は、単に自治体だけでは解決できない切実な問題です。奈良県や三重県等々、県を越えた僻地医療についての意見交換の場があってもいいと思いますし、時には協力、連携し合って医師の確保を考えることも必要だと思いますが、福祉保健部長の考えをお聞かせください。
 3点目は、地域文化の振興についてお伺いします。
 県では、本年4月に文化芸術振興基本計画を策定しています。この中では、文化芸術が暮らしの中に息づく心豊かな社会の実現を目指し制定したと書いてあります。私は、できればこの中に「地域の誇り」という文言が欲しいのですが、文化芸術活動の振興、文化資源の活用と文化芸術振興による地域づくり、文化芸術を担う人づくりの推進と、施策の方向を示して取り組んでいます。
 電気や水道のように、人が生きるために文化や芸術も大事なライフラインだと思います。文化芸術は広範囲に及びますので、きょうは地域文化について質問をいたします。
 高野・熊野が世界遺産に登録されたときに、当時の文化庁の長官でありました河合隼雄氏の講演がありました。この中で、「熊野のすばらしさを世界に向けて発信することはすばらしいことですが、外国人に突っ込んで聞かれるとなかなか困る」と言われていました。「キリスト教なら唯一の神を信じているが、熊野はどうですか」と問われると、「宗教もあり仏教もあり、熊野は何でもあります」。「何もかもあってそれでいいのか」と言われますと、「外国人に対して熊野の本質をはっきり言えないと、世界には発信しにくい」と、そういうことであります。
 人類は初めに、アニミズムといって、石や木にも神があるとか魂があると考え、それが多神教になり、さらに洗練されて一神教になりました。だから、人類の進化を考えたときに、一神教が一番上にあり、他のものは古臭いと、こう考える人がたくさんいました。キリスト教の国やイスラム教の国の人はまだその考えを持っているとも述べられていました。
 しかし、日本人のもともとの考えは、精神と物、物と人、あるいは心と体は分けられないという考え方だったと言っています。だから、木1本見ても我々は拝みたくなるのだというのは、木も精神を持ってます。熊野の文化や精神を語ろうとすれば、木の話が出てきたり、海の話が出てきたり、滝の話が出てきたり、火の話が出てきたり、非常に特徴的なところらしいのですが、熊野は自然の力を持っていると、こうも言われていました。
 和歌山の自然豊かな中ではぐくまれてきた文化を伝えるため、1つのテーマである「地域文化の継承」に取り組まれていますが、ぜひ地域の文化をつくり上げてきたもととなる歴史や伝承など、地域の誇れる文化を外国人にも説明できるような文化的、民族的な背景をきっちりと押さえて後世に残してほしいと思います。このことが将来きっと世界に発信できるすばらしい地域の財産になると思います。
 そこで、企画部長に現在の地域文化継承への取り組みについてお伺いします。
 和歌山には、時代とともに歩んできた多くの民俗文化財があります。これらを後世に残すためには、継承するための人的、経済的な支えが必要です。地域で継承されて今日まで至っているものもあれば、過疎や少子化で郷土芸能が維持できなくなっている地域も少なくないと思われますし、後継者がいなくて継承できなくなる貴重な伝統文化もあります。
 昨日も平木議員から伝統工芸について質問がありましたが、教育長に民俗文化財に関する現状と取り組みについて伺います。
 最後に、林業政策についてお伺いします。
 第62回全国植樹祭が田辺市の新庄公園で平成23年5月22日に開催されることが決定し、既にカウントダウンが始まりました。また、来年は、世界じゅうの森林の持続可能な経営、保全、利用の重要性に対する認識を高めることを目的として国連で定められた国際森林年でもあります。今回の植樹祭は、木の国和歌山を広く、国内はもとより世界に発信する機会を得たものと喜んでいます。我々県議会も植樹祭の成功に向けて取り組んでいきたいと思っています。
 森林は、国土の保全、水源の涵養、生態系の維持など、多くの公益的な機能を有する大切な公共財であり、近年は地球温暖化防止の二酸化炭素の吸収源としても大きく取り上げられています。しかし、山林に目を向けますと、長引く木材不況は材価の下落や木材需要の減少など、林家や木材関係者には厳しい風が吹いています。こんなときだからこそ、植樹祭のテーマである「緑の神話 今 そして未来へ 紀州木の国から」、木の国再生のメッセージを県民に向けて発信し、植樹祭を契機として県の林政ビジョンを示し、積極的に対策を進めていくことが和歌山県の林業にとって大事なことだと思いますが、知事の林政ビジョンについてお聞かせください。
 政府の平成23年度概算予算要求の概要が示されました。概要には、森林環境保全直接支援事業の創設、簡易で丈夫な路網整備の推進、安全・安心の確保に向けた治山対策の重点化、森林林業再生プランの実現に不可欠な人材の育成、地域材の利用拡大の促進、国際森林年の取り組みの推進が主要事項として取り上げられています。特に直接支払い制度については、具体的に5つのポイントを示して効率的かつ効果的に森林整備が図れるよう、意欲と実行力を有し、かつ面的なまとまりを持って持続的な森林経営を実施するものに対し支援すると明記され、切り捨て間伐から搬出間伐へシフトして、10年後には木材自給率50%達成を見込むと掲げられています。
 そこで、農林水産部として林業関係の政府の23年度概算予算要求をどうとらえているのか、部長の答弁を求めます。
 またあわせて、和歌山県は林野面積の95%を民有林が占め、3ヘクタール以下の小規模林家が54%という現状であります。事業推進をするためには、林家の理解と協力が不可欠であります。直接支払い制度へどのように対応していくのか、お答えください。
 最後に、林業を通した雇用創出についてお伺いします。
 先日の農林業センサスでも全国的に農業の就労者が5年前に比べて22%の減少という記事が載っていました。県内の雇用状況を見ましても、景気の低迷や企業の人員削減など、雇用拡大が思うように進んでいないのが現状です。
 今まで過疎地域では、第1次産業と建設業が雇用の受け皿であったことは間違いありません。和歌山県の建設業での雇用は最盛期の5万人から1万人近くの減少となり、過疎地では、森林を生かした林業振興による雇用拡大を図らなければなりません。県でも、紀州材生産販売プランや低コスト林業、また企業と協力して企業の森事業などに取り組まれていますが、さきの質問でも述べましたが、国の林業政策にのっとり、和歌山県の林業活性化を進めるためには官民一体となって取り組まなければならないことは言うまでもありません。
 先日、田辺市で開催された森林づくりを考えるシンポジウムでも森に対していろいろな意見が交わされていました。森と海のつながりの大切さでは、「森は海の恋人」というキャッチフレーズで森に木を植えて環境改善をした宮城県気仙沼市での話を取り上げて、森と海の間に里があり、この里に住む人間のかかわり方の重要性が言われ、また人工林は子孫を含めて最後まで手入れをしますという契約のもとにつくったものだとか、森林の大切さを理解するためには日本人の価値観を変えていかなければならないとも言われていました。
 和歌山県は、県土の77%が森林という全国でも有数の森林県で、ヒノキの蓄積率は全国1位であります。森に人が住めるような雇用の創出、林業で稼いでいけるように森林組合などの体制づくりとリーダーの養成は喫緊の課題です。これら県として雇用創出に向けてどのように取り組まれるのかを部長にお伺いいたします。
 以上、壇上よりの御質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの泉正徳君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 過疎対策についてお答えいたしたいと思います。
 これにつきましては、著しい人口の減少とか急速な高齢化の進展等によりまして活力が低下し、集落機能の維持が困難となりつつありまして、過疎対策はまさに待ったなしの状況にあります。このため、失効が懸念されました旧過疎法について、新しい過疎法をつくってもらわないととても困るということで、2年間ぐらいになりますか、大変な努力をしまして、県議会議員の御協力のもと、積極的な働きかけを行ってまいりました。
 これは与野党の一致した議員立法でできておりますので、政権交代があってどうかなという懸念もあったんですが、幸い、これについては両方とも大変熱心にやってくださいまして延長ができました。むしろ拡充ができました。それで6年間の法延長が実現したところでございます。これについては安堵するとともに、そういうふうに国レベルでやっていただいた方々に評価をしたいと思うし、また感謝をしたいと思います。
 ただ、そのときに和歌山県がずうっと提唱していたモデルのうちで1つだけ実現しなかったものもあります。これが、今年度から県で行うことにいたしました過疎生活圏という概念を導入した取り組みであります。これについては、人に「やったらどうだ」と言っておいて国が取り上げられなかったから「わしゃ知らん」というわけにもいきませんので、県で皆様にお諮りしてやらしていただいているところです。
 過疎化は、過疎地域だけではなく県全体の問題であるとの御指摘は、私も全く同感であります。県下の過疎市町村は、面積が県土の4分の3を占め、多くの県施策が過疎地域の振興につながることから、それら施策の実施に当たっては、過疎地域の再生と活性化を常に念頭に置き、県民だれ1人として見捨てないという強い思いを持って取り組んでまいりたいと思います。
 考えてみますと、和歌山じゅうが苦しいわけであります。しかし、過疎の地はもっと苦しいと思います。そういう意味で、温かい改革の気持ちを持って取り組んでまいりたいと思います。
 地域医療についてでございます。
 障害のある人や高齢者を初め、すべての県民が住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、保健、医療、介護が密接に連携し、住民の健康情報、診療情報などを関係機関で共有し、切れ目のないサービスを提供していくことが重要であると考えております。
 近年、病院と診療所など医療機関の間での連携は、我々もお願いをしたりしておりますこともあってか、徐々に進みつつありますけれども、地域における保健、医療、介護の連携はまだまだ必ずしも十分にとれていないのではないかと考えております。地域の実情に応じまして、保健所の機能も活用しながら地域における医療と介護の連携強化を図ることができないか検討を進めてまいりたいと考えております。
 次に、林業についてでございます。
 森林は和歌山県の貴重な資源であります。来年開催する全国植樹祭は、この森林を守り、生かし、そのすばらしさを広く伝えることにより、木の国の豊かな森林と木の文化をよりよい姿で後世に引き継いでいくための県民全体の取り組みの大きな節目にしたいと考えております。また、全国にもこれを大いにアピールしたいというふうに思っております。
 森林資源が充実し、本格的に森を利用できる時代が再び到来する中で、森を生かし守る主体となる林業の活性化が、環境の保全や、あるいは山村での雇用の確保という観点からも重要であると考えております。
 このため、今回の植樹祭を契機として、改めて森林と林業の重要性への県民の皆様の御理解を高めながら、低コスト林業の一層の推進による産業として自立した林業へのチャレンジを初め、大消費地をターゲットとする紀州材の需要拡大対策とか、あるいは他産地との競合にも対応できる木材安定供給体制の整備とか、さらには間伐等の森林整備と貴重な生態系を守る公有林化等による森林の保全などをいろいろ組み合わせて、総合的に推進してまいりたいと思います。
 こういう考え方でありますけれども、具体的な政策に結びつかないと口先人間になってしまいます。そこで、19年度から森林・林業振興アクションプログラムをつくりまして、これを実行するようにしております。
 間伐材の利用につきまして、トップセールスでこれを広げるということに成功しました。販売量をふやすということにこれはつながります。それから、今申し上げましたようないろいろな中身をこのプランの中に具体的に書いておりまして、今実行を進めているところでございます。
 川上から川下の林業関係者の皆さんとともに、これからも一生懸命努力をして木材を豊かに生産できる森林と自然生態系が守られた森林とをしっかり築き上げ、元気で生き生きとした林業と森林の再生を進めてまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 企画部長柏原康文君。
  〔柏原康文君、登壇〕
○企画部長(柏原康文君) 初めに、過疎生活圏についてお答えいたします。
 県では、今年度からわかやま版「過疎集落支援総合対策」として、住民生活の一体性を重視した昭和合併前の旧町村や中学校区単位を過疎生活圏と位置づけ、日常生活の機能確保や地域資源を活用した活性化に取り組んでいくこととしております。それを実効性あるものにするため、地域住民や各種団体はもとより市町村、県が一緒になって寄合会を設置し、地域が抱える課題やニーズについて話し合いを行ってまいります。
 この取り組みを始めるに際して、4月から県下の市町村に事業説明を行い、協議したところ、現在、田辺市を初めとする7市町村の8つの過疎生活圏で本事業に取り組むこととなりました。これまで開催した寄合会では、例えば若者の定住促進に向けた住宅の確保、鳥獣害対策、耕作放棄地の解消、日用品の買い物支援や通院の移動手段に伴う生活交通の確保など、さまざまな観点から地域の課題が出されています。
 次に、地域の担い手についての考え方についてでございますが、担い手といたしましては、地域住民を初め、NPOや農業協同組合、商工会などの地域団体、集落支援員や地域おこし協力隊等の外部人材を想定しています。さらには、寄合会を重ねる中で、議員御提言の地域の実情に明るい役所のOBで取り組みに意欲のある方や積極的でリーダーシップのある方などにも参加していただけるよう努めてまいります。
 続きまして、県の地域文化継承への取り組みについてお答えいたします。
 地域文化の継承につきましては、今年度の新規施策として、暮らしに密着した文化資源である方言や民話、民謡を収集し、歴史的背景の分析を加え、整理してデータベース化する和歌山文化情報アーカイブ事業に取り組んでおります。特に方言につきましては、調査員が県内市町村に赴き、住民の方々から直接音源を収集し、より正確なデータとして記録してまいります。
 これらの資料につきましては、今後、歴史的町並みですとか郷土文化、郷土料理、それから紀の国の先人などあわせまして、県民共通の貴重な文化財産として後世に継承するとともに、本県の特色ある文化として県内外へ発信してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 田辺保健医療圏の将来像についてでございますが、社会保険紀南病院につきましては、地域周産期母子医療センター及び僻地医療拠点病院として周産期医療や僻地医療支援の中核的な役割を担っていただいており、また、南和歌山医療センターにつきましても、紀南地域で唯一の3次救急医療施設として救命救急の重責を果たしていただいていると認識しております。
 県といたしましても、国の地域医療再生交付金を活用し、紀南病院のNICU後方病床の整備や南和歌山医療センターへのドクターヘリによる搬送受け入れのためのヘリポート設置など、紀南地域の救急医療、周産期医療の中核となる両病院の機能強化に取り組んでおります。
 田辺保健医療圏では、紀南病院、南和歌山医療センターを中心に地域の医療機関等の連携を図り医療体制の堅持に取り組むとともに、僻地の医療体制につきましても、僻地医療拠点病院による診療支援や自治医科大学卒業医師の活用等により、その充実を図ってまいります。
 次に、県域を越えた僻地医療についての情報交換についてです。
 本県におきましては、奈良県、三重県と平成18年に紀伊半島3県地域医療関係者連絡会議を設置し、3県共通の課題である医師の確保や地域偏在、また診療科偏在の解消に向け、特に県境の救急医療、周産期医療などについて定期的に意見交換、また情報共有を行い、県域を越えた医療連携を実施しております。
 県民だれもが安心して適切な医療サービスを受けられるよう、今後とも当連絡会議で意見交換を行い、議員御指摘の僻地医療等も含めた県境の医療連携について協議、検討を重ねてまいりたいと考えております。
 以上です。
○議長(谷 洋一君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 林業政策についての3点についてお答えいたします。
 まず、平成23年度の概算要求につきましては、林野庁におきまして、10年後の木材自給率50%を目標に掲げたことに伴いまして、林業施業の集約化、間伐や道づくりを効率的に行える人材の育成といったことを目的として施策や制度の改革が行われ、特に搬出間伐を積極的に推進するための森林環境保全直接支援事業を初めとする新たな施策に予算が重点化されております。
 要求額につきましては、対前年比5.9%増の3042億円であり、そのうち一般公共事業については対前年比10.9%増の2074億円となっておりまして、こうした予算は、現在本県が取り組んでいる低コスト林業の考えに沿うものでありまして、今後は国の予算化の状況等に留意しながらこれを有効に活用し、本県の森林・林業施策の一層の推進を図ってまいりたいと考えてございます。
 次に、直接支払い制度につきましては、これまでの造林補助事業を組みかえて新たに創設された森林整備のための補助事業であります。集約化により搬出間伐等の森林施業と、これと一体となった森林作業道の開設に意欲と実行力を持って取り組む事業体等を支援する内容となっております。
 県といたしましては、森林組合を中心として意欲のある事業体の育成に取り組みながら、小規模林家を初めとする森林所有者の集約化を図り、計画的な森林施業と路網整備が推進されるよう、この制度を積極的に活用してまいりたいと考えております。
 次に、林業を通した雇用の創出についてでございますが、本県における森林資源は、育てる時代から利用できる時代を迎え、これまでの切り捨て間伐などの保育作業から搬出間伐などによる木材生産へと移行している中で、林業や木材産業における雇用の場の拡大が見込まれてございます。
 このため、県といたしましては、紀州材生産販売プランに基づきまして、間伐材生産や林内路網の整備による低コスト林業の推進のほか、紀州材加工体制の整備などに取り組んでいるところでございます。
 森林組合に対しましては、地域林業再生に向けた雇用の受け皿として期待しているところでございまして、森林組合が地域における林業活性化の牽引役となれるよう、森林組合系統での指導強化を求めるとともに、組合役職員のスキルアップや作業現場における高度な生産技術を担う技能者の養成に努めてまいりたいと考えております。
 今後は、低コスト林業の一層の推進を初め、こうした森林組合の育成強化や民間事業体の参入促進のほか、紀州材の販路拡大を強化しまして、山村地域を初めとする川上から川下に至る地域の一体的な雇用の拡大に努めてまいりたいと考えてございます。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 教育長山口裕市君。
  〔山口裕市君、登壇〕
○教育長(山口裕市君) 民俗文化財に関する現状と取り組みについてお答えいたします。
 県内の民俗文化財の中には、後継者がいないなどの理由から継承が困難となって、長らく伝えられてきた貴重な伝統文化が絶えてしまうという危機にさらされているものもございます。
 教育委員会では、これらの貴重な民俗文化財を後世に伝えていくための取り組みといたしまして、平成17年度より国の委託事業を活用いたしまして、祭り、行事、伝統技術の映像記録作成事業を実施し、伝承者がいなくなった場合でも次世代の人々が受け継ぎ、再び復活できるように祭りの儀式や踊りの振りなどを詳細に記録するよう努めております。これまでに11件の映像記録の保存を行っておりまして、平成22年度におきましても2カ所で実施しているところでございます。
 祭り、行事に使用する道具の修理等を行うための費用につきましては、希望する団体に対し補助を行っておりまして、今年度は、国の委託事業等を含め、14団体に補助を行っております。
 また、県の無形民俗文化財に指定されております田辺市の大瀬の太鼓踊りや有田川町の二川歌舞伎芝居等では、地元の小学生が保存会の指導を受け、祭りや運動会等で披露し、文化財伝承のための取り組みを行っております。
 さらに、熊野・高野地域に残る民俗文化財のうち、主なものを国指定の重要無形文化財に格上げするための調査事業を本年度から実施をしております。
 今後もこのような取り組みを実施することによりまして、民俗文化財の保存を図ってまいりたいと考えます。
 以上です。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 以上で、泉正徳君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時27分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 29番山田正彦君。
  〔山田正彦君、登壇〕(拍手)
○山田正彦君 皆さんも、一般質問後半になり、しかもお昼御飯をいただき、大変なことだろうと、私、身をもって感じております。目の覚める議論も聞けず夢うつつというようなことにならないように、私なりに精いっぱい意見を申し述べたいと思います。
 それでは、議長からお許しをいただきましたので、3つばかりに絞ってそれぞれの御所見を承りたいなと、そう思います。
 公共工事の発注のあり方についてであります。
 これは、たまたまきのう、同僚議員の坂本議員からも質問がありました。私も、私なりの立場、私なりの解釈でもう一度原点に返って質問させていただきたい、そう思います。
 前任知事に絡む官製談合事件以来、仁坂県政において和歌山県公共調達検討委員会を立ち上げられて、その提言をもとに新公共調達制度が実施され、現在に至っております。実施に当たっては、幅広く業界団体からも御意見を聞かれたことでありましょうし、また実施後も、我々、自民党県議団公共調達検討委員会としてさまざまな不合理な点、改善すべき点も数多く技術調査課に対し指摘する中で、条件つき一般競争入札方式で実施されております。
 しかしながら、現在もなお各地域の建設業者からいろいろな御不満を聞かされているのが現状であります。きのうもごらんのとおりであります。今後、政府においても、なおさら厳しい財政運営の中、公共事業のさらなる圧縮が見込まれることから、建設業者として成り立っていくのかなと大変憂慮しているところであります。
 そこで、いま一度公共事業の発注のあり方について、私なりに原点に戻って質問をさせていただきますので、誠意を持って御答弁をいただきたい、そう思います。
 まず、工事予定価格と最低制限価格について、県土整備部長にお伺いいたします。
 そもそも工事予定価格とは何ですか。どんな積算資料で積算していますか。結果、答えとして算出された積算額に県として当然責任が持てますか。仮に建設業者が工事予定価格の100%で落札された場合、県としては異議がありませんか。
 また、制限価格とは何なんでしょうか。最低制限価格を設定する根拠はどこにありますか。その最低制限価格で落札した場合、建設業者として、従業員やその家族の福利厚生費を含め、企業として健全経営されるものと自信を持って断言できますか。
 次に、総合評価方式について、これもお伺いいたします。これも坂本議員も質問されました。
 公共調達制度の中で総合評価方式を積極的に導入されていますが、応札業者がすべて平等なスタートラインに立てていますか。地域貢献点に関してもいろいろな問題もあるし、あるいは、それは当然地域的には区別されてもおりますが、工事受注実績の有無──あるなし──配置予定技術者の能力評価──これは、工事受注がない場合は技術者の評価はできません。ないものはできないですから──そういう差別が出ています。現行制度が明らかに受注実績のある業者に有利に働く仕組みになっていると思われますが、県として今後どのように考えていくおつもりでありますか。
 また、最低入札業者でありながら総合評価点のせいで、その上の高額入札業者が落札している場合がよくあります。業者間にこの制度に対する大変な不信感が漂っております。このような状況を踏まえ、総合評価方式の導入については、きのうもその話が出ましたが、5000万ぐらいまで一遍引き上げてその様子を見るべきではないかなと思うんですが、いかがですか。
 次に、工事量の減少する中、受注機会の確保、雇用の拡大について県土整備部長に改めてお伺いいたします。
 工事入札業者の地域要件を可能な限り細分化することが受注機会の確保につながると思いますが、いかがですか。
 また、発注ロットの分離分割を県の方針として強力に推進することも受注機会の確保、雇用の確保につながると思いますが、その御意思はありますか。例えば、多少専門的になって申しわけないんですが、ボックスカルバートなんかをたくさん使用する現場があるとします。それをほんの少し前の工法に戻してあげると、現場を御存じの方はよくわかると思うんですが、捨てコンを打って、それから鉄筋を組み、型枠を入れてコンクリートを現場打ちするということになれば、たくさんの職人、作業員が必要になり、雇用の拡大にもなります。
 私自身想像もできなかった事案も現実にありました。この議会でもありましたが、平成20年度にあった国道168号線、仮称・切畑2号トンネル道路改築工事でトンネルが3分割して発注されたんですね。一括発注したかったけれどもできなかったという理由は別にあるとお伺いはしてますが、逆説的に考えますと、トンネル工事はもう大変なもんやということで、技術的にも大手業者でなければできない、そういうふうに私自身も思ってましたが、トンネルを掘削するのと、それから、トンネルの内側をコンクリートで巻く覆工工事というのがありますが、それも別に発注されましたし、それから路盤であるコンクリート舗装工事も分割されて、結局、県内業者でできるということになりました。施工担当課としては、もちろん事務量もふえるし、大変だったろうとは思いますが、やればできる。できたんです。これはほんの1つの事案なんですが、珍しい事案なんですが、いずれにせよ、今の公共工事の入札制度なり発注方法の工夫を考えない限り、地方の業者は成り立ち得ません。
 近年の異常気象などによって大小さまざまな災害が発生しております。地方においても災害時の対応等の主力部隊となっていただけるのは、地方の建設業者であります。冒頭に申し上げましたように、官製談合のあおりを受けて、ただひたすら地方の環境整備のため先頭に立っていただき、ひたむきにまじめに営まれてきた地方の中小企業の皆さんこそ、いい迷惑です。今後もこの制度の運用について、その都度、県議会として指摘したいと思いますが、どう感じられますか。御回答、よろしくお願いします。
 2つ目に入ります。京奈和自動車道と仮称・紀の川関空連絡道路についてであります。お手元に関空連絡道の資料が届いていると思うんで、ごらんいただきたいと思います。
 この京奈和自動車道というそもそもの成り立ちは、昭和62年6月、国土庁が発表された四全総、つまり第四次全国総合開発計画の中で、多極分散型の国土を形成するため、交流ネットワークの構想を推進する必要があるとして、高速交通サービスの全国的な普及、主要拠点間の連絡強化を目標として、およそ1万4000キロメートルで形成されるとされる中で計画された道路であります。以来、関係各位の大変な御努力によりまして、今日までにはその京奈和自動車道の橋本道路は既に供用が開始されております。また、紀北東道路につきましても、平成24年度の供用を目指していると、頑張っていただいていると、そうお伺いしております。また、紀北西道路も、平成27年に本県で44年ぶりに開催される紀の国わかやま国体までに全線が供用できるように国に対して強力に働きかけをしていただいていると思いますけれども、政権交代もあり、大変厳しい状況であろうと思います。
 そこで、県土整備部長にお尋ねいたします。
 京奈和自動車道路の取り組みと今後の見通しをお聞かせください。
 また、京奈和自動車道路は、関西大環状道路として位置づけられて、全線供用されれば紀の川流域はもとより和歌山県北部一帯の経済波及効果は絶大なるものがあると思います。和歌山県浮揚の起爆剤になると確信しております。現状の計画どおりでいきますと、この資料2にもありますが、東向いて行きますと、大和郡山ジャンクションで西名阪自動車道と連絡されます。また、西向き、和歌山向きに見ますと、阪和自動車道路の和歌山ジャンクションで連絡されることになります。つまり、その間、約76キロあります。所要時間にして、安全運転すれば1時間20分ぐらいかかるかもしれません。つまり、その間は他の高速道路への接続がありません。
 このため、京奈和自動車道路、仮称・打田インターチェンジから阪和自動車道と関西空港自動車道路の交わる上之郷インターチェンジへ至る仮称・紀の川関空連絡道路ができれば──それがこの資料1です──その間の距離は約9キロメートル、所要時間にして約7分で高速道路と接続されることになります。このことにより、関西国際空港はもとより、阪和自動車道、阪神高速4号湾岸線への最短ルートとなり、関西都市圏がさらに大きく拡大し、関西経済の活性化、通勤圏の拡大、企業誘致における物流条件の向上、また高野・熊野世界遺産の最短ルートとしても機能することとなり、海外、国内からの観光客の誘致や産業、経済、文化の進展、また府県間の融和交流の促進等、大阪府、和歌山県のみならず関西の発展に及ぼす効果ははかり知れず、本連絡道路が完成した暁には和歌山県が世界の発信拠点となることを確信しております。私も、この質問の原稿を書きながら、熱い思いがこみ上げてきました。
 そんな地元の熱い思いが本県選出の国会議員の皆様方のお力添えをいただいたおかげで、国土交通省を動かすことができました。平成20年度より京奈和自動車道路関連の道路網調査費の予算がつき、なお現在も進行中であります。
 そんな中、平成21年2月28日にはお隣の泉佐野市と紀の川市の両町長が発起人となり、紀の川関空連絡道路促進(「市長、市長」と呼ぶ者あり)ごめんなさい。両市長が関係者となり、今申し上げた紀の川関空連絡道路促進協議会を立ち上げられました。そして、去る9月10日、両市長、私をも含めた関係者一同で知事に要望書を提出し、熱い思いをお聞きいただいたところであります。
 和歌山県として周辺市町村への働きかけを初め、この要望書に記載された事項を十分御理解いただき、一日も早い国直轄事業として本事業実現のため強力なリーダーシップを発揮していただきたく、本会議の場で改めて知事の本道路の必要性の認識と整備に向けた意気込みをお伺いいたします。
 それでは、3番目の議題に入ります。県行政報告会についてお伺いいたします。
 仁坂知事につきましては、就任以来、昼夜を問わず和歌山県勢浮揚のために頑張っていただいてます。これは多くの県民の知るところでありますが、さらに知事御自身の熱い思いを1人でも多くの県民の皆様方に伝えたいとの思いで、歴代知事にはなかった県行政報告会を企画されて、1年余りをかけ、県内を一巡されたとお聞きしております。
 そこで、1巡目を終わられた報告会について、開催回数やあるいは参加者数など、あわせて知事御自身の総括をお伺いいたします。
 県内を一巡され、知事御自身、多分満足されたことだろうと思いますが、お伺いしますと、既に2巡目の報告会を計画され、8月上旬から一部スタートされたとお聞きしております。私自身も多くの県民、紀の川市民の方々ともよく話し合う機会が多い中で、少し辛口になりますが、知事御自身の思いと県民の思いとの間に多少ギャップがあるのではないか、そういうふうに思います。
 知事の行政に対する取り組みについては、全般的には異論はなさそうでありますが、何か物足りなさを感じている。それは何か。何なのか。私なりに感じることは、県民の皆様は、行政のトップリーダーであると同時に、庶民の中に飛び込んできたおやじ的な存在、親しみを持って接することのできる、気安く声をかけられる知事であってほしいと、そう強く思っていると思います。
 これは原稿にはないんですが、きのうたまたま新聞の折り込みにありました。他候補の話、「和歌山の母になる」と。私はぜひ、和歌山の父になってほしい、おやじになってほしい、そう思います。
 そこで、2巡目報告会を実施するに当たり、1巡目のような事務的な方法ではなく、季節柄、時節柄、秋の運動会やら、あるいは至るところで行われる秋祭りが、県内各所で催されます。庶民的な祭りがメジロ押しであります。公務多忙であることは十分理解いたしますが、各催し物に御招待され、ただ開会あいさつだけでその場を立ち去るというようなことではなくって、最大限その場にとどまり、県民、庶民の中へ飛び込んでいっていただいて、1人でも多くの皆さんとぬくもりのある触れ合いをしていただきたい。ぜひすべきであると私は強く思います。
 重ねて申し上げますが、知事の行政手腕に不安を抱く県民は多分いないと思います。その上、さらに人間としてのぬくもり、熱い思いが伝われば何の恐れもなく、どんな障害があろうとも正道を歩まれていけるものと私はかたく確信いたします。知事の熱い思いの御見解をお伺いし、質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの山田正彦君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) (「熱い思いを」と呼ぶ者あり)はい。
 まず、京奈和自動車道紀の川関空連絡道路につきましてでございます。
 関西国際空港と紀北地域や奈良、京都との連携を強化し、和歌山県だけじゃなくて関西全体の発展につなげるということは、本県の大きな政策目標の1つであります。その意味からもこの構想は大変有意義なものであるというふうに考えております。
 この紀の川関空連絡道路につきましては、私どももお願いをし、各国会議員の先生方とか県議の方々とか地元市町村とかが熱心にお願いをした結果、平成20年度から国土交通省において、京奈和自動車道整備に関連する道路の道路網の調査の一環として、整備の必要性を含めた調査検討が進められているところです。
 この道路は、山田議員御指摘のように、ただの地方道ではありませんで、まさに高速道路網の一環というふうに位置づけられるというふうに思います。私もそういう意味で大いに期待をしている、そういうところでございます。
 ところが、政権交代によりまして、国においては公共事業費を20%カットする、特に今年度の道路関係事業予算は約2割削減されて新規事業は認めないという方針が発表されるなど、この実現、将来における実現も含めて、少し暗雲が漂ってるという事態であります。そういう意味では極めて厳しい状況になっているというのが事実であります。
 とはいえ、県としては、大阪府と連携の上、引き続き国の調査に協力し、具体化を推進するとともに、この構想の実現に向け、紀の川市とか泉佐野市を中心とする地元の皆様方とともに必要性とか意義について粘り強く、広く訴えて実現を図っていきたい、そんなふうに思っております。
 次に、行政報告会でありますが、質問によりますと1巡目の総括と2巡目に対する思いという通告がありましたので、一応それを申し上げてから、先ほどの御発言に対しても私の考え方を申し上げたいと思います。
 私は、県民の皆様の御意見を聞くことがすべての出発点であるという思いを前回の選挙のときから広く発言してまいりました。その思いでこれまでもずっと行動してまいりました。県の行政報告会は、その思いを実行するために業界別の懇談会や各種団体の皆様との意見交換会など、たくさんやっておりますけれども、それとは異なって、何でもありの県行政全般にわたる報告をしたり、何でも御意見をお聞きするということを目指して、地域別にやろうということで始めた取り組みでございます。
 昨年7月に紀の川市において第1回目を開催さしていただいた後、本年8月末までの間に県内各地で計39回にわたり開催いたしまして、全市町村、全地区を一巡したところでございます。この間、延べ8000人を超える皆様に御参加いただき、さらには、私がしゃべるだけじゃなくて、170人近い方々から──これは延べですが──260件以上の県行政に対する御意見をいただきました。言いっ放し、聞きっ放しではいけませんので、意見は、その後必ず部内で行っております反省会で検討いたしまして、対応は決めて、それを発言者あるいはお世話になった市町村にお返しをするということにしております。
 一巡を終えての所感ですけれども、私からの報告を聞いていただくことも有意義だと思いますが、それとともに、このように参加された皆様方からいただいた意見により、急いでやらなきゃいけないような施策とか、今までちょっと油断していたような施策とか、そういうものを私自身あるいは県の職員が肌で感じ、また大いに勉強になったと本当に実感しております。
 一例を挙げますと、中小河川の水害対策につきましては、その深刻さを今よりももっと少し軽く見ていたかな、そういうふうに今は思っておりますが、参加された皆様方にお伺いするうちに、これではいかんということで、少しずつ事業費が減ってきた、数年間にわたりずっと減ってきた中で、22年度にはこれはかなり大幅なアップをするというような予算措置を行わしていただいた経緯もございます。
 ちょっと付言すれば、ところが政府においては、無慈悲にもこれに関する助成金を20%カットされてしまいました。その結果、一部使えなくなってしまいましたので、これではいかんということで、この議会に補助金つきの予算から県単独事業の予算にして、ぜひ使わしていただこうと思って皆様方に予算をお諮りしてるということでございます。
 2巡目に対する思いにつきましては、この県行政報告会において参加された皆様方とお話しさせていただいたことで、この取り組みは県民と私をつなぐ場であると確信した次第でございます。1巡目の行政報告会でも申し上げておりましたけども、これは決して一過性じゃなくて、大体このペースでいうと1年に1回ぐらいできるはずだからぜひやりますというふうに申し上げておりました。そういうことについて楽しみにしているというのが私の気持ちでございます。現に、去る8月上旬から一部市町村から2巡目の取り組みを始めさしていただきました。
 1巡目では、これまでの3年間ぐらいの県行政に関する重点施策やトピックスに関して御報告さしていただくこと、あるいは参加していただいた皆さんと意見交換さしていただくことに主眼を置いて取り組んでまいりましたが、2巡目におきましては、今度は新しく追加したところとか、そういうところを中心にして皆さんとまた議論をしていくというようなことをやっている次第でございます。
 このことが参加された皆様方からより多くの貴重な御意見をいただくことにつながることを期待しておりまして、今後、2巡目はもちろん、私が県知事でいる限り、大体毎年1回ぐらいは可能だと思いますので、3巡目、4巡目、どんどんやっていきたい、こんなふうに思っております。
 この行政報告会だけじゃなくて、各種団体とか、それからそれぞれのグループとか、そういう方々とぜひ直接身を置いて私自身も話し合いをしたい、あるいは交わりたいと思っております。
 先ほど山田議員から、庶民の中に飛び込んできたおやじの色彩がちと薄いというお話がありまして、私も実は、自分自身でも残念ながら物足りなく思っております。なぜならば、私自身はそういうのは実は大好きなんでございまして、例えば開会式だけちょいと出て、あいさつだけして人の意見も聞かないで帰るというのは、よっぽどのことがない限り、ほとんどやったことはありません。ちゃんと人の御意見も聞き、幾つか重なってるときは、せめて例えば懇親会でいえば乾杯までいさせてもらうとか、そういうこともやっておりますし、実はずっと最後までいるのが楽しいわけであります。
 しかし、公務をやっておりますと、余りにもたくさんのいろんな機会があってなかなか首が回らんという状態でございます。しかし、気持ちとしては、和歌山の父と言うとまたちょっとかた苦しくなりますんで、母もかた苦しいような気がしますから、したがって、おいやんとか、おっちゃんとか、兄やんとか、そういう気持ちで皆さんと仲よくしたいと、それが私の望みでございます。できるだけ努力をしていきたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 工事予定価格と最低制限価格の根拠についてのお尋ねですけれども、工事の予定価格は、標準的な工法で標準的な単価により積算した価格であります。その積算は、実態調査をもとに定めている積算基準や市場調査による資材単価などをもとにしております。
 具体的に算出する方法は、直接工事に必要な人件費、機械経費及び資材費と間接的な安全対策などの経費、及び企業の継続的な運営に必要な経費を足し合わせております。したがって、このように積算される予定価の100%で落札されたとしても、適正な競争の結果であれば何ら問題はないと考えております。
 次に、最低制限価格は、公共工事で低価格による受注が行われた場合、工事品質の低下、下請業者へのしわ寄せなどの弊害が懸念されることから、工事施工上、最低限必要とされる価格を計算して設定しており、これを下回った場合は自動的に失格となる価格でございます。
 また、最低制限価格の算出方法は、予定価格の各経費ごとに工事実績を反映した最低限必要と考えられる額を算定し、足し合わせております。
 次に、総合評価方式の運用についてでございます。
 平成20年6月から条件つき一般競争入札を全面導入いたしました。導入に当たりまして、過度な低価格競争や工事の品質の低下が懸念されたことから、価格と品質の両面から評価する総合評価方式を一部導入いたしました。
 なお、総合評価方式は、全発注件数の約5分の1に当たる中規模以上の予定価3000万以上の工事に導入しているところでございます。
 品質、特に技術力を評価するための標準的な方法といたしましては、個々の工事に対して具体的な技術提案を求めて審査し、評価するということが考えられるのですが、中規模の工事にこの技術提案を求めるのは業者に対しての負担が大きいために、簡易な方法として、具体の技術提案を求めるかわりに過去の実績や地域貢献などにより評価しているものでございます。この総合評価方式につきましては、過度な低価格競争に対して一定の効果があるものと考えております。
 しかしながら、受注業者の固定化、新規参入の道が開かれないなどの課題があるとの御意見も聞いております。
 今後とも、県議会や県民、事業者などの御意見を引き続いて幅広くお伺いし、さまざまな角度から検討を進め、よりよい制度となるよう取り組んでまいりたいと思います。
 適正な受注機会の確保策についてですが、まず、建設業は地域の雇用を支える重要な産業であり、社会資本整備だけではなく、災害復旧の対応など安全な地域づくりのため非常に重要な役割を果たしていると認識しております。
 地域要件としましては、厳しい予算状況のもと工事件数が限られておりますので、事業者の受注機会の確保を図ることが必要であり、地域ごとの業者数を勘案して競争性、公平性を保つために建設部を最低限の単位としているところであり、御理解いただきたいと思います。
 また、発注ロットにつきましては、県内事業者の受注機会を確保するために、現在、できるだけ分離・分割に努めているところでございます。さらに、県内業者で施工可能な工事は、一部特殊な工事を除きまして、可能な限り県内事業者に発注することを原則としております。
 なお、今年度から設計の基本に立ち返りまして、県内事業者で施工可能なシンプルな構造の設計にも取り組んでおるところでございます。今後とも、県内事業者の受注機会に配慮した設計や発注ロットに努めてまいりたいと思っております。
 入札制度につきましては、今後も県議会、県民、建設業者の意見を真摯にお伺いし、必要に応じ見直しを行うなど、よりよい制度となるよう取り組んでまいりたいと思っております。
 それから、京奈和自動車道の取り組みについてでございます。
 高野口インターチェンジから打田インターチェンジまではほぼ全線で工事が推進され、用地取得につきましても、一部残る区間で土地収用制度の活用に向け準備中であります。国においては、高野口インターからかつらぎインターチェンジまでの間を平成23年度に供用するように進められております。さらに、県では、引き続きかつらぎインターチェンジから打田インターチェンジまでの間について平成24年度の供用を強く要望しているところであります。
 また、打田インターチェンジから和歌山ジャンクションまでにつきましても、用地取得が進められておりまして、紀の川市において昨年工事着手されるなど、事業が推進されているところでございます。
 しかしながら、平成27年国体に全線を供用するためには約1000億円相当の事業がまだ残っており、単純に割り算をしても、毎年200億円以上の予算が必要と考えられます。一方、今年度の予算は145億円と、目標に向けた整備が非常に厳しい予算となっております。このため、引き続き国に対しまして、必要十分な予算の確保を強く働きかけているところでございます。
 以上です。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 29番山田正彦君。
○山田正彦君 答弁ありがとうございました。
 公共工事の件なんですが、私もこの質問するに当たり、「談合」ということを久しぶりに辞典で引きました。何人かが寄って話し合う、相談して決めることを談合というんやけど、いっときのはやり言葉、これはマスコミの造語じゃないかなと思うんですが、その後に「談合行為」って、こう書いてる事例もあります。でも、それはいにしえの昔の話、ずうっと過去の話にあったかもしれませんが、今、とにかく仕事がないし、あるいはお互い業者と切磋琢磨してますから。ただし、建設的なお互いの業者間としての話し合いするのは当然なことであろうと思います。それがたまたま100%でとっても認めるとおっしゃってる。
 予算というのは、それは吟味しないといけない。これは当然のことなんです。でも、天下晴れて県なり公的な皆さんが決めた、例えばこの工事は1000万だって決めたら、どこはばかることなく、それでええと思う。それが逆に今盛んに言われる85%とか90%でとるほうがある意味では不自然ではないかなと思うぐらい今思ってるんです。しかも、予定価格以上で仮に談合というんか、建設的な話し合いしたところで、予定価格以上の落札はあり得ないことなんですからね。そういうことで、余り世間のそういうところに流される必要は全くないんではないかな、そう思います。
 それと、部長のお話にありました総合評価方式、きのうも坂本議員もいろいろ提案もされたし、問題点もされました。例えば特別簡易型3000万以上5000万未満の仕事にしても、加算点が6点ある。そのうちで、過去の実績分、あるいは技術者の資格の問題、それから各種行われる教育研修の講習を受けたか受けないかということで3点の開きがあります。
 もう1つの3点は、これは営業所在地の本店が、例えば紀の川市で出た仕事に対して紀の川市であれば加点しますよ、他所から来たら加点しませんよと。これはある意味では差別じゃなくて区別なんですが、もう1つ気になるのは、業界団体へ入ってる人で、業界の中の一部の団体に入ってる業者に加盟してるがために加点がある。これは具体的に言いたいんやけど、いろいろ問題あったらなんなんで、多分建設業界でも何々研究会とか、あるいは電気工事業界でもあります。管工事業界でもあります。
 ただ、そういう一部に所属をしてるために1点加算するというのは、これは業界全体を公平に見た目ではない。これは、私、断言できます。そういう団体に入ってるおかげでというんか、1点加点。1点加点するということは受注金額で約1%違うということをきのうも発表されたし、私も勉強したら大体そういうことなんですね。だから、その1点が非常に大きいわけ。
 こういう本当に業者が不信を抱くようなことは、全部やめよとは言わんけど、せめて5000万ぐらいまでの一般に出回ってる工事では、やっぱり今回早急に考え直すように検討してもらったほうがいいんではないかなと思います。
 それと、発注ロットについてきのうくしくも知事が──きのうだったですか──コンサルタントに今すべて任してるわけですね。調査、研究、設計まで。私も、コンサルタント大嫌いなんです。あんな頼りないものはないというぐらい。というのは、名前は大きいですけど、全部その下で専門業者がお手伝いするわけですよ。
 だから、これは冗談にもならないんですけど、昔、西口知事のときに申し上げましたが、ビッグ愛の外部に植わってる木、あれ、知事、どこの木だと思います。和歌山の木じゃないんですよ。植木の町・桃山があるんです。九州かどっかの木らしいんです。それ何でな。コンサルタントに頼んだからです。というのは、コンサルタントというのは地元の状況を知らない。だから、都合のええ下請さん──技術協力していただくんでしょう──そういう業者の意向に沿いがちなんです。これを、ちゃんとした指示をするのが県の技術者であるわけ。やっぱり厳しくそういうふうに技術指導する。
 それともう1つ、県として知事なり県土整備部長の、地元でできることはやりなさいという強い指導がなかったら、コンサルに任したらそれで終わりというのが現実なんで、もっとやっぱり研究して、本当に地元の業者の身になって和歌山県として、県民でもある業者さんのために本当に真剣に考えてあげていただきたい。これは強く要望しておきます。まだまだこれから今後とも、我々県議団の公共調達の検討委員会がありますから、その席でもまたお話をさしていただきたいと思います。
 それと最後に、これは要望でも何でもありません。知事にエールを送りたい、そう思います。
 知事は行政マンのプロであるということは当然でありますし、何回も申し上げたように、すぐれた技量をお持ちであることは私も認めます。それと同時に、県民から選ばれた政治家であるんですね、政治家で。我々も一応地方から選ばれた政治家として頑張らしていただいてますが、和歌山県をリードする行政のトップリーダーとあわせて政治家である。政治家の宿命として、当然県民の前にその人間性も含めたすべてをさらけ出して、県民に評価をされるわけなんです。そういう意味で、私も厳しいことは申し上げましたが、まだその点で多少努力をお願いしないといけないところがあろうかと思うんです。
 この議会が済みますと、とうとう、とうとう正念場になります。これは、1人や2人あるいは少人数ではどうにも、広い和歌山県のことですから、なりません。1人でも多くの応援者、同志を結集して、ぜひ来るべき一戦に頑張っていただきたい。私もその応援者の1人にぜひ加えていただきたい。
 それと、選挙に対しての格言みたいなもんがあります。努力以上の結果は絶対にない。努力以上の結果は、フロックはない。選挙にはフロックはないということなんです。だから、努力をしていただければ必ず結果が出ます。どうか、頑張ってください。エールを送って終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山田正彦君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 43番藤井健太郎君。
  〔藤井健太郎君、登壇〕(拍手)
○藤井健太郎君 本日最後の質問者ということでございまして、一生懸命頑張らしていただきますんで、どうぞ最後までおつき合いよろしくお願いいたします。(「頑張れよ」と呼ぶ者あり)御期待に沿えるように頑張っていきたいと思うんですが。
 それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 まず、「経済・雇用・くらしと営業の安定に向けて」ということで、県経済の先行き、見通しをどのように考え、これまでの経済対策の成果と今後の対策についてお伺いをしたいと思います。同時に、県経済を支える主役の1つでもある県民の家計の収入が減り、消費力、購買力が冷え込んできている中で、県民生活をどのように応援していくのか、県民の暮らしの安定に向けてどのように考えているのかをお伺いいたします。
 内閣府の景気ウォッチャー調査というのがありまして、街角の景気実感を各産業分野で調査をして指数であらわしたものであります。ことしの8月の結果を見ますと、前月比4.7ポイントの低下、45.1。2カ月ぶりに悪化をし、家計や企業、雇用、この3部門ですべて低下ということが示されておりました。この調査では、景気が回復傾向にあるかどうかの実感をはかる指数として、横ばいの状態を50という数字であらわしておりますが、この3年4カ月間、若干の上昇下降はあるものの、50を上回らない状況となっております。この2年間さまざまな景気対策がとられてきましたし、現在もとられつつありますが、景気回復の実感が伴わないことを示した1つのデータと言えます。
 今議会の冒頭、知事は、経済情勢への対応として、景気・経済情勢に対する対策の出動は国レベルでないといかんともしがたい、心配しながら国の対策に期待をすると言われました。しかし、県としては業況把握に努め、資金繰りと競争力、成長力の強化を支援していく、雇用面では、経済団体への求人の要請、企業と求職者のマッチングの機会の提供を行うというように言われております。
 これまで知事は、経済対策として、新商品や新技術の開発など伸びる可能性のある企業をさらに伸ばして競争力をつけていくこと、トップセールスなどで販路拡大を県外、国外に求めていくことなど、経済の供給側、企業活動を活発にしていく経済政策に力点を置かれているように見受けられます。
 県内経済の需要の側面、県内事業者の仕事づくりや県内の消費力をいかに高めていくかという視点でどのように考えておられるのか。企業活動に活力を持たせることによって雇用の増や給与のアップに期待できるという側面もありますが、県経済の自立的な景気回復を図っていくために県内での需要の喚起、冷え込んでいる家計をどう応援していくのかということも必要だと思うのですが、どうでしょうか。
 家計を応援するという視点から見ると、1つは県民の安定した雇用の維持や所得を向上させていくこと、2つ目に将来の生活設計に安心感が持てること、年金、医療、介護など社会保障制度の給付を安定させ、所得に占める社会保障負担をできるだけ軽減させていくことなどが必要だと私は考えています。
 そこで、知事並びに関係部長にお尋ねをいたします。
 1つは、県経済の今後の見通しと対策について。
 県経済の今後の見通しと対策の基本的な考え方をどのようにお持ちなのか。国の対策を心配しながら期待をすると言われておりますが、国に対してどのように働きかけをしていくのか。県として経済振興に係る基本的施策はどのようなもので、今後どうしていくのか。県内の需要を拡大させていく、強化していくということについてはどのように考えておられるのか。
 2つ目に、経済対策の評価と今後の対応について。
 08年12月から始められました経済対策は、景気を自立的な回復軌道に乗せることができている、できつつあると考えられているのでしょうか。経済対策関連の基金事業が設置をされておりますが、来年度でこれは底をつくことになります。これまでの評価と今後どのように活用を図られるのか。
 3つ目に、緊急雇用創出事業、ふるさと雇用再生事業について。
 離職を余儀なくされた人の一時的つなぎ雇用や失業者の安定雇用につなげるための事業が国の経済対策として全国の都道府県で実施をされております。国が発表いたしております緊急雇用の21年度実績と22年度計画を見ますと、本県は、雇用創出数で下から4番目、ふるさと雇用でも下から4番目、2つの事業を合わせた雇用創出数では下から2番目という低位に甘んじております。国が配分した予算の範囲内のみの事業でということでと見受けられますが、雇用創出を拡大していくという、そういう点から見てどのように考えて、今後どのようにされようとしているのか。
 4点目に、正規雇用の拡大について。
 ことし7月の本県の有効求人倍率は0.58倍。職を求める人2人に対して1人分の仕事しかない。正社員の有効求人倍率は0.27倍という状況で、正社員を希望する人では3人に1人分の仕事しかないという状況です。正社員としての仕事を求める求職者に対して、求人が少ないという状況が見てとれます。企業の求人の中でも、アルバイトなど非正規が占める割合が拡大してきているのではないでしょうか。また、失業率は改善の方向にあるのでしょうか。どのような認識をお持ちでしょうか。雇用の安定化を図るためにも正規雇用の拡大が必要です。正規雇用の拡大を進めることについてどのように考えておられるのでしょうか。
 5点目に、賃金、所得の向上について。
 県民所得の動向はどのようになっているのか。勤労者の賃金はどのようになってきているのでしょうか。毎月勤労統計調査であらわれている本県の平均現金給与総額では、この10年間低下を続け、10年前より年間53万円ほど下がっているようになっています。どのような認識をお持ちでしょうか。
 ことしの8月、最低賃金の改定が和歌山地方最低賃金審議会から和歌山労働局長に答申をされましたが、雇用者報酬を引き上げていくためにも最低賃金の引き上げが必要だと考えますが、知事の見解はいかがでしょうか。
 最低賃金は直接県の権限が及ぶところとはなっておりませんが、県内の最低賃金、ことしは10円引き上げて684円にするという答申となっています。10円の引き上げは全国最低のランクでもあり、近畿2府4県でも一番低い金額です。
 6点目、中小企業向け融資制度、金融円滑化法について。
 国の緊急保証制度の拡充を受けて、県の融資制度の見直しが随時実施をされてまいりました。ことし2月から拡充された資金繰り安定資金、経営支援資金を中心に毎月平均440件、50億円程度の資金供給がされております。県の中小企業振興策の柱でもあります。今般の円高への懸念が広がりつつある中で、さらなる中小企業向け制度融資の償還期限の延長、利息の引き下げ、貸し出し枠の拡大や融資の早期実行など、経済状況に見合った資金需要にこたえていくことが求められていると思います。
 今、とりわけ円高からの先行き懸念で、より安く材料を仕入れるために現金取引をされ始めた事業者の方々からは、短期決済資金を申し込んでからの早期実行と金利の引き下げをしてほしいという話を聞きます。また、貸し付け条件の変更を求めることができる金融円滑化法が施行されておりますが、申し込みをしにくいという話もよく聞きます。有効活用を進めていくために県からの金融機関への働きかけを続けていくことも必要だと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、関西広域連合について。
 今議会に関西広域連合設立に向けて規約案と予算1224万5000円が計上されました。ことし2月議会で規約案が説明をされ、これまで議論が進められてきたところですが、議案提出に当たり、改めてお尋ねをしておきたいと思います。
 私は、地方自治体のあり方としては、住民の暮らしの身近なところで住民の必要とするサービスが提供できることが最も望ましいと考えています。そのためには、基礎自治体である市町村の権限と財源を拡充・強化し、市町村を補完する広域自治体としての県の役割を高めていくことこそ重要だと思っています。そういう観点から、県域を超えた広域自治体づくりについては慎重に検討したいという思いを持っています。
 関西広域連合という関西の府県域を超えた新たな広域自治体をつくるということになります。今日の厳しい財政状況、経済状況の中で、県民の暮らしや営業の立て直し、住民自治の発展にとって、果たして必要なものなのかどうか、どのような展望と期待が持てるものとなるのか、現時点で県民にどこまで説明ができるのか、県民の理解と同意が得られたと考えているのか、お尋ねをいたします。
 1つは、広域連合で関西は元気になるのか。
 関西が元気になれば和歌山も元気になると言われますが、元気な関西とはどのような状況を想定されているのか。広域連合でないと実現できないものなのか。それと和歌山を元気にしていくこととどのように関係していくのか。県の産業振興、県民所得の引き上げ、少子高齢化対策や過疎対策などにどのような期待が持てるのでしょうか。
 2つ目に、経済界の位置づけとその役割について。
 関西の経済界が中心になって自治体の広域化を進めてきたこれまでの経緯があります。広域連合の協議会にも参加をして発言していくと、このように言われておりますが、経済界の広域連合での位置づけや役割はどのようになるのか。経済界にはその企業活動を通じて社会に貢献するという役割が期待をされております。しかし、広域連合は自治体であり、住民全体への奉仕者であることが求められています。運営についても住民自治が発揮できるようにすることが求められています。したがって、経済界の企業利益の追求の立場からの意見が大勢を占めることになることがあっては問題があると考えます。
 3点目に、地域開発と広域連合の役割について。
 関西広域機構の理事に、大阪湾ベイエリア開発推進機構という特定のプロジェクトを推進する団体が入っています。大阪湾ベイエリア開発の実現に向けての力が注がれることになるのではないか。
 もう1つは、国のこれまでの全国総合開発計画、いわゆる全総にかわる国土形成計画法による近畿圏広域地方計画が策定をされております。既に、道路や河川、港湾などの社会資本整備については広域計画ができ上がっています。経済団体と関係府県によって構成される近畿圏広域地方計画協議会がこの計画づくりを主導してきましたが、協議会の会長は関西広域機構の会長でもあります。大阪湾岸の開発、近畿圏の広域整備が広域連合の本格的な仕事であり、主たる目的となるのではないでしょうか。
 4点目に、広域連合の持つ問題点について。
 全国知事会道州制特別委員会報告が平成18年6月にされております。座長は木村前知事であります。本県が事務局を持っておりました。その報告の中で、広域連合について次のように述べている部分があります。「広域連合には課税権がないため、関係都道府県からの財政負担に依存することとなるばかりか、事業実施にあたっても実質的に複数の構成団体の意向に左右されるなど、むしろ調整に時間がかかることも想定される。 また、現行の都道府県を存続しながら新たに広域連合を設立することは、組織上、屋上屋を架すことにもなりかねず、運用に関して効率性に欠けるとともに、住民から見れば責任の所在がわかりにくくなることや広域連合で実施する事務と都道府県で実施する事務の連携・調整の面で総合的な対応が不十分となることなどが懸念される」。広域連合には、次のような限界があるとして、詰まるところ道州制の必要を説いているわけです。調整に時間がかかる、組織上、屋上屋を架す、運用に効率性がない、住民から見れば責任の所在がわかりにくい、広域連合と県の事務調整で総合性が不十分となると。これは全国知事会の道州制特別委員会の報告でありますが、関西広域連合にはこういった問題点が実際にあるのでしょうか。
 5点目に、広域連合と府県間協定について。
 関西広域機構の構成団体、理事となっております福井県、三重県、奈良県並びに政令市が設立時から広域連合に加わっていない中で、関西全体の問題が広域連合で扱えることになるのでしょうか。広域連合による事務と府県間協定による事務と二重行政になるのではないでしょうか。
 近畿2府7県の危機発生時の相互応援に関する基本協定が06年4月に締結されています。そこには、奈良、三重、福井も参加をしております。災害対策基本法、武力攻撃事態法、その他重大な被害が生じた場合、生じるおそれがある場合、相互応援する協定となっております。同時に複数の府県が被災しても要請にこたえられ、生活必需物資、資機材の提供、避難者、傷病者の受け入れ、職員の派遣、ほか要請のあった事項について対応するとなっております。新型インフルエンザなど危機発生時に備え、近畿の地方衛生研究所間で連携する協定が06年8月に締結されています。奈良、三重、福井も参加し、京都市、大阪市、神戸市、堺市の政令市や和歌山市も参加をしております。
 近畿地域イノベーション創出協議会、工業試験場などの試験研究機関の相互活用を図るもので、福井県、奈良県の工業技術センターも参加をしております。最近では、農林水産分野で果樹、飼料米研究を行うための試験研究機関の連携協定が、ことしの8月に、京都、大阪、奈良、和歌山の2府4県で結ばれています。カワウ広域協議会というのもあります。中部近畿カワウ広域協議会、近畿、中国、四国、九州のそれぞれの一部15府県で構成されております。近畿では、滋賀と大阪、そして徳島が入っております。和歌山は入っていません。この分野では県の事務がふえることになるのか。それともこの事業には加わらないことになるのでしょうか。
 これらを見ると、広域連合で実施するとされている事務が既に協定で実施されており、広域連合の参加府県のほうが少なくなります。協定締結府県のほうが多くあり、現在の府県間協定は生きたものとし、共同事務が行われることになると思われます。広域連合に加入していなくても広域で共同処理する事務への対応はできることになります。協定で不足しているものがあれば補強すればいいのではないでしょうか。
 6点目に、広域連合と道州制について。
 全国知事会や経済界は道州制を推進する立場をとっております。広域連合と道州は組織や権限のあり方は当然異なるものでありますが、道州制を展望して、道州制の議論を進めながら広域連合を発足させることになります。それとも、関西広域連合発足によって関西の道州制の議論はとまることになるのでしょうか。広域連合は過渡的な組織となり、最終的には府県間の広域行政のあり方として道州制を目指すこととしているのではないでしょうか。
 関西経済連合会の関西ビジョン2020、2008年10月に策定されたものですが、関西での広域連合への取り組みが、道州制導入に向けての議論を深め、実現させる先駆けとなると書かれてあります。全国知事会の道州制に対する基本的考え方、2007年1月に発表されておりますが、道州は都道府県にかわる広域自治体とし、地方自治体は道州と市町村の2層制とする。ことしの6月、政府の地域主権戦略大綱では、都道府県を越える広域的課題については、広域の連携も重要とし、自発的な連携や広域連合等に対する支援のあり方を検討、道州制についての検討も射程に入れておく。射程というのは、撃てば当たる距離のことです。手の届くところに置いておくということだと思います。
 7点目に、国の事務の受け皿について。
 国の出先機関の事務の移譲を受ける受け皿づくりとも言われておりますが、関西広域連合への権限と財源の移譲が他地域よりも先行して行われることになるのでしょうか。全国一斉に権限と財源の移譲が行われない限り、先行して受けるとしても極めて限定的なものになるのではないでしょうか。
 住民の理解と同意について。
 住民の理解と同意はどの程度まで得られていると考えられているのでしょうか。知事は、県民の中でよく理解していただいて、わかった上で発足しなきゃいけないと。去年の6月議会の答弁ですが、議案の提出に当たり、そう言える状況になったと考えておられるのでしょうか。「県民の友」や行政報告会、市町村長会や議長会、シンポジウムの開催など、説明はされてきたところですが、その中で反対意見はなかったということをもって県民には理解してもらえたということになるのでしょうか。
 広域連合で取り組む個別の事務について、2点ばかりお尋ねをいたします。
 1つは、温暖化対策への取り組みについて。
 広域連合では、温室効果ガスの排出の総量の削減に関する事務を行うとされています。温室効果ガスの削減目標は引き上げられるのでしょうか。京都議定書で1990年を基準に2012年までに6%削減が公約されていますが、逆に排出量はふえてきている現状です。広域連合がどのように働きかけていくのか。府県により設定目標はばらばらとなっておりますが、本県は10.6%の削減を掲げています。大量排出者への関西規模での総量規制がかけられることになるのでしょうか。
 もう1つは、ドクターヘリの運航について。
 関西全体の需要予測調査を行い、関西全体での最適配置、運航を行うとし、和歌山のドクターヘリを広域連合へ移管するとなっています。ドクターヘリの運航は、より身近にあるほうが救命救急医療にとってより効果が上がります。現在、県立医大附属病院に1機配備され、県内の消防本部から附属病院内の運航指令センターへホットラインが入るようになっております。ドクターヘリは、救急現場からの搬送時間の短縮と早期の治療開始が最大のメリットであるわけですが、運用が広域連合に移ればどうなるのか。さらに時間短縮や複数ヘリでの対応がされるのでしょうか。
 以上お尋ねして、私の第1問といたします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの藤井健太郎君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、経済・雇用・暮らしにつきまして申し上げます。
 本県経済は、鉄鋼、化学などの一部業種を除き、回復への懸念要因が払拭されたとは言えません。現時の円高の影響により、今後、先行きに慎重にならざるを得ない状況にあると考えております。さらに言うと、前政権のときの潤沢な資金の経済対策で──そのような資金が、例えば県に基金などの形で配られております。この対策のいわば繰り延べ効果という形で、この1年間何とか景気の腰折れというのがなくて過ごしてこれたんじゃないかというふうに私自身は思っております。
 あんまりこういう悲観的なことばっかり言うと、私の立場からするとよくはないんですけれども、正直に申し上げますと、このような効果も考えると余り楽観的にはなれないというのが私の気持ちでございます。
 このような、これまた景気、経済情勢の対策は、理論的にも実際的にも国レベルでないと効果的な対応は難しい面があります。そういう意味で、やきもきをしながら心配しておるんですが、国に対しては、景気対策と、それから成長戦略、これをしっかりやってくれというふうに頼むとともに、県レベルでできることは全力で取り組んでいこうと考えておりまして、いろいろな対策を講じております。
 経済の活性化並びに雇用や所得の確保など県民生活の安定を図るため、平成20年12月、緊急経済対策本部を設置し、産業別担当者などを活用し、業況を的確に把握するとともに、金融対策や基金事業を初めとした雇用対策、下請地場産業対策などについて、国の経済対策の活用も図りながら全庁挙げて取り組みを進めてきたところであります。
 主な取り組みでありますけれども、金融対策につきましては、資金繰り安定資金や経営支援資金など、国の緊急保証制度と連携した特にセーフティーネット制度融資の創設によりまして、小規模零細企業への資金供給あるいは事業継続を支えることができたものと考えております。また、下請地場産業対策では、下請かけこみ寺の活用、相談窓口の設置により企業の課題に応じた指導を行ったところであります。このような施策により、本県経済の打撃を受ける、そういう打撃を受けることを防ぐことに一定の効果があったものと認識しております。
 今後とも円高などの動向を注意深く見守りながら、県民生活や企業の業況把握に努め、国に対して必要があれば提案、要望を行うなどし、引き続きセーフティーネットの充実、経営革新などの施策について機動的かつ適切に対策を講じてまいりたい、そんなふうに思っております。
 次に、雇用情勢につきましては、完全失業率が5%台を推移し、本県の有効求人倍率は全国平均を上回っており、近畿ではトップでございますが、かといって喜ぶわけにはいきませんで、依然厳しい状況が続いております。
 こうした状況を踏まえ、ふるさと雇用再生特別基金活用事業及び緊急雇用創出事業臨時特例基金活用事業の推進に鋭意取り組んでおり、21年度は県事業と市町村事業を合わせ1693人の雇用を創出しております。今年度はさらに基金を有効に活用し、現時点で約2700人の雇用を創出する計画を立て、切れ目のない雇用の創出に取り組んでおります。
 また、正社員有効求人倍率は低い状況が続いておりまして、就職面談会などのマッチング機会の提供やジョブカフェを初めとした若年者雇用対策、また経済団体や約3000企業への求人要請を行い、正社員の雇用拡大に向け取り組んでおります。
 これから、特に高校生の就職などが次の年に向けてまた始まります。ぜひできるだけ多くの人を雇ってくださるように、これからももう一度拍車をかけて企業などにお願いをしてまいりたい、そういうような指令を発したところでございます。
 次に、毎月勤労統計調査で所定内給与は減少傾向にありますが、賃金、所得の向上については、県内企業の生産性の向上など、事業活動そのものを活発化させることが重要であると考えています。このため、県内企業の研究開発やあるいは販路開拓の支援等を強化し、企業の力を強めるということもやっているところでございます。
 また、最低賃金の適正な引き上げは、労働者の生活の安定、消費の刺激、内需の拡大へとつながるプラスの要素があると考えておりまして、私は、できるだけ賃金が上がればいいというふうに思っております。しかし、これは無理やりに大幅な引き上げをいたしますと、それならば雇用を縮小する企業、あるいは撤退・廃業する企業が出ては一大事でありまして、こうするとかえって失業者が出て、人々の暮らしをより悪くするということにもつながりかねません。そういうことにも留意は必要であります。
 本県の最低賃金についても、公益、労働者、使用者の代表で構成する最低賃金審議会で地域経済等の実情を十分踏まえ、慎重な審議を経て、和歌山労働局長が法の趣旨に沿って決定されていると認識しております。
 いずれにしても、県経済が活性化することが重要であり、県内企業の元気を取り戻すため、技術力強化とか販売促進とかを柱にさまざまな施策を積極的に講じてまいりたいと考えております。
 次に、関西広域連合について幾つかの質問にお答えしたいと思います。
 まず、関西は元気になるのかということですが、元気な関西圏とは、地域の個性を連携させながらスケールを広げ、首都圏とは異なる多様な価値が集積する日本のもう1つの中心核として発展することであると考えております。このように関西圏が発展することが本県の発展にもつながると思います。
 県の区域を超えて取り組む必要のある課題に関西が一丸となって取り組む体制である関西広域連合は、元気な関西づくり、関西圏の浮揚につながる一助になると考えまして、関西広域連合への参加を目指してきました。
 本県が参加する具体的なメリットといたしまして、私どもから考えますと、とりわけ、これは一例ですが、本県の東南海・南海地震に備えた防災対策の強化充実とか、京都や大阪などの協働による海外からの観光客の誘致など、幾つか挙げることができると思います。
 次に、経済界の位置づけ、役割であります。
 関西広域連合は官民連携団体ではありません。地方公共団体でありますので、幅広い層の方々からいただいた御意見を運営に反映していくことになりますが、責任は行政庁であります。具体的には、経済界だけでなく、市町村や住民団体の代表の方、学識経験者などに附属機関として設置する広域連合協議会──これは規約に載っておりますが──これの構成員になっていただいて、いろんな意見を言っていただくということになろうかと思います。
 次に、地域開発と広域連合の役割であります。
 関西広域連合は、広域的な防災、観光、環境など、広域的に取り組んだほうが効果が上がるものに幅広く取り組んでいくことにしておりまして、社会資本整備を主たる目的とするものではありません。
 次に、関西広域連合がもし問題点があったら何じゃということでありますが、議員御指摘の点については、広域連合の限界を道州制を是とする立場から考えると限界があるというような議論でありまして、県が存続するということを前提にして、それよりはどうかということを議論したものではございません。県を前提として現在の広域連合を考えると、問題点があり得るとすれば、これは県の事務との関係において二重行政がどうだとか、あるいは屋上屋にならないかどうかとか、それから、るる申し上げておりますような人口の少ない県が損しないかとか、そういう問題があると思うんです。それについてはいろいろ配慮あるいは措置をいたしまして、必要最小限の経費で効率的に目的を達成できるよう、あるいは人口の少ない県が損することがないよういろいろ配慮して仕組みをつくっておると、こういうことであります。
 それから、関西広域連合と府県間協定であります。
 これは、広域的な課題については今まで広域連携で行ってきたものもあります。広域連合で行うことによって、より責任の所在が明確になって、より具体的に連携が進むというふうに期待されているものもあると思います。すべて連携をやめるというわけではありませんが、移せるものはどんどん移していけばいいというふうに思うわけであります。
 それから、道州制との関係につきましては、関西広域連合が道州にそのまま転化することはないと8月27日の関西広域機構分権改革推進本部会議で関係府県の知事等が確認したところです。ありていに申し上げますと、関西広域連合は道州制をとめるということにもなりませんが、推進するということにもなりません。
 次に、国の事務の受け皿についてでございます。
 国からの権限の受け皿については、今まで、複数の県にまたがる事務について府県では調整ができないという理由で、地方への権限移譲を拒否する国の言いわけあるいは理由がありました。例えば、府県間をまたがるような河川において、上流と下流の総合的な管理が必要だから、したがってそれぞれの各府県には任せられないということで権限の移譲はできないということであったんですが、広域連合ができますとこの中で議論ができますから、それは可能になってくるということだと思います。
 ただし、何を移し、何は国が責任を持ち続けるべきか、こういうことについてはそれぞれきちんと議論をして考えるべきだと私は思っております。さらに、権限が移される際には、その必要な財源、そういうものについての保証が絶対条件であると考えます。
 次に、住民の理解と同意でありますが、県民の周知については「県民の友」やホームページ、広報番組、シンポジウム、行政報告会を通じ、県民の方に説明を行ってきました。さらに、市町村にも御理解と御協力をいただくよう努力してきました。他府県となかなか比べにくいんですけれども、他府県のいろいろなこういう理解を求める努力に比べて和歌山県が劣っているということは全然ないと考えます。
 そのかいあって、関西広域連合に対する県民の認知や理解が広まってきたと思いますし、県のホームページで意見募集をいたしまして、特に反対の意見はなかったというふうに理解しております。
 したがって、ここで県民の代表たる皆様方にお諮りをいたしまして、広域連合について御賛同いただけないかどうか、そういうことを代表者の方々に御議論いただく機会として、別に早過ぎることはないんじゃないか、そんなふうに私は考えております。
○副議長(山下直也君) 商工観光労働部長岡本賢司君。
  〔岡本賢司君、登壇〕
○商工観光労働部長(岡本賢司君) 中小企業向け県融資制度についてでございますが、一昨年秋の世界同時不況以降、国の緊急保証制度と連携し、償還期限の延長、貸付限度額の拡大などを図るとともに、全国的にも最低水準まで融資利率の引き下げを行い、また中小企業の皆様方の意見も参考に、例えば短期決済資金の償還方法に一括償還を加えるなど、不断の見直しを行っているところです。
 今後とも、厳しい経済情勢を踏まえ、より使い勝手のよい制度となるよう見直しを行い、安定的な資金供給ができるよう努めてまいりたいと考えております。
 また、中小企業等金融円滑化法に関しましては、昨年12月に県内金融機関等に対し、返済条件の変更について個別企業の実情に応じた柔軟な対応を要請したところですが、今後とも同法に基づく各金融機関の開示状況を注視するとともに、引き続き中小企業者への円滑な資金供給について要請してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 関西広域連合における温暖化対策の取り組みについてですが、温室効果ガスの削減については、産業構造や森林面積など、各府県でそれぞれ異なる実情に即して目標を設定し、対策を講じているところです。また、関係府県においては、事業者に対する排出量規制という削減手法を採用していない状況でもあります。
 関西広域連合においては、広域環境保全の設立当初の取り組みとして関西広域環境保全計画を策定することとなっておりますが、その内容につきましては、今後、計画検討委員会で議論するということになっており、温室効果ガス削減についても、国の動向や各県の計画など実情を踏まえつつ、その内容が議論されていくものと考えております。
 関西広域連合の当面の具体的な取り組みといたしましては、関西統一キャンペーンの実施や電気自動車充電器ネットワーク化の検討など、広域メリットが十分に生かせるもの、また広域調整が必要なものなどに的を絞り、積極的に取り組むこととなっております。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) ドクターヘリの運航についてお答え申し上げます。
 関西広域連合に参加する地域では、現在、和歌山県、大阪府及び兵庫県にそれぞれ1機ずつ計3機のドクターヘリが配置されており、今後導入を検討している県もあると聞いております。
 ドクターヘリの運航が関西広域連合に移管されましても、ドクターヘリの配置及び運航指令センターは現行どおり和歌山県立医科大学附属病院となっております。
 各府県が独自にドクターヘリを運航することに比べまして、関西広域連合において現行以上の複数のドクターヘリを適切に運航するほうが県民の安全・安心がより高まり、高度な救急医療体制を提供できるものと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 経済対策と関西広域連合ということでるるお尋ねをしたわけですが、経済対策はなかなか悩ましい問題であるわけですが、今回、家計という視点から見てどう見るかということで質問をさしてもらったつもりなんですが。
 和歌山県内というのはもうほとんどが中小企業でありまして──そうなんですが、その事業活動の活性化を図るということが県民の雇用の場の提供や所得の向上に結びつくと。それはもうそのとおりなんですけども、しかし、これだけ家計が冷え込まされてきて、消費力、購買力が低下をする中で、地域の仕事もどんどん減ってきてるということにあるわけですから、内需を喚起すると、内需をどうつくり上げるのかという視点からのそういう方向に沿っての政策の組み立てというのも私は必要ではないかなと。
 そういう点で検証してみるということで──どちらかといえば企業活動を応援する、供給サイドを引き伸ばしていくということで全体を潤していこうというような方向にあると思うんですが、その逆の立場から、じゃ需要はどうなんだろうかということで、県民生活の実態であるとか、消費力であるとか、仕事量がどうなっているのかとか、そういうところから、そこを温めていくという形での政策の組み立てというのも私は1つの方法として必要だと考えておりまして、これはもう要望には──もう来々月、知事選挙ですから、私はそういうふうに考えてるんだと、そういう意見を持ってるということで、ぜひお含みおきいただけたらと思います。
 関西広域連合ですが、議会で議案が提案をされておりますんで。やっぱり幾つか気になる点があるんです。関西広域連合ができたからすぐ関西全体が元気になるというわけでもないと思うんですね。そのことで和歌山県がストレートに直結するということでもない。和歌山県は和歌山県で一生懸命頑張っていかなくてはいけないということがもちろん当然あるだろうと、そういうふうに思っておりまして、分権改革ということでいえば、まず市町村、それを補完する都道府県、そこのところに権限と財源を持ってくると。そういう中でまだ不足する分であれば広域連携とか広域連合とかいうことも考えられると思いますが、そこのところを抜きにして、いきなり府県域を超えた広域連合をつくるということには少し違和感を感じるところもあります。
 地方自治体の姿としてどうあるべきかということの結論がまだ国民のコンセンサスとしては出てないと思うんですね。今、地域主権改革ということで、地方政府基本法をつくろうとかいうようなことの話もありまして、一方では、大阪の橋下知事などは8月にも大阪の市長との論戦の中で、強い大阪、強い関西をつくるためには連携を超えた意思決定が必要と、そのための新しい広域自治体として関西州が必要だと考えると。一足飛びにいかないなら、関西広域連合を踏み台にして、そこで努力をしていくということで、関西広域連合がそのまま道州につながるものではない。これはもうだれが見てもそう思うわけですね。
 しかし、一方では道州制の議論が進んでいるわけです。広域連合を構成する団体の首長の中でも道州制の議論がある。片や兵庫県の井戸知事などは、政府の地域主権戦略大綱の道州制を射程に入れて検討するとしてることについては、道州制は国が制度的に府県合併を強制する仕掛けであって、地域主権に反するんだと、こういうコメントもされているわけです。
 広域連合が出発をして、先ほど知事は、広域連合は自動的に道州制になるもんでもないんだと、しかし道州制の議論は議論として別にあるんだというような話がされていたわけなんですが、じゃあ仁坂知事としてはこの関西広域連合の議案を提出するに当たって、この道州制というものについて地方自治体のあり方として、片や広域連合があって、これで広域行政はできるということがあって、一方で道州制の議論がされておって、それが進められていって、仁坂知事としては、この和歌山県の県民の暮らしとか今の産業の状況とか、さまざまな課題がたくさんあると思うんですが、そういったものを解決するために道州制についてはどのように考えておられますか。これをお尋ねしたいと思います。
○副議長(山下直也君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 私は、道州制についてはいろいろ考えるところがあります。絶対反対、何でも反対ということを言うつもりもございませんが、2つの点からちゃんと問題をきちんと詰めないと案にならないというふうに思っております。
 1つは、この国の形を規定するものとして、道州に何をやらせ、国としては何をちゃんと責任を持ってやり続けるか、そういうことについて、何でも道州ができたから移してしまえというと日本の国が分解してしまうというような、特に経済規制の上書きなどでそういう問題が発生するんだということについて、余り人は言わないんですが、私は大変な懸念を持っています。
 2つ目に、私は和歌山県の知事であります。一番責任を持つべきは、この100万人の──ちょっと切りましたか知りませんが──この100万人の県民の幸せを考える。これが私にとっての使命であります。したがって、その100万人の県民にとって懸念のあるようなことはきちんと詰めてもらわないと、あるいは詰めていかないと軽々しく乗るわけにはいかんということだと思います。
 それは、具体的に言うと、道州間の調整というのを何1つ議論はしてません。全部東京を中心とする州が勝ってしまうかもしれない。それから、道州の中で、道州内の配分をどんなふうにするんだというようなことについて何1つ議論されておりません。ちょっと専門的な用語で言うと、道州間財政調整と道州内財政調整、こういう2つの問題についてきちんと案が出てこないと、やっぱりそんなものを「はい」、「イエス」と、「何でもええんです」と言うわけには私はいかん、そういうふうに思っておりまして、これが100万人の県民に対する私の責任だというふうに思っております。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再々質問を許します。
 43番藤井健太郎君。
○藤井健太郎君 じゃあ、知事に再度お伺いいたしますが、100万県民の幸せを願ってという、それは知事として県政の最高責任者、県民の代表として当然だと思うんですが、じゃ、このつくろうとしてる関西広域連合はその100万人県民の幸せとどうつながっていくのかというところをきちんと県民に説明をしなくてはいけないと思うんです。
 ホームページで意見を募集したら反対意見はなかったと言いますけど、たしか3件しか意見が来なかったというふうにも聞いておるんですが、余り県民としては自分のみずからの生活と関西広域連合が結びついていないといいますか、そういう状況にまだ広くあるんではないのかなという気が私自身しているわけですが、この100万県民の幸せと関西広域連合を、どう結びつくのか説明していただきたいと思います。
○副議長(山下直也君) 再々質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) これについては、私がこの提案理由の中で御説明しておりますように、和歌山県の100万人の県民にとって少しでもいいことがあったらやろうじゃないかというのが基本的な考え方です。もちろん、悪い点のほうが多ければやめたらいいけども、悪い点は極小にしたから、したがって、いい点は幾つか考えられる。例えば、先ほど答弁で申し上げましたような点がいろいろ考えられるので、これは100万人の県民のためになるんではないかと、そういうことを考えて御提案申し上げた次第でございます。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 以上で、藤井健太郎君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 次会は9月21日定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時38分散会

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