平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(山下大輔議員の質疑及び一般質問)


県議会の活動

  午後1時0分再開
○副議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。昼一番の質問ということなので、眠気も吹き飛ばすような質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 さて、きのうからの各ニュースでは、日本政府が6年半ぶりに為替介入を実行したということでニュースの紙面を飾っておりましたが、しかし、これも大変厳しい状況が続くんだと思います。そういったものを見ている中で、今、国も地域も私たち国民にとっても、改めて自立するということが求められているんだと思います。これまでの仕組み、やり方といったものが通用しない時代に、それぞれが評論家ではなくて、今真剣に何ができるのかが問われているのだと思います。私自身も県議会議員としてその責任を自覚して、今議会も何としても和歌山の発展を実現させていくということを心に誓い、精いっぱい取り組ませていただきたいと思います。
 そこで、早速ですが、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。
 まず、和歌山再生のきっかけと期待する関西広域連合への取り組みについて。
 この9月定例県議会には、関西広域連合の発足に向けた議案が、参加を予定する7府県のトップを切って提出されています。ここまでこの広域連合に係る議論は私たちの和歌山県議会でもさまざまな場面で行われてきましたが、いよいよその参加の賛否を問われる状況になっています。
 これまでの議論では、関西広域連合への参加は、多くのメリットが語られる反面、心配する声も少なからず聞かれる状況にあります。私自身は、広域連合への参加は賛成の立場であり、さらに積極的にその推進を図るべきと考えています。特に今、和歌山の厳しい地域の実態を分析すれば、和歌山の未来には広域での取り組みは欠かせないものであって、そこには大きな可能性があり、和歌山の新たな価値創造に必ずやつながっていくものと期待しています。県境を越えた枠組みの中で新たな行政活動を実現していくことによって、和歌山の浮上、和歌山の地域にある大きな潜在的な価値も再認識されるものと確信しています。
 ただし、そこではその参加していく姿勢が大切であって、その姿勢次第で、和歌山自身が受ける影響、成果といったものも大きく変わってきます。あくまで受け身で体制の中に組み込まれるといったことではなく、積極的にその枠組みを利用していくことが重要となります。広域連合を懸念する議論では、メリットが見えにくい、関西の中で和歌山が埋没してしまうなどの意見がありますが、しかし、これは参加する姿勢次第で、確かに受け身で参加すれば、当然その心配も当たってしまう可能性があります。しかし、現状の和歌山の危機的状況を真剣に受けとめ、その再生に向けた1つの有効な手段として積極的に参加し、一定の発言権を確保しつつリーダーシップを発揮していければ、結果は大きく違ってきます。
 広域連携を先頭に立って引っ張っていく、そういった前向きな姿勢が必要であって、その中で全体構想の構築においても主導権、イニシアチブをしっかりととれる立場を確保していくことが重要です。関西広域連合の構想、その中で和歌山発展のビジョンをどう描くか、そのビジョンの実現のために広域連合をどのようなものとしてグランドデザインを描いていくのか、そしてそれをどのように利用していくのか、その戦略が問われるものとなります。
 そこで、今回は、関西広域連合への参加の賛否が問われるこの最終局面で、改めてこれまでの議論を総括する意味も含め、私なりの提言と幾つかの質問をさせていただきたいと考えています。
 そもそも関西広域連合とはどういったものか、その意義、必要性といったことを考えるためにも、まず、私たちのこの関西の今について改めて整理してみたいと思います。
 我々の生活するこの関西は、多くの歴史、文化遺産、豊かな自然、そして日本の経済をリードしてきた産業基盤を築いてきた地域であり、日本全体を見ても中心的な役割を担い、今後もその責任を果たしていかなくてはいけない重要な地域であります。
 しかし、特に最近は中央集権体制による弊害によって本来関西の持つ力を発揮できず、その個性も大きく損なわれ、当該地域における経済の地盤沈下は顕著なものとなっています。その実態を少し見てみると、お手元の資料をごらんいただきたいのですが、こういったものを縮小した形でお手元にお配りさせていただいていると思います。(資料を示す)これは、県民経済計算のデータを用いて財団法人関西社会経済研究所が分析したものです。
 まず、最初の表1と図と表2になるんですけれども、最初の表1は1990年度から2006年度までの各地域の成長率とシェアの推移を比較したものですが、中部は全国よりも高い成長率を示し、関西は全国より低い成長率にとどまっています。結果、各地域の対全国シェアの変化では、中部は1.2%拡大しているのに対し関西は1.3ポイント縮小するものとなっています。
 次に、図1は県内総生産ベースで関西経済の全国に占めるシェアをグラフにしているものです。1980年代は18%前後を維持していましたが、バブル経済の崩壊した1990年以降、長期低下傾向にある様子がはっきりと見てとれます。
 最後の表2は、日本経済が景気回復局面にあった2002年度から2006年度までの5年間を見ているものです。これによると、関西経済はいずれの項目も日本全体の成長水準と同程度か、あるいは下回る成長となっていて、特に消費の伸びが低く、結果的に関西の成長率は関東、中部よりも低く、日本全体をも下回っていることがわかります。
 このように、他のさまざまなデータからも関西の厳しい状況は指摘されるものとなっていて、関西社会経済研究所の分析の結論としても、関西圏は首都圏や中部圏と比較して長期的に凋落傾向にあり、そのトレンドを変えるには、生半可な努力ではなく、官民一体となって思い切った経済環境を整える必要があると警鐘を鳴らしています。
 関西の再建、現在の流れを変えていくためには、関西圏内の各地域がお互いそれぞれの地域で足の引っ張り合い、そういうものをしてるんじゃなくて、それぞれが無駄な競争に労力を割くことなく、オール関西でその立て直しに全力を挙げることが重要となります。
 そもそも、今の時代はパラダイムがシフトする時代──「パラダイムシフト」とも一時はやった言葉ですけれども、まさに各地域間の関係性においてもそういうパラダイムが変化している時代だと思っております。これまでは競い合う競争の概念が重要視されておりましたけれども、これからはそれぞれの地域がお互いに補い合う、補完する概念へと考え方を大きく変えていかなくてはならない局面だと、私自身、強く感じているところです。
 成長の時代には、どんどんミクロの視点に重点を移しつつ地域間での競争を激化させて、そのこと自体が全体の成長にも貢献するものとなっていました。(パネルを示す)こういう成長の時代には競争といったことが非常に重要視されて、しかも、そのそれぞれが競争することによって全体の成長も押し上げることができていた時代やと。ただ、これから下降側面に入ってくる場合には、そういう考え方だけでは決して全体の成長を支えていくことはできないと。成長から低成長、下降トレンドに向かうダウンサイドの局面においては、もう競争だけを重視していてはそれぞれが足を引っ張り合い、すべての地域が疲弊し、全体から見ても成長の阻害要因としかならない実態が浮き彫りとなっています。
 これからの時代は、村、町、市、そして都道府県レベルまで、それぞれの地域間でお互いに協力関係を築き、それぞれに補完し合う状況、地域で連携する視点からの新たな成長戦略を描くことが求められています。そういった環境の中に今回の関西広域連合の構想もあるわけで、それはまさに時代の要請でもあるのだと考えます。
 今後は、和歌山の発展を考えればこそ広域連携の中から地域の立て直しを図る、それは、和歌山の未来を見据える中で避けては通れないチャレンジなんだと思っております。そこでは、和歌山県として不利益な立場とならないためにも、まずは前向きに積極的に取り組む姿勢が何より重要となります。
 そんな中、関西の現状については、悲観的な話だけでなく、改めて連携の視点からその状況を確認してみると、広域での協力関係から未来に向けて希望の持てる取り組み、希望の芽も幾つか出てきていることに気づきます。例えば、次世代燃料電池の世界基地となる可能性を含んだ大阪湾ベイエリア開発、アジアでの拠点空港となるべき関西国際空港のハブ化の議論、また関西文化学術研究都市の機能強化など、国家再生にも期待が膨らむ大型ナショナルプロジェクトが幾つもあります。それこそ広域的な地域開発で府県を越えた推進体制が求められるものです。
 しかし、ここで残念なのは、和歌山県として、関西広域で取り組まれているそれらの大きなプロジェクトにはまだまだメーンプレーヤーの自治体としては位置づけられていないのが現実です。だからこそ、関西広域連合の立ち上げをきっかけに各府県を巻き込み、和歌山発の大きな構想、プロジェクトを立ち上げていくことが期待され、例えば新たな関西でのリゾート構想、また地産地消を基本理念とした食料自給構想など、あくまで関西全体の視点を踏まえつつグランドデザインを描けば和歌山発展の希望もはっきりと見えてきます。
 こういった基本的な考えから、今、関西一丸となるワン関西、関西広域連合設立の意義、必要性があるのであって、これは明治以降、中央集権で突っ走ってきた国づくりの根幹を見直す大事業でもあり、そこに勇気を持って取り組めるかどうかが今試されています。
 和歌山が埋没する、切り捨てられると心配しても、逆に現状のままでもじり貧になるといった厳しい現状認識から健全な危機感をしっかりと持つことこそ今必要であり、そこでは、中央集権、これまでの甘えの構造に単に寄りかかり身を任せているのではなく、自己責任の覚悟を持ちつつ未来の可能性にかける、それこそ千載一遇のチャンスとして関西広域連合にチャレンジする志が求められているのだと思います。
 さて、そこで改めて幾つかの視点で知事に御所見を賜りたいと思います。
 まず、今回の議案を上程するに至ったこれまでの経過と現状について、知事の思いも含めて御説明をお願いしたいと思います。また、今の時代にこの関西広域連合を立ち上げる意義についてどのように考えておられるのか、お聞かせください。
 また、現時点で、特に和歌山県にフォーカスして、関西広域連合は和歌山にどう資するものとなるのか、和歌山県としてこの関西広域連合に参加するメリットをどのように考えておられるのか、改めて知事として県民に説明するつもりでわかりやすく御答弁をいただきたいと思います。
 また、和歌山県として関西広域連合を初め広域の連携を考えていく場合に、参加する姿勢が非常に大切だと考えます。広域の連携に単に参加するといったことではなく、和歌山県の戦略としてどのように地域利益を最大化していくのか、そのためにどのように広域連携をデザインしていくのかが重要となります。そこで、和歌山県の戦略として、この関西広域連合をどのように主導し、また活用していこうと考えておられるのか、知事の御認識をお聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、カジノ誘致に係る戦略について。
 さきの質問でも取り上げた広域連合、府県の行政区域を越えた連携のメリットを考える中では、産業振興といった側面でも大きな成果が期待されます。
 先日、私は、大阪府議会で行われた勉強会、近畿6府県交流フォーラムに先輩・同僚議員とともに参加させていただいてきました。分科会では、私自身、産業振興をテーマにした議論に加わってきたのですが、各府県を代表する議員の皆さんと大変有意義な意見交換を行うことができました。その議論の核心は、関西全体を見て過度の競合にお互いに足を引っ張り合うことなく、それぞれの地域の特性を生かした取り組みを各府県の協力のもと積極的に伸ばしていこうということでした。
 そういった中では、特にカジノ誘致などは広域でも議論されるべき課題であり、ぜひ和歌山県としても手おくれにならないうちに広域での調整、特に大阪府との連携は模索すべきと考えます。
 また今、カジノ合法化に向けた国の動きも加速していて、国際競争力のある滞在型観光と地域経済の振興を実現するための特定複合観光施設区域整備法、いわゆるカジノ法の設立に向けたさまざまな動きも出てきています。
 そこで、今回、過去にも私自身、平成19年6月定例議会においてカジノ誘致の提言をさせていただきましたが、改めてカジノ誘致に係る問題について、当局の考え、取り組みの姿勢についてお尋ねしたいと思います。
 今、アジアを見ても、景気拡大をねらう中で観光政策におけるカジノ議論は活発なものとなっています。シンガポールでは、ことし、総投資額120億シンガポールドル、日本円で約7500億円のカジノを中核とする大型複合リゾート施設を相次ぎ開業させました。4月にオープンしたアメリカ系のカジノリゾート、マリーナ・ベイ・サンズでは、外国人を中心に1日の入場者数が約2万5000人と当初見込みを大幅に上回る状況となっており、また、マレーシアのゲンティンが開業したカジノリゾート、リゾート・ワールド・セントーサでは、2月にカジノと4件のホテル、3月にはアメリカ系テーマパークUSS、ユニバーサル・スタジオ・シンガポールを開業させ、4~6月期の売上高は8億6080万シンガポールドル、日本円で約541億円となり、1日平均の売上高も約950万シンガポールドル、日本円で5億9400万に達したということです。そこでは、マレーシアなどからのバスツアーを初め、インドネシア、中国、インド、ベトナムなどからの家族連れも目立ち、近隣国から多くの観光客を集客している状況が報告されています。
 シンガポールへの外国人訪問者は大幅に増加し、この5月は昨年同月比で30%増の96万4000人と7カ月連続プラスを維持し、5月としては過去最高となっています。ホテルの客室稼働率も平均85%と昨年同月比で17ポイント上昇し、客室料金の値上がりもあり、業界全体の客室料収入は、これも前年同月比で45%増の1億6400万シンガポールドル、約104億円に膨らんでいるということで、日本の現状から見ると本当にうらやましい限りです。
 今後の見通しとしても、リゾート・ワールド・セントーサでは来年2011年には世界最大の水族館や高級スパなど第2期部分が開業予定で、カジノを核としつつもカジノだけでない観光戦略で、これからもアジア全体から多くの観光客を集客しようとしています。
 ちなみに、このシンガポールという国は、その存在感からすると意外なくらい小さな国です。人口500万人の小国です。私たちのこの関西と比較しても、面積で5分の1、人口で4分の1、経済規模、GDPで6分の1の国ですので、関西が一体となって戦略的な地域のマネジメントができればシンガポール1国より数段上の実力を発揮できる可能性があります。しかし、なかなかそうはいかないのは政治の差だと言われています。シンガポールの経済発展は政治主導で生まれたと、政治決断の重要性が指摘されています。シンガポールのリー・シェンロン首相は、2005年、我が国は刺激のない国と思われているとして、一連の大規模な取り組みに着手して現在に至っています。
 そういった中で、現在、他の主要なアジア諸国におけるカジノ情勢を見てみますと、既に韓国では政府公認のカジノ施設は全国各地にあり、台湾ではことし1月に離島に限ってカジノを解禁する離島建設条例改正案が賛成多数で可決されました。また中国でも、現在、マカオと香港には特別区で公営カジノが運営されていますが、さらに北京や上海にもカジノを初め公営競馬などを開設する動きが出ています。
 このように見ると、アジアの主要国でカジノを禁止しているのはもはや日本だけになっており、カジノ開設は観光立国を目指す日本にとっても喫緊の課題となっています。
 そんな中、我が国でも、ことしに入り、カジノ解禁に向けた動きが加速しています。ことし4月、カジノ合法化法案の成立を目指し、国際観光産業振興議員連盟、いわゆるカジノ議連が発足しました。この議連はカジノ合法化に向けた超党派の国会議員で構成され、民主党、自民党、公明党、国民新党、みんなの党から総勢100人を超える国会議員が参加するものとなっています。会長には民主党の古賀一成氏、会長代行に自民党の岩屋毅氏、幹事長に民主党の牧義夫氏が就任しています。
 さらに、先月8月5日には、カジノ議連の古賀会長から会長私案としてカジノ法案のたたき台が発表され、早ければことし中、遅くとも来年の通常国会に法案を提出するとした声明が出されました。そこで出されたカジノ法案の構想では、カジノ設置に向けて、まず地域指定に関する基本方針を国が定め、地方公共団体による申し出、提案を国が募り、審査、評価し地域を指定する、また指定を受けた地方公共団体は、公募により整備計画案を募り、施設の整備、運営を行う民間の特定事業者を選定するとしています。また、地域指定については、当初は2カ所、その効果を確認後、国内で最大10カ所とし、区域は国が指定するとなっています。
 こういった国の流れを受けて、各自治体の思惑もさまざまに交錯しています。九州では、佐世保商工会議所の前田会頭が会長を務める西九州統合型リゾート研究会で、この7月26日に長崎県の大型リゾート施設ハウステンボスにおいて総会を開き、ハウステンボスへのカジノ誘致を正式に確認し、今後積極的に国へ働きかけを強めるとしています。また千葉県でも、成田国際空港の活性化策として、森田健作知事が提唱する外国人専用のカジノ構想について、専門のワーキンググループを設けて年末までにその可能性を早急に探っていくとしています。また東京でも、これまで積極的にカジノ誘致を進めてきた石原慎太郎都知事は改めてカジノ誘致に意欲を示し、お台場カジノ構想ではカジノハウスとカジノつきホテル建設で2300億円程度の経済効果と約1万4000人の雇用を創出できると期待を寄せています。
 また、お隣の大阪府でも、橋下知事の肝いりでカジノ協議の議論を年内にはまとめたいと意気込んでいます。大阪府では、この7月9日、経済団体や府内自治体などとカジノを含むリゾート建設を協議する大阪エンターテイメント都市構想推進検討会を発足させ、これまでの知事のカジノ誘致に係る発言の裏づけを急ぐ考えを示しています。その会議の冒頭で橋下知事は、「増税をするぐらいならカジノのほうがいい。大阪に誘致して観光客を呼び込み、収益を教育や福祉に回したい」とあいさつし、府としては、これまで持っていた大阪湾岸へのカジノ誘致構想の実現に向け、9月早々には府民に意見を聞くアンケートを実施し、あわせて年内に残り3回の検討会を開き結論を出すとしています。
 また、この会には、大阪商工会議所、大阪観光コンベンション協会を初め、大阪府PTA協議会、大阪市、堺市なども参加しており、検討会での結論をスムーズに実施につなげる体制をつくっています。こういった大阪の動きは特に注目すべきものです。
 大阪湾岸にカジノをつくられると和歌山カジノはないと識者からも指摘を受ける中では、とりわけ大阪の動きをしっかりと見守りつつ、各自治体の動きも視野に入れ、和歌山におけるカジノ構想実現に向けたチャレンジを今こそ本腰を入れて進めなくてはなりません。
 経済を再建する大仕事にはあくまで政治のリーダーシップが不可欠であり、今回のカジノ誘致も、アメリカのラスベガスではないですが、その決断は歴史に残る可能性がある大きな政治の仕事です。
 言うまでもなく、カジノ事業は青少年への影響、依存症問題、また組織犯罪などさまざまな心配もありますが、それらについても十分配慮した上で、その推進には努力すべき価値があります。国においてもカジノ構想が現実のものとなりつつある今、ぜひ仁坂知事には覚悟と勇気を持って、和歌山県の未来を託されたトップとしてのリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 そこで質問ですが、まずアジアでのカジノ事業の進展、また国内でカジノ法などが進捗する状況、またそれに伴う各自治体の動きなど、それぞれを見つつ、カジノ誘致に係る現状の認識について知事の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、これまで和歌山県としてもカジノ構想について取り組みを進めてきています。県内の動きとしては、平成19年10月に和歌山県カジノ・エンターテイメント研究会を設立し、その後、カジノ研究者を和歌山に招聘し、講演会を3回、この9月1日にはシンポジウムも開催しています。また、平成21年1月にはカジノ誘致に関連する県民意識調査も実施しています。こういったこれまで県が進めてきた取り組みによって、仁坂知事は現時点でどういった知見を得てどういった成果を上げていると考えておられるのか、御所見を賜りたいと思います。
 また、具体的に、現在和歌山県の持つカジノ誘致実現に向けた戦略について、お考えをお聞かせください。
 また、カジノ誘致を明確に打ち出している大阪府との関係について、私は、和歌山県としての単独での誘致活動にはおのずと限界があり、そこでは関西におけるカジノといった位置づけが必要だと考えます。和歌山におけるカジノ誘致の戦略としては、大阪府との事前協議、調整、協力は不可欠と考えますが、どのように認識されているか。大阪府との連携についてあわせてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 最後の質問項目になります。続きまして、児童虐待の問題について。
 今、毎日のように子供の虐待に関する事件がニュースとして流される状況にあります。その報道内容としても、普通では考えられないようなひどい事件が多く、私自身、小学生、中学生の子供を持つ親として本当に胸が痛みます。
 現在の児童虐待は今の日本社会における根の深い社会問題でもありますので、一朝一夕に解決していくことは難しいものでありますが、しかし、子供の未来は私たちの未来でもあります。何としても多くの子供たちに笑顔が戻るよう、今できることを真剣に考えていきたいと思います。
 先月28日に発表された厚生労働省のまとめでは、2009年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待に関する相談は前年度より1546件ふえ、4万4210件、3.6%の増加となり、過去最多を更新しています。全国の児童相談所に寄せられた通報や相談は、調査を始めた1990年度は1101件だったものが99年には1万件を突破、2007年度には4万件を突破し、2009年度まで19年連続でふえ続けている状況があります。これは、虐待そのものがふえているだけでなく虐待への社会的関心の高まりもあると指摘されますが、基本的に虐待被害はふえる状況にあり、その実態を見ても、とても信じられないような虐待の事例が相次いで報告されるものとなっています。
 都道府県別で見ると、神奈川県が5676件で最も多く、次いで大阪府が5436件、東京都が3339件、千葉県が2655件、埼玉県が2585件と続き、和歌山県は423件となっていますが、人口割の比率としては和歌山県も決して少ない状況にはありません。
 また、和歌山県での虐待の死亡事例についても、直近では平成18年に2歳の男の子が実母の交際相手となる男性から身体的虐待を受け死亡、平成21年にも新宮市で母親が生後7カ月の男の赤ちゃんをふろ場で投げつけて死亡させるという痛ましい事件が起こっています。
 2008年4月に施行された改正児童虐待防止法は、児童相談所の権限を大幅に強化するものとなっています。相談に応じない親に都道府県知事が出頭要求を出せるようになり、拒否が続く場合は裁判所の許可を得て強制調査をすることが可能になっています。しかし、改正法に基づく出頭要求は2009年度に21件、強制調査は1件だけとなっていて、所管する厚生労働省も全国の自治体に対し、強制立ち入りを含めた調査権限を積極的に活用して迅速な対応を求めるとしていますが、しかし、現実的には現場を預かる児童相談所などの体制整備も大きな課題となっている状況があります。
 そういった中で、大阪市西区で発生した2人の子供の遺棄事件、ニュースなどでも大きく取り上げられた大阪では、子供を見守る体制の再構築を早急に進めています。大阪市こども相談センターでは、夜間や早朝の通報に即応できるよう職員を増員するなど体制を強化、緊急時に現場に急行する宿直職員も配置し、24時間体制の対応で再発防止を目指すとしています。また同センターでは、虐待が疑われる情報が寄せられた際、消防にも連絡し、消防署員が現場から駆けつける全国初の取り組みも開始し、また、この10月からは大阪府警から警察官の派遣も予定するなど、関係機関の連携強化も徹底するということです。
 このような取り組みが全国各地でも進む中で、私たちの和歌山県でも、さまざまな視点から児童虐待を未然に防ぎ、また、児童虐待が実際に起こってしまった後も事態が深刻にならないように対応する環境整備が急がれます。
 そこで、それらについて、今議会ではさきに先輩・同僚議員からも児童虐待について質問もされましたので、重複する部分は省き、私なりの幾つかの視点で提言、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、福祉保健部長に、現在の児童虐待に係るさまざまな状況について、率直な現状における御認識をお伺いいたします。
 また、現在の虐待の防止に関しては、児童相談所の役割がますますクローズアップされる状況にあります。各都道府県の取り組みを見ても、その人員を含めた体制の強化が進められていますが、そんな中、和歌山の状況を確認してみると、現状では本当にぎりぎりの状況で対応している現実があります。
 今回の件で、私も何度か実際に足を運び、仕事をされている状況にも触れる機会があったのですが、マンパワーが不足する中で夜遅くまでそれぞれの担当の方が懸命に仕事をされている状況がありました。そういった現状を放置して、厚生労働省からの指示でさらにこれまで以上に虐待の通報、相談などの業務を積極的に行うというのは物理的にも難しい状況にあり、そこでは、人員の増員など、和歌山県としてもその体制整備を急ぐことが不可欠だと思います。特に、児童虐待の深刻なケースは夜間に通報されることが多いと言われる中で、今後は24時間体制の検討も必要になり、ますます厳しい状態になると思いますが、そこで、児童相談所の人員について、現在の体制に対する県当局の認識と増員への取り組みについてどのように考えておられるのか、お聞かせください。
 また、虐待の事例を見ていると、そこでは児童相談所の力だけではどうしても万全の対応は難しく、さまざまな機関との連携が重要となってきます。特に警察との連携について、全国的に警察と児童相談所などとの連携が進み、また警察庁は、匿名通報ダイヤルに児童虐待のケースを加えるなど、虐待の取り締まりを強化する姿勢を示しています。そういった中で和歌山県の連携の状況はどうなっているでしょうか、お聞かせください。
 また、和歌山県警としても虐待防止については独自にも取り組んでいただいていると思いますが、現在の状況と今後の対応についてお聞かせください。
 次に、虐待が起こってしまって、その保護者との隔離、保護といったことが必要になってくると、児童養護施設、里親制度などが非常に重要になってきます。しかし、それらの体制整備も十分とは言えないのが現状だと思います。
 そこで幾つかお尋ねしますが、まず、本県の児童養護施設の状況と里親制度の現状について、福祉保健部長からその御認識をお伺いしたいと思います。
 また、私自身、児童養護施設、里親制度の実態を勉強させていただくために、それぞれの現場、またそれぞれの責任者の方々から直接お話を伺ってきましたが、実際に多くの悩みを抱えておられます。現実に厳しい環境に置かれた子供たちのことを最優先し、深い愛情を持って対応していただけることについては本当に頭の下がる思いですが、そういった中で、和歌山県としてもこれまで以上に養護施設、里親制度についての整備、充実に力を入れてもらいたいと思います。
 そこで、まず職員の配置基準について、和歌山市内のある施設では、時間帯によっては1人の職員が10人を超える児童を見ざるを得ない状況になっていて、その見直しは喫緊の課題となっていますが、県としてその状況をどのように認識しているのか。あわせて、今後の対応についてお聞かせいただきたいと思います。
 また、それぞれに保護された子供たちへの補助の問題について、施設で、また里親制度によって保護されている子供たちは、何の過失もない中で厳しい環境に追い込まれています。そこでは、社会福祉を最大の目的とする行政としてできる限りの手助けが必要であって、普通の家庭で育つ子供と大きな差が出る状況は何としても是正しなくてはなりません。
 そんな中、今、具体的な行政対応としては、里親を含む施設児童の処遇扶助として、その援護費は平成22年度の予算で100万円すらも切る状況で、94万5000円となっています。これには各種資格取得費、また教育強化費としてクラブ活動費、補助学習費などすべてを合わせた額となっていて、それが和歌山全体で保護されている子供たちすべてに対応する予算となっています。これでは余りにも少ない額であって、こういった状況は何とか改善してもらいたいと思いますが、現在の予算枠についての認識と、その額を少なくとも倍くらいまでには引き上げるなど、その枠の拡大についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 また、あわせて、自立支援として施設を出る最初の退所指導において、大学進学につながる県独自の奨学金などの各種制度についてもぜひ充実させることが必要だと考えますが、現状の認識と今後の改善について御答弁をいただきたいと思います。
 また、現在の子ども手当の給付にかわる施設入所児童等特別支援事業のあり方についても、現状では大変使いづらいものとなっていると指摘を受けました。その現状の認識と今後の対応についても、県としての所見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、小さい子供、特に幼児などは家庭養護の必要性が指摘されていますが、日本ではなかなか理解が広がらず、限られた里親さんが大変な御苦労をいただく中でこの制度が維持されてきています。そこでは県としてももっとバックアップしていくべきであり、その必要性についてはこれまでの議会で私自身詳しく説明もしてきましたので、今回は重複を避け、その詳細には触れませんが、特に県として力を入れてほしいと思います。
 そこで提案ですが、今、里親支援として県の委託事業でふるさと雇用再生特別基金活用事業、里親支援センターなでしこがあり、啓発や相談事業などの里親支援が行われていますが、これらについて、今後は児童相談所から外出しし、外部にて里親支援を本格的に行っていく機関の設置を前向きに進めていただきたいと思います。里親会の皆さんも望んでおられますのでぜひ前向きに進めてもらいたいと思いますが、県としての認識、今後の対応についてお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、今回の虐待に係る対応として、この問題は、未然の防止から問題の起こった後の対応まで課題は山積しています。そういった中で、今議会の限られた時間では質問内容を絞ることが必要となりました。そこで、今議会では直接の質問とはしませんでしたが、最後に要望として、虐待への対応で私自身特に期待を寄せる教育委員会にお願いしておきたいと思います。
 虐待問題への対応として、特に教育委員会には大きな期待をしています。虐待問題は、教育の現場からも子育てに関しての新たな運動を起こさなければいけないと思っていて、事前に教育委員会ともお話をさせていただきました。私自身が新たな提言をまとめるのは次の機会にしたいと思っておりますが、虐待問題については、教育委員会としても教育の現場からのアプローチ、その対応について内部での検討をぜひ進めておいていただきたいと強くお願いをして、以上、私の第1問目とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、関西広域連合についてでございます。
 本県の発展には関西圏の発展が不可欠でございますけれども、県の区域を越えて取り組む必要のある課題が、関西が一丸となって取り組む体制である関西広域連合は、関西圏が地域の個性を連携させながらスケールを広げ、首都圏とは異なる多様な価値が集積する日本のもう1つの中心核として発展していくための手段となり得ると評価いたしまして、設立当初から参加を目指したいと考えておりました。
 一方、大きな府県に引っ張られて本県の意見が埋没しないかといった懸念があります。これもごもっともでございます。そこで、広域連合の意思決定方法について、重要事項は各知事の合意を前提とすることを提案いたしまして、今般、関係府県知事間で合意がなされましたので、今議会に関連議案を上程した次第でございます。
 本県が関西広域連合に参加する具体的なメリットといたしましては、設立当初の事務では、本県の東南海・南海地震に備えた防災対策の強化充実、京都や大阪などとの協同による海外からの観光客の誘致、資格試験を合同で実施することによる行政の効率化、経費削減などを挙げることができます。
 関西広域連合は、小さく産んで大きく育てるという方針のもと、設立当初からの事務の拡充に加え、国からの権限移譲を受けて広域的な業務に取り組むことにもなっております。このような事務事業の企画立案、実施の際には、関西全体のことを見据えつつも、本県のメリットになるように広域連合の運営に戦略的に関与していきたいと考えております。例えば、関西広域連合の活動実績を積み重ねることにより関西に住む住民の一体感が醸成され、和歌山県の道路整備、こういうものに応援をしてくれる、あるいは農林水産物の販売促進などについて自分たちの地域の産物ととらえて支援してくれる、そういうことについても今後期待をしながらそれをうまく引き出していくというようなことをやっていきたいと、こんなふうに考えております。
 次に、カジノ構想でございます。
 まず、本県へのカジノ誘致に係る現状認識についてであります。
 本年4月にはカジノ議連から会長私案として法案スキームが提示され、5月には国土交通省の成長戦略にカジノの検討が盛り込まれました。さらに、知事会で相談をいたしまして、有志の知事ということで和歌山県、神奈川県、沖縄県の3県でカジノについて勉強を徹底的にしてみようというようなことも行われるようになりました。
 次に、本県の取り組みに関して得た知見と成果についてであります。
 カジノについては、ラスベガスあるいは御指摘のシンガポールに代表されるような、いわばまちぐるみ、地域ぐるみ、そういうカジノ地域もあります。いわば、かつてのリゾート法のような地域プロジェクトとしてとらえる、こういう考え方であります。
 一方、モナコとか、そのほか世界じゅうにたくさんありますけれども、ヨーロッパの観光地とかそういうところにありますカジノは、これは1つのビル単独型というような形でありまして、ここは多くは社交場として、外国人なども呼んでにぎわいを見せております。
 御承知のように、カジノにはいいところもありますが、例えば子供の影響をどうするか、あるいは賭博依存者をどうするか、あるいは反社会的勢力の侵入をどうやって防ぐか、そういうデメリットの除去についても実際によく配備されたものでないといけません。そのためには一定のテクニックが要ると考えております。
 各国では、それぞれの状況に応じてカジノ設置に伴うデメリット払拭のための工夫もしております。あるいは、カジノ自身がどう考えても先ほどのようなデメリットを防ぐためには、隔離とか管理とかそういうような概念を導入しないといけないと思っております。したがって、そういうものを一定の形で制限していくというようなことがいろいろなされているわけであります。
 また、今後中国などの富裕層の来日が増加すると考えられることから、本県は、関西国際空港への近接性とか、あるいは温泉を初めとする豊富な観光資源など、カジノ立地に側面から優位な条件があると認識していることも事実であります。
 次に、カジノ誘致実現に向けた戦略についてであります。
 1つ目は、県民に対してカジノに関する正確な情報、知識を提供することであります。カジノというのはどういうものであるかということについて、一方的な思い込みで何でもノー、ノーと言うのはいかがなものかという気もいたしますので、こういうあり方というのはいろいろあるんだということを正しい知識を持っていただくということがまず第1番目に大事であります。
 2つ目は、神奈川県、沖縄県とのカジノ研究会での研究成果であるところの地方の実情に合ったカジノの形態、こういうものを自分たちも考えて、これを、どうしても国の法律が要りますから、その中で実現してもらうようにいろいろ働きかけをしていくということが大事だと思います。
 3つ目は、カジノは民設民営を原則として検討が進められていることから、シンポジウムなどでつながりのできた研究者、企業関係者とのパイプを生かしまして、カジノ誘致の可能性について情報収集を行うということもしなければいけないと思います。
 最後に、大阪府との連携についてでありますが、大阪との関係では、本県では関西広域を視野に入れながら本県の地域実情に合ったカジノについて検討を深めてまいらなきゃいけないわけであります。そういう意味では大阪府とも、同じ関西の大阪でございますので、よく議論をしていかなければいけないと考えております。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 児童虐待の問題についての9点につきましてお答えを申し上げます。
 まず、現状の認識についてでございますが、全国的に児童虐待への対応件数は増加の一途をたどっておりまして、児童の命にかかわるような重篤な事件も後を絶たない状況でございます。本県におきましても全国と同じような傾向があると考えてございます。
 こうした中、本県では、児童虐待への対応は発生予防、早期発見・早期対応、在宅支援、社会的養護の充実、家族の再統合、自立の支援の4点が基本であると考えておりますが、特に、通告を受けてから48時間以内の子供の安全確認の徹底と、児童相談所と警察、市町村、医療機関、学校、保育所等といった関係機関の間での連携に力を注いでいるところでございます。
 今後とも、関係機関との連携を一層強化し、児童虐待の防止に向け毅然たる態度で臨んでまいりたいと考えております。
 次に、児童相談所の現在の体制についてでございますが、児童相談所に配置される児童福祉司の数は、人口5万人から8万人につき1人を配置するよう児童福祉法施行令第2条に規定されておりますが、本県の児童相談所の人員はこの基準を満たしており、他の自治体と比較しても同程度の職員配置となっております。児童虐待への対応により児童相談体制の強化が喫緊の課題となっています最近の状況を踏まえまして、児童相談所の相談業務に当たる職員につきましては、ここ数年で人員をふやしています。今後とも、虐待事案への対応状況等を勘案しながら、必要な人員体制の整備を進めてまいりたいと考えております。
 なお、児童相談所への職員の配置基準等については、人口に基づく基準だけでなく相談件数等も加味したより具体的な基準を示されるよう、近隣府県とも連携、協議しながら国に働きかけてまいります。
 次に、本県の児童養護施設の状況と里親制度の現状でございますが、児童養護施設につきましては、社会的養護体制を担う重要な施設でありますので、入所児童の生活環境の向上を図り、家庭的な環境を整備することが必要であると考えております。
 県内の児童養護施設は、今年度新たに1施設創設をされまして、現在8施設となっております。既存の施設については、既に2施設の改築を終えまして、現在2施設の改築を進めているところです。
 また、里親制度については、家庭的な養育環境のもとで虐待された子供が心身ともに安心して生活できる制度でありますので、県としてもこの制度を積極的に活用していきたいと考えております。特に、和歌山県子ども虐待防止基本計画の目標数値でございます里親委託率15%を目指してまいりたいと考えております。
 次に、児童養護施設の職員の配置基準の見直しについてですが、児童養護施設の職員配置については、児童の年齢に応じた配置基準が定められており、各施設では基準どおり職員を配置しておりますが、時間帯によっては議員御指摘のような状況になることもあると聞いております。
 県としては、施設が子供の処遇を向上させるため基準を超えて人員をふやす場合には、個別対応職員、家庭支援専門相談員、心理療法担当職員など、措置費の対象となる職員を配置するよう指導しているところです。引き続き、実態に即した人件費が支弁されるよう職員配置基準等の見直しを国に要望してまいります。
 次に、保護された子供たちへの補助、援護費の引き上げでございますが、施設入所の高校生等が部活動等に参加するために必要となる経費については、措置費において特別育成費等として支弁されており、施設児童等処遇扶助事業はこの措置費を補てんする目的で実施しているものであります。今後、施設に入所する児童等が充実した高校生活を送れるようにするためにも、部活動経費の拡張など措置費の充実を国に要望してまいります。
 なお、児童が就職に際し必要な資格等を取得するための経費については、国において来年度の予算化が検討されていると聞いておりますので、その動向を注視してまいりたいと思います。
 次に、自立支援として退所指導時の各種制度の充実でございますが、施設入所児等が大学等に進学する場合は、措置費上、学用品等の購入や住居費、生活費等を対象とする大学進学等自立生活支度費を支弁することとなっていますが、子供が大学進学等に意欲を持つということは大変重要でございますので、対象となる子供に対して日本学生支援機構奨学金や和歌山県修学奨励金貸与制度などの情報を提供するとともに、議員御提案の制度の可能性についても今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、子ども手当の給付にかわる施設入所児童等特別支援事業のあり方等でございますが、施設入所時等に子ども手当相当分を現物給付する特別支援事業については、現在のところ今年度限りの制度であるとされていますが、現金給付ができないこと、また施設内の一部の児童のみ対象となることなど、制度上幾つかの課題があると認識しております。来年度は施設入所児等にも子ども手当が支給されるよう法整備される予定と聞いており、引き続き国の動向を注視してまいります。
 次に、啓発や相談事業などの里親支援を外部に出して本格的な支援機関を設置ということでございますが、子ども・女性・障害者相談センターを今年度から里親支援機関として位置づけておりますが、議員御提案の里親支援機関の外部委託につきましては、里親会等の意見も踏まえながら里親支援センターと協議を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 警察本部長山岸直人君。
  〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) 児童虐待について、関係機関との連携を含めた取り組みと今後の警察としての対応についてお答えいたします。
 警察といたしましては、児童虐待事案に対しまして、児童虐待の早期発見と被害児童の早期保護を目的とした取り組みを強化しております。また、児童相談所等の関係機関に対しましては、相互の情報を交換し、迅速に児童虐待事案に対応すべく緊密な連携を図っているところであります。
 警察におきましては、少しでも児童虐待が疑われるような場合には、速やかに児童相談所に通告を行い、対応によっては一時保護等の措置をとるよう働きかけるとともに、警察として必要な捜査を行っております。また、児童虐待の防止を図るため、交番、駐在所が発行する広報紙等により啓発活動も行っているところであります。
 このような中で、児童虐待における事件検挙はここ数年増加傾向にあり、本年8月末現在、保護者を暴行や傷害等により6件6名を検挙しているほか、児童相談所に対する通告も増加しており、既に85件に上っております。
 警察といたしましては、今後とも、あらゆる警察活動を通じて児童虐待についての情報を把握し、児童相談所を初めとした関係機関と連携しながら、児童の生命、身体の保護を最優先とした対応に努めてまいる所存であります。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 41番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁ありがとうございました。
 まず、児童虐待につきましては、福祉保健部長のほうから御答弁いただきましたが、本会議場で質問するということで福祉保健部担当の皆さんと真剣にここまで議論させていただいてきました。その中では、本当に真摯な姿勢で取り組むということで、その姿勢に対しては感謝しておりますし、ただ、先ほどの答弁も100点とはいきませんので、しっかりと今後、その状況を少しでも改善させられるように、財源的にも本当に厳しいところがあるというのは重々わかっておりますので、その中でできる限りの御回答いただいた中身は特に実行していっていただきますようにお願いしておきたいと思います。
 もう1点だけ、カジノ誘致で大阪との連携についてですけれども、事前にいろいろとまた協力も、関西広域連合もできていく中でやっていくということで御答弁もいただいておりましたが、実は今ちょうど大阪にカジノでも協力させるチャンスやと思っています。特に今、大阪府知事がさまざまなマスコミ等で発言している内容というのを聞かせてもらうと、関西広域連合への取り組み、また、これは橋下知事、全体の関西の各府県の知事の意見じゃないんですけれども、その先に見詰める道州制、関西州に力を入れるといった中で、大阪府知事は、互いの地域が協力してまとまっていく、それぞれの特徴を生かして役割分担をしてオール関西で大きな魅力を生み出したいというようなことを基本的にお話しされています。その発言の核心というのは、関西圏におけるそれぞれの地域の機能分担と強みの集中といったことだと思います。
 その橋下知事が、関西全体、オール関西で取り組むということを片一方で言ってながら、現在の政策で大阪府がビジネスもリゾートもアミューズメント、カジノもとってしまうという、実はそれはやっぱり矛盾があるんやろうと。関西全体の中で発展を考えていくという中でそれぞれの地域の特徴を伸ばして機能分担をさせるというそのロジックからすると、逆に和歌山にこそカジノは誘致させてくれと、大阪に「協力しろ」と言うことは、これは必ず言えると思いますので、だから、今のタイミングで、まだほかの地域で、特に大阪が鮮明に手を挙げる前に事前の協議というのを水面下でぜひ進めていただいて、関西広域連合の中でも仁坂知事自身がかなりリーダーシップを発揮してその取りまとめに御苦労いただいたという状況はよくわかっていますんで、そういうこととあわせて今回のカジノについてもぜひ大阪との連携というのをしっかりととっていただきたいということを最後にお願いいたしまして、これも要望とさせていただきます。
 以上です。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。

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