平成22年9月 和歌山県議会定例会会議録 第3号(全文)


県議会の活動

平成22年9月
和歌山県議会定例会会議録
第3号
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議事日程 第3号
 平成22年9月16日(木曜日)
 午前10時開議
 第1 議案第122号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第102号から議案第121号まで(質疑)
 第3 一般質問
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会議に付した事件
 第1 議案第122号(委員長報告・同質疑・討論・表決)
 第2 議案第102号から議案第121号まで(質疑)
 第3 一般質問
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出席議員(42人)
 1番 泉 正徳
 2番 山本茂博
 3番 前芝雅嗣
 4番 浅井修一郎
 5番 吉井和視
 6番 向井嘉久藏
 7番 門 三佐博
 8番 町田 亘
 9番 服部 一
 10番 平木哲朗
 11番 花田健吉
 12番 須川倍行
 13番 大沢広太郎
 14番 谷 洋一
 15番 平越孝哉
 17番 岸本 健
 18番 川口文章
 19番 尾崎太郎
 20番 藤山将材
 21番 新島 雄
 22番 山下直也
 23番 井出益弘
 24番 宇治田栄蔵
 25番 多田純一
 26番 中 拓哉
 27番 角田秀樹
 29番 山田正彦
 30番 坂本 登
 31番 尾崎要二
 32番 中村裕一
 33番 片桐章浩
 34番 原 日出夫
 36番 長坂隆司
 38番 小川 武
 39番 冨安民浩
 40番 奥村規子
 41番 山下大輔
 42番 松坂英樹
 43番 藤井健太郎
 44番 雑賀光夫
 45番 野見山 海
 46番 松本貞次
欠席議員(なし)
〔備考〕
 16番 欠員
 28番 欠員
 35番 欠員
 37番 欠員
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説明のため出席した者
 知事         仁坂吉伸
 副知事        下 宏
 知事室長       曽根義廣
 国体推進監      中村正次
 危機管理監      前硲健作
 総務部長       宮地俊明
 企画部長       柏原康文
 環境生活部長     保田栄一
 福祉保健部長     西上邦雄
 商工観光労働部長   岡本賢司
 農林水産部長     阪中栄一
 県土整備部長     茅野牧夫
 会計管理者      神田泰仁
 教育委員会委員    寺村多喜
 教育長        山口裕市
 公安委員会委員    片山博臣
 警察本部長      山岸直人
 人事委員会委員長   守屋駿二
 代表監査委員     楠本 隆
 選挙管理委員会委員長 諸木良介
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職務のため出席した事務局職員
 事務局長       森田実美
 次長         佐本 明
 議事課長       堀 達也
 議事課副課長     吉田政弘
 議事課課長補佐兼班長 田中健司
 議事課主任      中尾祐一
 議事課主査      保田良春
 議事課主査      中村安隆
 議事課主事      的塲健司
 総務課長       上坊 晃
 調査課長       中井祥之
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  午前10時1分開議
○議長(谷 洋一君) これより本日の会議を開きます。
 日程第1、議案第122号を議題とし、総務委員会委員長の報告を求めます。
 総務委員会委員長川口文章君。
  〔川口文章君、登壇〕(拍手)
○総務委員会委員長(川口文章君) 総務委員会における審査の経過並びに結果について、御報告申し上げます。
 当委員会に付託されました案件は、議案第122号1件であります。
 委員会は、9月15日、第1委員会室において開催し、総務部、選挙管理委員会から付託案件について説明を聴取した後、慎重に審査いたしました結果、議案第122号は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、所管に係る委員の主な質問項目について申し上げますと、補欠選挙の候補者数についてただされました。
 以上をもちまして、総務委員会の報告を終わります。何とぞ、適切な御決定をお願い申し上げます。(拍手)
○議長(谷 洋一君) 以上で、総務委員会委員長の報告が終わりました。
 これより委員長報告に対する質疑に入ります。
 質疑はありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 質疑なしと認めます。
 お諮りいたします。ただいま議題となっております案件については、討論の通告がありませんので、これより直ちに採決いたしたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 これより採決に入ります。
 議案第122号を採決いたします。
 本案に対する委員長報告は、原案可決であります。
 本案を委員長報告のとおり決することに賛成の諸君は、御起立願います。
  〔賛成者起立〕
○議長(谷 洋一君) 起立全員であります。よって、本案は原案のとおり可決されました。
 この際、お諮りいたします。ただいま議案第122号の補正予算が議案第102号の補正予算に先立って議決されましたので、その結果、議案第122号の議案中、補正前の金額等数字を整理する必要が生じておりますが、これについては、会議規則第42条の規定により、その整理を議長に委任されたいと思います。これに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定しました。
 なお、これに基づき整理いたしました結果については後ほど報告いたしますので、御了承願います。
 次に日程第2、議案第102号から議案第121号を一括して議題とし、議案に対する質疑を行い、あわせて日程第3、一般質問を行います。
 30番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕(拍手)
○坂本 登君 皆さん、おはようございます。
 議長のお許しをいただき、県の農業政策と土木建設の入札制度について伺います。
 知事は、就任間もなく本県の長期計画、10年次目標を発表し、農家1戸当たりの年間所得550万円を目標とすると発表しました。この計画に農家は大きな期待を持ち、私は2年前に第1回目の質問をし、その回答に次のようなものがありました。その一部を見ると、農産物の安定供給や攻めの農業を目指す、後継者の確保や生産コストの削減などと答えておりますが、しかし、この回答の項目のうち、どのようなものが今計画され実施されているのですか。1期目を終わろうとしているこの時点での計画、実施状況を説明していただきたい。私の知る限りでは、まだそれらしいものが見えてきていないのであります。
 紀北地方では、1町歩以上の農家では、米つくり農家では米の販売代金が1年間の諸経費に消える、裏作の野菜すなわちキャベツやレタスの販売代金が収入であり、豊作、不作で収入が増減し安定した収入がなく、しかも重労働のため専業農家の後継者も他に仕事を求めて出ていく状態であります。
 知事の計画では、第2章「将来像に向けた取組」、後世に引き継ぐことができる働きやすい農地はこの紀北地方の農地に当たっていると思いますが、ここに視点が当たっておらず、このような農地を有効利用し、ブランド米や和歌山県ならではの野菜やかんきつ類などを農業大学校で研究をさせ、より所得の増加を図る方途を見出し、後継者の育成を考えていけないのか。
 去る9月7日の「産経新聞」の夕刊一面トップで、平成17年から22年までに農業人口が全国で75万人減少と報道されていました。私が第1回目の質問をしたとき、ブランド食品とも言える梅農家ですら後継者不足や高齢化の進行をじかに身にしみ感じ、質問をいたしました。このとき、回答は、就農者人口が105人から138人にと増加し、明るい兆しが見えてきていると答えを聞いております。この新聞報道と和歌山県の発表と異なっているのはどうしてか。
 今、ここにみなべ町のデータがありますが、このデータでは、ブランド食品とも言える梅栽培に従事する農家の新規就農者数は、平成19年度15人であったが平成22年度は7人と半数以下になり、さらに平成22年度の平均所得額は72万4000円となっており、これは農家の家族総出の所得であります。これほど深刻な状況になっている就農者数の減少、農業所得の減少を見て、知事はどう思いますか。農家の平均所得550万円というバラ色の根拠となる数字をどこに置いたのですか。長計の550万円という金額は、農家の実態を知らない無謀な計画であり、先ほどのみなべ町の平均所得72万4000円という数とかけ離れていることを理解し、長計のバラ色の数字を見直してはどうですか。
 こんな深刻な状況の中でも、今、みなべでは梅栽培をふやし販売を拡大するために、梅を健康食品として、また、がんや糖尿病、高血圧予防食品として全国に広くPRし、健康食品として医学的に立証するために、和歌山医科大学の特定研究者の献身的な努力により梅の医学的効用と機能性に関する研究を進めていただき、和歌山県に根差した非常に独創性の高い研究の成果が和医大から全国に発信され、注目を集め、また特許も取っております。
 梅の効能については、去る8月27日の「産経新聞」の全国版で記事が載っていました。和歌山の梅や桃などの記事を、和歌山版だけでなく全国版に掲載してもらうように努力をすべきではないかと思います。今、全国的な医師不足の中、本県でも和医大で40名の定員増をしたと聞いていますが、こうした梅や柿、桃などが健康食品であることを研究する予防医学を志す学生を1名でも2名でも採用し、研究室の新設を図れないのか。この研究成果により本県の農業振興に寄与すると思うが、どうですか。
 現在行っている研究費は2500万円、過去5年間で1億2500万円が、5件の梅農家、企業の寄附による運営となっております。しかし、この長引く不況の中で民間の寄附だけに頼ることは限界に来ております。知事もテレビなどを通してアピールしていただいていますが、しかし、我々ががんや糖尿病予防によく効くと言っても、専門的な知識を持った医師などの医学的な効能をアピールしてもらうのには到底かないません。この研究員などにより、梅ががんや糖尿病、高血圧予防によい、さらに桃や柿、ミカンなどの果物の効果も医学的に立証すれば、大きな力になり、大きく販路が広がることは言うまでもありません。
 去る9月7日の「産経新聞」に、高野山の宿坊で柿料理を出したとの記事がありました。これを医学的に立証し、全国版に掲載してもらう方法は考えられないのか。今、この研究を和医大の先生に依頼していますが、これにはまだまだ時間がかかります。この研究に県が予算措置をすれば、梅や桃、柿、ミカンの農家の収入の増加にもつながります。今の消費者は、美食より健康志向、また予防を意識し、食を求める時代に変わりつつあります。このことを医学的に立証すれば、間違いなく梅や桃などの消費は増加するものと考えます。
 そこで、次の点について知事及び関係部長に伺います。
 まず1点目は、1期目を終えようとしている知事に伺いますが、私の前回の質問に対する答弁で回答がありました項目の中で、何を計画し、施策としてどのような準備をしていますか。まず、農家1戸当たりの年収550万円の計算の根拠を示していただきたい。
 また、年次目標10年という中で、所得がどれだけふえたか、何年後に550万円の目標を達成するのか、その間、農業従事者の減少及び高齢化をどう考えたか、このことを抜きにして550万円は単に数字遊びにならないのか、長計の実現のためどのような計画や準備をしているのか、具体的に説明をしていただきたい。
 2点目は、みなべの梅、紀北の桃、紀中のミカンなどは、全国的にもよく知られ、健康食品であることはだれしもがよく知っていることであります。長期総合計画においても、新たな加工品づくりや県立医科大学、企業との共同研究、産官学の連携による機能性食品の開発に取り組むと書かれています。しかし、実情は、研究団体への予算は全くつけられておらず、民間企業による寄附行為だけに頼ることになっております。知事はこの状況をどう考えていますか。
 県が年間2500万円の予算措置をすれば、がん予防、高血圧、糖尿病予防に役立ち、和歌山県のイメージアップにもつながり、ひいては梅や桃などの農家の収入の増加にも役立ち、梅、桃、ミカン農家などを助けることになりますが、早期対策として予算化しないのはなぜですか。
 また、和医大において、こうした農産物の健康増進の分野に対する専門的な教員の枠を1名でも2名でも採用できないのか。健康王国和歌山の新しい可能性を開く道であると考えますが、その所見をお伺いします。
 3点目は、今、紀北地方に農業大学校がありますが、この学校の研究内容と数年間の学生の推移をお伺いいたします。
 次に、土木建設業の入札制度について伺います。
 本県においても、あしき談合制度を廃止し、一般競争入札によって適正な競争をさせることは、土木建築業に携わってきた私も賛成であります。しかし、この入札制度については、知事は完璧だと言っていますが、その経験者である私から言えば若干疑問点もあるところです。
 私の認識では、常日ごろから、会社の規模、従業員数、使用する機器などを調査し、その評価をA、B、Cランクとランクづけをし、入札に当たってはその工事価格に応じて入札をさせる企業を決めてきていると思います。例えば、3000万円以上であればAランクの企業を対象に一般競争入札をさせるのではないかと思います。そして、県の予定価格以内で使う材料などをチェックし、一番低い見積もりが出ればその業者に落札をするというのが常識だと思います。なぜなら、県の行う公共事業は税金で賄うことから、税金をいかに効率よく有効に使うかが本当に大切だからであります。
 現在、県の行う入札制度は、インターネット上を利用して、どれだけの企業が入札に参加したか一目でわかるようになっております。この制度であれば、業者は必死になって、品質などを落とすことなく、また、必要経費を切り詰めて、できるだけ予定価格内に工事ができるように見積もりをして入札に挑んでくると考えます。そういう観点から一般競争入札の意味があると考えます。
 入札に当たっては、業者は予定価格の85%から95%ぐらいの見積もりをして挑むようであります。県の予定価格内で適正な入札をし、その候補になっても、最終にはそれより高い入札価格の業者に落札されることがあるように聞いております。皆さんにわかりやすく言いますと、1000万円の工事に83%、すなわち830万円で入札した企業と、89%、890万円で入札企業がある場合、公共事業ですから、当然、830万円の企業に落札をされます。その差60万円は他の公共事業に税金が使われることになります。しかし、こんな常識とは違って、830万円の入札をした企業が落札者とはならず890万円の企業に落札されるケースがあり、その落札価格のみをインターネットで示されるだけで、予定価格をクリアした業者にすら何の連絡もないと聞いています。
 なぜ、このように高い価格で入札した業者に落札をしたのか。その理由は、県の資料によりますと、総合評価の技術評価点の点数の違いによるものであるとのことだそうです。業者評価は既に行われているのに──Aランク、Bランクを格付され、そのAランクの業者の競争入札であります。同じランクに入り競争しているのだが、入札時にさらに総合評価の技術評価点が考慮され、予定価格の83%より89%のほうが落札されるとは、いかにも不可思議なことであります。
 点数の内容はどうやら実績のようですが、県の行う入札において実績を点数化すれば、まじめに見積もりし83%で入札企業に落札されなければ、この企業は永久に県の公共事業の実績がなくなり、89%で落札した企業がこの落札により実績を積んだことになり、今後の入札においても有資格者企業となり、そのチャンスがまためぐってきます。その評価の技術評価点数により落札されるので、業者仲間の間では勝ち組と負け組に分けられてしまい、これが公正な入札制度かという声も聞かれます。このようなことで組合員も減少し、それに歯どめがかからなくなるため、せめて3000万円から5000万円の工事については総合評価基準の点数化をとめてほしいとの強い声があります。
 今、ここに、ある工事の入札価格表があります。ここにいっぱい持ってあるんですよ。A社は最低制限価格より6万2200円高く、B社は2800円高くなっています。そして、A社の技術点数はB社より1ポイント高く、この1ポイントの差で最低価格より6万円高いA社に落札されておられます。これをわかりやすく計算すると、技術点数が1ポイント、3000万円クラスであれば39万円、技術点数が1点について39万円のお金を換算するわけであるらしいです。これは県から聞いた金額ですけど──とするなら、最低制限価格が4094万7720円であれば4133万7720円で、すなわち39万円入札価格より高くても、その金額は最低制限価格に一致するようにしているし、技術評価点がA社より1ポイント低ければ入札最低価格と全く同じ価格にしてもA社とB社とは同じ価格とみなされます。
 このような仕組みであれば、大きい企業に仕事が回り、その仕事が最低価格より高くともその企業に落札され、それが実績となってさらに大きい企業に仕事が回されるようになります。評価点のポイント制がますますわからなくなってきました。
 しかも、落札するまでの時間ですが、私の経験ではすぐに決まるものが、今の入札制度では入札して落札まで1週間ないし10日間、長いときには20日間ぐらいかかると聞いています。落札をさせるのには、使用する原材料や品質等をよく考えてもそんなに時間はかかるものとは考えられません。同じ仕事をしてきた私には、はてなと首をかしげることであります。
 我が和歌山県は、農林水産業と観光、さらには公共事業に従事してきた土木建築業の多い事情があります。県全体の建設業会員数は、平成18年度は940社、平成19年度は873社、20年度は792社、21年度は732社とその数は激減し、倒産や職がえした組合員は実に208組合員、簡単に言えば208社が倒産したことになるわけであります。
 そこで、今の入札制度は完璧だと言う知事及び関係部長に、次の点について伺います。
 1、一般競争入札制度のランクづけの基準と技術評価点のつけ方及び県の最低制限価格よりも高くともこの点数により多くの税金を使っても落札させるのがよいのか、具体的に伺います。
 2、Aランクにある企業が入札に参加する場合、インターネットで行うと思うが、予定価格の範囲内にあった業者が最終落札できなかった場合の理由、説明が全くないのはいかにも心のないことだと思うが、どうですか。
 技術評価点数により決定していると言われていますが、この点数の内容を具体的に聞きたい。それは過去の実績等によるものなのかどうか。過去の実績とは何を指すのか。もしそのとおりなら、A、B、Cランクづけの中でさらにランクをつけているのかどうか。私の資料ではそのようになっていますが。そしてまた、この点数を入札時に金額に換算しているが、このような方法は正しいと思いますか。入札価格が同額であれば参考にしてもよいが、点数を金額に換算し、これを加味して入札金額から引いたりするのはおかしいと思いませんか、皆さん。1ポイントを金額に直せば幾らになりますか。これは業者に対する差別のように思われますが、どうですか。せめて、業者の願いである3000万円から5000万円の入札には総合評価の点数化をやめ、本県において新規参入や小規模の企業育成、歴然とした勝ち組と負け組の固定化を避ける方法を考えてはどうかと伺います。
 私の経験からでは、入札から落札に至るまでにはごく短い時間で執行できると思いますが、これが1週間から10日間、長いときには20日間もかかるのはなぜか、この長い期間の事務執行がなぜ必要なのか、伺いたいと思います。
 以上で、第1回目の質問を終わります。時間の関係もありますので、簡潔に回答を願いたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの坂本登君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、農業政策についてお答え申し上げます。
 議員お話しのとおり、本県農業を取り巻く情勢は、基幹品目でありますところの梅などの価格の低迷とか、あるいは後継者不足とか高齢化とか、耕作放棄地の増加とか鳥獣害の被害とか、大変厳しい状況にありまして、このことは、私も現場を見たり、あるいは農家や農業士の皆さんと話し合いをする中でひしひしと実感しております。
 長計は、現実可能な夢を提供するということで策定いたしました。夢で終わる夢ではなくて、現実にそうしたいと、そうなるはずだ、頑張ればなるというような、そういう夢を提供することにしました。そういう意味で、長計策定時、農家の世帯1戸当たり377万円であった。ぜひ550万円にしたいという気持ちで政策をいろいろ考えた上で、それがうまくいけば可能だというふうに思って提供をさしてもらいました。それは、中核的な担い手の農家の所得、これを勤労世帯並みの550万円にふやすということを目標にしております。
 「農林水産統計年報」によりますと、当時、中核的な担い手農家という定義がありますけども、それについては377万円であったんですが、一番直近の数字では505万円になっております。この数字だけ見ると何となくその方向に行っとるなというふうに思って、ひょっとしたら楽観をしてしまう可能性もあるんですが、私は決してそんなふうには思っておりません。全般的な農家の実態は依然として厳しい状況にあると考えているところは、坂本議員と全く一緒であります。
 このような状態からの打破を目指しまして、これは政策をきちんと加えて農業を振興していかないかんということで、まず販売から入り、国内外への販売促進や高品質化、あるいは就農支援、優良な農地づくり等に取り組んでまいりましたけれども、さまざまな角度からさらに支援を充実していかなきゃいかん、そういうふうに強く思っているところであります。
 このため、昨年度は、地域資源を活用し、生産、加工、販売等に一体的に取り組む農業者等を計画段階から支援する新農林水産業戦略プロジェクトを立ち上げました。日高管内においては、南高梅とミニトマトを組み合わせた加工品の開発プロジェクトとか、そういうものを地域の方々の総意で応援するということをやってまいりました。
 それで、さらに販売促進、それから地域開発に加えて生産力の増強もせないかん。そういう意味で、必要なことは戦略的、総合的に加えていかないかんということで、本年3月、これはことしからの新政策ですけれども、法人化の推進や樹園地の整備等、喫緊の課題に早急に取り組む15のプロジェクトを盛り込んだ農業緊急戦略アクションプログラムを打ち出しまして、平成26年度までの具体的な行動計画を発表さしていただきました。
 現在の農家が置かれている状況を何とか改善し、明るい展望を持てるようにしたいという議員の熱い思いに私も全く同感でありまして、このアクションプログラムに沿って来年度も新しい政策を打ち出し、少しでも農業所得向上につなげるようにしていきたいと思います。
 と同時に、世の中は刻々変化いたします。大不況が襲ってきたり、それから、例えば冷害が襲ってきたり、農家の方々もそれぞれ大変つらい目に遭うことがございます。そういう意味でそういう点についても、例えばことしに関して言えば、冷害に対して直ちに金融で有利な制度をつくろうとして努力したり、そういう刻々の問題についても対応していかないといかんと思います。戦略と、それから臨機応変な対応、両方頑張っていきたい、そんなふうに思います。
 それから、機能性食品の開発について坂本議員から御指摘がありました。坂本議員の御着想については100%同感であります。
 本県特産のミカン、梅、柿、桃等が持つ機能性成分が健康増進に果たす役割を明らかにし、消費の拡大や高付加価値化、また新たな加工食品開発につなげることが、収益性の高い、もうかる農業を実現するために大変重要であると考えております。長期総合計画において、医科大学や企業との共同研究などの産学官の連携を深め、機能性食品等の研究開発に積極的に取り組むこととしております。このためには、県の取り組みのみならず、農家の方々や民間の方々の盛り上がりも必要であります。
 そういう意味で、坂本議員初めみなべの御指摘の5件の梅農家の方々が長い間かけて県立医科大学に寄附講座を下さって、それで宇都宮先生を初め立派な先生が結集して御尽力をして研究していただいているということに対して、改めて深く敬意を表したいと思います。これは敬意だけではいけませんので、県としても成果を生かし、さらに研究を進めるということを応援していかなきゃいかんというふうに思います。
 この問題に限らず、農作物の機能性の研究として、現在、県では国の地域イノベーションクラスタープログラムなどを活用して、県立医大や近畿大学あるいは食品メーカーと共同で、例えば梅でいうと梅ポリフェノールの健康増進作用の研究とか、あるいは飲みやすい新たな柿酢飲料の開発などを取り組んでおります。また、県内の農業者や事業者の方々が円滑に新たな活動に取り組めるように、例えばわかやま中小企業元気ファンドとかわかやま農商工連携ファンドといった支援事業あるいは融資制度、それからコーディネーション、研究開発支援についても先駆的産業技術研究開発支援事業とか新連携共同研究及び産学官研究推進など、たくさんのプロジェクトを用意して、それぞれのニーズに合わせて支援をしていこうと、こういうふうに考えております。
 さらに、これらの自主的な支援策に加えて、御指摘のようにマスコミのPRとか、あるいは販路拡大などのさまざまな施策を総動員してサポートしていかなきゃいけないというふうに考えております。
 また、県立医科大学では、基礎系・臨床系の研究のほか、産学官連携推進本部を設立し、外部資金を活用して県民の健康増進と地域の活性化に寄与する研究を実施しております。
 先ほど御指摘のあった梅加工業者5社の寄附により梅については随分進展があり、それが各種マスコミによって大きく報道されているということも事実であります。
 先ほど教員の問題についてお話がありました。
 私は、医学の研究、それからお医者さん及び看護師の方、その他医学関係者の人員の増強、これは和歌山県の地域医療を守っていくために絶対必要だということで大変努力をしてまいりました。和歌山県立医大にも、多分30数年ぶりぐらいになると思いますが、大幅な教員増員を達成いたしました。ただ、そのときの目的意識は、地域医療の崩壊、これを絶対に食いとめなきゃいけないということがございましたので、その増員の部分はできるだけ臨床に回してくださいと、それで医者の養成に回してくださいと、そういうことを申し上げました。この考え方は、多分、医療崩壊から県民を守ってほしいという県民の方々に支持されていると思います。
 ただ、例えば基礎研究をおろそかにしていいかというとそんなことはございませんので、必要に応じて頑張っていかないかんというふうに、坂本議員がおっしゃるとおり考えております。今後、よく考えて医大の方々とも相談をしながらやっていきたい、そんなふうに思います。
 それから、土木建設業の入札制度についてお答え申し上げたいと思います。(「ちょっと知事、質問よりも答弁のほうが長なるので簡潔によろしく」と呼ぶ者あり)簡潔に。大変難しい問題なんでつい長くなりまして申しわけありません。
 新業者評価制度のランクづけ基準でありますが、これ、御質問なんで申し上げないといけないんですけれども、簡潔にするために。
 例えば、これは入学試験の採点基準みたいなものでございます。これまでの制度じゃなくて、談合が許されないとすれば一般競争入札でやるしかない。それならば、例えば変な人――変な人と言ったらおかしいんですが、反社会的勢力とか、そういうものを参入させないようにしないといけない。そのために基準をつくりまして、例えば地域社会の要請、あるいは品質確保、そういうことでランクづけをさしてもらいまして、入学試験を果たして業者評価をしたというところであります。
 それから、その次にこっちは総合評価方式をもう一つ加えて何でやっとるかということなんですが、実は私は、この新しい制度について、先ほど議員が完璧だとおっしゃいましたが、決してそう思っておりません。(「言うてるよ、あっちこっちでな。めちゃくちゃ言うてるよ」と呼ぶ者あり)いやいや、坂本議員が──多分、私が言っている意味は次のような意味でありまして、まず、これは談合を防止するということだけではありません。工事の品質も確保し、それから県内の建設業者の利益を守らないけません。この3つを兼ね備えた制度という意味では完璧ですというふうに申し上げました。
 ただ、細部においては完璧とは決して思っておりませんで、必要に応じて議員御指摘のように直していかないかん。
 総合評価方式をなぜ採用しているかというと、一般競争入札をただ入れますと、多分、価格のたたき合いになります。価格のたたき合いに、あんまりひどいことになって、地域への貢献とか、それから本社がそこにあるのにその建設業者が消えてしまうとか、そういうことになるとまずいなということで、幾つか地域への貢献点を加味したような制度をつくらしてもらいました。
 それによって、いいところもありますが、細部において、我々の意図したところと違って、かえってうまくいかなかったところも実はありました。そういう点については、もともとは建設業界への配慮ということが一番大事ですから細部手直しをさしていただきました。その手直しについては少し不満が減ったと思いますけれども、まだこれが十分だとは必ずしも思っておりません。そういう意味で、坂本議員が御指摘の点も踏まえまして、これからいろいろ考えてやっていかないといけない。
 特に、どうも議員御指摘のように、少し特定の人に固定化をする、勝ち組、負け組が出始めてるかなというところもありますので、負け組と自分で思っておられるような方々にももう少し有利な条件を少しやったほうがいいんじゃないか、そういうことでこれから提案をしていきたいと、そんなふうに思っております。
 ということで、まとめて考え方を披露さしていただきました。
○議長(谷 洋一君) 農林水産部長阪中栄一君。
  〔阪中栄一君、登壇〕
○農林水産部長(阪中栄一君) 農業大学校の御質問でございますけれども、農業大学校は、本県農業の担い手や農業・農村地域の指導者養成を目的として、果樹、野菜、花の3つのコースで2年間の教育を行っております。
 教育内容といたしましては、卒業後現場での課題解決ができる能力を身につけさせるために、基礎的な栽培技術や経営に必要な簿記、流通などの座学のほか、校内での実習や先進農家、市場での実践研修に加えまして、地域の関係者の方と協力し、卒業論文やプロジェクト学習において柿や梅などの特産物をテーマとした研究にも取り組んでございます。
 卒業生は、農業大学校となった昭和46年度以降約1400名を数え、多くが農業の担い手として就農しているほか、JAや市場関係など農業関係企業等において幅広く活躍しております。
 また、最近3年間の入学者数は、近年、農業への関心の高まりもあり、平成20年が14名、21年が27名、22年は34名と増加傾向にございます。今後とも、教育内容の一層の充実と、より多くの学生の確保に取り組み、本県農業の担い手となり得る人材の育成に努めてまいります。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、総合評価方式の評価項目についてでございます。
 例えば予定価格3000万以上5000万未満の工事に適用しております特別簡易型、これについては、技術者の資格、技術者が過去に行った工事の成績、技術者が受けてきた継続教育の3項目と事業者の所在地、災害時の協定、県産品等の積極利用、こういった3項目を合わせまして6項目で評価しております。このうち工事成績、県産品等の利用については、過去の実績に基づくものでございます。
 点数の換算について議員の御質問でございますが、この簡易型では、基礎点100点に対して今申し上げた6項目の6点を加算して、最大106点になります。仮に3000万の工事であれば、単純計算しますと1点当たり28万円に相当するものでございます。
 次に、予定価格3000万から5000万の工事の総合評価方式の今後の取り扱いについてでございます。
 この制度については、過度な低価格競争が懸念されましたことから、価格と品質の両面を加味する簡易な方法で特別簡易型を導入しているところでございます。議員御指摘のとおり、過去の受注実績によって一部の工事実績のある企業に受注が偏るという懸念があるとしていろんな御意見を承っているところでございます。
 今後とも、皆様の御意見をお聞きしながら、よりよい制度となるよう取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、入札から落札決定までの期間でございます。
 一般的に、入札においては事前に参加資格を審査する方法として事前と事後という2種類ございますけれども、本県では開札後に落札予定者になった業者に対して審査を行う事後の方法を採用して、事務の軽減を図っているところでございます。
 まず、開札して総合評価値を算出して、最高評価値の入札者に対して2日以内に書類の提出を求めます。それで、受理した書類の審査を行うと。その後、審査会を開催して落札決定の手続を行うと。これらをとりますので、5日程度の日程を要します。これらの日程に土曜日、日曜日が重なったり案件が多い場合には、最低で5日から1週間程度を要しているところでございます。
 しかしながら、今後とも一層こういった落札決定の事務の円滑を図り、所要日数の短縮に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「答弁漏れあります」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 30番坂本君、指摘してください。
○坂本 登君 知事の答弁漏れ、3点あります。
 その1つは、私が550万円の目標達成を何年後に置いたのか、2つ目、550万円の目標額を考えたとき、農業従事者の減少や高齢化をどう考えたか、3点目、入札の予定価格内にあった業者への説明がないのはいかにも心のないことではないのか、今の入札制度は完璧だと言う知事は何をもって完璧と言うのか、知事の答弁がない。
 再質問をせないかんので、この件については答弁もう結構です。もう時間ない。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れに対する答弁は要らんのですか。
  〔「要らないです。再質問します」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 30番坂本 登君。
  〔坂本 登君、登壇〕
○坂本 登君 まず、農業の年間所得550万円も改めて、これ、初めはサラリーマン並み、今度は言いかえて勤労者平均所得505万円というのは、以前は377万に1.5を掛けて550万と言いよったと思うんや。今度は勤労者の金額に対して1.5を掛けて505万としてあると思うんや、な。こんな変わる所得やね、本当に考えて変えたものかと。いかにも農業を無視し、ばかにした計算ではないんかと。
 農家の平均所得を基準にして、それで目標額達成の金額を考えるのが私は常識だと思うんですよ。知事の頭の中には農業ないんでないんかと言いたいんよ。和歌山県の農業の年間所得は、知事、幾らですか、これ年間所得。こんな地に足のつかない考え方で担い手対策、農業対策、生産対策ができると思いますか。
 少しでも農業所得を向上につなげたいという答弁がある。答弁しているが、これでは答弁にならないと考えるんですよ。もっと具体的に答弁を願いたい。
 そして、県立医科大学を含めて産官学の連携を深め農業政策を進めると言ってますが、梅などの医学的効能を研究する費用の年間2500万すら予算すると、おまん言うてないやないか、これ。民間の企業が5件で2500万、さっきも言うたように1億2500万民間が出して医大で研究してくれてんねやで。県は何にも出さんと、やったやつをこうやこうやと発表するだけや、これ。皆さん、どないに思いますか、これ。(傍聴席で拍手する者あり)ほんまに。これでは、長計で言っている攻めの農業政策とは言えますか。
 農業の方々の盛り上がりも必要と答弁に書いてあった。その答弁があったが、もう農業は民間、するだけのことをしてきた。この長引く不況の中で、もうどうしようもないさかいに予算化をしてほしいと言っているのをどのように聞いているんかと、こないに思うんよ。
 もう梅屋さんも今ほんまに景気悪いんよ、実際。だから、一緒に500万ずつ出してくれてんねや、皆さん。それで5社が出して研究してくれてんねや。ほやけども、今、梅屋さんも景気が全く悪いんよ。それで、もうこれ長く出せないんやというてやな。そしたらこれ、もう梅屋さんがストップしたら医学的に実際になくなってしまうんよ。たかが2500万やしてよ。和歌山は農業立国や。農林水産業でこの和歌山は生きているんやしてよ。だから、ここへ2500万の金も突っ込んでもらえんというような行政だったら、わしはもうほんまに許せん。そやろ。(「そや」と呼ぶ者あり)ほんまにそうちゃうかい。
  〔傍聴席で拍手する者あり〕
○議長(谷 洋一君) 静粛に願います。
  〔「もう時間ないで」と呼ぶ者あり〕
○坂本 登君(続) 医科大学──ほんまやな、時間ない。ちょっとほんならもう早う読もか。ちょっと早くいきます。
 私の質問の中で、予防医学を志す教員を1名でも2名でも採用し、研究室を設置してほしいと言っているんですよ。聞いてくれているんかどうか答えていただきたい。
 そして、入札制度。知事の言う完璧な制度で、知事の1期で業者が208社倒産してあんのや。次の任期で208社以上倒産を予想できるんや。予想以上になると思うんや。今までは何とかもったお金で何とかつないできたけど、もう皆へたへたやよ。ちょっと悪なったら、もうわあっといくんよ、これほんまに。この業者は皆組合員なんよ。組合員であれば、事務員から営業、そして監督、従業員ということで大体10人ぐらい雇ってあんのよ。これ、おまん、208社だったら2080人が、これに家族を計算すると8000人が路頭に迷うことになんのやろな。計算していったら。約8000人が路頭に迷うんや。もう1期したら1万6000人になるんか。これで完璧と言えるのかと。
 政治とは、仕組みがよいだけではない。県民の生活がいかに豊かになるかの結果を考える、これが完璧という制度だと。
 それで、書類も毎年毎年変わるんよ、入札制度のね。あんなに変わったら業者も大変、会計士も大変、司法書士も大変。県の職員だって皆いろいろやらされてる。もう大変やと言うてる。このロスというのをもっとやっぱり考えたらなあかな。(発言する者あり)ちょっと、もう早ういくわ。ちょっと焦ってごめんやで。
 ランクづけの中でもいろいろな要素、例えば工事成績や技術者など施工能力を評価し、算出していると言い、さらに総合評価方式では予定価格者の能力や地域貢献度などによる評価を価格で総合的に評価すると言っています。この技術者の能力や数とは1級土木施工管理士資格のことを言うんだろうが、それは1級土木施工管理士が多くおれば大きな能力になると考えられますが、ここにデータをもらっています。このデータでは、皆さん、年寄りが悪いと言えへんで。94歳の人、1級土木施工管理者がいるんや。この人が10年以上やから1点、そしてポイント制で、28歳の大学出てきて1級。これ1級取るの、皆さん、国家試験なんや。それで、取るまでに10年経験を積んでなかったら資格ないんや。その10年の資格を得て、そして国家試験。これ、国家試験で18%から19%の合格率しかないんや。
 これが合格してきてから会社へ入って書類出したら0.5しかないんや。94歳の人は1点。ほいで、この若い、大学出てきてこうやって国家試験取った人で0.5。当初は、これ、3年間はゼロだったんや。それでちょっと見直して10年と。3年ゼロで、あとの7年は0.5だと。もうそれで3年だけは見直したんで。しかし、家庭をやっていかんなんという若い子の芽を摘んでるの違うんかいということや。会社へ行っても0.5だったら給料も下げられる。1点だったら給料を上げてくれる。わし、経営者やさかい、それをやってきたんやさかいようわかる。そういうことよ。
 それで、ここの新しい知識、技術はどちらが持ってるんかと、それを見ず評価される。これ以外にISO講習を受ければ、さらに多くのポイントが与えられるという。この講習の内容で30ポイントほどが加算され。このISOとは、どんな団体か、講習の内容はどんなものか説明してほしい。多分天下りの団体やと思うが、この団体に吸い上げられてきた金は10億円とも言われている。これこそまさに官製談合と言ったら間違いですか、皆さん。
 しかも、この団体が、当時は300万から500万だったんやけど、今150万になってあんねん。それで毎年50万ずつ払うてんねや。このお金を納めるのが大変苦しいんで、もう30点欲しいけども来年からやめるという人が大勢出てきてる。
 知事、あなたが完璧という入札制度始まって、あなたの1期目、208社が倒産、今後もう1期208社以上倒産していくとすると、どうなりますか。和歌山県の就労人口15%の土木建築業はなくなってしまい、わずかに大きな企業だけになることと思います。
 さらに、地域への貢献度のある企業を評価すると、入札で落札できなかった企業は地域への貢献度がなくなります。完璧と言っている競争入札では、入札から落札まで1週間から10日、長いときは20日ほどかかると言います。これに要する人件費、すごく大きいと思うんですよ。これ何千万もかかってある。中で、これ、密室でやってるのよ。この金額、何千万も、税金の無駄遣いではありませんか。この制度を何の考えもなく、国から言ってくるからということで続けられていけば、本県の土木建設業界は完全に死んでしまいます。災害時など、県民をこれで守れますかと、これを私は言いたいんです。知事はこれでもよいんですか。意見を聞きたい。
 そして、もう再々質問も時間ないんでちょっともういっそやる。これ、霞ケ関方式と言うんや、わしに言わせたらな。ほんまによ。これ、談合より悪い入札制度。官製談合に近い。あてがい入札。勝ち組、負け組がはっきりしている。これがよいんかと、このことを私は言いたい。
 それともう1件、失業者をいかに少なくすることが目的であると思うんやよ。これ以上、県全体が落ち込むわけにはいかない。だから、私はこの質問をさせていただいた。
 そして、台湾の金美齢さん、和歌山の講演で「和歌山って何てすばらしいとこなんでしょう」と。それで、空気もいい、食材も宝庫、こんなところに住んでみたいというような講演をされておった。そういう人が和歌山に大勢来てもらうような、やはり議会と行政と一緒になって和歌山の発展を考えていかなんだら、今ではもうほんまにこれから先どのようになるか先が暗いのでこの質問をさしていただいたわけでありますので、どうか皆さん、よろしくお願いします。ありがとうございます。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの坂本議員の発言は時間が過ぎております。そこで、今の再質問に対する答弁を求めますか。時間がオーバーしておりますが。──答弁は要りませんか。
  〔「してもらわな」、「できるで」、「やらせてくれるんならやっていただきたい。どうぞ」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問に対する答弁を求めます。
 時間が経過しておりますので、知事、簡潔にお願いします。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 先ほども申し上げましたように、農業政策、それから調達政策、すべて坂本議員と私は心は一緒だと思っております。きょうはいいことを言っていただきましたので、肝に銘じて、それで相談をしながら最善のことをして、とにかく失業者を守り農業を守る、頑張ってやっていきたいと思います。(拍手)
○議長(谷 洋一君) 以上で、坂本登君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 40番奥村規子君。
  〔奥村規子君、登壇〕(拍手)
○奥村規子君 議長のお許しを得ましたので、一般質問に入らせていただきます。
 今回の質問のキーワードは夫婦と子供です。
 まず最初の1点目は、よりよい国民健康保険制度に向けてについてお尋ねしたいと思います。
 この問題を取り上げたのは、1人の30代の男性の方の電話相談からです。県議団の控室に緊張した声で、「地方税回収機構から差し押さえの通知が来て、どうすればよいかわからない。2人目の子供が生まれたばかりで」と、不安いっぱいの声でした。早速お会いして事情をお聞きしました。
 美容師の資格を取り、頑張ってやっと独立してお店を持つことができ、人も雇えるぐらいになりました。ところが、景気の低迷に加えて道路拡張工事などもあり客足が減ってきて、今では1人で何とか続けているということです。テナント料の支払いも大変です。車も処分しました。妻とは離婚し、店の奥のソファーで寝泊りをしている状況です。市の担当者の方に、「何度も通知をもらったけど、どうやったら払えるか、なかなか先が見えてこないんです。払いたくても払えないんです」と訴えておられました。私に「こんな僕は悪質なんですか」と聞かれ、答えることができませんでした。
 そういうことから、次の4つについてお尋ねしたいと思います。
 1つ目は、国保料、国保税の問題です。各自治体では税となっているところが多いと思いますが、この場では「国保料」ということで統一させていただきます。御了承ください。
 国民健康保険は自営業、無職の人たちが入る健康保険で、県民の3割以上の世帯が加入しています。保険料は、所得、世帯人数、療養給付費などにより決まる制度ですが、かつては国保会計の50%を超えていた国庫負担金が今は25%にまで減らされてきたことで、この保険料が極めて重くなっています。保険料滞納が続くと保険証が取り上げられ、資格証明書が発行されます。2009年は全国的に約31万世帯に資格証明書が発行されました。
 国民健康保険法の第1条では、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。」と定められています。しかし、今、国民の命と健康を守るための制度が形骸化してきているのではないかと私は危機感を持っています。
 ある和歌山市内の小児科の医師は、親が短期の保険証を持って受診するケースが多くなっていると言われます。2年前は毎月10%程度、去年の新型インフルエンザの時期には30%、ことしは毎月20%ほどというようなことです。保険料を納められず、売薬で済ましている人もあります。全国的には、保険証を持てず手おくれになり死亡した事例も報告されています。
 ここで、皆さん、資料をごらんください。資料1は県内の平成20年から22年度の国民健康保険料の一覧表です。所得200万円、40歳代夫婦、未成年の子供2人の4人世帯で計算した場合、和歌山市の保険料は43万6810円になっています。これは、保険料方式の違う神戸市を除いて、近畿の県庁、府庁所在地の自治体の中で一番高くなっています。
 次に、資料2を見てください。「和歌山県における国民健康保険の保険料、加入世帯の平均所得」の一覧表の下の段を見てください。「県平均の推移」というところです。平均所得が減っているのに保険料が上がっています。
 そこで、知事にお尋ねします。
 余りにも医療保険のセーフティーネットと言われている国保料が高過ぎるのではないでしょうか。知事のお考えをお聞かせください。
 2つ目は、国保加入者の皆さんが安心して医療を受けられるようにすることについてです。
 現在、資格証交付世帯は、平成22年7月1日時点で4837世帯になっています。資料3をごらんください。和歌山県は、全世帯に占める資格証交付世帯の割合が全国8番目です。国保料を払いたくても払えないということを、先ほどの冒頭で紹介した方を初め皆さんからよく聞きます。私は、保険証を取り上げるような非道なやり方、人権無視の取り立てを直ちにやめるべきだと思います。懲罰的なやり方は、滞納対策にふさわしくない冷たいやり方ではないでしょうか。
 病院の窓口で、皆さん、一度考えてみてください。資格証を差し出すときに、「私は保険料を払えていない者です。でもこの子をぜひ診てもらいたいのです。診てもらえませんか」と言ってそれを差し出す気持ちを考えてください。
 また、しかも診てもらうためには窓口で治療費を一たん10割、全額支払わなければなりません。本人にとってはどれだけの治療費が要るのか全くわかりません。医療現場では、よく患者さんが「先生、きょうはこれだけしか払えないので」とお金を見せながら話している光景を見ました。まだこのように先生に率直にお話しされる方はよいと思います。また、「治療は最小限にしてください」と言っている患者さんもいました。気軽にこのようなことを話せる関係でなければ、大変な思いをして受診をされていると思います。大抵はそのようなことは言えないのではないでしょうか。
 医師の側にとっては、もう少し早く来てくれたらなというようなことも往々にあります。病院にかかりやすいということは、病気の予防、重症化の予防につながり、県民の幸せにつながるものです。これは生存権にかかわる問題です。国民の生存権を守る義務を国に課した憲法25条を踏みにじるものではないかと思います。ぜひ、資格証の発行を中止して保険証を発行するようにしてください。あわせて、低所得者の窓口負担の減免制度を県として検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。福祉保健部長にお尋ねいたします。
 3つ目は、広域化で国保制度がよくなるかということです。
 国は、財政基盤を強くするために都道府県単位の広域化を進めるとしています。現在、市町村国保には、保険料の高騰を抑えるため自治体の一般財源が繰り入れられています。しかし、本年5月に国保法改定が国会で可決成立し、厚生労働省は「広域化等支援方針の策定について」という通達を出しました。そこには、「一般会計繰入による赤字の補てん分については、保険料の引上げ、収納率の向上、医療費適正化策の推進等により、できる限り早期に解消するよう努めること」と明記されています。本来、国の財政負担を大きく後退させたことが市町村国保の運営を厳しくしているのに、保険料負担を少しでも抑えるために市町村が繰り入れしているのを解消するよう努めることとはどういうことでしょう。国の財政責任を一層後退させるものになっていきませんか。広域化しても市町村の運営の厳しさが解消されるとは考えられませんが、いかがでしょうか。福祉保健部長、お考えをお聞かせください。
 4つ目は、後期高齢者医療制度にかわる新しい医療制度についての中間取りまとめ案についての感想を知事にお伺いしたいと思います。
 私は「後期高齢者」という言い方はよくないという立場ですが、行政用語として便宜上使わせていただくことを申し添えておきます。
 厚生労働省高齢者医療制度改革会議に中間取りまとめ案が提出されたと聞いています。中間取りまとめ案は、75歳以上の高齢者のうち会社員やその扶養家族の高齢者は被用者保険に加入させ、それ以外の大半の高齢者は国保に加入させるとしています。国保に戻った後期高齢者は、保険財政を現役世代と別立てにされ、高齢者の保険給付費の1割相当が保険料として課せられる仕組みと理解していますが、それでは後期高齢者医療制度と同じではありませんか。いかがでしょうか。これは知事にお尋ねしたいと思います。
 次に、2点目の子供の虐待問題について福祉保健部長にお尋ねいたします。
 1つは、虐待の起こる背景、原因についてです。
 我が国では子供虐待を個人の問題、家庭の責任としてとらえられてきましたが、2000年の児童虐待防止法制定以後、社会的認知とともに、県市町村の子供を守る地域ネットワークの構築やこんにちは赤ちゃん事業といった早期発見、早期対応の連携システムなど、法制度の整備が進んできました。しかし、マスコミの報道などで御存じのように、全国的に児童虐待による子供の死亡や重症に至るケースが後を絶たず、関係機関の献身的な援助も困難なことが多いと思います。虐待の背景、原因をどのようにとらえているのか、お聞かせください。
 2つ目は、児童虐待防止法制定後の状況と対応についてお尋ねします。
 民事介入の手続を制度化した初めての法律が児童虐待防止法です。当人の申請をかかわりの前提としないで、周りからの発見と通告をきっかけとし、相手にニーズがなくても行政が積極的に介入していく仕組みがしかれました。
 以前、私のところにも、子供を返してもらえないと言っていると知人から相談がありましたが、そこでは、対象者は援助を受けようとするニーズを持たないばかりか、かかわりを拒否する傾向があります。大変難しい問題だと感じました。この制度の最も大きな矛盾は、介入と援助を同じ機関が行わなければならないところに問題があるように思います。社会的介入の受け入れや緊急介入の状況、夜間・休日などへの対応、警察との連携、職員の体制などお聞かせください。
 ハード面では、紀南児童相談所の立地条件や建物の問題です。視察にも行かせていただきましたが、壁面には多くの亀裂が何カ所にも入っている状態です。また、線路際に隣接しているため、電車の通過時の音と響きで、判定中など、落ちつかない状況が感じ取れます。いかがでしょうか、お尋ねいたします。
 3つ目は、家族再生への援助についてお尋ねします。
 現在、児童相談所と市町村の二元体制による援助が行われています。困難度の高いケース、保護を必要とするケース、行政権限を発動しなければならないケースなどは児童相談所が対応し、比較的軽い在宅での援助が適当と判断されるケースについては、市町村が地域のネットワークを活用して援助するという仕組みです。県下で、児童相談所は2カ所、分室を含めると3カ所です。身近なところで温かく支援するとなれば市町村の役割が大きくなってきますが、体制はどうなっていますか。
 以上、福祉保健部長にお尋ねいたします。
 3点目は、熊野枯木灘海岸県立自然公園の活用と整備についてです。環境生活部長にお尋ねいたします。
 和歌山県立自然公園の抜本的見直し事業によって、県立自然公園は10カ所から13カ所に指定がふえました。指定の解除や新しく指定されたところもあります。県はゼロベースから抜本的に見直しをするということで見直しをされました。全国的には一部見直しをされているようですが、当県のように県全域を対象とした見直しは全国でも例がないと聞いています。県は、新たな時代にふさわしい自然保護と適正な利用の両立を図り、ふるさと和歌山の魅力向上につなげていくとしています。
 最近、南紀のほうに行く機会がありました。そこで、地元議員さんと熊野枯木灘海岸県立自然公園内の江須崎天然林や童謡公園に行きました。園内のほとんどは草木が伸び、すばらしい景観が見えませんでした。展望台にも行きましたが、360度草の壁になっていました。せっかくの青々とした黒潮の流れ、広々とした海を見ることができなく、大変残念でした。観光資源としても貴重なところだと考えますが、今後の整備活用についてお聞きします。
 また、さらに残念なことに、夫婦波が見える展望台は岸壁が崩れたためロープが張られ近寄れなくなっていて、すばらしい景観を眺望することができませんでした。この夏も県外からもたくさんレジャーや観光に訪れ、ドライブの途中立ち寄られた方もいらっしゃったと思います。多くの方に残念な思いをさせたのではないでしょうか。童謡公園もあり、子供たちも来ます。また来たいと思えるような場所にしていただきたいと思います。すぐ立ち寄れ、和歌山の自然のすばらしさを感じ取ってもらえる絶好の場所でもあります。県民の財産の観光資源としても整備が急がれると思いますが、いかがですか。環境生活部長にお尋ねいたします。
 最後に、4点目のスポーツ施設の新設、改修による県民への影響についての対応を県土整備部長にお尋ねいたします。
 44年ぶりに和歌山県で開催される2015年の第70回国民体育大会が正式に内定され、本格的に開催準備が進められています。国体を契機に、体育館、競技場、プールなどの施設が新築または改修されます。特にプールは屋外から屋内型になるため、通年使用が可能となります。障害の有無にかかわらず、子供からお年寄りまで楽しめるスポーツの機会がさらに広がり、完成が待ち遠しいところです。
 期待も大変大きいことですが、同じ場所に建てかえるということですから、建設中は利用できなくなります。年間約2万8000人の方が利用されていると聞きますが、特にプールについての県民への影響についてどのように考え、そして対応するのかお尋ねして、1回目の質問を終わらせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○議長(谷 洋一君) ただいまの奥村規子君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) よりよい国民健康保険制度に向けての2点について、お答え申し上げます。
 まず、国保料の問題でございます。
 和歌山県民にこれは限らないかもしれませんけれども、日本国民は今、所得がなかなかつらくて、いろんな負担があって、その負担の中でいろいろなものを払わなきゃいけない。これはなかなかつらいというところに来ているというふうに思います。国保料の問題も同じだと思います。
 国民健康保険は、特に国民皆保険の根幹となる制度でございます。しかしながら、制度の設計がそうなっているというところもありますが、財政基盤が脆弱であるという構造的な問題を抱えて、厳しい財政状況のもとに各市町村が保険料の増加抑制に努めながらも、それぞれの中身を決定しているということになっていると認識しております。
 県でも、平成22年度、市町村を財政的に支援するために、22年度の予算で言いますと保険料軽減措置を含めて約91億円の予算措置を行っています。国民にひとしく医療を受ける権利を保障するということは国の責務の根幹でありまして、国に対しては財政責任を明確にした上で国民健康保険の財政的基盤強化策の一層の充実を図るよう要望してまいります。そうでなければ、市町村や県が出してあげると言ったら次は増税が待っているということになると、それは何のために人々を助けているのかということがわからないということではないかと思います。
 次に、第2に新たな高齢者医療制度に係る中間取りまとめ案についてでございますけれども、高齢者も現役世代と同じ制度に加入するということが決まるというか指摘されましたが、その中で国がどのような財政責任を果たしていくのかというような重要な項目は引き続き語られておりませんで、検討課題とされております。
 県といたしましては、この制度改革が地方公共団体の財政運営にマイナスの影響を及ぼすことがないように、かつ持続可能な制度になるように、他府県と連携もとりながら国に働きかけてまいりたいと考えております。
○議長(谷 洋一君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) よりよい国民健康保険制度に向けての2点について、一括してお答えを申し上げます。
 国民健康保険は被保険者全体の相互扶助で成り立っている制度でございまして、保険料の収納確保は、制度を維持していく上で、また被保険者間の負担の公平を図る観点からも重要な課題となっております。
 資格証明書は、保険料の収納対策の1つとして、滞納者との相談機会を確保するため、保険料を納付するのに相当な収入等があり特別な事情がないにもかかわらず保険料の滞納が1年以上という場合に、被保険者証にかえて交付するものであります。その運用に当たりましては、機械的、画一的に行うことなく、滞納者の収入や生活状況等を把握し、必要に応じて保険料の分割納付や減免を行うなど、きめ細かな納付相談を行った上で交付するように市町村を指導しております。
 また、低所得者窓口負担の減免制度についてですが、国民健康保険法第44条に規定されておりまして、このたび厚生労働省から、ことしの9月13日付の通知によりまして一部負担金の減免に係る運用基準が示されたところであります。また、減免に必要な財政支援につきましても国の特別調整交付金で交付される見込みとなっております。
 県といたしましては、このたびの厚生労働省通知に基づき、一部負担金の減免制度が適切に運用されるよう市町村を指導してまいりたいと考えています。
 次に、国保制度の広域化についてですが、市町村単位の財政運営では財政が不安定となりやすいこと、また被保険者の年齢構成や所得分布の差異が大きいこと、1人当たり医療費の差異が大きいことなど、市町村間の格差があります。また、被保険者側から見れば、保険給付は全国共通であるものの保険料は市町村ごとに大きく異なる現状にあります。
 このような現状を改善するため、保険財政の安定化や保険料の平準化の観点から、市町村国保の運営に関し都道府県単位による広域化を推進することが必要と考えております。県といたしましては、現在、市町村の意見を聞きながら、市町村国保の財政運営や事業運営の広域化等を推進するために和歌山県国民健康保険広域化等支援方針の策定に取り組んでいるところです。
 しかしながら、市町村国保の構造的な問題は、単に広域化すれば解決するというものではなく、国に対して国保財政の基盤強化策の一層の充実を引き続き要望してまいります。
 続きまして、子供の虐待問題について、虐待の起こる背景、原因についてでございますが、児童虐待にはさまざまな原因が考えられますが、1つには人と人のつながりが希薄になってきており、親が孤立する中、育児不安などのストレスがたまり、そこに夫婦の不和や経済的問題、また仕事のトラブルなど、さまざまな要因が複雑に絡まって発生しているものと考えられます。また、子供のころに虐待を受けた親の中には、自分の子を虐待してしまうといういわゆる虐待の世代間連鎖と言われるものも見受けられるという指摘もございます。
 次に、児童虐待防止法施行後の状況と対応でございますが、平成12年に児童虐待の防止等に関する法律が施行され、通告義務や警察への援助要請等が規定されたことにより、児童虐待に対する取り組み体制は格段に強化されたものと考えております。このため、児童相談所では、警察との間で定期的な会議を持つなど情報共有を図り、ふだんから連携に努めております。
 また、社会的介入の受け入れの状況につきましては、本県では介入を拒まれる例が少なく、一部を除きましてそのほとんどは児童相談所の職員で対応できております。
 夜間、休日の対応については、児童虐待には早期対応が求められることから、児童相談所の担当職員が専用の携帯電話を持ちまして夜間、休日を問わず24時間対応しております。
 児童虐待相談件数につきましては、年々増加の件数にありますが、児童相談所で虐待に対応する児童福祉司の配置基準については児童福祉法施行令第2条に規定されており、本県の現況としては必要な人員が配置されているものと考えております。
 なお、議員御指摘の紀南児童相談所については、立地条件や耐震性等の問題があることは認識しておりまして、現在その対応を検討しているところであります。
 次に、家族再生への援助についてでございますが、児童虐待にかかわる在宅支援や指導については児童相談所においても市町村においても行っておりますが、虐待の状況から優先度が高いと思われる案件については特に児童相談所が専門的に対応することとしております。しかし、在宅支援に関して児童相談所と市町村の役割が完全に分かれているものではなく、児童相談所からは専門スタッフの派遣や指導助言などを行いまして、市町村からは在宅支援家庭の状況を随時提供していただくなど、相互に連携して取り組んでおります。
 今後とも、市町村と連携いたしまして児童虐待の防止に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 環境生活部長保田栄一君。
  〔保田栄一君、登壇〕
○環境生活部長(保田栄一君) 熊野枯木灘海岸県立自然公園の活用と整備についてお答えを申し上げます。
 県立自然公園につきましては、平成18年度から抜本的見直しを始め、ことしの3月、古座川県立自然公園の指定をもって完了したところであります。
 議員御指摘のありました熊野枯木灘海岸県立自然公園の江須崎周辺につきましては、来年3月末でエビとカニの水族館が閉館になることもあり、現在、すさみ町と今後の園地の整備活用方法について協議を進めているところでございます。
 また、夫婦波の展望台につきましては、土台部分に崩落が発生しており、現在、危険箇所に立ち入りできないようロープが張られております。展望台の敷地が民地であり個人所有のレストランと一体化しているため、県が直接修復するのは難しいと考えておりますが、夫婦波は非常にすばらしい景勝地でありますので、どのようなことが可能なのか、今後すさみ町や関係部局と検討してまいります。
 以上です。
○議長(谷 洋一君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) 秋葉山公園県民水泳場の建てかえにつきましては、通常の工程では3年閉鎖となるところを利用者への影響が極力少なくなるように工程などを工夫して閉鎖期間を2年として、現在、実施設計を行っているところでございます。完成後は、通年の利用が可能となる25メートル、50メートルの屋内プールと自然を感じられる屋外プールとして、県民のスポーツ振興や健康増進などに一層御活用いただくことができる施設となります。工事期間中は大変御不便をおかけすることになりますが、御理解をよろしくお願いいたします。
 今後、実施設計が終了し、工事期間が確定した後、適切な時期に適切な方法で閉鎖期間を周知するとともに、県内の公営の代替施設についても周知を図ることにより、利用される方々に混乱の生じることのないよう努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 答弁をいただきました。
 知事に再度、国保料の問題でお尋ねをしたいと思うんですけども、まず、資料に示させていただいた国民健康保険料、資料1です。それで、所得200万円でこれだけの国保料を支払わなければいけない。これではとても、子供を育て人間らしい暮らし、そういう点では大変難しいんじゃないかと思うんですが、その点についてどのようにお考えか、お尋ねします。
 2つ目は、先ほどの答弁の中で国保制度自体がやはり制度設計の問題、また財政基盤が非常に脆弱でということでおっしゃられた点なんですが、制度設計の何が問題だと言われているのか。財政基盤が弱い、その原因は何だということでおっしゃられてるのか。
 この3点について再度お尋ねしたいと思います。
○議長(谷 洋一君) 再質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) 再質問の通告がなかったのでちょっと用意をしておりませんが、今申し上げますと、1番目の問題については、一番初めに申し上げましたように、所得も低い中でいろんな負担がたくさんある。これではなかなかつらいというふうに思っております。保険料だけじゃなくて税金とか、そういうものもいろいろあります。保険料だけとってそれだけ言うのはどうかというところもありますが、いずれにしても負担が大きいというのはなかなか大変というようなことではないかと思います。
 それから2番目については、実はその制度設計を、例えば私ができるほどの実力はありません。なぜならば、国全体の財政とか、それがどういうふうになっているのかという、それから、それの制度によってどのぐらいのコストがかかるか、そういうことについての情報がありませんので、自分からは全部ああだこうだと言うわけにいきませんが、少なくとも、先ほどの答弁で申し上げましたように、今の指摘というか建議といいますか、あれについてはそういうことは何も語られていない、それじゃ困るなということを申し上げた次第でございます。
 済みません、3番目は。(「3番目は、財政基盤が弱いと言われた、その」と呼ぶ者あり)これはそれぞれの市町村によって違うかもしれませんが、全体的には、特に地方圏については今までの地方にどれだけの財源を与えるか、税源の配分をどうするか、そういう地方自治全体の問題として、少なくとも今の現状は地方にとって、特に地方圏にいる地方にとって市町村、県を問わず大変過酷な状況にあるということであるというふうに考えます。
○議長(谷 洋一君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○議長(谷 洋一君) 再々質問を許します。
 40番奥村規子君。
○奥村規子君 これは私の意見ということで。
 このきょう示させていただいた中で、家が借家の場合は住まいの住居費も要りますし、大変な暮らしになってくるわけで、そういったところをぜひ見ていただいて、子育て支援、いろんな施策の中でも今後考えていかないといけないことだなと思っていますので、国民健康保険、安心して医療にかかれる、常々知事も「だれもが安心して住めるように」とおっしゃっているその制度が今大変な状況にある。その原因が、やはり制度設計の問題で、市町村やそういったところというのは必死になって、やっぱり保険料引き上げを苦しい中でもやらざるを得ないとかいろんなことがあったり、いろいろその市町村ごとにあると思うんですけども、財政基盤が弱いということで、知事も国にやはりもっとその財政、保険料を含めて今まで国民健康保険料の国庫負担を引き下げてきたその問題について指摘して、今後、運営がそれぞれの県民1人1人に保険料負担がふえないように、また引き下げていくというその方向でぜひ国へ働きかけをしていっていただきたいなと思います。
 その点で、ぜひ道路特定財源のときのような県民の代表になって国にしっかりと表明しながらアクションもやっぱり大きく訴えていくということで、ぜひやってほしいなというふうに思います。
 それと、済みません、あと福祉保健部長に、これも要望なんですけど、虐待は防止する、また早期発見というのが本当に大事やと思うんです。児童相談所は和歌山県内に2カ所しかない。割と広域ですよね。そういう中で、そのためには市町村で連携しながらという、それでそういう調整機関も協議機関もあると聞いてるんですけど、やっぱり現状を見てみると、それを配置しているというところもありますが、まだ配置できていないところもあります。
 ある町の議員さんからも、設置するための専門的な人材とか、またその人材を配置するための財源とか、それをやはりバックアップしてもらえるような、国に対して、また県にもそういうような意見があるので、今後この点についてはやはりもっともっと身近なところで相談でき、対応してやっていけるようなことにしないと、本当にそういう虐待問題に速やかに対応していけないんじゃないかというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 最後に広域化の問題なんですけど、先ほど広域化の問題で、これは各自治体でやはり財政運営が大変だったりいろいろするということは言われていましたが、それを解決するために広域化をしても、大変なところで解決しても広域化しても、それは実際的な解決にならないと私は思うんですね。
 そういう点で、この広域化問題には各市町村からはいろいろ希望が出て、広域化して保険料を県内こうしてほしいというようなことが上がってるとも聞いてますが、実際、今、大変だからそういうふうに上がってきてるんであって、将来そういった問題、根本的な、先ほど知事も言われた制度設計とか財政基盤をきちっとした中で広域化を考えていく、そういった立場でぜひ取り組んでいただきたいなというふうに思いますので、よろしくお願いして再々質問を終わらせていただきます。
○議長(谷 洋一君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で奥村規子君の質問が終了いたしました。
 これで、午前中の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、暫時休憩いたします。
  午前11時58分休憩
────────────────────
  午後1時0分再開
○副議長(山下直也君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 41番山下大輔君。
  〔山下大輔君、登壇〕(拍手)
○山下大輔君 皆さん、こんにちは。昼一番の質問ということなので、眠気も吹き飛ばすような質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 さて、きのうからの各ニュースでは、日本政府が6年半ぶりに為替介入を実行したということでニュースの紙面を飾っておりましたが、しかし、これも大変厳しい状況が続くんだと思います。そういったものを見ている中で、今、国も地域も私たち国民にとっても、改めて自立するということが求められているんだと思います。これまでの仕組み、やり方といったものが通用しない時代に、それぞれが評論家ではなくて、今真剣に何ができるのかが問われているのだと思います。私自身も県議会議員としてその責任を自覚して、今議会も何としても和歌山の発展を実現させていくということを心に誓い、精いっぱい取り組ませていただきたいと思います。
 そこで、早速ですが、議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、順次質問をさせていただきます。
 まず、和歌山再生のきっかけと期待する関西広域連合への取り組みについて。
 この9月定例県議会には、関西広域連合の発足に向けた議案が、参加を予定する7府県のトップを切って提出されています。ここまでこの広域連合に係る議論は私たちの和歌山県議会でもさまざまな場面で行われてきましたが、いよいよその参加の賛否を問われる状況になっています。
 これまでの議論では、関西広域連合への参加は、多くのメリットが語られる反面、心配する声も少なからず聞かれる状況にあります。私自身は、広域連合への参加は賛成の立場であり、さらに積極的にその推進を図るべきと考えています。特に今、和歌山の厳しい地域の実態を分析すれば、和歌山の未来には広域での取り組みは欠かせないものであって、そこには大きな可能性があり、和歌山の新たな価値創造に必ずやつながっていくものと期待しています。県境を越えた枠組みの中で新たな行政活動を実現していくことによって、和歌山の浮上、和歌山の地域にある大きな潜在的な価値も再認識されるものと確信しています。
 ただし、そこではその参加していく姿勢が大切であって、その姿勢次第で、和歌山自身が受ける影響、成果といったものも大きく変わってきます。あくまで受け身で体制の中に組み込まれるといったことではなく、積極的にその枠組みを利用していくことが重要となります。広域連合を懸念する議論では、メリットが見えにくい、関西の中で和歌山が埋没してしまうなどの意見がありますが、しかし、これは参加する姿勢次第で、確かに受け身で参加すれば、当然その心配も当たってしまう可能性があります。しかし、現状の和歌山の危機的状況を真剣に受けとめ、その再生に向けた1つの有効な手段として積極的に参加し、一定の発言権を確保しつつリーダーシップを発揮していければ、結果は大きく違ってきます。
 広域連携を先頭に立って引っ張っていく、そういった前向きな姿勢が必要であって、その中で全体構想の構築においても主導権、イニシアチブをしっかりととれる立場を確保していくことが重要です。関西広域連合の構想、その中で和歌山発展のビジョンをどう描くか、そのビジョンの実現のために広域連合をどのようなものとしてグランドデザインを描いていくのか、そしてそれをどのように利用していくのか、その戦略が問われるものとなります。
 そこで、今回は、関西広域連合への参加の賛否が問われるこの最終局面で、改めてこれまでの議論を総括する意味も含め、私なりの提言と幾つかの質問をさせていただきたいと考えています。
 そもそも関西広域連合とはどういったものか、その意義、必要性といったことを考えるためにも、まず、私たちのこの関西の今について改めて整理してみたいと思います。
 我々の生活するこの関西は、多くの歴史、文化遺産、豊かな自然、そして日本の経済をリードしてきた産業基盤を築いてきた地域であり、日本全体を見ても中心的な役割を担い、今後もその責任を果たしていかなくてはいけない重要な地域であります。
 しかし、特に最近は中央集権体制による弊害によって本来関西の持つ力を発揮できず、その個性も大きく損なわれ、当該地域における経済の地盤沈下は顕著なものとなっています。その実態を少し見てみると、お手元の資料をごらんいただきたいのですが、こういったものを縮小した形でお手元にお配りさせていただいていると思います。(資料を示す)これは、県民経済計算のデータを用いて財団法人関西社会経済研究所が分析したものです。
 まず、最初の表1と図と表2になるんですけれども、最初の表1は1990年度から2006年度までの各地域の成長率とシェアの推移を比較したものですが、中部は全国よりも高い成長率を示し、関西は全国より低い成長率にとどまっています。結果、各地域の対全国シェアの変化では、中部は1.2%拡大しているのに対し関西は1.3ポイント縮小するものとなっています。
 次に、図1は県内総生産ベースで関西経済の全国に占めるシェアをグラフにしているものです。1980年代は18%前後を維持していましたが、バブル経済の崩壊した1990年以降、長期低下傾向にある様子がはっきりと見てとれます。
 最後の表2は、日本経済が景気回復局面にあった2002年度から2006年度までの5年間を見ているものです。これによると、関西経済はいずれの項目も日本全体の成長水準と同程度か、あるいは下回る成長となっていて、特に消費の伸びが低く、結果的に関西の成長率は関東、中部よりも低く、日本全体をも下回っていることがわかります。
 このように、他のさまざまなデータからも関西の厳しい状況は指摘されるものとなっていて、関西社会経済研究所の分析の結論としても、関西圏は首都圏や中部圏と比較して長期的に凋落傾向にあり、そのトレンドを変えるには、生半可な努力ではなく、官民一体となって思い切った経済環境を整える必要があると警鐘を鳴らしています。
 関西の再建、現在の流れを変えていくためには、関西圏内の各地域がお互いそれぞれの地域で足の引っ張り合い、そういうものをしてるんじゃなくて、それぞれが無駄な競争に労力を割くことなく、オール関西でその立て直しに全力を挙げることが重要となります。
 そもそも、今の時代はパラダイムがシフトする時代──「パラダイムシフト」とも一時はやった言葉ですけれども、まさに各地域間の関係性においてもそういうパラダイムが変化している時代だと思っております。これまでは競い合う競争の概念が重要視されておりましたけれども、これからはそれぞれの地域がお互いに補い合う、補完する概念へと考え方を大きく変えていかなくてはならない局面だと、私自身、強く感じているところです。
 成長の時代には、どんどんミクロの視点に重点を移しつつ地域間での競争を激化させて、そのこと自体が全体の成長にも貢献するものとなっていました。(パネルを示す)こういう成長の時代には競争といったことが非常に重要視されて、しかも、そのそれぞれが競争することによって全体の成長も押し上げることができていた時代やと。ただ、これから下降側面に入ってくる場合には、そういう考え方だけでは決して全体の成長を支えていくことはできないと。成長から低成長、下降トレンドに向かうダウンサイドの局面においては、もう競争だけを重視していてはそれぞれが足を引っ張り合い、すべての地域が疲弊し、全体から見ても成長の阻害要因としかならない実態が浮き彫りとなっています。
 これからの時代は、村、町、市、そして都道府県レベルまで、それぞれの地域間でお互いに協力関係を築き、それぞれに補完し合う状況、地域で連携する視点からの新たな成長戦略を描くことが求められています。そういった環境の中に今回の関西広域連合の構想もあるわけで、それはまさに時代の要請でもあるのだと考えます。
 今後は、和歌山の発展を考えればこそ広域連携の中から地域の立て直しを図る、それは、和歌山の未来を見据える中で避けては通れないチャレンジなんだと思っております。そこでは、和歌山県として不利益な立場とならないためにも、まずは前向きに積極的に取り組む姿勢が何より重要となります。
 そんな中、関西の現状については、悲観的な話だけでなく、改めて連携の視点からその状況を確認してみると、広域での協力関係から未来に向けて希望の持てる取り組み、希望の芽も幾つか出てきていることに気づきます。例えば、次世代燃料電池の世界基地となる可能性を含んだ大阪湾ベイエリア開発、アジアでの拠点空港となるべき関西国際空港のハブ化の議論、また関西文化学術研究都市の機能強化など、国家再生にも期待が膨らむ大型ナショナルプロジェクトが幾つもあります。それこそ広域的な地域開発で府県を越えた推進体制が求められるものです。
 しかし、ここで残念なのは、和歌山県として、関西広域で取り組まれているそれらの大きなプロジェクトにはまだまだメーンプレーヤーの自治体としては位置づけられていないのが現実です。だからこそ、関西広域連合の立ち上げをきっかけに各府県を巻き込み、和歌山発の大きな構想、プロジェクトを立ち上げていくことが期待され、例えば新たな関西でのリゾート構想、また地産地消を基本理念とした食料自給構想など、あくまで関西全体の視点を踏まえつつグランドデザインを描けば和歌山発展の希望もはっきりと見えてきます。
 こういった基本的な考えから、今、関西一丸となるワン関西、関西広域連合設立の意義、必要性があるのであって、これは明治以降、中央集権で突っ走ってきた国づくりの根幹を見直す大事業でもあり、そこに勇気を持って取り組めるかどうかが今試されています。
 和歌山が埋没する、切り捨てられると心配しても、逆に現状のままでもじり貧になるといった厳しい現状認識から健全な危機感をしっかりと持つことこそ今必要であり、そこでは、中央集権、これまでの甘えの構造に単に寄りかかり身を任せているのではなく、自己責任の覚悟を持ちつつ未来の可能性にかける、それこそ千載一遇のチャンスとして関西広域連合にチャレンジする志が求められているのだと思います。
 さて、そこで改めて幾つかの視点で知事に御所見を賜りたいと思います。
 まず、今回の議案を上程するに至ったこれまでの経過と現状について、知事の思いも含めて御説明をお願いしたいと思います。また、今の時代にこの関西広域連合を立ち上げる意義についてどのように考えておられるのか、お聞かせください。
 また、現時点で、特に和歌山県にフォーカスして、関西広域連合は和歌山にどう資するものとなるのか、和歌山県としてこの関西広域連合に参加するメリットをどのように考えておられるのか、改めて知事として県民に説明するつもりでわかりやすく御答弁をいただきたいと思います。
 また、和歌山県として関西広域連合を初め広域の連携を考えていく場合に、参加する姿勢が非常に大切だと考えます。広域の連携に単に参加するといったことではなく、和歌山県の戦略としてどのように地域利益を最大化していくのか、そのためにどのように広域連携をデザインしていくのかが重要となります。そこで、和歌山県の戦略として、この関西広域連合をどのように主導し、また活用していこうと考えておられるのか、知事の御認識をお聞かせ願いたいと思います。
 続きまして、カジノ誘致に係る戦略について。
 さきの質問でも取り上げた広域連合、府県の行政区域を越えた連携のメリットを考える中では、産業振興といった側面でも大きな成果が期待されます。
 先日、私は、大阪府議会で行われた勉強会、近畿6府県交流フォーラムに先輩・同僚議員とともに参加させていただいてきました。分科会では、私自身、産業振興をテーマにした議論に加わってきたのですが、各府県を代表する議員の皆さんと大変有意義な意見交換を行うことができました。その議論の核心は、関西全体を見て過度の競合にお互いに足を引っ張り合うことなく、それぞれの地域の特性を生かした取り組みを各府県の協力のもと積極的に伸ばしていこうということでした。
 そういった中では、特にカジノ誘致などは広域でも議論されるべき課題であり、ぜひ和歌山県としても手おくれにならないうちに広域での調整、特に大阪府との連携は模索すべきと考えます。
 また今、カジノ合法化に向けた国の動きも加速していて、国際競争力のある滞在型観光と地域経済の振興を実現するための特定複合観光施設区域整備法、いわゆるカジノ法の設立に向けたさまざまな動きも出てきています。
 そこで、今回、過去にも私自身、平成19年6月定例議会においてカジノ誘致の提言をさせていただきましたが、改めてカジノ誘致に係る問題について、当局の考え、取り組みの姿勢についてお尋ねしたいと思います。
 今、アジアを見ても、景気拡大をねらう中で観光政策におけるカジノ議論は活発なものとなっています。シンガポールでは、ことし、総投資額120億シンガポールドル、日本円で約7500億円のカジノを中核とする大型複合リゾート施設を相次ぎ開業させました。4月にオープンしたアメリカ系のカジノリゾート、マリーナ・ベイ・サンズでは、外国人を中心に1日の入場者数が約2万5000人と当初見込みを大幅に上回る状況となっており、また、マレーシアのゲンティンが開業したカジノリゾート、リゾート・ワールド・セントーサでは、2月にカジノと4件のホテル、3月にはアメリカ系テーマパークUSS、ユニバーサル・スタジオ・シンガポールを開業させ、4~6月期の売上高は8億6080万シンガポールドル、日本円で約541億円となり、1日平均の売上高も約950万シンガポールドル、日本円で5億9400万に達したということです。そこでは、マレーシアなどからのバスツアーを初め、インドネシア、中国、インド、ベトナムなどからの家族連れも目立ち、近隣国から多くの観光客を集客している状況が報告されています。
 シンガポールへの外国人訪問者は大幅に増加し、この5月は昨年同月比で30%増の96万4000人と7カ月連続プラスを維持し、5月としては過去最高となっています。ホテルの客室稼働率も平均85%と昨年同月比で17ポイント上昇し、客室料金の値上がりもあり、業界全体の客室料収入は、これも前年同月比で45%増の1億6400万シンガポールドル、約104億円に膨らんでいるということで、日本の現状から見ると本当にうらやましい限りです。
 今後の見通しとしても、リゾート・ワールド・セントーサでは来年2011年には世界最大の水族館や高級スパなど第2期部分が開業予定で、カジノを核としつつもカジノだけでない観光戦略で、これからもアジア全体から多くの観光客を集客しようとしています。
 ちなみに、このシンガポールという国は、その存在感からすると意外なくらい小さな国です。人口500万人の小国です。私たちのこの関西と比較しても、面積で5分の1、人口で4分の1、経済規模、GDPで6分の1の国ですので、関西が一体となって戦略的な地域のマネジメントができればシンガポール1国より数段上の実力を発揮できる可能性があります。しかし、なかなかそうはいかないのは政治の差だと言われています。シンガポールの経済発展は政治主導で生まれたと、政治決断の重要性が指摘されています。シンガポールのリー・シェンロン首相は、2005年、我が国は刺激のない国と思われているとして、一連の大規模な取り組みに着手して現在に至っています。
 そういった中で、現在、他の主要なアジア諸国におけるカジノ情勢を見てみますと、既に韓国では政府公認のカジノ施設は全国各地にあり、台湾ではことし1月に離島に限ってカジノを解禁する離島建設条例改正案が賛成多数で可決されました。また中国でも、現在、マカオと香港には特別区で公営カジノが運営されていますが、さらに北京や上海にもカジノを初め公営競馬などを開設する動きが出ています。
 このように見ると、アジアの主要国でカジノを禁止しているのはもはや日本だけになっており、カジノ開設は観光立国を目指す日本にとっても喫緊の課題となっています。
 そんな中、我が国でも、ことしに入り、カジノ解禁に向けた動きが加速しています。ことし4月、カジノ合法化法案の成立を目指し、国際観光産業振興議員連盟、いわゆるカジノ議連が発足しました。この議連はカジノ合法化に向けた超党派の国会議員で構成され、民主党、自民党、公明党、国民新党、みんなの党から総勢100人を超える国会議員が参加するものとなっています。会長には民主党の古賀一成氏、会長代行に自民党の岩屋毅氏、幹事長に民主党の牧義夫氏が就任しています。
 さらに、先月8月5日には、カジノ議連の古賀会長から会長私案としてカジノ法案のたたき台が発表され、早ければことし中、遅くとも来年の通常国会に法案を提出するとした声明が出されました。そこで出されたカジノ法案の構想では、カジノ設置に向けて、まず地域指定に関する基本方針を国が定め、地方公共団体による申し出、提案を国が募り、審査、評価し地域を指定する、また指定を受けた地方公共団体は、公募により整備計画案を募り、施設の整備、運営を行う民間の特定事業者を選定するとしています。また、地域指定については、当初は2カ所、その効果を確認後、国内で最大10カ所とし、区域は国が指定するとなっています。
 こういった国の流れを受けて、各自治体の思惑もさまざまに交錯しています。九州では、佐世保商工会議所の前田会頭が会長を務める西九州統合型リゾート研究会で、この7月26日に長崎県の大型リゾート施設ハウステンボスにおいて総会を開き、ハウステンボスへのカジノ誘致を正式に確認し、今後積極的に国へ働きかけを強めるとしています。また千葉県でも、成田国際空港の活性化策として、森田健作知事が提唱する外国人専用のカジノ構想について、専門のワーキンググループを設けて年末までにその可能性を早急に探っていくとしています。また東京でも、これまで積極的にカジノ誘致を進めてきた石原慎太郎都知事は改めてカジノ誘致に意欲を示し、お台場カジノ構想ではカジノハウスとカジノつきホテル建設で2300億円程度の経済効果と約1万4000人の雇用を創出できると期待を寄せています。
 また、お隣の大阪府でも、橋下知事の肝いりでカジノ協議の議論を年内にはまとめたいと意気込んでいます。大阪府では、この7月9日、経済団体や府内自治体などとカジノを含むリゾート建設を協議する大阪エンターテイメント都市構想推進検討会を発足させ、これまでの知事のカジノ誘致に係る発言の裏づけを急ぐ考えを示しています。その会議の冒頭で橋下知事は、「増税をするぐらいならカジノのほうがいい。大阪に誘致して観光客を呼び込み、収益を教育や福祉に回したい」とあいさつし、府としては、これまで持っていた大阪湾岸へのカジノ誘致構想の実現に向け、9月早々には府民に意見を聞くアンケートを実施し、あわせて年内に残り3回の検討会を開き結論を出すとしています。
 また、この会には、大阪商工会議所、大阪観光コンベンション協会を初め、大阪府PTA協議会、大阪市、堺市なども参加しており、検討会での結論をスムーズに実施につなげる体制をつくっています。こういった大阪の動きは特に注目すべきものです。
 大阪湾岸にカジノをつくられると和歌山カジノはないと識者からも指摘を受ける中では、とりわけ大阪の動きをしっかりと見守りつつ、各自治体の動きも視野に入れ、和歌山におけるカジノ構想実現に向けたチャレンジを今こそ本腰を入れて進めなくてはなりません。
 経済を再建する大仕事にはあくまで政治のリーダーシップが不可欠であり、今回のカジノ誘致も、アメリカのラスベガスではないですが、その決断は歴史に残る可能性がある大きな政治の仕事です。
 言うまでもなく、カジノ事業は青少年への影響、依存症問題、また組織犯罪などさまざまな心配もありますが、それらについても十分配慮した上で、その推進には努力すべき価値があります。国においてもカジノ構想が現実のものとなりつつある今、ぜひ仁坂知事には覚悟と勇気を持って、和歌山県の未来を託されたトップとしてのリーダーシップを発揮していただきたいと思います。
 そこで質問ですが、まずアジアでのカジノ事業の進展、また国内でカジノ法などが進捗する状況、またそれに伴う各自治体の動きなど、それぞれを見つつ、カジノ誘致に係る現状の認識について知事の御意見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、これまで和歌山県としてもカジノ構想について取り組みを進めてきています。県内の動きとしては、平成19年10月に和歌山県カジノ・エンターテイメント研究会を設立し、その後、カジノ研究者を和歌山に招聘し、講演会を3回、この9月1日にはシンポジウムも開催しています。また、平成21年1月にはカジノ誘致に関連する県民意識調査も実施しています。こういったこれまで県が進めてきた取り組みによって、仁坂知事は現時点でどういった知見を得てどういった成果を上げていると考えておられるのか、御所見を賜りたいと思います。
 また、具体的に、現在和歌山県の持つカジノ誘致実現に向けた戦略について、お考えをお聞かせください。
 また、カジノ誘致を明確に打ち出している大阪府との関係について、私は、和歌山県としての単独での誘致活動にはおのずと限界があり、そこでは関西におけるカジノといった位置づけが必要だと考えます。和歌山におけるカジノ誘致の戦略としては、大阪府との事前協議、調整、協力は不可欠と考えますが、どのように認識されているか。大阪府との連携についてあわせてお考えをお聞かせ願いたいと思います。
 最後の質問項目になります。続きまして、児童虐待の問題について。
 今、毎日のように子供の虐待に関する事件がニュースとして流される状況にあります。その報道内容としても、普通では考えられないようなひどい事件が多く、私自身、小学生、中学生の子供を持つ親として本当に胸が痛みます。
 現在の児童虐待は今の日本社会における根の深い社会問題でもありますので、一朝一夕に解決していくことは難しいものでありますが、しかし、子供の未来は私たちの未来でもあります。何としても多くの子供たちに笑顔が戻るよう、今できることを真剣に考えていきたいと思います。
 先月28日に発表された厚生労働省のまとめでは、2009年度に全国の児童相談所が対応した児童虐待に関する相談は前年度より1546件ふえ、4万4210件、3.6%の増加となり、過去最多を更新しています。全国の児童相談所に寄せられた通報や相談は、調査を始めた1990年度は1101件だったものが99年には1万件を突破、2007年度には4万件を突破し、2009年度まで19年連続でふえ続けている状況があります。これは、虐待そのものがふえているだけでなく虐待への社会的関心の高まりもあると指摘されますが、基本的に虐待被害はふえる状況にあり、その実態を見ても、とても信じられないような虐待の事例が相次いで報告されるものとなっています。
 都道府県別で見ると、神奈川県が5676件で最も多く、次いで大阪府が5436件、東京都が3339件、千葉県が2655件、埼玉県が2585件と続き、和歌山県は423件となっていますが、人口割の比率としては和歌山県も決して少ない状況にはありません。
 また、和歌山県での虐待の死亡事例についても、直近では平成18年に2歳の男の子が実母の交際相手となる男性から身体的虐待を受け死亡、平成21年にも新宮市で母親が生後7カ月の男の赤ちゃんをふろ場で投げつけて死亡させるという痛ましい事件が起こっています。
 2008年4月に施行された改正児童虐待防止法は、児童相談所の権限を大幅に強化するものとなっています。相談に応じない親に都道府県知事が出頭要求を出せるようになり、拒否が続く場合は裁判所の許可を得て強制調査をすることが可能になっています。しかし、改正法に基づく出頭要求は2009年度に21件、強制調査は1件だけとなっていて、所管する厚生労働省も全国の自治体に対し、強制立ち入りを含めた調査権限を積極的に活用して迅速な対応を求めるとしていますが、しかし、現実的には現場を預かる児童相談所などの体制整備も大きな課題となっている状況があります。
 そういった中で、大阪市西区で発生した2人の子供の遺棄事件、ニュースなどでも大きく取り上げられた大阪では、子供を見守る体制の再構築を早急に進めています。大阪市こども相談センターでは、夜間や早朝の通報に即応できるよう職員を増員するなど体制を強化、緊急時に現場に急行する宿直職員も配置し、24時間体制の対応で再発防止を目指すとしています。また同センターでは、虐待が疑われる情報が寄せられた際、消防にも連絡し、消防署員が現場から駆けつける全国初の取り組みも開始し、また、この10月からは大阪府警から警察官の派遣も予定するなど、関係機関の連携強化も徹底するということです。
 このような取り組みが全国各地でも進む中で、私たちの和歌山県でも、さまざまな視点から児童虐待を未然に防ぎ、また、児童虐待が実際に起こってしまった後も事態が深刻にならないように対応する環境整備が急がれます。
 そこで、それらについて、今議会ではさきに先輩・同僚議員からも児童虐待について質問もされましたので、重複する部分は省き、私なりの幾つかの視点で提言、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、福祉保健部長に、現在の児童虐待に係るさまざまな状況について、率直な現状における御認識をお伺いいたします。
 また、現在の虐待の防止に関しては、児童相談所の役割がますますクローズアップされる状況にあります。各都道府県の取り組みを見ても、その人員を含めた体制の強化が進められていますが、そんな中、和歌山の状況を確認してみると、現状では本当にぎりぎりの状況で対応している現実があります。
 今回の件で、私も何度か実際に足を運び、仕事をされている状況にも触れる機会があったのですが、マンパワーが不足する中で夜遅くまでそれぞれの担当の方が懸命に仕事をされている状況がありました。そういった現状を放置して、厚生労働省からの指示でさらにこれまで以上に虐待の通報、相談などの業務を積極的に行うというのは物理的にも難しい状況にあり、そこでは、人員の増員など、和歌山県としてもその体制整備を急ぐことが不可欠だと思います。特に、児童虐待の深刻なケースは夜間に通報されることが多いと言われる中で、今後は24時間体制の検討も必要になり、ますます厳しい状態になると思いますが、そこで、児童相談所の人員について、現在の体制に対する県当局の認識と増員への取り組みについてどのように考えておられるのか、お聞かせください。
 また、虐待の事例を見ていると、そこでは児童相談所の力だけではどうしても万全の対応は難しく、さまざまな機関との連携が重要となってきます。特に警察との連携について、全国的に警察と児童相談所などとの連携が進み、また警察庁は、匿名通報ダイヤルに児童虐待のケースを加えるなど、虐待の取り締まりを強化する姿勢を示しています。そういった中で和歌山県の連携の状況はどうなっているでしょうか、お聞かせください。
 また、和歌山県警としても虐待防止については独自にも取り組んでいただいていると思いますが、現在の状況と今後の対応についてお聞かせください。
 次に、虐待が起こってしまって、その保護者との隔離、保護といったことが必要になってくると、児童養護施設、里親制度などが非常に重要になってきます。しかし、それらの体制整備も十分とは言えないのが現状だと思います。
 そこで幾つかお尋ねしますが、まず、本県の児童養護施設の状況と里親制度の現状について、福祉保健部長からその御認識をお伺いしたいと思います。
 また、私自身、児童養護施設、里親制度の実態を勉強させていただくために、それぞれの現場、またそれぞれの責任者の方々から直接お話を伺ってきましたが、実際に多くの悩みを抱えておられます。現実に厳しい環境に置かれた子供たちのことを最優先し、深い愛情を持って対応していただけることについては本当に頭の下がる思いですが、そういった中で、和歌山県としてもこれまで以上に養護施設、里親制度についての整備、充実に力を入れてもらいたいと思います。
 そこで、まず職員の配置基準について、和歌山市内のある施設では、時間帯によっては1人の職員が10人を超える児童を見ざるを得ない状況になっていて、その見直しは喫緊の課題となっていますが、県としてその状況をどのように認識しているのか。あわせて、今後の対応についてお聞かせいただきたいと思います。
 また、それぞれに保護された子供たちへの補助の問題について、施設で、また里親制度によって保護されている子供たちは、何の過失もない中で厳しい環境に追い込まれています。そこでは、社会福祉を最大の目的とする行政としてできる限りの手助けが必要であって、普通の家庭で育つ子供と大きな差が出る状況は何としても是正しなくてはなりません。
 そんな中、今、具体的な行政対応としては、里親を含む施設児童の処遇扶助として、その援護費は平成22年度の予算で100万円すらも切る状況で、94万5000円となっています。これには各種資格取得費、また教育強化費としてクラブ活動費、補助学習費などすべてを合わせた額となっていて、それが和歌山全体で保護されている子供たちすべてに対応する予算となっています。これでは余りにも少ない額であって、こういった状況は何とか改善してもらいたいと思いますが、現在の予算枠についての認識と、その額を少なくとも倍くらいまでには引き上げるなど、その枠の拡大についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 また、あわせて、自立支援として施設を出る最初の退所指導において、大学進学につながる県独自の奨学金などの各種制度についてもぜひ充実させることが必要だと考えますが、現状の認識と今後の改善について御答弁をいただきたいと思います。
 また、現在の子ども手当の給付にかわる施設入所児童等特別支援事業のあり方についても、現状では大変使いづらいものとなっていると指摘を受けました。その現状の認識と今後の対応についても、県としての所見をお聞かせ願いたいと思います。
 また、小さい子供、特に幼児などは家庭養護の必要性が指摘されていますが、日本ではなかなか理解が広がらず、限られた里親さんが大変な御苦労をいただく中でこの制度が維持されてきています。そこでは県としてももっとバックアップしていくべきであり、その必要性についてはこれまでの議会で私自身詳しく説明もしてきましたので、今回は重複を避け、その詳細には触れませんが、特に県として力を入れてほしいと思います。
 そこで提案ですが、今、里親支援として県の委託事業でふるさと雇用再生特別基金活用事業、里親支援センターなでしこがあり、啓発や相談事業などの里親支援が行われていますが、これらについて、今後は児童相談所から外出しし、外部にて里親支援を本格的に行っていく機関の設置を前向きに進めていただきたいと思います。里親会の皆さんも望んでおられますのでぜひ前向きに進めてもらいたいと思いますが、県としての認識、今後の対応についてお聞かせ願いたいと思います。
 最後に、今回の虐待に係る対応として、この問題は、未然の防止から問題の起こった後の対応まで課題は山積しています。そういった中で、今議会の限られた時間では質問内容を絞ることが必要となりました。そこで、今議会では直接の質問とはしませんでしたが、最後に要望として、虐待への対応で私自身特に期待を寄せる教育委員会にお願いしておきたいと思います。
 虐待問題への対応として、特に教育委員会には大きな期待をしています。虐待問題は、教育の現場からも子育てに関しての新たな運動を起こさなければいけないと思っていて、事前に教育委員会ともお話をさせていただきました。私自身が新たな提言をまとめるのは次の機会にしたいと思っておりますが、虐待問題については、教育委員会としても教育の現場からのアプローチ、その対応について内部での検討をぜひ進めておいていただきたいと強くお願いをして、以上、私の第1問目とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの山下大輔君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、関西広域連合についてでございます。
 本県の発展には関西圏の発展が不可欠でございますけれども、県の区域を越えて取り組む必要のある課題が、関西が一丸となって取り組む体制である関西広域連合は、関西圏が地域の個性を連携させながらスケールを広げ、首都圏とは異なる多様な価値が集積する日本のもう1つの中心核として発展していくための手段となり得ると評価いたしまして、設立当初から参加を目指したいと考えておりました。
 一方、大きな府県に引っ張られて本県の意見が埋没しないかといった懸念があります。これもごもっともでございます。そこで、広域連合の意思決定方法について、重要事項は各知事の合意を前提とすることを提案いたしまして、今般、関係府県知事間で合意がなされましたので、今議会に関連議案を上程した次第でございます。
 本県が関西広域連合に参加する具体的なメリットといたしましては、設立当初の事務では、本県の東南海・南海地震に備えた防災対策の強化充実、京都や大阪などとの協同による海外からの観光客の誘致、資格試験を合同で実施することによる行政の効率化、経費削減などを挙げることができます。
 関西広域連合は、小さく産んで大きく育てるという方針のもと、設立当初からの事務の拡充に加え、国からの権限移譲を受けて広域的な業務に取り組むことにもなっております。このような事務事業の企画立案、実施の際には、関西全体のことを見据えつつも、本県のメリットになるように広域連合の運営に戦略的に関与していきたいと考えております。例えば、関西広域連合の活動実績を積み重ねることにより関西に住む住民の一体感が醸成され、和歌山県の道路整備、こういうものに応援をしてくれる、あるいは農林水産物の販売促進などについて自分たちの地域の産物ととらえて支援してくれる、そういうことについても今後期待をしながらそれをうまく引き出していくというようなことをやっていきたいと、こんなふうに考えております。
 次に、カジノ構想でございます。
 まず、本県へのカジノ誘致に係る現状認識についてであります。
 本年4月にはカジノ議連から会長私案として法案スキームが提示され、5月には国土交通省の成長戦略にカジノの検討が盛り込まれました。さらに、知事会で相談をいたしまして、有志の知事ということで和歌山県、神奈川県、沖縄県の3県でカジノについて勉強を徹底的にしてみようというようなことも行われるようになりました。
 次に、本県の取り組みに関して得た知見と成果についてであります。
 カジノについては、ラスベガスあるいは御指摘のシンガポールに代表されるような、いわばまちぐるみ、地域ぐるみ、そういうカジノ地域もあります。いわば、かつてのリゾート法のような地域プロジェクトとしてとらえる、こういう考え方であります。
 一方、モナコとか、そのほか世界じゅうにたくさんありますけれども、ヨーロッパの観光地とかそういうところにありますカジノは、これは1つのビル単独型というような形でありまして、ここは多くは社交場として、外国人なども呼んでにぎわいを見せております。
 御承知のように、カジノにはいいところもありますが、例えば子供の影響をどうするか、あるいは賭博依存者をどうするか、あるいは反社会的勢力の侵入をどうやって防ぐか、そういうデメリットの除去についても実際によく配備されたものでないといけません。そのためには一定のテクニックが要ると考えております。
 各国では、それぞれの状況に応じてカジノ設置に伴うデメリット払拭のための工夫もしております。あるいは、カジノ自身がどう考えても先ほどのようなデメリットを防ぐためには、隔離とか管理とかそういうような概念を導入しないといけないと思っております。したがって、そういうものを一定の形で制限していくというようなことがいろいろなされているわけであります。
 また、今後中国などの富裕層の来日が増加すると考えられることから、本県は、関西国際空港への近接性とか、あるいは温泉を初めとする豊富な観光資源など、カジノ立地に側面から優位な条件があると認識していることも事実であります。
 次に、カジノ誘致実現に向けた戦略についてであります。
 1つ目は、県民に対してカジノに関する正確な情報、知識を提供することであります。カジノというのはどういうものであるかということについて、一方的な思い込みで何でもノー、ノーと言うのはいかがなものかという気もいたしますので、こういうあり方というのはいろいろあるんだということを正しい知識を持っていただくということがまず第1番目に大事であります。
 2つ目は、神奈川県、沖縄県とのカジノ研究会での研究成果であるところの地方の実情に合ったカジノの形態、こういうものを自分たちも考えて、これを、どうしても国の法律が要りますから、その中で実現してもらうようにいろいろ働きかけをしていくということが大事だと思います。
 3つ目は、カジノは民設民営を原則として検討が進められていることから、シンポジウムなどでつながりのできた研究者、企業関係者とのパイプを生かしまして、カジノ誘致の可能性について情報収集を行うということもしなければいけないと思います。
 最後に、大阪府との連携についてでありますが、大阪との関係では、本県では関西広域を視野に入れながら本県の地域実情に合ったカジノについて検討を深めてまいらなきゃいけないわけであります。そういう意味では大阪府とも、同じ関西の大阪でございますので、よく議論をしていかなければいけないと考えております。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 児童虐待の問題についての9点につきましてお答えを申し上げます。
 まず、現状の認識についてでございますが、全国的に児童虐待への対応件数は増加の一途をたどっておりまして、児童の命にかかわるような重篤な事件も後を絶たない状況でございます。本県におきましても全国と同じような傾向があると考えてございます。
 こうした中、本県では、児童虐待への対応は発生予防、早期発見・早期対応、在宅支援、社会的養護の充実、家族の再統合、自立の支援の4点が基本であると考えておりますが、特に、通告を受けてから48時間以内の子供の安全確認の徹底と、児童相談所と警察、市町村、医療機関、学校、保育所等といった関係機関の間での連携に力を注いでいるところでございます。
 今後とも、関係機関との連携を一層強化し、児童虐待の防止に向け毅然たる態度で臨んでまいりたいと考えております。
 次に、児童相談所の現在の体制についてでございますが、児童相談所に配置される児童福祉司の数は、人口5万人から8万人につき1人を配置するよう児童福祉法施行令第2条に規定されておりますが、本県の児童相談所の人員はこの基準を満たしており、他の自治体と比較しても同程度の職員配置となっております。児童虐待への対応により児童相談体制の強化が喫緊の課題となっています最近の状況を踏まえまして、児童相談所の相談業務に当たる職員につきましては、ここ数年で人員をふやしています。今後とも、虐待事案への対応状況等を勘案しながら、必要な人員体制の整備を進めてまいりたいと考えております。
 なお、児童相談所への職員の配置基準等については、人口に基づく基準だけでなく相談件数等も加味したより具体的な基準を示されるよう、近隣府県とも連携、協議しながら国に働きかけてまいります。
 次に、本県の児童養護施設の状況と里親制度の現状でございますが、児童養護施設につきましては、社会的養護体制を担う重要な施設でありますので、入所児童の生活環境の向上を図り、家庭的な環境を整備することが必要であると考えております。
 県内の児童養護施設は、今年度新たに1施設創設をされまして、現在8施設となっております。既存の施設については、既に2施設の改築を終えまして、現在2施設の改築を進めているところです。
 また、里親制度については、家庭的な養育環境のもとで虐待された子供が心身ともに安心して生活できる制度でありますので、県としてもこの制度を積極的に活用していきたいと考えております。特に、和歌山県子ども虐待防止基本計画の目標数値でございます里親委託率15%を目指してまいりたいと考えております。
 次に、児童養護施設の職員の配置基準の見直しについてですが、児童養護施設の職員配置については、児童の年齢に応じた配置基準が定められており、各施設では基準どおり職員を配置しておりますが、時間帯によっては議員御指摘のような状況になることもあると聞いております。
 県としては、施設が子供の処遇を向上させるため基準を超えて人員をふやす場合には、個別対応職員、家庭支援専門相談員、心理療法担当職員など、措置費の対象となる職員を配置するよう指導しているところです。引き続き、実態に即した人件費が支弁されるよう職員配置基準等の見直しを国に要望してまいります。
 次に、保護された子供たちへの補助、援護費の引き上げでございますが、施設入所の高校生等が部活動等に参加するために必要となる経費については、措置費において特別育成費等として支弁されており、施設児童等処遇扶助事業はこの措置費を補てんする目的で実施しているものであります。今後、施設に入所する児童等が充実した高校生活を送れるようにするためにも、部活動経費の拡張など措置費の充実を国に要望してまいります。
 なお、児童が就職に際し必要な資格等を取得するための経費については、国において来年度の予算化が検討されていると聞いておりますので、その動向を注視してまいりたいと思います。
 次に、自立支援として退所指導時の各種制度の充実でございますが、施設入所児等が大学等に進学する場合は、措置費上、学用品等の購入や住居費、生活費等を対象とする大学進学等自立生活支度費を支弁することとなっていますが、子供が大学進学等に意欲を持つということは大変重要でございますので、対象となる子供に対して日本学生支援機構奨学金や和歌山県修学奨励金貸与制度などの情報を提供するとともに、議員御提案の制度の可能性についても今後検討してまいりたいと考えております。
 次に、子ども手当の給付にかわる施設入所児童等特別支援事業のあり方等でございますが、施設入所時等に子ども手当相当分を現物給付する特別支援事業については、現在のところ今年度限りの制度であるとされていますが、現金給付ができないこと、また施設内の一部の児童のみ対象となることなど、制度上幾つかの課題があると認識しております。来年度は施設入所児等にも子ども手当が支給されるよう法整備される予定と聞いており、引き続き国の動向を注視してまいります。
 次に、啓発や相談事業などの里親支援を外部に出して本格的な支援機関を設置ということでございますが、子ども・女性・障害者相談センターを今年度から里親支援機関として位置づけておりますが、議員御提案の里親支援機関の外部委託につきましては、里親会等の意見も踏まえながら里親支援センターと協議を行ってまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 警察本部長山岸直人君。
  〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) 児童虐待について、関係機関との連携を含めた取り組みと今後の警察としての対応についてお答えいたします。
 警察といたしましては、児童虐待事案に対しまして、児童虐待の早期発見と被害児童の早期保護を目的とした取り組みを強化しております。また、児童相談所等の関係機関に対しましては、相互の情報を交換し、迅速に児童虐待事案に対応すべく緊密な連携を図っているところであります。
 警察におきましては、少しでも児童虐待が疑われるような場合には、速やかに児童相談所に通告を行い、対応によっては一時保護等の措置をとるよう働きかけるとともに、警察として必要な捜査を行っております。また、児童虐待の防止を図るため、交番、駐在所が発行する広報紙等により啓発活動も行っているところであります。
 このような中で、児童虐待における事件検挙はここ数年増加傾向にあり、本年8月末現在、保護者を暴行や傷害等により6件6名を検挙しているほか、児童相談所に対する通告も増加しており、既に85件に上っております。
 警察といたしましては、今後とも、あらゆる警察活動を通じて児童虐待についての情報を把握し、児童相談所を初めとした関係機関と連携しながら、児童の生命、身体の保護を最優先とした対応に努めてまいる所存であります。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 41番山下大輔君。
○山下大輔君 御答弁ありがとうございました。
 まず、児童虐待につきましては、福祉保健部長のほうから御答弁いただきましたが、本会議場で質問するということで福祉保健部担当の皆さんと真剣にここまで議論させていただいてきました。その中では、本当に真摯な姿勢で取り組むということで、その姿勢に対しては感謝しておりますし、ただ、先ほどの答弁も100点とはいきませんので、しっかりと今後、その状況を少しでも改善させられるように、財源的にも本当に厳しいところがあるというのは重々わかっておりますので、その中でできる限りの御回答いただいた中身は特に実行していっていただきますようにお願いしておきたいと思います。
 もう1点だけ、カジノ誘致で大阪との連携についてですけれども、事前にいろいろとまた協力も、関西広域連合もできていく中でやっていくということで御答弁もいただいておりましたが、実は今ちょうど大阪にカジノでも協力させるチャンスやと思っています。特に今、大阪府知事がさまざまなマスコミ等で発言している内容というのを聞かせてもらうと、関西広域連合への取り組み、また、これは橋下知事、全体の関西の各府県の知事の意見じゃないんですけれども、その先に見詰める道州制、関西州に力を入れるといった中で、大阪府知事は、互いの地域が協力してまとまっていく、それぞれの特徴を生かして役割分担をしてオール関西で大きな魅力を生み出したいというようなことを基本的にお話しされています。その発言の核心というのは、関西圏におけるそれぞれの地域の機能分担と強みの集中といったことだと思います。
 その橋下知事が、関西全体、オール関西で取り組むということを片一方で言ってながら、現在の政策で大阪府がビジネスもリゾートもアミューズメント、カジノもとってしまうという、実はそれはやっぱり矛盾があるんやろうと。関西全体の中で発展を考えていくという中でそれぞれの地域の特徴を伸ばして機能分担をさせるというそのロジックからすると、逆に和歌山にこそカジノは誘致させてくれと、大阪に「協力しろ」と言うことは、これは必ず言えると思いますので、だから、今のタイミングで、まだほかの地域で、特に大阪が鮮明に手を挙げる前に事前の協議というのを水面下でぜひ進めていただいて、関西広域連合の中でも仁坂知事自身がかなりリーダーシップを発揮してその取りまとめに御苦労いただいたという状況はよくわかっていますんで、そういうこととあわせて今回のカジノについてもぜひ大阪との連携というのをしっかりととっていただきたいということを最後にお願いいたしまして、これも要望とさせていただきます。
 以上です。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で山下大輔君の質問が終了いたしました。
 質疑及び一般質問を続行いたします。
 10番平木哲朗君。
  〔平木哲朗君、登壇〕(拍手)
○平木哲朗君 皆さん、こんにちは。議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、一般質問を行います。
 最初の質問は児童虐待ということで、角田議員、奥村議員、山下議員がさきに質問をされておりました。若干というよりも重複する部分がかなりありますが、私はその基本的な部分についてお話をしたいと思います。
 最近、児童虐待の報道を耳にしない日はないほどです。幼い子供たちが児童虐待により命を奪われたり大けがをさせられたり、あるいは食事を食べさせてもらえず栄養失調になったりなど、信じられないことが起こっています。かわいい我が子を虐待する親の気持ちが、私にはわかりません。子供は親を選ぶことができません。本当に嫌な時代になったと思います。
 私も橋本市のエンゼルプラン作成に参加をした委員の一人として、こういう状況になるとは本当に思っていませんでした。行政機関、関係機関、警察、地域社会が子供の命を守り育てることの必要性を感じています。
 厚生労働省によると、全国の児童相談所が対応した虐待の相談件数は、統計をとり始めた平成2年以降19年連続で増加しています。平成20年では4万2664件、平成21年度では4万4210件となっています。また、虐待を疑うも8割以上が相談せずといった調査もあり、通告されなかった件数を入れますと、もっともっと大きな数字になることは明らかであります。
 児童虐待には4つのタイプがあります。第1には身体的虐待、子供の体を傷つける。第2には性的虐待、子供に性的なことを強要する。第3には心理的な虐待、子供をどなりつけておびえさせたり子供に愛情を示さない。第4にはネグレクト、子供を学校に通学させなかったり食事を十分に与えないなどの養育放棄があります。実際の虐待のケースでは、これらの4つのタイプの虐待が組み合わさって起こっています。また、多くの場合、さまざまな要因が重なったとき、家族関係が不安定になり、子供の虐待が引き起こされます。
 親の要因としては、育児不安や仕事のストレス、親自身の虐待された経験、病気や障害(病気等の体調不良による養育力の低下)、精神的に不安な状態(産後うつやアルコール依存)が考えられます。子供の要因としては、育てにくい子供、また病気や障害(先天性の異常疾患や発達のおくれ)、また家族を取り巻く要因としては、核家族化によるもの(育児に関して相談できる人がいない等)、不安定な夫婦関係(夫婦げんか、DV)、また経済的な不安、地域からの孤立などが考えられます。
 厚生労働省の専門委員会が平成19年から20年に発生した子供の死亡事例73件を分析した結果、児童相談所がかかわりながら死亡にまで至った例が15件、関係機関が支援のしようがないと判断した例が22件あり、行政対応の不十分さが浮かび上がりました。
 また、残念ながら、児童虐待は家庭という密室で起きているためか、見過ごされるケースも多いと思われます。子供を持つ親としては、子育てに関する講習会などに積極的に参加して子育てのストレスを軽減させ、児童虐待などの子育てで起こり得る問題点をよく知るのが大切だと思います。社会参加や子育て講座や子育て支援イベント等に参加できない親の家庭に対する支援と指導をどうしていくのかが子育て支援の長年の課題であると思います。
 また、虐待されている子供に周囲の人が気づいたら、すぐに児童相談所など関係機関に知らせることが大切です。しかし、残念ながら、気づいたとしても無関心であったり、児童相談所や関係機関に通報しなかったケースもたくさんあります。
 児童虐待は、エスカレートすると歯どめがきかなくなることも少なくありません。他所の家のことだからといって見て見ぬふりをしてしまったら悲劇が起きてしまいます。虐待を受けた子供の心には深い傷が残ります。また、児童虐待を受けた子供は、親になったとき自分の子供を虐待してしまうという負の連鎖が起こることが多いようです。
 欧米では、虐待は重大な犯罪という認識が浸透しています。日本人の赤ちゃんが現地の病院へ行って、お尻の蒙古斑を見た看護師が虐待と勘違いをして警察へ通報したという事例や、ショッピングモールの駐車場にとめた車に子供を残したまま買い物に出かけて、戻ってみたら車の周りが人だかりになっていて虐待の現行犯で逮捕されるという事件もありました。アメリカのほとんどの州では、特定の職種に従事する人が児童虐待の兆しを発見したら児童相談所や警察など関係当局に通報することを義務としており、通報しなかったら罰則があります。日本においても、児童虐待は犯罪であるという共通認識をみんなが持つべきであり、地域社会で親と子供を支え、育てていくことが地域の重要な役割ではないかと思います。
 2004年の児童虐待防止法改正によって、虐待を受けた事実がなくても、虐待と思われる事実があった場合は児童相談所や市町村の担当窓口、福祉事務所に通告する義務があるとされています。
 子供は社会の未来です。その子供に虐待など、本来あってはならないのです。しかし、残念ながら児童虐待は家族という密室で起こっています。子供の成長は家族のみならず周囲のみんなから見守られているとなれば、児童虐待も減っていくのではないかと思います。児童虐待をなくしていくためには、関係機関が連携して子育て支援の充実や、子育てに関する情報発信や仲間づくりにきめ細かく取り組むことが必要であると思います。
 また、早期発見、早期対応していくためにも、住民が児童虐待に対する認識を持ち、関係機関に通告する義務を認識することが大事であります。関係機関は、十分に対応できる専門職員を配置し、早期に対応できる体制をつくるべきだと考えます。また、家庭への早期立入調査ができる法整備や親権制限、虐待行為に対する厳罰化、欧米のような通告義務に対する法制化も必要ではないかと考えます。
 最初に、仁坂知事にお聞きします。
 県議会開会日の知事説明の中で児童虐待について触れられ、「注意を怠ることなく、関係機関が情報共有を密にし、県民の皆さんの御協力もいただきながら早期に発見をし、毅然とした態度で早期に対応するように努めてまいります」と発言されています。私は、児童虐待に対する県民への情報発信や、県民の児童虐待に対する理解と知識がまだまだ不十分ではないかと思います。私の経験上、公務員の人に子供は親が育てるのが当たり前という認識を持っておられる方が非常に多いというふうに感じてます。今の子育て環境の劣悪さ等に関してまだまだ理解が不十分であると思っています。
 そこで、児童虐待の現在の状況についての知事の認識と児童虐待の根絶に向けた決意についてお聞きします。
 次に、福祉保健部長にお聞きします。
 平成19年から20年に発生した児童虐待による子供の死亡例73件を分析した結果、児童相談所がかかわりながら死亡に至った例が15件、関係機関が支援の必要がないと判断した例が22件あったそうです。また、児童虐待を疑いながら8割以上が相談しなかったという調査結果もあります。
 児童虐待は家庭という密室で起きているため、見過ごされるケースも多いと思われます。さまざまなケースが考えられますが、なぜ、児童虐待の発見がおくれて取り返しのつかない状況になる原因はどこにあると思われますか。また、年々増加する児童虐待に対応するために関係機関の体制強化が必要になってくると思います。児童相談所の増設、専門職員の増員は必要ありませんか。
 厚生労働省は、虐待が疑われる場合、保護者や子供の氏名がわからなくても児童虐待防止法に基づく出頭要求や強制立入調査を行うことができると自治体に通知を出しており、より積極的な対応を求めています。また、児童相談所と警察などの関係機関の情報の共有の徹底も必要ではないかと考えます。児童虐待による事件が増加していますが、早期発見、早期対応をするために関係機関との情報の共有の徹底や連絡体制をどのように強化していくのかをお聞きします。
 さらに、児童虐待行為の厳罰化も検討してよいのではないかと思います。厳罰化は乱暴なやり方かもしれませんが、児童虐待への抑止力になるのでないかと思います。
 何の罪もない、親を選べない子供たちが被害に遭うのは許されないことだと思います。親に見離された子供は、地域で守るしかないのではないかと思います。地域で子供を守ることを考えたとき、児童虐待問題を理解し関心を持ってもらうためには、児童虐待行為の厳罰化や児童虐待の通告義務に対する罰則化や親権制限をすることが必要ではないかと考えますが、県当局はどのように考えるのか、お聞きします。
 また、警察本部長には、私は、児童虐待の早期対応をするためには警察の早期介入が予防措置であり、被害を最小限に抑える一番の方法と考えますが、警察本部の基本的な考えと取り組みをお聞かせください。
 また、県教育委員会生涯学習課地域教育班では、子育てコミュニティーを地域につくろうと県内2会場で家庭教育講座「みんなで育むあったか子育て」を開催するとのことです。このような講座は県下一円で取り組んでほしいと思いますし、各市町村でも独自の子育て支援事業も取り組みされています。私は、こういう講座に参加している人たちは心配ないと思うのですが、参加しない人あるいは参加したくてもできない人たちをいかにして講座や社会に連れ出してくるのかが、大変難しい問題でありますが大事なことだと考えています。講座やイベントや社会参加できない親や家族に対して支援や指導、取り組みをどのようにして行っていくのかを福祉保健部長にお聞きします。
 次に、がらっと問題を変えまして、道路問題と流域下水道について質問します。
 7月14日の集中豪雨により河内長野市天見付近で土砂崩れが発生し、国道371号は全面通行どめとなりました。大阪府や富田林国道事務所、また県土整備部、伊都振興局建設部の関係者の皆さんの御尽力もあり、完全復旧には10日ほどかかりましたが、早期に通行可能となりました。大阪府、和歌山県の関係者の皆さんには感謝を申し上げたいと思います。
 全面通行どめの間、市民生活や地域経済にも大きな影響を与えました。学校や会社への通学・通勤、企業への物流の遅延、やっちょん広場の売り上げの低下、観光局の減少、病院への通院、急病人の救急搬送等に大きな影響を与えました。
 国道371号は、橋本市にとって命の道であると再確認をいたしました。しかし、大阪府側国道371号は、この場所だけでなく、土砂災害の危険地域がまだまだあるということです。国道371号バイパスの進捗状況と和歌山県側の紀見トンネルを除く平成25年を目途に完成を目指すと聞いておりますが、早期完成に向けた知事の決意と、橋本市の発展、地域経済活性化、また市民生活の安全・安心を確保するために早期の全線開通が必要です。全線開通に向けた今後の仁坂知事の大阪府橋下知事への働きかけについてお聞きします。
 次に、最近の異常気象による各地でのゲリラ豪雨が頻繁に発生し、短時間に多量の雨が降り、数日間大雨が続くということが多くなってきており、大きな災害を引き起こしています。東名自動車道では、地震による盛り土工法でつくられた道路が崩落する事態も起こりました。大雨による崩落事故は中国自動車道でもあったように記憶しています。
 橋本市でも、紀の川左岸農免道路が数日間の200ミリを超える雨により崩落事故が起こり、バイクで走行中の方が転落され、けがを負いました。京奈和自動車道や国道371号バイパス慶賀野付近でも、このような工法が使われています。全国各地で道路整備に使われている工法であります。
 最近の異常気象によるゲリラ豪雨、長時間続く大雨、30年の間に必ず起こると言われている東南海・南海地震の直下型地震が発生した場合の安全性と耐久性について不安を持ってます。盛り土工法の安全性と耐久性について県土整備部長にお聞きします。
 また、こういうところに植栽することは安全性、耐久性に問題はないのかということをお聞きします。
 次に、紀の川流域下水道についてお聞きします。
 平成13年4月に紀の川流域下水道が供用開始してから9年が経過し、10年目を迎えています。今年度、現在の経営計画の見直しを行い、新たな覚書を締結すると聞いております。
 当初、平成13年度から22年度までの10年間の汚水量立方メートル当たりの負担単価は97円で、30年後の全体計画の日最大汚水量は10万4000立方メートルでスタートしました。平成17年3月には、経営計画の見直し及び流域下水道の中期経営計画が策定されました。汚水量立方メートル当たりの負担金単価は改定されず、全体計画の日最大汚水量は5万1400立方メートルに変更されました。平成21年度末における流入量、整備面積は見直し計画と大きな乖離があります。3市町の財政難による整備計画のおくれ、整備区内人口の減少と高齢化の進行、節水型家電の普及、流域下水道に接続するための個人負担の問題、廃業や事業規模縮小による工場排水の減少などが考えられます。
 今回の経営計画の見直しについては、平成17年に見直した経営計画と実績に大きな乖離があり、未達成に対する原因分析を行い、3市町とよく協議をし、経営計画を作成してほしいと思います。汚水流入量や整備面積が増加するような対策を県、3市町が協力して取り組んでいただきたいと思います。後世にツケを回さないような経営計画をつくっていただきたいと念願しています。
 まず、県土整備部長に流域下水道の経営状況についてお聞きします。また、過去の反省と原因分析を踏まえての経営計画の見直しのポイントと収支向上に向けた課題と対策についてお聞きします。今後、那賀処理区においても数年後には同様の問題が発生するかもしれません。現実を見据え、将来へのツケ回しにならないように、経営計画の見直しと黒字化に向けた施策と対策をお願いします。
 最後に、紀州伝統工芸品について質問をします。
 紀州伝統工芸品には、経済産業大臣指定工芸品としては紀州漆器、紀州箪笥があります。これは、伝統的工芸品産業の振興に関する法律(伝産法)で定められた伝統的工芸品であります。指定の伝統的工芸品は北海道を除く46都府県にあり、211品目が指定を受けています。県知事指定工芸品は、橋本市の紀州へら竿、有田川町の保田紙、御坊市の御坊人形、田辺市本宮町の皆地笠、那智勝浦町の那智黒硯、新宮市の野鍛冶刃物、海南市の紀州雛等が指定されています。この11点は、和歌山県の風土から生まれ、生活慣習とともに生まれ受け継がれてきた伝統工芸品であります。
 国の伝産法によると、伝統工芸品とは主として日常生活の用に供されるものであること、その製造過程の主要部分が手工業であること、伝統技術または技法により製造されるものであること、伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること、一定の地域において少なくない数の者がその製造を行い、またその製造に従事しているものであることと規定されています。
 伝統工芸品を取り巻く環境も、時代の流れとともに厳しくなっています。伝統的な技術、技法を維持するために各種の取り組みをしているものの、生活様式の変化や安価な輸入品の増大により需要は低迷し、また伝統工芸士の高齢化や後継者不足や施設老朽化等、さまざまな問題を抱えているのが現状であります。和歌山県で生まれた伝統工芸品を守り、魅力ある伝統工芸産業振興並びに後継者の発掘、育成を図り、伝統技術の技法の次世代への継承と地域経済の発展に活用しなければいけないと考えます。
 伝産法には、伝統的工芸品産業振興策では、伝統的工芸品産業支援補助金2億3500万、伝統的工芸品産業振興補助金として7億8200万、合計10億1700万円が平成22年度予算化され、各種の対策ができるようになっています。県知事指定工芸品には予算や振興政策が不十分ではないかと思います。
 県知事指定工芸品に指定されている橋本市の紀州へら竿は、全国シェア90%以上を占める産業として育っています。年1回、全国ヘラブナ釣り大会「HERA-1グランプリ」を開催し、全国から、また韓国、台湾からたくさんの釣り人やその家族が訪れてくれています。また、へらざお普及発展のためにさまざまな取り組みを製竿組合やボランティアの皆さんの協力で行われています。
 紀州へら竿を取り巻く現在の環境も厳しく、紀州へら竿の伝承はもとより、後継者育成、へらざお釣りの聖地隠れ谷池の改修と関連施設の老朽化、後継者育成施設の老朽化、集客施設の未整備や新たな販路開拓等、たくさんの課題を抱えております。これらの課題解決をするために、今、伝統的工芸品産業に関する法律、伝産法の指定を受けるため、製竿組合や関係者の皆さんが力を合わせて指定に向けて取り組んでいます。
 しかし、伝産法の指定のハードルは極めて高く、特に工芸品を製造する技術、技法が100年以上の歴史を有し今日まで継続していること、工芸品の原材料が100年以上の歴史を有し今日まで継続していること、この2つの条件のクリアは難しく、文献や工芸品等の確認ができるものが必要となります。紀州へら竿に関する文献、工芸品、資料がありましたら、ぜひ皆さん御連絡をいただきたいと思います。しかし、現実的には非常に厳しいのが現実であります。
 今、橋本市学文路地区の観光や産業、また地域おこしのため、県・市製竿組合、学文路区長会や関係者の皆さんに協力をしていただきながら取り組みを始めたところであります。紀の川左岸広域農道の建設も進んでおりますので、この機会を逃さず、学文路地区の発展、地域おこしの1つの核として考えております。今後とも県の積極的な取り組みをお願いしたいと思います。
 そこで、仁坂知事にお聞きします。
 伝統工芸品に対する現状認識と将来展望をお聞きします。具体的には、今後、県知事指定工芸品は後世への伝承は可能なのか、後継者育成はできるのか、産業として成り立っていくのか、県の進むべき方向性についてお聞きします。また、県知事指定工芸品の後世への伝承と、後継者育成と生活基盤の安定をさすための伝統工芸品産業の振興策についてお聞きします。
 以上で、一般質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○副議長(山下直也君) ただいまの平木哲朗君の質問に対する答弁を求めます。
 知事仁坂吉伸君。
  〔仁坂吉伸君、登壇〕
○知事(仁坂吉伸君) まず、児童虐待でございますけども、児童虐待により次代を担う幼い子供たちが傷つけられたり、時には命を失うことがあるなどということは、決してあってはならないことであります。その点、平木議員の議論は大変胸を打たれるものがあったと思います。
 残念なことですが、親だけに子供を任せられない場合には、児童相談所を中心とする行政が積極的に介入いたしまして子供を守っていく必要があると思っております。
 児童虐待は、子供の人権を著しく侵害し、心身の成長や人格の形成に重大な影響を与え、時には生命にかかわる問題であることから、今後とも、注意を怠ることなく、警察、市町村、教育機関等の関係機関と情報共有を密にし、県民の皆さんの御協力もいただきながら、毅然とした態度で虐待防止に努めてまいります。
 児童虐待の相談件数が増加しているのは、虐待そのものの増加と相まって児童虐待に対する県民の認識が深まってきたことも一因と考えられておりますが、引き続き、虐待防止に向けた意識啓発に取り組んでまいります。
 次に、国道371号の話であります。
 これは大阪府との連携を強化する上で重要な府県間道路でありまして、京奈和自動車道とあわせて関西都市圏を拡大し、和歌山県のみならず関西全体の発展に不可欠な道路であります。
 まず、県内の橋本バイパスにつきましては、柱本から慶賀野間と橋本インターから国道24号までの間の合わせて約2.3キロメートルを既に4車線で供用しておりまして、残る3.2キロメートルにつきまして、住民の皆様の御理解を得ながら、できれば平成25年度の供用を目標に鋭意整備を進めているところであります。
 また、大阪府への働きかけにつきましては、和歌山県側の整備状況に比べ大阪府側の整備がおくれております。そのために、これまでもあらゆる機会をとらえ大阪府に働きかけてきたところであります。ことし4月にも、橋本市長や議員を初め地元の方々に同行さしていただき、橋下大阪府知事に要望したところであります。また、その後も知事会や機会あるごとに府県間道路の整備について働きかけておりまして、橋下知事には、府の財政状況が大変厳しい中でも府県間道路整備の重要性については十分認識していただいていると考えております。
 県としては、和歌山県側の一日も早い供用に努め、現在、国で進められている直轄調査の推進を働きかけるとともに、大阪府側の整備進捗と府県境部のトンネルの早期事業着手について国及び大阪府に引き続き働きかけて頑張ってまいりたいと考えております。
 次に、紀州伝統工芸品についてでございます。
 和歌山の歴史と風土の中ではぐくまれ、受け継がれてきた伝統工芸品は、本県産業の礎として価値あるものであり、守るべき産業と考えております。そのため、県知事指定の和歌山県郷土伝統工芸品につきましては、より多くの伝統工芸品を後世に伝承するために、経済産業大臣指定の伝統的工芸品に比して、産業規模の要件を除くなど、緩やかな指定要件としております。
 議員御指摘のとおり、消費者の生活様式の変化に伴い、伝統工芸品の一部につきましてはその需要は減退傾向にあり、産業としての存立基盤を脅かす危機に直面しているものもあります。また、後継者育成に関しましても、技術の習得に時間と労力を要することから、その生活基盤が不安定な状況にあるということも認識しております。一方では、地域に根差す伝統工芸品を地域おこしの核として活用するというようなことができないか、そういうことも考えております。
 橋本市のへらざおなど伝統工芸品は、全国に多くの愛好者が存する、そういう場合でございまして、こういう場合は体験工房などの集客施設を整備することにより観光産業としての再生も同時に図れるという可能性も秘めていると考えております。
 県といたしましては、地域振興の観点から、国、市町村と連携をした取り組みに対する検討を重ねるとともに、地場産業振興全体の観点からブランド力の育成と企画提案力の強化を図りながら、販路開拓及び後継者育成に対する支援を一層強化してまいりたいと考えております。
○副議長(山下直也君) 福祉保健部長西上邦雄君。
  〔西上邦雄君、登壇〕
○福祉保健部長(西上邦雄君) 児童虐待の発見、対応がおくれる原因についてですが、児童虐待の発見、対応がおくれる原因につきましては、本県におきましては、児童虐待についての通告があった場合、48時間以内の子供の安全確認を徹底しているところでありますが、原因としては、児童の居所が特定できない場合、また居所の特定に時間を要する場合、さらには居所が特定され児童や保護者等との接触はできたものの虐待の事実が把握できなかった場合等がその原因として考えられます。
 次に、関係機関の体制強化等についてでございますが、児童相談所の設置につきましては、児童相談所運営指針におきまして人口50万人に1カ所程度と示されているところですが、本県におきましては、地域性を考慮しまして新宮分室を含めまして県内3カ所に設置をしております。また、専門職員としての児童福祉司については、児童福祉法施行令第2条の配置基準を満たしており、現状では必要な人員が配置されているものと考えておりますが、今後とも、虐待の事案等の発生状況に応じまして必要な人員体制の整備に努めてまいります。
 関係機関との連携については、従前から特に警察等との連携を密にして対応してきているところですが、新たな取り組みとしまして、今年度から医療機関と保健機関の連携強化や、児童相談所や市町村、保育所、幼稚園、小中学校等の教育機関との情報共有などを進めることとしておりまして、こうした関係機関との情報共有や連携を強化することにより、児童虐待の早期発見、早期対応に努めてまいりたいと考えております。
 次に、虐待行為、通告義務の法整備の強化についてですが、親権制度については、平成20年度に改正されました児童虐待の防止等に関する法律の附則にその見直しをすることがうたわれておりまして、現在、国において検討されております。特に、実父、実母の虐待による重篤な事案が増加する中で児童の権利利益を擁護していくためには、親権制度の見直しも必要ではないかと考えております。
 また、議員御指摘の虐待行為の厳罰化及び通告義務に対する罰則化につきましては、虐待防止の観点から、今後、社会全体で議論されるべき問題であると考えております。
 次に、社会参加や講座、イベント等に参加できない親や家族への支援指導についてですが、議員御指摘のとおり、大変難しい問題であると思います。
 講座やイベントへの参加を促す方策としては、事業の中身の充実、参加しやすい環境づくり、広報・啓発等いろいろな方策が考えられますが、地域の親同士の横のつながりを強めていくような視点が必要であると考えております。あわせまして、子育て中の親が集う場所の提供や地域の子育てサークルへの支援に取り組むことも必要であると考えております。
 以上です。
○副議長(山下直也君) 県土整備部長茅野牧夫君。
  〔茅野牧夫君、登壇〕
○県土整備部長(茅野牧夫君) まず、道路に関する盛り土工法の安全性と耐久性についてですが、盛り土工は、道路を計画するに際しまして地形や土地利用の制約がない場合に使われる一般的な工法であり、多くの現場で採用されているところです。このため、各現場ごとに異なる現地条件に対しまして、基礎地盤の処理、盛り土材料の品質や締め固めに留意するとともに、地形や水の流れを調査し排水溝を設置するなど適切な水の処理を行うことによって降雨や地震に対して安全性や耐久性が確保されるものと考えております。
 また、植栽につきましては、樹種や場所を適切に選定し管理を適正に行うことで、安全性や耐久性に問題は生じるものではないと考えております。
 次に、紀の川流域下水道の現在の経営状況についてでございますが、汚水の流入量については、議員御指摘のとおり、市町の財政難による整備面積の伸び悩みや厳しい社会情勢等による工場排水等の減少により、平成21年度末現在で、平成17年3月に見直しを行った現経営計画に比べ約6割の流入量にとどまっております。そのため、この現経営計画で定められている維持管理費の単年度黒字転換及び資本費と維持管理費の合計の単年度黒字転換も目標達成が難しい状況にあります。このようなことから、関係1市2町と今年度中に現経営計画の見直しを行うための協議を行っているところでございます。
 次に、紀の川流域下水道の経営計画の見直しのポイントについてでございますが、関係市町の財政状況を勘案した整備予定面積や人口の減少、工場等の排水を適切に判断し、計画に盛り込むことが重要でございます。今後の収支向上に向けましては、整備面積の拡大と接続率の向上が課題であります。このため、県では、下水道事業促進整備交付金により市町村の管渠整備事業に対して、また、下水道等水洗化促進補助金により生活困窮世帯等の宅内配管工事に対して県単独で補助を行っているところでございます。
 引き続き、関係市町と協力して整備面積の拡大と接続率の向上に取り組み、効率的な下水道経営の実現を目指して努力してまいります。
 また、本年度、国の下水道予算が削減され、本県への配分は約7%減額されたことにより必要な社会資本整備がこれ以上おくれることのないよう、予算の総額確保と、おくれている地方に優先配分できるような仕組みを創設する、より地方が使いやすい制度の設計などを国に働きかけてまいります。
 以上でございます。
○副議長(山下直也君) 警察本部長山岸直人君。
  〔山岸直人君、登壇〕
○警察本部長(山岸直人君) 児童虐待事案への警察としての基本的な考え方と取り組みについてお答えいたします。
 児童虐待の早期発見と早期保護は、児童の生命、身体の保護という警察本来の責務であります。警察におきましては、児童虐待に関する相談や通報等を受理した場合、直接警察官が現場に赴き、児童と面接を行ったり保護者等に対する事情聴取を行い、児童の安全確認と安全確保を第一とした迅速な対応を行っているところであります。
 こうした状況の中、少しでも児童虐待が疑われるような場合には速やかに児童相談所に通告を行い、態様によっては一時保護等の措置をとるように働きかけるとともに、警察として必要な捜査を行っているところであります。
 警察といたしましては、今後ともあらゆる警察活動を通じて児童虐待についての情報を把握するとともに、そのような情報を把握した場合には、できる限り速やかに関係機関と連携しながら、児童の生命、身体の保護を最優先とした対応に努めてまいる所存であります。
○副議長(山下直也君) 答弁漏れはありませんか。
  〔「ありません」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 再質問を許します。
 10番平木哲朗君。
○平木哲朗君 これはもう要望だけです。
 児童虐待について、しっかり連携をしてやっているということはよくわかっています。ただ、先ほども言いましたように、児童相談所がかかわりながら15人の子供たちが亡くなった、そして、関係機関が支援の必要がないといったケースも22件あったというふうな全国的な背景もあります。
 これから児童虐待というのは、1人の子供がさまざまな要因の中で生まれてくるものでありますし、その事案等が1つずつ違うものであると思いますので、そういう部分においてはしっかりとした──これが相談をしてこういう結果になったというんじゃ話にならないと思いますので、この辺の十分な対応を引き続きお願いしたいと思います。
 和歌山県で起こっていなくても全国で起こっている児童虐待の事案もたくさんありますので、和歌山県では起こってないからというのではなく、いつでも全国の事案と同じように対応できるようにお願いをしたいと思います。
 もう1点は、流域下水道について要望しておきます。
 当初30年計画の中で、ことし10年目ということで経営計画の見直しが行われます。この間に比べましても、残りの20年というのはもっと厳しい現状が想定されると思うんです。節水家電とか人口減少とか流域区域内の人口の減少もありますし、決して13年から今年度までに比べてよくなる要素ってほんまにないと思うんです。
 そういう部分の中で、平成13年から30年たったときに、やっぱり最終的にやってみたらまだまだ赤字が続く、あるいは料金を最終的には上げるしか方法がないというようなことのないように、面整備でありますとか流入汚水量をどうやってふやしていくんかということをやっぱり県も3市町も協力をしながらやっていくことが重要やと思います。
 これについては、那賀処理区についても果たして次回の見直しのときに経営計画との乖離がひょっとしたら伊都浄化センターと同じような状況もあるのかなという不安も持っていますので、その辺、十分計画の乖離のないように、経営計画というのは赤字を出すものじゃないと思いますので、しっかりとした経営計画を立てていただきたいと思います。
 終わります。
○副議長(山下直也君) ただいまの発言は要望でありますので、以上で平木哲朗君の質問が終了いたしました。
 これで、本日の質疑及び一般質問を終わります。
 この際、報告いたします。
 さきに議長に委任をいただきました議案第122号の数字の整理の結果については、お手元に配付のとおり報告いたしますので、御了承願います。
 次に、知事から、お手元に配付の公文書写しのとおり、議案第122号が議決されたことに伴う議案第102号の補正予算につき数字訂正の申し出があります。
 お諮りいたします。本件については知事からの申し出のとおり承認することに御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○副議長(山下直也君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決定いたしました。
 明日も定刻より会議を開き、質疑及び一般質問を続行いたします。
 本日は、これをもって散会いたします。
  午後2時44分散会

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