平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(平木哲朗議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕(拍手)
○平木哲朗君 皆さん、こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 最初の質問は児童虐待ということで、角田議員、奥村議員、山下議員がさきに質問をされておりました。若干というよりも重複する部分がかなりありますが、私はその基本的な部分についてお話をしたいと思います。
 最近、児童虐待の報道を耳にしない日はないほどです。幼い子供たちが児童虐待により命を奪われたり大けがをさせられたり、あるいは食事を食べさせてもらえず栄養失調になったりなど、信じられないことが起こっています。かわいい我が子を虐待する親の気持ちが、私にはわかりません。子供は親を選ぶことができません。本当に嫌な時代になったと思います。
 私も橋本市のエンゼルプラン作成に参加をした委員の一人として、こういう状況になるとは本当に思っていませんでした。行政機関、関係機関、警察、地域社会が子供の命を守り育てることの必要性を感じています。
 厚生労働省によると、全国の児童相談所が対応した虐待の相談件数は、統計をとり始めた平成2年以降19年連続で増加しています。平成20年では4万2664件、平成21年度では4万4210件となっています。また、虐待を疑うも8割以上が相談せずといった調査もあり、通告されなかった件数を入れますと、もっともっと大きな数字になることは明らかであります。
 児童虐待には4つのタイプがあります。第1には身体的虐待、子供の体を傷つける。第2には性的虐待、子供に性的なことを強要する。第3には心理的な虐待、子供をどなりつけておびえさせたり子供に愛情を示さない。第4にはネグレクト、子供を学校に通学させなかったり食事を十分に与えないなどの養育放棄があります。実際の虐待のケースでは、これらの4つのタイプの虐待が組み合わさって起こっています。また、多くの場合、さまざまな要因が重なったとき、家族関係が不安定になり、子供の虐待が引き起こされます。
 親の要因としては、育児不安や仕事のストレス、親自身の虐待された経験、病気や障害(病気等の体調不良による養育力の低下)、精神的に不安な状態(産後うつやアルコール依存)が考えられます。子供の要因としては、育てにくい子供、また病気や障害(先天性の異常疾患や発達のおくれ)、また家族を取り巻く要因としては、核家族化によるもの(育児に関して相談できる人がいない等)、不安定な夫婦関係(夫婦げんか、DV)、また経済的な不安、地域からの孤立などが考えられます。
 厚生労働省の専門委員会が平成19年から20年に発生した子供の死亡事例73件を分析した結果、児童相談所がかかわりながら死亡にまで至った例が15件、関係機関が支援のしようがないと判断した例が22件あり、行政対応の不十分さが浮かび上がりました。
 また、残念ながら、児童虐待は家庭という密室で起きているためか、見過ごされるケースも多いと思われます。子供を持つ親としては、子育てに関する講習会などに積極的に参加して子育てのストレスを軽減させ、児童虐待などの子育てで起こり得る問題点をよく知るのが大切だと思います。社会参加や子育て講座や子育て支援イベント等に参加できない親の家庭に対する支援と指導をどうしていくのかが子育て支援の長年の課題であると思います。
 また、虐待されている子供に周囲の人が気づいたら、すぐに児童相談所など関係機関に知らせることが大切です。しかし、残念ながら、気づいたとしても無関心であったり、児童相談所や関係機関に通報しなかったケースもたくさんあります。
 児童虐待は、エスカレートすると歯どめがきかなくなることも少なくありません。他所の家のことだからといって見て見ぬふりをしてしまったら悲劇が起きてしまいます。虐待を受けた子供の心には深い傷が残ります。また、児童虐待を受けた子供は、親になったとき自分の子供を虐待してしまうという負の連鎖が起こることが多いようです。
 欧米では、虐待は重大な犯罪という認識が浸透しています。日本人の赤ちゃんが現地の病院へ行って、お尻の蒙古斑を見た看護師が虐待と勘違いをして警察へ通報したという事例や、ショッピングモールの駐車場にとめた車に子供を残したまま買い物に出かけて、戻ってみたら車の周りが人だかりになっていて虐待の現行犯で逮捕されるという事件もありました。アメリカのほとんどの州では、特定の職種に従事する人が児童虐待の兆しを発見したら児童相談所や警察など関係当局に通報することを義務としており、通報しなかったら罰則があります。日本においても、児童虐待は犯罪であるという共通認識をみんなが持つべきであり、地域社会で親と子供を支え、育てていくことが地域の重要な役割ではないかと思います。
 2004年の児童虐待防止法改正によって、虐待を受けた事実がなくても、虐待と思われる事実があった場合は児童相談所や市町村の担当窓口、福祉事務所に通告する義務があるとされています。
 子供は社会の未来です。その子供に虐待など、本来あってはならないのです。しかし、残念ながら児童虐待は家族という密室で起こっています。子供の成長は家族のみならず周囲のみんなから見守られているとなれば、児童虐待も減っていくのではないかと思います。児童虐待をなくしていくためには、関係機関が連携して子育て支援の充実や、子育てに関する情報発信や仲間づくりにきめ細かく取り組むことが必要であると思います。
 また、早期発見、早期対応していくためにも、住民が児童虐待に対する認識を持ち、関係機関に通告する義務を認識することが大事であります。関係機関は、十分に対応できる専門職員を配置し、早期に対応できる体制をつくるべきだと考えます。また、家庭への早期立入調査ができる法整備や親権制限、虐待行為に対する厳罰化、欧米のような通告義務に対する法制化も必要ではないかと考えます。
 最初に、仁坂知事にお聞きします。
 県議会開会日の知事説明の中で児童虐待について触れられ、「注意を怠ることなく、関係機関が情報共有を密にし、県民の皆さんの御協力もいただきながら早期に発見をし、毅然とした態度で早期に対応するように努めてまいります」と発言されています。私は、児童虐待に対する県民への情報発信や、県民の児童虐待に対する理解と知識がまだまだ不十分ではないかと思います。私の経験上、公務員の人に子供は親が育てるのが当たり前という認識を持っておられる方が非常に多いというふうに感じてます。今の子育て環境の劣悪さ等に関してまだまだ理解が不十分であると思っています。
 そこで、児童虐待の現在の状況についての知事の認識と児童虐待の根絶に向けた決意についてお聞きします。
 次に、福祉保健部長にお聞きします。
 平成19年から20年に発生した児童虐待による子供の死亡例73件を分析した結果、児童相談所がかかわりながら死亡に至った例が15件、関係機関が支援の必要がないと判断した例が22件あったそうです。また、児童虐待を疑いながら8割以上が相談しなかったという調査結果もあります。
 児童虐待は家庭という密室で起きているため、見過ごされるケースも多いと思われます。さまざまなケースが考えられますが、なぜ、児童虐待の発見がおくれて取り返しのつかない状況になる原因はどこにあると思われますか。また、年々増加する児童虐待に対応するために関係機関の体制強化が必要になってくると思います。児童相談所の増設、専門職員の増員は必要ありませんか。
 厚生労働省は、虐待が疑われる場合、保護者や子供の氏名がわからなくても児童虐待防止法に基づく出頭要求や強制立入調査を行うことができると自治体に通知を出しており、より積極的な対応を求めています。また、児童相談所と警察などの関係機関の情報の共有の徹底も必要ではないかと考えます。児童虐待による事件が増加していますが、早期発見、早期対応をするために関係機関との情報の共有の徹底や連絡体制をどのように強化していくのかをお聞きします。
 さらに、児童虐待行為の厳罰化も検討してよいのではないかと思います。厳罰化は乱暴なやり方かもしれませんが、児童虐待への抑止力になるのでないかと思います。
 何の罪もない、親を選べない子供たちが被害に遭うのは許されないことだと思います。親に見離された子供は、地域で守るしかないのではないかと思います。地域で子供を守ることを考えたとき、児童虐待問題を理解し関心を持ってもらうためには、児童虐待行為の厳罰化や児童虐待の通告義務に対する罰則化や親権制限をすることが必要ではないかと考えますが、県当局はどのように考えるのか、お聞きします。
 また、警察本部長には、私は、児童虐待の早期対応をするためには警察の早期介入が予防措置であり、被害を最小限に抑える一番の方法と考えますが、警察本部の基本的な考えと取り組みをお聞かせください。
 また、県教育委員会生涯学習課地域教育班では、子育てコミュニティーを地域につくろうと県内2会場で家庭教育講座「みんなで育むあったか子育て」を開催するとのことです。このような講座は県下一円で取り組んでほしいと思いますし、各市町村でも独自の子育て支援事業も取り組みされています。私は、こういう講座に参加している人たちは心配ないと思うのですが、参加しない人あるいは参加したくてもできない人たちをいかにして講座や社会に連れ出してくるのかが、大変難しい問題でありますが大事なことだと考えています。講座やイベントや社会参加できない親や家族に対して支援や指導、取り組みをどのようにして行っていくのかを福祉保健部長にお聞きします。
 次に、がらっと問題を変えまして、道路問題と流域下水道について質問します。
 7月14日の集中豪雨により河内長野市天見付近で土砂崩れが発生し、国道371号は全面通行どめとなりました。大阪府や富田林国道事務所、また県土整備部、伊都振興局建設部の関係者の皆さんの御尽力もあり、完全復旧には10日ほどかかりましたが、早期に通行可能となりました。大阪府、和歌山県の関係者の皆さんには感謝を申し上げたいと思います。
 全面通行どめの間、市民生活や地域経済にも大きな影響を与えました。学校や会社への通学・通勤、企業への物流の遅延、やっちょん広場の売り上げの低下、観光局の減少、病院への通院、急病人の救急搬送等に大きな影響を与えました。
 国道371号は、橋本市にとって命の道であると再確認をいたしました。しかし、大阪府側国道371号は、この場所だけでなく、土砂災害の危険地域がまだまだあるということです。国道371号バイパスの進捗状況と和歌山県側の紀見トンネルを除く平成25年を目途に完成を目指すと聞いておりますが、早期完成に向けた知事の決意と、橋本市の発展、地域経済活性化、また市民生活の安全・安心を確保するために早期の全線開通が必要です。全線開通に向けた今後の仁坂知事の大阪府橋下知事への働きかけについてお聞きします。
 次に、最近の異常気象による各地でのゲリラ豪雨が頻繁に発生し、短時間に多量の雨が降り、数日間大雨が続くということが多くなってきており、大きな災害を引き起こしています。東名自動車道では、地震による盛り土工法でつくられた道路が崩落する事態も起こりました。大雨による崩落事故は中国自動車道でもあったように記憶しています。
 橋本市でも、紀の川左岸農免道路が数日間の200ミリを超える雨により崩落事故が起こり、バイクで走行中の方が転落され、けがを負いました。京奈和自動車道や国道371号バイパス慶賀野付近でも、このような工法が使われています。全国各地で道路整備に使われている工法であります。
 最近の異常気象によるゲリラ豪雨、長時間続く大雨、30年の間に必ず起こると言われている東南海・南海地震の直下型地震が発生した場合の安全性と耐久性について不安を持ってます。盛り土工法の安全性と耐久性について県土整備部長にお聞きします。
 また、こういうところに植栽することは安全性、耐久性に問題はないのかということをお聞きします。
 次に、紀の川流域下水道についてお聞きします。
 平成13年4月に紀の川流域下水道が供用開始してから9年が経過し、10年目を迎えています。今年度、現在の経営計画の見直しを行い、新たな覚書を締結すると聞いております。
 当初、平成13年度から22年度までの10年間の汚水量立方メートル当たりの負担単価は97円で、30年後の全体計画の日最大汚水量は10万4000立方メートルでスタートしました。平成17年3月には、経営計画の見直し及び流域下水道の中期経営計画が策定されました。汚水量立方メートル当たりの負担金単価は改定されず、全体計画の日最大汚水量は5万1400立方メートルに変更されました。平成21年度末における流入量、整備面積は見直し計画と大きな乖離があります。3市町の財政難による整備計画のおくれ、整備区内人口の減少と高齢化の進行、節水型家電の普及、流域下水道に接続するための個人負担の問題、廃業や事業規模縮小による工場排水の減少などが考えられます。
 今回の経営計画の見直しについては、平成17年に見直した経営計画と実績に大きな乖離があり、未達成に対する原因分析を行い、3市町とよく協議をし、経営計画を作成してほしいと思います。汚水流入量や整備面積が増加するような対策を県、3市町が協力して取り組んでいただきたいと思います。後世にツケを回さないような経営計画をつくっていただきたいと念願しています。
 まず、県土整備部長に流域下水道の経営状況についてお聞きします。また、過去の反省と原因分析を踏まえての経営計画の見直しのポイントと収支向上に向けた課題と対策についてお聞きします。今後、那賀処理区においても数年後には同様の問題が発生するかもしれません。現実を見据え、将来へのツケ回しにならないように、経営計画の見直しと黒字化に向けた施策と対策をお願いします。
 最後に、紀州伝統工芸品について質問をします。
 紀州伝統工芸品には、経済産業大臣指定工芸品としては紀州漆器、紀州箪笥があります。これは、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)で定められた伝統的工芸品であります。指定の伝統的工芸品は北海道を除く46都府県にあり、211品目が指定を受けています。県知事指定工芸品は、橋本市の紀州へら竿、有田川町の保田紙、御坊市の御坊人形、田辺市本宮町の皆地笠、那智勝浦町の那智黒硯、新宮市の野鍛冶刃物、海南市の紀州雛等が指定されています。この11点は、和歌山県の風土から生まれ、生活慣習とともに生まれ受け継がれてきた伝統工芸品であります。
 国の伝産法によると、伝統工芸品とは主として日常生活の用に供されるものであること、その製造過程の主要部分が手工業であること、伝統技術または技法により製造されるものであること、伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること、一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、またその製造に従事しているものであることと規定されています。
 伝統工芸品を取り巻く環境も、時代の流れとともに厳しくなっています。伝統的な技術、技法を維持するために各種の取り組みをしているものの、生活様式の変化や安価な輸入品の増大により需要は低迷し、また伝統工芸士の高齢化や後継者不足や施設老朽化等、さまざまな問題を抱えているのが現状であります。和歌山県で生まれた伝統工芸品を守り、魅力ある伝統工芸産業振興並びに後継者の発掘、育成を図り、伝統技術の技法の次世代への継承と地域経済の発展に活用しなければいけないと考えます。
 伝産法には、伝統的工芸品産業振興策では、伝統的工芸品産業支援補助金2億3500万、伝統的工芸品産業振興補助金として7億8200万、合計10億1700万円が平成22年度予算化され、各種の対策ができるようになっています。県知事指定工芸品には予算や振興政策が不十分ではないかと思います。
 県知事指定工芸品に指定されている橋本市の紀州へら竿は、全国シェア90%以上を占める産業として育っています。年1回、全国ヘラブナ釣り大会「HERA-1グランプリ」を開催し、全国から、また韓国、台湾からたくさんの釣り人やその家族が訪れてくれています。また、へらざお普及発展のためにさまざまな取り組みを製竿組合やボランティアの皆さんの協力で行われています。
 紀州へら竿を取り巻く現在の環境も厳しく、紀州へら竿の伝承はもとより、後継者育成、へらざお釣りの聖地隠れ谷池の改修と関連施設の老朽化、後継者育成施設の老朽化、集客施設の未整備や新たな販路開拓等、たくさんの課題を抱えております。これらの課題解決をするために、今、伝統的工芸品産業に関する法律、伝産法の指定を受けるため、製竿組合や関係者の皆さんが力を合わせて指定に向けて取り組んでいます。
 しかし、伝産法の指定のハードルは極めて高く、特に工芸品を製造する技術、技法が100年以上の歴史を有し今日まで継続していること、工芸品の原材料が100年以上の歴史を有し今日まで継続していること、この2つの条件のクリアは難しく、文献や工芸品等の確認ができるものが必要となります。紀州へら竿に関する文献、工芸品、資料がありましたら、ぜひ皆さん御連絡をいただきたいと思います。しかし、現実的には非常に厳しいのが現実であります。
 今、橋本市学文路地区の観光や産業、また地域おこしのため、県・市製竿組合、学文路区長会や関係者の皆さんに協力をしていただきながら取り組みを始めたところであります。紀の川左岸広域農道の建設も進んでおりますので、この機会を逃さず、学文路地区の発展、地域おこしの1つの核として考えております。今後とも県の積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 そこで、仁坂知事にお聞きします。
 伝統工芸品に対する現状認識と将来展望をお聞きします。具体的には、今後、県知事指定工芸品は後世への伝承は可能なのか、後継者育成はできるのか、産業として成り立っていくのか、県の進むべき方向性についてお聞きします。また、県知事指定工芸品の後世への伝承と、後継者育成と生活基盤の安定をさすための伝統工芸品産業の振興策についてお聞きします。
 以上で、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの平木哲朗君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、児童虐待でございますけども、児童虐待により次代を担う幼い子供たちが傷つけられたり、時には命を失うことがあるなどということは、決してあってはならないことであります。その点、平木議員の議論は大変胸を打たれるものがあったと思います。
 残念なことですが、親だけに子供を任せられない場合には、児童相談所を中心とする行政が積極的に介入いたしまして子供を守っていく必要があると思っております。
 児童虐待は、子供の人権を著しく侵害し、心身の成長や人格の形成に重大な影響を与え、時には生命にかかわる問題であることから、今後とも、注意を怠ることなく、警察、市町村、教育機関等の関係機関と情報共有を密にし、県民の皆さんの御協力もいただきながら、毅然とした態度で虐待防止に努めてまいります。
 児童虐待の相談件数が増加しているのは、虐待そのものの増加と相まって児童虐待に対する県民の認識が深まってきたことも一因と考えられておりますが、引き続き、虐待防止に向けた意識啓発に取り組んでまいります。
 次に、国道371号の話であります。
 これは大阪府との連携を強化する上で重要な府県間道路でありまして、京奈和自動車道とあわせて関西都市圏を拡大し、和歌山県のみならず関西全体の発展に不可欠な道路であります。
 まず、県内の橋本バイパスにつきましては、柱本から慶賀野間と橋本インターから国道24号までの間の合わせて約2.3キロメートルを既に4車線で供用しておりまして、残る3.2キロメートルにつきまして、住民の皆様の御理解を得ながら、できれば平成25年度の供用を目標に鋭意整備を進めているところであります。
 また、大阪府への働きかけにつきましては、和歌山県側の整備状況に比べ大阪府側の整備がおくれております。そのために、これまでもあらゆる機会をとらえ大阪府に働きかけてきたところであります。ことし4月にも、橋本市長や議員を初め地元の方々に同行さしていただき、橋下大阪府知事に要望したところであります。また、その後も知事会や機会あるごとに府県間道路の整備について働きかけておりまして、橋下知事には、府の財政状況が大変厳しい中でも府県間道路整備の重要性については十分認識していただいていると考えております。
 県としては、和歌山県側の一日も早い供用に努め、現在、国で進められている直轄調査の推進を働きかけるとともに、大阪府側の整備進捗と府県境部のトンネルの早期事業着手について国及び大阪府に引き続き働きかけて頑張ってまいりたいと考えております。
 次に、紀州伝統工芸品についてでございます。
 和歌山の歴史と風土の中ではぐくまれ、受け継がれてきた伝統工芸品は、本県産業の礎として価値あるものであり、守るべき産業と考えております。そのため、県知事指定の和歌山県郷土伝統工芸品につきましては、より多くの伝統工芸品を後世に伝承するために、経済産業大臣指定の伝統的工芸品に比して、産業規模の要件を除くなど、緩やかな指定要件としております。
 議員御指摘のとおり、消費者の生活様式の変化に伴い、伝統工芸品の一部につきましてはその需要は減退傾向にあり、産業としての存立基盤を脅かす危機に直面しているものもあります。また、後継者育成に関しましても、技術の習得に時間と労力を要することから、その生活基盤が不安定な状況にあるということも認識しております。一方では、地域に根差す伝統工芸品を地域おこしの核として活用するというようなことができないか、そういうことも考えております。
 橋本市のへらざおなど伝統工芸品は、全国に多くの愛好者が存する、そういう場合でございまして、こういう場合は体験工房などの集客施設を整備することにより観光産業としての再生も同時に図れるという可能性も秘めていると考えております。
 県といたしましては、地域振興の観点から、国、市町村と連携をした取り組みに対する検討を重ねるとともに、地場産業振興全体の観点からブランド力の育成と企画提案力の強化を図りながら、販路開拓及び後継者育成に対する支援を一層強化してまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 児童虐待の発見、対応がおくれる原因についてですが、児童虐待の発見、対応がおくれる原因につきましては、本県におきましては、児童虐待についての通告があった場合、48時間以内の子供の安全確認を徹底しているところでありますが、原因としては、児童の居所が特定できない場合、また居所の特定に時間を要する場合、さらには居所が特定され児童や保護者等との接触はできたものの虐待の事実が把握できなかった場合等がその原因として考えられます。
 次に、関係機関の体制強化等についてでございますが、児童相談所の設置につきましては、児童相談所運営指針におきまして人口50万人に1カ所程度と示されているところですが、本県におきましては、地域性を考慮しまして新宮分室を含めまして県内3カ所に設置をしております。また、専門職員としての児童福祉司については、児童福祉法施行令第2条の配置基準を満たしており、現状では必要な人員が配置されているものと考えておりますが、今後とも、虐待の事案等の発生状況に応じまして必要な人員体制の整備に努めてまいります。
 関係機関との連携については、従前から特に警察等との連携を密にして対応してきているところですが、新たな取り組みとしまして、今年度から医療機関と保健機関の連携強化や、児童相談所や市町村、保育所、幼稚園、小中学校等の教育機関との情報共有などを進めることとしておりまして、こうした関係機関との情報共有や連携を強化することにより、児童虐待の早期発見、早期対応に努めてまいりたいと考えております。
 次に、虐待行為、通告義務の法整備の強化についてですが、親権制度については、平成20年度に改正されました児童虐待の防止等に関する法律の附則にその見直しをすることがうたわれておりまして、現在、国において検討されております。特に、実父、実母の虐待による重篤な事案が増加する中で児童の権利利益を擁護していくためには、親権制度の見直しも必要ではないかと考えております。
 また、議員御指摘の虐待行為の厳罰化及び通告義務に対する罰則化につきましては、虐待防止の観点から、今後、社会全体で議論されるべき問題であると考えております。
 次に、社会参加や講座、イベント等に参加できない親や家族への支援指導についてですが、議員御指摘のとおり、大変難しい問題であると思います。
 講座やイベントへの参加を促す方策としては、事業の中身の充実、参加しやすい環境づくり、広報・啓発等いろいろな方策が考えられますが、地域の親同士の横のつながりを強めていくような視点が必要であると考えております。あわせまして、子育て中の親が集う場所の提供や地域の子育てサークルへの支援に取り組むことも必要であると考えております。
 以上です。
○副議長(山下直也君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、道路に関する盛り土工法の安全性と耐久性についてですが、盛り土工は、道路を計画するに際しまして地形や土地利用の制約がない場合に使われる一般的な工法であり、多くの現場で採用されているところです。このため、各現場ごとに異なる現地条件に対しまして、基礎地盤の処理、盛り土材料の品質や締め固めに留意するとともに、地形や水の流れを調査し排水溝を設置するなど適切な水の処理を行うことによって降雨や地震に対して安全性や耐久性が確保されるものと考えております。
 また、植栽につきましては、樹種や場所を適切に選定し管理を適正に行うことで、安全性や耐久性に問題は生じるものではないと考えております。
 次に、紀の川流域下水道の現在の経営状況についてでございますが、汚水の流入量については、議員御指摘のとおり、市町の財政難による整備面積の伸び悩みや厳しい社会情勢等による工場排水等の減少により、平成21年度末現在で、平成17年3月に見直しを行った現経営計画に比べ約6割の流入量にとどまっております。そのため、この現経営計画で定められている維持管理費の単年度黒字転換及び資本費と維持管理費の合計の単年度黒字転換も目標達成が難しい状況にあります。このようなことから、関係1市2町と今年度中に現経営計画の見直しを行うための協議を行っているところでございます。
 次に、紀の川流域下水道の経営計画の見直しのポイントについてでございますが、関係市町の財政状況を勘案した整備予定面積や人口の減少、工場等の排水を適切に判断し、計画に盛り込むことが重要でございます。今後の収支向上に向けましては、整備面積の拡大と接続率の向上が課題であります。このため、県では、下水道事業促進整備交付金により市町村の管渠整備事業に対して、また、下水道等水洗化促進補助金により生活困窮世帯等の宅内配管工事に対して県単独で補助を行っているところでございます。
 引き続き、関係市町と協力して整備面積の拡大と接続率の向上に取り組み、効率的な下水道経営の実現を目指して努力してまいります。
 また、本年度、国の下水道予算が削減され、本県への配分は約7%減額されたことにより必要な社会資本整備がこれ以上おくれることのないよう、予算の総額確保と、おくれている地方に優先配分できるような仕組みを創設する、より地方が使いやすい制度の設計などを国に働きかけてまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 警察本部長山岸直人君。
  〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) 児童虐待事案への警察としての基本的な考え方と取り組みについてお答えいたします。
 児童虐待の早期発見と早期保護は、児童の生命、身体の保護という警察本来の責務であります。警察におきましては、児童虐待に関する相談や通報等を受理した場合、直接警察官が現場に赴き、児童と面接を行ったり保護者等に対する事情聴取を行い、児童の安全確認と安全確保を第一とした迅速な対応を行っているところであります。
 こうした状況の中、少しでも児童虐待が疑われるような場合には速やかに児童相談所に通告を行い、態様によっては一時保護等の措置をとるように働きかけるとともに、警察として必要な捜査を行っているところであります。
 警察といたしましては、今後ともあらゆる警察活動を通じて児童虐待についての情報を把握するとともに、そのような情報を把握した場合には、できる限り速やかに関係機関と連携しながら、児童の生命、身体の保護を最優先とした対応に努めてまいる所存であります。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 10番平木哲朗君。
○平木哲朗君 これはもう要望だけです。
 児童虐待について、しっかり連携をしてやっているということはよくわかっています。ただ、先ほども言いましたように、児童相談所がかかわりながら15人の子供たちが亡くなった、そして、関係機関が支援の必要がないといったケースも22件あったというふうな全国的な背景もあります。
 これから児童虐待というのは、1人の子供がさまざまな要因の中で生まれてくるものでありますし、その事案等が1つずつ違うものであると思いますので、そういう部分においてはしっかりとした──これが相談をしてこういう結果になったというんじゃ話にならないと思いますので、この辺の十分な対応を引き続きお願いしたいと思います。
 和歌山県で起こっていなくても全国で起こっている児童虐待の事案もたくさんありますので、和歌山県では起こってないからというのではなく、いつでも全国の事案と同じように対応できるようにお願いをしたいと思います。
 もう1点は、流域下水道について要望しておきます。
 当初30年計画の中で、ことし10年目ということで経営計画の見直しが行われます。この間に比べましても、残りの20年というのはもっと厳しい現状が想定されると思うんです。節水家電とか人口減少とか流域区域内の人口の減少もありますし、決して13年から今年度までに比べてよくなる要素ってほんまにないと思うんです。
 そういう部分の中で、平成13年から30年たったときに、やっぱり最終的にやってみたらまだまだ赤字が続く、あるいは料金を最終的には上げるしか方法がないというようなことのないように、面整備でありますとか流入汚水量をどうやってふやしていくんかということをやっぱり県も3市町も協力をしながらやっていくことが重要やと思います。
 これについては、那賀処理区についても果たして次回の見直しのときに経営計画との乖離がひょっとしたら伊都浄化センターと同じような状況もあるのかなという不安も持っていますので、その辺、十分計画の乖離のないように、経営計画というのは赤字を出すものじゃないと思いますので、しっかりとした経営計画を立てていただきたいと思います。
 終わります。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で平木哲朗君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、報告いたします。
 さきに議長に委任をいただきました議案第122号の数字の整理の結果については、お手元に配付のとおり報告いたしますので、御了承願います。
 次に、知事から、お手元に配付の公文書写しのとおり、議案第122号が議決されたことに伴う議案第102号の補正予算につき数字訂正の申し出があります。
 お諮りいたします。本件については知事からの申し出のとおり承認することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時44分散会

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